JP2018197845A - フォーカス制御装置および撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】撮像対象である移動被写体に正確に追従したフォーカス制御を行う。【解決手段】フォーカス制御装置は、第1の焦点検出領域でのデフォーカス量の検出時刻と該デフォーカス量から得られた第1の像面位置とを含む履歴データおよび第2の焦点検出領域でのデフォーカス量の検出時刻と該デフォーカス量から得られた第2の像面位置とを含む履歴データを記憶する記憶手段103、105と、フォーカス制御領域を選択する選択手段102〜106とを有する。選択手段は、第1の像面位置の履歴データから第1の像面位置が移動していると判定すると該履歴データを用いて算出した予測デフォーカス量を用いてフォーカス制御領域を選択し、第1の像面位置の履歴データから第1の像面位置が移動していないと判定し、かつ第2の像面位置の履歴データを用いて第2の像面位置が移動していると判定すると、第2の焦点検出領域をフォーカス制御領域として選択する。【選択図】図1

Description

本発明は、カメラ等の撮像装置においてフォーカス制御を行うフォーカス制御装置に関する
撮像画面内に複数の焦点検出領域を有する撮像装置は、該複数の焦点検出領域のうち選択された一部の焦点検出領域においてデフォーカス量を算出し、該デフォーカス量に基づいてフォーカス制御を行う。また、移動被写体の撮像において、選択された焦点検出領域で複数回検出したデフォーカス量とフォーカスレンズ位置とから得られる像面位置の履歴データを用いて予測デフォーカス量を算出し、該予測デフォーカス量に基づいて焦点検出領域を再選択する撮像装置がある。この撮像装置によれば、移動被写体を捉える焦点検出領域が変化しても、被写体に正確に追従したフォーカス制御を行うことができる。
ただし、最初に選択された焦点検出領域が背景等の移動しない被写体を捉えた場合には、複数回の検出でほとんど変化しないデフォーカス量に基づいて予測デフォーカス量が算出される。この場合、移動被写体が撮像装置に向かって近付いてきても誤って障害物と判断される等して、移動被写体に追従したフォーカス制御を行うことができない。
特許文献1には、近付いてくる移動被写体に対しては複数の焦点検出領域のうち算出された像面位置の移動速度(像面速度)が最も大きい焦点検出領域を選択する撮像装置が開示されている。
特開2001−133678号公報
しかしながら、撮像画面内に複数の移動被写体が存在する場合等においては、必ずしも像面速度が最も大きい焦点検出領域に捉えられている移動被写体が撮像対象であるとは限らない。例えば運動会の徒競争で走っている子供Aを撮像する場合に、子供Aを追い抜いてより速く走る子供Bがいてもその子供Bは撮像対象ではない。特許文献1にて開示された撮像装置では、子供Aを捉えている焦点検出領域を子供Bを捉えている焦点検出領域に切り替えてしまうため、撮影者の意図に反したフォーカス制御が行われることになる。
本発明は、撮像対象である移動被写体に正確に追従したフォーカス制御を行えるようにしたフォーカス制御装置および撮像装置を提供する。
本発明の一側面としてのフォーカス制御装置は、撮像画面内の複数の焦点検出領域のそれぞれにおいてデフォーカス量を検出する焦点検出手段と、複数の焦点検出領域のうち第1の焦点検出領域においてデフォーカス量が検出された時刻の情報および検出されたデフォーカス量を用いて算出された第1の像面位置の情報を含む第1の像面位置履歴データ、および第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域においてデフォーカス量が検出された時刻の情報および検出されたデフォーカス量を用いて算出された第2の像面位置の情報を含む第2の像面位置履歴データを記憶する記憶手段と、複数の焦点検出領域のうちフォーカス制御領域を選択する選択手段と、フォーカス制御領域において検出されたデフォーカス量を用いてフォーカス制御を行う制御手段とを有する。選択手段は、第1の像面位置履歴データを用いて第1の像面位置が移動していると判定した場合は、第1の像面位置履歴データを用いて算出した予測デフォーカス量を用いてフォーカス制御領域を選択する。また、第1の像面位置履歴データを用いて第1の像面位置が移動していないと判定し、かつ第2の像面位置履歴データを用いて第2の像面位置が移動していると判定した場合は、該第2の焦点検出領域をフォーカス制御領域として選択することを特徴とする。なお、上記フォーカス制御装置を有する撮像装置も、本発明の他の一側面を構成する。
また、本発明の他の一側面としてのフォーカス制御方法は、撮像画面内の複数の焦点検出領域のそれぞれにおいてデフォーカス量を検出するステップと、複数の焦点検出領域のうち第1の焦点検出領域においてデフォーカス量が検出された時刻の情報および検出されたデフォーカス量を用いて算出された第1の像面位置の情報を含む第1の像面位置履歴データ、および第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域においてデフォーカス量が検出された時刻の情報および検出されたデフォーカス量を用いて算出された第2の像面位置の情報を含む第2の像面位置履歴データを記憶するステップと、複数の焦点検出領域のうちフォーカス制御領域を選択する選択ステップと、フォーカス制御領域において検出されたデフォーカス量を用いてフォーカス制御を行うステップとを有する。選択ステップにおいて、第1の像面位置の履歴データを用いて第1の像面位置が移動していると判定した場合は、第1の像面位置の履歴データを用いて算出した予測デフォーカス量を用いてフォーカス制御領域を選択する。また、第1の像面位置の履歴データを用いて第1の像面位置が移動していないと判定し、かつ第2の像面位置の履歴データを用いて第2の像面位置が移動していると判定した場合は、該第2の焦点検出領域をフォーカス制御領域として選択することを特徴とする。
また、本発明の他の一側面としてのフォーカス制御装置は、撮像画面内の複数の焦点検出領域のそれぞれにおいてデフォーカス量を検出する焦点検出手段と、複数の焦点検出領域のうち第1の焦点検出領域においてデフォーカス量が検出された時刻の情報および検出されたデフォーカス量を用いて算出された第1の像面位置の情報を含む像面位置履歴データを記憶する記憶手段と、第1の像面位置と第1の被写体の過去の像面位置モデルとを用いて、第1の被写体の新たな像面位置モデルを同定する第1の同定手段と、複数の焦点検出領域のうち第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域においてデフォーカス量から算出された第2の像面位置と第2の被写体の過去の像面位置モデルとを用いて、第2の被写体の新たな像面位置モデルを同定する第2の同定手段と、複数の焦点検出領域のうちフォーカス制御領域を選択する選択手段と、フォーカス制御領域において検出されたデフォーカス量を用いてフォーカス制御を行う制御手段とを有する。そして、選択手段は、第1の同定手段により同定された第1の被写体の像面位置モデルを用いて第1の像面位置が移動していると判定した場合は、像面位置履歴データを用いて算出した予測デフォーカス量を用いてフォーカス制御領域を選択する。第1の同定手段により同定された第1の被写体の像面位置モデルを用いて第1の像面位置が移動していないと判定し、かつ第2の同定手段により同定された第2の被写体の像面位置モデルを用いて第2の像面位置が移動していると判定した場合は、該同定された第2の被写体の像面位置モデルを用いてフォーカス制御領域を選択することを特徴とする。
また、本発明の他の一側面としてのフォーカス制御方法は、撮像画面内の複数の焦点検出領域のそれぞれにおいてデフォーカス量を検出するステップと、複数の焦点検出領域のうち第1の焦点検出領域においてデフォーカス量が検出された時刻の情報および検出されたデフォーカス量を用いて算出された第1の像面位置の情報を含む像面位置履歴データを記憶するステップと、第1の像面位置と第1の被写体の過去の像面位置モデルとを用いて、第1の被写体の新たな像面位置モデルを同定する第1の同定ステップと、複数の焦点検出領域のうち第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域においてデフォーカス量から算出された第2の像面位置と第2の被写体の過去の像面位置モデルとを用いて、第2の被写体の新たな像面位置モデルを同定する第2の同定ステップと、複数の焦点検出領域のうちフォーカス制御領域を選択する選択ステップと、フォーカス制御領域において検出されたデフォーカス量を用いてフォーカス制御を行うステップとを有する。選択ステップにおいて、第1の同定ステップにより同定された第1の被写体の像面位置モデルを用いて第1の像面位置が移動していると判定した場合は、像面位置履歴データを用いて算出した予測デフォーカス量を用いてフォーカス制御領域を選択する。第1の同定ステップにより同定された第1の被写体の像面位置モデルを用いて第1の像面位置が移動していないと判定し、かつ第2の同定ステップにより同定された第2の被写体の像面位置モデルを用いて第2の像面位置が移動していると判定した場合は、該同定された第2の被写体の像面位置モデルを用いてフォーカス制御領域を選択することを特徴とする。
なお、上記フォーカス制御方法(フォーカス制御処理)をコンピュータに実行させるフォーカス制御プログラムも、本発明の他の一側面を構成する。
本発明によれば、撮像対象である移動被写体に正確に追従したフォーカス制御を行うことができる。
本発明の実施例1であるフォーカス制御装置の構成を示すブロック図。 実施例1のフォーカス制御装置を備えた一眼レフデジタルカメラの構成を示すブロック図。 実施例1におけるフォーカス制御処理を示すフローチャート。 実施例1における焦点検出領域を示す図。 実施例1における第1の移動被写体判定処理を示すフローチャート。 実施例1における第2の移動被写体判定処理を示すフローチャート。 実施例1において誤ったフォーカス制御が行われている場合を説明する図。 実施例1において正しいフォーカス制御が行われている場合を説明する図。 本発明の実施例2であるフォーカス制御装置の構成を示すブロック図。 実施例2におけるフォーカス制御処理を示すフローチャート。 実施例2における第2の移動被写体判定処理を示すフローチャート。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明の実施例1であるフォーカス制御装置を備えた撮像装置としての一眼レフデジタルカメラ(以下、単にカメラという)の構成を示す。カメラは、カメラ本体とこれに対して取り外し可能に装着された交換レンズとにより構成される。交換レンズ内には、撮像レンズ201が設けられている。
交換レンズ内に設けられたオートフォーカス(AF)駆動部202は、DCモータや振動型モータ等のフォーカスアクチュエータとその駆動回路によって構成される。AF駆動部202は、カメラ本体内のマイクロコンピュータ221からのフォーカス指令に応じて撮像レンズ201内の不図示のフォーカスレンズを光軸方向に移動させる。
交換レンズに設けられた絞り駆動部204は、マイクロコンピュータ221によって算出された絞り駆動量に応じて絞り203を駆動し、光が通過する開口径(絞り値)を変化させる。交換レンズに設けられた防振部227は、ジャイロセンサ等の振れセンサを含み、カメラの振れ(角速度)を検出して振れ検出信号を生成する。さらに防振部227は、振れ検出信号を積分して得られる振れ量信号に応じて被写体像の振れを打ち消すように撮像レンズ内のシフトレンズを光軸方向に対して直交する方向に移動(シフト)させる防振制御を行う。
カメラ本体において、主ミラー205は、撮像レンズ201からの撮像光路内に配置されて撮像レンズ201からの光束を光学ファインダ側に導く図示のダウン位置と、撮像素子側に通過させるように撮像光路外に退避するアップ位置とに移動可能である。ダウン位置にある主ミラー205で反射した光束の一部は、測光用のAEセンサを有する測光ユニット226に導かれる。測光ユニット226は、該光束を受光して輝度情報を検出する。また、ダウン位置にある主ミラー205の中央部はハーフミラーとなっており、焦点検出を行うために用いる光束を透過させる。
サブミラー206は、主ミラー205を透過した光束を反射させて焦点検出を行う焦点検出ユニット210に導く。焦点検出ユニット210は、位相差検出方式により焦点検出を行うための一対の二次結像レンズと一対のAFセンサを含む。一対の二次結像レンズは、焦点検出ユニット210に入射した光束を分割して一対の被写体像(2像)を形成し、一対のAFセンサは該2像を光電変換して一対の位相差像信号を生成してマイクロコンピュータ221に出力する。
マイクロコンピュータ221は、一対の位相差像信号に対して相関演算を行って該一対の位相差像信号間の位相差(像ずれ量)を算出し、さらに該位相差から撮像レンズ201の焦点状態を示すデフォーカス量を算出する。マイクロコンピュータ221は、算出したデフォーカス量から合焦状態を得るためのフォーカスレンズの駆動量を算出し、その駆動量を含むフォーカス指令を交換レンズ側のAF駆動部202に送信する。AF駆動部202は、フォーカス指令に応じてフォーカスレンズを駆動する。これにより、AFが行われて合焦状態が得られる。
なお、本実施例では、測光ユニット226および焦点検出ユニット210にそれぞれAEセンサとAFセンサを設けているが、後述する撮像素子213をAEセンサおよびAFセンサとして用いてもよい。
光学ファインダは、ペンタプリズム207、ピント板208およびアイピース209により構成され、主ミラー205で反射した光束(被写体像)を撮影者の眼に導いて、被写体観察を可能とする。
シャッタ駆動回路212は、マイクロコンピュータ221の制御に応じてフォーカルプレーンシャッタ211を駆動する。
撮像素子213は、CCDセンサやCMOSセンサ等により構成され、撮影レンズ201により形成された被写体像を電気信号に変換する。クランプ部214およびAGC部215は、マイクロコンピュータ221により制御されながら、撮像素子213から出力されたアナログ信号(撮像信号)に対する基本的なアナログ信号処理を行う。
A/D変換器216は、撮像素子213からのアナログ撮像信号をデジタル撮像信号に変換する。映像信号処理回路217は、デジタル撮像信号に対してフィルタ処理、色変換処理、ガンマ処理およびホワイトバランス処理等の映像処理を行って映像データを生成し、さらに映像データに対してJPEG等の圧縮処理を行ってメモリコントローラ218に出力する。メモリコントローラ218は、メモリ219およびバッファメモリ220に対する画像データの格納および取り出しを制御する。
操作ユニット222は、撮影者により操作される複数のボタンやダイアル等の操作部材の操作に応じた操作信号をマイクロコンピュータ221に出力する。マイクロコンピュータ221は、入力された操作信号に応じた処理や制御を行う。操作ユニット222には、第1レリーズスイッチ(以下、SW1という)223と第2レリーズスイッチ(以下、SW2という)224とが接続されている。SW1とSW2はそれぞれ、操作部材の1つであるレリーズボタンの半押し操作と全押し操作でオンする。SW1のオンによりAFや測光等の撮像準備動作が行われ、SW2のオンにより撮像動作が行われる。電源部225は、カメラ本体内および交換レンズに必要な電源を供給する。
マイクロコンピュータ221は、図1に示すように構成されたフォーカス制御装置を含む。焦点検出部(焦点検出手段)101は、撮像素子213により撮像される撮像画面内に複数設けられた焦点検出領域のそれぞれにおいて焦点検出ユニット210により生成された一対の位相差像信号を取得し、各焦点検出領域でのデフォーカス量を検出(算出)する。
選択部102は、焦点検出部101により検出された複数の焦点検出領域でのデフォーカス量に基づいて又は撮影者による選択操作に応じて、該複数の焦点検出領域のうち一部(1つ又は相互に隣接する2以上)の第1の焦点検出領域を選択する。
第1の記憶部(記憶手段)103は、選択された第1の焦点検出領域で検出されたデフォーカス量の検出時刻と、該検出されたデフォーカス量およびその検出時刻でのフォーカスレンズの位置から算出された像面位置との組を過去複数回の検出分にわたって記憶する。第1の記憶部103に記憶される過去複数回の検出分の検出時刻と像面位置との組の情報を第1の像面位置履歴データという。
予測部(予測手段)104は、第1の記憶部103に記憶された過去複数回の検出時刻と像面位置の組に基づいて、後の被写体像の像面位置である予測デフォーカス量を算出(予測)する。
第2の記憶部(記憶手段)105は、上記複数の焦点検出領域のうち第1の焦点検出領域とは異なる少なくとも1つの第2の焦点検出領域で検出されたデフォーカス量の検出時刻とその検出時刻での像面位置の組を過去複数回の検出分にわたって記憶する。第2の記憶部105に記憶される過去複数回の検出分の検出時刻と像面位置との組の情報を第2の像面位置履歴データという。
第1の判定部(判定手段)106は、第1の記憶部103に記憶された第1の像面位置履歴データに基づいて、第1の焦点検出領域に捉えられている第1の被写体が撮像レンズの光軸方向に移動しているか否かを判定する。第2の判定部(判定手段)107は、第2の記憶部105に記憶された第2の像面位置履歴データから、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が存在するか否かを判定する。
選択部102は、第1の判定部106が第1の被写体が光軸方向に移動している(後述する第1の像面位置が移動している)と判定した場合に、予測部104により算出された予測デフォーカス量を用いてフォーカス制御用の焦点検出領域を選択する。このフォーカス制御用の焦点検出領域、すなわち実際にフォーカスレンズを駆動するフォーカス制御に用いるデフォーカス量を検出する焦点検出領域を、以下の説明では、フォーカス制御領域という。
また、選択部102は、両判定部106、107が第1の被写体が光軸方向に移動しておらず、かつ光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が存在する(第2の像面位置が移動している)か否かを判定する。そして、第1の被写体が光軸方向に移動しておらず、かつ光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が存在すると判定した場合は、該第2の焦点検出領域をフォーカス制御領域として選択する。なお、選択部102は、第2の判定部107が光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が存在しないと判定した場合にも、予測デフォーカス量を用いてフォーカス制御領域を選択する。予測部104、選択部102、第1の判定部106および第2の判定部107により選択手段が構成される。
制御部(制御手段)108は、選択部102により選択されたフォーカス制御領域で検出された最新(今回)のデフォーカス量に応じてフォーカスレンズを駆動するようにフォーカス制御を行う。振れ検出部109は、防振部227からの振れ検出信号を取得する。
本実施例では、当初選択された第1の焦点検出領域に捉えられてフォーカス制御が追従している第1の被写体が光軸方向に移動しているか否かを第1の像面位置履歴データを用いて判定する。そして、該被写体が移動していると判定した場合には、第1の像面位置履歴データを用いた予測処理によってフォーカス制御に用いるデフォーカス量を検出するフォーカス制御領域を選択する。これにより、当初から撮像対象であった第1の被写体にフォーカス制御を正しく追従させ続けることができる。
一方、第1の被写体が光軸方向に移動していないと判定し、第2の像面位置履歴データから光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が存在すると判定した場合には、その第2の焦点検出領域をフォーカス制御領域として選択する。これにより、撮像対象ではなかった第1の被写体から撮像対象である第2の被写体にフォーカス制御を追従させ直すことができる。以下では、本実施例においてマイクロコンピュータ221が実行するフォーカス制御処理について図3のフローチャートを用いて説明する。マイクロコンピュータ221は、コンピュータプログラムであるフォーカス制御プログラムに従って本処理を実行する。
撮影者によりSW1がONされると、マイクロコンピュータ221の焦点検出部101は、ステップS301において焦点検出ユニット210からの複数の焦点検出領域のそれぞれで生成された一対の位相差像信号からデフォーカス量を算出する。
図4は、撮像画面内に設けられた複数の焦点検出領域の例を示す。図中の小さい四角枠のそれぞれが焦点検出領域である。それぞれの焦点検出領域で検出されたデフォーカス量はその検出時刻とともにメモリ219に一時的に記憶される。
次にステップS302では、マイクロコンピュータ221の第1の判定部106は、第1の記憶部103に記憶された第1の像面位置履歴データを用いて、第1の焦点検出領域に捉えられている第1の被写体が光軸方向に移動しているか否かを判定する。この第1の移動被写体判定処理については後述する。
次にステップS303では、マイクロコンピュータ221の選択部102は、第1の判定部106により第1の被写体が光軸方向に移動していると判定されたか否かを判定する。マイクロコンピュータ221は、第1の被写体が光軸方向に移動していないと判定された場合にはステップS304に進み、第1の被写体が光軸方向に移動していると判定された場合にはステップS307に進む。
ステップS304では、マイクロコンピュータ221の第2の記憶部105は、少なくとも1つの第2の焦点検出領域での複数回のデフォーカス量検出を行って、上述した第2の像面位置履歴データを記憶する。第2の像面位置履歴データを記憶する第2の焦点検出領域は、第1の焦点検出領域以外の全ての焦点検出領域であってもよいし、任意の数の焦点検出領域でもよい。また、2以上の焦点検出領域を1つにまとめてグループとし、グループごとに毎回代表となる焦点検出領域を決定して、その焦点検出領域での検出時刻と像面位置を第2の像面位置履歴データとして記憶するようにしてもよい。グループの代表となる焦点検出領域の決定方法としては、前回の像面位置からの変化が最も至近側に大きい像面位置が検出された焦点検出領域を代表とする等がある。グループ化することにより、被写体が画角の平面上(光軸方向に垂直な平面上)を移動しながら近づいた場合にも被写体の移動を検出することができたり、記憶するデータ数を少なくしたりすることができる。1つのグループとする焦点検出領域の数は、撮影条件等によって変化させてもよい。同じ移動距離でも、カメラからの距離が近い被写体のほうが遠い被写体よりも画角内での移動量が大きくなる。よって、現在の像面位置が無限側に近い場合よりも、至近側に近い場合のほうが、1つのグル―プとする焦点検出領域の数を多くして、画角に占める1つのグループの割合を大きくすることが好ましい。
次にステップS305において、マイクロコンピュータ221の第2の判定部107は、記憶された第2の像面位置履歴データを用いて、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が存在するか否かを判定する。この第2の移動被写体判定処理については後述する。なお、第2の像面位置履歴データが十分な数の検出時刻と像面位置の組を含んでいない場合には、第2の判定部107は第2の移動被写体判定処理を実行せず、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が存在しないと判定する。
次にステップS306では、選択部102は、第2の判定部107により光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が存在しないと判定された場合にはステップS307に進む。一方、移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域があると判定された場合にはステップS309に進む。
ステップS307では、マイクロコンピュータ221の予測部104は、第1の記憶部103に記憶された過去の第1の像面位置履歴データを用いて今回の焦点検出における第1の被写体に対する像面位置を予測する。そして、この予測した像面位置から今回の第1の被写体に対するデフォーカス量として尤もらしいと推定される予測デフォーカス量を算出する。像面位置の予測手法としては、記憶された複数の像面位置を検出時刻の関数(多項式等)によって近似し、その関数に検出時刻を代入して像面位置を算出する方法等がある。
第1の像面位置履歴データが十分な数の検出時刻と像面位置の組を含んでいない場合や第1の像面位置履歴データから第1の被写体の光軸方向での移動の規則性を判定できない場合は、像面位置の予測および予測デフォーカス量の算出を行う必要はない。この場合、第1の被写体に対して合焦状態が得られていれば、予測デフォーカス量を0とするのが好ましい。
次にステップS308では、選択部102は、ステップS301でデフォーカス量が検出された複数の焦点検出領域のうち、ステップS307で算出された予想デフォーカス量に最も近いデフォーカス量が検出された焦点検出領域をフォーカス制御領域として選択する。以下、フォーカス制御領域として選択された焦点検出領域におけるデフォーカス量を今回デフォーカス量という。
なお、本ステップにおいては、被写体は撮像画面内における前回の位置に近い位置に存在する可能性が高いとみなして、前回選択した焦点検出領域の周囲に限定してフォーカス制御領域を選択してもよい。この場合、予測デフォーカス量と検出されたデフォーカス量との差が所定値より小さくなる焦点検出領域が存在しなければ、より広い範囲からフォーカス制御領域を選択してもよい。マイクロコンピュータ221は、ステップS308が終了するとステップS310に進む。
一方、ステップS309では、選択部102は、第2の判定部107により光軸方向に移動する第2の被写体を捉えていると判定された第2の焦点検出領域をフォーカス制御領域として選択する。そして、ステップS310に進む。
ステップS310では、マイクロコンピュータ221のレンズ制御部108は、選択部102により選択されたフォーカス制御領域において検出された今回デフォーカス量に基づいて撮像レンズ201(フォーカスレンズ)を駆動する。
次にステップS311では、第1の記憶部103は、選択部102により選択されたフォーカス制御領域において検出された今回デフォーカス量の検出時刻と今回デフォーカス量から算出した像面位置の組を新たな第1の像面位置履歴データとして記憶する。
さらにステップS312では、マイクロコンピュータ221は、SW1がONされているか否かを判定する。SW1がONされている場合は再びステップS301に戻って上述した処理を行い、SW1がOFFされている場合には本処理を終了する。
次に、図5のフローチャートを用いて、図3のステップS302において実行される第1の被写体移動判定処理について説明する。ステップS501において、マイクロコンピュータ221の第1の判定部106は、第1の記憶部103に記憶された第1の像面位置履歴データを用いて、第1の被写体に対する像面位置としての第1の像面位置の移動速度である第1の像面速度を算出する。
次にステップS502では、第1の判定部106は、ステップS501で算出した第1の像面速度が第1の所定値としての第1の閾値より遅いか否かを判定する。第1の判定部106は、第1の像面速度が第1の閾値より遅い場合にはステップS503に進み、第1の像面速度が第1の閾値以上である(第1の閾値より速い)場合にはステップS504に進む。
第1の閾値は、撮影者が撮像対象としていない第1の被写体に対して誤ってフォーカス制御が追従しているか否かを判定するための閾値として適切に設定される。また、第1の被写体が等速で光軸方向に移動している場合は、該第1の被写体のカメラからの距離が遠いほど第1の像面速度は遅くなる。このため、第1の閾値は第1の被写体のカメラからの距離に応じて設定することが好ましい。具体的には、距離が遠いほど第1の閾値を小さく、距離が近いほど第1の閾値を大きく設定する。
ステップS503では、第1の判定部106は、第1の像面位置が移動していない、すなわち第1の被写体が光軸方向に移動していないと判定する。そして、マイクロコンピュータ221は、本処理を終了する。
一方、ステップS504では、第1の判定部106は、第1の像面位置が移動している、すなわち第1の被写体が光軸方向に移動していると判定して本処理を終了する。
続いて、図6のフローチャートを用いて、図3のステップS305で実行される第2の被写体移動判定処理について説明する。ステップS601において、マイクロコンピュータ221の振れ検出部109は、防振部227から振れ量の情報を受け取る。ここにいう振れ量は、第2の記憶部105に記憶されている最も古い像面位置に対応する検出時刻から現在までのカメラの振れ量であることが好ましい。
次にステップS602では、マイクロコンピュータ221の第2の判定部107は、ステップS601で算出した振れ量が所定値としての振れ閾値以上であるか否かを判定する。すなわち、振れ閾値は、撮影者が撮像方向(カメラの向き)を意図的に変えたか否かを検出するための値に設定される。マイクロコンピュータ221は、振れ量が振れ閾値以上である場合には、撮影者が撮像方向を意図的に変えて撮像対象である被写体を変えたとみなしてステップS603に進む。一方、振れ量が振れ量閾値より小さい場合にはステップS605に進む。
ステップS603では、マイクロコンピュータ221の第2の記憶部105は、記憶している第2の像面位置履歴データをすべて消去する。そして、ステップS604では、第2の判定部107は、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が存在しないと判定して本処理を終了する。
一方、ステップS605では、第2の判定部107は、第2の像面位置履歴データに検出時刻と像面位置の組が記憶された第2の焦点検出領域のうち、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えているか否かの判定がまだ行われていない焦点検出領域を1つ選択する。以下の説明において、本ステップで選択された第2の焦点検出領域を、判定中焦点検出領域とする。
ステップS606では、第2の判定部107は、判定中焦点検出領域に対して第2の像面位置履歴データに記憶された第2の被写体に対する像面位置としての第2の像面位置が検出時刻とともに一方向(至近方向または無限遠方向)に変化しているか否かを判定する。第2の判定部107は、第2の像面位置が一方向に変化している場合にはステップS607に進み、第2の像面位置が一方向に変化していない場合にはステップS610に進む。この判定において、上記一方向変化の判定は、至近方向と無限遠方向のうち一方についてのみ行ってもよいし、至近方向と無限遠方向の両方について行ってもよい。
第2の像面位置が一方向に変化していると判定する方法の例について説明する。過去複数回の検出時刻を古い方から順にt1、t2、t3、t4とし、検出時刻に対応する第2の像面位置をそれぞれz1、z2、z3、z4とする。第2の像面位置を示す値が小さいほど撮像レンズ201の合焦位置が至近側にあるとすると、z1>z2>z3>z4となる場合に第2の像面位置が至近側に一方向に変化していると判定することができる。また、焦点検出の誤差を考慮し、比較する像面位置の時間間隔を空けて、z1>z3かつz2>z4となる場合に第2の像面位置が至近側に一方向に変化していると判定してもよい。これらは第2の像面位置が一方向に変化していると判定する方法の例であり、判定の方法は必ずしもこれらに限定されるものではない。
ステップS607では、第2の判定部107は、第2の記憶部105に記憶された判定中焦点検出領域に対する第2の像面位置履歴データを用いて第2の像面位置の移動速度である第2の像面速度を算出する。
次にステップS608では、第2の判定部107は、ステップS608で算出した第2の像面速度が第2の所定値である第2の閾値以上である(第2の閾値より速い)か否かを判定する。第2の判定部107は、第2の像面速度が第2の閾値以上である場合はステップS609に進み、第2の像面速度が第2の閾値より遅い場合はステップS610に進む。
第2の閾値は、第1の像面速度に対する第1の閾値より大きい(速い)ことが望ましい。言い換えれば、第1の閾値は、第2の閾値より小さい(遅い)ことが望ましい。また、第2の閾値は、焦点検出領域ごとに異なる値を設定してもよい。例えば、撮像対象である被写体は撮像画面の中央に位置する可能性が高いので、撮像画面の中央に近いほど第2の閾値を遅く設定し、撮像画面の中央から遠いほど第2の閾値を速く設定してもよい。
ステップS609では、第2の判定部107は、判定中焦点検出領域が光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている(光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が存在する)と判定し、判定中焦点検出領域をフォーカス制御領域に設定する。この後、第2の判定部107はステップS611に進む。
ステップS610では、第2の判定部107は、判定中焦点検出領域が光軸方向に移動する第2の被写体を捉えていない(光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が存在しない)と判定する。すなわち、ステップS606にて第2の像面位置が一方向だけでなく他方向にも変化している場合やステップS608で第2の像面速度が第2の閾値より遅い場合は判定中焦点検出領域が光軸方向に移動する第2の被写体を捉えていないと判定する。この後、第2の判定部107はステップS611に進む。
ステップS611では、第2の判定部107は、第2の記憶部105に記憶された第2の焦点検出領域の全てに対して、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えているか否かの判定を行ったか否かを判定する。第2の判定部107は、全ての第2の焦点検出領域について上記判定を行った場合はステップS612に進み、全ての第2の焦点検出領域について上記判定を行っていない場合はステップS605に戻る。
ステップS612では、第2の判定部107は、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が存在したか否かを判定する。第2の判定部107は、そのような第2の焦点検出領域があった場合にはステップS613に進み、ない場合には本処理を終了する。
ステップS613では、第2の判定部107は、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている2の焦点検出領域が2つ以上あるか否かを判定する。第2の判定部107は、そのような第2の焦点検出領域が2つ以上ある場合はステップS614に進み、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が1つのみである場合はステップS615に進む。
ステップS614では、第2の判定部107は、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている2つ以上の第2の焦点検出領域から1つを選択する。例えば、第2の判定部107は、上記2つ以上の第2の焦点検出領域のうち第2の像面速度が最も大きい焦点検出領域を選択する。また、第2の判定部107は、像面位置が最も至近側にある焦点検出領域を選択してもよい。さらに、撮影者がピントを合わせたい被写体は撮像画面の中央に近い位置に存在する可能性が高いので、第2の判定部107は、上記2つ以上の第2の焦点検出領域のうち最も撮像画面の中央に近い焦点検出領域を選択してもよい。
ステップS615では、第2の判定部107は、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている1つの第2の焦点検出領域が存在することを示す情報を選択部102に渡す。そして、第2の記憶部105は、記憶している全ての第2の像面位置履歴データを消去する。この後、マイクロコンピュータ221は本処理を終了する。
ステップS612で光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が存在すると判定された場合には、第2の被写体が新たにフォーカス制御の追従対象の第1の被写体となる。この場合、ステップS612での判定時点で、第1の記憶部103が記憶していた第1の像面位置履歴データを消去し、第2の記憶部105に記憶されていた第2の像面位置履歴データを第1の記憶部103に新たに記憶させることが望ましい。これにより、追従していた第1の被写体を捉えていた焦点検出領域が変化した直後から、変化後の焦点検出領域において過去の像面位置履歴データを用いて適切に予測デフォーカス量を算出することができる。
本実施例では、フォーカス制御が追従する被写体が光軸方向に移動していると判定した場合、すなわち撮影者の撮像対象である被写体に対するフォーカス制御が行われている場合は、その被写体に対する予測デフォーカス量を用いてフォーカス制御の追従を続行する。一方、フォーカス制御が追従する被写体が光軸方向に移動せず、他に光軸方向に移動する被写体を捉えている焦点検出領域が存在すると判定した場合は、フォーカス制御が撮像対象ではない被写体に対して追従しているものとして扱う。この場合、光軸方向に移動する被写体を捉えている焦点検出領域を選択し直して該被写体に対してフォーカス制御の追従対象とする。これにより、撮影者が焦点検出領域を選択し直さなくても、撮像対象ではない被写体に対してフォーカス制御が追従し続けることを回避することができる。言い換えれば、撮像対象である被写体に対してフォーカス制御を追従させ続けることができる。この効果について、図7および図8を用いて具体例を挙げて説明する。
図7は、電車701がカメラに対して近付いてくるシーンを撮像する場合を示す。図7の(1)〜(4)はそれぞれ、同図の(A)に示す検出時刻t(1)〜t(4)での撮像画面を示す。7a〜7dは4つの焦点検出領域を示す。(A)は検出時刻t(1)〜t(4)で焦点検出領域7a〜7dにて検出されたデフォーカス量を用いて算出された像面位置を示す。
撮影者の撮像対象としての被写体は電車701であり、焦点検出領域(第2の焦点検出領域)7dにより捉えられている。しかし、検出時刻t(1)では、焦点検出領域(第1の焦点検出領域)7bがフォーカス制御領域として選択されて該フォーカス制御領域7bに捉えている背景に対してフォーカス制御が追従しているものとする。焦点検出領域(第2の焦点検出領域)7a、7cも背景を捉えている。
図7の(A)において、焦点検出領域7b(および7a、7c)では背景に対して第1の像面位置が算出されるため、時間が経過しても第1の像面位置はほとんど変化しない。これらの像面位置が若干変化しているのは、焦点検出の誤差やカメラの微小な振れによるものである。
一方、焦点検出領域7dでは電車701に対して第2の像面位置が算出されるため、時間の経過とともに第2の像面位置が至近側一方向に変化する。検出時刻t(2)では焦点検出領域7dで算出された像面位置はまだ検出時刻t(1)から1回しか至近側に変化していないため、焦点検出領域7bのフォーカス制御領域としての選択が継続される。
検出時刻t(3)では、焦点検出領域7dで算出された第2の像面位置が検出時刻t(1)から続けて2回、至近側一方向に変化したことになる。このため、焦点検出領域7dで算出された第2の像面速度が第2の閾値以上であれば、該焦点検出領域7dが光軸方向に移動する被写体を捉えていると判定される。また、焦点検出領域7bで算出されたほとんど変化しない第1の像面位置が第1の像面位置履歴データとして記憶されているので、第1の像面速度は第1の閾値より遅くなる。このため、焦点検出領域7bにより捉えられている被写体(背景)は光軸方向に移動していないと判定される。この結果、検出時刻t(3)で焦点検出領域7dがフォーカス制御領域に選択し直され、それまでの第1の像面位置履歴データが消去される。そして、その代わりに焦点検出領域7dで算出された第2の像面位置を含む第2の像面位置履歴データが第1の像面位置履歴データとして記憶される。
その後の検出時刻t(4)では、焦点検出領域7dに対する第1の像面位置履歴データから第1の像面速度が算出される。焦点検出領域7dでは電車701に対して第1の像面速度が算出されるため、該第1の像面速度は第1の閾値以上になる。したがって、第1の像面位置履歴データから焦点検出領域7dでの予測デフォーカス量が算出されて再び焦点検出領域7dがフォーカス制御領域として選択され、これ以降は電車701に対してフォーカス制御を追従させることができる。
なお、ここでは第2の像面位置の至近側一方向への変化を第2の像面位置を複数回算出することで判定する場合について説明したが、これに代えて、第2の像面位置が所定時間の間、至近側一方向に変化することで該変化を判定してもよい。
図8は、2人の人物801、802がカメラに対して近付いてくるシーンを撮像する場合を示す。図8の(1)〜(4)はそれぞれ、検出時刻t(1)〜t(4)における撮像画面を示す。8a〜8dは4つの焦点検出領域を示す。(A)は検出時刻t(1)〜t(4)で焦点検出領域7a〜7dにて検出されたデフォーカス量を用いて算出された像面位置を示す。
撮影者の撮像対象としての被写体は人物801である。フォーカス制御領域として選択された焦点検出領域(第1の焦点検出領域)8cに捉えられている人物801に対してフォーカス制御が追従しているものとする。焦点検出領域(第2の焦点検出領域)8dは人物801aを捉えており、焦点検出領域(第2の焦点検出領域)8a、8bは背景を捉えている。
図8の(A)において、焦点検出領域8a、8bでは背景に対して像面位置が算出されるため、時間が経過しても第2の像面位置はほとんど変化しない。一方、焦点検出領域8c、8dでは人物801、802に対してそれぞれ第1および第2の像面位置が算出されるため、時間の経過とともに第1および第2の像面位置が至近側一方向に変化する。検出時刻t(2)を経た検出時刻t(3)では、焦点検出領域8cで算出された第1の像面位置を含む第1の像面位置履歴データから算出された人物801に対する第1の像面速度が第1の閾値以上であれば、人物801は光軸方向に移動していると判定される。このため、第1の像面位置履歴データから算出される予測デフォーカス量に最も近いデフォーカス量が検出される焦点検出領域8cがそのままフォーカス制御領域として選択される。したがって、移動する第2の被写体である人物802を捉えている焦点検出領域8dが存在していても、撮像対象である人物801に対するフォーカス制御の追従が維持される。
以上のように、本実施例によれば、フォーカス制御が追従する被写体が光軸方向に移動している場合には、その被写体に対するフォーカス制御の追従を続行する。一方、フォーカス制御が追従する被写体が光軸方向に移動せず、他に光軸方向に移動する被写体を捉えている焦点検出領域が存在する場合には、焦点検出領域を選択し直すことにより、移動する被写体に対してフォーカス制御を追従させ続けることができる。
本発明の実施例2では、被写体が光軸方向に移動しているか否かを求める方法が、実施例1とは異なる。実施例1では、予測部104が第1の記憶部103に記憶された過去複数回の検出時刻と像面位置の組に基づいて、後の被写体像の像面位置である予測デフォーカス量を算出(予測)していた。これに対し、実施例2では、逐次同定法によって同定される被写体の像面位置モデルに基づいて、被写体が光軸方向に移動しているか否かを判定する。
まず、実施例1で説明した方法における課題を説明する。実施例1で説明した方法によれば、第2の像面位置履歴データを記憶する必要があるが、メモリの記憶容量は有限であるので、記憶する過去の履歴データには限りがある。
被写体の像面位置モデルに関する情報は、過去の履歴データの期間の長さによらず一定量である。焦点検出のばらつきが大きく、かつ遠距離等、被写体の像面移動が小さい撮像シーンにおいては、被写体の像面位置の変化は焦点検出のばらつきに埋もれてしまう。このため、限られた短い期間の過去の履歴データを用いて被写体が光軸方向に移動していると判定することができない、また、実際には被写体が光軸方向に移動していないにもかかわらず、同方向に移動していると誤判定するおそれもある。
したがって、焦点検出ばらつきが大きい撮像シーンで移動する被写体を精度良く検出するためには、比較的長い期間の過去の履歴データ、すなわち多い数の履歴データを利用する必要がある。
これに対し、本実施例で採用している逐次同定法によれば、最新の1回分の像面位置と被写体の過去の像面位置モデルとを用いて被写体の新たな像面位置モデルを同定する。それにより、焦点検出ばらつきの大きい撮像シーンにおいても逐次同定法の利点である計算量の低減を図りながら、実施例1と同様に、光軸方向に移動する被写体を精度良く検出することができる。また、本実施例では、逐次同定法により同定される被写体の像面位置モデルに関する情報を用いることから、第2の像面位置履歴データの記憶は不要であるため、実施例1と比較して、データ量の削減が可能である。詳しくは後述する。
図9は、本実施例におけるマイクロコンピュータ221に含まれるフォーカス制御装置の構成を示す。図9において、実施例1(図1)のフォーカス制御装置と共通する構成要素には実施例1と同符号を付して説明に代える。本実施例のフォーカス制御装置は、第1の同定手段としての第1の同定部110と、第2の同定手段としての第2の同定部111とを有する。
第1の同定部110は、選択部102により選択された第1の焦点検出領域における像面位置(第1の像面位置)と第1の被写体の過去の像面位置モデルとを用いて、第1の被写体の新たな像面位置モデルを同定する。第1の同定部110による同定結果は、第1の判定部106による判定に用いられる。
第2の同定部111は、第1の焦点検出領域と異なる少なくとも1つの第2の焦点検出領域にて焦点検出部101により検出されたデフォーカス量から算出された像面位置(第2の像面位置)と第2の被写体の過去の像面位置モデルとを用いて、第2の被写体の新たな像面位置モデルを同定する。 第2の同定部111による同定結果は、第2の判定部107による判定に用いられる。
次に、本実施例で第1の同定部と第2の同定部が像面位置モデルを同定する方法として採用している逐次同定法について説明する。逐次同定法とは、現在の観測結果と、1時刻前の状態推定値から求められる現在の事前状態推定値とから、現在の状態推定値および1時刻先の事前状態推定値の算出を行い、時刻の経過とともにそれを繰り返すことにより、現在の状態を推定し続けるものである。したがって、現在の観測結果と1時刻前に推定された現在の事前状態推定値だけを保持しておけばよく、過去の観測結果(例えば、像面位置履歴データなど)を全て記憶しておく必要がないという特徴がある。実施例では一例として、逐次同定法の一種であり、状態の平均二乗誤差が最小となる状態を推定するカルマンフィルタを用いた場合を説明する。
ここで、一般的なカルマンフィルタ演算について説明する。カルマンフィルタ演算の前提となる式として、時刻kにおける観測結果y(k)と、状態推定ベクトルAの時刻kおよび時刻k+1における関係は次の式で与えられるものとする。
ただし、A(k)はn次元の列ベクトルであり、時刻kにおける状態を示す状態推定ベクトルである。X(k)はn次元の列ベクトルであり、状態推定ベクトルから観測結果を求めるためのベクトルである。ω(k)は、平均値0、分散σω の観測ノイズであり、観測結果に含まれるばらつきを表す。L(k)はn×n行列であり、時刻kにおける状態から時刻k+1における状態への変化量を表すベクトルである。ν(k)は平均値0、分散σν のシステムノイズであり、時刻kの状態を用いて推定される時刻k+1の状態に含まれる誤差成分である。m(k)はn次元の列ベクトルであり、状態推定ベクトルA(k)の各パラメータに対するシステムノイズの係数である。
カルマンフィルタ演算は、状態推定ベクトルA(k)を求めるために、予測ステップとフィルタリングステップの2つの演算ステップを実行する。例えば、まず時刻kにおける予測ステップでは、時刻k−1における状態推定ベクトルを用いて、時刻kにおける事前状態推定ベクトルA’(k)を時刻kにおける実際の観測結果を得るよりも前に推定する。そして、時刻kにおけるフィルタリングステップでは、事前に推定された事前状態推定ベクトルA’(k)および時刻kにおける実際の観測結果を用いて、時刻kにおける状態推定ベクトルA(k)を推定する。以下、予測ステップとフィルタリングステップにおける処理について、より詳しく説明する。
予測ステップにおいて、後のフィルタリングステップにおいて用いられる事前状態推定ベクトルA’(k)、および事前誤差共分散行列P’(k)は次の式で求められる。ただし、A’(k)はn次元の列ベクトル、P’(k)はn×n行列である。
続いて、フィルタリングステップにおいて、カルマンゲインg(k)は数3の式で求められる。カルマンゲインはn次元の列ベクトルであり、事前状態推定ベクトルA’(k)から推定される観測値と実際の観測結果との差分が、状態推定ベクトルA(k)に対してどの程度寄与するかを表すベクトルである。
また、状態推定ベクトルA(k)および事後誤差共分散行列P(k)は数4の式で求められる。ただし、P(k)はn×n行列、Iは、n×nの単位行列である。状態推定ベクトルA(k)および事後誤差共分散行列P(k)は、数1で示したように、現在の時刻kにおける像面位置の算出や、時刻k+1における状態推定ベクトルA(k+1)を事前に推定するために用いられる。状態推定ベクトルA(k)は、実際の観測結果であるy(k)と事前状態推定ベクトルから推定される観測値X(k)A’(k)との差分にカルマンゲインg(k)を乗じた補正値をA’(k)に加えることによって算出される。
なお、カルマンフィルタによる初回の演算時には、状態推定ベクトルA(k)および事後誤差共分散行列P(k)が得られていない。そこで、一例として、状態推定ベクトルの初期値A(0)および誤差共分散行列の初期値P(0)は、次の式で与えられる。
上述したカルマンフィルタ演算を本実施例に当てはめると、例えば以下のようになる。本実施例では、y(k)は、時刻kにおける像面位置とする。ここで一例として、被写体の像面位置y(k)は時刻kに対する一次式で表現されるものとする。このとき、状態推定ベクトルA(k)は2次元の列ベクトルとし、A(k)の各パラメータは、時刻0における像面位置(すなわち、y(k)を表す一次式の切片)と、時刻0から時刻kまでの平均像面速度とする。なお、時刻0は最初の像面位置の検出時刻とする。また、2次元の列ベクトルX(k)の各パラメータは、1と、時刻0から時刻kまでの時間とする。時刻kにおける被写体の像面位置は、時刻0における被写体の像面位置に対して、時刻kにおける平均像面速度と時刻0から時刻kまでの時間との積を加算したものであるので、y(k)をX(k)A(k)で表すことができる。
分散σω は、像面位置の検出結果の分散等に基づいて予め決定された値でよい。状態推定ベクトルAの初期値A(0)の各パラメータは時刻0において観測された像面位置と、時刻0における被写体の像面速度を用いればよい。初期値P(0)には、適切な値を入れればよい。一般的に初期値pが大きいほどカルマンフィルタの収束が早くなるので、例えば、観測ノイズが大きいときは収束を遅くするためにpを小さくするなどである。行列Lは、例えば、時刻0における被写体の像面位置や被写体の平均像面速度が時不変だと仮定するならば、単位行列Iなどとしてもよい。また、列ベクトルmおよび分散σν は、状態推定ベクトルに含まれる誤差成分なのでモデルの性質によって設定すればよい。これらは時刻によって変化させてもよいし不変でもよい。以上、状態推定ベクトルA、行列L、分散σω 、事後共分散行列P、列ベクトルm。列ベクトルXによって、本実施例の被写体の像面位置モデルは表現される。ただし、例えば分散σω などを時不変とするなら、その要素は被写体の像面位置モデルとして記憶する必要はなく、固定値として扱えばよい。
なお、y(k)の表現方法や被写体の像面位置モデルはこれに限定されず、例えば、状態推定ベクトルA(k)の次元数は2次元である必要はなく、より高次元であってもよい。また、必ずしも状態推定ベクトルAやベクトルX、行列Lなどの各パラメータおよびその初期値が上述の説明通りである必要はない。
図10のフローチャートを用いて、本実施例におけるフォーカス制御処理を示す。ここでは、図3のフローチャートと同じステップについては説明を省略する。
ステップS901(ステップS301と同じ)を経たマイクロコンピュータ221は、ステップS902に進む。ステップS902では、第1の判定部106は、第1の同定部110により同定された第1の被写体の像面位置モデルを用いて、第1の焦点検出領域に捉えられている第1の被写体が光軸方向に移動しているか否かを判定する。この判定(第1の移動被写体判定処理)については、後に実施例1でも用いた図5を用いて説明する。
次にステップS903(ステップS303と同じ)を経た後、マイクロコンピュータ221はステップS904に進む。ステップS904では、第2の判定部107は、第2の同定部111により同定された第2の被写体の像面位置モデルを用いて、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている第2の焦点検出領域が存在するか否かを判定する。この判定(第2の移動被写体判定処理)については、後に図11を用いて説明する。
次にステップS905〜ステップS910(ステップS306〜ステップS311と同じ)を経たマイクロコンピュータ221は、ステップS911に進む。
ステップS911では、第1の同定部110は、選択部102により選択された第1の焦点検出領域の像面位置(第1の像面位置)と第1の被写体の過去の像面位置モデルとを用いて、第1の被写体の新たな像面位置モデルを同定する。被写体の像面位置モデルの同定方法については、後に図11のステップS1006において説明する。続いてステップS912(ステップS312と同じ)を経たマイクロコンピュータ221は、本処理を終了する。
図5のフローチャートを用いて、図10のステップS902で実行される第1の移動被写体判定処理について説明する。ここでは、実施例1での第1の移動被写体判定処理との相違について説明する。
実施例1のステップS501では、第1の判定部106が、第1の記憶部103に記憶された第1の像面位置履歴データを用いて第1の像面速度を算出した。これに対して、本実施例のステップS501では、第1の判定部106は、図9のステップS911において第1の同定部110により同定された第1の被写体の像面位置モデルを用いて第1の像面速度を算出する。被写体の像面位置モデルから像面速度を算出する方法については、後に図10のステップS1007において説明する。図5の他のステップについては、実施例1と同じである。
次に、図11のフローチャートを用いて、図10のステップS904で実行される第2の移動被写体判定処理について説明する。ここでは、図6のフローチャートと同じステップについては説明を省略する。
ステップS1001およびステップS1002(ステップS601およびステップS602と同じ)を経た第2の判定部107は、ステップS1003に進む。ステップS1003において、第2の判定部107は、第2の被写体の像面位置モデルを初期化する。
次にステップS1004(ステップS604と同じ)を経た第2の判定部107は、ステップS1005に進む。ステップS1005では、第2の判定部107は、第2の被写体の像面位置モデルを同定する第2の焦点検出領域のうち、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えているか否かの判定がまだ行われていない焦点検出領域を1つ選択する。以下の説明において、本ステップで選択された第2の焦点検出領域を、判定中焦点検出領域という。
次にステップS1006では、第2の同定部111は、ステップS1005において選択された判定中焦点検出領域で算出された像面位置(第2の像面位置)と第2の被写体の過去の像面位置モデルとを用いて、第2の被写体の新たな像面位置モデルを同定する。第2の被写体の像面位置モデルの同定方法については後述する。
次にステップS1007では、ステップS1006において同定された第2の被写体の像面位置モデルを用いて第2の像面速度を算出する。第2の像面速度の算出方法については後述する。
ここで、第2の被写体の像面位置モデルを用いて第2の像面速度を算出する方法について説明する。なお、図5のステップS501において第1の像面速度を算出する方法についても同様である。本実施例における上述の第2の被写体の像面位置モデルでは、時刻kにおいて状態推定ベクトルA(k)が時刻0における像面位置と時刻kにおける像面速度を表すので、状態推定ベクトルA(k)が表す像面速度を第2の像面速度とすることができる。
次にステップS1008〜ステップS1010(ステップS608〜ステップS610と同じ)を経た第2の判定部107は、ステップS1011に進む。ステップS1011では、第2の判定部107は、第2の被写体の像面位置モデルを同定する第2の焦点検出領域の全てについて、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えているか否かの判定を行ったか否かを判定する。第2の判定部107は、全ての第2の焦点検出領域について上記判定を行った場合はステップS1012に進み、全ての第2の焦点検出領域について上記判定を行っていない場合はステップS1015に戻る。
ステップS1012(ステップS612と同じ)に進み、さらにステップS1013およびステップS1014(ステップS613およびS614と同じ)を経た第2の判定部107は、ステップS1015に進む。ステップS1015では、第2の判定部107は、光軸方向に移動する第2の被写体を捉えている1つの第2の焦点検出領域が存在することを示す情報を選択部102に渡す。そして、マイクロコンピュータ221は、第1の被写体の像面位置モデルおよび第2の被写体の像面位置モデルを初期化する。これは、第2の焦点検出領域において光軸方向に移動する被写体が検出されたことにより、フォーカス制御の追従対象としての被写体が変更され、新たに像面位置モデルを同定し直す必要があるためである。この後、第2の判定部107は本処理を終了する。
なお、ステップS1012での判定時点で、第1の被写体の像面位置モデルを消去し、光軸方向に移動する被写体が存在すると判定された第2の被写体の像面位置モデルを第1の被写体の像面位置モデルとして新たに記憶させることが望ましい。これは、該第2の被写体が新たに第1の被写体となるためである。これによりフォーカス制御の追従対象としての被写体が変更された直後も、図9のステップS902において実行される第1の移動被写体判定処理において第1の像面速度を算出することができる。
また、ここではカルマンフィルタを用いる場合について説明したが、逐次同定法の別種である逐次最小二乗法を用いてもよい。逐次最小二乗法は、カルマンフィルタ演算の特殊例である。ただし、逐次最小二乗法は、観測ノイズやシステムノイズを考慮しないため、焦点検出ばらつきの影響を受ける像面位置をモデル化する場合においてはカルマンフィルタを用いることがより望ましい。さらに、逐次同定法と同様にして、被写体の過去の像面位置モデルと現在の観測結果を用いて現在の像面位置モデルを同定する方法であれば、逐次同定法に限らず本発明に応用することが可能である。
なお、上述の例の場合には、状態推定ベクトルAを2次元としたので、被写体の像面位置モデルは、状態推定ベクトルA(2次の列ベクトル)、行列L(2×2の行列)、分散σω (スカラー)、事後共分散行列P(2×2の行列)、列ベクトルm(2次の列ベクトル)。列ベクトルX(2次の列ベクトル)で表される。したがって、メモリに記憶すべきデータは過去の観測結果数Nによらず、1つの像面位置モデルに対して、これらのベクトルやスカラー、行列のみとなる。ただし、例えば、行列Lや分散σω 、列ベクトルm、ベクトルXなどを時不変とするならば、そのデータは像面位置モデルごとに記憶する必要はない。
一方、実施例1のように第2の像面位置履歴データを記憶する場合には、メモリに記憶すべきデータは記憶する最大の観測結果数に比例する。移動被写体か否かを判定するためには記憶する最大の観測結果数を大きくした方がよいので、実施例1より実施例2の方がメモリ使用量を抑えることができる。
なお、本実施例における第2の被写体の像面位置モデルは、第2の移動被写体判定に用いられる焦点検出領域の1つ1つについて個別に同定されるものである。実施例1において説明したように2以上の焦点検出領域をまとめて1つのグループとする場合には、該グループごとにそれぞれ第2の被写体の像面位置モデルを同定すればよい。
また、実施例2では第1の同定部110と第2の同定部111を有する構成について説明したが、第1の同定部110は省略することも可能である。その場合、実施例1と同様に、第1の記憶部102に記憶された第1の像面位置履歴データを用いて第1の像面速度を算出すればよい。
以上のように、本実施例によれば、焦点検出ばらつきの大きい撮像シーンにおいて、フォーカス制御が追従する被写体が光軸方向に移動する場合には、その被写体に対してフォーカス制御の追従を続行する。一方、フォーカス制御が追従する被写体が光軸方向に移動せず、他に光軸方向に移動する被写体を捉えている焦点検出領域が存在する場合には焦点検出領域を精度良く選択し直すことにより、移動する被写体に対してフォーカス制御を追従させ続けることができる。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
101 焦点検出部
102 選択部
103 第1の記憶部
104 予測部
105 第2の記憶部
106 第1の判定部
107 第2の判定部
108 レンズ制御部
110 第1の同定部
111 第2の同定部

Claims (15)

  1. 撮像画面内の複数の焦点検出領域のそれぞれにおいてデフォーカス量を検出する焦点検出手段と、
    前記複数の焦点検出領域のうち第1の焦点検出領域において前記デフォーカス量が検出された時刻の情報および検出された前記デフォーカス量を用いて算出された第1の像面位置の情報を含む第1の像面位置履歴データ、および前記第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域において前記デフォーカス量が検出された時刻の情報および検出された前記デフォーカス量を用いて算出された第2の像面位置の情報を含む第2の像面位置履歴データを記憶する記憶手段と、
    前記複数の焦点検出領域のうちフォーカス制御領域を選択する選択手段と、
    前記フォーカス制御領域において検出された前記デフォーカス量を用いてフォーカス制御を行う制御手段とを有し、
    前記選択手段は、
    前記第1の像面位置履歴データを用いて前記第1の像面位置が移動していると判定した場合は、前記第1の像面位置履歴データを用いて算出した予測デフォーカス量を用いて前記フォーカス制御領域を選択し、
    前記第1の像面位置履歴データを用いて前記第1の像面位置が移動していないと判定し、かつ前記第2の像面位置履歴データを用いて前記第2の像面位置が移動していると判定した場合は、該第2の焦点検出領域を前記フォーカス制御領域として選択することを特徴とするフォーカス制御装置。
  2. 前記選択手段は、前記第2の像面位置履歴データを用いて前記第2の像面位置が移動していないと判定した場合は、前記予測デフォーカス量を用いて前記フォーカス制御領域を選択することを特徴とする請求項1に記載のフォーカス制御装置。
  3. 前記選択手段は、前記第2の像面位置履歴データにおいて該第2の像面位置が一方向に変化している場合に前記第2の像面位置が移動しているか否かを判定し、前記第2の像面位置が複数の方向に変化している場合は前記第2の像面位置が移動していないと判定することを特徴とする請求項1または2に記載のフォーカス制御装置。
  4. 前記選択手段は、前記第1の像面位置履歴データを用いて算出した該第1の像面位置の移動速度が第1の所定値より速い場合は該第1の像面位置が移動していると判定し、前記第1の像面位置の移動速度が前記第1の所定値より遅い場合は前記第1の像面位置が移動していないと判定することを特徴とする請求項1または2に記載のフォーカス制御装置。
  5. 前記選択手段は、前記第2の像面位置履歴データを用いて算出した該第2の像面位置の移動速度が第2の所定値より速い場合は該第2の像面位置が移動していると判定し、前記第2の像面位置の移動速度が前記第2の所定値より遅い場合は前記第2の像面位置が移動していないと判定することを特徴とする請求項4に記載のフォーカス制御装置。
  6. 前記第1の所定値が前記第2の所定値よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載のフォーカス制御装置。
  7. 撮像画面内の複数の焦点検出領域のそれぞれにおいてデフォーカス量を検出する焦点検出手段と、
    前記複数の焦点検出領域のうち第1の焦点検出領域において前記デフォーカス量が検出された時刻の情報および検出された前記デフォーカス量を用いて算出された第1の像面位置の情報を含む像面位置履歴データを記憶する記憶手段と、
    前記第1の像面位置と第1の被写体の過去の像面位置モデルとを用いて、第1の被写体の新たな像面位置モデルを同定する第1の同定手段と、
    前記複数の焦点検出領域のうち前記第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域において前記デフォーカス量から算出された第2の像面位置と第2の被写体の過去の像面位置モデルとを用いて、第2の被写体の新たな像面位置モデルを同定する第2の同定手段と、
    前記複数の焦点検出領域のうちフォーカス制御領域を選択する選択手段と、
    前記フォーカス制御領域において検出された前記デフォーカス量を用いてフォーカス制御を行う制御手段とを有し、
    前記選択手段は、
    前記第1の同定手段により同定された前記第1の被写体の像面位置モデルを用いて前記第1の像面位置が移動していると判定した場合は、前記像面位置履歴データを用いて算出した予測デフォーカス量を用いて前記フォーカス制御領域を選択し、
    前記第1の同定手段により同定された前記第1の被写体の像面位置モデルを用いて前記第1の像面位置が移動していないと判定し、かつ前記第2の同定手段により同定された前記第2の被写体の像面位置モデルを用いて前記第2の像面位置が移動していると判定した場合は、該同定された前記第2の被写体の像面位置モデルを用いて前記フォーカス制御領域を選択することを特徴とするフォーカス制御装置。
  8. 前記第1および第2の同定手段は、逐次同定法により前記像面位置モデルを同定することを特徴とする請求項7に記載のフォーカス制御装置。
  9. 前記第1および第2の同定手段は、前記逐次同定法としてカルマンフィルタまたは逐次最小二乗法を用いることを特徴とする請求項8に記載のフォーカス制御装置。
  10. 前記記憶手段は、撮像方向の変化を検出した場合は、前記第2の像面位置が移動しているか否かの判定を行わないことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のフォーカス制御装置。
  11. 被写体を撮像する撮像素子と、
    請求項1から10のいずれか一項に記載のフォーカス制御装置とを有することを特徴とする撮像装置。
  12. 撮像画面内の複数の焦点検出領域のそれぞれにおいてデフォーカス量を検出するステップと、
    前記複数の焦点検出領域のうち第1の焦点検出領域において検出された前記デフォーカス量を用いて算出された第1の像面位置の情報および該デフォーカス量が検出された時刻の情報を含む第1の像面位置履歴データ、および前記第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域において検出された前記デフォーカス量を用いて算出された第2の像面位置の情報および該デフォーカス量が検出された時刻の情報を含む第2の像面位置履歴データを記憶するステップと、
    前記複数の焦点検出領域のうちフォーカス制御領域を選択する選択ステップと、
    前記フォーカス制御領域において検出された前記デフォーカス量を用いてフォーカス制御を行うステップとを有し、
    前記選択ステップにおいて、
    前記第1の像面位置履歴データを用いて前記第1の像面位置が移動していると判定した場合は、前記第1の像面位置履歴データを用いて算出した予測デフォーカス量を用いて前記フォーカス制御領域を選択し、
    前記第1の像面位置履歴データを用いて前記第1の像面位置が移動していないと判定し、かつ前記第2の像面位置履歴データを用いて前記第2の像面位置が移動していると判定した場合は、該第2の焦点検出領域を前記フォーカス制御領域として選択することを特徴とするフォーカス制御方法。
  13. コンピュータにフォーカス制御処理を実行させるコンピュータプログラムであって、
    前記フォーカス制御処理は、
    撮像画面内の複数の焦点検出領域のそれぞれにおいてデフォーカス量を検出するステップと、
    前記複数の焦点検出領域のうち第1の焦点検出領域において検出された前記デフォーカス量を用いて算出される像面位置の情報および該デフォーカス量が検出された時刻の情報を含む第1の像面位置の履歴データ、および前記第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域において検出された前記デフォーカス量を用いて算出される像面位置の情報および該デフォーカス量が検出された時刻の情報を含む第2の像面位置の履歴データを記憶するステップと、
    前記複数の焦点検出領域のうちフォーカス制御領域を選択する選択ステップと、
    前記フォーカス制御領域において検出された前記デフォーカス量を用いてフォーカス制御を行うステップとを有し、
    前記選択ステップにおいて、
    前記第1の像面位置の履歴データを用いて前記第1の像面位置が移動していると判定した場合は、前記第1の像面位置の履歴データを用いて算出した予測デフォーカス量を用いて前記フォーカス制御領域を選択し、
    前記第1の像面位置の履歴データを用いて前記第1の像面位置が移動していないと判定し、かつ前記第2の像面位置の履歴データを用いて前記第2の像面位置が移動していると判定した場合は、該第2の焦点検出領域を前記フォーカス制御領域として選択することを特徴とするフォーカス制御プログラム。
  14. 撮像画面内の複数の焦点検出領域のそれぞれにおいてデフォーカス量を検出するステップと、
    前記複数の焦点検出領域のうち第1の焦点検出領域において前記デフォーカス量が検出された時刻の情報および検出された前記デフォーカス量を用いて算出された第1の像面位置の情報を含む像面位置履歴データを記憶するステップと、
    前記第1の像面位置と第1の被写体の過去の像面位置モデルとを用いて、第1の被写体の新たな像面位置モデルを同定する第1の同定ステップと、
    前記複数の焦点検出領域のうち前記第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域において前記デフォーカス量から算出された第2の像面位置と第2の被写体の過去の像面位置モデルとを用いて、第2の被写体の新たな像面位置モデルを同定する第2の同定ステップと、
    前記複数の焦点検出領域のうちフォーカス制御領域を選択する選択ステップと、
    前記フォーカス制御領域において検出された前記デフォーカス量を用いてフォーカス制御を行うステップとを有し、
    前記選択ステップにおいて、
    前記第1の同定ステップにより同定された前記第1の被写体の像面位置モデルを用いて前記第1の像面位置が移動していると判定した場合は、前記像面位置履歴データを用いて算出した予測デフォーカス量を用いて前記フォーカス制御領域を選択し、
    前記第1の同定ステップにより同定された前記第1の被写体の像面位置モデルを用いて前記第1の像面位置が移動していないと判定し、かつ前記第2の同定ステップにより同定された前記第2の被写体の像面位置モデルを用いて前記第2の像面位置が移動していると判定した場合は、該同定された前記第2の被写体の像面位置モデルを用いて前記フォーカス制御領域を選択することを特徴とするフォーカス制御方法。
  15. コンピュータにフォーカス制御処理を実行させるコンピュータプログラムであって、
    前記フォーカス制御処理は、
    撮像画面内の複数の焦点検出領域のそれぞれにおいてデフォーカス量を検出するステップと、
    前記複数の焦点検出領域のうち第1の焦点検出領域において前記デフォーカス量が検出された時刻の情報および検出された前記デフォーカス量を用いて算出された第1の像面位置の情報を含む像面位置履歴データを記憶するステップと、
    前記第1の像面位置と第1の被写体の過去の像面位置モデルとを用いて、第1の被写体の新たな像面位置モデルを同定する第1の同定ステップと、
    前記第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域において前記デフォーカス量から算出された第2の像面位置と第2の被写体の過去の像面位置モデルとを用いて、第2の被写体の新たな像面位置モデルを同定する第2の同定ステップと、
    前記複数の焦点検出領域のうちフォーカス制御領域を選択する選択ステップと、
    前記フォーカス制御領域において検出された前記デフォーカス量を用いてフォーカス制御を行うステップとを有し、
    前記選択ステップにおいて、
    前記第1の同定ステップにより同定された前記第1の被写体の像面位置モデルを用いて前記第1の像面位置が移動していると判定した場合は、前記像面位置履歴データを用いて算出した予測デフォーカス量を用いて前記フォーカス制御領域を選択し、
    前記第1の同定ステップにより同定された前記第1の被写体の像面位置モデルを用いて前記第1の像面位置が移動していないと判定し、かつ前記第2の同定ステップにより同定された前記第2の被写体の像面位置モデルを用いて前記第2の像面位置が移動していると判定した場合は、該同定された前記第2の被写体の像面位置モデルを用いて前記フォーカス制御領域を選択することを特徴とするフォーカス制御プログラム。
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