以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
(ボイラの全体構成)
図1は、第1実施形態に係るボイラを表す概略構成図である。第1実施形態に係るボイラ10は、石炭を粉砕した微粉炭を固体燃料として用い、この微粉炭を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を回収することが可能な微粉炭焚きボイラである。なお、ボイラ10は、微粉炭焚きボイラに限定されるものではなく、燃料も石炭に限るものではない。
図1に示すように、ボイラ10は、コンベンショナルボイラであって、火炉11と燃焼装置12とを有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置され、この火炉11を構成する火炉壁の下部に燃焼装置12が設けられている。
燃焼装置12は、火炉壁に装着された複数の燃焼バーナ21,22,23,24,25を有している。本実施形態にて、この燃焼バーナ21,22,23,24,25は、周方向に沿って4個均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って5セット、つまり、5段配置されている。
そして、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管26,27,28,29,30を介して微粉炭機(ミル)31,32,33,34,35に連結されている。この微粉炭機31,32,33,34,35は、図示しないが、ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブルが駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に対向して複数の粉砕ローラが粉砕テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。従って、石炭が複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、ここで所定の大きさまで粉砕され、搬送空気(1次空気)により分級された微粉炭を微粉炭供給管26,27,28,29,30から燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
また、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト37の一端部が連結されており、この空気ダクト37は、他端部に送風機38が装着されている。従って、送風機38により送られた燃焼用空気(2次空気、3次空気)を、空気ダクト37から風箱36に供給し、この風箱36から各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
そのため、燃焼装置12にて、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と1次空気とを混合した微粉燃料混合気(燃料ガス)を火炉11内に吹き込み可能であると共に、2次空気を火炉11内に吹き込み可能となっており、図示しない点火トーチにより微粉燃料混合気に点火することで、火炎を形成することができる。
なお、一般的に、ボイラの起動時には、各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、油燃料を火炉11内に噴射して火炎を形成している。
火炉11は、上部に煙道40が連結されており、この煙道40に、対流伝熱部(熱回収部)として排ガスの熱を回収するための過熱器(スーパーヒータ)41,42、再熱器(リヒータ)43,44、節炭器(エコノマイザ)45,46,47が設けられており、火炉11での燃焼で発生した排ガスと水との間で熱交換が行われる。
煙道40は、その下流側に熱交換を行った排ガスが排出される排ガス管(排ガス通路)48が連結されている。この排ガス管48は、空気ダクト37との間にエアヒータ49が設けられ、空気ダクト37を流れる空気と、排ガス管48を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
また、排ガス管48では、エアヒータ49より上流側の位置に選択還元型触媒50が設けられ、エアヒータ49より下流側の位置に煤塵処理装置(電気集塵機、脱硫装置)51、誘引送風機52が設けられ、下流端部に煙突53が設けられている。ここで、選択還元型触媒50及び電気煤塵処理装置51が有害物質除去部として機能する。
従って、微粉炭機31,32,33,34,35が駆動すると、生成された微粉炭が搬送用空気と共に微粉炭供給管26,27,28,29,30を通して燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。また、加熱された燃焼用空気が空気ダクト37から風箱36を介して各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。すると、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭と搬送用空気とが混合した微粉燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉11に吹き込み、このときに着火することで火炎を形成することができる。この火炉11では、微粉燃料混合気と燃焼用空気とが燃焼して火炎が生じ、この火炉11内の下部で火炎が生じると、燃焼ガス(排ガス)がこの火炉11内を上昇し、煙道40に排出される。
なお、火炉11では、空気の供給量が微粉炭の供給量に対して理論空気量未満となるように設定されることで、内部が還元雰囲気に保持される。そして、微粉炭の燃焼により発生したNOxが火炉11で還元され、その後、アディショナルエアが追加供給されることで微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるNOxの発生量が低減される。
このとき、図示しない給水ポンプから供給された水は、節炭器45,46,47によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給され火炉壁の各水管(図示せず)に供給される間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。更に、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は過熱器41,42に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器41,42で生成された過熱蒸気は、図示しない発電プラント(例えば、タービン等)に供給される。また、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気は、再熱器43,44に導入され、再度過熱されてタービンに戻される。なお、火炉11をドラム型(蒸気ドラム)として説明したが、この構造に限定されるものではない。
その後、煙道40の節炭器45,46,47を通過した排ガスは、排ガス管48にて、選択還元型触媒50でNOxなどの有害物質が除去され、煤塵処理装置51で粒子状物質が除去されると共に硫黄分が除去された後、煙突53から大気中に排出される。
このように構成された微粉炭焚きのボイラ10にて、火炉11より下流側の煙道40が、排気ダクトとして機能する。そして、この煙道40は、排ガス通路として、水平煙道部40a、垂直煙道部40b、水平煙道部40c(第1排ガス通路)、垂直煙道部40d(第2排ガス通路)、水平煙道部40e、垂直煙道部40f、水平煙道部40gが連続して設けられて構成されている。なお、垂直煙道部40bと水平煙道部40cの連結部の内側に、水平方向に沿うキッカ54が設けられている。
そして、煙道40は、水平煙道部40a及び垂直煙道部40bに、過熱器41,42、再熱器43,44、節炭器45,46,47が配置されている。また、煙道40は、下向きの速度成分を有する排ガスが流れる垂直煙道部40bの下端部に第1ホッパ61が設置されている。第1ホッパ61は、主として、排ガス中に含まれる固体粒子としての大径灰のポップコーンアッシュ(以下、PA)を回収して貯留するものである。第1ホッパ61は、水平煙道部40cにおける排ガスの流れ方向の上流側の底部に、水平煙道部40cの幅方向に所定間隔で複数(本実施形態では、3個)設けられている。なお、各第1ホッパ61は、同形状となっている。
また、煙道40は、上向きの速度成分を有する排ガスが流れる垂直煙道部40dの下端部に、第2ホッパ62(ホッパ)が設置されている。また、煙道40は、排ガスが下向きに流れる垂直煙道部40fに選択還元型触媒50が設置されている。なお、第2ホッパ62(ホッパ)は、後述する旋回流抑制構造部82と共に、ホッパ構造物80を構成する。
(排気ダクト及びホッパ構造物の構成)
図2及び図3は、本実施形態に係る煙道の拡大した模式図である。図2に示すように、本実施形態に係る排気ダクト、すなわち煙道40は、水平煙道部40c(第1排ガス通路)と、垂直煙道部40d(第2排ガス通路)と、ホッパ構造物80とを有している。以下、水平煙道部40cの延在方向を、方向Xとする。方向Xは、水平方向に沿っているが、水平方向から傾斜していてもよい。ただし、方向Xは、鉛直方向に対して交差している。また、方向Xに直交する方向を、方向Yとする。方向Yは、水平煙道部40cの幅方向である。そして、方向X及び方向Yに直交する方向を、方向Zとする。方向Zは、水平煙道部40cの高さ方向であり、本実施形態においては鉛直方向であるといえる。また、方向Xに沿った一方の方向を、方向X1とし、他方の方向、すなわち方向X1と反対方向を、方向X2とする。そして、方向Zに沿った一方の方向を、方向Z1とし、他方の方向、すなわち方向Z1と反対方向を、方向Z2とする。
図2に示すように、水平煙道部40cは、方向Xに沿って延在している。水平煙道部40cは、内部に排ガスGを流す。水平煙道部40cは、方向X2側の端部が、火炉11側の端部であり、図1に示す垂直煙道部40bに接続されている。また、水平煙道部40cは、方向X1側の端部が、火炉11から遠い側の端部である。水平煙道部40cは、排ガスGを、方向X1に向けて流す。言い換えれば、排ガスGの水平煙道40c内での流れ方向は、方向X1となる。
図2に示すように、垂直煙道部40dは、方向Zに沿って延在している。垂直煙道部40dは、方向Z2側の端部が、火炉11側の端部であり、水平煙道部40cの方向X1側の端部に接続されている。垂直煙道部40dは、方向Z1側の端部が、火炉11から遠い側の端部であり、図1に示す水平煙道部40eに接続されている。垂直煙道部40dは、排ガスGを、方向Z1に向けて流す。言い換えれば、排ガスGの垂直煙道部40d内での流れ方向は、方向Z1、すなわち鉛直方向の上側方向となる。より具体的には、排ガスGは、垂直煙道部40d内において、方向Z1に向けて螺旋状に(旋回流として)流れる。なお、垂直煙道部40dは、鉛直方向の上方に向かって延在していれば、方向Z(鉛直方向)から傾斜して延在していてもよい。
図2に示すように、水平煙道部40cと垂直煙道部40dとの接続箇所を、接続部70とする。接続部70は、水平煙道部40cと垂直煙道部40dとの間の箇所であるが、水平煙道部40cの方向X1側の端部であるということもでき、垂直煙道部40dの方向Z2側の端部であるということもできる。また、図3に示すように、垂直煙道部40dは、水平煙道部40cよりも、方向Yに沿った長さ(幅)が大きい。従って、接続部70は、それよりも方向X2側(排ガスGの流れの上流部側)の水平煙道部40cよりも、方向Yに沿った長さ(幅)が大きくなっている。水平煙道部40cは、接続部70の近傍において、方向Yに幅が広がりつつ、垂直煙道部40dと接続している。
図2に示すように、ホッパ構造物80は、接続部70に設けられている。ホッパ構造物80は、第2ホッパ62(ホッパ)と、旋回流抑制構造部82とを有する。第2ホッパ62は、接続部70の方向Z2側の表面である底面72から、方向Z2側に開口する開口である。すなわち、第2ホッパ62は、底面72において、方向Z2側に向けて凹形状をなして形成される開口である。言い換えれば、第2ホッパ62は、垂直煙道部40dの方向Z2側の端部の方向Z2側に開口している。第2ホッパ62は、水平煙道部40cを排ガスGと共に移動してきたPAを捕集して貯留する。なお、図3の例では、第2ホッパ62は、接続部70に、方向Yに沿って3つ設けられているが、例えば6つなどでもよい。すなわち、第2ホッパ62の数は、任意である。
第2ホッパ62は、第1傾斜面62a及び第2傾斜面62bを有する。第1傾斜面62a及び第2傾斜面62bは、第2ホッパ62の方向Z2側の表面、すなわち底面である。第1傾斜面62aは、第2ホッパ62の方向X2側の底面であり、方向Z2に向かうに従って方向X1側に傾斜している。第2傾斜面62bは、第1傾斜面62aと対向する第2ホッパ62の方向X1側の底面である。第2傾斜面62bは、方向Z2に向かうに従って方向X2側に傾斜している。すなわち、第2ホッパ62は、方向Z2に向かうに従って面積が狭くなる。また、第2ホッパ62は、第1傾斜面62a及び第2傾斜面62bの方向Z2側の端部が連結される位置に、貯留部62cが設けられている。第2ホッパ62は、貯留部62cに図示しない開閉弁により開閉可能な開口部が設けられ、この開口部を開放することで、貯留したPAを下方に排出可能となっている。
旋回流抑制構造部82は、邪魔板部90を有している。図2に示すように、邪魔板部90は、表面92を有する板状の部材である。邪魔板部90は、第2ホッパ62の底面(第1傾斜面62a及び第2傾斜面62b)よりも方向Z1側(鉛直方向の上側)に設けられており、一部が第2ホッパ62内に設けられている。また、邪魔板部90は、表面92が、水平煙道部40cの延在方向である方向Xに平行となっている。また、邪魔板部90は、表面92が、垂直煙道部40dの延在方向である方向Zに平行となっている。すなわち、邪魔板部90の表面92は、方向X及び方向Zに平行となっている。また、邪魔板部90は、第2ホッパ62の側部62a1から側部62b1までにわたって設けられている。側部62a1は、第2ホッパ62の一方の側面であり、側部62b1は、側部62a1に対向する第2ホッパ62の他方の側面である。本実施形態においては、側部62a1は、第2ホッパ62の方向X2側の側面であり、側部62b1は、第2ホッパ62の方向X1側の側面である。ただし、邪魔板部90は、第2ホッパ62の側部62a1から側部62b1までのうちの、一部の領域にのみ設けられていてもよい。
ここで、図2に示すように、邪魔板部90の方向X2側の端部を、端部92aとし、邪魔板部90の方向X1側の端部を、端部92bとする。また、邪魔板部90の方向Z1側の端部を、端部92cとし、邪魔板部90の方向Z2側の端部を、端部92dとする。この場合、邪魔板部90は、端部92aが、第2ホッパ62の側部62a1に取付けられており、端部92bが、第2ホッパ62の側部62b1に取付けられている。邪魔板部90の表面92は、端部92aから端部92bまでにおいて、方向Xに沿って延在している。
また、邪魔板部90は、端部92dが、第2ホッパ62の内部に配置されている。端部92dは、第2ホッパ62の底面、より詳しくは、第1傾斜面62a及び第2傾斜面62bの最も方向Z2側の箇所から、方向Z1側に所定の長さだけ離間した位置に設けられている。すなわち、邪魔板部90は、第2ホッパ62内の方向Z1側の一部の空間にのみ配置されており、その一部の空間を区分している。また、邪魔板部90は、端部92cが、第2ホッパ62の外側、すなわち第2ホッパ62よりも方向Z1側(底面72よりも方向Z1側)に突出している。端部92cは、水平煙道部40cの方向Z1側の表面(上面)よりも、方向Z2側に位置している。邪魔板部90は、端部92dから端部92cにわたって、表面92が方向Zに沿って延在している。そして、邪魔板部90は、端部92dから端部92cまでにおいて、第2ホッパ62の内部から、第2ホッパ62よりも方向Z1側(底面72よりも方向Z1側)までにわたって設けられている。
ここで、第2ホッパ62の方向Zに沿った長さ(深さ)を、長さL1とする。長さL1は、底面72から、第1傾斜面62a及び第2傾斜面62bの最も方向Z2側の箇所までの長さといえる。また、邪魔板部90の方向Zに沿った長さ、すなわち端部92dから端部92cまでの長さを、長さL2とする。そして、邪魔板部90の第2ホッパ62の外側における方向Zに沿った長さを、長さL3とする。長さL3は、底面72から端部92cまでの長さともいえる。そして、邪魔板部90の第2ホッパ62内での方向Zに沿った長さを、長さL4とする。長さL4は、端部92dから底面72までの長さともいえる。
ただし、邪魔板部90は、第2ホッパ62の底面(第1傾斜面62a及び第2傾斜面62b)の方向Z1側に設けられていれば、必ずしも第2ホッパ62の内部から第2ホッパ62よりも方向Z1側までにわたって設けられていなくてもよい。邪魔板部90は、少なくとも一部が第2ホッパ62内に設けられていることが好ましいが、全体が、第2ホッパ62よりも方向Z1側、すなわち底面72よりも方向Z1側にのみ設けられていてもよい。また、邪魔板部90は、全体が第2ホッパ62内に設けられ、第2ホッパ62よりも方向Z1側に突出していなくてもよい。
なお、本実施形態においては、邪魔板部90は、表面92が方向Xに平行となるように設けられるが、必ずしも表面92が方向Xに平行でなくてもよい。ここで、図3に示すように、水平煙道部40cの延在方向(方向X)に垂直な平面を、垂直平面PLとする。また、方向Zを回転軸として垂直平面PLを回転させる方向を、方向Rとする。方向Rは、方向Zを軸とした場合の円周方向であるともいえる。邪魔板部90は、表面92が、この垂直平面PLに対して方向Rに向けて傾斜していればよい。言い換えれば、本実施形態において、表面92は、方向Zから見た場合における垂直平面PLに対する角度θが、90度であるが、角度θは、0度より大きく90度以下であればよい。また、更に言い換えれば、邪魔板部90は、表面92が、端部92aから端部92bまでにおいて、垂直平面PLに対して方向X側に傾斜していればよい。
また、図3に示すように、旋回流抑制構造部82(邪魔板部90)は、全ての第2ホッパ62に対して設けられている。ただし、旋回流抑制構造部82(邪魔板部90)は、全ての第2ホッパ62のうちの一部の第2ホッパ62にのみ設けられていてもよい。
(排ガスの流れ)
次に、煙道40における排ガスGの流れについて説明する。排ガスGは、煙道40の熱回収部(過熱器41,42、再熱器43,44、節炭器45,46,47)で熱が回収された後、垂直煙道部40bを下降し、略直角に屈曲して水平煙道部40cに流れ込む。このとき、排ガスGは、含有するPAが第1ホッパ61に自由落下して貯留される。また、排ガスGに含有されるPAの一部は、第1ホッパ61に捕集されずに、排ガスGと共に水平煙道部40c内を流れる。排ガスGは、水平煙道内40cを、方向X1に向かって流れる。
水平煙道部40cを流れる排ガスGは、図2に示すように、接続部70を経て、垂直煙道部40d内に流入する。この際、水平煙道部40cを流れる排ガスGに含有されるPAは、第2ホッパ62内に自由落下して貯留される。また、垂直煙道部40dは、延在方向が水平煙道部40cと交差しており、方向Z1に向かって延在する。従って、排ガスGの流れは、接続部70において、方向X1から方向Z1に屈曲する。さらに、上述のように、煙道40は、方向Yに沿った幅が、水平煙道部40cと垂直煙道部40dとの接続箇所において、大きくなる(図3を参照)。従って、排ガスGは、接続部70において乱流となり、接続部70及び垂直煙道部40dにおいて、方向Z1に向かって螺旋状に上昇する上昇旋回流となる。排ガスGは、垂直煙道部40dにおいて旋回することで均一に分散して、例えば選択還元型触媒50による脱硝処理などに有利となる。
排ガスGは、垂直煙道部40dから、水平煙道部40e、垂直煙道部40f、水平煙道部40gをこの順で流れる。排ガスGは、垂直煙道部40fを通る際に、選択還元型触媒50により、脱硝される。
上述のように、排ガスGは、接続部70及び垂直煙道部40dにおいて、方向Z1に向かって螺旋状に上昇する旋回流となる。この排ガスGの旋回流は、第2ホッパ62内に貯留されたPAを巻き込み、第2ホッパ62内のPAにも方向Z1へ向かう上昇旋回流を発生させるおそれがある。この場合、第2ホッパ62内のPAが、接続部70及び垂直煙道部40d内に飛散してしまい、第2ホッパ62内にPAを捕集できなくなるおそれがある。接続部70及び垂直煙道部40d内に戻ったPAは、そのまま水平煙道部40e側へ運ばれて、選択還元型触媒50に堆積するなどして、排ガスの適切な排出を抑制するおそれがある。本実施形態に係るホッパ構造物80は、旋回流抑制構造部82(邪魔板部90)を設けることで、第2ホッパ62内のPAが接続部70及び垂直煙道部40d内に戻ることを抑制して、PAを適切に捕集させることを可能としている。以下、旋回流抑制構造部82(邪魔板部90)の作用について説明する。
図4は、比較例における第2ホッパ内のPAの流れを示す模式図であり、図5は、本実施形態における第2ホッパ内のPAの流れを示す模式図である。最初に、図4に示すように、比較例における煙道40Xについて説明する。図4に示すように、比較例に係る煙道40Xは、水平煙道部40cXと、垂直煙道部40dXと、第2ホッパ62Xとを有するが、旋回流抑制構造部82を有していない。この場合、図4に示すように、この排ガスGの旋回流が、第2ホッパ62X内のPAにも方向Z1へ向かう上昇旋回流PXを発生させる。一方、図5に示すように、本実施形態における煙道40は、旋回流抑制構造部82、すなわち邪魔板部90が設けられている。邪魔板部90は、第2ホッパ62の底面の方向Z2側に設けられて、表面92が方向Xに平行となっている。従って、邪魔板部90は、表面92が、第2ホッパ62内におけるPAの上昇旋回流に交差する方向に延在していることとなる。そのため、邪魔板部90は、PAの上昇旋回流を遮り、第2ホッパ62内におけるPAの上昇旋回流の発生を抑制することができる。従って、本実施形態においては、第2ホッパ62内からPAが出ていくことを抑制して、第2ホッパ62によりPAを適切に捕集することが可能となる。
さらに、邪魔板部90は、表面92が、方向Xに沿っている。従って、この邪魔板部90は、水平煙道部40cを方向X1に向かって流れる排ガスGの流れを遮らず、排ガスGを適切に流すことが可能となる。なお、邪魔板部90は、上述のように、表面92が、この垂直平面PLに対して方向Rに向けて傾斜していればよい。邪魔板部90は、このように垂直平面PLに対して傾斜することで、表面92が、PAの上昇旋回流に交差して、第2ホッパ62内におけるPAの上昇旋回流の発生を抑制できる。また、邪魔板部90がこのように垂直平面PLに対して傾斜することで、方向X1に向かって流れる排ガスGの流れを遮ることを抑制可能となる。
図6から図11は、旋回流抑制構造部の他の例を示す模式図である。旋回流抑制構造部82は、図2及び図3に示した以外の形状を採ってもよく、例えば、図6から図11の例に示す形状であってもよい。図6に示すように、旋回流抑制構造部82は、邪魔板部90の端部92cが、第2ホッパ62の内部に設けられていてもよい。すなわち、図6に示すように、邪魔板部90は、全体が、第2ホッパ62の内部に設けられていてもよい。また、図7に示すように、旋回流抑制構造部82は、邪魔板部90の端部92dが、第2ホッパ62よりも方向Z1側に設けられていてもよい。すなわち、図7に示すように、邪魔板部90は、全体が、第2ホッパ62よりも方向Z1側に設けられていてもよい。
また、図8に示すように、旋回流抑制構造部82は、図2に示す邪魔板部90に加え、邪魔板部90Aを有してもよい。邪魔板部90Aは、表面92が、方向Yに平行に(すなわち垂直平面PLに沿って)延在し、邪魔板部90に交差する。邪魔板部90Aは、邪魔板部90に交差する方向に延在するものであれば、方向Yに平行でなくてもよい。
また、図9に示すように、旋回流抑制構造部82は、邪魔板部90Bを有してもよい。邪魔板部90Bは、表面92が、方向Zに平行であるが、方向X及び方向Yに対して傾斜している。すなわち、邪魔板部90Bは、表面92が、垂直平面PLに対して方向Rに向けて傾斜している。
また、図10に示すように、旋回流抑制構造部82は、図2に示す邪魔板部90に加え、邪魔板部90A1、90A2を有してもよい。邪魔板部90A1、90A2は、表面92が、邪魔板部90の表面92と同方向(ここでは方向X)に沿って延在する。すなわち、旋回流抑制構造部82は、表面92が互いに同方向に延在した複数の邪魔板部を有していてもよい。
また、図11に示すように、旋回流抑制構造部82は、図9に示す邪魔板部90Bに加え、邪魔板部90Bに交差する邪魔板部90Cを有してもよい。邪魔板部90Cは、表面92が、邪魔板部90Bに交差する方向に延在する。邪魔板部90Cは、表面92が、方向Zに平行であるが、方向X及び方向Yに対して傾斜している。すなわち、図8及び図11に示すように、旋回流抑制構造部82は、表面92が互いに異なる方向に延在した複数の邪魔板部を有していてもよい。この場合、少なくとも1つの邪魔板部は、表面92が、垂直平面PLに対して方向Rに向けて傾斜している。なお、図8から図11で説明した邪魔板部90A、90B、90A1、90A2、90Cは、表面92の延在方向以外は、邪魔板部90と同じ形状となっている。
以上説明したように、本実施形態に係るホッパ構造物80は、第2ホッパ62(ホッパ)と、旋回流抑制構造部82とを有する。第2ホッパ62は、水平煙道部40c(第1排ガス通路)と垂直煙道部40d(第2排ガス通路)との間(接続部70)に設けられる。水平煙道部40cは、排ガスGを流動可能な通路である。垂直煙道部40dは、水平煙道部40cに接続され、水平煙道部40cと交差する鉛直方向の上側(方向Z1)に向かって延在する。第2ホッパ62は、排ガスG中の固体粒子(PA)を回収可能である。旋回流抑制構造部82は、第2ホッパ62の底面よりも鉛直方向の上側(方向Z1側)に設けられる邪魔板部90を有する。邪魔板部90は、表面92が、垂直平面PLに対して、鉛直方向(方向Z)を回転軸として垂直平面PLを回転させる方向R側に傾斜している。垂直平面PLは、水平煙道部40cの延在方向(方向X)に対する垂直な平面である。
本実施形態に係るホッパ構造物80は、邪魔板部90を有しており、邪魔板部90の表面92は、垂直平面PLに対して方向Rに向けて傾斜している。従って、邪魔板部90は、第2ホッパ62内におけるPAの上昇旋回流を遮ることが可能となる。従って、ホッパ構造物80は、邪魔板部90により、第2ホッパ62内からPAが出ていくことを抑制して、第2ホッパ62によりPAを適切に捕集することが可能となる。また、邪魔板部90は、垂直平面PLに対して方向Rに向けて傾斜しているため、水平煙道部40c内で方向Xに向かって流れる排ガスGの流れを抑制せず、排ガスGを適切に流すことが可能となる。
邪魔板部90は、表面92が、水平煙道部40c(第1排ガス通路)の延在方向、すなわち方向Xに平行であることが好ましい。本実施形態に係るホッパ構造物80は、邪魔板部90の表面92が、水平煙道部40cの延在方向に平行であるため、第2ホッパ62によりPAを適切に捕集しつつ、排ガスGを適切に流すことが可能となる。
邪魔板部90は、表面92が、垂直煙道部40d(第2排ガス通路)の延在方向、すなわち方向Zに平行であることが好ましい。本実施形態に係るホッパ構造物80は、邪魔板部90の表面92が、垂直煙道部40dの延在方向に平行であるため、第2ホッパ62によりPAを適切に捕集しつつ、排ガスGを適切に流すことが可能となる。
邪魔板部90は、第2ホッパ62(ホッパ)の一方の側部62a1から、一方の側部62a1に対向する他方の側部62b1までにわたって設けられていることが好ましい。本実施形態に係るホッパ構造物80は、邪魔板部90が、第2ホッパ62の、側部62a1から側部62b1にわたって設けられているため、第2ホッパ62内におけるPAの上昇旋回流をより適切に抑制して、第2ホッパ62によりPAをより適切に捕集することができる。
第2ホッパ62(ホッパ)は、水平煙道部40c(第1排ガス通路)と垂直煙道部40d(第2排ガス通路)との接続部70の底面72において、鉛直方向の下方(方向Z2)に向けて開口する開口である。邪魔板部90は、第2ホッパ62内部に設けられる。本実施形態に係るホッパ構造物80は、第2ホッパ62が開口となっており、邪魔板部90が第2ホッパ62の内部に設けられているため、第2ホッパ62によりPAをより適切に捕集することができる。
邪魔板部90は、第2ホッパ62(ホッパ)内部から、第2ホッパ62よりも鉛直方向の上方(方向Z1側)にわたって設けられていることが好ましい。本実施形態に係るホッパ構造物80は、邪魔板部90が第2ホッパ62の内部から外部にわたって設けられているため、第2ホッパ62内におけるPAの上昇旋回流を適切に抑制して、第2ホッパ62によりPAをより適切に捕集することができる。
邪魔板部90は、第2ホッパ62(ホッパ)よりも鉛直方向の上方(方向Z1側)に突出しないように設けられていることが好ましい。本実施形態に係るホッパ構造物80は、邪魔板部90の全体が第2ホッパ62の内部に設けられているため、第2ホッパ62によりPAを適切に捕集しつつ、排ガスGをより適切に流すことが可能となる。
また、旋回流抑制構造部82は、複数の邪魔板部を有することが好ましい。本実施形態に係るホッパ構造物80は、邪魔板部を複数有するため、第2ホッパ62によりPAをより適切に捕集することが可能となる。
本実施形態に係る煙道40(排気ダクト)は、水平煙道部40c(第1排ガス通路)と、垂直煙道部40d(第2排ガス通路)と、第2ホッパ62(ホッパ)と、旋回流抑制構造部82とを有する。この煙道40は、旋回流抑制構造部82を有するため、第2ホッパ62によりPAを適切に捕集することが可能となる。
本実施形態に係るボイラ10は、中空形状をなして鉛直方向に沿って設置される火炉11と、燃料を火炉11内に向けて吹き込んで燃焼させる燃焼装置12と、火炉11における排ガスGの流れ方向の下流側に連結される煙道40(排気ダクト)と、煙道40に設けられて排ガスG中の熱を回収可能な過熱器41(熱回収部)と、を有する。このボイラ10は、旋回流抑制構造部82を有するため、第2ホッパ62によりPAを適切に捕集することが可能となる。
次に、比較例における煙道40Xと、本実施形態における煙道40とにおいて、排ガスG及びPAの流れの比較を説明する。比較例における煙道40Xは、図4に示したように、邪魔板部90を有さず、本実施形態における煙道40は、本実施形態で説明した邪魔板部90を有している。
比較例において、排ガスGは、垂直煙道部40dにおいて、上昇旋回流となる。また、比較例においては、邪魔板部90が設けられていないため、PAは、第2ホッパ62内において、上昇旋回流となる。
本実施形態においては、邪魔板部90を垂直平面PLに対して方向Rに向けて傾斜するように設けているため、排ガスGの流れを、邪魔板部が設けられていない比較例と同様の流れに保つようにし、排ガスGの流れを抑制しない。一方、本実施形態においては、邪魔板部90を設けているため、比較例のように邪魔板部90が設けられていない構造に対して、第2ホッパ62内におけるPAの上昇旋回流を抑制する。このように、本実施形態においては、邪魔板部90により、第2ホッパ62によりPAを適切に捕集しつつ、排ガスGを適切に流すことが可能となる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。