JP2018510994A5 - - Google Patents

Description

ピストン本体１２は、天壁（上壁１４ともいう）を有する上ヘッドまたは上部１３を有する。上部１３によって、内燃機関のシリンダボア内で温度限界および燃焼ガス圧力に直接晒される上部燃焼表面１６が設けられる。上部燃焼表面１６は、上壁１４の外周に沿って延在する実質的に平らな面として形成された環状の第１部分１８と、上壁１４の燃焼ボウルの壁部分２１によって規定される第２部分２０とを含む。第２部分２０は、平面状の第１部分１８から垂下して燃焼ボウルの壁部分２１の最上側の面に沿って延在する非平面状で起伏のある面２２を有する。クラウン下面２４は、燃焼ボウルの壁部分２１の下側であって、上部燃焼表面１６の第２部分２０と正反対の位置に形成される。ここで、クラウン下面２４を、真下からピストンを見た場合に見える燃焼ボウルの壁部分２１の面と定義する。ここで、クラウン下面２４は、燃焼ボウルの壁部分２１の最小厚さ（ｔ、図３）の２倍を超えない間隔だけ上部燃焼表面１６の第２部分２０から離れて延在する。したがって、クラウン下面２４は、燃焼ボウル２６の第２部分２０に概ねぴったり合って、所望の強度をもたらしつつ、燃焼ボウル２６までの距離を最小限に抑えており、燃焼ボウルの壁部分２１の起伏のある面２２とは反対側の面を実質的になぞるように形作られている。クラウン下面２４は、ピストン１０の裏側から見ると開放しており（図１）、床など、囲われたまたは部分的に囲われた冷却ギャラリの特徴、またはクラウン下面２４の近くにオイルまたは冷却液を保持しがちなその他の特徴によって画定されていない。したがって、オイルは、クラウン下面２４と接触するやいなや、シリンダボア内でピストン１０が往復運動する間、クラウン下面２４との冷却接触状態を維持する新鮮なオイル供給と一緒にクラウン下面２４から自由に流れ落ちる。

ピストン本体１２は、さらに、下部３６を含む。下部３６は、上部１３から垂下するピンボス３８の対を含む。ピンボス３８の対は、全体的に、上壁１４から垂下する。ピンボス３８は、各々、ピンボア４０を有し、鋼鉄構成であることを考えると、軸受け筒（ブッシュ）がないのが好ましい。ここで、ピンボア４０は、長手方向の中心軸３０を概ね横切って延びるピンボア軸４２に沿った同軸上に横方向に互いに離れている。ピンボス３８は、概ね平らな、半径方向最も外側の面（外面４４と称す）を有し、外面４４は、互いに概ね平行に示されている。外面４４は、ピンボア軸４２に沿って互いに距離ＰＢ離れている。ここで、ＰＢの範囲は、ピストン本体１２の新規な構成で許される範囲でできるだけ広くなっており、ピンボス３８のいずれの部分も上部燃焼表面１６の外面によって形成される軸上の出っ張りを超えて半径方向に延在させないようになっているが、どちらかといえば、ＰＢの範囲は、ピンボス３８の外面４４の最も外側の面を互いに面一または実質的に面一にするために設けられている。これによって、ピンボスの外面４４の半径方向外側に延在する露出領域４６の表面積が最小化される。ここで、露出領域４６は、リングベルト領域３２の下面部分を形成している。

ピンボス３８同士の間隔および距離ＰＢを大きくすることによって、クラウン下面２４に優れた冷却を与える上に、リストピン（図示せず）の直径を最小化できるため、ピストン１０のコンプレッションハイトＣＨおよび重量がさらに低減する。それと同時に、リストピン／ピンボアの接触部分にまたがる単位荷重およびリストピン／コンロッド接触部分にまたがる単位荷重が最小限に抑えられる。単位荷重は、圧縮荷重／２Ｄ投影された支持面の面積として定義される。上支持面４８が最大化された場合、距離ＰＢが大きくなって上支持面４８の幅が大きくなるため、単位荷重が減少する。これによって、構成部品の応力および摩耗が最小限に抑えられる。さらに、ピンボス同士の間隔および距離ＰＢを大きくすることによって、ピンボス３８の内面５８同士がさらに離間され得、コンロッドの小端部を嵌めるための空間が大きくなる。これによって、内面５８とコンロッドの小端部との間に延在するリストピンの開放面積が大きくなる。このように、オイルをリストピンの露出領域に自由にはねかからせる機能が向上する結果、ピンボア４０とコンロッドとの間のリストピン継手の潤滑が増加し得る。

上記の利益に加えて、ピンボス３８同士の間隔が広くなることによってもたらされるさらなる利益は、スカートパネル５２の外周長さまたは弧状部分を大きくできることだとわかる。より長方形である従来のピストンとは異なり、図１からわかるように、スカートパネル５２は、スカートパネル５２、ストラット部５０、およびピンボス３８から成る外面がほぼ円形になるように、大きな円弧に広がっている。スカートパネル５２は、ストラット部５０を挟んでピンボス３８と一体となっており、ストラット部５０は、弧状であって、ピンボア軸４２に対して斜めに傾いている。これによって、スカートパネル５２とピンボス３８の側部との間に滑らかな弧状の変わり目が作られる。スカートパネル５２の外周長さ（幅ともいう）が大きくなることで、より剛性があり幅が小さくなったスカートパネルと比べて、スカートパネル５２の壁の可撓性が大きくなる。スカートパネルの壁の可撓性または弾性変形性の高まりがシリンダーライナーの変形を抑えるように働くので、シリンダーライナーの変形が抑えられ、その結果、ピストンリング（図示せず）の性能が高められる。これによって、ピストンリングを通って「ブローバイ」するオイルの量が減少する。したがって、長い寿命にわたって機関の性能が高められ、向上される。