JP2018505874A - 選択的シグナリング特性及びより低い分裂促進性を有するインスリンアナログ - Google Patents

選択的シグナリング特性及びより低い分裂促進性を有するインスリンアナログ Download PDF

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Abstract

【解決手段】 二鎖インスリンアナログは、位置B10におけるアスパラギン酸、位置B24におけるペンタ−フルオロ−フェニルアラニン、任意で位置A8におけるヒスチジンまたはグルタミン酸、任意で位置A13及び/またはA14及び/またはB28及び/またはB29における追加の置換または改変を含有する。そのアナログは、ヒトインスリンなどの哺乳類インスリンのアナログであってもよく、任意で、(i)B鎖からの1、2、または3残基のN末端欠失、(ii)少なくとも1つの酸性残基を含有する、B鎖のモノペプチドまたはジペプチドC末端伸長、及び(iii)当技術分野においてインスリンの安定性を増強することが知られている他の改変を含みうる。インスリンアナログ単量体あたりの亜鉛イオン0.00〜0.10のモル比での亜鉛イオンの非存在下または存在下で、少なくとも範囲7.0−8.0にあるpH値において可溶溶液の、U−100〜U−1000の連続的強度にある、上記のアナログの製剤。【選択図】 なし

Description

連邦政府により助成される研究または開発に関する記述
本発明は、National Institutes of Healthにより助成金第DK040949号、及び第DK074176号のもと授与された、共同契約下の政府支援でなされた。政府は、本発明において一定の権利を有しうる。
本発明は、より高い熱力学的安定性、より低い分裂促進性、及び亜鉛イオンの非存在下で高いタンパク質濃度(1−5mM)における速効型製剤の容易性などの、強化された薬学的特性を呈するポリペプチドホルモンアナログに関する。より具体的には、本発明は、(野生型インスリンによるシグナリングと比較して)改変されたまたは選択的な受容体後シグナリング特性を与えるインスリンアナログに関する。本発明のインスリンアナログは、従って、アナログが、(i)強化された熱力学的安定性、(ii)0.6mMより大きいタンパク質濃度におけるより低い自己会合、及び(iii)血液グルコース濃度に同様の低下を呈するためには哺乳類における皮下または静脈内注射の際にはより多数のタンパク質分子が必要とされるかもしれないが、ヒトインスリン分子の生物学的効能の少なくとも一部を引き起こすような、アミノ酸置換の新規の組合せを含有する2つのポリペプチド鎖からなる。
治療薬及びワクチンを含む非標準的タンパク質の工学的操作は、幅広い医学的及び社会的利益を有しうる。人間、他の哺乳類、脊椎生物、無脊椎生物、または真核細胞全般のゲノム中にコードされるような天然起源のタンパク質は、細胞のコンテキスト内では最適に機能するように進化してきたかもしれないが、治療用適用には最適ではないかもしれない。そのようなタンパク質のアナログは、改良された、生物物理学的、生化学的、または生物学的特性を呈しうる。タンパク質アナログの利点は、増強された「オンターゲット」活性(血液グルコース濃度の低下をもたらす代謝の代謝調節など)を、がん細胞の成長の促進または脂質の生合成上昇などの、意図せずかつ好ましくない副作用の低下とともに達成することであろう。そのようなタンパク質工学的操作の別の一利点は、より高い強度の製剤を実現させるためのタンパク質濃度における迅速な作用開始の維持であろう。さらに別の社会的利点の例は、室温またはそれより高い温度における分解に対する増強された耐性が、輸送、流通、及び使用を容易にすることであろう。治療用タンパク質の例は、インスリンにより提供される。野生型ヒトインスリン、及び他の哺乳類のゲノム中にコードされるインスリン分子は、RNAスプライシングの代替的様式により、または翻訳後糖鎖付加の代替的パターンにより生じる受容体アイソフォームによらず、複数の臓器及び様々な種類の細胞において、インスリン受容体に結合する。野生型インスリンはまた、相同の1型インスリン様成長因子受容体(IGF−1R)にも、より低いが顕著な親和性で結合する。
インスリンは、脊椎動物においてはプロインスリンと呼ばれる単鎖前駆体の生合成産物である、二鎖タンパク質分子である。ヒトプロインスリンの配列及び構造は、それぞれ図1A及び1B中に図解され、ヒトインスリンの配列は図1C中に示される。インスリンの2つのポリペプチド鎖は、それぞれA及びBと呼ばれる。一方または他方の鎖における特定の残基は、以下では、標準的な3文字コード(例えば、アラニンに対してはAla、アスパラギン酸に対してはAsp)、それに続く鎖(AまたはB)及びその鎖中の残基番号を指定する上付き文字により示される。例えば、B鎖の位置10におけるヒスチジンはHisB10、B鎖の位置12におけるバリンはValB12、またA鎖の位置8におけるトレオニンはThrA8と示される。「インスリンアナログ」は、異なる種類のアミノ酸による1つもしくはそれより多いアミノ酸残基の置換により、または異なる原子もしくは原子の組合せによるそのような残基の側鎖もしくは主鎖中の1つもしくはそれより多い原子の改変により野生型インスリンに関連する、分子のクラスを指す。当技術分野において既知のインスリンアナログの例はインスリンlisproであり、インスリンlisproにおいては、ProB28がLysにより置換され、LysB29がProにより置換されている。インスリンlispro(KP−インスリンとも呼ばれる)は、製品Humalog(登録商標)(Eli Lilly and Co.)の有効成分である。
当技術分野においては、皮下デポからのインスリンアナログの吸収速度を増強するために、インスリンのB鎖が1または数箇所の位置において標準的なアミノ酸置換により改変されうることが知られている。さらなる医学的利点の例は、U−200〜U−1000の範囲、つまり、従来型のU−100インスリン製品よりも二倍から十倍の間(この呼称法においては「U−X」はmlの溶液または懸濁液あたりX内部単位を指す)にある強度の製剤において迅速な作用開始が保持されるような、可溶性インスリンアナログ製剤の薬物動態学的特性の最適化であろう。より高い強度のインスリン製剤は、顕著なインスリン抵抗性を呈する患者にとって格別な利益となることを約束し、また、リザーバー寿命を延長する、あるいは新世代のポンプ技術においてリザーバーの小型化を可能にするように、内部または外部インスリンポンプにおいて価値があるものともなりうる。既存のインスリン製品は、一般に、>U−200(200国際単位/ml)の製剤強度を達成するようにインスリンまたはインスリンアナログの濃度を上昇させると、延長化された薬物動態学的及び薬力学的特性を呈する。そのような延長化は、皮下注射に際する血糖症のプランディアルな管理に対するそのような製品の効能を損ない、またポンプベースの連続的な皮下注入の効能及び安全性を損なう。これらの欠点を鑑みて、速効型インスリンアナログ製剤の治療上及び社会的利益は、U−200〜U−1000の強度における迅速な作用を維持するインスリンアナログの工学的操作により、増強されるであろう。もし新規の可溶性インスリンアナログが、野生型ヒトインスリンと比較して1型IGF受容体に対してより弱い親和性を呈するならば、追加の利益が生じるであろう。もし濃縮されたインスリンアナログ製剤が、ヒトがん細胞株のインスリン刺激性増殖を監視するために開発されたアッセイにおいて、より低い分裂促進性を呈するならば、さらなる追加の治療的及び社会的利益が生じるであろう。
インスリンの投与は、糖尿病のための治療法として長く確立されてきた。糖尿病を有する患者における従来型インスリン補充療法の主な目標は、ヒト健常者特有の正常範囲より上または下への変動を防止するための、血液グルコース濃度の厳格な管理である。正常範囲より下への変動は、即座に現れるアドレナリン様または神経低糖症の症状と関連付けられ、それは重い発作では痙攣、昏睡状態、及び死に至らしめる。正常範囲より上への変動は、網膜症、失明、及び腎不全を含む微小血管疾患の長期的危険性の上昇と関連付けられる。血糖管理の重要性は当技術分野においては周知であるものの、二型糖尿病(T2DM)の病態生理学は、インスリンが血糖管理において非効果的となりそれでもなお分裂促進性と過剰な脂質合成とを駆動し続ける、選択的インスリン抵抗性(SIR)によっても特徴づけられる。肝臓及び筋肉中における脂質の蓄積は、グルコース制御のバランスを崩し、インスリン抵抗性を上昇させ、T2DMの進行及びその合併症を加速させる。我々の知る限りでは、現在、そのような撹乱された細胞及び臓器特異的シグナリングをリバランスする(認可された、または臨床試験中の)インスリン製品は存在しない。我々は従って、そのような製品は、T2DMにおける新しい治療パラダイムを生み、顕著な長期的健康利益、及び総計医療費の低下をもたらすであろうと予期する。
インスリンは、脊椎動物での代謝における中心的な役割を果たす小球状タンパク質である。インスリンは、21残基を含有するA鎖、及び30残基を含有するB鎖の2鎖を含有する。そのホルモンは、膵β細胞中にZn2+安定化六量体として貯蔵されているが、血流中ではZn2+なし単量体として機能する。インスリンは、単鎖前駆体であるプロインスリンの産物であり、プロインスリンにおいては、連結領域(35残基)がB鎖のC末端残基(残基B30)をA鎖のN末端残基へと連結させる。様々な証拠が、プロインスリンはインスリン様コアと無秩序な連結ペプチドとからなることを示す。3つの特定のジスルフィド架橋(A6−A11、A7−B7、及びA20−B19)の形成は、粗面小胞体(ER)におけるプロインスリンの酸化的折り畳みと共役すると。プロインスリンは、膵臓ベータ細胞内のグルコース制御性分泌顆粒における亜鉛インスリン六量体としての貯蔵への途中で、トランスゴルジ網中でインスリンに変換される。インスリンの典型的な結晶構造(亜鉛六量体から抽出された1つのプロトマー)が図2中に示される。
本発明は、改変されたまたは選択的な受容体後シグナリング特性を呈する、U−100〜U−1000の範囲の強度で中性pHにある可溶性製剤である、速効型インスリンアナログを工学操作する医学的及び社会的需要により動機付けられた。そのような製品に対する障壁は、どのようにインスリン受容体の結合が細胞膜をまたぐシグナル伝達をもたらし受容体の細胞質部分の自己リン酸化につながるかの、有力なパラダイムにより、長い間提唱されてきた。そのような自己リン酸化は、次いで、(i)形質膜の細胞内区画からのGLUT4グルコーストランスポーターの移行、(ii)がん細胞の成長及び増殖を促進する遺伝子の転写活性化、(iii)細胞内におけるグリコーゲンとしてのグルコース分子の貯蔵、及び(iv)脂質の細胞内生合成を介するインスリン分子の代謝変換を引き起こす経路などの、様々な受容体後シグナリング経路を活性化する。
インスリン分子が、一つの受容体後シグナリング経路が選択的に増強または減弱化されうるように改変されうるか、またはどのように改変されうるかは、一般的に知られていない。未変化のインスリン受容体の構造は今日まで決定されていないため、細胞の外側(受容体の「エクトドメイン」)へのインスリンの結合が、どのように細胞の内部へ(つまり受容体の細胞質ドメインへ)のシグナルの伝播につながるかは知られていない。アポエクトドメインの結晶構造は、当技術分野においては、低解像度では反転V二量体集合体(図3)として知られているが、インスリン分子が結合した結晶は得られなかった。ドメイン最小化された「マイクロ受容体」に結合したインスリンの結晶構造も、低解像度で決定されているが(図4)、この構造は、膜をまたぐシグナリング及び受容体後経路へのシグナルの伝達に必要とされる、受容体のベータサブユニットを欠如する。従って、当技術分野においては、インスリン分子の改変が、様々な受容体後シグナリングのアウトプットの相対的強度に影響を与えうるか、またはどのように影響を与えうるかは知られていない。
受容体後シグナリングのバランスの好ましくない変化を呈することが当技術分野において知られているインスリンアナログは、AspB10インスリンによって提供される。このアナログの設計及び調製への当初の動機は、インスリン自己集合における構造的役割に基づいた。天然型の六量体集合体においては、野生型残基(HisB10)は、六量体の中心軸において2つのアキシャル亜鉛イオンを配位させるように機能する。HisB10のAspによる置換は、このアキシャルモードでの亜鉛イオンの結合を損なわせ、古典的六量体の三量体関連表面による高次自己集合を阻止する。AspB10は、一般に、好ましいC−Cap残基として及び(i、i+4)塩橋の潜在的形成による静電メカニズムにより、亜鉛フリー単量体または二量体における中心B鎖αヘリックスの部分的安定性を増強させることが予期されうる。タンパク質安定性の理論的基板によらず、HisB10のAspによる置換は、化学的変性実験により調査されるように、亜鉛フリー単量体の熱力学的安定性を実際に増大させることが観察された。AspB10はまた、インスリン受容体に対するインスリンの親和性も増強させ、またそれに並行して単離脂肪細胞における脂質生成を刺激する能力を増強させる。
HisB10のAspによる置換により与えられる上の好ましい構造的及び生物物理学的特性にもよらず、その臨床的使用は、野生型インスリンと比べAspB10インスリンによるSprague−Dawleyラットの慢性的処理における乳腺腫瘍の過剰発生の発見と関連して、(ヒト乳がんから派生する細胞株を含む)新生細胞株の細胞培養アッセイにおける分裂促進性上昇により妨げされた。本発明は、AspB10により与えられる好ましい特性(安定性増強、及び二量体化ステージより後の自己集合不全など)は保持される一方で、細胞培養アッセイにおける分裂促進性の好ましくない増加は軽減され、あるいは野生型インスリン自身のそれよりも低い分裂促進性のレベルを実現するように確保されさえするような、インスリン分子における非標準型アミノ酸置換の組合せ(ペンタ−フルオロ−PheB24)を提供する。さらに驚くべきこととして、AspB10のペンタ−フルオロ−PheB24との組合せは、筋肉における受容体後シグナリング経路のバランスを、グリコーゲンの形成が脂質の形成と比べ増強されるように、好ましく改変する。
本発明の驚くべき一態様は、これらの補足的目標が、B鎖のC末端βストランドにおけるアミノ酸置換(PheB24→ペンタ−フルオロ−Phe)を伴う酸性AspB10置換の共導入により達成されうることである。この改変PheB24→ペンタ−フルオロ−Pheは、それのみでは、インスリンの生物学的活性を顕著に損なわせる。この改変の組合せは、(i)別の無関係の目的、つまり自己集合能力のあるプランディアルインスリンアナログの設計ために、B鎖のN末端部分における塩基性置換(AsnB3→Lys)と以前に組み合わせられた、B鎖のC末端部分におけるアミノ酸置換(LysB29→Glu)、または(ii)二量体化の強度を低下させ、あるいは通常は野生型インスリン中の位置B29におけるLysの存在と関連付けられるトリプシン部位を除去することを目的とする、位置B28及び/またはB29における他の置換と、さらに組み合わせられうる。本発明のインスリンアナログは従って、上記のB10及びB24改変をコアの設計要素として含有する。これは、この組合せが、AspB10の有利な生物物理学的特性を維持しまたは増強させつつ、新規のシグナリング特性を与え、かつその不利な特性を軽減または回避するという、我々の驚くべき観察に基づく。本発明のインスリンアナログは、また、位置A8における非β分岐置換、残基B31を含むようなB鎖のC末端伸長(B鎖残基31、または残基B31−B32(B鎖の残基32)も含有しうる。上記のアナログの組合せは、任意で、N末端B鎖残基B1、B1−B2、またはB1−3の欠失によりさらに改変されうる。
インスリンアナログが、自己集合不全、従って皮下集合に伴う速効性を呈し、それでもなお、実用的なインスリン製品として安全かつ効果的な製剤を可能にするよう、化学的及び物理的分解に関し十分な安定性を維持するように同時に設計されうることは、本発明の第二の驚くべき一態様である。そのような安定性は、AspB10とペンタ−フルオロ−PheB24とにより与えられる組合せ特性の結果でもある。上記のものに分裂促進性の低下が伴うことは、さらなる驚きである。我々は、本発明の産物が、肥満、2型糖尿病、及び顕著なインスリン抵抗性を有する西洋社会における患者に、不均衡に利益を与えることを想像する。そのような臨床的特徴は、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人、及びアメリカ先住部族を含む十分に代表されないマイノリティーにますます負荷を課す。ナノモルのタンパク質あたりの生物学的活性の増強ゆえ、本発明の産物は、インスリンポンプのリザーバー寿命を延長すること、及びそのようなポンプの小型化を可能にすることにおいてもまた、有用となるだろう。
さらに、皮下注射に際して速効型の薬物動態学的及び薬力学的特性を提供するインスリンアナログを提供することも、本発明の一態様である。本発明のアナログは、位置B10においてアスパラギン酸(AspB10)、位置B24においてペンタ−フルオロ−PheB24(5FーPheB24)、また一実施形態においては、B29においてグルタミン酸またはオルニチン(GluB29またはOrnB29)をも含有する。そのようなアナログは任意で、位置A8において非β分岐アミノ酸置換、最大で二残基(B31及びB32)及び二残基(B31及びB32)を含むB鎖のC末端伸長、並びに/または最大で3残基(B1−B3)及び3残基(B1−B3)を含むB鎖のN末端欠失を含有しうる。残基B28は、Pro(野生型インスリンと同様)、Lys、Gln、またはAlaでありうる。位置A13は、任意でLeu、Trp、またはTyrであってもよく、位置A14は任意でTyrまたはGluでありうる。残基B30は、任意で存在しなくてもよい。本発明のインスリンアナログは、当技術分野において速効作用を与えることが知られている位置B28など、AまたはBドメイン中の他の部位において標準型または非標準型アミノ酸置換を任意で含有してもよく、またB鎖の一または二残基伸長(残基B31及びB32)を任意で含有してもよい。アナログが、野生型インスリンのそれと比較して同等またはより大きい熱力学的安定性、及び野生型インスリンのそれと比較して同等または低い、ヒト乳がん細胞株の組織培養アッセイにおける分裂促進性を呈することは、本発明の追加の一態様である。
上記の特徴の組合せは、位置B10における酸性アミノ酸置換と、位置B24におけるペンタ−フルオロ−フェニルアラニンとの新規組合せにより与えられる。理論に拘束されることは望まないが、我々は、ペンタ−フルオロ−PheB24の芳香環の逆転した四重極静電モーメントが、ホルモン受容体界面においてドッキングされると(図4)、AspB10の、滞留時間を延長させ、また3つの相同ホルモン受容体複合体(IR−A、IR−B、及びIGF−1R)の親和性を増強する効果を軽減させると想像する。我々は、遊離ホルモンにおいては、PheB24のペンタ−フルオロ−Pheによる置換が、当技術分野において知られるAspB10の安定化効果を維持しかつ増強させることをさらに想像する。理論に拘束されることは望まないが、我々は、ペンタ−フルオロ−PheB24置換により引き起こされる天然型のLeuB15−PheB24相互作用に対するあらゆる構造的撹乱が、インスリン分子中の間隙内の改変芳香環のより大きい疎水性によりバランスがとられることを描写する(図5)。理論に拘束されることは望まないが、我々は、位置A8、A14、及び/またはB29における任意の酸置換の非相加的効果は、そのようなアナログとインスリン受容体との複合体により、あるいはそのようなアナログの1型IGF受容体との複合体により、分裂促進性シグナリングを低下させることをさらに想像する。
一般的に、本発明は、位置B10におけるアスパラギン酸、位置B24におけるペンタ−フルオロ−フェニルアラニン、並びに、任意で、A8、A13、A14、B28、B29の3つの位置のうち1つまたはそれ以上の位置における他のアミノ酸置換、並びに、任意で、B鎖のC末端伸長(B31もしくはB31−B32を含み、追加の残基の少なくとも1つは酸性である)またはB鎖のN末端欠失(B3まで、及びB3を含む)を含有するインスリンアナログを提供する。本発明は従って、改変構成要素のいかなる1つによっても与えられない長く求められてきた臨床的利点を組み合わさって提供する、改変の組合せを含有する、新規クラスのインスリンアナログに関する。本発明のアナログの一バージョンにおいては、残基B28及びB29は、当技術分野において既知の速効型インスリンアナログ(インスリンlispro、KP−インスリンとも呼ばれる)においてと同様に、LysB28及びProB29である。他のバージョンにおいては、残基B28は、(野生型インスリンにおいてと同様に)プロリンであり、一方で、残基B29はオルニチン(Orn)またはグルタミン酸である。本発明のさらに別の一バージョンにおいては、B30は存在しない。さらに別のバージョンにおいては、本発明のアナログは、位置A14においてグルタミン酸、及び/または位置A21においてグリシン、アラニン、またはアスパラギン酸を含有しうる。
図1Aは、A及びB鎖、並びに、隣接する二塩基性切断部位(黒円)及びCペプチド(白円)と共に示される連結領域を含む、ヒトプロインスリンの配列の概略図である。 図1Bは、インスリン様部分及び無秩序な連結ペプチド(破線)からなる、プロインスリンの構造モデルである。 図1Cは、B鎖中の残基B27及びB30の位置を示す、ヒトインスリンの配列の概略図である。 図2は、インスリンの構造を描写する。(A)フェノール安定化R亜鉛六量体。アキシャル亜鉛イオン(オーバーレイ)は、ヒスチジン側鎖により配位される重複する黒球として示される。(B)インスリン単量体の構造。ジスルフィド架橋は玉及び棒として描写される。 図3は、インスリン受容体(IR)エクトドメイン二量体の構造を描写する。一方のサブユニットはリボン描写で、また他方は空間充てん表面として表現される。細胞膜の位置は、下部に略図的に示される。配位は、Protein Databankエントリー3LOHから得られた。 図4は、インスリンがその受容体のエクトドメインにどのように結合するかを描写する。「マイクロ受容体」構造は、インスリン、αCTペプチド、及びエクトドメインαサブユニットフラグメントL1−CRを含有する三成分複合体を示す(Protein Databankエントリー3W11)。ポリペプチド鎖及びドメインは、標識の通りに色分けされている。ジスルフィド架橋は示されていない。 図5は、タンパク質間隙にどのようにPheB24が充てんするかを描写する。境界及び縁が部分的に陽性及び陰性の静電タンパク質表面(赤及び青)を呈する、疎水性コア中の間隙内の、PheB24部位の芳香環側鎖(淡青色棒)。 図6は、インスリンアナログの分裂促進性を測定するアッセイを提供し、ヒストグラムはソフトアガー中のMCF−7細胞コロニー形成表わす。データは、基礎値との比較での、各条件下における、>100nmのコロニーの相対数を示す。略語:HIは野生型ヒトインスリン、5F−POTは5F−PheB24−OrnB29−インスリン、5F−DKPは5F−PheB24−AspB10−KP−インスリン(Sigselin−1)、HPIは野生型ヒトプロインスリン、A3Leuは置換ValA3→Leu(「インスリンWakayma」)を含有する不活性インスリンアナログ。 図7は、STZ Lewisラットにおけるグルコース低下活性を測定するアッセイを提供する。(A及びB)時刻=0における6匹のラットでの11.5nモル/kg SQ注射の後の平均BGの経時変化。(四角)KP−インスリン、(ひし形)AspB10−KP−インスリン、(円)5F−PheB24−KP−インスリン、及び(三角)5F−PheB24−AspB10−KP−インスリン(Sigselin−1)。(C及びD)SQ注射後の最初の60分において観察された、BG濃度の低下に関する、Sigselin−1(円)及びKP−インスリン(四角)についての用量反応曲線。 図8は、高インスリン血症−正常血糖クランプ(HIEC)実験に関するデータ提供する。mg/mlの単位(通常のmg/dlの代わりに)で与えられる血液グルコース(BG)濃度の経時変化。データは、クランプ技術を確証する(アームあたりN=4匹のラット)。 図9は、14C−トレーサー2−デオキシグルコースの筋肉取込みのアッセイを提供する。媒体コントロール、「インスリン」(インスリンlispro)、及び「アナログ」(Sigselin−1)。 図10は、グリコーゲンへのH標識グルコースの筋肉特異的組み込みのアッセイを提供する。「インスリン」(インスリンlispro)、及び「アナログ」(Sigselin−1)。
本発明は、選改変されたまたは択的な受容体後インスリンシグナリング特性、幅広いタンパク質濃度及び製剤強度下(一般的にU−100〜U−500、また任意で最大U−1000)での速効作用、野生型ヒトインスリンのそれよりも小さいIGF−1Rに対する親和性、並びに、亜鉛イオン非存在下での野生型ヒトインスリンのベースライン安定性と比較して野生型ヒトインスリンのそれよりも大きい亜鉛イオンの非存在下での熱力学的安定性を提供する、インスリンアナログを対象とする。
本アナログが、野生型ヒトインスリンの分裂促進性と比べて低いまたは等しい、ソフトアガーにおけるヒト乳がん細胞増殖の細胞ベースのアッセイにおける分裂促進性を呈することは、本発明の一態様である。本アナログが、筋肉細胞内のグルコース由来の炭素原子からグリコーゲンへ流れを、そのような炭素原子から脂質への流れと比較して、好んで指揮することは、本発明のさらに別の態様である。これらの態様は、受容体後シグナリングにおける「バイアス」を提供し、これにより好ましいシグナリングの結果が維持されまたは増強され、好ましくないシグナリングの結果は抑制される。
皮下デポからの迅速な吸収動態が、中性pHの亜鉛フリー溶液中で(正式な単量体濃度との関連で計算される)タンパク質濃度0.6−6.0mMにおいて、単量体または二量体であるがより高次の自己集合状態ではないインスリンアナログによりもたらされることは、本発明の一態様である。従来型のプランディアル製品は、当技術分野において知られるように、潜在的な六量体−六量体相互作用により伸長された亜鉛安定化または亜鉛イオン独立性六量体を含む、自己集合状態間の可能な共役する均衡の連続体を意味する。この戦略の分子的実行は、(i)野生型ヒトインスリンと比較して、亜鉛フリー単量体及び二量体として同じだけまたはより安定であり、かつ(ii)分子あたりまたはナノモルあたりベースで、(血液グルコース濃度のホルモン調節性低下により評価される)野生型ヒトインスリンの生物学的効能の少なくとも一部を保持する、新規クラスのインスリンアナログを提供する。血糖管理に関連して保持される効能がより低い分裂促進性と関連付けられることは、本発明の一態様である。分裂促進性は、がんリスク及びがん成長の観点から望ましくない、個別のシグナリング経路の生物学的結果である。
インスリンアナログは、アスパラギン酸が位置B10にて保持され、アラニンが位置B12に存在し、グルタミン酸が位置B29に存在し、かつA8、A14、A21、及びB28により提供される1つまたはそれ以上の箇所で1つまたはそれ以上の酸性アミノ酸置換が任意で存在する限り、非限定的な例としてブタ、ウシ、ウマ、及びイヌインスリンなどの動物インスリンに由来するA及びB鎖配列で作製されうることもまた、想像される。ヒトインスリンまたは動物インスリンから由来するそのような変異型B鎖は、任意で、ThrB30(des−B30)を欠き、あるいはC末端ジペプチド伸長(それぞれB31及びB32と呼ばれる残基位置)であってこれらのC末端伸長残基のうち少なくとも1つが酸性アミノ酸である伸長を含有しうる。さらにまたはあるいは、本発明のインスリンアナログは、残基B1、B1−B2、またはB1−B3の欠失を含有してもよく、あるいは、位置B28においてプロリンを欠く変異型B鎖と組合せられてもよい(例えば、位置B29におけるグルタミン酸との組合せでの、LysB28、AlaB28、またはGlnB28)。位置A13は任意でTrpまたはTyrにより置換されてもよく、位置14チロシンは任意でグルタミン酸で置換されてもよく、また位置A21においてはアスパラギンは任意でアラニン、グリシン、またはアスパラギン酸により置換されてもよい。
本発明のインスリンアナログが、Pichia pastoris、Saccharomyces cerevisciae、または他の酵母発現種もしくは株における酵母生合成において前駆体ポリペプチドのLys対象タンパク質分解から得られうることは、さらに想像される。そのような株は、工学操作されたtRNA合成酵素及び直交性ナンセンス抑制により、位置B24においてペンタ−フルオロ−フェニルアラニンを挿入するように工学操作されうる。任意で、アナログは、TyrB16及び/またはTyrB26の芳香環内にヨード置換(3−モノ−ヨード−Tyrまたは[3、5]−ジ−ヨード−Tyr)を含有してもよく、熱力学的安定性及び受容体結合能を増強することが意図される。Cドメイン中のThrB27、ThrB30、または1つもしくはそれより多いセリン残基が、単独もしくは組合せで、単糖付加により改変されうることもまた想像され、例は、O結合型N−アセチルーβ−D−ガラクトピラノシド(GalNAc−Oβ−SerまたはGalNAc−Oβ−Thrと呼ばれる)、O結合型α−D−マンノピラノシド(マンノース−Oβ−Serまたはマンノース−Oβ−Thr)、及び/またはα−D−グルコピラノシド(グルコース−Oβ−Serまたはグルコース−Oβ−Thr)により提供される。
さらに、ヒト及び動物インスリン間の類似性、並びに糖尿病を有するヒト患者における動物インスリンの過去の使用の観点から、インスリンの配列中の他の小さな改変、とくに「保存的」と見なされる置換が導入されうることもまた想像される。例えば、類似の側鎖を有するアミノ酸群内でのアミノ酸の追加の置換も、本発明から逸脱することなくなされうる。これらは、中性疎水性アミノ酸である、アラニン(AlaまたはA)、バリン(ValまたはV)、ロイシン(LeuまたはL)、イソロイシン(IleまたはI)、プロリン(ProまたはP)、トリプトファン(TrpまたはW)、フェニルアラニン(PheまたはF)、及びメチオニン(MetまたはM)を含む。同様に、天然型極性アミノ酸は、グリシン(GlyまたはG)、セリン(SerまたはS)、トレオニン(ThrまたはT)、チロシン(TyrまたはY)、システイン(CysまたはC)、グルタミン(GluまたはQ)、及びアスパラギン(AsnまたはN)の群内で互いに置換されうる。酸性アミノ酸は、アスパラギン酸(AspまたはD)及びグルタミン酸(GluまたはE)である。塩基性アミノ酸置換(リシン(LysまたはK)、アルギニン(ArgまたはR)、及びヒスチジン(HisまたはH)を含む)の導入は、このクラスのアナログの増強された総計負電荷を維持するためには好ましくない。別に記されまたは文脈から明らかでない限り、本明細書に記されるアミノ酸は、L−アミノ酸であるとみなされるべきである。標準的アミノ酸は、同じ化学的クラスに属する非標準的アミノ酸により置換されてもまたよい。
ヒトプロインスリンのアミノ酸配列が、比較目的で配列ID番号1として提供される。
配列ID番号1(ヒトプロインスリン)
Phe−Val−Asn−Gln−His−Leu−Cys−Gly−Ser−His−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Gly−Phe−Phe−Tyr−Thr−Pro−Lys−Thr−Arg−Arg−Glu−Ala−Glu−Asp−Leu−Gln−Val−Gly−Gln−Val−Glu−Leu−Gly−Gly−Gly−Pro−Gly−Ala−Gly−Ser−Leu−Gln−Pro−Leu−Ala−Leu−Glu−Gly−Ser−Leu−Gln−Lys−Arg−Gly−Ile−Val−Glu−Gln−Cys−Cys−Thr−Ser−Ile−Cys−Ser−Leu−Tyr−Gln−Leu−Glu−Asn−Tyr−Cys−Asn
ヒトインスリンのA鎖のアミノ酸配列は、配列ID番号2として提供される。
配列ID番号2(ヒトA鎖、残基位置A1−A21)
Gly−Ile−Val−Glu−Gln−Cys−Cys−Thr−Ser−Ile−Cys−Ser−Leu−Tyr−Gln−Leu−Glu−Asn−Tyr−Cys−Asn
ヒトインスリンのB鎖のアミノ酸配列は、配列ID番号3として提供される。
配列ID番号3(ヒトB鎖;残基位置B1−B30)
Phe−Val−Asn−Gln−His−Leu−Cys−Gly−Ser−His−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Gly−Phe−Phe−Tyr−Thr−Pro−Lys−Thr
本発明の改変インスリンのアミノ酸配列は、一般形式で配列ID番号4及び5に与えられ、ここで、6つのシステイン残基は、野生型ヒトインスリンにおいてと同様に3つのジスルフィド橋を提供するようにペアリングさせられる。
配列ID番号4
A鎖
Gly−Ile−Val−Glu−Gln−Cys−Cys−Xaa−Ser−Ile−Cys−Ser−Xaa13−Xaa−Gln−Leu−Glu−Asn−Tyr−Cys−Xaa
配列中、Xaa(位置A8)は、Thr(野生型インスリンにおいてと同様)、His、Glu、またはあらゆる他の非β分岐アミノ酸でありうる。つまり、Xaaは、Val、Leu、またはIle以外のあらゆるアミノ酸でありうる。Xaa(位置A14)は、Tyr(野生型インスリンと同様)または(Glu)でありうる。Xaa(位置A21)は、Asn、Asp、Ala、またはGlyでありうる。Xaa13(位置A13)がLeu(野生型インスリンと同様)でありうる、またはTrpまたはTyrにより置換されうることは、さらに想像される。
配列ID番号5
B鎖
Xaa−Xaa−Xaa−Gln−His−Leu−Cys−Gly−Ser−Xaa12−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Gly−Xaa−Phe−Tyr−Thr−Xaa− Xaa−Thr−Xaa10−Xaa11
Xaa−Xaa−Xaaは、野生型ヒトインスリンにおいてと同様にPhe−Val−Asn、またはN末端欠失型変異体Val−Asn(des−B1)、Asn(des−B1、B2)、または省略(des−B1−B3)でありうる。Xaaは、芳香環中の5つの水素原子が同時にフッ素(F)により置換されている、フェニルアラニンの誘導体であるペンターフルオロ−フェニルアラニンである。Xaa(位置B28)は、Pro(野生型と同様)、Lys、Ala、Asp、Glu、またはGlnでありうる。Xaa(位置B29)は、Lys(野生型ヒトインスリンと同様)、Pro(インスリンlisproと同様)、Glu(インスリングルリジンと同様)、オルニチン(Orn、非標準型アミノ酸)、Ala、またはGlnでありうる。また任意で、Xaa10−Xaa11は、少なくとも1つのアミノ酸が酸性側鎖を含有するように、B鎖のC末端モノペプチドまたはジペプチド伸長を提供する。Xaa12(位置B10)がAsp(野生型ヒトインスリンと同様)の代わりにGluでありうることは、さらに想像される。
本発明のインスリンアナログのアミノ酸配列は、部分的に、配列ID番号4及び5の例において、完全なB鎖を含有するかN末端がトランケートされたB鎖を含有するかのいずれかとして与えられる。簡潔性のため、野生型ヒトインスリンとの比較での特定の改変のみが提供される(つまり、特異的な配列の例は、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa、Xaa10、及びXaa11を特色とする)。これらの実施形態のそれぞれにおいて、残基位置B10はAspであり、残基Xaa7(位置B24)はペンタ−フルオロ−PheB24(5F−PheB24)である。
・AspB10 およびGluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)、
・GluA8、AspB10、GluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)、
・GluA8、AspB10、およびGluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、GluB29−−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・GluA8、AspB10、GluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・HisA8、AspB10、GluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)、
・HisA8、AspB10、およびGluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、および GluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、OrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)、
・GluA8、AspB10、OrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)、
・GluA8、AspB10、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、OrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・GluA8、AspB10、OrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・HisA8、AspB10、OrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)、
・HisA8、AspB10、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、LysB28、およびProB29−インスリン(5F−PheB24に加え)、
・GluA8、、AspB10、LysB28、およびProB29−インスリン(5F−PheB24に加え)、
・GluA8、AspB10、LysB28、およびProB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、LysB28、およびProB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・GluA8、AspB10、LysB28、およびProB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・HisA8、AspB10、LysB28、およびProB29−インスリン(5F−PheB24に加え)、
・HisA8、AspB10、LysB28、およびProB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、およびAspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)、
・GluA8、AspB10、およびAspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、およびAspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、AspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・GluA8、AspB10、AspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・HisA8、AspB10、AspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)、
・HisA8、AspB10、およびAspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、およびAspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、AspB28、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)、
・GluA8、AspB10、AspB28、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)、
・GluA8、AspB10、AspB28、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、AspB28、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・GluA8、AspB10、AspB28、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・HisA8、AspB10、AspB28、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)、
・HisA8、AspB10、AspB28、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10、およびAspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン。
配列ID番号4及び5のアナログなどの本発明のインスリンアナログは、以下の例に示されるように、任意でB鎖のN末端欠失(des−B1、des−B1、B2、またはdes−B1−B3)を含有しうる。これらのN末端残基は、受容体結合には必要でないが、生合成単鎖前駆体におけるその存在は、小胞体における天然型ジスルフィドペアリングの効率を、従って生成収量を増強させると考えられている。その例は、以下を含む。
・AspB10 およびGluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、GluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、およびGluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・AspB10、GluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、GluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・HisA8、AspB10、GluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・HisA8、AspB10、およびGluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・AspB10、およびGluB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・AspB10、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、OrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・AspB10、OrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、OrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・HisA8、AspB10、OrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・HisA8、AspB10、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・AspB10、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・AspB10、LysB28、およびProB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、LysB28、およびProB29−(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、LysB28、およびProB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・AspB10、LysB28、およびProB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、LysB28、およびProB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・HisA8、AspB10、LysB28、およびProB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・HisA8、AspB10、LysB28、およびProB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・AspB10、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョン、
・AspB10 およびAspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、AspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、およびAspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンの、
・AspB10、AspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、AspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・HisA8、AspB10、AspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・HisA8、AspB10、およびAspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・AspB10、およびAspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・AspB10、AspB28、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、AspB28、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、AspB28、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・AspB10、AspB28、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・GluA8、AspB10、AspB28、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・HisA8、AspB10、AspB28、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のdes−(B1−B3)誘導体、
・HisA8、AspB10、AspB28、およびOrnB29−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体、
・AspB10、およびAspB28−インスリン(5F−PheB24に加え)のGluB31、GluB32伸長バージョンのdes−(B1−B3)誘導体。
以下のDNA配列は、Pichia pastorisでの使用パターンに対し最適化したコドンで単鎖インスリンアナログをコードする。これらの単鎖インスリンアナログは、上記の二鎖インスリンアナログの生成のための生合成中間体を提供する。各場合において、最後のコドン(AAT)は終始コドンを表わす。
CドメインのTrp−Lysを伴う置換AspB10及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖が、配列ID番号6に与えられる。
配列ID番号6
TTCGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATTCTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTACTTCCATCTGCTCATTGTACCAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
CドメインのAla−Lysを伴う置換AspB10及びAlaB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖が、配列ID番号7に与えられる。
配列ID番号7
TTCGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCTTTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATTCTTCTACACCCCTAAGGCTGCTAAGGGAATCGTTGAGCAATGCTGTACTTCCATCTGCTCATTGTACCAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
CドメインのTrp−Lysを伴う、置換AspB10、GluA8、及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖が、配列ID番号8に与えられる。
配列ID番号8
TTCGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATTCTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTGAATCCATCTGCTCATTGTACCAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
コドン位置B24(TAG)においてナンセンス抑制により非標準型アミノ酸が挿入されうるような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換AspB10及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖が、配列ID番号9に与えられる。
配列ID番号9
TTCGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATAGTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTACTTCCATCTGCTCATTGTACCAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
コドン位置B24(TAG)においてナンセンス抑制により非標準型アミノ酸が挿入されうるような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換GluA8、AspB10、及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖が、配列ID番号10に与えられる。
配列ID番号10
TTCGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATAGTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTGAATCCATCTGCTCATTGTACCAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
配列ID番号11−15において提供される合成遺伝子の群は、上で特定されるアミノ酸配列に従い位置A13及びA14において任意のアミノ酸置換を任意でコードする、DNA配列のセットを提供する。当技術分野においては、酵母の核遺伝子において、ロイシンはDNAコドンTTA、TTG、CTT、CTC、及びCTGによりコードされること、チロシンはDNAコドンTAT及びTACによりコードされること、トリプトファンはDNAコドンTGGによりコードされること、並びにグルタミン酸はDNAコドンGAA及びGAGによりコードされることが知られている。
配列ID番号11は、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、また位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換AspB10及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号11
TTCGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATTCTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTACTTCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
配列ID番号12は、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードし、また位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、CドメインのAla−Lysを伴う、置換AspB10及びAlaB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号12
TTCGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCTTTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATTCTTCTACACCCCTAAGGCTGCTAAGGGAATCGTTGAGCAATGCTGTACTTCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
配列ID番号13は、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、また位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換AspB10、GluA8、及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号13
TTCGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATTCTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTGAATCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
配列ID番号14は、コドン位置B24(TAG)においてナンセンス抑制により非標準型アミノ酸が挿入されうるような、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、また位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換AspB10及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号14
TTCGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATAGTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTACTTCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
配列ID番号15は、コドン位置B24(TAG)においてナンセンス抑制により非標準型アミノ酸が挿入されうるような、位置A13(XXX)におけるコドンがロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、また位置A14(XXX)におけるコドンがチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換GluA8、AspB10、及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号15
TTCGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATAGTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTGAATCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
以下に提供される配列ID番号16〜30の合成配列の以下の群は、配列ID番号11−15において定義される配列特性に加え、以下の3つのコドン位置B1、B2、またはB3のうち1箇所においてリシン残基を任意でコードする、DNA配列のセットを提供する。生合成単鎖インスリン前駆体におけるそのようなリシン置換は、B鎖が、上で特定されたアミノ酸配列に従いN末端欠失des−B1、des−B1、B2、またはdes−B1−B3を含有する、本発明のインスリンアナログの生産を可能にするであろう。これらのN末端トランケーションは、それぞれ、生合成単鎖インスリン前駆体中の位置B1、B2、またはB3におけるリシンの置換により指揮される。当技術分野において、酵母の核遺伝子においては、リシンはDNAコドンAAA及びAAG(またはAAR)によりコードされることが知られている。上記の通り、当技術分野においては、酵母の核遺伝子において、ロイシンはDNAコドンTTA、TTG、CTT、CTC、及びCTGによりコードされること、チロシンはDNAコドンTAT及びTACによりコードされること、トリプトファンはDNAコドンTGGによりコードされること、並びにグルタミン酸はDNAコドンGAA及びGAG(GAR)によりコードされることもまた知られている。
配列ID番号16は、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、また位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の最初のコドン(AAR)がリシンをコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換AspB10及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号16
AARGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATTCTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTACTTCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
配列ID番号17は、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の最初のコドンがリシンをコードするような、CドメインのAla−Lysを伴う、置換AspB10及びAlaB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号17
AARGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCTTTGTACTTGGTCTGAARGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCTTTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATTCTTCTACACCCCTAAGGCTGCTAAGGGAATCGTTGAGCAATGCTGTACTTCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
配列ID番号18は、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の最初のコドンがリシンをコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換AspB10、GluA8、及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号18
AARGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATTCTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTGAATCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
配列ID番号19は、コドン位置B24(TAG)においてナンセンス抑制により非標準型アミノ酸が挿入されうるような、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の最初のコドンがリシンをコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換AspB10及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号19
AARGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATAGTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTACTTCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
以下の配列は、コドン位置B24(TAG)においてナンセンス抑制により非標準型アミノ酸が挿入されうるような、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の最初のコドンがリシンをコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換GluA8、AspB10、及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号20
AARGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATAGTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTGAATCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
以下の配列は、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の二番目のコドンがリシンをコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換AspB10及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号21
TTCAARAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATTCTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTACTTCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
以下の配列は、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の二番目のコドンがリシンをコードするような、CドメインのAla−Lysを伴う、置換AspB10及びAlaB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号22
TTCAARAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCTTTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATTCTTCTACACCCCTAAGGCTGCTAAGGGAATCGTTGAGCAATGCTGTACTTCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
以下の配列は、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の二番目のコドンがリシンをコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換AspB10、GluA8、及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号23
TTCAARAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATTCTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTGAATCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
以下の配列は、コドン位置B24(TAG)においてナンセンス抑制により非標準型アミノ酸が挿入されうるような、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の二番目のコドンがリシンをコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換AspB10及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号24
TTCAARAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATAGTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTACTTCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
以下の配列は、コドン位置B24(TAG)においてナンセンス抑制により非標準型アミノ酸が挿入されうるような、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の二番目のコドンがリシンをコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換GluA8、AspB10、及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号25
TTCAARAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATAGTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTGAATCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
以下の配列は、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の3番目のコドンがリシンをコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換AspB10及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号26
TTCGTCAARCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATAGTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTACTTCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
以下の配列は、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の3番目のコドンがリシンをコードするような、CドメインのAla−Lysを伴う、置換AspB10及びAlaB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号27
TTCGTCAARCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCTTTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATTCTTCTACACCCCTAAGGCTGCTAAGGGAATCGTTGAGCAATGCTGTACTTCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
以下の配列は、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の3番目のコドンがリシンをコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換AspB10、GluA8、及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号28
TTCGTCAARCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATTCTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTGAATCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXX1はTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXXはTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
以下の配列は、コドン位置B24(TAG)においてナンセンス抑制により非標準型アミノ酸が挿入されうるような、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の3番目のコドンがリシンをコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換AspB10及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号29
TTCGTCAARCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATAGTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTACTTCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXX2はTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
以下の配列は、コドン位置B24(TAG)においてナンセンス抑制により非標準型アミノ酸が挿入されうるような、位置A13におけるコドン(XXX)がロイシン、チロシン、またはトリプトファンをコードするような、位置A14におけるコドン(XXX)がチロシンまたはグルタミン酸をコードするような、またB鎖配列の3番目のコドンがリシンをコードするような、CドメインのTrp−Lysを伴う、置換GluA8、AspB10、及びGluB30を有する、53残基の単鎖インスリンアナログをコードする遺伝子のセンス鎖を提供する。
配列ID番号30
TTCGTCAARCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATAGTTCTACACCCCAAAGGAGTGGAAGGGTATCGTTGAGCAATGTTGTGAATCCATCTGCTCA−XXX−XXX−CAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXX1はTTA、TTG、CTT、CTC、CTG、TAT、TACまたはTGGである。
XXX2はTAT、TAC、GAAまたはGAGである。
本発明の2つの単鎖インスリンアナログは、Pichia pastorisにおける前駆体ポリペプチドの生合成により調製された。このシステムは、切断N末端伸長ペプチドを伴う天然型ジスルフィド橋を含有する折り畳まれたタンパク質を分泌する。この前駆体タンパク質のトリプシン切断は、残基PheB1で始まりArgB22で終わるトランケートされたB鎖と完全なA鎖とを含有する、二鎖インスリンフラグメントを生じる。その前駆体ポリペプチドは、配列が配列ID番号4及び5の一般的開示内である合成遺伝子によりコードされる。配列ID番号4及び5は、それぞれの場合において、置換AspB10を含有し、また任意で、追加の置換GluA8、TrpA13、TyrA13、及び/またはGluA14を含有しうる。単鎖インスリン前駆体は、非標準型アミノ酸置換が工学操作された直交性tRNA合成酵素により挿入されうるような、位置B24におけるナンセンスコドンを含有することもまた想像される。そのような前駆体は、トリプシンによって処理されず、代わりにリシン特異的エンドペプチダーゼによりスプリットされるであろう。
我々は、DNA配列の2つの関連するセットが、(i)位置B29におけるグルタミン酸が、最終位置B29においてグルタミン酸を含有する合成C末端B鎖ペプチドを利用して、半合成によりインスリンアナログへと導入されるか、あるいは(ii)位置B29におけるグルタミン酸が、標準的な遺伝子コードにより、単鎖生合成前駆体へと直接的に導入されうるかの何れかであるような、製造中間体をコードしうることを想像する。
我々は、DNA配列の2つの関連するセットが、(i)位置B24におけるペンタ−フルオロ−Pheが、最終位置B24においてペンタ−フルオロ−Pheを含有する合成C末端B鎖ペプチドを利用して、半合成によりインスリンアナログへと導入されるか、あるいは(ii)位置B24におけるペンタ−フルオロ−Pheが、位置B24におけるナンセンスコドンと直交性の工学操作されたtRNA合成酵素とを利用して、拡張された遺伝子コード技術により、単鎖生合成前駆体へと直接的に導入されうるかの何れかであるような、製造中間体をコードしうることをさらに想像する。
本発明の2つの単鎖インスリンアナログは、Pichia pastorisにおける前駆体ポリペプチドの生合成に続くトリプシン媒介性半合成により調製された。このシステムは、切断N末端伸長ペプチドを伴う天然型ジスルフィド橋を含有する折り畳まれたタンパク質を分泌する。一実施形態は、位置B24におけるペンタ−フルオロ−Pheに加え、置換AspB10、LysB28、及びProB29を含有する。第二の実施形態は、位置B24におけるペンタ−フルオロ−Pheに加え、置換AspB10、及びOrnB29を含有する(Sigselin−1)。この前駆体タンパク質のトリプシン切断は、PheB1で始まりArgB22で終わるトランケートされたB鎖(配列ID番号5のアミノ酸1−22)と、完全なA鎖(配列ID番号4)とを含有する二鎖インスリンフラグメント生じる。Sigselin−1に対する前駆体ポリペプチドは、配列ID番号31として一般化されるポリヌクレオチドによりコードされうる。
配列ID番号31(AspB10、5F−PheB24、Lispro)
TTCGTCAATCAACACTTGTGTGGTAGTGACTTGGTCGAGGCATTGTACTTGGTCTGTGGTGAGAGAGGATAGTTCTACACCAARCCNACNXXXAARGGNATCGTTGAGCAATGTTGTACTTCCATCTGCTCATTGTACCAATTGGAGAACTACTGCAACTAA
XXXはTGGまたはGCNである。
工学操作された直交性tRNA合成酵素により非標準型アミノ酸置換が挿入されうるような、位置B24においてナンセンスコドンを有する単鎖インスリン前駆体もまた、想像される。そのような前駆体は、トリプシンによっては処理されず、代わりにリシン特異的エンドペプチダーゼによりスプリットさるであろう。

天然型様構造は保持される。Sigselin−1の遠UV CDスペクトルは、KP−インスリンまたはKP−インスリンのAspB10誘導体のそれに非常によく似ている。Sigselin−1の熱力学的安定性は、CD監視グアニジン変性により調べられた。その方法は、開示の通りである(Hua、Q.X.、et al.J.Biol.Chem.283、14703−16(2008))。結果は、このアナログが、野生型インスリン、KP−インスリン、またはKP−インスリンのAspB10誘導体のいずれよりも、化学的変性に対しより安定であることを示す(25℃及びpH7.4にてCD検出グアニジン変性により調べられた)。アンフォールディングの自由エネルギー(ΔGu)は、以下の通りであった。WTインスリンは3.3kcal/モル、インスリンlisproは2.8kcal/モル、またSigselin−1は4.8kcal/モル。KP−インスリンの不安定性(WTと比較してΔΔGu 0.5(±0.2)kcal/モル)によりHumalog(登録商標)の製剤に課される難題をふまえると、Sigselin−1の増強された安定性(ΔΔGu 1.5(±0.2)kcal/モル)は、安定な製剤を予測する。
ソフトアガーにおけるMCF−7コロニー形成についてのアッセイ。AspB10置換は、当技術分野において、IRに対するインスリンの親和性を二倍増強し、亜鉛媒介性六量体集合をブロックし、またホルモンの固有の安定性を好ましく増強することが知られている。実際、速効型インスリンの先駆者的候補としてのAspB10インスリンの臨床開発は、1年間の治療の後のSprague−Dawleyラットにおける過剰な乳腺腫瘍の予期せぬ観察ゆえ、Novo Nordiskにより中止された。ヒト新生細胞株の細胞培養実験におけるAspB10インスリンの分裂促進活性を開示する、かなりの文献がこれに続いて出された。本発明のアナログにおけるAspB10(または別のセットの実施形態におけるGluB10)の存在をふまえたこの懸念に取り組むため、分裂促進性のアッセイが以下のように実施された。
このバックグラウンドは、インスリンアナログのヒト乳がん細胞株MCF−7の増殖を刺激する能力の比較実験を動機付けた。MCF−7は、当技術分野において、3つの相同受容体(IR−A、IR−B、及びIGF−1R)を発現し、ゆえに相対分裂促進性IGF>AspB10インスリン>野生型インスリンのインスリン応答性悪性腫瘍に対するモデルを提供することが知られている。我々の予備的なアッセイにおいて、MCF−7細胞(0.75ml中1.5x10細胞、ATCCカタログ#HTB−22から入手)は、42℃にて同じ体積のBactoアガーと混合された。この0.3%アガー懸濁液は、12ウェルプレート中に0.6%アガーの1.5mlベースの上に注がれ、100nMのタンパク質濃度におけるインスリンまたはインスリンアナログを有する(または有さない)基礎的な培養培地でオーバーレイされた。培地は週あたり3x充てんされた。プレートはCO組織培養インキュベーター中で3週間にわたり37℃にてインキュベートされ、3週間の時点でコロニーがクリスタルバイオレットで染色され、倒立顕微鏡下でカウントされた。ポジティブコントロールはIGF−Iにより(表示無し)、またネガティブコントロールはインスリンまたはインスリンアナログを欠く培地(図6中の「基礎値」)により提供された。刊行された研究に従い高濃度のWTインスリンがMCF−7細胞増殖を増強する一方、我々の結果は、Sigselin−1(図6において「5F−DKP」と標識)が、AspB10を欠く関連するペンタ−フルオロ−PheB24アナログ(「5F−POT」)の分裂促進性とは区別が付かず、またとヒトプロインスリン(「HPI」)及び不活性アナログLeuA3の無視できるほど小さい活性と一致する、無視できるほど小さい分裂促進性を呈することを示す。
生物学的活性、及び薬力学が、ストレプトゾシンにより糖尿病を患わされている雄Lewisラット(約300g)で試験された(図7)。それぞれがコアである3つの置換(他の任意の設計要素の存在下または非存在下で、AspB10、AlaB12、及びGluB29)を含有する4つの代表的なインスリンアナログの皮下注射のPD効果が、Humalog(登録商標)及びインスリンlisproのAspB10誘導体(DKPインスリン)との比較で評価された。血液グルコース濃度の生じた全体的特性は、1単位のSigselin−1が1単位のKPインスリンの3倍のタンパク質分子を要するように定義されるタンパク質用量(ナノモルで定義される)においてであるが、Sigselin−1のPD特性が、Humalog(登録商標)のそれに類似することを示した。これらのアッセイにおいては、ラットは皮下(SQ)注射された。血液は、クリッピングされた尾先から連続的な間隔で得られた。平均血液グルコース(BG)濃度、及び初期のBGからのパーセント変化が、それぞれプロットされた(図7A及び7B)。実験は、mg(これは市販のインスリン製品間で異なる)あたりの効能(SQ注射後初めの60分におけるBGの低下として定義される)を決定するため、Sigselin−1及びlisproの4つの異なる用量について繰り返された(絶対及びパーセント変化が図7C及び7D)。
これらのデータは、インスリンlisproのペンタ−フルオロ−PheB24(5F−PheB24)誘導体が無視できるほど小さい生物学的活性を呈するのに対し(図7A及び7Bにおけるひし形)、生物学的活性は、インスリンlispro(KPインスリン、四角)に対する共改変HisB10→Asp(円)によりレスキューされることを示す。AspB10は、比較的劇的にではないが、KPインスリンの活性も増強する(ひし形)。KPインスリンとの比較での5F−PheB24−AspB10−KPインスリン(Sigselin−1)の用量反応実験は、現在のインスリン製品インスリンdetemir(Levemir(登録商標)、Novo−Nordisk)についてそうであるように、同等の治療効果を達成するには3倍のナノモルのSigselin−1が必要だったことを示した。
上記の細胞ベース及びラットベースの発見は、あわせて、Sigselin−1が、インスリン反応性及びIGF−I反応性のヒトがん細胞株における分裂促進性経路を刺激することなく、治療的低血糖反応をもたらすシグナリング現象を指揮しうるという証拠を提供する。
非糖尿病Sprague−Dawleyラットにおける選択的シグナリングの証拠。内因性β細胞インスリン分泌がオクトレオチド(ソマトスタチンアナログ)により抑制された非糖尿病性ラットの高インスリン血症−正常血糖クランプ(HIEC)実験において、Sigselin−1の薬力学(PD)が調査された。グループあたり4匹のラットが用いられた。これらのベースライン実験は、3倍用量のSigselin−1注入(モル/分/kgで)がインスリンlisproと同等の治療強度を与えたことを確かめた。
トリチウム化グルコーストレーサー技術を使用して、選択的シグナリングの証拠が探られた。簡潔には、HIEC環境への30分間の順応の後、[H−3]−グルコース(Perkin−Elmer NEN)の刺激連続注入(20.8μCiの大量注射、それから0.52μCi/分)が開始され、開示されるように実験の間じゅう維持された。トレーサー平衡の30分後、グルコース及び血漿放射性のための血液試料が、ベースラインを確立するため10分毎に30分間採取された。BGは、HIECの間、GM7 Micro−stat Analyzer(ANALOX Instruments)を使用してリアルタイムで測定された。時刻ゼロにおいて、インスリンlispro(1.5mU/kg/分)またはSigselin−1(3倍のmg/mlタンパク質)の刺激連続注入、及び25%通常グルコース溶液(IVX Animal Health)の可変注入が開始された。グルコース注入の速度は、血漿グルコース濃度を130−140mg/dlにて留めるため、必要に応じて調節された。血液試料は、60分間の高インスリン血症期の間、10分毎に採取された。[H−3]−グルコースからの血漿放射性は、Ba(OH)及びZnSOでの脱タンパク質化、並びにトリチウム化水を除去するための蒸発の後、決定された。血漿インスリンレベルは、60、90、120、150、及び180分において測定された。類似のプロトコールにおいては、我々は、クランプの最後の40分の間(図8における灰色領域)におけるインスリン刺激性グルコース取込みの組織特異的相対速度を測定するためのプローブとして、[14C]−2−デオキシグルコース(100μLの生理食塩水中20μCiの[14C]−2−デオキシグルコース)を用いた。
受容体後シグナリングバイアスを評価するため、我々は、遅攣縮ヒラメ筋及び速攣縮長指伸筋(EDL)の2つの筋肉に注目した。これらの筋肉におけるインスリン指揮性グルコース取込み速度は、[14C]−2−デオキシグルコースで調べられるように、インスリンlisproとSigselin−1との間で類似しており、また媒体とも類似した。この結果は、これらの実験において使用されたインスリンの低い用量を踏まえると、予期されていた(図9)。
しかしながら、[H−3]−グルコースのグリコーゲンへの取込みの相対速度は、Sigselin−1によるシグナリング後のヒラメ筋においては、lisproによるシグナリング後よりも(図10左)、Sigselin−1処理動物と比較してWTインスリン処理動物のヒラメ筋におけるグルコース取込み速度が同じであるにもかかわらず、ずっと高かった。類似の傾向がEDLにおいて見られたが、統計学的有意性は達成しなかった(N=4ラット)。これらの発見は、注目すべきであり、グルコース由来のH−Cの流れは、グリコーゲンに(酸化または脂質合成と比較して)好ましく向かうことを提唱する。筋肉におけるより比較的少ない脂肪は、インスリン抵抗性を軽減しうる。これは優れた臨床的な重要性を持つであろう。
糖尿病を有する患者を治療するための方法は、本明細書において開示される二鎖インスリンアナログを投与する工程を有する。その二鎖インスリンアナログが、酵母(Pichia pastoris)により調製され、または天然型フラグメントのライゲーションによる完全化学合成の対象となりうることは、本発明の別の一態様である。調製の合成経路は、Dアミノ酸置換、または炭化水素によるセリンまたはトレオニンのO結合性改変などの、非標準的改変の場合に好まれる。しかしながら、拡張された遺伝コード技術または四塩基コドン技術により、非標準型改変を含有する単鎖アナログのサブセットを製造することは容易であろう(検討用には、Hohsaka、T.、&Sisido、M.、2012を参照)。非標準型アミノ酸置換が二鎖インスリンアナログの化学的分解に対するまたは物理的分解に対する耐性を増強しうることは、本発明のさらに別の一態様である。我々は、本発明のアナログが、糖尿病または代謝性症候群の治療のための方法を提供することをさらに想像する。インスリンアナログの送達経路は、シリンジまたはペン装置の使用による皮下注射による。本発明のインスリンは、位置A13及び/またはA14における置換などの他の改変もまた含有しうる。本発明のインスリンアナログは、残基B1−B3の欠失による短縮型B鎖、または位置B31における酸性残基もしくは二残基伸長B31−B32における少なくとも1つの酸性残基を含有するC末端伸長B鎖もまた含有しうる。
医薬組成物は、そのようなアナログを有してもよく、また任意で亜鉛を含んでもよい。本発明のインスリンアナログは古典的亜鉛安定化六量体を形成しない(また実際に安定性のためにそのような集合を必要としない)ため、亜鉛イオンは、優勢なインスリン六量体を含有する製剤において一般的に用いられるよりも低い、様々な亜鉛イオン:タンパク質比で含められうる。そのような比は、インスリンアナログのモルあたり0.01〜0.10モルの亜鉛イオンの範囲にありうる。製剤のpHは、pH7.0〜8.0の範囲にある。緩衝液(一般にリン酸ナトリウムまたはTris−塩化水素)は、存在しても存在しなくてもよい。そのような製剤においては、インスリンアナログの濃度は、一般に約0.6−5.0mMの間であろう。バイアルまたはペンにおいては最大5mMの濃度が使用されうる。より濃縮された製剤(U−200またはそれより高い)は、顕著なインスリン抵抗性を有する患者において特に有益となりうる。賦形剤は、グリセロール、グリシン、アルギニン、Tris、他の緩衝液及び塩、並びにフェノール及びメタクレゾールなどの抗微生物保存剤を含みうる。後者の保存剤は、インスリン六量体の安定性を増強することが知られている。物理的安定性を強めるため、Tween−20などの非イオン性界面活性剤もまた、添加されうる。そのような医薬組成物は、患者に生理学的有効量の組成物を投与することにより、糖尿病または他の医学的状態を有する患者を治療するために使用されうる。
上の開示を踏まえれば、提供された二鎖インスリンアナログが、本明細書において上に示された目的を実施するだろうことが、もう明らかであるはずである。つまり、これらのインスリンアナログは、野生型インスリンに類似する生物学的活性(皮下または静脈内注射により哺乳類において血液グルコース濃度を低下するのに必要なタンパク質単量体のナノモルにより定義される)を、低い分裂促進性を伴って速効性が保持されるように、呈する。したがって、特許請求の範囲の発明の範囲内に明らかに入るあらゆるバリエーション、及びゆえに特定の成分要素の選択が、本明細書に開示かつ記述される発明の真髄から逸脱することなく決定されうることが理解されるべきである。
以下の文献は、本明細書において開示される試験及びアッセイ方法が、当業者により理解されうるだろうことを示すために引用される。
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Claims (18)

  1. インスリンアナログであって、野生型ヒトインスリンと比較した位置B10におけるAsp置換と、野生型ヒトインスリンと比較した位置B24におけるペンタ−フルオロ−Phe置換とを含有するB鎖ポリペプチドを有する、インスリンアナログ。
  2. 請求項1記載のインスリンアナログであって、オルニチン及びGluから選択される、野生型ヒトインスリンと比較した位置B29における置換を追加で有する、インスリンアナログ。
  3. 請求項2記載のインスリンアナログにおいて、前記野生型ヒトインスリンと比較した位置B29における置換はオルニチンである、インスリンアナログ。
  4. 請求項1記載のインスリンアナログであって、Lys、Gln、及びAlaからなる群から選択される、ヒトインスリンと比較した位置B28における置換を追加で有する、インスリンアナログ。
  5. 請求項4記載のインスリンアナログにおいて、前記ヒトインスリンと比較した位置B28における置換はLysであり、かつ、ヒトインスリンと比較した位置B29におけるPro置換を追加で有する、インスリンアナログ。
  6. 請求項1記載のインスリンアナログであって、1〜3アミノ酸のB鎖ポリペプチドN末端欠失を追加で有する、インスリンアナログ。
  7. 請求項1〜6記載のインスリンアナログであって、野生型ヒトインスリンと比較した、
    Val、Leu、及びIle以外の任意のアミノ酸から選択される位置A8における置換と、
    TrpまたはTyrから選択される位置A13における置換と、
    位置14におけるTyr置換と、
    Asn、Asp、Ala、及びGlyからなる群から選択される位置A21における置換と
    からなる群から選択される、1つまたはそれ以上の置換を含有するA鎖ポリペプチドを追加で有する、インスリンアナログ。
  8. 患者の血糖レベルを低下させるための医薬製剤であって、前記医薬製剤は、野生型ヒトインスリンと比較した位置B10におけるAsp置換と、野生型ヒトインスリンと比較した位置B24におけるペンタ−フルオロ−Phe置換とを有するB鎖ポリペプチドを含有するインスリンアナログを有する、医薬製剤。
  9. 請求項8記載の医薬製剤において、前記B鎖ポリペプチドは、オルニチン及びGluから選択される、野生型ヒトインスリンと比較した位置B29における置換を追加で有する、医薬製剤。
  10. 請求項9記載の医薬製剤において、前記野生型ヒトインスリンと比較した位置B29における置換は、オルニチンである、医薬製剤。
  11. 請求項8記載の医薬製剤において、前記B鎖ポリペプチドは、Lys、Gln、及びAlaからなる群から選択される、ヒトインスリンと比較した位置B28における置換を追加で有する、医薬製剤。
  12. 請求項9記載の医薬製剤において、前記ヒトインスリンと比較した位置B28における置換はLysであり、かつ、ヒトインスリンと比較した位置B29におけるPro置換を追加で有する、医薬製剤。
  13. 請求項8記載の医薬製剤において、前記B鎖ポリペプチドは、1〜3アミノ酸のB鎖ポリペプチドN末端欠失を追加で有する、医薬製剤。
  14. 請求項8〜13のいずれか1項に記載の医薬製剤であって、野生型ヒトインスリンと比較した、
    Val、Leu、及びIle以外の任意のアミノ酸から選択される位置A8における置換と、
    TrpまたはTyrから選択される位置A13における置換と、
    位置14におけるTyr置換と、
    Asn、Asp、Ala、及びGlyからなる群から選択される位置A21における置換と
    からなる群から選択される、1つまたはそれ以上の置換を含有するA鎖ポリペプチドを追加で有する、医薬製剤。
  15. 請求項8〜13のいずれか1項に記載の医薬製剤であって、野生型ヒトインスリンと比較した、
    Val、Leu、及びIle以外の任意のアミノ酸から選択される位置A8における置換と、
    TrpまたはTyrから選択される位置A13における置換と、
    位置14におけるTyr置換と、
    Asn、Asp、Ala、及びGlyからなる群から選択される位置A21における置換と
    からなる群から選択される、1つまたはそれ以上の置換を含有するA鎖ポリペプチドを追加で有し、
    前記製剤はインスリンアナログ単量体あたり亜鉛イオン0.00〜0.10のモル比で亜鉛イオンを含有し、
    前記製剤のpHはpH7.0〜pH8.0である、医薬製剤。
  16. 請求項15記載の医薬製剤において、前記インスリンアナログ製剤は少なくともU−100の強度で製剤化される、医薬製剤。
  17. 請求項16記載の医薬製剤において、前記インスリンアナログ製剤は少なくともU−500の強度で製剤化される、医薬製剤。
  18. 請求項17記載の医薬製剤において、前記インスリンアナログ製剤はU−500〜U-1000の強度で製剤化される、医薬製剤。
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