JP2018197177A - 多結晶ダイヤモンドおよびその製造方法、スクライブツール、スクライブホイール、ドレッサー、回転工具、伸線ダイス、切削工具、電極ならびに多結晶ダイヤモンドを用いた加工方法 - Google Patents

多結晶ダイヤモンドおよびその製造方法、スクライブツール、スクライブホイール、ドレッサー、回転工具、伸線ダイス、切削工具、電極ならびに多結晶ダイヤモンドを用いた加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表面を保護するための保護膜を形成することができる耐摩耗性の高い多結晶ダイヤモンドを提供する。【解決手段】多結晶ダイヤモンドは、ダイヤモンド単相を基本組成として複数の結晶粒により構成され、ホウ素と、ホウ素化合物と、水素と、酸素と、を含み、残部が炭素および微量不純物であり、上記ホウ素は、結晶粒中に原子レベルで分散し、かつその90原子%以上が孤立置換型として存在し、上記ホウ素化合物、上記水素および上記酸素は、結晶粒中に孤立置換型または侵入型として存在し、上記ホウ素化合物は、酸素を含有するホウ素化合物を含み、結晶粒の粒径が500nm以下であり、多結晶ダイヤモンドの表面が保護膜で被覆されている。【選択図】なし

Description

本発明は、多結晶ダイヤモンドおよびその製造方法に関する。本発明にかかる多結晶ダイヤモンドは、スクライブツール、スクライブホイール、ドレッサー、回転工具、伸線ダイス、切削工具、電極などに好適に用いられる。さらに本発明は、多結晶ダイヤモンドを用いた加工方法に関する。
近年、ナノ多結晶ダイヤモンドが、天然の単結晶ダイヤモンドを超える等方的な硬さを有することが明らかになってきた。このような素材にホウ素化合物を添加することにより導電性を付与したナノ多結晶ダイヤモンドが開発されている。さらに、ホウ素を原子置換型でダイヤモンド結晶粒中に含ませることにより、ダイヤモンド構造に基づいた半導体特性を示すナノ多結晶ダイヤモンドが開発されている。
たとえば、特開2012−106925号公報(特許文献1)は、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶体であって、ダイヤモンドの最大粒径が100nm以下、平均粒径が50nm以下で、ダイヤモンド粒子内にホウ素を10ppm以上1000ppm以下含む高硬度導電性ダイヤモンド多結晶体を開示する。
また、特開2013−28500号公報(特許文献2)は、炭素と、炭素中に原子レベルで分散するように添加されたIII族元素と、不可避不純物とで構成され、結晶粒径が500nm以下である多結晶ダイヤモンドを開示する。
特開2012−106925号公報 特開2013−028500号公報
特開2012−106925号公報(特許文献1)に開示の高硬度導電性ダイヤモンド多結晶体は、ホウ素がホウ素化合物としてダイヤモンドの結晶中に含まれることから、ダイヤモンドの表面にホウ素酸化物が形成され、耐酸化性が高くなる。しかしながら、かかるホウ素化合物が、ダイヤモンド構造ではなくダイヤモンドのような高い硬度を有さず、またダイヤモンドと異なる熱膨張率を有するため、耐摩耗性の低下および高温におけるクラックの発生などの問題点がある。
特開2013−28500号公報(特許文献2)に開示の多結晶ダイヤモンドは、ホウ素が原子レベルで分散されホウ素化合物が含まれないことから、クラックの発生などが抑制されるが、ダイヤモンドの表面を保護する酸化物が形成されず、耐酸化性が高くないため、耐摩耗性の低下などの問題点がある。
そこで、表面を保護するための保護膜を形成することができ、上記問題点を解決して、耐摩耗性の高い多結晶ダイヤモンドおよびその製造方法、上記多結晶ダイヤモンドを用いて形成されたスクライブツール、スクライブホイール、ドレッサー、回転工具、伸線ダイス、切削工具および電極、ならびに上記多結晶ダイヤモンドを用いた加工方法を提供することを目的とする。
本発明のある態様にかかる多結晶ダイヤモンドは、ダイヤモンド単相を基本組成とする多結晶ダイヤモンドであって、上記多結晶ダイヤモンドは、複数の結晶粒により構成され上記多結晶ダイヤモンドは、ホウ素と、ホウ素化合物と、水素と、酸素と、を含み、残部が炭素および微量不純物であり、上記ホウ素は、上記結晶粒中に原子レベルで分散し、かつその90原子%以上が孤立置換型として存在し、上記ホウ素化合物、上記水素および上記酸素は、上記結晶粒中に孤立置換型または侵入型として存在し、上記ホウ素化合物は、酸素を含有するホウ素化合物を含み、上記結晶粒は、その粒径が500nm以下であり、上記多結晶ダイヤモンドは、その表面が保護膜で被覆されている。
本発明の別の態様にかかる多結晶ダイヤモンドの製造方法は、炭素と、上記炭素の結晶粒中に原子レベルで分散し、かつその90原子%以上が孤立置換型として存在するホウ素と、ホウ素化合物と、水素と、酸素と、を含む黒鉛を準備する第1工程と、上記黒鉛を不活性ガス雰囲気下で容器へ充填する第2工程と、上記容器内で、上記黒鉛を加圧熱処理によりダイヤモンドに変換する第3工程と、を含み、上記ホウ素化合物は、酸素を含有するホウ素化合物を含む。
上記によれば、表面を保護するための保護膜を形成することができ、耐摩耗性の高い多結晶ダイヤモンドおよびその製造方法、上記多結晶ダイヤモンドを用いて形成されたスクライブツール、スクライブホイール、ドレッサー、回転工具、伸線ダイス、切削工具および電極、ならびに上記多結晶ダイヤモンドを用いた加工方法を提供することができる。
図1は、本発明のある態様にかかる多結晶ダイヤモンドのSIMSの結果の一例を示すグラフである。 図2は、本発明のある態様にかかる多結晶ダイヤモンドの表面のTOF−SIMSの結果を示すグラフである。 図3は、本発明のある態様にかかる多結晶ダイヤモンドの大気中での加熱の際の質量変化の一例を示すグラフである。 図4は、本発明のある態様にかかる多結晶ダイヤモンドのピン・オン・ディスク摺動試験における動摩擦係数測定の結果の一例を示すグラフである。 図5は、本発明のある態様にかかる多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度測定の結果の一例を示すグラフである。 図6は、本発明のある態様にかかる多結晶ダイヤモンドの二酸化ケイ素に対する摩耗速度測定の結果の一例を示すグラフである。 図7は、本発明の別の態様にかかる多結晶ダイヤモンドの製造方法の工程を示すフローチャートである。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
[1]本発明のある実施態様にかかる多結晶ダイヤモンドは、ダイヤモンド単相を基本組成とする多結晶ダイヤモンドであって、上記多結晶ダイヤモンドは、複数の結晶粒により構成され、上記多結晶ダイヤモンドは、ホウ素と、ホウ素化合物と、水素と、酸素と、を含み、残部が炭素および微量不純物であり、上記ホウ素は、上記結晶粒中に原子レベルで分散し、かつその90原子%以上が孤立置換型として存在し、上記ホウ素化合物、上記水素および上記酸素は、上記結晶粒中に孤立置換型または侵入型(ホウ素化合物の場合は、クラスターとして部分的に格子を置換するクラスター置換型またはクラスターとして侵入するクラスター侵入型を含む。)として存在し、上記ホウ素化合物は、酸素を含有するホウ素化合物を含み、上記結晶粒は、その粒径が500nm以下であり、上記多結晶ダイヤモンドは、その表面が保護膜で被覆されている。本実施形態にかかる多結晶ダイヤモンドは、その内部の高硬度のダイヤモンド構造が維持されるとともに、表面を保護するための保護膜として酸化膜を形成することができ、耐摩耗性が高くなる。
[2]上記ホウ素は、その99原子%以上が孤立置換型として上記結晶粒中に存在し得る。かかる多結晶ダイヤモンドは、多結晶ダイヤモンドの内部の高硬度のダイヤモンド構造がより維持されやすい。
[3]上記ホウ素および上記ホウ素化合物中のホウ素は、それらの合計の原子濃度を1×1014cm-3以上1×1022cm-3以下とすることができる。かかる多結晶ダイヤモンドは、その表面に好適な保護膜を形成できる。
[4]上記水素は、その原子濃度を1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下とすることができる。かかる多結晶ダイヤモンドは、結晶中に酸素を安定して含むことができるとともに、硬度の低下を抑制できる。
[5]本実施形態にかかる多結晶ダイヤモンドにおいて、上記酸素は、その原子濃度を1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下とすることができる。かかる多結晶ダイヤモンドは、表面における酸化膜である保護膜の形成が促進され耐酸化性が向上し摩擦係数が低下するとともに、硬度の低下を抑制できる。
[6]上記多結晶ダイヤモンドは、ラマンスペクトル測定において、1575cm-1±30cm-1を中心として半値幅が20cm-1以下となるピークの面積を、1300cm-1±30cm-1を中心として半値幅が60cm-1以下となるピークの面積の1%未満とすることができる。かかる多結晶ダイヤモンドは、天然のダイヤモンドを超える等方的な硬さを維持できる。
[7]上記多結晶ダイヤモンドは、その表面(保護膜で被覆されている表面)の動摩擦係数を0.06以下とすることができる。かかる多結晶ダイヤモンドは、摺動特性および耐摩耗性が高い。
[8]上記多結晶ダイヤモンドは、その表面(保護膜で被覆されている表面)の動摩擦係数を0.05以下とすることができる。かかる多結晶ダイヤモンドは、摺動特性および耐摩耗性が高い。
[9]上記保護膜は、BOxクラスターと、炭素の酸素終端となるOおよびOHの少なくともいずれかと、を含むことができる。BOxクラスターは表面に露出したB(ホウ素)およびホウ素化合物中のB(ホウ素)の反応により形成されるものと考えられ、炭素の酸素終端となるOおよびOHは表面に露出した炭素の反応により形成されるものと考えられ、いずれも摺動性が高く摩擦係数が小さいため、耐摩耗性が高くなる。
[10]上記保護膜は、上記結晶粒中から析出した析出物を含むことができる。かかる多結晶ダイヤモンドは、保護膜が、摺動性が高く摩擦係数が小さい析出物を含むことにより、耐摩耗性が高くなる。
[11]上記保護膜は、その平均膜厚を1nm以上1000mm以下とすることができる。かかる多結晶ダイヤモンドは、摩擦係数を良好に低減させることができる。
[12]すなわち、本実施形態の多結晶ダイヤモンドは、ダイヤモンド単相を基本組成とする多結晶ダイヤモンドであって、上記多結晶ダイヤモンドは、複数の結晶粒により構成され、上記多結晶ダイヤモンドは、ホウ素と、ホウ素化合物と、水素と、酸素と、を含み、残部が炭素および微量不純物であり、上記ホウ素は、上記結晶粒中に原子レベルで分散し、かつその99原子%以上が孤立置換型として存在し、上記ホウ素化合物、上記水素および上記酸素は、上記結晶粒中に孤立置換型または侵入型として存在し、上記ホウ素化合物は、酸素を含有するホウ素化合物を含み、上記結晶粒は、その粒径が500nm以下であり、上記多結晶ダイヤモンドは、その表面が保護膜で被覆され、上記ホウ素および上記ホウ素化合物中のホウ素は、それらの合計の原子濃度が1×1014cm-3以上1×1022cm-3以下であり、上記水素は、その原子濃度が1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下であり、上記酸素は、その原子濃度が1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下であり、上記多結晶ダイヤモンドは、ラマンスペクトル測定において、1575cm-1±30cm-1を中心として半値幅が20cm-1以下となるピークの面積が、1300cm-1±30cm-1を中心として半値幅が60cm-1以下となるピークの面積の1%未満であり、上記多結晶ダイヤモンドは、その表面の動摩擦係数が0.05以下であり、上記保護膜は、BOxクラスターと、上記炭素の酸素終端となるOおよびOHの少なくともいずれかと、を含み、上記保護膜は、上記結晶粒中から析出した析出物を含む。かかる多結晶ダイヤモンドは、その内部の高硬度のダイヤモンド構造が維持されるとともに、表面を保護するための保護膜として酸化膜を形成することにより、耐酸化性が高くなり、動摩擦係数が低減し、摺動特性が高くなり、耐摩耗性が高くなる。
[13]本発明の別の実施形態にかかる多結晶ダイヤモンドの製造方法は、炭素と、上記炭素の結晶粒中に原子レベルで分散し、かつその90原子%以上が孤立置換型として存在するホウ素と、ホウ素化合物と、水素と、酸素と、を含む黒鉛を準備する第1工程と、上記黒鉛を不活性ガス雰囲気下で容器へ充填する第2工程と、上記容器内で、上記黒鉛を加圧熱処理によりダイヤモンドに変換する第3工程と、を含み、上記ホウ素化合物は、酸素を含有するホウ素化合物を含む。本実施形態にかかる多結晶ダイヤモンドの製造方法は、内部の高硬度のダイヤモンド構造を維持するともに、表面を保護するための保護膜を形成することができるため、耐摩耗性が高い多結晶ダイヤモンドを製造することができる。
[14]上記第1工程は、グラファイト、グラフェン、酸化グラフェン、および炭素の六員環を含む有機化合物の少なくともいずれかと、ホウ素、水素および酸素を含む液状の第1有機化合物と、水素および酸素を含む液状の第2有機化合物と、を混合することにより混合物を得る第1αサブ工程を含むことができる。これにより、内部の高硬度のダイヤモンド構造を維持するともに、表面を保護するための保護膜を形成することができるため、耐摩耗性が高い多結晶ダイヤモンドをより効率的に製造することができる。
[15]上記第1工程は、ホウ素、水素および酸素を含む液状の第1有機化合物およびホウ素を含む液状の第3有機化合物の少なくともいずれかと、水素および酸素を含む液状の第2有機化合物と、を混合することにより混合物を得る第1βサブ工程を含むことができる。これにより、内部の高硬度のダイヤモンド構造を維持するともに、表面を保護するための保護膜を形成することができるため、耐摩耗性が高い多結晶ダイヤモンドをより効率的に製造することができる。
[16]上記第1有機化合物は、ホウ酸トリメチルおよびホウ酸トリエチルの少なくともいずれかとすることができる。これにより、内部の高硬度のダイヤモンド構造を維持するともに、表面を保護するための保護膜を形成することができるため、耐摩耗性が高い多結晶ダイヤモンドをより効率的に製造することができる。
[17]上記第2有機化合物はアルコール類とすることができる。これにより、内部の高硬度のダイヤモンド構造を維持するともに、表面を保護するための保護膜を形成することができるため、耐摩耗性が高い多結晶ダイヤモンドをより効率的に製造することができる。
[18]上記第1工程は、上記混合物を、1500℃以上1800℃以下で熱分解することにより上記黒鉛を形成する第2サブ工程をさらに含むことができる。これにより、内部の高硬度のダイヤモンド構造を維持するともに、表面を保護するための保護膜を形成することができるため、耐摩耗性が高い多結晶ダイヤモンドをより効率的に製造することができる。
[19]上記多結晶ダイヤモンドの製造方法は、第1工程の後であって、第2工程の前に、第4工程をさらに含み、第4工程は、A工程とB工程とC工程とをこの順に複数回繰り返す工程であり、A工程は、上記黒鉛を粉砕体に粉砕する工程であり、B工程は、上記粉砕体を成形体に成形する工程であり、C工程は、上記成形体を1500〜1800℃で熱分解することにより、上記黒鉛を再度準備する工程とすることができる。これにより、B4Cなどの微量不純物の混入を極力避けることが可能となる。
[20]上記第3工程は、加圧熱装置内で、上記黒鉛に直接加圧熱処理を行なうことができる。これにより、コバルトなどからなる結合相(バインダー)などを含むことなく、ダイヤモンド単相を基本組成とする多結晶ダイヤモンドを製造することができる。
[21]上記加圧熱処理は、6GPa以上かつ1200℃以上の条件で行なうことができる。これにより、上記効果を備える多結晶ダイヤモンドを効率的に製造することができる。
[22]上記加圧熱処理は、8GPa以上30GPa以下かつ1500℃以上2300℃以下の条件で行なうことができる。これにより、上記効果を備える多結晶ダイヤモンドを効率的に製造することができる。
[23]本発明のさらに別の実施形態にかかるスクライブツールは、上記多結晶ダイヤモンドを用いて形成することができる。本実施形態にかかるスクライブツールは、上記多結晶ダイヤモンドを用いて形成されたものであるため、耐摩耗性が高い。
[24]本発明のさらに別の実施形態にかかるスクライブホイールは、上記多結晶ダイヤモンドを用いて形成することができる。本実施形態にかかるスクライブホイールは、上記多結晶ダイヤモンドを用いて作成されたものであるため、耐摩耗性が高い。
[25]本発明のさらに別の実施形態にかかるドレッサーは、上記多結晶ダイヤモンドを用いて形成することができる。本実施形態にかかるドレッサーは、上記多結晶ダイヤモンドを用いて作成されたものであるため、耐摩耗性が高い。
[26]本発明のさらに別の実施形態にかかる回転工具は、上記多結晶ダイヤモンドを用いて形成することができる。本実施形態にかかる回転工具は、上記多結晶ダイヤモンドを用いて作成されたものであるため、耐摩耗性が高い。
[27]本発明のさらに別の実施形態にかかる伸線ダイスは、上記多結晶ダイヤモンドを用いて形成することができる。本実施形態にかかる伸線ダイスは、上記多結晶ダイヤモンドを用いて作成されたものであるため、耐摩耗性が高い。
[28]本発明のさらに別の実施形態にかかる切削工具は、上記多結晶ダイヤモンドを用いて形成することができる。本実施形態にかかる切削工具は、上記多結晶ダイヤモンドを用いて作成されたものであるため、耐摩耗性が高い。
[29]本発明のさらに別の実施形態にかかる電極は、上記多結晶ダイヤモンドを用いて形成することができる。本実施形態にかかる電極は、上記多結晶ダイヤモンドを用いて作成されたものであるため、耐摩耗性が高い。
[30]本発明のさらに別の実施形態にかかる加工方法は、上記多結晶ダイヤモンドを用いて対象物を加工することができる。本実施形態にかかる加工方法は、上記多結晶ダイヤモンドを用いて対象物を加工するため、効率よく低コストで対象物を加工できる。
[31]上記対象物は、絶縁体とすることができる。対象物が絶縁体であっても、トライボプラズマなどによる異常な損耗を発生させることなく、効率よく低コストで対象物を加工できる。
[32]上記絶縁体は、100kΩ・cm以上の抵抗率を有することができる。対象物が100kΩ・cm以上の抵抗率を有する絶縁体であっても、トライボプラズマによるエッチングを発生させることなく、効率よく低コストで対象物を加工できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態についてさらに詳細に説明する。ここで、本明細書において「A〜B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。また、本明細書において化合物などを化学式で表す場合、原子比を特に限定しないときは従来公知のあらゆる原子比を含むものとし、必ずしも化学量論的範囲のもののみに限定されるべきではない。
≪実施形態1:多結晶ダイヤモンド≫
本実施形態にかかる多結晶ダイヤモンドは、ダイヤモンド単相を基本組成とし、複数の結晶粒により構成される。さらに、多結晶ダイヤモンドは、ホウ素と、ホウ素化合物と、水素と、酸素とを含み、残部が炭素および微量不純物である。ホウ素は、結晶粒中に原子レベルで分散し、かつその90原子%以上が孤立置換型として存在する。ホウ素化合物、水素および酸素は、結晶粒中に孤立置換型または侵入型(ホウ素化合物の場合は、クラスターとして部分的に格子を置換するクラスター置換型またはクラスターとして侵入するクラスター侵入型を含む。)で含まれる。ホウ素化合物は、酸素を含有するホウ素化合物(以下、酸素含有ホウ素化合物ともいう)を含む。結晶粒は、その粒径が500nm以下である。多結晶ダイヤモンドは、その表面が保護膜で被覆されている。
本実施形態にかかる多結晶ダイヤモンドは、ダイヤモンド単相を基本組成とすることから、焼結助剤および触媒の両方またはいずれか一方により形成される結合相(バインダー)を含むことがなく、高温条件下においても熱膨張率の差異による脱粒が発生しない。さらに、多結晶ダイヤモンドは、複数の結晶粒により構成される多結晶であり、その粒径が500nm以下であることから、単結晶のような方向性および劈開性がなく、全方位に対して等方的な硬度および耐摩耗性を有する。多結晶ダイヤモンドは、結晶粒中にホウ素と、ホウ素化合物と、水素と、酸素とを含むことから、その表面が酸化膜である保護膜で被覆される。これにより耐酸化性が高くなり、かつ動摩擦係数の低減により摺動特性および耐摩耗性が高くなる。
本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおいて、全方位に対して等方的な硬度および耐摩耗性を有する観点から、多結晶ダイヤモンドの結晶粒の最大の粒径は、500nm以下であり、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。また、多結晶ダイヤモンドの粒界すべりによる高度の低下を抑制する観点から、多結晶ダイヤモンドの結晶粒の最小の粒径は、1nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましい。
多結晶ダイヤモンドの粒径は、SEM、TEMといった電子顕微鏡法により測定することができる。多結晶ダイヤモンドを任意の面を研磨することにより、粒径を測定するための観察用研磨面を準備し、たとえばSEMを用いて20000倍の倍率により、上記観察用研磨面の任意の1か所(1視野)を観察する。1視野には多結晶ダイヤモンドの結晶粒が120〜200000個程度現れるので、このうち10個の粒径を求め、そのすべてが500nm以下であることを確認する。これを試料のサイズ全体にわたる視野すべてについて行なうことにより、多結晶ダイヤモンドの粒径が500nm以下であることを確認することができる。
多結晶ダイヤモンドの粒径は、以下の条件に基づくX線回折法(XRD法)により測定することもできる。
測定装置: 商品名(品番)「X’pert」、PANalytical社製
X線光源: Cu−Kα線(波長は1.54185Å)
走査軸: 2θ
走査範囲: 20°〜120°
電圧: 40kV
電流: 30mA
スキャンスピード: 1°/min
半値幅は、ピークフィッティングの上、Scherrer式(D=Kλ/Bcosθ)から求めた。ここで、Dはダイヤモンドの結晶粒の粒径、Bは回折線幅、λはX線の波長、θはブラッグ角、KはSEM像との相関から定まる補正係数(0.9)を用いる。
<多結晶ダイヤモンド中の元素>
本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおいては、ホウ素が原子レベルで分散しかつ全体の90原子%以上が孤立置換型で存在するとともに、ホウ素化合物、水素および酸素が孤立置換型または侵入型で存在する。ここで、ホウ素化合物の場合は、クラスターとして部分的に格子を置換するクラスター置換型またはクラスターとして侵入するクラスター侵入型で存在する場合を含む。これらのことから、多結晶ダイヤモンドの内部からその表面に露出したホウ素、ホウ素化合物、水素および酸素の少なくともいずれかとの反応、あるいはこれらの元素および化合物の少なくともいずれかと大気中の酸素との反応などにより酸化膜が形成されて、その酸化膜が保護膜として多結晶ダイヤモンドの表面を被覆する。かかる保護膜により、多結晶ダイヤモンドの耐酸化性が高くなるとともに、摩擦係数が低減するため、摺動特性および耐摩耗性が高くなる。本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおいて、保護膜は、多結晶ダイヤモンドの内部からその表面に析出することにより形成される析出物を含んでいてもよい。
すなわち、本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおいては、表面が摩耗および/または破損によって損傷したときに表面のみに酸化膜である保護膜が形成され、内部はダイヤモンド構造が維持されて硬度が維持される。また、ホウ素が原子レベルで分散しかつ全体の90原子%以上が孤立置換型で含まれ、内部にクラスター状に凝集することがなく、また、ダイヤモンドの結晶の粒界に凝集することもないため、温度変化および/または衝撃による亀裂の起点となるような不純物偏析がない。また、ホウ素が原子レベルで分散しかつ全体の90原子%以上が孤立置換型で含まれることから、多結晶ダイヤモンドの全体にわたって所望の露出表面に局在化した酸化膜である保護膜が形成され、電荷としては正孔過剰な状態であるため、表面のみにさらに酸素をひきつけやすい。
本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおいて、「原子レベルで分散する」とは、炭素とホウ素とを気相状態で混合させて多結晶ダイヤモンドを作成する場合に、多結晶ダイヤモンドの結晶を形成する炭素中にホウ素などの異種元素がそれぞれ有限の活性化エネルギーを持って、ダイヤモンド結晶構造を変えずに、分散するレベルの分散状態をいう。すなわち、かかる分散状態は、孤立して析出する異種元素およびダイヤモンド以外の異種化合物を形成していない状態をいう。また、「孤立置換型」とは、ホウ素、ホウ素化合物、水素および酸素などの異種元素が、孤立して、多結晶ダイヤモンドまたは黒鉛の結晶格子の格子点に位置する炭素に置き換わっている存在形態をいう。また、「侵入型」とは、ホウ素化合物、水素および酸素などの異種元素が、多結晶ダイヤモンドの結晶格子の格子点に位置する炭素間の隙間に侵入している存在形態をいう。なお、ホウ素化合物の場合は、クラスターとして部分的に格子を置換するクラスター置換型またはクラスターとして侵入するクラスター侵入型の存在形態を含む。
本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおけるホウ素、ホウ素化合物、水素および酸素の分散状態および存在形態は、TEM(透過型電子顕微鏡)により観察する。また、ホウ素と「原子レベルで分散する」および「孤立置換型」であることは、電気抵抗の温度依存性、活性化エネルギーの検出またはTOF−SIMS(飛行時間型−二次イオン質量分析)により確認する。「孤立置換型」または「侵入型」で存在していることも、TOF−SIMSにより評価する。ホウ素およびホウ素化合物中のホウ素、水素および酸素の原子濃度は、多結晶ダイヤモンドの内部についてはSIMS(二次イオン質量分析法)により、多結晶ダイヤモンドの表面およびその近傍(たとえば、保護膜としての酸化膜およびその近傍の多結晶ダイヤモンド、表面から100nmの深さまで)についてはTOF−SIMSにより測定する。ここで、ホウ素とホウ素化合物との識別は、TOF−SIMSにおけるクラスターの種類によって識別できる。したがって、原子のみを測定するSIMSとクラスターを測定するTOF−SIMSを併用することにより、ホウ素およびホウ素化合物のそれぞれにおけるホウ素の原子濃度を測定できる。また、上記の分散状態および存在状態は、XRD(X線回折)、ラマン分光などによっても評価できる。また、本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおける炭素、ホウ素化合物、ホウ素、水素および酸素以外の微量不純物の原子濃度は、SIMSまたはICP−MS(誘導結合プラズマ−質量分析法)により測定する。
本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおいて、多結晶ダイヤモンドの内部の高硬度のダイヤモンド構造が維持されやすい観点から、ホウ素は、全体の90原子%以上が孤立置換型であり、好ましくは全体の95原子%以上が孤立置換型であり、より好ましくは全体の99原子%以上が孤立置換型である。ホウ素の全体に対する孤立置換型ホウ素の割合は、TOF−SIMSにより測定する。ホウ素は、多結晶ダイヤモンド結晶粒中にその90原子%以上が孤立置換型として存在することにより、ヌープ硬度が50GPa程度である立方晶型窒化ホウ素、および90GPa程度のIb型ダイヤモンド単結晶よりも高い硬度を有する。
本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおいて、ホウ素化合物は、酸素を含有するホウ素化合物を含む。かかる酸素含有ホウ素化合物も、多結晶ダイヤモンドの内部からその表面に露出すると、ホウ素、水素および酸素の少なくともいずれかとの反応、あるいはこれらの元素と同様に大気中の酸素との反応などにより酸化膜を形成して、その酸化膜が保護膜として多結晶ダイヤモンドの表面を被覆する。このため、多結晶ダイヤモンドの耐酸化性が高くなるとともに、摩擦係数が低減するため、摺動特性および耐摩耗性が高くなる。ここで、酸素含有ホウ素化合物は、特に制限はないが、代表的なものとして、酸化ホウ素およびホウ酸が挙げられる。酸化ホウ素は、ホウ素と酸素との原子数の比に制限はなく、B23、BO3などを含む。また、ホウ酸も、ホウ素と水素と酸素との原子数の比に制限はなく、H3BO3(オルトホウ酸)、HBO2(メタホウ酸)などを含む。
(ホウ素の原子濃度)
本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおいて、その表面に好適な保護膜として酸化膜を形成する観点から、ホウ素(原子レベルで分散しているホウ素、以下同じ。)およびホウ素化合物中のホウ素の合計の原子濃度は、1×1014cm-3以上1×1022cm-3以下が好ましく、1×1014cm-3以上1×1021cm-3以下がより好ましい。ホウ素の原子濃度のより好ましい範囲は、好ましい範囲に比べて、保護膜の不良率が激減し、歩留が30%以上から90%以上に向上する。ここで、多結晶ダイヤモンドの表面により好適な保護膜として酸化膜を形成する観点から、ホウ素の原子濃度とホウ素化合物中のホウ素の原子濃度との比は、100:1から100:10までの範囲が好ましい。
また、多結晶ダイヤモンドは、上記のホウ素およびホウ素化合物中のホウ素の合計の原子濃度範囲のうちで、1×1019cm-3未満の範囲ではp型半導体としての電気特性を示し、1×1019cm-3以上の範囲では金属的な導電体としての電気特性を示す。
(水素の原子濃度)
本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおいて、結晶中に酸素を安定して含むことができるとともに、硬度の低下および結晶粒径の増大を抑制できる観点から、水素の原子濃度は、1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下が好ましく、1×1017cm-3以上1×1019cm-3以下がより好ましい。しかしながら、たとえ硬度が低下しても、ヌープ硬度が50GPa程度の立方晶型窒化ホウ素、90GPa程度の工業用Ib型ダイヤモンド単結晶よりも高い硬度を有するため、耐摩耗性特性を活かす用途(たとえば、線引きダイス用、摺動部品用など)では十分に有用である。結晶中に水素がない場合は、酸素は多結晶ダイヤモンド中の炭素と反応して酸化炭素(COx)系ガスとなり高温で抜けやすく多結晶ダイヤモンドの結晶内への酸素の添加が困難である。
(酸素の原子濃度)
本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおいて、表面における酸化膜である保護膜の形成が促進され耐酸化性が向上し摩擦係数が低下するとともに、硬度の低下および結晶粒径の増大を抑制できる観点から、酸素の原子濃度は、1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下が好ましく、1×1017cm-3以上1×1019cm-3以下がより好ましい。
(微量不純物の濃度)
多結晶ダイヤモンドに含まれる微量不純物とは、多結晶ダイヤモンドの製造上、微量に含まれる可能性がある化合物の総称をいう。微量不純物として含まれる各化合物の含有量(原子濃度)は、それぞれ0cm-3以上1×1016cm-3以下であり、各化合物の総和(すなわち微量不純物の含有量(原子濃度))は0cm-3以上1×1017cm-3以下である。したがって、微量不純物は多結晶ダイヤモンドに含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。微量不純物としては、B4Cなどを含む。これら以外の微量不純物には遷移金属元素に分類される金属元素を含む化合物などが挙げられる。
(SIMS測定)
図1は、本実施形態の多結晶ダイヤモンドのSIMSの結果の一例を示すグラフである。図1に示す多結晶ダイヤモンドは、後述の液相法により形成されたホウ素、ホウ素化合物、水素および酸素を含む黒鉛を16GPaかつ2100℃の条件で直接ダイヤモンドに変換したものである。また、SIMSの測定条件は、以下のとおりである。
測定装置: 商品名(品番):「IMS−7f」、AMETEK社製
一次イオン種: セシウム(Cs+)
一次加速電圧: 15kV
検出領域: 30(μmφ)
測定精度: ±40%(2σ)。
図1を参照して、本実施形態の多結晶ダイヤモンドには、その表面から内部に亘って、ホウ素、水素、および酸素が均一の濃度(原子濃度)で含まれている。
(TOF−SIMS測定)
図2は、本実施形態の多結晶ダイヤモンドの表面のTOF−SIMSの結果の一例を示すグラフである。図2に示す多結晶ダイヤモンドは、図1に示すSIMSに用いた多結晶ダイヤモンドである。また、TOF−SIMSの測定条件は以下のとおりである。
測定装置: TOF−SIMS質量分析計(飛行時間二次イオン質量分析計)
一次イオン源: ビスマス(Bi)
一次加速電圧: 25kV。
図2を参照して、多結晶ダイヤモンドの表面を被覆している保護膜としての酸化膜に含まれる含有酸素種として、BO2、O、O2の3種類の化学種が検出されている。ここで、ホウ素が酸化膜中でBO2として検出されていることから、多結晶ダイヤモンドの内部の結晶中では、ホウ素は原子レベルで分散して大部分が孤立置換型で含まれていると考えられる。
図1および図2から、ホウ素化合物に関して、酸素の含有量の0.1倍程度の酸素含有ホウ素化合物、ホウ素の含有量の0.01倍程度のB4Cが存在すると見込まれる。
(ラマンスペクトル)
本実施形態の多結晶ダイヤモンドは、ラマンスペクトル測定において、1575cm-1±30cm-1を中心として半値幅が20cm-1以下となるピークの面積が、1300cm-1±30cm-1を中心として半値幅が60cm-1以下となるピークの面積の1%未満が好ましく、0.2%未満がより好ましい。かかる多結晶ダイヤモンドはアモルファス炭素またはグラファイト炭素(SP2炭素)に由来する1575cm-1±30cm-1を中心として半値幅が20cm-1以下となるピークの面積が、ダイヤモンド炭素(SP3炭素)に由来する1300cm-1±30cm-1を中心として半値幅が60cm-1以下となるピークの面積の1%未満であることから、グラファイト炭素はほぼ完全に(具体的には99原子%以上が)ダイヤモンド炭素に変換されているため、高い硬度を有する。
(動摩擦係数)
本実施形態の多結晶ダイヤモンドは、その表面の動摩擦係数が、0.06以下が好ましく、0.05以下がより好ましく、0.04以下がさらに好ましく、0.03以下が特に好ましく、0.02以下が最も好ましい。かかる多結晶ダイヤモンドは、大気中における動摩擦係数が0.06以下と低いことから、摺動特性が高く、耐摩耗性が高い。
(保護膜)
本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおいて、その表面を保護する保護膜として形成される酸化膜は、BOxクラスターと、炭素の酸素終端となるOおよびOHの少なくともいずれかと、を含むことが好ましい。BOxクラスターは表面に露出したB(ホウ素)が大気中の酸素および結晶中の酸素(真空中または不活性ガス中では結晶中の酸素)と反応することにより得られるものと考えられ、炭素の酸素終端となるOおよびOHは表面に露出した炭素が大気中の酸素および結晶中の酸素(真空中または不活性ガス中では結晶中の酸素)と反応することにより得られたものと考えられ、いずれも摺動性が高く摩擦係数が小さいため、耐摩耗性が高くなる。
図2を参照して、本実施形態の多結晶ダイヤモンドの表面のTOF−SIMSの結果の一例から、保護膜である酸化膜に含まれる酸素種として、BO2、O、O2の3種類の化学種が存在していることが分かる。BO2は、BOxクラスターに由来するものであり、BOxクラスターはBO2、B24、B36などの形態で存在しているものと考えられる。OおよびO2は、炭素の酸素終端となるOおよびOHの少なくともいずれかに由来するものと考えられる。
本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおいて、保護膜は、結晶粒中から析出した析出物をさらに含むことが好ましい。かかる多結晶ダイヤモンドは、保護膜が、BOxクラスターと、炭素の酸素終端となるOおよびOHの少なくともいずれかとに加えて、さらに摺動性が高く摩擦係数が小さい結晶粒中からの析出物を含むことにより、耐摩耗性が高くなる。析出物は、特に限定されないが、B23などのホウ素酸化物が主成分である。B23は、多結晶ダイヤモンドの表面から外れたB(ホウ素)およびBO2が、大気中の酸素および結晶中の酸素(真空中または不活性ガス中では結晶中の酸素)と反応することにより形成されるものと考えられる。かかる析出物も、デブリ(具体的には、研磨くずからなる堆積物)として残留および蓄積し、潤滑作用を有するため、摩擦係数の低減に寄与する。
本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおいて、多結晶ダイヤモンドの機械的損傷によりその表面が欠損しても、保護膜のその欠損以外の部分によりその欠損の部分を充填することにより滑らかな表面を維持する観点から、保護膜の平均膜厚は、1nm以上1000nm以下が好ましく、10nm以上500nm以下がより好ましい。ここで、保護膜の平均膜厚は、触針式表面形状測定装置(たとえば、ブルカー社のDektak(登録商標)触針式プロファイリングシステム)、TEMにより測定する。
すなわち、本実施形態の多結晶ダイヤモンドは、ダイヤモンド単相を基本組成とする多結晶ダイヤモンドである。さらに、上記多結晶ダイヤモンドは、複数の結晶粒により構成され、上記多結晶ダイヤモンドは、ホウ素と、ホウ素化合物と、水素と、酸素と、を含み、残部が炭素および微量不純物である。上記ホウ素は、上記結晶粒中に原子レベルで分散し、かつその99原子%以上が孤立置換型として存在する。上記ホウ素化合物、上記水素および上記酸素は、上記結晶粒中に孤立置換型または侵入型として存在する。上記ホウ素化合物は、酸素含有ホウ素化合物を含む。上記結晶粒は、その粒径が500nm以下である。上記多結晶ダイヤモンドは、その表面が保護膜で被覆されている。上記ホウ素および上記ホウ素化合物中のホウ素は、それらの合計の原子濃度が1×1014cm-3以上1×1022cm-3以下であり、上記水素は、その原子濃度が1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下であり、上記酸素は、その原子濃度が1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下であり、上記多結晶ダイヤモンドは、ラマンスペクトル測定において、1575cm-1±30cm-1を中心として半値幅が20cm-1以下となるピークの面積が、1300cm-1±30cm-1を中心として半値幅が60cm-1以下となるピークの面積の1%未満であり、上記多結晶ダイヤモンドは、その表面(保護膜で被覆されている表面)の動摩擦係数が0.05以下であり、上記保護膜は、BOxクラスターと、上記炭素の酸素終端となるOおよびOHの少なくともいずれかと、を含み、上記保護膜は、上記結晶粒中から析出した析出物を含むことが好ましい。かかる多結晶ダイヤモンドは、その内部の高硬度のダイヤモンド構造が維持されるとともに、表面を保護するための保護膜として酸化膜を形成することにより、耐酸化性が高くなり、摩擦係数が低減し、摺動特性が高くなり、耐摩耗性が高くなる。
本実施形態の多結晶ダイヤモンドの物性の確認および評価について、具体例を挙げて、以下に詳細に説明する。
(保護膜形成の確認)
本実施形態の多結晶ダイヤモンド(ホウ素原子濃度(ホウ素およびホウ素化合物中のホウ素の合計の原子濃度をいう、以下同じ。)6.8×1020cm-3、水素原子濃度6.0×1018cm-3、酸素原子濃度3.0×1018cm-3)の表面のAES(オージェ電子分光法)による化学分析により、表面から深さ0.5nm程度までの表層に酸素が検出されることから、室温(たとえば25℃)においても表面に保護膜としての酸化膜が形成されていることが分かる。
図3は、本実施形態の多結晶ダイヤモンドの大気中での加熱の際の質量変化の一例を示すグラフである。図3を参照して、ホウ素、ホウ素化合物、水素および酸素を含む多結晶ダイヤモンドおよびホウ素およびホウ素化合物のみを含む多結晶ダイヤモンドは、800℃程度まで質量が微増する。これは、高温下において表面における酸化膜である保護膜の形成が促進されることを示唆する。また、ホウ素を含まない多結晶ダイヤモンドは800℃程度から急激に質量が低減し、ホウ素およびホウ素化合物のみを含む多結晶ダイヤモンドは800℃程度から徐々に質量が低減しているのに対し、ホウ素、ホウ素化合物、水素および酸素を含む多結晶ダイヤモンドは、1000℃程度まで質量の減少が見られない。すなわち、ホウ素、ホウ素化合物、水素および酸素を含む多結晶ダイヤモンドにおいては、安定な酸化膜が形成され、これが保護膜となって、多結晶ダイヤモンドの耐酸化性が向上したものと考えられる。
(動摩擦係数の評価)
図4は、本実施形態の多結晶ダイヤモンドのピン・オン・ディスク摺動試験による動摩擦係数測定の結果の一例を示すグラフである。ピン・オン・ディスク摺動試験は、以下の条件により行なう。
ボール材質: SUS
荷重: 10N
回転数: 400rpm
摺動半径: 1.25mm
試験時間: 100分
温度: 室温雰囲気: 大気(25℃で相対湿度30%)。
図4を参照して、乾燥雰囲気(たとえば25℃で相対湿度30%以下)下で、無添加の多結晶ダイヤモンドの動摩擦係数に対して、ホウ素およびホウ素化合物を含む多結晶ダイヤモンドの動摩擦係数は0.25倍以下にまで低下し、ホウ素、ホウ素化合物、水素および酸素を含む多結晶ダイヤモンドの動摩擦係数は0.20倍以下にまでに低下する。なお、本実施形態の多結晶ダイヤモンドの表面に形成される保護膜としての酸化膜は、水溶性であるため、使用環境は乾燥雰囲気中が好ましく、大気中であれば25℃における相対湿度が30%の水分量以下が好ましく、25℃における相対湿度が20%の水分量以下がより好ましく、大気中以外の雰囲気(たとえばAr(アルゴン)雰囲気または鉱物油雰囲気)中であれば、水分含有量25%以下が好ましく、水分含有量20%以下がより好ましい。
(硬度の評価)
図5は、本実施形態の多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度測定の結果の一例を示すグラフである。ヌープ硬度測定は、JIS Z2251:2009に準拠して、測定における荷重は4.9Nとする。図5を参照して、無添加の多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度に対して、ホウ素およびホウ素化合物を含む多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は、ホウ素原子濃度の増大とともに幾分か低下し、ホウ素、ホウ素化合物、水素および酸素を含む多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は、ホウ素原子濃度、水素原子濃度および酸素原子濃度の増大とともにさらに幾分か低下する。多結晶ダイヤモンドに含まれるホウ素、ホウ素化合物、水素および酸素が塑性変形の起点となり、硬度を幾分か低下させているものと考えられる。しかしながら、ホウ素の合計の原子濃度4.0×1020cm-3、水素原子濃度1.0×1019cm-3および酸素原子濃度1.0×1019cm-3の多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は、通常の合成単結晶ダイヤモンド(Ib型単結晶ダイヤモンド、孤立置換型の窒素原子濃度が1.7×1019cm-3)のヌープ硬度と同等以上である。
(耐摩耗性の評価)
多結晶ダイヤモンドを、直径φ1mm×高さ2mmの円柱形状に加工して、番号#800のメタルボンドダイヤモンドホイール(アライドマテリアル社製)を用いた、多結晶ダイヤモンドの摩耗試験(荷重が2.5kgf/mm2、摺動速度が200mm/min)によると、ホウ素およびホウ素化合物(ホウ素の合計の原子濃度が2.5×1019cm-3〜4.0×1020cm-3)、水素(原子濃度が2.2×1018cm-3〜3.5×1019cm-3)および酸素(原子濃度が2.2×1018cm-3〜2.2×1019cm-3)を含む多結晶ダイヤモンドは、その摩耗速度が2.5〜3mm3/hであることから、摩耗速度が10mm3/hである無添加の多結晶ダイヤモンドに比べて、耐摩耗性が3〜4倍に向上する。
上記のメタルボンドダイヤモンドホイールを用いた摩耗試験においては、機械的摩耗と熱化学的摩耗が相乗的に進行している。そこで、以下に示すように、機械摩耗特性および熱化学的摩耗特性について評価する。
多結晶ダイヤモンドの機械的摩耗特性を評価するために、主として機械的摩耗が進行する酸化アルミニウム(Al23)に対する低速度長時間摺動試験を行なう。ホウ素およびホウ素化合物(ホウ素の合計の原子濃度が0cm-3〜4.0×1020cm-3)、水素(原子濃度が0cm-3〜4.0×1019cm-3)および酸素(原子濃度が0cm-3〜4.0×1020cm-3)を含む多結晶ダイヤモンドを用いて作成した先端の試験面が直径0.3mmの円錐台形状の試験片をマシニングセンターに用いて、これに0.3MPaの一定荷重でAl23焼結体(純度が99.9質量%)に押し付けて、5m/minの低速度で、10kmの距離を摺動させて、先端径の広がりから摩耗量を算出する。ホウ素、水素、および酸素を含む多結晶ダイヤモンドの摩耗量は、無添加の多結晶体ダイヤモンドに比べて、0.05倍程度であり、耐摩耗性が大幅に向上する。ホウ素、水素、および酸素を含む多結晶ダイヤモンドの摩耗により更新される表面に形成される酸化膜である保護膜の潤滑効果により摺動特性が大きく向上し、機械的摩耗が著しく抑制されるものと考えられる。
多結晶ダイヤモンドの熱化学的摩耗特性を評価するために、主として熱化学的摩耗が進行する二酸化ケイ素(SiO2)に対する摺動試験を行なう。ホウ素およびホウ素化合物(ホウ素の合計の原子濃度が0cm-3〜4.0×1020cm-3)、水素(原子濃度が0cm-3〜4.0×1019cm-3)および酸素(原子濃度が0cm-3〜4.0×1020cm-3)を含む多結晶ダイヤモンドを用いて作成した先端の試験面が直径0.3mmの円錐台形状の試験片を固定して、直径20mmの合成石英(SiO2)を研磨盤として、6000rpm(摺動速度260〜340m/min)で回転させながら、固定した試験片の試験面に0.1MPaで押し付けて摺動させる。
図6は、本多結晶体ダイヤモンドの二酸化ケイ素に対する摩耗速度測定の結果の一例を示すグラフである。図6に示すように、ホウ素、ホウ素化合物、水素、および酸素を含む多結晶ダイヤモンドは、無添加の多結晶ダイヤモンドに比べて、摩耗速度が低くなり、耐摩耗性が向上する。特にホウ素原子濃度が2×1019cm-3〜2×1020cm-3の多結晶ダイヤモンドにおいては、摩耗速度が著しく低くなり、耐摩耗性が大幅に向上する。多結晶ダイヤモンドの二酸化ケイ素に対する損傷は、化学反応による摩耗により発生するが、ホウ素、ホウ素化合物、水素、および酸素を含む多結晶ダイヤモンドの摩耗により更新される表面に形成される酸化膜である保護膜の潤滑効果により摺動特性が大きく向上し、熱化学的摩耗が著しく抑制されるものと考えられる。
ホウ素、ホウ素化合物、水素、および酸素を含む多結晶ダイヤモンドにおける機械的摩耗の抑制および摩擦による発熱抑制による熱化学的摩耗の抑制は,超硬合金やアルミニウム合金をはじめとする難削材の加工に好適であることを示している。
上記のように、本実施形態の多結晶ダイヤモンドは、結晶中に、原子レベルで分散しかつ全体の90原子%以上が孤立置換型で含まれるホウ素と、孤立置換型または侵入型で含まれるホウ素化合物、水素および酸素と、により表面に酸化物が形成され、かかる酸化膜である保護膜の耐酸化性および潤滑性により、耐酸化性、耐摩耗性および摺動特性が向上する。
また、本実施形態の多結晶ダイヤモンドは、含まれるホウ素により導電性を有するため、無添加の多結晶ダイヤモンド、通常の単結晶ダイヤモンドなどで見られるトライボプラズマによる異常な損耗も抑制される。したがって、本実施形態多結晶ダイヤモンドは,セラミックス、プラスチック、ガラス,石英などの絶縁性の対象物の加工に対して高い性能が期待できる。
≪実施形態2:多結晶ダイヤモンドの製造方法≫
図7を参照して、本実施形態にかかる多結晶ダイヤモンドの製造方法は、炭素と、上記炭素の結晶粒中に原子レベルで分散し、かつその90原子%以上が孤立置換型として存在するホウ素と、ホウ素化合物と、水素と、酸素と、を含む黒鉛を準備する第1工程S10と、上記黒鉛を不活性ガス雰囲気下で容器へ充填する第2工程と、上記容器内で、上記黒鉛を加圧熱処理によりダイヤモンドに変換する第3工程と、を含み、上記ホウ素化合物は、酸素含有ホウ素化合物を含む。本実施形態にかかる多結晶ダイヤモンドの製造方法は、内部の高硬度のダイヤモンド構造を維持するともに、表面を保護するための保護膜として酸化膜を形成することができるため、耐摩耗性が高い多結晶ダイヤモンドを製造することができる。
<第1工程>
第1工程S10は、炭素と、上記炭素の結晶粒中に原子レベルで分散し、かつその90原子%以上が孤立置換型として存在するホウ素と、ホウ素化合物と、水素と、酸素と、を含む黒鉛を効率よく製造する観点から、第1サブ工程と第2サブ工程とを含むことが好ましい。また、第1工程S10は、上記黒鉛に水素および酸素を含まれる観点から、第3サブ工程をさらに含むこともできる。ここで、第1サブ工程においては、互いに方法の異なる2種類の第1サブ工程のいずれかを選択できる。
(第1サブ工程)
第1サブ工程として選択される第1の方法である第1αサブ工程は、グラファイト、グラフェン、酸化グラフェン、および炭素の六員環を含む有機化合物の少なくともいずれかと、ホウ素、水素および酸素を含む液状の第1有機化合物と、水素および酸素を含む液状の第2有機化合物と、を混合することにより混合物を得るサブ工程である。第1αサブ工程は、上記黒鉛の収率が高い点で有利である。
第1サブ工程として選択される第2の方法である第1βサブ工程は、ホウ素、水素および酸素を含む液状の第1有機化合物およびホウ素を含む液状の第3有機化合物の少なくともいずれかと、水素および酸素を含む液状の第2有機化合物と、を混合することにより混合物を得るサブ工程である。第1βサブ工程は、混合物が均一分散性に優れる点で有利である。
グラファイト、グラフェン、酸化グラフェン、および炭素の六員環を含む有機化合物の少なくともいずれかは、上記黒鉛の収率を高める。ここで、炭素の六員環とは、ベンゼンなどの芳香族環、ヘキサンなどの脂肪族環などを含む。
上記第1有機化合物は、ホウ酸トリメチルおよびホウ酸トリエチルの少なくともいずれかが好ましい。ホウ酸トリメチル(融点−29℃、沸点69℃)およびホウ酸トリエチル(融点−85℃、沸点117℃)は、室温(たとえば25℃)を含む広い温度範囲において液状であるため取り扱いやすく、また、一分子におけるホウ素、水素および酸素の含有率が高いため効率的にホウ素、水素および酸素を添加できる。
上記第2有機化合物は、アルコール類が好ましい。アルコール類は、室温(たとえば25℃)を含む広い温度範囲において液状であるため取り扱いやすく、また、溶媒としても好適であり、また、一分子における水素および酸素の含有率が高いため効率的にホウ素、水素および酸素を添加できる。かかる観点から、アルコール類として、メタノール(融点−97.78℃、沸点64.65℃)、エタノール(融点−114.5℃、沸点78.37℃)、1−プロパノール(融点−126.5℃、沸点97.15℃)、2−プロパノール(融点−89.5℃、沸点82.4℃)などが好ましい。
上記第3有機化合物は、トリエチルボランを代表とするトリアルキルボランなどが好ましい。これらは、室温(たとえば25℃)を含む広い温度範囲において液状であるため取り扱いやすく、また、一分子におけるホウ素の含有率が高いため効率的にホウ素を添加できる。
(第2サブ工程)
第2サブ工程は、上記混合物を、1500℃以上1800℃以下で熱分解することにより上記黒鉛を形成するサブ工程である。かかるサブ工程により、上記混合物から効率的に上記黒鉛が得られる。上記黒鉛の形成を促進するとともに上記黒鉛からの水素および酸素の抜けを抑制する観点から、上記混合物の熱分解の条件は、不活性ガス雰囲気下が好ましく、0.1気圧以上2気圧以下が好ましく、1500℃以上1800℃以下が好ましい。ここで、不活性ガスとは、上記黒鉛の形成および上記黒鉛から多結晶ダイヤモンドへ変換する際に、上記の有機化合物および上記黒鉛と反応しないガスをいい、たとえば、Ar(アルゴン)ガス、He(ヘリウム)ガス、Xe(キセノン)ガスなどが好適である。
<第4工程>
本実施形態にかかる多結晶ダイヤモンドの製造方法は、上記第1工程の後であって、後述する第2工程の前に、第4工程をさらに含むことが好ましい。第4工程は、A工程とB工程とC工程とをこの順に複数回繰り返す工程である。A工程は、上記黒鉛を粉砕体に粉砕する工程であり、B工程は、上記粉砕体を成形体に成形する工程であり、C工程は、上記成形体を1500〜1800℃で熱分解することにより、上記黒鉛を再度準備する工程である。これにより、B4Cなどの微量不純物の混入を極力避けることが可能となる。上記黒鉛にB4Cが混入しているか否かは、たとえばX線回折装置を用いたB4C由来のピークの有無により確認することができる。
本実施形態にかかる多結晶ダイヤモンドの製造方法は、上記第1工程の後および上記第4工程の後の両方またはいずれか一方であって、後述する第2工程の前に、次のような工程を含むことができる。すなわち、第1工程または上記第4工程で準備した黒鉛に、真空条件で、水素および酸素の少なくともいずれかを含ませる工程である。かかる工程により、上記黒鉛に水素および酸素の少なくともいずれかを所望量さらに添加できる。真空条件下とは、特に制限はないが、微量不純物の混入を低減する観点から、10Pa以下が好ましく、1Pa以下がより好ましい。雰囲気温度は、炭素の酸化を抑制する観点から、600℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましい。真空条件下で上記黒鉛に水素と酸素とを含ませる方法は、上記の真空条件下で上記黒鉛に水素および酸素の少なくともいずれかを単独形態または複合形態で多結晶ダイヤモンドに導入できる方法であれば特に制限はない。
上記黒鉛におけるホウ素、ホウ素化合物、水素および酸素の分散状態ならびに存在形態は、上記多結晶ダイヤモンドにおけるこれらの元素の分散状態および存在形態の確認方法と同じ方法によりそれぞれ確認することができる。「原子レベルで分散する」こと、「孤立置換型」または「侵入型」であること、ホウ素およびホウ素化合物中のホウ素、水素および酸素の原子濃度、ならびに微量不純物の濃度についても、上記多結晶ダイヤモンドにおける確認方法と同じ方法によりそれぞれ確認することができる。
上記黒鉛の微量不純物のうち遷移金属の原子濃度は、SIMSおよびICP−MSの検出限界以下(1×1015cm-3未満)であることが好ましい。さらに、上記黒鉛の粒径は、粒径が1〜500nmと小さく、かつホウ素、ホウ素化合物、水素および酸素の分布が均一な多結晶ダイヤモンドを形成する観点から、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
上記黒鉛は、その微量不純物のうちBC5の濃度が、X線回折測定における回折角2θが0°から90°までの範囲において、ダイヤモンド由来のすべての回折ピークの総面積に対し、上記BC5由来のすべての回折ピークの総面積が1%未満となる。BC5の濃度は、上述の面積比率が0.1%未満であることが好ましく、最も好ましくは0%である。またB4Cの濃度は、X線回折測定における回折角2θが0°から90°までの範囲において、上記ダイヤモンド由来のすべての回折ピークの総面積に対し、上記B4C由来のすべての回折ピークの総面積が1%未満となる。B4Cの濃度は、上述の面積比率が0.1%未満であることが好ましく、最も好ましくは0%である。BC5およびB4Cの濃度測定は、上述したX線回折装置を用いて上述した条件により測定することができる。
上記黒鉛の密度は、後述する第3工程において黒鉛から多結晶ダイヤモンドに変換する際の体積変化を小さくして歩留まりを高くする観点から、0.8g/cm3以上が好ましく、1.4g/cm3以上2.0g/cm3以下がより好ましい。
<第2工程>
第2工程S20は、上記黒鉛を不活性ガス雰囲気下で容器内に入れる工程である。上記黒鉛を不活性ガス雰囲気下で所定の容器(高圧プレス用セル)に入れることにより、上記黒鉛および形成される多結晶ダイヤモンドに微量不純物が混入することを抑制することができる。ここで、不活性ガスは、上記黒鉛および形成される多結晶ダイヤモンドへの微量不純物の混入を抑制できるガスであれば特に制限はなく、Ar(アルゴン)ガス、Kr(クリプトン)ガス、He(ヘリウム)ガスなどが挙げられる。
<第3工程>
第3工程S30は、容器内で上記黒鉛を加圧熱処理によりダイヤモンドに変換する工程である。第3工程S30において、上記黒鉛を上記多結晶ダイヤモンドに変換する際は、形成される多結晶ダイヤモンドへの微量不純物の混入を抑制する観点から、上記黒鉛に直接熱処理を行なうことにより、直接変換(すなわち、焼結助剤および/または触媒などを添加することなく変換)することが好ましい。
第3工程S30における加圧熱処理は、多結晶ダイヤモンドの結晶中に、ホウ素が原子レベルで分散しかつ全体の90原子%以上が孤立置換型で含まれ、ホウ素化合物、水素および酸素が孤立置換型または侵入型で含まれる多結晶ダイヤモンドを好適に製造する観点から、6GPa以上かつ1200℃以上の条件が好ましく、8GPa以上30GPa以下かつ1500℃以上2300℃以下の条件がより好ましい。加圧熱処理は、好ましくは6GPa以上、より好ましくは8GPaであることにより、黒鉛を多結晶ダイヤモンドに直接変換することができる。加圧熱処理は、好ましくは30GPa以下であることにより、各元素を揮発させないで、黒鉛を多結晶ダイヤモンドに直接変換することができる。また、好ましくは1200℃以上であることにより、黒鉛を多結晶ダイヤモンドに直接変換することができる。好ましくは2300℃以下であることにより、各元素を揮発させないで、黒鉛を多結晶ダイヤモンドに直接変換することができる。
以上より、本実施形態にかかる多結晶ダイヤモンドの製造方法は、耐酸化性、摺動特性および耐摩耗性が高く、摩擦係数が低い多結晶ダイヤモンドを製造することができる。多結晶ダイヤモンドは、直径φ15mm×厚さ15mm程度の任意の形状および厚みで製造される。多結晶ダイヤモンドは、たとえば黒鉛の体積密度が1.8g/cm3程度である場合、加圧熱処理によって該黒鉛の70〜80%の体積に収縮するが、形状は黒鉛と同じまたはほぼ同じとなる。
≪実施形態3:スクライブツール≫
本実施形態にかかるスクライブツールは、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて作成することができる。本実施形態のスクライブツールは、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて形成されたものであるため、耐摩耗性が高い。
≪実施形態4:スクライブホイール≫
本実施形態にかかるスクライブホイールは、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて作成することができる。本実施形態のスクライブホイールは、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて形成されたものであるため、耐摩耗性が高い。
≪実施形態5:ドレッサー≫
本実施形態にかかるドレッサーは、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて作成することができる。本実施形態のドレッサーは、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて形成されたものであるため、耐摩耗性が高い。
≪実施形態6:回転工具≫
本実施形態にかかる回転工具は、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて作成することができる。本実施形態の回転工具は、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて形成されたものであるため、耐摩耗性が高い。
≪実施形態7:伸線ダイス≫
本実施形態にかかる伸線ダイスは、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて作成することができる。本実施形態の伸線ダイスは、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて形成されたものであるため、耐摩耗性が高い。
≪実施形態8:切削工具≫
本実施形態にかかる切削工具は、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて作成することができる。本実施形態の切削工具は、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて形成されたものであるため、耐摩耗性が高い。
≪実施形態9:電極≫
本実施形態にかかる電極は、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて作成することができる。本実施形態にかかる電極は、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて形成されたものであるため、耐摩耗性が高い。
≪実施形態10:加工方法≫
本実施形態にかかる加工方法は、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて対象物を加工することができる。本実施形態にかかる加工方法は、実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて対象物を加工するため、効率よく低コストで対象物を加工できる。
本実施形態にかかる加工方法において、対象物は絶縁体が好ましい。かかる加工方法は、導電性を有する実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて対象物を加工するため、対象物が絶縁体であっても、トライボプラズマなどによる異常な損耗を発生させることなく、効率よく低コストで対象物を加工できる。
本実施形態にかかる加工方法において、対象物たる絶縁体は100kΩ・cm以上の抵抗率を有することが好ましい。かかる加工方法は、導電性を有する実施形態1の多結晶ダイヤモンドを用いて対象物を加工するため、対象物が100kΩ・cm以上の抵抗率を有する絶縁体であっても、トライボプラズマによるエッチングを発生させることなく、効率よく低コストで対象物を加工できる。
(実施例I:多結晶ダイヤモンドの製造)
1.黒鉛の準備
実施例1〜5においては、以下の第1工程により、ホウ素、ホウ素化合物(具体的には、酸化ホウ素およびホウ酸)、水素および酸素を含む黒鉛を準備した。まず、市販のフラスコ(容量:100mL)中を脱気し、アルゴン雰囲気中に置換した後、液状の第1有機化合物としてホウ酸トリメチルおよび液状の第2有機化合物としてメタノールをそれぞれ1:0.1、1:0.05、1:0.01、1:0.005および1:0.001の体積比率で混合することにより、第1混合物を得た。第1混合物に、4N以上の高純度黒鉛(純度:99.995質量%)または酸化グラフェンを加えて、60℃に保持して、24時間撹拌することにより、第2混合物を得た。次に、第2混合物を上記フラスコから回収し、真空脱気し、アルゴン雰囲気下で、いずれも1800℃かつ13kPaの条件で熱分解することにより、実施例1〜5の最大粒径が1μm以下の上記黒鉛を得た。
比較例1〜3においては、以下の工程により、ホウ素を含むが水素および酸素を実質的に含まない黒鉛を準備した。まず、ハロゲン化処理した最大粒径が500nm以下の4N以上の高純度黒鉛(純度:99.995質量%)および最大粒径が100nm以下のB4Cを、それぞれ1:0.1、1:0.05および1:0.01の体積比率で混合し、成形、焼結(焼結条件はいずれも1800℃かつ1kPa)および粉砕を20回繰り返すことにより、最大粒径が1μm以下の上記黒鉛を得た。
2.黒鉛の容器内への収納
上記黒鉛を、タブレット形状に加工した後、容器(高圧プレス用セル:直径φ10mm×高さ10mmの円柱形状)内にArガスで封入した。
3.黒鉛から多結晶ダイヤモンドへの変換
上記黒鉛を封入した容器を加圧熱装置内に入れて、16GPaおよび2100℃の条件で加圧熱処理することにより、上記黒鉛を多結晶ダイヤモンドに直接変換した。得られた比較例1〜3および実施例1〜5の多結晶ダイヤモンドについて、ホウ素が原子レベルで分散しかつ全体の90%以上が孤立置換型で含まれることをTEM、電気抵抗の温度依存性およびTOF−SIMSで確認した。また、得られた実施例1〜5の多結晶ダイヤモンドについて、ホウ素化合物、水素および酸素が孤立置換型または侵入型で含まれていることをTEM、NEXAFS(吸収端近傍X線吸収微細構造)およびTOF−SIMSで確認した。さらに、実施例1〜5の多結晶ダイヤモンドの表面に保護膜として酸化膜が形成されていることを、TOF−SIMSで確認した。また、比較例1〜3および実施例1〜5の多結晶ダイヤモンドついて、それらのホウ素原子濃度、水素原子濃度および酸素原子濃度をSIMSにより測定し、それらの酸素含有ホウ素化合物(酸化ホウ素およびホウ酸)、BC5およびB4Cの濃度をX線回折測定により測定し、それらの結果を表1にまとめた。表1において、酸素の原子濃度の検出限界は1×1016cm-3未満であり、水素の原子濃度の検出限界は1×1017cm-3未満であった。
TEMによるホウ素の原子レベルでの分散状態の確認は、公知の条件で実施した。
SIMSによる添加元素の孤立置換型または侵入型の確認条件、ならびに濃度の測定条件は以下のとおりであった。
測定装置: CAMECA IMS−7f
一次イオン種: Cs+
一次加速電圧: 15.0kV
検出領域: 30(μmφ)
測定精度: ±40%(2σ)。
TOF−SIMSによる添加元素の孤立置換型または侵入型の確認条件、ならびに濃度の測定条件は以下のとおりであった。
測定装置: TOF−SIMS質量分析計(飛行時間二次イオン質量分析計)
一次イオン源: ビスマス(Bi)
一次加速電圧: 25kV。
BC5およびB4Cの濃度の測定のためのX線回折測定条件は以下のとおりであった。
特性X線: Cu−Kα線
管電圧: 30kV
管電流: 20mA
X線回折法: θ−2θ法
X線照射方法: ピンホールコリメーターを使用してX線を照射。
Figure 2018197177
(実施例II:スクライブツールの作成と評価)
実施例Iの比較例2の多結晶ダイヤモンドを用いて、先端が4ポイント(四角形平面状)のスクライブツールを作成した。作成されたスクライブツールを用いて、サファイア基板に負荷20gfで長さ50mmのスクライブ溝を200本形成した。その後、そのスクライブツールの先端部分の多結晶ダイヤモンの摩耗量は、電子顕微鏡により観察したところ、Ib型単結晶ダイヤモンド製スクライブツールに比べて0.2倍と少なかった。さらに、実施例Iの実施例2の多結晶ダイヤモンドを用いて上記と同様にしてスクライブツールを作成し、同様の実験を行ったところ、その摩耗量は、Ib型単結晶ダイヤモンド製スクライブツールに比べて0.02倍、比較例2の多結晶ダイヤモンド製スクライブツールに比べて0.1倍と極めて少なかった。さらに、実施例Iの実施例2の多結晶ダイヤモンドを用いて作成したスクライブツールの表面に保護膜として酸化膜が形成されていることを、TOF−SIMSで確認した。なお、実施例Iの比較例2および実施例2の多結晶ダイヤモンドをそれぞれ用いて作成した上記スクライブツールを含むスクライブホイールについても同様の効果が確認された。
(実施例III:ドレッサーの作成と評価)
実施例Iの比較例2の多結晶ダイヤモンドを用いて、先端がシングルポイント(円錐状)のドレッサーを作成した。作成されたドレッサーを、WA(ホフイトアルミナ)砥石を用いて、湿式で、砥石の周速が30m/secの低速で、切り込み量が0.05mmの条件で、磨耗した。その後、そのドレッサーの磨耗量は、高さゲージ計により測定したところ、Ib型単結晶ダイヤモンド製ドレッサーに比べて、0.3倍と少なくなった。さらに、実施例Iの実施例2の多結晶ダイヤモンドを用いて上記と同様にしてドレッサーを作成し、同様の実験を行ったところ、その摩耗量は、Ib型単結晶ダイヤモンド製ドレッサーに比べて0.03倍、比較例2の多結晶ダイヤモンド製ドレッサーに比べて0.1倍と極めて少なかった。さらに、実施例Iの実施例2の多結晶ダイヤモンドを用いて作成したドレッサーの表面に保護膜として酸化膜が形成されていることを、TOF−SIMSで確認した。
(実施例IV:回転工具の作成と評価)
実施例Iの比較例2の多結晶ダイヤモンドを用いて、直径φ1mm、刃長3mmのドリルを作成した。作成されたドリルを用いて、回転数4000rpm、送り2μm/回転の条件で、厚さ1.0mmの超硬合金(WC−Co)製板に孔をあけた。そのドリルが磨耗または破損するまでにあけることができた孔の数は、Ib型単結晶ダイヤモンド製ドリルに比べて5倍と多かった。さらに、実施例Iの実施例2の多結晶ダイヤモンドを用いて上記と同様にしてドリルを作成し、同様の実験を行ったところ、そのドリルが磨耗または破損するまでにあけることができた孔の数は、Ib型単結晶ダイヤモンド製ドリルに比べて50倍、比較例2の多結晶ダイヤモンド製ドレッサーに比べて10倍と極めて多かった。さらに、実施例Iの実施例2の多結晶ダイヤモンドを用いて作成した回転工具であるドリルの表面に保護膜として酸化膜が形成されていることを、TOF−SIMSで確認した。
(実施例V:切削工具Iの作成と評価)
実施例Iの実施例1〜5と同じ方法を用いることにより、かさ密度が2.0g/cm3、ICP−MSにより測定されたホウ酸の原子濃度が1×1021cm-3で、SIMSにより測定された酸素の原子濃度が1×1018cm-3で水素の原子濃度が2.5×1018cm-3の黒鉛を準備した。この黒鉛を、等方的高圧発生装置を用いて、15GPaおよび2200℃の条件で加圧熱処理することにより、多結晶ダイヤモンドに直接変換した。得られた多結晶ダイヤモンドの粒径は各々10nm〜100nmであった。
この多結晶ダイヤモンドを用いて従来公知の方法により切削工具本体を作製した。この切削工具本体に活性ロウ材を用いて、不活性雰囲気で接合し、多結晶ダイヤモンドの面を研磨した後、放電加工により逃げ面を切断加工して、コーナーR0.4mm、逃げ角11°、すくい角0°のRバイトを付与した切削工具(試験工具1)を作成した。比較のために、従来のコバルト(Co)バインダーを含む焼結ダイヤモンドを用いた工具(比較工具A)を同様に放電加工により作成した。放電加工による刃先の稜線精度は、焼結ダイヤモンドを用いた比較工具Aは、含まれるダイヤ砥粒の粒径に依存して、2μm〜5μm程度であったのに対して、本多結晶ダイヤモンドを用いた工具(試験工具1)では0.5μm以下と良好であった。また加工時間も比較工具Aと同等であった。
さらに、逃げ面を研磨により加工してコーナーR0.4mm、逃げ角11°、すくい角0°のRバイトを付与した切削工具(試験工具2)、無添加多結晶ダイヤモンドを用いた切削工具(比較工具B)およびIb型単結晶ダイヤモンドを用いた切削工具(比較工具C)を作成し、以下の段落に示す試験内容の切削評価を行った。試験工具2、比較工具Bともに刃先稜線精度は0.1μm以下と精緻な刃先精度が得られた。
次に、試験工具1〜2および比較工具A〜Cのそれぞれについて、以下の条件により旋削による断続的な切削評価試験を行なった。
・工具形状:コーナーR0.4mm、逃げ角11°、すくい角0°
・被削材:材質−アルミニウム合金 A390
・切削液:水溶性エマルジョン
・切削条件:切削速度Vc=800m/min、切込みap=0.2mm、送り速度f=0.1mm/回転
・切削距離:10km。
上記の切削評価試験を行った後に、工具刃先を観察し、損耗状態を確認したところ、比較工具Aは逃げ面摩耗量が45μmと大きく刃先形状が損なわれていたのに対し、試験工具1は逃げ面摩耗量が2μmと良好であった。一方、研磨仕上げの試験工具2は摩耗量が0.5μmであり、比較工具Bの摩耗量3.5μm、比較工具Cの摩耗量3.5μmと比較して非常に良好であり、従来の無添加多結晶ダイヤと同等以上の耐摩耗特性を示し、工具寿命に優れることが分かった。さらに、本実施例の多結晶ダイヤモンドを用いて作成した切削工具である試験工具1および試験工具2の表面に保護膜として酸化膜が形成されていることを、TOF−SIMSで確認した。
(実施例VI:切削工具IIの作成と評価)
実施例Iの実施例1〜5と同じ方法を用いることにより、かさ密度が2.0g/cm3、ICP−MSにより測定されたホウ酸の原子濃度が1×1019cm-3で、SIMSにより測定された酸素の原子濃度が1×1018cm-3で水素の原子濃度が2.5×1018cm-3の黒鉛を準備した。この黒鉛を、等方的高圧発生装置を用いて、15GPaおよび2200℃の条件で加圧熱処理することにより、多結晶ダイヤモンドに直接変換した。多結晶ダイヤモンドの粒径は、各々10nm〜100nmであった。
この多結晶ダイヤモンドを、切削工具本体に活性ロウ材を用いて、不活性雰囲気で接合し、多結晶ダイヤモンドの面を研磨した。さらに逃げ面を研磨により加工した本多結晶ダイヤモンドを用いた工具(試験工具3)、無添加多結晶ダイヤモンドを用いた工具(比較工具B)およびIb型単結晶ダイヤモンドを用いた工具(比較工具C)を作成し、実施例Vと同じ内容の切削評価試験を行なった。
上記の切削評価試験を行なった後に、工具刃先を観察し、損耗状態を確認したところ、試験工具3の摩耗量0.1μmは、比較工具Bの摩耗量3.5μmおよび比較工具Cの摩耗量3.5μmと比較して非常に少なく良好であり、従来の無添加多結晶ダイヤと同等以上の耐摩耗特性を示し、工具寿命に優れることが分かった。さらに、本実施例の多結晶ダイヤモンドを用いて作成した切削工具である試験工具3の表面に保護膜として酸化膜が形成されていることを、TOF−SIMSで確認した。
(実施例VII:切削工具IIIの作成と評価)
実施例Iの実施例1〜5と同じ方法を用いることにより、かさ密度が1.9g/cm3、ICP−MSにより測定されたホウ酸の原子濃度が1×1021cm-3で、SIMSにより測定された酸素の原子濃度が1×1018cm-3で水素の原子濃度が2.5×1018cm-3の黒鉛を準備した。この黒鉛を、等方的高圧発生装置を用い、15GPaおよび2200℃の条件で加圧熱処理することにより、多結晶ダイヤモンドに直接変換した。得られた多結晶ダイヤモンドの粒径は各々10nm〜100nmであった。この多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は120GPaであった。本多結晶ダイヤモンドから3mm×1mm角の試験片を切り出し、電気抵抗を測定したところ、10Ωであった。
この導電性の多結晶ダイヤモンドを、切削工具本体に活性ロウ材を用いて、不活性雰囲気で接合し、多結晶ダイヤモンドの面を研磨した後、放電加工により逃げ面を切断加工して、ねじれ形状の切れ刃2枚をもつ直径φ0.5mmのボールエンドミル(試験工具4)を作成した。比較のために、従来のコバルト(Co)バインダーを含む焼結ダイヤモンドを用いた工具(比較工具A−2)を同様に放電加工により作成した。放電加工による刃先の稜線精度は、焼結ダイヤモンドを用いた比較工具A−2は、含まれるダイヤモンド砥粒の粒径に依存して、2μm〜5μm程度であったのに対して、本多結晶ダイヤモンドを用いた工具(試験工具4)では0.03μm以下と良好であった。さらに、無添加の多結晶ダイヤモンドを用いて、レーザ加工により同形状のエンドミル形状を作成し、逃げ面を局所的に研磨加工により刃先品位を仕上げた工具(比較工具B−2)を作成した。
次に、試験工具4、比較工具A−2、および比較工具B−2について、以下のの条件による断続的な切削評価試験を行なった。
・工具形状:直径φ0.5mm、2枚刃、ボールエンドミル
・被削材:材質−STAVAX超硬合金(WC−12%Co)
・切削液:白灯油
・切削条件:工具回転速度420000rpm、切込みap=0.003mm
送り速度f=120mm/min。
上記の内容の切削評価試験を行なったところ、試験工具4の工具寿命は、比較工具A−Sの工具寿命の5倍、比較工具B−2の工具寿命の1.5倍であり、非常に良好であった。さらに、本実施例の多結晶ダイヤモンドを用いて作成した切削工具である試験工具4の表面に保護膜として酸化膜が形成されていることを、TOF−SIMSで確認した。
(実施例VIII:伸線ダイスの作成と評価)
実施例Iの比較例2および実施例2の多結晶ダイヤモンドをそれぞれ用いて、口径φ0.5mmの伸線ダイスを作成した。伸線速度1km/minで伸線したときに口径φ0.48mmまで摩耗するまでの時間を寿命とした。実施例Iの実施例2の多結晶ダイヤモンドを用いて作成した伸線ダイスの寿命は、実施例Iの比較例2の多結晶ダイヤモンドを用いて作成した伸線ダイスの寿命の10倍であった。
(実施例IX:電極用基板の作成と評価)
実施例Iの比較例2および実施例2の多結晶ダイヤモンドをそれぞれ用いて、長さ9mm×幅5mm×厚さ1.0mmの電極用基板を作成した。実施例Iの実施例2の多結晶ダイヤモンドを用いて作成した電極用基板は、抵抗率が10mΩ・cmと低く良好な導電性を示し、0.1MのKOH溶液中において電位窓は3Vの範囲であり化学電極として高性能であることが分かった。実施例Iの比較例1の多結晶ダイヤモンドを用いて作成した電極用基板は、抵抗率が10MΩ・cmと高く電極として使用できないことが分かった。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
S10 第1工程
S20 第2工程
S30 第3工程

Claims (32)

  1. ダイヤモンド単相を基本組成とする多結晶ダイヤモンドであって、
    前記多結晶ダイヤモンドは、複数の結晶粒により構成され、
    前記多結晶ダイヤモンドは、ホウ素と、ホウ素化合物と、水素と、酸素と、を含み、残部が炭素および微量不純物であり、
    前記ホウ素は、前記結晶粒中に原子レベルで分散し、かつその90原子%以上が孤立置換型として存在し、
    前記ホウ素化合物、前記水素および前記酸素は、前記結晶粒中に孤立置換型または侵入型として存在し、
    前記ホウ素化合物は、酸素を含有するホウ素化合物を含み、
    前記結晶粒は、その粒径が500nm以下であり、
    前記多結晶ダイヤモンドは、その表面が保護膜で被覆されている、多結晶ダイヤモンド。
  2. 前記ホウ素は、その99原子%以上が孤立置換型として前記結晶粒中に存在する、請求項1に記載の多結晶ダイヤモンド。
  3. 前記ホウ素および前記ホウ素化合物中のホウ素は、それらの合計の原子濃度が1×1014cm-3以上1×1022cm-3以下である、請求項1または請求項2に記載の多結晶ダイヤモンド。
  4. 前記水素は、その原子濃度が1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンド。
  5. 前記酸素は、その原子濃度が1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンド。
  6. 前記多結晶ダイヤモンドは、ラマンスペクトル測定において、1575cm-1±30cm-1を中心として半値幅が20cm-1以下となるピークの面積が、1300cm-1±30cm-1を中心として半値幅が60cm-1以下となるピークの面積の1%未満である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンド。
  7. 前記多結晶ダイヤモンドは、その表面の動摩擦係数が0.06以下である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンド。
  8. 前記多結晶ダイヤモンドは、その表面の動摩擦係数が0.05以下である、請求項1から請求項7いずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンド。
  9. 前記保護膜は、BOxクラスターと、前記炭素の酸素終端となるOおよびOHの少なくともいずれかと、を含む、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンド。
  10. 前記保護膜は、前記結晶粒中から析出した析出物を含む、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンド。
  11. 前記保護膜は、その平均膜厚が1nm以上1000nm以下である、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンド。
  12. ダイヤモンド単相を基本組成とする多結晶ダイヤモンドであって、
    前記多結晶ダイヤモンドは、複数の結晶粒により構成され、
    前記多結晶ダイヤモンドは、ホウ素と、ホウ素化合物と、水素と、酸素と、を含み、残部が炭素および微量不純物であり、
    前記ホウ素は、前記結晶粒中に原子レベルで分散し、かつその99原子%以上が孤立置換型として存在し、
    前記ホウ素化合物、前記水素および前記酸素は、前記結晶粒中に孤立置換型または侵入型として存在し、
    前記ホウ素化合物は、酸素を含有するホウ素化合物を含み、
    前記結晶粒は、その粒径が500nm以下であり、
    前記多結晶ダイヤモンドは、その表面が保護膜で被覆され、
    前記ホウ素および前記ホウ素化合物中のホウ素は、それらの合計の原子濃度が1×1014cm-3以上1×1022cm-3以下であり、
    前記水素は、その原子濃度が1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下であり、
    前記酸素は、その原子濃度が1×1017cm-3以上1×1020cm-3以下であり、
    前記多結晶ダイヤモンドは、ラマンスペクトル測定において、1575cm-1±30cm-1を中心として半値幅が20cm-1以下となるピークの面積が、1300cm-1±30cm-1を中心として半値幅が60cm-1以下となるピークの面積の1%未満であり、
    前記多結晶ダイヤモンドは、その表面の動摩擦係数が0.05以下であり、
    前記酸化膜は、BOxクラスターと、前記炭素の酸素終端となるOおよびOHの少なくともいずれかと、を含み、
    前記酸化膜は、前記結晶粒中から析出した析出物を含む、多結晶ダイヤモンド。
  13. 炭素と、前記炭素の結晶粒中に原子レベルで分散し、かつその90原子%以上が孤立置換型として存在するホウ素と、ホウ素化合物と、水素と、酸素と、を含む黒鉛を準備する第1工程と、
    前記黒鉛を不活性ガス雰囲気下で容器へ充填する第2工程と、
    前記容器内で、前記黒鉛を加圧熱処理によりダイヤモンドに変換する第3工程と、を含み、
    前記ホウ素化合物は、酸素を含有するホウ素化合物を含む、多結晶ダイヤモンドの製造方法。
  14. 前記第1工程は、グラファイト、グラフェン、酸化グラフェン、および炭素の六員環を含む有機化合物の少なくともいずれかと、ホウ素、水素および酸素を含む液状の第1有機化合物と、水素および酸素を含む液状の第2有機化合物と、を混合することにより混合物を得る第1αサブ工程を含む、請求項13に記載の多結晶ダイヤモンドの製造方法。
  15. 前記第1工程は、ホウ素、水素および酸素を含む液状の第1有機化合物およびホウ素を含む液状の第3有機化合物の少なくともいずれかと、水素および酸素を含む液状の第2有機化合物と、を混合することにより混合物を得る第1βサブ工程を含む、請求項13に記載の多結晶ダイヤモンドの製造方法。
  16. 前記第1有機化合物は、ホウ酸トリメチルおよびホウ酸トリエチルの少なくともいずれかである、請求項14または請求項15に記載の多結晶ダイヤモンドの製造方法。
  17. 前記第2有機化合物がアルコール類である、請求項14から請求項16のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンドの製造方法。
  18. 前記第1工程は、前記混合物を、1500℃以上1800℃以下で熱分解することにより前記黒鉛を形成する第2サブ工程をさらに含む、請求項14から請求項17のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンドの製造方法。
  19. 前記第1工程の後であって、前記第2工程の前に、第4工程をさらに含み、
    前記第4工程は、A工程とB工程とC工程とをこの順に複数回繰り返す工程であり、
    前記A工程は、前記黒鉛を粉砕体に粉砕する工程であり、
    前記B工程は、前記粉砕体を成形体に成形する工程であり、
    前記C工程は、前記成形体を1500〜1800℃で熱分解することにより、前記黒鉛を再度準備する工程である、請求項13から請求項18のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンドの製造方法。
  20. 前記第3工程は、加圧熱装置内で、前記黒鉛に直接加圧熱処理を行なう、請求項13から請求項19のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンドの製造方法。
  21. 前記加圧熱処理は、6GPa以上かつ1200℃以上の条件で行なわれる、請求項13から請求項20のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンドの製造方法。
  22. 前記加圧熱処理は、8GPa以上30GPa以下かつ1500℃以上2300℃以下の条件で行なわれる、請求項13から請求項21のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンドの製造方法。
  23. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンドを用いて形成されたスクライブツール。
  24. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンドを用いて形成されたスクライブホイール。
  25. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンドを用いて形成されたドレッサー。
  26. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンドを用いて形成された回転工具。
  27. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンドを用いて形成された伸線ダイス。
  28. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンドを用いて形成された切削工具。
  29. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンドを用いて形成された電極。
  30. 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の多結晶ダイヤモンドを用いて対象物を加工する、加工方法。
  31. 前記対象物は、絶縁体である、請求項30に記載の加工方法。
  32. 前記絶縁体は、100kΩ・cm以上の抵抗率を有する、請求項31に記載の加工方法。
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