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気泡塔反応器型分解装置、及びその使用方法
本発明は、エネルギーコスト、設備投資コスト、維持及び信頼性コストが低減され、かつ、有機溶媒及び芳香族化合物の酸化炭素(CO及びCO)への過剰酸化が最小限であるか又は全くない、粗製テレフタル酸粒子を酸化的に分解(oxidatively digest)して有用な純度及び経済効率の良い粒度分布の精製テレフタル酸粒子を得る方法、並びに方法を実施するための装置に関する。
テレフタル酸は様々な用途にとって商業的に重要な原料であり、主要な用途としてはポリエチレンテレフタレート(PET)の製造である。PETは、製品、例えばボトル、繊維、及び包装を製造するために世界中で大量に使用されている周知のプラスチックである。
テレフタル酸は、従来、p−キシレンの液相酸化によって製造される。典型的な液相酸化処理において、液相供給流及び気相酸化剤流が第一の酸化反応器に導入され、反応器内で多相反応媒体を形成する。第一の反応器に導入される液相供給流はp−キシレンを含み、一方、気相酸化剤流は分子酸素を含む。気体として第一の反応器に導入される分子酸素の少なくとも一部は、反応媒体の液相に溶解して、液相反応に酸素を利用可能にする。多相反応媒体の液相のいくつかの部分に含まれる分子酸素の濃度が不十分である場合(すなわち、反応媒体の一部が「酸素不足」である場合)、望ましくない副反応が不純物を生成することがあり、及び/又は意図された反応の速度が遅くなることがある。反応媒体の液相に含まれる酸化可能な化合物が少なすぎる場合、反応速度は、望ましくないことに過酸化反応と比較して遅くなることがある。更に、反応媒体の液相に含まれる酸化可能な化合物の濃度が過剰である場合、更なる望ましくない副反応が不純物を生成する可能性がある。
液相中に存在する溶媒は、低分子量有機酸、例えば酢酸、及び水を一般に含む。溶媒がリサイクルされる製造システムにおいて、溶媒は、少量の不純物、例えば、p−トルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド(4−CBA)、安息香酸、p−トルイル酸、p−トルイルアルデヒド(4−メチルベンズアルデヒド)、α−ブロモ−p−トルイル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリト酸、ポリ芳香族、及び/又は懸濁微粒子を含んでもよい。
p−キシレンの部分酸化において従来使用される触媒系は、コバルト、臭素、及びマンガンを含む均一液相触媒である。
主要な酸化反応に気泡塔反応器を使用することは、従来の連続的撹拌槽反応器に勝る多くの利点を提供し、気泡塔反応器を使用する酸化プロセスは、例えば、米国特許第7,355,068号明細書、米国特許第7,371,894号明細書、米国特許第7,568,361号明細書、米国特許第7,829,037号明細書、米国特許第7,910,769号明細書、米国特許第8,501,986号明細書、米国特許第8,685,334号明細書、及び米国特許第8,790,601号明細書に開示されており、その内容は引用により本願明細書に含まれる。気泡塔反応器は、高価で信頼できない機械的設備を必要とすることなく、反応媒体の撹拌を提供する。気泡塔反応器は、反応媒体が含まれる細長い直立した反応領域を典型的に含む。反応領域内の反応媒体の撹拌は、反応媒体の液相を通って上昇する気泡の自然な浮力によって主に提供される。気泡塔反応器内で提供されるこの自然浮力の撹拌は、機械的に攪拌される反応器に比べて、商用電源、資本、及び維持コストを低減する。更に、気泡塔反応器に伴う可動機械部分が実質的に無いことは、機械的に攪拌される反応器に比べて機械的に故障しにくい酸化システムを提供する。
p−キシレンの液相部分酸化において、第一の酸化反応器から取り出される製品は、典型的に、粗製テレフタル酸(CTA)の粒子状固相及び母液を含むスラリーである。CTAは、それをPETの製造のための原料として不適切にする比較的高濃度の不純物(例えば、4−カルボキシベンズアルデヒド、p−トルイル酸、フルオレノン、及び他の色体)を含む。したがって、CTAは、典型的に、CTAの粒子をポリエチレンテレフタレートの製造に適するであろう精製テレフタル酸(PTA)粒子に変換する精製処理を受ける。最近の商慣行では、CTAの更なる精製は、多くの場合、水素化処理又は酸化的分解処理による。
CTAをPTAに変換する従来の水素化処理は、以下の工程:(1)CTA含有スラリーの母液を水に置換する工程と、(2)CTA/水スラリーを加熱して、CTAを水中に溶解する工程と、(3)CTA/水溶液を触媒的に水素化して、不純物をより望ましい及び/又は容易に分離可能な化合物に変換する工程と、(4)複数の結晶化工程を介して、水素化溶液からテレフタル酸を選択的に沈殿させる工程と、(5)結晶化したPTAを残存液体から分離する工程とを含んでもよい。このタイプの従来の精製処理は効果的であるが、しかしながら、非常に高価である可能性がある。従来のCTA精製方法の高いコストの原因となる個々の要因としては、例えば、CTAの水中への溶解を促進するのに必要な熱エネルギー、水素化に必要な触媒、水素化に必要な水素流、いくらかのテレフタル酸の水素化によって生じる収率損失、及び多段階結晶化に必要な複数の容器が挙げられる。
代替として、CTAは、一般に「分解装置」と呼ばれる一連の更なる酸化反応器で、PTAに変換されてもよい。典型的に、そのようなシステムでは、第一の酸化反応母液中のCTA粒子の第一のスラリーは、約10〜約50質量パーセントの固体CTA粒子を含み、残部は液体の母液であってもよい。第一酸化反応器から取り出される第一のスラリー中に存在する固体CTA粒子は、約400質量ppm〜約15,000質量ppmの4−カルボキシベンズアルデヒド(4−CBA)を含んでもよい。第一の酸化反応器システムは、液相酸化可能な化合物の過半を酸化するために主に提供される第一酸化反応器と、分解装置に入る前に液相酸化可能な化合物の転化率を洗練するために主に提供される、少なくとも一つの任意の第二酸化反応器とを含んでもよい。
典型的に、第一の酸化反応器系から取り出されたCTAスラリーは、分解ユニットのシステムへと送られ、第一及び任意の第二酸化反応器で用いた温度より僅かに〜著しく高い温度で、更なる酸化反応が行われる。任意に、CTA粒子のスラリーは、分解ユニットへ進む前に溶媒交換工程を受け、それによって、置換された溶媒は、分解ユニットの酸化触媒により適するよう再調整された、低減された濃度の芳香族不純物及び/又は変更された濃度の触媒及び水を有してもよい。任意に、溶媒交換の有無にかかわらず、分解ユニットに入る前に、CTAスラリー中の固体の質量分率を調整してもよい。
第一酸化反応器内の比較的素早く不均一な沈殿によって得られるCTA粒子は、高い多孔性、高い表面積、及び小さく不均一な粒子径を含む、比較的高い程度の結晶不完全性を典型的に有し、乾燥CTAは、CSTR酸化で得られたCTAよりも低いバルク密度を典型的に示す。更に、比較的素早く沈殿されたCTA粒子は、連結したポリ芳香族種及び不完全な酸化中間体を含む、超平衡濃度の多くの酸化不純物を典型的に含む。不完全な酸化中間体、例えば4−CBA、及びp−トルイル酸は、数百〜数千質量パーツパーミリオンの濃度で典型的に発生するので特に問題となる。対照的に、縮合ポリマー、例えばPETの形成におけるPTAの使用は、PTA中の全モノカルボン酸の合計の典型的な上限を300パーツパーミリオンとする、できるだけ低濃度のモノカルボン酸ポリマー鎖停止剤を必要とする。
より好ましくは、第一の酸化からのCTAスラリーは、分解に供給される前に第二の酸化BCRで処理される。米国特許第7,393,973号明細書におけるように、後酸化(Post Oxidation)又は早期酸化的分解(Early Oxidative Digestion)とも呼ばれるこの第二の酸化の主要な目的は、分解のより厳しい酸化条件に入る前に、第一の酸化からTPAへと進む液相芳香族酸化中間体のかなりの部分を酸化することである。これは、第一の酸化の後に生じる酸化炭素への過酸化の総量を有効に低減する。
沈殿した酸化中間体不純物を一連の分解装置の酸化に利用可能にするために、粒子を第一の酸化よりも高温に暴露して、CTA粒子を少なくとも部分的に溶解し、不純物を、分解装置に注入された更なる分子酸素を含む液相酸化に暴露する。CTAスラリーの温度が、第一の酸化においてCTAが形成された温度を適度に越えて上昇したとき、小さいCTA粒子の高い表面積、結晶不完全性、及び超平衡不純物濃度は、テレフタル酸の部分的な溶解及び進行中の再結晶にとって、動力学的かつ熱力学的に有利である。
分解装置系中で行われる更なる酸化は、CTA粒子の4−CBAの濃度を低減することを意図する。分解温度は、第一の酸化温度より5℃〜約90℃高い温度であってよく、典型的には約150℃〜約280℃であってよい。酸化的分解から精製された生成物は、一つ又は複数の結晶化及び再結晶装置内で結晶化して、集めてもよい。
分解処理の第二の効果として、テレフタル酸粒子は、第一の酸化の出口流のCTA粒子と比較して狭められた粒度分布を有する、より大きな粒子を提供する傾向のあるオストワルト熟成を経てもよい。
分解処理の第三の効果として、再結晶化されたテレフタル酸粒子に含まれる、テレフタル酸を形成するための触媒的酸化的修正(catalytic oxidative correction)に抵抗する多くの不純物の濃度が低減され、不純物としては、例えばポリ芳香族カルボン酸種、なかでも特に、多くの着色種、例えば、2,6−DCF、及び2,7−DCFが挙げられる。この減少は、第一の酸化よりも高い作動温度、及び分解処理の間の伸ばされた再結晶時間の両方に起因して、耐酸化性不純物の固相及び液相の間の平衡分布により近づくことによって生じる。任意の溶媒交換工程に、比較的より純粋な溶媒、例えば、p−キシレンの酸化によって生じる水を除去するために使用される溶媒脱水処理から蒸留された含水酢酸を使用した場合、耐酸化性不純物の固相濃度の低減は更に強化される。
気泡塔分解装置(BCR)は、気泡塔酸化反応器に上記の機械的利点を提供する。しかしながら、直列又は並列の従来の複数のBCRを使用したとき、これは、大きな製造プラント設置面積、並びに複数のカラムを供給及び制御する複雑な配管システムにつながる。更に、CTA分解処理及びBCR装置の設計は、しかしながら、分解のための有益な処理目的を達成しつつ、第一の酸化BCRとは異なる多くの設計上の問題を提示されている。
これらの分解処理の設計目標のいくつかは、米国特許第7,393,973号明細書において対処されており、その内容は引用により本願明細書に含まれる。本発明にとって特に注目すべき点は、固体入口付近及び固体出口付近の競合する処理目的を提供する際に有用な、好ましい液相及び固相の滞留時間分布(RTD)の範囲、入口から固体出口までの供給固体のショートカットを低減する手段、並びに、製品TPAへと進行する部分酸化中間体の所望の酸化を達成しつつ、なお酸化炭素への過酸化を制御する手段である。
米国特許第7,393,973号明細書に開示されているように、固体溶解速度は、開示された気泡塔条件下での第一の酸化から得られるより小さな粒子の分率がより高い局所的濃度のため、特に分解への固体入口の付近で速い。したがって、固相から酸化中間体、例えば4−CBA及びp−トルイル酸を溶解する速度がより速いために、固体出口付近とは対照的に固体入口付近で、気相から液相へ溶解した酸素の供給速度が最も高いという局所的必要性がある。固体入口付近における密接に関連する問題点は、液相の酸化中間体、例えば4−CBA及びp−トルイル酸の不変濃度(standing concentration)が十分に低く保たれ、形成されているPTAが、より大きく熱力学的及び動力学的に安定な粒子へと再沈し過ぎることを防止するような、液体混合希釈化及び同時に起こる酸化の適当な組合せの必要性である。組合せにおいて、溶解している芳香族酸化中間体の突発を希釈するため、及び溶解した分子酸素の必要な局所的供給速度を提供するために、これらの問題点は、固体出口領域とは対照的に分解装置の固体入口領域における、より著しい程度の局所的なスラリーの混合及び/又は通気を推奨する。溶解した酸素の局所的供給速度は、気体分子酸素のより高いモル分率と、相間フィルム移動効果「kL」及び界面領域特性「a」の積「kLa」として一般的に表される改善された相間物質移動係数のためのより激しい通気との様々な組合せによって提供することができる。
米国特許第7,393,973号明細書に開示されている他の分解処理の問題点は、第一の酸化から供給される固体の、それらの入る位置から、分解内へ、そして分解から固体出口までのショートカット通路を制限する必要性である。ショートカット粒子は、固相酸化中間体の所望の濃度より高い濃度をもたらし、それによって、望ましくないことに、出る全固体中の酸化中間体、例えば4−CBAの加重平均組成を上方に歪ませる。更に、ショートカット粒子はまた、望ましくないことに、分解処理を出る固体PTAの粒度分布を広げ、さまざまに計算された平均粒径を低減し;このことは、PTA粉末製品の、濾過、洗浄、乾燥、及びバルク取扱性に様々な程度で悪影響を与える。
分解装置において、カルボン酸、例えば、酢酸及びTPAが過酸化して酸化炭素を形成することに対する、芳香族酸化中間体の望ましい酸化の間でバランスを保つ困難性に関して、米国特許7,393,973号明細書の開示は、「酸化的分解の後のステージは『酸素不足』の条件下で実施され、気体溶出物中に存在する分子酸素は非常に低濃度である」ことを記載している。これは、後のステージの温度が以前のステージより高い温度差と組み合わせられている。さらに、この発明によれば、「…分子酸素は、複数の高さで分解に供給される…」、及び「分子酸素を分解へ供給するための分離された高さは、分解反応媒体の上半分に少なくとも一つの開口と、分解反応媒体の下半分に少なくとも一つの開口とを含む…」ものである。
複数の分解ユニット配置は、米国出願第7,393,973号明細書に記載されている。しかしながら、システムが単に気泡塔技術のみに基づく分解装置は記載されていない。上記に説明したように、気泡塔反応器(BCR)は、高い資本コスト、高い運転費、及び高い運転上及びメンテナンス上の要求がある機械的攪拌反応器と比較して、機械的効率及びコスト効率を提供する。
中国特許第202700501号明細書は、「深酸化(deep-oxidating)」(分解)を一つ又は複数のBCR内で行う、TPA処理を記載している。気泡塔酸化反応器における第一の酸化の後、酸化反応スラリーは、第一の酸化処理が継続する小径「放出バレル(discharge barrel)」を通って導かれる。第一の酸化スラリーは、放出バレルから、BCRの底に酸素含有気体が供給されている第一の気泡塔「深酸化反応器(deep oxidating reactor)」の中間部分へと移される。一実施形態において、深酸化反応器は一つだけ使用されている。第二の実施態様では、第一の深酸化反応器の底部から取られたスラリーは、底部に気体入口もまた有する第二の深酸化反応器の中間部分内へと導かれる。第一の深酸化反応器の排出ガスは、第二の深酸化反応器の底部付近へと管で送られ、また、第二の深酸化反応器のための酸素含有気体の源である。両実施形態において、第一の酸化反応器からのオフガスは、圧縮前に周囲空気を希釈するために用いられ、第一の深酸化反応器へと供給されている。5〜8の範囲の長さ対直径の比とともに、「酸化」BCR(第一の酸化器)と比較して、70〜80%の深酸化BCRのための特定の体積比率が記載されているが、しかしながら、第一の酸化器又は深酸化BCR容器の、液体及び固体流速に対するそれらの体積に関する開示はない。更に、深酸化BCRにおけるCTAスラリーの流れ若しくは容器直径のいずれかと比較した、分子酸素流の適切な比率、分子酸素のモル分率、又はオフガスのリサイクルに周囲空気を加えた組合せに含まれる総気体化合物の流れは開示されていない。エネルギー必要量、混合及び物質移動流体力学、p−トルイル酸及び4−CBAのテレフタル酸を形成する液相酸化反応、カルボン酸を消費したCO及びCOへの炭素燃焼反応を含む望ましい化学反応、機械的撹拌の非存在下で成長する固体粒子の堆積、並びに、深酸化BCR内の固体の滞留時間分布を制御するために、深酸化反応器に提供されるこれらの気体流速及び分子酸素分率は必須である。要約すると、中国特許第202700501号明細書は、CTAからPTAへの有効な分解転化率のための、スケーリング及び3相BCRの設計に必須な構成を十分に開示していない。
したがって、気泡塔装置におけるp−キシレンの第一の酸化で得られるCTAスラリーのための、効率的で、資本導入、機械的メンテナンス、処理ユーティリティ、原料消失のために要求される費用が低減され、設計が単純であり、分解酸化を行って良質なPTAを生じる分解方法、及び対応して構造化された反応器の必要性がある。
したがって、本発明の目的は、PETの製造に必要な優良なレベルでテレフタル酸を提供する、有効かつ効率的なCTA粒子の分解方法を提供することである。
PETの製造に必要な優良なレベルでCTAがテレフタル酸に変換される分解システム構造を提供することもまた、本発明の目的である。
これら及び他の目的は本発明によって提供され、その第一の実施形態は粗製テレフタル酸を精製する方法を含み、方法は:
a)含水酢酸及び少なくとも一つの重金属化合物を含む触媒系を含む溶媒液体中に、テレフタル酸、4−カルボキシベンズアルデヒド、及びp−トルイル酸を含む、粗製テレフタル酸の粒子のスラリーを得ることと;
b)粗製テレフタル酸スラリーを、機械的撹拌を実質的に含まない気泡塔システムの第一の分解領域へと供給することと;
c)第一の分解領域に入れる前、又は第一の分解領域内にあるときのいずれかに、粗製テレフタル酸スラリーを約150℃〜約280℃の温度まで加熱することと;
d)酸素を含む気体を第一の分解領域に供給することであって、第一の分解領域の上部付近に上昇している気体の見掛け速度が約0.1cm/秒〜約8cm/秒の範囲内である、ことと;
e)粗製テレフタル酸の粒子を少なくとも部分的に酢酸中に溶解し、これによって、粒子から少なくともいくらかの4−カルボキシベンズアルデヒド及びp−トルイル酸を放出し、溶解した4−カルボキシベンズアルデヒド及びp−トルイル酸を酸素に暴露して、テレフタル酸への酸化を生じさせ、第一段階分解スラリーを得ることと;
f)第一段階分解スラリーを、第一の分解領域の鉛直下側に任意に位置し、かつ機械的撹拌を実質的に含まない第二の分解領域に通過させることと;
g)第二の分解領域の下部に酸素を含む気体を供給することであって、第二の分解領域への気体の供給速度は、第一の分解領域への供給速度より小さい、ことと;
h)粒子から更なる4−カルボキシベンズアルデヒド及びp−トルイル酸を溶解及び放出し、溶解した4−カルボキシベンズアルデヒド及びp−トルイル酸を酸素に暴露し、テレフタル酸への更なる酸化を生じさせ、第二段階分解スラリーを得ることと;
i)任意に、第二の分解領域と同様の構造であり、任意に第二の分解領域の鉛直下側の、一つ又は複数の更なる分解領域を通して、第二段階分解スラリーを移動させることと;
j)最後の分解領域から、得られたテレフタル酸結晶スラリーを除去することと;
k)得られたテレフタル酸結晶粒子を分離することと
を含む。
第二の実施形態において、本発明は酸化的分解システムを含み、酸化的分解システムは:
少なくとも一つの気泡塔反応器内に配置された一連の少なくとも2つの酸化的分解領域と;
第一の分解領域の下部に位置する少なくとも一つのスラリー反応剤入口と;
第一の分解領域、及び第一の領域の後に直列する少なくとも一つの領域への、酸素気体供給口と;
少なくとも一つの気泡塔の底の製品スラリー出口と
を含み、
それぞれの酸素気体供給は、気泡流として酸素ガスを領域に供給する気体分配装置を含む。
一つの好ましい実施形態において、本発明は、酸化的分解システムを含み、酸化的分解システムは:
一つの気泡塔反応器内に鉛直に配置された一連の少なくとも2つの酸化的分解領域と;
第一の最上分解領域の下部に位置する少なくとも一つのスラリー反応剤入口と;
第一の最上分解領域、及び第一の最上領域の鉛直下側に直列する少なくとも一つの領域への、酸素気体供給口と;
第一の最上領域と鉛直下側の第二の領域との間に位置する少なくとも一つの水平バッフルと;
一つより多くの領域が第一の最上領域の下側に存在する場合、それぞれの鉛直方向に隣接する領域の間に位置する少なくとも一つの水平バッフルと;
少なくとも一つの気泡塔の底の製品スラリー出口と
を含み、
それぞれの酸素気体供給は、領域に酸素気体を気泡流として供給する気体分配装置を含み、
それぞれの水平バッフルは、複数の開放領域を有する複数の逆形傾斜表面を有するトレイを含む。
第三の実施形態において、本発明は:
対流型構造の第一のBCR装置と;
第一のBCR装置の後に直列する、栓流型構造の少なくとも一つのBCR装置と
を含む、気泡塔分解システムを提供し、
第一のBCR装置は:
カラムの中央の垂直な位置のスラリー入口と;
スラリー入口の下の酸素含有気体入口と;
カラムの底部のスラリー出口と;
酸素含有量モニターを備えるカラムの上部の気体排出口と;
任意に、気体入口とスラリー出口との間の水平バッフルとを含み、
少なくとも一つの第二のBCR装置は:
1〜5つの水平に分離した領域であって、それぞれの領域は任意に酸素気体入口を備える、領域と;
それぞれの領域間の水平バッフルと;
最上領域のスラリー入口と;
BCR装置の底部のスラリー出口とを含み、
少なくとも一つの領域は酸素気体入口を備える。
好ましい本発明の実施形態において、前記実施例による酸化的分解システムは、機械的撹拌を有しない。
これまでの記載は、本発明の一般的な導入及び要約を提供することを意図しており、明確に述べない限り、その開示内に限定することを意図するものではない。更なる利点とともに、好ましい本実施例は、添付の図面と関連して以下の詳細な記載を参照することで最もよく理解されよう。
図1は、本発明の一実施形態による分解装置酸化装置を含む、p−キシレン酸化システムの模式図である。
図2は、それぞれのBCRへの分子酸素の新たな原料供給を有するスラリー相上で、2つの別々のBCRを直列のフローで用いた、任意の実施形態による分解酸化装置の模式図である。
図3は、最上領域より直径の小さい下部領域を有する本発明の一実施形態による分解酸化装置の模式図である。
図4Aは、本発明の一実施形態による、水平方向から見たバッフルの配置の模式図である。
図4Bは、垂直方向から見た4Aの一つのバッフルの模式図である。
図5Aは、本発明の一実施形態による、水平方向から見た他のバッフルの模式図である。
図5Bは、垂直方向から見た5Aのバッフルの模式図である。
図6は、本発明の一実施形態によるスラリー供給入口のための逆錐体ディフレクター装置の模式図である。
本発明の説明において、用語「a」、「an」、及び「the」は、一つ又は複数を意味する。用語「及び/又は」は、二以上の品目の群において使用する場合、掲げられた品目の任意の一つを単独で使用することができ、又は掲げられた品目の二つ以上の任意の組合せを使用することができることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、及び/又はCを含むと記載されている場合、組成物は、A単独;B単独;C単独;A及びBの組合せ;A及びCの組合せ;B及びC組合せ;又はA、B、及びCの組合せを含むことができる。用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprise)」は、用語の前に記載された主題から、用語の後に記載された一つ又は複数の要素へと移行するのに使用されるオープンエンドな移行句であり、移行句の後に掲げられた一つ又は複数の要素は、必ずしも、主題を構成する全ての要素であるというわけではない。用語「有する(having)」、「有する(has)」、及び「有する(have)」、並びに用語「含む(including)」、「含む(includes)」、及び「含む(include)」は、上記の「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprise)」と同様にオープンエンドな意味を有する。
本明細書で用いるように、通気された反応媒体の気体ホールドアップ、泡ホールドアップ、気体分率、及び泡分率は、すべて同じ意味であり、単純に、気体状態にある多相媒体の体積分率である。単位は無次元であり、例えば、立方メートル割る立方メートルであり、又はそれらは体積パーセントとして記載することができる。本明細書で用いるように、見掛け気体速度は、多相媒体の気体状態にある成分の体積流速を、これらの気体成分が流動している管又は容器の断面積で割ったものである。見掛け気体速度の単位は、平方メートルで割った立方メートル毎秒であり、結果として、例えばメートル毎秒になる。見掛けスラリー速度、見掛け液体速度、及び見掛け固体速度は、それぞれ、気体成分の体積流速を、スラリー体積流速、液体体積流速、及び固体体積流速に置き換えて、同様に定義される。気体見掛け速度は計算値であり、必ずしも、あらゆる泡又は他の気体成分の等分分割量(aliquot)の、実際の空間速度を表すわけではないことに注意することは重要である。同様の記載は、その他の見掛け速度に適用する。液−固密度差及び重力の効果が、支配的な局所的対流液体乱流と比較して比較的大きい場合は、すなわち、低減された液相乱流及び/又は固相の増大した粒子径のために、著しい固体堆積がある場合には、液体及び固体の見掛け速度は互いに異なることがあり、したがって、スラリー見掛け速度と異なることがあることに注意することは重要である。本明細書で用いるように、エアは、更に明確な変更、なかでも、例えば、周囲空気、圧縮された周囲空気、及び周囲空気に加えてリサイクルされたオフガスといった変更が提供されない限り、任意のモル分率の分子酸素を含むあらゆる気体混合物を意味する。
数値範囲を提供して本発明に関する特定のパラメータを定量化する場合、そのような範囲は、その範囲のより小さい値のみを記載する請求項の限定、及びその範囲のより大きい値のみを記載する請求項の限定のための、文字通りのサポートを提供すると解釈されることを理解すべきである。また、表される値は、記載の限界値の範囲内の範囲及びサブレンジを包含する。
本発明によれば、例えば、米国特許第7,355,068号明細書、米国出願第7,393,973号明細書、米国特許第7,829,037号明細書、米国特許第7,910,769号明細書、米国特許第8,501,986号明細書、米国特許第8,685,334号明細書、及び米国特許第8,790,601号明細書に記載されている、第一の酸化操作を介して得られる粗製テレフタル酸(CTA)のスラリーは、一連の鉛直に配置された領域を含むカラム構造分解装置内で処理される。すでに記載したように、CTAスラリーは、酢酸媒体中に、テレフタル酸、4−カルボキシ−ベンズアルデヒド、p−トルイル酸を含む、粗製テレフタル酸の粒子を含む。分解のために、第一の酸化システムから得られるCTAスラリーの温度は、第一の酸化から入ってくるスラリーの温度よりも、少なくとも5℃〜約90℃高い、好ましくは約10℃〜約60℃高い、より好ましくは約15℃〜約40℃高い値まで上昇する。第一の酸化を離れるスラリーの温度は、約125℃〜約200℃、好ましくは約140℃〜約185℃、より好ましくは約150℃〜約175℃の範囲であってもよい。したがって、分解ステージにおけるスラリーの温度は、約150℃〜約280℃、好ましくは約160℃〜約240℃、より好ましくは170℃〜210℃の範囲である。この温度の上昇は、分解装置の前に位置する加熱装置、又は含水酢酸混合物中の粒子のスラリーの温度を上昇させるのに適する任意の方法によって行ってもよい。
分解の上昇温度は、典型的には、分解領域における溶媒の蒸発を制御するために、第一及び第二の酸化においてより高い頂部圧を含む。少なくとも一つの分解領域の頂部オフガス圧は、第一の酸化の頂部オフガス圧に対して、ほぼ同じ〜約4MPa高い、好ましくは約0.5MPa〜3MPa高い、最も好ましくは約1MPa〜約2MPa高い範囲である。好ましくは、少なくとも一つの分解領域の頂部オフガス圧は、約0.4MPa〜約8MPa、約0.5MPa〜約4MPa、又は1MPa〜2MPaの範囲である。
本願発明者らは、典型的に第二の酸化剤BCRの反応媒体の密度が高いにもかかわらず、第一の酸化BCRの高い高さの、ゲージ圧の低い位置から、第二の酸化BCRのより低い高さに位置するゲージ圧のより高い位置へと、機械的ポンピング手段、又はいかなる補助的流れエネルギー、例えば排出装置も使用せずに、スラリーを供給することができることを見いだした。更に、発明者らは、第一の酸化装置から第二の酸化BCRのより低い高さへとCTAスラリーを供給することは、酸化炭素を形成する過酸化反応を低減すると同時に、カップリングし着色したポリ芳香族化合物の形成を低減し、液相芳香族中間体の転化率を増大させる目的を最適化するために、驚くほど有益であることを見いだした。
低ゲージ圧から高ゲージ圧への移動は、第一の酸化装置の高い高さから引き出された通気された反応媒体を分離し、それを脱気して実質的に脱気されたスラリーを形成することによって、好ましくは行われる。より好ましくは、反応媒体の脱気は、米国特許第7,371,894号明細書の開示に従って最短時間で行われ、これによって、ポリ芳香族の着色した不純物を含む芳香族不純物の形成を最小化する。内部又は外部の脱気容器が好ましい。より好ましくは、反応媒体のための脱気容器は、第一の酸化装置の外部にある。
脱気容器の下部から引き出された脱気されたスラリーは、第一又は第二の酸化BCRのいずれかの通気されたスラリーより高いバルク密度、及び高さ1メートル当たりの位置水頭を有する。したがって、脱気容器の下部からの接続管は、第一の又は第二の酸化BCRが曝気条件で作動している場合、それらの任意のより低い高さへと重力のみによって流れることができる。本質的に、第一の酸化BCRで上方に上昇している気体及び溶媒蒸気は、ガスリフト型ポンプで反応媒体を膨張させるが、しかしながら、第一の酸化BCR内に保持されたスラリーは、なかでも粘性及び表面張力と相互作用する重力に従って、上昇する気体によって継続的に下へ後退する。
しかしながら、実際のプロセス制御として、第一の酸化装置を出る脱気容器の底部の高さ、第二の酸化装置における通気された反応媒体の最上部の高さ、第二の酸化装置BCR内で通気が最初に提供される高さ、及び第二の酸化装置BCR内の通気の程度の間に、特定の関係があることが有用であり、好ましい。これは、充分なスラリー流を、商業的に合理的なサイズの管及びフロー制御部材で運搬することができることを確実にする。
第二の酸化装置BCRの気体ホールドアップは、第一及び第二のBCR内の様々な流れ、圧力、温度、及び濃度の通常運転条件において、好ましくは少なくとも約14、より好ましくは少なくとも約20、更により好ましくは少なくとも約26、最も好ましくは少なくとも約32体積パーセントである。第一の酸化装置BCRの高い高さから引き出されるスラリーの充分な流れ及び制御を支援するための考慮の他に、この程度の通気は、第二の酸化装置BCR内に溶解した分子酸素を供給するために、気体から液体への物質移動を支援するのに有用である。BCRの中央の高さ、1/4の高さ、及び3/4の高さで測定又は算出される、少なくとも約0.04メートル毎秒、より好ましくは少なくとも約0.08メートル毎秒、更により好ましくは少なくとも約0.12メートル毎秒、最も好ましくは少なくとも約0.16メートル毎秒の見掛け気体速度を用いて、この気体ホールドアップを達成することが好ましい。この見掛け速度は、考慮された高さにおけるBCRの断面積によって除した、真の気体、例えばO、N、Ar、CO、CO等、及び蒸発した液体蒸気、例えば酢酸蒸気、水蒸気等の両方の、全ての上昇する気体成分の体積測定流を用いて算出される。
第二の酸化装置BCRに供給されるスラリーの少なくとも約25パーセント、より好ましくは少なくとも約50パーセント、更により好ましくは少なくとも約75パーセント、最も好ましくは少なくとも約100パーセントが、気体分子酸素が第一の酸化装置BCRに供給される最も低い位置より少なくとも約12メートル、より好ましくは少なくとも約18メートル、更により好ましくは少なくとも約24メートル、最も好ましくは約30メートル高い高さで、第一の酸化装置BCRから引き出されることが好ましい。
第一の酸化装置BCRの高い高さから引き出されるスラリーの少なくとも約25質量パーセント、より好ましくは少なくとも約50質量パーセント、更により好ましくは少なくとも約75質量パーセント、最も好ましくは少なくとも約100質量パーセントが、気体分子酸素が第二の酸化装置BCRに供給される最も低い高さより約12メートル未満高い、より好ましくは約8メートル未満高い、更により好ましくは約4メートル未満高い、最も好ましくは約2メートル未満高い位置で第二の酸化装置BCRに供給されることが好ましい。
第二の酸化装置BCRの通常運転レベルは、気体分子酸素が第二の酸化装置BCRに供給される最も低い高さよりも、約45メートル未満、より好ましくは約40メートル未満、更により好ましくは約35メートル未満、最も好ましくは約30メートル未満、かつ、約8メートル超、より好ましくは約12メートル超、更により好ましくは約16メートル超、最も好ましくは約20メートル超高いことが好ましい。
第二の酸化装置BCRの接線から接線の高さは、約50メートル未満、より好ましくは約45メートル未満、更により好ましくは約40メートル未満、最も好ましくは約35メートル未満、かつ、約10メートル超、より好ましくは約14メートル超、更により好ましくは約18メートル超、最も好ましくは約22メートル超であることが好ましい。
気体分子酸素が第二の酸化装置BCRに供給される最も低い高さは、気体分子酸素が第一の酸化装置BCRに供給される最も低い高さから、約16メートル未満、より好ましくは約12メートル未満、更により好ましくは約8メートル未満、最も好ましくは約4メートル未満、鉛直方向にずれていることが好ましい。
スラリーの流れを急速に止めた場合、すなわち、摩擦流れロス、動力学的上部圧力ロス、又は制御部材圧力ロスに関する供給管のあらゆる圧力低下なしで測定又は算出される、スラリー供給管とスラリー導入の最も高い高さでの第二の酸化装置BCRの内部との間の圧力差は、第一の酸化装置から第二の酸化装置へのスラリー導入で最も高い高さのスラリー供給管のゲージ圧が、同じ高さにおける第二の酸化装置BCR内の圧力よりも、少なくとも約30kPa、好ましくは少なくとも約60kPa、更により好ましくは少なくとも約90kPa、最も好ましくは少なくとも約120kPa高いように、第二の酸化装置BCR内の通常運転レベル及び通常の気体ホールドアップのための上記の範囲から組合せを選択することが好ましい。スラリーが第二の酸化装置BCRに供給される最も高い高さで共に測定される、第二の酸化装置BCR内部のゲージ圧と比較したスラリー供給管の静的ゲージ圧の超過は、したがって、動力学的ヘッド検討のため、スラリー導管及び第二の酸化装置BCRへの導入における摩擦ロスのため、並びにスラリーの流速を制御する制御部材のために利用可能である。第一の酸化装置から第二の酸化装置へのスラリー流速は、第一の酸化装置BCR内の通気された反応媒体の高さ、第二の酸化装置BCR内の通気された反応媒体の高さ、p−キシレンの第一の酸化装置への体積測定又は質量供給速度、並びに、第二の酸化装置内への及び/又は第二の酸化装置内から出るスラリーの質量又は体積流速を含む、少なくとも一つの処理測定に応じて好ましくは制御される。
第一の酸化装置BCRから第二の酸化装置BCRの底部付近へとスラリーを供給する驚くべき利点は、スラリー導入と出口高さとのより大きな軸方向の分離を提供することと組み合わせて、溶解した分子酸素の気体から液体への物質移動供給速度が最も高い領域を、溶解した分子酸素の需要が最も高い領域に適合させることに関係する。例えば、おそらく、気体分子酸素の新しい供給により近い位置に溶解した酸素のピーク需要を置き、又はおそらく、溶解した芳香族中間体の液相濃度を上方及び下方の両方で高くし、溶解した分子酸素のためのピーク需要速度を低減することができるように、スラリーを中間の高さで供給する場合、BCR底部出口の芳香族中間体の濃度が望ましくなく増加する。スラリー及び気体分子酸素の供給の両方を底部付近に供給し、次に第二の酸化装置BCRの最上部付近からスラリーを引き出すことによって、結合したポリ芳香族不純物の形成が低減され、第二の酸化装置BCRの最上部付近で分子酸素の過剰な需要が低減され、かつ、第二の酸化装置を離れるスラリー内の液相の部分酸化中間体の転化率が増加するという利益を同時に達成することができる。液相の部分酸化中間体の増大した転化率は、特にCTAスラリーが溶媒交換操作をバイパスして分解へと直接供給される場合に、その後の分解操作における炭素燃焼を低減することができる。したがって、第二の酸化装置BCRへの気体分子酸素の供給の少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、更により好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約100%が、主要円柱部分の直径の1倍以内、好ましくは0.5倍以内、更により好ましくは0.25倍以内、最も好ましくは0.1倍の範囲内であり、第二の酸化装置BCR内の最も低い高さの約0.64メートル以内、より好ましくは約0.32メートル以内、更により好ましくは約0.16メートル以内、最も好ましくは約0.08メートル以内で供給されることが好ましい。また、第二の酸化装置BCRへのCTAスラリーの供給の少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約50%、更により好ましくは約75%以内、最も好ましくは少なくとも約100%が、主要円柱部分の直径の3倍以内、より好ましくは2倍以内、更により好ましくは1倍以内、最も好ましくは0.5倍以内であり、第二の酸化装置BCR内の最も低い高さの約6メートル以内、より好ましくは約4メートル以内、更により好ましくは約2メートル以内、最も好ましくは約1メートル以内で供給されることが好ましい。
第二の酸化装置BCRが、p−キシレンからTPAを形成する部分酸化に関する反応及び物質移動時定数に関して完全に混合された容器ではないので、高いスラリー出口の液相の酸化中間体の増大した転化率が得られる。したがって、スラリーの導入点及び出口点を広く離すことができる場合、カラムの径を変えずとも反応転化率が改善される。第二の酸化装置BCRのスラリー入口及び出口は、第二の酸化装置BCRの最大直径の少なくとも8倍、より好ましくは少なくとも約12倍、更により好ましくは少なくとも約16倍、最も好ましくは少なくとも約20倍、鉛直に分離していることが好ましい。さらに、第二の酸化装置BCRのスラリー出口は、反応媒体の通常の時間平均作動レベル未満の、容器の主要円柱部分の最大直径の約8倍未満、より好ましくは約6倍未満、更により好ましくは約4倍未満、最も好ましくは約2倍未満に位置することが好ましい。時間平均作動レベルを越える容器体積の部分は、上流及び下流の流速の乱れへの応答に関する気体解放及び/又はレベル変動のために使用されることができる。一つの本発明の好ましい実施形態において、第二の酸化装置BCR内の反応媒体の通常の時間平均作動レベルは実質的にスラリー出口の高さに位置し、それによって、容器はスラリーオーバフローモードで作動している。
しかしながら、スラリー導入及び出口位置をより広く離すことによって、及び/又は第二の酸化装置BCR体積をより大きくすることによって提供される軸方向のステージの増加は、固相粒子のまま残存するものと比較して、液相酸化の利益を低減する状況に至る可能性がある。
液相のp−トルイル酸の高すぎる転化率を回避するために、第二の酸化装置BCRの体積を低減して、資本コストを低減し、酸化炭素への過酸化もまた低減することができる。この状況では、多くの場合、BCRのH:D比率を増加させ、それによって、残る反応体積のためのより多くのステージングを促進するように、容器高さ「H」に優先して容器内径「D」を低減することが望ましい。当然、体積の減少は第二の酸化装置BCRを出る液相の酸化中間体の濃度を上昇させるが、しかしながら、直径を減少させることによって容器体積を減少させることは、高さを減少させることによって体積を減少させることと比較して、非常に害の少ない変化を提供する。したがって、第二の酸化装置BCR中の反応媒体の高さ対直径の比率は、少なくとも6:1、より好ましくは少なくとも12:1、更により好ましくは少なくとも16:1、最も好ましくは20:1であることが好ましい。
米国特許第7,568,361号明細書の開示に従って、少なくとも約1つ、約2つ、約4つ、約8つの「非ファウリング(non-fouling)」バッフルを用いることにより、第二の酸化装置BCR内の液相酸化の軸方向のステージを増加させることもまた有用である。(明細書の残りの全体にわたって、前文のように複数の数値を掲げることは、好ましいものから最も好ましいものまで入れ子になった範囲(nested range)を示すことに注意されたい。)これは、高い生産率のために大きさが設定された生産量においてますます重要であり、高いH:D比率が極端な絶対的高さを示す。非ファウリングバッフルの追加は、Dを増加させてH:Dを減少させたとしても、第二の酸化装置BCR内の良好なステージング性能を維持することができる。
新しい分子酸素の供給を少なくとも約2時間、約8時間、約16時間、約32時間停止したあと出現する固体の堆積レベルより上に、これらのバッフルの過半数を置くことが一般的に好ましい。CTA固体が沈殿及び凝縮したあと、速やかに通気を再開するときに、非常に大きい力がバッフル手段に掛かる可能性がある。それでもなお、第一及び第二の酸化装置BCR並びに分解装置の全体的設計が、PTAの目的純度を達成しつつ酸化炭素への過酸化を低減するためにこのバッフルの配置が有用であることを示す場合、かなり沈殿したCTAがあっても通気開始力に耐えるのに充分な機械的完全性の非ファウリングバッフルを提供することができる。
停止期間の間に沈殿した固体の上記問題点を緩和又は回避するために、第二の酸化装置BCRの底部又は底部の非常に近いところから低減された圧力の出口まで通じるスラリードレイン管を提供することもまた好ましい。より好ましくは、この低いドレイン管は、分解装置システムにスラリーを供給するために使用するポンプの吸引に接続される。しかしながら、この代替の導管は第二の酸化装置BCRの通常動作の間、閉じた弁によって完全に塞がれていることが好ましい。
脱気されたスラリーを第一の酸化装置から第二の酸化装置BCRの底部付近へと運搬する管内に、停止期間の堆積の同様の状況が存在する。より小径のスラリー管の運転状況は、より大径のBCRよりも比較的重要である。第一の酸化装置BCRにおいて通気が中断されるときはいつでも、脱気容器から通じる比較的細長い管への、スラリー側引き抜き及び脱気容器入口の高さまでのガスリフトスラリーの供給が止まることがある。その後すぐに、圧力が第二の酸化装置BCRスラリー入口位置と釣り合うと、導管のスラリー流は止まる。これが少なくとも約2時間、約8時間、約16時間、約32時間起こる場合、導管の最も低い高さ付近に不活性気体を供給することによって供給管内に残存するスラリーを冷却することが好ましい。CTA固体のセメント質の結合を実質的に遅延させるために、通常の作動温度より少なくとも約10℃未満、約20℃未満、約30℃未満、約40℃未満に残存スラリーの気化冷却を提供する程度に十分な気体を供給することが好ましい。第二の酸化装置BCRの排出の間又は後に、底部出口管によって第二の酸化装置を通して供給管を排出することがより好ましい。任意には、ドレイン管は、スラリー供給管の最も低い高さ付近から、分解装置システムにスラリーを供給するために使用されるポンプの吸引へと直接、しかしながら第二の酸化装置BCRを通過せずに提供される。また、このドレイン管は、第二の酸化装置BCRの通常動作の間、閉じた弁によって完全に塞がれていることが好ましい。
処理停止期間及び中断の後に運転を再開するためのそのような条件にも関わらず、本発明の多くの実施形態は、実質的に円滑で連続的な流れの態様で作動させることが好ましい。
好ましくは、第二の酸化装置BCRから取り出されるスラリーの液相のp−トルイル酸の時間平均濃度は、第二の酸化装置BCRに導入されるスラリーの液相のp−トルイル酸の時間平均濃度の約50パーセント未満、約10パーセント未満、又は約5パーセント未満である。好ましくは、第二の酸化装置BCRに導入されるスラリーの液相のp−トルイル酸の時間平均濃度は、約50〜約10,000質量ppm、約100〜約6,000質量ppm、又は500〜5,000質量ppmである。好ましくは、第二の酸化装置BCRから取り出されるスラリーの液相のp−トルイル酸の時間平均濃度は、約1,000質量ppm未満、200質量ppm未満、又は60質量ppm未満である。好ましくは、第二の酸化装置BCRから取り出されるスラリーの液相の4−CBAの時間平均濃度は、第二の酸化装置BCRに導入されるスラリーの液相の4−CBAの時間平均濃度の約50パーセント未満、約10パーセント未満、又は約5パーセント未満である。好ましくは、第二の酸化装置BCRに導入されるスラリーの液相の4−CBAの時間平均濃度は、約100〜約6,000質量ppm、約200〜約4,000質量ppm、又は400〜3,500質量ppmの範囲である。好ましくは、第二の酸化装置BCRから取り出されるスラリーの液相の4−CBAの時間平均濃度は、約500質量ppm未満、約100質量ppm未満、又は約30質量ppm未満である。好ましくは、第二の酸化装置BCRから取り出されるスラリーの固相の4−CBAの時間平均濃度は、第二の酸化装置BCRに導入されるスラリーの固相の4−CBAの時間平均濃度の約5〜約95パーセント、約10〜約90パーセント、約20〜約80パーセント、又は30〜70パーセントである。好ましくは、第二の酸化装置BCRに導入されるスラリーの固相の4−CBAの時間平均濃度は、約100〜約15,000質量ppm、約400〜約8,000質量ppm、又は1,000〜6,000質量ppmである。好ましくは、第二の酸化装置BCRから取り出されるスラリーの固相の4−CBAの時間平均濃度は、約100〜約12,000質量ppm、約300〜約8,000質量ppm、又は800〜4,000質量ppmである。
第一の酸化及び第二の酸化の組合せは、使用される場合、本明細書において、第一の酸化といい、CTAスラリー生成物は第一のスラリーという。
分解装置供給流の液相に存在する触媒系は、好ましくは、p−キシレンの酸化(部分酸化を含む)を促進することができる均一な液相触媒系である。触媒系は、コバルト、臭素、及びマンガンの一つ又は複数を含んでもよい。
コバルトが触媒系に存在する場合、液相供給流中に存在するコバルトの量は、反応媒体の液相中のコバルトの濃度が約300〜約6,000質量パーツパーミリオン(質量ppm)、より好ましくは約700〜約4,200質量ppm、最も好ましくは1,200〜3,000質量ppmの範囲に維持されるような量であることが好ましい。臭素が触媒系に存在する場合、液相供給流中に存在する臭素の量は、反応媒体の液相中の臭素の濃度が約300〜約5,000質量ppm、より好ましくは約600〜約4,000質量ppm、最も好ましくは900〜3,000質量ppmに維持されるような量であることが好ましい。マンガンが触媒系に存在する場合、液相供給流中に存在するマンガンの量は、反応媒体の液相中のマンガンの濃度が約20〜約1,000質量ppm、より好ましくは約40〜約500質量ppm、最も好ましくは50〜200質量ppmの範囲に維持されるような量であることが好ましい。
反応媒体の液相中のコバルト、臭素、及び/又はマンガンの濃度は、時間平均及び体積平均基準で表してもよい。本明細書で用いる用語「時間平均」は、少なくとも100秒の連続的な期間にわたって等しく取られた少なくとも10個の測定の平均を意味する。本明細書で用いる用語「体積平均」は、一定体積にわたって均一な三次元間隔で取られた少なくとも10個の測定の平均を意味する。酸化反応に導入される触媒系のコバルト対臭素の質量比(Co:Br)は、好ましくは約0.25:1〜約4:1、より好ましくは約0.5:1〜約3:1、最も好ましくは0.75:1〜2:1の範囲である。酸化反応に導入される触媒系のコバルト対マンガンの質量比(Co:Mn)は、好ましくは約0.3:1〜約40、より好ましくは約5:1:1〜約30、最も好ましくは10:1:1〜25:1の範囲である。
任意に、第一の酸化からのCTAの第一のスラリーは、分解に供給される前に、溶媒交換操作、又はスラリー濃度操作で処理することができる。これらの任意の操作を使用する場合、方法の目的は、触媒組成物、例えばコバルト、マンガン、臭素、及び水の液相組成物を調整すること、分解前の液相の芳香族酸化中間体の更なる量を除去すること、容易に酸化しない液相不純物、例えば2,6−DCF及び2,7−DCFを除去して、分解されたPTAの純度及び白色度を強化すること、並びに、スラリーの固体の質量分率を調整して、スラリーの全体積を変え、及び/又はスラリーの流体力学的な特性を調整することを含む。そのような処理の後、第一のスラリーは、本明細書において、CTAの溶媒変更スラリーという。
この任意の溶媒交換操作を使用する場合、第一のスラリーの液相中で見つかる溶媒及び可溶性化合物の少なくとも約40%、約60%、約80%、約90%を除去することが好ましい。その後、本明細書の他の場所に開示するように、洗浄用溶媒を使用して、固体質量分率を有する再構成されたスラリーを提供することが好ましい。本明細書で用いる用語「洗浄用溶媒」は、洗浄用溶媒が加えられるスラリーの液相中の全触媒化合物の濃度よりも低い全触媒化合物の液相濃度を有する溶媒を意味する。好ましくは、洗浄用溶媒が加えられるスラリーの液相と比較して、洗浄用溶媒は、全触媒化合物の液相濃度の約90質量パーセント未満、約50質量パーセント未満、約10質量パーセント未満、若しくは約2質量パーセント未満、及び/又は全芳香族化合物の液相濃度の約90質量パーセント未満、約50質量パーセント未満、約10質量パーセント未満、若しくは約2質量パーセント未満を含む。
本発明の一実施形態によれば、第一の酸化と酸化的分解の間での溶媒交換を実質的に除去した場合、第一の酸化から取り出される第一のスラリーにもともと存在する第一の液体の少なくとも約30質量パーセント、約60質量パーセント、約80質量パーセント、約95質量パーセントが、酸化的分解を受けるスラリー中に保持されることが好ましいことがある。したがって、第一の酸化から取り出される第一のスラリーにもともと存在する第一の液体の約70質量パーセント未満、約40質量パーセント未満、約20質量パーセント未満、又は約5質量パーセント未満が、酸化的分解を受けるスラリーから除去されることが好ましいことがある。好ましくは、第一の酸化から生じる第一のスラリー中の同じ化合物に対する、酸化的分解に入るスラリー中のコバルト、他の触媒化合物、及び/又は安息香酸の質量比は、少なくとも約0.3、少なくとも約0.6、少なくとも約0.8、又は少なくとも約0.95である。より好ましくは、第一の酸化から生じる第一のスラリー中のコバルト、他の触媒化合物、及び/又は安息香酸に対する、酸化的分解を出るスラリー中の同化合物の質量比は、少なくとも約0.3、少なくとも約0.6、少なくとも約0.8、又は少なくとも約0.95である。酸化的分解が複数のステージで実施される場合、このパラグラフの記載は、最も好ましくは酸化的分解の最後のステージを含む酸化的分解のステージのいずれか又は全てに適用することができる。
したがって、分解装置に供給されるスラリーは、CTAの第一のスラリー、又はCTAの溶媒変更スラリーでもよく、以下、分解供給スラリーということがある。
分解供給スラリーの固体CTA質量分率は、約0.10超、約0.20超、約0.30超、約0.50未満、約0.45未満、約0.40未満であることが好ましい。
本発明により提供される分解供給スラリー中に残存している芳香族中間体の酸化のために必要な分子酸素の量は比較的少ない。全ての分解のステージに提供される分子酸素のモルは、分解供給スラリー100kg当たりの圧縮周囲空気の供給3kg、2kg、1kg中に含まれる量より少ないことが好ましい。比較として、第一の酸化装置に対する圧縮周囲空気の流速は、多くの場合、第一のスラリー約100kg当たり100kgである。分解へのエアの比較的小さいモル及び質量流速に加えて、分解装置システムの上昇した作動温度は、第一の酸化と比較して著しくより高い作動圧力を示し、これは、分解装置システムに供給される分子酸素の体積供給比率の更なる低減を生じさせる。組合せにおいて、分解システムへの分子酸素の遅い体積供給速度は、固体懸濁液、気体から液体への分子酸素の物質移動、第一の分解領域に入る分解供給スラリーの比較的素早い混合を含む処理要求を満たす、分解装置BCRの十分な気体混合力を提供することの厳しい困難性を示す。
スラリー位置水頭は頂部絶対圧より典型的に非常に低いので、分解装置の反応媒体中で上昇する気体によって提供される混合力は、流動する気体の体積掛ける、気体が通って上昇しているスラリーの位置水頭によって密接に近似される。本明細書で用いるように、用語「気体混合力」は、VdPとして、分解装置の容器内で上昇している気体の体積流速掛ける、それが通って上昇しているスラリーの位置水頭に等しいものとして、適切に出力単位に変換された単位を用いて定義される。明らかなように、スラリーの所定の合計滞留時間にとって、分解装置の高さ及び直径の多くの可能な組み合わせがあり得、また、多くの異なる作動圧力があり得る。したがって、気体混合力について多くのあり得る結果があるが、しかしながら、全ての合理的な場合において、得られる気体混合力は本発明の分解領域内で非常に小さい。本発明の全てのBCR分解装置の領域において合計される気体混合力を、これらの領域内のスラリー質量によって割った値は、0.2ワット/1kgスラリー未満、0.1ワット/1kgスラリー未満、0.05ワット/1kgスラリー未満であることが好ましい。BCR分解システムの様々な領域内の、この限定された大きさの気体混合力の分布についての更なる開示は、見掛け気体速度及び様々な領域の寸法、すなわち高さ及び幅に関する議論における本願明細書の他の部分に開示されている。
炭素燃焼経済、及び頂部ヘッドスペース燃焼性の理由から、p−トルイル酸及び4−CBAを含む酸化中間体を除去するのに必要最小限として必要とされるよりも大過剰な圧縮周囲空気を供給することによって気体混合力を増大させることは一般的に望ましくない。資本設備コスト、圧縮光熱費、及び熱光熱費の理由から、分子窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、分子水素、メタン、臭化メチル、及びアルゴンを含む気体不活性希釈剤を添加又は除去することによって、分子酸素のモル分率を増加させ又は減少させることは、多くの場合望ましくない。しかしながら、少なくとも一つの分解領域に、周囲空気の組成と比較して分子酸素のモル分率に豊む又は乏しい圧縮空気流を供給することは、本発明の本開示の範囲内に残存する。
本発明の実施形態は、なかでもCTA粒子径及び第一のスラリー組成の好適な範囲を使用した場合、分解反応媒体に機械的軸出力撹拌を提供する必要性を排除する。しかしながら、発明者らは、あまり理想的でない状態への気泡流気体出力混合の適用は、驚くほど少ない量の補助的機械的軸出力撹拌によって提供されることがあることもまた見いだした。例えば、本発明を、比較的平坦な2:1の楕円底部ヘッドを有する既存の分解装置容器に改変することは、スラリー固体が底部ヘッド内で大きな固体の塊へと沈殿し、停滞し、及びセメント質に凝集しないように、最も低い分解領域内に穏やかな機械的撹拌を必要としてもよい。補助的機械的撹拌を使用する場合、分解反応媒体の全体積について平均した機械的撹拌力は、約0.2ワット/1kgスラリー未満、約0.1ワット/1kgスラリー未満、約0.05ワット/1kgスラリー未満であることが好ましく、分解反応媒体の全体積について平均した気体混合力及び機械的混合力を組み合わせた総量は、約0.30ワット/1kgスラリー未満、約0.15ワット/1kgスラリー未満、約0.10ワット/1kgスラリー未満であることが好ましい。
本技術分野において知られる分解スラリー加熱方法は、p−キシレン以外の有機基質の酸化、例えば、供給されたヘキサンの酸化炭素及び酢酸を形成する酸化;他の化学的反応、例えば酢酸を形成する無水酢酸の加水分解;スラリーへの凝縮性溶媒蒸気、例えば水蒸気及び酢酸蒸気の供給;並びに、熱交換装置を用いた、スラリー及び/又は分子酸素の気体供給の非接触暖房を含む。スラリーの非接触加熱は特に好ましい。交換装置を使用した非接触加熱は、化学的加熱又は溶媒蒸気加熱が用いられるときに多くの場合必要とされる、更なる化学的複雑性及び/又は容器体積を回避する。
分解スラリーのための交換加熱装置は、装置の詰まり及びファウリングを回避するよう、CTAスラリーに適した任意の設計であってよい。また、それは腐食性の酢酸混合物に安定な材料で構成されなければならない。熱交換器面の表面は、第一の分解領域の上流に近接して位置してもよく、好ましくはBCR分解装置の最上区画であり、第一の酸化と分解領域との間にスラリー管を介して接続されている。第一の酸化からのスラリーに、それが分解容器に供給される前に、少なくとも一つの非接触熱交換装置を用いて、分解領域に必要な熱量全体の少なくとも約30パーセント、少なくとも約60パーセント、少なくとも約90パーセント、少なくとも約100パーセントを提供することが好ましい。
一実施形態において、スラリーが分解装置の容器に入る前に垂直な上向きの流れの態様で管側を通過するように、CTAスラリー加熱装置は、垂直な管−シェル設計でもよい。任意に、熱交換器の表面は、内部に、すなわち分解反応容器自身の中に位置することができる。
他の好ましい実施形態において、第一の分解領域のための、好ましくはBCR分解装置の上部又は最上区画のための分子酸素供給の少なくとも約25パーセント、約50パーセント、約75パーセント、約100パーセントが、分解供給スラリーと混ぜ合わせて分解装置内に供給される。好ましくは、この分子酸素は、スラリーが第一の酸化から出た温度より少なくとも約10℃高い温度に最初に加熱されてから、約8分以内、約2分以内、約0.5分以内に、分解供給スラリーと組み合わせられる。より好ましくは、第一の分解領域のための、好ましくはBCR分解装置の最上区画のための分子酸素供給の少なくとも約25パーセント、約50パーセント、約75パーセント、約100パーセントは、外部熱交換器から出る前に、より好ましくは外部熱交換器のスラリー入口の近くで、スラリーと混合される。CTA溶解活性の初期バーストの間の液相のp−トルイル酸及び4−CBAの未反応蓄積物が多くなりすぎることを防止するために、第一のスラリーの加熱と分子酸素の提供との間の時間的に近い調整は重要である。例えば、CTAスラリーを約160℃〜約210℃に加熱することは、溶解したTPAの平衡質量分率を、液相質量の約1/2パーセントから液相質量の約2パーセント以上に増大させ;最も小さいCTA結晶はそのようなスラリー加熱のほんの数秒後に溶解する。
重要なことに、本発明による第一の酸化操作から得られるCTA粒子は、なかでも、異なる反応器混合特性、滞留時間、体積酸化速度強度、圧力及び温度プロフィール、並びに溶媒組成で作動している多くの他のp−キシレン酸化プロセスによって生じるCTA粒子よりも、小さく多孔質な粒子モルホロジーによって特徴づけられる。他の好ましい実施形態では、酸化で得られる固体CTA生成物は、20〜150ミクロン、好ましくは25〜100ミクロン、最も好ましくは30〜80ミクロンの範囲の平均粒径を有する。粒子のモルホロジーは、それぞれの粒子が多数の小さな凝集した粒子で典型的に成形されているようなものであり、したがって、CTA粒子は、約0.6〜4.0m/g、好ましくは0.8〜3.0m/g、最も好ましくは0.9〜2.0m/gの高いBET(Brunauer-Emmett-Teller)表面積を有する。この粒子径、表面積、及び凝集したモルホロジーの組合せは、本発明により分解処理を促進する特性である高多孔性、低密度、及び低堆積速度の粒子につながる。
比較として、いくつかの酸化方法によって得られるCTA粒子は、約180〜220ミクロンの平均粒径、及び約0.4〜0.8m/gのBET表面積によって特徴づけられる。そのような従来の粒子は、溶媒液体において測定される非常に低い多孔性及び著しく高い見掛け密度を有する。
より大きな表面積を有する微粒子はより容易に溶解して、取り込まれた不純物を溶液に放出し、酸化が不純物を生成物に変換することがあるので、本発明による上記CTA粒子の物理的特性は、本発明の気泡塔分解法を介して有効かつ効率的な分解を可能にする。同等に重要なことに、CTA粒子の小さな粒子径及び高い多孔性は、気泡流環境内の堆積に対する大きな抵抗になることができ、したがって、気泡塔システムを通る粒子フローは記載されるような精製を可能にするのに充分な滞留時間に制御されてもよい。
分解装置BCRの部分的な堆積に起因して互いに異なることがある固相及び液相の質量平均滞留時間は、それぞれ、直列の流れの全分解領域についての合計で、約10〜約480分、好ましくは約20〜約360分、より好ましくは40〜120分である。
本発明を用いて、固相の滞留時間分布が望ましく改善される。スラリーが分解装置に第一に入るところでかなり液相を混合する必要性があるにもかかわらず、それでもなお栓流RTDに密接に近似するRTDを有する分解システムを通って固相が移動することは好ましい。スラリー導入の近くで必要な液相の混合は、CTAスラリー供給中の小さな粒子が分解装置に最初に入る、4−CBA及びp−トルイル酸の液相への最初の解放に関する。スラリー供給場所付近で、十分な対流混合を提供して液相中の望ましい芳香族の酸化を支持する溶解したOの局所的液相需要を制御すること、並びに、再沈殿及び固体粒子が拡大するので埋まることがある4−CBA及びp−トルイル酸の局所的液相濃度を制御することが望ましい。スラリー供給場所の近くの反応化学物質の混合及び気体から液体への物質移動の要求を満たした後、固体4−CBA及び固体p−トルイル酸の濃度の高い小さい粒子のために、その後で分解装置の滞留時間を制御及び延長することが好ましい。そのようなRTDは、見掛け気体速度の範囲、容器の軸方向の中央線付近の軸方向のスラリー速度の範囲、粒度分布の範囲、H対D比率、及び非ファウリングバッフルシステムを含む様々な本発明の実施形態によって促進される。
以下の開示において、「t」は時間であり;時間の滞留分布関数は、時間t=0で最初に反応領域に供給され、次に時間「t/tavg」の前に反応領域を出る相の累積質量分率(CMF)であり;「tavg」は以下に記載の計算によって決定される質量平均滞留時間であり、また、「t/tavg」は質量平均滞留時間で割った時間を意味する「換算時間」である、表記法を採用する。換算時間は、無次元である。「CMF(t/tavg)」は、換算時間の滞留分布関数である。例えば、CMF(0.2)は、最初に時間t=0で反応領域に供給され、次に0.2の換算時間の前に反応領域を出る相の累積質量分率である。最初に時間t=0でエンクロージャに供給される質量の等分分割量(aliquot)の質量平均滞留時間(tavg)は、時刻ゼロから等分分割量の質量の少なくとも約99.9パーセントがエンクロージャを出るまで積分される、[(t)*(時刻tで出ている等分分割量の質量)]/(等分分割量の合計質量)として算出される。
avgの単位は、単純に時間の任意の単位である。
酸化的分解ステージ及び/又は連続の酸化的分解ステージは、流体連結を有する単一の流体エンクロージャ又は複数のエンクロージャ内で実施してもよい。本発明の実施形態において、少なくとも1つの酸化的分解ステージ、より好ましくは第一の酸化からのスラリーの少なくとも約25%、約50%、約75%、約100%が最初に入るステージ、最も好ましくはBCR分解装置の上部又は最上区画は、そのステージ/区画のみについて、固体、液体、及び組み合わせられたスラリー相のそれぞれについてのCMF(0.5)が、少なくとも約0.20、少なくとも約0.25、又は少なくとも約0.30であり、かつCMF(1.5)が約0.95未満、約0.90未満、約0.85未満であるように、十分によく混合されることが好ましい。CMFのこの値について、正規化時間は、単一の分解ステージ内のスラリーの平均的滞留時間である。
更に、第一の酸化的分解ステージの後及び/又は最上領域未満の全てのBCR分解領域の分解における固相は、固体、液体、及び組み合わせられたスラリー相のそれぞれについて、CMF(0.5)が約0.35未満、約0.25未満、約0.20未満であるように、栓流(ピストンフロー)RTDに接づくことが好ましい。CMFのこの値について、正規化時間は、第一の分解ステージを含まない、比較的よく混合された全ての分解ステージ内の、スラリーの全体の平均的滞留時間である。
全ての分解ステージの合計について、単一のBCRであるか又は直列の複数のBCRか否かを問わず、全体のRTDは、固体、液体、及び組み合わせられたスラリー相のそれぞれについて、CMF(0.5)が約0.35未満、約0.25未満、約0.18未満であり、CMF(1.5)が約0.80超、約0.85超、約0.90超、かつ、約0.98未満、約0.95未満であることが好ましい。CMFのこの値について、正規化時間は、全ての分解ステージ内のスラリーの全体の平均的滞留時間である。
第一の酸化からスラリーが供給される分解ステージ内の所望の混合を達成するために、BCRステージの中央の高さ付近のスラリーの軸方向の中央線付近の時間平均上昇速度は、少なくとも約6cm/秒、少なくとも約8cm/秒、少なくとも約10cm/秒であることが好ましい。発明者らは、BCRステージの内径が充分であれば、本明細書に記載の見掛け気体速度及び見掛けスラリー速度の範囲を有する気泡流の体制でさえ、これを達成することができることを見いだした。例えば、内径30cm以下の小さなパイロットスケールBCRにおいて約0.5cm/秒の見掛け気体速度を用いた均一な通気は、約6cm/秒未満の上向きの軸方向中央線スラリー速度を達成するのに対して、内径2メートル以上の商業的に有用なBCRにおいて同じ見掛け気体速度は、約10cm/秒超の上向きの軸方向中央線スラリー速度を達成する。BCR壁付近に、相殺的なスラリーの下向きの流れが必然的に存在する。更により大きな内径を有するBCRは、見掛け気体速度を増加させることなく、更により大きな軸方向の速度で内向きに循環する。これは、上昇する泡;スラリーの全体的な対流を誘起する、個々の泡の近くのスラリーの滑り、牽引、及び局所的乱流、並びにBCR壁の牽引力によって提供される合計エネルギーを含む、多相自然対流の複雑なエネルギーバランスの驚くべき結果である。
より栓流のプロフィールが好まれる、後の、好ましくは低い分解のステージにおいて所望の混合を達成するため、それぞれのBCRステージの中央の高さ付近の軸方向中央線における時間平均上昇速度スラリー速度は、約20cm/秒未満、約15cm/秒未満、約10cm/秒未満であることが好ましい。BCR壁付近に、相殺的なスラリーの下向きの流れが必然的に存在する。後の、好ましくは低い分解のステージのスラリーの低減された循環速度は、見掛け気体速度、容器内径、分解ステージの高さ、及び気体供給方法を含む本明細書の開示の適当な組合せによって提供される。
分解供給スラリーが最初に入る分解領域、好ましくはBCRの最上領域である分解領域の上部付近の分子酸素の適切な溶解と組み合わせた流体力学的混合の所望のバランスを得るために、発明者らは、そこの見掛け気体速度が約0.1cm/秒超、約0.2cm/秒超、約0.4cm/秒超、約8cm/秒未満、約4cm/秒未満、約1cm/秒未満であることが望ましいことを見いだした。蒸発した酢酸溶媒に本開示の見掛け速度の大部分を構成させる分解装置内の圧力および温度の組合せで操作しながら、希釈していない圧縮エアを供給することがより好ましい。
分解供給スラリー領域の後の、好ましくはより低い、少なくとも一つの分解領域内の分子酸素の適切な溶解と組み合わせた流体力学的混合の所望のバランスを得るために、発明者らは、後の、好ましくはより低い領域の見掛け気体速度が、約0.01cm/秒超、約0.02cm/秒超、約0.04cm/秒超、約4cm/秒未満、約1cm/秒未満、約0.2cm/秒未満であることが望ましいことを見いだした。蒸発した酢酸溶媒に本開示の見掛け速度の大部分を構成させる分解装置内の圧力および温度の組合せで操作しながら、希釈していない圧縮エアを供給することがより好ましい。これらの見掛け速度は例外的に小さく、固体の所望のRTDに加えて固体の所望の懸濁液とともに溶解した分子酸素の充分な分布を確実にするのに、最初の気泡分布に十分な注意が必要である。
分解反応媒体の全体の体積について平均化された、見掛けの固体、液体、及びスラリー垂直速度は、下向きに、それぞれ、約0.05cm/秒超、約0.1cm/秒超、約0.2cm/秒超、約12cm/秒未満、約8cm/秒未満、約4cm/秒未満であることが好ましい。しかしながら、典型的には、様々な分解領域における見掛け気体速度とスラリー滞留時間との適切な選択はさらに重要である。
本発明による酸化的分解の方法は、少なくとも一つの芳香族反応中間体化合物の量を実質的に低減する。好ましくは、後の酸化的分解ステージから取り出されるスラリーの液相中のp−トルイル酸の時間平均濃度は、約50質量ppm未満、約10質量ppm未満、又は約2質量ppm未満である。好ましくは、後の酸化的分解ステージから取り出されるスラリーの液相中の4−CBAの時間平均濃度は、約50質量ppm未満、約10質量ppm未満、又は約2質量ppm未満である。好ましくは、後の酸化的分解ステージから取り出される固体PTA生成物中のp−トルイル酸の時間平均濃度は、約1〜約1,000質量ppm、約1〜約500質量ppm、約5〜約125質量ppm、又は10〜60質量ppmである。好ましくは、後の酸化的分解ステージから取り出される固体PTA生成物中の4−CBAの時間平均濃度は、約1〜約1,000質量ppm、約1〜約500質量ppm、約10〜約250質量ppm、又は20〜125質量ppmである。好ましくは、固体TPA生成物中の4,4'−DCSの時間平均濃度は、約6質量ppm未満、約4質量ppm未満、又は約2質量ppm未満である。
本発明の第一の実施形態は、粗製テレフタル酸の精製のための分解方法であって:
a)含水酢酸及び少なくとも一つの重金属化合物を含む触媒系を含む溶媒液体中に、テレフタル酸、4−カルボキシベンズアルデヒド、及びp−トルイル酸を含む、粗製テレフタル酸の粒子のスラリーを得ることと;
b)粗製テレフタル酸スラリーを、機械的撹拌を実質的に含まない気泡塔システムの第一の分解領域へと供給することと;
c)第一の分解領域に入れる前、又は第一の分解領域内にあるときのいずれかに、粗製テレフタル酸スラリーを約150℃〜約280℃の温度まで加熱することと;
d)酸素を含む気体を第一の分解領域に供給することであって、第一の分解領域の上部付近に上昇している気体の見掛け速度が約0.1cm/秒〜約8cm/秒の範囲内である、ことと;
e)粗製テレフタル酸の粒子を少なくとも部分的に酢酸中に溶解し、これによって、粒子から少なくともいくらかの4−カルボキシベンズアルデヒド及びp−トルイル酸を放出し、溶解した4−カルボキシベンズアルデヒド及びp−トルイル酸を酸素に暴露して、テレフタル酸への酸化を生じさせ、第一段階分解スラリーを得ることと;
f)第一段階分解スラリーを、第一の分解領域の鉛直下側に任意に位置し、かつ機械的撹拌を実質的に含まない第二の分解領域に通過させることと;
g)第二の分解領域の下部に酸素を含む気体を供給することであって、第二の分解領域への気体の供給速度は、第一の分解領域への供給速度より小さい、ことと;
h)粒子から更なる4−カルボキシベンズアルデヒド及びp−トルイル酸を溶解及び放出し、溶解した4−カルボキシベンズアルデヒド及びp−トルイル酸を酸素に暴露し、テレフタル酸への更なる酸化を生じさせ、第二段階分解スラリーを得ることと;
i)任意に、第二の分解領域と同様の構造であり、任意に第二の分解領域の鉛直下側の、一つ又は複数の更なる分解領域を通して、第二段階分解スラリーを移動させることと;
j)最後の分解領域から、得られたテレフタル酸結晶スラリーを除去することと;
k)得られたテレフタル酸結晶粒子を分離することと、を含む。
第二の実施形態において、本発明は酸化的分解システムを含み、酸化的分解システムは:
少なくとも一つの気泡塔反応器内に配置された一連の少なくとも2つの酸化的分解領域と;
第一の分解領域の下部に位置する少なくとも一つのスラリー反応剤入口と;
第一の分解領域、及び第一の領域の後に直列する少なくとも一つの領域への、酸素気体供給口と;
それぞれの酸素気体供給は、気泡流として酸素ガスを領域に供給する気体分配装置を含み;
少なくとも一つの気泡塔の底の製品スラリー出口と、を含む。
一つの好ましい実施形態において、本発明は酸化的分解システムを含み、酸化的分解システムは:
一つの気泡塔反応器内に鉛直に配置された一連の少なくとも2つの酸化的分解領域と;
第一の最上分解領域の下部に位置する少なくとも一つのスラリー反応剤入口と;
第一の最上分解領域、及び第一の最上領域の鉛直下側に直列する少なくとも一つの領域への、酸素気体供給口と;
第一の最上領域と鉛直下側の第二の領域との間に位置する少なくとも一つの水平バッフルと;
第一の最上領域の下側に一つより多くの領域が存在する場合、それぞれの鉛直方向に隣接する領域の間に位置する少なくとも一つの水平バッフルと;
少なくとも一つの気泡塔の底の製品スラリー出口と
を含み、
それぞれの酸素気体供給は、領域に酸素気体を気泡流として供給する気体分配装置を含み、
それぞれの水平バッフルは、複数の開放領域を有する複数の逆形傾斜表面を有するトレイを含む。
好ましい本発明の実施形態において、酸化的分解システムは機械的撹拌を有しなくてもよい。
最上の第一の分解領域及び更なる分解領域は、それぞれの領域が、最上領域の下に連続するより低い更なる領域とともに鉛直に配置された、一つの気泡塔反応器として構造化されてもよい。
この実施形態において、加熱されたCTAスラリーは、水平に配置されたバッフルの配置によって分離されたそれぞれの領域とともに、カラム反応器内に鉛直に配置された複数の領域を有するカラム分解反応器の最上領域に注入される。通常運転レベルにおいて、最上領域が、容器内の全ての反応媒体の体積の約10〜50パーセント、約20〜40パーセント、約25〜35パーセントを含むことが好ましい。容器の上面の高さが、通常運転レベルにおいて容器内の全ての反応媒体の体積の少なくとも約10パーセント、約15パーセント、約20パーセントに等しい更なるレベル制御サージ体積、及び気体分離体積を提供することが好ましく、また、通常運転レベルからオフガス出口ノズルまでのクリアランスが、最大作動レベルより少なくとも約1メートル、より好ましくは少なくとも約2メートル高いこともまた好ましい。見掛け気体速度が非常に低く、気体の解法に典型的に問題がないにもかかわらず、分解装置オフガス中へのスラリーの起泡及びミスト化エントレインメントを更に抑制するために、本技術分野において知られているあらゆる種類のスプレー還流及び機械的衝突解放装置を、その目減り分(ullage)に使用してもよい。
本発明のより低い更なる分解領域において用いられる気体混合力及び合計混合力は非常に小さいため、底部の逆円錐の頂点の夾角(included angle)が、好ましくは少なくとも約40度、少なくとも約60度、少なくとも約80度、かつ、約140度未満、約120度未満、約100度未満であり、好ましくは逆錐体の底部の頂点から下向き鉛直に放出されるスラリー出口ノズルを有する、円錐形の底部容器ヘッドを使用することが好ましい。
バッフル構造は、それぞれの領域を、鉛直方向の直下及び鉛直方向の直上にある領域から分離しており、それぞれのバッフル装置は、気泡に上向きの通路を、粒子に下向きの通路を許容するよう構造化されている。最も上の領域は下のバッフルのみを有するとともに、最も下の領域は上のバッフルのみを有する。それぞれの中間ゾーンは、下のバッフル及び上のバッフルを有する。バッフル装置は、複数の開放領域を有する複数の逆形傾斜表面を有するトレイを含んでもよい。
好ましくは、一つ又は複数のバッフルの開放領域は、バッフルの合計水平面積の約5〜約75パーセント、より好ましくは10〜35パーセントの範囲である。
バッフルは、耐ファウリング性である。略水平方向の上向きの平面表面積の大きなバッフルは、バッフルの上向きの表面上に固体が蓄積するファウリングの傾向があることがあり、バッフルに堆積する固体の量が増加するにつれて、沈殿した固体の塊はバッフルから取り除かれて反応器の底部の方へ落下することがある。これらの除去された固体の塊は、バッフルの開口をブロックし、反応器内で固体流動パターン及び滞留時間分布の悪化を引き起こす可能性がある。これらの固体の塊は、反応器の底部に蓄積する可能性があり、また、例えば分解装置の底部からのスラリーの放出が妨げられることを含む、多くの問題を生じる可能性もある。一実施形態において、バッフルは上向きの平らな外面を示さず、環状の断面を有する管材料から構成されてもよい。そのようなバッフルの例の模式図を、図5A及び5Bの異なる視点で示す。図5Aは、水平方向の視点から見たバッフルであり、図5Bは、垂直方向の視点から見たバッフルである。
本明細書に定義しない限り、上向きの表面とは、水平方向より上に突き出る法線ベクトルを有する表面である。他の実施形態において、バッフルの上向きに露出した外面の合計面積に含まれる水平方向から35°未満傾いた実質的に平坦な表面が、約50パーセント未満である限りにおいて、少量の実質的に平坦な表面を利用してもよい。バッフルの上向きに暴露された外面が、更に耐ファウリング性であるように、実質的に滑らかな仕上げを有することが更に好ましい。好ましくは、少なくとも、一つ又は複数のバッフルの上向きに暴露された外面の実質的部分の表面粗さは、約125マイクロメートルRMS未満、より好ましくは約64マイクロメートルRMS未満、及び最も好ましくは32マイクロメートルRMS未満である。電解研磨した仕上げ、及び滑らかな「2B」ミル圧延仕上げは特に有用である。
他の実施形態において、バッフルは、複数の細長い個々のバッフル部材を含んでもよい。この実施形態において、それぞれのバッフル部材はL−断面部材で成形され、一般に逆V字型の上向きに露出した外面を示す。アングル鉄バッフル部材の数、間隔、及び配向は、上記筒状のバッフル部材について上述したものと実質的に同じであることができる。
本発明の一つの好ましい実施形態において、バッフルは、開いた隙間によって分離された、一連の水平方向の逆「V」断面として構造化される。逆「V」のそれぞれの脚部の傾きは約45°であり、したがって、下方へ動く粒子がバッフルを塞ぐことなく穏やかな流れでバッフルを通過することを可能にする。同時に、上方へ動く気泡は、バッフルを同時に通過することができる。そのようなバッフルの模式図を、図4Aにおいて水平方向の視点から、及び図4Bにおいて垂直方向の視点から示す。図4Aに示す実施例では、それぞれの平行に整列したセグメントの長軸は、バッフルごとに異なる。図4Aにおいて、交互のバッフルセグメントは、互いに90°の角度で配向している。交互の角度配置を使用して、本記載の他の部分に記載されているように、固体及び気流のパラメータを変化させてもよい。
図5A及び5Bは、BCRカラム内で直列にあるバッフルから次のバッフルへと互いに角度をつけて配向された、一群の間隔を空けて平行に配置されたパイプで構成されたバッフルを示す。図5Aは垂直な相対的配向を示すが、しかしながら、固体及び気体の流れを変化させるために、他の相対的角度で配置してもよい。
他の好適実施例においては、バッフルは、約45°の錐角度を有する一連の隣接する錐体であって、それぞれの錐体は孔で終わる、錐体で構造化されていてもよい。
バッフル構造設計において、開放領域は、バッフルの水平方向面積の合計面積の約5〜約75パーセント、より好ましくは10〜約35パーセントの範囲である。そのような設計は、粒子の下方への流れ及び気泡の上方への流れを可能にしつつ、鉛直に隣接する領域の間の逆混合を防止するのに必要である。
第一の分解領域のエア入口に加えて、より低い更なる分解領域の少なくとも1つは、その領域の下部に位置するエア入口を備えている。それぞれの中間体分解領域は、エア入口を任意に含んでもよい。本発明の一実施形態において、分解装置の全ての領域は、エア入口を備えている。
エアが領域内に均一に分散し、放出した気泡が水平に比較的広く間隔を置いた「気泡流」を生じ、気泡合体及び崩壊が比較的少なく上方に進むように、分解領域内に位置するそれぞれのエア供給入口が適切なスパージャーシステムを含むことが好ましい。気体スパージャーの適当な設計によって、多くの場合、気泡流の見掛け気体速度を約4cm/秒に維持することができる。約4cm/秒以上約10cm/秒の見掛け気体速度を有するBCRは、多くの場合、気泡塔流体力学の遷移過程(transition regime)で作動している。この遷移過程の境界は、流体特性及びシステムの幾何構造によって、いくらか可変的である。約10cm/秒以上の見掛け気体速度から、気泡塔流体力学は、泡が無秩序に合体し、崩壊し、泡群を形成する、「チャーン乱流(churn turbulent)」過程へとますます移動する。本発明の一実施形態において、スパージャーは、効果的に気泡流を提供するために、星又はホイール−スポーク構造で構成されてもよい。孔径、間隔、角度等に関するスパージャーシステムの構造は、従来から知られ、商業的に設計され、及び得られることがある。
水蒸気及び/又は高圧(HP)含水酢酸液若しくは蒸気がエアと混合され、スパージャーを通過して、スパージャーの固体ファウリングを防止するように、それぞれのエアスパージャーシステムは「フラッシュシステム」を備えていてもよい。連続的水蒸気フラッシングの更なる利点は、触媒成分を含む含水酢酸がスラリーからスパージャー組立体の内部に滲出し、又はそうでなくとも流れたときの、過剰な酸化速度を回避することである。当然、任意のフラッシュ流体の加えられる質量及びエネルギーは、局所的及び全体のプラントのエネルギー及び物質収支において考慮されなければならない。
加熱されたCTAスラリーは、第一又は最上領域のエアスパージャーより上に位置する入口を通って、最上分解領域内へと通過する。加熱された粒子が最上領域に入るときに、CTA粒子及び気泡の最大の混合及び混ざり合いが起こるように、第一又は最上領域のCTA入口及びエアスパージャーは共同設計される。上記のように、より高い温度で、テレフタル酸は粒子の表面から溶解し、粒子内に入り込まれた4−CBA及びp−トルイル酸が溶液に放出され、エアの酸素との相互作用が更なる酸化につながる。この処理は、本発明の低密度の小さな多孔質の高表面積の粒子によって非常に強化され、また、部分酸化不純物の放出速度はスラリー加熱の直後に特に素早い。
エア流速は、気泡塔分解装置に存在する3相化学系の混合エネルギーの大部分を提供又は開始する。第一又は最上領域の合計混合エネルギーは、主にエア流速の作用であり、CTAスラリーとしての粒子の分散力が領域に注入される。領域の高さ及び直径の値は、単位体積当たりに必要な混合エネルギーを考慮して決定しなければならない重要な工学的設計パラメータである。直径を小さくしたとき、同じ体積の反応媒体のために必要な高さは、明らかにより高くなる。更に、気流体積が横切るスラリーの位置水頭が増加するので、VdP気体混合仕事量もまたより大きくなる。しかしながら、カラム直径と見掛け気体速度との非線形相互作用が、軸方向中央線におけるスラリーの軸方向の上昇速度の設定に影響を及ぼすように、領域の末端間の高さもまた混合循環時間に影響を及ぼす。この領域におけるエア供給及び粒子挿入エネルギーによって提供される混合効果は、その領域における充分な滞留時間を達成するように、粒状固相の所望の懸濁又は動きを達成しなければならない。
分解供給スラリーとともに供給されるエア、より低い分解領域から上昇するエア、及び第一又は最上分解領域に直接供給されるエアを含む、最上又は第一の分解領域に供給されるエアの量は、第一又は最上領域において放出される4−CBA及びp−トルイル酸をテレフタル酸に酸化させるのに必要な量を化学量論的に上回る量の酸素を供給しなければならず、CTAスラリーの対流の動きを維持しなければならず、また、大過剰の分子酸素を提供することを回避しなければならない。分解装置の全領域内の過剰な分子酸素の根本的コストは、エアを提供するための機械的圧縮エネルギーとは異なり、典型的に、CTAスラリー中に存在する酢酸及び他の酸化可能な化合物の過剰な「炭素燃焼」である。
発明者らは、開示の分解条件の下、気泡流の下で上昇する気体を提供することは、溶解した酸化中間体、例えば4−CBA及びp−トルイル酸の所望の酸化を維持するために十分に速くすることがある液相への酸素溶解速度を提供することを認識した。この溶解した酸素供給の提供は、物質移動係数「kLa」を増進する気体及び合計混合力の特定量よりも多く提供する必要はない。気泡塔において、kLaの値は泡体積分率に密接に関連し、泡体積分率は、遷移及びチャーン乱流領域にある気泡流領域の見掛け気体速度によってより大きく増大する。充分に溶解した分子酸素の提供は酸素の需要速度にも依存し、また、分解供給CTAスラリーの調製及び提供、分解のための好ましい加熱量、加熱とエアの新しい供給の組合せとのタイムラグを含む本明細書の開示は、より多い気体及び合計混合出力又はより多い合計エア供給量に頼ることなく溶解した分子酸素の適切な濃度を維持することにおいて、重要なファクターでもある。
分解装置におけるTPA生成物への芳香族酸化中間体の所望の転化率のための分子酸素の総需要は、驚くほど小さい。典型的に、分解の化学量論酸素需要は、第一の酸化の分子酸素の需要の1%よりはるかに少ない。当然、分解の望ましくない炭素燃焼反応によって消費される分子酸素は付加的であるが、しかしながら、分解において必要な分子酸素の流れの合計はそれでも比較的少なく、典型的には、第一の酸化に供給される分子酸素の0.5%未満である。その結果、分子酸素の適切な滞留時間及び適切な流れのために大きさを設定された分解BCRは、典型的には、BCR流体力学の均一な気泡流の体制内で非常に低く作動している。
適切な対流流体力学と組み合わせて適切なkLa物質移動速度を得るために、分解BCRの第一の、最上領域の上部の時間平均、面積平均気体ホールドアップ分率が、約0.5パーセント超、約1.0パーセント超、約1.5パーセント超、約6パーセント未満、約4パーセント未満、約2パーセント未満であるように、本明細書の他の部分に開示される範囲内で、エア供給速度、容器幾何構造、システム温度及び圧力、見掛け気体速度、及びスラリー組成を選択することが好ましい。その後の第二の分解BCR領域の少なくとも一つにおいて、時間平均、面積平均気体ホールドアップ分率が、約2パーセント未満、約1パーセント未満、約0.5パーセント未満であることが好ましい。
酸素溶解に対応して、溶媒は気泡内の気相を通過し、また、上昇する蒸気はエア及び有機蒸気を含む蒸気ヘッド空間へと通じてもよい。酸素分圧は、開示された処理圧力の範囲において非常に高くてもよい。制御しない場合、溶媒蒸気を凝縮した後に測定される、及びこれによって、酸素測定をヘッド空間内の処理条件における実際の酸素濃度及びオフガスに対応するが異なる「乾燥基準」の測定に変換した後に測定される酸素含有量が8体積パーセントに近づくので、ヘッド空間の蒸気が潜在的爆発性になることがある。したがって、ヘッド空間の酸素含有量をモニターし、酸素含有量を乾燥基準で6体積%未満に制御することは、プロセス安全性の理由から好ましい。
更に、炭素燃焼及びエア供給コストに関するプロセス経済の理由から、分解装置ヘッドスペースのオフガス中に残存する乾燥基準の分子酸素を、全て乾燥基準値で、好ましくは4体積%未満、より好ましくは2体積%未満、最も好ましくは約1体積%未満に調整することが好ましい。これは、炭素燃焼を最小化しつつ、平衡状態におけるp−トルイル酸及び4−CBAのPTAへの所望の転化率を制御する、効率的で有効な方法を提供する。全ての分解領域が単一のBCR内に鉛直に配置される場合、この平衡は、それぞれの領域への過剰なエア供給、及び頂部オフガスの乾燥基準で約4体積パーセントの酸素から始まって行われる。次に、PTA中の4−CBAの生成濃度が望ましくなく上がり始めるまで、最も低い領域へのエア供給速度を低減する。領域ごと上方へ移りながら、それぞれの領域へのエア供給を、低減されたエア供給速度に対する生成したPTA中の最終的な4−CBA濃度に関して、同様に徐々に減らす。このようにして、目的PTA純度を維持しつつ、過剰な炭素燃焼を最小化することができる。しかしながら、最も厳しく最小化されたエア供給速度プロフィールは、良好な運転上の安定性を提供しないことがあるので、一つ又は複数の領域に過剰空気のわずかな増加を提供し、上記の好適範囲に従う頂部オフガス酸素組成上の蓄積効果に至ることがあるように、全ての処理変数にわずかな違いが典型的に存在する。
上記に示すように、最上分解領域のスラリー入口及びエアスパージャーの配置は、その領域に加熱されたCTAスラリーが導入されると直ちに粒子と酸素との相互作用を最大化するように設計されている。特定の本発明の実施形態によれば、分解装置のいかなる領域にも機械的撹拌(agitation)又は掻き混ぜ(stirring)はない。それぞれの領域内の混合及び流れは、特定の領域の設計によって制御される。
好ましくは、分解供給スラリーは、第一又は最上領域に、領域の下部で、バッフルよりいくらか上の位置で、容器の軸方向中央線付近に放出される。本明細書の他の部分に記載されているように、より大きな直径気泡塔内の気泡流は、著しい自然な対流軸流循環を生じる。容器の中央コア内の液体/スラリー相は上方へ流れ、これは下方へ流動している外側環状領域と平衡する。気泡流において、液体/スラリー流のこのコア環状転回点は、典型的に容器半径の約0.7倍である。好ましくは、スラリーが中央コア内で水平に著しく分散するが、しかしながら外側の下方へ流動している領域に著しく出ないように、CTAスラリーの入口は設計される。好ましくは、スラリー入口は、下のバッフルから少なくとも約1又は2メートル上に配置され、エアスパージャーは、スラリー入口と下のバッフルとの間に位置してもよい。この位置は、バッフルへ、バッフルを通って下の領域内へと、下方へよりすばやく通過する分解供給スラリー粒子の分率を低減するよう設計されている。
第一の分解領域の好ましい合計滞留時間は、10分〜60分、好ましくは15分〜50分、最も好ましくは20分〜40分であってもよい。
第一の、最上領域の高さは、約30メートル未満、約20メートル未満、約10メートル未満であることが好ましい。これは、再結晶に適合する第一の最上領域の末端間の混合時間、並びに本明細書に開示の非常に少量の気体混合力及び合計混合力によって利用可能になった、軸方向のコア−環状循環速度プロフィールを伴う他の化学的速度論を提供する。本明細書に開示の気体の小さい体積測定流速(V)によって提供される気体混合力を増加させるために、第一の最上領域は、約1メートル超、約2メートル超、約4メートル超の高さを有し、それによって、VdP気体混合力のdP期間を増大させることが好ましい。本明細書に開示の気体の小さな体積測定流速によって可能になる、見掛け気体速度及び自然対流軸方向スラリー循環速度プロフィールを増加させるために、第一の最上領域は、約16メートル未満、約12メートル未満、約10メートル未満の内径を有することが好ましい。容器壁からの大きすぎる壁牽引抵抗を回避することによって自然対流軸方向循環速度プロフィールを増大させるために、第一の最上領域は、約0.5メートル超、約1.0メートル超、約1.5メートル超の内径を有することが好ましい。これらの競合する流体力学的目的のバランスをとるために、第一の最上領域の反応媒体高さに対する反応媒体直径の比は、約0.5超、約1.0超、約1.5超〜1、及び約16未満、約8未満、約4未満〜1であることが好ましい。
一実施形態において、第一の又は最上分解領域へのスラリー供給管の入口は、垂直な入口管の上部に取り付けられたディフレクター装置を含んでもよい。ディフレクターの形状は、略水平方向の平坦な衝突プレート、逆型の衝突錐体、又は供給管の末端から外へのスラリーの水平方向の分布を改善する、より好ましくは、第一の若しくは最上分解領域の下部のバッフルの方へ向かう下方への著しい偏向を伴わないあらゆる形状であってよい。逆錐体ディフレクターが垂直なCTA導入管の上に配置された、ディフレクター装置の一実施形態の模式図を図6に示す。所定の入り流速タのためのスラリー分布、及び設備設計に関する他のパラメーを最適化するために、偏向の角度は様々であってよい。上記に示すとおり、そのような偏向によって系に与えられるエネルギーは、最上領域の混合エネルギーを増大させ、領域のコア領域内の粒子のランダム分布を改善する。
任意に、少なくとも一つの流れ排出装置を提供し、入る分解供給スラリーの運動エネルギーを使用して、少なくとも一つの分解供給スラリー供給管の末端付近の反応媒体の更なる循環を誘起してもよい。
供給管開口部を出て分解装置の供給領域に入る分解供給スラリーの質量流速の少なくとも約25パーセント、少なくとも約50パーセント、少なくとも約75パーセント、少なくとも約100パーセントが、それぞれの管口において、少なくとも約1m/秒、少なくとも約3m/秒、少なくとも約5m/秒、約70m/秒未満、約50m/秒未満、約30m/秒未満の見掛け速度で提供されることが好ましい。
任意に、分解供給スラリーは、2又はそれより多い質量流速のほぼ等しい部分に分割して、軸方向の別々の位置で供給してもよい。好ましくは、これらのスラリー供給位置は、分解供給スラリーが導入される高さにおける気泡塔分解装置容器の内径の、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1.0倍、少なくとも約1.5倍、軸方向にそれぞれ分離している。分解供給スラリーの組成及び質量流速の特定の組合せは、スラリー供給開口部付近の溶解したp−トルイル酸、4−CBA、及び分子Oの局所的液相組成を制御することに関して、適切に混合されないエア流速及び容器直径の選択を示すことがある。そのような場合、分解供給スラリー流の分割、及び分解供給スラリー導入開口部の軸方向の分離は、気泡流の体制における気体混合力によって主に提供される反応媒体の自然対流バルク循環を使用したときの混合の問題を低減する。分解供給スラリー流の分割は、供給管、供給管設計幾何構造、例えば位置水頭の違いの調整を伴う摩擦圧力損失の対称性、及び本技術分野において知られている他の手段に位置する、流量測定及び様々な流れ制御部材を含んでもよい。
本技術分野において知られているように、最上領域からオフガスは、溶媒の物質及び/又は熱的及び/又は機械的軸エネルギーを回収するシステムを通過してもよく、あるいは、オフガスは、溶媒の物質及び/又は熱的及び/又は機械的軸エネルギーの回収のため、第一及び/又は第二の酸化システムからのオフガスと組み合わせてもよい。
最上分解領域の下の領域において、エア供給速度及びエア供給入口設計構造は、下方へ向かい続けるスラリーのスラリーバルク表面流として誘起されるコア−環状軸循環がより少なくなるようなものである。これらのより下の更なる分解領域のそれぞれを、粒子がほぼ栓流の態様で通過することが望ましいので、これは、処理効率の視点から有益である。しかしながら、気泡流内の深部の少しの気体見掛け速度でさえ、商業的に重要なサイズのPTA分解BCRにおける滞留時間に比べて、著しい軸方向の循環を誘起する。したがって、分解領域が分解供給スラリーを受容した後、より好ましくはその下に、非ファウリングバッフルを使用して、分解装置体積の軸方向の細分化を生じることが好ましい。これらのバッフルは、バッフルの近く及びバッフルを横切る軸方向循環流の連続性を中断し、領域の高さ及び直径によって、バッフルは、2枚のバッフル間の誘起されたコア−環状循環流の最大速度を抑制してもよい。これらのバッフルの機械的設計及び物理的設置上の追加の詳細な開示は、本明細書の他の部分に提供される。
前述のように、分解装置に供給されるエアの大部分は、第一の分解領域に供給される。したがって、分解装置に注入されるエアの50〜90質量%は、第一の領域に注入されてもよい。残りは、等しい部分、又は本明細書の他の部分に開示するように調整される様々な比率で、第二の分解領域と更なる分解領域との間で分割されてもよい。
上述のように、気泡塔反応器を使用する利点は、運転及び機械的撹拌器の維持に関係する資本設備コスト及び継続するエネルギー必要量の低減である。酸化的分解のための従来技術、例えば米国出願第7,393,973号明細書と比較して、本発明の実施形態は、チタンで製造された非常に大きな容器、設備、及び配管を含むCTA分解システムのための導入資本コストを、年間約1,000トンのTPAの現行能力の大きさに設定された施設において、少なくとも10,000,000ドル低減してもよい。この節減は、より小さな合計体積を有する単一の容器内の直列の複数の容器のための従来の優先傾向を、機械的撹拌を用いずに、かつ別々の容器のための別々の加熱手段を用いずに、組み合わせた結果である。電気モーター出力における節減は、300キロワットを上回る。分解スラリーに必要な加熱における節減は、有利に低い温度でCTAの精製能力を損なうことなく蒸発溶媒の使用を回避することによって、10パーセントを上回る。リサイクル濾液パージ精製システムのための設計能力及び運転費の節減は、約10パーセントである。
米国出願第7,393,973号明細書は、CSTR分解反応器を駆動する機械的エネルギーが、分解反応スラリーの1立方メートルにつき0.2〜0.8キロワット(kW/m)であることを開示している。本発明者らは、直列の2つの等しい大きさに設定された容器を有する既存の従来のCSTR分解システムにおいて、機械的撹拌器のエネルギー消費量及び気体混合力の合計は、約0.3ワット/kgであると算出した。対照的に、同じ分解装置の供給を処理する本発明のBCR分解装置のエネルギー出力は、たった約0.02ワット/kgの気体混合力であることが推定される。したがって、本発明による方法のエネルギー消費コストは、CSTR型の方法のそれより著しく少ない。
最上分解領域の下で栓流状の粒子堆積のために配置された領域の全高は、最上領域の長さの1.0〜5.0倍、好ましくは長さの1.5〜4倍、最も好ましくは最上領域の長さの少なくとも2倍で様々であってよい。より低い更なる分解領域の直径に対する、より低い更なる分解領域の全高の比率は、2/1〜12/1、好ましくは3/1〜8/1、最も好ましくは4/1であってよい。
より低い更なる分解領域の総数は、カラム内に置かれ個々の領域を分離する水平バッフルの数によって決定される。分解装置のバッフルの最小限の数は、カラムが、一つの第一の最上の、よりよく混同された分解領域と、一つのより低い、更なるより栓流の分解領域を含むものである。好ましくは、カラムは、1枚より多いバッフル及び10枚未満のバッフル、好ましくは2〜8枚のバッフル、最も好ましくは3〜6枚のバッフルを含み、第一の最上領域に対して低減された見掛け気体速度を有する対応する数のより低い更なる分解領域を提供する。
本発明の一実施形態において、分解装置カラムの直径は上から下まで一定である。他の実施形態において、カラムは、領域ごとに直径が変化するよう構成されていてもよい。例えば、最も小さなガスリフト要求を有する第二の領域を通る制御された栓流通路を促進するために、高い高さ/直径(H/D)比率が達成されるように、下部領域の直径は最上領域の直径より小さくてもよい。一方で、最上領域は、最少のガスリフト力の要求を有する効果的な対流混合を有するよう構造化されてもよい。
上記のように、第一の酸化システムから得られるスラリーのCTA粒子は、形状及び粒度分布において不均一である。分解装置に起こるオストワルド塾成のため、粒度分布は、固体が分解領域を通って進むにつれて、典型的に大きくかつ狭くなってもよい。発明者らは、本発明の分解を効果的に行うためには、粒子径とモルホロジーと堆積速度の関係を考慮しなければならないことを認識した。分解温度は、そのような考慮事項の中の重要なパラメータであることがある。発明者らは、より高い分解温度が増大した粒子径に至ることを学んだ。例えば、約240〜260℃の温度における分解は、結果として約200ミクロンの粒子になることがあり、そして、本明細書に開示するような固体の分率を有するスラリー中にあることによって堆積が妨げられた場合であっても、そのような径の粒子は非常に速い堆積速度を有する。
したがって、本発明の好ましい実施形態において、それぞれの領域内の分解温度は、180〜230℃、好ましくは約190〜220℃、最も好ましくは200〜210℃である。
任意に、第一の最上分解領域は、その後の分解領域の少なくとも一つよりも、温度差約40℃、約20℃、約10℃、約5℃より高い温度、又はより低い温度のいずれかで作動させてもよい。酸化中間体、例えば4−CBAの除去と、炭素燃焼反応、及び/又は得られる粒度分布とのバランスをとる際に、この温度差は有用であることがある。その後の領域の加熱は、本明細書に開示の加熱方法のいずれかを用いて行ってもよい。見掛け気体速度、システム圧、及び作動温度に関連する本発明の他の側面は開示された範囲内に維持されるという条件の下、その後の領域の冷却は、多くのより冷たい溶媒液体を加えることによって、熱交換表面によって、好ましくは冷却流体を使用して機械的にこすられた表面によって、並びに気化冷却及び圧力低減を含む気体供給によって影響を受けることがある。
好ましくは、本明細書に開示の本発明の実施形態の一つ又は複数を使用した分解によって形成される固体PTA製品は、D(4,3)の平均粒径が、少なくとも約30ミクロン、より好ましくは約35〜約200ミクロン、更により好ましくは約40〜約160ミクロン、最も好ましくは45〜120ミクロンである粒子を本質的に含む。好ましくは、固体TPA製品は、D(v,0.1)の測定値が、約5〜約60ミクロン、より好ましくは約10〜約50ミクロン、最も好ましくは15〜40ミクロンである粒子を本質的に含む。好ましくは、固体TPA製品は、D(v,0.5)であるメジアン粒子径の測定値が、約25〜約160ミクロン、より好ましくは約30〜約100ミクロン、最も好ましくは35〜80ミクロンである粒子を本質的に含む。好ましくは、固体TPA製品は、D(v,0.9)の測定値が、約40〜約300ミクロン、より好ましくは約60〜約250ミクロン、最も好ましくは80〜200ミクロンである粒子を本質的に含む。好ましくは、固体TPA製品は、粒子径の測定値が、約0.6〜約5.0、より好ましくは約0.9〜約4.0、最も好ましくは1.2〜2.5に相対拡散した粒子を本質的に含む。好ましくは、固体TPA製品は、1グラム当たりの平均BET表面積が、0.25平方メートル(m/g)未満、より好ましくは約0.005〜約0.2m/g、最も好ましくは0.01〜0.18m/gである粒子を本質的に含む。
本発明において実施される非常に低い気体、及び合計混合力のために、固体粒子径分布、スラリー中の固体分率、並びに液体中間の組成、温度及び圧力の組合せが、以下の堆積速度範囲を提供するよう選択することが好ましい。分解領域を出るPTA粒子の平均D(4,3)粒子径の阻害されてない堆積速度は、約120メートル毎時未満、約100メートル毎時未満、約80メートル毎時未満であることが好ましい。分離された適切な径の個々の粒子を使用した実際の処理条件における物理的測定の代わりに、本技術分野において知られているように推定球面粒子形状を用いたストークス法を使用して、この阻害されてない堆積速度を算出してもよい。更に、分解領域を出るPTA粒子のスラリーの阻害された堆積速度は、約30メートル毎時未満、約20メートル毎時未満、約10メートル毎時未満であることが好ましい。実際の処理条件における物理的測定の代わりに、平均D(4,3)粒子径の上記の算出されたストークス法終端速度堆積速度に、スラリー濃度補正係数を掛けることによって、この阻害された堆積速度を算出してもよく、多くの場合リチャードソン−ザキ法と呼ばれ、イプシロンはスラリーの液体体積分率である:
阻害された堆積速度=ストークス法速度*イプシロン^2*イプシロン^2.65
最上領域の上部の排出ガス出口は、酸素含有量を決定する酸素モニタリングシステムを備えていてもよい。排出口は、排出ガスをコンデンサシステムへ転送して、存在する蒸発した溶媒及び他の揮発性有機材料を回収し、又は第一の酸化システムに排出ガスをリサイクルしてもよい。
本発明による気泡塔分解装置は、最上領域の下に1〜5つのより低い第二の領域を有してもよい。カラムの全高は、16〜40メートル、好ましくは20〜30メートル、最も好ましくは22〜28メートルであってよい。カラムの直径は、1.0メートル〜8.0メートル、好ましくは2.0〜6.0メートル、最も好ましくは約3.0〜5.0メートルであってよい。
最上領域の垂直方向の長さは、4〜12メートル、好ましくは6〜10メートル、最も好ましくは約8メートルであってよい。より低い分解領域の垂直方向の長さは2〜6メートルであってよく、実際の設計は下部領域の最大栓流特性に基づく。
それぞれの領域は同じ直径を有してもよく、又は特別な設計パラメータによってもよく、直径は領域ごとに様々であってよい。例えば図3に示すように、最上分解領域の直径は、下部領域の直径より大きくてもよい。領域の数は、カラム内に置かれたバッフルの数によって決まる。いずれの領域においても機械的撹拌装置は必要ない。バッフルの構造は、方法の実施形態の記載においてすでに提供した。
本発明の一つのBCR実施形態による模式的なPTA製造システムを図1に示す。製造フロー流れによれば、第一のBCR酸化装置及び第二のBCR酸化装置を含む第一の酸化システムから得られるCTAスラリーは、水平バッフルによって分離された5つの鉛直に配置された領域を含むBCRの最上領域に注入される。任意の配置は、第一の領域のためのエア注入ユニットはHPA1の場所に示し、一方、HPA2の場所は、第一の分解領域の鉛直下側の第二及びその後の分解領域のための任意のエア注入ユニットである。いずれの場合においても、HPA1及びHPA2の入口の一つ又は複数は、表示の場所に存在してもよい。
代替として、他の実施形態において、二以上のBCR反応器を用いてもよく、第一の容器は、分解供給スラリーを最初に受容する最上分解領域に対応し、第二のBCR反応器は、第一のBCRから処理スラリーを受容してもよい。BCRのための資本コストは、CSTRより著しく少ないので、そのような2つのカラムシステムは費用効果的である。
本発明のこの実施形態によれば、逐次的な領域は、二以上の気泡塔に直列に分離されてもよく、第一のBCRは、単一のBCRシステムの第一の最上分解領域のために、上記のようにより対流混合するよう構造化されており、その後の一つ又は複数のBCRは、より低い更なる分解領域について記載したように粒子スラリーの栓流状の移動により近づいているRTDを有するよう構造化されていてもよい。したがって、本発明は、気泡塔分解システムであって:
対流型構造の第一のBCR装置と;
第一のBCR装置の後に直列する、栓流型構造の少なくとも一つのBCR装置と
を含む、気泡塔分解システムもまた含み、
第一のBCR装置は:
カラムの下部垂直位置にあるスラリー入口と;
前記スラリー入口の下の酸素含有気体入口と;
カラムの底部のスラリー出口と;
酸素含有量モニターを備える塔頂の気体排出口と;
任意に、気体入口とスラリー出口との間の水平バッフルと、を含み、
少なくとも一つの第二のBCR装置は:
1〜5つの水平に分離した領域であって、それぞれの領域は任意に酸素気体入口を備える、領域と;
それぞれの領域間の水平バッフルと;
最上領域のスラリー入口と;
BCR装置の底部のスラリー出口と、を含み、
少なくとも一つの領域は酸素気体入口を備える。
この実施形態によれば、単一のBCRの実施形態の第一の最上領域のための分解供給及び酸素気体入口の構造及び配置の開示は、複数のBCRの実施形態の第一のBCRの構造及び配置にも適切である。同様に、単一のBCRシステムの第一の最上領域の鉛直下側の第2の又はより多くの領域のための構造及び配置の開示は、複数のBCRシステムの第2及び任意のその後のBCRに適用できる。
更なる実施形態において、少なくとも2つのBCR装置を有する気泡塔分解システムは、機械的撹拌を有しない。第一の装置は、少なくとも8メートルの高さを有し、H/D比率は4以下、好ましくはH/D比率は3以下、最も好ましくはH/D比率は約2である対流を最適化するよう構造化されている。
第一のBCR装置は、上方への気泡流の中央のコアが、外側の下方へ流動している環領域と平衡する対流を有するよう設計されている。CTAスラリーの入口は、スラリーが、酸素含有量が低減された外側の下方へ流動している領域へと出ることなく、中央のコア内に急速に分散するよう設計される。スラリー入口は、BCRの下部、スラリー入口とBCRの底のスラリー出口との間に位置するエアスパージャーより約1又は2メートル上に配置されていてもよい。上述のように、この位置は、粒子がスラリー出口へと下方へ移動する前に、酸素との相互作用が最も大きい中央のコア領域の上方への粒子フローを最大化するよう設計されている。
スパージャーは、効果的に気泡流を提供するために、星又はホイール−スポーク構造で構成されていてもよい。孔径、間隔、角度等に関するスパージャーシステムの構造は、従来から知られ、商業的に設計され、及び得られることがある。
エアスパージャーシステムは、水蒸気及び/又は高圧(HP)酸洗浄がエアと混合してスパージャーを通過し、スパージャーの固体ファウリングを防止するように、「フラッシュシステム」を備えていてもよい。
BCR装置の上部の排出ガス出口は、酸素含有量を決定する酸素モニタリングシステムを備えていてもよい。排出口は、排出ガスをコンデンサシステムへ転送して、存在する蒸発した溶媒及び他の揮発性有機材料を回収し、又は第一の酸化システムに排出ガスをリサイクルしてもよい。
例えば、上記のようなバッフルは、エアスパージャー及びスラリー出口の下に位置してもよい。
スラリー出口は、任意に伝達ポンプユニットを有する伝達ラインを介して第二のBCR装置の最上領域へと接続される。記載するように、第二のBCR装置は栓流のために設計され、前述したように、バッフルによって区別された1〜5つの水平に分離した領域を有してもよい。第二のBCR装置の少なくとも1つの領域はエア入口を備え、任意に他の領域はそれぞれエアスパージャーを独立して備えていてもよい。第二のBCR装置の全高は、16〜40メートル、好ましくは20〜30メートル、最も好ましくは22〜28メートルであってよい。カラムの直径は、1.0メートル〜8.0メートル、好ましくは2.0〜6.0メートル、最も好ましくは約3.0〜5.0メートルであってもよい。
個々の栓流領域の垂直方向の長さは2〜6メートルであってよく、実際の設計は領域の最適な栓流特性に基づく。
それぞれの領域は同じ直径を有してもよく、又は特別な設計パラメータによってもよく、直径は領域ごとに様々であってよい。領域の数は、カラム内に置かれたバッフルの数によって決まる。いずれの領域においても機械的撹拌装置は必要ない。しかしながら、本発明によって改造されたシステムにおいて、機械的撹拌が存在してもよい。
本発明の一実施形態による2つのBCR分解システムの模式図を図2に示す。この模式図において、図1に示す第一の酸化システムは繰り返されない。図1のように、第一の領域のBCRのためのエア注入ユニットの任意の配置は、HPA1の場所で示されており、HPA2の場所は、第二の及びその後のBCR分解領域のためのエア注入ユニットのための任意の配置位置である。いずれの場合においても、HPA1及びHPA2入口の一つ又は複数は、表示の場所に存在する。
上記のように、CTAスラリーは、BCRに入る前に熱交換装置内で加熱されてもよく、又はBCR内で加熱されてもよい。
本発明の更なる利点及び他の構成は、先の説明を試験すれば当業者にとって明らかであり、又は本発明の実施から学んでもよい。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲において特に指し示すように実現されてもよく、得られてもよい。実現されるように、本発明は他の及び異なる実施形態が可能であり、いくつかのその詳細は本発明の要旨からの逸脱することなく変更が可能である。

Claims (30)

  1. テレフタル酸を精製するための酸化的分解システムであって:
    一つの気泡塔反応器(BCR)内に鉛直に配置された一連の少なくとも2つの酸化的分解領域と;
    第一の最上酸化的分解領域の下部に位置する反応剤入口と;
    前記第一の最上酸化的分解領域、及び第一の最上領域の鉛直下側に直列する少なくとも一つの領域への、酸素気体供給口と;
    前記第一の最上領域と鉛直下側の第二の領域との間に位置する少なくとも一つの水平バッフルと;
    前記第一の最上領域の下側に一つより多くの領域が存在する場合、それぞれの鉛直方向に隣接する領域の間に位置する少なくとも一つの水平バッフルと;
    少なくとも一つの気泡塔の底の製品スラリー出口と
    を含み、
    前記酸化的分解システムは、第一の酸化反応器の下流反応フローであり、前記第一の酸化反応器からの粗製反応生成物を受容し、
    それぞれの酸素気体供給は、4cm/秒以上10cm/秒の上方への見掛け気体速度を有する気泡流として酸素ガスを領域に供給する気体分配装置を含み、
    それぞれの前記水平バッフルは、前記水平バッフルの上向きに露出した外面の合計の50パーセント未満が、水平から35°未満傾いた平坦な表面を含むように、複数の開放領域を有する複数の逆形傾斜表面を有するトレイを含み、
    前記一つの気泡塔反応器内に鉛直に配置された一連の少なくとも2つの酸化的分解領域は機械的撹拌を有しない、酸化的分解システム。
  2. 酸素含有量モニタリングシステムを有する排出ガス出口を更に含む、請求項に記載の酸化的分解システム。
  3. 気泡塔の全高が16〜40メートルである、請求項に記載の酸化的分解システム。
  4. 全ての領域の直径が同じであり、1.0メートル〜8.0メートルである、請求項1に記載の酸化的分解システム。
  5. 前記第一の最上領域の鉛直下側に配置された3〜5つの領域を含む、請求項に記載の酸化的分解システム。
  6. 前記第一の最上領域の高さ対直径の比率が、1/1〜4/1である、請求項に記載の酸化的分解システム。
  7. 前記水平バッフルが、横に間隔の空いた複数のバッフル部材を含む、請求項に記載の酸化的分解システム。
  8. 横に間隔の空いた前記バッフル部材は、それぞれ、実質的に筒状の露出した外面を含む、請求項1に記載の酸化的分解システム。
  9. 前記水平バッフルが、逆V字型の上向きに露出した外面を含む、請求項1に記載の酸化的分解システム。
  10. それぞれの前記水平バッフルが、バッフルの全水平方向面積の25〜75%の開放領域を含む、請求項1に記載の酸化的分解システム。
  11. 請求項1に記載のシステムで行われる粗製テレフタル酸の精製方法であって:
    a)p−キシレンの第一の酸化から、含水酢酸、並びに少なくとも一つのコバルト塩及び少なくとも一つのマンガン塩を含む触媒系を含む溶媒液体中に、テレフタル酸、4−カルボキシベンズアルデヒド、及びp−トルイル酸を含む粒の供給スラリー(CTAスラリー)を得ることと;
    b)前記CTAスラリーを、気泡塔システムの第一の酸化的分解領域に供給することと;
    c)前記第一の酸化的分解領域に入れる前、又は前記第一の酸化的分解領域内にあるときのいずれかに、前記CTAスラリーを150℃〜280℃の温度まで加熱することと;
    d)酸素を含む気体を前記第一の酸化的分解領域に供給することであって、前記第一の酸化的分解領域の上部付近に上昇している前記気体の見掛け速度が0.1cm/秒〜8cm/秒の範囲内である、ことと;
    e)粗製テレフタル酸の粒子を少なくとも部分的に前記酢酸中に溶解し、これによって、粒子から少なくともいくらかの4−カルボキシベンズアルデヒド及びp−トルイル酸を放出し、溶解した4−カルボキシベンズアルデヒド及びp−トルイル酸を酸素に暴露して、テレフタル酸への酸化を生じさせ、第一段階酸化的分解スラリーを得ることと;
    f)前記第一段階酸化的分解スラリーを、前記第一の酸化的分解領域の鉛直下側に任意に位置する第二の酸化的分解領域に通過させることと;
    g)前記第二の酸化的分解領域の下部に酸素を含む気体を供給することであって、前記第二の酸化的分解領域への前記気体の供給速度は、前記第一の酸化的分解領域への供給速度より小さい、ことと;
    h)前記粒子から更なる4−カルボキシベンズアルデヒド及びp−トルイル酸を溶解及び放出し、溶解した4−カルボキシベンズアルデヒド及びp−トルイル酸を酸素に暴露し、テレフタル酸への更なる酸化を生じさせ、第二段階酸化的分解スラリーを得ることと;
    )前記第二の酸化的分解領域と同様の構造であり、任意に前記第二の酸化的分解領域の鉛直下側の、一つ又は複数の更なる酸化的分解領域を通して前記第二段階酸化的分解スラリーを移動させることと;
    j)最後の酸化的分解領域から、得られたテレフタル酸結晶スラリーを除去することと;
    k)得られたテレフタル酸結晶粒子を分離することと
    を含む、方法。
  12. 前記第二の酸化的分解領域において上昇している前記気体の見掛け速度が1cm/秒未満である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記粗製テレフタル酸の平均粒子径が、20ミクロン〜150ミクロンである、請求項11に記載の方法。
  14. 前記粗製テレフタル酸のBET表面積が、0.6m/g〜4.0m/gである、請求項11に記載の方法。
  15. 前記第一の酸化的分解領域の粒子の保持時間が、10分〜60分である、請求項11に記載の方法。
  16. 前記第一の酸化的分解領域内の前記CTAスラリーの温度が、180℃〜230℃である、請求項11に記載の方法。
  17. 少なくとも一つの酸化的分解領域の温度が、前記第一の酸化反応器から得られたときの前記CTAスラリーの温度より少なくとも10℃高い、請求項11に記載の方法。
  18. 第一及び第二の酸化的分解領域のテレフタル酸粒子の合計滞留時間が、60分〜120分である請求項11に記載の方法。
  19. 排出ガスの乾燥基準測定による酸素含有量が6体積%以下である、請求項11に記載の方法。
  20. 酸化的分解の出口におけるテレフタル酸粒子の平均粒子径が、60ミクロン〜100ミクロンである、請求項11に記載の方法。
  21. 酸化的分解の全領域について合計した気体混合力が0.2ワット/1kgスラリー未満である、請求項11に記載の方法。
  22. 酸化的分解の全領域について合計した気体混合力が0.05ワット/1kgスラリー未満である、請求項11に記載の方法。
  23. 気泡塔内の最大時間平均面積平均泡ホールドアップが、6パーセント未満である、請求項11に記載の方法。
  24. 気泡塔の少なくとも一つの領域内の最大時間平均面積平均泡ホールドアップが、2パーセント未満である、請求項11に記載の方法。
  25. 固体、液体、及び組み合わせられたスラリー相のそれぞれの全体の酸化的分解滞留時間分布(RTD累積質量分率(CMF(0.5)が0.35未満であり、CMF(1.5)が0.80以上である、請求項11に記載の方法。
  26. 前記CTAスラリーが前記第一の酸化からの出口よりも少なくとも10℃高い温度に最初に加熱されたあと、8分以内に、第一の酸化的分解領域への分子酸素供給の少なくとも25パーセントが、前記CTAスラリーと組み合わせられる、請求項11に記載の方法。
  27. 前記第一の酸化的分解領域への分子酸素供給の少なくとも25パーセントが前記CTAスラリーと混じり合って第一の酸化的分解領域に供給される、請求項11に記載の方法。
  28. 気泡塔の外部に位置する少なくとも一つの非接触熱交換器を用いて、前記CTAスラリーの少なくとも50%の温度を少なくとも10℃上昇させる、請求項11に記載の方法。
  29. 前記第一の酸化的分解領域への分子酸素供給の少なくとも25パーセントが、外部熱交換器を出る前に前記CTAスラリーと混合される、請求項11に記載の方法。
  30. 対流型構造の第一のBCR装置と;
    前記第一のBCR装置の後に直列する、少なくとも一つの栓流型構造のBCR装置と
    を含む、テレフタル酸を精製するための請求項1に記載の酸化的分解システムに含まれる、気泡塔酸化的分解システムであって、
    前記気泡塔酸化的分解システムは、第一の酸化反応器の下流反応フローであり、前記第一の酸化反応器からの粗製反応生成物を受容し、
    前記第一のBCR装置は:
    カラムの中央の垂直な位置のスラリー入口と;
    前記スラリー入口の下の酸素含有気体入口と;
    前記カラムの底部のスラリー出口と;
    酸素含有量モニターを備える前記カラムの上部の気体排出口と;
    体入口とスラリー出口との間の水平バッフルとを含み、
    少なくとも一つの第二のBCR装置は:
    1〜5つの水平に分離された領域であって、それぞれの領域は任意に酸素気体入口を備える、領域と;
    それぞれの領域間の水平バッフルと;
    最上領域のスラリー入口と;
    BCR装置の底部のスラリー出口とを含み、
    少なくとも一つの領域は、4cm/秒以上10cm/秒の上方への見掛け気体速度を有する気泡流として酸素ガスを前記領域に供給する酸素気体入口を備え
    それぞれの前記水平バッフルは、前記水平バッフルの上向きに露出した外面の合計の50パーセント未満が、水平から35°未満傾いた平坦な表面を含むように、複数の開放領域を有する複数の逆形傾斜表面を有するトレイを含み、
    前記システムのそれぞれのBCR装置は機械的撹拌を有しない、気泡塔酸化的分解システム。
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