JP2018501810A - 天然又は改変真核細胞の生理機能に正の作用を有する細菌シャペロンの組合せ - Google Patents
天然又は改変真核細胞の生理機能に正の作用を有する細菌シャペロンの組合せ Download PDFInfo
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Abstract
本発明は、真核細胞における特定の組合せの3つの細菌性シャペロンの発現に関する。これは特に、細胞が少なくとも1つの非天然遺伝子を用いるさらなる改変を含むときに、その増殖特性、及び物理化学的ストレスに対する抵抗性に関するその特性を顕著に向上させる。シャペロンの好ましい組合せは、大腸菌のシャペロンGroES及びGroEL、並びにシネココッカス・エロンガタスのシャペロンRbcXを含む。【選択図】なし
Description
本発明は細胞工学分野に関し、特に真核細胞分野に関する。また特に、本発明は、増殖及び/又は代謝特性が改善された真核細胞に関し、目的の化合物産生のためのその使用に関する。本発明は、特定の組合せのシャペロンを発現する真核細胞に特に関する。本発明は、組換えタンパク質産生の分野において特に適用される。
現在のところ、バイオテクノロジー、食品加工、医薬産業、又は基礎及び/若しくは応用的診断研究という多様な分野で用いられる目的のタンパク質のための多くの発現系が存在する。これらの発現系のなかで、真核細胞、特に酵母は、とりわけそのグリコシル化能力及び産業的条件での培養の容易性から、重要な役割を果たしている。しかし、これらの細胞には制限があり、これは特に、例として目的の産生物の蓄積(例えば高濃度のエタノール又は他のアルコール)に関連する毒性的制約、又は発現タンパク質の直接的又は非直接的毒性、又は発現プラスミドの存在を必要とするエネルギー負荷のためである。
本発明は性能が改善された真核細胞を提供し、最適な発現系の取得を可能にする。
酵母に合成カルビン回路を導入することに関する研究において、本発明者らは、酵母における3つの細菌シャペロン(RbcX、GroES及びGroEL)一式の共発現が、特に異種性又は内在性タンパク質の発現及び機能性フォールディングについて、真核細胞に顕著な代謝特性を与えることを驚くべきことに観察した。本発明者らはまた、その検討に取り組み、このシャペロンの組合せが酵母の増殖促進、及び例えばキナーゼRPKが細胞に共発現されるときなどの他の改変における毒性作用の除去をも可能にすることも示した。さらに、本発明者らは、様々な真核細胞における適用で同様の効果を確認及び取得し、これらの予期しなかった結果の有用性及び大きな潜在性を確かめた。
このように、本発明の目的は、シャペロンRbcX、GroES及びGroELを発現することを特徴とする真核細胞に関する。
このように、本発明の目的は、シャペロンRbcX、GroES及びGroELを発現することを特徴とする真核細胞に関する。
所定の実施形態において、本発明は形質転換真核細胞に関し、該真核細胞は、
(i)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性フォームIRuBisCO酵素のフォールディングに関与するシャペロンRbcXをコードする配列を含む発現カセットと、
(ii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroESをコードする配列を含む発現カセットと、
(iii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroELをコードする配列を含む発現カセットと、を含むことで特徴づけられる。
(i)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性フォームIRuBisCO酵素のフォールディングに関与するシャペロンRbcXをコードする配列を含む発現カセットと、
(ii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroESをコードする配列を含む発現カセットと、
(iii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroELをコードする配列を含む発現カセットと、を含むことで特徴づけられる。
本発明はまた、
(i)適切なプロモーターの転写制御下において、シャペロンRbcXをコードする配列と、
(ii)適切なプロモーターの転写制御下において、シャペロンGroESをコードする配列と、
(iii)適切なプロモーターの転写制御下において、シャペロンGroELをコードする配列と、を含む真核細胞にも関する。
(i)適切なプロモーターの転写制御下において、シャペロンRbcXをコードする配列と、
(ii)適切なプロモーターの転写制御下において、シャペロンGroESをコードする配列と、
(iii)適切なプロモーターの転写制御下において、シャペロンGroELをコードする配列と、を含む真核細胞にも関する。
所定の実施形態において、本発明の真核細胞は、細菌性フォームIRuBisCO酵素のRbcL及び/又はRbcSサブユニットをコードする配列を含まない。
本発明は、特に上述のような形質転換酵母を提示する。
本発明はまた、真核細胞の生理機能を向上させるための、特に、真核細胞の増殖速度を増加させる、及び/又は環境ストレスに対する真核細胞の抵抗性を増大する、及び/又は真核細胞によって合成された化合物の毒性に対する細胞の抵抗性を増大する、及び/又は組換えタンパク質を産出するための、シャペロンRbcX並びにシャペロンGroES及びGroELの発現を可能にする発現カセットの組合せの使用を目的とする。
本発明はまた、化学分子及びタンパク質から選択される少なくとも1つの化合物を産生するための生物工学的プロセスも目的とし、該プロセスは、本発明の真核細胞によるその化合物の合成を可能にする条件下で該真核細胞を培養するステップと、該化合物を採取するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明は特に、組換えタンパク質を産生するプロセスを提示し、該プロセスは、(i)該タンパク質をコードする配列を、RbcX、GroES及びGroELを発現する真核細胞に挿入すること、(ii)該配列の発現を可能にする条件下で真核細胞を培養すること、任意的に(iii)該タンパク質を採取又は精製すること、を含む。
発明者等は、真核細胞における所定の細菌シャペロンタンパク質の発現検討時に、細菌シャペロンが真核細胞サイトゾルに発現され、真核細胞においてそのシャペロン機能を保持することが可能であるということを驚くべきことに発見した。細菌シャペロン機能は、サイトゾルシャペロン機能に加えて、真核細胞に既に存在するものである。発明者等はさらに、特定の3つのシャペロン、即ち細菌シャペロンGroEL及びGroES並びにシャペロンRbcXの発現が、それらを発現する形質転換真核細胞に、増殖、発現及び機能性タンパク質フォールディングに関して特に有用な特性を与えることを発見した。
必要から観察された効果は、好ましくは少なくとも2つの異なる微生物由来の、前述の3つのシャペロンの同時的存在を必要とするものである。シャペロンの共発現が、細菌系において異種タンパク質のフォールディングを向上させ、ゆえにそれに依存するバイオプロセスの性能を向上させる可能性があることが既知であれば、特定の生物体間の3つの細菌シャペロンタンパク質の組合せが真核環境において発現されることによって特に効果的であることを示すことは予見できなかった。本発明の効果をもたらす分子機構は、タンパク質フォールディング又はその細胞内運命の制御に恐らく少なくとも部分的に関するとしても、現在のところ未知である。補完的役割をするシャペロンGroES及びGroELの存在下で、RbcXファミリータンパク質は(光合成生物体のRuBisCO複合体の機能性会合に特化するとして先行技術に記載される)、興味深い全般的な役割を果たしている。観察された効果は全体的にフォールディング促進に起因するとすることはできず、特定のタンパク質の寿命調節、複合体の会合若しくはその特徴の改変、又は規定される特性の特定の効果などの他の機構に関与し得るということを、本発明のこの特徴は示唆する。
この文脈において、本発明は、真核細胞を形質転換して、該細胞が特定の3つのシャペロン、即ち細菌シャペロンGroEL及びGroES並びにシャペロンRbcXを発現することをこのように提示する。そうした形質転換細胞には、特に組換えタンパク質産生に関して、多くの適用があり得る。
このように、本発明は、シャペロンRbcX、GroES及びGroELを発現することを特徴とする真核細胞を目的とする。
このように、本発明は、シャペロンRbcX、GroES及びGroELを発現することを特徴とする真核細胞を目的とする。
シャペロンGroEL及びGroESは熱ショックタンパク質(HSP)ファミリーに属する。これらのシャペロンは多くの細菌に存在するものである。本発明において、これらのシャペロンは、非常に多くのタンパク質の効果的なフォールディングを可能にするように共作用することで知られるという意味で、「一般シャペロン」として言及される(M.Mayhew等、1996年、「Proteinfolding in the central cavity of the GroEL-GroES chaperonin complex」、Nature、1996 Feb 1;379(6564):420-6)。本発明において、シャペロンGroEL及びGroESは、それらを発現する任意の細菌に由来し得、特に例えば大腸菌(E.coli)(遺伝子ID:948655及び948665)、S.エロンガタス(S.elongatus)(遺伝子ID:3199735、3199535及び3198035)、S.ニューモニア(S.pneumonia)(GenBankアクセション番号:AF117741)、S.ピオゲネス(S. pyogenes)(GenBankアクセション番号:SPGROELGN)、S.アウレウス(S. aureus)(GenBankアクセション番号:STAHSP)、又はP.エルジノーサ(P. aeruginosa)(GenBankアクセション番号:ATCC9027)に由来し得る。当業者は、細菌において、これらのシャペロンのいずれかをコードする可能性のある核酸配列を問題なく特定することができる。情報提供を目的として、シャペロンの配列類似性(アライメントにおいて同一のアミノ酸%)は、S.エロンガタスのGroEL1と大腸菌のGroELとで61%、S.エロンガタスのGroEL2と大腸菌のGroELとで56%、S.エロンガタスのGroEL1とGroEL2とで63%、であることが言及される。
本発明に記載の細胞はまた、RubiscoのRbcL及びRbcSサブユニットの適切な会合に関わることでシアノバクテリア及び植物において既知のシャペロンRbcXをも発現する。本発明において、このシャペロンは「特異的シャペロン」として言及され、これはこのタンパク質が、特にRubiscoの場合のように、タンパク質複合体の機能性会合において役割を果たすことが既知であるという意味で言及されるものである(S.Saschenbrecker等、2007年、「Structure and function of RbcX, an assembly chaperone forhexadecameric Rubisco」Cell. 2007 Jun 15;129(6):1189-200)。本発明において、シャペロンRbcXは、それを発現する任意のシアノバクテリア由来であり得、特に例えばS.エロンガタス(配列番号3)、シネコシスティス属(Synechocystis sp.) (Kaneko等、「Sequence analysis ofthe genome of the unicellular cyanobacterium Synechocystis sp. strain PCC6803.II. Sequence determination of the entire genome and assignment of potentialprotein-coding regions.」DNA Res. 3(3), 109-136 (1996年))、アナベナ属(Anabaena sp.) (Li他、J. Bacteriol.(1997年), 179(11), 3793-3796)、ミクロシスティス属(Microcystissp.)、チコネマ属(Tychonemasp.)、プランクトスリックス属(Planktothrix sp.)、又はノストック属(Nostoc sp.)(Rudi等, J. Bacteriol. (1998年), 180(13), 3453-3461)由来であり得る。
本発明において、「シャペロン活性」は、タンパク質フォールディングにおける作用及び/又はタンパク質複合体の機能性会合における作用に関する。
本発明の所定の実施形態において、用いられるシャペロンは好ましくは2つの異なる生物体由来である。本発明において、シャペロンは1つ以上の異なる細菌由来であってよい。好ましくは、3つのシャペロンは少なくとも2つの遠隔のグラム陰性細菌種に由来し、その少なくとも1つがシアノバクテリアである。
本発明の他の所定の実施形態において、一般シャペロンGroES及びGroELの少なくとも1つは、シアノバクテリアにもRuBisCO複合体を発現する他のバクテリアにも由来しない。本発明において、シャペロンGroES及びGroELは、同じ細菌又は2つの異なる細菌由来であってよい。特定の例示的実施形態において、シャペロンGroES及びGroELは大腸菌由来である。
所定の例示的実施形態において、シャペロンGroES及びGroELは大腸菌由来であり、シャペロンRbcXはシネココッカス・エロンガタス由来である。
他の例示的実施形態において、3つのシャペロンGroES、GroEL及びRbcXはシネココッカス・エロンガタス由来である。そうした場合、形質転換細胞は、シャペロンGroELのどちらか一方又は両方のアイソフォーム(GroEL1及びGroEL2)を発現し得、好ましくは両方のアイソフォームを発現するとよい。
本発明において、タンパク質は、所定の生物体からのものと考えられるタンパク質と95%より大きいアミノ酸配列同一性を有し且つ同じ機能を有する場合に、該生物体に「由来」すると考えられる。
本明細書において、「GroES」及び「GroEL」は、シャペロン活性を有し、且つそれぞれ大腸菌K12のGroES及びGroELに65%〜100%のアミノ酸同一性を有する、任意のタンパク質に関する。代替的に「GroES」及び「GroEL」は、S.エロンガタスの一般シャペロンなど、低率の同一性、特に55%〜65%、さらに56%〜63%の同一性を有する一般シャペロンに関する。大腸菌の一般シャペロンGroES及びGroELの変異体におけるシャペロン活性は、例えば、以下に記載の種々の例において、大腸菌の天然GroES又はGroELをコードする発現カセットを、評価されるシャペロンの変異体で置換することで、検証され得る。
シャペロンRbcXは、GroES及びGroELと非常に隔たりがあり、その配列はこれら2つのシャペロンの配列とアライメントできないものである。
本明細書において、「RbcX」は任意のタンパク質、特にシアノバクテリアからの任意のタンパク質に関し、該タンパク質は、シャペロン活性を有し、配列番号3によってコードされるシャペロンRbcXに50%を超えるアミノ酸配列同一性を有し、このタンパク質の特異的シャペロン活性を保持する。特異的シャペロン活性は、S.エロンガタスのRuBisCOのRbcL及びRbcSサブユニットを発現する酵母において検証され得、これは、配列番号3を含む発現カセットを、評価される任意の他の配列で置換することと、こうして得られたRuBisCO活性を細胞抽出物のインビトロ試験で測定することで行われ得る。
好ましくは、本発明は、配列番号3によってコードされるシャペロンRbcXに、80%より大きい、好ましくは90%より大きい、より好ましくは95%より大きい、さらにより好ましくは99%より大きいアミノ酸配列同一性を有するシャペロンRbcXで実施される。
本発明は、単細胞又は多細胞生物体からの任意のタイプの真核細胞で実施可能である。特に、本発明のシャペロンの組合せは、酵母細胞、真菌細胞、植物細胞、哺乳動物細胞などの動物細胞等において発現され得る。
特に、本発明は、特異的シャペロンRbcX、細菌性一般シャペロンGroES、及び細菌性一般シャペロンGroELを発現する形質転換酵母に関する。
さらに特に、本発明は形質転換酵母に関し、該酵母は、
(i)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性フォームIRuBisCO酵素のフォールディングに関与するシャペロンRbcXをコードする配列を含む発現カセットと、
(ii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroESをコードする配列を含む発現カセットと、
(iii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroELをコードする配列を含む発現カセットと、を含むことを特徴とする。
(i)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性フォームIRuBisCO酵素のフォールディングに関与するシャペロンRbcXをコードする配列を含む発現カセットと、
(ii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroESをコードする配列を含む発現カセットと、
(iii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroELをコードする配列を含む発現カセットと、を含むことを特徴とする。
本発明は、目的の任意の酵母で実施可能である。酵母は、有利にはサッカロマイセス(Saccharomyces)、ヤロウィア(Yarrowia)、及びピキア(Pichia)から選択される。例として、本発明の形質転換酵母は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞である。他の例において、本発明の形質転換酵母は、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)細胞、又はピキア・パストリス(Pichiapastoris)細胞である。
ピキア・パストリスの使用は、組換えタンパク質産生に特に有利である。実際に、ピキアは、分泌及び細胞内発現の両方に関して、高性能の真核細胞タンパク質発現系を有する。これは、組換え真核細胞タンパク質の大規模産生に特に適する。特に、ピキアは、高産生量の分泌タンパク質産生に使用可能であって、哺乳動物細胞発現系に関連するものと比較して製造費及び製造時間を削減する。
また、ヤロウィア・リポリティカも組換えタンパク質産生のための使用に適する。実際に、ヤロウィアは、(i)高密度増殖性、(ii)高分泌率、(iii)アルカリプロテアーゼAEPの欠失、及び(iv)炭素源としてショ糖の使用を可能にするS.セレビシエインベルターゼ産生能を有する(Nicaud等、1989年)。後者の特性は、この株が糖蜜などの安価な基質で効率的に増殖可能であるので、産業的製造の場合に特に有利である。
本発明はまた、形質転換され、特異的シャペロンRbcX、細菌性一般シャペロンGroES及び細菌性一般シャペロンGroELを発現する、動物細胞、特に哺乳動物細胞などの多細胞生物体真核細胞にも関する。
例示的実施形態において、そうした真核細胞は、
(i)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性フォームIRuBisCO酵素のフォールディングに関与するシャペロンRbcXをコードする配列を含む発現カセットと、
(ii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroESをコードする配列を含む発現カセットと、
(iii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroELをコードする配列を含む発現カセットと、を含むように形質転換される。
(i)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性フォームIRuBisCO酵素のフォールディングに関与するシャペロンRbcXをコードする配列を含む発現カセットと、
(ii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroESをコードする配列を含む発現カセットと、
(iii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroELをコードする配列を含む発現カセットと、を含むように形質転換される。
本発明は、本発明の3つのシャペロンを発現する形質転換CHO細胞に特に関する。
本発明において、シャペロンGroEL、GroES及びRbcXをコードする遺伝子は、真核細胞に、該細胞におけるその発現を可能にする形態で導入される。このように、シャペロンをコードする配列は、それらの転写を可能にするプロモーター配列に連結する。一実施形態において、同じプロモーター配列が、3つのシャペロンをコードする配列に連結する。他の実施形態において、シャペロンRbcXは、シャペロンGroEL及びGroESと連結するプロモーターとは異なる特定のプロモーターと連結する。他の実施形態において、各シャペロンは異なる特定のプロモーターと連結する。
本発明に関して使用可能なプロモーターは、構成的プロモーター、即ち大部分の細胞状態及び環境条件で活性であるプロモーターと、外因性の物理的又は化学的刺激によって活性化又抑制され、これらの刺激の存否の結果として種々のレベルの発現を誘導する誘導的プロモーターとを含む。
酵母における発現カセットについて、構成的プロモーターの例は、遺伝子TEF1、TDH3、PGI1、PGK、ADH1のものである。誘導的プロモーターの例はtetO−2、GAL10、GAL10−CYC1、PHO5プロモーターである。好ましくは、用いられるプロモーターはカセットごとに異なり得る。本発明の発現カセットは、転写ターミネータや、必要であれば他の転写調節要素などの共通の配列をさらに含む。本発明に記載の発現カセットは、宿主細胞の染色体DNAに挿入されるか、及び/又は1つ以上の染色体外複製単位(レプリコン)によって保持されることが可能である。これらのタンパク質の相対的なストイキオメトリは、本発明の最適な実施形態において重要な役割を果たす可能性が高いものである。以下の実験の項に記載の共発現系は特にこれに関して関連する。しかしながら、本発明はこの系の使用に限定されず、例えば形質転換細胞用標準培地において形質転換細胞の増殖を測定することによって測定可能である、少なくとも同等の作用を有する記載要素の発現の任意の変形で実施可能である。
有利な実施形態において、3つの発現カセットは遺伝子情報の連続的ブロックを形成する。また、3つのシャペロンの発現カセットが単一のエピソーム遺伝要素により保持されることも有利であり得る。ゆえに本発明の特に有利な態様は、複製のセントロメア源を有するエピソーム要素が保持する単一の「遺伝子プラグイン」(連続的DNA配列)である。この要素による形質転換は、野生型酵母又は任意の改変を有する酵母における目的の特性の導入に十分なものである。
本発明において、各シャペロンをコードする遺伝子は、1つ以上のコピーで細胞に導入され得る。特に、GroESをコードする配列を含む、1、2、3、又はそれ以上のカセット、GroELをコードする配列を含む、1、2、3、又はそれ以上のカセット、及び、RbcXをコードする配列を含む、1、2、3、又はそれ以上のカセットを導入可能である。同様に、カセットは、GroES、GroEL又はRbcXをコードする配列の複数のコピーを含み得る。シャペロンをコードする遺伝子の複数のコピーが細胞に導入される場合、同じ配列、即ち同じ細菌由来の配列が好ましくは各回に用いられる。異なる細菌由来の配列を用いることも可能である。
上述のように、本発明の細胞は特性が向上されている(増殖速度、抵抗性、産生能力など)。このように、これらの細胞はタンパク質若しくは他の化合物の産生に、又は発酵処理の向上に特に有用である。
[タンパク質産生]
[タンパク質産生]
本発明は、上述のようなシャペロンの組合せを発現するように形質転換された真核細胞にも関し、該細胞は、該シャペロン以外の異種性タンパク質のための少なくとも1つの発現カセットをさらに含む、並びに/又は内在性タンパク質の発現レベル及び/若しくは配列を変更する配列改変を受けている。
本発明の好ましい実施形態において、形質転換真核細胞は酵母である。本発明の他の好ましい実施形態において、形質転換真核細胞はCHO細胞である。
このように、本発明はまた、上述のようなシャペロンの組合せを発現するように形質転換された酵母又はCHO細胞を目的とし、該酵母又はCHO細胞は、
(iv)前述のシャペロン以外の異種性タンパク質のための発現カセット、並びに/又は
(v)内在性タンパク質の発現レベル及び/若しくは配列を変更する配列改変を受けていること、を含む。
(iv)前述のシャペロン以外の異種性タンパク質のための発現カセット、並びに/又は
(v)内在性タンパク質の発現レベル及び/若しくは配列を変更する配列改変を受けていること、を含む。
本発明において、1つ以上の目的のタンパク質を産生するためにそうした形質転換細胞を用いることが可能である。
有利には、目的のタンパク質はRubiscoではない。同様に、好ましくは、目的のタンパク質はPKR以外のタンパク質である。また、形質転換真核細胞がRubisco及び/又はPKRを発現する場合、少なくとも1つの他の異種性タンパク質を有利には発現する。
所定の実施形態において、3つのシャペロンGroES、GroEL及びRbcXを発現する形質転換細胞は、組換えタンパク質を発現及び排出するようにさらに改変される。
本発明はまた、化学分子、酵素、ホルモン、抗体及びタンパク質から選択される少なくとも1つの化合物を産生するための生物工学的プロセスにも関し、該プロセスは、上述のような形質転換細胞を、該細胞による化合物の合成を可能にする条件下で培養するステップと、任意的に、該化合物を採取及び/又は精製するステップとを含むことを特徴とする。
本発明はまた、組換えタンパク質を産生するプロセスにも関し、該プロセスは、(i)該タンパク質をコードする配列を、3つのシャペロンGroES、GroEL及びRbcXを発現する真核細胞に挿入すること、(ii)該配列を発現可能にする条件下で該細胞を培養すること、並びに任意的に(iii)該タンパク質を採取及び/又は精製することを含む。有利にはタンパク質は酵素又はホルモンである。
所定の実施形態において、本発明に記載の細胞は、少なくとも1つの異種性酵素を産生するように形質転換される。例えば、細胞は、バチルス・チューリンゲンシス内毒素などの内毒素、リパーゼ、サブチリシン、セルラーゼ、及びルシフェラーゼから選択される酵素を産生するように形質転換される。
他の所定の実施形態において、本発明に記載の細胞は、少なくとも1つの医学的目的の分子を産生するように形質転換される。例として、細胞は、ホルモン、成長因子、抗体などを産生するように形質転換される。好ましくは、医学的目的の分子は、エリスロポエチン、I型及び/又はII型αインターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子、インスリン、成長ホルモン、組織プラスミノーゲン活性化因子から選択される。
本発明に記載の形質転換細胞では、有利には、本発明のシャペロンの組合せを発現しない組換え細胞と比較して、目的のタンパク質の産生が向上する。本発明において、産生が「向上する」とは、量及び/又は質に関することを意味する。特に、本発明に記載の形質転換細胞は、より活性がある及び/又はより安定的であるがゆえに分解される可能性が低い目的のタンパク質を産生可能であり、これは本発明のシャペロンの組合せを発現しない組換え細胞によって産生される異種性タンパク質と比較してタンパク質を多く蓄積可能とする。こうして、本発明の形質転換真核細胞による組換えタンパク質の発現レベルの増大は、特に高い安定性によって、ゆえにタンパク質が細胞及び/又は培地に多く蓄積することによって説明される。さらに、形質転換細胞によるシャペロンの組合せの発現は、組換え細胞が発現する組換えタンパク質に対する組換え細胞の抵抗性を有利に増大し得、ゆえに産生量の増大にも関与し得る。
本発明はまた、真核細胞の生理機能及び/又は特性(特に増殖速度)を向上させるために、真核細胞において特異的シャペロンRbcXと一般シャペロンGroES及びGroELとの発現を可能にする発現カセットの組合せを使用することにも関する。本発明のこの態様の好ましい実施形態において、生理機能の向上が望まれる真核細胞は酵母である。他の好ましい実施形態において、真核細胞は、細菌性フォームIRuBisCO酵素のRbcLサブユニットをコードする配列及び/又は該RuBisCO酵素のRbcSサブユニットをコードする配列を発現するように形質転換されていない。
上述のように、一般シャペロンGroES及びGroEL並びに特異的シャペロンRbcXの発現を可能にする発現カセットの組合せは、内在性タンパク質の発現レベル及び/若しくは配列を変更する配列改変を受けた真核細胞、又は、例えばエピソーム遺伝要素の形態で、該シャペロン以外の異種性タンパク質のための少なくとも1つの発現カセットを含む真核細胞の生理機能の向上に特に有用である。
特に、一般シャペロンGroES及びGroEL並びに特異的シャペロンRbcXを細胞において共に発現することは、細胞の増殖速度の増大、及び/又は環境ストレス、特に細胞培地に存在する要素の毒性によるストレスに対する細胞の抵抗性の増大を可能にする。他の有利な適用は、合成された化合物の毒性に対する細胞の抵抗性を増大させ、ゆえに目的の化合物の産生を増大させることである。
本発明の数多くの適用が考えられ得、特に、形質転換真核細胞と同種又は異種であるタンパク質のフォールディング又は安定性(化学的又は熱的薬剤への抵抗性、固有の寿命)の向上に関するあらゆる適用が考えられ得る。適用とは、酵素触媒を目的とする、又はその固有の特性のため(抗体、治療タンパク質、複合体内の構造タンパク質など)のタンパク質自体であり得、(形質転換真核細胞のタンパク質に関与する)合成又は準合成代謝チェーンの特性向上に関する適用であり得、この場合、有利性は主に目的の産生物(化学分子)産生における作用の結果の向上である。この効果は、フォールディング又は安定性の向上からだけでなく、例えば細胞内輸送、複合体形成の容易性又は改変性、結合機構の改変などの他の現象からももたらされ得る。適用は、増殖性、生存性、適応性、ストレスに対する抵抗性若しくはストレスからの回復性、既知である又は説明可能であるメカニズムのなしの対象産生物形成に関する生物体における全体的に正である効果を起因とするものである。
本発明の産業的適用の例は、以下のものを含むがこれらに限定されない。
‐タンパク質フォールディング・安定性における効果
本発明の適用によって、可溶性及び機能性形態で産生することが困難である又は不可能とさえ考えられていた目的の所定の組換えタンパク質の産生が向上可能である。これは、本発明による形質転換真核細胞における特にタンパク質のフォールディング不良の修正によって説明される。またこれは、保健衛生、エネルギー、化学、食品加工などの分野で特に有用であり得る。
‐タンパク質フォールディング・安定性における効果
本発明の適用によって、可溶性及び機能性形態で産生することが困難である又は不可能とさえ考えられていた目的の所定の組換えタンパク質の産生が向上可能である。これは、本発明による形質転換真核細胞における特にタンパク質のフォールディング不良の修正によって説明される。またこれは、保健衛生、エネルギー、化学、食品加工などの分野で特に有用であり得る。
‐目的の改変産生物又は改変中間物により誘導される毒性に対する防御
宿主細胞に対して毒性のある分子、又はその産生プロセスが毒性中間物に関与する分子の生物生産は問題であり得、例として、医薬、(ヒドロコルチゾン、アルテミシン酸又はtrictosinide、開発プロセスのある種のフラボノイド)又は反応分子(不飽和ケトン、アルデヒド(例えばバニリン))などが挙げられる。他の例は、高濃度で毒性になる分子を産生するプロセスに相当するものであり、例えば、エタノール又は他のアルコールが挙げられる。例えばエタノール産生は、高アルコール濃度に対する酵母株の耐性によって制限される。他の例は、非常に多様な産業的化学分子、現在の産生物の前駆体又は化学的中間物、そして言うまでもなくバイオ燃料の産生に関わる。それらはまた組換えタンパク質で有り得、組換え細胞によるその産生が代謝を不均衡にする傾向があり、細胞死を誘導する。本発明のシャペロンの組合せを発現する真核細胞の使用により、細胞が発現する組換えタンパク質により誘導される毒性に対する形質転換細胞の耐性が増大されることが有利に可能である。
宿主細胞に対して毒性のある分子、又はその産生プロセスが毒性中間物に関与する分子の生物生産は問題であり得、例として、医薬、(ヒドロコルチゾン、アルテミシン酸又はtrictosinide、開発プロセスのある種のフラボノイド)又は反応分子(不飽和ケトン、アルデヒド(例えばバニリン))などが挙げられる。他の例は、高濃度で毒性になる分子を産生するプロセスに相当するものであり、例えば、エタノール又は他のアルコールが挙げられる。例えばエタノール産生は、高アルコール濃度に対する酵母株の耐性によって制限される。他の例は、非常に多様な産業的化学分子、現在の産生物の前駆体又は化学的中間物、そして言うまでもなくバイオ燃料の産生に関わる。それらはまた組換えタンパク質で有り得、組換え細胞によるその産生が代謝を不均衡にする傾向があり、細胞死を誘導する。本発明のシャペロンの組合せを発現する真核細胞の使用により、細胞が発現する組換えタンパク質により誘導される毒性に対する形質転換細胞の耐性が増大されることが有利に可能である。
‐耐熱性
特定の酵素又は酵母などの生物体の耐熱性の向上は、例えば多くの溶解しにくい分子の生物工学的生産性にとって重要な要素である。
特定の酵素又は酵母などの生物体の耐熱性の向上は、例えば多くの溶解しにくい分子の生物工学的生産性にとって重要な要素である。
‐固定量の炭素源から産生される微生物のバイオマス増大
これらは分子レベルでは理解されていないが、以下に記載の第1の実験において観察される効果である。
これらは分子レベルでは理解されていないが、以下に記載の第1の実験において観察される効果である。
上述のように、本発明はまた核酸分子に関し、該核酸分子は、
(i)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性フォームIRuBisCO酵素のフォールディングに関与するシャペロンRbcXをコードする配列を含む発現カセットと、
(ii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroESをコードする配列を含む発現カセットと、
(iii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroELをコードする配列を含む発現カセットと、を含む。
(i)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性フォームIRuBisCO酵素のフォールディングに関与するシャペロンRbcXをコードする配列を含む発現カセットと、
(ii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroESをコードする配列を含む発現カセットと、
(iii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroELをコードする配列を含む発現カセットと、を含む。
そうした「遺伝子プラグイン」の例は、複製のセントロメア源を有するエピソーム要素が保持する、上述の3つのカセットを(任意の順番で)含む連続的DNA配列である。
以下の実験の項は、
‐創製されるコンストラクト及び実施される方法(実施例1)、
‐2つの異なるタイプに属する16ペプチド鎖の会合からなるタイプIRuBisCO活性の再構成における様々な組合せのシャペロンの効果を比較する第1の試験一式。様々な会合のシャペロンの発現を「タイプIRuBisCO」のRbcL及びRbcSポリペプチドの発現と組み合わせる。このため、酵母細胞抽出物においてインビトロで測定されるRuBisCO活性におけるシャペロン組合せの役割を解析することが可能になる(実施例2)、
‐S.エロンガタスのホスホリブロキナーゼ(phosphoribulokinase、PRK)を条件的に発現する酵母におけるシャペロン系の共発現に関与する第2の試験一式。本発明なしでは、PRK発現の誘導は、S.セレビシエ株及び培養条件(培地、酸素レベル、pH)次第で顕著な増殖遅延から全死滅(>99.99%)までの、酵母における高い毒性効果を誘導する。本発明がRPK酵素の活性に干渉することなくこの不健全な状態を「治癒」し、RPK酵素は完全に活性を維持することを、例示は示している(実施例3)、
‐本発明が、中性プラスミド(それ自体はその自己複製以外に機能発現をもたらさない)でも補完される独立栄養性を有する株の野生増殖レベルを回復することを示す第3の試験一式。この状態は、エピソーム遺伝要素に関与する代謝改変において典型である。実施例において、本発明は、エピソーム遺伝要素の存在に関与する増殖における負の影響を完全に修正する(実施例4)、並びに
‐本発明の細胞が、化合物産生に、特に組換えタンパク質産生に特に有用であることを示す他の試験一式(実施例5)、
を提示することによって本発明を記載したものであるが、本発明を限定するものではない。
‐創製されるコンストラクト及び実施される方法(実施例1)、
‐2つの異なるタイプに属する16ペプチド鎖の会合からなるタイプIRuBisCO活性の再構成における様々な組合せのシャペロンの効果を比較する第1の試験一式。様々な会合のシャペロンの発現を「タイプIRuBisCO」のRbcL及びRbcSポリペプチドの発現と組み合わせる。このため、酵母細胞抽出物においてインビトロで測定されるRuBisCO活性におけるシャペロン組合せの役割を解析することが可能になる(実施例2)、
‐S.エロンガタスのホスホリブロキナーゼ(phosphoribulokinase、PRK)を条件的に発現する酵母におけるシャペロン系の共発現に関与する第2の試験一式。本発明なしでは、PRK発現の誘導は、S.セレビシエ株及び培養条件(培地、酸素レベル、pH)次第で顕著な増殖遅延から全死滅(>99.99%)までの、酵母における高い毒性効果を誘導する。本発明がRPK酵素の活性に干渉することなくこの不健全な状態を「治癒」し、RPK酵素は完全に活性を維持することを、例示は示している(実施例3)、
‐本発明が、中性プラスミド(それ自体はその自己複製以外に機能発現をもたらさない)でも補完される独立栄養性を有する株の野生増殖レベルを回復することを示す第3の試験一式。この状態は、エピソーム遺伝要素に関与する代謝改変において典型である。実施例において、本発明は、エピソーム遺伝要素の存在に関与する増殖における負の影響を完全に修正する(実施例4)、並びに
‐本発明の細胞が、化合物産生に、特に組換えタンパク質産生に特に有用であることを示す他の試験一式(実施例5)、
を提示することによって本発明を記載したものであるが、本発明を限定するものではない。
以下の実施例において、他に特定されない限り、同様の頭字語が同じ要素を示すために各表及び各実験に用いられる。
[実施例1:材料と方法、「シャペロンプラグイン」及びベクターの構築、様々な株の構築、培養及び測定方法]
<1.1.「シャペロンプラグイン」及びS.セレビシエのベクターの構築>
以下に記載される所定のコンストラクトは、シネココッカス・エロンガタスpCC6301からのRuBisCO(pFPP45)の2つのRbcS及びRbcLサブユニットの発現、及びホスホリブロキナーゼ(PRK)(pFPP20)の発現を可能にする。以下に記載される他のコンストラクトは、単一の発現ベクターから、シネココッカス・エロンガタスからの特異的シャペロンRbcXと、大腸菌GroES(遺伝子ID:948655)、GroEL(遺伝子ID:948665)、又はシネココッカス・エロンガタスからのその相同体GroES(遺伝子ID:3199735)、GroEL1(遺伝子ID:3199535)及びGroEL2(遺伝子ID:3198035)である一般シャペロンとの様々な組合せの発現を行うことを可能にするために作製された。
<1.1.「シャペロンプラグイン」及びS.セレビシエのベクターの構築>
以下に記載される所定のコンストラクトは、シネココッカス・エロンガタスpCC6301からのRuBisCO(pFPP45)の2つのRbcS及びRbcLサブユニットの発現、及びホスホリブロキナーゼ(PRK)(pFPP20)の発現を可能にする。以下に記載される他のコンストラクトは、単一の発現ベクターから、シネココッカス・エロンガタスからの特異的シャペロンRbcXと、大腸菌GroES(遺伝子ID:948655)、GroEL(遺伝子ID:948665)、又はシネココッカス・エロンガタスからのその相同体GroES(遺伝子ID:3199735)、GroEL1(遺伝子ID:3199535)及びGroEL2(遺伝子ID:3198035)である一般シャペロンとの様々な組合せの発現を行うことを可能にするために作製された。
シネココッカス・エロンガタスpCC6301からのRuBisCOのRbcS(遺伝子ID:3200023)及びRbcL(遺伝子ID:3200134)サブユニット、並びに特異的シャペロンRbcX(遺伝子ID:3199060)をコードし、且つ酵母における発現に最適化された合成遺伝子を調製し、プラスミドpBSII(Genecust)にクローニングした。コード配列の3′末端にHAタグを追加した、酵母における発現に最適化された変異体も構築した。これらの合成遺伝子の配列(HAタグ無し)は、添付の配列表において配列番号1〜配列番号3の番号下にそれぞれ示される。
同様に、シネココッカス・エロンガタスpCC6301からのホスホリブロキナーゼ(PRK)(配列番号4)(pFPP20)、並びに一般シャペロンGroES(配列番号5)、GroEL1(配列番号6)及びGroEL2(配列番号7)をコードし、且つ酵母における発現に最適化された合成遺伝子を構築してクローニングした。
大腸菌のシャペロンGroES及びGroELをコードする配列を大腸菌培養物から増幅し、プラスミドpSC−B−amp/kan(Stratagene)にクローニングした。
クローニングベクターから回収した配列を酵母発現ベクターに導入した。これらの宿主ベクターを以下の表1に示す。
表1:使用ベクターリスト
クローニングベクターから回収した配列を酵母発現ベクターに導入した。これらの宿主ベクターを以下の表1に示す。
表1:使用ベクターリスト
注:pGAL10-CYC1はGAL10遺伝子のUASとCYC1遺伝子の転写開始点からなる合成プロモーターである(Pompom他、Methods Enzymol、272、51‐64、1996年)。
このように得られた発現カセットは以下の表2に示される。
表2:発現カセット
このように得られた発現カセットは以下の表2に示される。
表2:発現カセット
所定のベクターにおいて、2又は3つのカセットを挿入した。そのため、プラスミドを大腸菌DH5αバクテリアにおいて増幅し、マキシプレップによって調製し、そして適切な制限酵素で消化した。最後に、フラグメントをT4リガーゼ(FERMENTAS)によってライゲーションで、又は酵母に直接的に相同組換えを行うことで宿主ベクターに組み込む。構築ベクターのリストは以下の表3に示される。
表3:発現ベクター
表3:発現ベクター
<1.2.種々のS.セレビシエ株の構築>
酵母株内の個々の成分の要求に応じた発現又はこれらの成分の会合を可能にするために、上述の様々なプラスミドを構築した。このように、酵母S.セレビシエの複数の株(W303.1B、FY1679及びCEN.PK1605)を形質転換するために、様々なベクター又はベクターの組合せを用いた。CEN.PK1605は、1605株の原栄養性型であり、ゆえに「生理的挙動」の正のコントロールである。以下の表4の第1列に示す各番号は、同表の対応する行に記載されるベクターの関連性に相当する。つまり、用いられる各株について、関連参照番号により再構築エンジニアリングの情報が得られる。CEN.PK1605株のみが明確化のため例示されている(表4)が、命名法は他の2つの株についても同様である。
表4:プラスミド及び株の組合せ(表3に関連)
酵母株内の個々の成分の要求に応じた発現又はこれらの成分の会合を可能にするために、上述の様々なプラスミドを構築した。このように、酵母S.セレビシエの複数の株(W303.1B、FY1679及びCEN.PK1605)を形質転換するために、様々なベクター又はベクターの組合せを用いた。CEN.PK1605は、1605株の原栄養性型であり、ゆえに「生理的挙動」の正のコントロールである。以下の表4の第1列に示す各番号は、同表の対応する行に記載されるベクターの関連性に相当する。つまり、用いられる各株について、関連参照番号により再構築エンジニアリングの情報が得られる。CEN.PK1605株のみが明確化のため例示されている(表4)が、命名法は他の2つの株についても同様である。
表4:プラスミド及び株の組合せ(表3に関連)
(Syn:シネココッカス・エロンガタス;L2 syn:GroEL2 シネココッカス・エロンガタス;L1 syn:GroEL1 シネココッカス・エロンガタス)
所定の表に関する注釈は以下のとおりである。
1.pCM185:市販のプラスミド(ATCC87659)
2.pFL36:市販のプラスミド(ATCC77202)
3.PYeDP51:「空の」プラスミド、Urban P、Mignotte C、Kazmaier M、Delorme F、Pompom Dの、Arabidopsis thalianaの2種の遠い関係にあるNADPH‐チトクロームP450レダクターゼのクローニング、酵母での発現、及びP450 CYP73A5とのカップリングの特性化(Cloning, yeastexpression, and characterization of the coupling of two distantly relatedArabidopsis thaliana NADPH-cytochrome P450 reductases with P450 CYP73A5、J BiolChem.、1997年8月1日、272(31):19176-86)の文献に記載される
4.GroES大腸菌遺伝子ID:6061370、GroEL大腸菌遺伝子ID:6061450
5.S.セレビシエ株CEN.PK113−7D:Mat a原栄養性
6.S.セレビシエ株CEN.PK1605:CEN.PK113−7D由来の、Mat a HIS3leu2−3.112trp1−289 ura3−52 MAL.28c.株
7.他の省略形は、データバンクに記載されるS.セレビシエ遺伝子を参照
8.合成遺伝子:RuBisCOサブユニット、RuBisCO会合に特異的なシャペロン(RbcX)、PRK,並びに一般シャペロンGroES、GroEL1及びGroEL2をコードするシネココッカス・エロンガタス遺伝子は、不均質なコドンバイアスがある酵母のために独占的再コードを行った後に合成され、pCC6301(市販)にクローニングした。これらのタンパク質のコード配列(再コード後)は添付に示される(配列番号1:RbcSコード配列;配列番号2:RbcLコード配列;配列番号3:RbcXコード配列;配列番号4:PRKコード配列;配列番号5:GroESコード配列;配列番号6:GroEL1コード配列;配列番号7:GroEL2コード配列)
9.大腸菌シャペロンGroES及びGroELのコード配列は、細菌から増幅され、pSC−B−amp/kan(Stratagene)にクローニングされ、発現ベクターにおいて再コードされることなく連結された(上述を参照)
10.シネココッカス・エロンガタスシャペロニンをコードするcDNAの再コード配列は、酵母の2分子を共形質転換することで、予め線状化されたベクターpUC57に相同組換えにより挿入された。同様に、ORFは、以前のコンストラクトからPCRによって増幅され、ベクターpFPP56が保持するプロモーター及びターミネーターに相同である側部領域を生成した。このため、酵母株に対してPCR産生物と予め線状化されたベクターpFPP56とで共形質転換することによって相同組換えによるクローニングが可能になり、表2に記載のカセットによって表3に記載の様々な発現ベクターを生成した。
1.pCM185:市販のプラスミド(ATCC87659)
2.pFL36:市販のプラスミド(ATCC77202)
3.PYeDP51:「空の」プラスミド、Urban P、Mignotte C、Kazmaier M、Delorme F、Pompom Dの、Arabidopsis thalianaの2種の遠い関係にあるNADPH‐チトクロームP450レダクターゼのクローニング、酵母での発現、及びP450 CYP73A5とのカップリングの特性化(Cloning, yeastexpression, and characterization of the coupling of two distantly relatedArabidopsis thaliana NADPH-cytochrome P450 reductases with P450 CYP73A5、J BiolChem.、1997年8月1日、272(31):19176-86)の文献に記載される
4.GroES大腸菌遺伝子ID:6061370、GroEL大腸菌遺伝子ID:6061450
5.S.セレビシエ株CEN.PK113−7D:Mat a原栄養性
6.S.セレビシエ株CEN.PK1605:CEN.PK113−7D由来の、Mat a HIS3leu2−3.112trp1−289 ura3−52 MAL.28c.株
7.他の省略形は、データバンクに記載されるS.セレビシエ遺伝子を参照
8.合成遺伝子:RuBisCOサブユニット、RuBisCO会合に特異的なシャペロン(RbcX)、PRK,並びに一般シャペロンGroES、GroEL1及びGroEL2をコードするシネココッカス・エロンガタス遺伝子は、不均質なコドンバイアスがある酵母のために独占的再コードを行った後に合成され、pCC6301(市販)にクローニングした。これらのタンパク質のコード配列(再コード後)は添付に示される(配列番号1:RbcSコード配列;配列番号2:RbcLコード配列;配列番号3:RbcXコード配列;配列番号4:PRKコード配列;配列番号5:GroESコード配列;配列番号6:GroEL1コード配列;配列番号7:GroEL2コード配列)
9.大腸菌シャペロンGroES及びGroELのコード配列は、細菌から増幅され、pSC−B−amp/kan(Stratagene)にクローニングされ、発現ベクターにおいて再コードされることなく連結された(上述を参照)
10.シネココッカス・エロンガタスシャペロニンをコードするcDNAの再コード配列は、酵母の2分子を共形質転換することで、予め線状化されたベクターpUC57に相同組換えにより挿入された。同様に、ORFは、以前のコンストラクトからPCRによって増幅され、ベクターpFPP56が保持するプロモーター及びターミネーターに相同である側部領域を生成した。このため、酵母株に対してPCR産生物と予め線状化されたベクターpFPP56とで共形質転換することによって相同組換えによるクローニングが可能になり、表2に記載のカセットによって表3に記載の様々な発現ベクターを生成した。
<1.3.異なる由来のシャペロンを組み込む様々なサッカロマイセス・セレビシエ株の構築>
様々な細菌のシャペロンを評価した。また、同じ種(S.エロンガタス)からのタンパク質を含む組合せも、S.エロンガタスのRbcXをS.エロンガタスのGroES並びにGroEL1及び/又はGroEL2と組み合わせて試験した。
表5:発現カセット
表6:発現ベクター
表7:プラスミド及び株の組合せ
(Syn:シネココッカス・エロンガタス;L2 syn:GroEL2;L1 syn:GroEL1 シネココッカス・エロンガタス)
様々な細菌のシャペロンを評価した。また、同じ種(S.エロンガタス)からのタンパク質を含む組合せも、S.エロンガタスのRbcXをS.エロンガタスのGroES並びにGroEL1及び/又はGroEL2と組み合わせて試験した。
表5:発現カセット
<1.4.ピキア・パストリス株の構築>
プラグインに包含される遺伝子の機能発現を維持するために、プロモーター及びターミネーターをピキア・パストリスGS115(Thermo Fisher Scientific C181−00)で機能的なプロモーター及びターミネーターで置換した。
プラグインに包含される遺伝子の機能発現を維持するために、プロモーター及びターミネーターをピキア・パストリスGS115(Thermo Fisher Scientific C181−00)で機能的なプロモーター及びターミネーターで置換した。
プラスミドpFPP56(表3)において、CAS19、CAS20及びCAS21(表2)の、RbcX、GroES及びGroEL遺伝子発現を制御する各プロモーターを、文献に従って互換性プロモーターで置換した(以下の表8)。
表8:発現カセット
表8:発現カセット
以下の3つの発現カセットを含む領域(表9)をPCRで増幅し、市販のプラスミドpPIC3.5にNotIサイトでクローニングした(Thermo Fisher K1710−01)。
表9:発現ベクター
表9:発現ベクター
これらのプラスミドを予め線状化し、EasySelect Pichia発現キット(Thermo Fisher)プロトコルに従ってヒスチジン栄養要求性のピキア・パストリス株GS115(Thermo Fisher C181−00)に個別に形質転換し、30℃の最小培地及びグルコースにおいてセレクションをした。
表10:プラスミド及び株
表10:プラスミド及び株
<1.5.ヤロウィア・リポリティカ株の構築>
廃水から単離した野生株W29(ATCC20460、MatA)を用いた。
プラスミドpFPP56(表3)において、CAS19、CAS20及びCAS21(表2)の、RbcX、GroES及びGroEL遺伝子発現を制御する各プロモーターを、文献に従って互換性プロモーターで置換した(以下の表11)。
表11:発現カセット
廃水から単離した野生株W29(ATCC20460、MatA)を用いた。
プラスミドpFPP56(表3)において、CAS19、CAS20及びCAS21(表2)の、RbcX、GroES及びGroEL遺伝子発現を制御する各プロモーターを、文献に従って互換性プロモーターで置換した(以下の表11)。
表11:発現カセット
上記の3つの発現カセットを含む領域(表11)をPCRで増幅し、市販のプラスミドpYLEX1にクローニングした。
表12:発現ベクター
表12:発現ベクター
これらのプラスミドを線状化し、YLOS形質転換キットプロトコル(Yeastearn Biotech)に従ってロイシン栄養要求性のヤロウィア・リポリティカ株に個別に形質転換し、28℃の最小培地及びグルコースにおいてセレクションをした(YLEX発現キット、Yeastearn Biotech、カタログ番号:FYY201−1KT)。
表13:プラスミド及び株
表13:プラスミド及び株
ヤロウィア・リポリティカPO1f(ATCC(登録商標)MYA2613)
遺伝子型:MATAura3-302 leu2-270 xpr2-322 axp2-deltaNU49 XPR2::SUC2
シャペロンの影響の評価を、合成培地内の株PO1f_01及びPO1f_02の培養物において、ロイシン無しにて、28℃で72時間行った。
遺伝子型:MATAura3-302 leu2-270 xpr2-322 axp2-deltaNU49 XPR2::SUC2
シャペロンの影響の評価を、合成培地内の株PO1f_01及びPO1f_02の培養物において、ロイシン無しにて、28℃で72時間行った。
<1.6.CHO細胞の構築>
高等真核生物細胞一式における「シャペロン」プラグインの容易且つ多目的なハンドリング、並びに高性能トランスファーを確実にするため、第4世代レンチウイルス形質導入系を選択した。これらのレンチウイルス粒子により、例えばヒト又はマウス細胞などの様々な種の高等真核生物の不死化又は形質転換された初代細胞に同様にプラグインをトランスファーすることができる。
高等真核生物細胞一式における「シャペロン」プラグインの容易且つ多目的なハンドリング、並びに高性能トランスファーを確実にするため、第4世代レンチウイルス形質導入系を選択した。これらのレンチウイルス粒子により、例えばヒト又はマウス細胞などの様々な種の高等真核生物の不死化又は形質転換された初代細胞に同様にプラグインをトランスファーすることができる。
プラスミドpFPP56(表3)において、CAS20及びCAS21(表2)のGroES及びGroEL遺伝子の発現を制御する各プロモーターを、文献に従って互換性プロモーターで置換した(表14)。
表14:発現カセット
表14:発現カセット
RbcXのオープンリーディングフレーム並びに以下の2つの発現カセットCAS55及びCAS56を含む領域をPCRによって増幅し、市販のプラスミドpLVX−PuroにXhoI−KpnIサイトでクローニングした(Clontech、カタログ番号632164)。
表15:発現ベクター
表15:発現ベクター
プラスミドpLVX−Puro又はpCB10を、Lenti−Xパッケージングシステム(Clontech)を用いて、キットのプロトコルに従って、Lenti−X293T細胞(Clontech)に形質転換した。ウイルス粒子を含む上清を濾過して、5mlの培地最終量のために、10cmペトリディッシュで培養したCHO細胞に1/5又は1/2希釈で添加した。
24時間の形質導入後、細胞をPBSで洗浄し、37℃で48時間を超えるセレクションのために、2μg/mlピューロマイシンで補完した新しい培地を添加した。
こうして株化された細胞株を培地内の0.5μg/ml濃度のピューロマイシンのもとで維持した。
表16:プラスミド及び株
こうして株化された細胞株を培地内の0.5μg/ml濃度のピューロマイシンのもとで維持した。
表16:プラスミド及び株
<1.7.方法>
<<培養方法1:グルコースにおける増殖>>
6.7g/l硫酸アンモニウム、20g/lグルコース、20g/lアガーで補完し、アガーについては形質転換に用いられるプラスミドの選択マーカーに適し(−ura、−leu、−trp)、2μ/mlドキシサイクリンの存在下の市販のCSM培地(MP Biomedicals)で補完したYNB培地(酵母用窒素源非含有)において、形質転換細胞を、周囲空気下30℃で増殖させた。対数期終了の一世代前に4℃で冷却することで、培養を停止した。培養物を遠心分離し、高張性ソルビトール培地(1.2Mソルビトール)内でザイモリエース・サイトへリカーゼ混合物で細胞壁の酵素消化をすることで、スフェロプラストを調製する。スフェロプラストを、飽和濃度のPMSF及びEDTA(プロテアーゼ阻害剤)の存在下で高張性ソルビトール培地内で洗浄し、等張性ソルビトール培地(0.6M)内にてピペッティングの反復と弱い音波処理とで破砕する。大きな破片を除くために低速(1500rpm)で、そして中程度のサイズの破片とミトコンドリアとを採取するために中速(4000rpm)で遠心分離した後、上清を採取し、ブラッドフォード法にてタンパク質濃度を定量化する。
<<培養方法1:グルコースにおける増殖>>
6.7g/l硫酸アンモニウム、20g/lグルコース、20g/lアガーで補完し、アガーについては形質転換に用いられるプラスミドの選択マーカーに適し(−ura、−leu、−trp)、2μ/mlドキシサイクリンの存在下の市販のCSM培地(MP Biomedicals)で補完したYNB培地(酵母用窒素源非含有)において、形質転換細胞を、周囲空気下30℃で増殖させた。対数期終了の一世代前に4℃で冷却することで、培養を停止した。培養物を遠心分離し、高張性ソルビトール培地(1.2Mソルビトール)内でザイモリエース・サイトへリカーゼ混合物で細胞壁の酵素消化をすることで、スフェロプラストを調製する。スフェロプラストを、飽和濃度のPMSF及びEDTA(プロテアーゼ阻害剤)の存在下で高張性ソルビトール培地内で洗浄し、等張性ソルビトール培地(0.6M)内にてピペッティングの反復と弱い音波処理とで破砕する。大きな破片を除くために低速(1500rpm)で、そして中程度のサイズの破片とミトコンドリアとを採取するために中速(4000rpm)で遠心分離した後、上清を採取し、ブラッドフォード法にてタンパク質濃度を定量化する。
<<インビトロのRuBisCO活性試験>>
インビトロにおいて、この細胞溶解物からの15μgのタンパク質試料を、200μlの反応量のため、適切なバッファー(50mMのTris/HCl、pH7.4、10mMのMgCl2 +、60mM炭酸水素ナトリウム)内の合成分子RuBP(最終2mM)に添加して、酵母溶解物に発現されるRuBisCO複合体がホスホグリセリン酸分子形成を触媒可能にする。種々の時間で、HCl(12.1M)を添加することで反応を停止し、時間の経過に伴い産生されたホスホグリセリン酸のアッセイを行ってタンパク質試料のカルボキシラーゼ活性を評価するために、反応産生物をHPLC/MSで分析する。
インビトロにおいて、この細胞溶解物からの15μgのタンパク質試料を、200μlの反応量のため、適切なバッファー(50mMのTris/HCl、pH7.4、10mMのMgCl2 +、60mM炭酸水素ナトリウム)内の合成分子RuBP(最終2mM)に添加して、酵母溶解物に発現されるRuBisCO複合体がホスホグリセリン酸分子形成を触媒可能にする。種々の時間で、HCl(12.1M)を添加することで反応を停止し、時間の経過に伴い産生されたホスホグリセリン酸のアッセイを行ってタンパク質試料のカルボキシラーゼ活性を評価するために、反応産生物をHPLC/MSで分析する。
<<制御培地内の培養物>>
前培養物を既知組成の培地で調製した。1mlのストック管(−80℃)を解凍後、これを用いて、10mlの培地を含むペニシリンボトル(100ml)に播種し、18時間30℃で120rpmにおいてインキュベートした。PRK遺伝子の存在下で見受けられる毒性の問題を避けるため、前培養物を、嫌気状態において(事前に窒素を流したボトル)、ドキシサイクリン(2μ/ml)の存在下で調製した。そして、前培養物を生理食塩水(NaCl、9g/l)で3回洗浄し(遠心分離、再懸濁、15秒間の撹拌)、細胞のペレットをドキシサイクリン非含有培地に再懸濁した。
前培養物を既知組成の培地で調製した。1mlのストック管(−80℃)を解凍後、これを用いて、10mlの培地を含むペニシリンボトル(100ml)に播種し、18時間30℃で120rpmにおいてインキュベートした。PRK遺伝子の存在下で見受けられる毒性の問題を避けるため、前培養物を、嫌気状態において(事前に窒素を流したボトル)、ドキシサイクリン(2μ/ml)の存在下で調製した。そして、前培養物を生理食塩水(NaCl、9g/l)で3回洗浄し(遠心分離、再懸濁、15秒間の撹拌)、細胞のペレットをドキシサイクリン非含有培地に再懸濁した。
前培養物に由来するこれらの細胞を、0.05(又は0.1g/l)の初期光学密度を得るために播種した。開始培養量は、好気状態において50ml(250mlのバッフル付きエルレンマイヤーフラスコ)又は嫌気状態において35ml(100mlペニシリンボトル)であった。
すべてのグルコースが消費されるか又はエタノール産生が停止した後、培養は停止された。各培養物をトリプリケートで調製した。
すべてのグルコースが消費されるか又はエタノール産生が停止した後、培養は停止された。各培養物をトリプリケートで調製した。
<<解析:細胞外代謝物の特性評価>>
グルコース、ぎ酸、及び主な代謝物(エタノール;グリセロール;酢酸、コハク酸、及びピルビン酸)の濃度を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した。用いた装置は、アミネックスHPX87−H+(300mm×7.8mm)カラムを備えたクロマトグラフ(Waters、Alliance 2690)であった。示差屈折率検出器(Waters2414検出器)によって分子検出を行った。溶出剤は、流速0.5ml/分の8mMのH2SO4であり、カラム温度は50℃に設定された。この解析は、嫌気状態において、単一ボトルの各株にて行われた。この場合、標準偏差の算出は損失質量において行われ、代謝物に適用された。
グルコース、ぎ酸、及び主な代謝物(エタノール;グリセロール;酢酸、コハク酸、及びピルビン酸)の濃度を高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した。用いた装置は、アミネックスHPX87−H+(300mm×7.8mm)カラムを備えたクロマトグラフ(Waters、Alliance 2690)であった。示差屈折率検出器(Waters2414検出器)によって分子検出を行った。溶出剤は、流速0.5ml/分の8mMのH2SO4であり、カラム温度は50℃に設定された。この解析は、嫌気状態において、単一ボトルの各株にて行われた。この場合、標準偏差の算出は損失質量において行われ、代謝物に適用された。
[実施例2: 酵母におけるタイプIRuBisCOのカルボキシラーゼ活性の再構成におけるシャペロン組合せの効果]
カルビン回路により、植物及びシアノバクテリアが二酸化炭素からグルコースを産生することが可能になる。重要なステップは、5炭素を有する分子であるリブロース−1,5−ビスリン酸(RuBP)におけるCO2の固定である。このステップは、RuBisCO(リブロース−1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ)と呼ばれる酵素を要求する。この酵素により、不安定な6炭素分子の形成が可能になり、これが即座に2つの3炭素3−ホスホグリセラート分子をもたらす。RuBisCOには複数の形態が存在する。フォームIは、大サブユニット(RbcL)及び小サブユニット(RbcS)の2タイプのサブユニットからなり、これらのサブユニットの適切な会合には、少なくとも1つの特異的シャペロン、RbcXの介入をさらに必要とする。RuBisCOの基質であるRuBPは、リブロース−5−リン酸とATPとの反応によって形成され、この反応はホスホリブロキナーゼ(PRK)により触媒される。
カルビン回路により、植物及びシアノバクテリアが二酸化炭素からグルコースを産生することが可能になる。重要なステップは、5炭素を有する分子であるリブロース−1,5−ビスリン酸(RuBP)におけるCO2の固定である。このステップは、RuBisCO(リブロース−1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ)と呼ばれる酵素を要求する。この酵素により、不安定な6炭素分子の形成が可能になり、これが即座に2つの3炭素3−ホスホグリセラート分子をもたらす。RuBisCOには複数の形態が存在する。フォームIは、大サブユニット(RbcL)及び小サブユニット(RbcS)の2タイプのサブユニットからなり、これらのサブユニットの適切な会合には、少なくとも1つの特異的シャペロン、RbcXの介入をさらに必要とする。RuBisCOの基質であるRuBPは、リブロース−5−リン酸とATPとの反応によって形成され、この反応はホスホリブロキナーゼ(PRK)により触媒される。
この例では、人工的カルビン回路が再構築され、これは、組合せ番号に従って大腸菌又はシネココッカスの一般シャペロンGroEL及びGroESあり(組合せ3番及び101番)又はなし(組合せ4番)で、シネココッカス・エロンガタスのRuBisCOのRbcS及びRbcLサブユニット、特異的シャペロンRbcX、並びにPRK酵素を共に発現可能にする上記表4の3番及び4番のベクターの組合せによって、酵母株CEN.PK1605の共形質転換をすることにより行われる。
こうして、グルコースにおける酵母培養からのタンパク質抽出物から(プロトコルは上述の1.3に詳細される)、3つの独立的実験(A,B及びC)におけるRuBisCO活性試験を行う。時間の関数としてホスホグリセリン酸産生を測定することで、その産生物を評価した。結果を以下の表17に示す。
表17:インビトロにおけるRuBisCO活性試験を、グルコース上で増殖させ且つ第1列に示されたエンジニアリングを含むCEN−PK株の抽出物でおこなった。室温において、2mMリブロース二リン酸を含む200μlの反応量内で酵母の可溶性抽出物からの0.01〜0.02mgのタンパク質と共に80分のインキュベーションをおこなう間に試験を行う。形成された3−ホスホグリセラートのnmol/分/抽出物における全タンパク質のmgで、活性を示す。
実験Aにおいて、RuBisCO複合体に特異的であるが単独であるシャペロンRbcXの存在は、活性酵素複合体の発現を可能にするには十分でないことが示される。RbcXの存在に適するストイキオメトリに関連した、大腸菌の一般シャペロンGroES及びGroELの両方の組合せのみが、時間経過におけるホスホグリセリン酸産生増加を検出可能にする。
さらに、実験Cは、シネココッカス・エロンガタスRbcL・RbcSサブユニットが、同じ生物体の同種のシャペロンRbcX、GroES、GroEL2に会合する場合に、RuBisCO活性が90%を超えて大きく下落することを示す。これは、異種性シャペロニン会合の有利性を明確に示すものである。
この実施例により、異種性細菌一般シャペロンの細菌特異的シャペロンRbcXとの会合が、酵母における合成RuBisCO複合体の活性最適化に必要とされることを、明確に定めることができる。
[実施例3:組換えタンパク質の毒性に対するシャペロン組合せの防御効果]
<RuBisCOとは別の、インビボにおけるリブロキナーゼ発現関連毒性の除去における効果>
実施された方法及び解析は上述の実施例1に記載される。
酵母(株18b)におけるリブロキナーゼのみの発現は、野生型(WT)と比較して、(50時間を超える)長い潜伏期、並びに(好気状態で70%及び嫌気状態で82%の)最大増殖速度の大きな下落に関与する(表18)。
表18:WT、1b、18b、102、15、14b株の遺伝子型、最大増殖速度、及び増殖遅延を示す。
<RuBisCOとは別の、インビボにおけるリブロキナーゼ発現関連毒性の除去における効果>
実施された方法及び解析は上述の実施例1に記載される。
酵母(株18b)におけるリブロキナーゼのみの発現は、野生型(WT)と比較して、(50時間を超える)長い潜伏期、並びに(好気状態で70%及び嫌気状態で82%の)最大増殖速度の大きな下落に関与する(表18)。
表18:WT、1b、18b、102、15、14b株の遺伝子型、最大増殖速度、及び増殖遅延を示す。
PRKによって誘導されるこの毒性は、株102における大腸菌のシャペロンGroES・GroELの共発現(嫌気状態で26%及び好気状態で42%の増殖速度における毒性除去)、又は、株14bにおけるシネココッカス・エロンガタスのシャペロンRbcXの共発現(嫌気状態で34%及び好気状態で10%の増殖速度における毒性除去)によって、部分的に除去可能である。
株15における大腸菌のシャペロンGroES・GroEL及びシネココッカス・エロンガタスのシャペロンRbcXの共発現は、ほぼ完全な増殖を回復可能にする(嫌気状態で78%及び好気状態で63%の増殖速度における毒性除去)。この共発現はまた、長い潜伏期を完全に排除することができる。
リブロキナーゼ(PRK)発現に関連する毒性は、潜伏期の存在と増殖速度の下落とに直接的に関連するエタノール産生の下落により特徴づけられ、アルコール発酵に影響を与える(株18b)(図1)。「シャペロン」エンジニアリング(大腸菌のGroES+GroEL+シネココッカス・エロンガタスのRbcX)の発現は、一般シャペロニンのペアGroES・GroELが部分的な効果しか持たず(株102)、RbcX単独の効果がなくても(株14b)、リブロキナーゼ(PRK)毒性、特にPRK触媒反応産生物の蓄積を完全に除去するだけでなく、最終的にエタノール産生を向上することができる(株15)。
[実施例4:形質転換細胞増殖における一般的効果の例]
<4.1.発酵におけるサッカロマイセス・セレビシエ増殖への一般的効果>
実施された方法及び解析は上述の実施例1に記載される。結果は以下の表19に示される。
表19:WT、1b、103、13b株の遺伝子型、最大増殖速度、及び増殖遅延を示す。
<4.1.発酵におけるサッカロマイセス・セレビシエ増殖への一般的効果>
実施された方法及び解析は上述の実施例1に記載される。結果は以下の表19に示される。
表19:WT、1b、103、13b株の遺伝子型、最大増殖速度、及び増殖遅延を示す。
有利なことに、「シャペロン」エンジニアリングの発現は、3つの「空の」プラスミドを含むコントロール株(株1b)又は大腸菌一般シャペロンGroES・GroELのみを発現する株103と比較して、株13b(RbcX+(Gros・GroEL)、大腸菌)に30%の増殖有利性を与える。
さらに、株13bの増殖速度は、形質転換されておらず故にストレスを受けていない野生株(WT)CEN.PK113−7Dの好気状態及び嫌気状態におけるそれぞれ96%及び86%の増殖速度と等しいものである(表18)。
<4.2.発酵におけるピキア・パストリス増殖への一般的効果>
シャペロンの影響評価を、F.Wang等により記載されたプロトコル(2015年、PLoS One. 2015 Mar 17;10(3):e0120458.“High-level expression ofendo-β- N-acetylglucosaminidase H from Streptomyces plicatus in Pichia pastorisand its application for the deglycosylation of glycoproteins.”)に従って、株PPGC115_01及びPPGC115_02の、グリセロールを含む最小培地における30℃で14時間の培養、並びに1%メタノールでの48〜100時間の誘導において行った。
シャペロンの影響評価を、F.Wang等により記載されたプロトコル(2015年、PLoS One. 2015 Mar 17;10(3):e0120458.“High-level expression ofendo-β- N-acetylglucosaminidase H from Streptomyces plicatus in Pichia pastorisand its application for the deglycosylation of glycoproteins.”)に従って、株PPGC115_01及びPPGC115_02の、グリセロールを含む最小培地における30℃で14時間の培養、並びに1%メタノールでの48〜100時間の誘導において行った。
2つの株を、同じ細胞濃度で播種し、100時間の発酵において評価した。増殖曲線の対数期において算出された株の最大muは、株PPGC115_02について、コントロール株PPGC115_01のものに対して約30%の増殖有利性を示す。
<4.3.発酵におけるヤロウィア・リポリティカ増殖への一般的効果>
株PO1f_01及びPO1f_02を、JM Nicaud等により記載されたプロトコル(2002年、(Protein expression and secretion in the yeast Yarrowia lipolytica.FEMS Yeast Res. 2002 Aug;2(3):371-9)に従って評価した。シャペロン組合せを発現する株について、表現型は増殖増加を示す。増殖有利性は35%を超えて評価された。
株PO1f_01及びPO1f_02を、JM Nicaud等により記載されたプロトコル(2002年、(Protein expression and secretion in the yeast Yarrowia lipolytica.FEMS Yeast Res. 2002 Aug;2(3):371-9)に従って評価した。シャペロン組合せを発現する株について、表現型は増殖増加を示す。増殖有利性は35%を超えて評価された。
<4.4.CHO細胞増殖における一般的効果>
CHO−01及びCHO−02株を同じ密度で(2×106細胞/10cmディッシュ)播種し、増殖を4日にわたって評価した。細胞をトリプシン処理で剥離及び個別化し、自動カウンターを用いて各日にカウントする。CHO−02株細胞の増殖速度は、コントロール株CHO−01のものよりも約25%高い。シャペロン組合せは細胞倍加時間において効果を有する。
CHO−01及びCHO−02株を同じ密度で(2×106細胞/10cmディッシュ)播種し、増殖を4日にわたって評価した。細胞をトリプシン処理で剥離及び個別化し、自動カウンターを用いて各日にカウントする。CHO−02株細胞の増殖速度は、コントロール株CHO−01のものよりも約25%高い。シャペロン組合せは細胞倍加時間において効果を有する。
これらの検討は、この「シャペロン」エンジニアリングが、(i)他の改変を含む又は含まないが、物理化学的ストレスを受ける真核細胞の正常増殖を回復すること、及び(ii)同じ条件下で用いられる株・細胞に対して増殖有利性を提供すること、を可能にすることを示す。
[実施例5:組換えタンパク質産生における効果の例]
<5.1.サッカロマイセス・セレビシエにおけるヒト成長ホルモンの産生>
ヒト成長ホルモン遺伝子(GenBank:K02382.1)を合成し、以下のカセットに従って構成的プロモーターTEF1の下流にクローニングした。
表20:発現カセット
表21:発現ベクター
<5.1.サッカロマイセス・セレビシエにおけるヒト成長ホルモンの産生>
ヒト成長ホルモン遺伝子(GenBank:K02382.1)を合成し、以下のカセットに従って構成的プロモーターTEF1の下流にクローニングした。
表20:発現カセット
これらのプラスミドを、以前に記載された形質転換プロトコルに従って株CEN.PK1605に共に形質転換した。株を合成培地(−leu−ura)にて選択した。
表22:株
表22:株
株200、230及び231を、OD600nmでの0.7まで合成培地(−leu−ura)にて増殖させた。細胞を採取し、1mlの冷溶解バッファー(1×PBS、pH7.4、1mMのPMSF)で1度洗浄し、そして0.3mlのレムリー(Laemmli)バッファーに再懸濁して、5分間98℃でインキュベートした。段階希釈物(1:10)を調製し、同量の各試料をSDS−PAGEゲルに堆積させ(勾配4%〜20%)、ニトロセルロース膜に移した。hGH発現を抗体[GH−1](ab9821、Abcam)で評価し、ユビキタス遺伝子GAPDH(ab9485, Abcam)の発現に対して標準化する。さらに、hGH発現を、成長ホルモンELISAキット(ヒト)のプロトコルで、これに従って、ELISAによって定量化する(Thermo Scientific、カタログ番号EHGH1)。
株230にて評価した産生hGHタンパク質量は、株211にて得られたものよりも40%多い。
株230にて評価した産生hGHタンパク質量は、株211にて得られたものよりも40%多い。
<5.2.サッカロマイセス・セレビシエにおける内在性ルシフェラーゼ活性の評価>
蛍のルシフェラーゼ遺伝子をベクターpGL4(Promega)から増幅して、以下のカセットに従って構成的プロモーターTEF1の下流にクローニングした。
表23:発現カセット
表24:発現ベクター
蛍のルシフェラーゼ遺伝子をベクターpGL4(Promega)から増幅して、以下のカセットに従って構成的プロモーターTEF1の下流にクローニングした。
表23:発現カセット
これらのプラスミドを、以前に記載された形質転換プロトコルに従って株CEN.PK1605に共に形質転換した。株を合成培地(−leu−ura)にて選択した。
表25:プラスミド及び株
表25:プラスミド及び株
株200、210及び211を、OD600nmでの0.7まで合成培地(−leu−ura)にて増殖させた。細胞を採取し、1mlの冷溶解バッファー(1×PBS、pH7.4、1mMのPMSF)で1度洗浄し、そして0.3mlの同じバッファーに再懸濁した。再懸濁した細胞をガラスビーズと共に溶解した(Fast Prep)。
粗溶解物の濃度をブラッドフォード法で測定し(BioRad)、0.5mg/mlに希釈し、試料毎に5μlの溶解物を用いて、ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)及びルミノメーターで評価したルミネセンスで、ルシフェラーゼ活性を測定した。
活性は、全タンパク質量に対して標準化される。
株210にて評価されたルシフェラーゼ活性は、株211にて評価されたものより60%高い。
活性は、全タンパク質量に対して標準化される。
株210にて評価されたルシフェラーゼ活性は、株211にて評価されたものより60%高い。
<5.3.サッカロマイセス・セレビシエにおける組換えセルラーゼ活性の評価>
シャペロン改変は、プロモーターTEF2のもとで、タラロマイセス・エメルソニ(Talaromyces emersonii)(GenBankアクセション番号AAL89553)のセロビオヒドロラーゼ1(CBH1)であるセルラーゼを発現するための改変に関連する。セルラーゼ活性の解析は、Y.Ito等によって記載された(2015年、Combinatorial Screeningfor Transgenic Yeasts with High Cellulase Activities in Combination with aTunable Expression System. PLoS One. 2015 Dec 21;10(12))ように行われた。
シャペロンの存在下でセルラーゼエンジニアリングを共発現する株について記録した活性は、セルラーゼエンジニアリング単独のみを発現する株よりも37%高い活性をもたらす。
シャペロン改変は、プロモーターTEF2のもとで、タラロマイセス・エメルソニ(Talaromyces emersonii)(GenBankアクセション番号AAL89553)のセロビオヒドロラーゼ1(CBH1)であるセルラーゼを発現するための改変に関連する。セルラーゼ活性の解析は、Y.Ito等によって記載された(2015年、Combinatorial Screeningfor Transgenic Yeasts with High Cellulase Activities in Combination with aTunable Expression System. PLoS One. 2015 Dec 21;10(12))ように行われた。
シャペロンの存在下でセルラーゼエンジニアリングを共発現する株について記録した活性は、セルラーゼエンジニアリング単独のみを発現する株よりも37%高い活性をもたらす。
<5.4.タンパク質産生の向上>
サッカロマイセスについて上述されたタンパク質産生を向上するためのシャペロンの使用は、内在性又は異種性タンパク質の産出及び/又は活性を最適化するように、任意の目的の真核細胞、特にピキア及びヤロウィアにおいて容易に実施されることができる。本発明のシャペロンの組合せを発現する酵母を作製し、食品加工産業、医薬分野、バイオマス加水分解、エネルギーなどのために目的の種々のタンパク質を産生するために、当業者は以下の刊行物を特に参照するとよい。
[参考文献]
− SpohnerSC, Muller H, Quitmann H, Czermak P. Expression of enzymes for the usage infood and feed industry with Pichia pastoris. J Biotechnol. 2015 May20;202:118-34.
− KimH, Yoo SJ, Kang HA. Yeast synthetic biology for the production of recombinanttherapeutic proteins. FEMS Yeast Res. 2014 Aug 12.
− AhmadM, Hirz M, Pichler H, Schwab H. Protein expression in Pichia pastoris: recentachievements and perspectives for heterologous protein production. ApplMicrobiol Biotechnol. 2014 Jun;98(12):5301-17. doi: 10.1007/s00253-014-5732-5.Epub 2014 Apr 18. Review.
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サッカロマイセスについて上述されたタンパク質産生を向上するためのシャペロンの使用は、内在性又は異種性タンパク質の産出及び/又は活性を最適化するように、任意の目的の真核細胞、特にピキア及びヤロウィアにおいて容易に実施されることができる。本発明のシャペロンの組合せを発現する酵母を作製し、食品加工産業、医薬分野、バイオマス加水分解、エネルギーなどのために目的の種々のタンパク質を産生するために、当業者は以下の刊行物を特に参照するとよい。
[参考文献]
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Claims (20)
- (i)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性フォームIRuBisCO酵素のフォールディングに関与するシャペロンRbcXをコードする配列を含む発現カセットと、
(ii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroESをコードする配列を含む発現カセットと、
(iii)適切なプロモーターの転写制御下において、細菌性一般シャペロンGroELをコードする配列を含む発現カセットと、を含む形質転換真核細胞。 - 前記シャペロンRbcXはシアノバクテリアシャペロンである、請求項1に記載の真核細胞。
- 前記一般シャペロンGroES及び前記一般シャペロンGroELの少なくとも1つは、シアノバクテリアにもRuBisCO複合体を発現する他の細菌にも由来しない、請求項1又は請求項2に記載の真核細胞。
- 3つの前記発現カセットは遺伝子情報の連続的ブロックを形成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の真核細胞。
- 3つの前記シャペロンの前記発現カセットは、単一のエピソーム遺伝要素により保持される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の真核細胞。
- 前記シャペロン以外の異種性タンパク質のための少なくとも1つの発現カセットをさらに含む、又は内在性タンパク質の発現レベル及び/若しくは配列を変える配列改変を受けている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の真核細胞。
- 細菌性フォームIRuBisCO酵素のRbcL又はRbcSサブユニットをコードする配列を含まない、請求項1〜6のいずれか1項に記載の真核細胞。
- サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)及びピキア・パストリス(Pichia pastoris)から好ましくは選択される酵母である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の真核細胞。
- 真核細胞の生理機能を向上させるための、シャペロンRbcX並びにシャペロンGroES及びGroELの発現を可能にする発現カセットの組合せの使用。
- 酵母株の生理機能を向上させるための請求項9に記載の使用。
- 前記シャペロン以外の異種性タンパク質のための少なくとも1つの発現カセットを含む、又は内在性タンパク質の発現レベル及び/若しくは配列を変える配列改変を受けている真核細胞の生理機能を向上させるための、請求項9又は請求項10に記載の使用。
- 前記真核細胞の増殖速度を増加させるための請求項8〜11のいずれか1項に記載の使用。
- 前記真核細胞の環境ストレスに対する抵抗性を増大させるための、請求項8〜12のいずれか1項に記載の使用。
- 前記環境ストレスは、前記真核細胞の培地に存在する要素の毒性によるものである、請求項13に記載の使用。
- 前記真核細胞によって合成された化合物の毒性に対する前記細胞の抵抗性を増大させるための、請求項8〜14のいずれか1項に記載の使用。
- 組換えタンパク質の産生のための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の真核細胞の使用。
- 化学分子及びタンパク質から選択される少なくとも1つの化合物を産生するための生物工学的プロセスであって、請求項1〜8のいずれか1項に記載の真核細胞を、該真核細胞によるこの化合物の合成を可能にする条件下で培養するステップと、任意的に前記化合物を採取するステップと、を含むプロセス。
- 組換えタンパク質を産生するプロセスであって、(i)前記タンパク質をコードする配列を、RbcX、GroES及びGroELを発現する真核細胞に挿入すること、(ii)前記配列の発現を可能にする条件下で前記細胞を培養すること、並びに任意的に(iii)前記タンパク質を採取又は精製すること、を含むプロセス。
- 前記タンパク質は酵素である、請求項17又は請求項18に記載のプロセス。
- 前記タンパク質はホルモンである、請求項17又は請求項18に記載のプロセス。
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