本開示は、概して、内部チャンバを画定する包被と、チャンバ内に配置された繊維状材料と、を含む形状成形可能な装置に関する。上述したように、本開示の形状成形可能な装置は、チャンバ内に配置された1枚以上の支持シートを更に含むことができ、いくつかの実施形態では、1枚以上の支持シートは、ロック用シートを含むか、又はそれから部分的に形成することができる。
各ロック用シートは、中実領域の少なくともいくつかがシートの主表面内で互いに対して動くことができるように、中実領域及び開口領域(即ち、中実領域間の空隙又は空間)にパターン化することができる。この装置は成形可能であり、所望の三次元形状に変化することができる第1の状態を有する。装置は更に、第1の状態から、装置の三次元形状が実質的に固定された又は剛性のある(あるいは、第1の状態よりも少なくとも実質的に形成しにくいか、又はより剛性が高い)第2の状態に変化するように構成され、形状を所望の目的のために維持することができる。チャンバを排気して、チャンバ内の圧力を周囲圧力よりも低下させ、チャンバからガス(例えば、実質的にガスの全て)を除去することによって、装置を第1の状態から第2の状態に変化させることができる。この装置は、チャンバ内の減圧を解放し、チャンバを大気圧に戻すことを可能にすることによって、第2の状態から第1の状態に変化することができる。この装置は、真空源がコネクタ(例えば配管)を経由してポートに連結され得るように、チャンバと周囲との間の流体連通を提供する開口部又はポートを備えることができる。
本開示の形状成形可能な装置は、成形可能な状態から変形させることができる材料又は物品から利益を得ることができるさまざまな用途に使用することができ、所望の形状に成形した結果、剛性のある、又は成形不能な状態にすることができ、所望の形状を所望の期間の間、本質的にロックすることができる。係る用途の例としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない。外科手術アクセスツールの収縮、組織又は臓器の収縮、患者の位置決め(例えば、処置、治療、手術などの間に患者を所望の位置に維持する)、包装(例えば、輸送中に物体を保持、分離及び/又は保護する)、家庭及びオフィス用の保管、整理、及び/又は陳列(例えば、モジュール式棚、引き出しセパレータなど)、運動抑止(例えば、四肢又は関節を固定するためのギプス)、他の好適な用途、又はそれらの組み合わせ、などである。
例えば、組織操作のために形状成形可能な装置を使用する方法は、共に2014年12月19日に出願された米国特許出願第62/094279号及び同第62/094336号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの既存の形状成形可能なデバイスとは異なり、本開示の形状成形可能な装置のいくつかの実施形態は、それらの実質的にシート状の又は板状の構成により、実質的により少ない三次元空間、即ち、容積を占めるものである。いくつかの既存の形状成形可能なデバイスは、ビーズ又は他の微粒子又は「バルク」物体又は媒体で満たされる。本開示のシート状装置は、既存の「バルク」又は非シート状デバイスに存在する、下記のものを含むがこれらには限定されない、いくつかの欠点を克服することができる。(i)バルク装置は、公称球形フォームファクタ及び比較的大きな断面積を有する所望の形状に適合する(例えば、物体の周囲を覆う又は形成する)ために、かなりの三次元寸法又は空間を必要とする。(ii)バルク装置は物体に小さな力しか印加することができない。(iii)バルク装置は圧縮力が最も大きい。(iv)バルク装置は、物体に大きな力を及ぼすことなく、所望の物体に容易に適合したり、所望の三次元形状をとったりすることはない。
定義
用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、「少なくとも1つの」と同義に使用され、記載される要素のうちの1つ以上を意味する。
用語「及び/又は(and/or)」は、一方又は双方を意味する。例えば「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ、又はA及びBの双方を意味する。
「含む(including)」「含む(comprising)」又は「有する(having)」という用語及びそれらの変形は、その後に列挙される項目及びその均等物並びに追加の項目を包含することを意味する。
特に特定又は限定されないかぎり、「連結された」という用語及びその変形は広義で用いられるものであり、直接的及び間接的な連結の双方を包含するものである。
「前」、「後」、「上」、「下」などの用語は、互いに関係する要素を記述するためにのみ使用され、装置の特定の向きを述べること、装置の必要な又は要求される向きを示すか又は暗示すること、あるいは、本明細書に記載された本発明がどのように使用、装着、表示、又は使用中に配置されるかを特定することを決して意味するものではない。
「低摩擦」面は、一般に、低動摩擦係数を有する表面を指すために使用され得る。いくつかの実施形態では、低摩擦面は、「ASTM D1894−08 Static and Kinetic Coefficients of Friction of Plastic Film and Sheeting」に従って、同じ材料の別の小片に対して摺動する平坦なフィルム上で測定されたとき、約1以下、いくつかの実施形態では約0.5以下、及びいくつかの実施形態では約0.25以下の動摩擦係数を含み得る。
「高摩擦」面は、一般に、装置が第1の状態にあるときに、例えばロック用シートのみ、又はロック用シート間の相対運動を記述するときに、高い動摩擦係数を有する表面を指すために使用することができる。この摩擦は、表面材料の特性又は表面の物理的構造化(例えば、ミネソタ州セントポールの3M Companyから入手可能な3M(登録商標) Gripping Material(www.3m.com/gripping))によって達成することができる。いくつかの実施形態では、高摩擦表面は、「ASTM D1894−08 Static and Kinetic Coefficients of Friction of Plastic Film and Sheeting」に従って、同じ材料の別の小片に対して摺動する平坦なフィルム上で測定されたとき、少なくとも約1、いくつかの実施形態では少なくとも約3、及びいくつかの実施形態では少なくとも約10の動摩擦係数を含み得る。
フレーズ「シート」、「シート状」、「シート状構成」、「板」、「板状」、「板状構成」又はそれらの変形は、その長さ及び幅に対して小さい厚さを有する物品を説明するために使用される。係る物品の長さ及び幅は、物品の「主表面」を画定することができるが、この主表面並びに物品は、平坦又は平面である必要はない。例えば、上記のフレーズは、物品が主表面の第1の表面寸法(例えば、幅又は長さ)に対する厚さ(例えば、主表面に沿った任意の点で物品の主表面に直交するZ方向での)の第1の比(R1)と、主表面の第2の表面寸法に対する厚さの第2の比(R2)とを有して、第1の比(R1)及び第2の比(R2)が共に0.1未満である場合に、その物品を記述するために使用することができる。いくつかの実施形態では、第1の比(R1)及び第2の比(R2)は0.01未満、いくつかの実施形態では0.001未満、及びいくつかの実施形態では0.0001未満であり得る。第1の比(R1)及び第2の比(R2)の双方が所望の範囲内に収まるようにするために、2つの表面寸法は同じである必要はなく、第1の比(R1)と第2の比(R2)は同じである必要はない。更に、第1の比(R1)及び第2の比(R2)の双方が所望の範囲内に収まるようにするために、第1表面寸法、第2表面寸法、厚さ、第1の比(R1)、第2の比(R2)のいずれも一定である必要はない。
「主表面」というフレーズは、物品がより小さい物体又は部分で形成されていても、物品の総表面(例えば、物品の外表面)を指すために使用される。より小さい物体及び部分は、全体的に物品の主表面を画定することができる。係る主表面が平面である場合もあるが、主表面は平坦又は平面である必要はなく、場合によっては、曲線状であってもよく、又は複雑な形であってもよい。「主表面」というフレーズは、図1、図4及び図5のロック用シート110に関して、以下でより詳細に説明する。
「実質的に平行」というフレーズは、主表面を有する少なくとも2枚のシート又はシート状物品を指すために使用され、シート又は物品の主表面は、それらの各主表面に沿った任意の点で互いに平行に向いているが、平行からわずかにずれていてもよい。例えば、2枚のシートが、X−Y平面内にあってX−Y平面に対して直交、即ち、垂直なZ方向に間隔をあけて配置された主表面を有する場合、これらシートの一方又は双方が、主表面に沿った所定の点又は領域において、Z方向との直交関係からわずかに外れて向いた主表面を有していても、実質的に平行であるとみなすことができる。いくつかの実施形態では、これらシートのうち一方又は双方が、X−Y平面の寸法の10%以下(即ち、主表面がZ方向に対して傾いているためにZ寸法を有する)、いくつかの実施形態では、5%以下、いくつかの実施形態では、2%以下、いくつかの実施形態では、1%以下、の量だけZ方向に伸展する主表面を有する場合、2枚のシートは実質的に平行であり得る。2枚のシートは、平坦又は平面でない場合でも、なお実質的に平行であり得ることに留意されたい。例えば、2枚の湾曲したシートは、2枚のシートが同じ程度に同じように湾曲し、主表面に沿った任意の点又は領域の法線方向に対する2枚のシートの主表面の向きがやはり上記範囲内に収まる場合、実質的に平行であり得る。
用語「ポリマー」及び「ポリマー材料」とは、ホモポリマーなどの1種類のモノマーから調製した材料、又は、コポリマー、ターポリマー等などの、2種類以上のモノマーから調製した材料の双方を指す。用語「コポリマー」及び「共重合材料」とは、少なくとも2種類のモノマーから調製したポリマー材料を指す。
用語「室温」及び「周囲温度」は、20℃〜25℃の範囲の温度を意味するものとして互換的に使用される。
「有効引張弾性率」(ETM)という用語は、より詳細に後述するが、「実施例」のセクションで後述する手順に従って試験されるように、歪み(元の長さで除した伸び)に対する単位幅当たりの引張力のプロットにおける線の傾きを指すものである。
「有効曲げ弾性率」(EBM)という用語は、より詳細に後述するが、「実施例」のセクションで後述する手順に従って、曲げを引き起こすために試料を引っ張ったときに、撓み角の無次元近似に対する単位幅当たりの引張力のプロットにおける線の傾きを指すものである。
「有効押込み弾性率」(EIM)という用語は、「有効押込み弾性率」と呼ばれる「実施例」のセクションで後述する手順に従って試料を試験したときの、撓み距離に対する印加された力のプロットにおける線の傾きを指すものである。
図1Aは、本開示の一実施形態に係る形状成形可能な装置100Aを例示する。装置100Aは、三次元的にかさばった構成とは対照的に、略シート状若しくは略板状であるか、又はシート状若しくは板状の構成を有する。
図1Aに示すように、装置100Aは、内部チャンバ104Aを画定する包被(又はシェル又はパウチ)102Aと、繊維状材料106Aと、チャンバ104Aを周囲と流体連通するように配置されて、例えば真空源120に連結されることによってチャンバ104Aを排気することができる、包被102A内のポート又は開口部115Aと、を備えることができる。
分かりやすくするために、包被102Aの上面及び下面は、図1Aでは、実質的に離間して(即ち、それらを結合する側壁によって)示されている。しかし、いくつかの実施形態では、実際には、装置100Aは、シート状又は板状の構成を有して、より平坦に見え得る。
装置100Aは、所望の形状に形成及び保持されるように構成することができる。即ち、装置100Aは、成形可能な第1の状態(更に後述する)を有することができ、装置100Aを所望の三次元形状(例えば、後述するように、ゼロでないガウス曲率を呈する)に形成することができる。装置100Aはまた、所望の形状を有して実質的に剛性であるか、又は少なくとも第1の状態よりも実質的により剛性である第2の状態を有することができ、この状態では、所望の形状が保持又はロックされる(即ち、実質的に成形不能)。
結果として、装置100Aは、第1の状態では、成形可能、変形可能、適合可能、及び/又は操作可能であり、第2の状態では、実質的に成形不能、変形不能、適合不能であり、及び/又は操作不能である。成形可能、変形可能、適合可能、及び/又は操作可能などの用語は、第1の状態で任意の所望の形状をとり得る装置100Aの能力を記述するときに使用することができ、装置100Aが第2の状態にあるときには、反対のことがいえる。
本開示(の第1の状態)に従って、任意の所望の三次元形状をとり、「成形可能」であるために、装置100Aは、可撓性(又は曲げ性)及び伸展性の双方を呈するものである。例えば、本開示によれば、高引張弾性率(例えば、ヤング率)材料の中実シートは、同様の大きさの力(例えば、手で印加することができる力などの妥当な大きさの力)で、曲げることができるが、伸展することができないため、「成形可能」であるとは考えられない。一般に、装置は、曲げを達成するのに必要な力の大きさ(手動であろうとなかろうと)が伸展に必要な力に匹敵する場合に、成形性を呈し得る。例えば、約10〜50ポンド(45〜224N)の力でこの装置を曲げることが望ましい場合、この装置の伸展を引き起こすために約10〜50ポンド(45〜224N)の力がかからなければならない。典型的な材料の試料(厚さt、幅w、及び長さLで単純に2つの端部で支持された矩形ビームとして単純にモデル化されたもの)は、
の最大の撓み(ここで、Lはビームの長さ、Eはヤング率)で曲がる。同じ材料のサンプルは、
だけ伸展する。この固体材料に関して
を有する唯一の方法は、本開示によるシート又は「シート状」ではない、
の場合である。
説明を簡単にするために、第1の状態は、装置100Aが成形可能であるか、又は装置100Aの形状(例えば、三次元形状)が変更可能又はロック解除されている状態として説明することができ、第2の状態は、装置100Aが「剛性」である、又は装置100Aの形状(例えば、三次元形状)が固定又はロックされている状態として説明することができる。
真空源120を使用してチャンバ104Aを排気する(即ち、チャンバ104Aからガスを除去する)ことによって、装置100Aを第2の状態に変化させることができる。装置100Aが所望の形状に形成され、第1の状態から第2の状態に変化した後、ポート115A(又は後述するコネクタ122)を密封及び/又は真空源120から遮断することができ、装置100Aは、所望の形状の第2の状態を維持することができる。
図1Bは、本開示の一実施形態に係る形状成形可能な装置100Bを例示するが、ここで同様のものは同様の要素を表す。形状成形可能な装置100Bは、図1Aで例示の実施形態を参照して上述したものと、同じ要素及び特徴の多くを共有している。したがって、図1Aで例示の実施形態における要素及び特徴に対応する要素及び特徴は、100Bの系列において同じ参照番号で提示される。図1Bに例示する実施形態の特徴及び要素(及び係る特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については、添付の図1Aを参照する。
装置100Bは、三次元的にかさばった構成とは対照的に、略シート状若しくは略板状であるか、又はシート状若しくは板状の構成を有する。
図1Bに示すように、装置100Bは、内部チャンバ104Bを画定する包被102Bと、繊維状材料106Bと、チャンバ104B内に少なくとも部分的に重なり合って実質的に平行な構成で配置された少なくとも2枚の支持シート108B(一例として2枚のロック用シート110Bとしてのみ例示されている)であって、隣接する支持シート108Bの間に繊維状材料106Bを配置(例えば、挟む)する、支持シート108Bと、チャンバ104Bを周囲と流体連通するように配置された包被102B内のポート又は開口部115Bと、を備えることができ、チャンバ104Bは、例えば、真空源(図示されていないが、図1Aの真空源120など)と連結することによって、このポート又は開口部を通って排気することができる。
分かりやすくするために、包被102Bの上面及び下面は、実質的に離間している(即ち、それらを結合する側壁によって)として、図1Bに示されている。同様に、支持シート108Bは、互いに実質的に離間して示されている。しかし、この図は、単に支持シート108Bが互いに及び繊維状材料106Bに対してどのように積み重ねられ、チャンバ104B内に配置され得るかをより良く明確に示すために使用されることを理解されたい。実際には、装置100Bは、シート状又は板状の構成を有して、より平坦に見え得るものである。
図1Aの装置100Aと同様に、図1Bの装置100Bは、それ自体が成形可能である(更に後述する)第1の状態と、装置100Bが所望の形状を有して、実質的に剛性、又は少なくとも第1の状態より実質的に更に剛性であって、所望の形状を保持又はロックする(即ち、実質的に成形不能)第2の状態と、を有している。
図1Cは、本開示の一実施形態に係る形状成形可能な装置100Cを例示しており、同様のものは同様の要素を表す。形状成形可能な装置100Cは、図1A及び図1Bで例示の実施形態を参照して上述したものと、同じ要素及び特徴の多くを共有している。したがって、図1A及び図1Bで例示の実施形態における要素及び特徴に対応する要素及び特徴は、100Cの系列において、同じ参照番号で提示される。図1Cに例示する実施形態の特徴及び要素(及び係る特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については、図1A及び図1Bに付随する上記の説明を参照する。
装置100Cは、三次元的にかさばった構成とは対照的に、略シート状若しくは略板状であるか、又はシート状若しくは板状の構成を有する。
図1Cに示すように、装置100Cは、内部チャンバ104Cを画定する包被102Cと、繊維状材料106Cと、チャンバ104C内に少なくとも部分的に重なり合って実質的に平行な構成で配置された少なくとも2枚の支持シート108C(一例として4枚のロック用シート110Cとしてのみ例示されている)であって、隣接する支持シート108Cの間に繊維状材料(又は繊維状材料の一部)106Cを配置する、支持シート108Cと、チャンバ104Cを周囲と流体連通するように配置された、包被102C内のポート又は開口部115Cと、を備え、チャンバ104Cは、例えば、真空源(図示されていないが、図1Aの真空源120など)と連結することによって、このポート又は開口部を通って排気され得る。
図1Cに示すように、3枚以上の支持シート108Cを使用するいくつかの実施形態では、繊維状材料106Cは、全ての隣接する支持シート108Cの間に形成された空間に配置することができる。しかし、必ずしもその通りでなくてもよく、3枚以上の支持シート108Cが用いられる場合であっても、繊維状材料(又はその一部)は、隣接する支持シート108C間に形成されるどの空間にも全て配置する必要はないことを理解されたい。単なる例として、図1Cは、その間に3つの空間を画定する4枚の支持シート108C(及び特に4枚のロック用シート110C)を含み、これらの空間に位置する3種類の繊維状材料106C(又は1種類以上の繊維状材料106Cの3つの部分)は、隣接する支持シート108Cの間で画定される。
図1A及び図1Bの各装置100A及び100Bと同様に、図1Cの装置100Cは、それ自体が成形可能である第1の状態(更に後述する)と、装置100Cが所望の形状を有して、実質的に剛性、又は少なくとも第1の状態より実質的に更に剛性であって、所望の形状を保持又はロックする(即ち、実質的に成形不能)第2の状態と、を有している。
上述したように、図1B及び図1Cの支持シート108B及び108Cは、本開示のロック用シート110B及び110Cを含むものとして例として示されている。しかし、これはその通りでなくてもよい。図1Aに示すように、本開示のいくつかの実施形態には、支持シートが含まれていない。図1B及び図1Cに示すように、本開示のいくつかの実施形態には、1枚以上の支持シート108B及び108Cが含まれ、これらをまとめて単に支持シート108と呼ぶ。
いくつかの実施形態では、支持シート108は中実であり、いくつかの実施形態では、図1B及び図1Cに示すように、支持シート108はパターン化されたロック用シート110を含むことができる(即ち、支持シート108の少なくとも一部は、このロック用シートで形成されるか、又はそれを含むことができる)。いくつかの実施形態では、以下により詳細に説明するように、また図1B及び図1Cに示されるように、ロック用シート110は、各々、中実領域132及び開口領域134(即ち、シート110の厚みを貫通する開口部)を含むようにパターン化することができる。更に、いくつかの実施形態では、支持シート108は、例えば、中実領域及び開口領域に形成されることなく、シートの可撓性(曲げ性)及び/又は伸展性を改善するようにパターン化することができる。即ち、係る実施形態では、支持シート108は、例えば窪み又はしわを形成するようにパターン化することができるが、このパターンは、開口の領域又は切り欠きを形成するようにシートの厚さ全体にわたっては形成されない。係る、パターン化されてはいるが貫通はしていない支持シートは、単に「パターン化シート」又は「パターン化支持シート」と呼ばれる。その結果、支持シート108を使用する実施形態では、支持シートは、本開示の中実シート、パターン化シート、及び/又はロック用シートを含むことができ、以下でより詳細に説明する。本開示の1つの装置において、例えば、交互又はランダムの配置で、中実支持シート、パターン化支持シート、及びロック用支持シート、の組み合わせを使用することができる。
本開示の、中実支持シート及びパターン化支持シートは、単層又は多層(例えば、積層)構造であってよく、紙と、強化された柔らかさ及び展性を高めるためにアニールすることができる金属(例えば、鋼、アルミニウム)と、積層金属の層又は箔(例えば、同一又は異なる金属の)と、ポリマー材料(例えば、ポリウレタン、ポリオレフィン)、複合材料(例えば、炭素繊維)と、エラストマー(例えば、シリコーン、スチレン−ブタジエン−スチレン)と、他の好適な材料と、それらの組み合わせと、を含むがそれらに限定されないさまざまな材料から形成することができる。
本開示のパターン化シートは、エンボス加工、型彫、本開示のロック用シートを作製するために以下に列挙するプロセスのいずれか、他の好適なプロセス、又はそれらの組み合わせ、を含むがこれらに限定されないさまざまなプロセスによって形成することができる。
図2A及び図2Bは、本開示の別の実施形態に係る形状成形可能な装置200を示し、装置200はシート状である。図示されていない(本開示の支持シート(図示せず)(例えば、ロック用シート)を有するか又は有さない)本開示の繊維状材料は、包被202によって画定されるチャンバ内に収容される。チャンバ(図示せず)は、例えば、コネクタ222を真空源(図示せず)に接続することによって、開口部215及びコネクタ222を経由して排気することができる。図2Aは、包被202の内部にあってそれによって画定されるチャンバが排気されていない(即ち、周囲圧力から大幅に下回って低下していない)第1の状態にある装置200を示している。装置200は、第1の状態の間に、所望の形状(即ち、三次元形状)に形成することができる。図2Bは、装置200が所望の形状に形成され、第1の状態から第2の状態に変化して所望の形状に「ロック」(即ち、可逆的にロック)された後の装置200を示す。コネクタ222は、第2の状態(図2B)で包被202に依然として連結されているように、包被202と一体的に形成されたものとして、図2A及び図2Bに示されているが、その通りでなくてもよい。
同様に、図3A及び図3Bは、本開示の別の実施形態に係る形状成形可能な装置300を示しているが、装置300はやはりシート状であるが、管状構成を有している。図示されていない(本開示の支持シート(図示せず)(例えば、ロック用シート)を有するか又は有さない)本開示の繊維状材料は、包被302によって画定されるチャンバ内に収容され、包被302の管状表面と実質的に平行に向くか、又は配置されるか、又は伸長され得る。繊維状材料及び/又は支持シート(使用される場合)は、管状とすることができる。支持シートを使用するいくつかの実施形態では、1つ以上の支持シートをチューブの周りに配置することができる(例えば、端部同士を、又は端部同士が重なり合って)。いくつかの実施形態では、単一の長い支持シートをそれ自体の周りに複数回巻いて、チューブ状の多くの層を形成することもできる。
包被302は、例えば、コネクタ322を真空源(図示せず)に接続することによって、開口部315及びコネクタ322を経由して、排気することができる。図3Aは、包被302の内部にあってそれによって画定されるチャンバが排気されていない(即ち、周囲圧力から大幅に下回って低下していない)第1の状態にある装置300を示している。装置300は、第1の状態の間に所望の形状(即ち、三次元形状)に形成することができる。図3Bは、装置300が所望の形状に形成され、第1の状態から第2の状態に変化して装置300を所望の形状に「ロック」された後の装置300を示す。コネクタ322は、第2の状態(図3B)で包被302に依然として連結されているように、包被302と一体的に形成されたものとして、図3A及び図3Bに示されているが、これはその通りでなくてもよい。
図2A及び図2B、並びに図3A及び図3Bの装置200及び300の構成は、各々単なる例として示されている。本開示の形状成形可能な装置の他の実施形態に関して本明細書で説明される追加の詳細のいずれも、装置200及び300に適用することができ、またその逆も同様である。
図2A〜図3Bには示されていないが、いくつかの実施形態では、本開示の装置は、第1の状態と比較して、第2の状態にあるときに少なくともわずかに減少した体積を有し得る。即ち、いくつかの実施形態では、第2の状態の本開示の装置は、第1の状態に対して少なくとも部分的に圧潰する可能性がある。本開示のシート状装置では、この圧潰は、主に装置の厚さの方向(即ち、Z方向)に発生する可能性があり、第1の状態で既に表面の寸法(即ち、装置の主表面を画定する寸法)に対して小さい。
図1A〜図1Cは、本開示の3つの異なる実施形態として例示目的で示されているが、装置100A、100B、及び100C及びそれらの個々の構成要素(例えば、包被102A、102B、10C、チャンバ104A、104B、104C、繊維状材料106A、106B、106C、支持シート108B、108C(例えば、ロック用シート110B、110Cを含む)は、特徴及び要素を共有している。図1A〜図1Cは、チャンバ104A、104B、及び104Cに含まれる要素の異なる組み合わせ及び配置(例えば、支持シート108B、108Cの数及び配置)を単に示すだけである。したがって、装置100A、100B及び100C及びそれらの構成要素は、参照番号の数字部分(即ち、100)のみを参照して総称的に説明する。しかし、一般的な装置100及びその要素又は構成要素に関する以下の開示は、図1A〜図1Cの装置100A、100B又は100C及びそれらの各構成要素のいずれにも等しく適用できることを理解されたい。
包被102は、一般に、ガス不透過性材料で形成される。包被102又はその一部(例えば、その外表面の少なくとも一部)は、装置100の所望の用途に応じて、さまざまな材料で形成することができる。好適な包被材料の例としては、複合材料、ポリマー材料(例えば、エラストマー、熱可塑性、熱硬化性、生分解性、又はそれらの組み合わせ)、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、包被102又はその一部(例えば、その外表面の少なくとも一部)は、不透過性(例えば、液体及び気体の不透過性)、非吸収性、微孔性、及び/又は細菌及び他の汚れを保菌することに耐性のある非多孔性材料で形成することができる。その結果、包被102又はその各部分は、容易に洗浄及び/又は消毒することができる。更に、いくつかの実施形態では、包被102又はその一部は、包被102上に細菌が集中及び/又は増殖するのを防止するための抗菌物質層又はコーティングを備えることができる。いくつかの実施形態では、包被102は、一般的な消毒剤及び洗浄剤と適合する材料で形成することができ、これらの材料としては、酸化剤(例えば、漂白剤、過酸化水素、希釈過酢酸など)、第4級アンモニウム消毒剤(例えば、ジメチルジデシルアンモニウムブロミド)、フェノール化合物(例えば、トリクロサン)、洗浄界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、並びに溶媒(例えば、ヘキシルセロソルブ又はヘキシルカルビトールなどのグリコールエーテル)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、包被102は、装置100の全体的な伸展性又は適合性が包被102によって制限されないように、高度に伸展性及び適合性のあるエラストマー材料で形成することができる。言い換えれば、包被102の伸展性及び適合性は、少なくとも繊維状材料106、1枚の支持シート108(使用される場合)の伸展性及び適合性、又は少なくとも複数の支持シート108(使用される場合)の伸展性及び適合性である。より具体的には、いくつかの実施形態では、包被102は、繊維状材料106、1枚の支持シート108(使用される場合)、又は複数の支持シート108(使用される場合)、よりも小さい引張弾性率(例えば、「実施例」に記載のヤング率、又は有効引張弾性率)、曲げ弾性率(例えば、「実施例」に記載の有効曲げ弾性率)、及び/又は押込み弾性率(例えば、「実施例」に記載の有効押込み弾性率)を有し得る。
いくつかの実施形態では、包被102は、5N/mm以下の有効引張弾性率(例えば、「実施例」のセクションに記載の試験方法に従って試験した場合)を呈することができ、いくつかの実施形態では、3N/mm以下、いくつかの実施形態では、1.5N/mm以下、いくつかの実施形態では、1N/mm以下、いくつかの実施形態では、0.5N/mm以下、及び、いくつかの実施形態では、0.1N/mm以下、を呈することができる。以下の「実施例」において使用された包被は、「実施例」の「試験手順」のセクションに記載された方法に従ってそれ自体で試験され、1.21N/mmの有効引張弾性率を有することが判明した。
エラストマー材料の例としては、シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、液体シリコーンゴム、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)、他の好適な熱可塑性エラストマー、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
熱可塑性材料の例としては、1種類以上のポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE))、メタロセンポリエチレンなど、及びそれらの組み合わせ)、ポリプロピレン(例えば、アタクチック及びシンジオタクチックポリプロピレン))、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリウレタン、ポリアセタール(デルリンなど)、ポリアクリレート及びポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)など、及びポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル、など)、フッ素樹脂(ミネソタ州セントポールの3M社のTHVなど)、及びそれらの組み合わせ、のうちの1種類以上を挙げることができる。
熱硬化性材料の例としては、ポリウレタン類、シリコーン類、エポキシ類、メラミン、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、及びそれらの組み合わせのうちの1種類以上を挙げることができる。
生分解性ポリマーの例としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(カプロラクトン)、ラクチド及びグリコリドのコポリマー、ポリ(コハク酸エチレン)、ポリヒドロキシブチレート、及びそれらの組み合わせのうちの1種類以上を挙げることができる。
ポリマー包被102を使用する実施形態では、包被102は、押出成形、成形、又はそれらの組み合わせなどの比較的容易な製造方法を含むさまざまな方法によって形成することができる。
いくつかの実施形態では、包被102の1つ以上の表面(例えば、その外側表面)又はその一部分は、低摩擦面を含み得るが、それは、各表面の材料組成及び/又はテクスチャによって、又は、表面を処理する(例えば、コーティングによって、又は低摩擦層を包被102の所望の部分に連結することなどによって)ことによって、実現することができる。
いくつかの実施形態では、装置100は、チャンバ104内の内圧が周囲圧力(例えば、海抜ゼロで約101kPa)に等しいか、又は周囲圧力の+/−5%以内にあるとき第1の状態にあり得る。しかし、チャンバ104を少なくとも部分的に排気(例えば、ポート115を真空源120(図1A参照)に連結し、チャンバ104を排気する、即ち、チャンバ104からガスを除去することによって)して、チャンバ104内の内部圧力が周囲圧力よりも低下する(例えば、周囲圧力よりも5%超だけ低く)第2の状態に、装置100を変化させることができる。
真空源120は、図1Aにのみ概略的に示しているが、さまざまな好適な真空源を装置100に連結することができることを理解されたい。例えば、真空源120としては、機械的ポンプ、シリンジ−プランジャの組み合わせなどの手動ポンプ、チャンバ104内の圧力を低減することができる他の好適な真空源、又はそれらの組み合わせ、を挙げることができる。
真空源120は、コネクタ122によって装置100のポート115に連結されている図1Aにのみ例として示されている。コネクタ122は、一例としてチューブとして示されている。いくつかの実施形態では、コネクタ122及び真空源120の一方又は双方は、装置100の一部を形成するとみなすことができる(例えば、包被102はコネクタ122と一体的に形成するか、あるいはこれを含む)。しかし、いくつかの実施形態では、装置100は、コネクタ122及び真空源120の一方又は双方に連結されているとみなすことができる。
いくつかの実施形態では、繊維状材料106は、シートの形態であってもよく、あるいは、シート状であってもよく、これによって、装置100はシート状の状態を同様に維持することができる。いくつかの実施形態では、繊維状材料106は、織布材料又は不織布材料(ミネソタ州セントポールの3M Companyから3M(登録商標)SCOTCHBRITE(登録商標)の商品名で入手可能な不織材など)で形成することができる。いくつかの実施形態では、繊維状材料106は、繊維の束(例えば、ゆるい繊維)の形態であってもよく、係る繊維には、多くの短い繊維、少ないが長い繊維、他の好適な束ねられた繊維構造、又はこれらの組み合わせが含まれる。
「繊維状材料」というフレーズは、個々の繊維又はある種の繊維群が他の繊維又は繊維群に対して移動する能力を有する繊維からなる材料を指す。即ち、本開示の繊維状材料において、繊維(又はその一部分、例えば、繊維状材料が1本の連続繊維で形成される実施形態において)は、繊維状材料内で互いに対して移動可能である(即ち、繊維を損傷することなく、又は材料の性質を変えることなく)。繊維(又はその一部分)の係る相対的な動きは、3M(登録商標)SCOTCHBRITE(登録商標)の不織材(3M社)などの繊維、又は互いに結合されてはいるが繊維の間にいくらかの間隔を有する繊維のある集合、の繊維間の物理的空間に起因し得るものである。物理的空間によって、繊維は、その長さに沿って1つ以上の点で他の繊維に取り付けられていても、繊維は、軸に沿って曲がり、直線になり、又は整列することができる。いくつかの実施形態では、繊維は、(例えば、スチールウールの又はガラス繊維のマットの場合のように)他の繊維に決して接着又は固定されないので、他の繊維に対して移動することができる。双方の場合において、繊維は、繊維間の摩擦によってのみ運動が制限され、この摩擦は周囲圧力においては一般に低いが、チャンバ104内の圧力を周囲圧力よりも低くして、繊維を互いに「ロック」させることによって、大幅に増加させることができる。本開示の繊維状材料は、繊維を損傷することなく、又は材料の性質を変えることなく、互いに対して移動することができない繊維からなる紙又は木材などの材料を含まない。
繊維状材料106は、メルトブロー処理、紡糸処理、押出処理、以下に記載される繊維処理のいずれか、他の好適な処理、又はそれらの組み合わせ、を含むがこれらに限定されない、繊維製造分野の当業者に一般的に知られているさまざまな方法で形成することができる。
繊維状材料106は、金属(例えば、鋼鉄(例えば、スチールウール)アルミニウム、他の好適な金属、又はそれらの組み合わせ)、ポリマー(例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、他の好適なポリマー材料、又はそれらの組み合わせ)、布地、セラミックス(例えば、ミネソタ州セントポールの3M Companyから商品名3M(登録商標)NEXTEL(登録商標)Ceramic Textilesとして入手可能なセラミック繊維)、複合材料(例えば、ガラス繊維)、他の好適な材料、又はこれらの組み合わせ、を含むがこれらに限定されない、繊維に加工するのに好適なさまざまな材料から形成することができる。
いくつかの実施形態では、図1Cに示すように、複数の繊維状材料106(又は繊維状材料106の複数の部分又はセクション)を装置100に用いることができる。係る実施形態では、繊維状材料106は全て同じタイプ(例えば、不織材対繊維の束など)である必要はなく、全てが同じ材料で作られる必要もない。むしろ、いくつかの実施形態では、装置100は、2つ以上の種類及び/又は材料構成の繊維状材料106を含むことができる。1つの空間容積(例えば、図1A及び図1Bに示すように)においてのみ繊維状材料106が使用される実施形態であっても、繊維状材料106は、やはり、さまざまな種類の繊維状材料106及び/又はさまざまな繊維状材料106の層の組み合わせを含むことができ、これらは全てが同じである必要はない。
一般に、繊維状材料106は、例えば、繊維が、互いに及び/又は任意の支持シート108(使用される場合)に対して移動可能である繊維状材料106を構成する結果として、装置100が第1の状態にあるときに成形可能である。しかし、チャンバ104内の圧力が周囲圧力よりも低くなり、空気が繊維状材料106から除去(又は排除)されると、繊維状材料106の繊維は互いに押し合い、繊維を構成する材料のブロックのように動作する。その結果、繊維が高い剛性(例えば、高い有効引張弾性率)を有する場合には、減圧された繊維状材料106又は繊維状材料106の詰まったブロックは非常に硬くなり、装置100は非常に硬直した第2の状態となる。繊維の材料構成、繊維の配列、及び繊維状材料106の種類は、全て、第1の状態で所望の成形性及び第2の状態で所望の剛性又は硬さを有する装置を実現するように変更することができる。
繊維は、装置10のチャンバ104内にランダムに配置されてもよく、あるいは、名目上平行な繊維の複数の層に配置されてもよく(おそらく、次の層に名目上垂直な1つの層の繊維を有する)、あるいは、繊維のリボンバンド又はより緩やかなローブバンドから織られてもよい。繊維を配置するために、複雑な織物様の織りパターンの1つ以上の層を使用することもまたできる。連続的な長さの繊維が任意の1つの軸において装置100を横切って延在する場合、装置100の伸張性及び一部の適合性は、その軸に沿って失われ得る。しかし、真空が適用されると、装置100のより高い曲げ剛性(例えば、有効曲げ弾性率)が達成され得る。繊維の長さが、装置100を横切って延在する繊維の重なり長さである場合、より大きな伸展性(及びそれによって適合性)が可能となる。
いくつかの実施形態では、繊維(即ち、繊維状材料106を形成する)は、繊維の断面形状に依存する代表的な横方向の寸法(例えば、直径)に対する繊維長の比として定義され得るアスペクト比によって定義することができる。いくつかの実施形態では、繊維状材料106を形成する繊維は、少なくとも10のアスペクト比を有することができ、いくつかの実施形態では、少なくとも20、いくつかの実施形態では、少なくとも25、いくつかの実施形態では、少なくとも30、いくつかの実施形態では、少なくとも50、いくつかの実施形態では、少なくとも75、いくつかの実施形態では、少なくとも100、いくつかの実施形態では、少なくとも250、及び、いくつかの実施形態では、少なくとも300、のアスペクト比を有することができる。いくつかの実施形態では、繊維状材料106を形成する繊維は、1000以下、いくつかの実施形態では、750以下、及び、いくつかの実施形態では、500以下のアスペクト比を有することができる。
いくつかの実施形態では、繊維は2つのクラスに分類することができる。(i)約20〜約60の範囲のアスペクト比を有する不連続繊維としても知られる短繊維。(ii)約200〜約500の範囲のアスペクト比を有する連続繊維としても知られる長繊維。いくつかの実施形態では、繊維状材料106は、短繊維、長繊維、他の長さの繊維、又はそれらの組み合わせで形成することができる。
いくつかの実施形態では、繊維状材料106に使用するのに満足すべき繊維は、(i)長さが約20〜約110mm、及び、いくつかの実施形態では約40〜約65mmの長さ、及び(ii)約1.5〜約500デニール、及び、いくつかの実施形態では約15〜約110デニールの範囲の繊度又は線密度を有し得る。いくつかの実施形態では、所望の表面テクスチャ又は仕上げを得るために、混合デニールの繊維を繊維状材料106の製造に使用することができる。より大きな繊維の使用もまた考慮されており、当業者は、本発明が、使用される繊維の性質又はそれらの各々の長さ、線密度などによって限定されないことを理解するであろう。
繊維の断面形状はまた、Chemical Fibers International 12/2011;61(4):210−212においてXiaosong Liuら による”Applications of non−circular cross−section chemical fibers”に記載されているように、特定の紡糸口金の使用によって制御及び調節することができる。繊維状材料106を形成する繊維は、円形、正方形、三角形、楕円形、中空(例えばリング状)、星形、多角形、十字形、「X」、「T」、より複雑な及び/又は不規則な断面形状(例えば、三葉形、深溝形)、他の好適な断面形状、及びそれらの組み合わせ、を含むさまざまな断面形状を有することができる。更に、繊維の断面形状及び/又は寸法は、その長さに沿って一定である必要はない。
繊維状材料106は、天然繊維、合成繊維、及びそれらの組み合わせを含む、さまざまな好適な繊維で形成することができる。好適な合成繊維には、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ナイロン(例えば、ヘキサメチレンアジパミド、ポリカプロラクタム)、ポリプロピレン、アクリル(アクリロニトリルのポリマーから形成される)、レーヨン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー、他の好適な合成繊維、及びそれらの組み合わせから製造されるものを含めることができる。好適な天然繊維には、綿、羊毛、黄麻、麻、他の好適な天然繊維、及びそれらを組み合わせたものが含まれ得る。
繊維状材料106を形成するために使用される繊維は、未使用繊維、又は、例えば、衣類裁断、カーペット製造、繊維製造、若しくは織物加工から回収された屑繊維であってもよい。繊維材料は、均質繊維又は複合繊維であってもよい。複合繊維は、2成分繊維(例えば、共紡糸芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維など)などの多成分繊維を含むことができる。ウェブの異なる部分(例えば、第1のウェブ部分、第2のウェブ部分及び中間ウェブ部分)に異なる繊維を含む繊維状材料106を提供することも、本開示の範囲内である。
いくつかの実施形態では、繊維状材料106は、エアレイド、カード、ステッチボンド、スパンボンド、ウェットレイド、又はメルトブローン構造で製造することができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、繊維状材料106は、フーバー(Hoover)らの米国特許第2,958,593号に記載のように、開放した高さのある三次元エアレイド不織材基板を含むことができ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。係る不織材は、ランダムに配設されたステープル繊維によって形成される。係る不織材の一例は、ミネソタ州セントポールの3M Companyから商品名「SCOTCH−BRITE」として入手できる。
本開示の繊維状材料の製造に対する他の方法としては、連続フィラメントの使用が挙げられる。連続フィラメントから製造された例示的な不織材製品は、Heyerらの米国特許第4,991,362号及び同第5,025,596号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。これらの特許は、連続した一方向捲縮フィラメントトウで形成された低密度研磨物品を記載しており、フィラメントはパッドの反対側の端部で共に結合されている。
いくつかの実施形態では、繊維状材料106を形成する繊維は、(例えば、繊維状材料106にバルクを添加するために)伸長及び/又は捲縮することができるが、例えば、Fitzerの米国特許第4,227,350号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のもの、などの押出法により形成された連続フィラメント、並びに、Heyerらの前述の’362及び’596特許に記載の連続繊維であってもよい。
いくつかの実施形態では、繊維状材料106は、「Rando Webber」マシン(ニューヨークのRando Machine Companyから市販)上に形成することができるか、又は他の従来の繊維製造プロセスによって形成することができる。例えば、スパンボンドタイプの繊維状材料を使用する実施形態では、フィラメントは、実質的により大きい直径、例えば、直径が最大2ミリメートル、又はそれを超えてもよい。更に、規則的な螺旋状に巻かれたフィラメントを製造するためにプロセスを調整することが可能である。不規則なフィラメントのうねりは、概ね紡糸口金の開口のパターンによって画定されるパターンで、ウェブを通るフィラメントのランダムなループ、ねじれ又は曲がりによって特徴付けられる。繊維の形状を別の方法で、捲縮、ねじれ又は変形させる追加の加工も可能である。係る繊維のねじれ又は他の構造は、チャンバ104が排気されたときに繊維状材料106の絡み合った「ロック」を容易にすることができる。
いくつかの実施形態では、繊維状材料106は、少なくとも20g/m2の単位面積当たりの重量を有することができ、いくつかの実施形態では20〜1000g/m2、及び、いくつかの実施形態では300〜600g/m2である。係る繊維重量は、約1〜約200mm、いくつかの実施形態では約6〜約75mm、及び、いくつかの実施形態では約10〜約50mmの厚さを有する、ニードリング又は含浸の前のウェブを提供することができる。
いくつかの実施形態では、繊維状材料106は、例えば、フーバー(Hoover)らに記載のような三次元的に一体化された構造を形成するために、それらの相互接触点で繊維を結合するためのプレボンド樹脂の塗布によって強化することができる。プレボンド樹脂は、熱硬化性の水系フェノール樹脂からなるものであってもよい。ポリウレタン樹脂を使用することもまたできる。他の有用なプレボンド樹脂は、ポリ尿素、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、及びポリイソプレンからなるものを含み得る。追加の架橋剤、充填剤、及び触媒もまた、プレボンド樹脂に添加することができる。当業者は、実際に塗布される樹脂の選択及び量は、例えば、繊維状材料106中の繊維重量、繊維密度、繊維の種類、及び装置100の意図された最終用途を含むさまざまな要因のいずれかに依存し得ることが分かるであろう。
プレボンド樹脂の塗布は、使用される場合、ロールコーティング、スプレーコーティング、乾燥粉末コーティング、懸濁粉末コーティング、粉末滴下、液浸漬コーティング、流動床パウダーコーティング、静電パウダーコーティング、臨界ガス希釈液樹脂コーティング、又は当業者に利用可能な他の一般的に使用されるコーティングプロセス、を含む任意の好適な手段によって、実現することができる。
三次元的に一体化された構造を形成する他の既知の手段は、本発明の範囲内である。例えば、繊維状材料106を形成するために繊維に塗布されるプレボンド樹脂の代替物として、Heyerらの米国特許第5,685,935号に記載のように、繊維は、互いに接触して三次元的に一体化された構造を形成する1つ以上の点で共に融着することができる。
支持シート108は、図1B及び図1Cに、繊維状材料106が散在する支持シート108の積層体を形成するように示されている。説明を簡単にするために例として、図1Bの積層体は、2枚の支持シート108を含むものとして示され、図1Cの積層体は、4枚の支持シート108を含むものとして示されている。しかし、本開示の装置では、支持シートを使用しなくてもよいし、構造的に可能なだけ多くの枚数を使用することもできることを理解されたい。図1B及び図1Cの支持シート108は、積層状の別個のシートとして示されているが、支持シートの「複数」(又は「2枚以上」又は「少なくとも2枚」)は、一般に、支持シートの少なくとも2つの重なり合うセクション又は部分を意味するが、重なり合うセクション又は部分は、実際には個別のシートである必要はなく、むしろ、長いシートをジグザグにしたり、シートを巻いたり、あるいは、別の方法で少なくとも2つの重なり合うセクション又は部分を含むように長いシートを配置することによって、互いに積み重ねられた1つの長いシートのセクション又は部分とすることができる。
支持シート108の数は、第1状態の装置100の十分な成形性を提供する数であるように選択することができる一方、所定の用途のための第2の状態では、十分な剛性も提供することができる。いくつかの実施形態では、使用される支持シート108の数は、各支持シート108の材料構成及び厚さに依存し得る。
上述したように、いくつかの実施形態では、支持シート108は、1つ以上のロック用シート110を含むか、又は、少なくとも部分的にロック用シートで形成することができる。本開示のロック用シート110は、装置100の所望の応用又は用途に応じてさまざまな材料で形成することができ、単一又は多層構造を含むことができる。好適なロック用シート材料の例としては、紙、強化された柔らかさ及び展性を高めるためにアニールすることができる金属(例えば、鋼、アルミニウム)、ポリマー材料(例えば、ABS又はデルリン)、複合材料(例えば、炭素繊維)、他の同様の好適な材料、及びそれらの組み合わせ、が挙げられるが、これらには限定されない。
いくつかの実施形態では、支持シート108(例えば、ロック用シート110)は全て同じ材料で形成することができる。しかし、1つの装置100に使用される支持シート108は、全てが同じ材料で形成される必要はない。いくつかの実施形態では、支持シート108のいくつかは同じ材料で形成され、他の支持シート108は1種類以上の異なる材料で形成される。更に、上述したように、1つの装置100の支持シート108は、さまざまな中実のシート、パターン化シート、及びロック用シート110を含むことができる。いくつかの実施形態では、支持シート108は、交互配置などによって、材料構成及び/又は種類(即ち、中実、パターン化及び/又はロック用)に従って、チャンバ104内に配置(例えば積層)され得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の材料で形成された支持シート108を、第2の材料の支持シート108に隣接して配置することができ、第2の材料の支持シートは、第1の材料の支持シート108に隣接して等、配置することができる。しかし、いくつかの実施形態では、異なる材料の支持シート108は、チャンバ104内の他の構成で、又はずっとランダムに配置することができる。
いくつかの実施形態では、支持シート108は全て同じ厚さ(即ち、支持シート108の主表面に直交するZ方向の)を有することができる。しかし、いくつかの実施形態では、1つの装置100に使用される支持シート108は、全てが同じ厚さを有する必要はない。いくつかの実施形態では、支持シート108のいくつかは同じ厚さを有することができ、他の支持シート108は1種類以上の異なる厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、支持シート108は、例えば、増加する厚さ、減少する厚さ、交互の厚さ、別の好適な構成、又はそれらの組み合わせの順序で、厚さに従って、チャンバ104内に配置(例えば、積層)することができる。しかし、いくつかの実施形態では、異なる厚さを有する支持シート108をチャンバ104内にランダムに配置することができる。
更に、いくつかの実施形態では、1つ以上の支持シート108は、その厚さが支持シート108全体にわたって一定でないように、さまざまな厚さを有することができる。
いくつかの実施形態では、本開示のパターン化の及び/又はロック用の支持シート108は、押出、成形、レーザー切断、ウォータージェット、機械加工、ステレオリソグラフィー又は他の3D印刷、レーザーアブレーション、フォトリソグラフィー、化学エッチング、ロータリーダイ切断、スタンピング、パンチング、他の好適なネガティブ又はポジティブ加工技術、又はそれらの組み合わせ、を含むが、これらに限定されないさまざまな方法によって、形成することができる。
装置100が第1の状態にあるとき、支持シート108は形成可能であり、互いに対して摺動することができ、即ち、隣接する支持シート108の主表面が互いに(例えばX方向及びY方向に)摺動し、支持シート108の主表面に沿った任意の点に直交するZ方向にも、互いに対して移動することできる。しかし、装置100が第2の状態にあるとき(即ち、チャンバ104が排気されるとき)、支持シート108は、表面(例えば、X及びY)及びZ方向において互いに対して実質的に移動不能又は「ロック」され得るので、装置100は「実質的に/本質的に移動不能」又は「実質的に/本質的にロック」されることになる。これは、支持シート108がロック用シート110を含む場合に特に当てはまる。
「実質的に/本質的に移動不能な」又は「実質的に/本質的にロックされた」装置100は、「実質的に剛性」、「実質的に第1の状態より剛性」、又は「実質的に第1の状態よりも形成しにくい」ともいうことができ、装置100が、第1の(ロックされていない)状態にあるときと同じ材料特性の第2の(ロックされた)状態にあるとき、いくつかの実施形態では、より詳細に後述するように、装置100の材料特性(例えば、引張弾性率などの剛性の尺度)を比較することによって、特徴付けることができる。
上述したように、本開示の装置には、ロックでない(例えば、中実又はパターン化された)支持シート108を用いることができるが、ロック用シート110の形態の支持シート108が、例として、図1B及び図1Cに示されている。次に、図1B及び図1Cのロック用シート110について、より詳細に説明する。本開示のロック用シートに関する更なる特徴及び詳細は、2014年12月19日に出願された米国特許出願第62/094240号に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1B及び図1Cに更に示されるように、各ロック用シート110の少なくとも一部分は、中実領域132及び開口領域134(即ち、中実領域132間の隙間又は自由空間)にパターン化又はセグメント化され、中実領域132の少なくとも一部は、ロック用シート110の主表面S内で互いに対して移動可能である。
ロック用シート110を使用する実施形態では、繊維状材料106の一部分(即ち、繊維又はその繊維の一部分)は、例えば、ロック用シート110の開口領域134を少なくとも部分的に貫通することによって、装置100を第2の状態に詰まらせたり、あるいはロックすることを助けたりすることができる。加えて、又は代替的に、ロック用シート110の中実領域132は、繊維状材料106と共に詰まる可能性があり、及び/又は、支持シート108(ロック用シート110であるか否かに関わらず)の任意の高摩擦表面は、繊維状材料106によって詰まる可能性がある。
説明を簡単かつ明瞭にするために、図1B及び図1Cのロック用シート110は、中実の輪郭を有するように示されている。しかし、ロック用シート110の端部は、連続的に中実ではなく、その代わりに、中実領域132及び開口領域134、並びに、場合によっては中実領域132の不完全な部分で構成される場合の方が多いことを理解されたい。簡単かつ明瞭にする目的で、1枚のロック用シート110を、次により詳細に説明する。しかし、以下に説明する追加の詳細は、装置100の任意のロック用シート110に適用できることを理解されたい。
ほんの一例として、図4の第1のロック用シート110の個々の中実領域132の上側(又は下側)表面は、ロック用シート110の1枚以上の主表面を集合的に画定する。1つの例示的な主表面Sが、図1B、図1C及び図4に示されており、簡略化のために実質的に平面であるように示されているが、ロック用シート110が所望の形状に形成される(例えば、物体の上に形成されるか、又は複雑な表面に適合することによって)とき、主表面Sは任意の複雑な形状をとることができる。中実領域132は、主表面S内で互いに対して移動可能であるため、係る複雑な形状が可能となる。即ち、主表面Sの形状は、(例えば、主表面Sを画定する中実領域132の相対的な移動のために)変化することができ、非常に複雑になり得る。しかし、主表面Sがどのような形状であっても、中実領域132は、主表面S内で互いに対して移動可能であり得る。係る移動は、互いに対する曲げを含むことができる(例えば、主表面Sの内外に撓むだけでなく、それによって主表面Sの再画定も行う)、結果として生じるロック用シート110は曲げ可能であり、また、互いに近づいたり遠ざかったりするように移動して、結果として生じるロック用シート110は伸展可能となる。可撓性(曲げ性)と伸展性とのこの組み合わせによって、形成可能なロック用シート110が生成される。
中実領域132は、主表面Sと直交するZ方向の厚さも有しているが、中実領域132によって集合的に画定された主表面(例えば主表面S)が存在し、中実領域132はその主表面内を移動可能である。中実領域132はまた、互いに対して、その主表面の内外へ、又は、互いに対してZ方向へ移動可能であり得る。しかし、本開示のロック用シートのキーとなる顕著な特質は、中実領域が、ロック用シート110の主表面内で互いに対して少なくとも移動可能であるように、ロック用シートが中実領域及び開口領域にパターン化されていることである。
中実領域132をロック用シート110の主表面の内外双方向へ相対的に移動することによって、シートを任意の空間面に形成することができる。例えば、球のまわり、あるいは更に人間の顔の輪郭の周りに、ロック用シート110を、しわがなく形成することができる。これは、中実領域132が互いに対して主表面内で曲がりかつ伸展することができるので、可能となるものである。任意の所望の空間表面トポロジーに変形するためのロック用シート110(又は複数のロック用シート110)の能力は、中実領域132のサイズ及び可撓性/伸展性によって制限され得るが、これは、適用対象に合致するように適合することができるロック用シート110の一種の空間分解能を定義するものである。
特に、中実領域132は、第1の位置から第2の位置へ、主表面内で互いに対して移動することができ、より詳細には、第1の位置から、ロック用シート110を形成する材料の塑性変形なしに維持することができる第2の位置へ、互いに対して移動することができる。これは、材料を単純に除去してシートを形成するように開口部を切除した材料のシート、又は材料の織り片又は撚り線で形成された材料のシートとは対照的である。係るシートでは、開口部は、中実部分が互いに対してわずかに動くか又は揺れ動く空間を提供することができるが、第1の位置から塑性変形なしに維持できる第2の位置へ移動する空間を提供することはできない。例えば、印加された応力が材料をその弾性限界内で伸展させるように、係るシートの中実部分が移動すると、材料は、応力が除去されるとすぐにその第1の位置に戻り、印加された応力が材料をその弾性限界を超えて伸展させると、塑性変形が起こることになる。即ち、材料シートが、材料の1つ以上の方向への連続条片又は連続撚り線のみを含む場合、それらの1つ以上の方向におけるシートの材料特性は、連続の条片又は撚り線を構成する材料の材料特性に等しい。反対に、本開示のロック用シート110は、材料から形成されるが、材料自体の特性とは異なる全体的な材料特性、特に、材料特性が試験される任意の方向の材料特性を備える。
いくつかの実施形態では、主表面内の中実領域の相対運動は、材料特性比によって特徴付け又は定量化することができ、この特性比は、中実領域132を構成する材料の所定の材料特性と、中実領域132及び開口領域134へのシートのパターン化又はセグメント化に起因するロック用シート110の全体的な材料特性と、を比較するものである。即ち、固体材料片(例えば、鋼、紙など)は、同じ材料で形成された本開示のロック用シート110(即ち、中実領域132及び開口領域134を有する)とは実質的に異なる挙動を示すであろう。
例えば、ロック用シート110は、第1の有効引張弾性率(Eo)を有する材料で形成することができ、中実領域132及び開口領域134は、ロック用シート110が全体的な有効引張弾性率(例えば、ロック用シート110の主表面内の任意の又は全ての表面方向で試験した場合に、E1である)を有するように配置することができ、Eo/E1の比は少なくとも2、いくつかの実施形態では、少なくとも3、いくつかの実施形態では、少なくとも4、いくつかの実施形態では、少なくとも5、いくつかの実施形態では、少なくとも10、いくつかの実施形態では、少なくとも20、いくつかの実施形態では、少なくとも50、いくつかの実施形態では、少なくとも100、いくつかの実施形態では、少なくとも1000、及び、いくつかの実施形態では、少なくとも10,000である。いくつかの実施形態では、E0/E1の比は100,000以下、いくつかの実施形態では、50,000以下、及び、いくつかの実施形態では、25,000以下であり得る。
いくつかの実施形態では、全体的な有効引張弾性率E1は、ロック用シート110の主表面にわたって変化し得るので、ロック用シート110の第1の領域又は部分上の有効引張弾性率E1は、第2の領域又は部分上と同じでなくてもよいが、第1の領域におけるE0/E1の比は少なくとも2であり、かつ、第2の領域におけるE0/E1の比は少なくとも2である。即ち、ロック用シート110の全剛性がシートにわたって変化しても、ロック用領域の任意の所定の位置、部分又は領域におけるE0/E1の比は、それでもなお、少なくとも2である。
いくつかの実施形態では、ロック用シート110は、第1の有効引張弾性率(Eo)を有する材料で形成することができ、第1の状態又はロック解除の状態にある間に、装置100全体が全体的な有効引張弾性率(Ea)を有するように、中実領域132及び開口領域134を配置することができ、Eo/Eaの比は少なくとも2、いくつかの実施形態では、少なくとも3、いくつかの実施形態では、少なくとも4、いくつかの実施形態では、少なくとも5、いくつかの実施形態では、少なくとも10、いくつかの実施形態では、少なくとも20、いくつかの実施形態では、少なくとも50、いくつかの実施形態では、少なくとも100、いくつかの実施形態では、少なくとも1000、及び、いくつかの実施形態では、少なくとも10,000である。いくつかの実施形態では、Eo/Eaの比は100,000以下、いくつかの実施形態では、50,000以下、及び、いくつかの実施形態では、25,000以下であり得る。
いくつかの実施形態では、第1の(ロック解除された)状態における装置100の全体的な有効引張弾性率Eaは、装置100にわたって変化し得るので、装置100の第1の領域又は部分にわたる全体的な有効引張弾性率Eaが第2の領域又は部分と同じでなくてもよいが、第1の領域におけるEo/Eaの比は少なくとも2であり、第2の領域におけるEo/Eaの比は少なくとも2である。即ち、装置100の全体の剛性がシートにわたって変化しても、ロック用領域の任意の所定の位置、部分又は領域におけるE0/Eaの比は、やはり少なくとも2である。
いくつかの実施形態では、ロック用シート110は、降伏歪み(εo)(即ち、問題の特定の材料に対する標準的な方法によって定義されるか、又は決定されるような弾性限界又は塑性変形開始時の歪み)を有する材料で形成することができ、中実領域132及び開口領域134は、その材料で形成されたロック用シート110をその歪み限度を超えて操作することができ、それでもなお、塑性変形に遭遇しないように、配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ロック用シート110の中実領域132を形成する材料は、降伏歪み(εo)を有し、装置が第1の状態にあるときに、中実領域132及び開口領域134は、ロック用シート110がいかなる材料の降伏も伴わずに歪み(ε1)を受けるように構成されており、ε1/ε0の歪み比は少なくとも1、いくつかの実施形態では、少なくとも2、いくつかの実施形態では、少なくとも3、いくつかの実施形態では、少なくとも5、いくつかの実施形態では、少なくとも10、いくつかの実施形態では、少なくとも50、いくつかの実施形態では、少なくとも100、いくつかの実施形態では、少なくとも1000、いくつかの実施形態では、少なくとも10,000、いくつかの実施形態では、少なくとも50,000、及び、いくつかの実施形態では、少なくとも100,000である。
いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に、繊維状材料106の適合性及び/又は(使用される場合)ロック用シート110の主表面内の中実領域132の相対的な動きに起因して、装置100、繊維状材料106、及び/又はロック用シート110(使用される場合)は、第1の状態にあるとき、三次元適合性を示すことができる。適合性は、装置100が三次元物体(例えば、球又はより複雑な三次元物体)の上に、装置100のしわ(例えば、ひだ)がほとんどなく形成される(即ち、実質的に適合する)能力として定義することができる。
例えば、いくつかの実施形態では、装置100、繊維状材料106、及び/又はロック用シート110は、第1の状態においてゼロでないガウス曲率を有する複雑な表面に実質的に適合することができ、装置100、繊維状材料106、及び/又はロック用シート110は、例えば、変形平面内の面積の変化を必要とする、直交する2軸の周りで同時の湾曲を呈することができる。例えば、中実の紙片は、ゼロでないガウス曲率を有する表面に実質的に適合することができない(即ち、紙が寄り集まって、その際にしわを形成する)。しかし、紙片(例えば、少なくとも10のE0/E1の比を示す(例えば、任意の方向で)パターン化された又はセグメント化された紙片)の主表面において、中実領域が互いに対して移動可能な方法で、中実領域及び開口領域を含むようにセグメント化又はパターン化された紙片は、ゼロでないガウス曲率を有する複雑な表面に実質的に適合する。
ゼロでないガウス曲率を有する複雑な表面は、装置100、繊維状材料106、及び/又はロック用シート110が第1の状態で実質的に適合することができる複雑な表面の単なる一例にすぎない。装置100、繊維状材料106、及び/又はロック用シート110の成形性(即ち、可撓性(曲げ性)及び伸展性の組み合わせ)のおかげで、装置100及び/又はロック用シート110は、他の複雑な非ガウス表面にも実質的に適合することができることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、第1及び第2の状態の剛性比(以下に記載されるような、又は以下に記載される弾性率の比のうちのいずれか)を使用して、装置100の第1の「成形可能」状態と装置100の第2の「剛性」状態とを定義かつ区別することができる。
いくつかの実施形態では、装置100の第1及び第2の状態は、剛性比(SL/SUL)によって特徴付け、及び/又は区別することができる。剛性比(SL/SUL)は、装置100が第2の状態にあるときの装置100の第2の(又はロックされた)剛性SL(例えば、引張弾性率、曲げ弾性率、押込み弾性率、又は別の好適な弾性率、のうちの1つ以上)と、装置100が第1の状態にあるときの装置100の第1の(又はロック解除された)剛性SULとの比であり得る。
ある実施形態では、剛性比(SL/SUL)は、少なくとも2、いくつかの実施形態では少なくとも3、いくつかの実施形態では少なくとも4、いくつかの実施形態では少なくとも5、いくつかの実施形態では少なくとも8、いくつかの実施形態では少なくとも10、いくつかの実施形態では少なくとも15、いくつかの実施形態では少なくとも20、いくつかの実施形態では少なくとも40、及び、いくつかの実施形態では少なくとも50であり得る。
その結果、いくつかの実施形態では、装置100は、上述したように、第1の状態及び第2の状態を有するとして説明することができ、第2の状態における装置100の剛性と、第1の状態における装置100の剛性との剛性比(SL/SUL)が少なくとも2であり、いくつかの実施形態では少なくとも3、その他、である。言い換えれば、第2の状態は、装置100が第1の状態の装置100の剛性の少なくとも2倍、いくつかの実施形態では、第1の状態の装置100の剛性の少なくとも3倍、などの剛性を有する状態として、特徴付けることができる。更に別の言い方をすれば、第1の状態は、装置100が第2の状態の装置100の剛性の1/2以下、いくつかの実施形態では、第2の状態における装置100の剛性の1/3以下、その他、の剛性を有する状態として特徴付けることができる。
いくつかの実施形態では、装置100の第1及び第2の状態は、比弾性率(specific modulus ratio)によって特徴付け及び/又は区別することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の状態は、第1の(ロック解除された)有効引張弾性率(EUL)によって特徴付けることができ、第2の状態は、第2の(ロックされた)有効引張弾性率(EL)によって特徴付けることができ、第2弾性率と第1弾性率との比(EL/EUL)は、少なくとも2、いくつかの実施形態では少なくとも3、いくつかの実施形態では少なくとも4、いくつかの実施形態では少なくとも5、いくつかの実施形態では少なくとも8、いくつかの実施形態では少なくとも10、いくつかの実施形態では少なくとも15、いくつかの実施形態では少なくとも20、いくつかの実施形態では少なくとも40、及び、いくつかの実施形態では少なくとも50であり得る。
「有効引張弾性率」(ETM)という用語は、「有効引張弾性率」と呼ばれる「実施例」のセクションで後述する手順に従って試験されるように、歪み(長さで除した伸び)に対する単位幅当たりの引張力のプロットにおける線の傾きを指すものである。この弾性率は、ヤング率と類似しているが、シート材料の単位幅当たりの力で応力軸を置き換えることによって、薄いシート状材料の試験に適合し、この幅は、印加された張力の方向に対して直角に測定される。この歪みは、試料の増加した伸びをその元の長さで除する(即ち、ΔL/L)ことによって、従来の観念で測定される。この「有効引張弾性率」は、それらの物体の断面積の測定が困難な(特に、中実領域132及び開口領域134にパターン化されたロック用シート110)可能性があるため、本開示の装置100及びロック用シート110を測定するのに有用である。
いくつかの実施形態では、第1の状態は、第1の(ロック解除された)有効曲げ弾性率(BUL)によって特徴付けることができ、第2の状態は、第2の(ロックされた)有効曲げ弾性率(BL)によって特徴付けることができ、第2弾性率と第1弾性率との比(BL/BUL)は、少なくとも2、いくつかの実施形態では少なくとも3、いくつかの実施形態では少なくとも4、いくつかの実施形態では少なくとも5、いくつかの実施形態では少なくとも8、いくつかの実施形態では少なくとも10、いくつかの実施形態では少なくとも15、いくつかの実施形態では少なくとも20、いくつかの実施形態では少なくとも40、及び、いくつかの実施形態では少なくとも50であり得る。
「有効曲げ弾性率」(EBM)という用語は、「有効曲げ弾性率」と呼ばれる「実施例」のセクションで後述する手順に従って、曲げを引き起こすために試料を引っ張ったときに、撓み角の無次元近似に対する単位幅当たりの引張力のプロットにおける線の傾きを指すものである。この弾性率は、シート材料の単位幅当たりの力を用いることにより、薄いシート状材料の試験に適合し、この幅は、印加された曲げ力の方向に対して直角に測定される。得られる曲げ角度は、シートの端部が印加された荷重の下で移動する距離を、クランプから印加された荷重までのシートの長さで除することによって近似される。「有効引張弾性率」と同様に、この弾性率は、それらの物体の断面積の測定が困難な(特に、中実領域132及び開口領域134にパターン化されたロック用シート110)可能性があるため、装置100及びロック用シート110を測定するのに有用である。このEBMはまた、パターン化されたロック用シート110が、より伝統的な手順で曲げに関して測定される支持部にわたってそれら自身を支持する強度を欠いている可能性があるので、有用である。
いくつかの実施形態では、第1の状態は、第1の(ロック解除された)有効押込み弾性率(IUL)によって特徴付けることができ、第2の状態は、第2の(ロックされた)有効押込み弾性率(IL)によって特徴付けることができ、第2弾性率と第1弾性率との比(IL/IUL)は、少なくとも2、いくつかの実施形態では少なくとも3、いくつかの実施形態では少なくとも4、いくつかの実施形態では少なくとも5、いくつかの実施形態では少なくとも8、いくつかの実施形態では少なくとも10、いくつかの実施形態では少なくとも15、いくつかの実施形態では少なくとも20、いくつかの実施形態では少なくとも40、及び、いくつかの実施形態では少なくとも50であり得る。
「有効押込み弾性率(Effective Indentation Modulus)」(EIM)という用語は、「有効押込み弾性率」と呼ばれる「実施例」のセクションで後述する手順に従って試料を試験したときの、撓み距離に対する印加された力のプロットにおける線の傾きを指すものである。手順中に使用されるリングの直径は、測定値に影響を与えるため、指定しなければならない。同じ直径のリングが使用される場合、これはさまざまな材料のシートを比較するための有効な手順である。この試験は、シートが曲がり、更に伸展する能力をある程度測定するものである。したがって、シートの適合性と相関性がある。しかし、この試験は、実質的に連続的な形でそれらの形状を変形させないで、しわを生じさせる材料の識別はしない。
いくつかの実施形態では、装置100の第1の状態は、いくつかの実施形態では、20N/mm未満、いくつかの実施形態では10N/mm未満、いくつかの実施形態では5N/mm未満、及び、いくつかの実施形態では1N/mm未満、の有効引張弾性率(本明細書で定義された)を有する装置100によって、特徴付けることができる。
いくつかの実施形態では、ロック用シート110の中実領域132は、連続的であってもよく、即ち、1つ以上の隣接する中実領域132に接続されてもよく、及び、いくつかの実施形態では、中実領域132は、ロック用シート110の主表面内の隣接する中実領域132から離散又は、分離していてもよい。ロック用シート110を使用するいくつかの実施形態では、装置100は、全ての連続的なロック用シート110(即ち、連続した中実領域132を使用する)又は全ての不連続なロック用シート110(即ち、孤立した中実領域132を使用する)を含むことができる。ロック用シート110を使用するいくつかの実施形態では、装置100は、連続的な中実領域ロック用シート110と離散したものとの組み合わせを含むことができる。即ち、いくつかの実施形態では、装置100の少なくとも1枚のロック用シート110は、連続的な中実領域132を含むことができ、装置100の少なくとも1枚のロック用シート110は、離散した中実領域132を含むことができる。
複数のロック用シート110を使用するいくつかの実施形態では、装置100の複数のロック用シート110は全て同じパターン(図1B及び図1Cに示すように)を有することができ、全て異なるパターン、又はそれらの組み合わせを有することもできる。任意のパターンの配置が可能である。例えば、いくつかの実施形態では、異なるパターンのロック用シート110を交互に配置することができ(例えば、A、B、A、Bなど)、ブロックパターン(例えば、A、A、B、Bなど)、又はそれらの組み合わせ(例えば、A、A、B、B、A、Aなど)で、配置することができる。更に、いくつかの実施形態では、異なるパターンのロック用シート110をランダムに配置(即ち、積層)することができる。
同じパターンの少なくとも2枚のロック用シート110を使用するいくつかの実施形態では、図1B及び図1Cに示すように、1枚のロック用シート110の中実領域132が、隣接する(即ち、上又は下の)ロック用シート110の中実領域132と実質的に重なり合って整列するように、2枚の同一パターン化されたロック用シート110を互いに実質的に整列するように配置することができる。
しかし、いくつかの実施形態では、図4に示すように、2枚の同一パターンのロック用シート110を互いに対して千鳥状にすることができ、第1のロック用シート110の中実領域132が第2のロック用シート110’の開口領域134’と重なり合い、第1のロック用シート110の開口領域134が第2のロック用シート110’の中実領域132’と重なり合うことになる。図4では、上部の第1のロック用シート110が白色で示され、下部の第2のロック用シート110’は、薄い灰色で示された中実領域132’と、濃い灰色で示された開口領域134’を有する。より具体的には、図1及び図4に示すように、連続的な中実領域132を使用するいくつかの実施形態では、中実領域132は、島、及び、各島を隣接する島に接続するように配置された1つ以上の接続部又はブリッジを含むことができる。
図4及び図5(以下に説明する)は、装置100に使用される複数のロック用シート110のうちの2枚を表すことができる。図1B及び図1Cに示すように、ロック用シート110を使用するいくつかの実施形態では、繊維状材料106は、隣接するロック用シート110の間に配置することができるが、明確にするために、繊維状材料106は図4及び図5から除去されている。図4及び図5のロック用シート110の任意の機構及び要素は、繊維状材料を含む本開示の装置に用いることができ、繊維状材料を隣接するロック用シート110の間に用いることができるが、隣接するロック用シート110の間に形成されたどの空間にも全て使用する必要はないことを理解されたい。
図4に示すように、第1のロック用シート110は、八角形の形状を有する島136を含み、各島136は、1つ以上のブリッジ138によって1つ以上の隣接する島136に各々接続される。島136は正方形のパック配列に配置され、ロック用シート110のパターンは、4つのブリッジ138によって4つの隣接する島136に各々接続された1つの中央の八角形の島136を含む繰り返しユニット、即ち、ユニットセルを含み、ブリッジ138は、各島136の八角形の一つおきの縁部がブリッジ138に接続されるように、島136の周りに等間隔に配置されている。一例として、各ブリッジ138は、90度屈曲部を含み、同じ島136から出て来る各ブリッジ138は、同じ方向(即ち、時計回り又は反時計回り)に曲がるので、開口領域134は、2つのブリッジ138を含む4つの隣接する島136の間に実質的に正方形の空間を含み、また、第1のロック用シート110のパターンは、各島136の中心の周りに4回の回転対称性を含む。
更に、島136の高密度な充填のために、このパターンは、千鳥状の島136の水平な列、千鳥状の島136の垂直な列、及び島136の斜めの列を含むことになる。各島136はブリッジ138を有し、このブリッジは、同じ水平列の任意の島136と同じ方向(即ち、時計回り又は反時計回り)に曲がるが、隣接する水平列の任意の島136とは反対の方向に曲がる。同様に、各島136はブリッジ138を有し、このブリッジは、同じ垂直列の任意の島136と同じ方向(即ち、時計回り又は反時計回り)に曲がるが、隣接する垂直列の任意の島136とは反対の方向に曲がる。しかし、各島136は、同じ斜めの列の(任意の方向の)隣接する島136とは反対の方向に曲がるブリッジ138を有する。
第2のロック用シート110’は、第1のロック用シート110と同じパターンを有し、即ち、島136’及びブリッジを備えるが、第1のロック用シート110の島136は、第2のロック用シート110’のブリッジと重なり合うように配置されているため、第2のロック用シート110’のブリッジは、図4で見ることができない。更に、第1のロック用シート110の各島136も、第2のロック用シート110’の4つの島136’と部分的に重なり合っている。
図4のロック用シート110,110’の特定のパターンは、例としてのみ示されており、特に、1つのロック用シート110内の中実領域132が、隣接するロック用シート110の開口領域134’と重なり合うことができるためには、どのように装置100の隣接するロック用シート110(例えば、同じパターンを使用する)を千鳥状にすることができるのかを説明するために、示されている。
不連続のロック用シートの例(即ち、離散した中実領域を使用する)を図7〜図10Dに例示し、以下で説明する。連続的なロック用シート(即ち、連続した中実領域を使用する)の追加の例を図11〜図25に例示し、以下で説明する。
加えて、又は代替的に、いくつかの実施形態では、装置100の隣接するロック用シート110(例えば、同じ又は異なるパターンを有するかどうかにかかわらず)は、各ロック用シート110に対して実質的に直交する、即ち、垂直であるz軸の周りを互いに回転させることができる。即ち、いくつかの実施形態では、ロック用シート110が同じパターンを含む場合であっても、パターンが互いに直接かつ全く同じに重なり合わないように、1つ以上のロック用シート110を互いに対して回転させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1のロック用シート110は、第2のロック用シート110に対して90度の角度でz軸の周りに回転させることができる。いくつかの実施形態では、例えば、3枚以上のロック用シート110が使用される場合、第1及び第3のシートがちょうど重なり合い(即ち、互いに対して回転させていない)、第2及び第4のシートが互いにちょうど重なり合うが、第1及び第3のシートに対してある角度で回転しているように、パターンの回転が各シートで交互になるようにロック用シート110を配置することができる。他の実施形態では、各ロック用シート110は、各隣接するロック用シート110に対してある角度で回転させることができる。例えば、第2のロック用シート110は、第1のロック用シート110に対して90度の角度で回転させることができ、第3のロック用シート110は、第2のロック用シート110に対して90度の角度で回転させることができ、以下同様である。
いくつかの実施形態では、1枚のロック用シート110は、中実領域132と開口領域134の2種類以上のパターンを備えることができる。即ち、いくつかの実施形態では、所定のロック用シート110内のパターンは一定である必要はない。例えば、ロック用シート110の周囲付近のパターンは、ロック用シート110の中心付近のパターンと異なることができ、あるいは、このパターンは、所定のロック用シート110の全体にわたって変化してもよいし、又は更にランダムであってもよい。
いくつかの実施形態では、1枚以上のロック用シート110は、包被102及び/又は1枚以上の他のロック用シート110に、1つ以上の点又は位置で固定(例えば、ピン止め又は接着)され得る。係る実施形態では、図7の離散した中実領域532を包被502に連結することに関して、以下に説明される連結手段のいずれかによって、ロック用シート110を、包被102及び/又は他のロック用シート110に連結することができる。
即ち、いくつかの実施形態では、装置100の少なくとも1枚のロック用シート110は、中実領域132及び開口領域134の変化するパターンを含むことができる。係るパターンの変化は、それ自体あるパターンに従うことができ、ブロックパターン(例えば、ロック用シート110の片半分のパターンと他の片半分の異なるパターン)であってもよく、ランダムであってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。
いくつかの実施形態では、ロック用シート110又はその一部分(例えば、繊維状材料106及び/又は別のロック用シート110に面するように向いた表面125,125’(図4及び図5参照))は、高摩擦表面を備えることができ、これは、各表面の材料組成及び/又はテクスチャによって、又は表面を(例えば、コーティングによって、高摩擦層をロック用シート110の所望の部分に連結すること、などによって)処理することによって、実現することができる。係る高摩擦表面は、装置100が第2の状態に変化するときに、ロック用シート110を1枚以上の他のロック用シート110及び/又は繊維状材料106と共に詰まらせることを容易にすることができる。その結果、係る高摩擦表面は、第2の状態の装置100の剛性(例えば、上述の剛性の種類のいずれか)を高めることができる。図4及び図5は、ロック用シート110,110’を示しているが、本開示の任意の支持シートは、繊維状材料106及び/又は別の支持シートに面するように向いた表面を含むことができ、係る表面は高摩擦表面を含むことができることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、高摩擦表面は、製造プロセスの固有の結果であり得る。例えば、紙自体が、真空下で相互係合する紙製の2枚のロック用シート110に関して、十分に高い摩擦表面を有することができる。他の実施形態では、エンボス加工、ナーリング加工、任意の適切な微細複製プロセス、研磨、サンドブラスト、成形、スタンピング、蒸着、高摩擦表面を形成する他の好適な手段、又はそれらの組み合わせ、のうちの1つ以上によって、高摩擦表面を形成することができる。
図5は、図4の2枚の千鳥状に重なり合ったロック用シート110,110’の一部分の側面断面図を示す。図5では、島136、136’及び前景の開口領域134、134’を含む前景の中実領域132、132’が示されているが、ブリッジ138及び背景の島136、136’は、明確化のために、各ロック用シート110、110’から除去されている。上述したように、繊維状材料106は、ロック用シート110、110’の間に形成された空間の少なくとも一部分に配置することができる。
図5に示すように、各ロック用シート110、110’は、他方のロック用シート110’、110に面するように構成された面125、125’を備える。しかし、第2のロック用シート110’の表面125’は、高摩擦表面、特に、第1のロック用シート110に向かってZ方向に延在する(又は第1のロック用シート110の方向にZ寸法を有する)係合機構140’を含むように構成されている高摩擦表面125’を含むものとして示されている。ほんの一例として、係合機構140’は、等間隔の柱として示されている。本開示のロック用シート上に使用することができる好適な構造化高摩擦表面の一例は、ミネソタ州セントポールの3M Companyから商品名「3M(登録商標)Gripping Material」として入手可能なテクスチャ加工又は構造化された材料である。
表面125’全体が高摩擦表面機構を含む必要はなく、むしろ、いくつかの実施形態では、表面125’の一部のみが高摩擦表面である。図5に示す実施形態では、第2のロック用シート110の各島136’は、例として柱又はペグを含むものとしてのみ示されている。いくつかの実施形態では、これらの柱は、各島136’の全領域にわたって分布することができ、いくつかの実施形態では、この柱は、一部又は全部の島136’のうちの一部の領域にわたって分布することができる。
この柱は、一例として、背の高い、細い、ピン状の円筒形のポストとしてのみ示されている。しかし、本開示の構造化された高摩擦表面に、他の断面形状(例えば、正方形、三角形、多角形など)の柱、四角錐、三角錐、他の好適な形状、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、さまざまな構造形状を使用できることを理解されたい。
図5には示されていないが、いくつかの実施形態では、第1のロック用シート110は、第2のロック用シート110’の係合機構140’を受け入れる(即ち、相互係合する)寸法の開口部又は凹部を備えることができる。代替的に、又は追加的に、第1のロック用シート110の表面125は、係合機構を含むこともでき、この係合機構は、第2のロック用シート110’に向かってZ方向に延在し、第2のロック用シート110’の構造140’と相互係合するか、又は、かみあうことができる。係る実施形態では、第1のロック用シート110上の係合機構は、第2のロック用シート110’上のものと同じである必要はなく、係合機構がなお構造140’と相互係合することができればよい。第1及び第2のロック用シート110、110’は各々、1つ以上の柱又は延長部、1つ以上の凹部又は開口部、又はそれらの組み合わせを含むことができるので、第1のロック用シート110は、一般に、複数の第1の係合機構を含む面125を有するものとしてほぼ説明することができ、第2のロック用シート110’は、複数の第1の係合機構に係合するように構成された複数の第2の係合機構を有するものとして説明することができる。
図5の千鳥状の構成は一例としてのみ示されており、高摩擦表面(例えば、相互係合する係合機構を含む)は、千鳥状ではない(例えば整列した)ロック用シートにおいても同様に使用され得ることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、特に、千鳥状の構成では、第1のロック用シート110の開口領域134は、第2のロック用シート110’の係合機構140’と相互係合するような寸法にすることができ、第1のロック用シート110の開口領域134が複数の第1の係合機構として機能することができる。他の実施形態では、ロック用シート110、110’は、中実領域132が各ロック用シート110の主表面内で互いに対して移動するとき、即ち、装置100が所望の形状に形成されるときに、第1及び第2のロック用シート110、110’の中実領域132、132’が各ロック用シート110の主表面からわずかでも傾いたり回転したりすることができるように、パターン化することができる。係る実施形態では、第1又は第2のロック用シート110又は110’の傾斜又は回転した中実領域132、132’は、各々、他方のロック用シート110’又は110の中実領域132’、132及び/又は開口領域134’、134と相互係合することができる。
隣接するロック用シート110上の構造は相互係合するものと記載することができるが、係る相互係合構造は、一般に可逆的に相互係合しており、装置100を第1の状態から第2の状態に変更し、所望であれば、再び第1の状態に戻すことができることを理解されたい。これによって、装置100が第2の状態に最初に変更された後でも、装置100の成形性は失われないものとなり得る。
図6A〜図10Dは、本開示のさまざまな形状成形可能な装置を示し、同様の数字は同様の要素を表す。図6A〜図10Dの形状成形可能な装置は、図1A〜図1C、図4及び図5に関して上述した装置100と同じ要素、機構、及び機能の多くを共有する。図6A〜図10Dに例示する実施形態の機構及び要素(及び係る機構及び要素の代替物)のより完全な説明については、添付の図1A〜図5を参照する。図1A〜図1C、図4及び/又は図5に関して上述した機構のいずれかは、図6A〜図10Dの実施形態のいずれかに適用することができ、その逆も同様である。
図6A〜図6Cは、本開示の別の実施形態に係る形状成形可能な装置400を示しており、この装置は、繊維状材料406及び連続的なロック用シート410を使用しており、このロック用シートは、連続的な中実領域432と、開口領域434と、繊維状材料406及び/又は隣接するロック用シート410に面するように構成された表面425と、を含んでいる。装置400は、概して、三次元的にかさばった構成とは対照的に、シート状若しくは板状であり、又は、シート状若しくは板状の構成を有する。図6A〜図6Cは、形状成形可能な装置400を使用する本開示の一実施形態に係る方法も示す。
装置400は、チャンバ404、繊維状材料406、ロック用シート410、ポート415、コネクタ422、及び真空源420を画定する包被402を含み、これらの各々は、単に例示のためにのみ、概略的に示されている。ロック用シート410の中実領域432及び開口領域434は、例示の目的で概略的に示されているが、ロック用シート410は、本開示の任意の他のロック用シートと全く同様にパターン化され、本開示の連続的なロック用シート(即ち、上述又は後述のいずれかのような連続的な中実領域432を使用する)を表すように意図されていることを理解されたい。図示のように、中実領域432は、島436を含むことができる。本開示の他の連続的なロック用シートパターンと同様に、島436は、開口領域434を通って延在するブリッジによって、隣接する島に接続することができるが、簡略化のために、ブリッジは図6A〜図6Cには示されていない。更に、7つの島436は、単に説明のためにのみ、例として示されている。
一例として示されるように、各ロック用シート410の表面425は、高摩擦表面を含み、特に、複数の係合機構440を含む。上側ロック用シート410は、複数の第1の係合機構440を有する第1のロック用シート410と呼ぶことができ、下側ロック用シート410は、複数の第1の係合機構440に係合するように構成された複数の第2の係合機構440を有する第2のロック用シート410と呼ぶことができる。表面425は、例として、表面425全体にわたって高摩擦表面、即ち、係合機構440を含むものとして示されているが、上述したように、これはその通りでなくてもよい。
係合機構440は、三角形の断面形状を有するものとして概略的に示されており、一方のロック用シート410の係合機構440が他方のロック用シート410の係合機構440と相互係合するようになっている。具体的には、係合機構440は、隣接するロック用シート410に向かってZ方向に突出する係合機構440を概略的に表し、ロック用シート410が接触すると、一方のロック用シート410からの係合機構440は、他方のロック用シート410の隣接する係合機構440間の開口部又は空間内に移動させられる。
2枚のロック用シート410は、例としてのみ、図6A〜図6Cに示されている。しかし、2枚の図示されたロック用シート410の代わりに、又はこれらに加えて、1枚以上の中実又はパターン化された支持シートを装置400に用いることができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、図示されたロック用シート410の一方又は双方は、代わりに中実又はパターン化された支持シートであってもよく、繊維状材料406及び/又は隣接する対向する支持シートと係合するように構成され得る表面425上にやはり高摩擦表面を含むことができる。
簡略化のために、2枚のロック用シート410しか図6A〜6Cに示されていないが、構造的に可能な又は必要なだけ多くのロック用シート410が装置400に使用され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、第1の状態の装置400の所望の材料特性を達成するために、ただ1つのロック用シート410(又は中実又はパターン化された支持シート)しか必要でない場合があり、繊維状材料406内で十分な相互係合を提供する一方で、ロック用シート410(又は中実又はパターン化された支持シート)と繊維状材料106との十分な相互係合を提供する。
3枚以上のロック用シート410(又は、中実若しくはパターン化された支持シート)を使用する実施形態では、2枚以上のロック用シート410は、各々、繊維状材料406及び/又は別のロック用シート410に面するように向いた表面425上に、1つ以上の高摩擦表面(例えば、係合機構440)を備えることができる。いくつかの実施形態では、各ロック用シート410(又は、2枚の隣接するロック用シート410の間若しくは2つの繊維状材料406の間に位置する少なくとも中間のロック用シート410)は、繊維状材料406及び/又は隣接するロック用シート410に面するように各々向いた2つの表面425を含むことができ、各表面425(例えば、上面及び下面)は、1つ以上の高摩擦表面(例えば、係合機構440を備えた)を含むことができる。
装置400は、図6Aに第1の状態で示されている。第1の状態では、チャンバ404内の圧力は、チャンバ404の外側の圧力、即ち、周囲圧力と実質的に同じであり得る。図6Bに示すように、第1の状態では、装置400は、任意の所望の形状に形成することができ、繊維状材料406及びロック用シート410(例えば、中実領域432)は、互いに対して摺動可能であり、及び/又は互いに近づいたり離れたりする(即ち、ロック用シート410に対して実質的に直交する、即ち、垂直であるZ方向に)ことができる。図6Bにも示されているように、包被402に加えて、ロック用シート410は、隣接するロック用シート410間の相対運動、並びに、各ロック用シート410の主表面内で起こり得る中実領域432間の相対運動のために、伸展可能又は成形可能である。更に、繊維状材料406は、繊維状材料406内の繊維間又は1つ以上のより長い繊維の部分間の相対運動、並びに、繊維状材料406とロック用シート410(又は使用される他の支持シート)のいずれかとの間の相対運動、に起因して、伸展可能かつ成形可能である。
所望の形状に達した後、真空源420を作動させてチャンバ404を排気し、これによって、チャンバ404内の圧力を周囲圧力よりも低下させることができる。チャンバ404が排気されるにつれて、ロック用シート410は、相互にかつ繊維状材料406と接触するように強制され、繊維状材料406内の容積(又は空間、空気又は間隙)は、少なくとも部分的に減少し、繊維状材料406は、それ自体がロックする(又は相互に係合する)ように強制され、装置400の所望の形状が本質的にロックされる。図6Cに示すように、ロック用シート410が高摩擦表面、特に係合機構440を含む実施形態では、1枚のロック用シート410の係合機構440は、上述したように、別のロック用シート410上の係合機構440と、及び/又は繊維状材料406と、相互係合することができる。隣接するロック用シート410間の(及び/又は繊維状材料406との)係る相互係合は、第2の状態の装置400の硬さ又は剛性を高めることができる。
上述したように、装置400は、図6Cに示すように、真空源420によって真空圧力を維持するか、又はチャンバ404内の圧力が低下した後にポート415又はコネクタ422を密閉することによって、所望の期間の間、第2の状態に維持することができる。
ここで、本開示の一実施形態に係る方法を、図6A〜図6Cの装置400に関して説明する。係る方法は、図6Aに示すように、装置400を第1の状態に設定することを含むことができ、この状態では、装置400が成形可能であり、繊維状材料406が自由に移動可能であり、繊維状材料406及びロック用シート410が互いに摺動可能であり、島436を含む各ロック用シート410の中実領域432は、ロック用シート410の主表面内で互いに対して移動可能である。また、第1の状態では、繊維状材料406又は別のロック用シート410に面するように向いたロック用シート410(又は固体又はパターン化された支持シート)の表面425上の任意の高摩擦表面(例えば係合機構440を含む)は、相互係合することなく、又は間欠的に係合することなく、隣接するロック用シート410上を、繊維状材料406又は別の高摩擦表面(例えば、係合機構440を含む)を通過して移動することができる。
この方法は、図6Bに示すように、装置400を所望の形状(即ち、三次元形状)に形成することを更に含むことができ、繊維状材料406内の相対運動と、ロック用シート410の中実領域432(例えば、島436)の相対運動とによって、装置400の成形性が少なくとも部分的に促進される。
図6Cに示すように、本方法は、チャンバ404を排気することにより、例えば、真空源420を作動させて、ポート415と任意選択的にコネクタ422とを経由して、チャンバ404からガス(例えば、実質的に全てのガス)を除去することによって、装置400を第1のロック解除状態から第2のロック状態に変化させることを更に含むことができる。チャンバ404を排気することにより、繊維状材料406(又はその中の空間、空気、又は空隙)の容積が減少し(又は排除される)、ロック用シート410が繊維状材料406及び任意選択的に(図示のように)互いに、直接的かつ密接に接触するようにし、それによって、装置400の全体的な硬さ又は剛性が増加して、装置400が本質的に所望の形状にロックされる。ロック用シート410の直接的かつ密接な接触には、隣接するロック用シート410上の係合機構440の相互係合(例えば、繊維状材料406を横切って、又はそれを通して)を含むことができ、隣接するロック用シート410の係合機構440が互いに対してロックされることになる。しかし、上述したように、係るロックは可逆的であり、チャンバ404から真空を解放することによって、装置400を第2の状態から形成可能な第1の状態に変化させることができる(即ち、チャンバ404を周囲圧力に戻すことを可能にする)。
図7は、本開示の別の実施形態に係る形状成形可能な装置500を示す。装置500は、一般にシート状若しくは板状であるか、又はシート状若しくは板状の構成を有する。形状成形可能な装置500は、チャンバ504を画定する包被502と、繊維状材料506と、中実領域532及び開口領域534を含む複数のロック用シート510と、チャンバ504を周囲と流体連通するように配置されたポート(又は開口部)515と、を備え、チャンバ504を排気するために真空源(図示せず)をポート515に連結することができる。図7の装置500と図1A〜図1Cの装置100との違いは、装置500が、不連続なロック用シート510を含むこと、即ち、離散した又は分離した中実領域532を含むことである。
図7に示すように、いくつかの実施形態では、離散した中実領域532は、互いに接続されていない「浮動」島を形成することができ、離散した中実領域又は浮動島と互換的に呼ぶことができる。係る実施形態では、この島は、ロック用シート510が顕著な適合性を有するように、基板(又はバッキング)、特に伸展可能な基板に連結することができる。いくつかの実施形態では、包被502の少なくとも一部(例えば、その上部又は底部又はその層)が、ロック用シート510の基板の少なくとも一部分として得られる。代替的に、又は追加的に、装置500には、ロック用シート510の基板の少なくとも一部を形成する追加の材料又は層を含むことができ、係る追加の材料又は層は、シート状又は板状とすることができ、チャンバ504内に配置され得る。係る追加の基板材料又は層は、図1A〜図1Cの包被102に関して上述したさまざまな材料のいずれかで形成することができる。しかし、この場合、当該基板は装置のガス不透過性包被502を含まないことがあるので、基板のガス透過性は高くなり得る。更に、いくつかの実施形態では、本開示の中実支持シート、パターン化支持シート、及び/又は連続的なロック用シートは、不連続なロック用シートが連結される基板としての役割を果たすことができる。
図1A〜図1Cと同様に、図7は、包被502の上面及び下面が実質的に離間し(即ち、それらを結合する側壁によって)、ロック用シート510が互いに実質的に離間していることを明確にするために示されている。しかし、この図は、ロック用シート510がどのように互いに重なり合ってチャンバ504内に配置され得るかを、より良くより明確に示すためにのみ用いられていることを理解されたい。実際には、装置500は、シート状又は板状の構成を有して、より平坦に見え得るものである。
図7の装置500は、例として2枚のロック用シート510を含むものとしてのみ示され、各々が、包被502即ち、その内面505に直接連結された離散した中実領域532を含む。しかし、上述したように、いくつかの実施形態では、装置500は、図示されたロック用シート510のうちの1枚だけを含むことができ、このロック用シートは、繊維状材料506をロック又は相互係合するように構成することができることを理解されたい。
図示されるように、ロック用シート510の中実領域532は、包被502の上部内面に連結されて、一方のロック用シート510を形成し、包被502の下部内面に連結されて、他方のロック用シート510を形成して、結果として得られるロック用シート510は、少なくとも部分的に重なり合って実質的に平行な構成を有し得る。いくつかの実施形態では、エンベロープ502の上部内面及び下部内面は、シート状装置500を提供するために全ての側面で封止され得るシート又はシート状層によって提供することができるが、シート状装置500を形成する他の手段も可能である。
中実領域532は、面ファスナー(例えば、ミネソタ州セントポールの3M Companyから3M(登録商標)DUAL LOCK(登録商標)の商品名で入手可能な相互係合材料に使用されているような不可逆的係合機構)、接着剤、粘着剤、クランプ、クリンプ、ヒートシール、ステッチ、ピン、ステープル、ネジ、釘、リベット、ブラッド、溶接(例えば、音波(例えば、超音波)溶接)、任意の熱接着技術(例えば、連結されるべき構成要素の一方又は双方に印加される熱及び/又は圧力)、他の好適な連結手段、又はそれらの組み合わせ、を含むがこれらに限定されないさまざまな連結手段によって、包被502(及び/又は使用される場合には基板)に連結することができる。
更なる例として、図7に示される上側ロック用シート510は、水平列及び垂直列に配置された複数の矩形状の島532を含み、各矩形島532の長辺はX方向に向き、下側ロック用シート510は、水平列及び垂直列に配置されているが、上側ロック用シート510の島532に対して90度回転された同じ矩形島532を含み、その結果、下側ロック用シート510の矩形の島532の長辺は、Y方向を向くか、あるいは、上側ロック用シート510の長辺方向(X方向)に対して実質的に垂直に向くことになる。即ち、図7の装置500は、互いに対して回転するパターンを有する隣接するロック用シート510(及び特に不連続なロック用シート510)の一例を示している。上側及び下側ロック用シート510の一方又は双方が高摩擦表面を含む実施形態では、回転したパターンは、例えば、装置500が第2の状態にあるとき、下側ロック用シート510の1つの島532が、上側ロック用シート510の2つ以上の島532と重なり合って相互に係合する(例えば、繊維状材料506を横切って、又はそれを通して)ことを確実にすることができ、これによって、個々のロック用シート510と排気された繊維状材料506の厚さの和に等しい厚さを有する1枚の剛性シートを生成するものである。
各ロック用シート510内の規則的に配置された矩形の箱状の島532(即ち、一様に離間した島の列)は、例としてのみ示されている。しかし、他の形状の島532も可能であるだけでなく、他の配置もまた可能であることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、島532は、円板形状であってもよく、又は別の有用な形状を有してもよい。これに加えて、又は代替として、島532は、異なるパターン(例えば、より密集したパターン)で、又はランダムな配列で配置することができる。いくつかの実施形態では、各島532は、隣接するロック用シート510内の島532の少なくとも一部分に重なり合うように、及び/又は繊維状材料506に重なり合うように配置することができる。更に、各ロック用シート510は、別のロック用シート510(2つ以上が使用される場合)と同じ大きさ及び形状の島532を含む必要はないか、あるいは、同じ又は類似のパターン若しくは配置を有する必要はない。むしろ、いくつかの実施形態では、2枚の隣接するロック用シート510は、異なる形状、サイズ、及び/又は異なる配置の島532を有することができる。
いくつかの実施形態では、図7に示すように、各ロック用シート510を包被502に連結することができ、他の実施形態では、各ロック用シート510を追加の基板に連結することができる。更に、他の実施形態では、装置500は、包被502に連結された不連続なロック用シート510と、(例えば、図7に示す2枚のロック用シート510の間の空間に配置された、例えば積層された)追加の基板に連結された不連続なロック用シート510と、の組み合わせを含むことができる。
更に、上述したように、いくつかの実施形態では、装置500は、不連続なロック用シート510、連続的なロック用シート、及び/又は1つ以上の中実の若しくはパターン化された支持シート、の組み合わせを含むことができる。例えば、1枚以上の連続的なロック用シート(又は、他の中実の若しくはパターン化された支持シート)は、図示された2枚の不連続なロック用シート510の間の空間でチャンバ504内に配置される、即ち、不連続なロック用シート510の一方又は双方と少なくとも部分的に重なり合う関係及び実質的に平行な構成、並びに、繊維状材料506、又は追加の繊維状材料若しくは繊維状材料506の一部分と重なり合う関係で配置することができる。係る実施形態では、単なる一例として、1枚以上の連続的なロック用シート(又は中実の又はパターン化された支持シート)は、隣接するロック用シート510に各々面するように構成された1つ以上の表面(即ち、上面及び/又は下面)を含むことができる。これらの表面の一方又は双方は、不連続なロック用シート510のうちの1枚と相互係合するように構成された高摩擦表面を備えることができる。即ち、本開示の任意の実施形態において、繊維状材料及び/又は別のロック用シートに面するように向いた支持シート(例えば、ロック用シート)の任意の表面上に高摩擦表面を使用することができる。
図8A〜図8Cは、本開示の別の実施形態に係る形状成形可能な装置600を示しており、この装置は繊維状材料606及び不連続なロック用シート610を使用し、このロック用シートは、離散した中実領域632と、開口領域634と、繊維状材料606及び/又は隣接するロック用シート610(及び/又は他の支持シート)に面するように構成された表面625と、を備えている。装置600は、一般に、シート状若しくは板状であるか、又はシート状若しくは板状の構成を有する。図8A〜図8Cはまた、形状成形可能な装置600を使用する本開示の一実施形態に係る方法を示す。
装置600は、チャンバ604、繊維状材料606、ロック用シート610、ポート615、コネクタ622、及び真空源620を画定する包被602を備え、これらは、各々単に説明の目的でのみ、概略的に示されている。簡略化のために、2枚のロック用シート610のみが示されており、上側ロック用シート610は、4つの離散した中実領域即ち、「島」632を含み、下側ロック用シート610は、上側ロック用シート610の島632に対して千鳥状に配置された5つの島を含み、上側及び下側のロック用シート610が直接的かつ密接に接触すると、2枚のロック用シート610は、相互に係合して本質的に1枚の剛性シートを形成することになる。
一例として、各ロック用シート610は、包被602、特にその内面605に直接連結しているものとして、示されている。具体的には、上側ロック用シート610は、包被602の上側又は上側内面に連結されているものとして示され、下側ロック用シート610は、包被602の下側又は下側内面に結合されているものとして示されている。
各ロック用シート610の表面625は、高摩擦表面を含み、特に、複数の係合機構640を備える。各ロック用シート610の離散した島632は、表面625を集合的に画定することができ、各ロック用シート610の表面625のうちの少なくとも一部分(例えば、島632のうちの少なくとも一部の島の少なくとも一部分)は、高摩擦表面を備えることができる。具体的には、ロック用シート610の各表面625は係合機構640を備える。
上側ロック用シート610は、複数の第1の係合機構640を有する第1のロック用シート610と呼ぶことができ、下側ロック用シート610は、複数の第1の係合機構640及び/又は繊維状材料606と係合するように構成された複数の第2の係合機構640を有する第2のロック用シート610と呼ぶことができる。表面625は、例として、表面625全体にわたって高摩擦表面、即ち、係合機構640を含むものとして示されているが、上述したように、これはその通りでなくてもよい。係合機構640は、三角形の断面形状を有するものとして概略的に示されており、一方のロック用シート610の係合機構640が他方のロック用シート610の係合機構640と相互係合するようになっている。具体的には、係合機構640は、隣接するロック用シート610に向かってZ方向に突出する係合機構640を概略的に表し、ロック用シート610が接触すると、一方のロック用シート610からの係合機構640は、他方のロック用シート610の隣接する係合機構640間の開口部又は空間内に移動される(例えば、繊維状材料606を横切って、又はそれを通して)。
簡略化のために、2枚のロック用シート610しか図8A〜図8Cに示されていないが、構造的に可能な又は必要なだけ多くのロック用シート610が装置600に使用され得ることを理解されたい。更に、図7に関連して上述した全ての代替案は、ただ1枚のロック用シート610(又は、中実の若しくはパターン化された支持シート)を使用することを含めて、図8A〜図8Cの装置600でも使用することができる。3枚以上のロック用シート610を使用する実施形態では、例えば、1枚以上の連続的なロック用シート(及び/又は、中実の若しくはパターン化された支持シート)を、図示された2枚の不連続なロック用シート610の間に配置することができる。加えて、又は代替的に、追加の基板に連結された島を有する1枚以上の不連続なロック用シートを、図示の2枚の不連続なロック用シート610の間に配置することができる。
更に、図示された3枚以上のロック用シート610を使用するいくつかの実施形態では、ロック用シート610は、各々、別のロック用シート610及び/又は繊維状材料606に面するように向いた表面625上に、(例えば、係合機構640を備えた)1つ以上の高摩擦表面を含むことができる。いくつかの実施形態では、各ロック用シート610(又は2つの隣接するロック用シート610の間に配置された少なくとも中間のロック用シート610)は、各々が隣接するロック用シート610及び/又は繊維状材料606に面するように向いた2つの表面625を含むことができ、各表面625(例えば、上面及び下面)は、(例えば、係合機構640を備えた)1つ以上の高摩擦表面を含むことができる。
装置600は、図8Aに第1の状態で示されている。第1の状態では、チャンバ604内の圧力は、チャンバ604の外側の圧力、即ち、周囲圧力と同じにすることができる。図8Bに示すように、第1の状態では、装置600は、任意の所望の形状に形成することができ、繊維状材料606及びロック用シート610(例えば、中実領域632)は、包被602の伸展性及び適合性のおかげで、互いに対して摺動可能であり、及び/又は互いに近づいたり離れたりする(即ち、ロック用シート610に対して実質的に直交する、即ち、垂直であるZ方向に)ことができる。図8Bにもまた示されているように、ロック用シート610は、包被の材料特性並びに各ロック用シート610の主表面内で起こり得る中実領域632間の相対運動のために、伸展可能であり成形可能である。更に、繊維状材料606は、繊維状材料606内の繊維間又は1つ以上のより長い繊維の部分間の相対運動、並びに、繊維状材料606とロック用シート610(又は使用される他の支持シート)のいずれかとの間の相対運動、に起因して、伸展可能かつ成形可能である。
所望の形状に達した後、真空源620を作動させてチャンバ604を排気し、チャンバ604内の圧力を周囲圧力よりも低くすることができる。チャンバ604が排気されるにつれて、ロック用シート610は、相互にかつ繊維状材料406と接触するように強制され、繊維状材料606内の容積(又は空間、空気又は間隙)は、少なくとも部分的に減少し、繊維状材料606は、それ自体がロックする(又は相互に係合する)ように強制され、装置400の所望の形状が本質的にロックされる。図8Cに示すように、ロック用シート610が高摩擦表面、特に係合機構640を含む実施形態では、1枚のロック用シート610の係合機構640は、上述したように、他のロック用シート610上の係合機構640と、及び/又は繊維状材料606と、相互係合することができる。隣接するロック用シート610間の(及び/又は繊維状材料606との)係る相互係合は、第2の状態の装置600の硬さ又は剛性を高めることができる。
更に、上述したように、上側ロック用シート610の島632は、下側ロック用シート610の島632に対して千鳥状に配置され、上側ロック用シート610の1つの島632が下側ロック用シート610の2つの島632と係合する(例えば、結合する係合機構640によって相互係合する)することができ、これによって、1つの剛性シートを形成し、第2の状態の装置600の結果として生じる剛性を高めることができる。
上述したように、装置600は、図8Cに示すように、真空源620によって真空圧力を維持するか、又はチャンバ604内の圧力が低下した後にポート615又はコネクタ622を密閉することによって、所望の期間の間、第2の状態に維持することができる。
本開示の一実施形態に係る方法を、図8A〜図8Cの装置600に関して説明する。係る方法は、図8Aに示すように、装置600を第1の状態に設定することを含むことができ、この状態では、装置600が成形可能であり、繊維状材料606が成形可能であり、繊維状材料606及びロック用シート610が互いに対して摺動可能であり、各ロック用シート610の中実領域、即ち、島632は、互いに対して移動可能(即ち、各ロック用シート610の主表面内で)である。更に、第1の状態では、繊維状材料606及び/又は別のロック用シート610に面するように向いたロック用シート610(又は中実の又はパターン化されたシート)の表面625上の任意の高摩擦表面は、相互係合することなく、又は間欠的に係合することなく、隣接するロック用シート610上を、別の高摩擦表面を通過して移動することができる。
この方法は、図8Bに示すように、装置600を所望の形状(即ち、三次元形状)に形成することを更に含むことができ、ここにおいて、繊維状材料606内の相対運動と、ロック用シート610の島632の相対運動と、包被602(又は、島が包被602に直接結合されていない場合、島が連結されている任意の基板)の材料構成と、によって、装置600の成形性が少なくとも部分的に促進される。
図8Cに示すように、本方法は、チャンバ604を排気することにより、例えば、真空源620を作動させて、ポート615と任意選択的にコネクタ622とを経由して、チャンバ604からガス(例えば、実質的に全てのガス)を除去することによって、装置600を第1のロック解除状態から第2のロック状態に変化させることを更に含むことができる。チャンバ604を排気することにより、繊維状材料606(又はその中の空間、空気、又は空隙)の容積が減少し(又は排除される)、ロック用シート610が繊維状材料606及び任意選択的に(図示のように)互いに、直接的かつ密接に接触するようにし、それによって、装置600の全体的な硬さ又は剛性が増加して、装置600が本質的に所望の形状にロックされる。ロック用シート610の直接的かつ密接な接触には、隣接するロック用シート610上の係合機構640の相互係合を含めることもでき、隣接するロック用シート640の係合機構640が互いに対してロックされることになる。しかし、上述したように、係るロックは可逆的であり、チャンバ604から真空を解放することによって、装置600を第2の状態から形成可能な第1の状態に変化させることができる(即ち、チャンバ604を周囲圧力に戻すことを可能にする)。
図9A及び図9B、並びに図10A〜図10Dは、不連続なロック用シートを使用する、本開示の他の実施形態に係る装置700及び800を示す。簡略化及び明瞭化のために、装置700及び800は、繊維状材料なしで示されており、以下の装置700及び800の説明は、不連続なロック用シートの機構に焦点を当てるものである。しかし、本開示の繊維状材料はまた、上述したように、上述の代替案のいずれかを含めて、図1A〜図1C、図6A〜図6C、図7及び図8A〜図8Cの装置に繊維状材料を使用する方法のいずれかに従って、装置700及び800で使用することができる。繊維状材料を装置700及び800においてどのように使用することができるかについてのより完全な説明については、図7及び図8A〜図8Cに伴う上記の説明を特に参照する。更に、装置が繊維状材料を使用する場合に、装置700及び800を使用する方法のより完全な説明については、図6A〜図6C及び図8A〜図8Cを参照する。
上述したように、図9A及び図9Bは、本開示の別の実施形態に係る装置700の拡大部分図を示す。装置700は、一般にシート状又は板状であり、2枚の不連続なロック用シート710を含む。
装置700は、チャンバ704を画定する包被702と、離散した中実領域(即ち、「島」)732及び開口領域734を含む複数のロック用シート710と、チャンバ704を周囲と流体連通するように配置されたポート(又は開口部)715と、を備え、チャンバ704を排気するために真空源(図示せず)をポート715に連結することができる。
装置700は、図7及び図8A〜図8Cの実施形態と同じ要素、機構及び機能の多くを含み、不連続なロック用シートもまた使用する。図9A及び図9Bの不連続なロック用シートの機構(及びそのような要素及び機構の代替物)のより完全な説明については、図7及び図8A〜図8Cに伴う上記の説明を参照する。
図9A及び図9Bの装置700と図7の装置500との違いは、図9A及び図9Bの不連続なロック用シート710が離散した島732を含み、この島732の各々が、包被702(又は基板)の内面705に直接連結された固定端742と、隣接するロック用シート710に向かって少なくとも部分的にZ方向に延在して包被702(又は基板)に直接結合されていない自由端744と、を含んでいる。島732の固定端742は、図7に関して上述した連結手段のいずれかによって、包被702(及び/又は、使用される場合には基板)に連結することができる。
更に、隣接するロック用シート710の島732の自由端744は、互いに重なり合う(シャッフルされているカードのデッキと同様に)ように構成されている。その結果、各ロック用シート710は、装置700が第1の状態で成形可能となるように、ロック用シート710の主表面内で互いに対して移動可能な島732をやはり含むものである。しかし、隣接するロック用シート710の重なり合う自由端744は、装置が第2の状態にあるときに、隣接するロック用シート710と、装置700の、結果として生じる剛性との間の密接な関係を深めることができる。一例として、いくつかの実施形態では、隣接する自由端744間の摩擦及び緊密な接触を高めるために、繊維状材料を隣接するロック用シート710の島732の自由端744の間に配置することができる。加えて、又は代替的に、繊維状材料は、少なくとも同じロック用シート710の島732の隣接する自由端744の間に配置することができる。更に、装置700において繊維状材料を使用する他の方法も可能であり、本開示の趣旨及び範囲内である。
いくつかの実施形態では、島732(又は少なくともその自由端744)は、少なくとも1つの隣接するロック用シート710、例えば隣接するロック用シート710の島732の1つ以上の自由端744に面するように向いた表面725を含むことができる。係る表面725は、高摩擦表面を含むことができ、上記の実施形態に記載された高摩擦表面機構又は代替物のいずれかを含むことができる。
更に、ロック用シート710は、包被702に直接連結されているように示されているが、代わりに、ロック用シート710は、上述したように追加の基板に連結することができ、及び/又は追加のロック用シート710を、例えば、図9A及び図9Bに示す2枚のロック用シート710の中間に使用することができることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、基板の上面及び下面に連結された浮動島を含む2枚の図示されたロック用シート710の間に不連続なロック用シートを使用することができる。係る島は、(図7のロック用シート510と同様の)固定端のみを含むことができ、及び/又は図示されたロック用シート710の一方又は双方の島の自由端に重なり合うように構成された自由端を含むことができる。
更に、簡略化のために2枚のロック用シート710のみが示されているが、構造的に可能な又は必要なだけ多くのロック用シート710を装置700内で使用することができ、2枚のロック用シート710は、包被702(又は他の基板)に直接連結されていない重なり合う自由端744を含む島732の概念を示すために、単に示されているだけであることを理解されたい。
明瞭化だけのために、重なり合った自由端744を有する島732は、固定端742から離れるように角度がついているとして図9A及び図9Bに示されており、包被702の上面及び下面は、実質的に離間して示されている。しかし、この図は、単に、島732の自由端744が互いに重なり合うことができる方法をより良く、より明確に示すために使用されており、実際には装置700はやはりシート状又は板状であり、ロック用シート710は互いに実質的に平行に向いているとみなすことができることを理解されたい。
図9A〜図9Bの各ロック用シート710は、1列の島732のみを含むように示されているが、ロック用シート710は、わずかに1列だけの島732を含むことができるし、可能な又は必要なだけ多くの島を含むこともできることを理解されたい。包被702は、2つ以上の列を収容するようなサイズにすることができる。更に、島732の自由端744は、1つの軸又は方向(例えば、X方向)に沿って重なり合って示されている。2つ以上の列が使用される場合、各列は、1つの軸に重なり合う自由端744を有する島732を含むことができ、この列(及び各列の軸)は、互いに対して実質的に平行に向けることができる。しかし、2列以上の島732を使用するいくつかの実施形態では、島732は、2つ以上の軸又は方向(例えば、X方向及びY方向)に沿って重なり合う自由端744を島が有することを可能にするような、サイズ及び形状にして、包被702(又は基板)に結合することができる。係る実施形態について、図10A〜図10Dに図示し、以下で説明する。
島732は、例えば、例示及び図示の目的のみのために、略矩形の形状を有するものとして示されている。しかし、例えば、円、三角形、四角形、台形、任意の他の多角形、不規則な又はランダムな形状、他の好適な形状、又はそれらの組み合わせ、を含むがこれらに限定されない、島732の任意の形状に関して、同一の構成を使用できることを理解されたい。1枚のロック用シート710の島732は、全て同じである必要はなく、いくつかの実施形態では、1枚のロック用シート710は、さまざまな形状、サイズ及び/又は材料の島732を含むことができる。更に、各ロック用シート710内の島732は、隣接するロック用シート710と同じ形状、サイズ、及び向きを有するものとして示されている。しかし、隣接するロック用シート710は、同じ形状、サイズ又は向きの島732を含む必要はないことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、ロック用シート710のうちの1枚は、正方形又は円形の島732を含むことができ、係る島732の自由端744の一部のみが、隣接するロック用シート710の島732の自由端744と重なり合うようにする。
いくつかの実施形態では、装置700は、不連続なロック用シート710、他の不連続なシート(図7の不連続なシート510など)及び/又は連続的なロック用シート、の組み合わせを含むことができる。係る実施形態では、例えば、不連続なロック用シートは、基板に連結された離散した島(即ち、固定端のみ及び/又は固定端及び自由な重なり合う端部を有する)を含むことができる。係る実施形態で使用される複数のロック用シートは、少なくとも部分的に重なり合う関係及び実質的に平行な構成で(例えば、少なくとも部分的に積層されて)配置することができる。更に、係る実施形態では、不連続なロック用シートが中間ロック用シート(即ち、2つの隣接するロック用シートを有する)として使用される場合、この不連続なロック用シートは、基板の上面及び下面に結合された離散した島を含むことができる。係る実施形態では、基板のいずれの側の島も、同様のサイズ、形状、及び/又は配置である必要はない。更に、中間に位置するロック用シートは、別のロック用シートに面するように向いた2つの表面(例えば、上面及び下面)を含むことができ、これらの表面の一方又は双方は高摩擦表面を含むことができる。即ち、本開示のいずれの実施形態においても、別のロック用シートに面するように向いたロック用シートの任意の表面に、高い摩擦表面を使用することができる。
図10A〜図10Dは、本開示の別の実施形態に係る装置800を示す。図10Aは、本開示の一実施形態に係る1つの島832の斜視図を示す。図10B〜図10Dは、図10Aの複数の島832を使用する、本開示の別の実施形態に係る装置800の拡大部分図を示す。
装置800は、チャンバ804を画定する包被802と、離散した中実領域(又は「島」)832及び開口領域834を含む複数のロック用シート810と、チャンバ804を周囲と流体連通するように配置されたポート(明瞭化のために除去し、図示せず)と、を備え、チャンバ804を排気するために、真空源(図示せず)をこのポートに連結することができる。装置800は、略シート状又は略板状であり、隣接するロック用シート810の島と2つの軸又は方向に沿って重なり合う島832を含む2枚の不連続なロック用シート810を備えている。
図10Aを参照すると、島832は、固定端842と自由端844とを含み、図10B〜図10Dに示され以下に説明するように、隣接するロック用シート810の島832と2つの軸又は方向で重なり合うように構成されている。単なる例として説明するために、島832は、図10Aに示す三次元形状に形成され、全てが異なるレベル又はZ軸位置にある9つの接続されたプラットフォーム845を有するものとして表されている。更なる例として、島832の最上部のプラットフォーム845aは、固定端842を形成する(即ち、包被802又は別の基板の上側内面に連結されるように構成されている)ように図10Aに示されているが、残りのプラットフォームは自由端844に含まれる。しかし、最下部のプラットフォーム845b(即ち、その裏面)は、それとは違って、島の固定端842を形成し(即ち、包被802又は別の基板の下側内面に連結されることによって)、残りのプラットフォーム845は自由端844に含まれることができることを理解されたい。これは、例えば、図10B〜図10Dに関してより詳細に説明するように、下部の又は下側ロック用シート810の島の場合である。島832の一部分又はコーナー(例えば、最上部又は最下部のプラットフォーム845)を包被802(又は別の基板)にどのように連結し得るのかをより明確に示すために、9つのプラットフォーム形状の島832が例としてのみ示され、島832の残りの部分が固定端842から2方向に延出して1つ以上の他の島832と重なり合うように構成された自由端844を形成できるようになっている。
図10B〜図10Dの装置800は、図9A及び図9Bの実施形態と同じ要素、機構及び機能の多くを含み、隣接するロック用シート710の島732の自由端744に重なり合う自由端744を有する島732を含む不連続なロック用シート710も使用される。図10A〜図10Dの実施形態の機構(及び係る要素及び機構の代替物)のより完全な説明については、図9A〜図9Bに伴う上記の説明を参照する。
図10B〜図10Dの装置800と図9A〜図9Bの装置700との違いは、図10B〜図10Dの離散した島832が、隣接するロック用シート810の島832の自由端844と2つ以上の方向に、特に、2つの軸(例えば、X軸及びY軸、又はそれらの方向)に沿って重なり合う自由端842を有することである。特に、図10B〜図10Dの装置800は、図9A及び図9Bの装置700の島732の各々がその幅に沿って区切られ、かつ、各島732の自由端744が、対向するロック用シート710の隣接する自由端744と2つの軸に沿って重なり合うだけでなく、2つの軸に沿って同じロック用シート710上の隣接する島732の自由端744と重なり合う、ことを想像することによって、理解することができる。
引き続き図10A〜図10Dを参照すると、島832の固定端842は、包被802(又は基板)の内面805に直接連結することができ、自由端844は、少なくとも部分的に、隣接するロック用シート810に向かってZ方向に延在することができる。係る自由端844は、包被802(又は基板)に直接結合されてはいない。島832の固定端842は、図7に関して上述した連結手段のいずれかによって、包被802(及び/又は使用される場合には、基板)に連結することができる。
図10B〜図10Dには、明確にするために、包被802の上部803及び下部803’の破断図が示され、包被802の上部803は、2つのロック用シート810及び島832をより良く説明するために破断されている。一例として、装置800は、第1の島832を含む第1ロック用シート810であって、各第1の島832は包被802の上部803(即ち、その内面805)に結合された固定端842を有する、第1ロック用シート810と、第2の島832’を含む第2ロック用シート810’であって、各第2の島832’は包被802’の下部803’(即ち、その内面805’)に結合された固定端842’を有する、第2の島832’を有する、第2ロック用シート810’と、を備えるものとして示されている。
図10B及び図10Cでは、第1のロック用シート810の右端の第1の島832の9つのプラットフォーム845が全て見える。特に、最上部のプラットフォーム845aは、包被802の上部803に連結された固定端842を形成し、残りのプラットフォームは、島832の自由端844を形成する。第1のロック用シート810の第1の島832が重なり合う第2のロック用シート810’の第2の島832’は、包被802の下部803’に結合された第2の島832’の固定端842’を形成する最下部のプラットフォーム845b’(即ち、その裏面)を含んでいる。次に、この重なり合う第1及び第2の島832、832’のパターンは、X方向及びY方向に継続するので、第1のロック用シート810の各第1の島832が第2のロック用シート810’の第2の島832’と直接重なり合い、一対の第1及び第2の島832、832’の各々の自由端844、844’は、図10C及び図10Dに更に示されるように、同様の一対の島832、832’とX方向及びY方向に重なり合うことになる。図10C及び図10Dは、第1及び第2のロック用シート810、810’の第1及び第2の島832、832’の対が2つの軸に沿ってどのように重なり合うかを更に示すための断面斜視図を示している。
上述した他の実施形態の場合と同様に、本開示から逸脱することなく、島832の他の形状、サイズ及び配置を装置800に使用することができる。更に、装置800の島832は全て同じ形状及びサイズを有するものとして示されているが、必ずしもその通りでなくてもよいことを理解されたい。更に、いくつかの実施形態では、装置800は、図10B〜図10Dの不連続なロック用シート810と、(i)固定端のみの不連続なロック用シート(例えば、図7の島532参照)と(ii)連続的なロック用シートのうちの1つ以上と、の組み合わせを含むことができる。更に、いくつかの実施形態では、島832(例えば、その自由端844)は、隣接するロック用シート810に面するように向いた1つ以上の表面を含むことができ、係る表面は、上述したように、高摩擦表面を含むことができる。
図11〜図25は、本開示の連続的なロック用シートのパターン(即ち、連続的な中実領域を使用する)のさまざまな実施形態を示し、同様の数字は同様の要素を表す。係るロック用シートは、本開示のいずれの装置にも使用することができ、包被によって画定されたチャンバ内で繊維状材料と組み合わせて使用することができる。
図11は、本開示の一実施形態に係るロック用シート910を示す。ロック用シート910は、中実領域932及び開口領域934を含む。中実領域932は、八角形状を有する島936を含み、各島936は、以下により詳細に説明するように、2つのブリッジ938によって隣接する各島936に接続される。ロック用シート910では、各々が1つのみではなく2つのブリッジ938に接続されている4つの面又は辺を各島が含むことを除けば、ロック用シート910のパターンは、図1及び図4のロック用シート110と同様である。
図11に示すように、島936は正方形のパック配列で配置され、ロック用シート910のパターンは、任意の方向(即ち、左、右、上、下)に伝搬することができる反復ユニット、即ち、ユニットセルを含み、この反復ユニット又はユニットセルは、8つのブリッジ938、即ち、隣接する島936当たり2つのブリッジ938によって4つの隣接する島936に接続される1つの中央八角形の島936を含んでいる。ブリッジ938は、中央島936の周りに等間隔に配置され、中央島936の一つおきの八角形端部が2つのブリッジ938に接続される。一例として、各ブリッジ938は、90度屈曲部を含み、島936の同じ端部から出て来る各ブリッジ対938は、互いに反対方向、即ち、時計回り及び反時計回りに曲がるので、開口領域934は、正方形空間の中心に向かって曲がる4つのブリッジ938を含む4つの隣接する島936の間の実質的に正方形の空間を含む繰り返しユニットを含み、第1のロック用シート910のパターンは、4つの対称軸に加えて、各島936の中心の周りに4回の回転対称性を含んでいる。
図12は、本開示の別の実施形態に係るロック用シート1010を示している。ロック用シート1010は、中実領域1032と開口領域1034とを含む。中実領域1032は、実質的に正方形の形状を有する島1036を含み、各島1036は、1つのブリッジ1038によって各々隣接する島1036に接続される。図12に示すように、島1036は正方形のパック配列で配置され、ロック用シート1010のパターンは正方形に配置された4つの隣接し連結された島1036を含む繰り返しユニット、即ち、ユニットセルを含んでいる。図12の各島1036は、各々4つのブリッジ1038によって4つの隣接する島1036に接続されている。例えば、第1の島1036は、第1の島1036と同じ垂直線上の、上側の1つの島1036と下側の1つの島1036に接続され、第1の島1036は、第1の島1036と同じ水平線上の左側の1つの島1036と右側の1つの島1036に接続されている。各ブリッジ1038は、第1の正方形の島1036の一辺から延在し、第1の正方形の島1036の辺と同じ幅を有する。
一例として、各ブリッジ1038は、2個の90度屈曲部を含み、これらの屈曲部は、島1036からの距離よりも互いに離れて配置され、パターン内の開口領域1034は、交互に並んだ水平及び垂直の「I」形状を含んでいる。ロック用シート1010のパターンは、水平方向及び垂直方向に向いた「I」字形の開口領域1034の長さに沿った対称線を備える。更に、2個の90度屈曲部の角度は合計180度になり、第1の屈曲部は、ブリッジ1038が島1036から延出するときに、時計回り又は反時計回り(左又は右)に屈曲し、同じブリッジ1038内の第2の屈曲部は、隣接する島1036に接続する前に、同じ方向、即ち、時計回り又は反時計回り(左又は右)に再び屈曲する。
各島1036は、各島から延出して全てが同じ方向(即ち、時計回り又は反時計回り)に屈曲する4つのブリッジ1038を有している。しかし、各島1036は、ブリッジ1038が、その接続された隣接する島1036のうちの1つから延出するブリッジ1038とは反対方向(即ち、反時計回り又は時計回り)に屈曲するブリッジ1038を有する。
図13は、本開示の別の実施形態に係るロック用シート1110を示す。ロック用シート1110は、中実領域1132及び開口領域1134を含んでいる。中実領域1132は、実質的に正方形の形状を有する島1136を含み、各島1136は、1つのブリッジ1138によって各隣接する島1136に各々接続される。図13に示すパターンは、ブリッジ1138に対する島1136の相対的サイズが変更されていることを除いて、図12のパターンと実質的に同じである。特に、図13のロック用シート1110の各ブリッジ1138の幅は、各島1136の辺よりも実質的に小さい。更に、各ブリッジ1138は、正方形の島1136の角の1つに直接隣接する、島1136の辺から延出するように配置されている。その結果、垂直に向いた「I」字形の開口領域1134の上部及び下部は、水平に向いた「I」字形の開口領域1134の長い中間セグメントに近接して配置され、水平に向いた「I」字形の開口領域1134の上部及び下部は、垂直に向いた「I」字形の開口領域1134の長い中間セグメントに近接して配置される。
図14は、本開示の別の実施形態に係るロック用シート1210を示す。ロック用シート1210は、中実領域1232及び開口領域1234を含む。中実領域1232は、実質的に正方形の形状を有する島1236を含み、各島1236は、各々1つのブリッジ1238によって各隣接する島1236に各々接続される。図14に示すように、島1236は正方形のパック配列で配置され、ロック用シート1210のパターンは、1つの島1236と、そこから隣接する島1236まで延出する4つのブリッジ1238の一部と、を含む繰り返しユニット、即ち、ユニットセルを含む。図14の各島1236は、4つのブリッジ1238によって各々4つの隣接する島1236に接続されている。例えば、第1の島1236は、その上の1つの島1236とその下の1つの島1236に接続され、第1の島1236は、その左側の1つの島1236に、その右側の1つの島1236に、更に接続される。各ブリッジ1238は、島1236の一つの面又は辺の幅よりも実質的に小さい幅を有し、正方形の島1236の角に直接隣接する島1236の面から延出している。
一例として、各ブリッジ1238は8個の90度屈曲部を含み、第1の4つの屈曲部は、全てが同じ方向(即ち、時計回り)にそれが延出している島1236の周りに外側に螺旋状に進み、第2の4つの屈曲部は全て、反対方向(即ち、反時計回り)に、隣接する島1236の周りをその島1236に向かって内側に螺旋状に進むものである。その結果、隣接する屈曲部間のブリッジ1238の長さは、それが延出する島1236の周りで漸進的に増加していき、隣接する屈曲部間のブリッジ1238の長さは、それが延出して接続する隣接する島1236の周りで漸進的に減少していく。
図15は、本開示の別の実施形態に係るロック用シート1310を示す。ロック用シート1310は、中実領域1332及び開口領域1334を含む。中実領域1332は、実質的に正方形の形状を有する島1336を含み、各島1336は、各々1つのブリッジ1338によって各隣接する島1336に各々接続される。図15に示すように、島1336は正方形のパック配列で配置され、ロック用シート1310のパターンは、1つの島1336と、隣接する島1336まで延びる4つのブリッジ1338の一部とを含む繰り返しユニット、即ち、ユニットセルを含んでいる。図15の各島1336は、4つのブリッジ1338によって各々4つの隣接する島1336に接続されている。例えば、第1の島1336は、その上の1つの島1336とその下の1つの島1336に接続され、第1の島1336は、その左側の1つの島1336とその右側の1つの島1336に、更に接続されている。各ブリッジ1338は、島1336の一つの面又は辺の幅よりも実質的に小さい幅を有し、正方形の島1336の角に直接隣接する島1336の面から延出している。
一例として、各ブリッジ1338は、10個の90度屈曲部を含んでいる。即ち、最初に90度屈曲部があり、次に1つの島1336の面から隣接する島1336の面に向かって外側に本質的にジグザグに進む4個の180度屈曲部があり、続いて、隣接する島1336に接続するための最後の90度屈曲部がある。所定の島1336の各面から出て来る最初の90度屈曲部は、同じ方向(即ち、時計回り、即ち、右向き)に曲がり、隣接する島1336への最後の90度屈曲部は、反対方向(即ち、反時計回り、即ち、左向き)に曲がる。ブリッジ1338が2つの隣接する島1336の間のほぼ中間の位置までジグザグで進むにつれて、ブリッジ1338の隣接する屈曲部間の長さは漸進的に増加していき、続いて、その隣接する島1336に向かって漸進的に減少していく。
図16は、本開示の別の実施形態に係るロック用シート1410を示す。ロック用シート1410は、中実領域1432及び開口領域1434を含む。中実領域1432は、実質的に正方形の形状を有する島1436を含み、各島1436は、各々1つのブリッジ1438によって各隣接する島1436に各々接続される。図16に示すパターンは、以下の点を除いて、図15のパターンと実質的に同じである。(i)図16の大きさは図15と異なる;図16の島1436及びブリッジ1438はより大きく、図16のロック用シート1410は面積当たり含む島1436の数がより少ない。(ii)各ブリッジ1438は、14個の90度屈曲部を含む;即ち、最初に90度屈曲部があり、次に、1つの島1436の面から隣接する島1436の面に向かって外側に本質的にジグザグに進む6個の180度屈曲部があり、続いて、その隣接する島1436に接続するための最後の90度屈曲部がある。(iii)所定の島1436の各面から出て来る最初の90度屈曲部は、反時計回り(即ち、左向き)に曲がり、隣接する島1436への最後の90度屈曲部は、反対方向、即ち、時計回り、つまり、右向きに曲がる。
図17は、本開示の別の実施形態に係るロック用シート1510を示す。ロック用シート1510は、中実領域1532及び開口領域1534を含む。中実領域1532は島1536を含み、各島1536は各々1つのブリッジ1538によって各隣接する島1536に各々接続されている。図17に示すパターンは、以下の点を除いて、図16のパターンと実質的に同じである。(i)島1536は、実質的に矩形(又は細長い平行四辺形)形状を有する。(ii)各ブリッジ1538は、6個の90度屈曲部を含む;即ち、最初に90度屈曲部があり、次に1つの島1536の面から隣接する島1536の面に向かって外側にジグザグに進む2個の180度屈曲部があり、続いて、その隣接する島1536に接続するための最後の90度屈曲部がある。(iii)島1536の長辺から延出するブリッジ1538の隣接する屈曲部間の長さは全ておおよそ互いに同じであり、島1536の短辺の場合のように漸進的に増加した後減少したりするようなことはない。(iv)図17の島1536とブリッジ1538との間の間隔(即ち、開口領域1534)がより狭い。
図18は、本開示の別の実施形態に係るロック用シート1610を示す。ロック用シート1610は、中実領域1632及び開口領域1634を含む。中実領域1632は、実質的に矩形(又は細長い平行四辺形)の形状を有する島1636を含み、各島1636は、各々1つのブリッジ1638によって各隣接する島1636に各々接続される。図18に示すパターンは、以下の点を除いて、図15のパターンと実質的に同じである。(i)島1536は、実質的に矩形(又は細長い平行四辺形)形状を有する。(ii)図18の島1636とブリッジ1638との間の間隔(即ち、開口領域1634)がより狭い。
図19は、本開示の別の実施形態に係るロック用シート1710を示す。ロック用シート1710は、中実領域1732及び開口領域1734を含む。中実領域1732は、正三角形の形状を有する島1736を含み、各島1736は、1つのブリッジ1738によって各隣接する島1736に各々接続される。開口領域1734は、高密度に充填された6本足の星印又は星型の切り抜きを含み、1つの星印状の開口領域1734の各脚部は、隣接する星印状の開口領域1734の脚部と実質的に重なり合う。
図19に示すように、島1736は六角形のパック配列で配置され、ロック用シート1710のパターンは、六角形に配列された6つの三角形の島1736と、そこから隣接する島1736まで延出するブリッジ1738の一部とを含む繰り返しユニット即ち、ユニットセルを含む。図19の各島1736は、3つのブリッジ1738によって3つの隣接する島1736に各々接続されている。例えば、第1の島1736は、その上又はその下の1つの島1736に、1つの側面上の1つの島1736に、他の側面上の別の島1736に、接続されている。各ブリッジ1738は、島1736の一つの面又は辺の幅よりも実質的に小さい幅を有し、三角形の島1736の角に直接隣接する、島1736の面から延出している。
一例として、各ブリッジ1738は、別の島1736に接続するための直近の第1の60度屈曲部及び第2の60度屈曲部を含み、2つの60度屈曲部の間のブリッジ1738の長さは、三角形の島1736の一面にほぼ等しく、2つの60度屈曲部間の各ブリッジ1738は、第1の島1736の一面と、第2の隣接する島1736の一面との間に沿って走るものである。一つの島1736から出て来る第1の60度屈曲部は、同じ方向(即ち、時計回り、即ち、右向き)に曲がり、隣接する島1736への第2の60度屈曲部は、反対方向(即ち、反時計回り、即ち、左向き)に曲がる。
図20は、本開示の別の実施形態に係るロック用シート1810を示す。ロック用シート1810は、中実領域1832及び開口領域1834を含む。中実領域1832は島1836を含み、各島1836は、各々1つのブリッジ1838によって各隣接する島1836に各々接続されている。図20に示すパターンは、下記の点を除いて、図19のパターンと実質的に同じである。即ち、図20に示すパターンでは、各ブリッジ1838が4個の60度屈曲部を含み、島1836の各面が3つのブリッジ1838によって隣接する島1836の面から分離され、隣接する屈曲部間のブリッジ1838の長さは、島1836の周りでブリッジ1838が接続する2つの隣接する島1836の間を走る位置までブリッジ1838が延出するにつれて増加していき、ブリッジ1838がその隣接する島1836の周りに延出して、その面に接続するにつれて減少していく。更に、6本足の星印状の開口領域1834の各脚部は、その脚部から延出してその脚部に対して60度に曲げられた尖端部を含んでいる。
図21は、本開示の別の実施形態に係るロック用シート1910を示す。ロック用シート1910は、中実領域1932及び開口領域1934を含む。中実領域1932は、島1936を含み、各島1936は、各々隣接する島1936に1つのブリッジ1938によって各々接続されている。図21に示すパターンは、下記の点を除いて、図19及び図20のパターンと実質的に同じである。即ち、図21に示すパターンでは、各ブリッジ1938が、6個の60度屈曲部を含み、最初の3個の屈曲部は、ブリッジ1938が延出してくる島1936の周りで同じ方向(即ち、時計回り)に曲がり、第2の3個の屈曲部は、隣接する島1936の周りで反対方向(即ち、反時計回り)に曲がる。島1936の各面が5個の屈曲部(又はブリッジ1938の一部)によって隣接する島1936の面から分離され、隣接する屈曲部間のブリッジ1938の長さは、島1936の周りでブリッジ1938が接続する2つの隣接する島1936の間を走る位置までブリッジ1938が延出するにつれて増加していき、ブリッジ1938が隣接する島1936の周りに延出して、その島の面に接続するにつれて減少していく。
図22は、本開示の別の実施形態に係るロック用シート2010を示す。ロック用シート2010は、中実領域2032及び開口領域2034を含む。中実領域2032は、島2036を含み、各島2036は、各々隣接する島2036に1つのブリッジ2038によって各々接続されている。図22に示すパターンは、下記の点を除いて、図20のパターンと実質的に同じである。即ち、図22に示すパターンでは、各ブリッジの幅は、三角の島2036の各面の幅と同じである(そして、島2036は、明らかな三角形の形状ではない)。その結果、星印状の開口領域2034が小さくなり、星印状の開口領域2034の脚部の幅が広くなり、1つの星印状の開口領域2034の脚部は、隣接する開口領域2034の脚部から更に離れており、また、この脚部は、隣接する開口領域2034の脚部と部分的にしか重なり合わない。
図23は、本開示の別の実施形態に係るロック用シート2110を示す。ロック用シート2110は、中実領域2132及び開口領域2134を含む。中実領域2132は、島2136を含み、各島2136は、各々隣接する島2136に1つのブリッジ2138によって各々接続されている。図23に示すパターンは、下記の点を除いて、図22のパターンと実質的に同じである。即ち、図23に示すパターンでは、各ブリッジ2138が4個の60度屈曲部を含み、島2136の各面が3個のブリッジ2138によって隣接する島2136の面から分離され、隣接する屈曲部間のブリッジ2138の長さは、島1836の周りでブリッジ2138が接続する2つの隣接する島2136の間を走る位置までブリッジ2138が延出するにつれて増加していき、ブリッジ2138が隣接する島2136の周りに延出して、その島の面に接続するにつれて減少していく。更に、6本足の星印状の開口領域2134の各脚部は、その脚部から延出してその脚部に対して60度に曲げられた尖端部を含んでいる。
図24は、本開示の別の実施形態に係るロック用シート2210を示す。ロック用シート2210は、中実領域2232及び開口領域2234を含む。中実領域2232は、島2236を含み、各島2236は、各々隣接する島2236に1つのブリッジ2238によって、各々接続されている。図24に示すパターンは、下記の点を除いて、図23のパターンと実質的に同じである。即ち、図24に示すパターンでは、星印状の開口領域2234はより密集して詰まっており、1つの星印状の開口領域2234の各脚部は、隣接する星印状の開口領域2234の脚部と実質的に重なり合う。その結果、図24の島2234は図23の島よりも小さくなり、図24のブリッジ2238は図23のブリッジよりも幅が狭くなる。
図25は、本開示の別の実施形態に係るロック用シート2310を示す。ロック用シート2310は、中実領域2332及び開口領域2334を含む。中実領域2332は、島2336を含み、各島2336は、各隣接する島2336に1つのブリッジ2338によって各々接続されている。各個別の島2336は、台形形状(特に、2つの長辺と2つの短辺を有する細長い台形)を有し、4つのブリッジ2338によって4つの隣接する島2336に各々接続されている。特に、1つのブリッジ2338は、各島2336の各面又は各辺から、島2336の角に直接隣接して延出し、すぐに曲がって、ブリッジ2338が延出してくる島2336の面に沿って(同時にまた、その辺と一体であるように)延出する。ロック用シート2310のパターンは、複数の島のクラスタ又はグループ2337を更に含み、各クラスタ2337は、略三角形を形成するように配置された3つの台形の島2336を含み、特に、各台形の島2336の短い方の長辺が、同じクラスタ2337内の隣接する島2336の短辺に面するように向いている。島2336の6つの三角形クラスタ2337は、ロック用シート2310のパターンに関して、略六角形の繰り返し単位、即ち、ユニットセルを形成するように、中心の周りに配置される。その結果、島クラスタ2337は、六角形にパックされた配列で配置されている。
各島2336は、上述したように、4つのブリッジ2338を有する。
(i)第1のブリッジ2338aは、台形の島2336の第1の短辺から延出し、時計回りの120度の屈曲部を含み、続いて時計回りの60度の屈曲部があり、次に反時計回りの60度の屈曲部が続き、次に、隣接する島2336に接続するために反時計回りの60度の屈曲部が続く。
(ii)第2のブリッジ2338bは、島2336の長辺から延出し、時計回りの60度の屈曲部を含み、これに続いて時計回りの60度の屈曲部があり、次に反時計回りの60度の屈曲部が続き、次に、隣接する島2336に接続するために反時計回りの120度の屈曲部が続く。
(iii)第3のブリッジ2338cは、島2336の第2の短辺から延出し、時計回りの60度の屈曲部を含み、続いて時計回りの120度の屈曲部があり、次に反時計回りの120度の屈曲部が続き、次に、隣接する島2336に接続するために反時計回りの120度の屈曲部が続く。
(iv)第4のブリッジ2338dは、長辺のうちの短い方から外側に延出し、時計回りの120度の屈曲部を含み、その後、島2336に接続されないで、短い方の長辺に隣接して延出し、続いて時計回りの120度の屈曲部があり、次に反時計回りの120度の屈曲部が続き、次に、隣接する島2336に接続するために反時計回りの60度の屈曲部が続く。
図11〜図25のロック用シートパターンは、例としてのみ示されているが、本開示のロック用シートには、他の好適なパターンもまた、使用することができることを理解されたい。更に、図11〜図25のパターンのいずれかの相対的寸法形状(即ち、アスペクト比)、間隔などは、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、示されているその通りのものから変更することができる。
更に、本図面に示される形状成形可能な装置の各実施形態は、本開示の形状成形可能な装置のさまざまな特徴説明の明瞭化のための別個の実施形態として示されている。しかし、本図面に示され、本明細書に記載された実施形態のいずれかの要素及び機構の任意の組み合わせが、本開示の形状成形可能な装置に使用できることを理解されたい。例えば、図1A〜図1C、図4及び図5の形状成形可能な装置100の機構及び要素(及び、係る機構及び要素の代替物)の説明(例えば、包被102、繊維状材料106、又はロック用シート110の材料構成と、包被102、繊維状材料106、又はロック用シート110、を製造する方法と、繊維状材料106及びロック用シート110のさまざまな構成又は配置と、あるいは任意の他の詳細と、に関するもの)のいずれも、図2及び図3、並びに図6A〜図10Dの実施形態に適用することができる。更に、図11〜図25のロックパターンのいずれも、本開示の任意の形状成形可能な装置の実施形態で使用することができる。
以下の実施形態は、本開示を例示することを意図しており、限定するものではない。
実施形態
1. 形状成形可能な装置であって、
装置を所望の形状に形成することができるように、装置が成形可能な第1の状態と、
装置が所望の形状を有し、第1の状態よりも実質的に、より成形しにくい第2の状態と、
チャンバを画定し、かつ、ガス不透過性材料で形成された包被と、
チャンバを周囲と流体連通するように配置されたポートと、
チャンバ内に配置された繊維状材料と、を備え、繊維状材料は、装置が第1の状態にあるときよりも第2の状態にあるときの方が、実質的に、より成形しにくい、装置。
2. 当該繊維状材料は少なくとも1つの繊維を含み、当該少なくとも1つの繊維は少なくとも10のアスペクト比を有する、実施形態1に記載の装置。
3. 当該繊維状材料は不織材を含む、実施形態1又は2に記載の装置。
4. 当該繊維状材料は繊維の束を含む、実施形態1から3のいずれか一項に記載の装置。
5. 当該繊維状材料は、
少なくとも装置が第1の状態にあるときに繊維状材料内で互いに対して移動可能な部分を有する繊維と、
少なくとも装置が第1の状態にあるときに、繊維状材料内で互いに対して移動可能な複数の繊維と、のうちの少なくとも一方を含む、実施形態1から4のいずれか一項に記載の装置。
6. 当該繊維状材料は、金属、ポリマー材料、セラミック、複合材料、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから形成される、実施形態1から5のいずれか一項に記載の装置。
7. 当該チャンバ内の繊維状材料に隣接して配置された支持シートを更に備える、実施形態1から6のいずれか一項に記載の装置。
8. 当該支持シートは中実シートを含む、実施形態7に記載の装置。
9. 当該支持シートはアニールされた金属を含む、実施形態7又は8に記載の装置。
10. 当該支持シートは、1つ以上の窪みを有するパターン化シートを含む、実施形態7から9のいずれか一項に記載の装置。
11. 当該支持シートは、主表面を有するロック用シートを含み、ロック用シートの少なくとも一部分は、中実領域及び開口領域を含むようにパターン化され、中実領域は、主表面内で互いに対して移動可能である、実施形態7から10のいずれか一項に記載の装置。
12. 当該中実領域は、第1の位置から、塑性変形なしに印加された力が除去された後に維持され得る第2の位置まで、当該主表面内で互いに対して移動可能である、実施形態11に記載の装置。
13. 当該中実領域は、有効引張弾性率(Eo)を有する材料で形成され、当該中実領域及び開口領域は、当該ロック用シートが全体的な有効引張弾性率(E1)を有するように、当該ロック用シート内に配置され、当該ロック用シートのE0/E1の比は少なくとも2である、実施形態11又は12に記載の装置。
14. 当該ロック用シートは、当該繊維状材料及び別の支持シートのうちの少なくとも一方に面するように向いた表面を含み、当該表面は高摩擦表面を含む、実施形態11から13のいずれか一項に記載の装置。
15. 当該ロック用シートは、連続的な中実領域を含む、実施形態11から14のいずれか一項に記載の装置。
16. 当該ロック用シートは、離散した中実領域を含む、実施形態11から15のいずれか一項に記載の装置。
17. 少なくとも1つの離散した中実領域が、基板に連結された固定端と、基板に連結されていない自由端とを含む、実施形態16に記載の装置。
18. 少なくとも部分的に重なり合って少なくとも部分的に同一平面上に配置された少なくとも2枚の支持シートを更に備え、当該繊維状材料の少なくとも一部分は、2枚の隣接する支持シートの間に配置される、実施形態1から17のいずれか一項に記載の装置。
19. 当該少なくとも2枚の支持シートは、互いに対して実質的に平行に向いた、実施形態18に記載の装置。
20. 当該少なくとも2枚の支持シートが、相互に係合するように構成された第1の支持シート及び第2の支持シートを含む、実施形態18又は19に記載の装置。
21. 少なくとも1枚の支持シートは中実シートを含む、実施形態18から20のいずれか一項に記載の装置。
22. 少なくとも1つの支持シートはアニールされた金属を含む、実施形態18から21のいずれか一項に記載の装置。
23. 少なくとも1枚の支持シートは、1つ以上の窪みを含むパターン化シートを備える、実施形態18から22のいずれか一項に記載の装置。
24. 少なくとも1枚の支持シートは、主表面を有するロック用シートを含み、当該ロック用シートの少なくとも一部分は、中実領域及び開口領域を含むようにパターン化され、中実領域は、主表面内で互いに対して移動可能である、実施形態18から23のいずれか一項に記載の装置。
25. 当該中実領域は、有効引張弾性率(Eo)を有する材料で形成され、当該中実領域及び開口領域は、各ロック用シートが全体的な有効引張弾性率(E1)を有するように、当該ロック用シート内に配置され、ロック用シートのE0/E1の比は少なくとも2である、実施形態24に記載の装置。
26. 当該ロック用シートは、当該繊維状材料及び別の支持シートのうちの少なくとも一方に面するように向いた表面を含み、当該表面は高摩擦表面を含む、実施形態24又は25に記載の装置。
27. 当該包被が、ポリジメチルシロキサン、液体シリコーンゴム、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから形成される、実施形態1から26のいずれか一項に記載の装置。
28. 当該チャンバは、第1の状態に対して、第2の状態で排気される、実施形態1〜27のいずれか一項に記載の装置。
29. 当該装置は、第1の状態のときに第1の剛性と、第2の状態のときに第2の剛性とを有し、第2の剛性と第1の剛性との剛性比が少なくとも2である、実施形態1から28のいずれか一項に記載の装置。
30. 当該装置は、第1の状態のときに第1の有効引張弾性率(EUL)と、第2の状態のときに第2の有効引張弾性率(EL)とを有し、第2の弾性率と第1の弾性率との比(EL/EUL)は少なくとも2である、実施形態1から29のいずれか一項に記載の装置。
31. 当該装置は、第1の状態のときに第1の有効曲げ弾性率(BUL)と、第2の状態のときに第2の有効曲げ弾性率(BL)とを有し、第2の弾性率と第1の弾性率との比(BL/BUL)は少なくとも2である、実施形態1から30のいずれか一項に記載の装置。
32. 当該装置は、第1の状態のときに第1の有効押込み弾性率(IUL)と、第2の状態のときに第2の有効押込み弾性率(IL)とを有し、第2の弾性率と第1の弾性率との比(IL/IUL)は少なくとも2である、実施形態1から31のいずれか一項に記載の装置。
33. 当該装置は、第1の状態のときに、ゼロでないガウス曲率を有する複雑な表面に実質的に適合するように構成されている、実施形態1から32のいずれか一項に記載の装置。
34. 当該装置はシート状である、実施形態1から33のいずれか一項に記載の装置。
35. 当該装置は、第1の表面寸法に対する厚さの第1の比と、第2の表面寸法に対する厚さの第2の比とを有し、第1の比及び第2の比は各々0.1未満である、実施形態1から34のいずれか一項に記載の装置。
36. 当該包被は低摩擦外表面を含む、実施形態1から35のいずれか一項に記載の装置。
37. 当該包被が、ポリジメチルシロキサン、液体シリコーンゴム、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから形成される、実施形態1から36のいずれか一項に記載の装置。
38. 当該ポートは、真空源に連結されるように構成されている、実施形態1から37のいずれか一項に記載の装置。
39. 当該繊維状材料は、当該チャンバ内に配置された複数の繊維状材料のうちの1つである、実施形態1から38のいずれか一項に記載の装置。
本発明は、その適用において、上述の説明に記載された、又は添付の図面に例示された構成要素の構成及び配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、さまざまな方法で実施又は実行することができる。また、本明細書において使用される語法及び専門用語は説明を目的としたものであり、限定するものとみなしてはならないことを理解されたい。他の実施形態を利用することもでき、また、構造的又は論理的な変更が、本発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることを更に理解されたい。
以下の実施例は、本開示の説明を目的としたものであって限定的なものではない。
実施例
実施例1−形状成形可能な装置(繊維状材料なし、ロック用シートのみ)−組み立て
図1B及び図1Cを参照して(繊維状材料106B及び106Cなしで)、3つの形状成形可能な装置100が、以下に記載される方法で組み立てられた。以下の説明は、図1B及び図1Cの参照番号を、「B」及び「C」という参照番号の表記なしで総称して呼ぶことにする。マサチューセッツ州フレイミングハムのStaples、Inc.から入手した11.43cm(4.5インチ)×11.43cm(4.5インチ)×9.7E−2cm(3.8E−3in)20ポンド紙の20枚のロック用シート110を、ロック用シート110の中実領域132と開口領域134を互いに整列させた状態で、互いに重ね合わせ積層して配置した。20枚のシートの各々は、図15に示されて説明された設計に合うようにパターン化された。次いで、20枚のロック用シート110の積層体をオハイオ州ウィックリフのLubrizol Corp.から入手した1.27E−2cm(5.0E−3インチ)の厚さのポリウレタン包被102の中に配置して、カリフォルニア州のAmerican International Electric of City of Industryから入手したAIE−100T Impulse Hand Sealerによって密封した。密封する前に、ポート115をポリウレタン包被102に挿入した。
20枚のシートがパターン化されていないことを除いて、3台の付加的な形状成形可能な装置100が上記の手順と同様に組み立てられた。
形状成形可能な装置100の状態をロック解除(成形可能)からロック(剛性)に変更するために、ミシガン州ベントンハーバーのGastから入手したDOA−P704−AAオイルレスダイヤフラム真空ポンプを、イリノイ州エルムハーストのMcMaster−Carrから入手したコネクタ122を経由して、ポート115に接続した。真空源120を作動させ、包被102内の圧力を約−78kPaに減圧して、形状成形可能な装置100の状態を成形可能から剛性に変化させた。真空源120は、装置をロック状態(即ち、第2の状態)に保つように維持された。
実施例2−形状成形可能な装置(繊維状材料なし、ロック用シートのみ)−性能
実施例1で組み立てられた6台の形状成形可能な装置100は、成形可能な(ロック解除された)状態及び剛性の(ロックされた)状態の間、その有効引張、曲げ及び押込み弾性率を決定するために3回の試験にかけられた。形状成形可能な装置100は、以下の試験手順により特徴付けられた。
試験手順
有効引張弾性率
有効引張弾性率は、形状成形可能な装置100をフロリダ州ラーゴのAmetek Measurement&Calibration Technologies(旧Lloyd Instruments)から入手したLF Plus Digital Material Testerに載置することによって測定した。フロリダ州ラーゴのAmetek Measurement&Calibration Technologies(旧Lloyd Instruments)から入手したゴム面の手動操作万力グリップを用いて、形状成形可能な装置100の2つの対向する端部をLF Plus Digital Material Testerにクランプした。3台の成形できる状態にある(ロック解除された)形状成形装置100の各々を3回試験し、伸長距離当たりの印加された力(N/mm)の平均値を記録した。3台の剛性状態にある(ロックされた)形状成形可能な装置100の各々を3回試験し、伸長距離当たりの印加された力(N/mm)の平均値を測定張力Tmeasuredとして記録した。
有効引張弾性率(即ち、矩形の試料の場合)は、単位幅当たりの力を歪みで除したものとして、
で定義される。上で説明した手順によって、力を伸びで除したもの、
を測定する。有効引張弾性率は、測定された張力T
measuredから、長さを乗じて試料の幅で除することによって、
で計算した。
有効曲げ弾性率
有効曲げ弾性率の測定は、フロリダ州ラーゴのAmetek Measurement&Calibration Technologies(旧Lloyd Instruments)から入手したゴム面の手動操作万力グリップを用いて、形状成形可能な装置100の1つの端部をクランプすることによって実施した。形状成形可能な装置100の他端は真下に向けられ(重力に合わせて)、バインダクリップでクランプされた。バインダクリップは、カリフォルニア州アーバインのShimano Corp.から入手した釣糸からなるケーブルにプーリを介して取り付けられ、バインダクリップを重力に直交させて引っ張り、フロリダ州ラーゴのAmetek Measurement&Calibration Technologies(旧Lloyd Instruments)から入手したLF Plus Digital Material Testerに取り付けて、撓み距離xを測定した。3台の成形できる状態にある(ロック解除された)形状成形可能な装置100の各々を3回試験し、曲げ(又は撓み)距離当たりの印加された力(N/mm)の平均値を記録した。3台の剛性状態にある(ロックされた)形状成形可能な装置100の各々を3回試験し、曲げ(又は撓み)距離当たりの印加された力(N/mm)の平均値を測定曲げBmeasuredとして記録した。
有効曲げ弾性率は、単位幅当たりの力を撓み角で除したものとして、
で定義される:撓み角は、
と近似する(小角度近似)ことができ、
を意味し、xは撓み距離である。上述の手順によって、力を撓み距離で除したもの、
を測定する。有効曲げ弾性率は、測定された曲げB
measuredから、長さを乗じて試料の幅で除することによって、
を計算した。
有効押込み弾性率
押込み剛性は、形状成形可能な装置100をリング支持構造体上に置くことによって行われた。形状成形可能な装置100は、リング支持構造体の表面を自由に摺動することができた。リング支持構造体の内径は2.40インチ(6.10cm)であった。フロリダ州ラーゴのAmetek Measurement&Calibration Technologies(以前のLloyd Instruments)から入手したLF Plus Digital Material Testerを用いて、形状成形可能な装置100の中心を押し付けるか、又は窪ませた。装置に押し付けられた先端の直径は0.63インチ(1.60cm)であった。3台の成形できる状態にある(ロック解除された)形状成形可能な装置100の各々を3回試験し、押込み距離当たりの押込み力(N/mm)の平均値を記録した。3台の剛性状態にある(ロックされた)形状成形可能な装置100の各々を3回試験し、伸長距離当たりの印加された力(N/mm)の平均値を記録した。
有効押込み弾性率は、試料に印加された力を撓み距離で除したものとして、
で定義される。これは上記の手順で行われた直接測定であるため、計算は必要ない。
試験の結果を表1に要約する。各試験の平均ロック剛性と平均ロック解除剛性との比も計算し、表1に記録した。
更に、実施例で使用されたポリウレタン包被102は、上述の「有効引張弾性率」の方法に従ってそれ自体で試験され、1.21N/mmの有効引張弾性率を有することが判明した。
このデータによって、中実紙を容易に伸長させることはできないので、その適合性は制限されるのに対して、パターン化紙(即ち、ロック用シート)は約1000倍伸長しやすいことが分かる。パターン化されていない紙(即ち、中実シート)は測定可能な変化がないのに対して、パターン化された紙のロック/ロック解除の伸長性に関する有意な比率が観察された。パターン化された紙では、押込み比もまた良好であった。中実(即ち、パターン化されていない)紙の押込み試験では、有意なしわも見られた。
例3−ロック用シートと中実シートのETM性能(繊維状材料なし)
6組のシートを以下の特性で組み立てた。(1)20枚のパターン化されていない(即ち、中実の)紙シートの積層体、(2)レーザーカッター(アリゾナ州スコッツデールのUniversal Laser Systemから入手可能なモデル番号ILS 9.75)を用いて図15のパターンで切断した20枚の紙の積層体、(3)パターン化されていない厚さ0.005インチのアニールされたアルミニウムの1枚シート、(4)図15に示すパターンを用いてウォータージェット切断によってパターン化された0.005インチ厚さのアニールされたアルミニウムの1シート、(5)厚さ1/16インチの2枚のパターン化されていないデルリンのシート、及び(6)図15のパターンで切断した1/16インチのデルリンの2枚のシート。実施例2の手順に従って、6組のシート全ての有効引張弾性率を試験した。この試験の結果を以下の表2にまとめた。
更に、パターン化された紙20枚を含むロック解除された装置の全体的なETM(Ea)は、表1に4.3(N/mm)と報告され、パターン化されていない紙のETM(Eo)は表2に24.5と報告されているので、20枚のパターン化された紙製のロック用シートを含む装置のEo/Eaの比は約6(24.5/4.3)である。
実施例4−形状成形可能な装置(繊維状材料のみ)
2台の形状成形可能な装置100を組み立てた。ロック用シートの代わりに繊維状材料のマットを包被の内側に置き、実施例1の手順に従って組み立てた。繊維状材料には、1)Steel Wool[McMaster Carr製の等級4のextra course steel wool]、2)Fiber Glass[Frost King 3/4” thick Multi−Purpose Fiberglass Insulationの端物からの2層カット]の2種類が使用された。これらの装置に、ロック解除状態及びロック状態(即ち、真空がない状態及びある状態)の間に、実施例2の3つの試験を行って、それらの有効引張弾性率、曲げ弾性率及び押込み弾性率を決定した。ETM、EBM及びEIMを計算し、表4にまとめた。
実施例5−形状成形可能な装置(繊維状材料及び支持シート)
形状成形可能な装置100を組み立てた。両面が0.005インチの厚さのアニールされたアルミニウムシート[1100シリーズ;降伏強さ2,500psi;Soft(23 Brinell)]で囲まれたスチールウール[McMaster Carr製の等級4のextra course steel wool]のマットを、ロック用シートの代わりに包被の内側に配置し、実施例1の手順に従って組み立てた。完成した構造は、ロック用シートの代わりに中実(即ち、パターン化されていない)支持シートを有し、図1Bに類似していた。これらの装置に、ロック解除状態及びロック状態(即ち、真空がない状態及びある状態)の間に、実施例2のEBM及びEIMの試験を行って、それらの有効曲げ弾性率及び押込み弾性率を決定した。EBM及びEIMを計算し、表5にまとめた。
実施例6−形状成形可能な装置(繊維状材料及びロック用シート)
形状成形可能な装置100を組み立てた。図15のパターンに従ってパターン化された両面が0.062インチの厚さのデルリン製ロック用シートで囲まれたスチールウール[McMaster Carr製の等級4のextra course steel wool]のマットを、ロック用シートの代わりに包被の内側に配置し、実施例1の手順に従って組み立てた。完成した構造は図1Bに類似していた。この装置に、ロック解除状態及びロック状態(即ち、真空がない状態及びある状態)の間に、実施例2の3つの試験を行って、有効引張弾性率、曲げ弾性率及び押込み弾性率を決定した。ETM、EBM及びEIMを計算し、表6にまとめた。
本明細書において引用された全ての参照及び刊行物は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
本開示のさまざまな特徴及び態様は、以下の請求項において述べられる。