JP2018503824A - 改良されたプログラム可能性及び感度を有するmluベースの磁気センサ - Google Patents

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Abstract

本開示は、外部磁場を感知する磁気センサ装置(100)であって、複数のMLUセル(1)を備え、それぞれのMLUセル(1)が磁気トンネル接合(2)を備え、磁気トンネル接合(2)が、外部磁場中で自由に配向可能なセンス磁化(210)を有するセンス層(21)と、記憶磁化(230)を有する記憶層(23)と、センス層(21)と記憶層(23)の間のトンネル障壁層(22)とを含み、磁気センサ装置(100)が、センス層(21)と記憶層のうちの少なくとも1つの層の上に応力誘起性磁気異方性(271、272)を誘起するように異方性機械的応力を磁気トンネル接合(2)上に加えるように構成された応力誘起装置(6)をさらに備え、応力誘起装置によって誘起された応力誘起性磁気異方性(271、272)が、センス層(21)と記憶層(23)のうちの前記少なくとも1つの層の正味の磁気異方性(280)にほぼ対応する当該磁気センサ装置(100)に関する。この磁気センサ装置は、容易にプログラムすることができ、改良された感度を有する。(図4)

Description

本発明は、外部磁場を感知する、マグネティック・ロジック・ユニット(mangetic logic unit:MLU)ベースの磁気センサ装置であって、容易にプログラムすることができ、外部磁場を感知したときに線形信号を与える磁気センサ装置に関する。本開示はさらに、磁気センサ装置をプログラムする方法に関する。
マグネティック・ロジック・ユニット(MLU)セルは、磁気センサ又はコンパス内において磁場を感知するために使用することができる。MLUセルは、磁気トンネル接合を備えることができ、この磁気トンネル接合は、記憶磁化(storage magnetization)を有する記憶層と、センス(sense)磁化を有するセンス層と、記憶層とセンス層の間のトンネル障壁層とを含む。センス磁化は、外部磁場の存在下で配向可能であるが、記憶磁化は、外部磁場によってほとんど乱されない。したがって、外部磁場によって配向したセンス磁化と記憶磁化との相対的配向によって決まる磁気トンネル接合の抵抗を測定することによって、外部磁場を感知することができる。
外部磁場の小さな変動の測定を容易にするため、理想的には、外部磁場によって配向したときに、センス層が、線形の非ヒステリシス挙動を有する。このことは、0.5エルステッド(Oe)程度の平均値を有する地球磁場を感知するときに適当である。
このような線形の非ヒステリシス挙動は、センス磁化磁気異方性軸が記憶磁化に対してほぼ垂直に配向した磁気トンネル接合を提供することによって達成することができる。このことは普通、センス層の異方性軸に対して垂直に記憶磁化をピン止めする(pinning)ことによって達成される。センス層の異方性軸のこの配向は、磁気トンネル接合の製造時の製造条件によって、例えば磁場を印加することによって画定することができる。
上記のMLUセルの欠点は、複数のMRAMセルを備えるウェーハ上でのスパッタ条件によって、1つの異方性方向だけを画定することができる点である。したがって、センサ装置の平面内の一方向にだけ、センス層磁化210を、記憶磁化230に対して垂直に配向させることができる。
図3は、電流線3に直列に電気的に接続された複数のMLUセルを含む、従来のMLUベースの磁気センサ装置100を示す。磁気センサは普通、少なくとも2つの感知方向を必要とする。図1は、磁気トンネル接合2を備え、磁気トンネル接合2が、センス磁化210を有するセンス層21と、記憶磁化230を有する記憶層23と、低しきい温度(low threshold temperature)では記憶磁化230をピン止めし、高しきい温度では記憶磁化230を解放する記憶反強磁性層(antiferromagnetic layder)24と、トンネル障壁層22とを含む、従来のMLUセルを示す。センス磁化210は、センス磁化210と記憶磁化230との相対的配向によって決まる磁気トンネル接合2の抵抗が変化するように、外部磁場中で配向可能であるように構成されている。
図3を再び参照すると、前記複数のMLUセルが、点パターン101、102、103によって示されている。界磁線(field line)4は、入力(界磁電流)に基づいて磁場を発生させるように構成されている。特に、これらの複数のMLUセルは、MLUセルのサブセットをそれぞれが備える枝(branch)101、102、103の中に構成されている。これらの枝は、軸xに対して約0°、約45°、約90°の角度に向けられている。界磁線は、複数の部分401、402、403を含むことができ、それらの部分はそれぞれ、MLUセルの枝101、102、103のうちの対応する1つの枝に隣接して配される。界磁線部分401、402、403は、それぞれの部分401、402、403を流れる電流41の方向が、対応する枝101、102、103の角度配向に対応する角度配向を有するように構成される。その結果、プログラミング磁場42は、対応するそれぞれの界磁線部分401、402、403に対して垂直な方向を向き、プログラミング方向260に沿って整列する。センス固有異方性軸(sense intrinsic anisotropy axis)251と呼ばれるセンス層磁化210の固有異方性軸、及び記憶固有異方性軸252と呼ばれる記憶層磁化230の固有の異方性軸252は、スパッタ条件及び/又はアニール条件によって画定される。磁場がない場合、センス磁化210は、センス固有異方性軸251に沿って配向する。図3では、センス固有異方性軸251及び記憶固有異方性軸252が、約0°の枝101ではプログラムされた方向260に対して垂直な向き、約45°のサブセット102では記憶磁化230に対して約45°の角度、約90°のサブセット103では記憶磁化230に対してほぼ平行な向きを有する。
従来のMLUベースの磁気センサ装置の他の欠点は、装置をプログラムする間、すなわち記憶磁化の配向を設定するステップの間に、記憶磁化230が、記憶固有異方性軸251の方向に近い方向にだけ整列することができる点である。上で論じたとおり、記憶固有異方性軸251は、磁気センサ装置の全ての枝で単一の方向に向けられており、その方向は、磁気センサ装置の製造プロセス(スパッタ条件、アニール条件など)によって決まる。この異方性軸に近くない方向の記憶磁化のプログラミングは、この異方性軸に近い方向にプログラミングが実行される場合よりも高いプログラミング場を必要とする。従来のMLUベースの磁気センサ装置では、この異方性軸に近くない方向に記憶磁化230をプログラムするのに十分な大きさのプログラミング磁場42をプログラミング線4によって発生させることが可能ではない。
図3に示された2D磁気センサ装置などの2D磁気センサ装置を得るためには、異なる枝に含まれるMLUセル1内の記憶層23が、異なる方向にプログラムされるべきであり、それらの枝のうちのいくつかの枝に関しては、プログラミング方向260が磁気異方性軸から遠く(すなわちプログラミング方向260と磁気異方性軸の間の角度が10℃よりも大きく)、その結果、これらの枝ではプログラミングが不十分になる。不十分にプログラムされた枝の外部磁界に対する感度は低く、普通は、外部磁場の値を正確に決定するのに十分な大きさを持たない。
特許文献1は、高い熱安定性(保持特性)を維持することができ、同時に書込み電流を低減させることができる磁気記憶素子を開示している。この磁気記憶素子は磁気トンネル接合を含み、この磁気トンネル接合は、垂直磁化膜を含む第1の磁性体と、絶縁層と、垂直磁化膜を含む記憶層の役目を果たす第2の磁性体とを有し、これらは順番に積み重ねられている。磁気トンネル接合部分と接触して熱膨張層が配されている。第2の磁性体は、電流の流れに起因する熱膨張層の熱膨張又は熱収縮によって、その断面積が大きくなる方向又は小さくなる方向に変形し、それによって、磁化方向を変化させるのに必要なスイッチング電流しきい値を低減させる。
特許文献2は、圧電材料を含む磁気メモリ・セルを開示しており、このメモリ・セルを動作させる方法が提供されている。このメモリ・セルはスタックを含み、圧電材料は、スタック内の層として形成し、又はセル・スタックの層に隣接して形成することができる。この圧電材料を使用して、メモリ・セルのプログラミング中に過渡応力を誘起し、それによってメモリ・セルの臨界スイッチング電流を低減させることができる。
特許文献3は、第1の磁気層と、第1の磁気層上の第1のトンネル障壁層と、第1のトンネル障壁層上の第2の磁気層と、前記第2の磁気層上の応力が加えられたオーバレイヤとからなり、このオーバレイヤが、前記第2の磁気層のスイッチング・エネルギー障壁を変更するように構成された、磁電気素子(magnetoelectronics element)を開示している。
米国特許出願公開第2012075922号 米国特許出願公開第2010080048号 米国特許出願公開第2002117727号
開示された磁気センサ装置の利点は、プログラミング及びそれぞれの枝の感度が改良され、したがって磁気センサ装置が改良されるように、枝ごと及び層ごとに、センス層及び記憶層の磁気異方性を特定の方向に配向させることができる点である。実際、記憶層の正味の磁気異方性が、プログラムされた方向のそれに近い方向に配向することにより、それぞれの枝はより容易にプログラムする。センス層の磁化は、記憶層磁化に対して垂直に配向するため、磁気センサ装置のそれぞれの枝は、線形の非ヒステリシス挙動を示す。
本開示は、外部磁場を感知する磁気センサ装置であって、複数のMLUセルを備え、それぞれのMLUセルが磁気トンネル接合を備え、この磁気トンネル接合が、外部磁場中で自由に配向可能なセンス磁化を有するセンス層と、記憶磁化を有する記憶層と、センス層と記憶層の間のトンネル障壁層とを含み、磁気センサ装置が、センス層と記憶層のうちの少なくとも一方の層上に応力誘起性磁気異方性を誘起するように異方性機械的応力を磁気トンネル接合上に加えるように構成された応力誘起装置(stress inducing device)をさらに備える、磁気センサ装置に関する。
本開示はさらに、磁気センサ装置をプログラムする方法であって、
応力誘起装置を使用して、センス層と記憶層のうちの少なくとも一方の層上に応力誘起性磁気異方性を誘導すること、及び
前記複数のMLUセルのそれぞれのMLUセルの記憶磁化をプログラムされた方向に整列させることを含む方法に関する。
本発明は、例として与えられ図によって示される一実施形態の説明の助けによって、より十分に理解される。
記憶層とトンネル障壁層とセンス層とを備える磁気トンネル接合を示す図である。 記憶層が、第1の記憶強磁性層と、第2の記憶強磁性層と、逆平行結合層(anti−parrallel coupoing layer)とを備える合成反強磁性体である、図1の磁気トンネル接合を示す図である。 MLUセルを含む第1、第2及び第3の枝を備える、従来のMLUベースの磁気センサを示す図である。 一実施形態に基づくMLUベースの磁場方向測定装置を示す図である。 y方向の応力誘起性磁気異方性を、応力誘起装置を使用することによって誘起する可能な4つの方式を示す図である。 記憶層中の応力誘起性磁気異方性に対してほぼ垂直なセンス層中の応力誘起性磁気異方性を、応力誘起装置を使用することによって誘起する可能な4つの方式を示す図である。 高温で付着させた適切な形状を有する金属線によってセンス層及び記憶層中に異方性応力を誘起する方式を示す図である。
図1を参照すると、外部磁場を感知するMLUセル1は磁気トンネル接合2を備え、磁気トンネル接合2は、センス層21と、記憶層23と、センス層21と記憶層23の間のトンネル障壁層22とを含む。センス層21は、外部磁場中で自由に配向可能なセンス磁化210を有する。記憶層23は、外部磁場中でその配向が固定された状態を維持する記憶磁化230を有する。書込み及び読出し機能を提供するため、MLUセル1はさらにトレース(trace)又はストリップ導体(strip conductor)を含むことができる。具体的には、MLUセル1に電流線3を電気的に結合することができる。MLUセル1は、電流線3に対してほぼ垂直(又は平行)に延びる、MLUセル1に磁気的に結合されたプログラミング線4を含むことができる。MLUセル1はさらに、ストラップ7を介してMLUセル1に電気的に接続された選択トランジスタ8を含むことができる。
センス層21は、軟質強磁性材料、すなわち比較的に低い磁気異方性を有する強磁性材料を含むことができ、記憶層23は、硬質強磁性材料、すなわち比較的に高い保磁度(coercivity)を有する強磁性材料を含むことができる。適当な強磁性材料には、遷移金属、希土類元素及びそれらの合金が含まれ、この合金は、典型元素を含み又は含まない。例えば、適当な強磁性材料には、鉄(「Fe」)、コバルト(「Co」)、「ニッケル(Ni)」及びそれらの合金が含まれ、この合金は、パーマロイ(又はNi80Fe20)、Ni、Fe及びホウ素(「B」)に基づく合金、Co90Fe10、Co、Fe及びBに基づく合金などである。センス層21及び記憶層23のそれぞれの厚さは、約0.4nm〜約20nm、約1nm〜約10nmなど、nm範囲とすることができる。
センス層21及び記憶層23の他の実施態様も企図される。例えば、センス層21と記憶層23のうちのいずれか一方又は両方が、いわゆる合成反強磁性層のサブレイヤ(sub−layer)と同様の多数のサブレイヤを含むことができる。図2は、第1の記憶磁化234を有する第1の記憶強磁性層231と第2の記憶磁化235を有する第2の記憶強磁性層232とを備える合成記憶層又は合成反強磁性体(synthetic antiferromagnet:SAF)を記憶層23が含む、磁気トンネル接合2を示す。第1の記憶強磁性層231と第2の記憶強磁性層232の間には記憶逆平行結合層233が含まれる。記憶結合層233は、第1の記憶層231と第2の記憶層232の間に、第2の記憶磁化235が第1の記憶磁化234に対して逆平行であり続けるようにRKKY結合を生み出す。2つの記憶強磁性層231、232は、CoFe、CoFeB又はNiFe合金を含むことができ、一般に約0.5nm〜約4nmの間に含まれる厚さを有することができる。記憶結合層233は、ルテニウム、クロム、レニウム、イリジウム、ロジウム、銀、銅及びイットリウムのうちの少なくとも1つを含むグループから選択された非磁性材料を含むことができる。好ましくは、記憶結合層233はルテニウムを含み、一般に約0.4nm〜3nmの間、好ましくは0.6nm〜約0.9nmの間又は約1.6nm〜約2nmの間に含まれる厚さを有する。
トンネル障壁層22は絶縁材料を含むことができ、又は絶縁材料から形成することができる。適当な絶縁材料には、酸化アルミニウム(例えばAl)、酸化マグネシウム(例えばMgO)などの酸化物が含まれる。トンネル障壁層22の厚さは、約0.5nm〜約10nmなど、nm範囲とすることができる。
MLUセル1は、サーマリー・アシステッド・スイッチング(thermally−assisted switching:TAS)操作によって書込み又はプログラミングがなされるように構成することができる。図1を再び参照すると、MLUセル1はさらに、記憶層23に隣接して配されたピン止め層24を含むことができる。ピン止め層24は、ピン止め層24内の温度又はピン止め層24の近傍の温度が低しきい温度Tであるときに、交換バイアス(exchange bias)によって記憶磁化230を特定の方向に沿って固定またピン止めする。低しきい温度Tは、阻害温度(blocking temperature)、ネール温度(Neel temperature)又は他のしきい温度よりも低い温度に対応しうる。この温度が高しきい温度T、すなわち阻害温度よりも高い温度であるとき、ピン止め層24は、記憶磁化230のピン止め又は結合を解除し、それによって、記憶磁化230が別の方向にスイッチングされることを可能にする。
図2に示されているように、記憶層がSAF構成を有する場合には、低しきい温度Tでは第1の記憶磁化234をピン止めし、高しきい温度Tでは第1の記憶磁化234を解放するように、ピン止め層24が第1の記憶強磁性層231に隣接することができる。第2の記憶磁化235は、ピン止め層24によって交換結合されてはいないが、記憶結合層233によって、第1の記憶磁化234に逆平行結合された状態に維持される。ピン止め層24は、第2の記憶強磁性層232を交換結合するように第2の記憶強磁性層232に隣接することもできる。
ピン止め層24は、磁性材料、特に反強磁性型の磁性材料を含み、又は磁性材料、特に反強磁性型の磁性材料から形成されている。適当な反強磁性材料には、遷移金属及びそれらの合金が含まれる。例えば、適当な反強磁性材料には、イリジウム(「Ir」)及びMnに基づく合金(例えばIrMn)、Fe及びMnに基づく合金(例えばFeMn)、白金(「Pt」)及びMnに基づく合金(例えばPtMn)、Ni及びMnに基づく合金(例えばNiMn)など、マンガン(「Mn」)に基づく合金が含まれる。ある例では、Ir及びMnに基づく(又はFe及びMnに基づく)合金の阻害温度が約90℃〜約350℃又は約150℃〜約200℃の範囲にあり、約200℃〜約400℃の範囲にあることがあるPt及びMnに基づく(又はNi及びMnに基づく)合金の阻害温度よりも低い。
一実施形態では、MLUセル1が、センス層21と記憶層23のうちの少なくとも一方の層上に応力誘起性磁気異方性270を誘起するように異方性機械的応力を磁気トンネル接合2上に加えるように構成された応力誘起装置6を備える。
磁歪材料は、外部磁場にさらされたときに大きな機械的変形を示す。この現象は、この材料が磁場にさらされていないときのこの材料中のランダムな向きの小さな磁区が回転することによって生じると考えられる。磁場の印加によるこれらの小さな磁区の配向はひずみ場を生み出す。磁場の強度が増大するにつれて、ますます多くの磁区が配向し、その結果、それらの磁区の主異方性軸は、それぞれの領域内の磁場と同一の直線上にあり、最終的に飽和が達成される。反対に、加えられた応力に起因する磁化又は磁気異方性軸の変化も、磁気弾性効果(magnetoelastic effect)又はビラリ(Villari)効果として知られている。
したがって、磁気トンネル接合2上に異方性機械的応力を加えると、応力誘起性磁気異方性と呼ばれる追加の磁気異方性源が誘起される。このような異方性機械的応力は応力誘起装置6によって生成される。応力誘起装置6は、磁気トンネル接合2の近傍に位置する金属線又は酸化物を含むことができる。一実施形態では、応力誘起装置6が、電流線3及び/又はプログラミング線4を備える。これの代わりに又はこれと組み合わせて、応力誘起装置6は、ストラップ7などの追加の金属線、又は適切な機械的応力を発生させるように適合された他の金属線を備えることもできる。これの代わりに又はこれと組み合わせて、応力誘起装置6は、MLUセル1をカプセル封入する誘電層などのカプセル封入層(図示せず)を備えることもできる。
応力誘起装置はさらに、応力誘起性磁気異方性270が、付着及び/若しくはアニール、形状又は結晶異方性によって誘起された磁気異方性などの磁気異方性(以後、以下の文では、センス層21に対してはセンス固有異方性251及び記憶層23に対しては記憶固有異方性252と呼ぶ)の他の可能な寄与よりも大きな大きさを有するように構成される。センス層21中の応力誘起性磁気異方性を、センス応力誘起性磁気異方性271と呼び、記憶層23中の応力誘起性磁気異方性を、記憶応力誘起性磁気異方性272と呼ぶ。したがって、応力誘起装置6は、センス応力誘起性磁気異方性271がほぼ正味のセンス磁気異方性281に対応し、記憶応力誘起性磁気異方性272がほぼ正味の記憶磁気異方性282に対応するように構成される(図4参照)。ここで、正味のセンス磁気異方性281は、センス固有異方性251とセンス応力誘起性磁気異方性271の和に対応し、正味の記憶磁気異方性282は、記憶固有異方性251と記憶応力誘起性磁気異方性271の和に対応する。言い換えると、センス固有異方性251は、センス応力誘起性磁気異方性271と比較して無視することができ、記憶固有異方性252は、記憶応力誘起性磁気異方性272と比較して無視することができる。
図4は、磁場方向を測定する一実施形態に基づく磁気センサ装置100の例を示す。磁気センサ装置100は複数のMLUセル1を含む。図4の磁気センサ装置100の構成は、図3に記載された構成と同様である。磁気センサ装置100は、複数の枝101、102、103を備え、それぞれの枝は、それぞれ電流線3の電流部分301、302、303に直列に電気的に接続された前記複数のMLUセル1のサブセットを含む。磁気センサ装置100はさらに、プログラミング磁場42を誘起するプログラミング界磁電流41を通電するように構成されたプログラミング線4を備える。このプログラミング線は、プログラミング線部分401、402、403を含み、それぞれのプログラミング線部分はそれぞれ、対応する枝101、102、103をアドレスする。
より詳細には、それぞれの枝101、102、103が、前記複数のMLUセル1の1つ又は複数の行及び/又は列を含むアレイを含み、このアレイは、電流線301、302、303のうちの1つの電流線に直列に電気的に接続されている。例えば、それぞれの枝101、102、103は、MLUセル1の1つの行又はMLUセル1の2つ以上の隣接する行を備えることができる。プログラミング界磁電流41は、それぞれのプログラミング線部分401、402、403に個別に通電することができる。あるいは、プログラミング界磁電流41がプログラミング線部分401、402、403に同時に通されるように、プログラミング線部分401、402、403を直列に電気的に接続することもできる。
図4の配置では、軸xに対して約0°の角度に向けられた第1の枝101、軸xに対して約45°の角度に向けられた第2の枝102、及び約90°の角度に向けられた第3の枝103を有する磁気センサ装置100が示されている。第1、第2及び第3の枝101、102、103に含まれるMLUセルはそれぞれ、第1、第2及び第3のプログラミング線部分401、402、403によってアドレスされる。第1、第2及び第3のプログラミング線部分401、402、403は、プログラミング電流41がその中を通る単一のプログラミング線4を形成するように、直列に電気的に接続されている。
プログラミング線部分401、402、403は、任意のプログラミング線部分401、402、403を流れているプログラミング界磁電流41が、プログラミング線部分401、402、403及び枝101、102、103に対してほぼ垂直な方向のプログラミング磁場42を誘起するように構成される。
磁気センサ装置100の他の構成も企図されうる。例えば、磁気センサ装置100は、MLUセル1の平均記憶磁化方向230間の間隔がほぼ360度を「n」で割った角度又は45°にほぼ等しいように複数の枝を備えることができる。「n」は8とすることができる。
一実施形態によれば、磁気センサ装置100をプログラムする方法が、
応力誘起装置6を使用して、記憶層23上に、記憶応力誘起性磁気異方性272を、記憶層23の記憶応力誘起性磁気異方性272がプログラミング磁場42に対してほぼ平行になるように誘起するステップと、
それぞれのサブセット内に構成された複数のMLUセル1の記憶磁化230を、プログラミング磁場42に対してほぼ平行なプログラムされた方向260(図4参照)に整列させるステップと
を含む。
記憶磁化230は、界磁線401、402、403にプログラミング磁場42を印加することによって、プログラムされた方向260に整列させることができる。
記憶応力誘起性磁気異方性272及び/又はセンス応力誘起性磁気異方性271の誘起は、記憶層23及び/又はセンス層21上に機械的応力を誘起することによって実行することができる。この機械的応力は、電流線3、界磁線4、ストラップ7、又は適切な機械的応力を発生させるように適合された他の金属線の形状、材料特性及び製造条件を適合させることによって誘起することができる。これの代わりに又はこれと組み合わせて、磁気トンネル接合2の近傍に位置する、MLUセル1をカプセル封入する誘電層などの絶縁材料の材料特性及び製造条件を適合させることによって、機械的応力を誘起することもできる。
一実施形態では、記憶誘起磁気異方性271の方向が前記複数の枝101、102、103ごとに異なるように、応力誘起装置6を構成することができる。これは、枝ごとに、電流線301、302、303若しくは界磁線401、402、403、ストラップ7、又は適切な機械的応力を発生させるように適合された他の金属線、又は絶縁層を、適切な方向に向けることによって達成することができる。
プログラミング操作中に、それぞれの枝101、102、103に含まれるMLUセル1の記憶磁化230を、プログラミング磁場42に対してほぼ平行なプログラムされた方向260に整列させることができる。したがって、記憶磁化230のプログラムされた方向260を、それぞれの枝101、102、103に含まれるMLUセル1の記憶層23の応力誘起性磁気異方性272に対してほぼ平行にすることができる。比較のため、図4は、記憶固有異方性251の配向も示している。
一実施形態では、センス層21中のセンス応力誘起性磁気異方性271の方向、及び/又は記憶層23中の記憶応力誘起性磁気異方性272の方向を、加えられる異方性機械的応力の振幅を調整することによって調整することができる。
他の実施形態では、異方性機械的応力の強度及び方向が、電流線3、301、302、303若しくは界磁線4、401、402、403、又はストラップ7、又は適切な機械的応力を発生させるように適合された他の金属線、又はMLUセル1の近傍にある絶縁層のうちの少なくとも1つの付着条件を調整することによって変更される。電気的に応力を誘起する装置6を形成する金属及び/又は絶縁材料に対して、異なる熱膨張率を有する材料の組合せを選択することによって、異方性機械的応力の強度及び方向をさらに調整することができる。
一実施形態では、応力誘起装置6によって加えられる異方性機械的応力が約1MPa〜5GPaの間である。
センス層21中のセンス応力誘起性磁気異方性271の方向は、センス層21のセンス磁気弾性結合定数(mangetoelastic coupling constant)λを変更することによって調整することができる。記憶層23中の記憶応力誘起性磁気異方性272の方向も、記憶層23の記憶磁気弾性結合定数を変更することによって調整することができる。
一実施形態では、センス磁気弾性結合定数λと記憶磁気弾性結合定数λとが反対の符号を有する。したがって、異方性機械的応力を加えると、センス層21のセンス応力誘起性磁気異方性271が、記憶層23の記憶応力誘起性磁気異方性272に対してほぼ垂直に配向する。特定の配置では、センス磁気弾性結合定数λ及び記憶磁気弾性結合定数λが、約−1000ppm〜約1000ppmの間の範囲にある。
図5a〜5dは、y方向のセンス応力誘起性磁気異方性271を、応力誘起装置6を使用することによって誘起する可能な4つの方式を表す。図5a〜5dには、上から見た磁気トンネル接合又はセンス層21が概略的に示されている。正のセンス磁気弾性結合定数λに関して、応力σによって誘起されるセンス応力誘起性磁気異方性271は、圧縮応力(σxx>0。図5a参照)の応力方向に対して垂直であり、引張応力(σyy>0。図5d参照)の応力方向に対して平行である。負のセンス磁気弾性結合定数λに関しては、センス応力誘起性磁気異方性271が、引張応力(σxx>0。図5b参照)の応力方向に対して垂直であり、又は圧縮応力(σyy<0。図5c参照)の応力方向に対して平行である。
図6a〜6dは、記憶層23中の記憶応力誘起性磁気異方性272に対してほぼ垂直なセンス層21中のセンス応力誘起性磁気異方性271を、応力誘起装置6を使用することによって誘起する可能な4つの方式を表す。図6a〜6dには、上から見た磁気トンネル接合2が概略的に示されている。これは、センス磁気弾性結合定数λと記憶磁気弾性結合定数λとが反対の符号を有するとの条件で、応力σの方向と符号の任意の組合せによって達成することができる。図6a〜6dの例では、記憶層23中の記憶応力誘起性磁気異方性272に対してほぼ垂直なセンス層21中のセンス応力誘起性磁気異方性271が、センス磁気弾性結合定数λが負(<0)であり、記憶磁気弾性結合定数λが正(>0)であるときに、圧縮応力(σxx<0)を加えることによって達成される(図6a)。これは、λ>0及びλ<0のときに圧縮応力(σxx<0)を加えることによっても(図6b)、又はλ<0及びλ>0のときに引張応力(σxx>0)を加えることによっても(図6c)、及びλ>0及びλ<0のときに引張応力(σxx>0)を加えることによっても(図6d)達成することができる。
したがって、応力誘起装置6は、センス応力誘起性磁気異方性271及び記憶応力誘起性磁気異方性272をそれぞれセンス層21上及び記憶層23上に誘起する異方性機械的応力を加えることができ、センス層21のセンス応力誘起性磁気異方性271は、記憶層23の記憶応力誘起性磁気異方性272の方向とは異なる方向を有する。
図7a及び7bは、高温で付着させた適切な形状を有する金属線7によってセンス層21及び記憶層23中に異方性応力を誘起する方式を示す。図7a及び7bには、上から見た磁気トンネル接合2及び応力誘起装置6が概略的に示されている。この例では、応力誘起装置6が、長方形の形状を有する金属線7を備える(この例では長い方の寸法がy軸に沿っている)。金属線7は、センサ装置の動作温度よりも高い温度で付着させる(図7a)。センサ装置の動作温度は、0℃〜85℃の間で、ことによると−40℃〜180℃の間で、ことによると最高250℃まで変化しうる。付着温度は、150℃〜400℃の間、ことによると20℃〜800℃の間とすることができる。金属線7は、処理後、装置の動作温度まで冷える。図7bから分かるとおり、金属線7は、金属線7の熱収縮によって収縮する(点線で描かれた長方形は冷却前の線7の寸法を示す。金属線7の長さ(y方向)は幅(x方向)よりも大きいため、この収縮は異方性である。言い換えると、x方向の変形εxxはy方向の変形εyyよりも小さい。この異方性収縮は、金属線7の上に付着させた磁気トンネル接合2上にy方向の異方性圧縮応力を誘起する。
TASベースのプログラミング操作の場合、この方法はさらに、対応するサブセット101、102、103内のMLUセル1を高しきい温度Tに加熱し、前記MLUセル1の記憶磁化230のピン止めを解除するように、電流線301、302、303に加熱電流31を通電するステップを含むことができる。記憶磁化230をプログラムされた方向260に整列させるステップの後又は記憶磁化230を整列させるステップと同時に、この方法は、記憶磁化230のスイッチングをプログラムされた方向260にピン止めするように、対応するサブセット101、102、103に含まれるMLUセル1を低しきい温度Tまで冷却するステップを含むことができる。
磁気センサ装置100の感知動作は、平均抵抗Rを測定するように、電流枝301、302、303に感知電流32を通電することを含む。ここで、平均抵抗Rは、枝101、102、103に含まれるMLUセルに関して直列に測定された抵抗に対応する。それぞれのMLUセルの抵抗は、記憶磁化230に対するセンス磁化210の相対的配向によって決まる。センス磁化210は、センス磁場44を発生させるようにプログラミング線部分401、402、403にセンス界磁電流43を通電することによって変化しうる。センス界磁電流43は、センス界磁電流43の極性に従ってセンス磁場44及び平均抵抗Rを調節するように交番しうる。センス応力誘起性磁気異方性271(又は正味のセンス磁気異方性281)は当初、記憶応力誘起性磁気異方性272(又は正味の記憶磁気異方性282)に対してほぼ垂直であるため、この応答は線形である。
地球磁場などの外部磁場を感知するために磁気センサ装置100が使用されたとき、センス磁化210は、外部磁場中で、外部磁場の対応するそれぞれの向き及び外部磁場の方向に対する枝101、102、103の向きに従って整列する。外部磁場は、電流枝301、302、303に感知電流32を通電することによって平均抵抗Rを測定するように、電流枝301、302、303に感知電流32を通電することによって決定することができる。
本明細書に開示されたMLUベースの磁気センサ装置100は例えば磁力計及び/又はコンパスに含めることができる。
一実施形態では、磁気センサ装置100を使用して、地球磁場などの外部磁場の2次元における方向、例えば2次元平面内の外部磁場の成分を測定することができる。磁気センサ装置100の設計原理を含む装置は、ホール効果垂直軸感知を用いる磁気センサ装置100を使用することなどによって、外部磁場の方向を3次元で測定することもできる。ホール効果は、その結果として、導体中の電流に対して横断方向の電気導体を横切る電圧差(ホール電圧)及びこの電流に対して垂直な磁場を生み出す。ホール効果に基づいて、第3の次元の外部磁場の成分を決定することができる。
1 MLUセル
2 磁気トンネル接合
3 電流線
4 プログラミング線
6 応力誘起装置
7 追加の金属線
21 センス層
22 トンネル障壁層
23 記憶層
24 ピン止め層
31 加熱電流
32 センス電流
41 プログラミング界磁電流
42 プログラミング磁場
43 センス界磁電流
44 センス磁場
100 磁気センサ装置
101 第1のサブセット、第1の枝
102 第2のサブセット、第2の枝
103 第3のサブセット、第3の枝
210 センス磁化
230 記憶磁化
231 第1の記憶強磁性層
232 第2の記憶強磁性層
233 記憶結合層
234 第1の記憶磁化
235 第2の記憶磁化
251 センス固有異方性
252 記憶固有異方性
260 プログラムされた方向
271 センス応力誘起性磁気異方性
272 記憶応力誘起性磁気異方性
281 正味のセンス磁気異方性
282 正味の記憶磁気異方性
301 第1の電流枝
302 第2の電流枝
303 第3の電流枝
401 プログラミング線部分
402 プログラミング線部分
403 プログラミング線部分
λ センス磁気弾性結合定数
λ 記憶磁気弾性結合定数
σ 応力
ε 変形
σxx x方向の応力
σyy y方向の応力
εxx x方向の変形
εyy y方向の変形
R 平均抵抗
高しきい温度
低しきい温度

Claims (14)

  1. 外部磁場を感知する磁気センサ装置(100)であって、複数のマグネティック・ロジック・ユニット(以後MLU)セル(1)を備え、それぞれのMLUセル(1)が磁気トンネル接合(2)を備え、前記磁気トンネル接合(2)が、前記外部磁場中で自由に配向可能なセンス磁化(210)を有するセンス層(21)と、記憶磁化(230)を有する記憶層(23)と、前記センス層(21)と前記記憶層(23)の間のトンネル障壁層(22)とを含み、
    前記磁気センサ装置(100)が、前記センス層(21)と前記記憶層(23)のうちの少なくとも1つの層の上に応力誘起性磁気異方性(271、272)を誘起するように異方性機械的応力を前記磁気トンネル接合(2)上に加えるように構成された応力誘起装置(6)をさらに備え、
    前記応力誘起装置(6)によって誘起された前記応力誘起性磁気異方性(271、272)が、前記センス層(21)と前記記憶層(23)のうちの前記少なくとも1つの層の正味の磁気異方性(281、282)にほぼ対応する、当該磁気センサ装置(100)において、
    前記センス層(21)の前記センス応力誘起性磁気異方性(271)の方向が前記記憶層(23)の前記記憶応力誘起性磁気異方性(272)の方向とは異なるように、加えられた前記異方性機械的応力が、前記応力誘起性磁気異方性(271、272)を前記センス層及び前記記憶層(21、23)内に誘起するように、前記応力誘起装置(6)がさらに構成されていることを特徴とする磁気センサ装置(100)。
  2. 前記センス層及び前記記憶層(21、23)の前記応力誘起性磁気異方性(271、272)のそれぞれの方向が、加えられた前記異方性機械的応力の振幅を調整することによって調整可能である請求項1に記載の磁気センサ装置(100)。
  3. 前記センス層(21)のセンス応力誘起性磁気異方性(271)の方向が、前記センス層(21)のセンス磁気弾性結合定数(λ)を調整することによって調整可能であり、
    前記記憶層(23)の記憶応力誘起性磁気異方性(272)の方向が、前記記憶層(23)の記憶磁気弾性結合定数(λ)を調整することによって調整可能である請求項1又は2に記載の磁気センサ装置(100)。
  4. 前記異方性機械的応力が加えられたときに、前記センス層(21)の前記センス応力誘起性磁気異方性(271)が、前記記憶層(23)の前記記憶応力誘起性磁気異方性(272)に対してほぼ垂直に配向されるように、前記センス磁気弾性結合定数(λ)が、前記記憶磁気弾性結合定数(λ)の符号とは反対の符号を有する請求項3に記載の磁気センサ装置(100)。
  5. 前記センス磁気弾性結合定数(λ)及び前記記憶磁気弾性結合定数(λ)が、−1000ppm〜1000ppmの間の範囲にある請求項3又は4に記載の磁気センサ装置(100)。
  6. 前記応力誘起装置6が、金属から成る導電性ストリップ(3、4、7)及び/又は前記応力誘起性異方性機械的応力を誘起するように適合された絶縁材料を備える請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気センサ装置(100)。
  7. 前記異方性応力の強度及び方向が、前記材料の性質、並びに前記応力誘起装置(6)を形成する前記金属線(3、4、7)及び/若しくは酸化物の付着条件、又は前記金属線(3、4、7)の形状のうちの少なくとも1つを調整することによって調整可能である請求項6に記載の磁気センサ装置(100)。
  8. 前記異方性応力の強度及び方向が、応力誘起装置(6)を形成する前記金属及び/又は酸化物に対して、異なる熱膨張率を有する材料の組合せを選択することによって調整可能である請求項6又は7に記載の磁気センサ装置(100)。
  9. 前記応力誘起装置(6)によって加えられる前記異方性機械的応力が、約1MPa〜5GPaである請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気センサ装置(100)。
  10. 複数の枝(101、102、103)を備える請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気センサ装置(100)において、
    それぞれの枝が、複数のMLUセル(1)のサブセットを有し、それぞれのサブセットが、電流線(301、302、303)によって直列に電気的に接続されていて、前記電流線(301、302、303)が、前記外部磁場に応答して、前記複数のMLUセル(1)のそれぞれのMLUセル(1)内の前記センス磁化(210)の平均配向に対応する前記サブセットの平均抵抗を感知するように適合されたセンス電流(311、312、313)を通電するように構成されていて、
    前記応力誘起装置(6)が、前記複数の枝(101、102、103)のそれぞれの枝に対して、前記サブセットのそれぞれのMLUセル(1)の前記センス層(21)と前記記憶層(23)のうちの少なくとも1つの層の上に前記応力誘起性磁気異方性(271、272)を誘起するように構成されている当該磁気センサ装置(100)。
  11. それぞれのサブセットが、前記サブセット内に構成された複数の前記MLUセル(1)の前記記憶磁化(230)をプログラムされた方向に整列させるように適合されたプログラミング磁場(42)を誘起する界磁電流(41)を通電するように配置されたプログラミング線(401、402、403)と磁気的に交信する請求項10に記載の磁気センサ装置(100)。
  12. 前記誘起性磁気異方性(271、272)の方向が、前記それぞれの枝(101、102、103)ごとに異なるように、前記応力誘起装置(6)がさらに構成されている請求項10又は11に記載の磁気センサ装置(100)。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の磁気センサ装置(100)をプログラムする方法において、
    前記センス層(21)のセンス応力誘起性磁気異方性(271)の方向が、前記記憶層(23)の前記記憶応力誘起性磁気異方性(272)の方向と異なるように、応力誘起性磁気異方性(271、272)を前記センス層(21)及び前記記憶層(23)上に誘起するために、前記応力誘起装置(6)を使用することと、
    前記それぞれのMLUセル(1)の前記記憶磁化(230)をプログラムされた方向(260)に整列させることとから成る方法。
  14. 請求項10〜12のいずれか1項に記載の磁気センサ装置(100)のための請求項13に記載の方法において、
    前記記憶磁化(230)を整列させることが、それぞれのサブセット内に構成された複数の前記MLUセル(1)に対するそれぞれの枝(101、102、103)ごとに実行される請求項13に記載の方法。
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