本発明の開示は、テンプレート化されたアセンブリ反応物を同定し、濃縮し、及び評価するための方法及びキットを対象とする。
ここで、本明細書に開示の装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用原理の全体的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態を記述する。これら実施形態の1つ以上の例示は、添付の図面に説明されている。当業者は、特に本明細書で記述され、及び添付図面で説明される装置ならびに方法は、非限定的な例示としての実施形態であり、及び本発明の開示の範囲は、当該請求項によってのみ定義されること理解されよう。1つの例示的な実施形態に関連して説明されまたは記述される特徴は、任意のその他の実施形態の特徴と組み合わされて良い。そのような修正及び変更は、本発明の開示の範囲内に含まれることを意図している。
本明細書に引用される全ての出版物、特許及び特許出願は、前述または後述かにかかわらず、その全体が参照として、本明細書に組みこまれている。この明細書及び添付の請求項に使用する、単数形の「a」「an」、及び「the」には、その文脈が明確に、別段に指示しない限り、複数参照をも含む。本開示に使用される用語は、当業者に一般に受け入れられる標準的な定義に付随する。いずれかのさらなる説明が必要な場合において、いくつかの用語が、以下に解説されている。
本明細書で使用する用語「about(約)」は、例えば、これら手順での故意ではない誤差を介して、その製造、原料、または組成物もしくは試薬の純度などにおける差異を介して、現実の測定または取り扱い手順を介して発生し得る数量の変動を指す。通常、本明細書で使用する用語「about(約)」は、示された値の1/10で、例えば±10%で、指示される値の数量または範囲より、大きいかまたは少ないことを意味する。例えば、約30%の濃度値は、27%から33%の濃度を意味することができる。用語「about(約)」はまた、そのような変動が、先行技術で実施された既知の値を含まない限りは等価である、として当業者に認められる変動を指す。用語「about(約)」によって実施される各値もしくは値の範囲はまた、示された絶対値または値の範囲の実施形態を含むことを意図している。用語「about(約)」によって修正されるか否かにかかわらず、当該請求項で列挙される定量値には、その列挙された値と等価の値、例えば、発生する可能性があるが、しかし当業者によって等価であると認められるような値の数値変動を含む。
語句「active effector structure(活性エフェクター構造)」及び「effector structure(エフェクター構造)」は、本明細書では互換的に使用され、及び望ましい効果を引き起こす、テンプレート化アセンブリ産物の活性部分を指す。
本明細書で使用する用語「base(塩基)」は、プリンまたはピリミジン基、もしくは人工的な類似体を含む分子を指し、Watson−Crick(ワトソン・クリック)またはHoogsteen(フーグスティーン)結合相互作用を介して、相当する他の塩基と結合対を形成する。塩基はさらに、オリゴマーなどの、1つのポリマー中に、共にある複数塩基の共有結合を促進する基を含む。非限定的例示には、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチド核酸残基、またはモルホリノ残基を含む。
本明細書で使用する用語「bind(結合)」、「binds(結合する)」、「binding(結合している)」、及び「bound(結合された)」は、互いに近接している2つの分子間の安定的な相互作用を指す。当該用語には、化学結合(直接的な結合、または中間体構造を介して結合のいずれか)などの物理的な相互作用と共に、静電気引力、水素結合、及びファンデルワールス/分散力などの、非物理的相互作用及び原子間引力を含む。
本明細書で使用する語句「bioconjugation chemistry(生体共役反応化学)」は、通常の官能基を、穏やかな条件下で共に連結し、複数モイエティー化合物の分子構造を促す、化学合成戦略及び試薬を指す。
本明細書で使用する「chemically−ligated oligonucleotides spatially elicited(空間的に誘導された、化学連結反応したオリゴヌクレオチド)」は、標的核酸テンプレートへの相補的形成を介して、それらの空間的近接の結果として、化学的に連結された一対のオリゴヌクレオチドを指す。
本明細書で使用する「effector partial moiety(エフェクター部分モイエティー)」は、核酸テンプレート化アセンブリによって形成された産物において、エフェクター構造の化学構造に寄与する、テンプレート化されたアセンブリ反応体の一部分を指す。エフェクター部分モイエティーは、その反応体の異なる部分であって良く、またはその核酸認識モイエティー及び/またはその選択的反応モイエティーの一部もしくは全部を含み、またはそれらから成る。
用語「linker(リンカー)」及び「spacer(スペーサー)」は、本明細書では互換的に使用され、そのテンプレート化アセンブリ反応体におけるオリゴヌクレオチド配列に隣接する分子を指す。リンカーは、追加のオリゴヌクレオチド配列、ペプチド、ペプチド模倣構造の非活性部分、薬剤の非活性部分、または20kDa未満のその他の生物活性化合物であり得る。リンカーは、分岐状のまたは非分岐状の共有結合した分子鎖から構成されて良い。
本明細書で使用する用語「non−traceless bio−orthogonal chemistry(非トレースレスのバイオオルソゴナル化学)」は、選択的反応モイエティーの一部分または全部が、その産物構造に保持されているところの、選択的反応モイエティーを関与させる反応を指す。
本明細書で使用する語句「nucleic acid recognition moiety(核酸認識モイエティー)」は、標的核酸への配列に特異的な結合を促すオリゴヌクレオチドを指す。核酸認識モイエティーの例示は、標的核酸に結合するオリゴヌクレオチド配列である。
用語「oligonucleotide sequences(オリゴヌクレオチド配列)」及び「oligomer(オリゴマー)」は、本明細書では互換的に使用され、及びその単位のいくつかまたは全部が、ワトソン・クリックまたはフーグスティーン塩基対相互作用を形成でき、二本鎖または多重鎖構造において核酸への配列に特異的な結合が可能な塩基である、複数単位から構成される分子を指す。非限定的な例示には、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸オリゴマー、及びモルホリノオリゴマーを含む。
本明細書で使用する用語「pathogenic cell(病原性細胞)」は、ウイルスに感染した細胞、腫瘍細胞、及び微生物に感染した細胞、または、限定されないが、アレルギー、アナフィラキシー、炎症及び自己免疫性を含む疾患を、誘発または媒介する分子を産生する細胞などの、疾患または異常状態を引き起こすまたは促進することができる細胞を指す。
本明細書で使用する場合の語句「pharmaceutically acceptable(薬学的に許容される)」は、生物学的に許容される、または許容されない生物学的影響を引き起こすこと、またはその組成物のその他成分を伴った許容されない方法において相互作用することが無いように、組成物に組み込まれ患者に投与され得る、そうでない場合には許容されない物質を指す。
用語「pharmaceutically acceptable salt(薬学的に許容される塩)」は、哺乳類などの患者への投与が許容されている、塩基または酸から調合される塩を意味する(例えば、所定の投薬計画に対して、許容され得る哺乳類への安全性を有する塩)。
本明細書で使用する用語「salt(塩)」には、薬学的に許容される無機酸及び塩基から誘導された塩、及び薬学的に許容される有機酸及び塩基から誘導された塩、ならびにそれらの誘導体及びそれらの変異体を含むことができる。
本明細書で使用する用語「sample(サンプル)」は、核酸のテンプレート化アセンブリが発生して良い場所に、テンプレート化アセンブリ反応体が投与され得る、任意のシステムを指す。非限定的な例示には、生きた細胞、固定または保存された細胞、有機体の全身、組織、腫瘍、溶解物、または体外試験システムを含む。
語句「selectively−reactive moiety(選択的反応モイエティー)」は、相応するテンプレート化アセンブリ反応体との化学反応を介するなどの、産物形成が可能な、テンプレート化アセンブリ反応体の一部分を指す。例えば、選択的反応モイエティーは、相応する選択的反応モイエティーと容易に反応できるが、天然の生体分子とは容易には反応しない。
語句「set of corresponding reactants(一組の相応する反応体)」または「corresponding templated assembly reactants(相応するテンプレート化アセンブリ反応体)」は、本明細書では、テンプレート化アセンブリ反応での役割を果たすために、単一の標的テンプレート上で一体となる、テンプレート化アセンブリ反応体を指す。
本明細書の任意の実施形態において、「subject(対象物)」は、培養中の、または生きた有機体の生体内の細胞などの、細胞であり得る。いくつかの実施形態において、当該対象物は、微生物であり得る。いくつかの実施形態において、当該対象物は、より大きな有機体から取得されたサンプルから誘導された、またはそれに含まれる細胞であり得る。例えば、当該対象物は、生検の手順によって有機体から取得されたサンプルに含まれる細胞であり得、その方法は、その有機体上で実施され得る。いくつかの実施形態において、当該対象物は、有機体から取得された前駆細胞の子孫(細胞分裂による)であり得る。対象物はまた、哺乳類であり得る。対象物の例示には、非限定的に、ヒト、馬、サル、犬、猫、マウス、ラット、牛、豚、ヤギ、及び羊を含むことができる。いくつかの実施形態において、「subjects(対象物)」は一般に、ヒトの患者である。
本明細書で使用する用語「superantigen(スーパー抗原)」は、特定の可変(V)領域を発現する、T細胞の幅広い部分集団を結合する抗原を指す。
本明細書で使用する語句「traceless bio−orthogonal chemistry(トレースレスのバイオオルソゴナル化学)」は、自然発生の結合、例えばアミドが、その産物構造から選択的反応モイエティーの一部分または全部を除去することによって形成されるところの、選択的反応モイエティーを関与させる反応を指す。
本明細書で使用する語句「target compartment(標的コンパートメント)」は、細胞、ウイルス、組織、腫瘍、溶解物、その他の生物学的構造、空間領域、または標的核酸、もしくは非標的コンパートメントと比べて異なる量の標的核酸を含むサンプルを指す。
語句「target nucleic acid sequence(標的核酸配列)」及び「target nucleic acid(標的核酸)」は、互換的に使用され、及び核酸テンプレート化アセンブリに対して、テンプレートとして作用することを意図された単位または核酸の配列を指す。
語句「templated assembly(テンプレート化アセンブリ)」、「templated assembly reaction(テンプレート化アセンブリ反応)」及び「nucleic acid templated assembly(核酸テンプレート化アセンブリ)」は、本明細書では互換的に使用され、及び産物構造、または標的核酸上の構造の合成を指し、そのため、その標的核酸に結合した場合、近接で組み立てられるテンプレート化アセンブリ反応体によって、産物形成が促進され得る。
本明細書で使用する語句「templated assembly ligation product(テンプレート化アセンブリ連結反応産物)」は、1つ以上の核酸テンプレート化アセンブリ反応体の相互作用、結合または反応によって形成される産物構造または構造を指す。
本明細書で使用する語句「templated assembly reactant(テンプレート化アセンブリ反応体)」は、配列に特異的な方法で標的核酸を結合し、テンプレート化アセンブリ反応中に産物形成に参加する、オリゴヌクレオチド配列を指す。
塩、水和物、それらの溶媒和物、または化学修飾を受けた、及び同じ生物活性または生物活性の欠乏、及び/またはテンプレート化アセンブリ反応体として機能する能力、もしくはテンプレート化アセンブリ反応体と調和した方法において機能を維持するその他の分子などの、「derivatives(誘導体)」または「analogs(類似体)」もまた、本明細書に含まれる。
標的化されたテンプレートアセンブリは、特定の核酸配列などの、1つ以上の標的が存在する場合、望ましい化学構造を生み出す。本開示の方法及びキットは、特定の遺伝子テンプレートの同定、解析、または発見を可能にする。本開示の方法及びキットはまた、想定外の毒性を避け、特定の活性を高めるためのテンプレート化アセンブリによって標的化された、特定の核酸配列を同定する。本開示の方法及びキットはさらに、テンプレート化アセンブリに対応して、特定の核酸配列を濃縮及び評価する。標的細胞に固有の核酸配列を同定することによって、テンプレート標的を欠いた正常細胞などの、非標的細胞に対する毒性を誘発することなく、自己破棄、またはその他の細胞による免疫療法破壊などによる直接的な介入を、これら特異細胞に集中することが可能になる。
テンプレート化アセンブリ標的の同定には、テンプレート化アセンブリ反応体を合成すること、テンプレート化アセンブリ反応体を標的核酸に相補的形成をさせること、テンプレート化アセンブリ反応を実行すること、及びそのテンプレート化アセンブリ反応体と相補的形成をした標的核酸を同定すること、に対応した方法及びキットを含むことができる。
本明細書で使用する語句「テンプレート化アセンブリ反応体」は、配列に特異的な方法で標的核酸に結合し、及びテンプレート化アセンブリ反応中での産物形成に参加する、オリゴヌクレオチド配列を指す。このテンプレート化アセンブリ反応体は、オリゴヌクレオチド配列などの、核酸認識モイエティーを含むことができる。米国特許出願番号61/831,133は、その全体を参照として本明細書に組み入れるが、標的化された治療を生み出すための、核酸認識モイエティー、選択的反応モイエティー、及びエフェクター部分モイエティーを含む、標的化されたテンプレート化アセンブリ反応体を開示している。本発明の開示において、当該テンプレート化アセンブリ反応体は、エフェクター部分モイエティーを必要としないが、しかし含んでも良い。標的核酸の同定、解析、または発見は、米国特許出願番号61/831,133に開示されるように、エフェクター機能の産生を必要としないが、それゆえに少なくとも核酸認識モイエティー及び選択的反応モイエティーの存在が、当該テンプレート化アセンブリ反応体に含まれる。いくつかの実施形態において、テンプレート化アセンブリ反応体の第一集団、及び相応するテンプレート化アセンブリ反応体の第二集団が開示され、ここでその第一集団は、その第二集団と比べて、異なるオリゴヌクレオチド配列またはオリゴヌクレオチド配列の異なるライブラリーを含む。いくつかの実施形態において、テンプレート化アセンブリ反応体の第一集団、及び相応するテンプレート化アセンブリ反応体の第二集団が開示され、ここでその第一集団は、その第二集団とは異なる、特定のオリゴヌクレオチド配列及び化学修飾を含む。
オリゴヌクレオチド配列は、当技術分野で公知の複数の方法によって合成されて良い。ヌクレオチドに基づくオリゴヌクレオチド配列は、ホスホラミダイト化学を使用した、溶液または固相において合成されて良い。ペプチド核酸はまた、当技術分野で公知の複数の方法を使用した、溶液または固相において合成されて良い。モルホリノ合成の多様な方法がまた、利用可能であろう。上記オリゴヌクレオチド配列の種類のいずれもが、様々な市販元から完全に合成されて、入手されて良い。
当該オリゴヌクレオチド配列は、核酸または核酸類似体などの、塩基対形成単位の配列を含んで良い。当該オリゴヌクレオチド配列は、複数単位で作られて良く、ここでその単位のいくつかまたは全てが、ワトソン・クリックまたはフーグスティーン塩基対相互作用を形成し、二本鎖または多重鎖構造において、標的核酸に、配列特異的に結合できる塩基である。
語句「nucleic acid(核酸)」は、当技術分野では公知である。本明細書で使用する「nucleic acid(核酸)」は一般に、ヌクレオチドを含む、DNA、RNAまたはそれらの誘導体もしくは類似体の分子(すなわち、らせん構造)を指す。ヌクレオチドには、例えば、DNA(例えば、アデシンの「A」、グアニンの「G」、チミンの「T」、またはシトシンの「C」)、またはRNA(例えば、A、G、ウラシルの「U」またはC)に見出される自然発生のプリンもしくはピリミジン塩基を含む。語句「nucleic acid(核酸)」または「RNA molecule(RNA分子)」は、「nucleic acid(核酸)」の亜属としての用語「oligonucleotide(オリゴヌクレオチド)」及び「polynucleotide(ポリヌクレオチド)」を包含する。
当該オリゴヌクレオチド配列は、DNAヌクレオチド、RNAヌクレオチド、ホスホロチオエート変性ヌクレオチド、2′−O−アルキル化RNAヌクレオチド、ハロゲン化ヌクレオチド、ロック核酸ヌクレオチド (LNA)、ペプチド核酸 (PNA)、モルホリノ核酸類似体(モルホリノ)、プソイドウリジンヌクレオチド、キサンチンヌクレオチド、ヒポキサンチンヌクレオチド、2′−デオキシイノシンヌクレオチド、塩基対形成が可能なその他の核酸類似体、またはそれらの組み合わせであって良い。いくつかの実施形態において、当該オリゴヌクレオチド配列には、核酸を含み、及びmRNA標的に相補的形成を行う。
市販の誘導体塩基が、完全なテンプレート化アセンブリ反応体の合成を促進するために、生体共役反応化学の標準的な技術を使用して、その他のモエイティー上の活性な官能基と共役が可能な、非限定的に、アミン、ヒドラジド、チオール、カルボン酸、イソシアネート、アルデヒドなどの官能基を導入するために、組み込まれて良い。
当該オリゴヌクレオチド配列はまた、特異化された単位に組み込まれ、それらと相互作用または結合して良い。例えば、テンプレート化アセンブリ反応体を使用した場合、オリゴヌクレオチド配列を含んで、生きた細胞または溶解物中などにおける、標準的なDNAまたはRNAを分解する可能性のあるヌクレアーゼの存在下で、核酸耐性塩基を、当該オリゴヌクレオチド配列に組み入れることが望ましいであろう。いくつかの非限定的な例示には、ホスホロチオエート塩基、2′−O−アルキル化または 2′−ハロゲン化RNA塩基、ロック核酸、ペプチド核酸、モルホリノまたはこれらの少なくとも1つを含むキメラを含むことができる。RNaseのH活性に依存するアンチセンスのプローブとは異なり、当該オリゴマーの内部塩基は、標的RNA転写産物のRNaseHの加水分解を誘発しないことが必要である。したがって、当該オリゴヌクレオチド配列におけるいずれの位置においても、RNaseHを誘発する塩基への要求は無い。
当該テンプレート化アセンブリ反応体は、不規則配列または遺伝子特異の配列である、オリゴヌクレオチド配列を含むように、合成され得る。いくつかの実施形態において、当該テンプレート化アセンブリ反応体は、遺伝子特異的なオリゴヌクレオチド配列を介して、標的核酸に結合できる。当該オリゴヌクレオチド配列は、1つ以上の標的核酸に相補的な連続または不連続配列であり得る。語句「target nucleic acid sequence(標的核酸配列)」及び「target nucleic acid(標的核酸)」は、互換的に使用され、及び核酸テンプレート化アセンブリに対応した標的またはテンプレートとして機能することを意図された、配列の単位または核酸を指す。
当該オリゴヌクレオチド配列は、標的核酸上の相補的形成部位に相補性であることによって遺伝子特異的であり得、標的核酸への配列特異的な結合を可能にする。いくつかの実施形態において、当該オリゴヌクレオチド配列は、標的核酸に相補性の、連続した配列である。いくつかの実施形態において、当該オリゴヌクレオチド配列は、その配列が、非標的核酸に存在することが知られている配列と類似していないように選択される。いくつかの実施形態において、当該オリゴヌクレオチド配列には、その標的核酸内に見出される1つ以上の変異を含み、当該テンプレート化アセンブリ反応体の、その標的核酸への特異的な結合を可能にし、しかしその変異を含まない非標的核酸への結合は可能にしない。いくつかの実施形態において、当該オリゴヌクレオチド配列は、ステムループ構造を伴って、標的核酸との望ましい結合の相互作用における可能な改善を伴って合成されて良い。
当該オリゴヌクレオチド配列はまた、不規則配列であり得る。この不規則なオリゴヌクレオチド配列には、不規則配列に前述の塩基対形成する単位または特異化された単位のいずれをも含むことができる。
当該オリゴヌクレオチド配列は、約5から約100のヌクレオチド鎖長であり得る。いくつかの実施形態において、当該不規則または遺伝子特異的な配列は、約5から約100のヌクレオチド鎖長であり得る。当該オリゴヌクレオチド配列は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100のヌクレオチド鎖長のいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、当該オリゴヌクレオチド配列は、約5から約30のヌクレオチド鎖長、約7から約25のヌクレオチド鎖長、または約7から約15のヌクレオチド鎖長であり得る。
当該オリゴヌクレオチド配列は、不規則であるか遺伝子特異であるかにかかわらず、そのオリゴヌクレオチド配列の鎖長のどこにおいても、約5から約100塩基の鎖長を有する標的核酸に、相補的であり得る。いくつかの実施形態において、当該オリゴヌクレオチド配列は、約5から約50塩基鎖長、約5から約40塩基鎖長、または約10から約30塩基鎖長の範囲におけるヌクレオチド配列鎖長を有する標的核酸に、相補的であり得る。
当該オリゴヌクレオチド配列はまた、化学的特性与えるために、最適化され得る。オリゴヌクレオチド配列の鎖長は、その相補的配列の融解及びアニール温度などの、化学的特性に基づいて選択され得る。融解温度、Tmは、所定のオリゴヌクレオチド配列の全ての分子の50%が、二本鎖に相補的形成され、及び50%が、一本鎖として存在する時点での、摂氏で表された温度として定義される。アニール温度は、その融解温度に比べて、一般に5℃低い。
当該オリゴヌクレオチド配列のTmは、当該テンプレート化アセンブリ反応体が使用される条件温度の、約10℃下から約40℃上の範囲であり得る。例えば、仮にテンプレート化アセンブリ反応体が、37℃で使用される場合、そのオリゴヌクレオチドは、27℃から77℃の予想Tmを伴って設計されて良い。いくつかの実施形態において、当該テンプレート化アセンブリ反応体は、おおよそ37℃で使用され得て、及び当該オリゴヌクレオチド配列のTmは、約37℃から約52℃の範囲であるように設計され得る。
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、その標的核酸に結合するためのTmが、類似の非標的核酸に結合するためのTmとは、実質的に異なるように設計され得る。例えば、当該オリゴヌクレオチド配列は、それが結合する標的核酸上の相補的形成部位が、変異部位を含むように設計されて良い。いくつかの実施形態において、当該標的核酸を結合する当該オリゴヌクレオチド配列のTmが、そのテンプレート化アセンブリ反応体が、使用される温度で、または上回っており、一方当該非標的核酸を結合する当該オリゴヌクレオチド配列のTmが、そのテンプレート化アセンブリ反応体が、使用される温度以下である。当該オリゴヌクレオチド配列はその結果、その変異標的配列に結合するが、その非標的、非変異配列には結合しないであろう。
当該オリゴヌクレオチド配列のTmは、当該テンプレート化アセンブリ反応体が使用される条件温度の、約10℃下から約40℃上の範囲であり得る。例えば、仮にテンプレート化アセンブリ反応体が、37℃で使用される場合、そのオリゴヌクレオチド配列は、27℃から77℃の予想Tmを伴って設計されて良い。いくつかの実施形態において、当該テンプレート化アセンブリ反応体は、おおよそ37℃で使用され得て、及び当該オリゴヌクレオチド配列のTmは、約37℃から約52℃の範囲であるように設計され得る。
当該テンプレート化アセンブリ反応体はまた、当該オリゴヌクレオチド配列に隣接する、5′及び/または3′プライミング部位を含むことができる。このプライミング部位は、当該オリゴヌクレオチド配列に直接的に隣接することができ、またはリンカー配列によって、そのオリゴヌクレオチド配列から離され得る。本分野で通常使用されるプライマー配列が、含まれ得る。そのような例示には、非限定的に、M13、T3、T7、SP6、VF2、VR、それらの修飾型、それらの相補的配列、及びそれらの逆配列を含んで良い。さらに、カスタムプライマー配列もまた、含まれる。
当該テンプレート化アセンブリ反応体はまた、リンカーまたはスペーサーなどの中間体を含むことができる。このリンカーは、1から50ヌクレオチド鎖長の範囲にある追加のオリゴヌクレオチド配列であり得る。このリンカーはまた、ペプチド、ペプチド模倣構造体の非活性部分、薬剤の非活性部分、または20kDa未満であるその他の生理活性化合物であり得る。リンカーは、分岐状のまたは非分岐状の共有結合した分子鎖から構成されて良い。いくつかの実施形態において、当該リンカーは、少なくとも6炭素原子のスペーサーである。
当該テンプレート化アセンブリ反応体はまた、選択的反応モイエティーなどの、テンプレート化アセンブリ反応において活性なオリゴヌクレオチドに隣接する、修飾を含むことができる。テンプレート化アセンブリ反応に対するそのような修飾は、米国特許出願番号61/831,133に開示されており、その全体を参照として、本明細書に組み入れる。いくつかの実施形態において、当該修飾は、当該オリゴヌクレオチド配列に隣接している。本明細書で使用する「flanking sequence(隣接配列)」は、例えば、1から5の塩基対内、または近接内から、例えば、5から20の塩基対内の、そのオリゴヌクレオチド配列のすぐそばの領域を指し得る。
当該修飾は、生物学的には不活性であり得る。特に、1つのオリゴヌクレオチド配列上の修飾は、他のオリゴヌクレオチド配列上の相応する修飾と、容易に相互作用できるが、しかし自然な生体分子とは、容易には相互作用しないであろう。この点が、相応するテンプレート化アセンブリ反応体が組み立てられた場合に、当該テンプレート化アセンブリ反応が形成されることを保証することである。これは、その環境に発生した非特異的な反応に対する予防対策でもあり、及び意図しない産物の形成を防ぐ。
選択的反応モイエティー、テンプレート化アセンブリ反応における反応性に対応した修飾の例示には、バイオオルソゴナル反応モイエティーの添加を含むことができる。このバイオオルソゴナル反応モイエティーには、アジドとアルキン間の「click(クリック)」 反応、アジドとホスフィン間のトレースレスまたは非トレースレスのシュタウディンガー反応、チオエステルとチオール間の天然の化学連結反応を受けることができるそれらの基を、含むことができる。さらに、このバイオオルソゴナルモイエティーには、アジド、シクロオクチン、ニトロン、ノルボルネン、オキサノルボルナジエン、ホスフィン、ジアルキルホスフィン、トリアルキルホスフィン、ホスフィノチオール、ホスフィノフェノール、シクロオクテン、ニトリル酸化物、チオエステル、テトラジン、イソニトリル、テトラゾール、クアドリシクラン、及びそれらの誘導体のいずれでもあり得る。
いくつかの実施形態において、テンプレート化アセンブリ反応体の第一集団及びテンプレート化アセンブリ反応体の第二集団を開示する。この第一集団には、1つの修飾を含むことができ、及びこの第二集団には、相応する修飾を含むことができる。例えば、当該第一集団には、そのテンプレート化アセンブリ反応体上にアジドを含むことがき、当該第二集団には、そのテンプレート化アセンブリ反応体上にアルキンを含むことでき、そのため当該第一及び第二集団は、連結反応産物を生み出すためのクリック反応において、反応することができる。
テンプレート化アセンブリ反応における反応性に対応する複数修飾は、本明細書に開示の方法及びキットにおいて使用され得て、いくつかの非限定的な例示には、以下が含まれる。
アジド−アルキン「Click Chemistry(クリック化学)」を含み、クリック化学は、典型的な条件下の普通の生体分子との、アジドでもアルキンでもない反応として、非常に選択的である。R−N
3形態のアジド、及びR−C≡CH形態の末端アルキンまたはR−C≡C−R形態の内部アルキンは、互いに容易に反応し、1,2,3−トリアゾールの形態で、Huisgen(ヒュスゲン)環化付加反応産物を生み出す。
アジドに基づくテンプレート化アセンブリ反応体は、その二次構造:R−N3を有し、ここでRは、化学リンカー、核酸認識モイエティー、またはエフェクター部分モイエティーである。アジド及びアジド誘導体は、市販の試薬から、容易に調合される。
アジドはまた、エフェクター部分モイエティーの合成中に、そのエフェクター部分モイエティーに導入され得る。いくつかの実施形態において、アジド基は、標準的なペプチド合成法を使用した、エフェクター部分モイエティーペプチドの合成中に、市販のアジド誘導の標準アミノ酸またはアミノ酸類似体の組み込みによって、ペプチドから成るエフェクター部分モイエティーに導入される。アミノ酸は、α−アミノ基をアジドで置換して誘導されて良く、以下の形態の構造を有する。
ここでRは、標準的なアミノ酸または非標準的なアミノ酸類似体の側鎖である。
市販製品には、アミノ酸側鎖としてのアジドを官能基として導入でき、以下の形態の構造をもたらす。
ここでAは、標準的なアミノ酸または非標準的なアミノ酸類似体の側鎖における、任意の原子及びその置換基である。
アジドはまた、ジアゾ再配列法により、ペプチド上のアミノ基をアジドに転換することによって、合成後のエフェクター部分モイエティーペプチドに導入されて良い。生体共役反応化学もまた、市販の誘導アジドを化学リンカー、核酸認識モイエティー、または適切な反応基を含むエフェクター部分モイエティーに結合するために使用できる。
標準的なアルキンは、アジドの組み込みと同様の方法で、テンプレート化アセンブリ反応体に組み込むことができる。アルキン官能化ヌクレオチド類似体は、市販されており、核酸認識モイエティーの合成時に、アルキン基の直接的な組み込みを可能にする。同様に、アルキン誘導アミノ酸類似体は、標準的なペプチド合成法によって、エフェクター部分モイエティーに組み込まれて良い。さらに、生体共役反応化学と互換的な、多官能性アルキンは、適切な官能基または側鎖を介して、その他のモイエティーへのアルキンの組み込みを促進するために使用されて良い。
アジド活性化アルキン「クリック化学」:標準的なアジド−アルキン化学反応は、通常は銅(I)などの触媒を必要とする。触媒濃度での銅(I)は、多数の生態系に有毒であり、標準的なアジドーアルキン化学反応は、生きた細胞への使用には限界がある。活性化アルキンに基づく銅を含まないクリック化学システムは、有毒触媒を回避する。
活性化アルキンはしばしば、シクロオクチンの形態をとり、ここでそのシクロオクチル基への組み込みは、そのアルキンに環状ひずみを持ち込む。
ヘテロ原子または置換基は、そのシオクロオクチル環の多様な位置に組み込まれて良く、そのアルキンの反応性を変化させ、またはその化合物にその他の代替の化学的性質を与える。当該環の多様な位置はまた、当該シクロオクチンの核酸テンプレート化アセンブリモイエティーまたはリンカーへの結合に対する、接合点としての役割を果たす。当該環のこれらの位置またはその置換基は、任意でさらに、アクセサリー基で誘導される。
複数のシクロオクチンが、標準的な生体共役反応化学のプロトコルでの使用に適した複数の誘導体型を含んで、市販されている。市販のシクロオクチン誘導ヌクレオチドは、核酸認識モイエティーの合成中に、その選択的反応モイエティーの簡便な組み込みを促進させるように援助できる。
シクロオクチン−アジドに基づくバイオオルソゴナル化学は、以下の一般構造のテンプレート化アセンブリ産物を生み出す。
アジド−ホスフィノフェノール・シュタウディンガー化学:アジドとホスフィンまたはN2を欠いた亜リン酸塩との間の急速反応に基づく、シュタウディンガー還元もまた、バイオオルソゴナル反応を代表する。シュタウディンガー反応において、共有結合がその反応体間で形成される、シュタウディンガー連結反応は、核酸テンプレート化アセンブリにおける使用に適している。そのシュタウディンガー連結反応の非トレースレス及びトレースレスの両方において、それらの反応で形成される産物の化学構造に、任意の多様化が可能である。
非トレースレス・シュタウディンガー連結反応:標準的なシュタウディンガー連結反応は、アジドと、トリフェニルホスフィンなどのフェニル置換ホスフィンとの間の非トレースレス反応であり、ここでメチルエステルなどの、そのホスフィン上の求電子的捕獲の置換基は、ホスフィンオキシドによって連結された連結反応産物を生み出すために、その反応のアザ−イリド中間体で再配列する。テンプレート化アセンブリ反応体A及びBによって形成されるシュタウディンガー連結反応産物の例示は、以下の構造を有して良い。
求電子的捕獲を行うフェニル置換ホスフィンはまた、容易に合成され得る。誘導体型は、商業的に入手可能であり、及びテンプレート化アセンブリ反応体に組み入れるのに適している。
トレースレス・シュタウディンガー連結反応:いくつかの実施形態において、トレースレス・シュタウディンガー連結反応が可能なホスフィンは、選択的反応モイエティーとして利用して良い。トレースレス反応において、そのホスフィンは、アザ−リド中間体の再配列中に、遊離基として作用し、通常は自然なアミド結合の形態で、連結反応を作る。トレースレス・シュタウディンガー連結反応が可能な化合物は一般に、チオエステル誘導のホスフィンまたはエステル誘導のホスフィンの形態をとる。
トレースレス・シュタウディンガー連結反応に対応する、エステル誘導ホスフィンである。
トレースレス・シュタウディンガー連結反応に対応する、チオエステル誘導ホスフィンである。
化学リンカーまたはアクセサリー基は、上記構造のR基へ、置換基として任意で結合されて良く、核酸認識モイエティーまたはその反応体への追加の官能性の導入に対応する、結合点を与える。
トレースレス・ホスフィノフェノール・シュタウディンガー連結反応:非トレースレス・シュタウディンガー・フェニルホスフィン化合物との比較で、トレースレス・ホスフィノフェノール上の求電子的捕獲エステルの配向性は、そのフェニル基に対して逆である。これは、アジドとの反応を引き起こす、トレースレス・シュタウディンガー連結反応を可能にし、ホスフィンオキシドを含有せずに、その産物に自然なアミド結合を生み出す。
このトレースレス・シュタウディンガー連結反応は、仮に第四級アミンなどの、適切な親水性基が、そのフェニルホスフィンに結合されるならば、有機性の共溶媒を含まない水媒体中で、実施されて良い。Weisbord及びMarx(2010)による文献は、水溶性ホスフィノフェノールの調合を記述しており、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、またはジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)などのエステル賦活剤などのカルボジイミドを使用した、温和なSteglich(シュテークリヒ)・エステル化を介して、カルボン酸(ペプチドのC末端など)を含む、望ましいエフェクター部分モイエティーを持たせることができる。このアプローチは、以下の形態のテンプレート化アセンブリ反応体の合成を促進する。
水溶性ホスフィノフェノールに基づく、トレースレス・テンプレート化アセンブリ反応体構造である。
トレースレス・ホスフィノメタンチオール・シュタウディンガー連結反応:ホスフィノメタンチオールは、トレースレス・シュタウディンガー連結反応を介在するホスフィノフェノールの代替品を代表する。一般に、ホスフィノメタンチオールは、トレースレス・シュタウディンガー連結反応の介在において、ホスフィノフェノールと比較して、良好な反応動力学を有する。米国特許出願番号2010/0048866及びTam et al.(2007)による文献は、以下の形態の水溶性ホスフィノメタンチオールを記述している。
これらの化合物は、トレースレス・バイオオルソゴナル反応基としての使用に適したチオエステルを形成するために、活性化エステルの形態で、ペプチドまたはその他の搭載物質を含んで良い。
水溶性ホスフィノメタンチオール・トレースレス・シュタウディンガーバイオオルソゴナル化学に基づく、テンプレート化アセンブリ反応体構造である。
ネイティブ化学連結反応:ネイティブ化学連結反応は、チオエステルとチオール及びアミンを有する化合物との間の反応に基づく、バイオオーソゴナルなアプローチである。この古典的なネイティブ化学連結反応は、以下のように、C末端チオエステルを有するペプチドとN末端システインを有する別のペプチドとの間の反応である。
ネイティブ化学連結反応は、ペプチド、または内部システイン残基もしくは仮に非標準アミノ酸を利用する場合には、その他のチオール含有残基を含む、ペプチド模倣体を産生するトレースレス反応を介在するために利用されて良い。
N末端システインは、標準的なアミノ酸合成法によって組み込まれて良い。末端チオエステルは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などの試薬を使用した、チオールを伴う活性エステルの濃縮、または「Safety−Catch(安全捕捉)」支持レジンの使用を介した、ペプチド合成中での導入を含む、当技術分野で公知の複数の方法によって生み出されて良い。
その他のテンプレート化アセンブリ反応モイエティー:任意の適切なバイオオルソゴナル反応化学が、それが、複雑な生物環境において、高度に選択的な方法で、効果的に反応に介在する限り、テンプレート化アセンブリ反応体の合成に利用されて良い。適切であろう互換的なバイオオルソゴナル化学の、最近開発された非限定的な例示は、水媒体中でバイオオルソゴナル反応を効果的に介在する、テトラジンとノルボルネン及びトランス−シクロオクテンなどの多様なアルキンとの間の反応である。
いくつかの実施形態において、当該テンプレート化アセンブリ反応体はまた、一組の相応するテンプレート化アセンブリ反応体が、テンプレート化アセンブリ反応に関与する場合などに、エフェクター部分モイエティーを含むことができ、活性なエフェクター産物が、生み出され得る。このエフェクター部分モイエティーは、一組の相応するテンプレート化アセンブリ反応体が、テンプレート化反応に関与する場合などに、活性エフェクター構造の一部分であり得て、それらのエフェクター部分モイエティーは、組み合わされ、そのテンプレート化アセンブリ連結反応産物において、望ましい活性エフェクター構造を生み出す。したがって、当該エフェクター部分モイエティーは、当該活性エフェクター構造の化学構造に寄与する。当該エフェクター部分モイエティーは、当該テンプレート化アセンブリ反応体の個別部分であり得る、または当該核酸認識モイエティーの一部分または全部、もしくは当該選択的反応モイエティーの一部分または全部を含んで良い。語句「active effector structure(活性エフェクター構造)」及び「effector structure(エフェクター構造)」は、本明細書では互換的に使用され、及び望ましい効果を引き出すテンプレート化アセンブリ産物の活性部分を指す。
当該エフェクター部分構造は、その活性エフェクター構造に関連する、標的化された活性またはあるレベルの活性を保持していない。いくつかの実施形態において、当該エフェクター部分モイエティーは、その活性エフェクター構造に比べて、実質的に不活性である。いくつかの実施形態において、個別のエフェクター部分モイエティーは、別々の活性を保持することができるが、しかしそのエフェクター部分モイエティーが共に結合して、それらが個別には保持していない活性を作り出す。例えば、2つの異なる抗体を結合する(1つのエフェクター部分構造に、各々結合する)、二価のエフェクター構造は、例えば、診断評価に対応した、サンドイッチELISAにおける検出に対して適切なエフェクターを作る。いくつかの実施形態において、当該エフェクター部分モイエティーは共に、発光などの、テンプレート化アセンブリ反応を検出できる、シグナルを作り出す。
テンプレート化アセンブリ標的の同定には、そのテンプレート化アセンブリ反応体の標的核酸への相補的形成を含むことができる。
対象となる供給源からの、DNAまたはRNAなどの核酸は、そのオリゴヌクレオチド配列を選択的に結合する、当該テンプレート化アセンブリ反応体と相補的形成を行うことができる。標的核酸は、標準的なワトソン・クリック、ヒュスゲンまたは逆ヒュスゲン結合の相補的基準に従うオリゴヌクレチドとの塩基対形成が可能の場合、そのオリゴヌクレチドに対して「complement(s)(相補体(複数可))」であり、またはそれに対して「complementary(相補性)」である。
本明細書で使用する用語「complementary(相補性)」及び「complement(s)(相補体(複数可))」は、仮に全てのヌクレオチドが、相手のヌクレオチドと塩基対を組むわけではない場合でも、連続、半連続または不連続のヌクレオチドの可能性がある、標的核酸の一本鎖または二本鎖と相補的形成が可能な、連続したまたは半連続のヌクレオチド(例えば、1つ以上のヌクレオチドモイエティーが、その分子に存在しない)の配列を含む、オリゴヌクレチドを指す。いくつかの実施形態において、「complementary(相補性)」核酸は、そのオリゴヌクレオチド配列の約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%まで、及びそれらから誘導可能な任意の範囲が、相補的形成時に、一本鎖または二本鎖の標的核酸と塩基対形成が可能である、配列を含む。いくつかの実施形態において、用語「complementary(相補性)」は、厳密な条件下で、標的核酸の一本鎖または二本鎖と、相補的形成が可能であるオリゴヌクレチドを指し、そのことは、当業者には理解されよう。
いくつかの実施形態において、「partly complementary(部分相補性の)」核酸には、厳密ではない条件下で、一本鎖または二本鎖の核酸へ相補的形成が可能な配列を含み、またはそのヌクレオチド配列の約70%が、相補的形成時に、一本鎖または二本鎖の核酸と塩基対の形成が可能である配列を含む。
相補的形成に先立って、核酸テンプレート化反応体へ修飾されたオリゴヌクレチドは、一時的な熱変成ステップ(2分/80℃)に供せられる。このサンプルは、相補的なオリゴヌクレオチドにより、標的核酸の利用可能な経路への相補的形成を実行する条件に、暴露される。
任意の核酸は、少なくともいくつかの配列情報が利用可能であり、そのオリゴヌクレオチドに直接または間接に結合するのに十分に与えられた、核酸テンプレート化アセンブリに対して、利用可能な標的核酸であり得る。核酸認識モイエティー単位のいくつかの非限定的な例示には、オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸オリゴマー、及びモルホリノオリゴマーを含むことができる。標的核酸配列またはオリゴヌクレオチドのいくつかの非限定的な例示には、mRNA、ゲノムまたはオルガネラDNA、エピソームまたはプラスミドDNA、ウイルスDNAまたはRNA、miRNA、rRNA、snRNA、tRNA、または任意のその他の生物学的もしくは人工的核酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、当該標的核酸は、標的コンパートメント中に存在できるが、非標的コンパートメント中には存在しない。この実施形態の例示には、病原性または疾患細胞に存在するが、しかし健康な細胞には存在しない核酸配列を含む。本明細書で使用する語句「pathogenic cell(病原性細胞)」は、ウイルスに感染した細胞、腫瘍細胞、及び微生物に感染した細胞などの、病気のまたは異常な状態を引き起こすもしくは促進することが可能な細胞を指す。
任意の細胞、ウイルス、組織、空間領域、溶解物、または標的核酸を含むサンプルのその他の二次成分が、当該標的核酸を提供できる。当該標的核酸を含む標的コンパートメントには、非限定的に、病原性細胞、がん細胞、ウイルス、ウイルスや他の病原体に感染した宿主細胞、または適応もしくは先天的免疫系の細胞などの自己免疫、移植拒絶反応、またはアレルギー反応に寄与している免疫系の細胞を含むことができる。いくつかの実施形態において、標的核酸は、ウイルスまたはウイルスに感染した細胞に存在できるが、健康な細胞には存在しない。ウイルスのいくつかの非限定的な例示には、DNAウイルス、RNAウイルス、または逆転写ウイルスを含むことができる。いくつかの実施形態において、標的核酸は、腫瘍またはがん細胞に存在できるが、健康な細胞には存在しない。がんのいくつかの非限定的な例示には、ヒト乳頭腫ウイルス、Epstein−Barr(エプスタイン・バール)ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトTリンパ好性ウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、及びカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスなどの腫瘍ウイルスによって引き起こされるものを含むことができる。いくつかの実施形態において、標的核酸は、感染体または微生物、もしくは感染体または微生物に感染した細胞に存在できるが、健康な細胞には存在しない。感染体または微生物のいくつかの非限定的な例示には、ウイルス、細菌、菌類、原生生物、プリオン、または真核生物寄生虫を含むことができる。
標的核酸配列はまた、断片、がん遺伝子、突然変異遺伝子、腫瘍ウイルス遺伝子などの遺伝子の部分または一部、ウイルス核酸配列、微生物核酸配列、特異的発現遺伝子及びその核酸遺伝子産物であり得る。
ウイルス特異の標的核酸のいくつかの非限定的な例示には、DNAウイルス、RNAウイルス、または逆転写ウイルスに存在する配列を含むことができる。がん特異の核酸のいくつかの非限定的な例示には、非限定的にヒト乳頭腫ウイルス、エプスタイン・バールウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトTリンパ好性ウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、及びカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスを含む、オンコウイルスから誘導される配列を含むことができる。がん特異の標的核酸の例示には、変異ras、HRAS、KRAS、NRAS、BRAF、EGFR、FLT1、FLT4、KDR、PDGFRA、PDGFRB、ABL1、PDGFB、MYC、CCND1、CDK2、CDK4、またはSRC遺伝子などの変異型がん遺伝子、TP53、TP63、TP73、MDM1、MDM2、ATM、RB1、RBL1、RBL2、PTEN、APC、DCC、WT1、IRF1、CDK2AP1、CDKN1A、CDKN1B、CDKN2A、TRIM3、BRCA1、またはBRCA2遺伝子などの変異型腫瘍抑制遺伝子、及びがん細胞に発現する遺伝子を含むことができ、ここでその遺伝子は、変異していなくとも、または遺伝子組み換えが行われていても良いが、がん胎児性抗原などの投与の時点で、サンプルの健康細胞に発現はしない。
当該標的核酸は、当該テンプレート化アセンブリ反応体のオリゴヌクレオチドの、その標的核酸への相補的形成の前に、取得され得る。当該標的核酸はさらに、細胞集団、腫瘍、または臓器などの標的サンプルから単離され得る。当該標的核酸はまた、細胞全体の溶解物に存在し得て、及びその他の細胞物質を分離または単離することができる。いくつかの実施形態において、当該標的核酸の自然な二次構造は、相補的形成の前に維持されている。
いくつかの実施形態において、当該標的核酸は、その標的コンパートメント中に、非標的コンパートメントと比べて、異なる量または濃度で存在できる。例示には、非限定的に、myc、テロメラーゼ、HER2、またはサイクリン依存キナーゼなどの、健康細胞に比べてがん細胞中に異なるレベルで発現された遺伝子を含むことができる。いくつかの実施形態において、当該標的核酸の配列は、標的対非標的コンパートメントにおいて、少なくとも1.5倍または2倍異なって特異的に発現された遺伝子であり得る。これらのいくつかの例示には、非限定的に、標的RNA分子が、免疫グロブリンイプシロン重鎖配列を含む、タイプIアレルギー反応の介在に関連する遺伝子、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)タンパク質様プロインスリン誘導ペプチド、及び糖尿病誘発のCD8+T細胞から誘導される、αまたはβ可変領域を含む、クローン的に特異なmRNAとの関連で、自己抗原を認識する特異的T細胞受容体(TCR)などの、T細胞二次集団に発現した遺伝子、非限定的にTNF−アルファ、TNF−ベータ、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、IL−15、IL−17、IL−18、IL−21、IL−22、IL−27、IL−31、IFN−ガンマ、OSM、及びLIFを含む、炎症反応の悪化を通して、その産生が、有害な結果をもたらすサイトカイン、を含むことができる。
いくつかの実施形態において、標的核酸は、標的コンパートメント及び非標的コンパートメントの許容される二次グループに存在するが、非標的コンパートメントの異なるまたは個別の二次グループには存在しない。いくつかの非限定的な例示には、がん−精巣抗原、サバイビン、前立腺特異的抗原、がん胎児性抗原(CEA)、アルファ−フェトプロテイン、及びその他のがん−胎児たんぱく質などの、がん細胞及び健康細胞の限定された部類に発現した遺伝子を含むことができる。また、多数の組織及び臓器は、重篤な疾患に直面して、健康な生活にとって不可欠ではない。例えば、Melan−A/MART−1及びgp100などのメラニン細胞抗原は、正常なメラニン細胞と同様に、多数の悪性黒色腫に発現し、及びこれらの抗原を標的とする治療は、腫瘍及び正常なメラニン細胞の両方を破壊でき、白斑をもたらすが、しかし主要な腫瘍の減少をももたらす。同様に、精巣、卵巣、子宮などの生殖器官は、これら器官に腫瘍が発生した場合、外科的に除去され、乳房及び前立腺などの関連機関も同様に、標的となる可能性があり、及びこれら器官の正常細胞の破壊も、治療の許容範囲の結果となるであろう。さらに、チロキシン及びインスリンなどのホルモンを産生するいくつかの細胞は、関連するペプチドまたはタンパク質と置き換えられ得て、これら器官の腫瘍の存在下にあるかもしれない正常細胞の潜在的標的化を可能にしてしまう。
標的核酸は、また、従来同定されていない、新規の配列を含むことができる。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のサンプルは、そのサンプルの遺伝子構成を決定するために、次世代配列解析、全トランスクリプトーム(RNA−seq)または全ゲノム配列解析、マイクロアレイプロファイリング、遺伝子発現(SAGE)のシリアル解析などの配列解析によって評価され得る。標的核酸配列は、標的コンパートメントにそれらが存在するものとして、非標的コンパートメントには存在しないものとして、または非標的コンパートメントに比べて、標的コンパートメントに異なる量もしくは濃度で存在するものとして同定され得る。この方法によって同定される配列はしたがって、標的核酸としての役割を果たすことができる。
当該テンプレート化アセンブリ反応体のオリゴヌクレオチド配列は、厳密性を変えた相補的形成の条件下で、相補的形成を行うことができる。語句「hybridization conditions(相補的形成条件)」は、そのオリゴヌクレオチドが、通常は、全細胞溶解物などの、核酸の複雑な混合物における、その標的核酸と相補的形成をするが、その他の配列とは相補的形成をしない条件を指す。相補的形成条件は、配列依存であり、及び異なる環境においては、相違するであろう。より長い配列は、特により高い温度で相補的形成を行う。核酸の相補的形成に対応した詳細な手引きは、Tijssen,Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridisation with Nucleic Probes,“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays”(1993)に、見出される。一般に、相補的形成条件は、定められたイオン強度のpHで、特定配列に対する熱溶解温度(Tm)より約5〜10℃低く選択される。このTmは、その標的に対して相補的であるオリゴヌクレチドの50%が、平衡状態(その標的核酸が過剰に存在し、Tmで、そのプローブの50%が、平衡状態になっている)で、その標的核酸に相補的形成を行う温度(定められたイオン強度、pH、及び核濃度下における)である。
オリゴヌクレチドを伴うテンプレート化アセンブリ反応体は、相補的形成時の過剰な標的核酸中に存在できる。いくつかの実施形態において、当該オリゴヌクレオチドは、約10〜100倍過剰な標的核酸中に存在できる。当該オリゴヌクレオチドは、約5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、100倍、125倍、150倍、200倍、300倍、またはその間の任意の量で過剰な標的核酸中に存在できる。
標的テンプレートに対して、過剰なオリゴヌクレオチド配列(エフェクター部分)を伴うテンプレート化アセンブリ反応体が許容される一方で、その逆の状況(過剰な標的テンプレート)は、テンプレート化アセンブリの効果を減らす可能性がある。この「template titration(テンプレート漸増)効果は、RNA標的分子内の適切な特定部位の同定と同様に、テンプレートレベルの量が、非常に有用であることを示す。RNA標的の非常に低いレベルもまた、テンプレート化アセンブリの応用の観点からは、非生産的である可能性がある。したがって、標的部位への接近の効果を含む、定常状態のテンプレートレベル及びその他の要因によって影響される、特定テンプレートに対する理想的な範囲が存在して良い。
相補的形成条件は、その塩濃度が、約1.0Mのナトリウムイオン濃度未満で、通常は、pH7.0から8.3で、約0.01から1.0Mのナトリウムイオン濃度(またはその他の塩)であり、及びその温度が、短いプローブ(例えば、10から50ヌクレオチド)に対しては少なくとも約30℃、及び長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドを上回る)に対しては少なくとも約60℃であるような条件であり得る。相補的形成条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加で達成されて良い。選択的または特定の相補的形成に対しては、陽性シグナルは、少なくとも2回のバックグラウンドでの、任意で10回のバックグラウンドの相補的形成である。例示的な相補的形成、相補的形成条件は、65℃での0.2倍SSC及び0.1%SDS中での洗浄を伴った、50%ホルムアミド、5倍SSC、及び1%SDSを使用した42℃での培養、または5倍SSC、1%SDSを使用した65℃での培養の条件であり得る。そのような相補的形成及び洗浄ステップは、例えば、5、10、15、30、60、90分間、またはそれ以上の時間で実行され得る。例示的な実施形態において、そのような相補的形成及び洗浄ステップは、2〜16時間の間に実行され得る。
過剰な非結合のテンプレート化アセンブリ反応体はまた、相補的形成後に除去され得る。この結合していないテンプレート化アセンブリ反応体は、非限定的に、酵素消化、限外濾過、またはゲルサイズ−排除クロマトグラフィーなどの、当技術分野で通常使用される方法によって、除去され得る。
相補的形成はまた、連続して実行され得る。いくつかの実施形態において、テンプレート化アセンブリ反応体の第一集団は、標的核酸に相補的形成が行われる。その第一集団の過剰な非結合のテンプレート化アセンブリ反応体は、除去され得る。次いで、相応するテンプレート化アセンブリ反応体の第二集団が、その第一集団が相補的形成をされている標的核酸に、相補的形成が行われる。その第二集団の過剰な非結合のテンプレート化アセンブリ反応体は、除去され得る。
核酸テンプレート化アセンブリは、テンプレート化アセンブリ連結反応産物を生み出すために、2つ以上のテンプレート化アセンブリ反応体を、近接位に持ち込む。本明細書で使用する語句「templated assembly ligation product(テンプレート化アセンブリ連結反応産物)」は、1つ以上の核酸テンプレート化アセンブリ反応体の相互作用、結合または反応によって形成された、産物構造または構造を指す。テンプレート化アセンブリ連結反応産物は、望ましい生物活性を産生することができる、活性エフェクター産物を含んで良い。テンプレート化アセンブリ連結反応産物の形成は、標的核酸を伴う相補的形成及びアニーリングなどの結合相互作用を介した、位置及び/または方向特異的な方法で組み立てられた、個別のテンプレート化アセンブリ反応体によって、促進される。テンプレート化アセンブリ反応に関与するために、単一の標的テンプレート上で一体となるテンプレート化アセンブリ反応体を、本明細書では「set of corresponding reactants(一組の相応する反応体)」または「corresponding templated assembly reactants(相応するテンプレート化アセンブリ反応体)」と呼ぶ。一組の相応するテンプレート化アセンブリ反応体は、核酸標的テンプレートの空間的近接位へ、配列特異の方法で結合し、及び活性エフェクター構造を含んだ、テンプレート化アセンブリ連結反応産物を生み出すために、互いに容易に反応する。
当該テンプレート化アセンブリ反応は、非限定的に、クリック化学反応、シュタウディンガー化学、非トレースレス・シュタウディンガー連結反応、トレースレス・シュタウディンガー連結反応、ネイティブ化学連結反応、及びその他のテンプレートアセンブリ反応などの反応であり得る。いくつかの実施形態において、当該テンプレート化アセンブリ反応は、トレースレス・ホスフィノフェノール・シュタウディンガー連結反応、またはトレースレス・ホスフィノメタンチオール・シュタウディンガー連結反応のいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、クリック反応が、実施できる。
テンプレート化アセンブリ反応はさらに、米国特許出願番号61/831,133に開示され、その全体を、参照として、本明細書に組み入れる。
過剰な非結合テンプレート化アセンブリ反応体はまた、テンプレート化アセンブリ後に除去され得る。当該非結合テンプレート化アセンブリ反応体は、非限定的に、酵素消化、限外濾過、またはゲルサイズ−排除クロマトグラフィーなどの、当技術分野で通常使用される方法によって、除去され得る。
当該標的核酸の同定には、反応または未反応のテンプレート化アセンブリ反応体を増幅すること、反応または未反応のテンプレート化アセンブリ反応体の選択的開裂、未反応のテンプレート化アセンブリ反応体から、反応したテンプレート化アセンブリ反応体を、微小コンパートメント化すること、及びテンプレート化アセンブリ反応体からオリゴヌクレオチドを配列解析することの、任意のものまたはそれらの組み合わせを含むことができる。
当該標的核酸の同定は、その特定オリゴヌクレオチドによって運ばれたプライミング部位と相補的なプライマーを伴って、相補的に反応したテンプレート化アセンブリ(CLOSE)反応体の増幅によって、実施できる。トリアゾール産物の形成を伴った、特定のテンプレート化アセンブリ反応を介した、化学的に結合された一対のテンプレート化アセンブリ反応体(各々が別々に修飾されたものからの一対)だけが、PCRによって、その反応体間で産生された、特定連結の効力によって潜在的に増幅可能である。
標的RNA配列内で連続している、テンプレート化アセンブリに対応したエフェクター部分サイトに加えて、非連続(不連続)標的部位も、もしそれらが、折り畳まれたRNAの二次構造、またはその他の高次の構造的配置によって、空間的近接に持ち込まれるならば、効果的である。そのような二次構造的モチーフの非限定的な例示には、ステムループ、ループ内の内部サイト、及び偽結節を含む。
当該テンプレート化アセンブリ反応体からのオリゴヌクレオチドは、空間的近接の方法で、標的核酸と相補的形成を行うことは可能だが、増幅可能なテンプレート化アセンブリ反応連結を促進することはできない。これは、その相補的形成が、非生物学的に増幅が可能な5′−5′または3′−3′末端を並置する場合、もしくはそのテンプレート化アセンブリ反応体の5′−及び3′−修飾末端間でのテンプレート化アセンブリ反応が、そのサイズまたは構造がポリメラーゼと互換的ではない産物をもたらす場合に、発生する。
その反応したテンプレート化アセンブリ反応体、または反応した産物の開裂もまた、実施され得る。未反応産物に対する反応産物の制限消化には、プライマー部位またはそのオリゴヌクレオチド配列に隣接したリンカー配列に人工的に組み入れられた部位を利用できる。反応及び未反応産物もまた、メチル化に特異的な酵素によって、差別化され得る。いくつかの実施形態において、5−メチルシトシンのヘミメチル化に感受性のある開裂酵素が、使用できる。いくつかの実施形態において、その反応産物は、ポリメラーゼ伸長を介して、二本鎖に作られ得る。その結果得られる二本鎖は、そのプライマー部位またはリンカー配列における制限部位を認識する酵素で、開裂され得る。
その開裂された反応産物もまた、近接で相補的形成された配列間での連結情報を保持するために、酵素的に連結反応され得、増幅が可能であり得る。
生体外のコンパートメント化もまた、未反応鎖を個別的に単離されたコンパートメントに封じ込め、誤った増幅シグナル(元のテンプレート化アセンブリ反応体からもたらされていないシグナル)を与えるかもしれない、その他の未反応鎖との連結反応または反応を防ぐことによって、未反応のテンプレート化アセンブリ反応体から、テンプレート化アセンブリ反応の連結産物を単離するために利用できる。
これらの条件は、任意の混和溶液の適切な組み合わせから作り出されるエマルジョンを形成することによって、達成が可能である。親水性溶媒は、ミクロまたはコロイドサイズの「aqueous(水性)」液滴を形成する。「Droplets(液滴)」はまた、本明細書では「microcompartments(微小コンパートメント)」と呼ばれる。コロイド中の水性液滴は、エマルジョンの形成に適した任意の親水性物質から形成され得て、安定形態において、生化学成分を含み、及び望ましい反応が引き起こされる環境を与える。
このエマルジョンは、1つ以上の界面活性試薬(界面活性剤)の添加によって、安定化されて良い。これらの界面活性剤は、乳化剤と呼ばれ、及び層の分離を防ぐ(または少なくとも遅らせる)ために、親水性/疎水性界面で作用する。オイル及び多数の乳化剤などの、多数の疎水性溶液が、二相エマルジョンの生成に利用され得て、最近の集大成では、16,000を超える界面活性剤が網羅されており、その中の多数が、乳化剤として使用され(Ash,M.and Ash,I.Handbook of industrial surfactants.Gower Publishing Ltd:Aldershot,Hampshire,UK (1993)、and Schick,Nonionic surfactants.Marcel Dekker:N.Y.(1996))、ソルビタンモノオレート(SPAN(商標)80、ICI))、及びポリオキシエチレンソルビタン(TWEEN(商標)80、ICI))などがある。
当該オリゴヌクレオチドの配列は、非限定的に、化学分解法(A.M.Maxam and W.Gilbert,Methods of Enzymology,1980,65,499−560)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法・ 飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析(Pieles et al.,Nucleic Acids Res.,1993,21,3191−3196)、アルカリホスファターゼ及びエキソヌクレアーゼ消化における質量分析( Wu et al.,Anal.Biochem.,2001,290,347−352)などを含む、任意の適切な配列解析法を使用して、決定及び検証され得る。
いくつかの実施形態において、当該標的核酸は、その反応したまたは未反応のテンプレート化アセンブリ反応体を増幅すること、及びその反応したテンプレート化アセンブリ反応体からのオリゴヌクレオチドの配列解析を行うことによって、同定され得る。
テンプレート化アセンブリ反応体の濃縮法をまた、開示する。その濃縮は、病理学、疾患状態、対象となる異常な細胞、または特定の細胞核酸標的と関連性のあるテンプレート化アセンブリ標的を伴う、反応したテンプレート化アセンブリ反応体に対して選択できる。
いくつかの実施形態において、化学的に連結反応したオリゴヌクレオチドの空間的誘発(CLOSE)産物のライブラリーからの一対のテンプレート化アセンブリエフェクターの濃縮には、細胞核酸標的に、空間的近接位であるためテンプレート化アセンブリを通して化学的に連結反応したオリゴヌクレオチドのライブラリーを取得すること、連結反応したオリゴヌクレオチド−細胞核酸標的のライブラリーを増幅すること、及び連結反応したオリゴヌクレオチド−細胞核酸標的を、選択的に濃縮することを含み、ここでその連結反応した標的は、対象となる異常細胞の病理学、またはその細胞核酸標的への不連続な相補的形成に関連して、選択される。
いくつかの実施形態において、細胞RNA標的源へ相補的形成を行ったテンプレート化アセンブリエフェクターは、それまでの観察で公知である、特定の標的RNAに向けて濃縮され得る。そのような標的指向濃縮は、空間的近接CLOSEエフェクターの化学連結反応後に、適用されて良く、本明細書では「target−directed CLOSE(標的指向CLOSE)」という。この望ましい標的指向濃縮は、全細胞RNAを結合するCLOSEライブラリーの小集団と、その対象となる標的に対応した特定核酸プローブ配列との間の相補的形成によって、達成可能である。そのような相補的形成は、当該CLOSE二次ライブラリーとプローブの両方が、適切な相補性の一本鎖の状態になる場合に、最も効果的である。
本明細書で使用する「chemically−ligated oligonucleotides spatially elicited(空間的に誘発された、化学的に連結反応したオリゴヌクレオチド)」は、標的核酸テンプレートへ、相補的形成を介したオリゴヌクレオチドの空間的近接の結果として、化学的に連結反応した一対のオリゴヌクレオチドを指す。
大規模のCLOSEコレクションは、CLOSEライブラリーと呼ばれ、基本的形態、再配列形態、または増幅形態であり得る。基本CLOSEライブラリーには、空間的に可能になった反応からもたらされたテンプレート化アセンブリ反応の化学産物を含む。増幅CLOSEライブラリーは、読み取り可能な化学連結反応点を伴った基本ライブラリーのPCRから、直接または間接に誘導され得て、ここでPCRは、再配列のライブラリーで達成されるように、プライミング部位の操作によって、可能になった。いくつかの実施形態において、このCLOSE産物には、その化学連結反応したオリゴヌクレオチドの短いPCR産物の二本鎖を含む。当該CLOSE産物の増幅は、特定オリゴヌクレオチドによって持ち込まれたプライミング部位に相補性であるプライマーで、化学連結反応したオリゴヌクレオチドの増幅によって、実施され得る。当該テンプレート化アセンブリ反応を介して、化学的に結合したオリゴヌクレオチド対(各々個別に修飾された集団の一対)だけが、PCRによって、そのオリゴヌクレチド間で産生された連結の効力によって、潜在的に増幅される。
過剰な、非結合テンプレート化アセンブリ反応体もまた、テンプレート化アセンブリ後に除去できる。この非結合テンプレート化アセンブリ反応体は、非限定的にポリエチレンテグリコール8000(PEG)を伴う連続沈殿法、酵素消化、限外濾過、またはゲル排除クロマトグラフィーなどの、当技術分野で通常使用される方法によって、除去できる。
比較減法もまた、当該CLOSEライブラリーの連結反応したオリゴヌクレオチド対を濃縮するために使用できる。当該CLOSEライブラリーからの標的細胞または組織から誘導された連結反応オリゴヌクレオチド対は、異なる細胞または組織から誘導された連結反応オリゴヌクレオチド対より濃く濃縮され得る。いくつかの実施形態において、異常標的細胞から誘導された連結反応オリゴヌクレオチド対は、正常標的の対応部分から誘導された連結反応オリゴヌクレオチド対より濃く濃縮され得る。いくつかの実施形態において、対象となる異常細胞からの連結反応した標的は、対象となる正常細胞から誘導された連結反応した標的を除去することによって、濃縮され得る。異常標的細胞及び正常細胞から誘導された、連結反応したオリゴヌクレチド対のライブラリー間での比較選別が効果的でもよく、ここでビオチン化された正常細胞は、固相ストレプトアビジン結合によって、相補的形成後に除去される。比較減法の後に残された連結反応したオリゴヌクレチド対はさらに、同定のために加工され得る。
テンプレート化アセンブリに対応した、一対の化学的に連結反応したオリゴヌクレオチドの空間的誘発(CLOSE)産物の評価法をまた、開示する。テンプレート化アセンブリ反応体としての、この一対のCLOSE産物は、他のテンプレート化アセンブリ反応体上の相応する修飾と容易に相互作用するために、修飾され得るが、天然の生体分子とは容易に相互作用しない。この修飾は、テンプレート化アセンブリ反応において、テンプレート化アセンブリ反応における、選択的反応モイエティーの反応性などの、反応性を付与できる。選択的反応モイエティーの例示には、バイオオルソゴナル反応モイエティーの添加を含むことができる。いくつかの実施形態において、ピレンマレイミドなどのピレン基は、当該CLOSE産物に添加され得る。
前述と同様に、当該CLOSE産物はまた、5′及び/または3′プライミング部位、及び/またはリンカーもしくはスペーサーなどの中間体を含むことができる。当該CLOSE産物はまた、本明細書で記述される同定に対応して、加工され得る。
いくつかの実施形態において、当該テンプレート化アセンブリ標的を同定するための、テンプレート化アセンブリ反応体のライブラリーを開示する。このライブラリーには、テンプレート化アセンブリ反応体を含むことができる。いくつかの実施形態において、このライブラリーには、テンプレート化アセンブリ反応体の第一及び第二集団を含み、ここでそのテンプレート化アセンブリ反応体には、テンプレート化アセンブリ反応における反応に対応した、オリゴヌクレオチド配列及び修飾を含む。
いくつかの実施形態において、ライブラリーは、化学的に連結反応したオリゴヌクレオチドの空間的誘発(CLOSE)産物を含む。このライブラリーはまた、相補的形成を介した細胞核酸テンプレートへのオリゴヌクレオチドの空間的近接位よって化学連結反応した、オリゴヌクレチドを含むように濃縮された、少なくとも一対のテンプレート化アセンブリ標的を含む。当該CLOSEライブラリーには、増幅された化学連結反応産物のライブラリー、正常細胞と比較した異常細胞から誘導された、濃縮されたオリゴヌクレチドを含む。
本明細書に記述のキットは、対象となる細胞における、新規のテンプレート部位の発見に使用できる。これらは、標的RNAテンプレートの連続セグメント内の直鎖状部位、同じ標的テンプレートの不連続(立体配座的に使用可能な)部位、または高次の核酸もしくは特定細胞内で形成される核タンパク質複合体を介して、並置されたそれぞれのテンプレート内の部位であり得る。
対象となる細胞に特異的なテンプレート部位は、本明細書に記述のキット及び方法で、同定され得、その他の細胞の大きなバックグラウンド内の、そのような対象となる細胞の存在を同定するための、診断基準として利用され得る。例えば、血、尿、腹水、髄液、気管支洗浄、経口洗浄液及び痰、細胞診検体、組織生検または臓器、胆汁、糞便、または他の体液もしくは部位においてである。
検出が蛍光に基づく実施形態において、キットには、そのテンプレート化アセンブリ反応体の連結反応で、蛍光シグナルを生み出すテンプレート化アセンブリ反応体、例えば、ピレンエキシマー、及び蛍光検出試薬を含むことができる。いくつかの実施形態において、キットには、そのテンプレート化アセンブリ反応体と、非限定的に、ELISAなどの、酵素読み出しに対応した検出試薬との連結反応において、酵素反応を触媒する、テンプレート化アセンブリ反応体を含むことができる。
一組の相応するテンプレート化アセンブリ反応体の診断試験評価及びその対象物が、採用されて良い。この評価は、テンプレート化アセンブリ反応体の特定の一組が、所定対象物において、エフェクター構造を産生する成分であり得るかどうかを決定する役割を果たす可能性がある。これは、もしそのテンプレート化アセンブリ反応体が、以前に利用されていない場合、またはもし現在のサンプルが、以前のサンプルと非常に異なる場合、例えば、そのサンプルが、以前のサンプルと比較してより低いレベルの標的核酸を含む場合などには、有用であろう。当該キット及び診断はまた、サンプル中の標的核酸の有無、またはサンプル中の標的核酸の存在量を検出できる。当該キット及び診断はまた、核酸標的が、テンプレート化アセンブリ反応に利用可能かどうかの決定、サンプル中の核酸標的の二次構造についての情報を与えるのに有用であろう。いくつかの実施形態において、そのテンプレート化アセンブリ反応体の、標的核酸を同定する能力が、決定され得る。
当該キット及び診断には、当該相応するテンプレート化アセンブリ反応体に、1つのサンプルまたは複数サンプルで接触することを含むことができる。首尾よく達成されたテンプレート化アセンブリ反応によって産生された活性の、簡易的な生体外読み出しによる同定もまた、含まれる。そのような読み出しには、非限定的に、サンドイッチ酵素結合免疫吸着及びホスファターゼアッセイ、リン光法、免疫蛍光法、生物発光法などを実施して良い。
生体外のサンドイッチスタイル診断評価アッセイを実践するために、以下のステップが、実行され得る。1つまたは複数サンプルを、生体外アッセイを行う対象物から取得できる。任意で、標的コンパートメントサンプル(例えば、腫瘍生検)及び非標的コンパートメントの陰性対照サンプル(例えば、健康細胞のサンプル)を取得する。サンプルは、核酸を放出するために、使用を容易にする、またはそのアッセイの感度を高める、適切な緩衝液に溶解されて良い。テンプレート化アセンブリ反応体を、そのサンプルまたは溶解物に投入できる。標的核酸が存在する場合、テンプレート化アセンブリ連結反応産物が形成される。
連結反応産物は次いで、固定された補足分子によって、結合され得る。この分子は、マイクロタイタープレートなどの容器に、または、アッセイ媒体と混合された寒天ビーズや磁性ビーズなどの基板上に固定化されて良い。サンプル材料及び非連結反応体は、除去され得、固定化された複合体が、洗浄され得る。そのテンプレート化アセンブリ連結反応産物の使用可能な部分に特異的な検出分子が、その固定化された複合体と共に培養され得、適切な検出読み出しが、実施され得る。いくつかの実施形態において、その検出分子、補足分子、またはその両方の特異性が、そのテンプレート化アセンブリ反応が起こる前の、いずれのテンプレート化アセンブリ反応体にも存在しない、テンプレート化アセンブリ連結反応産物上の構造を選択的に検出し、そのためそのテンプレート化アセンブリ連結反応産物が、捕捉及び/または検出され得る。例えば、その補足分子の特異性が、開始時のテンプレート化アセンブリ反応体に存在しないエフェクター産物構造を選択的に検出し、テンプレート化連結反応産物だけが、捕捉され及び検出されることを保証する。
いくつかの実施形態において、当該検出分子の特異性が、1つのテンプレート化アセンブリ反応体上の構造を、選択的に検出でき、その捕捉分子の特異性が、異なるテンプレート化アセンブリ反応体上の構造を、選択的に検出でき、そのためテンプレート化アセンブリ連結反応産物が、両構造を含み、したがって検出される。単一化合物を含んだ一組のテンプレート化アセンブリ反応体は、この実施形態と互換性が無くて良い。
本明細書に開示する対象物質が、より効果的に理解されるように、実施例を、以下に提供する。これらの実施例は、説明目的だけのためにあり、及びいかなる方法においても、当該請求対象事項を限定するとの解釈はない、と理解されるべきである。
実施例1:事前に結合されたプライマー部位を有するオリゴヌクレチド間で、増幅可能な連結を産生するテンプレート化アセンブリ反応体の、ライブラリーを利用した、サンプルからのテンプレート化アセンブリ標的配列または構造の同定(実例)
2つのRDO集団を合成した。ホスホラミダイトに基づく合成中に、不規則領域を、dA対dC対dG対dTの比率で、25対25対25対25で構成する。1つの合成集団は、それに続く5′−アジド基への化学変換に対する5′−ヨウ素dT修飾、及びこの末端からの望ましくないポリメラーゼ伸長を防ぐために設計された、3′−リン酸基で封止された、PCRプライマーに対する3′−プライミング部位を有する。その他は、PCRプライマーに対する5′プライミング部位、及び3′−5−メチル−Cアルキン修飾(プロパルギル基)を有する。これらのオリゴヌクレオチドの構成を、図1A、1B、1C、及び1Dに描写する。
対象となる細胞源からのRNAを、不規則オリゴヌクレオチド配列と、相補的形成させた。1つの原則は、各ライブラリーからの特定構成体による、細胞RNAの使用可能な経路への相補的形成に依存することである。両ライブラリーからの2つのオリゴヌクレオチドを、適切な空間的近接で、RNA配列へアニールする場合、クリック反応が適切である。結果もたらされるそのような近接鎖の化学的結合は、以降のそれらの増幅及び同定を可能にする。相補的形成に先立って、その修飾されたオリゴヌクレチドを、一時的な熱変成ステップ(2分/80℃)に供するが、これは、自然な二次構造を保持する必要があるため、そのRNA標的には適用しない。全細胞の溶解物をまた、同じ方法で選択でき、ここでプロテアーゼ及びRNase阻害剤を、内因性の自然に折り畳まれたRNAまたはリボ核タンパク質を保護するために使用する。
RNAは、非限定的に、Qiagen社及びNorgen社などの商業サプライヤーからのキットを含む、任意の標準的な手順によって調合できる。
RNAは、穏やかな条件下で得られた、全細胞質溶解液の形態で調合できる。そのような条件は、非限定的に、浸透圧溶解の例では、pH7.4の20mMのトリス緩衝液、10mMのNaCl、及び3mMのMgCl2の低張緩衝液を伴って達成できる。細胞の溶解は、1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)を伴うプロテアーゼ阻害剤カクテルによって、及びまた(非限定的に)マウスのRNase阻害剤(New England Biolabs社)などの、酸化低感受性リボヌクレアーゼ阻害剤の存在において、タンパク質を保護する場合に、実施する必要がある。
互いにモル量で50対50の混合物において、1500塩基のその細胞RNAの平均分子量を推定することによって計算された、及び1〜10マイクログラムの開始RNAを伴った、10〜100倍過剰なRNA量の存在下で、同時に不規則に化学的修飾された集団を伴って、当該RNA−オリゴヌクレチドの相補的形成を実施する。相補的形成は、2〜16時間の間に達成できる。相補的形成は、pH7.5の50mMのトリス緩衝液、10mMのMgCl2、100mMのNaCl、1mMのジチオエリトリトール、及び2.4単位/mlのマウスRNase阻害剤(New England Biolabs社)中で実施できる。
その相補的形成が終了したら、非結合オリゴヌクレチドを、PEG沈殿、限外濾過またはゲルサイズ排除クロマトグラフィーによって、除去する(細胞RNAへ相補的形成を行った不規則オリゴヌクレチドは、その条件が、DNA:RNA二本鎖の持続性に有利に働く限り、そのRNAと共に精製する)。
互換的な手順において、非結合オリゴヌクレチドは、DNaseIでの処理によって、枯渇し、ここで相補的形成を成したRNA:DNA二本鎖は、DNaseIの作用に鈍感であり、相補的形成をしていないプライマー部位P1及びP2は、2′−O−メチル相補性鎖を伴う二本鎖によって保護される(図1C、図1D)。このDNaseI処理は、その他の精製法と、またはそれに続くPEG沈殿、限外濾過またはゲルサイズ排除クロマトグラフィーにおいて、互換的に使用できる。
次いで、Cu(I)クリック触媒反応を、50〜100μl容量において、30〜60分/25℃で実施する。このステップが完了するまでは、可能な限り厳しいRNaseの無い条件、及び適切なRNase阻害剤を使用して、その標的細胞RNAの構造的な完全性を維持することが最善である。Cu(I)クリック触媒は、市販のキットで、または当技術分野で公知の個別成分で、実施できる。あるいは、そのCu(I)成分を、非限定的に、化合物のTBTA、THPTA、BTTAA及びBTTES(Besanceney−Webler et al.,Angewandt Chemie International Edition,2011,50,8051−8056)を含む、特定のキレートを使用して、送達できる。
そのCu(I)触媒作用クリック反応の完了後、その調合物を、小さな使い捨てのスピンカラム(Biorad社、またはPierce社)を使用してもっとも簡単に、銅イオンを取り除いて、脱塩する。
次いで、その元の不規則集団から選択された特定のオリゴヌクレチドによって持ち込まれた、プライミング部位と合致するプライマーを伴って、PCRを実施する。化学的に結合したオリゴヌクレチド対(各々が個別に修飾された集団からの一対)だけが、このPCRプロセスによって、使用された特定の5′−アジド/3′−アルキンオリゴヌクレチドによって産生された「biocompatible(生体適合性の)」トリアゾール連結の効力によって、潜在的に増幅可能である(図2)。そのような接合は、連続部位または標的RNA折り畳みによって並置された部位のいずれかによって、促進される(図2)。産物は、正しい方向で標的テンプレートにアニールされた、CLOSEオリゴヌクレチドによってのみ、形成できる(図3A、3B、3C)。
実施例2:CLOSEライブラリーの高容量配列解析及び差異化バイオインフォマティク解析(想定事例)
本明細書では、細胞RNAテンプレートへの相補的形成を介した、オリゴヌクレチドの空間的近接の結果として、化学的に連結反応させられた、オリゴヌクレチドの任意の1対を、便宜上、空間的に誘発されて、化学的に連結反応したオリゴヌクレチドを意味する、接頭語CLOSEによって表す。大規模なCLOSEコレクションを、CLOSEライブラリーと呼び、基本的形態、再配列形態、または増幅形態であり得る。
基本的CLOSEライブラリーには、空間的に可能な反応から直接もたらされる、クリック化学反応の化学産物を含む。したがって、増幅CLOSEライブラリーは、読み出し可能な化学連結反応点を有する基本的ライブラリーのPCRから、直接または間接のいずれかで誘導され、ここでPCRは、再配列ライブラリーを伴って達成するように、プライミング部位を操作することによって可能になる。
任意の増幅されたCLOSEライブラリー(直接または間接のいずれか)は、そのPCRプライマー及び使用されたプライミング部位によって定められる、化学連結反応のオリゴヌクレチド、及び本来連結されていた空間的に近接の、一対のオリゴヌクレチドの短い二本鎖の大規模なコレクションである。
対象となる異常細胞に対するそれらの正常な対応部分からの増幅CLOSEライブラリーは、直接、配列解析及びバイオインフォマティク解析を受けることができる。候補分野を狭めるために、より焦点を絞ったアプローチでは、差異分を比較除去する相補的形成を取り入れる。
基本的CLOSEライブラリーのPCR増幅産物に対応するバンドは、ゲルから取り出し、クローン化する。
CLOSEのクローン化のいくつかの実施形態において、取り出されたバンドを、TaqDNAポリメラーゼを伴う増幅からもたらされた、1−塩基5′dAオーバーハングによって、クローン化する。そのような5′dA−CLOSE断片を、1塩基5′dTオーバーハングを有するプラスミドベクターに、クローン化する。適切なE.coli宿主における多数のプラスミドクローンを、ミニスケール調合物として単離し、そのCLOSE挿入からの上流及び下流のプライマーを伴う、従来からの自動化配列解析に供した。CLOSE挿入の読み通しが完了するように、間隔を十分にとって配置された。
配列解析されたCLOSEクローンは、期待された構造で一様であり、(+)鎖22−merのダイマー(元の一本鎖オリゴヌクレオチドに対応する)(LからR、図1A,1B、1C、及び1D)は、5′N10−CT−N10である。一連の任意に選択されたC
LOSEクローン配列を、同じパターンの不規則に生み出された配列と比較した(図4)。このCLOSEシリーズは、純粋に不規則に基づくものに期待したより、著しく高いGC含有量を有し、その相補的形成に基づく選択手順が、より高いGCレベルによって与えられた、より優れた安定性に有利に働いたことを示唆していた。
CLOSEクローン化のいくつかの実施形態において、取り出されたバンドを、Illumina社のプロトコルに従う、次世代配列解析に対応して調合する。CLOSEクローン化のいくつかの実施形態において、取り出されたバンドを、非限定的に、ピロシーケンス法、ABI SOLiDシーケンス法、 Helicos、Nanopore シーケンス法、及びIon Torrentシーケンス法を含む、その他のNext−Generation Sequencing(次世代配列解析)プロトコルに従う、次世代配列解析に対応して調合する。
異常細胞源からの多数のCLOSEクローンを、配列解析した場合には、それらの分化状態、及び細胞発現の表現型、遺伝子型、及び多型の分配の点から、可能な限りその異常細胞標的と厳密に一致するように、正常細胞からの対応するデータを伴って、蓄積された配列データを比較することが賢明である。この解析は、コンピュータによる比較減法に相当する。
配列データは、異常細胞からの対象のCLOSEライブラリーに対して使用された方法との一致により、増幅されたCLOSEライブラリーからのCLOSEクローン配列に一致した正常細胞から、取得する。
対象となる異常細胞及び一致した正常細胞からの一組のCLOSE配列を、バイオインフォマティク解析に供する。各CLOSE配列の(+)鎖は、その元のオリゴヌクレオチドによる、3′−(5−メチル)−dC−プロパルギル、及び5′−dT−アジド基の間の化学連結反応点に対応している(増幅後)、CTジヌクレオチドによって分離された2つのデカマー経路として定義できる。
候補となるCLOSEクローンを却下する選択基準には、対象となる細胞のいずれかのデカマー経路と発現したまたはゲノムの配列との間にいかなる著しい一致も見いだせないことを含む。「Significance(著しさ)」とは、いずれかの経路と、少なくとも70%の一致があると、本明細書では定める。
対象となる異常細胞源からのCLOSE配列対は、クローン化されたCLOSEライブラリー(従来からのクローン化及び配列解析によって)の無作為の取り上げからの、それらの出現頻度によって順位付けされる。
手順ガイドラインとしての頻度順位付け基準を使用して、異常細胞源からのCLOSE対を、対応する正常細胞源からのCLOSE対に対して選別する。その正常細胞源との一致が同定された場合、異常細胞からの一致しているCLOSE対を、さらに解析から外す。
特別な対象である異常なCLOSE配列対を知らせるためのその他基準には、1)対象となる異常細胞の病理学と潜在的に関連する、CLOSE対一致配列を構成するデカマー配列のいずれかまたは両方、または2)そのCLOSE対一致が、同じRNA鎖上、または別々のRNA鎖上で、不連続に発生していると同定される場合がある。
腫瘍細胞に対して潜在的に注目される配列には、非限定的に、既知のがん遺伝子または腫瘍サプレッサーに対応するゲノムまたは発現した遺伝子、細胞周期のレギュレータ及びメディエーター、転写レギュレータ及びメディエーター、翻訳レギュレータ及びメディエーター、テロメラーゼ、細胞骨格成分、及びキナーゼを含む。
実施例3:物理的なCLOSEライブラリーの比較減法を介した、対象となる細胞に特異的な配列または構造を同定するための、CLOSEライブラリーの活用(想定事例)
比較減法は、異常標的細胞及び正常細胞から誘導された連結反応したオリゴヌクレチド対のライブラリー間で有効であり、ここでビオチン化正常細胞が、固相ストレプトアビジン結合による相補的形成後に、除去される。
本明細書に開示のプロトコルに従って取得された、増幅CLOSEライブラリーを、対象となる異常細胞から誘導する。
その対象となる異常細胞と同系統及びその分化状態と可能な限り厳密に一致する正常細胞を、選定する。非限定的な例示には、メラノーマ細胞、正常なメラノサイト、Bリンパ腫、正常なB細胞、Tリンパ腫、及び通常のT細胞を含む。
CLOSEライブラリーを、一致した対象となる正常細胞から取得する。そのようなライブラリーを、初期のオリゴヌクレオチドにおける異なるプライミング部位(P3、P4)の使用を除いて、その相応する異常細胞に対するのと同じ方法で用意する必要がある(図5)。また、その最終増幅ステップに使用するプライマーは、5′−ビオチン基を有する必要があり、それによってその増幅されたCLOSE産物自体を、両方の鎖上でビオチン化する(図5)。
PCR反応から取得する場合、正常及び異常CLOSEライブラリーの両方を、フェノール抽出し、0.3Mの酢酸ナトリウム及び2.5倍容積のエタノールを使用して沈殿させ、70%エタノールで洗浄し、20μlのTEに再溶解させる。次いで、正常のビオチン化増幅CLOSEライブラリーを、異常細胞からの対応部分の非ビオチン化ライブラリーと、正常対異常CLOSE産物が10対1の比率で混合する。その混合したライブラリーを、95℃で10分間の変成を行い、及び次いで室温へ、ゆっくりと冷却する。
その再相補的形成の産物を次いで、全てのビオチン化鎖を固定し及び除去するために、過剰な固相ストレプトアビジンで処理する。非限定的な実施形態において、その固相ストレプトアビジンは、磁性ストレプトアビジン結合ビーズまたはストレプトアビジン寒天であって良い。任意の固相ストレプトアビジン基質の結合容量は、ビオチン化オリゴヌクレオチドの総モル数の少なくとも10倍過剰にある必要がある。
次いで、相応する正常細胞ライブラリーからのビオチン化オリゴヌクレオチドで相補的形成していない、異常細胞CLOSEライブラリーからのオリゴヌクレオチドによって構成される非結合の非ビオチン化残部から、その固相ストレプトアビジン基質を分離する。磁性ストレプトアビジン結合ビーズを使用する実施形態において、磁性分離剤が、固相ストレプトアビジンの選択を完成させる。ストレプトアビジン寒天を使用する分離の実施形態において、当該固相ストレプトアビジンを、5000g/10分の遠心分離によって分離する。
次いで可溶相物質のサンプルを、当該対象となる異常細胞源からのCLOSEライブラリーに特異的なプライマーを使用して、増幅する(図5)。次いでその再増幅で濃縮されたCLOSEライブラリーを、その元の正常細胞CLOSEライブラリーに対する比較減法の第二サイクルに供する。次いでその再増幅で濃縮されたCLOSEライブラリーを、その元の正常細胞CLOSEライブラリーに対する比較減法の第三サイクルに供する。次いでその再増幅で濃縮されたCLOSEライブラリーを、配列解析に供する。
実施例4:RNA選択を介した、対象となる細胞に特異的な配列または構造を同定するための、CLOSEライブラリーの活用(想定事例)
あるいは、異常細胞に限定されたオリゴヌクレオチド対を、正常細胞RNA源との交差した相補的形成対(異常細胞自体から誘導された集団内の)の結合を介して、選択して良い。
本明細書のプロトコルにしたがって取得した増幅CLOSEライブラリーは、対象となる異常細胞から誘導する。
プライマーP1が、5′−デスチオビオチン修飾を持ち、プライマーP2が未修飾の場合、CLOSEライブラリーを再増殖する(図6)。そのヘミ−デスチオビオチン化増幅CLOSEライブラリーを、95℃/10分で変性し、次いで過剰な固相ストレプトアビジン基質と共に培養する。その固相ストレプトアビジン基質を、トリス緩衝生理食塩水で3回洗浄し、次いでその結合したデスチオビオチン鎖を、5mMの遊離ビオチンで溶出する(図6)。その溶出液を脱塩し、及び過剰な遊離ビオチンを、ゲルサイズ排除クロマトグラフィーで除去する。
このデスチオビオチン化鎖は、異常RNAを伴った元の相補的形成から取得した、初期CLOSEライブラリーと同じセンス鎖に相当する。対象となる異常細胞と一致した正常細胞を選ぶ。全RNA調合物を、その正常細胞源から単離する。
遊離デスチオビオチン化鎖を変性し(80℃/5分)、異常細胞誘導RNAとの、元のCLOSEライブラリーそれ自体の相補的形成の場合と同じ時間で、その細胞RNA調合物との相補的形成を可能にする。RNA調合物は、その変性CLOSEライブラリーの添加の前に、加熱処理は行わない。RNA調合物は、デスチオビオチン化鎖より2倍過剰のモルであり、平均分子量が1500塩基の細胞RNAとの推定により計算した。このプロセスを、図7に示す。
この相補的形成したRNA−CLOSEライブラリー構成体を、非結合のCLOSEライブラリー構成体から、ゲルサイズ排除クロマトグラフィーによって分離する。非結合CLOSEライブラリーのサンプルを、再増幅し、上記に開示したと同じ条件下で加工し、その結果、デスチオビオチン化鎖の増幅された選択集団を得る(図7)。
遊離デスチオビオチン化鎖を、上記に開示した条件と同じ条件下で、同じ正常RNA標的と相補的形成を行う。その相補的形成されたRNA−CLOSEライブラリー構成体を、非結合のCLOSEライブラリー構成体から、ゲルサイズ排除クロマトグラフィーによって分離する。
いくつかの実施形態において、その非結合CLOSEライブラリーのサンプルを、正常(非ビオチン化)プライマーと再増幅し、選択された二本鎖の増幅された集団を形成する。いくつかの実施形態において、その非結合CLOSEライブラリーのサンプルを再増幅し、上記に開示した条件と同じ条件下で加工し、その結果、デスチオビオチン化鎖の増幅された二次選択集団を得る。同じ正常細胞RNA標的との相補的形成において、非結合のデスチオビオチン化鎖を選択し、次いで正常(非ビオチン化)プライマーと再増幅し、選択された二本鎖の増幅された二次集団を形成する。この増幅された非結合CLOSEライブラリーを、配列解析に供する。
実施例5:プリンエキシマー蛍光による、CLOSE誘導配列または構造候補の評価:分子近接の確認及び複製数の定量化、ならびにデカマー成分の最適化(想定事例)
上記に開示した方法(または任意のそれらの組み合わせ)を介して同定されたCLOSE候補、または個別に誘導された部位の任意の候補対は、高いレベルのテンプレート化アセンブリを進める、最大の潜在性を有する有する特定候補に焦点を当てることが可能な方法で、それらの活性及び有効性を確認する必要がある。分子近接の単独測定法は、ピレン分子間のエキシマー蛍光の誘出である。
上記開示の方法を適用(またはそれらの任意の組み合わせ)する場合、CLOSE対候補の各デカマー成分は、相補的形成が可能であると同定された細胞テンプレートを有するであろう。このCLOSE技術の適用を介して同定された既知のテンプレートに基づいて、そのデカマー対のいずれかまたは両方を伸長することは、少なくとも小集団の場合においては有用であり、デカマー対が相補的形成の標的とするテンプレートの相補的配列によって決定される。伸長は、加熱による二本鎖の安定化を介して、細胞内テンプレート化を助ける。そのように伸長され最適化された候補をもまた、評価する。
CLOSE対を共に構成する、個別のデカマー配列を、別々に再合成し、及びピレン基で標識化する(図8A及び8B)。ピレン標識化は、末端チオール基を合成したDNA(各場合において適切な、還元ジスルフィドとしての、5′−または3′−末端で)に組み入れることによって有効になり、その後ピレンマレイミドを伴うSH基と反応する。
そのピレン基は、非限定的に、ピレン−4−マレイミドを含む、ピレン及びマレイミドモイエティー間のスペーサーアームを伴うピレンマレイミドによって、互換的に添加され得る。ピレン付加の部位は、元来使用されたCLOSE法の種類に基づく。上記方法のいくつかで同定されたCLOSE対に対して、その最初のアジド及びアルキン修飾の各々で使用したのと同じ5′−及び3′−末端に、ピレン修飾を加える(図1A〜1D)。上記方法のいくつかで同定されたCLOSE対は、そのデカマー経路間に隣接配列を含むので、これら種類の対を、その厳密に初期の配列、またはその初期の隣接配列の無いデカマー経路に結合されたピレン基で評価する。
ピレン修飾のCLOSEデカマーを、相補的なDNAテンプレートへの、生体外での相補的形成時の蛍光の変化によって評価する(図8A及び8B)。エキシマーとモノマー(e/m)発光スペクトル間の比率を、変化させた配列不一致の度合いを伴う対照テンプレート配列を使用して、蛍光分光計で測定する。励起波長は、335nm、モノマーピーク発光波長は、375〜410nm、エキシマー発光のピークは 、480nmである。
細胞内選別に対応して、ヌクレアーゼ耐性ホスホジエステル骨格または糖モイエティーを有するCLOSEデカマーの類似体上で、ピレン修飾を実行する。これには、非限定的に、2′−O−メチル−ヌクレオチド及びホスホチオエート・ヌクレオチドを含む。
ヌクレアーゼ修飾及びピレン標識化CLOSEデカマーを、対象となる標的異常細胞、及び正確な標的テンプレートを欠いた、一致した正常の対応部分の対照細胞にも、形質転換する。エキシマー形成に対応する蛍光を、蛍光顕微鏡検査法によって評価し、及び蛍光分光分析によって定量化する。
陽性のエキシマーシグナルが、そのCLOSEオリゴヌクレオチド対の空間的近接を裏付け、それらの相対シグナル強度によって、相対的な転写産物レベルを与える。近接性及びその結果としてテンプレート複製数の両者の組み合わせとしてのシグナル強度は、エフェクター部分構造を備えている異なるCLOSEデカマー間の、相対的潜在テンプレート化アセンブリーレベルに対する測定基準を与える。
実施例6:QPCR増幅による、CLOSE誘導配列または構造候補の評価:分子近接の確認、及び複製数の定量化、ならびにデカマー構成の最適化(想定事例)
個別に誘導された部位のCLOSE候補または任意の候補対を、それらの有効性に対して確認でき、クリック連結反応及びQPCRによって、それらの標的テンプレートの相対存在量が評価できる。さらに、上記に開示したアプローチと同じアプローチを、各候補対の最適化に適用できる。デカマー対を、CLOSEライブラリーから取得した場合、既知の標的テンプレート配列に基づく伸長もまた、同じ方法で評価できる。
個別の特定CLOSE候補を、互換的な一組のプライマー部位(図1A〜1Dに示す、P1及びP2)で、再合成する。多重化を開始するいくつかの実施形態において、最高5つまでの個別の候補CLOSEデカマーのオリゴヌクレオチド対を、各々に対して、異なるプライマー部位で再合成する(P1.1/P2.1、P1.1/P2.2、P1.3/P2.3、P1.4/P2.4、及びP1.5/P2.5)。
個別CLOSE候補の各対を、RNA調合物またはRNA及びリボヌクレオタンパク質を含む細胞質溶解液、及び相補的形成後に除去された過剰オリゴヌクレオチドと、別々に培養する。各調合物を、RNaseから保護する条件下で、Cu(I)触媒を伴ったクリック化学連結反応に供し、次いで脱塩する。Cu(I)クリック介在連結反応及び脱塩後、調合物を、RNaseA、RNase1f、及びRNaseIIIで処理する。
次いで調合物サンプルを、図9に示し、及びKono et al.,Mol.Cancer Res.,2006,4,779−792によって記述されるように、定量的PCR(QPCR)に供する。QPCRプローブは、15〜20塩基の鎖長で、及びプライマーP1領域の一部分、1つのデカマーの全て、全てのCLOSEクローンと相補的な架橋CTジヌクレオチド、及び第二デカマーの最大5塩基までと相補性である。(図9、S2)特定プローブ長は、選択されたデカマー領域(またプローブ特異性を与える)の塩基成分によって決定し、そのためそのプローブの標的二本鎖のTmは、標準的な塩の条件下で、少なくとも62℃である。各プローブは、5′−蛍光色素及び3′−クエンチヤーを備え、そのため標準的なTaqMan化学によって定量化できる。
結合された5′−蛍光色素は、非限定的に、FAM(商標)、TAMRA(商標)、Cy5(商標)、Cy3(商標)、HEX(商標)、JOE(商標)、またはROX(商標)であって良い。結合された3′−クエンチャーは、非限定的に、BHQ1(商標)、BHQ2(商標)、IowaBlack(登録商標)−FQ、またはIowaBlack(登録商標)RQであって良い。QPCR読み出し(閾値サイクル数)を、ハウスキーピング遺伝子(Vandesompele et al.2002)の複合パネル、または任意の小集団もしくはそれらの組み合わせからの、相応するシグナルに対して正規化する。相対的に正規化されたQPCR値を、各候補プライマーに対して取得し、ここで値は、近接促進のクリック化学連結反応を可能にする、元のテンプレート複製数に対して比例する。
最初に相補的形成を成した特定候補CLOSE対は、多重化を設定する。多重化実験において、特定CLOSEデカマーの最大で5つまでの個別対を、上記のRNAまたは全細胞溶解液の標的と相補的形成を行うために、同時に添加する。
その多重化調合物を、上記のように処理する。化学連結反応の特定CLOSE対の多重化された一組を、単一決定におけるQPCRに対して使用し、ここで各CLOSE対それ自体を、各場合における特定デカマー領域に対応した個別プローブによって、連結反応対に特異的なプローブクエンチャーの組み合わせの使用によって、定める。多重化決定内での各個別標的の相対レベルを、各場合における特定蛍光マーカーから導き、正常なハウスキーピング遺伝子の対照サンプルの相応するレベルに関連させる。
実施例7:デジタル増幅によるCLOSE誘導候補または構造の評価:分子的近接及び複製数の定量化、及びデカマー構成の最適化(想定事例)
独立して誘導された部位のCLOSE候補または任意の候補対を、それらの効力に対して確認でき、クリック連結反応及びデジタルPCRによって、それらの標的テンプレートの絶対存在量に対して評価できる。前述のように、テンプレート漸増の可能性による標的転写発現レベルを測定することが望ましい。さらに、本明細書の記述と同じアプローチを、各候補対の最適化に適用できる。デカマー対を、CLOSEライブラリーから取得した場合には、既知の標的テンプレート配列(本明細書に記述のように)に基づく伸長もまた、同じ方法で評価できる。
個別の特定CLOSE候補を、互換的な一組のプライマー部位(図1A〜1Dに示す、P1及びP2)を伴って、再合成する。いくつかの実施形態において、多重化を開始する場合、最高5つまでの個別の候補CLOSEデカマーのオリゴヌクレオチド対を、各々に対して、異なるプライマー部位で再合成する(P1.1/P2.1、P1.1/P2.2、P1.3/P2.3、P1.4/P2.4、及びP1.5/P2.5)。
各調合物を、RNaseから保護する条件下で、Cu(I)触媒を伴ったクリック化学連結反応に供し、脱塩し、及びRNaseで処理する。次いで、各々の特定場合で別々に誘導された調合物のサンプルを、TaqDNAポリメラーゼ、dNTP、1.5mMの塩化マグネシウム含む標準PCR緩衝液、同種プライマー、及び各標的化された対のデカマーの蛍光定量化に対応した、特定二重標識化プローブを伴う、デジタルPCRに対応した異なるコンパートメントに、分子的に分配する(図10)。
いくつかの実施形態において、デジタルPCRに対応したコンパートメントの分子的コンパートメント化を、微小コンパートメントによって達成し、非限定的に、各々Bio−Rad and RainDance Technologies社からのQX100及びRainDrop systems社によって市販されているものを含む、商業的に入手可能な技術の適用を介して有効にする。いくつかの実施形態において、デジタルPCRに対応したコンパートメントの分子的コンパートメント化を、マイクロ流体チャンバーによって達成し、非限定的に、Fluidigm(BioMark system社)として市販されているものを含む、商業的に入手可能な技術の適用を介して有効にする。
コンパートメント化された標的、プライマー、プローブ、及びその他の増幅成分の各調合物を、加熱増幅に供し、そのため特定の蛍光シグナルが、標的の増幅が起こった場所で発生し、シグナルは、活性コンパートメントのデジタル測定値、及び次にそれらが含まれる個別の標的分子の定量化を与える。コンパートメント加工、蛍光測定及びそれに続く標的数の網羅を、製造者の仕様及び指示に従って実施する。
最初に相補的形成をした特定CLOSE対は、多重化を設定する。多重化実験において、特定CLOSEデカマーの最大で5つまでの個別対を、上記のRNAまたは全細胞溶解液の標的と相補的形成を行うために、同時に添加する。相補的形成を行うサンプルの加工、及びCLOSEオリゴヌクレオチドの増幅を、前述のように実行する。
CLOSEデカマーの多重化された化学連結反応対を含む、組み合わされたサンプル(相補的形成によって選択された)を、デジタルPCR増幅及び解析によって各特定標的を決定するために、個別アッセイに分割する。個別標的を、固有のプライマーの組み合わせ及び固有の蛍光プローブ標識によって、同定する。
その相補的形成レベルにおいては、多重化を実施するが、デジタルPCR解析は、1プレックスのレベルで行う。
CLOSEデカマーの多重化された化学連結反応対を含む、組み合わされたサンプル(相補的形成によって選択された)を、多重化されたデジタルPCRによって解析し、ここでは前述のように特定された成分に加えて、各特定プライマー対(各CLOSE標的に対して定められた)、及び各蛍光標識化プローブもまた、存在する。
各デジタルコンパートメントは、複数のプライマー及びプローブを含むが、各コンパートメント内での特異性は、プライマーとプローブ間での配列一致、及び各場合に存在する単一のCLOSE化学連結反応標的分子によって生み出される。
このデジタルPCR増幅及び解析は、前述のように特異的であり、前述のように特異的な器具に対する製造者の仕様及び指示書に従って、それらの個別の発光波長の効力によって区別できるなどの、複数蛍光シグナルを同時解析するさらなる特徴を伴っている。
多重化を、相補的形成レベル、及びデジタルPCR解析のレベルの両方において実施する。
実施例8:非相補的形成CLOSEオリゴヌクレオチドの除去のためのDNase処理、及びクローン化ならびに配列解析のフォローアップ(実例)
アジド及びアルキン修飾のCLOSEライブラリーを、細胞RNA標的(MU89)と、32℃で16時間をかけ、相補的形成をさせた。200pmolで20μlの各CLOSEライブラリー(事前に、それらのプライミング部位領域に対して、2′−O−Me相補性オリゴヌクレオチドでアニール処理した)を、20μgのMU89RNAまたは非テンプレート対照サンプルを共に培養した。全成分を、予備加熱ステップの無い培養に先立って、混合した。
その相補的形成後に、各サンプルを、28℃で4時間の+/−DNase処理を行い、その後フェノール伸長、脱塩(pH7.4の10mMのトリス緩衝液中の、Bio−Rad P6 Spinカラム)、及び沈殿を実施した。ペレット化、洗浄、及び乾燥の後、各サンプルを、標準的なTHPTAクリック反応に供した。
簡単に説明すると、0.155MのNaCl中に、20μlで70mMのトリス(3ヒドロキシルプロピルトリアゾリル・メチル) アミン(THPTA)、0.155MのNaCl中に、4μlで500mMのNa−アスコルビン酸塩、0.155MのNaCl中に、2μlで100mMのCuSO4を順に添加した予備混合物を用意し、この予備混合物の2.6μlを、クリック反応のための各々のチューブに添加し、このようにして、その最終容積を、1倍のリン酸緩衝生理食塩水中に50μlにした。チューブを、30分/0℃(氷上)、及び次いで2時間/25℃の培養を行った。その培養時間の最後で、チューブ内容物を、前述のBio−Rad P6カラムを通して脱塩し、各々の0.5μl(1/100)を、そのCLOSEオリゴヌクレオチドのプライミング部位と一致しているプライマーと共に、PCR増幅に供した。そのPCRサイクルは、60℃の最終温度、及びその最終タッチダウン温度で22サイクルを伴う、タッチダウン増幅戦略を使用した。
産物を、15%のアクリルアミドゲル上で解析した(図11、レーン1:CLOSEオリゴヌクレオチド+RNAテンプレート+DNase、レーン2:CLOSEオリゴヌクレオチド+DNase無しのRNAテンプレート、レーン3:テンプレート無しのCLOSEオリゴヌクレオチド+DNase、レーン4:テンプレート無し及びDNase無しのCLOSEオリゴヌクレオチド)。結果は、テンプレートの存在に関係なく(レーン2及び4)、持ち越されたCLOSEオリゴヌクレオチドの存在を示したが、RNAテンプレートが存在する場合だけは、DNase処理後に観察されたバンドであった(レーン1対レーン3)。化学連結されたCLOSEダイマーに対して期待された大きさに相当するレーン1(増幅させたCLOSEオリゴヌクレオチド+RNAテンプレート+DNase)のバンドを取り出し、及び利用可能な収率を増加させるために、元のプライマーで再増幅した。
産物を、pGEM−Teasyベクターシステム(Promega社)でクローン化し、個別のプラスミドクローンを、そのクローン化断片の挿入点の上流及び下流にプライマーと共に配列した。配列を、BLAST検索を介して、ヒトのトランスクリプトームと比較した。解析した31クローンの内、各モノマーCLOSEオリゴヌクレオチドの2つのデカマー不規則領域に相当する領域内の≧16/20塩基が、特定細胞RNAとの一致を示した。
元のMU89黒色腫細胞源における候補細胞RNAの発現を、各候補RNA標的に特異的なプライマーを伴ったPCRで試験した。RNAである、NOL9、OTUB1(転写変異体2)、BRCA2、MAPKAPK2、及びALPK1(転写変異体1及び2)が、MU89において発現し、さらなるCLOSE解析に対する初期候補として浮上した。
CLOSEオリゴヌクレオチド:
1)TRT−AK:CATCTCCACCTCCATAACCCANNNNNNNNNNCMe−プロパルギル(SEQ ID番号45)、
2)AZC−TRT−n2:アジド−dT NNNNNNNNNNAGGTGATAGGTGGAGGTGGTA−p(SEQ ID番号46)。
連結反応したCLOSEオリゴヌクレオチドの増幅に対応するプライマー:
1)Trz.F:CATCTCCACCTCCATAAC(SEQ ID番号47)、
2)Trz.R−n2:TACCACCTCCACCTATCACCT(SEQ ID
番号48)。
2′−O−メチル骨格を伴うプロテクター・オリゴヌクレオチド:
1)TrzFco−2OM:UGGGUUAUGGAGGUGGAGAUG(SEQ ID番号49)、
2)TrzR−n2−2OM:UACCACCUCCACCUAUCACCU(SEQ ID番号50)。
実施例9:逐次PEG沈殿による、非相補的形成CLOSEオリゴヌクレオチドの除去のためのプロトコル(実例)
2MのNaClの存在下において、3.2%ポリエチレングリコール8000(PEG)が、ほとんど全ての非相補的形成CLOSEオリゴヌクレオチドの除去に有用であった。簡単に説明すると、黒色腫細胞株MU89 RNA(9.0μg、Qiagen RNA簡易プロトコルによって調合される)を、2′−O−Meプライマー部位保護鎖(図8参照)の等量モルで予備アニール処理された、200pmolのCLOSEオリゴヌクレオチド(各オリゴヌクレオチドTRT−AK及びAZ−TRT−n2の200pmol(図8参照))、または200pmolのいかなる予備アニール処理された保護鎖をも持たない同じCLOSEオリゴヌクレオチドと、混合した。各調合物(50μlの最終容積)を、pH8.3の50mMトリス緩衝液、2.5mMEDTA、2MNaCl、40単位のマウスRNase阻害剤(Promega社)で構成し、40%PEGストックから、その最終構成が3.2%PEG添加(4μl)になるようにした。氷上で30分後、微小遠心管において、チューブを10分間/最大速度(≧14k rpm)で遠心分離した。得られた上清を、注意深く除去し、及び保持し、ならびにペレットを、同じ緩衝液、塩、RNase阻害剤、及びPEG濃度を含む新鮮な溶液(50μl)に再溶解した。氷上でさらに30分後、チューブを前述のように遠心分離し、上清を除去及び保持し、ならびに最終ペレットを、50μlのTEに再溶解した。
その最終ペレット及び第一ならびに第二上清(5μl、各々の1/10)のサンプルを、2%寒天ゲル上で試験した(図12)。結果は、(非相補的形成の)オリゴヌクレオチドの大多数が、そのMU89RNAから分離され、及び第一上清中に見出されたことを示した。
実施例10:単一PEG沈殿及びDNaseI処理による、非相補的形成CLOSEオリゴヌクレオチドの除去のためのプロトコル(実例)
CLOSE加工の他の実施形態において、単一PEG沈殿及びDNaseI処理の組み合わせが、非相補的形成CLOSEオリゴヌクレオチドの大部分の除去に効果的であった。このプロトコルに対して、当該CLOSEオリゴヌクレオチドのプライミング部位を、相補性2′−O−メチル鎖(実施例8に示すように)との相補的形成によるDNaseI攻撃から守ることが、最も重要である。標的細胞RNA(実施例1で詳細に実施したが、30℃での実施が最も一般的である)との相補的形成体を、実施例9と同じ塩及び緩衝条件で、3.2%PEGでの沈殿に供した。これに続いて、実施例8と同じ条件で、クリック反応を実施し(常に、クリック試薬無しで同じように処理した平行対照サンプルを伴って)、次いで脱塩した。次いで、28℃の1倍RQ DNaseI緩衝液(Promega社)中に4時間で、DNase処理を実施した。次いで、PCR解析(実施例8に示す)に先立って、サンプルをフェノール抽出し、20μgのグリコーゲン/0.3Mの酢酸ナトリウム/3倍容積のエタノールで沈殿させ、ペレット化し、1mlの70%エタノールで洗浄し、乾燥し、及び25μlのTE緩衝液中で、再構成した。そのDNaseI処理の終了まで、全ての処理を、0.6単位/mlのマウスのリボヌクレアーゼ阻害剤(New England Biolabs社)の存在下で実施した。このプロセスの全体を、図13に略図で示す。得られた結果を、図11と比較した結果、当該PEG/DNase処理の組み合わせが、非相補的形成CLOSEオリゴヌクレオチドの除去に有効であった。
実施例11:不連続CLOSE部位の異形態の定義及び解析(実例)
当該CLOSEプロセスの適用には、最初の標的RNA配列に関して、それらが不連続である場合、特異的な潜在部位を特別に定める必要がある。L−及びR−CLOSEオリゴヌクレオチド(図1)は、連続した相補的形成部位、または標的配列において不連続であるが、近接した空間にある部位のいずれかからの、介在CT配列を有する、22−merを形成する(図14)。後者に関しては、テンプレートに沿った、相補的形成のL−及びR−CLOSEオリゴヌクレオチドの位置は、空間的近接部位をもたらすことができる二次構造類が重要である。ここで、CLOSE L−及びR−オリゴヌクレオチドが、互いに向き合った(連続した部位にとっては、普通の方向性)エフェクター3′及び5′末端を有する配置を、「Endo」構成と呼び、反対の方向性(エフェクター3′及び5′末端が、互いに離れた向き)を、「Exo」構成と呼ぶ(図14)。多数の場合において、Exo構成は、官能性エフェクター基が、互いに向き合ってはいないので、反応性を促進させることができないであろう。しかしながら、特定の二次構造の状況下にある標的部位の位置は、Endo構成よりExo構成が有利に働く可能性がある。これは、相補的形成部位が、適切な大きさの標的テンプレートのループ内に存在する(図15)場合であり、そこでは、ExoよりむしろEndoの方向性が、空間的に離れている。これを、自己相補性の内部領域を介したループ構造をとるように設計された、エフェクター部分(アルキン及びアジドクリック基を有する単鎖オリゴヌクレオチド)及び長鎖オリゴヌクレオチドのモデルで最初に試験した。その結果形成されたループ構造内に、これらのオリゴヌクレオチドは、Exo(「ループ−Exo1」)またはEndo(「ループ−Endo1」)構成のいずれかに配置された、クリック・オリゴヌクレオチドに対する相補性部位を有していた。クリック・オリゴヌクレオチド(5′−アジド及び3′−直鎖状アルキン標識化鎖の各々に対して50pmol)及びループテンプレート(50pmol)を、25μlで1Mの緩衝液(pH7.5で10mMのトリス緩衝液、10mMのMgCl2、50mMのNaCl、1mMのジチオエリトリトール)中で、80℃で2分間加熱し、室温まで冷却することによって、最初にアニール処理した。
各アニール化物(20pmol)からの十個の(合計10)μlを、THPTAを伴うCu(I)クリック触媒下に、またはクリック触媒の無い同量の緩衝液中に置いた。0.155MのNaCl中に、20μlで70mMのトリス(3ヒドロキシルプロピルトリアゾリル・メチル) アミン(THPTA)、0.155MのNaCl中に、4μlで500mMのNa−アスコルビン酸塩、及び0.155MのNaCl中に、2μlで100mMのCuSO4を順に添加した予備混合物を用意した。次いで、この予備混合物の2.6μlを、クリック反応のための各々のチューブに添加し、このようにして、その最終容積を、1倍のリン酸緩衝生理食塩水中に50μlにした。
チューブを、30分/0℃(氷上)、次いで25℃で2時間の培養を行った。培養期間の最後で、チューブを、前述のBio−Rad P6カラムを通して脱塩し、20μgのグリコーゲン(Sigma社)で沈殿させた。遠心分離後、ペレットを、70%エタノールで洗浄し、乾燥し、及び5μlのTE中に再溶解した。各(1μl)サンプルを、15%の尿素変性ゲル上で試験を行い、SYBR−ゴールドで染色した。結果は、その直鎖状テンプレート上でのテンプレート化から、期待通りのクリック連結反応産物が発生したことを示した(図16、レーン2、そのクリック反応の無い対照サンプルのレーン1との比較で)。対応するクリックバンドは、元の予測を支持して、そのループ−Exo1(図16、レーン4)に見出されたが、そのループ−Endo1(図16、レーン6)にはごくわずかに見出された。追加実験は、その自己相補性領域が、自己相互作用配列に最小限で置き換わった場所での対照サンプルのオリゴヌクレオチドによって、当該Exo構成のクリック活性は、そのループ二次構造に依存していたことを示した。アニーリングに続いて、クリック反応を、上記と同じ方法で実施し、ゲルの結果は、自己相補性ループを伴ったExo構成からのクリック産物のバンド(レーン4、図17)を示し、その自己相補性が除去された場合には産生しない(レーン6、図17)ことを示した。図17におけるループオリゴヌクレオチド(ループ−Exo2)は、その自己相補性領域と比べた、クリック相補部位の位置決めの点で、図16で使用したもの(ループ−Exo1)とは異なっており、ループ−Exo1を伴う、そのクリック相補性部位は、その自己相補性領域から1塩基であり、ループ−Exo2を伴うそれは、5塩基に増加していた。にもかかわらず、Exo−クリック活性は、依然として観察された。
図16に対応したオリゴヌクレオチド配列:
Exo構成における、クリック・オリゴヌクレオチド1及び2に対応する、相補性部位を有するループ形成テンプレート(「ループ−Exo1」、62−mer):
Endo構成における、クリック・オリゴヌクレオチド1及び2に対応する、相補性部位を有するループ形成テンプレート(「ループ−Endo1」、62−mer):
図17に対応するオリゴヌクレオチド配列:
5′−アジド及び3′−アルキンオリゴ、及び直鎖状テンプレート:図16に示す。
Exo構成における、クリック・オリゴヌクレオチド1及び2に対応する、相補性部位を有するループ形成テンプレート(「ループ−Exo2」、60−mer):
自己相補性領域の無い、ループ−Exo2に対応する対照オリゴヌクレオチド(「Ctrl−Exo2、60−mer」):
下線の配列は、自己相補性が、ループ形成を可能にするGC領域を示す。太文字の配列は、上記のクリック・オリゴヌクレオチド1及び2と相補性である部位を示す。
実施例12:ステムループを介した、空間的近接であるが不連続の相補的形成部位を伴う生体外クリック反応(実例)
クリック標識化されたオリゴヌクレオチド(モデルエフェクター部分)と相補性部位が、その標的テンプレートにおけるステムループの形成を介して、空間的近接の状態にあり、そのためその相補的形成部位が、そのループの外側にある場合の、追加試験を実施した。生体外クリック反応に対応するテンプレート配列を、ステムループ構造が、その様な構造を持たない適切な対照配列と共に室温で形成されて、そこでは、そのクリック・オリゴヌクレオチドは、Endo構成で相補的形成を行うように設計した(図18)。
クリック・オリゴヌクレオチド(5′−アジド及び3′−直鎖状アルキン標識化鎖の各々に対して50pmol)及び多様なテンプレート(50pmol)を、25μlで1Mの緩衝液(pH7.5で10mMのトリス緩衝液、10mMのMgCl2、50mMのNaCl、1mMのジチオエリトリトール)中で、80℃で2分間加熱し、及び室温まで冷却することによって、最初にアニール処理した。
各アニール化物(20pmol)からの十個の(合計10)μlを、THPTAを伴うCu(I)クリック触媒下に、またはクリック触媒の無い同量の緩衝液中に置いた。次いで、実施例11と同じ方法で、クリック反応を実施した。各(1μl)サンプルを、15%の尿素変性ゲル上で試験を行い、SYBR−ゴールドで染色した(図19)。
化学修飾したオリゴヌクレオチドを、TriLink社(5′−アジドオリゴ)またはUniversity of Wisconsin Biotechnology Facility(ウィスコンシン大学バイテクノロジー実験室)(3′−アルキンオリゴ)によって調合した。
図19に対応したオリゴヌクレオチド配列:
下線の配列は、自己相補性が、ステムループ形成を可能にする領域を示す。太文字の配列は、上記のクリック・オリゴヌクレオチド1及び2と相補性である部位を示す。
実施例13:特定のテンプレート指向相補的形成により産生される、ピレンエキシマー活性(実例)
ピレンエキシマー蛍光を、標的テンプレート上のCLOSEオリゴヌクレオチドの分子的近接を証明するために利用でき、したがって候補標的の検証手段としての役割を果たす。ヒト・パピローマウイルス(HPV)RNAテンプレートのDNA複製上のピレン標識化オリゴヌクレオチドの特異性を証明するために、次のプロトコルを使用した。
2′O−メチル骨格を有するピレンオリゴヌクレオチド:
PyeTO.1:5′−ピレン−(C6)−UUUCUUCAGGACACAG(SEQ ID番号64)、
PyeTO.2:UCCAGAUGUCUUUGC−(C6)−ピレン−3′(SEQ ID番号65)。
100μlの1倍「P−buffer(P緩衝液)」(10倍濃縮ストックの10μlとして使用:pH7.4で200mMのトリス緩衝液、250mMのNaCl、及び50mMのMgCl2)中で、1nmolのHPVテンプレート(10μl)及びPyeTO.1/PyeTO.2(各2μl)の各々1nmolを混合し、最終的に100μlに仕上げた。チューブを、PyeTO.1/PyeTO.2オリゴヌクレオチドと、HPV−0、HPV−1、HPV−2、HPV−3、HPV−Scr(不規則的に 混ざりあったHPVテンプレート)のテンプレート(図20)との100μl混合物、及びテンプレート無しで、調合した。図21は、野生型及び変異HPVテンプレートでアニール処理された、PyeTO.1及びPyeTO.2を示す。
各々を、80℃で2分間加熱し、室温での冷却を可能にした。チューブを、短時間遠心分離し、その内容物を、黒色の96ウェル・プレートに、1対2の希釈(各ウェルの最終量は50μl)で、添加した。蛍光測定及びBecton−Dickinson社の96ウェルの黒色サイドのプレートに対応したTecan社の分光光度計セットで読み出しを行った(読み出しは、装置に最適化した蛍光設定を伴った、335nm励起/480nm発光の組み合わせであった)。
エキシマーに基づく励起及び発光波長に対応した蛍光を観察し、及び特定テンプレートにのみ対応していた(混合及びテンプレートの無い対照サンプルにおいては、シグナルが無かった)。全てのHPVテンプレートが、エキシマー蛍光を励起したが、最良の結果は、5′と3′−標識化オリゴヌクレオチド間で2塩基を伴うものであった。図21を参照のこと。
実施例14:CLOSE Intersection Software(CLOSE横断解析ソフトウェア)による、CLOSE候補の解析(実例)
CLOSEクローンの同定を促進するために、フリーのオンラインソフトウェアBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)と連携して機能し、the National Center for Biotechnology Information(米国・国立生物工学情報センター)を介して利用可能になるソフトウェアを、開発した(「CLOSE intersection analysis(CLOSE横断解析)」)。この新規ソフトウェアは、BLAST単独では、十分に適合しない、単一テンプレート上でヒットする、不連続CLOSEの同定に特に必要であった。この基本戦略には、ヒトRNA−SeqデータベースのBLAST検索の目的に対応して、配列化されたL−及びR−11−merのCLOSEダイマーの個別処理を含んでいる(これは、RNAテンプレート指向化学連結反応に先立って、L−及びR−CLOSEオリゴヌクレオチド各々の相補的形成の実際状況に匹敵している)。ヒト転写配列間の任意の11−mer配列を検索する場合、かなりの数の不規則完全一致が期待され(不規則11−merは、平均で4.106塩基ごとに見出されるであろう)、及び仮にその厳密さが、完全一致より少なければ、より多数の結果がもたらされることは、明白である(実際には、CLOSE連結反応は、オリゴヌクレオチドごとに多数の不完全一致を含むであろう)。これらの第一配列は、最大20,000ヒットを提供する設定であり、試験ヒットでは、8/11以上の一致を含んでいる。次いでこれらの個別ヒット一覧(XMLファイルとして)を、通常のRNA−Seqのファイル登録に対応してスキャンし、したがって、それらヒットの横断が、特定のL−及びR−CLOSEクローン配列に対して一致するファイルを見出す。これに続き、このプログラムは、ヒット構造に基づいて選別を実施する。「plus/minus(プラス/マイマス)」ヒットだけが、この状況に関連しており、したがって、その他の全てを排除する(標的RNAにおける相補性の相補的形成配列が求められるので、当該インプットCLOSE配列は、デフォルトでは「plus(プラス)」方向にあり、「minus(マイナス)」方向のヒットが要求される)。次いで、L−及びR−検索(完全一致に対しては最大22)の組み合わせに対する一致スコアー、及びさらに「N values(N値)」に基づく2つのレベルで、ヒットのランク付けを実施する。ここでN=当該標的の5′末端に最も近いCLOSE一致配列の5′末端と、当該標的の5′末端に最も遠いCLOSE一致配列の3′末端との間の距離。一方RNAの折り畳み原理は、一次配列の点では、非常に遠い位置にある部位を近接に持ち込むので、低いN値(近接により近い)が、より頻繁であって良い理由であった(完全連続部位は、N=0)。代表的なソフトウェアを、フローチャートとして、図22に描写し、及びまた図23で説明する。
CLOSEソフトウェアの横断ファイルヒットの例を、さらに調べた。MU89黒色腫細胞RNAから取得した、増幅したCLOSEダイマーライブラリーからの、1つの候補は、PLXNA3遺伝子からの転写産物であった。この場合、そのCLOSEL−及びR−部位は、Exo構成であり、及びそのN値は、たった24塩基であった。さらに検討するために、同じPLXNA3配列(一本鎖DNAとして)を、PLXNA3内のCLOSE部位を、実施例11及び12で使用したものと同様に修飾されたクリック・オリゴヌクレオチド10−merでの置換を除いて、生体外テンプレートのモデルとして試験した。これらを、Exo及びEndo構成で、PLXNA3から誘導された隣接配列に配置した。そのようなテンプレートを、10−merのクリック・オリゴヌクレオチドでアニール処理し、及び次いで実施例1のように、クリック触媒の作用試薬を伴って、及びその試薬を伴わずに処理した(図24)。結果は、クリック反応が、いずれの方向性においても起きたことを示した。したがって、Exo構成において観察されたCLOSE相補的形成は、モデルテンプレートにおけるクリック反応性と、互換性であった。
図24に対応したオリゴヌクレオチド配列:
太文字の配列は、上記のクリック・オリゴヌクレオチド1及び2と相補性である部位を示す。
下線の配列は、PLXNA3のCLOSEヒットに対応する、N領域に相当する。
実施例15:モデルエフェクター部分を伴う、テンプレート漸増効果の証明(実例)
生体分子のエフェクター部分アセンブリにおける過剰な標的テンプレートの効果を、過剰な標的テンプレート上のエフェクター部分の予想される隔離及び希釈が原因で、同じテンプレート上の2つのエフェクター部分対が、付随的にテンプレート化アセンブリを指向する頻度を減らすということを、先験的な論法から推論できる(図25)。オリゴヌクレオチド・テンプレートに近接で連結した部位へ相補的形成をしているオリゴヌクレオチド間の、空間的近接位対する読み出しとしてのピレン蛍光(実施例5及び13)を使用して、これを最初に試験した。テンプレートHPV−1(野生型、図20)の変動する量を、各ピレン標識化エフェクター・オリゴヌクレオチド(PYE−TO.1、PYE−TO.2、図14)の一定量の1nmolと混合し、5分/80℃の加熱及び室温での冷却に供し、及び次いでTecan社の分光光度計で蛍光を読みだした(実施例13に示す)。結果は、1対1モル比で蛍光のピークを示し、その後モニターしている間、直線的に減衰した(図26、8倍エフェクターモル過剰において)。
代替試験において、クリック標識化オリゴヌクレオチド間のテンプレート化された生体外反応性を利用した。この場合において、RNAオリゴヌクレオチドが、テンプレートの役割を果たし、高濃度のテンプレートが、除去されない限りそのゲル−バンドアッセイの読み出しを干渉するので、及びそのRNA鎖を、アルカリ加水分解によって容易に除去可能にした。この場合に使用したテンプレート・オリゴヌクレオチドは、以前(実施例11及び12)に使用したものと同じ直鎖状DNAテンプレートのRNA版であった。以前(実施例11及び12)に使用したクリック標識化エフェクターを、各50pmolで使用し、相補性配列を有するRNAテンプレートの変動量と混合し、最初に25μlの1倍M緩衝液(pH7.5で10mMのトリス緩衝液、10mMのMgCl2、50mMのNaCl、1mMのジチオエリトリトール)中でアニール処理した。サンプルを、70℃で1分加熱し、室温に冷却し、及び実施例11と同じ方法で、クリック触媒の作用試薬を伴い、及び伴わずに処理をし、その後脱塩した。次いで、対照サンプル以外の全てを、0.2Mで75μlのNaOH中で、20分間/70℃処理し、1.2Mの酢酸(13.5μl)及び1Mのトリス緩衝液(3.8μl)で中和して、最終容積は100μlであった。サンプルを次いで、20μgのグリコーゲン及び0.3Mの酢酸ナトリウムを伴って、エタノール沈殿(3倍容積)させた。ペレット化及び70%エタノールでの洗浄後、サンプルを、5μlのTEに再溶解させた。これら調合物の各々の1μlを、98%のホルムアミド、10mMのEDTA中で、98℃で5分間の変成を行い、及び15%の変成尿素ゲル上で試験した。ゲル解析は、アルキン加水分解が無い場合、そのRNAテンプレートは可視化でき、その標識化オリゴヌクレオチド間でのクリック反応性を促進するのに効果的であることを示した(図27)。この実験において、MU89RNAを、特異性対照サンプルとして含め、及びテンプレート化エフェクターアセンブリは、見出されなかった。漸増効果もまた、テンプレートとしてのRNAオリゴヌクレオチドで、明確に証明できた。ここで最適なクリック産物形成が、10対1のテンプレート対エフェクター比で起こったが、100対1のテンプレート対エフェクター比では、ほとんど起こらなかった。この一般的な傾向は、これに続く試験においても、再現可能であった。
この蛍光に基づくアッセイは、等量モルのレベルで、ピークの活性を与えた一方で(図26)、当該RNAテンプレート化アセンブリは、少なくとも最大10対1までのモル比において、より高いテンプレートレベルで改善したことは、注目に値した(図27)。この明白な乖離は、それぞれのテンプレートの性質に起因する可能性が非常に高い。このピレンに基づくアッセイにおいて、当該RNAテンプレートが、小さなステムループを形成できるのに対して、当該DNAテンプレートは、二次構造の形成に対してほとんど傾向を示さない(図27)。さらに、RNA二本鎖は、同種のDNAらせん構造を超えて熱安定性を増加させた。したがって、このRNAテンプレートでのDNAオリゴヌクレオチド・エフェクターのアニール処理は、そのRNA鎖自体の内部アニール処理と競合し、最適な結果を与えるためには、等量モルを超えたテンプレートの増量の必要性を示した。そうであっても、そのRNAテンプレートレベルが十分に高い場合、その漸増効果は明白であり、産物量を非常に制限する。全体として、理論的な漸増効果(図25)は、実際の実験システムで明確に証明できるが、しかしエフェクター/テンプレート比それ自体に加えてその他の要因が、テンプレートレベルが、非生産的になるポイントで、影響を及ぼすことができる。
次に、これらの結果は、候補CLOSE標的の発現レベルの測定が、重要な付加的実験目標であることを裏付けている(実施例6及び7)。
図27に対応するオリゴヌクレオチド配列:
太文字の配列は、上記のクリック・オリゴヌクレオチド1及び2と相補性である部位を示す。
実施例16:BCR−ABL標的を伴う、標的指向CLOSE解析(実例)
一般的なCLOSEアプローチとは対照的に、標的指向CLOSEは、既知の腫瘍特異的転写産物に焦点を当てる。発現した腫瘍特異的転座は、CLOSE技術のこの指向形態にとって良いモデルであり、その融合接合部にまたがる両セグメントは、正常な転写産物に対応している。その様な環境において、腫瘍特異の直鎖状連続転座は、本質的に、その接合配列自体に限定される。対照的に、その転写産物の折り畳み(しばしば非常に大きい)は、その転座に固有な複数の不連続部位を産生する潜在性を有する(図28に図解で示すように)。これらの部位は明らかに、CLOSE解析によって見出され、テンプレート化アセンブリ標的としての適用を伴う。
BCR−ABL転座の転写産物は、慢性骨髄性白血病のマーカー及び推進役(融合BCR−ABLキナーゼの発現を介して)、ならびに特定のその他の形質転換状態として長い間知られてきた。これは、この実施例の実験作業に使用した、白血病細胞株のK562において強力に発現する。
K562細胞からの全細胞RNAを、実施例1のように、CLOSE解析の実施に使用し、及びその相補的形成後に、非相補的形成CLOSEオリゴヌクレオチドを、実施例10に記載のプロトコルに従って、除去した。次いで増幅したCLOSE化学連結反応ダイマー(グローバルK562RNA上でテンプレート化)を、その元のCLOSEライブラリーオリゴヌクレオチドと同じセンス鎖に相当する一本鎖の調合に使用した。これを達成するため、ボトム鎖に対して10倍過剰なトップ(望ましい)鎖を伴った、非対称PCRを実施し、またビオチン化した。これらの条件下での35サイクルの増幅の後、そのボトム鎖をもつ全ての産物(完全二本鎖またはそのボトムプライマーまたは部分伸長産物でアニール処理された一本鎖のいずれをも)を、ストレプトアビジン磁性ビーズ上で除去した。このプロセス及びその有用性を、図29に示す。
RNA標的に定めた元の細胞と同じセンス鎖における、一本鎖プローブが、次に必要である。その元のCLOSEの相補的形成を、RNAの折り畳みに供したが(したがって、一次塩基配列の点から分けられた部位の、並置が可能になる)、そのような構造が、その標的指向CLOSE捕捉に対して反復される必要はない。そのL−及びR−CLOSE部位が、不連続部位と相補的形成を行う一方で、必要な事の全ては、L−またはR−領域が、その捕捉プローブに結合することである(図30)。また、全体が天然転写産物の配列を使用することが、不可欠ではない。BCR−ABLの場合において、BCR及びABLの両方に結合しているCLOSEクローンが、完全な腫瘍特異性の確立に必要であり、及び非常に長いプローブ(多様なアイソフォームを伴った、>8kbのもの)を伴うと、BCRまたはABL制限CLOSEクローンを選択する確率が増加するので、その転写産物の切断点領域をまたぐことが不可欠であることを考慮する。その切断点をまたぐ1338塩基のDNAプローブ(1338プローブ)を、その結果使用した(図31)。
正しいセンス鎖に一本鎖を提供するために、その1338プローブを、ビオチン化されたボトム鎖を伴った、逆転写K562RNAから増幅した。その産物のストレプトアビジン磁性ビーズへの結合後に、0.1Mの水酸化ナトリウム/5mMのEDTAで変性(20秒間)し、その後、20μlのグリコーゲン/0.3Mの酢酸ナトリウムで急速なエタノール沈殿を行うことによって、望ましいトップ鎖を取得した。ペレット化及び70%エタノールでの洗浄後、その一本鎖プローブを乾燥し、及びTE緩衝液中で、再構成した。
当該1338プローブ及び一次K562RNA選択CLOSE産物の両者の一本鎖に、30℃で6時間の相補的形成を行い、その後、非結合CLOSE断片を分離する必要がある。この場合には、複数の選択肢がある。1つの非限定的なアプローチは、PippinPrep装置(Sage Science社)を含む、寒天ゲルを使用することである。これを、図32Aに図解で示す。そのようなゲルシステムにおける分離は、CLOSEダイマーオリゴヌクレオチドとプローブ配列間の大きなサイズ差によって、促進する。プローブ及び相補的形成をしたCLOSE鎖は共に移行する。それらの移動は、SYBRゴールド染色、それに続くバンド切除及び核酸溶出によって、同定される。その相補的形成プローブを欠いたCLOSE産物からのプローブとして、同じ移動を伴う模擬バンドを、対照サンプルとして含めて良い(図32A)。
当該プローブと共に移行するCLOSE産物を、再増幅し、及び上記のように一本鎖物質を調合するために使用した。これは、同じプローブを伴った、第一ラウンドのCLOSE選択一本鎖産物の相補的形成、各サイクルの実行で達成可能な、特異的に相補的形成をする配列の濃縮の進展を進める、標的指向CLOSEサイクルを可能にする。少なくとも2サイクル後に、CLOSE産物をクローン化し、及び前述の配列解析に供した。
2サイクル後の結果は、22の配列化クローン産物を示し、50%が、BCR及びABLの両配列との一致を示した(残り部分は、BCRまたはABLのいずれかとの、しかし両方とではなく、一致を示した)。L−及びR−配列の両方と≧8/11の一致を伴うクローンの例示をまた、図32Aに示す。当該プローブは、転写産物全体の二次部分であり、及びL/R部位は、後者の不連続セグメントと相補的形成をしている可能性があるので、両方が、そのプローブ配列に一致しているとは限らないことに留意されたい。しかしながら、同様に、必要な検証要件は、少なくとも1つのCLOSE配列との一致が、そのプローブの境界内に収まることである。前述の、この条件を満たす候補の例示(図32B)は、その接合配列を挟んで不連続であり、及び先に定義したExo構成を示す。
実施例17:化学連結反応対の増幅を可能にする、非天然の5′−5′連結の処理を介した、サンプルからのテンプレート化アセンブリ標的配列または構造の同定(想定事例)
5′−アジドまたは5′−シクロアルキン基を有するオリゴヌクレオチドの別々の集団を合成し、特定隣接配列を伴う不規則経路を持たせた(図33A及び33Bに描写)。折り畳まれたRNA標的構造は、5′−5′または3′−3′末端の間が空間的近接位になり得(図34A及び34B)、非天然鎖の連結を産生するクリック反応性を実現する(図35、5′−5′に対応して示す)。隣接配列は、各オリゴヌクレオチドの1つの末端でプライミング部位(P1及びP2)、及びその他の末端で、酵素再配列及びダイマー増幅を可能にするための短い領域(「adapting sites(適応部位)」、A1及びA2、図35)を含む。各適応部位は、別々の制限酵素(図35のE1及びE2)に対応した認識部位を含み、ここでその各々に対する認識部位は、異なっているが、各々での二本鎖開裂後に産生されたオーバーハングは、連結反応に対して、相互に互換性がある。E1及びE2開裂によって産生されたDNA末端の連結反応において、その結果、連結反応したE1−E2産物は、各酵素によって開裂できない。プライマー部位は、E1及びE2に対して選択された認識配列を排除するように設計されている。
5′−5′化学連結反応の形態は、いかなる核酸ポリメラーゼによっても、直接的には読み出しができないので、もしその活性アジドまたはアルキン基と、その末端5′核酸モイエティーとの間の安定な化学結合の部位が、少なくとも6炭素原子のスペーサーアームまたはスペーサー基によって架橋するならば、上記オリゴヌクレオチドへの5′−アジドまたは5′−シクロアルキン基の化学連結の方法は、重要ではない(図36A及び36B)。いくつかの実施形態において、当該アジド基は、N−ヒドロキシスクシンイミドとの反応を介した、核酸5′末端へ、及びヘキシニル基の結合を介したアルキン基へ連結する。
上記構成の5′−アジド及び5′−シクロアルキン修飾のオリゴヌクレオチドの別々の集団を、対象となる細胞からの全RNA調合物、または互換的に全細胞RNAタンパク質調合物で相補的形成させる。モルによって互いに50対50の混合で、1500塩基の細胞RNAの平均分子量を想定することにより計算したにより、RNA存在量に対して10〜100倍過剰で、及び1〜10マイクログラムの開始RNAと共に、各オリゴヌクレオチド集団と相補的形成を実施する。相補的形成は、2〜16時間で有効となる。
相補的形成の後、近接で誘導された、5′−アジド及び引っ張られた5′シクロアルキンモイエティー間の自然な反応、過剰なオリゴヌクレオチドの除去、及び脱塩を、実施した。次いで、調合物を、RNaseA及びANase1で処理した。その結果得られた調合物には、空間的近接がなく反応が不可能である、過剰な非変化のオリゴヌクレオチド鎖、及び少数の望ましい5′−5′反応産物を含む。
得られた全てのオリゴヌクレオチド鎖は、二本鎖である。これは、プライミング部位1(P1)及び適応部位2(A2)に相補的なフプライマーを使用して達成でき、4つ全てのデオキシヌクレオチド三リン酸、ならびにE.coliのDNAポリメラーゼIのKlenow fragment(クレノウ断片)を有する各々が伸長し、そのため各新規鎖は、5′−5′接合点の範囲まで、伸長される(図37)。
この伸長された二本鎖の直接開裂が生じた場合、不規則領域の配列が、開裂に使用した酵素に対する制限部位の偶発的な出来事を介して開裂されるのは、望ましくない。このような事情から、代替の実施形態では、5−メチル−デオキシシチジン三リン酸、デオキシアデノシン三リン酸、デオキシグアノシン三リン酸、及びチミジン三リン酸塩から成るデオキシヌクレオチド三リン酸混合物を使用し、そのため5−メチルシトシンに対してヘミメチル化された二本鎖が、その不規則領域への相補体に生み出される。5−メチルシトシンのヘミメチル化に感受性である開裂酵素を、結果的に使用する。また、開裂が生じる適用領域A1及びA2においては、ヘミメチル化を防ぐ必要があり、A1領域に相補的な5′−リン酸化鎖は、伸長反応の前に、テンプレートでアニール処理する(適応領域A2は、その非メチル化相補性鎖からのプライミングを介して、非メチル化を維持する。図38)。プライマー伸長の間に、領域A1への相補性鎖が現れてはならないため、T4DNAポリメラーゼなどの、非鎖置換ポリメラーゼを使用する(図38)。領域A1に相補的な5′−リン酸化鎖と新規の伸長鎖との間に結果として生じた切れ目を、T4DNAリガーゼで封止する(図38)。
次いで、その結果できた伸長された二本鎖を、制限部位E2を認識する酵素で、開裂する(図37)。いくつかの実施形態において、この酵素E2は、AgeIに特異的に対応し、4塩基オーバーハングである5′−CCGGを産生する、配列ACCGGTを認識する。
後続のステップにおいて、a)増幅を可能にする、連結反応介在再配列プロセス中の、近接で相補的形成された配列間の連結情報を保存する、b)開裂された配列が、たがいに対して高濃度にあって、それらの再連結反応を進める、微小環境を維持する、及びc)未反応鎖を、個別に単離されたコンパートメントに隔離し、疑似増幅シグナル(近接のテンプレートによって駆動された、元のクリック反応からのものではないシグナル)を与える、それらの連結反応介在の再集合を防ぐ、という条件が課される。これらの条件は、生体外のコンパートメント化によって、達成可能である。
生体外のコンパートメント化は、二本鎖を与えられ、及びE2部位に対応する酵素で開裂された、未反応オリゴヌクレオチド集団及び5′−5′クリック連結反応ダイマーからの個々の分子を含むための、油中水型の微小コンパートメントを作ることによって、達成される。微小コンパートメントは、Davidson et al.,2009によって記述されるように、精密に制御された攪拌条件下で、望ましい内部成分を添加された、試薬グレードの鉱物油及び洗浄剤から形成する(図39)。油中水型の微小コンパートメントの形成時において、各コンパートメントが、同じ緩衝組成物(50mMの酢酸カリウム、1mMのATP及び10mMの酢酸マグネシウムイオンを含む、pH7.9/25℃で20mMのトリス酢酸)、及びタンパク質T4DNAリガーゼの少なくとも1つの複製、ならびにE1部位を認識するタンパク質制限酵素を受け取るように、それら成分が、過剰に存在する。この微小コンパートメントは、非常に過剰に存在する分子種中にあるので、平均してただ1つの連結反応分子が、各コンパートメントに組み入れられる(図39)。同様に、非連結反応断片は、微小コンパートメントに共に分配される(図40)。いくつかの実施形態において、当該E1制限酵素は、XmaIであり、AgeIと互換的な4塩基オーバーハングの5′−CCGGを産生する、配列CCCGGGを認識する。AgeIからのオーバーハング及びXmaI開裂の連結反応において、もたらされる配列は、ACCGGGであり、いずれの酵素によっても開裂ができない。
微小コンパートメントを、2時間/37℃、及び次いで2時間/20℃で培養する。個別の5′−5′化学連結反応ダイマーを有する各コンパートメント内において、XmaIでの開裂の後に、いずれか他のXmaIオーバーハング(元の開裂の逆)との連結反応、または同じコンパートメントに存在する単一のAgeI末端との連結反応が続く(図41)。XmaI−XmaI再連結反応は、XmaIによって、再開裂可能であるが、しかしAgeI−XmaI連結反応は再開裂可能ではなく、及びしたがって各微小コンパートメント中で、必然的に優勢種になる(図42)。オリゴヌクレオチドが、最初に化学連結反応して、ダイマーになっていないコンパートメント(図39)は、この再連結反応/再切断サイクルに関与できない。
次いで、微小コンパートメントを、ジエチルエーテルでの処理によって、破壊する。
RNAテンプレート上で空間的近接位よって選択された、元の不規則集団からの特定のオリゴヌクレオチド対を、前述の再配列プロセスの効力によって、増幅する。
実施例18:化学連結反応対の増幅を可能にする、非天然の3′−3′連結の処理を介した、サンプルからのテンプレート化アセンブリ標的配列または構造の同定(想定事例)
3′−アジドまたは3′−シクロアルキン基を有するオリゴヌクレオチドの別々の集団を合成し、特定隣接配列を伴う不規則経路を持たせる(図43に示す)。
3′−3′化学連結反応の形態は、いかなる核酸ポリメラーゼによっても、直接的には読み出しができないので、その活性アジドまたはシクロアルキン基と、その末端3′核酸モイエティーとの間の安定な化学結合の部位が、少なくとも6炭素原子のスペーサーアームまたはスペーサー基によって架橋するならば、前述のオリゴヌクレオチドへの3′−アジドまたは3′−シクロアルキン基の化学連結の方法は、重要ではない(図44A及び44B)。いくつかの実施形態において、当該アジド基は、N−ヒドロキシスクシンイミドとの反応を介した、核酸3′末端へ、及びヘキシニル基の結合を介したシクロアルキン基へ、連結する。
上記構成の3′−アジド及び3′−シクロアルキン修飾のオリゴヌクレオチドの別々の集団を、対象となる細胞からの全RNA調合物、または互換的に全細胞RNAタンパク質調合物と相補的形成を行う。モルによって互いに50対50の混合で、1500塩基の細胞RNAの平均分子量を想定することにより計算した、RNA存在量に対して10〜100倍過剰で、及び1〜10マイクログラムの開始RNAと共に、各オリゴヌクレオチド集団と相補的形成を実施する。相補的形成は、2〜16時間で効力を発揮する。
相補的形成の後、近接で誘導された、5′−アジド及び引っ張られた5′シクロアルキンモイエティー間の自然な反応、過剰なオリゴヌクレオチドの除去、及び脱塩を、実施する。その結果得られた調合物には、空間的近接がなく反応が不可能である、過剰な非変化のオリゴヌクレオチド鎖、及び少数の望ましい3′−3′反応産物を含む。
得られた全てのオリゴヌクレオチド鎖は、二本鎖である。これは、プライミング部位2(P2)及び適応部位1(A1)に相補的なプライマーの使用によって効果的であり得て、及び全てで4つのデオキシヌクレオチド三リン酸、及びE.coliのDNAポリメラーゼIのKlenow fragment(クレノウ断片)を有する各々を伸長し、そのため各新規鎖は、3′−3′接合点まで、伸長される(図45)。
この伸長された二本鎖の直接開裂が生じた場合、不規則領域の配列が、開裂に使用した酵素に対する制限部位の偶発的な出来事を介して開裂されるのは、望ましくない。このような事情から、代替の実施形態では、5−メチル−デオキシシチジン三リン酸、デオキシアデノシン三リン酸、デオキシグアノシン三リン酸、及びチミジン三リン酸塩から成るデオキシヌクレオチド三リン酸混合物を使用し、そのため5−メチルシトシンに対してヘミメチル化された二本鎖が、その不規則領域への相補体に生み出される。いくつかの実施形態において、5−メチルシトシンのヘミメチル化に感受性である開裂酵素を、結果的に使用する。また、開裂が生じる適用領域A1及びA2においては、ヘミメチル化を防ぐ必要があり、A2領域に相補的な5′−リン酸化鎖は、伸長反応の前に、テンプレートでアニール処理する(適応領域A1は、その非メチル化相補性鎖からのプライミングを介して、非メチル化を維持する。図16)。プライマー伸長の間に、領域A1への相補性鎖が置き換えられてはならないので、T4DNAポリメラーゼなどの、非鎖置換ポリメラーゼを使用するべきである(図16)。領域A1に相補的な5′−リン酸化鎖と新規の伸長鎖との間に生じた切れ目を、T4DNAリガーゼで封止する(図46)。
次いで、その結果できた伸長された二本鎖を、制限部位E2を認識する酵素で、開裂する。いくつかの実施形態において、この酵素E2は、AgeIに特異的に対応し、4塩基オーバーハングである5′−CCGGを産生する、配列ACCGGTを認識する。
後続のステップにおいて、a)増幅を可能にする、連結反応介在再配列プロセス中の、近接で相補的形成された配列間の連結情報を保存する、b)開裂された配列が、たがいに対して高濃度にあって、したがってそれらの再連結反応を進める、微小環境を維持する、及びc)未反応鎖を、個別に単離されたコンパートメントに隔離し、疑似増幅シグナル(近接のテンプレートによって駆動された、元のクリック反応からのものではないシグナル)を与える、それらの連結反応介在の再集合を防ぐ、という条件が課される。これらの条件は、生体外のコンパートメント化によって、達成可能である。
生体外のコンパートメント化は、油中水型の微小コンパートメントを作ることによって達成され、未反応オリゴヌクレオチド集団、及び二本鎖を与えられ、ならびにE2部位に対応する酵素で開裂された、3′−3′クリック連結反応ダイマーからの個々の分子を含む。微小コンパートメントは、Davidson et al.,2009によって記述されるように、精密に制御された攪拌条件下で、望ましい内部成分を添加された、試薬グレードの鉱物油及び洗浄剤から形成される(図47)。油中水型の微小コンパートメントの形成時において、各コンパートメントが、同じ緩衝組成物(50mMの酢酸カリウム、1mMのATP及び10mMの酢酸マグネシウムイオンを含む、pH7.9/25℃で20mMのトリス酢酸)、及びタンパク質T4DNAリガーゼの少なくとも1つの複製、ならびにE1部位を認識するタンパク質制限酵素を受け取るように、それら成分が、過剰に存在する。この微小コンパートメントは、非常に過剰に存在する分子種中にあるので、平均してただ1つの連結反応分子が、各コンパートメントに組み入れられる(図47)。同様に、非連結反応断片も、微小コンパートメントに分配される(図48)。この非限定的な実施形態において、当該E1制限酵素は、XmaIであり、AgeIと互換的な4塩基オーバーハングの5′−CCGGを産生する、配列CCCGGGを認識する。AgeIからのオーバーハングとXmaI開裂との連結反応において、もたらされる配列は、ACCGGGであり、いずれの酵素によっても開裂ができない。
微小コンパートメントを、2時間/37℃、及び次いで2時間/20℃で培養する。個別の3′−3′化学連結反応ダイマーを有する各コンパートメント内において、XmaIでの開裂の後に、いずれか他のXmaIオーバーハング(元の開裂の逆)との連結反応、または同じコンパートメントに存在する単一のAgeI末端との連結反応が続く(図49)。XmaI−XmaI再連結反応は、XmaIによって、再開裂可能であるが、AgeI−XmaI連結反応は再開裂可能ではなく、したがって各微小コンパートメント中で、必然的に優勢種になる(図50)。オリゴヌクレオチドが、最初に化学連結反応して、ダイマーになっていないコンパートメント(図48)は、この再連結反応/再切断サイクルに参加できない。
次いで、微小コンパートメントを、ジエチルエーテルでの処理によって、破壊する。
RNAテンプレート上で空間的近接位よって選択された、元の不規則集団からの特定のオリゴヌクレオチド対を、前述の再配列プロセスの効力によって、増幅する。
実施例19:オリゴヌクレオチド対間の化学連結反応が、直接のポリメラーゼ読み通しと互換的でない、5′−3′連結の処理を介した、サンプルからのテンプレート化アセンブリ標的配列または構造の同定(想定事例)
いくつかの場合において、ポリメラーゼによる直接の読み通しが不可能なクリック基との、5′−3′近接連結に対応した選別は、有用または重要である。これに関連して、1)事前に活性化されたクリック反応体(例えば、鎖状シクロオクチンで)を使用する場合、Cu(I)触媒の必要性を回避すること、及び2)事前に活性化されたクリック反応体が、Cu(I)触媒の存在に対する要求が存在する場合、困難または不可能である、生体細胞内の選別に利用できることという少なくとも2つの主要因を、取り扱い可能である。
5′−及び3′−クリック基を有するオリゴヌクレオチドの個別集団を合成する。ポリメラーゼ読み通しに対する要求は無いので、(5′−シクロアルキン+3′−アジド)または(5′−アジド+3′−シクロアルキン)のいずれか一組の集団を、利用できる。全てのオリゴヌクレオチドが、特定隣接配列を伴う不規則経路を有する(図51に示す)。隣接配列は、酵素による再配列及びダイマーの増幅を可能にするための、各オリゴヌクレオチドの片方の末端にプライマー部位(P1及びP2)を、その他の末端に、短い領域(「adapting sites(適応部位)」、A1及びA2)を構成要素として持ち、酵素転位およびダイマーの増幅を可能にする。各適応部位は、個別の制限酵素(図51のE1及びE2)に対する認識部位を含み、そこで各々のその認識部位は、異なっているが、各々による二本鎖開裂後に産生されるオーバーハングは、連結反応に対して互いに互換的である。E1及びE2による開裂によって産生されたDNA末端の連結反応において、得られる連結反応E1−E2産物は、いずれの酵素によっても開裂されない。プライマー部位は、E1及びE2から選択された認識配列を排除するように設計する。
実施例4において、いかなる核酸ポリメラーゼによっても直接的に読み出し可能である、5′−3′化学連結反応に対する要求は無いので、もしその活性アジドまたはアルキン基と、その末端核酸モイエティーとの間の安定な化学結合の部位が、少なくとも6炭素原子のスペーサーアームまたはスペーサー基によって架橋するならば、前述のオリゴヌクレオチドへのアジドまたはシクロアルキン基の化学連結の方法は、重要ではない(図52A、52B、52C、及び52D)。いくつかの実施形態において、当該アジドモイエティーは、N−ヒドロキシスクシンイミドとの反応を介した、核酸5′末端または3′末端のいずれかと、及び付加されたシクロオクチン基の形態で、核酸5′末端または3′末端のいずれかへのアルキンモイエティーと連結する。
上記構成のアジド及びアルキン修飾のオリゴヌクレオチドの別々の集団を、対象となる細胞からの全RNA調合物、または互換的に全細胞RNAタンパク質調合物で相補的形成させる。モルによって互いに50対50の混合で、1500塩基の細胞RNAの平均分子量を想定した計算により、RNA存在量に対して10〜100倍過剰で、及び1〜10マイクログラムの開始RNAと共に、各オリゴヌクレオチド集団と相補的形成を実施する。相補的形成は、2〜16時間で達成される。
Cu(I)触媒の必要性を無くすように、アジドと非常に近接にある、引っ張られたアルキン基間で加速された反応性の結果として、クリック反応性が、直接的に生じる。
当該Cu(I)触媒の要求を回避することを前提として、細胞内相補的形成に対応して、標識化したオリゴヌクレオチド集団を、生体細胞に導入する。増幅が可能になる望ましい再配列を有効にするために、制限酵素による開裂の必要性がある場合を除いて、ヌクレアーゼ耐性ホスホジエルテル骨格または糖モイエティーを伴って、ハイブリッド・オリゴヌクレオチドを合成する(図53A及び53B)。全てのオリゴヌクレオチド末端(クリック基で封止されたものを含む)を、修飾されたセグメントから構成する。これらが、制限部位を含むA1及びA2を構成要素とする場合、正常塩基及び骨格を伴うそのA1及びA2を、エクソ核酸の攻撃を抑止するために、修飾された骨格を伴う3塩基によって伸長する。これらオリゴヌクレオチドの修飾セグメントには、非限定的に、2′−O−メチル−ヌクレオチド、及びホスホチオエート・ヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態において、部分的ヌクレアーゼ耐性・オリゴヌクレオチドを、非限定的に、Lipofectamine及びFugeneを含む、市販の形質導入試薬によって、対象となる標的細胞に導入する。
相補的形成の後で、本方法は、リボヌクレアーゼでの処理に関して、実施例2のように進める。細胞内選別が行われる実施形態において、細胞を破壊し、RNase及びプロテアーゼの両方での処理に供す。プロテアーゼ処理には、非限定的に、Proteinase K(プロテイナーゼK)を含む。処理後、ゲルサイズ排除クロマトグラフィーによって、低分子量産物を枯渇させる。
その結果得られた調合物には、空間的近接の欠如を介し反応することが不可能であった、過剰な未変化オリゴヌクレオチド鎖、及び望ましい5′−3′反応産物を含む。得られた全てのオリゴヌクレオチド鎖は、二本鎖であった。これは、適応部位1(A1)及び適応部位2(A2)に相補的なプライマーを使用して、達成でき、全てで4つのデオキシヌクレオチド三リン酸、ならびにE.coliのDNAポリメラーゼIのKlenow fragment(クレノウ断片)を有する各々が伸長し、そのため各新規鎖は、5′−3′接合点から、またはその範囲まで、伸長される(図54)。
修飾された核酸が、細胞内選別に対応して使用される実施形態において、そのプライマー伸長手順を、修正する。リボースモイエティーが、2′−O−メチル誘導体として修飾される場合、上述と同じA1及びA2プライマーを使用し、クレノウ断片の代わりに、逆転写酵素を伸長目的に使用して良い。
この伸長された二本鎖の直接開裂が生じた場合、不規則領域の配列が、開裂に使用した酵素に対する制限部位の偶発的な出来事を介して開裂されるのは、望ましくない。このような事情から、5−メチル−デオキシシチジン三リン酸、デオキシアデノシン三リン酸、デオキシグアノシン三リン酸、及びチミジン三リン酸塩から成るデオキシヌクレオチド三リン酸混合物を使用し、そのため5−メチルシトシンに対してヘミメチル化された二本鎖が、その不規則領域への相補体に生み出される。いくつかの実施形態において、5−メチルシトシンのヘミメチル化に感受性である開裂酵素を、結果的に使用する(適応領域A1及びA2は、非メチル化相補性鎖からのプライミングを介して、非メチル化を維持する。図54)。
次いで、その結果できた伸長された二本鎖を、制限部位E2を認識する酵素で、開裂する。この非限定的な例示において、この酵素E2は、AgeIに特異的に対応し、4塩基オーバーハングである5′−CCGGを産生する、配列ACCGGTを認識する。
後続のステップにおいて、a)増幅を可能にする、連結反応介在再配列プロセス中の、近接で相補的形成された配列間の連結情報を保存する、b)開裂された配列が、その他と比べて高濃度にあって、したがってそれらの再連結反応を進める、微小環境を維持する、及びc)未反応鎖を、個別に単離されたコンパートメントに隔離し、疑似増幅シグナル(近接のテンプレートによって駆動された、元のクリック反応からのものではないシグナル)を与える、それらの連結反応介在の再集合を防ぐ、という条件が課される。これらの条件は、生体外のコンパートメント化によって、達成可能である。
生体外のコンパートメント化は、油中水型の微小コンパートメントを作ることによって達成され、未反応オリゴヌクレオチド集団、及び二本鎖を与えられ、ならびにE2部位に対応する酵素で開裂された、5′−3′クリック連結反応ダイマーからの個々の分子を含む。微小コンパートメントは、Davidson et al.,2009によって記述されるように、精密に制御された攪拌条件下で、望ましい内部成分を添加された、試薬グレードの鉱物油及び洗浄剤から形成される(図55)。油中水型の微小コンパートメントの形成時において、各コンパートメントが、同じ緩衝組成物(50mMの酢酸カリウム、1mMのATP及び10mMの酢酸マグネシウムイオンを含む、pH7.9/25℃で20mMのトリス酢酸)、及びタンパク質T4DNAリガーゼの少なくとも1つの複製、ならびにE1部位を認識するタンパク質制限酵素を受け取るように、それら成分が、過剰に存在する。この微小コンパートメントは、非常に過剰に存在する分子種中にあるので、平均してただ1つの連結反応分子が、各コンパートメントに組み入れられる(図55)。同様に、非連結反応断片も、微小コンパートメントに分配される(図56)。いくつかの実施形態において、当該E1制限酵素は、XmaIであり、AgeIと互換的な4塩基オーバーハングの5′−CCGGを産生する、配列CCCGGGを認識する。AgeIからのオーバーハングとXmaI開裂との連結反応において、もたらされる配列は、ACCGGGであり、いずれの酵素によっても開裂ができない(図57)。
微小コンパートメントを、2時間/37℃、及び次いで2時間/20℃で培養する。個別の5′−3′化学連結反応ダイマーを有する各コンパートメント内において、XmaIでの開裂の後に、他のXmaIオーバーハング(元の開裂の逆)との連結反応、または同じコンパートメントに存在する単一のAgeI末端との連結反応のいずれかが続く。XmaI−XmaI再連結反応は、XmaIによって、再開裂可能であるが、しかしAgeI−XmaI連結反応はそうではなく、したがって各微小コンパートメント中で、必然的に優勢種になる(図58)。未反応オリゴヌクレオチドを含むコンパートメントを、その他の潜在的に連結反応が可能な分子から、コンパートメント化する(図56)。
次いで、微小コンパートメントを、ジエチルエーテルでの処理によって、破壊する。RNAテンプレート上で空間的近接位よって選択された、元の不規則集団からの特定のオリゴヌクレオチド対を、前述の再配列プロセスの効力によって、増幅する。
実施例19の別の実施形態において、微小コンパートメントとの「communication(情報伝達)」は、Miller et al.,Nature Methods,2006,3,561−570によって記述されているように、ナノサイズ液滴によって、達成される。
実施例20:モデルシステムでのCLOSE再配列プロセスの封じ込めに対応する、生体外コンパートメント化の検証(実例)
酵素による再配列プロセス、及び単一分子の再配列を含むための生体外コンパートメント化の能力は、その結果として各CLOSEダイマーに組み込まれた情報を保持するものだが、この両方を実証することが望まれていた。これにアプローチする最も効果的な方法は、その配列を互いに区別できるように提供する、特定のクリック標識化オリゴヌクレオチドを使用することであった。
実施例20に対応するオリゴヌクレオチド配列(A〜D):
ここで「Azide(アジド)」は、N−ヒドロキシサクシンイミド中間体を介して結合したアジド基であり、及び「hexynyl(ヘキシニル)」は、6炭素の直鎖状スペーサーによって、DNAキャリアーから分離されたアルキンを意味する。下線の配列は、制限部位を示し、AはNcoI、BはXbaI、CはBamHI、DはAsp718Iである。太文字の配列は、実施例17、18、及び19で、不規則化された領域に対応している。配列CTCCATAACCCA(SEQ ID番号75)及びAGGAGAAGGAGA (SEQ ID番号76)は各々、増幅に対応して切り取られた、順(センス鎖)及び逆(アンチセンス鎖)プライマー部位である。
モデルのオリゴヌクレオチドA〜Dは、制限部位の消化によって(二本鎖として)、または各オリゴヌクレオチドに特異的に伸長されたプライマーを伴ったPCR増幅によって、互いに区別できる。
当該モデルの第一段階において、オリゴヌクレオチドA〜Dの4つ全ての可能なアジド−アルキンの組み合わせを、高濃度(10pmol/μl、50μl容積)で混合し、実施例1のように、同様の反応後の脱塩を伴って、非テンプレート化で触媒支援のクリック反応に供した。変性アクリルアミドゲルの反応を試験した際、より高い見掛け分子量(モノマー分子量の約2倍)での「top(トップ)」バンド、及び元のバンドよりやや遅い移動性を伴う「bottom(ボトム)」バンドの、二相性のクリック特異的バンドパターンを、再現性良く観察した。トップ及びボトムの両バンドを、分取ゲルから切除によって精製し、レーン飽和を避けるために複数のレーンを粉砕し(図59)、及びオリゴヌクレオチドを拡散させ、その後沈殿及び再構成と続けた。
この時点では、どちらかまたは両方のバンドが、増幅を可能にする酵素再配列プロセスを受けることができるかどうかをテストする必要があると判断された(実施例17、18、及び19)。フリーのソリューションソフトウェアでこのプロセスを実行すると、各クリック分子からの情報を保持しないが、酵素要件は一定であり、この場合の成功はまた、その再配列プロセス自体を実証する。トップ及びボトムの両バンドのサンプルは、クレノウDNAポリメラーゼ I断片、dNPTs、および適切なプライマーで、最初に二重鎖を提供した。
モデルまたは実際の5′−5′ライブラリーのオリゴヌクレオチド二本鎖を提供するためのプライマー:
E1−Ext:GGATCACCGGT(SEQ ID番号77)、
Trz.R:GCCTCTAAGTCTCCTTCTCCT(SEQ ID番号78)。
次いでこの二本鎖調合物を、XmaI及びAgeIを伴いまたは伴わず、次にT4DNAリガーゼを伴いまたは伴わずに処理した。これに続いて、サンプルを、プライマーTrz.F(CATCTCCACCTCCATAACCCA)(SEQ ID番号79)、及びTrz.R(上記)で増幅し、ならびに非変性アクリルアミドゲル上で試験した。予想サイズ(68bp)のバンドは、トップ及びボトムの両調合物に観察されたが、制限酵素による消化と 再連結反応の両方の後にのみ、計画された再配列プロセスを完全に支持していた(図60)。トップ及びボトムの両バンドは、5′−5′付加体であることが結論づけられ、高速移行のボトムバンドは、自己折り畳みの変性耐性形態である可能性が最も高かった。このモデルプロセスの継続のために、そのトップバンドを使用した。そのボトムバンドより明確に低い収率ではあったが、そのトップバンドを、未反応モノマーから、はるかに簡単に除去した。
したがって、4つの可能な 5′−5′付加体(図59)のサンプルは、変性ゲル上で本質的に純粋であることが示された(図61)。これらのサンプル(1pmol)を、上記のクレノウ酵素で伸長し、次いでXmaI/AgeI及びT4DNAリガーゼを伴う再連結反応で試験を行った。それぞれの付加体に加えて、異種成分オリゴヌクレオチドを伴った、2つの付加体混合物もまた、その再配列試験に含めた。これらは、付加体BH+FH(それぞれ元のオリゴヌクレオチドA/B及びC/Dの5′−5′接合に対応している)、及び付加体DH+HH(それぞれ元のオリゴヌクレオチドA/D及びC/Bの5′−5′接合に対応している)であった。酵素処理の後、すべての付加物調合物は、増幅可能な物質であることが示されたが(図60と同じプロセス及びプライマーで)、しかし酵素無しで観察されたものはなかった(図62)。
この時点で、不自然な化学連結反応からのCLOSE情報の欠如を伴わずに、分子固有の再配列を可能にする、IVCの成功を評価するために、モデルのオリゴヌクレオチド検出システムを使用することが可能になった。このシステムの原理を、図63に図解で示す。特定の 5′−5′付加物を、分離して保持する場合、均質な溶液中にまたは成功した微小コンパートメント化を介して、再配列可能な1つだけの産物が、利用可能になる。しかしながら、仮に同じ構成の異なる付加体が、混合される場合(または仮にそのIVCが、不適切な場合)、その連結反応ステップ中に、異なる付加体間の交差が起きて、特定の5′−5′CLOSEオリゴヌクレオチドに含まれる情報を破壊するであろう。仮にそれぞれの元のオリゴヌクレオチド配列(A−D)に特異的なPCRプライマーが設計できるならば、多様なプライマーの組み合わせでの増幅パターンは、付加体再配列の状態を、直接的に示すであろう。
元のクリック標識化オリゴヌクレオチドA−Dに対して、望ましい特異性を有するプライマーを設計した。ここでは、特異的なプライマー対が、特定の直接的な(単位分子)再配列、または特定の交差産物を増幅することを、意図していた。例えば、当該BH付加体に対しては、再配列後、その望ましいプライマーが、B−A配列だけを増幅し、同様に当該BH付加体に対しては、正しいプライマーは、D−C配列だけを特異的に増幅する必要がある。そのBH及ぶFH付加体を混合する場合、望ましい特異的なプライマーの組み合わせに対して、B−C、及ぶD−Aの、2つの可能な交差産物が形成できる。そのような混合物内では、その交差産物と同様に、その「direct(直接)」産物も形成可能であることに留意の必要がある。
そのBH及びFH付加体の調合物を、それらが、二本鎖を形成した後で使用し、及び再配列のためにAgeI/XmaI/DNAリガーゼ処理に供した。これらを、単一付加物としておよび混合物として(BH+FH付加物)高い感度で実施した。このBH及びFH付加体の直接再配列に特異的であるように設計したプライマー対は、要求を満たしていた(同質再配列、または当該BH+FH混合物だけから見られる産物である)ことが判った(図64)。この2つの可能性のある交差プライマー対の内、1つ(B−C交差に対して)は、低いが検出可能な交差特異性(BH単独による産物を示して)を示したが、しかしその他の交差プライマー対(D−A)は、高い特性を示した(図64)。いずれのプライマー対も、交差の有無を証明するのに十分なため、このプライマーを、さらに使用した。
再配列及び交差試験に対応するオリゴヌクレオチド配列:これらは、A−D再配列のいずれの組み合わせをも増幅する、一般プライマーTrz.F及びTrz.R(上記)の伸長であった。
直接B
H再配列に特異的なプライマー:
直接F
H再配列に特異的なプライマー:
B
H−F
H交差再配列#1(B−C)に特的なプライマー:
Trz.F+Te/Trz.R+Ae(上記)、
B
H−F
H交差再配列#2(D−A)に特的なプライマー:
Trz.F+Ae/Trz.R+Ce(上記)。
太字の配列は、Trz.F及びTrz.Rの3′末端を超えた伸長に対応している。
追加の対照試験もまた実施することが望ましく、ここでそれぞれ再配列したBH及びFH付加体のサンプルを、PCR(これは、このBH及びFH付加体を、それ自体の再配列プロセス前に混合した反応とは異なり、ここでは、図64に示すように、交差が促進される)の直前に、別々に混合した。この一組の第二対照サンプルで、人工のPCR効果を介したこのシステムにおいて、交差が生じるかどうかを試験する。そのようなPCR誘導の交差効果が、発生しなかったことを見出した(図65)。
この確認されたプライマー特異性を伴って、当該モデルオリゴヌクレオチドを使用して、生体外コンパートメント化の試験を実行することができた。ここで、AgeI(実施例17、図39)及びXmaI/T4DNAリガーゼ/緩衝液/1mMのATPで予備切断した、二本鎖の5′−5′付加体を、エマルジョン形成に必要なオイル及び界面活性剤と混合した、(AgeIでの予備切断は、このエマルジョン混合物への含有に対する、酵素への要件を簡素化する)。XmaI及びT4DNAリガーゼの両方が、1mMのATPの存在下での1倍のCutSmart緩衝液(New England Biolabs社)中で活性であったことが、最初に示されたので、したがって、エマルジョン形成に対応した混合に使用した。もしエマルジョン及びコンパートメント化が成功すれば、再配列が、そのエマルジョン自体の中で進行することが可能になった後は、予備切断されたBH及びFH付加体が、最初に存在しても、検出の必要がある交差産物は存在しない。
エマルジョン混合物を、Triton−X100を省略したことを除き、Davidson et al.,Current Protocols in Molecular Biology,2009,24.6.1−24.6.12の方法によって、調合した。エマルジョン自体を、950μlの鉱物油(分子生物学グレード、Sigma社)、45μlのSpan−80(Sigma社)及び5μlのTween−80(Sigma社)に相当するエマルジョン混合物として、粘度の高い液体を吐出するために、常にポジティブディスプレイスメント方式ピペット(Gilson社)を使用した方法に従って、作り出した。AgeI−予備切断付加体(事前に決めた量で)または対照サンプルの50μlの混合物を、XmaI及びT4DNAリガーゼを含み、1mMのATPを伴う、1倍のCutSmart緩衝液中で、調合した(エマルジョン形成の直前に、酵素だけを添加し、及び全ての調合物を、0℃の氷上で冷やし続けた)。エマルジョン混合物を、13mlのチューブに収め(17X95mm、VWR Scientific社)、及び9.5X9.5mmのスピンバー(Fisher Scientific社)の添加前に冷やし、ならびに氷ベアリングフラスコに含まれている13mlのチューブ中で混合し、及び1150rpm で2分間、Corning社のPC−410D攪拌機で遠心分離した。これに続いて、冷やした付加体/緩衝液/酵素の混合物(50μl)を、回転しているエマルジョンの上層にゆっくり添加し(10X5μl分割量)、その後、遠心分離をさらに10分間続けた。いくつかの試験において、その後に、微小液滴サイズを均質化するために、追加の超音波処理のステップを行った。破壊の間チューブを冷やしながら、中強度で3秒間の超音波破壊を5ラウンド行った。次いで、そのエマルジョンを、注意深く2mlチューブに移し、及び30℃で1時間、さらに25℃で4時間の培養を行った。50μl容積で、対照反応を、上記のように用意したが、乳化処理には供しなかった。培養期間の最後に、そのエマルジョンを、ジエチルエーテルで破壊した。最初に、500μlのトリス緩衝生理食塩水を、各チューブに加え(次いで氷上に保持した、非乳化の対照サンプルを含む)、次いで、段階を分けて、各回で2分/13,000rpmの遠心分離を伴って、1倍の0.5mlのエーテル、2倍の1.0mlエーテル、1倍の0.5mlエーテルの抽出手順を使用した。全ての水相中の物質(非乳化の対照サンプルを含む)を次いで、40μgのグリコーゲン/0.3Mの酢酸ナトリウム/3倍容積のエタノールで沈殿させ、70%エタノールで洗浄し、及び10μlのTE中で再構成した。
各々エマルジョン介在のコンパートメント化を伴ったまたは伴わない酵素再配列条件下で、それぞれBH及びFH付加体(AgeIde予備切断)の「high consentration(高濃度)」としての5.109分子、及び「low consentration(低濃度)」としての108分子のインプットで、試験を実施した。
検出感度を高めるために、乳化後産物の解析に、入れ子形式のプライマー戦略を使用した。上記再配列特異性プライマーに対して、一組の第一ラウンドプライマーの各5′を使用した。
Trz.F+T:CATCTCCACCTCCATAACCCAT(上記配列、Trz.F+Teの上流)(SEQ ID番号84)、
Trz.R+C:GCCTCTAAGTCTCCTTCTCCTC(上記配列、Trz.R+Ceの上流)(SEQ ID番号85)、
Trz.F+A:CATCTCCACCTCCATAACCCAA(上記配列、Trz.F+Aeの上流)(SEQ ID番号86)、
Trz.R+A:GCCTCTAAGTCTCCTTCTCCTA(上記配列、Trz.R+Aeの上流)(SEQ ID番号87)。
そのような実験結果を、図66に示す。期待したように、たとえ低濃度付加体であっても、コンパートメント化が無い状態で、BH及びFHの両再配列産物が、交差バンドを伴って観察された(レーンL−Ct,図66)。高濃度付加体を、乳化のためにスピン及び超音波の両方に供し、また明確な交差バンドを示した(レーンH−Sc、図66)。しかしながら、低濃度付加体混合物は、乳化に対してスピンのみか、またはスピン+超音波に供したかに関わらず、交差の証拠がなく、直接BH及びFH再配列産物のバンドだけを示した。
以下のことが結論付けられた。1)このモデルシステムは、生体外微小コンパートメント内における、再配列プロセス封じ込めに対する検証試験であった。2)多量の付加体混合物は、そのIVCプロセスを飽和状態にすることができ、非コンパートメント化物質を存続させ、及び交差を生じさせることができる。及び3)適切な量(108分子またはそれ以下)の付加体混合物は、そのIVCによって含有され得、分子特異の再配列が、検出され得る。
実施例21:環状化及び逆PCRによる、CLOSE5′−3′結合クローンの増幅(想定事例)
非増幅可能な5′−3′CLOSE接合(しかし5′−5′または3′−3′ではない)の場合において、微小コンパートメント化に加えて、互換的な戦略が存在する。ここで、接合したCLOSEの一本鎖の5′及び3′末端は、定義された配列であり、そのため各々に対する相補的オリゴヌクレオチドを、アニール処理でき、したがって、自己連結反応の目的に対応した5′−オーバーハングを与える(末端に定められた配列を有するCLOSEクローンは、自己環状化を生じるのに適切な長さである)。酵素による環状化において、プライマーP1及びP2(図67)は、その不規則領域内に持ち込まれた情報(各CLOSEクローンに特異的な配列)を含んで、逆増幅を可能にする。
この環状化は、望ましい分子内環状化とは対照的に、分子間連結反応の可能性を最小限に抑えるために、低濃度で実行される必要がある。
本明細書に記載されたものに加えて、記載された主題の様々な修正が、前述の説明から、当業者には明らかであろう。そのような修正もまた、付随の請求項の範囲内に収まることを意図している。本出願に載った各参照(非限定的に、学術文献、米国及び米国以外の特許、特許出願の広報、国際特許出願の広報、遺伝子バンク登録番号などを含む)は、その全体を参照として、本明細書に組み入れる。