JP2018012766A - 硬化性組成物、硬化物の製造方法、およびその硬化物 - Google Patents

硬化性組成物、硬化物の製造方法、およびその硬化物 Download PDF

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智志 渡辺
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Abstract

【課題】硬化物のガラス転移温度、接着性および弾性率が高く、低粘度である硬化性組成物、硬化物の製造方法、およびその硬化物を提供する。【解決手段】カチオン硬化性成分(A)100質量部に対して、カチオン重合開始剤(B)1〜10質量部を含有する硬化性組成物であって、カチオン硬化性成分(A)が、塩素含有量が1質量%以下である1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(A1)を必須成分とするものであり、さらに、増感剤を含有することが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物、硬化物の製造方法、およびその硬化物に関し、詳しくは、硬化物のガラス転移温度、接着性および弾性率が高く、低粘度である硬化性組成物、硬化物の製造方法、およびその硬化物に関する。
硬化性組成物は、インキ、塗料、各種コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において用いられている。このような、硬化性組成物の改良に関して、種々の報告がなされている。
例えば、特許文献1では、低粘度で、硬化性に優れ、各種プラスチックフィルムまたはシートへの接着力および無色透明性にも優れたプラスチックフィルム等用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が提案されている。また、特許文献2では、低粘度で、硬化性に優れ、塗工・硬化時の雰囲気湿度が高くとも各種プラスチックフィルム等への接着力に優れ、無色透明性にも優れたプラスチックフィルム等用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物が提案されている。さらに、特許文献3では、塗工環境の湿度が高くても、硬化性に優れ、一定時間経過後の接着力、耐久性および耐湿熱試験終了後の接着力が良好であり、低粘度である光硬化性接着剤が提案されている。さらにまた、特許文献4では、偏光子および保護フィルムに対する接着性が良好であるとともに、耐熱性に優れ、偏光子におけるクラックの発生を抑制することができる偏光板用接着剤が提案されている。
特開2015−034188号公報 特開2015−057467号公報 特開2015−143352号公報 特開2016−018163号公報
しかしながら、特許文献1〜4で提案されている組成物では、その硬化物のガラス転移温度、接着性、弾性率および粘度について、必ずしも全てを高度に満足することができるものではなかった。そのため、今日においては、これらを同時に満足させることができる組成物が望まれている。
そこで、本発明の目的は、硬化物のガラス転移温度、接着性および弾性率が高く、低粘度である硬化性組成物、硬化物の製造方法、およびその硬化物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の組成を有する硬化性組成物であれば、上記課題意を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の硬化性組成物は、カチオン硬化性成分(A)100質量部に対して、カチオン重合開始剤(B)1〜10質量部を含有し、前記カチオン硬化性成分(A)が、塩素含有量が1質量%以下である1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(A1)を必須成分とすることを特徴とするものである。
本発明の硬化性組成物においては、さらに、増感剤を含有することが好ましい。
本発明の硬化物の製造方法は、本発明の硬化性組成物に、活性エネルギー線を照射すること、または、加熱することを特徴とするものである。
本発明の硬化物は、本発明の硬化性組成物の硬化物であることを特徴とするものである。
本発明によれば、硬化物のガラス転移温度、接着性および弾性率が高く、低粘度である硬化性組成物、硬化物の製造方法、およびその硬化物を提供することができる。本発明の硬化性組成物は、このような特性を有しているため、接着剤に好適に用いることができる。
以下、本発明の硬化性組成物について詳細に説明する。
本発明の硬化性組成物は、カチオン硬化性成分(A)(以下「(A)成分」とも称す)100質量部に対して、カチオン重合開始剤(B)(以下「(B)成分」とも称す)1〜10質量部を含有する。本発明の硬化性組成物においては、(A)成分は、塩素含有量が1質量%以下である1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(A1)を必須成分としている。以下、本発明の各成分について説明する。
本発明の硬化性組成物に係る(A)成分は、エネルギー線照射または加熱により活性化したカチオン重合開始剤により高分子化または、架橋反応を起こす化合物であり、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物においては、(A)成分として、塩素含有量が1質量%以下である1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(A1)を必須成分としている。塩素含有量が1質量%以下である1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル以外のエポキシ化合物としては、脂肪族エポキシ化合物(A2)、芳香族エポキシ化合物(A3)、脂環式エポキシ化合物(A4)等を用いることができる。
塩素含有量が1質量%以下である1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(A1)とは、その塩素含有量が1%以下のものであることが必要であり、(1)2価アルコールとエピクロルヒドリンをアルカリ金属水酸化物の存在下で、反応系中の水と共沸溶媒(n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;エチルエーテル;イソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;スルホキシド化合物等の共沸温度が30〜90℃である溶媒)を共に共沸除去しながら反応させる方法、(2)アルカリ金属水酸化物の当量を0.5〜1.5に調整し、エピクロルヒドリンの存在下で反応させ、水洗またはアルカリ吸着剤から選択される一種以上の方法で処理し、次いでエピクロルヒドリンを留去する方法、(3)ヒドロキシル化合物とエピクロルヒドリンをアルカリの存在下に縮合させ、超音波を照射しながら反応させる方法等によって、その塩素含有量を減少させることができる。
塩素含有量が1質量%以下である1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(A1)は、(A)成分100質量部に対して20〜80質量部であるのが、低粘度、高密着性の観点から好ましい。
脂肪族エポキシ化合物(A2)とは、後述の芳香族エポキシ化合物(A3)や後述の脂環式エポキシ化合物(A4)に分類されないエポキシ化合物を指す。脂肪族エポキシ化合物(A2)の具体例としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル等の単官能エポキシ化合物や、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル等の多官能エポキシ化合物が挙げられる。代表的な化合物として、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12〜13混合アルキルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。更に、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルや高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
脂肪族エポキシ化合物(A2)としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物あるいは脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物が、粘度、塗工性および反応性が向上するので好ましい。
脂肪族エポキシ化合物(A2)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、デナコールEX−121、デナコールEX−171、デナコールEX−192、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−321、デナコールEX−411、デナコールEX−421、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−611、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−622、デナコールEX−810、デナコールEX−811、デナコールEX−850、デナコールEX−851、デナコールEX−821、デナコールEX−830、デナコールEX−832、デナコールEX−841、デナコールEX−861、デナコールEX−911、デナコールEX−941、デナコールEX−920、デナコールEX−931(ナガセケムテックス(株)社製);エポライトM−1230、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF(共栄社化学(株)社製)、アデカグリシロールED−503、アデカグリシロールED−503G、アデカグリシロールED−506、アデカグリシロールED−523T、アデカレジンEP−4088S、アデカレジンEP−4080E((株)ADEKA社製)等が挙げられる。
芳香族エポキシ化合物(A3)とは、芳香環を含むエポキシ化合物を指す。芳香族エポキシ化合物の具体例としては、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール等、少なくとも1個の芳香族環を有する多価フェノールまたは、そのアルキレンオキサイド付加物のモノ/ポリグリシジルエーテル化物、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、またはこれらに更にアルキレンオキサイドを付加した化合物のグリシジルエーテル化物やエポキシノボラック樹脂;レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のモノ/ポリグリシジルエーテル化物;フェニルジメタノールやフェニルジエタノール、フェニルジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボン酸を有する多塩基酸芳香族化合物のグリシジルエステル、安息香酸のグリシジルエステル、スチレンオキサイドまたはジビニルベンゼンのエポキシ化物等が挙げられる。
芳香族エポキシ化合物(A3)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、デナコールEX−146、デナコールEX−147、デナコールEX−201、デナコールEX−203、デナコールEX−711、デナコールEX−721、オンコートEX−1020、オンコートEX−1030、オンコートEX−1040、オンコートEX−1050、オンコートEX−1051、オンコートEX−1010、オンコートEX−1011、オンコート1012(ナガセケムテックス(株)社製);オグソールPG−100、オグソールEG−200、オグソールEG−210、オグソールEG−250(大阪ガスケミカル(株)社製);HP4032、HP4032D、HP4700(DIC(株)社製);ESN−475V(新日鉄住金化学(株)社製);エピコートYX8800(三菱化学(株)社製);マープルーフG−0105SA、マープルーフG−0130SP(日油(株)社製);エピクロンN−665、エピクロンHP−7200(DIC(株)社製);EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、XD−1000、NC−3000、EPPN−501H、EPPN−501HY、EPPN−502H、NC−7000L(日本化薬(株)社製);アデカレジンEP−4000、アデカレジンEP−4005、アデカレジンEP−4100、アデカレジンEP−4901((株)ADEKA社製);TECHMORE VG−3101L((株)プリンテック社製)等が挙げられる。上記芳香族エポキシ化合物(A2)としては、多官能のものが、硬化性に優れるため好ましい。
脂環式エポキシ化合物(A4)とは、飽和環に結合基を介さず直接オキシラン環が結合しているものを指す。脂環式エポキシ化合物の具体例としては、少なくとも1個の脂環式環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化物またはシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、プロパン−2,2−ジイル−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−2−エポキシエチルシクロヘキサン、α−ピネンオキシド、リモネンジオキシド等が挙げられる。脂環式エポキシ化合物(A4)としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートまたは3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレートが、密着性向上の観点から好ましい。
脂環式エポキシ化合物(A4)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000((株)ダイセル社製)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物においては、(A)成分として、さらに、オキセタン化合物(A5)やビニルエーテル化合物(A6)を用いてもよい。
オキセタン化合物(A5)としては、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン等の二官能脂肪族オキセタン化合物、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン等の一官能オキセタン化合物等が挙げられる。これらは1種単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキセタン化合物(A5)としては、カチオン重合性モノマーを主成分とする市販品のものを用いることができ、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(丸善石油化学(株)社製);アロンオキセタンOXT−121、OXT−221、EXOH、POX、OXA、OXT−101、OXT−211、OXT−212(東亞合成(株)社製)、エタナコールOXBP、OXTP(宇部興産(株)社製)等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物(A6)としては、例えば、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,6−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
(A)成分において、塩素含有量が1質量%以下である1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(A1)、塩素含有量が1質量%以下である1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(A1)以外の脂肪族エポキシ化合物(A2)、芳香族エポキシ化合物(A3)、脂環式エポキシ化合物(A4)、オキセタン化合物(A5)およびビニルエーテル化合物(A6)の使用割合は、(A)成分100質量部に対して、塩素含有量が1質量%以下である1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(A1)が20〜80質量部、好適には20〜60質量部、脂肪族エポキシ化合物(A2)が0〜20質量部、芳香族エポキシ化合物(A3)が0〜20質量部、脂環式エポキシ化合物(A4)が0〜20質量部、オキセタン化合物(A5)が0〜60質量部、ビニルエーテル化合物(A6)が0〜10質量部であるのが、粘度、塗工性、反応性および硬化性が向上するので好ましい。
本発明の硬化性組成物に係るカチオン重合開始剤(B)とは、エネルギー線照射または加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出させることが可能な化合物であればどのようなものでも差し支えないが、好ましくは、エネルギー線の照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、またはその誘導体である。かかる化合物の代表的なものとしては、下記一般式、
[A]r+[B]r−
で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
ここで陽イオン[A]r+はオニウムであることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[(RQ]r+
で表すことができる。
更にここで、Rは炭素原子数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでいてもよい有機の基である。aは1〜5なる整数である。a個のRは各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記のような有機の基であることが好ましい。QはS,N,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,Br,Cl,F,N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオン[A]r+中のQの原子価をqとしたとき、r=a−qなる関係が成り立つことが必要である(ただし、N=Nは原子価0として扱う)。
また、陰イオン[B]r−は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[LYr−
で表すことができる。
更にここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B,P,As,Sb,Fe,Sn,Bi,Al,Ca,In,Ti,Zn,Sc,V,Cr,Mn,Co等である。Yはハロゲン原子である。bは3〜7なる整数である。また、陰イオン[B]r−中のLの原子価をpとしたとき、r=b−pなる関係が成り立つことが必要である。
一般式の陰イオン[LYr−の具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラ(3,5−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート(BF、ヘキサフルオロフォスフェート(PF、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF、ヘキサフルオロアルセネート(AsF、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl等を挙げることができる。
また、陰イオン[B]r−は、下記一般式、
[LYb−1(OH)]r−
で表される構造のものも好ましく用いることができる。L,Y,bは上記と同様である。また、その他用いることのできる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO、フルオロスルホン酸イオン(FSO、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、カンファースルフォネート、ノナフロロブタンスルフォネート、ヘキサデカフロロオクタンスルフォネート、テトラアリールボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
本発明の硬化性組成物では、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)〜(ハ)の芳香族オニウム塩を使用することが特に有効である。これらの中から、その1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
(イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
(ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のジアリールヨードニウム塩
(ハ)下記群Iまたは群IIで表されるスルホニウムカチオンとヘキサフルオロアンチモンイオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のスルホニウム塩
<群I>
Figure 2018012766
<群II>
Figure 2018012766
また、その他好ましいものとしては、(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の鉄−アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物;チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩等の塩;ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキルポリアミン類;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−3,6−ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン類;m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン類;上記ポリアミン類と、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類またはカルボン酸のグリシジルエステル類等の各種エポキシ樹脂とを常法によって反応させることによって製造されるポリエポキシ付加変性物;上記有機ポリアミン類と、フタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸等のカルボン酸類とを常法によって反応させることによって製造されるアミド化変性物;上記ポリアミン類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類およびフェノール、クレゾール、キシレノール、第三ブチルフェノール、レゾルシン等の核に少なくとも一個のアルデヒド化反応性場所を有するフェノール類とを常法によって反応させることによって製造されるマンニッヒ化変性物;多価カルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸類;トリメリト酸、トリメシン酸、ひまし油脂肪酸の三量体等のトリカルボン酸類;ピロメリット酸等のテトラカルボン酸類等)の酸無水物;ジシアンジアミド、イミダゾール類、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミド等を挙げることができる。
これらの中でも、実用面と光感度向上の観点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体を用いることが好ましく、下記構造を有する芳香族スルホニウム塩を、カチオン重合開始剤(B)100質量%に対して、少なくとも0.1質量%以上含有することがさらに好ましい。
Figure 2018012766
ここで、式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19およびR20は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基または炭素原子数2〜10のエステル基を表し、R21、R22、R23およびR24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、R25は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基または下記化学式(A)〜(C)より選択されるいずれかの置換基を表し、Anq−はq価の陰イオンを表し、pは電荷を中性にする係数を表す。
Figure 2018012766
ここで、式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R26、R27、R28、R29、R35、R36、R37、R38およびR39は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基または炭素原子数2〜10のエステル基を表し、R30、R31、R32、R33およびR34は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。
上記一般式で表される化合物において、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38およびR39で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38およびR39で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、エチルオクチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、2−ブトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、2−メチルチオエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ジフルオロエチル、トリクロロエチル、ジクロロジフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、デカフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル、ペンタデカフルオロヘプチル、ヘプタデカフルオロオクチル、メトキシメチル、1,2−エポキシエチル、メトキシエチル、メトキシエトキシメチル、メチルチオメチル、エトキシエチル、ブトキシメチル、t−ブチルチオメチル、4−ペンテニルオキシメチル、トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、メトキシシクロヘキシル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、エチルジチオエチル、トリメチルシリルエチル、t−ブチルジメチルシリルオキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、t−ブトキシカルボニルメチル、エチルオキシカルボニルメチル、エチルカルボニルメチル、t−ブトキシカルボニルメチル、アクリロイルオキシエチル、メタクリロイルオキシエチル、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル、アセチルエチル、2−メトキシ−1−プロペニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、1,2−ジヒドロキシエチル等が挙げられる。
11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R26、R27、R28、R29、R35、R36、R37、R38およびR39で表される炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソアミルオキシ、t−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘキシルメチルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、2−メトキシエチルオキシ、3−メトキシプロピルオキシ、4−メトキシブチルオキシ、2−ブトキシエチルオキシ、メトキシエトキシエチルオキシ、メトキシエトキシエトキシエチルオキシ、3−メトキシブチルオキシ、2−メチルチオエチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ等が挙げられる。
11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R26、R27、R28、R29、R35、R36、R37、R38およびR39で表される炭素原子数2〜10のエステル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、クロロアセチルオキシ、ジクロロアセチルオキシ、トリクロロアセチルオキシ、トリフルオロアセチルオキシ、t−ブチルカルボニルオキシ、メトキシアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。
(A)成分に対する(B)成分の使用割合は、(A)成分100質量部に対して、(B)成分1〜10質量部、好適には3〜8質量部である。少なすぎると硬化が不十分となりやすく、多すぎると硬化物の吸水率や硬化物強度などの諸物性に悪影響を与える場合がある。
本発明の硬化性組成物には、さらに、ラジカル硬化性成分(C)(以下「(C)成分」とも称す)、ラジカル重合開始剤(D)(以下「(D)成分」とも称す)および、下式(I)で表される単量体から得られるポリマー、下記式(II)で表される単量体から得られるポリマー、下記式(I)で表される単量体から選択される二種以上の単量体から得られるポリマー、下記式(II)で表される単量体から選択される二種以上の単量体からな得られるポリマー、または下記式(I)で表される単量体および下記式(II)で表される単量体から得られるポリマーの群より選択される重量平均分子量1,000〜30,000であるポリマー(E)((以下「(E)成分」とも称す))を加えることができる。
ラジカル硬化性成分(C)は、エポキシ基およびエチレン性不飽和基を有する化合物(C1)または炭素原子数2〜20であるアルコールのアクリレートあるいは炭素原子数2〜20であるアルコールのメタクリレート(C2)である。
エポキシ基およびエチレン性不飽和基を有する化合物(C1)としては、例えば、エポキシアクリレートまたはエポキシメタクリレートを挙げることができ、具体的には、従来公知の芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と、アクリル酸またはメタクリル酸とを反応させて得られるアクリレートである。これらのエポキシアクリレートまたはエポキシメタクリレートのうち、特に好ましいものは、アルコール類のグリシジルエーテルのアクリレートまたはメタクリレートである。
炭素原子数2〜20であるアルコールのアクリレートあるいは炭素原子数2〜20であるアルコールのメタクリレート(C2)としては、分子中に少なくとも1個の水酸基を持つ芳香族または脂肪族アルコール、およびそのアルキレンオキサイド付加体とアクリル酸またはメタクリル酸とを反応させて得られるアクリレートまたはメタクリレートが挙げられ、具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソオクチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボニルアクリレート、ベンジルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。なお、これらのアクリレートまたはメタクリレートのうち、多価アルコールのポリアクリレート類または多価アルコールのポリメタクリレート類が特に好ましい。
(C)成分としては、(C1)または(C2)以外のエネルギー線照射または加熱により活性化したラジカル重合開始剤により高分子化または架橋反応する化合物を用いることもでき、例えばアリルウレタン化合物、不飽和ポリエステル化合物、スチレン系化合物等が挙げられる。
(D)成分としては、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等のケトン系化合物、オキシム系化合物などを用いることができる。
(E)成分は、下記式(I)、
Figure 2018012766
で表される単量体から得られるポリマー、下記式(II)、
Figure 2018012766
で表される単量体から得られるポリマー、上記式(I)で表される単量体から選択される二種以上の単量体から得られるポリマー、上記式(II)で表される単量体から選択される二種以上の単量体から得られるポリマー、または上記式(I)で表される単量体および上記式(II)で表される単量体から得られるポリマーの群より選択され、重量平均分子量が、ポリスチレン換算で1,000〜30,000である。
ここで、式(I)中、Xは、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数6〜12のアリールオキシ基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基、またはこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものであり、式(II)中、Rは、水素原子、メチル基またはハロゲン原子を表し、X’は、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基、またはこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものである。
式(I)中のX、X’で表される炭素原子数1〜7のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、iso−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、iso−ヘプチル、tert−ヘプチル等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1〜4のアルキル基、または、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で部分的に置換された炭素原子数1〜4のアルキル基が、硬化性の点から好ましい。
式(I)中のXで表される炭素原子数1〜7のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、iso−プロピルオキシ、ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、iso−ブチルオキシ、アミルオキシ、iso−アミルオキシ、tert−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、2−ヘキシルオキシ、3−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4−メチルシクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、2−ヘプチルオキシ、3−ヘプチルオキシ、iso−ヘプチルオキシ、tert−ヘプチルオキシ等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1〜4のアルキル基、または、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で部分的に置換された炭素原子数1〜4のアルコキシ基が、硬化性の点から好ましい。
式(I)中のX、X’で表される炭素原子数6〜12のアリール基としては、フェニル、メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。
式(I)中のXで表される炭素原子数6〜12のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ、メチルフェニルオキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
式(I)中のX、X’で表される炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基としては、シクロへキシル、メチルシクロヘキシル、ノルボルニル、ビシクロペンチル、ビシクロオクチル、トリメチルビシクロヘプチル、トリシクロオクチル、トリシクロデカニル、スピロオクチル、スピロビシクロペンチル、アダマンチル、イソボルニル等が挙げられる。
式(I)において、Xの一部がエポキシ基またはオキセタン基で置換されている場合における、式(I)で表される単量体としては、例えば、下記式(1)〜(3)で表される単量体が挙げられる。
Figure 2018012766
式(1)中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、mは、1〜6の整数である。
Figure 2018012766
式(2)中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、nは、1〜6の整数である。
Figure 2018012766
式(3)中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、sは、1〜6の整数である。
式(II)において、Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
式(II)において、X’の一部がエポキシ基またはオキセタン基で置換されている場合における、式(II)で表される単量体としては、下記式(4)〜(6)で表されるものが挙げられる。
Figure 2018012766
式(4)中、Rは、上記式(II)と同じであり、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、tは、1〜6の整数である。)
Figure 2018012766
式(5)中、Rは、上記式(II)と同じであり、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、qは、1〜6の整数である。
Figure 2018012766
式(6)中、Rは、上記式(II)と同じであり、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、yは、1〜6の整数である。
ポリマー(E)を構成する単量体の使用割合は、上記Xが、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換された炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基である場合における、上記(I)または(II)で表される単量体が10〜100質量%となるように用いるのが、接着性が向上するので好ましい。
本発明の硬化性組成物において、カチオン硬化性成分(A)が30〜70質量部、カチオン重合開始剤(B)が1〜10質量部、ラジカル硬化性成分(C)が30〜60質量部、ラジカル重合開始剤(D)が1〜10質量部、ポリマー(E)が1〜20質量部であると、硬化物の硬化性および接着性がよいので好ましい。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、さらに、増感剤および/または増感助剤を用いることができる。増感剤は、(B)成分が示す極大吸収波長よりも長い波長に極大吸収を示し、(B)成分による重合開始反応を促進させる化合物である。また増感助剤は、増感剤の作用を一層促進させる化合物である。
増感剤および増感助剤としては、アントラセン系化合物、ナフタレン系化合物等が挙げられる。
アントラセン系化合物としては、例えば、下記式(7)で表されるものが挙げられる。
Figure 2018012766
ここで、式(7)中、R50およびR51は、各々独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基または炭素原子数2〜12のアルコキシアルキル基を表し、R52は水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
式(7)で表されるアントラセン系化合物の具体例を挙げると、次のような化合物がある。
例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジイソプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジペンチルオキシアントラセン、9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、9,10−ビス(2−メトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ブトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジイソプロポキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジペンチルオキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン等が挙げられる。
ナフタレン系化合物としては、例えば、下記式(8)で表されるものが挙げられる。
Figure 2018012766
ここで、式(8)中、R53およびR54は各々独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
式(8)で表されるナフタレン系化合物の具体例を挙げると、次のような化合物がある。
例えば、4−メトキシ−1−ナフトール、4−エトキシ−1−ナフトール、4−プロポキシ−1−ナフトール、4−ブトキシ−1−ナフトール、4−ヘキシルオキシ−1−ナフトール、1,4−ジメトキシナフタレン、1−エトキシ−4−メトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジプロポキシナフタレン、1,4−ジブトキシナフタレン等が挙げられる。
(A)成分に対する増感剤および増感助剤の使用割合は特に限定されず、本発明の目的を阻害しない範囲内で概ね通常の使用割合で使用すればよいが、例えば、(A)成分の100重量部に対して、増感剤および増感助剤それぞれ0.1〜3質量部であるのが、硬化性向上の観点から好ましい。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、アクリルモノマーおよびラジカル重合開始剤を用いることができる。
アクリルモノマーとしては、例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸亜鉛、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ビスフェノールZジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ラジカル開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等のケトン系化合物、オキシム系化合物などを用いることができる。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じてシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル官能性アルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等のアルケニル官能性アルコキシシラン、3−メタクリロキシブロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシブロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシラン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド等のチタンアルコキシド類、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等のチタンキレート類、ジルコウニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート等のジルコニウムキレート類、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート等のジルコニウムアシレート類、メチルトリイソシアネートシラン等のイソシアネートシラン類等を用いることができる。
シランカップリング剤の使用量は、特に限定されないが、通常、硬化性組成物中の固形物の全量100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲である。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて熱可塑性有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートエチルアクリレート共重合体、メチルメタクリレートグリシジルメタクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート−ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物には、通常用いられる(A)成分および(B)成分の各成分を溶解または分散しえる溶媒を用いることができる。溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−またはn−プロパノール、イソ−またはn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株)社製)、ソルベッソ#100(エクソン化学社)等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;プロピレンカーボネート、カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は、1種または2種以上の混合溶媒として使用することができる。
また、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、ポリオール、無機フィラー、有機フィラー、顔料、染料などの着色剤、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、レべリング剤、難燃剤、チクソ剤、希釈剤、可塑剤、安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、潜在性添加剤、静電防止剤、流動調整剤、接着促進剤等の各種樹脂添加物等を添加することができる。
本発明の硬化性組成物は、硬化性、接着性、液保存安定性が向上するので水分量が5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましい。水分が多すぎると、白濁したり成分が析出したりするおそれがあるので好ましくない。
本発明の硬化性組成物は、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、支持基体上に適用される。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
支持基体の材料としては、特に制限されず通常用いられるものを使用することができ、例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等の高分子材料が挙げられる。なお、上記支持基体に、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を行ってもよい。
本発明の硬化性組成物をエネルギー線の照射により硬化させる方法において、エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等を挙げることができ、紫外線が経済的に最も好ましい。紫外線の光源としては、紫外線レーザー、水銀ランプ、キセノンレーザ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物を加熱により硬化させる方法における条件は、70〜250℃で1〜100分である。プレベイク(PAB;Pre applied bake)した後、加圧して、ポストベイク(PEB;Post exposure bake)してもよいし、異なる数段階の温度でベイクしてもよい。加熱条件は各成分の種類および配合割合によって異なるが、例えば、70〜180℃で、オーブンなら5〜15分間、ホットプレートなら1〜5分間である。その後、塗膜を硬化させるために180〜250℃、好ましくは200〜250℃で、オーブンなら30〜90分間、ホットプレートなら5〜30分間加熱処理することによって硬化膜を得ることができる。
本発明の硬化性組成物またはその硬化物の具体的な用途としては、接着剤、メガネ、撮像用レンズに代表される光学材料、塗料、コーティング剤、ライニング剤、インキ、レジスト、液状レジスト、印刷版、カラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、デジタルカメラ、有機EL、タッチパネル等の表示素子、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート等のレンズシートのレンズ部、またはこのようなシートを用いたバックライト等、マイクロレンズ等の光学レンズ、光学素子、光コネクター、光導波路、光学的造形用注型剤等を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1、2および比較例1、2]
下記の[表1]に示す配合で各成分を十分に混合して、実施例1、2および比較例1、2の硬化性組成物を調製し、下記の評価を行った。なお、表中の単位は質量部である。
カチオン硬化性成分(A)としては下記の化合物A1−1、A’1−1、A2−1、およびA5−1を用いた。
化合物A1−1:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(塩素含有量0.06質量%)
化合物A’1−1:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(塩素含有量5質量%)
化合物A2−1:2−エチルヘキシルグリシジルエーテル
化合物A5−1:アロンオキセタンOXT−221(オキセタン:東亞合成(株)社製)
カチオン重合開始剤(B)としては下記の化合物(B−1)を用いた。
化合物B−1:下記式(9)で表される化合物および下記式(10)で表される化合物の混合物のプロピレンカーボネート50%溶液
Figure 2018012766
Figure 2018012766
ラジカル硬化性成分(C)としては下記の化合物C−1を用いた。
化合物C−1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
ラジカル重合開始剤(D)としては下記の化合物D1−1を用いた。
化合物D−1:イルガキュア184(BASF社製)
ポリマー(E)としては下記の化合物E−1を用いた。
化合物E−1:メチルメタクリレート75質量部とグリシジルメタクリレート25質量部の共重合体(重量平均分子量8,000)
(粘度)
得られた実施例1、2および比較例1、2の組成物のそれぞれを、25℃においてE型粘度計で粘度を測定した。結果を[表1]に併記する。
(接着性)
得られた実施例1、2および比較例1、2の組成物を、一枚のPMMAフィルム(住友化学(株)製テクノロイ125S001)にそれぞれ塗布した後、もう一枚のコロナ放電処理を施したCOP(シクロオレフィンポリマー、日本ゼオン(株)製:品番ゼオノアフィルム14−060)フィルムとラミネーターを用いて貼り合わせ、無電極紫外光ランプを用いて1000mJ/cmに相当する光をCOPフィルム越しに照射して接着して試験片を得た。得られた試験片の90度ピール試験を行った。結果を[表1]に併記する。
(Tg・80℃弾性率)
得られた実施例1、2および比較例1、2の組成物のそれぞれを、PETフィルム上にバーコーターで30μmの厚さに塗布し、メタルハライドランプを用いて3000mJ/cmのエネルギーを照射した。24時間後にフィルムから接着剤硬化物を取り出し、(株)日立ハイテクサイエンス製の粘弾性測定装置(DMA7100)を用いTgを測定した。結果を[表1]に併記する。
Figure 2018012766
[表1]より、本発明の硬化性組成物は、低粘度であり、その硬化物の接着性および弾性率に優れることが明らかである。

Claims (5)

  1. カチオン硬化性成分(A)100質量部に対して、カチオン重合開始剤(B)1〜10質量部を含有し、前記カチオン硬化性成分(A)が、塩素含有量が1質量%以下である1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(A1)を必須成分とすることを特徴とする硬化性組成物。
  2. さらに、増感剤を含有する請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 請求項1または2記載の硬化性組成物に、活性エネルギー線を照射することを特徴とする硬化性組成物の硬化方法。
  4. 請求項1または2記載の硬化性組成物を、加熱することを特徴とする硬化性組成物の硬化方法。
  5. 請求項1または2記載の硬化性組成物の硬化物であることを特徴とする硬化物。
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