JP2018199602A - 合わせガラスおよびその製造方法 - Google Patents

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Omichi Chiba
大道 千葉
竜太 栗原
Ryuta Kurihara
竜太 栗原
小原 禎二
Teiji Obara
禎二 小原
春樹 上村
Haruki UEMURA
春樹 上村
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Abstract

【課題】耐湿性を維持しつつ隠蔽性を十分に得ることができる合わせガラスおよびその製造方法の提供。【解決手段】2枚のガラス板3と、2枚のガラス板3の間に介在させて貼り合わせてなる積層体1と、を備える合わせガラス1であって、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を主成分として含有する重合体ブロックと、ブロック共重合体の主鎖および側鎖における炭素−炭素不飽和結合および、炭素−炭素不飽和結合の90%以上を水素化してなるブロック共重合体水素化物にアルコキシシリル基が導入されてなる変性ブロック共重合体水素化物を主成分とする接着剤からなる少なくとも2枚の接着剤シート3、5と、少なくとも2枚の接着剤シート3、5の間であって、合わせガラス1の周縁部の一部もしくは全部に配置されて着色領域形成する少なくともつ1枚の着色熱可塑性樹脂シート4を有する合わせガラス1。【選択図】図1

Description

本発明は、合わせガラスおよびその製造方法に関するものである。
ブロック共重合体の水素化物(以下、「ブロック共重合体水素化物」と称することがある。)や該ブロック共重合体水素化物にアルコキシシリル基が導入されたものは、合わせガラスの中間膜等の優れた柔軟性および透明性が要求される用途に有用である(例えば、特許文献1参照)。
合わせガラスが用いられる自動車用窓ガラスでは、周辺部あるいはその近傍に、セラミックカラー組成物からなるペーストを塗布し、ガラスの加熱曲げ加工工程で焼き付けることにより、黒色等の不透明層を形成することが普及している。この不透明層は、例えば、窓ガラスを車体に固定するために窓ガラス周縁部に敷設されるウレタン系接着剤の紫外線による劣化防止、あるいは、自動車用窓ガラスの後部にある電熱線の端子等の内部構造を隠蔽する目的で用いられている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、自動車用窓ガラスの曲げ加工方法として生産性および加工精度の優れるプレス曲げ加工方法では、プレス型のガラスクロス等にセラミックカラー組成物が付着してしまい、ガラスの着色部位の欠陥が生じたり、生産性の低下が生じたりすることがある。
上記問題を解決すべく、セラミックカラー組成物の焼き付け等によらずに自動車用窓ガラスの周辺部を着色加工する方法として、ポリビニルブチラール等からなるプラスチック中間膜を挟んで積層した合わせガラスの周辺部に、中間膜に代えて、着色した不透湿性シール材による着色帯を形成する方法がある。この不透湿性シール材による着色帯を形成することにより、合わせガラス端面からの透湿や水の浸入による中間膜とガラス板との間の接着力の低下や合わせガラス周辺部の剥離等の不具合を防止することができる。また、ポリイソブチレン等のシール材を合わせガラスの周辺部に敷設する方法として、ガラス板よりも小さい寸法のポリビニルブチラール中間膜を端部に余白ができるように挟んで積層し、熱圧着して積層した合わせガラスの端部の凹部とガラス板との間に着色不透湿性シール材を充填する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、自動車窓用の合わせガラスでは、セラミックカラーの敷設部位はガラス端部から10mm以上の広幅に亘るものが多く、シール材による充填は容易とはいえない。
国際公開2013/176258号 特開昭55−62824号公報 実開昭58−168545号公報
本発明は、上述した従来技術に鑑みてなされたものであり、セラミックカラーによるガラス板への光遮蔽性付与技術に代えて、積層体を介してガラス板を貼り合わせるのと同時に、合わせガラスの周縁部に着色領域を形成する合わせガラスの製造方法及び該製造方法により得られる合わせガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、2枚のガラス板と、特定の接着剤からなる少なくとも2枚の接着剤シート[F]および特定の少なくとも1枚の着色熱可塑性樹脂シート[G]を有する積層体とを備えれば、耐湿性を維持しつつ、隠蔽性を十分に得ることができる合わせガラスが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
より詳細には、特定の着色熱可塑性樹脂シートを、特定の変性ブロック共重合体水素化物からなる接着剤シートを介してガラスに接着して周縁部に着色部位を有する合わせガラスを製造すれば、高温高湿環境に長期間曝露された後でも、合わせガラス周縁部の剥離や白化等の不具合を生じ難い耐湿性を維持した合わせガラスが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、この発明は、上記課題に有利に解決することを目的とするものであり、本発明の合わせガラスは、2枚のガラス板と、前記2枚のガラス板の間に介在させて貼り合わせてなる積層体と、を備える合わせガラスであって、前記積層体は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を主成分として含有する重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物に由来する構造単位を主成分として含有する重合体ブロック[B]とからなるブロック共重合体[C]の主鎖および側鎖における炭素−炭素不飽和結合の90%以上、および、芳香環における炭素−炭素不飽和結合の90%以上を水素化してなるブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基が導入されてなる変性ブロック共重合体水素化物[E]を主成分とする接着剤からなる少なくとも2枚の接着剤シート[F]と、前記少なくとも2枚の接着剤シート[F]の間であって、前記合わせガラスの周縁部の一部もしくは全部に配置されて着色領域を形成する少なくとも1枚の着色熱可塑性樹脂シート[G]と、を有し、前記着色領域は、300nm以上700nm以下の波長範囲における光線の透過率が1%以下である、ことを特徴とする。このように、2枚のガラス板と、特定の接着剤からなる少なくとも2枚の接着剤シート[F]および特定の少なくとも1枚の着色熱可塑性樹脂シート[G]とを有する積層体とを備えれば、耐湿性を維持しつつ、隠蔽性を十分に得ることができる合わせガラスが得られる。
なお、本発明において、「芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を主成分として含有する重合体ブロック[A]」は、「芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を50質量%超含有する重合体ブロック[A]」を意味し、「鎖状共役ジエン化合物に由来する構造単位を主成分として含有する重合体ブロック[B]」は、「鎖状共役ジエン化合物に由来する構造単位を50質量%超含有する重合体ブロック[B]」を意味する。
ここで、前記着色熱可塑性樹脂シート[G]は、前記2枚のガラス板のうちの1枚のガラス板の端部から、該端部から前記1枚のガラス板におけるガラス面の内側に向かう距離が10mm以上150mm以下である位置まで存在するように配置されていることが好ましい。
前記着色熱可塑性樹脂シート[G]が、前記2枚のガラス板のうちの1枚のガラス板の端部から、該端部から前記1枚のガラス板におけるガラス面の内側に向かう距離が10mm以上150mm以下である位置まで存在するように配置されていれば、例えば、自動車用窓ガラスを車体に固定するために窓ガラス周縁部に敷設されるウレタン系接着剤の紫外線による劣化を防止でき、また、意匠性にも影響が少ないからである。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の合わせガラスの製造方法は、上述した合わせガラスのいずれかを製造する製造方法であって、ガラス板、接着剤シート[F]、着色熱可塑性樹脂シート[G]、接着剤シート[F]、ガラス板の順に配列された積層体を、加熱圧着して接着一体化する工程を含む、ことを特徴とする。このように、ガラス板、接着剤シート[F]、着色熱可塑性樹脂シート[G]、接着剤シート[F]、ガラス板の順に配列された積層体を、加熱圧着して接着一体化すれば、周縁部に着色部位を有する合わせガラスを生産性良く製造することができる。
本発明によれば、耐湿性を維持しつつ、隠蔽性を十分に得ることができる合わせガラスを提供することができる。
また、本発明によれば、周縁部に着色部位を有する合わせガラスを生産性良く製造することができる合わせガラスの製造方法を提供することができる。
本発明の合わせガラスの実施形態の一例の断面を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、「合わせガラス」と、「合わせガラスの製造方法」とを項分けして、詳細に説明する。
(合わせガラス)
本発明の合わせガラスは、特定の変性ブロック共重合体水素化物[E]を主成分とする接着剤からなる少なくとも2枚の接着剤シート[F]と、少なくとも2枚の接着剤シート[F]の間に配置された少なくとも1枚の着色熱可塑性樹脂シート[G]とを有する積層体を、2枚のガラス板の間に介在させて貼り合わせてなる、合わせガラスである。
前記着色熱可塑性樹脂シート[G]は、前記2枚のガラス板のうちの1枚のガラス板の端部から、該端部から前記1枚のガラス板におけるガラス面の内側に向かう距離が10mm以上150mm以下である位置まで存在するように配置されていることが好ましい。
ここで、上記「ガラス板の端部」とは、ガラス板の端(角部)からの距離が2mm以内、好ましくは1.5mm以内、より好ましくは1mm以内の部位を表わし、着色熱可塑性樹脂シート[G]の端はガラス板の端(角部)から上記範囲内で、ヒケやはみ出しがあってもよい。
前記2枚のガラス板のうちの1枚のガラス板の端部から着色熱可塑性樹脂シート[G]の内端までの距離(即ち、着色熱可塑性樹脂シート[G]が存在する領域)としては、10mm以上であることが好ましく、12mm以上であることがより好ましく、14mm以上であることが特に好ましく、150mm以下であることが好ましく、130mm以下であることがより好ましく、110mm以下であることが特に好ましい。
前記着色熱可塑性樹脂シート[G]が、前記2枚のガラス板のうちの1枚のガラス板の端部からの距離が10mm以上150mm以下の範囲内の領域に少なくとも一部が存在するように配置されることにより、合わせガラスの周縁部が着色不透明化され、例えば、自動車用窓ガラスを車体に固定するために窓ガラス周縁部に敷設されるウレタン系接着剤の紫外線による劣化を防止でき、また、意匠性にも影響が少ない。なお、着色熱可塑性樹脂シート[G]はシート状であるため、シール材による充填の問題は生じない。
本発明の合わせガラスの一例を、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の合わせガラスの実施形態の一例の断面を示す図であり、図1において、1は合わせガラスを、2はガラス板を、3は接着剤シート[F]を、4は着色熱可塑性樹脂シート[G]を、5は接着剤シート[F](または透明樹脂シート)を示す。
着色熱可塑性樹脂シート[G]4は、合わせガラス1の周縁部に配置されている。接着剤シート[F](または透明樹脂シート)5は、厚さが着色熱可塑性樹脂シート[G]4と同等であることが好ましく、着色熱可塑性樹脂シート[G]4が配置されていない合わせガラス1の中央部に配置されている。
接着剤シート[F](または透明樹脂シート)5は、着色熱可塑性樹脂シート[G]4が配置されていない合わせガラス1の中央部の厚さを、着色熱可塑性樹脂シート[G]4が配置されている合わせガラス1の周縁部の厚さと均等にするために使用されたものである。着色熱可塑性樹脂シート[G]4の厚さが十分薄く、合わせガラス1にした場合に周縁部と中央部の厚さの不均等さが合わせガラスの性能に影響しない場合は、接着剤シート[F](または透明樹脂シート)5を使用しなくてもよい。
着色熱可塑性樹脂シート[G]4は、2枚の接着剤シート[F]3の間であって、合わせガラス1の周縁部の一部もしくは全部に配置されて着色領域を形成する。合わせガラス1の着色領域は、300nm以上700nm以下の波長範囲における光線の透過率が1%以下である。
<ガラス板>
本発明の合わせガラスに用いられるガラス板としては、特に制限はなく、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、熱線吸収板ガラス等の公知の無機ガラス板、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのガラス板は、透明性を有し、無色および有色のいずれであってもよい。
ガラス板の形状としては、特に制限がなく、平板状であってもよく、曲面形状であってもよい。
また、ガラス板に用いられるガラスの材質としては、特に制限はなく、例えば、アルミノシリケート酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ウランガラス、カリガラス、ケイ酸ガラス、結晶化ガラス、ゲルマニウムガラス、石英ガラス、ソーダガラス、鉛ガラス、バリウム瑚珪酸ガラス、瑚珪酸ガラス、などが挙げられる。
本発明の合わせガラスに用いられるガラス板の厚さとしては、特に限定されないが、0.3mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましく、0.7mm以上であることが特に好ましく、10mm以下であることが好ましく、6mm以下であることがより好ましく、4mm以下であることが特に好ましい。また、ガラス板の厚さとしては、合わせガラスを軽量化する観点からは、2.0mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、1.0mm以下であることが特に好ましい。
例えば、厚さ1.0mmのガラス板2枚の間に、(i)厚さ0.8mmの接着剤シート[F]3枚と、(ii)3枚の該接着剤シート[F]のいずれかの間であって、且つ、ガラス板の周縁部に配置される、厚さ0.8mmの着色熱可塑性樹脂シート[G]と、(iii)該着色熱可塑性樹脂シート[G]の内周辺に接するように配置される、厚さ0.8mmの接着剤シート[F]と、を積層して接着一体化することにより、周縁部に着色部位を有し、均等な厚さを有し、平均密度が約1.5である軽量合わせガラスを製造することができる。
また、本発明の合わせガラスに用いられる少なくとも2枚のガラス板の厚さは、同じであってもよく、異なっていてもよい(例えば、一方のガラス板の厚さが1.3mmであり、他方のガラス板の厚さが0.7mmであってもよい)。
<接着剤シート[F]>
本発明の合わせガラスに用いられる接着剤シート[F]は、主成分としてのアルコキシシリル基が導入されてなる特定の変性ブロック共重合体水素化物[E]と、任意の各種添加剤を含有する接着剤により成形されたシートである。
接着剤シート[F]の厚さは、特に制限はなく、0.02mm以上であることが好ましく、0.05mm以上であることがより好ましく、0.1mm以上であることが特に好ましく、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることが特に好ましい。
接着剤シート[F]の厚さは、ガラス板に貼り合わせた後に均一であることが好ましいが、貼り合わせる前の接着剤シート[F]は、シート表面に凹凸パターン、エンボス形状、段差、溝形状、等の微小範囲で不均一な厚さ構造を有してもよい。
接着剤シート[F]の厚さを、上記好ましい範囲内とすることにより、ガラスシートと熱可塑性樹脂シートの間に接着剤シート[F]を配置して、合わせガラスを成形することができる。
接着剤シート[F]を作製する方法としては、特に制限はなく、例えば、溶融押出し成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法、などが挙げられる。これらの中でも、接着剤シートの表面にエンボス形状を付形し易さの観点から、溶融押出し成形法が好ましい。
溶融押出し成形法により接着剤シート[F]を成形する場合、樹脂温度を、170℃以上とすることが好ましく、180℃以上とすることがより好ましく、190℃以上とすることが特に好ましく、250℃以下とすることが好ましく、240℃以下とすることがより好ましく、230℃以下とすることが特に好ましい。樹脂温度を170℃以上とすることにより、流動性が悪化するのを防止して、接着剤シート[F]の表面にゆず肌やダイライン等の不良を生じるのを防止すると共に、押出し速度を上げて、工業的に有利に成形することができ、樹脂温度を250℃以下とすることにより、接着剤シート[F]の貯蔵安定性が低下するのを防止して、常温常湿環境下で長期間貯蔵した後の接着剤シート[F]のガラスに対する接着性が低下するのを防止することができる。
接着剤シート[F]の表面は、平面状やエンボス加工を施した形状等とすることができる。また、接着剤シート[F]同士のブロッキングを防止するために、接着剤シート[F]の片面に、離型フィルムを重ねて保管することもできる。
接着剤シート[F]は、合わせガラスの視認性の観点から、400nm以上700nm以下の波長範囲における光線の透過率が、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。即ち、接着剤シート[F]は、合わせガラスの視認性の観点から、着色剤が含まれていないことが好ましい。
<<変性ブロック共重合体水素化物[E]>>
変性ブロック共重合体水素化物[E]は、前駆体であるブロック共重合体水素化物[D]に、アルコキシシリル基が導入された高分子である。
−ブロック共重合体水素化物[D]−
本発明に用いる特定のブロック共重合体水素化物[D]は、前駆体であるブロック共重合体[C]を水素化してなる高分子であり、より詳しくは、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を主成分として含有する重合体ブロック[A]と鎖状共役ジエン化合物に由来する構造単位を主成分として含有する重合体ブロック[B]とを有する高分子であるブロック共重合体[C]を水素化してなる高分子である。
前記ブロック共重合体水素化物[D]は、主鎖および側鎖の炭素−炭素不飽和結合の90%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上が水素化され、芳香環の炭素−炭素不飽和結合の90%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上が水素化されている。なおここで、「主鎖および側鎖における炭素−炭素不飽和結合の水素化」は、「ブロック共重合体〔C〕における鎖状共役ジエン化合物に由来の二重結合の水素化」を意味し、「芳香環における炭素−炭素不飽和結合の水素化」は、「ブロック共重合体〔C〕における芳香環に由来の二重結合の水素化」を意味する。
水素化の程度を示す水素化率が高いほど、接着剤シート[F]の耐光性、耐熱性および透明性が良好である。
ブロック共重合体水素化物[D]の水素化率は、ブロック共重合体〔C〕およびブロック共重合体水素化物[D]のH−NMRを測定する方法等により求めることができる。
炭素−炭素不飽和結合の水素化方法や反応形態等は、特に制限はなく、公知の方法にしたがって行えばよいが、水素化率を向上させることができる点で、重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましい。重合体鎖切断反応の少ない水素化方法としては、例えば、国際公開第2011/096389号、国際公開第2012/043708号等に記載された方法を挙げることができる。
水素化反応終了後においては、水素化触媒および/または重合触媒を反応溶液から除去した後、得られた溶液からブロック共重合体水素化物[D]を回収することができる。回収されたブロック共重合体水素化物[D]の形態としては、特に制限はないが、ペレット形状にして、その後のアルコキシシリル基の導入反応に供することが好ましい。
ブロック共重合体水素化物[D]の分子量としては、特に制限はないが、成形体の耐熱性や機械的強度の観点から、THFを溶媒としたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、40,000以上であることが好ましく、45,000以上であることがより好ましく、50,000以上であることが特に好ましく、200,000以下であることが好ましく、150,000以下であることがより好ましく、100,000以下であることが特に好ましい。
また、ブロック共重合体水素化物[D]の分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限はないが、成形体の耐熱性や機械的強度の観点から、3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることが特に好ましい。
−−ブロック共重合体[C]−−
ブロック共重合体[C]は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を主成分として含有する重合体ブロック[A]を1個以上と、鎖状共役ジエン化合物に由来する構造単位を主成分として含有する重合体ブロック[B]を1個以上有する高分子であるが、重合体ブロック[A]2個以上と、重合体ブロック[B]1個以上とからなる高分子であることが好ましい。
ブロック共重合体[C]中における重合体ブロック[A]の数は、3個以下であることが好ましく、2個であることがより好ましい。
ブロック共重合体[C]中における重合体ブロック[B]の数は、2個以下であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
ブロック共重合体[C]中における重合体ブロック[A]および重合体ブロック[B]の数をそれぞれ上記範囲内にすることにより、ブロック共重合体[C]を水素化して得られるブロック共重合体水素化物[D]において、重合体ブロック[A]由来の水素化重合体ブロック(以下、「水素化重合体ブロック[A]」ということがある。)と重合体ブロック[B]由来の水素化重合体ブロック(以下、「水素化重合体ブロック[B]」いうことがある。)との相分離が不明瞭となるのを防止して、水素化重合体ブロック[A]に基づく高温側のガラス転位温度(以下、「Tg」ということがある。)が低下するのを防止し、ひいては、得られる接着剤シート[F]の耐熱性が低下するのを防止することができる。
なお、ブロック共重合体水素化物〔D〕の高温側のガラス転移温度Tgとしては、特に制限はなく、80℃〜140℃が好ましい。
ブロック共重合体[C]のブロックの形態は、特に制限はなく、鎖状型ブロックであっても、ラジアル型ブロックであってもよいが、機械的強度の観点から、鎖状型ブロックであることが好ましい。ここで、ブロック共重合体[C]の特に好ましい形態は、重合体ブロック[B]の両端に重合体ブロック[A]が結合したトリブロック共重合体([A]−[B]−[A])、である。
重合体ブロック[A]の全量がブロック共重合体[C]に占める重量分率をwAとし、重合体ブロック[B]の全量がブロック共重合体[C]に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比wA:wBは30:70〜60:40であることが好ましく、35:65〜55:45であることがより好ましく、40:60〜50:50であることが特に好ましい。
wAの質量分率を60%以下にすることにより、得られる接着剤シート[F]の柔軟性が低下するのを防止して、得られる接着剤シート[F]を介して接着一体化して得られる合わせガラスが、環境の急激な温度変化に対して割れ易くなることを防止することができる。一方、wAの質量分率を30%以上にすることにより、接着剤シート[F]の耐熱性が低下するのを防止することができる。
ブロック共重合体[C]の分子量は、特に制限はないが、接着剤シート[F]の耐熱性や機械的強度の観点から、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒としたGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、40,000以上であることが好ましく、45,000以上であることがより好ましく、50,000以上であることが特に好ましく、200,000以下であることが好ましく、150,000以下であることがより好ましく、100,000以下であることが特に好ましい。
また、ブロック共重合体[C]の分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限はないが、接着剤シート[F]の耐熱性や機械的強度の観点から、3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることが特に好ましい。
ブロック共重合体[C]の製造方法は特に限定されず、例えば、国際公開第2003/018656号、国際公開第2011/096389号、等に記載の方法を採用することができる。
〔重合体ブロック[A]〕
重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位〔a〕を主成分とする重合体ブロックである。重合体ブロック[A]中における構造単位〔a〕の含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。
重合体ブロック[A]中における構造単位(a)の含有量が90質量%以上であると、得られる接着剤シート[F]の耐熱性が低下するのを防止することができる。
重合体ブロック[A]は、構造単位〔a〕以外の他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、後述する鎖状共役ジエン化合物に由来する構造単位〔b〕および/またはその他のビニル化合物に由来する構造単位〔j〕が挙げられる。重合体ブロック[A]中における鎖状共役ジエン化合物に由来する構造単位〔b〕およびその他のビニル化合物に由来する構造単位〔j〕の合計含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
重合体ブロック[A]が構造単位〔a〕以外の構造単位〔b〕および/または構造単位〔j〕を含む場合は、重合体ブロック[A]は、通常、構造単位〔a〕、〔b〕、〔j〕を不規則的に繰り返してなる部分を有することが好ましい。
重合体ブロック[A]中における構造単位〔b〕および構造単位〔j〕の合計含有量が10質量%以下であると、得られる接着剤シート[F]の耐熱性が低下するのを防止することができる。
ブロック共重合体[C]が複数の重合体ブロック[A]を有する場合、重合体ブロック[A]同士は、互いに同一であってもよく、相異していてもよい。
〔〔芳香族ビニル化合物〕〕
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン;α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン等の「置換基として炭素数1〜6のアルキル基を有するスチレン類」;4−メトキシスチレン等の「置換基として炭素数1〜6のアルコキシ基を有するスチレン類」;4−フェニルスチレン等の「置換基としてアリール基を有するスチレン類」;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン等のビニルナフタレン類;などが挙げられる。
これらの中でも、低吸湿性の観点から、スチレン、「置換基として炭素数1〜6のアルキル基を有するスチレン類」等の「極性基を含有しない芳香族ビニル化合物」が好ましく、さらに、工業的な入手の容易さから、スチレンがより好ましい。
〔〔その他のビニル化合物〕〕
その他のビニル化合物としては、芳香族ビニル化合物および鎖状共役ジエン化合物以外のビニル化合物、例えば、鎖状ビニル化合物、環状ビニル化合物、不飽和の環状酸無水物、不飽和イミド化合物、などが挙げられる。これらの化合物は、ニトリル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシカルボニル基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。これらの中でも、低吸湿性の観点から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン等の炭素数2〜20の鎖状ビニル化合物(鎖状オレフィン);ビニルシクロヘキサン、ノルボルネン等の炭素数5〜20の環状ビニル化合物(環状オレフィン);1,3−シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン化合物;などであって、極性基を含有しないものが好ましい。
〔重合体ブロック[B]〕
重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物に由来する構造単位[b]を主成分とする重合体ブロックである。重合体ブロック[B]中における構造単位[b]の含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
重合体ブロック[B]中における構造単位[b]の含有量が70質量%以上であると、得られる接着剤シート[F]は柔軟性を有し、接着剤シート[F]を介して接着一体化して得られる合わせガラスは環境の急激な温度変化に対しても割れ等の不具合が発生し難いため好ましい。
重合体ブロック[B]は、構造単位[b]以外の他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、上述した芳香族ビニル化合物に由来する構造単位[a]および/または上述したその他のビニル化合物に由来する構造単位[j]が挙げられる。重合体ブロック[B]中における芳香族ビニル化合物に由来する構造単位[a]およびその他のビニル化合物に由来する構造単位[j]の合計含有量は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
重合体ブロック[B]が構造単位[b]以外の構造単位[a]および/または構造単位[j]を含む場合は、重合体ブロック[B]は、通常、構造単位[a]、[b]、[j]を不規則的に繰り返してなる部分を有することが好ましい。
重合体ブロック[B]中における構造単位[a]および構造単位[j]の合計含有量が30質量%以下であると、得られる接着剤シート[F]の柔軟性が損なわれるのを防止することができ、接着剤シート[F]を介して接着一体化して得られる合わせガラスが環境の急激な温度変化に対して割れ易くなるのを防止することができる。
ブロック共重合体[C]が重合体ブロック[B]を複数有する場合、重合体ブロック[B]同士は、互いに同一であってもよく、相異なっていてもよい。
重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物に由来する構造単位[b]の一部が、1,2−結合および/または3,4−結合で重合した構造単位(1,2−および3,4−付加重合由来の構造単位)を有し、鎖状共役ジエン化合物に由来する構造単位[b]の残部が、1,4−結合(1,4−付加重合由来の構造単位)で重合した構造単位を有していてもよい。
1,2−結合および/または3,4−結合で重合した鎖状共役ジエン化合物に由来する構造単位を含有する重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物、必要に応じて、芳香族ビニル化合物、その他のビニル化合物を、ランダム化剤として電子供与原子を有する特定の化合物の存在下で重合させることにより得ることができる。1,2−結合および/または3,4−結合で重合した鎖状共役ジエン化合物に由来する構造単位の含有量は、ランダム化剤の添加量により制御することができる。
電子供与原子(例えば、酸素(O)、窒素(N))を有する化合物としては、エーテル化合物、第3級アミン化合物、ホスフィン化合物、などが挙げられる。これらの中でも、ランダム共重合体ブロックの分子量分布を小さくすることができ、その水素添加反応を阻害し難いという観点から、エーテル化合物が好ましい。
電子供与原子を有する化合物の具体例としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジ(2−テトラヒドロフリル)メタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、テトラメチルエチレンジアミン、などが挙げられる。これらの電子供与原子を有する化合物の含有量は、鎖状共役ジエン化合物100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、0.01質量部以上であることがより好ましく、10質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましい。
鎖状共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、などが挙げられる。これらの中でも、低吸湿性の観点から、極性基を含有しない鎖状共役ジエン化合物が好ましく、さらに、工業的な入手の容易さから、1,3−ブタジエン、イソプレンがより好ましい。
−ブロック共重合体水素化物[E]−
変性ブロック共重合体水素化物[E]は、上記ブロック共重合体水素化物[D]に、アルコキシシリル基が導入された高分子である。
ブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基を導入することにより、変性ブロック共重合体水素化物[E]はガラスや金属に対する強固な接着性が付与される。
−−アルコキシシリル基−−
導入するアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等の、トリ(炭素数1〜6アルコキシ)シリル基;メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、プロピルジメトキシシリル基、プロピルジエトキシシリル基等の、(炭素数1〜20アルキル)ジ(炭素数1〜6アルコキシ)シリル基;フェニルジメトキシシリル基、フェニルジエトキシシリル基等の、(アリール)ジ(炭素数1〜6アルコキシ)シリル基;などが挙げられる。
また、アルコキシシリル基は、ブロック共重合体水素化物[D]に、炭素数1〜20のアルキレン基や、炭素数2〜20のアルキレンオキシカルボニルアルキレン基等の2価の有機基を介して結合していてもよい。
〔アルコキシシリル基の導入量〕
ブロック共重合体水素化物[D]100質量部に対するアルコキシシリル基の導入量としては、特に制限はなく、0.1質量部以上であることが好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることが特に好ましく、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることが特に好ましい。
アルコキシシリル基の導入量が10質量部以下であると、得られる変性ブロック共重合体水素化物[E]をシート状に溶融成形する前に微量の水分等で分解されたアルコキシシリル基同士の架橋が進み、ゲル化したり、溶融時の流動性が低下して成形性が低下したりするのを防止することができ、また、アルコキシシリル基の導入量が0.1質量部以上であると、シートをガラス板と接着するのに十分な接着力が得られないという不具合が生じるのを防止することができる。
アルコキシシリル基が導入されたことは、アルコキシシリル基が導入されたブロック共重合体水素化物[D]のIRスペクトルで確認することができる。また、その導入量は、アルコキシシリル基が導入されたブロック共重合体水素化物[D]のH−NMRスペクトルにて算出することができる。
〔アルコキシシリル基の導入方法〕
ブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基を導入する方法としては、特に制限はなく、例えば、ブロック共重合体水素化物[D]に、有機過酸化物の存在下で、エチレン性不飽和シラン化合物を反応(グラフト化反応)させることにより、アルコキシシリル基を導入する方法、より詳細には、ブロック共重合体水素化物[D]、エチレン性不飽和シラン化合物および有機過酸化物からなる混合物を、二軸混練機にて溶融状態で所望の時間混練する方法、などが挙げられる。
前述した導入方法で用いるエチレン性不飽和シラン化合物としては、ブロック共重合体水素化物[D]とグラフト化反応し、ブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基を導入可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
グラフト化反応に使用する有機過酸化物としては、特に制限はないが、1分間半減期温度が170℃以上190℃以下のものが好ましく、例えば、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシド、1,4−ビス(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
二軸混練機による混練温度としては、特に制限はないが、180℃以上であることが好ましく、185℃以上であることがより好ましく、190℃以上であることが特に好ましく、220℃以下であることが好ましく、210℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることが特に好ましい。
また、加熱混練時間としては、特に制限はないが、0.1分間以上であることが好ましく、0.2分間以上であることがより好ましく、0.3分間以上であることが特に好ましく、10分間以下であることが好ましく、5分間以下であることがより好ましく、2分間以下であることが特に好ましい。
加熱混練温度および加熱混練時間(滞留時間)を上記好ましい範囲内にすることにより、連続的な混練および押出しを効率的に行うことができる。
得られた変性ブロック共重合体水素化物(E)の形態としては、特に制限はないが、通常は、ペレット形状にして、その後の成形加工や添加剤の配合に供することが好ましい。
変性ブロック共重合体水素化物[E]の分子量としては、導入されるアルコキシシリル基の分子量が、通常、小さいため、原料として用いたブロック共重合体水素化物[D]の分子量と実質的には変わらない。ただし、ブロック共重合体水素化物[D]に、有機過酸化物の存在下で、エチレン性不飽和シラン化合物を反応(グラフト化反応)させるため、重合体の架橋反応および切断反応が併発し、変性ブロック共重合体水素化物[E]の分子量分布の値は大きくなる。
変性ブロック共重合体水素化物[E]の分子量としては、特に制限はないが、成形体の耐熱性や機械的強度の観点から、THFを溶媒としたGPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、40,000以上が好ましく、45,000以上がより好ましく、50,000以上が特に好ましく、200,000以下が好ましく、150,000以下がより好ましく、100,000以下が特に好ましい。
また、変性ブロック共重合体水素化物[E]の分子量分布(Mw/Mn)としては、特に制限はないが、接着剤シート[F]の耐熱性や機械的強度の観点から、3.5以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることが特に好ましい。
<<添加剤>>
添加剤としては、粘着付与剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、光安定剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
変性ブロック共重合体水素化物[E]に添加剤を配合する方法としては、一般に用いられる公知の方法が適用でき、例えば、(i)変性ブロック共重合体水素化物[E]のペレットおよび添加剤を、タンブラー、リボンブレンダー、ヘンシェルタイプミキサー等の混合機を使用して均等に混合した後、二軸押出機等の連続式溶融混練機により溶融混合し、押出すことで、ペレット状にする方法や、(ii)変性ブロック共重合体水素化物[E]を、サイドフィーダーを備えた二軸押出機により、サイドフィーダーから各種添加剤を連続的に添加しながら、溶融混練し、押出すことで、ペレット状にする方法、が挙げられる。これらの方法によって、添加剤を変性ブロック共重合体水素化物[E]に均一に分散させた接着剤を製造することができる。
−粘着付与剤−
粘着付与剤を配合することにより、粘着性や接着性を付与することができる。
粘着付与剤の具体例としては、例えば、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリ−1−オクテン、エチレン−α−オレフィン共重合体等の低分子量体およびその水素化物;ポリイソプレン、ポリイソプレン−ブタジエン共重合体等の低分子量体およびその水素化物;などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、透明性および耐光性を維持し、充填性の効果に優れている点で、低分子量のポリイソブチレン水素化物、低分子量のポリイソプレン水素化物、が好ましい。
粘着付与剤の添加量としては、要求される粘着性に応じて適宜選定できるが、接着剤シートの取り扱いの容易性の観点から、変性ブロック共重合体水素化物[E]100質量部に対して、30質量部以下とすることが好ましく、20重量部以下とすることがより好ましい。
−紫外線吸収剤−
紫外線吸収剤を配合することにより、接着剤シート[F]により紫外線を遮蔽することができる。
紫外線吸収剤の具体例としては、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、などが挙げられる。
−赤外線吸収剤−
赤外線吸収剤を配合することにより、赤外線を遮蔽することができる。
赤外線吸収剤の具体例としては、酸化錫、アルミニウムドープ酸化錫、インジウムドープ酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、錫ドープ酸化亜鉛、珪素ドープ酸化亜鉛、酸化チタン、ニオブドープ酸化チタン、酸化タングステン、ナトリウムドープ酸化タングステン、セシウムドープ酸化タングステン、タリウムドープ酸化タングステン、ルビジウムドープ酸化タングステン、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム等の金属酸化物微粒子;フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、イモニウム化合物、ジイモニウム化合物、ポリメチン化合物、ジフェニルメタン化合物、アントラキノン化合物、ペンタジエン化合物、アゾメチン化合物、6ホウ化ランタン等の近赤外線吸収色素;などが挙げられる。
−酸化防止剤−
酸化防止剤を配合することにより、加工性等を高めることができる。
酸化防止剤の具体例としては、リン系酸化防止剤、フェノ−ル系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、などが挙げられる。
−ブロッキング防止剤−
ブロッキング防止剤を配合することにより、変性ブロック共重合体水素化物(E)を主成分とするペレットのブロッキングを防止することができる。
ブロッキング防止剤の具体例としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、などが挙げられる。
−光安定剤−
光安定剤を配合することにより、耐久性を高めることができる。
光安定剤の具体例としては、ヒンダードアミン系光安定剤、などが挙げられる。
紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、光安定剤等の添加量としては、これらの添加剤の合計添加量が、変性ブロック共重合体水素化物[E]100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、0.01質量部以上であることがより好ましく、0.05質量部以上であることが特に好ましく、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることが特に好ましい。
<着色熱可塑性樹脂シート[G]>
本発明に用いる着色熱可塑性樹脂シート[G]は、300nm以上700nm以下の波長範囲における光線の透過率が1%以下である着色領域を有する。前記透過率は、0.5%以下であることが好ましく、0.2%以下であることがより好ましい。なお、前記透過率は、着色熱可塑性樹脂シート[G]1枚以上をガラス板の間に介在させて形成された合わせガラスで測定される。
着色熱可塑性樹脂シート[G]としては、例えば、基材となる透明な熱可塑性樹脂シート上に着色塗料が塗布されたものや、着色剤を配合した熱可塑性樹脂をシート状に成形したもの、などが使用できる。光線透過率を小さくするには着色剤を配合した熱可塑性樹脂をシート状に成形したものが好ましい。着色熱可塑性樹脂シート[G]は、シート状であるため、セラミックカラーによるガラス板への光遮蔽性付与技術に代えて、接着剤シート[F]を介して2枚のガラス板を貼り合わせる際に、少なくとも2枚の接着剤シート[F]の間に着色熱可塑性樹脂シート[G]を配置しておくことにより、積層体を介してガラス板を貼り合わせるのと同時に、合わせガラスの周縁部に光遮蔽部位を敷設する(着色領域を形成する)ことができる。
熱可塑性樹脂としては、芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物から製造されるブロック共重合体およびその水素化物;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチルペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチルペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・1−ブテン・1−オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ブテン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・1−ブテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ブテン・ビニルノルボルネン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;エチレン・ノルボルネン共重合体、エチレン・テトラシクロドデセン共重合体、ノルボルネン誘導体の開環メタセシス重合体水素化物、シクロヘキサジエン重合体等のシクロオレフィンポリマー;エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体等のエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体;エチレン・不飽和カルボン酸ランダム共重合体を金属化合物と反応させて得られたアイオノマー樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルオキシド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のビスフェノール類と塩化カルボニル等のカルボニル化合物の反応で得られるポリカーボネート樹脂;ポリスチレン、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル・メタクリル酸グリシジル共重合体、メタクリル酸メチル・メタクリル酸トリシクロデシル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体等;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体等の含ハロゲン系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド等の芳香族系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6T等のポリアミド系樹脂;これらの熱可塑性樹脂にアルコキシシリル基や酸無水物基が導入されてなる変性熱可塑性樹脂;などが挙げられる。
ここで、熱可塑性樹脂は、本発明で使用する接着剤シート[F]との接着性、耐熱性、耐光性、低吸湿性、などに優れた樹脂が好ましく、例えば、前記のブロック共重合体水素化物[D]、変性ブロック共重合体水素化物[E]、ブロック共重合体[C]の鎖状共役ジエン化合物に由来する主鎖および側鎖の炭素−炭素不飽和結合を選択的に水素化したブロック共重合体水素化物、ポリオレフィンにアルコキシシリル基や酸無水物基等が導入された変性ポリオレフィン、などが特に好ましい。
着色剤としては、顔料、色素、染料、無機粉体、などを使用することができる。これらの中では、300nm以上700nm以下の広い波長範囲における光線の透過率を1%以下に遮光するために顔料が好ましく、意匠性の観点からは黒色の着色が好ましい。黒色の顔料としては、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、植物黒、骨炭、アイボリーブラック、黒鉛、マグネタイト型四酸化三鉄、銅・クロムの複合酸化物、銅・クロム・亜鉛の複合酸化物、などが使用できる。
これらの着色剤の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、1.5質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがより好ましく、20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが特に好ましい。着色剤の配合量が1質量部以上であれば、着色熱可塑性樹脂シート[G]に十分な遮光性を付与することができ、着色剤の配合量が20質量部以下であれば、着色熱可塑性樹脂シート[G]の機械的強度が脆弱になるのを防止することができる。
熱可塑性樹脂への着色剤の配合方法としては、樹脂組成物の製造方法として一般に用いられる公知の方法が適用でき、例えば、(i)ブロック共重合体水素化物[D]や変性ブロック共重合体水素化物[E]等の熱可塑性樹脂のペレット、(ii)着色剤、および、(iii)ノニオン系界面活性剤等の分散剤等を、タンブラー、リボンブレンダー、ヘンシェルタイプミキサー等の混合機を使用して均等に混合した後、二軸押出機等の連続式溶融混練機により溶融混合し、押出してペレット状にすることによって着色剤を配合した熱可塑性樹脂組成物を製造することができる。
着色剤を配合した熱可塑性樹脂組成物を使用して着色熱可塑性樹脂シート[G]を作製する方法としては、特に制限はなく、融押出し成形法、カレンダー成形法等の、従来公知の成形法を適用することができる。
着色熱可塑性樹脂シート[G]の厚さとしては、0.05mm以上であることが好ましく、0.07mm以上であることがより好ましく、0.1mm以上であることが特に好ましく、1mm以下であることが好ましく、0.9mm以下であることがより好ましく、0.8mm以下であることが特に好ましい。
着色熱可塑性樹脂シート[G]の厚さが0.05mm以上であれば、合わせガラスを製造する際の作業性が低下するのを防止することができ、着色熱可塑性樹脂シート[G]の厚さが1mm以下であれば、ガラス板の周縁部の着色部位に合うように切り抜いた後の残シートの量が多くなり、経済性に劣るおそれがある。
さらに、本発明の合わせガラスは、前記2枚のガラス板の間に介在させて貼り合わせてなる積層体を必須の構成部材とする以外に、更に1枚以上の追加のガラス板や透明なプラスチック板を接着剤や粘着剤を介して前記2枚のガラス板の少なくとも1枚のガラス板に貼り合わせたものであってもよい。また、本発明の合わせガラスは、前記2枚のガラス板と2枚のガラス板の間に介在させて貼り合わせてなる積層体を必須の構成部材とする合わせガラスの少なくとも2組以上を、接着剤や粘着剤を介して、貼り合わせたものであってもよい。
(合わせガラスの製造方法)
本発明の合わせガラスの製造方法は、ガラス板、接着剤シート[F]、着色熱可塑性樹脂シート[G]、接着剤シート[F]、ガラス板の順に配列された積層体を、加熱圧着して接着一体化する工程を含む。なお、接着剤シート[F]と接着剤シート[F]との間には、任意に、接着剤シート[F](または透明樹脂シート)が存在していてもよい。
本発明の合わせガラスは、従来公知の方法で製造することが可能であり、例えば、真空ラミネータ装置を用いる方法、真空バッグを用いる方法、真空リングを用いる方法、仮圧着後にオートクレーブで加圧する方法等が適用できる。
薄肉で曲面形状のガラス板を使用して軽量合わせガラスを製造する場合は、貼り合わせ工程でガラスが非常に割れ易いため、例えば、特開2016−36998号公報に開示されているような方法で製造することができる。すなわち、曲面形状のガラス板と、接着剤シート[F]と、周縁部に配置した着色熱可塑性樹脂シート[G]と、着色熱可塑性樹脂シート[G]に接するようにガラス板の中央部に配置した、任意の接着剤シート[F](または透明樹脂シート)を重ね合わせた積層物を、ポリプロピレン製袋等に入れて真空パックして仮圧着した後、オートクレーブで加圧、加熱することにより、ガラスが割れることなく周縁部に着色領域を有する合わせガラスを製造することができる。着色熱可塑性樹脂シート[G]の厚さが薄い場合、例えば、厚さが、70μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは50μm以下である場合は、任意の接着剤シート[F](または透明樹脂シート)を使用しないこともある。
加熱温度としては、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、120℃以上が特に好ましく、200℃以下が好ましく、190℃以下がより好ましく、180℃以下が特に好ましい。
加圧圧力としては、0.1MPa以上が好ましく、0.2MPa以上がより好ましく、0.3MPa以上が特に好ましく、1MPa以下が好ましく、5MPa以下がより好ましく、10MPa以下が特に好ましい。
加熱時間および加圧時間としては、1分間以上が好ましく、3分間以上がより好ましく、5分間以上が特に好ましく、90分間以下が好ましく、60分間以下がより好ましく、30分間以下が特に好ましい。
温度、圧力および時間が、上記好ましい範囲内であれば、接着剤シート[F]とガラス板との良好な接着性、並びに、接着剤シート[F]と着色熱可塑性樹脂シート[G]との良好な接着性が得られる。
以下に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」および「%」は特に断りのない限り、質量基準である。本実施例における測定乃至評価は、以下の方法によって行った。
(1)重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)
ブロック共重合体[C]、ブロック共重合体水素化物[D]の分子量を、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液として38℃において測定し、標準ポリスチレン換算値を算出した。なお、測定装置としては、GPC装置(HLC8020GPC、東ソー社製)を用いた。
(2)水素化率
ブロック共重合体水素化物[D]の主鎖、側鎖および芳香環の水素化率は、ブロック共重合体[C]およびブロック共重合体水素化物[D]のH−NMRを測定して算出した。
(3)wAとwBとの比(wA:wB)
重合体ブロック[A]の全量がブロック共重合体[C]全体に占める質量分率をwAとし、重合体ブロック[B]の全量がブロック共重合体[C]全体に占める質量分率をwBとしたときの、「wAとwBとの比(wA:wB)」については、ブロック共重合体[C]を製造する過程において、各重合体ブロックの重合に用いた芳香族ビニル化合物、鎖状共役ジエン化合物及びその他のビニル化合物の部数と、ガスクロマトグラフィー(GC)を使用して測定された各重合体ブロック重合終了段階での用いたモノマーの重合体への重合転化率により、各重合体ブロックの質量分率を算出した。
(4)合わせガラスの光線透過率
着色熱可塑性樹脂シート[G]を配置した合わせガラスの周縁部位について、300nm以上700nm以下の波長範囲の光線の透過率を、分光光度計(V−670、日本分光社製)を使用して測定した。結果を表1に示す。なお、光線の透過率が小さいほど隠蔽性は高い。
(5)合わせガラスの耐湿性
作製した合わせガラスを、JIS R3212法(自動車用安全ガラス試験方法)の耐湿性試験に準じて、温度50℃、湿度95%RHの条件下で2週間、垂直に立てた状態で保持した。高温高湿環境から取り出した後、常温常湿に戻して外観を目視観察した。
耐湿性評価は、変色、泡、剥離、濁り、つやの減退、膨れ、剥がれ、ひび割れ等の変化が無い場合を「良好」と判定し、変化が認められる場合を「不良」と判定した。結果を表1に示す。
(製造例1)ブロック共重合体水素化物[D1]の製造
攪拌装置を備え、内部が十分に窒素置換された反応器に、脱水シクロヘキサン300部、脱水スチレン10部、およびジブチルエーテル1.1部を投入した。全容を60℃で攪拌しながら、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.75部を加えて重合を開始させた。引続き、全容を60℃で攪拌しながら、脱水スチレン15部を40分間に亘って連続的に反応器内に添加して重合反応を進め、添加終了後、そのまま、さらに、60℃で20分間全容を攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により測定したところ、この時点での重合転化率は99.5%であった。
次に、反応液に、脱水イソプレン50部を130分間に亘って連続的に添加し、添加終了後そのまま30分間攪拌を続けた。この時点で、反応液をGCにより分析した結果、重合転化率は99.5%であった。
その後、更に、反応液に脱水スチレン25部を70分間に亘って連続的に添加し、添加終了後そのまま60分攪拌した。この時点で、反応液をGCにより分析した結果、重合転化率はほぼ100%であった。
ここで、反応液に、イソプロピルアルコール1.0部を加えて反応を停止させ、重合体溶液を得た。重合体溶液に含まれるブロック共重合体[C1]は、(A)−(B)−(A)型のトリブロック共重合体であり、重量平均分子量(Mw)が56,700、分子量分布(Mw/Mn)が1.03、wA:wB=50:50であった。
次に、上記の重合体溶液を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として、珪藻土担持型ニッケル触媒(製品名「E22U」、ニッケル担持量60%、日揮触媒化成社製)4.0部、および脱水シクロヘキサン100部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度190℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。
水素化反応により得られた反応溶液に含まれるブロック共重合体水素化物[D1]の重量平均分子量(Mw)は60,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。
水素化反応終了後、反応溶液を濾過して水素化触媒を除去した後、得られた溶液に、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリトリトール・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](製品名「AO60」、ADEKA社製)0.1部を溶解したキシレン溶液2.0部を添加して溶解させた。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液からシクロヘキサン、キシレンおよびその他の揮発成分を除去した。溶融ポリマーをダイからストランド状に押出し、冷却後、ペレタイザーによりカッティングしてブロック共重合体水素化物[D1]からなるペレット94部を得た。
得られたペレット状のブロック共重合体水素化物[D1]は、重量平均分子量(Mw)が59,500、分子量分布(Mw/Mn)が1.06、水素化率が「主鎖および側鎖」並びに「芳香環」のいずれもほぼ100%であった。
(製造例2)変性ブロック共重合体水素化物[E1]の製造
製造例1で製造したブロック共重合体水素化物[D1]のペレット100部に対して、ビニルトリメトキシシラン2.0部、および、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(製品名「パーヘキサ(登録商標)25B」、日油社製)0.2部を添加した。この混合物を、二軸押出機(製品名「TEM37B」、東芝機械社製)を用いて、樹脂温度200℃、滞留時間60〜70秒で混練した。得られた混練物を、ストランド状に押出し、空冷した後、ペレタイザーによりカッティングし、アルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体水素化物[E1]のペレット97部を得た。
変性ブロック共重合体水素化物[E1]のペレット10部をシクロヘキサン100部に溶解させた後、得られた溶液を脱水メタノール400部中に注いで、変性ブロック共重合体水素化物[E1]を凝固させた。凝固物を25℃で真空乾燥して、精製した変性ブロック共重合体水素化物[E1]9.0部を得た。
変性ブロック共重合体水素化物[E1]のFT−IRスペクトルには、1090cm−1にSi−OCH基、825cm−1と739cm−1にSi−CH基に由来する新たな吸収帯が、ビニルトリメトキシシランのSi−OCH基、Si−CH基に由来する吸収帯(1075cm−1、808cm−1および766cm−1)と異なる位置に観察された。
また、変性ブロック共重合体水素化物[E1]のH−NMRスペクトル(重クロロホルム中)を測定したところ、3.6ppmにメトキシ基のプロトンに基づくピークが観察された。ピーク面積比からブロック共重合体水素化物[D1]100部に対してビニルトリメトキシシラン1.9部が結合したことが確認された。
(製造例3)接着剤シート[F1]の製造
製造例2で製造した変性ブロック共重合体水素化物[E1]のペレット100部に、紫外線吸収剤である(2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−tert−ブチル−p−クレゾール(住友化学社製、製品名「SUMISORB(登録商標)300」)0.2部を添加して、均一に混合した。この混合物を直径37mmのスクリューを備えた二軸混練機(東芝機械社製、TEM37B)を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機(Tダイ幅400mm)、キャストロール(エンボスパターン付き)、およびシート引き取り装置を備えた押出しシート成形機を使用して、溶融樹脂温度230℃、Tダイ温度230℃、キャストロール温度90℃の条件にて押出し成形した。シートの端部を切除して、エンボスパターンを有する変性ブロック共重合体水素化物[E1]を主成分とする接着剤シート[F1](厚さ0.80mm、幅330mm)を得た。
(製造例4)着色熱可塑性樹脂シート[G1]の製造
製造例1で製造したブロック共重合体水素化物[D1]のペレット100部に、カーボンブラック(三菱化学社製、製品名「#960」)4.0部およびテトラグリセリンステアレート(理研ビタミン社製、製品名「ポエム(登録商標)J−4081V」)3.0部、を添加して、均一に混合した。
この混合物を製造例3で使用した押出しシート成形機を使用して、溶融樹脂温度230℃、Tダイ温度230℃、キャストロール温度90℃の条件にて押出し成形した。シートの端部を切除して、エンボスパターンを有するブロック共重合体水素化物[D1]を主成分とする着色熱可塑性樹脂シート[G1](厚さ0.80mm、幅330mm)を得た。
(製造例5)着色熱可塑性樹脂シート[G2]の製造
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレット100部に代えて、製造例2で製造した変性ブロック共重合体水素化物[E1]のペレット100部を使用する以外は、製造例4と同様にして、変性ブロック共重合体水素化物[E1]を主成分とする着色熱可塑性樹脂シート[G2](厚さ0.80mm、幅330mm)を得た。
(製造例6)着色熱可塑性樹脂シート[G3]の製造
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレット100部に代えて、シラン変性ポリオレフィン(三菱化学社製、製品名「リンクロン(登録商標)XLE830N」)のペレット100部を使用し、溶融樹脂温度230℃、Tダイ温度230℃、キャストロール温度90℃の条件とする代わりに、溶融樹脂温度160℃、Tダイ温度160℃、キャストロール温度30℃の条件にしたこと以外は、製造例4と同様にして、シラン変性ポリオレフィンを主成分とする着色熱可塑性樹脂シート[G3](厚さ0.80mm、幅330mm)を得た。
(実施例1)合わせガラス[H1]の製造および評価
製造例4で製造した着色熱可塑性樹脂シート[G1]を使用して、縦300mm、横300mmのシートを切り出し、上側50mm、下側100mm、左右側20mmの縁を残して内周部を切除した着色された熱可塑性樹脂シート[G1−1]を作製した。
製造例3で製造した接着剤シート[F1]を使用して、縦300mm、横300mmのシート[F1−1]および縦150mm、横260mmのシート[F1−2]を作製した。
縦300mm、横300mm、厚さ1.1mmの青板ガラス板2枚の間に、シート[F1−1]/シート[G1−1]およびシート[F1−2]/シート[F1−1]/シート[F1−1]をこの順に挟み、積層物とした。ここで、シート「F1−2」はシート「G1−1」の中央部の欠損部分を充填するように配置した。
次に、この積層物を、NY(ナイロン)/接着層/PP(ポリプロピレン)の層構成を有する厚さ75μmの樹脂製の袋に入れた。密封パック器(BH−951、パナソニック社製)を使用して、袋内を脱気しながら開口部をヒートシールして積層物を密封包装した。樹脂製の袋は、積層物の形状に追従して密着していた。
その後、密封包装した積層物をオートクレーブに入れて、30分間、温度140℃、圧力0.8MPaで加熱加圧し、周縁部が黒く着色された合わせガラス[H1]を製造した。合わせガラス[H1]では、着色熱可塑性樹脂シート[G1]は接着剤シート[F1]を介してガラス板に貼り合わされている。
合わせガラス[H1]の周縁部の着色部位の光線透過率は、300nm以上700nm以下の波長領域で0.2%未満であり、着色部位は十分に高い隠蔽性を有していた。
耐湿性試験では、周縁部の着色部位および中央部の透明部位のいずれにも試験後の外観変化は認められず、評価は「良好」であった。
(比較例1)合わせガラス[H2]の製造および評価
製造例5で製造した着色熱可塑性樹脂シート[G2]を使用して、縦300mm、横300mmのシートを切り出し、上側50mm、下側100mm、左右側20mmの縁を残して内周部を切除した着色された熱可塑性樹脂シート[G2−1]を作製した。
実施例1と同様に、接着剤シート[F1]を使用して、縦300mm、横300mmのシート[F1−1]および縦150mm、横260mmのシート[F1−2]を作製した。
縦300mm、横300mm、厚さ1.1mmの青板ガラス板2枚の間に、シート[G2−1]およびシート[F1−2]/シート[F1−1]/シート[F1−1]/シート[F1−1]をこの順に挟み、積層物とした。ここで、シート「F1−2」はシート「G2−1」の中央部の欠損部分を充填するように配置した。
次に、この積層物を、実施例1と同様にして密封包装した後、オートクレーブに入れて加熱し、加圧して、周縁部が黒く着色された合わせガラス[H2]を製造した。合わせガラス[H2]では、着色熱可塑性樹脂シート[G2]は、一方の面が接着剤シート[F1]を介してガラス板に貼り合わされ、他方の面が直接ガラス板に貼り合わされている。
合わせガラス[H2]の周縁部の着色部位の光線透過率は、300nm以上700nm以下の波長領域で0.2%未満であり、着色部位は十分に高い隠蔽性を有していた。
一方、耐湿性試験では、周縁部の着色部位で熱可塑性樹脂シート[G2]が直接ガラス板と貼り合わされていた界面の一部で剥離が認められ、評価は「不良」であった。
(実施例2)合わせガラス[H3]の製造および評価
製造例6で製造した着色熱可塑性樹脂シート[G3]を使用して、縦300mm、横300mmのシートを切り出し、上側50mm、下側100mm、左右側20mmの縁を残して内周部を切除した着色された熱可塑性樹脂シート[G3−1]を作製した。
実施例1と同様に、接着剤シート[F1]を使用して、縦300mm、横300mmのシート[F1−1]および縦150mm、横260mmのシート[F1−2]を作製した。
実施例1と同様に、縦300mm、横300mm、厚さ1.1mmの青板ガラス板2枚の間に、シート[F1−1]/シート[G3−1]およびシート[F1−2]/シート[F1−1]/シート[F1−1]をこの順に挟み、積層物とした。ここで、シート「F1−2」はシート「G3−1」の中央部の欠損部分を充填するように配置した。
次に、この積層物を、実施例1と同様にして密封包装した後、オートクレーブに入れて加熱し、加圧して、周縁部が黒く着色された合わせガラス[H3]を製造した。合わせガラス[H3]では、着色熱可塑性樹脂シート[G3]は接着剤シート[F1]を介してガラス板に貼り合わされている。
合わせガラス[H3]の周縁部の着色部位の光線透過率は、300nm以上700nm以下の波長領域で0.2%未満であり、着色部位は十分に高い隠蔽性を有していた。
耐湿性試験では、周縁部の着色部位および中央部の透明部位のいずれにも試験後の外観変化は認められず、評価は「良好」であった。
(比較例2)合わせガラス[H4]の製造および評価
実施例2で使用した、着色熱可塑性樹脂シート[G3−1]、接着剤シート[F1−1]および接着剤シート[F1−2]を使用して、縦300mm、横300mm、厚さ1.1mmの青板ガラス板2枚の間に、シート[G3−1]およびシート[F1−2]/シート[F1−1]/シート[F1−1]/シート[F1−1]をこの順に挟むこと以外は、実施例2と同様にして、周縁部が黒く着色された合わせガラス[H4]を製造した。合わせガラス[H4]では、着色熱可塑性樹脂シート[G3]は、一方の面が接着剤シート[F1]を介してガラス板に貼り合わされ、他方の面が直接ガラス板に貼り合わされている。
合わせガラス[H4]の周縁部の着色部位の光線透過率は、300nm以上700nm以下の波長領域で0.2%未満であり、着色部位は十分に高い隠蔽性を有していた。
一方、耐湿性試験では、周縁部の着色部位で熱可塑性樹脂シート[G3]が直接ガラス板と貼り合わされていた界面の一部で剥離が認められ、評価は「不良」であった。
(実施例3)合わせガラス[H5]の製造および評価
製造例4で製造した着色熱可塑性樹脂シート[G1]を使用して、縦300mm、横300mmのシートを切り出し、上側50mm、下側100mm、左右側20mmの縁を残して内周部を切除した着色熱可塑性樹脂シート[G1−1]を作製した。
製造例3で製造した接着剤シート[F1]を使用して、縦300mm、横300mmのシート[F1−1]および縦150mm、横260mmのシート[F1−2]を作製した。
縦300mm、横300mm、厚さ1.1mmの青板ガラス板2枚の間に、シート[F1−1]/シート[G1−1]およびシート[F1−2]/シート[F1−1]をこの順に挟み、積層物とした。ここで、シート「F1−2」はシート「G1−1」の中央部の欠損部分を充填するように配置した。
次に、この積層物を、NY(ナイロン)/接着層/PP(ポリプロピレン)の層構成を有する厚さ75μmの樹脂製の袋に入れた。密封パック器(BH−951、パナソニック社製)を使用して、袋内を脱気しながら開口部をヒートシールして積層物を密封包装した。樹脂製の袋は、積層物の形状に追従して密着していた。
その後、密封包装した積層物をオートクレーブに入れて、30分間、温度140℃、圧力0.8MPaで加熱加圧し、周縁部が黒く着色された合わせガラス[H5]を製造した。合わせガラス[H5]では、着色熱可塑性樹脂シート[G1]は接着剤シート[F1]を介してガラス板に貼り合わされている。
合わせガラス[H5]の周縁部の着色部位の光線透過率は、300nm以上700nm以下の波長領域で0.2%未満であり、着色部位は十分に高い隠蔽性を有していた。
耐湿性試験では、周縁部の着色部位および中央部の透明部位のいずれにも試験後の外観変化は認められず、評価は「良好」であった。
(比較例3)合わせガラス[H6]の製造および評価
接着剤シート[F1]に代えてポリビニルブチラール樹脂を使用した合わせガラス用接着剤シート(品名Saflex(登録商標)RF41、厚さ760μm、ソルーシア社製)(以下、「シート[PVB1]ということがある。)を使用する以外は、実施例3と同様にして合わせガラス[H6]を製造した。
すなわち、シート[PVB1]を使用して、縦300mm、横300mmのシート[PVB1−1]および縦150mm、横260mmのシート[PVB1−2]を作製した。次に、縦300mm、横300mm、厚さ1.1mmの青板ガラス板2枚の間に、シート[PVB1−1]/シート[G1−1]およびシート[PVB1−2]/シート[PVB1−1]をこの順に挟み、積層物とした。ここで、シート「PVB1−2」はシート「G1−1」の中央部の欠損部分を充填するように配置した。
次に、この積層物を、NY(ナイロン)/接着層/PP(ポリプロピレン)の層構成を有する厚さ75μmの樹脂製の袋に入れた。密封パック器(BH−951、パナソニック社製)を使用して、袋内を脱気しながら開口部をヒートシールして積層物を密封包装した。樹脂製の袋は、積層物の形状に追従して密着していた。
その後、密封包装した積層物をオートクレーブに入れて、30分間、温度140℃、圧力0.8MPaで加熱加圧し、周縁部が黒く着色された合わせガラス[H6]を製造した。合わせガラス[H6]では、着色熱可塑性樹脂シート[G1]は接着剤シート[PVB1]を介してガラス板に貼り合わされている。
合わせガラス[H6]の周縁部の着色部位の光線透過率は、300nm以上700nm以下の波長領域で0.2%未満であり、着色部位は十分に高い隠蔽性を有していた。
一方、耐湿性試験では、周縁部の着色部位でシート[PVB1−1]と着色熱可塑性樹脂シート[G1]の界面の一部で剥離が認められ、評価は「不良」であった。
Figure 2018199602
実施例および比較例の結果から以下のことが分かる。
着色熱可塑性樹脂シート[G]を複数のガラス板の間に介在させて、接着一体化して製造される合わせガラスでは、着色部位の光線透過率を低下させることができ、ガラス板にセラミックカラーによる着色を施すことなく、隠蔽性を十分に得ることができる(実施例1〜3および比較例1〜3)。
着色熱可塑性樹脂シート[G]を接着剤シート[F]を介してガラス板と接着一体化して製造される合わせガラスは、高温高湿環境下に長期間保持した後も、変色、泡、剥離、濁り、つやの減退、膨れ、剥がれ、ひび割れ等の変化が無く、十分な耐湿性を示す(実施例1〜3)。
着色熱可塑性樹脂シート[G]の主成分として、ガラス板に対する強固な接着性を示すアルコキシシリル基を有するブロック共重合体水素化物[E]もしくはシラン変性ポリオレフィンを使用した場合であっても、着色熱可塑性樹脂シート[G]を直接ガラス板に接着して合わせガラスとした場合は、高温高湿環境下に長期間保持した後に、着色熱可塑性樹脂シート[G]とガラス板との界面で剥離が発生し、十分な耐久性が得られない(比較例1および2)。
着色熱可塑性樹脂シート[G]をPVB製接着剤シート[PVB1]を介してガラス板と接着一体化して合わせガラスとした場合は、高温高湿環境下に長期間保持した後に、着色熱可塑性樹脂シート[G]と吸湿した接着剤シートとの界面で剥離が発生し、十分な耐久性が得られない(比較例3)。
本発明の合わせガラスは、周縁部に着色された不透明な部位を有するため、例えば、窓ガラスを自動車の車体や建築物の窓枠等に固定するために窓ガラス周縁部に敷設されるウレタン系接着の紫外線による劣化防止、または、窓ガラスの後部にある電熱線の端子等の内部構造を隠蔽する効果がある。
本発明の合わせガラスは、車両用窓ガラス(ルーフ、サイド、リア、フロント他)、船舶用窓ガラス、建築物用窓ガラス、等に好適に用いることができる。
本発明の合わせガラスにおける接着剤シートの厚さを不均一とし、断面を楔形状とすれば、ヘッドアップディスプレイ用のガラスに使用した場合の2重像を防止することもできる。
本発明の合わせガラスの製造方法によれば、ガラス板にセラミックカラーを印刷して焼き付ける工程を省略し、中間膜を介してガラス板を貼り合わせるのと同時に、ガラス板の周縁部に着色部位を敷設して、高温高湿環境下でも耐久性の良好な周縁部に着色部位を有する合わせガラスを提供することができ、工業的に有用である。
1 合わせガラス
2 ガラス板
3 接着剤シート
4 着色熱可塑性樹脂シート
5 接着剤シート(または透明樹脂シート)

Claims (3)

  1. 2枚のガラス板と、
    前記2枚のガラス板の間に介在させて貼り合わせてなる積層体と、を備える合わせガラスであって、
    前記積層体は、
    芳香族ビニル化合物に由来する構造単位を主成分として含有する重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物に由来する構造単位を主成分として含有する重合体ブロック[B]とからなるブロック共重合体[C]の主鎖および側鎖における炭素−炭素不飽和結合の90%以上、および、芳香環における炭素−炭素不飽和結合の90%以上を水素化してなるブロック共重合体水素化物[D]にアルコキシシリル基が導入されてなる変性ブロック共重合体水素化物[E]を主成分とする接着剤からなる少なくとも2枚の接着剤シート[F]と、
    前記少なくとも2枚の接着剤シート[F]の間であって、前記合わせガラスの周縁部の一部もしくは全部に配置されて着色領域を形成する少なくとも1枚の着色熱可塑性樹脂シート[G]と、を有し、
    前記着色領域は、300nm以上700nm以下の波長範囲における光線の透過率が1%以下である、合わせガラス。
  2. 前記着色熱可塑性樹脂シート[G]は、前記2枚のガラス板のうちの1枚のガラス板の端部から、該端部から前記1枚のガラス板におけるガラス面の内側に向かう距離が10mm以上150mm以下である位置まで存在するように配置されている、請求項1に記載の合わせガラス。
  3. 請求項1または2に記載の合わせガラスを製造する製造方法であって、
    ガラス板、接着剤シート[F]、着色熱可塑性樹脂シート[G]、接着剤シート[F]、ガラス板の順に配列された積層体を、加熱圧着して接着一体化する工程を含む、合わせガラスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020158934A1 (ja) * 2019-01-31 2020-08-06 日本ゼオン株式会社 合わせガラス
JP2021026828A (ja) * 2019-07-31 2021-02-22 日本ゼオン株式会社 発熱シート及び積層体

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