JP2018199775A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリカーボネート樹脂が本来有している優れた透明性を維持しながら、制電性やアウトガスの発生を抑制できるポリカーボネート樹脂組成物を提供する。【手段】(A)ポリカーボネート樹脂と、(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤と、(C)芳香族(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位とを含む重合体からなるアクリル系添加剤と、を含むポリカーボネート樹脂であって、前記(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤が、組成物全体に対して7〜38質量%含まれ、前記(C)アクリル系添加剤が、組成物全体に対して7〜48質量%含まれることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明はポリカーボネート樹脂組成物に関し、より詳細には、ポリカーボネート樹脂が有する透明性を維持しながら、制電性や低アウトガス性に優れたポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ポリカーボネート樹脂は、汎用エンプラとして、透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性等に優れることから、電気電子・OA機器、光メディア、自動車部品、建築部材など、工業的に幅広く利用されている。例えば、半導体装置の製造において、シリコンウエハ等の半導体部品を収納搬送するケースにポリカーボネート樹脂が使用されている。
上記したような半導体部品を収納搬送するためのケースには、半導体部品の静電破壊を防止するため制電処理がなされており、例えば、ケースを構成するポリカーボネート樹脂にカーボン等の導電性フィラーを添加することが行われている(例えば、特許文献1等)。一方、カーボン等の導電性フィラーを含有するケースは着色してしまうという問題がある。そのため、樹脂に、アルキルスルホン酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩などのイオン性界面活性剤、特にアルキル(アリール)スルホン酸塩系界面活性剤を添加して樹脂の抵抗値を低減することが行われている(例えば、特許文献2、3等)。
上記した界面活性剤は、樹脂に添加されるとブリードアウトして樹脂表面の抵抗値を下げるものであるため、樹脂表面を拭き取ったり洗浄したりすると制電性が低下するという問題がある。また、アウトガスが発生するという問題もある。そのため、制電性を有する樹脂を帯電防止剤として用いることも提案されている。例えば、ポリエーテルエステルアミド(特許文献4)、幹ポリマーがポリアミド、枝ポリマーがポリアルキレンエーテルと熱可塑性ポリエステルとのブロックポリマーから構成されるグラフトポリマー(特許文献5)、特定のポリアミドイミドエラストマー(特許文献6)、特定のポリエチレングリコールと特定の非ヒンダードジイソシアネートと特定の脂肪族連鎖延長剤グリコールとの反応生成物を含む樹脂(特許文献7)、更には、ポリエーテルエステル系帯電防止剤として、特許文献8〜11等に記載されているような種々のものが提案されている。
ところで、近年、半導体装置の製造においては、品質管理用のバーコート等のラベルを半導体部品に付帯することが行われており、収納搬送用ケースの透明性も、外部から収納された部品を視認できるだけでなく、ケース内のラベルを外部から光学的に読み取ることができる程度まで高いものが求められるようになってきており、上記のような従来の帯電防止剤を添加したポリカーボネート樹脂からなる収納搬送用ケースでは透明性が不十分とされる場合があった。
また、収納搬送用ケースから発生するアウトガスによって半導体部品が汚染されないよう、アウトガス発生の少ないポリカーボネート樹脂を使用することが望まれている。このような希求に対して、特許文献5は、アウトガスが少なく、制電性や透明性に優れたポリカーボネート樹脂組成物からなる収納容器を提案している。
ところで、ポリカーボネート樹脂は上記したような特性を有するものの、擦過傷等が付きやすいため、表面硬度を向上させることも行われている。例えば、透明性を維持しながら表面硬度を向上させる方法として、ポリカーボネート樹脂に特定のアクリレート系樹脂を添加することが知られている(例えば、特許文献12等)。
特開2001−253491号公報 特開平5−222241号公報 特開昭62−230835号公報 特開昭62−273252号公報 特開平5−97984号公報 特開平3−255161号公報 特開平5−222289号公報 特開平6−57153号公報 特開平8−283548号公報 特開平10−219095号公報 特開2006−022232号公報 特開2010−116501号公報
ポリカーボネート樹脂の制電性能を維持するためには、上記した帯電防止剤等を一定量以上の割合でポリカーボネート樹脂に配合する必要がある。しかしながら、帯電防止剤の配合量が増えるにしたがい樹脂の透明性が低下し、アウトガスの発生量も増加することになる。そのため、ポリカーボネート樹脂が本来有している優れた透明性を維持しながら、制電性を持たせたり、低アウトガスとすることは困難であった。
しがたって、本発明の目的は、ポリカーボネート樹脂が本来有している優れた透明性を維持しながら、制電性および低アウトガス性のポリカーボネート樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意検討した結果、ポリカーボネート樹脂の制電に使用されている従来の帯電防止剤を用いた場合であっても、特定のアクリル系樹脂と併用してポリカーボネート樹脂に配合することによって、ポリカーボネート樹脂が本来有している優れた透明性を維持しながら、制電性を持たせたり、低アウトガスとすることができる、との知見を得た。本発明は係る知見に基づくものである。
そして、本発明によるポリカーボネート樹脂組成物は、
(A)ポリカーボネート樹脂と、
(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤と、
(C)芳香族(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位とを含む重合体からなるアクリル系添加剤と、
を含むポリカーボネート樹脂であって、
前記(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤が、組成物全体に対して7〜38質量%含まれ、
前記(C)アクリル系添加剤が、組成物全体に対して7〜48質量%含まれる、
ことを特徴とするものである。
また、本発明の実施態様においては、前記(A)ポリカーボネート樹脂が、組成物全体に対して40〜78質量%含まれることが好ましい。
また、本発明の実施態様においては、前記(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤と前記(C)アクリル系添加剤とが、質量基準において、25:75〜75:25の割合で含まれることが好ましい。
また、本発明の実施態様においては、ポリカーボネート樹脂組成物が(D)界面活性剤を更に含むことが好ましい。
また、本発明の別の実施態様においては、上記したポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体も提供される。
本発明によれば、ポリカーボネート樹脂に、ポリエーテルエステル系帯電防止剤と特定のアクリル系添加剤とを特定の配合割合で添加することにより、ポリカーボネート樹脂が本来有している優れた透明性を維持しながら、制電性および低アウトガス性のポリカーボネート樹脂組成物を実現することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(A)ポリカーボネート樹脂と、(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤と、(C)芳香族(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位とを含む重合体からなるアクリル系添加剤とを必須成分として含ものである。従来のポリカーボネート樹脂組成物においても、透明性と制電性とを両立できる帯電防止剤としてポリエーテルエステル系帯電防止剤等が公知であったものの、組成物全体に対して1〜10質量%程度の割合で含有されるものであった。すなわち、10質量%を超えて帯電防止剤を添加すると制電性能は向上するものの透明性を維持することは困難であった。本発明者らは、帯電防止剤と併用して特定アクリル系添加剤を用いることにより、帯電防止剤がある程度の割合で含有していたとしても、透明性を維持しながら優れた制電性を実現できることを見出したものである。
本発明においては、(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤を、組成物全体に対して7〜38質量%含み、(C)アクリル系添加剤を、組成物全体に対して7〜48質量%含む。このように帯電防止剤の配合量を高くした場合であっても、特定のアクリル系添加剤を組成物全体に対して7〜48質量%の割合で含有することで、透明性を維持しながら、優れた制電性を実現することができる。また、透明性および制電性に加えて、低アウトガス性とすることができる。以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の主成分として使用される(A)ポリカーボネート樹脂は、分子主鎖中に炭酸エステル結合(−[O−R−OCO]−)を含む重合体の総称であり、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体である。
ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。これらは、単独または2種類以上混合して使用される。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。上記した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造された芳香族ポリカーボネート樹脂は、代表的なポリカーボネート樹脂として好適に使用することができる。
上記したジヒドロキシアリール化合物と3価以上のフェノール化合物とを混合したものを原料として用いてもよい。3価以上のフェノールとしては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−[4,4−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン等が挙げられる。
(A)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、使用用途によって適宜調整してよいが、成形性や取り扱い性の観点から通常は、10,000〜100,000、好ましくは15,000〜35,000である。粘度平均分子量は、ポリカーボネート樹脂を調製する際に、従来公知の手法である分子量調節剤や触媒などを必要に応じて使用することで調整することができる。また、(A)ポリカーボネート樹脂として市販されているものを使用してもよく、例えば、ユーピロン(登録商標)S−3000、同S−3000R、同H−3000(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製)、パンライト(登録商標)L−1225L(帝人株式会社製)等を用いることができる。
<(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤>
本発明によるポリカーボネート樹脂組成物に含まれる(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤とは、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールとグリコールと多価カルボン酸等とを縮合して得られるポリエーテルエステル樹脂である。ポリエーテルエステル樹脂のなかでも、スルホン酸塩基で置換された芳香族多価カルボン酸に由来する構造単位を有するポリエーテルエステル樹脂を好ましく使用することができ、制電性、透明性、低アウトガス性の観点からは、より好ましくは、下記の成分:
(b1)テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体からなる群から選択される1種以上の芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位;
(b2)下記式(1)で表される、スルホン酸塩基で置換された芳香族多価カルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体に由来する構成単位;
(b3)数平均分子量200〜50,000のポリアルキレングリコールに由来する構成単位;および、
(b4)炭素数2〜10のグリコールに由来する構成単位;
を含み、ここで上記成分(b1)に由来する構成単位の含有量と上記成分(b2)に由来する構成単位の含有量との和を100モル%として、上記成分(b1)に由来する構成単位を98〜70モル%、上記成分(b2)に由来する構成単位を2〜30モル%となる量で含み;上記成分(b1)に由来する構成単位の含有量、上記成分(b2)に由来する構成単位の含有量、上記成分(b3)に由来する構成単位の含有量、および上記成分(b4)に由来する構成単位の含有量の和を100質量%として、上記成分(b3)に由来する構成単位の含有量が10〜60質量%である;ポリエーテルエステル樹脂である。
Figure 2018199775
(式(1)中、Arは少なくとも3つの水素原子が置換された芳香環構造を有する基;R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基;M+は金属イオン、テトラアルキルホスホニウムイオンまたはテトラアルキルアンモニウムイオンを表す。)
上記したポリエーテルエステル樹脂が、上記した(b1)のような構成単位を含むことにより、ポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性をより向上させることができる。また、上記したポリエーテルエステル樹脂が、上記した(b2)のような構成単位を含むことにより、ポリカーボネート樹脂組成物の制電性をより向上させることができる。
上記式(1)において、Arは少なくとも3つの水素原子が置換された芳香環構造を有する基である。上記式(1)中のArとしては例えば、少なくとも3つの水素原子が置換されたベンゼン環構造を有する基、および少なくとも3つの水素原子が置換されたナフタレン環構造を有する基をあげることができる。これらは3つの水素原子が上記式(1)により特定される3つの置換基により置換されるだけでなく、更に1つ以上の水素原子がアルキル基、フェニル基、ハロゲン基、およびアルコキシ基などの置換基により置換されたものであってよい。置換位置は制限されず、任意に選択することができる。上記式(1)中のArは好ましくは、重合性、機械特性、および色調の観点から、水素原子3つが置換されたベンゼン環構造を有する基である。
上記式(1)において、R1は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基である。好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、およびプロピル基などの炭素数1〜3のアルキル基である。これらの中で、上記式(1)中のR1としては、重合性、機械特性、および色調の観点から、メチル基およびエチル基が好ましい。
上記式(1)において、R2は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基である。好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、およびプロピル基などの炭素数1〜3のアルキル基である。これらの中で上記式(1)中のR2としては、重合性、機械特性、および色調の観点から、メチル基およびエチル基が好ましい。
上記式(1)において、R1とR2とは同じ構造であってもよく、違う構造であってもよい。上記式(1)中のR1とR2とは、それぞれ独立して、上記範囲内において任意の構造を取り得る。
上記式(1)中のMは金属イオン、テトラアルキルホスホニウムイオンまたはテトラアルキルアンモニウムイオンである。なお上記式(1)中のMが多価である場合には、これに対応する数のスルホン酸基(上記式(1)中のM以外の部分)が対応する。例えば、上記式(1)中のMが2価の金属イオンである場合には、1個の金属イオンに対して2個のスルホン酸基(上記式(1)中のM以外の部分)が対応する。
上記金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、およびリチウムイオンなどのアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、およびマグネシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン;および亜鉛イオンなどをあげることができる。上記テトラアルキルホスホニウムイオンとしては、テトラブチルホスホニウムイオン、およびテトラメチルホスホニウムイオンなどをあげることができる。上記テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、テトラブチルアンモニウムイオン、およびテトラメチルアンモニウムイオンなどをあげることができる。これらの中で上記式(1)中のMとしては、重合性、機械特性、制電性および色調の観点から、アルカリ金属イオン、テトラブチルアンモニウムイオン、およびテトラブチルホスホニウムイオンが好ましい。より好ましくはアルカリ金属イオンおよびテトラブチルホスホニウムイオンである。
構成単位(b2)、即ち上記式(1)で表される、スルホン酸塩基で置換された芳香族多価カルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体としては、例えば、4−ナトリウムスルホ−イソフタル酸、5−ナトリウムスルホ−イソフタル酸、4−カリウムスルホ−イソフタル酸、5−カリウムスルホ−イソフタル酸、2−ナトリウムスルホ−テレフタル酸、2−カリウムスルホ−テレフタル酸、4−スルホ−イソフタル酸亜鉛、5−スルホ−イソフタル酸亜鉛、2−スルホ−テレフタル酸亜鉛、4−スルホ−イソフタル酸テトラアルキルホスホニウム塩、5−スルホ−イソフタル酸テトラアルキルホスホニウム塩、4−スルホ−イソフタル酸テトラアルキルアンモニウム塩、5−スルホ−イソフタル酸テトラアルキルアンモニウム塩、2−スルホ−テレフタル酸テトラアルキルホスホニウム塩、2−スルホ−テレフタル酸テトラアルキルアンモニウム塩、4−ナトリウムスルホ−2、6−ナフタレンジカルボン酸、4−ナトリウムスルホ−2、7−ナフタレンジカルボン酸、4−カリウムスルホ−2、6−ナフタレンジカルボン酸、4−スルホ−2、6−ナフタレンジカルボン酸亜鉛塩、4−スルホ−2、6−ナフタレンジカルボン酸テトラアルキルホスホニウム塩、4−スルホ−2、7−ナフタレンジカルボン酸テトラアルキルホスホニウム塩、これらのジメチルエステル、およびこれらのジエチルエステルなどをあげることができる。
上記したなかでも、重合性、機械特性、および色調の観点から、4−ナトリウムスルホ−イソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホ−イソフタル酸ジメチル、4−カリウムスルホ−イソフタル酸ジメチル、5−カリウムスルホ−イソフタル酸ジメチル、2−ナトリウムスルホ−テレフタル酸ジメチル、および2−カリウムスルホ−テレフタル酸ジメチルが好ましい。
上記したポリエーテルエステル樹脂が、上記成分(b1)に由来する構成単位と上記成分(b2)に由来する構成単位との和を100モル%として、上記成分(b1)に由来する構成単位を98〜70モル%、好ましくは97〜71モル%、より好ましくは95〜73モル%、更に好ましくは91〜75モル%となる量で含み、上記成分(b2)に由来する構成単位を2〜30モル%、好ましくは3〜29モル%、より好ましくは5〜27モル%、更に好ましくは9〜25モル%となる量で含むものであることは好ましい。上記したポリエーテルエステル樹脂が、上記成分(b1)に由来する構成単位と上記成分(b2)に由来する構成単位を、上記範囲内となるように含むと、本発明の制電性樹脂組成物は、制電性が更に良好なものになる。また水洗いしたり拭取りを行ったりしても、良好な制電性を維持することができる。また十分な分子量と結晶性を有し、取扱性の良好なものになる。
上記したポリエーテルエステル樹脂が、構成単位(b3)に由来する構成単位を含むと、制電特性が更に良好になるため好ましい。構成単位(b3)、即ち数平均分子量200〜50000のポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールを主モノマー(通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上)としてプロピレングリコールなどをコモノマーとする共重合体、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールを主モノマーとして少量(通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは1モル%以下。)の芳香族多価オールをコモノマーとする共重合体、およびこれらの混合物などをあげることができる。
構成単位(b3)の数平均分子量は、制電性、分散性、および耐熱性の観点から、200〜50,000、好ましくは500〜30,000、より好ましくは1,000〜20,000である。なお、本明細書において数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでの測定におけるポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
構成単位(b3)に由来する構成単位の含有量は、制電性、取扱性、および耐熱性の観点から、10〜60質量%、好ましくは15〜55質量%、より好ましくは20〜50質量%である。ここで上記成分(b1)に由来する構成単位の含有量、上記成分(b2)に由来する構成単位の含有量、上記成分(b3)に由来する構成単位の含有量、および上記成分(b4)に由来する構成単位の含有量の和は100質量%である。
また、上記したポリエーテルエステル樹脂が構成単位(b4)に由来する構成単位を含むと、制電性、取扱性、および耐熱性が更に良好になるため好ましい。構成単位(b4)、即ち炭素数2〜10のグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、および1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂肪族グリコール;ジエチレングリコールなどのエーテル結合を有するグリコール;およびチオジエタノールなどのチオエーテル結合を有するグリコールなどをあげることができる。上記成分(b4)としては、制電性、結晶性、および取扱性の観点から、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、およびジエチレングリコールが好ましい。上記成分(b4)としてはこれらの1種以上を用いることができる。
上記したポリエーテルエステル樹脂のJIS K7367−1:2002に準拠し、当該規格図2のDINウベローデ形粘度計(毛細管直径0.63mm)、フェノール/テトラクロロエタン(質量比60/40)の混合溶媒を用い、濃度1.2g/dl、温度35℃の条件で測定した還元粘度は、制電性、耐熱性、および機械物性の観点から、好ましくは0.2cm/g以上、より好ましくは0.25cm/g以上、更に好ましくは0.3cm/g以上、一方、制電性の観点から、1.8cm/g以下であってよい。
上記したポリエーテルエステル樹脂を得る方法は特に制限されず、任意の方法で行うことができる。例えば、上記成分(B)は、上記構成単位(b1)〜(b4)をエステル交換触媒の存在下、150〜300℃に加熱溶融し、重縮合反応させることにより得ることができる。
上記エステル交換触媒としては、特に制限されず、任意のエステル交換触媒を用いることができる。上記エステル交換触媒としては、例えば、三酸化ニアンチモンなどアンチモン化合物;酢酸第一錫、ジブチル錫オキサイド、およびジブチル錫ジアセテートなどの錫化合物;テトラブチルチタネートなどのチタン化合物;酢酸亜鉛などの亜鉛化合物;酢酸カルシウムなどのカルシウム化合物;炭酸ナトリウム、および炭酸カリウムなどのアルカリ金属塩などをあげることができる。これら中でテトラブチルチタネートが好ましい。上記エステル交換触媒としては、これらの1種以上を用いることができる。
上記エステル交換触媒の使用量は、特に制限されないが、構成単位(b1)1モルに対し、通常0.01〜0.5モル%、好ましくは0.03〜0.3モル%である。
また、上記重縮合反応時に酸化防止剤などの各種安定剤を併用することは好ましい。
上記重縮合反応は、留出物を留去しながら150〜250℃、好ましくは150〜200℃で1〜20時間程度行った後、温度を180〜300℃、好ましくは200〜280℃、より好ましくは220〜260℃に上げて更に1〜20時間程度行うことが好ましい。上記ポリエーテルエステル樹脂を、好ましい範囲の還元粘度を有するものにすることができる。
本発明において、(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤の含有量は、組成物全体に対して7〜38質量%であり、好ましくは12〜33質量%である。(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤を上記のような範囲で樹脂組成物中に配合しても、後記するような(C)アクリル系添加剤と併用することにより、透明性を維持しながら制電性、低アウトガス性に優れるポリカーボネート樹脂組成物とすることができる。
<(C)アクリル系添加剤>
上記した(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤と併用して用いられる(C)アクリル系添加剤は、芳香族(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位とを含む重合体からなるものである。本発明においては、このような芳香環を含むアクリレート系重合体を(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤と併用することにより、(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤の配合量を増やしても、ポリカーボネート樹脂の透明性を維持できる。また、予想外にも、同量の(B)帯電防止剤を含有するポリカーボネート樹脂と比較して、(C)アクリル系添加剤を併用することにより、制電性能が向上することが判明した。さらに、(C)アクリル系添加剤を併用しても、アウトガス発生の問題も生じないことが判明した。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とはアクリレートまたはメタクリレートを意味する。
上記重合体を構成する芳香族(メタ)アクリレートとしては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは単独または2種を混合して使用することができる。これらのうち、好ましくはフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートであり、より好ましくはフェニルメタクリレートである。芳香族(メタ)アクリレートは、ポリカーボネート樹脂の透明性を向上させる作用を有する。
上記重合体を構成するメチルメタクリレートは、ポリカーボネート樹脂と相溶し、ポリカーボネート樹脂の表面硬度を向上させる作用を有する。
上記したアクリレート系重合体は、芳香族(メタ)アクリレートを5〜80質量%、メチルメタクリレートを20〜95質量%の割合で含むことが好ましく、より好ましい割合は、芳香族(メタ)アクリレートを10〜40質量%、メチルメタクリレートを60〜90質量%であり、特に好ましい割合は、芳香族(メタ)アクリレートを15〜35質量%、メチルメタクリレートを65〜85質量%である。
本発明において用いられる(C)アクリル系添加剤であるアクリレート系重合体は、上記した構成単位以外の成分を含んでいてもよく、例えばエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸系ビニル単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド等のマレイミド系単量体;アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、1,3−ブチレンジメタクリレート等の架橋剤を含んでいてもよい。これらは、単独または2種類以上混合して使用することができる。また、これらののなかでも、好ましくはメタクリレート、アクリレートである。
上記したアクリレート系重合体は、芳香族(メタ)アクリレートを5〜80質量%、メチルメタクリレートを20〜95質量%、その他の単位を0.1〜10質量%の割合で含有することが好ましい。
上記したアクリレート系重合体は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の公知の方法を使用することができる。好ましくは懸濁重合法や塊状重合法であり、さらに好ましくは懸濁重合法である。また、重合に必要な添加剤等は必要に応じて適宜添加することができ、例えば、重合開始剤、乳化剤、分散剤、連鎖移動剤が挙げられる。
上記したアクリレート系重合体の重量平均分子量は、透明性、制電性、低アウトガス性の観点から、5,000〜30,000が好ましく、より好ましくは10,000〜25,000、特に好ましくは13,000〜17,000である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定を行うことができる。
(C)アクリル系添加剤の樹脂組成物全体に対する配合割合は、7〜48質量%の範囲であることが好ましく、より好ましい範囲は7〜38質量%である。本発明においては、帯電防止剤を上記のような範囲で樹脂組成物中に配合しても、上記したような(C)アクリル系添加剤を特定の割合で配合し、両者を併用することにより、透明性を維持しながら制電性や低アウトガス性に優れるポリカーボネート樹脂組成物とすることができる。
また、上記した(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤と(C)アクリル系添加剤とは、質量基準において、25:75〜75:25の割合で含まれることが好ましく、より好ましい割合は、40:60〜70:30である。このような割合で(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤と(C)アクリル系添加剤とを含むことにより、より一層、透明性、制電性、低アウトガス性に優れたポリカーボネート樹脂組成物とすることができる。
<その他の成分>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤を含むことにより、より一層、制電性を向上させることができる。界面活性剤としては、公知のノニオン系、アニオン系またはカチオン系の界面活性剤を制限なく使用することができるが、これらのなかでも、アニオン系界面活性剤が好ましく、例えば、脂肪酸塩、有機スルホン酸塩、有機リン酸エステル塩等を好適に使用できる。特に、有機スルホン酸塩として、オクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジブチルベンゼンスルホン酸、ジノニルベンゼンスルホン酸等のアルキル基の炭素数6〜18のアルキルベンゼンスルホン酸、またはジメチルナフタレンスルホン酸、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸等のアルキル基の炭素数2〜18のアルキルナフタレンスルホン酸のナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、あるいは、上記した有機スルホン酸の、テトラブチルホスホニウム、トリブチルベンジルホスホニウム、トリエチルヘキサデシルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム等のホスホニウム、テトラブチルアンモニウム、トリブチルベンジルアンモニウム、トリフェニルベンジルアンモニウム等のアンモニウム塩を好ましく使用することができる。これらは、単独または2種類以上混合して使用することができる。これらのなかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウムがより好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、その含有量は、組成物全体に対して0.1〜5質量部の範囲であることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、さらに必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、公知の添加剤、例えば、熱安定剤、離型剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、拡散剤、蛍光増白剤、染顔料等の添加剤を配合してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記した各成分を混合し、押出機等による加熱溶融して混練する方法によって得ることができる。各成分を混合ないし溶融混練する方法としては、従来公知の方法を採用でき、例えばヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、2本ロール、ニーダー、ブラベンダーを使用することができる。なお、上記した各成分が含まれる樹脂組成物とした場合の樹脂組成物全体に対する(A)ポリカーボネート樹脂の配合割合は、40〜78質量%であることが好ましく、より好ましくは52〜78質量%である。(A)ポリカーボネート樹脂の配合割合が上記範囲であれば、透明性、制電性、低アウトガス性に加えて、ポリカーボネート樹脂が有する耐熱性、寸法安定性等の優れた物性を高次元で維持することができる。
<成形体>
本発明によれば、上記したポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体が提供される。成形体を得る方法としては、特に制限されるものではなく、公知の成形方法、例えば圧縮成形、射出成形、ブロー成形、押出成形等によって、成形体を得ることができる。
得られた成形体は、ポリカーボネート樹脂が本来有している優れた透明性を維持しながら、制電性および低アウトガス性に優れたものである。そのため、半導体装置の製造において、シリコンウエハ等の半導体部品を収納搬送するケース等に好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<ポリエーテルエステル系帯電防止剤の調製>
5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルを74.0質量部と、ジメチルテレフタレートを145.5質量部と、1,4−ブタンジオールを180.0質量部と、ポリエチレングリコール(数平均分子量20,000)を50質量部と、テトラブチルチタネートを0.1質量部とを、精留塔および撹拌装置を備えた反応器に投入し、容器内を窒素置換した後に、常圧下、200℃に昇温した。続いて、200℃でメタノールを留去しながら180分間反応を行った後、反応物を撹拌装置を備えた真空留出系を有する反応器に入れ、常圧下、反応留出物を留去しながら120分かけて240℃まで昇温した。その時点で徐々に反応系内を減圧し、70分後30mmHgとし、高粘度の重合体を得た。即ち、成分(b1)に由来する構造単位(ジメチルテレフタレート)の含有量と成分(b2)に由来する構造単位(5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル)の含有量との和を100モル%として、成分(b1)に由来する構造単位75モル%、成分(b2)に由来する構造単位を25モル%の割合で含み、成分(b1)に由来する構造単位の含有量、成分(b2)に由来する構造単位の含有量、成分(b3)に由来する構造単位(ポリエチレングリコール)の含有量、および成分(b4)に由来する構造単位(1,4−ブタンジオール)の含有量の和を100質量%として、成分(b3)に由来する構造単位の含有量が11質量%であるポリエーテルエステル樹脂B1を得た。
<アクリル系添加剤の調製>
フェニルメタクリレートを20質量部と、メチルメタクリレートを79質量部と、メチルアクリレートを1質量部と、n−オクチルメルカプタンを2質量部と、分散剤を0.3質量部と、硫酸ナトリウムを0.5質量部と、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を0.4質量部とを、200質量部の脱イオン水とともに、還流冷却管および撹拌装置を備えた反応器に投入し、容器内を窒素置換した後、80℃に昇温し、続いて4時間撹拌することにより重合体を得た。得られた重合体を水洗し、乾燥することによりアクリル系樹脂C1を得た。アクリル系樹脂C1の重量平均分子量は14,000であり、数平均分子量は7,000であった。
<帯電防止剤の準備>
帯電防止剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(以下、DBSと表記する)を用いた。
<ポリカーボネート樹脂組成物の調製>
上記のようにして得られたポリエーテルエステル樹脂B1とアクリル系樹脂C1とDBSと下記の各成分とを、表1〜3に示す組成に従って混合し、二軸押出成形性に供給し、240〜260℃にて溶融混練を行ってペレットを製造した。なお、表1〜3中、
「ユーピロンS−3000R」:ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製)
「ペレスタット6321」:ポリエーテルエステルアミド系帯電防止剤(三洋化成工業株式会社製)
「デルペット720V」:メタクリル樹脂(旭化成株式会社製)
「デルペット560F」:メタクリル樹脂(旭化成株式会社製)
「デルペット60N」:メタクリル樹脂(旭化成株式会社製)
を表す。また、表1〜3中の数値は、各成分の配合量(質量部)を表す。
<成形体の作製>
得られたペレットを、型締め力120tの射出成型機に供給し、射出温度240〜260℃にて射出成形を行い、長さ60mm、幅60mm、厚さ2mmの成形体を得た。
<成形体の評価>
上記のようにして得られた各成形体について、(1)透明性、(2)表面抵抗値、(3)制電耐久性、および(4)アウトガス量の各評価を行った。各評価は以下のようにして行った。
(1)透明性
成形品を試験片として用い、ヘーズメーター(HZ−V3、スガ試験機株式会社)により、JIS K7136に準拠したヘーズ値の測定を行った。得られたヘーズ値に基づいて、下記の評価基準により透明性の評価を行った。
○:ヘーズ値が30%以下
△:ヘーズ値が30%超、45%以下
×:ヘーズ値が45%超
評価結果は、下記表1〜3に示されるとおりであった。
(2)表面抵抗
成形品を試験片として用い、23±2℃、50±5%RHの環境下で40時間放置した後、下記条件に従い、抵抗率計(ハイレスターUP(MCP−HT450型)、株式会社三菱ケミカルアナリテック)を用いて表面固有抵抗を測定した。
試験方法:ASTM D257に準拠
試験条件:印加電圧500V
測定数6回
測定環境:23℃、50%RH
得られた表面固有抵抗値に基づいて、下記の評価基準により表面抵抗の評価を行った。
◎:表面固有抵抗値が、9.9×1010Ω/sq以下
○:表面固有抵抗値が、1.0×1011Ω/sq〜9.9×1011Ω/sq
△:表面固有抵抗値が、1.0×1012Ω/sq〜9.9×1012Ω/sq
×:表面固有抵抗値が、1.0×1013Ω/sq以上
評価結果は、下記表1〜3に示されるとおりであった。
(3)制電耐久性
上記した成形品を、25℃で10分間、純水にて洗浄した後、上記した(2)表面抵抗と同様にして成形品の表面固有抵抗を測定した。
得られた表面固有抵抗値に基づいて、下記の評価基準により制電耐久性の評価を行った。
○:表面固有抵抗値が、9.9×1011Ω/sq以下
△:表面固有抵抗値が、1.0×1012Ω/sq〜9.9×1012Ω/sq
×:表面固有抵抗値が、1.0×1013Ω/sq以上
評価結果は、下記表1〜3に示されるとおりであった。
(4)アウトガス量
得られた各成形品について、加熱脱着装置(株式会社パーキンエルマージャパン製)およびガスクロマトグラフ質量分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を使用してアウトガス量を測定した。
(4−1)加熱脱着法によるアウトガスの捕集
上記した成形品を冷凍粉砕して2mm角以下の粉砕物とし、得られた粉砕物0.1gを、上記装置の捕集ユニットのサンプルホルダに入れ、100℃で10分間加熱し、発生した揮発性物質を、キャリアガスとしてヘリウムガスを使用して、5℃に保たれた冷却トラップ管に捕集した。
(4−2)揮発性物質(アウトガス)の定量
上記(4−1)で揮発性物質をトラップした冷却トラップ管を昇温速度40℃/秒で300℃まで加熱し、離脱するガスを上記装置のガスクロマトグラフ質量分析ユニットに供給し、その発生量を定量した。このとき標準サンプル(所定量のn−デカンを、ジーエルサイエンス株式会社の2,6−ジフェニル−パラ−フェニレンオキサイドをベースにした弱極性のポーラスポリマービーズ吸着剤「TenaxTA(商品名)」に含浸させたもの)を用いて、上記の方法と同様に測定して作成した検量線を使用した。
定量結果に基づいて、下記基準によりアウトガス量の評価を行った。
○:アウトガスの発生量が3μg/g以下
△:アウトガスの発生量が3μg/g超、3.5μg/g以下
×:アウトガスの発生量が3.5μg/g超
評価結果は、下記表1〜3に示されるとおりであった。
Figure 2018199775
Figure 2018199775
Figure 2018199775

Claims (5)

  1. (A)ポリカーボネート樹脂と、
    (B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤と、
    (C)芳香族(メタ)アクリレート単位とメチルメタクリレート単位とを含む重合体からなるアクリル系添加剤と、
    を含むポリカーボネート樹脂であって、
    前記(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤が、組成物全体に対して7〜38質量%含まれ、
    前記(C)アクリル系添加剤が、組成物全体に対して7〜48質量%含まれる、
    ことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリカーボネート樹脂が、組成物全体に対して40〜78質量%含まれる、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 前記(B)ポリエーテルエステル系帯電防止剤と前記(C)アクリル系添加剤とが、質量基準において、25:75〜75:25の割合で含まれる、請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. (D)界面活性剤を更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体。
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