以下、本発明の一実施形態に係る画像読取装置及び画像読取方法について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る画像読取装置を備えた、画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。図2は、第1実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置の外観を示した斜視図である。
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機であり、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、画像メモリー32、HDD(Hard Disk Drive)92、定着部13、給紙部14、操作部47、及びマット開閉スイッチ51を含んで構成されている。
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により搬送されて搬送読取用プラテンガラス161を通過する原稿、又は載置読取用プラテンガラス162に載置された原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、画像メモリー32等に保存される。また、原稿読取部5は、載置読取用プラテンガラス162に載置された複数の原稿を一括して読み取り可能に構成されている。なお、載置読取用プラテンガラス162は、特許請求の範囲における原稿載置面の一例である。
また、原稿給送部6は、原稿読取部5の上面にヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部6は、原稿マット61を備え、載置読取用プラテンガラス162上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。原稿読取部5には、原稿マット61の開閉を検知するためのマット開閉スイッチ51が設けられている。
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、HDD92に記憶されている画像データ、ネットワーク接続された外部装置(例えば、パーソナルコンピューター)から受信した画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙にトナー像を形成する。
HDD92は、原稿読取部5によって読み取られた原稿画像等を記憶する大容量の記憶装置である。画像メモリー32は、原稿読取部5による読み取りで得られた原稿の画像データを記憶したり、画像形成部12のプリント対象となるデータを一時的に保存したりするための領域である。
定着部13は、熱圧着によりトナー像を記録紙に定着させるものであり、定着処理が施された記録紙は排出トレイ151に排出されることになる。給紙部14は、給紙カセットを備える。
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について操作者から画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。表示部473はタッチパネルになっており、操作者は画面表示されるボタンやキーに触れて画像形成装置1を操作することができる。
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、MPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、操作受付部101と、個別画像切抜部102と、原稿枚数検出部103と、原稿位置検出部104と、基準原稿選択部105と、原稿サイズ検出部106と、最大読取枚数算出部107と、第1判断部108と、第2判断部109と、通知制御部110とを備えている。
制御ユニット10は、HDD92に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100、操作受付部101、個別画像切抜部102、原稿枚数検出部103、原稿位置検出部104、基準原稿選択部105、原稿サイズ検出部106、最大読取枚数算出部107、第1判断部108、第2判断部109、及び通知制御部110として機能するものである。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、ハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、画像メモリー32、HDD92、定着部13、給紙部14、操作部47、及びマット開閉スイッチ51と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。
操作受付部101は、操作部47を介したユーザーからの操作入力を受け付ける。
個別画像切抜部102は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データから、原稿毎に独立した個別画像を切り抜く加工処理を行う。個別画像切抜部102は、例えば、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データに対してエッジ検出処理を実行し、エッジ画像を検出する。そして、個別画像切抜部102は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データであって、上記エッジ画像を検出した画像データから、1つのかたまりとしてエッジ画像により四辺が囲まれた矩形画像を上記個別画像として切り抜く。
原稿枚数検出部103は、個別画像切抜部102により切り抜かれた個別画像に基づいて、各個別画像に対応する原稿の枚数Nを検出する。例えば、原稿枚数検出部103は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データから切り抜かれた、個別画像切抜部102により切り抜かれた個別画像の数を、原稿の枚数Nとして検出する。これにより、原稿枚数検出部103は、載置読取用プラテンガラス162に載置された原稿の枚数Nを検出する。
原稿位置検出部104は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データから、個別画像切抜部102により切り抜かれた各個別画像の位置を検出する。原稿位置検出部104は、例えば、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データにおける上記個別画像の座標位置から上記個別画像の位置を算出する。本実施形態では、原稿位置検出部104は、各個別画像の中心位置(例えば、矩形画像からなる個別画像は、対角線が交差する位置を中心位置とする)を、各個別画像の位置として検出する。
図3は、載置読取用プラテンガラス162に複数の原稿が載置された状態の一例を示し、上方から見た図である。図3に示したように、複数の原稿D1〜D3(例えば、名刺)が載置読取用プラテンガラス162に載置されている場合、原稿D1〜D3に対応する個別画像の中心位置が原稿D1〜D3の位置P1〜P3として、原稿位置検出部104により検出される。
基準原稿選択部105は、上記画像データにおいて、原稿位置検出部104により検出された各個別画像の位置に基づいて、画像データにおける予め定められた位置(例えば、載置読取用プラテンガラス162の左奥隅162A)に最も近い場所に位置する個別画像に対応する原稿を基準原稿として選択する。
例えば、図3に示したように、複数の原稿D1〜D3が載置読取用プラテンガラス162に載置されている場合、載置読取用プラテンガラス162の左奥隅162Aに最も近い場所(位置P1)に対応する、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データにおける位置に位置する個別画像に対応する原稿D1が基準原稿として選択される。
原稿サイズ検出部106は、上記画像データに基づいて、基準原稿選択部105により選択された基準原稿のサイズを、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データにおける上記個別画像の座標位置に基づいて検出する。例えば、原稿D1が基準原稿として選択されている場合、原稿サイズ検出部106は、原稿D1における横辺の長さDH及び縦辺の長さDVを検出する。
最大読取枚数算出部107は、原稿サイズ検出部106により検出された原稿のサイズ、及び予め登録されている載置読取用プラテンガラス162のサイズ(横辺の長さGH、縦辺の長さGV)に基づいて、原稿読取部5が一括して読取可能な原稿の最大読取枚数Mを算出する。
最大読取枚数算出部107は、例えば、載置読取用プラテンガラス162における横辺の長さGHを、基準原稿である原稿D1における横辺の長さDHで割ることによって、商の整数部QHを算出すると共に、載置読取用プラテンガラス162における縦辺の長さGVを、基準原稿である原稿D1における縦辺の長さDVで割ることによって、商の整数部QVを算出する。そして、最大読取枚数算出部107は、整数部QHと整数部QVとを積算することによって、載置読取用プラテンガラス162に載置可能な原稿枚数(すなわち、最大読取枚数M)を算出する。
例えば、載置読取用プラテンガラス162のサイズが440mm×240mmで、基準原稿のサイズが、一般的な名刺サイズの91mm×55mmである場合、商の整数部QH、QVはそれぞれ「4」となるので、最大読取枚数Mは「16」となる。
第1判断部108は、原稿枚数検出部103により検出された原稿の枚数Nが、最大読取枚数算出部107により算出された最大読取枚数Mに達しているか否かを判断する。
第2判断部109は、第1判断部108により、原稿の枚数Nが最大読取枚数Mに達していないと判断された読取ジョブが、予め定められた回数C1(通知制御部110による通知制御を行わせるタイミングに到ったかを判断するためにユーザーにより設定される回数。例えば、4回)連続したか否かを判断する。
通知制御部110は、第2判断部109により、当該読取ジョブが予め定められた回数C1連続したと判断された場合、最大読取枚数Mを示すメッセージをユーザーに通知するための通知制御を行う。通知制御部110は、例えば、「一度に読み込める最大枚数はM枚です」(Mは、最大読取枚数算出部107が算出した最大読取枚数Mの数値に入れ替える)というメッセージを表示部473に表示させる制御を行う。
次に、第1実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置1による処理の一例を、図4に示したフローチャートに基づいて説明する。図4は、第1実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置1による処理の一例を示すフローチャートである。なお、この処理は、操作受付部101が、ユーザーからのスキャン指示を受け付けた場合に行われる。
操作受付部101が、ユーザーからのスキャン指示を受け付けた場合、制御部100が、原稿読取部5に、載置読取用プラテンガラス162に載置されている原稿を読み取らせ、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データを画像メモリー32に記憶させる(S1)。
そして、個別画像切抜部102が、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データから、原稿毎に独立した個別画像を切り抜く加工処理を行い、切り抜いた個別画像の画像データを画像メモリー32に記憶させる(S2)。制御部100は、個別画像切抜部102が切り抜いた個別画像の画像データをHDD92に記憶させる、又は、外部装置(例えば、パーソナルコンピューター)へ送信することにより、当該個別画像の各画像データを保存する(S3)。
続いて、原稿枚数検出部103が、個別画像切抜部102により切り抜かれた個別画像に基づいて、各個別画像に対応する原稿の枚数Nを検出する(S4)。すなわち、原稿枚数検出部103は、載置読取用プラテンガラス162に載置されている原稿の枚数Nを検出する。
原稿位置検出部104が、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データから、個別画像切抜部102により切り抜かれた各個別画像の位置を検出し(S5)、基準原稿選択部105が、上記画像データにおいて、原稿位置検出部104により検出された各個別画像の位置に基づいて、画像データにおける予め定められた位置(例えば、載置読取用プラテンガラス162の左奥隅162A)に最も近い場所に位置する個別画像に対応する原稿を基準原稿として選択する(S6)。
原稿サイズ検出部106が、上記画像データに基づいて、基準原稿選択部105により選択された基準原稿のサイズを算出し(S7)、最大読取枚数算出部107が、原稿サイズ検出部106により検出された原稿のサイズ及び載置読取用プラテンガラス162の予め登録されているサイズに基づいて、原稿読取部5が一括して読取可能な原稿の最大読取枚数Mを算出する(S8)。
続いて、第1判断部108が、原稿枚数検出部103により検出された原稿の枚数Nが、最大読取枚数算出部107により算出された最大読取枚数Mに達しているか否かを判断する(S9)。第1判断部108が、原稿枚数Nが最大読取枚数Mに達していないと判断した場合(S9でNO)、第2判断部109は、制御ユニット10に内蔵されているタイマーによる計時時間Tが予め定められた時間T1(例えば、60秒)以上経過しているか否かを判断する(S10)。
なお、制御部100は、上記タイマーにより、第1判断部108により原稿枚数Nが最大読取枚数Mに達していないとの判断が前回行われた時点から、当該判断が今回行われた時点までの経過時間を計時させている。本実施形態では、タイマーによる計時時間Tが上記時間T1未満である場合、ユーザーが複数枚の原稿を画像形成装置1に読み取らせるために、当該複数枚の原稿読み取りを複数回に分けて画像形成装置1に行わせる一連の原稿読取における一回分の原稿読取が今回も続けて行われているものとして扱う。
第2判断部109は、タイマーTが予め定められた時間T1を経過していないと判断した場合(S10でNO)、今回の原稿読取は、複数枚の原稿読み取りを複数回に分けて画像形成装置1に行わせる一連の原稿読取における一回分の原稿読取であるため、原稿枚数Nが最大読取枚数Mに達していないと判断された回数をカウントするカウンターCに1を加算する(S11)。更に、制御部100は、タイマーを0にリセットし(S12)、当該タイマーに、S9で第1判断部108により原稿枚数Nが最大読取枚数Mに達していないとの判断が今回行われた時点から、当該判断が次回行われる時点までの経過時間の計時を開始させる。
一方、第2判断部109は、タイマーTが時間T1を経過していると判断した場合には(S10でYES)、今回の原稿読取は、複数枚の原稿読み取りを複数回に分けて画像形成装置1に行わせる一連の原稿読取における一回分の原稿読取ではないため、カウンターCを0にリセットした上で(S13)、カウンターCに1を加算する(S11)。この後、処理はS12に移る。
S12の後、第2判断部109は、カウンターCが予め定められた回数C1(例えば、4回)に達しているか否かを判断する(S14)。
第2判断部109が、カウンターCが予め定められた回数C1に達していると判断した場合(S14でYES)、通知制御部110が、最大読取枚数を示すメッセージをユーザーに通知するための通知制御として、例えば、「一度に読み込める最大枚数は16枚です」というメッセージを表示部473に表示させる制御を行う(S15)。この後、処理は終了する。
一方、第2判断部109が、カウンターCが予め定められた回数C1に達していないと判断した場合は(S14でNO)、S15の処理が行われることなく、処理が終了する。
また、第1判断部108が、原稿枚数Nが最大読取枚数Mに達していると判断した場合(S9でYES)、第2判断部109がカウンターCを0にリセットし(S16)、処理は終了する。
上記第1実施形態によれば、載置読取用プラテンガラス162に載置された原稿の枚数Nが、最大読取枚数Mに達していないことが、予め定められた回数C1連続した場合、最大読取枚数Mを示すメッセージがユーザーに通知される。
例えば、最大読取枚数Mが16枚であり、載置読取用プラテンガラス162に4回連続して3枚ずつしか原稿が載置されなかった場合、「一度に読み取れる最大枚数は16枚です」といったメッセージがユーザーに通知される。また、通知制御部110は、表示部473に、「あと13枚、一度に読み取れます」といったメッセージを表示させるようにしてもよい。なお、ここでの数値「13」は、通知制御部110が、最大読取枚数Mから原稿枚数Nを差し引くことによって求めることができる。
なお、最大読取枚数Mまで原稿を連続して載置読取用プラテンガラス162に置かないユーザーは、最大読取枚数Mを知らない可能性が高いと考えられる。一方、最大読取枚数Mまで原稿を載置読取用プラテンガラス162に置くユーザーは、最大読取枚数Mを知っている可能性が高いと考えられる。従って、最大読取枚数Mを知っている可能性の高いユーザーに対しては、上記メッセージは通知されず、最大読取枚数Mを知らない可能性の高いユーザーに対してのみ、上記メッセージが通知されることになる。
また、上記メッセージが通知されるのは、操作受付部101が、ユーザーからのスキャン指示を受け付けた場合であり、操作受付部101が、ユーザーからのコピー指示を受け付けた場合は、図4に示した処理は行わず、上記メッセージは通知されないのが望ましい。スキャン、すなわち、原稿読取の場合、読み取った画像データを保存することが目的であるため、原稿読取回数は少ない方がよいため、上記通知を行うことが有益であるが、コピーの場合は、画像が複写された記録紙を得ることが目的であるため、必ずしも原稿読取回数は少ない方がよいとは限らない。例えば、ユーザーが、原稿読取時に載置読取用プラテンガラス162に載置した原稿枚数での読み取り画像を、記録紙に印刷したい場合があるからである。
また、上記第1実施形態では、第1判断部108の判断に用いる閾値が最大読取枚数Mである場合(S9)について説明しているが、当該閾値を、最大読取枚数Mではなく、最大読取枚数Mに近い予め定められた枚数としてもよい。例えば、最大読取枚数Mから3枚程度小さくした値や、最大読取枚数Mの7割程度の値を、上記予め定められた枚数としてもよい。
この場合、通知制御部110は、第2判断部109により、当該読取ジョブが予め定められた回数C1連続したと判断された場合(S14)、最大読取枚数Mまで原稿の載置枚数に余裕がある旨を示すメッセージをユーザーに通知する。通知制御部110は、例えば、「一度に読み込める原稿の枚数にはまだ余裕があります」というメッセージを表示部473に表示させる(S15)。
図5は、第2実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。第2実施形態は、制御ユニット10が、合計枚数算出部111と第3判断部112とを更に備え、通知制御部110による処理が異なるという点が、第1実施形態と相違する。第2実施形態では、第1実施形態と同様の処理や構成については説明を省略する。
合計枚数算出部111は、原稿枚数検出部103により検出された原稿の枚数Nに基づいて、原稿の枚数Nが最大読取枚数Mに達していない読取ジョブが予め定められた回数C1連続した場合に、当該連続した各読み取りジョブにおける原稿の枚数Nの合計枚数NTを算出する。例えば、原稿枚数検出部103により検出された原稿の枚数N(すなわち、載置読取用プラテンガラス162に置かれた原稿の枚数)が、1回目は3枚、2回目は2枚、3回目は3枚、4回目は4枚であり、予め定められた回数C1が「4」に設定されている場合、合計枚数NTは「12=3+2+3+4」となる。
第3判断部112は、合計枚数算出部111により算出された原稿の合計枚数NTが、最大読取枚数Mに達しているか否かを判断する。
通知制御部110は、第3判断部112により原稿の合計枚数NTが最大読取枚数Mに達していると判断された場合は、上述したメッセージを通知しない。
次に、第2実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置1による処理の一例を、図6に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理は、操作受付部101が、ユーザーからのスキャン指示を受け付けた場合に行われる。また、第2実施形態では、S11A、S13A、S14A、及びS16Aを追加したことを除いて、第1実施形態について図4に示したフローチャートを用いて説明した処理と同じ処理である。第2実施形態に係る以下の説明では、S9から説明する。
第1判断部108が、原稿枚数Nが最大読取枚数Mに達していないと判断し(S9でNO)、第2判断部109が、タイマーによる計時時間が予め定められた時間T1を経過していないと判断した場合(S10でNO)、第2判断部109が、原稿枚数Nが最大読取枚数Mに達していない連続回数をカウントするためのカウンターCに1を加算する(S11)。そして、合計枚数算出部111が、前回までの原稿枚数Nの合計である合計枚数NTに、原稿枚数検出部103により検出された今回の原稿枚数Nを加算する(S11A)。この後、第2判断部109は、タイマーを0にリセットする(S12)。すなわち、合計枚数算出部111は、第2判断部109によりタイマーによる計時時間が予め定められた時間T1を経過していないと判断され(S10でNO)、今回の原稿読取は、複数枚の原稿読み取りを複数回に分けて画像形成装置1に行わせる一連の原稿読取における一回分の原稿読取である場合には、当該一連の原稿読取において検出された各回の原稿枚数の合計枚数NTを算出する。
一方、第2判断部109はタイマーが時間T1を経過していると判断した場合(S10でYES)、カウンターCを0にリセットする(S13)。合計枚数算出部111は、合計枚数NTを0にリセットする(S13A)。この後、第2判断部109が、カウンターCに1を加算し(S11)、合計枚数算出部111が、合計枚数NTに原稿枚数検出部103により検出された原稿の枚数Nを加算する(S11A)。この後、処理はS12に移る。
S12の後、第2判断部109は、カウンターCが予め定められた回数C1(例えば、4回)に達しているか否かを判断する(S14)。
第2判断部109が、カウンターCが予め定められた回数C1に達していると判断した場合(S14でYES)、第3判断部112が、合計枚数算出部111により算出された原稿の合計枚数NTが、最大読取枚数Mに達しているか否かを判断する(S14A)。
第3判断部112が、合計枚数算出部111により算出された原稿の合計枚数NTが、最大読取枚数Mに達していないと判断した場合(S14AでNO)、通知制御部110が、「一度に読み込める最大枚数は16枚です」というメッセージを表示部473に表示させ(S15)、この処理を終了する。
一方、第2判断部109が、カウンターCが予め定められた回数C1に達していないと判断した場合(S14でNO)や、第3判断部112が、合計枚数算出部111により算出された原稿の合計枚数NTが、最大読取枚数Mに達していると判断した場合(S14AでYES)、S15の処理が行われることなく、処理が終了する。
また、第1判断部108が、原稿枚数Nが最大読取枚数Mに達していると判断した場合(S9でYES)、第2判断部109が、カウンターCを0にリセットし(S16)、合計枚数算出部111が、合計枚数NTを0にリセットしてから(S16A)、処理が終了する。
上記第2実施形態によれば、載置読取用プラテンガラス162に載置された原稿の枚数Nが、最大読取枚数Mに達していないことが、予め定められた回数C1連続したとしても、その期間における合計枚数NTが最大読取枚数Mに達している場合には、上記メッセージは通知されず、合計枚数NTが最大読取枚数Mよりも少ない場合にのみ、上記メッセージは通知される。すなわち、全ての原稿を読み取るためには複数回に分けた原稿読取を行う必要がある場合を除き、少ない回数での原稿読取で足りるにも拘わらず多回数の原稿読取が行われるといった作業効率の非常に悪い場合に限定して、上記メッセージが通知されるので、ユーザーにとって真に必要な場合に上記通知が行われるようにして、必要以上に上記通知が行われるのを防ぐことができる。
図7は、第3実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。第3実施形態は、制御ユニット10が、第4判断部113を更に備え、通知制御部110における処理が異なるという点で、第1実施形態と相違する。なお、第3実施形態についての説明では、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
第4判断部113は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データから、個別画像切抜部102により切り抜かれた個別画像に基づいて、当該個別画像に対応する原稿が載置読取用プラテンガラス162に整列して載置されているか否かを判断する。
例えば、第4判断部113は、原稿位置検出部104により検出された各個別画像の位置(座標位置)に基づいて、基準原稿選択部104により検出された基準原稿と他の原稿との水平方向又は垂直方向の座標ズレを算出し、当該他の原稿が全て、座標ズレが予め定められた範囲内(例えば、10mm)である場合、当該個別画像に対応する原稿が載置読取用プラテンガラス162に整列して載置されていると判断する。
なお、通知制御部110は、第4判断部113により個別画像に対応する原稿が載置読取用プラテンガラス162に整列して載置されていると判断された場合は、上記メッセージを通知しない。
当該第3実施形態によれば、載置読取用プラテンガラス162に原稿が整列して載せられている場合(つまり、ユーザーに何らかの意図があり、最大読取枚数Mを知っている可能性が低くないと考えられる場合)、上記メッセージは通知されないので、必要以上に上記通知が行われるのを防ぐことができる。
また、上記第1乃至第3実施形態では、操作受付部101が、ユーザーからのスキャン指示を受け付けたときに、図4に示した処理等を実行させる場合について説明しているが、別の実施形態として、制御部100が、マット開閉スイッチ51からの信号に基づいて、原稿マット61の閉鎖を検出したときに、原稿読取部5に、載置読取用プラテンガラス162に載置されている原稿をプレスキャンとして読み取らせるようにして、このプレスキャンで得られた画像データに基づいて、図4に示した処理等を実行させるようにしてもよい。
すなわち、画像形成装置1では、本スキャンの前に行われるプレスキャンで、原稿読取部5に、載置読取用プラテンガラス162に載置されている原稿を読み取らせ、本スキャンの前に、通知制御部110による上記メッセージの通知制御を行うようにしてもよい。なお、本スキャンとは、操作受付部101が、ユーザーからのスキャン指示を受け付けたときに、原稿読取部5がHDD92等への保存用に原稿を読み取る読取動作である。
また、更なる別の実施形態として、操作受付部101が、予め定められた回数C1のユーザー設定を受け付ける設定受付部を備え、第1判断部108が、当該設定受付部により受け付けられたユーザー設定に基づいて、カウンターCが予め定められた回数C1連続して行われたか否かを判断するようにしてもよい。
図8は、第4実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。第4実施形態は、制御ユニット10が、制御部100と、操作受付部101と、個別画像切抜部102とを備えると共に、判定部114と、画像分割部115と、補完部116とを備える。第4実施形態において、制御部100、操作受付部101、及び個別画像切抜部102は、第1実施形態と同様の構成である。第4実施形態に係る画像形成装置1の制御ユニット10は、図8に図示する各部のみを備える。なお、第4実施形態についての説明では、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
判定部114は、個別画像切抜部102により切り抜かれた個別画像の画像データに基づいて、原稿が重なっている場合に生じる重ね合わせ境界の陰影の有無から、当該個別画像に対応する原稿が重ね合わせ原稿であるか否かを判定する。
図9は、載置読取用プラテンガラス162に複数の原稿が載置された状態の一例を、載置読取用プラテンガラス162の下方から見た図である。図9には個別画像が2つ存在する例を示している。図9に示すように、一方の個別画像に対応する原稿DAは、複数の原稿D11〜D15(例えば、名刺)が重なった重ね合わせ原稿である。もう一方の個別画像に対応する原稿DBは、複数の原稿D16〜D18が重なった重ね合わせ原稿である。また、太線で示す境界線L1〜L6は、原稿が重なっている場合に生じる重ね合わせ境界の陰影を示している。
画像分割部115は、判定部114により個別画像に対応する原稿が重ね合わせ原稿であると判定された場合、個別画像切抜部102により切り抜かれた個別画像の画像データに基づいて、重ね合わせ境界を示す陰影(境界線L1〜L6)の画像に沿って、個別画像を分割する加工処理を行う。画像分割部115は、例えば、個別画像切抜部102により切り抜かれた、原稿DAに対応する個別画像を、境界線L1〜L4を示す画像に沿って、原稿D11〜D15のそれぞれに分割する。
補完部116は、画像分割部115による分割によって得られた分割画像に生じている、他原稿との重なりによる欠損部分についての画像データを、当該欠損部分と位置的に対応する部分の当該他原稿についての画像データを用いて補完する。例えば、補完部116は、画像分割部115による分割によって得られた分割画像に生じている、他原稿との重なりによる欠損部分に、当該欠損部分と位置的に対応する部分の当該他原稿についての画像データを合成することで補完する。
次に、第4実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置1による処理の一例を、図10を参照して説明する。図10は、第4実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置1による処理の一例を示すフローチャートである。なお、この処理は、操作受付部101が、ユーザーからのスキャン指示を受け付けた場合に行われる。
まず、制御部100が、原稿読取部5に、載置読取用プラテンガラス162に載置されている原稿を読み取らせ、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データを画像メモリー32に記憶させる(S21)。
そして、個別画像切抜部102が、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データから、原稿毎に独立した個別画像を切り抜く加工処理を行い(S22)、切り抜いた個別画像の画像データを画像メモリー32に記憶させる。
続いて、判定部114が、個別画像切抜部102により切り抜かれた個別画像の1つを選択し(S23)、選択した個別画像の画像データにおいて、原稿が重なっている場合に生じる重ね合わせ境界の陰影(例えば、境界線L1〜L6)を示す画像が存在するか否かを判断する。判定部114は、選択した個別画像の画像データに当該陰影を示す画像が存在する場合には、原稿の重ね合わせが生じていると判定する(S24)。例えば、判定部114が、原稿DA(図9)を構成する個別画像を選択した場合、原稿DAが重ね合わせ原稿であるか否かを判定する。原稿DAは境界線L1〜L4を有するので、判定部114は、原稿DAが重ね合わせ原稿であると判定することになる。図11に重ね合わせ原稿の一例を示す。図11では、原稿DA(図9)を例として示している。なお、図12は、重ね合わせ原稿(原稿DA)を構成する複数の原稿D11〜D15をそれぞれ独立して示した図である。
判定部114により当該個別画像に対応する原稿が重ね合わせ原稿であると判定された場合(S24でYES)、画像分割部115が、個別画像切抜部102により切り抜かれた個別画像の画像データに基づいて、重ね合わせ境界を示す陰影(例えば、境界線L1〜L4)に沿って、当該個別画像を分割する加工処理を行う(S25)。
画像分割部115が、原稿DAを構成する個別画像を、境界線L1〜L4に沿って分割することによって、分割画像G11〜G15を得る(図13)。図13は、個別画像を分割することによって得られた分割画像の一例を示した図であり、斜線部は欠損部分を示している。分割画像G11〜G15は原稿D11〜D15にそれぞれ対応する。また、原稿D12〜D15に対応する分割画像G12〜G15は、他の原稿との重なりによって欠損部分F1〜F4を有する。
続いて、補完部116が、画像分割部115による分割によって得られた分割画像に対して、例えば図11に示す原稿DAに対応する個別画像において、最上方に位置することになる分割画像を先頭(1番)にして順番を付ける(S26)。例えば、補完部116は、最上方に位置する分割画像G11を1番にし、分割画像G12を2番にし、分割画像G13〜G15を3番〜5番にする。
なお、最上方に位置する分割画像を検出する方法としては、例えば、補完部116が、原稿読取部5により読み取りで得られた画像データに基づいて、分割画像G11〜G15それぞれのサイズ(面積の大きさ)を検出し、最も大きいサイズを最上方に位置する分割画像として検出するといった方法が挙げられる。
補完部116は、分割画像に番号を付した後、次の分割画像の処理を行うために、カウンターKに「2」を設定し(S27)、K番目の順番が付された分割画像が有する欠損部分の領域を検出する(S28)。例えば、補完部116は、2番の分割画像G12が有する欠損部分F1の領域を検出する。例えば、欠損部分F1の領域は、分割画像G12の後端部から境界線L1までの距離を算出することによって検出する。
補完部116は、検出した領域に基づいて、当該欠損部分の画像データを、当該欠損部分と位置的に対応する部分のK−1番の分割画像の画像データ(K−1番の分割画像の先端部(上端部)から距離L1(距離L1=分割画像G12の後端部から境界線L1までの距離)までの画像データ)を用いて補完し(S29)、補完した画像データを画像メモリー32に記憶させる。例えば、補完部116は、順番が2番の分割画像G12が有する欠損部分F1の領域を検出した後、欠損部分F1の画像データを、当該欠損部分F1と位置的に対応する、順番が1番の分割画像G11の画像データ部分を用いて補完する。
続いて、補完部116は、カウンターKに1を加算し(S30)、K番の分割画像が存在するか否かを判断する(S31)。補完部116が、K番の分割画像が存在すると判断した場合(S31でYES)、処理はS28へ戻る。例えば、3番〜5番の分割画像G13〜G15に対する補完処理が完了していない場合、S28へ戻ることになる。
一方、補完部116が、K番の分割画像が存在しないと判断した場合(S31でNO)、判定部114は、原稿の重なりの有無を判定していない個別画像(すなわち、未判定の個別画像)が他に存在するかを判断する(S32)。
判定部114は、原稿の重なりの有無を判定していない個別画像が残っていると判断した場合(S32でYES)、未判定の個別画像の中から個別画像の1つを新たに選択し(S33)、処理はS24へ戻る。なお、S24において、判定部114が当該個別画像に対応する原稿が重ね合わせ原稿でないと判定した場合(S24でNO)、処理はS32へ移る。
一方、判定部114が、原稿の重なりの有無を判定していない個別画像が残っていないと判断した場合(S32でNO)、すべての個別画像に対して原稿の重なりの有無を判定し、必要な補完処理も完了したことになる。例えば、補完部116は、図13に示した各画像に対して上記補間を行って、図12に示した各原稿に対応するそれぞれの画像を作成する。制御部100は、画像メモリー32に記憶されている、分割画像(補完したものは補完後の分割画像)の画像データ、そして分割が行われなかった個別画像が存在する場合には、当該個別画像の画像データを、HDD92に記憶させる、又は外部装置(例えば、パーソナルコンピューター)へ送信することで保存する(S34)。この後、処理は終了する。
当該第4実施形態によれば、原稿の重なりによる欠損部分が生じている場合、欠損部分の画像データが、当該欠損部分の原因となっている他原稿の画像データを用いて補完される。例えば、会社ロゴや部署名が共通する名刺を読み取らせる場合、会社ロゴや部署名が記述された部分を他の名刺に重ねることによって、欠損部分が生じたとしても、当該他の名刺の画像データで補完することが可能となる。従って、原稿同士を載置読取用プラテンガラス162に重ねて置いても、欠損部分を補完することが可能となるので、原稿載置面に載置可能な原稿枚数が増え、最大読取枚数Mを増やすことができる。
図14は、第5実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。第5実施形態は、制御ユニット10が、第1実施形態に係る画像形成装置1の制御ユニット10の構成に加えて、更に、図8に示した判定部114と、画像分割部115と、補完部116とを更に備える。なお、第5実施形態についての説明では、第1及び第4実施形態と同様の構成については説明を省略する。
第5実施形態では、上記第1実施形態と同様に、通知制御部110は、第1判断部108により原稿の枚数Nが最大読取枚数Mに達していないと判断された読取ジョブが、予め定められた回数C1連続したと、第2判断部109が判断した場合、最大読取枚数M又は当該最大読取枚数Mまで原稿の載置枚数に余裕がある旨を示すメッセージをユーザーに通知する。
さらに、当該第5実施形態では、通知制御部110は、当該読取ジョブが予め定められた回数C1連続したと第2判断部109が判断し、かつ、当該読取ジョブが予め定められた回数C1連続した期間において、判定部114により重ね合わせ原稿であると判定された個別画像が存在しなかった場合、上述したメッセージに加えて更に、原稿間で記述内容が共通する部分については原稿同士を重ねて載置読取用プラテンガラス162に載置することが可能である旨を示すメッセージをユーザーに通知する。
例えば、通知制御部110は、「原稿間で記述内容が共通する部分については重ねておくことができます。重ねておけば、一度に読み込める最大枚数をM枚よりも多くすることができます」(Mは、最大読取枚数算出部107が算出した最大読取枚数Mの数値に入れ替える)といったメッセージを表示部473に表示させる通知制御を行う。これにより、ユーザーは、原稿載置部に載置できる原稿枚数を更に増やせることを認識でき、複数枚の原稿についての原稿読取を更に効率良く行うことが可能になる。
また、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。図1乃至図14を用いて上記実施形態において示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。