本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は添付される図面とともに詳細に後述されている実施例を参照すれば明確となるであろう。しかし、本発明は以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され得、ただし、本実施例は本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるのみである。明細書の全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指し示す。
本明細書で使われた用語は実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書で、単数形は特に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子に一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。
特に定義しない限り、本明細書で使われるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者に共通して理解され得る意味で使われ得る。また、一般的に使われる辞書に定義されている用語は、明白に定義されていない限り理想的または過度に解釈されない。
以下、本発明の実施例によって傷治療装置を説明するための図面を参照して本発明について説明する。
以下、陰圧とは大気圧より低い圧力と定義され得る。また、大気圧は地域によって異なり得、陰圧は傷治療装置がある地域での大気圧より低い圧力と定義される。
図1は本発明の一実施例に係る傷治療装置を概略的に図示した図面である。
図1を参照すれば、本発明の一実施例に係る傷治療装置10は、陰圧出力部100、陰圧伝達部200、陰圧発生部300、キャニスター400および投薬剤供給部500を含む。
図1に図示された通り、陰圧出力部100は、傷部位Wに配置され、傷部位Wを密閉させる役割をする。説明の便宜のために本発明の一実施例で傷部位Wは凹んだ開放型傷を例にして説明するが、これに限定されるものではない。
陰圧出力部100は開放型傷部位Wに配置されるフォームドレッシング110と、傷部位を密閉するフィルムドレッシング120を含む。
フォームドレッシング110は、傷部位Wに配置され、陰圧によって傷から発生する滲出物を吸収する役割を遂行する。
フォームドレッシング110は、傷で発生した滲出物を効率的に排出するために、ポリウレタン、ポリエーテルなどの材質からなり得るが、これに限定されず、滲出物を効果的に排出できる材質であれば充分である。例えば、フォームドレッシング110が疏水性材質であるポリウレタン材質からなる場合、容易に滲出物を外部に排出することができる。
また、フォームドレッシング110は傷(W)に陰圧を分配し、傷から引っ張られた流体(滲出物など)を伝達できる通孔(pores)を含むことができる。例えば、フォームドレッシング110は滲出物を効率的に排出できるオープンセル網成形構造などで構成され得る。
また、フォームドレッシング110は、陰圧発生部300で供給された陰圧によって体積が可変され得る。例えば、フォームドレッシング110は後述するように、フィルムドレッシング120と傷部位Wの間に形成された密閉空間Sに陰圧が供給される時、陰圧によって体積が縮小されながら傷部位Wの表面に圧着される。また、フォームドレッシング120は密閉空間Sに陰圧供給が中止される場合、復原力によって縮小された体積が元の状態に戻ることになる。これに伴い、フォームドレッシング110は陰圧によって体積が可変され得る。
フィルムドレッシング120は、傷部位Wに隣接した皮膚に付着して、傷部位Wを密閉する役割を遂行する。図1に図示された通り、フィルムドレッシング120は、後述した吸入ヘッド210の一部を除いて傷部位Wを密閉する。
フィルムドレッシング120が傷部位Wに隣接した皮膚に付着することによって、フィルムドレッシング120は、傷部位Wとともに密閉空間が形成される。
フィルムドレッシング120は伸縮性を有する材質で形成される。これに伴い、フィルムドレッシング120は密閉空間S内の圧力が変化する時、密閉空間S内の圧力変化によって破れるか破綻されなくなる。
陰圧伝達部200は陰圧発生部300で生成された陰圧を陰圧出力部100に伝達する役割を遂行する。
図1に図示された通り、陰圧伝達部200は、フォームドレッシング110の一側面と連結される吸入ヘッド210と、吸入ヘッド210と陰圧発生部300を連通させるドレーンチューブ220を含む。
吸入ヘッド210は陰圧によってフォームドレッシング110に吸収された滲出物をドレーンチューブ220に案内する役割を遂行する。また、本発明の一実施例で吸入ヘッド220は、後述するように投薬剤供給部500の連結チューブ530から投薬剤を供給受けて傷部位Wに投与する役割も遂行できる。
吸入ヘッド210は、フォームドレッシング110の一側面と連結されるフランジ部211、ドレーンチューブ220と連結される第1連結管部212および連結チューブ530と連結される第2連結管部213を含む。
フランジ部211は第1連結管部212および第2連結管部213のうち少なくともいずれか一つと連結される複数の案内流路(図示されず)が形成される。フランジ部211は複数の案内流路を通じてフォームドレッシング110に吸収された滲出物を第1連結管部212に案内する。また、フランジ部211は第2連結管部213を通じて投薬剤供給部500で供給された投薬剤を複数の案内流路を通じて傷部位Wに均一に注入する。
ドレーンチューブ220の一端は第1連結管部212と連結される。これに伴い、ドレーンチューブ220は吸入ヘッド210を通じて密閉空間Sと間接的に連通することができる。所定の実施例で吸入ヘッド210は省略され得、この場合、ドレーンチューブ220の一端はフィルムドレッシング120を貫通して密閉空間Sと直接的に連通することができる。
また、ドレーンチューブ220の他端はキャニスター400と連結される。後述するように、キャニスター400は陰圧発生ユニット310の出力端312と連結されているため、ドレーンチューブ220はキャニスター400を通じて陰圧発生ユニット310と間接的に連通する。
ドレーンチューブ220が密閉空間Sと陰圧発生ユニット310と連通するため、ドレーンチューブ220は、陰圧発生ユニット310で生成された陰圧を密閉空間Sに供給することができる。
図1に図示された通り、陰圧発生部300は陰圧を生成する陰圧発生ユニット310、陰圧発生ユニット310を制御する制御部320および陰圧発生ユニット310で出力される陰圧を感知する圧力センサ330を含む。
陰圧発生部300は内部に陰圧発生ユニット310を具備し、陰圧発生ユニット310によって生成された陰圧を陰圧伝達部200を通じて陰圧出力部100に供給する。
陰圧発生ユニット310は、陰圧を生成し、ドレーンチューブ220を通じて密閉空間Sに供給する役割をする。例えば、陰圧発生ユニット310は内部に陰圧モーター(図示されず)を具備し、陰圧モーターによって生成された陰圧をドレーンチューブ220を通じて密閉空間Sに供給する。
また、陰圧発生ユニット310は制御部320によって作動が制御される。例えば、陰圧発生ユニット310は制御部320によって、陰圧モーターの駆動の有無、陰圧モーターの駆動時間、陰圧モーターで生成する陰圧の大きさなどが制御され得る。
陰圧発生ユニット310によって形成された陰圧は出力端312を通じて陰圧伝達部200のドレーンチューブ220に提供される。図1に図示された通り、出力端312はキャニスター400の他方と連結される。これに伴い、出力端312で提供される陰圧はキャニスター400を通じてキャニスター400の一側と連結されたドレーンチューブ220に提供される。
また、陰圧発生ユニット310の出力端312には圧力センサ330が連結される。
圧力センサ330は密閉空間S内の圧力を感知する役割を遂行する。例えば、圧力センサ330は出力端312側の圧力を感知する。出力端312、キャニスター400、陰圧伝達部200のドレーンチューブ220および密閉空間Sは連結された空間を形成するため、出力端312で感知された圧力情報で密閉空間S内の圧力情報を把握することができる。
制御部320は陰圧発生ユニット310と後述する投薬剤供給部500のイリゲーションユニット510を制御する役割を遂行する。制御部320に対する詳しい事項は後述する。
図1に図示されてはいないが、陰圧発生部300はキャニスター400と陰圧発生ユニット310の出力端312の間に疏水性フィルタ(図示されず)が具備され得る。疏水性フィルターは密閉空間Sから排出される滲出物などの液体が陰圧発生ユニット310に流入することを防止する役割を遂行する。
図1に図示されてはいないが、陰圧発生部300は陰圧発生部300をオン/オフ制御する電源ボタン(図示されず)が具備され得る。電源ボタンをオン(ON)とする場合、制御部320には陰圧発生ユニット310を作動させる作動信号が入力される。また、電源ボタンをオフ(OFF)とする場合、制御部320には陰圧発生ユニット310の作動を停止させる作動停止信号が入力される。
図1に図示されてはいないが、陰圧発生部300は陰圧によって密閉空間Sから排出される流体の流量を測定する流量センサ(図示されず)をさらに含むことができる。流量センサーはキャニスター400と陰圧発生ユニット310の間に配置され得る。
例えば、流量センサーは後述する陰圧発生ユニット310の出力端312と連結され得る。これに伴い、流量センサーはキャニスター400を通過して圧力発生ユニット310に移動する流体の流量を測定することができる。
密閉空間Sから排出される流体は密閉空間S内の気体および/または液体を含む。密閉空間S内の液体は傷部位Wで発生した滲出物を含むことができる。
密閉空間から排出される流体は陰圧伝達部200を通じてキャニスター400に流動することになる。キャニスター400に流動した流体のうちほとんどの液体は重力によってキャニスター400に収容され、ほとんどの気体は陰圧によって陰圧発生ユニット310に流動することになる。
これによって、陰圧伝達部200と陰圧発生ユニット310の間に配置された流量センサ(図示されず)は密閉空間S内の気体の流量を測定することができ、流量センサーで測定された流量情報は制御部320に伝達される。
投薬剤供給部500は、密閉された傷部位Wに投薬剤を注入し、傷部位Wの治療を促進させる役割をする。また、投薬剤供給部500は、イリゲーションユニット510、酸素供給ユニット520および連結チューブ530を含む。
傷部位Wに注入される投薬剤は精製水、殺菌数などの水などを含むことができる。また、投薬剤には傷部位Wの治療を促進する治療剤がさらに含まれ得る。また、投薬剤は酸素供給ユニット520から酸素の供給を受けて、酸素を含むことができる。
傷部位Wに注入された投薬剤は傷部位Wを洗浄し、陰圧発生部300で供給された陰圧によって外部に排出される。これに伴い、投薬剤は傷部位Wの感染菌などを除去する役割を遂行することができる。
イリゲーションユニット510は内部に所定量の投薬剤を収容するか投薬剤が貯蔵された別途の貯蔵容器から投薬剤が供給され得る。
イリゲーションユニット510は傷部位Wに投薬剤を供給する役割を遂行する。例えば、イリゲーションユニット510は、制御部320の制御によって電子バルブ(図示されず)を開放して投薬剤が傷部位Wに注入されるようにすることができる。それだけでなく、イリゲーションユニット510は制御部320の制御によって電子ペルプを閉鎖して傷部位Wに注入される投薬剤の注入を中止することができる。
ただし、所定の実施例でイリゲーションユニット510はポンプ(図示されず)を具備することができる。イリゲーションユニット510は制御部320の制御によってポンプを駆動して、投薬剤を傷部位Wに注入することができる。それだけでなく、イリゲーションユニット510は制御部320の制御によってポンプの駆動を停止して、傷部位Wに注入される投薬剤の注入を中止することができる。
また、イリゲーションユニット510は吸入ヘッド210の第2連結管部213と連結された連結チューブ530に連結される。これに伴い、イリゲーションユニット510は連結チューブ530を通じて投薬剤を傷部位Wに供給することができる。
また、イリゲーションユニット510は制御部320の制御によって投薬剤を前記傷部位Wの体積以下で注入させることができる。
酸素供給ユニット520は傷部位Wに供給される投薬剤に酸素を供給する役割を遂行する。例えば、酸素供給ユニット520は連結チューブ530上に配置され、連結チューブ530内を流動する投薬剤に酸素を供給することができる。
また、酸素供給ユニット520は制御部320の制御によって傷部位Wに投薬剤が注入される時にのみ投薬剤に酸素を供給することができる。例えば、酸素供給ユニット520は投薬剤の注入と同時に作動して、投薬剤に酸素を供給することができる。
連結チューブ530はイリゲーションユニット510と吸入ヘッド210の第2連結管213を連結する。これによって、連結チューブ530は、イリゲーションユニット510の投薬剤を傷部位Wに伝達する役割を遂行する。
本発明の一実施例において、投薬剤供給部500の連結チューブ530が吸入ヘッド210の第2連結管部213に連結されるにつれて、イリゲーションユニット510は吸入ヘッド210を経由して傷部位Wに投薬剤を注入する。
ただし、所定の実施例で投薬剤供給部500は密閉空間S内に配置され、連結チューブと連結された別途の注入ヘッド(図示されず)をさらに含む。また、イリゲーションユニット510は別途の注入ヘッドを経由して傷部位Wに投薬剤を注入することができる。
図1に図示された通り、陰圧発生部300とイリゲーションユニット510が別個のユニットで相互離隔して構成される場合には、陰圧発生部300とイリゲーションユニット510はそれぞれ制御信号を送受信する通信部(図示されず)を含むことができる。
それぞれの通信部は図1に図示された通り、陰圧発生部300とイリゲーションユニット510を連結する有線ケーブル(図示されず)を通じて電気的に連結されて制御部320とイリゲーションユニット510の間の制御信号を送受信することができる。
または、図示されていないが、それぞれの通信部はブルートゥース(登録商標)、Wi−Fiなどの近距離無線通信モジュールを含み、制御部320とイリゲーションユニット510の間の制御信号を無線で送受信するように構成することもできる。
以下、制御部320に対する詳しい事項を説明する。制御部320は、密閉空間Sの圧力が目標陰圧に到達するように陰圧発生ユニット310を制御することができる。
また、制御部320は密閉空間Sの圧力が目標陰圧に到達した後に、第1設定時間(t1〜t2、図7参照)の間、密閉空間Sの圧力が目標陰圧に維持されるように陰圧発生ユニット310を制御することができる。
制御部320は第1設定時間(t1〜t2)の経過後に第2設定時間(t2〜t3)の間、密閉空間Sへの陰圧の供給が中止されるように陰圧発生装置310を制御することができる。
制御部320は投薬剤が第2設定時間(t2〜t3)内に注入されるようにイリゲーションユニット510を制御することができる。
また、制御部320は密閉空間Sへの陰圧の供給中止と同時に傷部位Wに投薬剤が注入されるようにイリゲーションユニット510を制御することができる。陰圧の供給中止と同時に傷部位Wに投薬剤を注入させることによって、投薬剤を密閉空間S内の陰圧によって容易に傷部位Wに注入させることができる。
例えば、密閉空間Sへの陰圧の供給が中止される時、密閉空間S内の圧力は概略最低圧力である目標陰圧(P1、図7参照)となり、密閉空間Sへの陰圧の供給が中止された以後の密閉空間S内の圧力は概略大気圧(P0)に増圧される。
これによって、密閉空間Sへの陰圧の供給中止と同時に投薬剤を傷部位Wに注入する場合、投薬剤を密閉空間S内の圧力によって素早く傷部位Wに注入することができる。
また、投薬剤が陰圧の供給中止と同時に傷部位Wに注入されることによって、投薬剤は第2設定時間(t2〜t3)より多くの時間の間傷部位Wと接触状態を維持することができる。
投薬剤と傷部位Wの接触状態が所定時間の間維持されることによって、投薬剤が傷部位Wの感染菌の洗浄などをする時間を確保することができる。ただし、第2設定時間(t2〜t3)が長く形成される時、投薬剤が傷部位Wの接触状態を維持する時間が長く形成されて、傷部位Wがただれるか、傷部位で生成される肉芽組織が損傷する可能性がある。
したがって、第2設定時間(t2〜t3)は概略2分(min)となるように設定され得るが、これは一つの例示に過ぎず、第2設定時間(t2〜t3)は傷の大きさ、傷の具合などによって変更され得る。
また、第1設定時間(t1〜t2)は第2設定時間(t2〜t3)より長く形成され得る。密閉空間Sに陰圧を供給するのは傷部位Wで発生した滲出物を外部に排出することを主目的とする。すなわち、陰圧の供給は滲出物の排出による傷部位の治療を目的とする。これに反し、傷部位Wに投薬剤を注入するのは傷部位Wを洗浄して傷部位Wにある感染菌を除去することを主目的とする。
したがって、傷治療時間に対応する第1設定時間(t1〜t2)が傷洗浄時間に対応する第2設定時間(t2〜t3)より長く形成されることが好ましいであろう。例えば、第1設定時間(t1〜t2)は約13分と設定され、第2設定時間(t2〜t3)は約2分と設定され得る。
また、制御部320は第2設定期間(t2〜t3)内に傷部位Wへの投薬剤の注入が中止されるようにイリゲーションユニット510を制御することができる。これによって、傷部位Wには投薬剤の注入と投薬剤の排出が異なる時間に発生する可能性がある。
ただし、所定の実施例で制御部320は第2設定期間(t2〜t3)の経過後、傷部位Wに投薬剤の注入が中止されるようにイリゲーションユニット510を制御することができる。したがって、傷部位Wには投薬剤の注入と排出が同時に発生する時間を含む。
制御部320は第2設定時間(t2〜t3)の経過後に電源ボタンのオフ(OFF)などによる作動中止信号が入力されたかを判断する。制御部320は作動中止信号が入力されない場合、密閉空間Sに陰圧が供給されるように陰圧発生ユニット310を制御することができる。言い換えれば、制御部320は作動中止信号が入力されない場合、陰圧発生ユニット310を再び作動させる。
制御部320は第2設定時間(t2〜t3)の経過後に密閉空間Sに陰圧を供給することによって、傷部位Wに注入された投薬剤、傷部位Wで発生した滲出物などの流体をキャニスター400に排出することができる。
それだけでなく、制御部320は再び密閉空間Sへの圧力が目標陰圧(P1)に到達するように陰圧発生ユニット310を制御する。
また、制御部320はイリゲーションユニット510を制御するために制御信号を生成する。制御部320で生成された制御信号には投薬剤供給信号および投薬剤供給中止信号などを含むことができる。制御部320で生成された信号は前述した通信部を通じてイリゲーションユニット510に伝送される。
また、制御部320は流量センサ(図示されず)で測定された流体の流量に基づいて傷部位Wの体積を自動で算出する役割を遂行する。制御部320で算出された傷部位Wの体積は、傷に注入される投薬剤の注入量を決める役割をする。
例えば、制御部320はフィルムドレッシング120およびフォームドレッシング110が傷部位Wの表面に圧着される過程で排出された流体の流量を積算して傷部位Wの体積を算出することができる。
また、制御部320は、フィルムドレッシング120がフォームドレッシング110に圧着された時から密閉空間S内の圧力が目標陰圧に到達するまで測定された流体の流量を積算して傷部位Wの体積を算出することができる。
所定の実施例で制御部320はフィルムドレッシング120がフォームドレッシング110に圧着された時から密閉空間Sへの陰圧供給が中止されるまで測定された流体の流量を積算して傷部位Wの体積を算出することもできる。
また、制御部320は、測定された流体の流量変化率が臨界変化率を超過した時点から密閉空間S内の圧力が目標陰圧に到達するまで測定された流体の流量を積算して傷部位Wの体積を算出することができる。
制御部320は傷部位Wの体積が算出された場合、算出された傷部位Wの体積以下に投薬剤が注入されるようにイリゲーションユニット510を自動で制御することができる。例えば、後述するように、制御部320はイリゲーションユニット510の電子バルブ(図示されず)の開閉調節またはポンプ(図示されず)の作動調節などで傷部位Wに注入される投薬剤の注入量を調節することができる。
また、所定の実施例で制御部320は第2設定時間(t2〜t3)内に密閉空間S内の圧力が大気圧または一定圧力に到達する時、投薬剤の注入が中止されるようにイリゲーションユニット510を制御することができる。これによって、制御部320は密閉空間Sの圧力によって投薬剤の注入量を調節することができる。
制御部320は傷部位Wに注入される投薬剤に酸素が供給されるように酸素供給ユニット520を制御することができる。例えば、制御部320は通信部を通じて酸素供給ユニット520の作動を制御することができ、本発明の一実施例で制御部320は、投薬剤の注入と同時に投薬剤に酸素が供給されるように酸素供給ユニット520を制御することができる。
図2は本発明の一実施例に係る傷治療装置の作動方法を図示したフローチャートである。図3〜図6は本発明の一実施例に係る傷治療装置の作動過程を概略的に図示した図面である。図7は本発明の一実施例に係る傷治療装置の作動過程で密閉空間の圧力変化を概略的に図示したグラフである。
図2〜図7を参照すれば、まず、治療者が患者の傷部位(W、図3参照)にフォームドレッシング(110、図3参照)を配置する(S10)。傷部位Wに配置されたフォームドレッシング110は傷部位Wで発生する滲出物を吸収する。
図3に図示された通り、傷部位Wにフォームドレッシング110を配置した後、治療者は傷部位Wに隣接した皮膚にフィルムドレッシング(120、図3参照)を付着して、傷部位Wを密閉する(S20)。これによって、フィルムドレッシング120および傷部位Wの間には密閉空間(S、図1参照)が形成される。
傷部位Wが密閉された後、治療者は陰圧発生ユニット(310、図1参照)を作動させて前記密閉空間Sに陰圧発生ユニット310で生成された陰圧を供給する(S30)。これによって、密閉空間Sの圧力は陰圧発生ユニット310で供給された陰圧によって大気圧(P0、図7参照)から目標陰圧(P1、図7参照)に減圧される。
制御部(320、図1参照)は圧力センサ(330、図1参照)を通じて密閉空間S内の圧力を感知し、感知された密閉空間Sの圧力が目標圧力(P1、図7参照)に到達したかを判断する(S40)。
ここで、目標圧力(P1)は−125mmHgまたは−125mmHgを含んだ圧力範囲に設定され得る。例えば、目標圧力(P1)は−125mmHgから+5mmHgと−5mmHgの圧力範囲に設定され得る。
また、−125mmHgとは、大気圧より125mmHg低い圧力を意味する。また、一般に大気圧は概略760mmHgと定義され、大気圧より125mmHg低い圧力は概略635mmHgと定義される。しかし、本発明の一実施例で大気圧は0と定義され、大気圧より125mmHg低い圧力は−125mmHgと定義される。
制御部320は、密閉空間S内の圧力が目標圧力(P1)に到達する時、第1設定時間(t1〜t2、図7参照)の間前記密閉空間Sの圧力を目標陰圧(P1)の一定範囲内で維持させる(S50)。
第1設定時間(t1〜t2)は約13分(min)となるように設定され得、これは一つの例示に過ぎず、第1設定時間(t1〜t2)は傷の大きさ、傷の具合などによって変更され得る。
制御部320は、第1設定時間(t1〜t2)の間陰圧発生ユニット310のオン/オフを繰り返しながら密閉空間Sの圧力を一定範囲内で一定に維持させることができる。
例えば、制御部320は、密閉空間Sの圧力が既設定された目標陰圧(P1)に維持されるようにするために、陰圧発生ユニット310を作動および停止を繰り返す。言い換えれば、制御部320は、密閉空間S内の圧力が目標陰圧(P1)より高くなる場合、陰圧発生ユニット310を作動させて密閉空間S内の圧力を低くし、密閉空間S内の圧力が目標陰圧(P1)より低くなる場合、陰圧発生ユニット310の作動を停止して密閉空間S内の圧力を高くすることができる。これによって、密閉空間S内の圧力は目標陰圧(P1)に一定に維持され得る。
ただし、制御部320は密閉空間S内の圧力が目標圧力(P1)に到達しない場合、密閉空間Sに陰圧発生ユニット310で生成された陰圧を供給するようにして、密閉空間Sの圧力が目標陰圧(P1)に到達するようにする。
また、図2には図示していないが、流量センサ(図示されず)は陰圧発生部200から密閉空間Sに供給された陰圧によって、密閉空間Sから排出される流体の流量を測定する。
流量センサーは測定された流体の流量情報を制御部320に伝達する。制御部320は流量センサーで測定された流体の流量に基づいて傷部位Wの体積を算出することができる。
例えば、図4に図示された通り、制御部320はフィルムドレッシング120がフォームドレッシング110に圧着された後にも密閉空間Sに陰圧供給し続ける。これによって、図5に図示された通り、フィルムドレッシング120およびフォームドレッシング110は傷部位Wの表面に圧着される。すなわち、フィルムドレッシング120が圧着されたフォームドレッシング110は傷部位Wの表面に圧着される。
フィルムドレッシング120およびフォームドレッシング110が傷部位Wの表面に圧着される過程においても密閉空間内の流体が排出される。フォームドレッシング110は傷部位Wに配置されるので、フィルムドレッシング120およびフォームドレッシング110が圧着される過程で排出される流体の量は概略傷部位の体積に対応され得る。
これによって、制御部320はフィルムドレッシング120およびフォームドレッシング110が傷部位Wの表面に圧着される過程で排出される流体の流量を積算する場合、傷部位Wの体積を算出することができる。
また、図3に図示された通り、フィルムドレッシング120がフォームドレッシング110に圧着される過程では、陰圧の抵抗力でフィルムドレッシング130の引張り力などが作用するようになる。
しかし、図4および図5に図示された通り、フィルムドレッシング120およびフォームドレッシング110が傷部位Wの表面に圧着される過程では陰圧の抵抗力でフィルムドレッシング130の引張り力およびフォームドレッシング110の圧縮力などが作用するようになる。
フィルムドレッシング120およびフォームドレッシング110が傷部位Wの表面に圧着される過程の陰圧の抵抗力がフィルムドレッシング120がフォームドレッシング110に圧着される過程の陰圧の抵抗力より大きいので、フィルムドレッシング120およびフォームドレッシング110が傷部位Wの表面に圧着される過程で排出される流体の流量はフィルムドレッシング120がフォームドレッシング110に圧着される過程で排出される流体の流量より小さく形成される。したがって、密閉空間Sから排出される流体の流量は大きく変化するようになる。
したがって、制御部320は流量センサ(図示されず)で測定された流体の流量変化率が既設定された臨界変化率を超過した時点から測定された流体の流量を積算して傷部位Wの体積を算出することができる。
例えば、制御部320は流体の流量変化率が臨界変化率を超過した時点から密閉空間内の圧力が目標陰圧に到達した時まで測定された流量の流量を積算して傷部位Wの体積を算出することができる。
また、所定の実施例で制御部320は流体の流量変化率が臨界変化率を超過した時点から陰圧発生ユニット310の駆動が止まる時点(密閉空間内の圧力が目標陰圧に到達した時から第1設定期間の間)まで測定された流体の流量を積算して傷部位Wの体積を算出することもできる。
制御部320は第1設定時間(t1〜t2)の経過後、第2設定時間(t2〜t3、図7参照)の間密閉空間Sに陰圧発生ユニットに310で生成された陰圧の供給を中止させる(S60)。
第2設定時間(t2〜t3)は概略2分(min)となるように設定され得るが、これは一つの例示に過ぎず、第2設定時間(t2〜t3)は傷の大きさ、傷の具合などによって変更され得る。
また、図6に図示された通り、制御部320は第2設定時間(t2〜t3)内に傷部位Wに投薬剤が注入されるようにイリゲーションユニット(510、図1参照)を制御する(S70)。
制御部320は密閉空間Sへの陰圧の供給中止と同時に投薬剤が傷部位Wに注入されるようにイリゲーションユニット510を制御することができる。これによって、密閉空間Sへの陰圧の供給中止と傷部位Wへの投薬剤の注入間にはインターバル(interval)が無いようにして、傷治療の効率性を向上させることができる。
陰圧の供給中止と同時に投薬剤が注入される場合、投薬剤は第2設定時間(t2〜t3)より多い時間の間傷部位Wと接触状態を維持することができる。
また、制御部320は算出された傷部位Wの体積以下に投薬剤が注入されるようにイリゲーションユニット510を制御することができる。
第2設定時間(t2〜t3)の経過後、制御部320は陰圧発生部300の陰圧発生ユニット310の作動を停止させる作動停止信号が入力されたかを判断する(S80)。
制御部320は作動停止信号が入力されない場合、陰圧発生装置310を再び作動させて、密閉空間Sに陰圧を再び供給する。すなわち、制御部320は第2設定時間(t2〜t3)の経過後、密閉空間Sの圧力を目標陰圧に到達させる段階を再遂行することができる。これによって、前述した過程は前述した作動停止信号が入力される前まで継続して繰り返され得る。
密閉空間Sに陰圧が再び供給されることによって、傷部位Wに注入された投薬剤はキャニスター400に排出され得る。制御部320は第2設定時間(t2〜t3)内に傷部位Wへの投薬剤の注入が中止されるようにイリゲーションユニット510を制御することができる。この場合、傷部位Wには投薬剤の注入と投薬剤の排出が異なる時間に発生する可能性がある。
ただし、前述した通り、制御部320が第2設定時間(t2〜t3)の経過後、傷部位Wに投薬剤の注入が中止されるようにイリゲーションユニット510を制御する場合、傷部位Wには投薬剤の注入と排出が同時に発生する時間を含むことができる。
また、密閉空間Sに陰圧供給から傷部位Wに投薬剤を注入する過程は一つのサイクルからなる。したがって、所定の実施例では、作動停止信号の入力がなくても既設定されたサイクル回数だけ継続して繰り返された後、陰圧発生部300の作動を停止することができる。
以上では本発明の好ましい実施例について図示して説明したが、本発明は前述した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明が属する技術分野で通常の知識を有した者によって多様な変形実施が可能であることはもちろん、このような変形実施は本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。
本発明の実施例に係る傷治療方法は、傷部位にフォームドレッシングを配置する段階、前記傷部位に隣接した皮膚にフィルムドレッシングを付着して前記傷部位を密閉する段階、前記フィルムドレッシングおよび前記傷部位の間に形成される密閉空間に陰圧発生ユニットで生成された陰圧を供給して、前記密閉空間の圧力を目標陰圧に到達させる段階、第1設定時間の間前記密閉空間の圧力を前記目標陰圧に維持させる段階、前記第1設定時間の経過後、第2設定期間の間前記陰圧の供給を中止する段階、および前記第2設定時間内に前記傷部位に投薬剤を注入する段階を含む。
本発明の実施例に係る傷治療装置は、傷部位に配置されたフォームドレッシング、前記傷部位に投薬剤を供給するイリゲーションユニット、前記傷部位に隣接した皮膚に付着して前記傷部位を密閉させるフィルムドレッシング、陰圧を生成して、前記フィルムドレッシングおよび前記傷部位の間に形成された密閉空間に前記陰圧を供給する陰圧発生ユニット、前記陰圧発生ユニットおよび前記密閉空間を連結し、前記陰圧発生ユニットで生成された前記陰圧を前記密閉空間に伝達する陰圧伝達部および前記陰圧発生ユニットと前記イリゲーションユニットを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記陰圧の供給中止と同時に前記傷部位に投薬剤が注入されるように前記陰圧発生ユニットおよび前記イリゲーションユニットを制御する。