JP2018203807A - 重合開始剤及び該重合開始剤を含有する硬化性組成物 - Google Patents

重合開始剤及び該重合開始剤を含有する硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】反応性が高いため、硬化性に優れ、接着剤や各種コーティング材料等各種用途において有用な硬化性組成物を与えうる重合性開始剤、並びにそれを用いた硬化性組成物を提供すること。【解決手段】本発明の重合開始剤は、フェノール化合物を少なくとも一種含有する。上記フェノール化合物が、ハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基で置換されたフェノール化合物であることが好ましい。上記ハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子がフッ素原子であることも好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、フェノール系重合開始剤及び該重合開始剤を含有する硬化性組成物に関する。
重合開始剤を含有する硬化性組成物は、インキ、塗料、各種コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において用いられている。
例えば、下記特許文献1及び2には、カチオン重合開始剤を含有する硬化性組成物が記載されている。
また、下記特許文献3には、エポキシ硬化剤としてフェノール化合物を含有する透明フィルムが記載されている。
更に、非特許文献1には、置換されたフェノール化合物を開始剤として用いたエポキシ化合物のカチオン重合について記載されており、非特許文献2には、フッ素化合物存在下で開始されるグリシジルエーテルの重合について記載されている。
特開2008−189821号公報 特開2011−219583号公報 特開2010−168525号公報
Macromolecules Vol.37,No.5 P.1671−1673 JOURNAL OF POLYMER SCIENCE PART A:POLYMER CHEMISTRY 2011,49,5210−5216
本発明の目的は、反応性の高いフェノール系重合開始剤、及び、該フェノール系重合開始剤を含有する硬化性組成物を提供することにある。
本発明は、ハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基で置換されたフェノール化合物を少なくとも一種含有する硬化性組成物を提供することで、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、上記重合開始剤(A)及び重合性有機物質(B)を含有する硬化性組成物並びにその硬化物を提供するものである。
本発明のフェノール系重合開始剤は反応性が高く、該フェノール系重合開始剤を含有する硬化性組成物は、硬化性が高いため、接着剤、各種コーティング材料等各種用途において有用なものである。
以下、本発明の重合開始剤、硬化性組成物並びにその硬化物について詳細に説明する。
本発明の重合開始剤は、フェノール化合物を少なくとも一種含有する。
上記フェノール化合物としては、特に制限されず公知の化合物を用いることができるが、例えば、下記群より選択されるものが挙げられる。
Figure 2018203807
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61、R62、R63、R64、R65、R66、R67、R68、R69、R70、R71、R72、R73、R74、R75、R76、R77、R78、R79、R80、R81、R82、R83、R84及びR85は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、炭素原子数2〜20の複素環含有基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基又はハロゲン原子を表し、上記アルキル基及びアリールアルキル基中のアルキレン部分は、不飽和結合、−O−、−S−又は−CO−O−、−O−CO−で置換されている場合もある。)
Figure 2018203807
(式中、R88、R89、R90、R91、R92、R93、R94、R95、R96、R97、R98、R99、R133、R134、R135、R136、R137、R138、R139、R140、R141、R142、R143、R144、R145、R146、R147、R148、R149、R150、R151、R152、R153、R154、R155、R156、R157、R158、R159、R160、R161、R162、R163、R164、R165、R166、R167、R168、R169、R170、R171、R172、R173、R174、R175、R176、R177、R178、R179、R180、R181、R182、R183、R184、R185、R186、R187、R188、R189及びR190は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、炭素原子数2〜20の複素環含有基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基又はハロゲン原子を表し、上記アルキル基及びアリールアルキル基中のアルキレン部分は、不飽和結合、−O−、−S−又は−CO−O−、−O−CO−で置換されている場合もあり、R191、R192及びR193は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、M、M、M及びMは、それぞれ独立に、直接結合、メチレン基、炭素原子数1〜4のアルキリデン基、脂環式炭化水素基、O、S、SO、SS、SO、CO、OCO、下記式(V−1)、(V−2)あるいは(V−3)で表される群から選ばれる置換基を表す。)
Figure 2018203807
(R109、R110、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119、R120、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131及びR132は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、炭素原子数2〜20の複素環含有基、又はハロゲン原子を表し、上記アルキル基及びアリールアルキル基中のアルキレン部分は、不飽和結合、−O−又は−S−で置換されている場合もあり、R109、R110、R111、R112、R117、R118、R119、R120、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131及びR132は、隣接するR109、R110、R111、R112、R117、R118、R119、R120、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131及びR132同士で環を形成している場合もある。)
上記群中の化合物において、R〜R190で表される炭素原子数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、iso−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、t−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、テトラフルオロエチル、トリフルオロエチル、ジフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘキサフルオロプロピル、ペンタフルオロプロピル、テトラフルオロプロピル、トリフルオロプロピル、パーフルオロブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等が挙げられ、
〜R190で表される炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、iso−プロピルオキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、iso−ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ等が挙げられ、
〜R190で表される炭素原子数6〜20のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセン−1−イル、フェナントレン−1−イル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、4−ビニルフェニル、3−イソプロピルフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−イソブチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−ペンチルフェニル、2,5−ジ−t−アミルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ビフェニル、2,4,5−トリメチルフェニル、4−クロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、4−トリクロロフェニル、4−トリフルオロフェニル、パーフルオロフェニル等が挙げられ、
〜R190で表される炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル、4−クロロフェニルメチル等が挙げられ、
〜R190で表される炭素原子数2〜20の複素環含有基としては、ピロリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペラジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリジル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ユロリジル、モルフォリニル、チオモルフォリニル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等が挙げられ、
〜R190で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
上記群中の化合物においてM〜Mで表される式(V−1)、(V−2)及び(V−3)で表される群から選ばれる置換基において、R109〜R132で表される炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、炭素原子数2〜20の複素環含有基及びハロゲン原子としては、上記R〜R190で例示したものが挙げられ、
隣接するR109、R110、R111、R112、R117、R118、R119、R120、R125、R126、R127、R128、R129、R130、R131及びR132同士で形成してもよい環としては、例えば、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ラクタム環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環等の複素環、あるいはシクロペンタン環、シクロヘキサン環等の環状アルカン、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環等の芳香環等が挙げられ、これらの環は他の環と縮合されていたり、置換されていたりしていてもよい。
上記群中の化合物の中でも、ハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基で置換されたフェノール化合物が、後述のエネルギー照射時における反応率が高いので好ましく、中でも多官能フェノール化合物が好ましい。
ハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基で置換されたフェノール化合物としては、上記群中に示された化合物であって化合物中のベンゼン環又はナフタレン環に結合した水素原子のいずれか1つ又は2つ以上がハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基に置換された化合物が好ましく、水酸基が結合したベンゼン環又はナフタレン環に結合した水素原子のいずれかがハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基に置換された化合物がより好ましい。水酸基に結合したベンゼン環において、ハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基は、該水酸基に対して、オルト、パラ、メタのいずれの位置に結合している場合もある。また、水酸基に結合したナフタレン環において、水酸基と、ハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基との関係は、1,2位置換、1,3位置換、1,4位置換、1,5位置換、1,6位置換、1,7位置換、1,8位置換、2,3位置換、2,6位置換、2,7位置換のいずれである場合もある。ハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基である置換基の数は、フェノール化合物中、1〜5であることが好ましく、4〜5であることがより好ましい。
上記のハロゲン原子及び上記ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子は、フッ素原子であることが、本発明の重合開始剤の反応性を更に高める点や硬化物の硬度を高める点からより一層好ましい。
フェノール化合物が多官能フェノール化合物である場合、該多官能フェノール化合物は、一のベンゼン環又はナフタレン環に2以上の水酸基を有する化合物である場合もあり、或いは、1つの水酸基を有するベンゼン環又はナフタレン環が上記のM1〜M4で表される基を介して2つ以上結合した化合物である場合もある。
フェノール化合物は、反応性を高める点から、分子量が100以上800以下であることが好ましく、100以上500以下であることがより好ましい。
従来公知の重合開始剤は金属を腐食する恐れがあるが、本発明では、フェノール化合物を重合開始剤として用いることにより、硬化物作成の過程において発生した水素イオンがフェノール化合物に戻るため、金属を腐食しないという効果が得られる。
本発明の重合開始剤は、カチオン重合開始剤又はアニオン重合開始剤として機能する。
本発明の硬化性組成物は、上記重合開始剤(A)及び重合性有機物質(B)を含有する。
後述の重合性有機物質(B)に対する上記重合開始剤(A)の使用割合は特に限定されず、本発明の目的を阻害しない範囲内で概ね通常の使用割合で使用すればよいが、例えば、重合性有機物質(B)100モル%に対して、重合開始剤(A)が好ましくは0.1〜20モル%、より好ましくは1〜15モル%とすることができる。少なすぎると硬化が不十分となりやすく、多すぎると硬化物の吸水率や硬化物強度などの諸物性に悪影響を与える場合がある。
本発明に使用する上記重合性有機物質(B)は、活性エネルギー線照射又は加熱により活性化した重合開始剤により高分子化又は、架橋反応を起こす化合物であり、カチオン重合性有機物質としては、脂環式エポキシ化合物(B1)、脂肪族エポキシ化合物(B2)、芳香族エポキシ化合物(B3)、オキセタン化合物(B4)、ビニルエーテル化合物(B5)等が挙げられる。アニオン重合性有機物質としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
上記脂環式エポキシ化合物(B1)の具体例としては、シクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。たとえば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、プロパン−2,2−ジイル−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−2−エポキシエチルシクロヘキサン、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン,ポリ[オキシ−(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル)]]誘導体、ヘキサン二酸ビス[(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−イル)メチル]、α−ピネンオキシド、リモネンジオキシド等が挙げられ、これらは一種又は二種以上を混合して用いることができる。
脂環式エポキシ化合物(B1)としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート又は3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレートが、密着性向上の観点から好ましい。
上記脂環式エポキシ化合物(B1)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000、サイクロマーM100(ダイセル社製);CYRACURE UVR−6128(ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、カチオン重合性である場合、重合性有機物質(B)100質量%に対して、脂環式エポキシ化合物(B1)が、0〜70質量%、特に20〜65質量%であることが、粘度、塗工性及び反応性が向上するので好ましい。ここでいう脂環式エポキシ化合物(B1)の量には、後述する重量平均分子量が1000〜500000であるポリマーの量は含めないものとする(以下の脂肪族エポキシ化合物(B2)の量、芳香族エポキシ化合物(B3)の量、及び、多官能エポキシ化合物の量も同様である)。
上記脂肪族エポキシ化合物(B2)とは、上記脂環式エポキシ化合物(B1)や後述の芳香族エポキシ化合物(B3)に分類されないエポキシ化合物を指し、該脂肪族エポキシ化合物の具体例としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル等の単官能エポキシ化合物や、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル等の多官能エポキシ化合物が挙げられる。代表的な化合物として、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12〜13混合アルキルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。更に、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルや高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられ、これらは一種又は二種以上を混合して用いることができる。
脂肪族エポキシ化合物(B2)としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物あるいは脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物が、粘度、塗工性及び反応性が向上するので好ましく、更に、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが好ましい。
上記脂肪族エポキシ化合物(B2)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、デナコールEX−121、デナコールEX−171、デナコールEX−192、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−321、デナコールEX−411、デナコールEX−421、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−611、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−622、デナコールEX−810、デナコールEX−811、デナコールEX−850、デナコールEX−851、デナコールEX−821、デナコールEX−830、デナコールEX−832、デナコールEX−841、デナコールEX−861、デナコールEX−911、デナコールEX−941、デナコールEX−920、デナコールEX−931(ナガセケムテックス社製);エポライトM−1230、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF(共栄社化学社製)、アデカレジンEP−4088S、アデカグリシロールED−503、アデカグリシロールED−503G、アデカグリシロールED−506、アデカグリシロールED−523T(ADEKA社製)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、カチオン重合性である場合、重合性有機物質(B)100質量%に対して、脂肪族エポキシ化合物(B2)が、0〜70質量%、特に20〜65質量%であることが、粘度、塗工性及び反応性が向上するので好ましい。
上記芳香族エポキシ化合物(B3)とは、エポキシ基を複数有し芳香環を含むエポキシ化合物を指し、該多官能芳香族エポキシ化合物の具体例としては、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール等、少なくとも1個の芳香族環を有する1価フェノール又は、そのアルキレンオキサイド付加物のモノ/ポリグリシジルエーテル化物、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、又はこれらに更にアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテル化物やフェノールノボラック型エポキシ化合物;レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル;ベンゼンジメタノールやベンゼンジエタノール、ベンゼンジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル化物;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボン酸を有する多塩基酸芳香族化合物のポリグリシジルエステル、安息香酸やトルイル酸、ナフトエ酸等の安息香酸類のポリグリシジルエステル、安息香酸のグリシジルエステル、スチレンオキサイド又はジビニルベンゼンのエポキシ化物等が挙げられ、これらは一種又は二種以上を混合して用いることができる。
中でも、フェノール類のポリグリシジルエーテル、アルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル化物、多価フェノール類のポリグリシジルエーテル化物、安息香酸類のポリグリシジルエステル、多塩基酸類のポリグリシジルエステルの群から選ばれる少なくとも一種を含有することが、硬化性組成物の低粘度化の観点から好ましい。
上記芳香族エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールE型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物が、硬化性に優れるため好ましい。
上記芳香族エポキシ化合物(B3)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、デナコールEX−121、デナコールEX−145、デナコールEX−146、デナコールEX−147、デナコールEX−201、デナコールEX−203、デナコールEX−711、デナコールEX−721、オンコートEX−1020、オンコートEX−1030、オンコートEX−1040、オンコートEX−1050、オンコートEX−1051、オンコートEX−1010、オンコートEX−1011、オンコート1012(ナガセケムテックス社製);オグソールPG−100、オグソールEG−200、オグソールEG−210、オグソールEG−250(大阪ガスケミカル社製);HP4032、HP4032D、HP4700(DIC社製);ESN−475V(新日鉄住金化学社製);エピコートYX8800(三菱化学社製);マープルーフG−0105SA、マープルーフG−0130SP(日油社製);エピクロンN−665、エピクロンHP−7200(DIC社製);EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、XD−1000、NC−3000、EPPN−501H、EPPN−501HY、EPPN−502H、NC−7000L(日本化薬社製);アデカレジンEP−3300E、アデカレジンEP−3950S、アデカレジンEP−4000、アデカレジンEP−4005、アデカレジンEP−4100、アデカレジンEP−4901(ADEKA社製);TECHMORE VG−3101L(プリンテック社製)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、カチオン重合性である場合、重合性有機物質(B)100質量%に対して、芳香族エポキシ化合物(B3)が0〜70質量%、特に20〜65質量%であることが、硬化性向上の観点から好ましい。
本発明の硬化性組成物は、重合性有機物質(B)が多官能エポキシ化合物を含有することが、硬化性向上や硬化物の硬度向上の点から好ましい。多官能エポキシ化合物としては、上記脂環式エポキシ化合物(B1)、脂肪族エポキシ化合物(B2)又は芳香族エポキシ化合物(B3)であって多官能のものが挙げられる。硬化性向上や硬化物の硬度向上の観点から、本発明の硬化性組成物は、カチオン重合性である場合、重合性有機物質(B)100質量%に対して、多官能エポキシ化合物が0〜90質量%、特に20〜80質量%であることが好ましい。
上記オキセタン化合物(B4)としては、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、3−エチル−3−(3−エチル−3−オキセタニルメチルオキシメチル)オキセタン、キシリレンビスオキセタン等の二官能オキセタン化合物、3―エチル―3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3―エチル―3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3―エチル―3−(クロロメチル)オキセタン等の一官能オキセタン化合物等が挙げられ、一官能脂肪族オキセタン化合物が、粘度及び反応性の点から好ましい。これらは1種単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記オキセタン化合物(B4)としては、カチオン重合性モノマーを主成分とする市販品のものを用いることができ、例えば、アロンオキセタンOXT−121、OXT−221、EXOH、POX、OXA、OXT−101、OXT−211、OXT−212(東亞合成社製)、エタナコールOXBP、OXTP(宇部興産社製)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、カチオン重合性である場合、重合性有機物質(B)100質量%に対して、オキセタン化合物(B4)が0〜80質量%、特に20〜75質量%であることが、粘度、塗工性及び反応性が向上するので好ましい。
上記ビニルエーテル化合物(B5)としては、例えばジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,6−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物には、更に重量平均分子量1000〜500000であるポリマーであって、下記(i)〜(v)より選択されるポリマー(以下、単にポリマーともいう)を加えることができる。
(i)下記式(I)で表される単量体の重合体。
(ii)下記式(II)で表される単量体の重合体。
(iii)下記式(I)で表される単量体から選択される二種以上の単量体の共重合体。
(iv)下記式(II)で表される単量体から選択される二種以上の単量体の共重合体。
(v)下記式(I)で表される単量体及び下記式(II)で表される単量体の共重合体。
上記ポリマーとしては、それを構成する単量体が、下記(I)’か、下記(II)’を含むことが好ましい。
(I)’:下記式(I)で表される化合物であって、該式(I)中のXが、エポキシ基、オキセタン基、水酸基及びカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換された炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数6〜12のアリールオキシ基又は炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基である化合物。
(II)’:下記(II)で表される化合物であって、下記式(II)中のX’が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基及びカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換された炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、又は炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基である化合物。
Figure 2018203807
(式中、Xは、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数6〜12のアリールオキシ基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基、又はこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基及びカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものである)
Figure 2018203807
(式中、R194は、水素原子、メチル基又はハロゲン原子を表し、X’は、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基、又はこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基及びカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものである。)
上記式(I)中のXで表される炭素原子数1〜7のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、iso−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、iso−ヘプチル、tert−ヘプチル等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1〜4のアルキル基、又は、エポキシ基、オキセタン基、水酸基及びカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で部分的に置換された炭素原子数1〜4のアルキル基が、硬化性の点から好ましい。
上記式(I)中のXで表される炭素原子数1〜7のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、iso−プロピルオキシ、ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、iso−ブチルオキシ、アミルオキシ、iso−アミルオキシ、tert−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、2−ヘキシルオキシ、3−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4−メチルシクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、2−ヘプチルオキシ、3−ヘプチルオキシ、iso−ヘプチルオキシ、tert−ヘプチルオキシ等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1〜4のアルキル基、又は、エポキシ基、オキセタン基、水酸基及びカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で部分的に置換された炭素原子数1〜4のアルコキシ基が、硬化性の点から好ましい。
上記式(I)中のXで表される炭素原子数6〜12のアリール基としては、フェニル、メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。
上記式(I)中のXで表される炭素原子数6〜12のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ、メチルフェニルオキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
上記式(I)中のXで表される炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基としては、シクロへキシル、メチルシクロヘキシル、ノルボルニル、ビシクロペンチル、ビシクロオクチル、トリメチルビシクロヘプチル、トリシクロオクチル、トリシクロデカニル、スピロオクチル、スピロビシクロペンチル、アダマンチル、イソボルニル等が挙げられる。
上記式(I)において、Xの一部がエポキシ基又はオキセタン基で置換されている場合における、式(I)で表される単量体としては、例えば、下記式(1)〜(3)で表される単量体が挙げられる。
Figure 2018203807
(式中、R195は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、mは、1〜6の整数である。)
Figure 2018203807
(式中、R196は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、nは、1〜6の整数である。)
Figure 2018203807
(式中、R197は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、sは、1〜6の整数である。)。
上記式(II)において、R194で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。X’で表される炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基及び炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基としては、Xで表される炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基及び炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基として上記で例示したものが挙げられる。
上記式(II)において、X’の一部がエポキシ基又はオキセタン基で置換されている場合における、式(II)で表される単量体としては、下記式(4)〜(6)で表されるものが挙げられる。
Figure 2018203807
(式中、R194は、上記式(II)と同じであり、R198は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、tは、1〜6の整数である。)
Figure 2018203807
(式中、R194は、上記式(II)と同じであり、R199は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、qは、1〜6の整数である。)
Figure 2018203807
(式中、R194は、上記式(II)と同じであり、R200は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、yは、1〜6の整数である。)。
上記ポリマーにおいて、該ポリマーを構成する単量体の使用割合は、上記(I)’又は上記(II)’に該当する単量体が10〜100質量%となるように用いるのが、接着性が向上するので好ましい。
上記有機物質(B)に対する上記ポリマーの使用割合は、上記有機物質(B)100質量部に対し、10〜30質量部、好ましくは15〜20質量部である。
本発明の硬化性組成物には、更に、公知の重合開始剤を加えることができる。公知のカチオン重合開始剤としては、例えば、活性エネルギー線の照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、又はその誘導体が挙げられる。かかる化合物の代表的なものとしては、下記一般式、
[A]r+[B]r-
で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
ここで陽イオン[A]r+はオニウムであることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[(R2aQ]r+
で表すことができる。
更にここで、R2は炭素原子数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでいてもよい有機の基である。aは1〜5なる整数である。a個のR2は各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記の如き有機の基であることが好ましい。QはS、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F及びN=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオン[A]r+中のQの原子価をqとしたとき、r=a−qなる関係が成り立つことが必要である(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
また、陰イオン[B]r-は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[LYbr-
表すことができる。
更にここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属又は半金属(Metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Yはハロゲン原子である。bは3〜7なる整数である。また、陰イオン[B]r-中のLの原子価をpとしたとき、r=b−pなる関係が成り立つことが必要である。
上記一般式の陰イオン[LYbr-の具体例としては、過塩素酸イオン(ClO4、テトラフルオロほう酸イオン(BF、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF等の無機イオン;フルオロスルホン酸イオン(FSO3、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン、カンファースルホン酸イオン、ノナフルオロブタンスルホン酸イオン、ヘキサデカフロロオクタンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン;テトラアリールほう酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう酸イオン等のほう酸イオン;メタンカルボン酸イオン、エタンカルボン酸イオン、プロパンカルボン酸イオン、ブタンカルボン酸イオン、オクタンカルボン酸イオン、トリフルオロメタンカルボン酸イオン、ベンゼンカルボン酸イオン、p−トルエンカルボン酸イオン等のカルボン酸イオン;(CFCFPF 、(CFCFCFPF 、((CFCFCFPF 、((CFCFCFPF 等のフッ素化アルキルフルオロリン酸イオン;トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3-、メチル硫酸イオン(CHOSO、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン等を挙げることができる。
また、陰イオン[B]r-は、下記一般式、
[LYb-1(OH)]r-
で表される構造のものも好ましく用いることができる。
上記[(R2aQ]r+
で表される構造を有するカチオンの例としては、下記群I又は群IIに記載のものが挙げられる。

Figure 2018203807
Figure 2018203807
また、その他フェノール化合物以外の重合開始剤の好ましいものとしては、(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の鉄−アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物等も挙げることができる。
これらの中でも、実用面と光感度の観点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体を用いることが好ましく、下記一般式(IV)で表される芳香族スルホニウム塩が、感度の点から更に好ましい。
Figure 2018203807
(式中、R201、R202、R203、R204、R205、R206、R207、R208、R209及びR210は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基又は炭素原子数2〜10のエステル基を表し、R211、R212、R213及びR214は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、R215は、下記(α)〜(γ)より選択されるいずれかの置換基を表し、Anq−はq価の陰イオンを表し、pは電荷を中性にする係数を表す。)
Figure 2018203807
(式中、R221、R222、R223、R224、R225、R226、R227、R228、R229、R230、R231、R232、R233及びR234は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基又は炭素原子数2〜10のエステル基を表し、R235、R236、R237、R238、R239、R230、R241、R242、R243、R244、R245、R246、R247及びR248は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
上記カチオン重合開始剤としては市販品を用いることもでき、例えば、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6976、サイラキュアUVI−6990、サイラキュアUVI−6992、サイラキュアUVI−950(米国ユニオンカーバイド社製)、イルガキュア250、イルガキュア261、イルガキュア270、イルガキュアPAG103、イルガキュアPAG121、イルガキュアPAG203、イルガキュアPAG290、イルガキュアCGI725、イルガキュアCGI1380、イルガキュアCGI1907及びイルガキュアGSID26−1(BASF社製)、SP−150、SP−151、SP−170、SP−171、SP−172(ADEKA社製)、DAICATII(ダイセル社製) 、UVAC1591(ダイセル・オルネクス社製)、CI−2481、CI−2734、CI−2823、CI−2758(日本曹達社製)、FFC509(3M社)、サンエイドSI−45L、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−110L、サンエイドSI−150L及びサンエイドSI−180L(三新化学社製)、BBI−102、BBI−103、BBI−105、BBI−106、BBI−109、BBI−110、BBI−201、BBI、301、BI−105、DPI−105、DPI−106、DPI−109、DPI−201、DTS−102、DTS−103、DTS−105、NDS−103、NDS−105、NDS−155、NDS−159、NDS−165、TPS−102、TPS−103、TPS−105、TPS−106、TPS−109、TPS−1000、MDS−103、MDS−105、MDS−109、MDS−205、MPI−103、MPI−105、MPI−106、MPI−109、DS−100、DS−101、MBZ−101、MBZ−201、MBZ−301、NAI−100、NAI−101、NAI−105、NAI−106、NAI−109、NAI−1002、NAI−1003、NAI−1004、NB−101、NB−201、NDI−101、NDI−105、NDI−106、NDI−109、PAI01、PAI−101、PAI−106、PAI−1001、PI−105、PI−106、PI−109、PYR−100、SI−101、SI−105、SI−106及びSI−109(みどり化学社製)、カヤキュアーPCI−204、カヤキュアーPCI−205、カヤキュアーPCI−615、カヤキュアーPCI−625、Kayarad 220及びKayarad 620、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(日本化薬社製)、SP−150、SP−170、SP−171(ADEKA社製)等が挙げられる。
公知のアニオン重合開始剤としては、アルカリ金属、n−CLi、NaNH、Na−ナフタレン、Grignard試薬、ROLi、K−ベンゾフェノン、NaOH、NR、HO、ROH等が挙げられる。
本発明の重合開始剤(A)に対する上記フェノール化合物以外の重合開始剤の使用割合は、上記重合開始剤(A)100質量部に対し、公知の重合開始剤0〜10質量部であることが好ましい。
本発明には、更にシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤としては例えばエポキシ官能性アルコキシシランを用いることができ、例えば、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記グリシジルエポキシ基を有するシランカップリング剤としては市販品を用いることもでき、例えば、D2632、G0261、G0210、T2675(東京化成社製);KBM−303、KBM−402、KBM−403、KBE−402、KBE−403(信越シリコーン社製)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、増感剤及び/又は増感助剤を用いることができる。増感剤は、重合開始剤(A)が示す極大吸収波長よりも長い波長に極大吸収を示し、重合開始剤(A)による重合開始反応を促進させる化合物である。また増感助剤は、増感剤の作用を一層促進させる化合物である。
増感剤及び増感助剤としては、アントラセン系化合物、ナフタレン系化合物等が挙げられる。
アントラセン系化合物としては、例えば、下式(IIIa)で表されるものが挙げられる。
Figure 2018203807
(式中、R251及びR252は、各々独立に炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数2〜12のアルコキシアルキル基を表し、R253は水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)
上記式(IIIa)で表されるアントラセン系化合物の具体例を挙げると、次のような化合物がある。
9,10−ジメトキシアントラセン、
9,10−ジエトキシアントラセン、
9,10−ジプロポキシアントラセン、
9,10−ジイソプロポキシアントラセン、
9,10−ジブトキシアントラセン、
9,10−ジペンチルオキシアントラセン、
9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、
9,10−ビス(2−メトキシエトキシ)アントラセン、
9,10−ビス(2−エトキシエトキシ)アントラセン、
9,10−ビス(2−ブトキシエトキシ)アントラセン、
9,10−ビス(3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、
2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、
2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、
2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、
2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジイソプロポキシアントラセン、
2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン、
2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジペンチルオキシアントラセン、
2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセンなど。
ナフタレン系化合物としては、例えば、下式(IIIb)で表されるものが挙げられる。
Figure 2018203807
(式中、R254及びR255は各々独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を表す)
上記式(IIIb)で表されるナフタレン系化合物の具体例を挙げると、次のような化合物がある。
4−メトキシ−1−ナフトール、
4−エトキシ−1−ナフトール、
4−プロポキシ−1−ナフトール、
4−ブトキシ−1−ナフトール、
4−ヘキシルオキシ−1−ナフトール、
1,4−ジメトキシナフタレン、
1−エトキシ−4−メトキシナフタレン、
1,4−ジエトキシナフタレン、
1,4−ジプロポキシナフタレン、
1,4−ジブトキシナフタレンなど。
上記重合性有機物質(B)に対する増感剤及び増感助剤の使用割合は特に限定されず、本発明の目的を阻害しない範囲内で概ね通常の使用割合で使用すればよいが、例えば、上記重合性有機物質(B)の100質量部に対して、増感剤及び増感助剤それぞれ0.1〜3質量部以上であるのが、硬化性向上の観点から好ましい。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて熱可塑性有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。該熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート−ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物には、特に制限されず通常用いられる上記(A)及び(B)の各成分を溶解又は分散しえる溶媒を用いることができ、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;プロピレンカーボネート、カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられ、これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。
本発明の硬化性組成物は、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、支持基体上に塗布される。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
上記支持基体の材料としては、特に制限されず通常用いられるものを使用することができ、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4'−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等の高分子材料が挙げられる。
尚、上記支持基体に、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を行ってもよい。
また、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて他のモノマー、他のエネルギー線感受性重合開始剤、無機フィラー、有機フィラー、顔料、染料などの着色剤、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、レべリング剤、難燃剤、チクソ剤、希釈剤、可塑剤、安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、静電防止剤、流動調整剤、接着促進剤等の各種樹脂添加物等を添加することができる。
本発明の硬化性組成物を活性エネルギー線の照射により硬化させる場合、活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などを挙げることができ、紫外線が経済的に最も好ましい。紫外線の光源としては、紫外線レーザー、水銀ランプ、キセノンレーザ、メタルハライドランプなどが挙げられる。
本発明の硬化性組成物を加熱により硬化させる場合の条件は、70〜250℃で1〜100分である。プレベイク(PAB;Pre applied bake)した後、加圧して、ポストベイク(PEB;Post exposure bake)してもよいし、異なる数段階の温度でベイクしてもよい。加熱条件は各成分の種類及び配合割合によって異なるが、例えば、70〜180℃で、オーブンなら5〜15分間、ホットプレートなら1〜5分間である。その後、塗膜を硬化させるために180〜250℃、好ましくは200〜250℃で、オーブンなら30〜90分間、ホットプレートなら5〜30分間加熱処理することによって硬化膜を得ることができる。
活性エネルギー線照射によりオリゴマーを形成するが、オリゴマーの末端にフェノシキドアニオンが入り込むことにより反応が停止する。そこで80℃以上に加熱することにより、オリゴマーの末端のフェノキシドアニオンが乖離して再び重合が始まり、ポリマーを形成することができ、前記オリゴマーは潜在性オリゴマーとしても機能する。
本発明の硬化性組成物の具体的な用途としては、光学フィルム、偏光板、接着剤、メガネ、撮像用レンズに代表される光学材料、塗料、コーティング剤、自動車内外装材料、ライニング剤、インキ、レジスト、液状レジスト、印刷版、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート等のレンズシートのレンズ部、又はこのようなシートを用いたバックライト等、マイクロレンズ等の光学レンズ、光学素子、光コネクター、光導波路、光学的造形用注型剤等を挙げることができる。
例えば光学フィルムとして適用する場合には、基材として、金属、木材、ゴム、プラスチック、ガラス、セラミック製品等を用い、基材に本発明の硬化性組成物を上述の手段で塗布し、上述の手段で光照射又は加熱して硬化させる。光学フィルムの代表的な構成としては、透明支持体に、必要に応じて、下塗り層、反射防止層、ハードコート層、ガスバリア層、潤滑層、粘着剤層等の各層を設けたものが挙げられる。
また、支持基体としては、基材に無機材料を用い、上記の方法により塗布した膜、あるいは真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、イオンアシスト法、反応性スパッタリング法、化学的気相成長法等の各種蒸着法により作製した膜を積層したものを用いることもできる。
蒸着法により膜を積層する場合、基材としては、ガラスを用いるのが好ましく、膜厚は、使用する無機材料の種類等によっても異なるが、例えば、5〜300nmである。蒸着膜は、基板の片面のみに形成させてもよいし、あるいは基板の両面に形成させてもよい。
上記無機材料としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、インジウム(In)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、アンチモン(Sb)等の酸化物や、インジウム・スズ複合酸化物(ITOと略す。)、アンチモン・スズ複合酸化物(ATOと略す。)等の複合酸化物を使用することができる。
以下、実施例等を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下、本発明の硬化性組成物及び該硬化性組成物を硬化して得られる硬化物に関し、実施例、評価例及び比較例により具体的に説明する。尚、実施例及び比較例では部は質量部を意味する。
[実施例1〜28、比較例1〜3]
下記の[表1]〜[表5]に示す配合で各成分を十分に混合して、各々実施組成物1〜28、比較組成物1〜3を得た。尚、[表1]〜[表5]の配合に係る数値は、重合開始剤(A)については重合性有機物質(B)を100質量%としたときのモル%を表し、その他の成分については質量部を表す。
重合開始剤(A)としては、下記の化合物(A−1)〜(A−6)を用いた。
A−1:2,3−ジフルオロフェノール
A−2:ペンタフルオロフェノール
A−3:3−フルオロカテコール
A−4:テトラフルオロハイドロキノン
A−5:オクタフルオロビフェノール
A−6:4−フルオロフェノール
重合性有機物質(B)としては下記の化合物(B1−1)〜(B1−2)、(B2−1)、(B3−1)、(B2−2)及び(B4−1)〜(B4−2)を用いた。
化合物B1−1:セロキサイド2021P(脂環式エポキシ:ダイセル社製)
化合物B1−2:セロキサイド3000(脂環式エポキシ:ダイセル社製)
化合物B2−1:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
化合物B3−1:アデカレジンEP−4100L(ビスフェノールA型多官能エポキシ:ADEKA社製)
化合物B2−2:アデカレジンEP−4088S(ジシクロペンタジエン型多官能エポキシ:ADEKA社製)
化合物B4−1:アロンオキセタンOXT−221(オキセタン:東亞合成社製)
化合物B4−2:アロンオキセタンOXT−101(オキセタン:東亞合成社製)
ポリマーとしては、下記の化合物(C−1)及び(C−2)を用いた。
化合物C−1:メチルメタクリレート70質量部とグリシジルメタクリレート30質量部の共重合体(重量平均分子量8000)
化合物C−2:メチルメタクリレート70質量部とグリシジルメタクリレート30質量部の共重合体(重量平均分子量15000)
その他の重合開始剤としては下記の化合物A’−1を用いた。
化合物A’−1:下記式(S−1)で表される化合物及び下記式(S−2)で表される化合物の混合物の50質量%プロピレンカーボネート溶液
Figure 2018203807
Figure 2018203807
Figure 2018203807
Figure 2018203807
Figure 2018203807
Figure 2018203807
Figure 2018203807
[評価例1〜28、比較評価例1〜3]
上記実施例1〜28で得られた実施組成物及び比較例1〜3で得られた比較組成物について、下記(硬度)又は(密着性)の評価を行った。結果を上記[表1]〜[表5]に示す。
(硬度)
実施組成物及び比較組成物を石英管に入れて密封し、UV照射装置(アイグラフィックス社高圧水銀灯)にて露光した。露光した組成物をスクリュー管に入れ密閉し、オーブンにて80℃3時間加熱して硬化物を得た。この硬化物のショア硬度Aを測定した。
(密着性)
実施組成物及び比較組成物を石英管に入れて密封し、UV照射装置(アイグラフィックス社高圧水銀灯)にて露光した。露光した組成物を各種基材にワイヤーバーコーターを用いて膜厚約30μmとなるよう塗工し、オーブンにて60℃で2時間加熱した後、80℃で2時間、100℃で2時間加熱することで各種基材上に硬化膜を得た。
各種基材は以下の通りである。
・ガラス
・PMMA:テクノロイ125S001(住友化学社製)
・TAC:FT TD 80 ULM(富士フィルム社)
得られた硬化膜の被膜表面の密着性を、JIS K5600(付着性;クロスカット法)に記載の方法に準拠し評価した。前記試験には、セロハン粘着テープ(ニチバン株式会社製、CT−18)を使用した。評価は以下の基準に従って行った。
◎:基材上から剥離した被膜のマス目がなく、基材上に残存した被膜のマス目数が100個であったもの
○:基材上に残存した被膜のマス目数が90〜99個であったもの
△:基材上に残存した被膜のマス目数が70〜89個であり密着性が不良のもの
×:基材上に残存した被膜のマス目数が69個以下であり密着性が著しく不良のもの
尚、前記試験後に前記未処理PET基材上に残存した被膜のマス目の数を算出した。表中に「100/100」と記載したものは、100個のマス目全てが基材上に残存していたものを指し、「96/100」は、100個のマス目のうち、96個が基材上に残存しており、4個のマス目が粘着テープによって基材上から剥離されたものを指す。
[表1]〜[表5]より、本発明の硬化性組成物はその硬化物が硬度又は基材への密着性に優れ、高い硬化性を有することが明らかである。

Claims (7)

  1. フェノール化合物を少なくとも一種含有する重合開始剤。
  2. 上記フェノール化合物が、ハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基で置換されたフェノール化合物である請求項1に記載の重合開始剤。
  3. 上記ハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子がフッ素原子である請求項2に記載の重合開始剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合開始剤(A)及び重合性有機物質(B)を含有する硬化性組成物。
  5. 上記重合性有機物質(B)が多官能エポキシ化合物を含む請求項4に記載の硬化性組成物。
  6. 請求項4又は5に記載の硬化性組成物を、活性エネルギー線を照射すること又は加熱により硬化させる硬化物の製造方法。
  7. 請求項4又は5に記載の硬化性組成物の硬化物。
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