以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施の形態における乗物用シート1の斜視図である。図2は図1のII−II線におけるシートクッション2の断面図である。図3はクッションパッド10の底面図である。なお、図2及び図3等では、理解を容易にするために、着座センサ7や凹部16の寸法を誇張して大きく図示している。
図1に示すように、乗物用シート1は、自動車に搭載されるシートであり、特に助手席や後部座席に好適なシートである。乗物用シート1は、乗員の臀部を支持するシートクッション2と、乗員の背凭れとなるシートバック3と、乗員の頭を支えるヘッドレスト4とを備えている。
図2に示すように、シートクッション2は、金属や合成樹脂等の剛性材料からなるフレーム5と、フレーム5に支持されるクッションパッド10と、クッションパッド10の表面を覆うカバー6とを備える。フレーム5は、クッションパッド10の下面の略全面を下方から支持する。なお、フレーム5は、四角枠状の枠部材にばねを架け渡し、その枠部材とばねとでクッションパッド10を下方から支持するものでも良い。
カバー6は、主に天然皮革、合成皮革、人工皮革、布地等を縫い合わせて袋状に形成される軟性の部材である。カバー6は、クッションパッド10内に埋設されるワイヤやクリップ等にフック等(いずれも図示せず)を引っ掛けて固定される。
クッションパッド10の裏面(フレーム5側)には、フレーム5と対向する位置に着座センサ7が接着などにより取り付けられる。この着座センサ7が取り付けられるクッションパッド10の裏面の所定領域が受圧面13である。受圧面13は、クッションパッド10からの荷重を受けて着座センサ7に伝える面である。クッションパッド10の成形後に着座センサ7を取り付けるため、受圧面13は着座センサ7に対して前後左右に大きく設定される。
着座センサ7は、シートクッション2への乗員の着座を検知するシート状の感圧センサである。乗物用シート1が搭載される車両では、助手席や後部座席の乗物用シート1の着座センサ7が乗員の着座を検知している場合にのみ、助手席用や後部座席用のエアバッグ(図示せず)を作動させる。また、着座センサ7が乗員の着座を検知し、シートベルトが装着されていない場合に、シートベルトの装着を促す警告装置(図示せず)を作動させても良い。エアバッグや警告装置の誤動作を抑制するために、着座センサ7の検知精度の向上が求められている。
図2及び図3に示すように、クッションパッド10は、軟質ポリウレタンフォーム等の軟質フォームからなるパッド本体11と、パッド本体11の裏面12に取り付けられるシート状の裏面材14及び伸縮部材15とを備える。パッド本体11の裏面12は、受圧面13を底面として上方へ凹んだ凹部16を備える。凹部16の底面の全面が受圧面13である。これにより、クッションパッド10の成形後に着座センサ7を受圧面13に取り付けるとき、凹部16により着座センサ7の取付箇所を明確にできる。また、着座センサ7に対して前後左右に大きい受圧面13の前後方向および左右方向の中央に着座センサ7を配置することが好ましい。
シートクッション2の無荷重状態では、裏面12の凹部16の周辺がフレーム5に支持され(接触し)、凹部16とフレーム5との間に所定の空間が形成される。凹部16の深さL1は、着座センサ7の厚さL2(受圧面13からの高さ)よりも大きく設定される。これにより、シートクッション2に軽い荷物を置く等の小さな荷重が入力された程度では、凹部16の底面の受圧面13に設けた着座センサ7に荷重を付与しないようにできる。その結果、着座センサ7の誤検知を抑制できる。
凹部16は、クッションパッド10の左右方向中央であって、前後方向中央よりも後側(着座した乗員の臀部位置)に配置される。この位置に凹部16を配置することで、凹部16の受圧面13に設けた着座センサ7に、着座した乗員からの荷重を付与し易くできる。その結果、着座センサ7の検知精度を確保できる。
なお、着座した乗員からの荷重が付与され易い箇所(臀部付近、特に坐骨付近)であれば、着座センサ7の位置は適宜設定可能である。また、着座センサ7及び凹部16は1つである場合に限らず、着座センサ7及び凹部16を複数設けても良い。この場合、シートクッション2に乗員が着座した場合の荷重分布と、複数の着座センサ7の検出値とを比較することで、シートクッション2への乗員の着座の検知精度を向上できる。但し、着座センサ7が多い程、乗員の着座の検知精度を向上できるが、部品点数や部品コスト、作業工程が多くなったり、制御が複雑になったりする。
裏面材14は、クッションパッド10の擦れや破れ等を抑制するために、パッド本体11の裏面12側を補強する不織布である。なお、裏面材14は、不織布から構成される場合に限らず、粗毛布、寒冷紗、フェルト、プレスフェルト、織編物あるいはこれらの積層複合体等により形成できる。また、これらの素材を用いた成形体を裏面材14としても良い。
裏面材14は、凹部16の底面(受圧面13)にあたる部分を布厚方向に貫通して開口した開口部17を備える。この開口部17の内側に受圧面13及び着座センサ7が配置される。受圧面13の中央に着座センサ7を配置することで、開口部17の内周縁が全周に亘って着座センサ7と離れる。
伸縮部材15は、裏面材14よりも伸び率の大きい(伸縮性を有する)伸縮性不織布からなる。伸縮性不織布は、伸び率が150%以上のものを用いるのが好ましい。伸縮性不織布の伸び率は、ISO9073−3を基に作成されたJIS L1913(2010年版)に準拠する方法(標準時の引張強さ及び伸び率)によって測定される。具体的には、試料から採取した幅50mm、長さ250mmの試験片を150mmのつかみ間隔で引張試験機に初荷重で取り付け、200mmの引張速度で試験片が破断するまで長さ方向に荷重を加える。最大荷重時の伸びを1mmまで測定し、この伸びから伸び率を求める。引張試験機に試験片を取り付けるときの初荷重は、試験片を手でたるみが生じない程度に引っ張った状態とする。
伸縮性不織布は、不織布自体が伸縮性を有するものの他、基材となる不織布に伸張状態の伸縮材(ゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性材)が固着(接合等)されて伸縮性を付与されたものも含まれる。不織布自体が伸縮性を有する伸縮性不織布としては、例えば、市販のエラスチック不織布、エラストマースパンボンド不織布等を挙げることができる。具体的には、ストラフレックス(出光ユニテック社製)、エスパンシオーネ(KBセーレン社製)等(いずれも登録商標)を好適に用いることができる。これらのエラスチック不織布、エラストマースパンボンド不織布は、不織布自体が伸縮性を有するものである。
伸縮部材15は、裏面材14の開口部17を塞ぐように配置され、開口部17よりも内側が受圧面13を形成する。伸縮部材15は、着座センサ7が取り付けられた(接触する)接触部15aと、接触部15aと開口部17の内周縁とを連結する連結部15bとを備える。連結部15bは、開口部17よりも外側の裏面材14のパッド本体11側に重ねられる。その重ねた部分が開口部17の全周に亘って糸19で縫合され、裏面材14に伸縮部材15が接合される。なお、裏面材14のフレーム5側に連結部15bを重ねても良い。
連結部15bは、開口部17の内周縁と接触部15aとを最短距離L3で連結する。即ち、着座センサ7と裏面材14とは、最短距離L3以上離れて配置される。なお、最短距離L3は、凹部16の深さL1や着座センサ7の厚さL2よりも大きく設定される。
クッションパッド10を製造するには、まず、裏面材14及び伸縮部材15を所定形状に成形し、裏面材14と伸縮部材15とを糸19で縫合する。次いで、裏面材14及び伸縮部材15を成形型(図示せず)に磁石や装着ピンで固定する。次に、軟質フォームの発泡原液を成形型に注入して、発泡原液を成形型内で発泡・硬化させ、パッド本体11を成形する。
このとき、裏面材14及び伸縮部材15(伸縮性不織布)の繊維間に発泡原液が侵入し、その状態で軟質フォームが硬化する。これにより、パッド本体11の裏面12に裏面材14及び伸縮部材15が接合されて一体化される。そして、成形型から脱型することで、クッションパッド10が得られる。
伸縮部材15を裏面材14に接合(縫合)してから、裏面材14及び伸縮部材15を成形型に固定するので、伸縮部材15と裏面材14とをそれぞれ成形型に固定する場合に比べて、伸縮部材15を成形型に固定し易くできる。伸縮性不織布からなる伸縮部材15は裏面材14に比べて柔らかく腰がないので、伸縮部材15を単独では取り扱い難いからである。また、伸縮性不織布は裏面材14に比べて高価であるので、伸縮性不織布と裏面材とを併用することで、裏面材14を使わないで全てを伸縮性不織布にする場合に比べて、裏面材14及び伸縮性不織布に要する資源費を削減できる。
次に、図4及び図5を参照して、乗員が着座したシートクッション2について説明する。図4は、乗員が着座したシートクッション2の着座センサ7周辺を部分的に拡大した断面図である。図5は伸縮部材15及び裏面材14の引張量−荷重曲線である。
図4に示すように、シートクッション2に乗員が着座してクッションパッド10が撓むと、着座センサ7がフレーム5に接触し、受圧面13とフレーム5との間で着座センサ7が挟まれる。受圧面13とフレーム5との間で着座センサ7に所定値以上の荷重が付与されることで、着座センサ7は、シートクッション2に乗員が着座したことを検知する。
ここで、受圧面13がパッド本体11(軟質フォーム)からなる従来技術(例えば、特許文献1)では、受圧面13にボイドやひけ等の成形不良が生じるおそれがある。その成形不良の箇所に着座センサ7が位置する(当たる)と、受圧面13から着座センサ7に力が上手く伝わらず、受圧面13から着座センサ7に伝わる荷重にばらつきが生じ易くなり、着座センサ7の検知精度を十分に確保できない。
この場合、シートクッション2への着座時にエアバッグを確実に作動させるため、小さな荷重でも乗員の着座を着座センサ7が検知できるように設定する必要がある。但し、この場合、シートクッション2に荷物等を置いただけにも係わらず、着座センサ7は乗員の着座中であると誤検知し易くなり、好ましくない。
一方、本実施の形態では、受圧面13がシート状の伸縮部材15により形成されるので、伸縮部材15との間のパッド本体11の裏面12に成形不良が生じても、受圧面13を平坦にできる。これにより、パッド本体11の裏面12に成形不良が生じても、その成形不良箇所の伸縮部材15の受圧面13から着座センサ7へパッド本体11からの荷重を伝達できる。その結果、パッド本体11から受圧面13を介して着座センサ7に付与される荷重のばらつきを抑制できるので、着座センサ7の検知精度を確保できる。また、着座センサ7の検知精度の確保により、乗員が着座したと着座センサ7が判断する荷重の所定値を適切に設定できるので、着座センサ7の誤検知を抑制しつつ、着座センサ7が乗員の着座を確実に検知できる。
ここで、シートクッション2に乗員が着座する場合には、乗員からシートクッション2へ付与される荷重の分布がおおよそ決まっているので、その荷重分布と着座センサ7の位置に基づいて、乗員が着座したと着座センサ7が判断する荷重の所定値が設定される。例えば、乗員から大きな荷重が付与され易い臀部付近に着座センサ7を設け、所定値を大きく設定する。これに対して、乗員の着座以外(例えば荷物等をシートクッション2に置く場合)の荷重分布は、基本的に乗員の着座時の荷重分布と異なる。
受圧面13が裏面材14により形成される場合には、受圧面13を平坦にできる。しかし、受圧面13が硬く伸び難くなり、パッド本体11への荷重付与時に、その受圧面13の周囲が剛体のような挙動を示す。この場合、シートクッション2に荷物を置く等して着座センサ7から水平方向に離れた位置に比較的大きな荷重が付与されると、その荷重によるパッド本体11の変形に伴ってパッド本体11から受圧面13に下方への荷重が伝達され易くなる。その結果、シートクッション2に着座したときの荷重分布と異なる荷重分布でも、着座センサ7は乗員が着座中であると誤検知し易くなる。
一方、本実施の形態では、伸縮性を有する伸縮部材15により受圧面13が形成される。図5には、繊維間に発泡原液が侵入した状態で軟質フォームが硬化した裏面材14及び伸縮部材15の引張量−荷重曲線が示される。裏面材14及び伸縮部材15の引張量を横軸とし、引張荷重を縦軸としている。裏面材14と伸縮部材15とで同一の試験片を同一の試験内容で行い、図5には伸縮部材15に関する試験結果Aが実線で示され、裏面材14に関する試験結果Bが破線で示されている。
試験結果A,Bを比較すると、伸縮部材15は、裏面材14に対して約半分の力で約3倍伸びている。そのため、着座センサ7から水平方向に離れた位置に比較的大きな荷重が付与されたとき、伸縮部材15がやまなりに変形しつつ伸長することで、パッド本体11の変形を吸収できる。これにより、着座センサ7から水平方向に離れた位置に荷重が付与されたとき、パッド本体11から受圧面13への荷重の伝達を抑制できるので、受圧面13から着座センサ7に荷重を伝え難くできる。その結果、シートクッション2に着座したときの荷重分布と異なる荷重分布では、着座センサ7の誤検知を抑制できる。
また、伸縮部材15が配置された部分以外のパッド本体11の裏面12には裏面材14が取り付けられるので、パッド本体11の裏面12を補強できる。さらに、着座センサ7が取り付けられる接触部15aと、裏面材14の開口部17の内周縁とを連結する連結部15bにより、接触部15a(着座センサ7)と裏面材14とが最短距離L3以上離れて配置される。
ここで、パッド本体11から裏面材14に荷重が付与されると、裏面材14が下方に変位したり、接触部15aの両側で裏面材14が引っ張られて凹部16の底面が下方へ変位したりすることがある。このとき、接触部15a(着座センサ7)と裏面材14とが水平方向に離れていない場合には、裏面材14の変位に伴って接触部15aから着座センサ7に荷重が伝達され易くなるので、着座センサ7が誤検知し易い。
これに対して、本実施の形態では、接触部15aと裏面材14とが最短距離L3以上離れるので、着座センサ7から水平方向に離れた位置に荷重が付与されて裏面材14が変位しても、連結部15bの伸縮により裏面材14の変位を吸収できる。その結果、着座センサ7から水平方向に離れた位置に付与された荷重を、裏面材14から接触部15aを介して着座センサ7へ伝え難くできるので、着座センサ7の誤検知をより抑制できる。
さらに、着座センサ7の厚さL2よりも最短距離L3が大きく設定されるので、最短距離L3を十分に確保でき、連結部15bの伸縮により裏面材14の変位を吸収し易くできる。また、厚さL2よりも大きい凹部16の深さL1よりも最短距離L3が大きく設定されるので、最短距離L3をより大きくでき、連結部15bの伸縮により裏面材14の変位をより吸収し易くできる。これらの結果、着座センサ7の誤検知をさらに抑制できる。
連結部15bが裏面材14のパッド本体11側に重ねられるので、パッド本体11の成形時に、連結部15bと重なった部分の裏面材14の繊維間に発泡原液が侵入し難い。裏面材14の連結部15bと重なった部分は、繊維間に硬化した軟質フォームが存在する部分(連結部15bと重なった部分以外)の裏面材14に比べて、柔らかく伸び易い。その結果、着座センサ7から水平方向に離れた位置に付与された荷重を裏面材14の一部の伸縮により吸収できるので、着座センサ7の誤検知をさらに抑制できる。
受圧面13に着座センサ7が接着剤やピン等で固定されるので、着座センサ7が固定された部分(接触部15a)の受圧面13が撓んだり、着座センサ7が固定された部分の受圧面13に皺ができたりすることを防止できる。これにより、受圧面13から着座センサ7に付与される荷重のばらつきを抑制できるので、着座センサ7の検知精度を向上できる。
さらに、受圧面13を形成する伸縮部材15は、パッド本体11の裏面12に一体化されるので、受圧面13が撓んだり、受圧面13に皺ができたりすることを防止できる。これにより、受圧面13から着座センサ7に付与される荷重のばらつきを抑制できるので、着座センサ7の検知精度をより向上できる。
伸縮性不織布からなる伸縮部材15は、伸縮性不織布の繊維間に侵入した状態で硬化した軟質フォームの一部によってパッド本体11に接合される。これにより、パッド本体11の成形時、伸縮性不織布を通して受圧面13付近の空気を逃がし易く、軟質フォーム(発泡原液)が伸縮性不織布に沿って広がり易いので、伸縮部材15との間のパッド本体11の裏面12の成形不良を抑制できる。その結果、パッド本体11から受圧面13を介して着座センサ7に付与される荷重のばらつきをより抑制できるので、着座センサ7の検知精度をさらに向上できる。
次に図6及び図7を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、開口部17の内周縁の全周に伸縮部材15が縫合される場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、開口部17の内周縁の対向する部分に伸縮部材21が架け渡されて縫合される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図6は第2実施の形態におけるクッションパッド20の底面図であり、図7は図6のVII−VII線におけるクッションパッド20の断面図である。
図6及び図7に示すように、シートクッションのクッションパッド20は、軟質ポリウレタンフォーム等の軟質フォームからなるパッド本体11と、パッド本体11の裏面12に取り付けられるシート状の裏面材14及び伸縮部材21とを備える。伸縮部材21は、第1実施の形態における伸縮部材15と同様に、裏面材14よりも伸び率の大きい伸縮性不織布からなる。
伸縮部材21は、裏面材14の開口部17の内周縁の対向する部分に左右方向に架け渡されるように配置され、開口部17よりも内側が受圧面13を形成する。そのため、伸縮部材21と裏面材14との間が一部離れる。
伸縮部材21は、着座センサ7が取り付けられた接触部22と、接触部22と開口部17の内周縁とを連結する一対の連結部23とを備える。連結部23は、開口部17よりも外側の裏面材14のパッド本体11側に重ねられる。その重ねた部分が開口部17の内周縁に沿って糸19で縫合され、裏面材14に伸縮部材21が接合される。
連結部23は、開口部17の内周縁と接触部22とを連結する最短距離L3が、凹部16の深さL1や着座センサ7の厚さL2よりも大きく設定される。即ち、接触部22に取り付けられる着座センサ7と裏面材14とは、最短距離L3以上離れて配置される。
クッションパッド20によれば、第1実施の形態と同様に、受圧面13が伸縮部材21により形成される。これにより、パッド本体11の裏面12に成形不良が生じても受圧面13から着座センサ7に付与される荷重のばらつきを抑制できると共に、着座センサ7から水平方向に離れた荷重の付与による着座センサ7の誤検知を抑制できる。その結果、着座センサ7の検知精度を向上できる。
開口部17の内周縁の対向する部分に架け渡されるようにして、裏面材14と接触部22とが連結部23により連結されるので、連結部23と連結された箇所周辺の裏面材14の変位を連結部23の伸縮により吸収できる。その結果、着座センサ7から水平方向に離れた位置に付与された荷重を、裏面材14から接触部22を介して着座センサ7へ伝え難くできるので、着座センサ7の誤検知をより抑制できる。
さらに、接触部22(伸縮部材21)の一部と開口部17の内周縁の一部とが離れているので、その離れた部分において裏面材14から接触部22へ荷重を伝達しなくできる。その結果、着座センサ7から水平方向に離れた位置に付与された荷重を、裏面材14から接触部22を介して着座センサ7へさらに伝達し難くできるので、着座センサ7の誤検知をさらに抑制できる。
また、着座センサ7が取り付けられる伸縮部材21がクッションパッド20の左右方向中央に位置するので、乗員の着座時の荷重分布は、伸縮部材21の両側で大きくなり、その両側の裏面材14に大きな荷重が付与される。開口部17の内周縁の一部に伸縮部材21が左右に架け渡されるので、乗員の着座によって裏面材14に付与された荷重を伸縮部材21を介して着座センサ7へ伝達し易くできる。その結果、着座センサ7による乗員の着座の検知精度を向上できる。
次に図8及び図9を参照して第3実施の形態について説明する。第1実施の形態では、裏面材14を有するシートクッション2について説明した。これに対し第3実施の形態では、裏面材14を有しないシートクッション30について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図8は第3実施の形態におけるシートクッション30の断面図であり、図9はクッションパッド31の底面図である。
図8に示すように、シートクッション30は、金属や合成樹脂等の剛性材料からなるフレーム5と、フレーム5に支持されるクッションパッド31と、クッションパッド31の表面を覆うカバー6とを備える。フレーム5には、クッションパッド31の裏面に対向する位置に着座センサ7が取り付けられる。この着座センサ7と対向するクッションパッド31の裏面の所定領域が受圧面32である。
シートクッション30に乗員が着座してクッションパッド31が撓むと、受圧面32に着座センサ7が接触する。そして、受圧面32とフレーム5との間で着座センサ7に所定値以上の荷重が付与されると、着座センサ7は、シートクッション30に乗員が着座したことを検知する。なお、クッションパッド31の撓み方によって、着座センサ7とクッションパッド31とが接触する位置が変化するので、受圧面32は着座センサ7に対して前後左右に大きく設定される。
クッションパッド31は、軟質ポリウレタンフォーム等の軟質フォームからなるパッド本体11と、パッド本体11の裏面12に取り付けられるシート状の伸縮部材15とを備える。パッド本体11の裏面12は、受圧面32を底面として上方へ凹んだ凹部16を備える。この凹部16の底面の全面に亘って伸縮部材15が接着剤33により接着され、凹部16の底面の全面が受圧面32とされる。
シートクッション30によれば、第1実施の形態と同様に、受圧面32が伸縮部材15により形成される。これにより、パッド本体11の裏面12に成形不良が生じても受圧面32から着座センサ7に付与される荷重のばらつきを抑制できると共に、着座センサ7から水平方向に離れた荷重の付与による着座センサ7の誤検知を抑制できる。その結果、着座センサ7の検知精度を向上できる。
パッド本体11の裏面12には、伸縮部材15が配置される部分以外に裏面材14(図1参照)が設けられていないので、着座センサ7から水平方向に離れた位置に付与された荷重を、裏面材14から伸縮部材15を介して着座センサ7に伝えなくできる。その結果、着座センサ7の誤検知をより抑制できる。
さらに、例えば接着剤33を粘着剤から構成して、接着剤33に伸縮性を付与することで、接着剤33によりパッド本体11に接合される伸縮部材15の伸び率を、伸縮部材15(伸縮性不織布)の繊維間に侵入した状態で硬化した軟質フォームの一部によりパッド本体11に接合される伸縮部材15の伸び率よりも大きくできる。これにより、着座センサ7から水平方向に離れた位置に付与された荷重を伸縮部材15の伸縮により吸収し易くできる。その結果、着座センサ7から水平方向に離れた位置に付与された荷重を、パッド本体11から受圧面32(伸縮部材15)を介して着座センサ7にさらに伝え難くできるので、着座センサ7の誤検知をさらに抑制できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、パッド本体11や裏面材14、伸縮部材15,21、着座センサ7等の大きさ、形状等は適宜設定できる。
上記第1実施の形態では、乗物用シート1が自動車に搭載されるシートである場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。他の車両(例えば、鉄道車両)や船舶、航空機等の乗物に搭載されるシートに本発明を適用することは当然可能である。
上記第1,2実施の形態では、裏面材14に伸縮部材15,21が縫合により接合される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。裏面材14に伸縮部材15を接合する手段としては、接着、融着、ステープラやピン(タグピン)を用いて綴じる等、公知のものを適宜採用できる。
上記第1,2実施の形態では、互いに接合された裏面材14及び伸縮部材15,21を成形型に固定して発泡原液を発泡・硬化させてパッド本体11を成形する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。裏面材14のみを成形型に固定してパッド本体11を成形し、パッド本体11と裏面材14とを接合した後に、伸縮部材15,21を裏面材14やパッド本体11に接合しても良い。裏面材14やパッド本体11に伸縮部材15,21を接合する手段としては、縫合、接着、融着、ステープラやピン(タグピン)を用いて綴じる等、公知のものを適宜採用できる。
上記各実施の形態では、伸縮部材15,21が伸縮性不織布である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。伸縮部材15,21は、伸縮性を有する(特に伸び率が150%以上の)シート状の部材であれば良い。伸縮性を有するシート状の部材としては、例えば、熱可塑性エラストマー層を有する単層や複層のフィルム(例えば、ウレタンフィルム)や、スラブウレタンをシート状に加工したもの、ゴム製シートが挙げられる。
繊維間に発泡原液が侵入しないウレタンフィルム等からなる伸縮部材15,21を用いる場合や、伸縮性不織布からなる伸縮部材15,21を成形済みのパッド本体11に接合する場合には、伸縮部材15,21の繊維間に硬化した軟質フォームが存在する場合に比べて、伸縮部材15,21の伸び率を大きくできる。これにより、着座センサ7から水平方向に離れた位置に付与された荷重を伸縮部材15,21の伸縮により吸収し易くできる。その結果、着座センサ7から水平方向に離れた位置に付与された荷重を、パッド本体11から伸縮部材15,21を介して着座センサ7にさらに伝え難くできるので、着座センサ7の誤検知をさらに抑制できる。
上記第2実施の形態では、開口部17の内周縁の一部に伸縮部材21が左右に架け渡される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。開口部17の内周縁の一部に伸縮部材21を左右以外(例えば前後)に架け渡すことは当然可能である。また、開口部17に伸縮部材21を架け渡さず、開口部17の内周縁の一部に伸縮部材を片持ち状に固定したり、開口部17の内周縁の半周に亘って伸縮部材を固定したりすることは当然可能である。
なお、上記各実施の形態のいずれかの一部または全部を、他の実施の形態の一部または全部と組み合わせることは可能である。また、上記各実施の形態のうちの一部の構成を省略することも可能である。例えば、第1,2実施の形態におけるクッションパッド10,20と、第3実施の形態における着座センサ7が取り付けられたフレーム5とを組み合わせることは当然可能である。この場合、着座センサ7が接触する接触部15a,22は、無荷重状態で着座センサ7と対向する伸縮部材15,21の一部である。