JP2018199610A - ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物及びその製造方法、並びにその用途 - Google Patents

ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物及びその製造方法、並びにその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】SOxを含む条件下で、従来の触媒に比べ低い温度域でSCR脱硝活性を示し、かつN2Oを抑制可能なルチル型マンガン−チタン系複合酸化物を提供する。【解決手段】化学組成式がMn(0.5+α)−xM1xTi(0.5−α)−yM2yO2(但し、M1はIIIA、VA、VIA、VIIA、VIII、1B及び2B族、並びに希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、M2はZr、Si、Al、Ga及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、0≦x≦0.4、0≦y≦0.2であり、−0.2≦α≦0.2、x−α<0.5である)で表され、結晶構造がルチル型構造であり、XPS測定のMn2p3/2ピークの分離においてMn3+に対するMn4+のピーク面積比が0.10以上0.25以下であり、ナトリウムを30ppm以下含有することを特徴とするルチル型マンガン−チタン系複合酸化物及びその製造方法、並びにその用途。【選択図】図3

Description

本発明は、ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物及びその製造方法、並びにこれを含む窒素酸化物還元触媒を用いた、窒素酸化物の還元除去に関する。
窒素酸化物を還元して無害化する技術として、選択的接触還元(Selective catalytic reduction;以下、「SCR」とする。)が実用化されている。これに伴い、SCRに用いられる触媒(以下、「SCR触媒」とする。)としてV/TiO系触媒(特許文献1)やゼオライト触媒(特許文献2)が実用化されている。これらの触媒の作動温度は概ね300〜400℃である。
一方で、船舶排ガスや発電所、ゴミ焼却場などの低温排出源への対応、自動車のコールドスタート時の排ガス処理及びエネルギーコスト削減の観点から200℃前後の反応温度で活性を示す触媒が必要とされている。このような低温排ガス浄化用SCR触媒としてMn系触媒が有望である。
しかしながら、Mn系触媒の課題として、SOxを含む雰囲気下でMn酸化物を単独で用いた場合、低温での脱硝性能が低いことが挙げられる。MnSO生成により失活するとの報告がある(非特許文献1)。
したがって、他の金属との複合酸化物や金属酸化物に担持して使用されている(非特許文献2〜6)。
ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物については、ルチル型二酸化チタンに対し少量のマンガンを固溶させた報告がある(特許文献3)。
ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物を水熱法で合成し、光触媒に適用した報告があるが(非特許文献7)、Mn:Ti比など金属組成に関する情報が不明瞭である。
また、SCR触媒の要件として、地球温暖化効果の高い亜酸化窒素(NO)の副生抑制が挙げられる。Mn単独酸化物触媒の課題として、亜酸化窒素(NO)の副生量が高いという報告がある(非特許文献8、9)。非特許文献8では、β−MnOでは低温活性は高い一方、NO副生が顕著であり、α―Mnでは低温ではNO副生量が比較的少ないが、低温活性が低いことに言及している。非特許文献9ではMn酸化物粒子のナノ化により、低温活性とNO抑制の両立を図っているが、性能が不十分である。
一方で、マンガンと他金属との複合酸化物や金属酸化物にマンガンを担持して使用した場合、NO副生量が少ないとの報告がみられる(非特許文献10〜12)。
非特許文献10では鉄−マンガン−チタン系複合酸化物(鉄:マンガン:チタンモル比=0.1:0.1:1.0)の低温活性が高く、NOが比較的抑制されることを報告している。NOx転化率が最も高い触媒ではNO抑制の指標となるN選択率が低い。一方で、NO抑制度が高い触媒はNO転化率が低い。このように、低温活性とNO抑制の両立が不十分である。なお、XPS測定のMn2p3/2ピークの分離におけるMn3+とMn4+とのピーク面積比は0.92〜1.45である。
非特許文献11はMnOx/TiO触媒のSCR脱硝特性を調べたものである。NO抑制度は高いが、NO転化率が反応温度150℃で約50%と低い。
非特許文献12はMn(−Ce)/TiO触媒のSCR脱硝特性を調べたものである。NO抑制度は高いが、NO転化率が反応温度150℃で約70%と低い。なお、XPS測定のMn2p3/2ピークの分離におけるMn3+とMn4+とのピーク面積比は0.296〜0.452である。
特開2001−347164号公報 国際公開第2008/132452号パンフレット 特開2003−327431号公報
W.Sjoerd Kijlstra,et al.,Appl.Catal.B 16(1998),327−337 J.Zuo,et al.,Ind.Eng.Chem.Res.2014,53,2647−2655 Z.Chen,et al.,J.Catal.276(2010),56−65 R.Jin,et al.,Appl.Catal.B 148−149(2014),582−588 J.Yu,et al.,Appl.Catal.B 95(2010),160−168 B.Thirupathi,et al.,J.Catal.288(2012),74−83 D.Shiwen,et al.,Science in China 46(6)(2003) X.Tang,et al.,Appl.Catal.B 99(2010),156−162 F.A.Deorsola,et al.,Appl.Catal.A 522(2016),120−129 S.Wu,et al.,Appl.Catal.A 505(2015),235−242 S.Deng,et al.,ACS Catalysis 6(2016),5807−5815 T.Shang,et al.,Asia−Pac.J.Chem.Eng.9(2014),810−817
特許文献1のV/TiO系触媒は硫黄酸化物への耐性も比較的高く、発電所やごみ焼却場などの排ガス浄化触媒として実績のある触媒である。しかしながら、その作動温度は300〜400℃と比較的高く、低品位な熱源を使用できない、脱硝システムコストが高くなるといった課題がある。
また、特許文献2のゼオライト触媒は、自動車用排ガス触媒として実績のある触媒であるが、250〜400℃で活性を示すため、V/TiO系触媒と同じく200℃前後の活性が不十分である。
さらに、特許文献3のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物は、Mn:Tiモル比は0.11:0.89とMnを最も多く含むもので、触媒成分であるMnの固溶量が少ないことが課題である。
一方で、非特許文献2〜6に示すマンガン系触媒の脱硝温度は150〜250℃程度と比較的低温での作動が可能である。このため、排ガス温度の低い船舶や既設の固定NOx発生源への排ガス処理設備付与などへの適用が期待される。
しかしながら、多くの固定NOx発生源や軽油燃料の移動体NOx発生源では、排ガスにSOxを含む。このような条件下では、マンガンを含む複合酸化物であっても徐々に脱硝性能が低下する。SOx含有条件下での脱硝性能低下原因については、主に活性金属の硫酸化と硫酸アンモニウム生成の2つが考えられている。
さらに、非特許文献8〜12に示すマンガン系触媒でも同様に、NO抑制と低温活性との両立ができていない。
本発明ではこれらの課題を解決するものであり、低温活性とNO抑制とを両立し、SOx含有条件下、低温(200℃前後)でSCR脱硝活性を示すルチル型マンガン−チタン系複合酸化物を提供することを目的とする。
本発明者はルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のSCR脱硝特性、製造方法について鋭意検討した。
すなわち、マンガン系SCR脱硝触媒については低温活性を示すが、SOx共存下では脱硝性能が低下するという課題があった。このような課題に対し、硫酸との親和性が比較的低いと考えられるチタンとマンガンとを複合化し、さらに両金属が原子、ナノオーダーで分散した固溶体とすることで、マンガンの硫酸化を抑制し、SOx共存下で優れた脱硝性能を実現するに至った。
また、マンガン系SCR脱硝触媒については低温活性を示すが、NO副生を伴う課題があった。このような課題に対し、マンガンとチタンを必須成分とし、異種金属と複合化し、XPS測定のMn2p3/2ピークの分離においてMn3+に対するMn4+のピーク面積比が0.10以上0.25以下であるようにマンガン原子価を制御することで、低温活性とNO抑制とを両立する脱硝性能を実現するに至った。
さらに、ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の製造方法については、従来公知のものは固相反応法、水熱法などが挙げられる。しかしながら、固相法では金属成分が分散した固溶体が得られず、また高温焼成を必要とするため比表面積が低下し触媒材料としては不適である。水熱法については、本発明の常圧での晶析に比べ、製造プロセスが高価、複雑となる可能性が高い。
以上の結果から、本発明者は本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、化学組成式がMn(0.5+α)−xM1Ti(0.5−α)−yM2(但し、M1はIIIA、VA、VIA、VIIA、VIII、1B及び2B族、並びに希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、M2はZr、Si、Al、Ga及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、0≦x≦0.4、0≦y≦0.2であり、−0.2≦α≦0.2、x−α<0.5である)で表され、結晶構造がルチル型構造であり、XPS測定のMn2p3/2ピークの分離においてMn3+に対するMn4+のピーク面積比(Mn4+のピーク面積/Mn3+のピーク面積)が0.10以上0.25以下であり、ナトリウムを30ppm以下含有することを特徴とするルチル型マンガン−チタン系複合酸化物、その製造方法、並びにその用途である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物は、化学組成式がMn(0.5+α)−xM1Ti(0.5−α)−yM2(但し、M1はIIIA、VA、VIA、VIIA、VIII、1B及び2B族、並びに希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、M2はZr、Si、Al、Ga及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、0≦x≦0.4、0≦y≦0.2であり、−0.2≦α≦0.2、x−α<0.5である)で表されるものである。本発明は、化学組成式がこの範囲にあることにより、低温活性とNO抑制とを両立可能である。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物は、異種金属がない場合(x=0及びy=0)でも十分な効果が発揮されるが、異種元素置換(M1,M2)により、NO抑制や耐久性、特に耐硫黄被毒性の向上やシンタリング抑制効果がさらに期待できる。金属硫酸塩の熱分解温度を耐硫黄被毒の指標とした場合、分解温度が低いSnなどがドーパントとして最適である。ここに、M1は、IIIA、VA、VIA、VIIA、VIII、1B及び2B族、並びに希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を表すが、IIIA族(第3族元素)は、スカンジウム、イットリウム等が挙げられ、VA族(第5族元素)は、バナジウム、ニオブ、タンタル等が挙げられ、VIA族(第6族元素)は、クロム、モリブデン、タングステン等が挙げられ、VIIA族(第7族元素)は、マンガン、テクネチウム、レニウム等が挙げられ、VIII族(第8族元素)は、鉄、ルテニウム、オスミウム等が挙げられ、1B族(第11族元素)は、銅、銀、金等が挙げられ、2B族(第12族元素)は、亜鉛、カドミウム等が挙げられ、希土類元素は、ランタン、セリウム、プラセオジム等が挙げられる。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の具体的な化学組成としては、例えば、Mn0.4Zr0.2Ti0.4、Mn0.6Ti0.3Sn0.1、Mn0.4Ti0.5Al0.1、Mn0.30.2Ti0.5、Mn0.4Fe0.1Ti0.5、Mn0.3Fe0.2Ti0.5、Mn0.3Fe0.1Ti0.6、Mn0.4Ce0.1Ti0.52、Mn0.15Fe0.25Ti0.6、Mn0.15Fe0.35Ti0.5、Mn0.2Fe0.2Ti0.6、Mn0.2Fe0.3Ti0.5、Mn0.2Fe0.4Ti0.4、Mn0.15Fe0.25Ti0.6、Mn0.3Ce0.2Ti0.5、Mn0.2Fe0.1Ce0.1Ti0.6、Mn0.30.05Ti0.65、Mn0.30.1Ti0.6、Mn0.3Fe0.20.05Ti0.45等が挙げられる。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物は、結晶構造がルチル型構造である。高温相TiO、β−MnO(Pyrolusite)がルチル型構造に相当するため、実質は固溶体である。Mn単独成分では触媒活性が低く、SOxによる被毒性が高いため、Mnの固溶性、分散性が高いことが望ましく、ルチル型構造の単一結晶相が最適である。したがって、XRD測定の際、パターンにMnもしくはTi単独酸化物由来の回折ピークが少しは存在してもよいが、極力みられない方が好ましい。本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物は、ルチル型構造を主相、微量の副相を含む混合相であってもよい。また、XRDピークのピーク形状に制限はないが、ブロードなものの方が低温活性とNO抑制の観点から特性良好である傾向がある。また、シャープなものの方がMnの安定性が高くSOxを含む雰囲気下でMnSOを生成しにくい傾向がある。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物は、XPS測定のMn2p3/2ピークの分離においてMn3+に対するMn4+のピーク面積比(Mn4+のピーク面積/Mn3+のピーク面積)が0.10以上0.25以下である。ピーク面積比が0.10未満であると、低温活性を損ない、0.25を超えるとNOが副生しやすい。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物は、ナトリウムを30ppm以下含有する。ナトリウムを30ppmを超えて含有すると、固体酸機能が低下し、触媒活性が低下する。固体酸機能を維持し、触媒活性をより維持させるため、ナトリウムを含有しないことが好ましい。ナトリウム以外のアルカリ金属(Li、Kなど)についても、ナトリウムと同様に、含有しないことが好ましい。
本発明のマンガン−チタン系複合酸化物は、マンガン/チタンモル比が0.2以上1.0以下で、かつ、マンガン/M1モル比が0.05以上6.0以下である場合、低温脱硝性能とNO抑制と両立するが、厳密なものではなく、多少の変動は許容できる。このため、耐久性や触媒コストにより適宜、組成調整できる。また、M1が鉄、セリウム、イットリウムから選ばれる少なくとも1種である場合、とくに低温脱硝性能とNO抑制とを両立する。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物は、触媒活性をより維持し、腐食をより防止できるため、塩素を100ppm以下含有することが好ましく、触媒活性をさらに維持させるため、塩素を含有しないことが好ましい。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物は、カルシウム、マグネシウムをそれぞれ10〜300ppm含有していても、触媒活性に悪影響を及ぼさない。このため、低純度、低品位な原料ソースを使用することも可能である。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物は、硫酸根を適量添加することで固体酸機能を増大させ、200℃前後の低温から300℃前後の中温域まで幅広い脱硝性能をより実現できるため、硫酸根(SO)を0.1〜3.0重量%含有することが好ましい。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物は、比表面積が50m/g以上であることが好ましく、100m/g以上であることがさらに好ましい。一般的には、触媒活性と比表面積とは関係性が高いため、高比表面積の方が高活性な触媒が得られやすい。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の平均粒子径については、特に制限はないが、スラリーにしてハニカムなどの構造体に塗布する場合は3〜20μmが好ましく、3〜5μmがさらに好ましい。なお、平均粒子径とは、一次粒子が凝集した二次粒子の平均粒子径、いわゆる凝集粒子径である。
次に、本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の製造方法について説明する。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の製造方法は、マンガン、チタン及び硫酸イオンを含む水溶液と、金属を含有しないアルカリ性水溶液及び酸化剤とを混合して晶析した後、ろ過、乾燥し、焼成温度が300℃以上550℃未満で焼成するものである。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の製造方法で使用されるマンガン、チタン及び硫酸イオンを含む水溶液は、金属塩として、マンガン及びチタンを含む硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩などを溶解させた水溶液や、硫酸、硝酸、酢酸などの無機酸にチタン及びマンガンを溶解した水溶液等を挙げることができる。好ましい金属原料として、硫酸マンガン及び硫酸チタニルを含む水溶液を例示することができる。また、硫酸イオンの原料としては、金属硫酸塩、硫酸、硫酸アンモニウムなどを挙げることができる。
マンガン、チタン及び硫酸イオンを含む水溶液には、IIIA、VA、VIA、VIIA、VIII、1B及び2B族、並びに希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素、Zr、Si、Al、Ga及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を含むことができる。これにより、金属置換したルチル型マンガン−チタン系複合酸化物を製造することができる。金属置換することで、NO抑制、硫黄酸化物への耐性や耐焼結性を向上できる。
また、水溶液中のマンガン、チタン、他の所定の金属の割合は、目的とするルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のマンガン、チタン、他の所定の金属の割合となるようにすればよい。金属塩水溶液中のマンガン、チタン、他の所定の金属の割合は、モル比でMn+M1:Ti+M2=0.5+α:0.5−α、Mn:M1=(0.5+α)−x:x、Ti:M2=(0.5−α)−y:y(M1はIIIA、VA、VIA、VIIA、VIII、1B及び2B族から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、M2はZr、Si、Al、Ga及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、0≦x≦0.4、0≦y≦0.2であり、−0.2≦α≦0.2、x−α<0.5である)を挙げることができる。
水溶液中のマンガン、チタンなどの全金属の合計濃度(金属濃度)は任意であるが、生産性をより良好にするため、0.5mol/L以上が好ましく、1.0mol/L以上がさらに好ましい。
金属を含有しないアルカリ性水溶液であるため、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)などのアルカリ金属を含むものは不適である。金属を含有しないアルカリ性水溶液としては、アンモニア水やアミンなどの非金属アルカリ性水溶液があげられる。中でもアンモニア水が最も好ましい。アンモニアの濃度としては5〜28重量%を例示できる。
酸化剤は、例えば、過酸化水素水、ペルオキソ二硫酸塩等が挙げられる。ペルオキソ二硫酸塩として、例えば、ナトリウムを含まないアンモニウム塩(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)を挙げることができる。ペルオキソ二硫酸アンモニウムは水溶液として金属塩水溶液や金属を含有しないアルカリ性水溶液と同様に混合することができる。その際の濃度は3〜30重量%を例示することができる。また、過酸化水素水についても同様に混合することができる。過酸化水素水の濃度としては、3〜30重量%を例示することができる。これらの酸化剤のうち、目的とするルチル型マンガン−チタン系複合酸化物を得るためには、酸化力の高いペルオキソ二硫酸アンモニウムが最も効果的である。
マンガン、チタン及び硫酸イオンを含む水溶液、金属を含有しないアルカリ性水溶液及び酸化剤を混合することにより、本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物が得られる。
晶析の際の液pHは目標とする金属組成となるように晶析できれば、特に限定するものでは無いが、液pHが9.0より高く10.0未満の場合、比較的結晶性の高いルチル型単一結晶相が得られる傾向がある。
マンガン、チタン及び硫酸イオンを含む水溶液、金属を含有しないアルカリ性水溶液及び酸化剤を混合するときの温度は、低温の10〜39℃が好ましい。10℃以上とすることで、原料の金属塩水溶液において金属塩が再析出することが防止される。典型的なアルカリ水溶液として用いられるアンモニアは沸点が低いため、液温を39℃以下とすることで蒸気圧を極力抑制し効率的に使用することが可能である。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の製造方法は、雰囲気制御は必要なく、通常の大気雰囲気下で行うことが可能である。
ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物が得られれば、製造はバッチ式、連続式のどちらでも可能である。バッチ式の場合、混合時間は任意である。例えば、3〜48時間が挙げられ、さらには6〜24時間を挙げることができる。一方、連続式の場合、ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物が反応容器内に滞在する平均滞在時間を1〜30時間にするのが好ましく、3〜20時間がより好ましい。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の製造方法では、ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物が晶析した後に、ろ過、洗浄及び乾燥を行う。
ろ過では、一般的な固液分離操作を行うもので、特に制限はない。
洗浄では、ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物に付着、吸着した不純物を除去する。洗浄方法としては、例えば、水(例えば、純水、水道水、河川水等)にルチル型マンガン−チタン系複合酸化物を添加し、これを洗浄する方法等が例示できる。
乾燥では、ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の水分を除去する。乾燥方法としては、例えば、ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物を110〜150℃で2〜15時間で乾燥すること等が挙げられる。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の製造方法では、ろ過、洗浄、乾燥後のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物を、焼成温度が300℃以上550℃未満で焼成することが必須である。焼成温度は適用する排ガス温度よりも高いことが望ましい。焼成温度が300℃未満の場合は、結晶化が促進しないため、非晶質となり目的のルチル型構造のものが得られない。また、焼成温度が550℃以上の場合は、TiOとMn等に分解する。目的とするルチル型構造をより得やすくするためには、400℃以上450℃以下であることがより好ましい。焼成時間は特に制限はないが、極端に長時間にする必要はなく、例えば、5〜100時間、好ましくは5〜24時間が挙げられる。焼成の雰囲気については特に制限はないが、大気などの酸素雰囲気、窒素などの非酸素雰囲気が例示できるが、簡便であるため大気で行なうことが好ましい。焼成方法は特に制限されず、例えば、マッフル炉、ロータリーキルン、流動焼成炉等を使用した各種の焼成方法を用いることができる。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の製造方法では、乾燥又は焼成した後に、粉砕を行ってもよい。
粉砕では、用途に適した平均粒子径の粉末とする。所望の平均粒子径となれば粉砕条件は任意であり、例えば、湿式粉砕、乾式粉砕等の方法で粉砕することが例示できる。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物は、これを窒素酸化物還元触媒として、特にSCR触媒として使用することができる。さらには、より低い排気ガス温度となるディーゼル船舶用や固定NOx発生源のSCR触媒として使用することができる。このように、本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物を用いて、窒素酸化物を還元除去することができる。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物は、SOxを含む条件下で、従来のバナジア−チタニア系触媒、ゼオライト触媒に比べ低い温度域(200℃前後)でSCR脱硝活性を示す。また、低温活性とNO抑制とを両立可能である。また、工業的に簡便な製造方法である常圧の反応晶析で、ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物を提供することが可能である。
実施例1のルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 実施例2のルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 実施例3のルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 実施例4のルチル型マンガン−セリウム−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 実施例5のルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 実施例6のルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 実施例7のルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 実施例8のマンガン−イットリウム−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 実施例9のマンガン−セリウム−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 実施例10のマンガン−鉄−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 実施例11のマンガン−鉄−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 実施例12のマンガン−スズ−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 比較例1のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 比較例2のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 比較例3のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のXRDパターンである。 比較例4のMnとTiOとの混合物のXRDパターンである。 比較例5のイルメナイト型MnTiOのXRDパターンである。 比較例6のマンガン−ジルコニア系複合酸化物のXRDパターンである。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
<化学組成の測定>
得られた試料の組成分析は誘導結合プラズマ発光分析法(ICP法)により行った。すなわち、試料粉末と過酸化水素水とフッ化水素酸とを加圧酸溶解することで、測定溶液を調製した。一般的な誘導結合プラズマ発光分析装置(商品名:OPTIMA3000DV、PERKIN ELMER製)を用い、得られた測定溶液を測定することで、得られた試料の化学組成を分析した。
<粉末X線回折測定>
X線回折装置(商品名:Ultima4、リガク製)を使用し、得られた試料の粉末X線回折測定を行った。線源にはCuKα線(λ=1.5405Å)を用い、測定モードはステップスキャン、スキャン条件は毎秒0.04°、計測時間は0.25秒、測定範囲は2θとして10°から90°の範囲で測定した。
<比表面積の測定>
流動式比表面積自動測定装置(商品名:フローソーブ3−2305、Micrometrics製)を用い、得られた試料1.0gを窒素気流中150℃、1時間前処理した後、BET1点法にて吸脱着面積を測定した後、重量で除することで比表面積(m/g)を求めた。
<XPS測定>
XPS測定装置(商品名:PHI5000 VersaProbeII、アルバック・ファイ製)を用い、得られた試料を錠剤成型した後、XPSによる表面分析を行った。
測定条件は以下の通りであった。
X線源:モノクロAl−Kα線、25W、15kV
分析面積:100μmφ
パスエネルギー:(ワイドスキャン)117.40eV、(高分解能)11.75eV
ステップ幅:(ワイドスキャン)1.0eV、(高分解能)0.1eV
Mn2p3/2ピーク解析においては、Mn2+:641.2eV、Mn3+:642.3eV、Mn4+:644.7eVとしてピーク分離することにより、各原子価の比率を求めた。
<NOx転化率の測定方法>
得られた試料のNOx転化率は、以下に示すアンモニアSCR法により測定した。
プレス成形後、12〜20メッシュに整粒した試料を1.5mL量りとり、これを反応管に充填した。その後、120℃、150℃、200℃、300℃の各温度で、窒素酸化物を含む以下の組成からなる処理ガスを当該反応管に流通させた。処理ガスの流量は0.5L/minまたは1.5L/min、及び空間速度(SV)は2,0000hr−1または60,000hr−1として測定を行った。
処理ガス組成 NO 200ppm
NH 200ppm
10容量%
O 3容量%
残部 N
反応管に流通させた処理ガス中のNOx濃度(200ppm)に対する、触媒流通後の処理ガス中のNOx濃度(ppm)を求め、以下の式に従って、NOx転化率を求めた。NOxとはNO,NOの両方を示す。
NOx転化率(%)={1−(接触後の処理ガス中の窒素酸化物濃度/接触前の処理ガス中の窒素酸化物濃度)}×100
<NO副生量の測定方法>
O副生量は、前記アンモニアSCR法において、触媒流通後のガスのNO濃度を分析することにより求めた。
<耐SOx性の測定方法>
得られた試料の耐SOx性は、以下に示すSO処理試験で生成するMnSOにより測定した。
プレス成形後、12〜20メッシュに整粒した試料を2.0mL量りとり、これを反応管に充填した。その後、200℃でSOを含む以下の組成からなる処理ガスを当該反応管に4時間流通させた。処理ガスの流量は2.0L/min、空間速度(SV)は60,000hr−1で行った。
処理ガス組成 SO 200ppm
10容量%
O 3容量%
残部 N
SO処理試験により試料中に生成したMnSOは、<化学組成の測定>と同じ方法でSO量から定量した。
実施例1
硫酸マンガン、硫酸チタニル、硫酸鉄(III)n水和物を純水に溶解し、Mn:Fe:Tiモル比=3:2:5のマンガン、鉄、チタン及び硫酸イオンを含む水溶液とした(水溶液中の全金属の合計濃度は1.0mol/L)。なお、硫酸マンガン、硫酸チタニルは、いずれも試薬特級(キシダ化学製)、硫酸鉄(III)n水和物は、試薬特級(和光純薬製)であった。
当該水溶液を供給速度1.0g/minで反応容器に添加した。また、酸化剤として20wt%ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を供給速度0.45g/minで反応容器中にバブリングした。原料液供給の際、pHが9.5となるように、10重量%アンモニア水を断続的に添加することで混合してマンガン−チタン系複合酸化物が晶析し、スラリーを得た。なお、この際の混合温度は25℃であった。得られたスラリーをろ過、洗浄した後、洗浄後のウェットケーキを1週間大気中で風乾し、その後130℃で5時間乾燥した。乾燥後の試料を乳鉢で粉砕した後、アルミナ坩堝に入れ、大気中500℃で24時間焼成することによりマンガン−チタン系複合酸化物を得た。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Fe:Tiモル比=0.30:0.20:0.50であり、目標組成(Mn:Fe:Tiモル比=0.3:0.2:0.5)に一致した。また、Na、Cl、SOの分析結果を併せて表1に示した。
Figure 2018199610
得られた試料のXRDパターンを図1に示す。副生相としてMnのピークが僅かにみられるが、それ以外の回折ピークはルチル型構造(空間群P42/mnm)で帰属可能であった。したがって、本試料はルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物を主相とする混合物であった。
当該ルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物のBET比表面積は121m/gと十分に高いことが分かった。
当該ルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物のXPS測定を行い、Mn2p3/2ピークを分離した結果を表2に示す。Mn3+に対するMn4+のピーク面積比は0.167であった。
Figure 2018199610
当該ルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、200℃前後の低温活性に優れ、NOも抑制可能であることが分かった。
Figure 2018199610
実施例2
Mn:Fe:Tiモル比=3:1:6とし、焼成温度を450℃とした以外は実施例1と同様に行い、マンガン−チタン系複合酸化物を得た。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Fe:Tiモル比=0.29:0.09:0.62であり、目標組成(Mn:Fe:Tiモル比=0.3:0.1:0.6)に近いことが分かった。また、Na、Cl、SOの分析結果を併せて表1に示した。
得られた試料のXRDパターンを図2に示す。ピーク形状は散漫であるが、ルチル型構造(空間群P42/mnm)で帰属可能であった。したがって、本試料はルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物であった。
当該ルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物のBET比表面積は208m/gと十分に高いことが分かった。
当該ルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、200℃前後の低温活性に優れ、NOも抑制可能であることが分かった。
実施例3
Mn:Fe:Tiモル比=4:1:5とし、焼成温度を450℃とした以外は実施例1と同様に行い、マンガン−チタン系複合酸化物を得た。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Fe:Tiモル比=0.39:0.10:0.51であり、目標組成(Mn:Fe:Tiモル比=0.4:0.1:0.5)に近いことが分かった。また、Na、Cl、SOの分析結果を併せて表1に示した。
得られた試料のXRDパターンを図3に示す。全ての回折ピークはルチル型構造(空間群P42/mnm)で帰属可能であった。したがって、本試料はルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物といえた。
当該ルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物のBET比表面積は178m/gと十分に高いことが分かった。
当該ルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、200℃前後の低温活性に優れることが分かった。
実施例4
Mn:Ce:Tiモル比=4:1:5とし、焼成温度を450℃とした以外は実施例1と同様に行い、マンガン−チタン系複合酸化物を得た。なお、Ceの原料試薬として、硫酸セリウム(III)n水和物は、試薬特級(和光純薬製)を用いた。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Ce:Tiモル比=0.40:0.10:0.50であり、目標組成(Mn:Ce:Tiモル比=0.4:0.1:0.5)に一致した。また、Na、Cl、SOの分析結果を併せて表1に示した。
得られた試料のXRDパターンを図4に示す。全ての回折ピークはルチル型構造(空間群P42/mnm)で帰属可能であった.したがって、本試料はルチル型マンガン−セリウム−チタン系複合酸化物といえた。
当該ルチル型マンガン−セリウム−チタン系複合酸化物のBET比表面積は187m/gと十分に高いことが分かった。
当該ルチル型マンガン−セリウム−チタン系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、200℃前後の低温活性に優れ、NOも抑制可能であることが分かった。
実施例5
硫酸マンガン、硫酸チタニル、硫酸鉄を純水に溶解し、Mn:Fe:Tiモル比=1.5:3.5:5のマンガン、鉄、チタン及び硫酸イオンを含む水溶液とした(水溶液中の全金属の合計濃度は1.0mol/L)。なお、硫酸マンガン、硫酸チタニル、硫酸鉄は、いずれも試薬特級(キシダ化学製)であった。
当該水溶液を供給速度1.0g/minで反応容器に添加した。また、酸化剤として20wt%ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を供給速度0.23g/minで反応容器中にバブリングした。原料液供給の際、pHが9.5となるように、5重量%アンモニア水を断続的に添加することで混合してマンガン−チタン系複合酸化物が晶析し、スラリーを得た。なお、この際の混合温度は20℃であった。得られたスラリーをろ過、洗浄した後、洗浄後のウェットケーキを1週間大気中で風乾し、その後150℃で5時間乾燥した。乾燥後の試料を乳鉢で粉砕した後、アルミナ坩堝に入れ、大気中450℃または550℃で20時間焼成することによりマンガン−チタン系複合酸化物を得た。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Fe:Tiモル比=0.14:0.35:0.51であり、目標組成(Mn:Fe:Tiモル比=0.15:0.35:0.5)に近いことが分かった。また、Na、Clの分析結果を併せて表1に示した。
得られた試料のXRDパターンを図5に示す。450℃焼成試料についてはピーク形状が散漫であることから、帰属が難しいがルチル型構造(空間群P42/mnm)に近く、また、本試料の焼成温度を550℃とした場合は、明確にルチル型構造に帰属可能であった。したがって、本試料はルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物といえた。
当該マンガン−チタン系複合酸化物(450℃焼成試料)のBET比表面積は224m/gと十分に高いことが分かった。
当該ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のXPS測定を行い、Mn2p3/2ピークを分離した結果を表2に示す。Mn3+に対するMn4+のピーク面積比は0.185であった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、120〜200℃前後の低温活性に優れ、かつNOの副生量が少ないことが分かった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物の耐SOx性の測定結果を表4に示す。表4から、SOを含む雰囲気下でもMnSOの生成量が少なく、耐SOx性に優れることが分かった。
Figure 2018199610
実施例6
Mn:Fe:Tiモル比=2:2:6とした以外は実施例5と同様に合成を行った。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Fe:Tiモル比=0.19:0.18:0.63であり、目標組成(Mn:Fe:Tiモル比=0.2:0.2:0.6)に近いことが分かった。また、Na、Clの分析結果を併せて表1に示した。
得られた試料のXRDパターンを図6に示す。450℃焼成試料についてはピーク形状が散漫であることから、帰属が難しいがルチル型構造(空間群P42/mnm)に近く、また、本試料の焼成温度を500℃とした場合は、ルチル型構造に帰属可能であった。したがって、本試料はルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物といえた。
当該マンガン−チタン系複合酸化物(450℃焼成試料)のBET比表面積は212m/gと十分に高いことが分かった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物のXPS測定を行い、Mn2p3/2ピークを分離した結果を表3に示す。Mn3+に対するMn4+のピーク面積比は0.141であった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、120〜200℃前後の低温活性に優れ、かつNOの副生量が少ないことが分かった。
実施例7
Mn:Fe:Tiモル比=2:4:4とした以外は実施例5と同様に合成を行った。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Fe:Tiモル比=0.19:0.38:0.43であり、目標組成(Mn:Fe:Tiモル比=0.2:0.4:0.4)に近いことが分かった。また、Na、Clの分析結果を併せて表1に示した。
得られた試料のXRDパターンを図7に示す。450℃焼成試料についてはピーク形状が散漫であることから、帰属が難しいがルチル型構造(空間群P42/mnm)に近い。また、本試料の焼成温度を500℃とした場合は、ルチル型構造に帰属可能であった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物のBET比表面積は222m/gと十分に高いことが分かった。
当該ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のXPS測定を行い、Mn2p3/2ピークを分離した結果を表2に示す。Mn3+に対するMn4+のピーク面積比は0.176であった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、120〜200℃前後の低温活性に優れ、かつNOの副生量が少ないことが分かった。
実施例8
硫酸マンガン、硫酸チタニル、硫酸イットリウムを純水に溶解し、Mn:Y:Tiモル比=3.0:0.5:6.5のマンガン、イットリウム、チタン及び硫酸イオンを含む水溶液とした(水溶液中の全金属の合計濃度は1.0mol/L)。なお、硫酸マンガン、硫酸チタニルは、試薬特級(キシダ化学製)であった。硫酸イットリウムはSTREAM CHEMICALS製であった。
当該水溶液を供給速度1.0g/minで反応容器に添加した。また、酸化剤として20wt%ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を供給速度0.23g/minで反応容器中にバブリングした。原料液供給の際、pHが9.5となるように、5重量%アンモニア水を断続的に添加することで混合してマンガン−イットリウム−チタン系複合酸化物が晶析し、スラリーを得た。なお、この際の混合温度は20℃であった。得られたスラリーをろ過、洗浄した後、洗浄後のウェットケーキを1週間大気中で風乾し、その後150℃で5時間乾燥した。乾燥後の試料を乳鉢で粉砕した後、アルミナ坩堝に入れ、大気中450℃で20時間焼成することによりマンガン−チタン系複合酸化物を得た。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Y:Tiモル比=0.29:0.05:0.66であり、目標組成(Mn:Y:Tiモル比=0.3:0.05:0.65)に近いことが分かった。また、Na、Clの分析結果を併せて表1に示した。
得られた試料のXRDパターンを図8に示す。ピーク形状は散漫であるが、ルチル型構造(空間群P42/mnm)に近く、本試料はルチル型マンガン−イットリウム−チタン系複合酸化物といえた。
当該マンガン−チタン系複合酸化物のBET比表面積は204m/gと十分に高いことが分かった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物のXPS測定を行い、Mn2p3/2ピークを分離した結果を表2に示す。Mn3+に対するMn4+のピーク面積比は0.214であった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、120〜200℃前後の低温活性に優れ、かつNOの副生量が少ないことが分かった。
実施例9
硫酸マンガン、硫酸チタニル、硫酸セリウムを純水に溶解し、Mn:Ce:Tiモル比=3:2:5のマンガン、セリウム、チタン及び硫酸イオンを含む水溶液とした(水溶液中の全金属の合計濃度は1.0mol/L)。なお、硫酸マンガン、硫酸チタニル、硫酸セリウムは、試薬特級(キシダ化学製)であった。その他の実験操作は実施例5と同じとした。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Ce:Tiモル比=0.29:0.19:0.52であり、目標組成(Mn:Ce:Tiモル比=0.3:0.2:0.5)に近いことが分かった。また、Na、Clの分析結果を併せて表1に示した。
得られた試料のXRDパターンを図9に示す。ピーク形状は散漫であるが、ルチル型構造(空間群P42/mnm)に近く、本試料はルチル型マンガン−セリウム−チタン系複合酸化物といえた。
当該マンガン−チタン系複合酸化物のBET比表面積は189m/gと十分に高いことが分かった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物のXPS測定を行い、Mn2p3/2ピークを分離した結果を表2に示す。Mn3+に対するMn4+のピーク面積比は0.208であった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、120〜200℃前後の低温活性に優れ、かつNOの副生量が少ないことが分かった。
実施例10
Mn:Fe:Tiモル比=2:1:7とし、焼成温度を450℃とした以外は実施例1と同様に行い、マンガン−チタン系複合酸化物を得た。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Fe:Tiモル比=0.19:0.10:0.71であり、目標組成(Mn:Fe:Tiモル比=0.2:0.1:0.7)に近いことが分かった。また、Na、Cl、SOの分析結果を併せて表1に示した。
得られた試料のXRDパターンを図10に示す。ピーク形状はルチル型構造(空間群P42/mnm)で帰属可能であった。したがって、本試料はルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物であった。
当該ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のBET比表面積は154m/gと十分に高いことが分かった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物のXPS測定を行い、Mn2p3/2ピークを分離した結果を表2に示す。Mn3+に対するMn4+のピーク面積比は0.194であった。
当該ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、200℃前後の低温活性に優れ、NOも抑制可能であることが分かった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物の耐SOx性の測定結果を表4に示す。表4から、SOを含む雰囲気下でもMnSOの生成量が少なく、耐SOx性に優れることが分かった。
実施例11
Mn:Fe:Tiモル比=2:1:7とし、焼成温度を500℃とした以外は実施例1と同様に行い、マンガン−チタン系複合酸化物を得た。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Fe:Tiモル比=0.19:0.10:0.71であり、目標組成(Mn:Fe:Tiモル比=0.2:0.1:0.7)に近いことが分かった。また、Na、Cl、SOの分析結果を併せて表1に示した。
得られた試料のXRDパターンを図11に示す。ピーク形状はルチル型構造(空間群P42/mnm)で帰属可能であった。したがって、本試料はルチル型マンガン−鉄−チタン系複合酸化物であった。
当該ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のBET比表面積は109m/gと十分に高いことが分かった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物のXPS測定を行い、Mn2p3/2ピークを分離した結果を表2に示す。Mn3+に対するMn4+のピーク面積比は0.194であった。
当該ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、200℃前後の低温活性に優れ、NOも抑制可能であることが分かった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物の耐SOx性の測定結果を表4に示す。表4から、SOを含む雰囲気下でもMnSOの生成量が少なく、耐SOx性に優れることが分かった。
実施例12
Mn:Sn:Tiモル比=3:1:6としたこと以外は実施例1と同様に行い、マンガン−チタン系複合酸化物を得た。なお、Snの原料試薬として、硫酸スズ(II)は、試薬特級(和光純薬製)を用いた。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Sn:Tiモル比=0.31:0.10:0.59であり、目標組成(Mn:Sn:Tiモル比=0.3:0.1:0.6)に一致した。また、Na、Cl、SOの分析結果を併せて表1に示した。
得られた試料のXRDパターンを図12に示す。全ての回折ピークはルチル型構造(空間群P42/mnm)で帰属可能であった.したがって、本試料はルチル型マンガン−スズ−チタン系複合酸化物といえた。
当該ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のBET比表面積は168m/gと十分に高いことが分かった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物のXPS測定を行い、Mn2p3/2ピークを分離した結果を表2に示す。Mn3+に対するMn4+のピーク面積比は0.214であった。
当該ルチル型マンガン−スズ−チタン系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、200℃前後の低温活性に優れ、NOも抑制可能であることが分かった。
当該マンガン−チタン系複合酸化物の耐SOx性の測定結果を表4に示す。表4から、SOを含む雰囲気下でもMnSOの生成量が少なく、耐SOx性に優れることが分かった。
比較例1
硫酸マンガン、硫酸チタニルを純水に溶解し、Mn:Tiモル比=6:4のマンガン、チタン及び硫酸イオンを含む水溶液とした(水溶液中の全金属の合計濃度は1.0mol/L)。なお、硫酸マンガン、硫酸チタニルは、いずれも試薬特級(キシダ化学製)であった。
当該水溶液を供給速度1.0g/minで反応容器に添加した。また、酸化剤として20wt%ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を供給速度0.45g/minで反応容器中にバブリングした。原料液供給の際、pHが9.5となるように、10重量%アンモニア水を断続的に添加することで混合してマンガン−チタン系複合酸化物が晶析し、スラリーを得た。なお、この際の混合温度は25℃であった。得られたスラリーをろ過、洗浄した後、洗浄後のウェットケーキを1週間大気中で風乾し、その後130℃で5時間乾燥した。乾燥後の試料を乳鉢で粉砕した後、アルミナ坩堝に入れ、大気中400℃で24時間焼成することによりマンガン−チタン系複合酸化物を得た。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Tiモル比=0.58:0.42であり、目標組成(Mn:Tiモル比=0.6:0.4)に近いことが分かった。また、Na、Cl、SOの分析結果を併せて表1に示した。
得られた試料のXRDパターンを図13に示す。全ての回折ピークはルチル型構造(空間群P42/mnm)で帰属可能であることから、ルチル型のMnO−TiO固溶体であった。したがって、本試料はルチル型マンガン−チタン複合酸化物といえた。
当該ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のBET比表面積は165m/gと十分に高いことが分かった。
当該ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のXPS測定を行い、Mn2p3/2ピークを分離した結果を表2に示す。Mn3+に対するMn4+のピーク面積比は0.273であった。
当該ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、200℃前後の低温活性に優れるが、NO副生量が高いことが判明した。
当該マンガン−チタン系複合酸化物の耐SOx性の測定結果を表4に示す。表4から、SOを含む雰囲気下でMnSOの生成量が多いことが分かった。
比較例2
反応時のpHを8.5とした以外は比較例1と同様に行い、マンガン−チタン系複合酸化物を得た。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Tiモル比=0.31:0.69であり、目標組成(Mn:Tiモル比=0.3:0.7)に近いことが分かった。また、Na、Cl、SOの分析結果を併せて表1に示した。
得られた試料のXRDパターンを図14に示す。全ての回折ピークはルチル型構造(空間群P42/mnm)で帰属可能であることから、ルチル型のMnO−TiO固溶体であった。したがって、本試料はルチル型マンガン−チタン系複合酸化物といえた。
当該ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のBET比表面積は191m/gと十分に高いことが分かった。
当該ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のXPS測定を行い、Mn2p3/2ピークを分離した結果を表2に示す。Mn3+に対するMn4+のピーク面積比は0.261であった。
当該ルチル型マンガン−チタン系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、200℃前後の低温活性に優れるが、NO副生量が高いことが判明した。
比較例3
焼成温度を550℃とした以外は比較例1と同様に合成を行った。
得られた試料のXRDパターン(図15)から、Mnとルチル型TiOとの混合物であることが確認された。したがって、比較的高温で焼成した場合、ルチル型マンガン−チタン複合酸化物はMn、Ti成分にそれぞれ分解することが分かった。
比較例4
反応時の酸化剤として空気を1L/minでバブリングして用いたこと以外は比較例1と同様に合成を行った。
得られた試料のXRDパターン(図16)から、MnとTiOとの混合物であることが分かった。
比較例5
固相反応法によるルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の合成を試みた。原料として電解二酸化マンガン(HMR−AF、東ソー製)をジェットミルで平均粒径0.5μmまで微粉砕した粉末と、酸化チタン(A120、SEM径0.15μm、堺化学製)とを乳鉢を用いて目視で均一になるまで混合した後、大気中800℃、900℃、1000℃で24時間焼成した。この際のMn:Tiモル比は1:1とした。
得られた試料のXRDパターン(図17)から、焼成温度800℃ではアナターゼまたはルチル型TiOとMnとの混合物、焼成温度900℃ではルチル型TiOとMnとの混合物、焼成温度1000℃ではイルメナイト型MnTiOとなることが分かった。したがって、固相反応法では目的とするルチル型マンガン−チタン複合酸化物は得ることができなかった。
比較例6
Mn:Zrモル比=3:7としたこと以外は実施例1と同様に行い、マンガン−ジルコニア系複合酸化物を得た。なお、ジルコニアの原料試薬として、硫酸ジルコニウム(IV)は、試薬特級(和光純薬製)を用いた。
得られた試料の組成分析結果から、Mn:Zrモル比=0.30:0.70であり、目標組成(Mn:Zrモル比=0.3:0.7)に一致した。また、Na、Cl、SOの分析結果を併せて表1に示した。
得られた試料のXRDパターンを図18に示す。ピーク形状が散漫であることから、帰属が難しいがルチル型構造(空間群P42/mnm)に近く、本試料はルチル型マンガン−ジルコニア系複合酸化物といえた。
当該ルチル型マンガン−ジルコニア系複合酸化物のBET比表面積は177m/gと十分に高いことが分かった。
当該ルチル型マンガン−ジルコニア系複合酸化物のXPS測定を行い、Mn2p3/2ピークを分離した結果を表2に示す。Mn3+に対するMn4+のピーク面積比は0.268であった。
当該ルチル型マンガン−ジルコニア系複合酸化物のNOx転化率及びNO副生量の測定結果を表3に示す。表3から、200℃前後の低温活性が極めて低いことが分かった。
当該ルチル型マンガン−ジルコニア系複合酸化物の耐SOx性の測定結果を表4に示す。表4から、SOを含む雰囲気下でMnSOの生成量が多いことが分かった。
本発明のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物は、排気ガス処理システムに組み込まれる触媒として使用できる。特に、還元剤の存在下で自動車のコールドスタート、船舶や固定発生源(発電所、ゴミ焼却場など)の排ガス中の窒素酸化物を還元除去する、SCR触媒、さらにはDPFと一体化されたSCR触媒として使用できる。

Claims (12)

  1. 化学組成式がMn(0.5+α)−xM1Ti(0.5−α)−yM2(但し、M1はIIIA、VA、VIA、VIIA、VIII、1B及び2B族、並びに希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、M2はZr、Si、Al、Ga及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、0≦x≦0.4、0≦y≦0.2であり、−0.2≦α≦0.2、x−α<0.5である)で表され、結晶構造がルチル型構造であり、XPS測定のMn2p3/2ピークの分離においてMn3+に対するMn4+のピーク面積比(Mn4+のピーク面積/Mn3+のピーク面積)が0.10以上0.25以下であり、ナトリウムを30ppm以下含有することを特徴とするルチル型マンガン−チタン系複合酸化物。
  2. マンガン/チタンモル比が0.2以上1.0以下で、かつ、マンガン/M1モル比が0.05以上6.0以下であり、M1が鉄、セリウム、イットリウムから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のマンガン−チタン系複合酸化物。
  3. ナトリウムを含有しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物。
  4. ナトリウム以外のアルカリ金属を含有しないことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物。
  5. 塩素を含有しないことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの項に記載のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物。
  6. 硫酸根を0.1〜3.0重量%含有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの項に記載のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物。
  7. マンガン、チタン及び硫酸イオンを含む水溶液と、金属を含有しないアルカリ性水溶液及び酸化剤とを混合して晶析した後、ろ過、洗浄、乾燥し、焼成温度が300℃以上550℃未満で焼成して得られることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の製造方法。
  8. 酸化剤がペルオキソ二硫酸塩であることを特徴とする請求項7に記載のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の製造方法。
  9. 晶析の際の液pHが9.0より高く10.0未満であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の製造方法。
  10. 晶析の際の液温度が10〜39℃であることを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれかの項に記載のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物の製造方法。
  11. 請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物を含むことを特徴とする窒素酸化物還元触媒。
  12. 請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載のルチル型マンガン−チタン系複合酸化物を用いることを特徴とする窒素酸化物の還元除去方法。
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