JP2018196952A - 画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び画像形成物の製造方法 - Google Patents

画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び画像形成物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018196952A
JP2018196952A JP2017102615A JP2017102615A JP2018196952A JP 2018196952 A JP2018196952 A JP 2018196952A JP 2017102615 A JP2017102615 A JP 2017102615A JP 2017102615 A JP2017102615 A JP 2017102615A JP 2018196952 A JP2018196952 A JP 2018196952A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
image
recording medium
pigment
winding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017102615A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6841160B2 (ja
Inventor
佑太郎 野中
Yutaro Nonaka
佑太郎 野中
顕芳 左部
Akiyoshi Sabe
顕芳 左部
裕美 坂口
Yumi Sakaguchi
裕美 坂口
佑樹 横濱
Yuki Yokohama
佑樹 横濱
斎藤 俊
Takashi Saito
俊 斎藤
宜輝 梁川
Yoshiteru Yanagawa
宜輝 梁川
郁 遠山
Iku Toyama
郁 遠山
誠之 福岡
Masayuki Fukuoka
誠之 福岡
亮太 岩崎
Ryota Iwasaki
亮太 岩崎
未央 熊井
Mio Kumai
未央 熊井
英文 長島
Hidefumi Nagashima
英文 長島
裕理 芳賀
Yuri Haga
裕理 芳賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2017102615A priority Critical patent/JP6841160B2/ja
Publication of JP2018196952A publication Critical patent/JP2018196952A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6841160B2 publication Critical patent/JP6841160B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】 水性インクを用いて画像を形成した後に、記録媒体を巻き取る工程で画像に圧力が加わると、画像にまだらが発生したり、ブロッキングしたり、画像が摺擦したりする。【解決手段】 マゼンタインクを含む一以上のインクを記録媒体に付与して画像を形成する第一のインク付与工程と、一以上のインクが付与された記録媒体を巻き取る巻取工程と、を有し、インクは、水、有機溶剤、及び色材を含有し、マゼンタインクは、前記色材として、アゾ顔料を含有し、マゼンタインクにより形成されるインク膜のタック力は、80nN以上110nN以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び画像形成物の製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、使用する装置の騒音が小さく、操作性が良く、フルカラー化が容易であり、各種の記録媒体に画像を形成できるなどの利点を有し、家庭、オフィスだけでなく、産業用途や商用印刷などでも利用されている。商用印刷では、コート紙などの吸収性の低い記録媒体に対して画像を形成する要請から、溶剤インクやUVインクなどが利用されてきた。ところが、近年、環境面への対応から、商用印刷においても水性インクの利用が望まれている。また、商用印刷では、記録媒体として連続紙を用いることがある。
特許文献1には、ロール状に巻かれた連続紙を用いるインクジェット記録装置が開示されている。
しかしながら、水性インクは、記録媒体に対する浸透性が低いため、水性インクを用いて画像を形成するときに、顔料が記録媒体に強固に定着しないことがある。このため、水性インクを用いて画像を形成した後に、記録媒体を巻き取る工程で画像に圧力が加わると、画像にまだら、ブロッキング(画像形成後の記録媒体を重ねるときに画像が転写すること)、或いは摺擦(画像形成後の記録媒体を重ねるときに画像が摺れること)が発生するという課題が生じる。
請求項1に係る発明の画像形成方法は、マゼンタインクを含む一以上のインクを記録媒体に付与して画像を形成する第一のインク付与工程と、前記一以上のインクが付与された記録媒体を巻き取る巻取工程と、を有し、前記インクは、水、有機溶剤、及び色材を含有し、前記マゼンタインクは、前記色材として、アゾ顔料を含有し、前記マゼンタインクにより形成されるインク膜のタック力は、80nN以上110nN以下である。
本発明によると、水性インクを用いて画像を形成するときに、記録媒体を巻き取る工程で画像に圧力が加わっても、画像におけるまだら、ブロッキング、及び摺擦の発生を低減できるという効果を奏する。
図1は、記録媒体として、マイペーパー(株式会社リコー製)を用い、インクとして、キナクリドンを含むマゼンタインクを用いて形成されるベタ画像の顕微鏡写真である。 図2は、記録媒体として、マイペーパー(株式会社リコー製)を用い、インクとして、アゾ顔料(PR57:1)を含むマゼンタインクを用いて形成されるベタ画像の顕微鏡写真である。 図3は、タック力の測定において得られるフォースカーブの一例を示す。 図4は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。 図5は、図4のインクジェット記録装置の画像形成部が備えるヘッドユニットの平面図である。 図6は、球状のプローブが設けられたカンチレバーの一例を示す写真である。 図7は、連続紙の一例を示す斜視図である。 図8は、図7の連続紙の側面図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
インクの記録媒体への定着性を高めるため、インクの組成に、樹脂エマルジョンを含めることがある。ところが、インクの組成に樹脂エマルジョンを含めると、樹脂は弾性が高いので、形成される画像のタック力が大きくなる。タック力が大きくなると、画像形成後に定着ローラを用いて定着させる場合や、ロール紙に印刷し、その後、巻き取る場合など、画像に圧力がかかるタイミングにおいて画像がオフセットされる。例えば、後述で説明する図4に示すような画像形成装置を用いて連続紙に画像を形成する場合に、インク付与後の連続紙を巻き取るときに、ロール中心近くに大きな圧力がかかり、画像がオフセットすることがある。また、連続紙に張力をかけて記録後の紙を巻き取るときには、ロール中心近くに限らず、ロール外縁でも大きな圧力がかかり、画像がオフセットし得る。
そこで、発明者らは、画像形成後の記録媒体の巻き取り工程において巻取り圧を加えてもオフセットしない良好な画像を得るために、インク膜のタック力が、80nN以上110nN以下、好ましくは85nN以上100nN以下に調整されたインクを用いた画像形成方法について検討した。インク膜のタック力が、80nN以上であると、インク膜の結着力を向上でき、膜強度が増加し、十分な定着性が得られる。タック力が、110nN以下であると、記録媒体との接触面に働く力により、インク膜が保たれるため、画像に圧力が加わった際にインク膜が破壊されることを防止でき、画像のオフセットが抑制される。
画像表面のインク膜のタック力の算出方法の一例を説明する。画像表面のタック力の測定方法には、原子間力顕微鏡(以下、「AFM」とも称することがある、装置名:SPM−9500J3、株式会社島津製作所製)を使用する。測定用の画像は、各種インクジェットプリンタにて記録媒体上に出力されたものを使用できる。
図6は、球状のプローブが設けられたカンチレバーの一例を示す写真である。図6に示すように、AFMは、カンチレバー20を備え、カンチレバー20には、球状のプローブ21が設けられている。なお、カンチレバー20は、球状の酸化シリコーンをプローブ21として備える。測定は、測定温度23℃、湿度35%RH、プローブ径3.5μm、測定モード:フォースカーブ測定、測定周波数1Hzの条件で実施する。
測定時、AFMのプローブ21を画像に接触させ、100nm押し込んだ後にプローブ21を引き上げ、画像から離れる際のカンチレバー20のしなりを変位量としてモニターし、フォースカーブを得る。図3は、インク膜表面のタック力の測定において得られるフォースカーブの一例を示す図である。図3における変位量xに、図6に示すようなカンチレバー20のバネ定数kを掛けて得られる値(F=kx)をタック力とすることができる。
ところで、産業用印刷方式としてインクジェット方式が広まり、電子情報端末等を用いたドキュメント表示も一般的となる中で、産業用印刷物に求められる性能も変化している。例えば、産業用印刷では、オフィスや家庭用印刷物とは異なり、長期保存性の重要性は相対的に低くなる一方で、高彩度の画像を得る事に代表される、良好な画質を形成することの重要性は相対的に高くなっている。
インクジェット方式で一般的に用いられるマゼンタ顔料であるキナクリドンは、化学結合が安定であること、および強固な結晶を形成することから、耐光性及び耐溶剤性に優れる一方、着色力が弱い。そこで、発明者らは、画像の彩度を高めるため、キナクリドン顔料の分散性を高め、濃度を上げたマゼンタインクにより画像を形成したこところ、ロール紙の巻き取りなどの圧力を伴う画像形成方法では、まだらが発生することを見出した。まだらとは、記録媒体に形成された画像において、顔料濃度が高い部分と低い部分が発生することによる濃度ムラのことである。即ち、分散性と、耐光性及び耐溶剤性とは、トレードオフの関係にあり、分散性を向上させると、耐光性、耐溶剤性が劣る結果となる。
このようなまだらは、記録媒体として、特に紙などの表面に凹凸を有する記録媒体を用いた場合に生じる傾向にある。図1は、記録媒体として、マイペーパー(株式会社リコー製)を用い、インクとして、キナクリドンを含むマゼンタインクを用いて形成されるベタ画像の顕微鏡写真である。顕微鏡としては、Keyence社製超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500を用いた(視野範囲280×210um(1024×768pix,0.27um/pix))。図1において、黒く見える部分が、マゼンタ顔料が存在する箇所である。発明者らは、印刷画像の観察の結果、上記のまだらの原因として、キナクリドンの結晶の粒径が比較的大きく、インク中の顔料濃度を高めた場合には、顔料の分散性が損なわれ、巻き取り圧により、記録媒体の凹部に顔料の結晶が偏在しやすくなるためと考えた。
アゾ顔料は、アゾ基を有する有機顔料であり、化学構造の安定性の懸念から、従来、インクジェット方式ではあまり用いられなかった。ところが、アゾ顔料は、粒径が小さく、また親水基を導入することで、容易に水中に分散する。そこで、発明者らは、アゾ顔料を用いたマゼンタインクに着目した。
図2は、記録媒体として、マイペーパー(株式会社リコー製)を用い、インクとして、アゾ顔料(PR57:1)を含むマゼンタインクを用いて形成されるベタ画像の顕微鏡写真である。顕微鏡としては、Keyence社製超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500を用いた(視野範囲280×210um(1024×768pix,0.27um/pix))。図2において、黒く見える部分が、マゼンタ顔料が存在する箇所である。図1と比べ、黒い部分が、均一に広がっていることが分かる。
発明者らは、インクの材料、物性、処理方法について、更に鋭意検討を重ねた結果、巻き取り圧を伴う画像形成を行った場合にも、紙上の凹部に、顔料が偏在せず、まだらが発生しにくい産業用インクジェット方式に好適な本発明の画像形成方法を見出した。本発明の画像形成方法によると、マゼンタインクを含む一以上のインクを記録媒体に付与して画像を形成する第一のインク付与工程と、上記の一以上のインクが付与された記録媒体を巻き取る巻取工程と、を有し、インクは、水、有機溶剤、及び色材を含有し、マゼンタインクは、色材として、アゾ顔料を含有し、インクにより形成されるインク膜のタック力は、80nN以上110nN以下である。
本発明の画像形成方法は、従来の画像形成装置では、印刷装置が大きくなり、コストも高くなるという問題があるという知見に基づくものである。つまり、上記の画像形成方法によると、記録媒体として連続紙を用い、記録媒体をロール状に巻き取る巻取工程を有し、画像への加圧が生じる場合においても、他の特別な装置を追加することなく、まだらを生じない画像を形成することができる。
ところで、連続紙を用いた画像形成方法では、第一のインク付与工程においてインクが付与された連続紙を、巻取工程において巻き取った後、連続紙のインクが付与された面に対して、再度インクを付与して画像を形成する「追い刷り」と呼ばれる工程(第二のインク付与工程)が設けられることがある。このとき、第一のインク付与工程後の巻取工程において巻き取り圧力が大きいと、ロールが均一に巻かれ、適切に追い刷りを行うことができるが、上記の通り画像のオフセットが生じやすくなる。一方で、巻き取り圧力が小さいとロールが撓み、不均一な状態となり、追い刷りの際に紙が一定の速度で搬送されないことによる記録の位置ズレなどが生じやすくなる。
本発明の画像形成方法によると、画像形成後の連続紙に十分な圧力を加えて巻き取ることができるので、第二のインク付与工程を設ける場合にも、オフセット、位置ズレなどの発生を防ぐことができる。なお、本発明の画像形成方法は、第一のインク付与工程で画像が形成された面に追い刷りするときの上記課題を解決し得るものであるが、第二のインク付与工程は、第一のインク付与工程で画像を形成した面とは逆の面に対して行われる場合を排除するものではない。
上記のインクのタック力は、特にインク中の樹脂の種類等の影響を受ける。上記の所定のタック力の範囲を実現するためのインクの組成について、以下、詳細に説明する。
<インク>
以下、インクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
有機溶剤の沸点としては、180℃以上250℃以下が好ましい。沸点が180℃以上であると、乾燥時の蒸発速度を適切に調節でき、レベリングが十分に行われ、表面凹凸が小さくなり、光沢性を向上できる。また、乾燥性を高めるため、沸点が250℃以下の溶剤を用いることが好ましい。近年の印刷技術の高速化に伴って、インクの乾燥にかかる時間が律速になっている。有機溶剤の沸点を上記の範囲とすることで、乾燥時間を短縮することで画像形成の高速化を達成できる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<色材>
単色の画像を形成する場合には、1つのインクを用いてもよいが、複数色の画像を形成する場合には、マゼンタインク、シアンインク、イエローインク、及びブラックインクなどの複数色のインクが用いられる。マゼンタインクにおける色材は、アゾ顔料を含む。顔料が、アゾ顔料を含むと、粒径が小さいため、記録媒体の凹部に偏在することを防止でき、まだらを抑制できる。アゾ顔料としては、PR57:1、PR52:1、PR146、PR53:1、及びPR48:1が例示され、まだらの抑制などの効果が得られやすい点で、PR57:1、PR52:1、PR146の群から選択される1種以上を含むことが好ましく、PR57:1がより好ましい。
シアンインクの色材に用いられる顔料としては、特に制限はなく、目的に合わせて適宜選択することができるが、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料としては、PR−15、PB15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4が例示される。イエローインクの色材に用いられる顔料としては、特に制限はなく、目的に合わせて適宜選択することができるが、アゾ顔料が好ましい。アゾ顔料としては、PY12、PY13が例示される。シアンインク、イエローインクにおける色材に含有される顔料が上記の例示のものであれば、Japan Color ver.2に対するカバー率を高めることができる。なお、Japan Color ver.2は、ISO国際標準に準拠したJapan Color認証制度において認証に用いられる印刷色の標準である。
ブラックインクにおける色材に含有される顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
顔料をインク中に分散させるには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散顔料等が使用できる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<顔料分散体>
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルジョンの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
ウレタン樹脂粒子としては、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子、ポリエステルウレタン樹脂粒子、及びポリエーテルウレタン樹脂粒子などが例示される。これらは、一種単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。これらの中でも、耐摺擦性の点から、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子が好ましい。なお、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子は、その構造中にポリカーボネート構造を有していれば良い。
ウレタン樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)としては、−20℃以上70℃以下が好ましい。ガラス転移温度(Tg)が−20℃以上70℃以下のウレタン樹脂粒子は、インクをインク膜にした際に特に大きなタック力を持ち、定着性をより向上させ、良好な耐摺擦性を示す。
アクリル樹脂粒子は、吐出安定性及びコスト性に優れており、樹脂として好適である。アクリル樹脂粒子としては、アクリルシリコーン樹脂粒子、及びスチレン−アクリル樹脂粒子などが例示される。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐摺擦性の点から、アクリルシリコーン樹脂粒子が好ましい。
ウレタン樹脂粒子は、単独で用いると、耐ブロッキング性を低下させることがあるため、他の樹脂粒子と混合して使用することが好ましい。また、アクリル樹脂粒子は、単独で用いると、耐摺擦性が劣ることがあるため、弾性を持つウレタン樹脂粒子と混合して使用することが好ましい。アクリル樹脂とウレタン樹脂とを併用する場合、インクにおける、ウレタン樹脂粒子の含有量(質量%)と、アクリル樹脂粒子の含有量(質量%)と、の質量比(ウレタン樹脂粒子/アクリル樹脂粒子)としては、特に限定されないが、0.1以上0.7以下が好ましい。質量比(ウレタン樹脂粒子/アクリル樹脂粒子)が、0.1以上0.7以下であると、インクを用いて形成されたインク膜を原子間力顕微鏡(AFM)により測定したときに、タック力が80nN以上110nN以下の範囲内に収まる傾向にある。
質量比(ウレタン樹脂粒子/アクリル樹脂粒子)が0.1以上0.7以下であるインクで形成したインク膜を、フーリエ変換赤外吸収スペクトル法(以下、「FTIR」とも称することがある)により測定したとき、スペクトル692cm−1から707cm−1までの領域と、スペクトル710cm−1以上740cm−1以下の間の最小点及びスペクトル660cm−1以上690cm−1以下の間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積A、並びにスペクトル1,731cm−1から1,750cm−1までの領域と、スペクトル1,660cm−1から1,690cm−1までの間の最小点及びスペクトル1,760cm−1から1,790cm−1までの間の最小点を結ぶ接線と、により囲まれるピーク領域の面積Bの面積比(B/A)が、0.3以上1.0以下が好ましく、0.6以上1.0以下がより好ましい。面積比(B/A)が0.3以上1.0以下であると、ウレタン樹脂粒子による耐摺擦性の向上効果と、アクリル樹脂粒子による吐出安定性の向上効果とを両立することができる。
インク膜のフーリエ変換赤外吸収スペクトル法の測定には、フーリエ変換赤外分光光度計のATR(Attenated Total Reflection:全反射減衰)法を用いてもよい。具体的には、インクの付着量が1.12mg/cm(700mg/A4)で、紙(商品名:Lumi Art Gloss 130gsm、Stora Enso社製)上に形成したインク膜の表面を、装置名:Spectrum One(パーキンエルマー社製)を用い、ダイヤモンド圧子によるATR法により測定したスペクトルから判定することができる。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラックWave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
<水>
水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換高純水などのイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水;超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
一般式(S−1)
(但し、一般式(S-1)式中、m、n、a、及びbは整数を表わす。 R及びR’はアルキル基、アルキレン基を表わす。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F−1)及び一般式(F−2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
一般式(F−1)
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
一般式(F−2)
2n+1−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCnF2n+1でnは1〜6の整数、又はCHCH(OH)CH−CnF2n+1でnは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、Du Pont社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Du Pont社製のFS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
<記録媒体>
記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙などが挙げられる。本実施形態において有効な記録媒体としては、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面側に設けられた塗工層と、を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる記録媒体などが例示される。
支持体と塗工層とを有する記録媒体は、一般にコート紙と呼ばれ、インクの浸透性が低い記録媒体として知られている。水性のインクを用いてコート紙のような浸透性が低い記録媒体に画像を形成するときに、色材を記録媒体に強固に定着させることは難しく、耐摺擦性が低下することが多い。しかし、インク膜のタック力が80nN以上110nN以下であれば、画像形成後に3.5kg/cm以上8.0kg/cm以下の圧力をかけてもブロッキングが起こらず、さらに光沢性が良好な画像が得られるため好ましい。
−支持体−
支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択され、木材繊維主体の紙、木材繊維及び合成繊維を主体とした不織布のようなシート状物質などが例示される。
紙としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択され、木材パルプ、古紙パルプなどが例示される。木材パルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、NBSP、LBSP、GP、TMPなどが例示される。
古紙パルプの原料としては、財団法人古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが例示される。古紙パルプの原料として具体的には、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙等のプリンタ用紙;PPC用紙等のOA古紙;アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙等の塗工紙;上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗工紙、などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが例示される。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。古紙パルプを混合する場合、全パルプ中の古紙パルプの混合比率は、記録後のカール対策から40%以下が好ましい。
古紙パルプは、一般的に、以下の4工程の組合せから製造することができる。
(1)離解工程では、古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理して繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。
(2)除塵工程では、古紙に含まれる異物(プラスチックなど)及びゴミをスクリーン、クリーナー等により除去する。
(3)脱墨工程では、繊維より界面活性剤を用いて剥離された印刷インキをフローテーション法、又は洗浄法で系外に除去する。
(4)漂白工程では、酸化作用や還元作用を用いて、繊維の白色度を高める。
支持体に使用される内添填料としては、白色顔料として従来公知の顔料が例示される。白色顔料としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等のような白色無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等のような有機顔料、などが例示される。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
支持体を抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、中性抄紙に用いられる中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(AKD)、石油樹脂系サイズ剤などが例示される。これらの中でも、中性ロジンサイズ剤又はアルケニル無水コハク酸が特に好適である。アルキルケテンダイマーは、そのサイズ効果が高いことから添加量は少なくて済むが、記録用紙(記録媒体)表面の摩擦係数が下がり滑りやすくなるため、インクジェット記録時の搬送性の点からは好ましくない場合がある。
−塗工層−
塗工層は、顔料及びバインダー(結着剤)を含有してなり、更に必要に応じて、界面活性剤、その他の成分を含有してなる。なお、本発明において塗工層とは、顔料及びバインダー(結着剤)を含有していればよく、実際に塗工されて設けられたものか否か等の形成方法は問わないものを意味する。
顔料としては、無機顔料、もしくは無機顔料と有機顔料を併用したものを用いることができる。無機顔料としては、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、非晶質シリカ、チタンホワイト、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クロライトなどが例示される。これらの中でも、カオリンは光沢発現性に優れており、オフセット印刷用の用紙に近い風合いとすることができる点から特に好ましい。
カオリンには、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン、表面改質等によるエンジニアードカオリン等があるが、光沢発現性を考慮すると、粒子径が2μm以下の割合が80質量%以上の粒子径分布を有するカオリンが、カオリン全体の50質量%以上を占めていることが好ましい。
カオリンの含有量は、バインダー100質量部に対して、50質量部以上が好ましい。添加量が50質量部以上であると、光沢性を向上できる。含有量の上限は特に制限はないが、カオリンの流動性、特に高せん断力下での増粘性を考慮すると、塗工適性の点から、90質量部以下が好ましい。
有機顔料としては、スチレン−アクリル共重合体粒子、スチレン−ブタジエン共重合体粒子、ポリスチレン粒子、ポリエチレン粒子等の水溶性ディスパージョンなどが例示される。これら有機顔料は2種以上混合して用いてもよい。
有機顔料の添加量は、塗工層の全顔料100質量部に対して、2質量部以上20質量部以下が好ましい。有機顔料は、光沢発現性に優れていることと、その比重が無機顔料と比べて小さいことから、嵩高く、高光沢で、表面被覆性の良好な塗工層を得ることができる。含有量が2質量部以上であると、嵩高く、高光沢で、表面被覆性の良好な塗工層を得る効果を向上でき、20質量部以下であると、塗工液の流動性に優れ、塗工操業性を向上でき、コスト面からも経済的である。
有機顔料には、その形態において、密実型、中空型、ドーナツ型等がある。光沢発現性、表面被覆性及び塗工液の流動性のバランスを鑑み、有機顔料の平均粒子径は、0.2μm以上3.0μm以下が好ましく、空隙率40%以上の中空型がより好ましい。
バインダーとしては、水性樹脂を使用するのが好ましい。水性樹脂としては、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の少なくともいずれかを用いることが好ましい。水溶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコールの変性物;ポリウレタン;ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、四級化したビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムの共重合体等のポリビニルピロリドンの変性物;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等セルロース;カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースの変性物;ポリエステル、ポリアクリル酸(エステル)、メラミン樹脂、又はこれらの変性物、ポリエステルとポリウレタンの共重合体等の合成樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、又は各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、などが例示される。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、インク吸収性の観点から、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、及びポリエステルとポリウレタンの共重合体、などが好ましい。
水分散性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択され、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリビニルエーテル、及びシリコーン−アクリル系共重合体、などが例示される。また、水性樹脂は、メチロール化メラミン、メチロール化尿素、メチロール化ヒドロキシプロピレン尿素、イソシアネート等の架橋剤を含有してよいし、N−メチロールアクリルアミドなどの単位を含む共重合体で自己架橋性を持つものでもよい。これら水性樹脂の複数を同時に用いることも可能である。水性樹脂の含有量としては、顔料100質量部に対して、2質量部以上100質量部以下が好ましく、3質量部以上50質量部以下がより好ましいが、記録媒体の吸液特性の設定に応じて適宜決定される。
着色剤として水分散性の着色剤を使用する場合には、カチオン性有機化合物は必ずしも配合する必要はないが、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択使用することができる。カチオン性有機化合物としては、水溶性インク中の直接染料や酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等と反応して不溶な塩を形成する1級〜3級アミン、4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、及びポリマーなどが例示され、これらの中でも、オリゴマー又はポリマーが好ましい。
カチオン性有機化合物としては、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ジメチルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン縮合物、ポリ(メタクリル酸トリメチルアミノエチル・メチル硫酸塩)、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物、ポリ(ジアリルアミン塩酸塩・二酸化イオウ)、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリ(アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩)、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・塩化アンモニウム・尿素・ホルムアルデヒド縮合物、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・二酸化イオウ)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・ジアリルアミン塩酸塩誘導体)、アクリルアミド・ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合物、アクリル酸塩・アクリルアミド・ジアリルアミン塩酸塩共重合物、ポリエチレンイミン、アクリルアミンポリマー等のエチレンイミン誘導体、及びポリエチレンイミンアルキレンオキサイド変性物、などが例示される。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、又はポリアリルアミン塩酸塩等の低分子量のカチオン性有機化合物と、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)などの他の比較的高分子量のカチオン性有機化合物とを組み合わせて使用することが好ましい。併用により、単独使用の場合よりも画像濃度を向上させ、フェザリングが更に低減される。
カチオン性有機化合物のコロイド滴定法(ポリビニル硫酸カリウム、トルイジンブルー使用)によるカチオン当量は、3meq/g以上8meq/g以下が好ましい。カチオン当量がこの範囲であれば上記乾燥付着量の範囲で良好な結果が得られる。ここで、コロイド滴定法によるカチオン当量の測定に当たっては、カチオン性有機化合物を固形分0.1質量%となるように蒸留水で希釈し、pH調整は行わないものとする。
カチオン性有機化合物の乾燥付着量は0.3g/m以上2.0g/m以下が好ましい。カチオン性有機化合物の乾燥付着量が0.3g/m以上であると、充分に画像濃度が向上し、フェザリング低減の効果を向上できる。
界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれも使用することができる。これらの中でも、非イオン界面活性剤が特に好ましい。界面活性剤を添加することにより、画像の耐水性が向上するとともに、画像濃度が高くなり、ブリーディングが改善される。
非イオン界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、及びアルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が例示される。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ソルビトール、ショ糖などが例示される。また、エチレンオキサイド付加物については、水溶性を維持できる範囲にて、エチレンオキサイドの一部をプロピレンオキサイドあるいはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドに置換したものも有効である。置換率は50%以下が好ましい。非イオン界面活性剤のHLB(親水性/親油性比)としては、4以上15以下が好ましく、7以上13以下がより好ましい。
界面活性剤の添加量は、カチオン性有機化合物100質量部に対して、0質量部以上10質量部以下が好ましく、0.1質量部以上1.0質量部以下がより好ましい。
塗工層には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲にて、更に必要に応じて、その他の成分を添加することができる。その他の成分としては、アルミナ粉末、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤が挙げられる。
塗工層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、支持体上に塗工層液を含浸又は塗布する方法により行うことができる。塗工層液の含浸又は塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレス、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなど各種塗工機で塗工することも可能であるが、コストの点から、抄紙機に設置されているコンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレスなどで含浸又は付着させ、オンマシンで仕上げてもよい。塗工層液の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、固形分で、0.5g/m以上20g/m以下が好ましく、1g/m以上15g/m以下がより好ましい。含浸又は塗布の後、必要に応じて乾燥させてもよく、この場合の乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃以上250℃以下程度が好ましい。
記録媒体は、更に支持体の裏面にバック層、支持体と塗工層との間、また、支持体とバック層間にその他の層を形成してもよく、塗工層上に保護層を設けることもできる。これらの各層は単層であっても複数層であってもよい。
記録媒体として、連続紙を用いることもできる。連続紙とは、画像形成の際の搬送方向に連続しており、搬送方向におけるプリント単位(1ページ)の長さよりも長い記録媒体である。連続紙としては、ロール状に丸められたロール紙や、所定間隔毎に折り曲げられた連帳紙などが例示される。
<<画像形成装置>>
本発明の画像形成装置は、マゼンタインクを含む上記の一以上のインクを収容する収容手段と、一以上のインクを記録媒体に付与して画像を形成する第一のインク付与手段と、一以上のインクが付与された記録媒体を巻き取る巻取手段と、を有するものであれば制限はない。画像形成装置としては、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファクシミリ/複写装置の複合機、立体造形装置などが例示される。
図4は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。図4に示すインクジェット記録装置300は、給紙装置307、記録媒体203を搬送する記録媒体搬送部301と、搬送された記録媒体203に前処理液を付与する前処理部302と、前処理液が付与された記録媒体203を乾燥させる前処理液乾燥部303と、記録媒体203に画像を形成する画像形成部304(第一のインク付与手段の一例、第二のインク付与手段の一例)と、画像形成後の記録媒体203に後処理液を付与する後処理部305と、後処理液が付与された記録媒体203を乾燥させる後処理液乾燥部306と、画像が形成された記録媒体203を巻き取る巻取装置308(巻取手段の一例)と、を有する。
記録媒体搬送部301は、給紙装置307、前処理部302、前処理液乾燥部303、画像形成部304、後処理部305、後処理液乾燥部306、及び巻取装置308に設けられた複数の搬送ローラによって構築される。給紙装置307は、画像形成部304がインクを付与する位置に記録媒体203を給紙する手段である。記録媒体203はロール状に巻かれた連続紙である。記録媒体203は、搬送ローラによって給紙装置307から巻き出され、プラテン上を搬送されて巻取装置308によって巻き取られる。
前処理部302は、記録媒体搬送部301によって搬送された記録媒体203に前処理液を塗布する。インクジェット記録方式では、インクジェット専用紙以外の記録媒体に画像形成を行うと、滲み、濃度、色調や裏写りなどの品質の低下、耐水性、耐候性といった画像堅牢性に関わる品質の低下が発生することがある。前処理部302により画像を形成する前の記録媒体に、インクを凝集させる機能を有する前処理液を塗布することで、これらの品質の低下を防ぐことができる。前処理液としては、上記の品質の低下を防ぐことができるものであれば、任意のものが用いられ、特に制限はない。
前処理の方法としては、印刷用紙表面に上記の前処理液を均一に塗布する塗布方法を用いればよく、特に制限はない。このような塗布方法として、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、及びダイコート法などが例示される。
前処理液乾燥部303は、ヒートローラー311,312を備える。前処理液が塗布された連続紙は搬送ローラにより、ヒートローラー311,312に搬送される。ヒートローラー311,312は50℃以上100℃以下の高温に熱せられており、連続紙に塗布された前処理液の水分は、ヒートローラー311,312からの接触伝熱により蒸発し、乾燥する。
画像形成部304は、給紙された記録媒体203に対してインクを付与して画像を形成する。画像は、記録媒体にインクが定着することで、視覚的に識別可能なものであれば特に制限はなく、文字、記号などに限らず、ベタ画像、模様なども含まれる。画像形成部304としては、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)のインクを吐出する4つのヘッドユニットが例示される。画像形成部304は、インクジェット記録方式を用いたものに限られず、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いたものでもよい。
インクジェット記録方式を用いる場合、画像形成部304は、インクに刺激を印加して吐出させる。刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光、などが例示される。刺激は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に使用される。インクの吐出の態様としては、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式などが例示される。
吐出させるインクの液滴の大きさとしては、例えば、3pL以上40pL以下であり、その吐出噴射の速さとしては、例えば、5m/s以上20m/s以下であり、その駆動周波数としては、例えば、1kHz以上であり、その解像度としては、例えば、300dpi以上である。
上記のヘッドユニットには、それぞれインクを収容するサブタンク等の収容体(収容手段の一例)が設けられていてもよい。ヘッドユニットに収容されるインクは、メインタンクとしての他の収容体から、それぞれ供給されたものであってもよい。他の収容体としては、インクを収容し、樹脂等でケーシングされたカートリッジや、ボトル等が例示される。カートリッジにおいて、インクは、内袋がポリエチレン等の樹脂製のアルミパウチに収容されていてもよい。
図5は、図4のインクジェット記録装置の画像形成部が備えるヘッドユニットの平面図である。図5に示すようにヘッドユニット304Hのノズル面309には、ヘッドユニット304Hの長手方向に沿って、複数のノズル310が配列されたノズル列が形成されている。本実施形態ではノズル列は1列であるが複数列設けることもできる。ヘッドユニット304Hは、使用するインクの色ごとに設けられていてもよい。
後処理部305は、画像形成部304と同様に、ヘッドユニットを有しており、画像形成後の記録媒体に後処理液を付与する。後処理液としては、公知の任意のものを用いることができる。なお、後処理液の付与方法は、インクジェット方式に限られず、例えば、前処理液の付与方法と同様の方法であってもよい。
後処理液乾燥部306は、ヒートローラー313,314を備える。後処理液が塗布された連続紙は、搬送ローラにより、ヒートローラー313,314に搬送される。ヒートローラーは高温に熱せられており、連続紙に塗布された後処理液の水分は、ヒートローラー313,314からの接触伝熱により、蒸発し、乾燥する。乾燥手段としてはこれに限らず、赤外線乾燥装置、マイクロ波乾燥装置、温風などを適用することもでき、単体の装置を用いるのではなく、例えば、ヒートローラーと温風装置を組み合わせるなどしてもよい。
巻取装置308としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Rewinding module RW6(Hunkeler社製)などを用いることができる。インクジェット記録装置300において、巻取装置308は、記録媒体203に形成された画像部に圧力を加える加圧手段としても機能する。すなわち、巻取装置308は、画像が形成された後の記録媒体203をロール状に巻き取るが、このロール状に巻き取る過程において、記録媒体203には圧力が加わる。特に、巻取装置308の回転軸付近においては、記録媒体203の自重により大きな圧力が加わる。
また、巻取装置308が記録媒体203を巻き取る際、記録媒体203に張力をかけることで、巻取装置308の外縁においても記録媒体203に圧力が加わる。この場合は、記録媒体203に働く張力を調整することで、記録媒体203に加わる圧力を調整することができる。例えば、給紙装置307と巻取装置308の回転速度をそれぞれ調整することで、記録媒体203に働く張力を調整することができる。
<<画像形成システム>>
本発明の画像形成システムは、マゼンタインクを含む上記の一以上のインクを収容する収容手段と、一以上のインクを記録媒体に付与して画像を形成する第一のインク付与手段と、一以上のインクが付与された記録媒体を巻き取る巻取手段と、を有するものであれば制限はない。本発明の画像形成システムは、例えば、上記の画像形成装置における収容手段、第一のインク付与手段、又は巻取手段がそれぞれ設けられた複数の装置によって構築される。
<<画像形成方法、及び画像形成物の製造方法>>
本発明の画像形成方法、及び画像形成物の製造方法は、マゼンタインクを含む上記の一以上のインクを記録媒体に付与して画像を形成する第一のインク付与工程と、一以上のインクが付与された記録媒体を巻き取る巻取工程と、を有するものであれば制限はない。
<第一のインク付与工程>
第一のインク付与工程では、画像形成部304により、一以上の上記のインクを付与することで、記録媒体に画像を形成する。一以上の上記のインクは、マゼンタインクを含み、更に、他のインクとして、シアンインク、イエローインク、又はブラックインクなどを含んでもよい。マゼンタインク、シアンインク、イエローインク、ブラックインクは、それぞれ、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの色材を含むインクである。形成される画像は、文字、図形などの有意なものに限定されず、例えば、幾何学模様などのパターン、3次元像なども含まれる。
<巻取工程>
一以上のインクが付与された記録媒体を巻き取る巻取工程である。巻取工程の一例として、インクジェット記録装置300において、巻取装置308は、インクが付与された連続紙が巻取装置308によって巻き取る。これにより、インクが付与された連続紙には圧力が加わる。
なお、画像にかかる圧力としては、連続紙をロール状に巻くことで発生するものに限られず、能動的又は受動的に発生する任意のものでよい。圧力は、例えば、カット紙が積層した際、また連続紙やカット紙を裁断する作業に伴い加えられるものでもよく、記録後に定着性を良好にするためのローラや、後処理液を塗布するためのローラにより加えられるものでもよい。また、圧力は、複数の工程により加えてもよいし、1工程で加えてもよい。また、圧力は記録媒体の少なくとも一部に加わっていればよいが、記録媒体の全体に加わっていることが好ましい。
画像に加わる圧力としては、3.5kg/cm以上8.0kg/cm以下が好ましく、3.7kg/cm以上7.9kg/cm以下がより好ましい。圧力が、3.5kg/cm以上であると、十分な画像の定着性を得ることができ、耐摺擦性を向上でき、8.0kg/cm以下であると、画像が加圧ローラや重なっている画像又は紙にオフセットすることを防止できる。また、マゼンタインクにおける色材に含有される顔料がアゾ顔料であり、インク膜のタック力が80nN以上110nN以下であるときに、画像形成後に、3.5kg/cm以上8.0kg/cm以下の圧力をかけるとまだらが抑制され、ブロッキングが起こらず、定着性も良好である画像を得ることができる。また、タック力が80nN以上110nN以下である画像に、3.5kg/cm以上8.0kg/cm以下の圧力をかけることで、ブロッキングが起こらず、定着性も良好であり、さらに光沢性に優れる画像形成物が得られる。
上記のタック力の範囲の画像は、上記の所定の圧力の範囲内の圧力が加わる場合、オフセットが生じず、耐ブロッキング性が良好であるばかりか、画像の定着性を向上でき、光沢が高い画像を得ることができ、かつその圧力範囲であれば十分な巻き取り圧力が加わるため、追い刷りも問題なく行えるという追加効果も得られる。
圧力の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜、公知のものを選択することができる。圧力の測定装置としては、例えば、面圧分布測定システムI−SCAN(ニッタ株式会社製)、センサーシートとしては、例えば、I−SCAN#5027(ニッタ株式会社製)を用いることができる。測定の具体例は、実施例に記載する。
ロール状の連続紙にかかる圧力としては、例えば、ロール状の連続紙の写真や情報等から、ロール状の連続紙の直径、高さ、質量を参考にして算出してもよい。
<第二のインク付与工程>
本発明の画像形成方法は、巻取工程後、連続紙に、更にインクを付与して画像を形成する第二のインク付与工程を有してもよい。第二のインク付与工程としては、特に制限はないが、画像形成後に巻取装置308によって巻き取られた連続紙を、給紙装置307にセットし、インクジェット記録装置300により、第一のインク付与工程と同様にして第二のインクを付与する方法が例示される。
<その他の工程>
その他の工程としては、前処理工程、後処理工程、乾燥工程などが例示される。前処理工程では、画像形成前の記録媒体203に対し、前処理部302により前処理液を付与する。後処理工程では、画像形成後の記録媒体203に対し、後処理部305により後処理液を付与する。一実施形態における後処理工程では、記録媒体の画像形成領域の特定の部分のみに付与する。塗布量は画像を形成するインクの色に応じて、適宜変更してもよく、好ましくは記録媒体の種類や解像度に応じて塗布量、塗布方法を変えてもよい。後処理液を付与する方法としては、特に制限はなく後処理液の種類によって各種方法が選択されるが、前処理液の塗布方法と同様の方法又はインクを吐出させる方法と同様の方法のいずれかを好適に用いることができる。これらの中でも、装置構成や後処理液の保存安定性の点からインクを吐出させる方法と同様の方法が好ましい。後処理工程は、形成された画像表面に、乾燥付着量が0.5g/m以上10g/m以下となるように透明な樹脂を含む後処理液を付与して保護層を形成する工程である。乾燥工程は、前処理液が付与された記録媒体を、前処理液乾燥部303において前処理液を乾燥させる工程と、後処理液乾燥部306においてインク又は後処理液が付与された記録媒体203を乾燥させる工程と、を含む。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(顔料分散体の調製例1)
<顔料分散体PD−1の調製>
ピグメントレッド57:1(大日精化工業株式会社製、セイカファースト)20g、下記構造式(1)の化合物20mmol、及びイオン交換高純水200mLを、室温環境下、Silversonミキサー(6,000rpm)で混合し、スラリーを得た。得られたスラリーのpHが4より高い場合は、硝酸20mmolを添加した。30分間後に、少量のイオン交換高純水に溶解された亜硝酸ナトリウム(20mmol)を上記混合物にゆっくりと添加した。更に、撹拌しながら60℃に加温し、1時間反応させた。次いで、NaOH水溶液により混合物のpHを10に調整したのち30分間攪拌し、イオン交換高純水を用いて、透析膜による限外濾過を行い、更に超音波分散を行って顔料濃度15質量%のマゼンタ顔料分散体を得た。
(顔料分散体の調製例2〜17)
顔料分散体の調製例1における20gのピグメントレッド57:1を下記表1に示す20gの成分に変更し、PD−2、PD−6、PD−14、PD−16には構造式(1)の化合物を加えてないことを除き、顔料分散体の調製例1と同様にして、顔料濃度15質量%の顔料分散体PD−2〜PD−17を得た。なお、表1中の数値は、配合量(g)である。また、表1中の「PR」、「PB」、「PY」は、それぞれ、ピグメントレッド、ピグメントブルー、ピグメントイエローを示す。
なお、表1において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
(マゼンタ顔料)
・ピグメントレッド57:1(大日精化工業株式会社製、アゾ顔料、セイカファースト)
・ピグメントレッド52:1(Sun Chemical corp.製アゾ顔料、Subrite 52:1)
・ピグメントレッド146(Sun Chemical Corp.製アゾ顔料、Subrite 146)
・ピグメントレッド53:1(Sun Chemical Corp.製アゾ顔料、Subrite 53:1)
・ピグメントレッド48:1(Sun Chemical Corp.製アゾ顔料、Subrite 48:1)
・ピグメントレッド122(クラリアントジャパン株式会社製、キナクリドン顔料、トナーマゼンタEO02)
・ピグメントレッド209(DIC株式会社、キナクリドン顔料、FASTOGEN Super Red 209 228-6736)
(シアン顔料)
・ピグメントブルー15:1(大日精化工業株式会社製、フタロシアニン顔料、クロモファインブルー)
・ピグメントブルー15:3(大日精化工業株式会社製、フタロシアニン顔料、クロモファインブルー)
(イエロー顔料)
・ピグメントイエロー12(大日精化工業株式会社製、アゾ顔料、セイカファースト)
・ピグメントイエロー13(大日精化工業株式会社製、アゾ顔料、セイカファースト)
(インクの調製例1)
<インク1の調製>
表2に記載の顔料分散体15.0質量%、プロピレングリコール(株式会社ADEKA製、1.2−プロパンジオール、商品名:工業用プロピレングリコール)27.0質量%、1,2−ヘキサンジオール(東京化成工業株式会社製、商品名:1.2−ヘキサンジオール)6.0質量%、ウレタン樹脂粒子(タケラックW6110、三井化学株式会社製、ガラス転移温度:−20℃)2.3質量%、アクリル樹脂粒子(サイマックUS480、東亜合成株式会社製)7.7質量%、ノニオン性界面活性剤(商品名:サーフィノール104、Air Product and Chemicals,Inc社製)2.0質量%、及び合計が100質量%となるようにイオン交換高純水を残量添加し、混合撹拌した後、平均孔径が0.8μmメンブレンフィルター(商品名:DISMIC-25cs、アドバンテック社製)で濾過して、インク1を得た。
(インクの調製例2〜24)
<インク2〜24の調製>
インクの調製例1における成分を、表2に示す組成に変更した以外は、インクの調製例1と同様にして、インク2〜24を得た。なお、表2中の各数値は、配合量(質量%)を示す。
なお、表2において、各成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
−有機溶剤−
・プロピレングリコール:株式会社ADEKA製、1.2−プロパンジオール、商品名:工業用プロピレングリコール
・1,2−ヘキサンジオール:東京化成工業株式会社製、商品名:1.2−ヘキサンジオール
・ジエチレングリコール:三菱化学株式会社製、商品名:ジエチレングリコール
・グリセリン:和光純薬工業株式会社製、商品名:グリセリン
−樹脂−
アクリル樹脂粒子:東亜合成株式会社製、商品名:サイマックUS480
ウレタン樹脂粒子:三井化学株式会社製、商品名:タケラックW6110、ガラス転移温度(Tg):−20℃
−界面活性剤−
・ノニオン性界面活性剤:Air Product and Chemicals, Inc社製、商品名:サーフィノール104
(ブラックインクの調製例)
<ブラックインクの調整>
ブラック顔料(Degussa社製Nipex160)5.0質量%、プロピレングリコール(株式会社ADEKA製、1.2−プロパンジオール、商品名:工業用プロピレングリコール)15.0質量%、1,2−ヘキサンジオール(東京化成工業株式会社製、商品名:1.2−ヘキサンジオール)5.0質量%、ウレタン樹脂粒子(タケラックW6110、三井化学株式会社製、ガラス転移温度:−20℃)2.2質量%、アクリル樹脂粒子(サイマックUS480、東亜合成株式会社製)2.8質量%、ノニオン性界面活性剤(商品名:サーフィノール104、Air Product and Chemicals,Inc社製)2.0質量%、及び合計が100質量%となるようにイオン交換水を残量添加し、混合撹拌した後、平均孔径が0.8μmメンブレンフィルター(商品名:DISMIC−25cs、アドバンテック社製)で濾過して、ブラックインクを得た。
(タック力)
調整したインクのうち、マゼンタインク(インク1〜20)のインク膜のタック力を、原子間力顕微鏡(AFM、SPM−9500J3、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。このとき、プローブとして球状の酸化シリコーンを備えるカンチレバー(カンチレバーのバネ定数:0.29N/m)を使用した。また、測定に用いた画像は、紙(商品名:Lumi Art Gloss 90gsm又は200gsm,Stora Enso社製)を用いてインクジェットプリンティングシステム(RICOH Pro VC60000、株式会社リコー製)により、1200dpiの解像度、印字速度50m/minにてベタ画像を記録したものを用いた。結果を表3に示す。表3中、タック力の単位は、nNである。
(実施例1〜24及び比較例1〜9)
[画像の形成]
得られたインク1〜24を表3に示す組み合わせで用いて、インクジェットプリンティングシステム(RICOH Pro VC60000、株式会社リコー製)により、記録媒体の両面に画像を記録し、画像の評価を行った。ただし、比較例9に関しては、インクジェットプリンティングシステムとしてIPSIO GX5500(リコー社製)を用いて、画像記録後、100℃で1分乾燥後、室温で24時間放置した。なお、IPSIO GX5500はシリアル型のプリンタであり、比較例9は、巻取工程を実行していない。記録媒体としては、下記表3に示す用紙(比較例9以外はロール紙)を用い、1,200dpiの解像度にて使用機種の画像処理にしたがってマゼンタ、レッド(※マゼンタとイエローを使用)、ブルー(※マゼンタとシアンを使用)3色それぞれのベタ画像を記録した。なお、マゼンタ、レッド(※マゼンタとイエローを使用)、ブルー(※マゼンタとシアンを使用)3色それぞれのベタ画像の形成方法は、次の通りである。マゼンタのベタ画像は、マゼンタインク1色を用いて作成した。レッドのベタ画像は、上記のマゼンタのベタ画像と同様にしてマゼンタのベタ画像を作成し、次に、そのマゼンタのベタ画像に重ねて、イエローインクを用いてイエローのベタ画像を重ねることで作成した。ブルーのベタ画像は、シアンインクを用いてシアンのベタ画像を作成し、次に、そのシアンのベタ画像に重ねて、マゼンタインクを用いてマゼンタのベタ画像を重ねることで作成した。
比較例9以外で巻取装置は、Rewinding module RW6(Hunkeler社製)を用いた。その際、巻き取りテンションを変動させ、下記表3に示すように、画像にかかる圧力を変えて、「耐ブロッキング性」及び「耐摺擦性」を評価した。表3中の圧力の単位は、kg/cmである。次に、一度記録が終了した後に再度紙を画像形成装置にセットし、第一のインク付与工程で用いたマゼンタ、イエロー、シアンインクを、第二のインク(ブラックインク)に変えて、1,200dpiの解像度にてベタ画像の記録を行い、「第二のインク付与時の位置ズレ」を評価した。結果を表3に示す。
図7は、連続紙の一例を示す斜視図である。図8は、図7の連続紙の側面図である。画像にかかる圧力は、装置名:面圧分布測定システムI−SCAN(ニッタ株式会社製)、センサーシートとしてI−SCAN#5027(ニッタ株式会社製)を用いて測定した。図7及び図8に示すように、ロール状に連続紙12を巻き取り、空洞10を有する紙管11の外側から20cmの位置に、圧力を測定するセンサーシート13を設置した。センサーシート13を、連続紙12の横幅方向に位置を変えた3点に設置することにより、3点の測定点を設けた。その後、連続紙12の巻き取りを継続し、3点の測定点から見て10cm紙が重なる状態とした段階での圧力を測定し、3点の圧力の平均値を、画像にかかる圧力とした。
(彩度)
形成した各画像のマゼンタ、レッド、ブルー各色ベタ部を、反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite社製)を用いて明度を測定し、得られたa*、b*の値から、彩度C*=((a*)+(b*)i1/2を算出した。測定した彩度C*と、マゼンタ、レッド、又はブルー各色の標準色(Japan color ver.2)の彩度の値C*0との比率k=C*/C*0を算出して、下の評価基準にしたがって評価した。B以上が実用可能である。結果を表3に示す。
−評価基準−
A:1.1>k≧1.0
B:1.0>k≧0.9
C:0.9>k
(耐ブロッキング性)
目視にて、記録画像同士の張り付き具合と画像の転写(オフセット)の様子を確認し、下記評価基準に基づいて、「耐ブロッキング性」を評価した。B以上が実用可能である。結果を表3に示す。
−評価基準−
A:画像の転写がない
B:引き剥がす際に軽度の張り付きを感じるが、画像の転写がない
C:画像の転写がある
(耐摺擦性)
得られた各画像について、1.2mm四方に切った紙(Lumi Art Gloss 90gsm)を用いて画像を20回擦り、反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite社製)を用いて紙へのインク付着汚れを測定し、擦った紙の地肌色を差し引いた濃度を算出し、下記評価基準に基づいて、「耐摺擦性」を評価した。B以上が実用可能である。結果を表3に示す。
−評価基準−
A:転写濃度が0.05未満
B:転写濃度が0.05以上0.10未満
C:転写濃度が0.10以上
(まだら)
得られた各画像を目視で観察し、下記評価基準に基づいて、まだらを評価した。B以上が実用可能である。結果を表3に示す。
−評価基準−
A:画像のざらつきが顕著に見られる
B:画像のざらつきがやや見られる
C:画像のざらつきが見られない
(位置ズレ)
得られた各画像を目視で観察し、下記評価基準に基づいて、位置ズレを評価した。B以上が実用可能である。
〔評価基準〕
A:位置ズレが顕著に見られる
B:位置ズレがやや見られる
C:位置ズレが見られない
なお、表3において、記録画像媒体の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・LAG130:Lumi Art Gloss 130gsm、Stora Enso社製
・OKトップ:OKトップコート+ 127.9gsm、王子製紙社製
・UPM:UPM Finesse gloss 130gsm、UPM社製
・MCS:Magno Classic Silk 135gsm、Sappi社製
・GP:G−Print 90gsm、Arctic Paper社製
300 インクジェット記録装置
301 記録媒体搬送部
302 前処理部
303 前処理液乾燥部
304 画像形成部
305 後処理部
306 後処理液乾燥部
307 給紙装置
308 巻取装置
特開2013−248883号公報

Claims (12)

  1. マゼンタインクを含む一以上のインクを記録媒体に付与して画像を形成する第一のインク付与工程と、
    前記一以上のインクが付与された記録媒体を巻き取る巻取工程と、を有し、
    前記インクは、水、有機溶剤、及び色材を含有し、
    前記マゼンタインクは、前記色材として、アゾ顔料を含有し、
    前記マゼンタインクにより形成されるインク膜のタック力は、80nN以上110nN以下である
    画像形成方法。
  2. 前記巻取工程において、前記画像に圧力が加わる請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記圧力が、3.5kg/cm以上8.0kg/cm以下である請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 前記巻取工程の後に、前記記録媒体における前記インクが付与された面に、更にインクを付与して画像を形成する第二のインク付与工程を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  5. 前記タック力が、85nN以上100nN以下である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  6. 前記マゼンタインクは、前記アゾ顔料として、PR57:1、PR52:1、及びPR146の群から選択される1種以上を含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  7. 前記一以上のインクは、前記マゼンタインク、シアンインク、及びイエローインクを含み、
    前記シアンインクは、フタロシアニン顔料を含有し、
    前記イエローインクは、アゾ顔料を含有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  8. 前記インクがウレタン樹脂粒子を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  9. Japan color ver.2の標準色の彩度に対する、前記一以上のインクにより形成されるマゼンタ、レッド、及びブルーのインク膜の彩度の比率が0.9以上である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の画像形成方法。
  10. マゼンタインクを含む一以上のインクを収容する収容手段と、
    前記一以上のインクを記録媒体に付与して画像を形成する第一のインク付与手段と、
    前記一以上のインクが付与された記録媒体を巻き取る巻取手段と、を有し、
    前記インクは、水、有機溶剤、及び色材を含有し、
    前記マゼンタインクは、前記色材として、アゾ顔料を含有し、
    前記マゼンタインクにより形成されるインク膜のタック力は、80nN以上110nN以下である
    画像形成装置。
  11. マゼンタインクを含む一以上のインクを収容する収容手段と、
    前記一以上のインクを記録媒体に付与して画像を形成する第一のインク付与手段と、
    前記一以上のインクが付与された記録媒体を巻き取る巻取手段と、を有し、
    前記インクは、水、有機溶剤、及び色材を含有し、
    前記マゼンタインクは、前記色材として、アゾ顔料を含有し、
    前記マゼンタインクにより形成されるインク膜のタック力は、80nN以上110nN以下である
    画像形成システム。
  12. マゼンタインクを含む一以上のインクを記録媒体に付与して画像を形成する第一のインク付与工程と、
    前記一以上のインクが付与された記録媒体を巻き取る巻取工程と、を有し、
    前記インクは、水、有機溶剤、及び色材を含有し、
    前記マゼンタインクは、前記色材として、アゾ顔料を含有し、
    前記マゼンタインクにより形成されるインク膜のタック力は、80nN以上110nN以下である
    画像形成物の製造方法。
JP2017102615A 2017-05-24 2017-05-24 画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び画像形成物の製造方法 Active JP6841160B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017102615A JP6841160B2 (ja) 2017-05-24 2017-05-24 画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び画像形成物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017102615A JP6841160B2 (ja) 2017-05-24 2017-05-24 画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び画像形成物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018196952A true JP2018196952A (ja) 2018-12-13
JP6841160B2 JP6841160B2 (ja) 2021-03-10

Family

ID=64663765

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017102615A Active JP6841160B2 (ja) 2017-05-24 2017-05-24 画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び画像形成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6841160B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019235628A1 (ja) * 2018-06-07 2019-12-12 東洋インキScホールディングス株式会社 インクジェット用マゼンタインキ、インキセット、及びそれらを用いた印刷物の製造方法
US11760893B2 (en) 2020-07-10 2023-09-19 Ricoh Company, Ltd. Ink, image forming apparatus, and image forming method

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007191556A (ja) * 2006-01-18 2007-08-02 Ricoh Co Ltd 記録用インク、並びにインクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
WO2011093486A1 (ja) * 2010-02-01 2011-08-04 Dic株式会社 インクジェット記録用インク組成物
JP2013144730A (ja) * 2012-01-13 2013-07-25 Seiko Epson Corp インクジェット記録用インクおよびこれを用いた記録物
JP2015013971A (ja) * 2013-07-08 2015-01-22 花王株式会社 インクジェット記録用水系インクの製造方法
JP2015147919A (ja) * 2014-01-09 2015-08-20 株式会社リコー インクジェット用水性インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録物及びインクジェット記録装置
JP2016138227A (ja) * 2015-01-29 2016-08-04 キヤノン株式会社 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法
JP2017024412A (ja) * 2015-07-24 2017-02-02 株式会社リコー インクと記録用メディアのセット、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物
JP2017179356A (ja) * 2016-03-24 2017-10-05 東洋インキScホールディングス株式会社 化粧板用水性インキ組成物、印刷物、および化粧板用積層体
JP2018020548A (ja) * 2016-06-15 2018-02-08 株式会社リコー 画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び画像を有する連続紙の製造方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007191556A (ja) * 2006-01-18 2007-08-02 Ricoh Co Ltd 記録用インク、並びにインクカートリッジ、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
WO2011093486A1 (ja) * 2010-02-01 2011-08-04 Dic株式会社 インクジェット記録用インク組成物
JP2013144730A (ja) * 2012-01-13 2013-07-25 Seiko Epson Corp インクジェット記録用インクおよびこれを用いた記録物
JP2015013971A (ja) * 2013-07-08 2015-01-22 花王株式会社 インクジェット記録用水系インクの製造方法
JP2015147919A (ja) * 2014-01-09 2015-08-20 株式会社リコー インクジェット用水性インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録物及びインクジェット記録装置
JP2016138227A (ja) * 2015-01-29 2016-08-04 キヤノン株式会社 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法
JP2017024412A (ja) * 2015-07-24 2017-02-02 株式会社リコー インクと記録用メディアのセット、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物
JP2017179356A (ja) * 2016-03-24 2017-10-05 東洋インキScホールディングス株式会社 化粧板用水性インキ組成物、印刷物、および化粧板用積層体
JP2018020548A (ja) * 2016-06-15 2018-02-08 株式会社リコー 画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び画像を有する連続紙の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019235628A1 (ja) * 2018-06-07 2019-12-12 東洋インキScホールディングス株式会社 インクジェット用マゼンタインキ、インキセット、及びそれらを用いた印刷物の製造方法
JP2019214717A (ja) * 2018-06-07 2019-12-19 東洋インキScホールディングス株式会社 インクジェット用マゼンタインキ、インキセット、及びそれらを用いた印刷物の製造方法
US11760893B2 (en) 2020-07-10 2023-09-19 Ricoh Company, Ltd. Ink, image forming apparatus, and image forming method

Also Published As

Publication number Publication date
JP6841160B2 (ja) 2021-03-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6950212B2 (ja) 画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び画像を有する連続紙の製造方法
JP6107141B2 (ja) 画像形成方法及び画像形成装置
JP6075075B2 (ja) インクジェット記録方法及び記録用インクと記録用メディアのセット
KR100983850B1 (ko) 기록용 잉크, 잉크/매체 세트, 잉크 카트리지, 잉크젯 기록방법 및 잉크젯 기록 장치
JP5757215B2 (ja) インクジェット用インク、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
JP6149909B2 (ja) インクジェット記録方法、及び記録セット
US10457079B2 (en) Ink, inkjet recording method, ink cartridge, and image recording device
EP2136999A1 (en) Ink-jet recording method, ink, ink cartridge, recording apparatus, and recorded matter
US11267255B2 (en) Image forming method, image forming apparatus, and method for manufacturing printed matter
US8845091B2 (en) Variable printing medium having high glossiness, and recording method
JP6841160B2 (ja) 画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び画像形成物の製造方法
JP6868216B2 (ja) インク、インク収容容器、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
JP7184137B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びインク
JP7077695B2 (ja) 画像形成方法、及び画像形成装置
JP2009096054A (ja) 画像記録方法及び画像記録装置、並びに画像記録物
JP2018079687A (ja) 画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法
JP7073625B2 (ja) 画像形成装置、及び画像形成方法
JP2018070730A (ja) インク、インク収容容器、及びインクジェット記録方法
JP2007284191A (ja) 画像形成装置
JP2020146880A (ja) 画像形成方法及び画像形成装置
JP2002113940A (ja) インクジェット記録用紙、記録方法および記録物
JP2022034515A (ja) 印刷方法、印刷装置、及び印刷物
JP2015030788A (ja) インクジェット用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置
JP2008119907A (ja) 画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20180207

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200916

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200929

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210201

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6841160

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151