以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理方法および基板処理装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
<基板処理システムの構成>
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、本実施形態では半導体ウェハ(以下ウェハW)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間でウェハWの搬送を行う。
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送されるウェハWに対して所定の基板処理を行う。
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
処理ユニット16へ搬入されたウェハWは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
第1の実施形態に係る処理ユニット16は、ウェハWを各種の処理液で処理した後、ウェハWに撥水化剤を供給してウェハWの表面を撥水化させたうえで、ウェハWを乾燥させる。ウェハWの表面を撥水化させることで、ウェハW上に残存する処理液は、パターンとの接触角度を90°近くに保ったまま乾燥していくため、パターンに作用する表面張力が低減される。したがって、パターンの倒壊を抑制することができる。
ここで、撥水化処理を行う際に、ウェハWの裏面に水分が存在していると、撥水化剤の雰囲気がウェハWの裏面に回り込んで水分と作用することにより、ウェハWの裏面にシミが発生するおそれがある。
図2は、ウェハWの裏面に発生するシミの模式図である。図2に示すように、シミDは、ウェハWの裏面外周部に発生することが本願発明者らによって確認されている。なお、シミDは、有機系のシミであり、白色を呈する。
かかるシミDは、転写等により装置等を汚染するおそれがある。そこで、第1の実施形態に係る基板処理システム1では、シミDの発生を抑えるべく、撥水化処理前に、ウェハW裏面に残存する水分を除去する工程を行うこととした。以下、かかる点について具体的に説明する。
<処理ユニットの構成>
まず、処理ユニット16の構成例について図3を参照して説明する。図3は、第1の実施形態に係る処理ユニット16の構成例を示す図である。
図3に示すように、処理ユニット16は、ウェハWを水平姿勢で保持する基板保持部20を有している。基板保持部20は、円板状のベース部22とベース部22に取り付けられた複数例えば3つのチャック爪24とを有しており、ウェハW周縁部の複数箇所をチャック爪24により保持するメカニカルスピンチャックとして形成されている。ベース部22には、基板搬送装置17との間でウェハWの受け渡しを行う際に、ウェハWの裏面を支持して持ち上げるリフトピン26を有する図示しないプレートが組み込まれている。基板保持部20は、電動モータを有する回転駆動部28によって回転させることができ、これにより、基板保持部20により保持されたウェハWを鉛直方向軸線周りに回転させることができる。
カップ40は、最も外側に位置する不動の環状の第1カップ41すなわち外カップと、その内側に位置する昇降可能な環状の第2カップ42と、さらにその内側に位置する昇降可能な環状の第3カップ43と、さらにその内側に位置する不動の内壁44とを有している。第2カップ42及び第3カップ43は、図3に概略的に示したそれぞれの昇降機構42A、43Aにより昇降する。第1〜第3カップ41〜43及び内壁44は回転しない。第1カップ41と第2カップ42との間には第1流路411が形成され、第2カップ42と第3カップ43との間には第2流路421が形成され、第3カップ43と内壁44との間には第3流路431が形成される。
カップ40の底部には、第1流路411、第2流路421及び第3流路431に連通するカップ排気口45が形成されている。カップ排気口45には、カップ排気路46が接続されている。
第1流路411、第2流路421及び第3流路431の各々の途中に屈曲部が設けられており、屈曲部で急激に向きを変えられることにより各流路を流れる気液混合流体から液体成分が分離される。分離された液体成分は、第1流路411に対応する液受け412、第2流路421に対応する液受け422、及び第3流路431に対応する液受け432内に落下する。液受け412,422,432の底部には、それぞれ排液口413,423,433が形成される。
処理ユニット16はさらに、基板保持部20に保持されて回転するウェハWに向けて処理液を供給する複数の処理液ノズルを備えている。本例では、薬液(例えばDHF(希フッ酸))を供給する第1ノズル61と、リンス液であるDIW(純水)を供給する第2ノズル62と、揮発性有機溶剤であるIPA(イソプロピルアルコール)を供給する第3ノズル63と、撥水化剤を供給する第4ノズル64とが設けられている。各ノズル61〜64には、処理液供給源に接続されるとともに開閉弁及び流量調整弁等の流量調整器が介設された処理液供給路を備えた図示しない処理液供給機構から、それぞれの処理液が供給される。
ここで、撥水化剤は、たとえば、ウェハWの表面を撥水化するための撥水化剤をシンナーで所定の濃度に希釈したものである。撥水化剤としては、シリル化剤(またはシランカップリング剤)を用いることができる。具体的には、たとえばTMSDMA(トリメチルシリルジメチルアミン)、DMSDMA(ジメチルシリルジメチルアミン)、TMSDEA(トリメチルシリルジエチルアミン)、HMDS(ヘキサメチルジンラザン)、および、TMDS(1,1,3,3−テトラメチルジシラザン)などを撥水化剤として用いることができる。
また、シンナーとしては、エーテル類溶媒や、ケトンに属する有機溶媒などを用いることができる。具体的には、たとえばPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、シクロヘキサノン、HFE(ハイドロフルオロエーテル)などをシンナーとして用いることができる。
なお、ここでは、リンス液としてDIWを用いる場合の例について説明するが、リンス液は、少なくとも水分を含んだものであればよく、必ずしもDIWであることを要しない。また、ここでは、有機溶剤としてIPAを用いる場合の例について説明するが、有機溶剤は、IPAに限定されず、水および撥水化剤の両方に対して親和性を有するものであればよい。
また、ここでは、処理ユニット16が、薬液用の第1ノズル61とDIW用の第2ノズル62とIPA用の第3ノズル63と撥水化剤用の第4ノズル64とを備えることとしたが、処理ユニット16は、薬液、DIW、IPAおよび撥水化剤を1つのノズルから供給してもよい。
基板保持部20及びカップ40は、ハウジング70内に収容されている。ハウジング70の天井には、ファンフィルタユニット(FFU)80が設けられている。
ハウジング70の天井の下方には、多数の貫通穴86が形成された整流板85が設けられている。整流板85は、FFU80から下方に吹き出された清浄エア(CA)が、ウェハW上に集中して流れるように整流する。ハウジング70内には、整流板85の貫通穴86からウェハWに向かって下向きに流れる清浄エアのダウンフローが常時形成される。
ハウジング70の下部(具体的には少なくともカップ40の上部開口部より低い位置)であって、かつ、カップ40の外部には、ハウジング70内の雰囲気を排気するためのハウジング排気口72が設けられている。ハウジング排気口72には、ハウジング排気路74が接続されている。
カップ排気路46及びハウジング排気路74は、切替弁50の弁体の位置に応じて、工場排気系の一部をなす第1排気ライン91、第2排気ライン92及び第3排気ライン93に選択的に接続される。各排気ライン91〜93は負圧になっているため、切替弁50の弁体の位置に応じて、カップ40の内部空間及びハウジング70の内部空間が吸引される。
また、処理ユニット16は、第5ノズル65を備える。第5ノズル65は、ベース部22の中央部に形成された中空部(図示せず)に挿通され、ウェハWの裏面に流体を供給する。第5ノズル65には、バルブ651を介して薬液供給源652が、バルブ653を介してリンス液供給源654がそれぞれ接続されている。第5ノズル65は、これら薬液供給源652およびリンス液供給源654から供給されるDHFおよびDIWをウェハWの裏面中央部へ供給する。
<処理ユニットの具体的動作>
次に、処理ユニット16が実行する基板洗浄処理の内容について図4および図5A〜図5Fを参照して説明する。図4は、処理ユニット16が実行する基板洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。また、図5Aは薬液処理の説明図であり、図5Bはリンス処理の説明図であり、図5Cは第1置換処理の説明図であり、図5Dは水分除去処理の説明図であり、図5Eは撥水化処理の説明図であり、図5Fは第2置換処理の説明図である。
なお、図4に示す基板洗浄処理の処理手順は、制御装置4の記憶部19に格納されているプログラムを制御部18が読み出すとともに、読み出した命令に基づいて処理ユニット16等を制御することにより実行される。
図4に示すように、まず、基板搬送装置17(図1参照)は、処理ユニット16のハウジング70内にウェハWを搬入する(ステップS101)。ウェハWは、パターン形成面を上方に向けた状態でチャック爪24(図3参照)に保持される。その後、制御部18は、基板保持部20を所定の回転速度で回転させる。
つづいて、処理ユニット16は、薬液処理を行う(ステップS102)。具体的には、処理ユニット16は、第1ノズル61から回転するウェハWの表面へ向けて薬液であるDHFを所定時間吐出させると同時に、第5ノズル65から回転するウェハWの裏面へ向けて薬液であるDHFを所定時間吐出させる。DHFの供給時間は、第1ノズル61と第5ノズル65とで同じである。ウェハWの表面および裏面に供給されたDHFは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハWの両面全体に広がる。これにより、ウェハWの表面および裏面が洗浄される(図5A参照)。
なお、薬液処理において、第2カップ42および第3カップ43は、下降位置に位置しており、薬液であるDHFは、第1カップ41と第2カップ42との間の第1流路411を通って流れる。また、ウェハWの上方の空間に存在する清浄エアは、第1流路411を通って流れ、カップ排気口45から排出され、カップ排気路46及び切替弁50を通って第1排気ライン91に流れる。
つづいて、処理ユニット16は、リンス処理を行う(ステップS103)。具体的には、処理ユニット16は、第2ノズル62から回転するウェハWの表面へ向けてリンス液であるDIWを所定時間吐出させると同時に、第5ノズル65から回転するウェハWの裏面へ向けてリンス液であるDIWを所定時間吐出させる。DIWの供給時間は、第2ノズル62と第5ノズル65とで同じである。ウェハWの表面および裏面に供給されたDIWは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハWの両面全体に広がる。これにより、ウェハWの表面および裏面に残存するDHFがDIWによって洗い流される(図5B参照)。
なお、リンス処理において、第2カップ42は上昇位置に位置するとともに、第3カップ43は下降位置に位置しており、リンス液であるDIWは、第2流路421を通って流れ、液受け422に落下し、排液口423を介してカップ40内から排出される。また、ウェハWの上方の空間にあるガス(清浄エア)は、第1カップ41の上部開口を介してカップ40内に流入した後、第2カップ42と第3カップ43との間の第2流路421を通って流れ、カップ排気口45から排出され、カップ排気路46及び切替弁50を通って第2排気ライン92に流れる。ハウジング70の内部空間のカップ40の周辺の空間に存在するガスは、ハウジング排気口72から排出され、ハウジング排気路74及び切替弁50を通って第2排気ライン92に流れる。
このように、処理ユニット16では、薬液処理において、ウェハWの両面にDHFを供給する。また、これに伴い、処理ユニット16では、リンス処理において、ウェハWの両面にDIWを供給してウェハWの両面に残存するDHFを洗い流す。このように、処理ユニット16では、ウェハWの裏面にDIWが供給されるため、ウェハWの裏面に水分が残存し易い。ウェハWの裏面に供給された水分は、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハWの裏面外周部に集中する。このため、水分は、ウェハWの裏面外周部に残存し易い。
なお、リンス処理は、基板における第1の面に対し、水分を含んだ第1の洗浄液を供給する第1面洗浄工程および第1の面とは反対側の面である第2の面に対し、第2の洗浄液を供給する第2面洗浄工程の一例に相当する。
つづいて、処理ユニット16は、水分除去処理およびウェハW表面に対する第1置換処理を行う(ステップS104)。具体的には、処理ユニット16は、水分除去処理として、リンス処理(ステップS103)が終了した後、撥水化処理(ステップS104)が開始されるまでの間、ウェハWを回転させることにより、ウェハWの裏面外周部に残存するDIWをウェハWの回転に伴う遠心力によって除去する。
これにより、撥水化処理の開始前に、ウェハWの裏面外周部に残存する水分を除去することができる。したがって、後述する撥水化処理において撥水化剤の雰囲気がウェハWの裏面に回り込んだとしても、シミDの発生を抑制することができる。
また、処理ユニット16は、第1置換処理として、リンス処理(ステップS103)が終了した後、撥水化処理(ステップS104)が開始されるまでの間、第3ノズル63から回転するウェハWの表面に対してIPAを所定時間吐出させる。ウェハWの表面に供給されたIPAは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハWの表面全体に広がる。これにより、ウェハW表面に残存するDIWが、後段の撥水化処理においてウェハWに吐出される撥水化剤と親和性を有するIPAに置換される。なお、IPAは、DIWとの親和性も有するため、DIWからIPAへの置換も容易である。
このように、処理ユニット16は、水分除去処理を行うときに、ウェハWの表面に対して有機溶剤であるIPAを供給してウェハW表面上のDIWをIPAに置換する置換処理を行う。このため、処理ユニット16によれば、水分除去処理中にウェハWの表面が露出することを防止することができる(図5Cおよび図5D参照)。
ウェハWの表面が露出した状態、言い換えれば、ウェハWの表面に処理液が供給されない状態が続くと、ウェハW表面に形成されたパターンにDIWの表面張力が作用することによってパターン倒壊が発生するおそれがある。したがって、処理ユニット16によれば、水分除去処理中におけるウェハW表面の露出を防止することで、水分除去処理中におけるパターンの倒壊を抑制することができる。
つづいて、処理ユニット16は、撥水化処理を行う(ステップS105)。具体的には、処理ユニット16は、第4ノズル64から回転するウェハWの表面へ向けて撥水化剤であるシリル化剤を所定時間吐出させる。ウェハWの表面に供給された撥水化剤は、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハWの表面全体に広がる。これにより、ウェハW表面のOH基にシリル基が結合して、ウェハW表面に撥水膜が形成される。
図5Eに示すように、ウェハWの裏面外周部に残存する水分は、撥水化処理の開始前に除去されている。このため、撥水化処理において撥水化剤の雰囲気がウェハWの裏面に回り込んだとしても、シミDの発生を抑制することができる。
なお、撥水化処理において、第2カップ42および第3カップ43は上昇位置に位置しており、撥水化剤は、第3流路431を通って流れ、液受け432に落下し、排液口433を介してカップ40内から排出される。また、ウェハWの上方の空間にあるガス(清浄エア)は、第1カップ41の上部開口を介してカップ40内に流入した後、第3カップ43と内壁44の間の第3流路431を通って流れ、カップ排気口45から排出され、カップ排気路46及び切替弁50を通って第3排気ライン93に流れる。ハウジング70の内部空間のカップ40の周辺の空間に存在するガスは、ハウジング排気口72から排出され、ハウジング排気路74及び切替弁50を通って第3排気ライン93に流れる。
つづいて、処理ユニット16は、第2置換処理を行う(ステップS106)。第2置換処理は、上述した第1置換処理と同様の手順で行われる。かかる第2置換処理により、ウェハWの表面に残存する撥水化剤がIPAに置換される(図5F参照)。
つづいて、処理ユニット16は、乾燥処理を行う(ステップS107)。具体的には、処理ユニット16は、ウェハWの回転速度を増速させることによってウェハWに残存するIPAを振り切ってウェハWを乾燥させる。
その後、処理ユニット16は、搬出処理を行う(ステップS108)。具体的には、処理ユニット16は、ウェハWの回転を停止させた後、ウェハWを基板搬送装置17(図1参照)によって処理ユニット16から搬出する。かかる搬出処理が完了すると、1枚のウェハWについての一連の基板処理が完了する。
上述してきたように、第1の実施形態に係る基板処理方法は、リンス処理(「第1面洗浄工程」および「第2面洗浄工程」の一例に相当)と、水分除去処理(「水分除去工程」の一例に相当)と、撥水化処理(「撥水化工程」の一例に相当)と、乾燥処理(「乾燥工程」の一例に相当)とを含む。リンス処理は、ウェハWの表面(「第1の面」の一例に相当)に対し、DIW(「水分を含んだ第1の洗浄液」の一例に相当)を供給するとともに、ウェハWの裏面(「第2の面」の一例に相当)に対し、DIW(「水分を含んだ第2の洗浄液」の一例に相当)を供給する。水分除去処理は、リンス処理後、ウェハWの裏面に残存する水分を除去する。撥水化処理は、水分除去処理後、ウェハWの表面に対して撥水化剤を供給する。乾燥処理は、撥水化処理後、ウェハWを乾燥させる。
また、第1の実施形態に係る基板処理方法は、水分除去処理を行うときに、ウェハWの表面に対してIPA(「有機溶剤」の一例に相当)を供給してウェハW表面上のDIWをIPAに置換する第1置換処理(「置換工程」の一例に相当)を行う。
また、第1の実施形態に係る処理ユニット16(「基板処理装置」の一例に相当)は、第2ノズル62(「第1面洗浄部」の一例に相当)と、第5ノズル65(「第2面洗浄部」の一例に相当)と、第4ノズル64(「撥水化剤供給部」の一例に相当)と、制御部18とを備える。第2ノズル62は、ウェハWの表面に対し、DIWを供給する。第5ノズル65は、ウェハWの裏面に対し、DIWを供給する。第4ノズル64は、ウェハWにおける表面に対して撥水化剤を供給する。制御部18は、第2ノズル62から、ウェハWの表面に対してDIWを供給するとともに、第5ノズル65から、ウェハWの裏面に対してDIWを供給するリンス処理(「第1面洗浄処理」および「第2面洗浄処理」の一例に相当)と、リンス処理後、ウェハWにおける裏面に残存する水分を除去する水分除去処理と、水分除去処理後、第4ノズル64からウェハWにおける表面に対して撥水化剤を供給する撥水化処理と、撥水化処理後、ウェハWを乾燥させる乾燥処理とを行う。
これにより、撥水化処理の開始前に、ウェハWの裏面外周部に残存する水分を除去することができる。したがって、ウェハWのパターン倒壊を抑制するとともに、裏面外周部にシミDのないウェハWを提供することができる。
なお、ここでは、薬液処理においてウェハWの両面に薬液を供給し、リンス処理においてウェハWの両面にリンス液を供給する場合の例を示した。しかし、これに限らず、処理ユニット16は、薬液処理においてウェハWの表面にのみ薬液を供給し、リンス処理においてウェハWの両面にリンス液を供給してもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る基板処理システムについて説明する。図6は、第2の実施形態に係る処理ユニットの構成例を示す図である。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図6に示すように、第2の実施形態に係る処理ユニット16Aは、第5ノズル65Aを備える。第5ノズル65Aには、薬液供給源652およびリンス液供給源654に加え、気体供給源656がバルブ655を介して接続される。第5ノズル65Aは、気体供給源656から供給される気体をウェハWの裏面中央部へ供給する。なお、ここでは、第5ノズル65Aから供給される気体がN2であるものとするが、第5ノズル65Aから供給される気体は、N2以外の気体(たとえば、アルゴンガス等)であってもよい。
次に、処理ユニット16Aが実行する水分除去処理の内容について図7を参照して説明する。図7は、第2の実施形態に係る水分除去処理の説明図である。なお、第2の実施形態に係る水分除去処理は、第1の実施形態に係る水分除去処理と同様、リンス処理後かつ撥水化処理前に行われる。
図7に示すように、処理ユニット16Aは、第1置換処理として、第3ノズル63から回転するウェハWの表面へ向けてIPAを所定時間吐出させる間、水分除去処理として、第5ノズル65Aから回転するウェハWの裏面へ向けてN2を所定時間吐出させる。
これにより、第1の実施形態に係る水分除去処理と比較して、ウェハWの裏面周縁部に残存する水分をより短時間で除去することができる。すなわち、水分除去処理に要する時間を短くすることができるため、一連の基板処理に要する時間を短くすることができる。
なお、処理ユニット16Aは、ウェハWの裏面にN2を供給する処理を水分除去処理後も継続して行ってもよい。すなわち、水分除去処理後に行われる撥水化処理中においてもウェハWの裏面にN2を供給しておくことで、撥水化剤の雰囲気がウェハWの表面から裏面へ回り込み難くなるため、仮に、ウェハWの裏面外周部の水分を除去しきれなかった場合であっても、シミDを発生させにくくすることができる。
次に、第5ノズル65Aの変形例について図8および図9を参照して説明する。図8は、第1変形例に係る第5ノズルの構成を示す図であり、図9は、第2変形例に係る第5ノズルの構成を示す図である。
図8に示すように、第1変形例に係る第5ノズル65Bは、ウェハWの裏面外周部に向けて斜めにN2を供給する。かかる構成とすることにより、ウェハWの裏面外周部に残存する水分に対してN2を直接供給することができる。したがって、第5ノズル65Aと比較し、ウェハWの裏面周縁部に残存する水分をより短時間で除去することができる。
なお、図8では、第5ノズル65Bが2つの吐出口を有する場合の例を示したが、第5ノズル65Bは、少なくとも1つの吐出口を備えていればよい。
また、図9に示すように、第2変形例に係る第5ノズル65Cは、吐出部657を備える。吐出部657は、水平方向に延在する部材であり、ウェハWの径とほぼ同等の長さを有する。そして、吐出部657は、ウェハWの裏面外周部の下方に位置する吐出口658からウェハWの裏面外周部に向けてN2を供給する。かかる構成とすることにより、第1変形例に係る第5ノズル65Bと比較して、ウェハWの裏面外周部により近い位置からN2を直接供給することができる。したがって、第5ノズル65Bと比較して、ウェハWの裏面周縁部に残存する水分をより短時間で除去することができる。
上述してきたように、第2の実施形態に係る処理ユニット16Aは、第1置換処理によってウェハWの表面に対してIPAが供給される間、水分除去処理として、ウェハWにおける裏面に対してN2(「気体」の一例に相当)を供給する。これにより、ウェハWの裏面外周部に残存する水分の蒸発が促進されるため、遠心力のみで水分を除去する場合と比較して、より短時間で水分を除去することができる。
(第3の実施形態)
上述した第1および第2の実施形態では、リンス処理後かつ撥水化処理前に、水分除去処理および第1置換処理を並行して行う場合の例について説明したが、水分除去処理は、リンス処理後かつ第1置換処理前に行ってもよい。
そこで、第3の実施形態では、リンス処理後かつ第1置換処理前に水分除去処理を行う場合の例について図10A〜図10Cを参照して説明する。図10Aはリンス処理の説明図であり、図10Bは水分除去処理の説明図であり、図10Cは第1置換処理の説明図である。
第3の実施形態において、処理ユニット16は、リンス処理においてウェハWの両面に対してリンス液(DIW)を供給する(図10A参照)。つづいて、処理ユニット16は、ウェハWの両面に残存するDHFがDIWによって洗い流されるのに十分な時間が経過した後、ウェハWの裏面へのリンス液の供給を停止して、ウェハWの表面にのみリンス液を供給する(図10B参照)。その後、図10Cに示すように、処理ユニット16は、ウェハWの表面に対してIPAを供給する第1置換処理を行う。
このように、第3の実施形態に係る処理ユニット16では、撥水化処理の開始前に、ウェハWの裏面外周部に残存する水分をウェハWの回転に伴う遠心力によって十分に除去することができる。また、水分除去処理を行うときに、ウェハWの表面にリンス液を供給することとしたため、水分除去処理中にウェハWの表面が露出することを防止することもできる。
なお、ウェハWの裏面に残存する水分がウェハWの回転に伴う遠心力によって十分に除去されるまでの時間をT1、第1置換処理におけるIPAの供給時間をT2とすると、水分除去処理におけるウェハW表面へのDIWの供給時間は、たとえばT1−T2とすることができる。
このように、ここでは、ウェハW表面へのリンス液の供給時間を所定時間延長することにより、ウェハWの裏面に残存する水分をウェハWの回転に伴う遠心力によって振り切るのに要する時間を確保することとしている。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る水分除去処理について図11を参照して説明する。図11は、第4の実施形態に係る水分除去処理の説明図である。なお、第4の実施形態に係る水分除去処理は、ウェハWの裏面に対してN2等の気体を供給可能な第5ノズル65A〜65C(図6、図8および図9参照)を備える処理ユニットにより実行される。ここでは、一例として、第5ノズル65Aを備える処理ユニット16A(図6参照)により実行されるものとする。
図11に示すように、処理ユニット16Aは、第2ノズル62から回転するウェハWの表面へ向けてDIWを所定時間吐出させると同時に、第5ノズル65Aから回転するウェハWの裏面へ向けてN2を所定時間吐出させる。
このように、第4の実施形態において、処理ユニット16Aは、ウェハWにおける表面に対してリンス液を供給する間、ウェハWにおける裏面に対して気体を供給することとした。これにより、第3の実施形態に係る水分除去処理と比較して、ウェハWの裏面周縁部に残存する水分をより短時間で除去することができる。すなわち、水分除去処理に要する時間を短くすることができるため、一連の基板処理に要する時間を短くすることができる。
(第5の実施形態)
上述してきた第1〜第4の実施形態では、撥水化処理前に、ウェハWの裏面周縁部に残存する水分を除去することで、シミDの発生を未然に防止する場合の例について説明した。
一方で、シミDは、水または有機溶剤に可溶であるという性質を有する。そこで、第5の実施形態では、ウェハWの裏面周縁部に発生したシミDを水または有機溶剤を用いて除去する場合の例について図12および図13A〜図13Cを参照して説明する。
図12は、第5の実施形態に係る処理ユニットが実行する基板洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。また、図13Aおよび図13Bは撥水化処理の説明図であり、図13Cは除去液供給処理の説明図である。
なお、図12に示すステップS201〜S203の処理は、図4に示すステップS101〜ステップS103の処理と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、図12のステップS204に示す第1置換処理は、図4に示すステップS104における第1置換処理と同様であるため、この処理についても説明を省略する。また、ここでは、一連の基板処理が、第1の実施形態に係る処理ユニット16により実行されるものとするが、第2の実施形態に係る処理ユニット16Aにより実行されてもよい。
図12に示すように、第5の実施形態では、上述してきた水分除去処理が行われないため、ステップS205に示す撥水化処理において、ウェハWの裏面外周部には水分が残存した状態となっている。このため、撥水化剤の雰囲気が水分と接触することで(図13A参照)、ウェハWの裏面外周部にシミDが発生する(図13B参照)。
つづいて、処理ユニット16は、除去液供給処理および第2置換処理を行う(ステップS206)。具体的には、処理ユニット16は、除去液供給処理として、第5ノズル65から回転するウェハWの裏面に対してDIWを供給する(図13C参照)。ウェハWの裏面に供給されたDIWは、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハWの裏面全体に広がる。これにより、ウェハWの裏面外周部に発生したシミDにDIWが供給されてシミDが除去される。また、処理ユニット16は、第2置換処理として、第3ノズル63から回転するウェハWの表面に対してIPAを所定時間吐出させる(図13C参照)。これにより、ウェハWの表面に残存する撥水化剤がIPAに置換される。また、除去絵供給処理中にウェハWの表面が露出することが防止される。
その後、処理ユニット16は、乾燥処理(ステップS207)および搬出処理(ステップS208)を行って、一連の基板処理を終了する。
なお、ここでは、除去液供給処理において、ウェハWの裏面に対してDIWを供給する場合の例について説明したが、処理ユニット16は、DIWに代えてたとえばIPAをウェハWの裏面に供給してもよい。かかる場合、処理ユニット16の第5ノズル65は、バルブを介してIPA供給源に接続されていればよい。
また、ここでは、除去液供給処理が第2置換処理中に行われる場合の例について説明したが、除去液供給処理は、必ずしも第2置換処理中に行われることを要しない。たとえば、除去液供給処理は、撥水化処理後かつ第2置換処理前に行われてもよいし、第2置換処理後に行われてもよい。かかる場合、除去液供給処理は、ウェハWの裏面に対してDIWまたはIPAを供給すると同時に、ウェハWの表面にDIWまたはIPAを供給すればよい。
また、除去液供給処理は、撥水化処理中に行われてもよい。すなわち、処理ユニット16は、第4ノズル64から回転するウェハWの表面に対して撥水化剤を所定時間吐出させるとともに、第5ノズル65から回転するウェハWの裏面に対してDIWまたはIPAを供給してもよい。シミDは、ウェハWの裏面に僅かな水分が存在する場合に発生する。このため、撥水化処理中において、ウェハWの裏面に対して多量のDIWまたはIPAを供給し続けることにより、シミDの発生を抑制することができるとともに、仮に、シミDが発生したとしても、DIWまたはIPAによって除去することが可能である。
上述してきたように、第5の実施形態に係る基板処理方法は、リンス処理(「洗浄工程」の一例に相当)と、撥水化処理(「撥水化工程」の一例に相当)と、乾燥処理(「乾燥工程」の一例に相当)と、除去液供給処理(「除去液供給工程」の一例に相当)とを含む。リンス処理は、ウェハWにおける少なくとも表面に対して水分を含んだリンス液を供給する。撥水化処理は、リンス処理後、ウェハWの表面(「第1の面」の一例に相当)に対して撥水化剤を供給する。乾燥処理は、撥水化処理後、ウェハWを乾燥させる。除去液供給処理は、撥水化処理中または撥水化処理後において、ウェハWの裏面(「第2の面」の一例に相当)に対し、撥水化剤と水分とが作用することによってウェハWの外周部に発生するシミDを除去するDIW(「除去液」の一例に相当)を供給する。
また、第5の実施形態に係る基板処理方法は、除去液供給処理を行うときに、ウェハWの表面に対してIPA(「有機溶剤」の一例に相当)を供給してウェハW表面上の撥水化剤をIPAに置換する第2置換処理(「置換工程」の一例に相当)を行う。
また、第5の実施形態に係る処理ユニット16(「基板処理装置」の一例に相当)は、第2ノズル62および第5ノズル65(「洗浄液供給部」の一例に相当)と、第4ノズル64(「撥水化剤供給部」の一例に相当)と、第5ノズル65(「除去液供給部」の一例に相当)と、制御部18とを備える。第2ノズル62および第5ノズル65は、ウェハWに対して水分を含んだリンス液を供給する。第4ノズル64は、ウェハWに対して撥水化剤を供給する。第5ノズル65は、撥水化剤と水分とが作用することによってウェハWの外周部に発生するシミDを除去する除去液を供給する。制御部18は、第2ノズル62および第5ノズル65から、ウェハWに対してリンス液を供給するリンス処理と、リンス処理後、第4ノズル64から、ウェハWの表面に対して撥水化剤を供給する撥水化処理と、撥水化処理後、ウェハWを乾燥させる乾燥処理と、撥水化処理中または撥水化処理後において、ウェハWの裏面に対し、第5ノズル65から除去液を供給する除去液供給処理とを行う。
これにより、ウェハWの裏面外周部にシミDが発生したとしても、かかるシミDを除去することができる。したがって、ウェハWのパターン倒壊を抑制するとともに、裏面にシミDのないウェハWを提供することができる。
なお、ここでは、処理ユニット16が、水分除去処理に代えて除去液供給処理を行う場合の例について説明したが、処理ユニット16は、水分除去処理および除去液供給処理の両方の処理を行ってもよい。これにより、シミDの発生をより確実に防止することができる。
(第6の実施形態)
上述した第5の実施形態では、除去液供給処理においてウェハWの裏面に除去液を供給する方法として、第5ノズル65からウェハWの裏面に対して除去液を供給する場合の例について説明した。しかし、ウェハWの裏面に除去液を供給する方法は、上記の例に限定されない。そこで、以下では、除去液供給処理の変形例について図14Aおよび図14Bを参照して説明する。図14Aは第2置換処理の説明図であり、図14Bは変形例に係る除去液供給処理の説明図である。
図14Aに示すように、処理ユニット16は、第2置換処理において、ウェハWを第1の回転数で回転させながら、第3ノズル63から回転するウェハWの表面に対してIPAを所定時間吐出させる。なお、図12に示すステップS202〜S205の処理におけるウェハWの回転数も第1の回転数である。
つづいて、処理ユニット16は、除去液供給処理を行う。具体的には、処理ユニット16は、第2置換処理中に、ウェハWの回転数を第1の回転数よりも低い第2の回転数に変更する。
図14Bに示すように、ウェハWの回転数が少なくなることで、ウェハWの表面に供給されたIPAが、ウェハWの表面から裏面へ回り込むようになる。これにより、ウェハWの裏面外周部に発生したシミD(図2参照)にIPAが供給されてシミDが除去される。
このように、第6の実施形態に係る除去液供給処理は、第2置換処理中に、ウェハWの回転数を第1の回転数よりも低い第2の回転数に変更することにより、ウェハWの表面に供給されたIPAを除去液としてウェハWの裏面に回り込ませて供給することとした。これにより、ウェハWの裏面外周部に発生したシミDを効率的に除去することができる。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態に係る処理ユニットの構成について図15を参照して説明する。図15は、第7の実施形態に係る処理ユニットの構成例を示す図である。
図15に示すように、第7の実施形態に係る処理ユニット16Bは、回転カップとして、円環状の外側回転カップ30および内側回転カップ32を備える。外側回転カップ30および内側回転カップ32は、たとえば、基板保持部20のベース部22に図示しない支柱を介して取り付けられ、ベース部22と一体的に回転する。外側回転カップ30及び内側回転カップ32との間に流路34が形成され、この流路34を介してウェハWの上方の雰囲気が外側回転カップ30内に引き込まれる。外側回転カップ30の内周面は回転するウェハWに供給された後にウェハWから振り切られて飛散する処理液を受け止めて、カップ40(たとえば、図3参照)内に案内する。また、内側回転カップ32は、流路34を流れる処理液を含む流体が、ウェハWの裏面に周り込むことを防止する。さらに、内側回転カップ32は、基板保持部20の回転に伴いベース部22とウェハWの裏面との間の空間に生じる気流をカップ40に案内する。
内側回転カップ32の上端縁部には、下方に向かうに従って漸次幅狭となるテーパ面321が形成されている。処理ユニット16Bは、かかるテーパ面321にウェハWのベベル部を係止させることによってウェハWを保持する。
テーパ面321は、ウェハWの全周に亘って形成される。すなわち、ウェハWのベベル面は、ウェハWの全周に亘ってテーパ面321に当接した状態となるため、撥水化処理において、ウェハWの表面側で発生する撥水化剤の雰囲気のウェハW裏面への回り込みが抑制される。したがって、仮に、ウェハWの裏面外周部に水分が存在していたとしても、撥水化剤の雰囲気と水分とが接触しにくいため、シミDの発生を抑制することができる。
ここでは、ウェハWの表面側の空間と裏面側の空間とを仕切ることで、撥水化剤の雰囲気をウェハWの裏面へ回り込みにくくする場合の例について説明した。しかし、これに限らず、たとえば、カップ排気口45やハウジング排気口72からの排気量を高めることにより、撥水化剤の雰囲気をウェハWの裏面へ回り込みにくくするようにしてもよい。
上述してきた実施形態では、第1面洗浄工程と第2面洗浄工程とが同時に行われる場合の例について説明したが、第1面洗浄工程と第2面洗浄工程とは、必ずしも同時に行われることを要しない。
また、上述してきた実施形態では、第1の洗浄液と第2の洗浄液とが同一である場合に例について説明したが、第1の洗浄液と第2の洗浄液とは、必ずしも同一であることを要しない。
また、上述してきた実施形態では、第1の洗浄液および第2の洗浄液が、DIWである場合の例について説明したが、第1の洗浄液および第2の洗浄液は、水分を含む洗浄液であればよく、DIW以外の洗浄液、たとえば、所定温度に加熱されたDIW(HDIW)、SC1(アンモニア/過酸化水素/水の混合液)、SC2(塩酸/過酸化水素/水の混合液)等であってもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。