JP2018196661A - 磁気共鳴撮像装置および体動補正方法 - Google Patents

磁気共鳴撮像装置および体動補正方法 Download PDF

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Abstract

【課題】受信コイルの感度情報に基づく体動補正法において、参照信号領域に体動信号が混入しても、高い画質改善効果が得られる体動補正技術を提供する。【解決手段】計測したk空間全領域を補正する前に、参照信号領域または畳み込み積分範囲を更新しながら参照信号領域のみに対して体動補正処理を反復し、参照信号領域を補正する。その後、補正された参照信号領域を利用して重み係数を算出し、k空間全領域を補正する。【選択図】図6

Description

本発明は、磁気共鳴撮像 (Magnetic Resonance Imaging、以下、MRI)装置に関し、特に体動補正技術に関する。
MRI装置は、静磁場内に置かれた水素原子核(プロトン)が特定の周波数の高周波磁場に共鳴する核磁気共鳴現象を利用し、その分布を非侵襲で画像化する医用画像診断装置である。MRI装置では、検査対象から発生する核磁気共鳴信号に位置情報を与えるために、2軸或いは3軸方向に傾斜磁場を印加し、傾斜磁場強度を変化させながら核磁気共鳴信号を計測する。核磁気共鳴信号は、傾斜磁場の軸を軸とする計測空間(以下、k空間と呼ぶ)に配置される。
核磁気共鳴信号の計測の際に、被検体が動くと、本来傾斜磁場が印加される位置とは異なる位置に傾斜磁場が印加されることとなり、k空間に配置されたデータはずれを含むものとなる。k空間をその軸に沿ってサンプリングする直交サンプリングの場合、そのずれは、主に位相エンコード方向に現れる。その結果として、k空間から実空間に再構成された画像の位相エンコード方向に体動アーチファクトが現れ、画質が劣化する。
この画質劣化を防ぐために、MRIにおける体動補正法がいくつか提案されている。一つは、装置周辺に設置したカメラなどのハードウェアを用いて、被検体に取り付けたマーカーの動きをトラッキングして体動量を検出し、計測時に位置を補正する方法(例えば非特許文献1)である。二つ目は、体動に強いサンプリング方法を適用したシーケンスを使用する方法(例えば非特許文献2)である。三つめは、撮像に用いる信号とは別に追加のエコー信号(ナビゲータエコーという)を計測する。そして、ナビゲータエコーから体動量を検出し、計測時に位置を補正する方法(例えば非特許文献3)である。
非特許文献1の手法は、高精度に体動を検出し補正できるものの、追加のハードウェアが必要となるという課題がある。また、リアルタイムに計測系を制御して計測位置を補正する必要があるため、高度な計測制御手段が必要となるという課題がある。
非特許文献2の手法では、Bladeと呼ばれるk空間中心が信号中心となるように収集された帯状の信号を放射状にサンプリングする(ラディアルサンプリングという)。そして、各Blade内の信号を位相補正し、全Bladeを足し合わせる。これにより、画質に影響を及ぼすk空間の低周波数領域を多重にサンプリングすることで、体動アーチファクトが平均化され、体動が補正される。しかしながら、一般的な撮像方法である直交サンプリングと同等の空間分解能を得るためには撮像時間が延長するという課題がある。
非特許文献3の手法では、追加のハードウェアが不要であり、撮像時間の延長もないものの、リアルタイムに計測系を制御して計測位置を補正する必要があるため、高度な計測制御手段が必要となるという課題がある。また、ナビゲータエコーを計測する必要があるため、ナビゲータエコーを計測するための時間的余裕のある撮像方法しか適用できないという課題がある。さらに、主に頭部で発生する咳や嚥下などのランダムな体動や非剛体の体動には十分に対応できないなどの課題がある。
上記の方法における課題を解決する方法として、受信コイル感度の違いを利用して、後処理のみで体動を補正する方法が提案されている(例えば特許文献1)。これは、複数の受信コイル感度の違いを利用して計測信号を再生成する手法と、再生成した信号(以下、再生成信号と呼ぶ)と計測信号とを比較して、計測信号のうち体動の影響を受けた信号(以下、体動信号と呼ぶ)を検出し、体動信号をゼロもしくは任意の値(例えば再生成信号そのもの)で置換する手法を組み合わせた手法である。特許文献1では、信号の再生成手法としてGRAPPA(Generalized Auto−Calibrating Partially Parallel Acquisition)法を使用している(非特許文献4)。この方法は、追加のハードウェアが不要であり、撮像時間の延長がなく、非剛体の動きも補正できる。
米国特許第9649579号明細書
Maclaren J et al, Measurement and correction of microscopic head motion during magnetic resonance imaging of the brain, PLoS One 7 e48088 (2012) Pipe, James G. "Motion correction with PROPELLER MRI: application to head motion and free−breathing cardiac imaging." Magnetic Resonance in Medicine White, Nathan, et al. "PROMO: Real‐time prospective motion correction in MRI using image‐based tracking." Magnetic Resonance in Medicine 63.1 (2010): 91−105. 42.5 (1999): 963−969. Griswold, Mark A., et al. "Generalized autocalibrating partially parallel acquisitions (GRAPPA)." Magnetic resonance in medicine 47.6 (2002): 1202−1210.
特許文献1に記載の手法では、再生成信号を生成する際に、各受信コイルの感度部分に相当する重み係数を算出するための領域(以下、参照信号領域と言う)をk空間の低周波数領域に設定する。しかし、参照信号領域に体動が混入した場合、参照信号領域の信号を使って算出される重み係数にも体動による誤差が生じる。そのため、体動による誤差が混入した重み係数を使って再生成信号を算出すると、再生成信号全域に誤差が生じ、補正すべき計測信号にも誤差が伝搬する。その結果、十分な画質改善効果が得られないという課題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、参照信号領域に体動信号が混入しても、高い画質改善効果が得られる体動補正方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、複数の受信コイルで計測したk空間データ(計測空間に配置される計測信号)に対して、まず、参照信号領域を設定し、この参照信号領域に含まれる計測信号(参照信号)について体動に起因する誤差を補正する。その後、補正された参照信号領域に基づいて計測空間全領域を補正する。参照信号領域の体動補正では、重み係数を算出するための条件を更新しながら補正処理を反復することで参照信号を補正する。
具体的には、本発明のMRI装置は、被検体が置かれる空間に静磁場を生成する静磁場生成磁石と、前記被検体に高周波磁場パルスを送信する送信部と、高周波磁場パルスの照射により前記被検体から生じる核磁気共鳴信号を受信する2以上の受信コイルを備えた受信部と、前記核磁気共鳴信号に位置情報を付加するための傾斜磁場を印加する傾斜磁場印加部と、前記送信部、前記傾斜磁場印加部及び前記受信部の動作を制御するとともに前記受信した核磁気共鳴信号に対して演算処理を行う計算機と、を備える。前記計算機は、前記送信部、前記傾斜磁場印加部及び前記受信部の動作を制御して前記2以上の受信コイルが受信した核磁気共鳴信号を計測空間に配置する計測制御部と、前記計測空間の計測信号に対して体動補正を行う体動補正処理部と、前記体動補正処理部で補正した計測信号を用いて画像を再構成する画像再構成部と、を備える。そして、前記体動補正処理部は、前記計測空間の少なくとも1つの領域を参照信号領域とし、当該参照信号領域内の計測信号を参照信号として設定する参照信号領域設定部と、前記参照信号に対し体動補正を行う参照信号体動補正部と、前記参照信号体動補正部で補正された体動補正後の参照信号に基づいて、前記計測空間の全領域の計測信号に対し体動補正を行う全領域補正部と、を備える。
本発明によれば、参照信号領域に体動が混入した場合にも高い画質改善効果が得られ、ハードウェアの追加やリアルタイム計測制御の必要なく、取得した画像そのものだけを用いて体動を補正できるため、計測時間の延長なしに高画質な画像を得ることができる。
本発明が適用されるMRI装置の外観を示す図で、(a)は、水平磁場方式のMRI装置、(b)は、垂直磁場方式のMRI装置、(c)は、トンネル型磁石を斜めに傾けたMRI装置である。 本発明が適用されるMRI装置の機能構成図である。 第一の実施形態の計算機の機能ブロック図である。 第一の実施形態の計算機のフローチャートである。 第一の実施形態で採用するスピンエコー型パルスシーケンスの一例を説明するための図である。 第一の実施形態の体動補正処理部のフローチャートである。 (a)〜(d)は、第一の実施形態で設定する参照信号領域を説明するための概念図である。 第一の実施形態の参照信号体動補正部の機能ブロック図である。 第一の実施形態の参照信号体動補正部のフローチャートである。 第一の実施形態で設定する畳み込み積分範囲を説明するための概念図である。 第一の実施形態の体動位置検出部の機能ブロック図である。 第一の実施形態の体動位置検出部のフローチャートである。 第一の実施形態の全領域補正部のフローチャートである。 第一の実施形態の全領域補正部の機能ブロック図である。 第一の実施形態の手法の効果を示す図で、(a)は参照となるファントムの絶対値画像、(b)は従来の手法で補正された絶対値画像、(c)は第一の実施形態で補正された絶対値画像、(d)は体動信号を印加した絶対値画像、(e)は本図(a)と(b)との差分絶対値画像、(f)は本図(a)と(c)との差分絶対値画像を示す。 第二の実施形態のk空間データを示す図である。 第三の実施形態の計算機の機能ブロック図である。 第三の実施形態の処理フローを示す図である。 第三の実施形態のk空間データを示す図である。 (a)及び(b)は、それぞれ表示の実施形態を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の形態より本発明が限定されるものではない。
[装置構成]
本発明は、装置の形態やタイプを問わず、公知の各種のMRI装置に適用することができる。図1に、そのいくつかを例示する。図1(a)は、ソレノイドコイルで静磁場を生成するトンネル型磁石を用いた水平磁場方式のMRI装置100である。図1(b)は、開放感を高めるために磁石を上下に分離したハンバーガー型(オープン型)の垂直磁場方式のMRI装置120である。また、図1(c)は、図1(a)と同じトンネル型磁石を用い、磁石の奥行を短くし、かつ、斜めに傾けることによって、開放感を高めたMRI装置130である。本実施形態では、これらの外観を有するMRI装置のいずれを用いることもできる。以下の説明は、総括したMRI装置100として説明する。
MRI装置100は、図2の機能ブロック図に示すように、主として、被検体101が置かれる空間に静磁場を生成する、例えば、静磁場コイルなどの静磁場生成磁石(以下、静磁場コイルという)102と、静磁場分布を調整するシムコイル104と、被検体101の計測領域に対し高周波磁場を送信する送信用高周波コイル105(以下、単に送信コイルという)と、被検体101から生じる核磁気共鳴信号を受信する受信用高周波コイル106(以下、単に受信コイルという)と、被検体101から生じる核磁気共鳴信号に位置情報を付加するために、x方向、y方向、z方向それぞれに傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイル103と、送信機107と、受信機108と、計算機109と、傾斜磁場用電源部112と、シム用電源部113と、シーケンス制御装置114と、を備える。
静磁場コイル102は、図1(a)、図1(b)、図1(c)にそれぞれ示した各MRI装置100、120、130の構造に応じて、種々の形態のものが採用される。
送信コイル105と送信機107は送信部として機能し、送信機107が生成する高周波信号を送信コイル105に送信することにより送信コイルから高周波磁場が照射される。受信コイル106が検出した核磁気共鳴信号は、受信機108を通して計算機109に送られる。本実施形態では、複数の受信コイルの感度分布情報を用いて、体動の影響がない信号を再生成する。このため、本実施形態の受信コイル106は、受信コイルを少なくとも2つ以上備える。なお複数の受信コイルを総称して受信コイル或いはマルチコイルという場合、個々の受信コイルを受信コイルのチャンネルともいう。
傾斜磁場コイル103及びシムコイル104は、それぞれ傾斜磁場用電源部112及びシム用電源部113により駆動される。
シーケンス制御装置114は、傾斜磁場コイル103の駆動用電源である傾斜磁場用電源部112、シムコイル104の駆動用電源であるシム用電源部113、送信機107及び受信機108(これらを総括して計測部ともいう)の動作を制御し、傾斜磁場、高周波磁場の印加および核磁気共鳴信号の受信のタイミングを制御する。制御のタイムチャートはパルスシーケンスと呼ばれ、計測に応じて予め設定され、後述する計算機109が備える記憶装置等に格納される。
計算機109は、MRI装置100全体の動作を制御するとともに、受信した核磁気共鳴信号に対して様々な演算処理を行う。本実施形態では、計算機109は一般的な画像再構成演算に加えて、体動補正のための演算などを行う。このため、図3に示すように、計測制御部310と、体動補正処理部320と、画像再構成部330と、を有する。
計算機109は、CPU、メモリ、記憶装置などを備える情報処理装置であり、計算機109が行う制御や演算は、CPUが所定のプログラムを実行することにより、実現される。但し、演算の一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programable Gate Array)等のハードウェアで実現することも可能である。また、計算機109が実現する各種の機能のうち、少なくとも一つの機能は、MRI装置100とは独立した情報処理装置であって、MRI装置100とデータの送受信が可能な情報処理装置により実現されていてもよい。
計算機109にはディスプレイ110、外部記憶装置111、入力装置115などが接続される。ディスプレイ110は、演算処理で得られた結果等をオペレータに表示するインタフェースである。入力装置115は、本実施形態で実施する計測や演算処理に必要な条件、パラメータ等をオペレータが入力するためのインタフェースである。本実施形態の入力装置115では、ユーザーが、計測するエコーの数や、基準のエコー時間(TE)、エコー間隔、FOV(Field of View)などの計測パラメータを入力できる。外部記憶装置111は、記憶装置とともに、計算機109が実行する各種の演算処理に用いられるデータ、演算処理により得られるデータ、入力された条件、パラメータ等を保持する。
[MRI装置の動作]
上述したMRI装置の動作の概略を、図4を参照して説明する。
<計測ステップS1001>
撮像が開始されると、計測制御部310は、入力装置115を介してユーザーが入力したパラメータに基づいて設定されるパルスシーケンスにしたがってシーケンス制御装置114を動作させる。シーケンス制御装置114は、計測部の動作を制御し、被検体101が発生する核磁気共鳴信号(以下、エコー信号という)を予め定めたエコー時間(TE)で収集し、収集したエコー信号をメモリ内の計測空間に格納する。
ステップS1001において実行するパルスシーケンスは特に限定されず、公知のパルスシーケンスを採用することができるが、図5に、一例として、直交座標でサンプリングする直交サンプリング型のスピンエコーパルスシーケンス510を示す。
このパルスシーケンス510では、1回の繰り返し時間内に以下の手順でエコー信号の計測を行う。まず、RFパルス511を照射し、被検体101のスピンを励起する。この際、被検体101の特定のスライスを選択するためにスライス選択傾斜磁場(Gs)512をRFパルス511と同時に印加する。続いてエコー信号に位相エンコードするための位相エンコード傾斜磁場(Gp)513を印加し、更にスピンを反転させるためのRFパルス514を、スライス選択傾斜磁場(Gs)515とともに照射する。その後、最初のRFパルス511照射から時間TE後に、読み出し傾斜磁場(Gr)516印加してエコー信号517を計測する。この処理を、予め設定した所望のk空間領域が全て充填されるまで繰り返す。
なお図5に示すスピンエコーパルスシーケンスは計測制御部310が実行するパルスシーケンスの一例であり、本実施形態はそれに限定されず種々の変更が可能である。例えば、グラジエントエコーパルスシーケンスでもよいし、1回の繰り返し時間中に、RFパルスと位相エンコード磁場印加を繰り返すことで、複数のエコー信号を計測する高速スピンエコーシーケンスを用いて計測してもよい。さらに、図5のイメージングシーケンスは2D用のパルスシーケンスであるが、イメージングシーケンスは3Dイメージング用のパルスシーケンスであってもよい。
また本実施形態のパルスシーケンスの実行に際しては、k空間における体動信号の現れ方を考慮して位相エンコード傾斜磁場(Gp)の印加順序を決めることができる。図5に示す例は、順序だてて連続的に計測する場合であるが、ランダムな順序や、任意の間隔を空けて印加する順序で計測してもよい。印加順序が連続型のとき、連続的な体動が混入すると、k空間上でも体動信号が連続して現れる。一方、印加順序が非連続型(例えばランダムな位相エンコード印加順序)のとき、連続的な体動が混入すると、k空間上では体動信号はランダムに表れる。このように、同一の体動であったとしても、撮像順序によりk空間上での体動信号の位置が異なり、再構成した際に異なったアーチファクトが現れる。後述する体動補正においては、位相エンコード傾斜磁場の印加順序を考慮して、補正の際に設定する参照領域や畳み込み演算範囲などを決定してもよい。
計算機109は、計測空間に格納されたエコー信号を、計測パラメータによって規定されるk空間データに配置する。本実施形態のMRI装置の受信機108は、複数の受信コイルを用いたマルチチャンネルであり、計測ステップS1001では、チャンネル毎にk空間データを収集する。
<体動補正ステップS1002>
計算機109(体動補正処理部320)が、複数のk空間データについて、体動に起因する誤差の補正を行う(体動補正ステップS1002)。本ステップでは、基本的には、計測したエコー信号から、複数の受信コイルの感度情報に基づいてエコー信号を再生成した信号(再生成信号)を算出する。そして、再生成信号とエコー信号とから、体動の影響を受けている信号(体動信号)を検出し、検出した体動信号を再生成した信号で置換する処理を実行する。ここで「信号」は、パルスシーケンスで計測する一つのエコー(例えば、図5のエコー信号517)のみならず、k空間の各ライン上のデータ或いはその一部を含む多様な概念である。
上記基本的な処理に用いる複数の受信コイルの感度情報を得るために、本実施形態では、まず、k空間の一部の領域(以下、参照信号領域という)を設定し、この参照信号領域に対し体動補正演算を行って、参照信号領域を補正する。その上で、補正された参照信号領域の計測信号を用いて重み係数を算出する。こうして算出した重み係数に基いて再生成信号の算出と、再生成信号を用いた体動信号の検出及び補正を行う。このため、体動補正処理部320は、機能部として、参照信号領域設定部321と、参照信号体動補正部322と、全領域補正部323と、を備える。これら各部の機能は、体動補正ステップS1002の具体的な処理とともに、後述の実施形態の説明において詳述する。
<画像再構成ステップS1003>
次いで計算機109(画像再構成部330)は、ステップS1002で補正されたエコー信号を含むk空間データに対して逆フーリエ変換およびマルチコイル画像合成を施し、体動補正された再構成画像を作成する。画像はディスプレイ110に表示される。必要に応じて、ステップS1002で算出した再生成信号から作成した画像などをディスプレイ110に表示してもよい。
本実施形態のMRI装置によれば、参照信号領域に混入した体動信号を補正した後にk空間の全領域を補正するため、高い画質改善効果を得ることができる。
次に本実施形態のMRI装置が実行する体動補正処理の具体的な実施形態を説明する。
[第一の実施形態]
本実施形態の体動補正処理は、図6に示すように、参照信号領域を設定する処理(S1101)、参照信号領域を補正し、体動信号を実質的に含まない参照信号領域とする処理(S1102)、補正後の参照信号を用いて受信コイルの感度分布を算出し重み係数を決定し、当該重み係数を用いて全領域について体動補正を行う処理(S1103)を含む。S1102及びS1103の処理は、所定の位置の信号を、その周辺の領域の信号の畳み込み演算で再生成して再生成信号を取得し、当該所定の位置の計測信号と再生成信号とを比較して体動を検出し、補正するという処理を含む。以下、各処理を詳述する。
<参照信号領域設定:S1101>
参照信号領域設定部321が、受信コイルの感度分布を算出するのに用いる少なくとも1つ以上のk空間の領域の計測信号を参照信号領域として設定する。
本ステップで設定される参照信号領域は、後の処理の初期値となるものであり、ステップS1102で補正され、必要に応じて更新される。参照信号領域を広くすることで、感度分布に基く重み係数の算出精度を向上することができるが、体動信号を含みやすくなるとともに演算時間が長くなる。そのため、初期値として設定される参照信号領域は、比較的狭い範囲とする。
図7(a)に、本ステップで設定する参照信号領域の一例を示す。図中、左右方向を周波数エンコード方向、上下方向を位相エンコード方向、紙面と垂直な方向をスライス方向とする。図示する例では、予め設定した所望のk空間領域800に対し、k空間中心付近の領域801を参照信号領域として設定している。一例として、周波数エンコード方向に対しては全k空間領域、位相エンコード方向には例えば27点を初期値として設定する。
図7(a)に示す例では、周波数エンコード方向に対して全k空間領域を参照信号領域として設定したが、周波数エンコードの一部のみを参照信号領域として設定してもよい。周波数エンコード方向に対して全k空間領域を参照信号領域として設定した場合には、以降に述べる重み係数の算出時に使用する連立方程式の数を増やして、その算出精度を向上することができる。一方、周波数エンコードの一部のみを参照信号領域として設定した場合には、演算時間を短縮することができる。
<参照信号体動補正処理:S1102>
参照信号体動補正部322が、設定した参照信号領域に混入した体動信号を補正する処理を実施する。具体的には、受信コイルの感度情報に基づいて、参照信号領域設定部321で設定した参照信号領域の再生成信号を作成する。その後、参照信号領域の計測信号と再生成信号とで差分比較を行うことで体動信号の位置を検出する。そして、検出した位置の計測信号を再生成信号に置換することで、体動の影響が補正された計測信号が得られる。
このとき、十分な補正効果を得るために、参照信号領域または或いはこの領域内部に設定される再生成信号を形成するための領域(畳み込み積分範囲という)を更新しながら反復演算を行う。反復演算を行うことで、一度目で補正された参照信号を利用して再度補正を実施することが可能となり、参照信号領域に混入した体動信号は反復に従って補正されていく。
このような機能を実現する参照信号体動補正部322の機能ブロック図を図8に示す。図示するように参照信号体動補正部322は、畳み込み積分範囲設定部410と、重み係数算出部420と、再生成参照信号算出部430と、体動位置検出部440と、参照信号置換部450と、設定領域更新部460と、反復演算処理部470と、を備える。畳み込み積分範囲設定部410は、受信コイルの感度分布に基づく重み係数を算出するのに用いる計測空間の範囲を畳み込み積分範囲として設定する。重み係数算出部420は前記参照信号と前記畳み込み積分範囲の計測信号とを用いて、前記畳み込み積分範囲の重み係数を算出する。再生成参照信号算出部430は、前記参照信号領域内の各参照信号について、参照信号と前記重み係数とを用いて当該参照信号を再生成する。体動位置検出部440は、前記参照信号と前記再生成参照信号算出部が算出した再生成参照信号とから、前記参照信号領域において体動のある信号位置を検出する。参照信号置換部450は、前記体動位置検出部で検出した体動のある位置の参照信号を、前記再生成参照信号に置換する。
反復演算処理部470は、参照信号体動補正部の各部の処理を所定の終了条件に従って少なくとも1回以上反復する。この際、前記参照信号置換部で置換後の参照信号を新たな参照信号として設定する。また、設定領域更新部460は、反復処理において、前記参照信号領域及び前記畳み込み積分範囲の一方または両方を少なくとも1回以上更新する。
以下、参照信号体動補正部322の各機能部が実施する処理(図6:ステップS1102)の詳細について、図9を参照して説明する。
<<S1201>>
まず畳み込み積分範囲設定部410が、受信コイルの感度情報に基づいて計測信号を再生成するために必要となる、畳み込み積分の範囲を設定する。図10に、本実施形態で設定する畳み込み積分範囲の概念図を示す。本図の左右方向を周波数エンコード方向、上下方向を位相エンコード方向、紙面と垂直な方向をスライス方向とする。
例えば、k空間領域810において、図10(a)に示す例では、畳み込み積分範囲811を周波数エンコード方向に1点、位相エンコード方向に3点を設定する。このとき、畳み込み積分で再生成される信号813は、畳み込み積分範囲811にて囲まれる3点から、再生成される点の計測信号を除いた2点の計測信号を利用して再生成される。図10(b)に示す例では、畳み込み積分範囲812を周波数エンコード方向及び位相エンコード方向にそれぞれ3点を設定している。なお、図示する例では、畳み込み積分で再生成される信号813を中心に対称な領域を畳み込み積分範囲811、812として設定したが、対称な領域に畳み込み積分範囲を設定しなくてもよい。また1つの畳み込み積分範囲を設定しているが、複数の畳み込み積分範囲を設定してもよい。
ここで畳み込み演算範囲が広いと、後述する重み係数算出ステップにおける演算量は多くなる。また畳み込み演算範囲の異なる位置に体動の影響を受けた信号が入り込む可能性が高くなる。本実施形態の処理(S1102)では、畳み込み積分範囲を更新しながら繰り返し演算するので、初期値として設定する畳み込み積分範囲は、例えば図10(a)に示すように比較的狭い範囲とし、繰り返し毎にその範囲を広げるという手法を採ることが望ましい。
<<S1202>>
重み係数算出部420は、計測信号を再生成する際に利用する重み係数を算出する。重み係数は、各受信コイルの感度情報に基づいて算出する。以下、その具体的な算出方法を説明する。
一般に、複数チャンネルの受信コイルでそれぞれ取得したエコー信号(k空間データ)から一つのk空間データを合成する場合、各エコー信号にそれぞれの受信コイルの重み係数を掛けて畳み込み積分することにより、1つのエコー信号(k空間データ)を再生成することができる。本実施形態では、このことを利用して重み係数を算出する。
すなわち、n番目のチャンネルの受信コイルにおける参照信号領域内の任意のk空間位置kiの参照信号をy(ki、n)とし、m番目のチャンネルの受信コイルにおける位置kiを除いた畳み込み積分範囲内のk空間位置krの信号をA(kr、m)、A(kr、m)に対応する重み係数をw(kr、m)とするとき、参照信号y(ki、n)は以下の式(1)で表される。
Figure 2018196661
式(1)の方程式を、参照信号領域の全画素に対する連立方程式として行列形式で表すと、式(2)で表される。
Figure 2018196661
式(2)をwについて解くことで重み係数を算出できる。この連立方程式は、例えば、式(3)に示す最小二乗法により解くことができる。
Figure 2018196661
ここで、w(m)はyとAwとの差を最小にする重み係数を示す。
一般的に、連立方程式の数が多いほど、最小二乗法におけるフィッティング精度が向上するため、高精度な重み係数を算出できるが、演算時間が増加する。また、連立方程式に体動信号が加わると、フィッティング精度は低下する。初期値として比較的狭い範囲を畳み込み積分範囲としておくことで、演算時間を少なくするとともに、また体動信号が加わる可能性を低くしている。
<<S1203、S1204>>
再生成参照信号算出部430が、ステップS1202で算出した重み係数を使用して、参照信号領域の計測信号のみに対して、受信コイルの感度情報に基づいて再生成信号を算出する(ステップS1203)。再生成信号は、式(1)と同様の式(4)を用いて算出することができる。
Figure 2018196661
gは再生成信号を示し、ここでは参照信号領域内の任意の位置kiの再生成信号である。
上記ステップS1202からステップS1203の再生成処理を、計測に利用したマルチコイルの全チャンネル分実行し、全チャンネル分の再生成信号を算出する。
<<S1205>>
体動位置検出部440が、計測信号と再生成信号とを比較し、体動信号の位置を検出する。体動信号の無い領域では、計測信号と再生成信号とは誤差の範囲で等しくなるが、体動信号周囲では、畳み込み積分の結果として、体動信号が持つ誤差が周囲に染み出した分布となる。よって、計測信号と再生成信号とを差分比較すれば、体動信号の周囲は局所的に高い値を持つことになる。したがって、この差分信号の極大値を検出することで、体動信号の位置を取得できる。
この機能を実現するために、体動位置検出部440は、図11に示すように、差分信号算出部610と、投影信号算出部620と、極大値算出部630と、体動信号位置設定部640と、を備える。
以下、体動位置検出部440の各部の処理の流れについて、図12を参照して説明する。
まず差分信号算出部610は、計測信号と再生成信号との差分を計算する(ステップS1401)。差分信号は式(5)で表される。
Figure 2018196661
式(5)、sは差分信号、fは計測信号、gは再生成信号であり、これら信号の変数(x,y,ch)は、xが位相エンコード軸、yが周波数エンコード軸、chが受信コイルのチャンネルである(以下、同じ)。
次いで、投影信号算出部620は、差分信号sに対し、体動の影響が表れる位相エンコード軸方向に投影を行う(ステップS1402)。差分信号の投影は式(6)で表される。
Figure 2018196661
ここで、p(x)は位相エンコード軸の位置xでの差分信号の投影値(以下、投影信号と呼ぶ)を示す。投影信号pに対して、例えば移動平均フィルターやウェブレットフィルターなどの、フィルタリング処理を施してもよい。
極大値算出部630は、投影信号p(x)に対して、極大値検索を行う(ステップS1403)。極大値検索には、公知の手法を採用することができる。例えば、隣接するサンプルより大きい値を持つものを極大値として検索する方法を使用することができる。この際、例えば極大値の固有の高さを算出し、予め設定した閾値を用いて弁別を行うなどの、極大値に対して任意の制約を設けてもよい。また、任意に設定したある閾値を用いて極大値を弁別する方法を用いてもよい。
体動信号位置設定部640は、前記ステップS1403で検出した極大値の、位相エンコード軸上の位置を取得する(ステップS1404)。
以上の手順により、計測信号と再生成信号から体動信号の位置が検出される。即ち、図9の体動位置検出部440による処理(ステップS1205)が完了する。
<<S1206>>
参照信号置換部450は、ステップS1205で検出した体動信号を再生成信号に置換する。検出した体動信号の位置に対応する再生成信号は、その周囲に別の体動信号が無い限り、畳み込み積分の結果から、体動の影響を受けていない信号となる。そのため、本ステップで実施する置換処理にて、体動の影響が補正された計測信号(以下、補正信号と呼ぶ)が得られる。
<<S1207>>
反復演算処理部470では、少なくとも1回以上、上記ステップS1202からステップS1206までの処理を繰り返し実施する。繰り返しの終了判定は、種々の方法を採りえる。例えば、反復回数で終了判定を行い、予め設定した回数として10回の反復を行う。或いは、平均二乗誤差の平方根(Root Mean Square Error:RMSE)や、画像エントロピーなどの画像定量値を算出し、その値の変化量に閾値を設けて終了判定を行う手法をとってもよい。
RMSEを用いる場合、具体的には、計測信号と補正した計測信号を逆フーリエ変換し、マルチコイル合成した画像から、次式により平均二乗誤差の平方根(RMSE)を算出する。
Figure 2018196661
式(7)中、I、Gはそれぞれ計測信号と補正後計測信号からマルチコイル合成により得た画像を示し、iは各画像の画素の位置を示す(以下、同じ)。
このRMSEは、同一画像ならば0となり、差が大きくなるにつれ大きな値を示す。この値が所定の閾値以下となったときを繰り返し処理の終了時点とする。
また、画像エントロピーを終了判定に用いる場合、次式(8)より画像エントロピーEを算出する。
Figure 2018196661
この画像エントロピーEは、小さな値を取るほど体動アーチファクトが低減されていること示す。従ってEが所定の閾値以下となったときを繰り返し処理の終了時点とする。
なお反復計算により、十分な体動補正効果が得られ、反復にて変化が生じない場合、このRMSEや画像エントロピーが反復しても同じ値を示すようになる。このときに予め設定した変化量閾値を下回る場合に反復計算を終了する、としてもよい。また終了判定には、その他の画像定量値を使用してもよく、また、反復によって画像定量値が上昇するなど、補正信号が補正する前の計測信号より多くアーチファクトを含むと判断される場合、本ステップにおける反復を終了してもよい。
<<S1208>>
設定領域更新部460では、受信コイルの感度情報に基づいて信号の再生成に使用する参照信号領域および畳み込み積分範囲を更新する。
一般的に、式(3)により算出される重み係数は、算出する際の連立方程式の数が少ないとノイズの影響によりフィッティング誤差が生じる。また、連立方程式に使用している計測信号の信号対雑音比(Signal to Noise Ratio ; SNR)が低いとフィッティング精度が低下する。加えて、参照信号領域に体動信号が混入している場合もフィッティング誤差が生じる。
ここで参照信号領域が大きいと、連立方程式の数が増える一方、体動信号を多く含むようになるため、フィッティング誤差が生じることになる。また、畳み込み積分範囲が小さいと、連立方程式の数が増える一方、重み係数が受信コイルの感度情報を十分反映できなくなるため、フィッティング誤差が生じる。
このため、本実施形態では、まず、体動信号を参照信号領域に多く含まないように、ステップS1101は、小さい領域を参照信号領域と設定する。参照信号領域が小さいことによる連立方程式の数の減少は、ステップS1201で設定する畳み込み積分範囲を小さくすることで補う。その後の反復計算に伴う設定領域更新(本ステップS1208)では、畳み込み積分範囲は広くする方向に拡張し、それに伴う連立方程式の数の減少は、参照信号領域を拡張することで補う。
参照信号領域の更新例を、再度図7を参照しながら説明する。図7(b)に示す例では、ステップS1101で設定した参照信号領域801(図7(a))を、位相エンコード方向に拡張する(802)。例えば、位相エンコード軸方向の参照信号を27点から45点に拡張する。
なお、図7(a)に示したように、周波数エンコード軸方向の参照信号をk空間全領域に設定している場合には、周波数エンコード軸方向に対する更新を行うことはないが、ステップS1101で周波数エンコード軸方向の参照信号をk空間全領域として設定していない場合には、本ステップS1208で周波数エンコード軸方向に対する更新を行ってもよい。
また更新したあとの参照信号領域は、更新する前の参照信号領域を含まなくてもよい。例えば、更新する前の参照信号領域に体動信号が含まれている場合など、図7(c)に示すように、ステップS1101で設定した領域801とは別のk空間中心を含まない領域803を更新後の参照信号領域としてもよい。さらに、図7(d)に示すように、体動信号含まれる領域を除いて、2つの参照信号領域803、804を更新後の参照信号領域としてもよい。参照信号領域は、k空間中心から対称な領域でもよいし、k空間中心に対し非対称であってもよい。
畳み込み積分範囲の更新例を、再度図10を参照しながら説明する。例えば1回目の設定(S1201)では、図10(a)に示すように、畳み込み積分範囲811の周波数エンコード方向の点数に1点とし、更新時には、図10(b)に符号813で示すように、周波数エンコード方向の点数を3点に拡張する。周波数エンコード方向の拡張に代えて、或いはそれとともに、位相エンコード方向の拡張を行ってもよい。
以上のように、参照信号領域と畳み込み積分範囲の大きさや形は任意である。
参照信号領域および畳み込み積分範囲の更新は、両者の更新を同時に行ってもよいし、別々に更新してもよい。別々に行う場合、参照信号領域を拡大して反復したのち、畳み込み積分範囲を拡大することで、式(3)の連立方程式の数を減少させずに体動補正できる。
<<S1209>>
参照信号領域又は畳み込み積分範囲を更新した後、反復演算処理部470は、上記ステップS1201からS1208までを少なくとも1回以上反復する処理をさらに実施する。例えば2回の反復処理を実施する。反復処理では、ステップS1208で参照信号領域と畳み込み積分範囲を更新しているため、ステップS1208を実施する前と比較して異なった再生成信号が得られる。ステップS1208にて参照信号領域が更新された場合には、ステップS1207で初期値の参照信号領域の体動信号が補正されているため、新たに参照信号として設定された計測信号が主に補正される。
繰り返しは、例えば、予め設定した所望の回数のみ設定領域を更新し、それ以上に本ステップを実施する際は、更新を行わなくてもよく、ステップS1208をスキップしてもよい。繰り返しの終了判定は、上述のような反復回数ではなく、ステップS1207の終了判定と同様に、例えば、RMSEや、画像エントロピーなどの画像定量値を算出し、その値の変化量に閾値を設けて終了判定を行う手法をとってもよい。また、参照信号領域もしくは畳み込み積分範囲に上限値等の限界を予め設定し、これらの限界に達するまで反復を行うとしてもよい。
以上の手順S1201〜S1209により、図6に示す参照信号領域補正処理(S1102)が完了し、参照信号領域の体動信号が補正された計測信号が得られる。
<全領域補正処理:S1103>
体動信号が補正された参照信号領域の計測信号を用いて、全領域補正部322がk空間全領域に混入した体動信号を補正する。この処理は、参照信号領域として体動補正されたものを用いることを除き、参照信号領域に対する体動補正(図9:S1202〜S1206)と同様であり、図13に示すように、重み係数を算出する処理(S1301)、再生成信号を算出する処理(S1302)、全チャンネルについて、ステップS1301及びS1302を繰り返す処理(S1303)、体動位置を検出する処理(S1304)及び計測信号を置換する処理(S1305)を含む。
このような処理を実現するため、全領域補正部323は、図14に示すように、重み係数算出710と、再生成計測信号算出部720と、体動位置検出部730と、計測信号置換部740と、を備える。
以下、図6のステップS1103において、全領域補正部322の各機能部が実施するについて処理を説明する。
<<S1301>>
重み係数算出部710が、補正後参照信号を用いて受信コイルの感度情報に基づく重み係数を算出する。この処理は、前述のステップS1202と同様であり、参照信号領域の全画素に対する連立方程式(式(2))を解くことで重み係数を算出する。ここでは、参照信号体動補正部322にて補正された参照信号領域を使用して重み係数を算出するため、誤差の少ない重み係数を算出することができる。なお、参照信号を算出するための畳み込み積分範囲は、ステップS1202と同じでもよいし異なっていてもよい。
<<S1302、S1303>>
再生成計測信号算出部720が、ステップS1301で算出した重み係数を用いて計測信号の再生成をk空間全域で行う。再生成信号の算出は、ステップS1203と同様であり、式(4)を用いて行う。但し、ステップS1203では参照信号領域のみで再生成信号を算出したが、本ステップではk空間全域の再生成信号gを算出する。
再生成計測信号算出部720は、各受信コイルに対して、ステップS1301とステップS1302の処理を繰り返す。
<<S1304>>
体動位置検出部730は、ステップS1205と同様の手法で体動検出を行う。すなわち、再生成信号と実際に計測した計測信号との差分信号を算出し、その位相エンコード軸方向への投影から極大位置を検索し、それを体動位置とする。但し、全領域体動補正処理S1103では、ステップS1303にてk空間全域で計測信号の再生成を行っているため、本ステップでの体動検出もk空間全域で行う。
<<S1305>>
計測信号置換部740では、ステップS1206と同様に、体動が検出された位置の計測信号を再生成信号で置換する。以上の手順S1301〜S1305により、k空間全域の体動信号が補正された計測信号が得られる(図6:S1103)。
なお図9に示す参考信号領域の体動補正処理では、参考信号領域や畳み込み積分範囲を更新して、反復処理を行ったが、全領域体動補正処理では、体動補正後の参考信号領域を用いて重み係数を求めているので、反復処理は行わなくてもよい。
以上説明したステップS1101〜S1103の処理により、本実施形態における体動補正処理(図3:S1002)が完了する。その後、画像再構成部330は、各チャンネルの体動補正後の計測信号を用いて画像再構成する。即ち画像再構成部330は、全領域補正部323にて補正された計測信号を含む、チャンネル毎のk空間データを逆フーリエ変換することで実空間画像へと再構成し、各受信コイルの画像を合成して最終画像を算出する。合成された最終画像を、例えば絶対値画像としてディスプレイ110へ表示する。
なお、必要に応じて、ステップS1002で算出した再生成画像などを適宜ディスプレイ110に表示してもよい。
本実施形態によれば、感度情報を用いて作成した再生成信号と実測された計測信号との比較・置換によって体動補正を行う技術において、感度情報を取得するためのk空間領域(参照信号領域)に対し、まず体動補正を行い、その上で補正された参照信号領域から感度情報を得て、それを用いて全領域の体動補正を行うので、参照信号領域から得られる感度情報の精度を高めることができ、高い画質改善効果が得られる。また本実施形態によれば、参照信号領域の体動補正において、参照信号領域或いは再生成信号を得るための畳み込み積分範囲を更新しながら繰り返し演算を行うことで、参照信号領域の補正精度を高めることができる。
[第一の実施形態の実施例]
第一実施形態による体動補正の効果を確認するため、以下の撮像実験を実施した。
図1(a)に示す型の静磁場強度3テスラの磁気共鳴撮影装置と、15chを搭載する受信コイルを使用し、図5に記載のパルスシーケンスを実行し、円筒ファントム(塩化ニッケル水溶液)の磁気共鳴信号を計測した。
体動信号を模擬的に混入させるため、ファントムを通常の配置で計測したものと、頸部側に3cm程度のクッションを挿入し、位置をずらして計測したものを取得し、k空間の計測信号を入れ替えることで、模擬的に体動が混入した状態の計測信号を作成した。本実施例では、位相エンコード軸方向に6点周期で指定された位相エンコード軸の計測信号を入れ替えた。
模擬的に作成した体動が混入した計測信号に対し、第一の実施形態に記載の手法(実施例)と、参照信号領域の補正、即ち図9に示す反復計算及び設定領域更新を行わずに全領域を補正する手法(比較例)とを適用し、体動補正を行った。なお、比較例の参照信号領域は、実施例の最後の反復計算で用いるものと同一の条件を設定した。よって、参照信号領域には、体動信号が混入している。
結果を図15に示す。図15において、(a)は体動印加前の絶対値画像1501(参照画像)、(b)は比較例により体動補正を実施した絶対値画像1502、(c)は実施例により体動補正を実施した絶対値画像1503、(d)は体動印加後の絶対値画像1504(体動画像)、(e)は絶対値画像1501と1502の差分を100倍のスケールで表示した差分絶対値画像1505、(f)は絶対値画像1501と1503の差分を100倍のスケールで表示した差分絶対値画像1506を示す。
図15の結果からわかるように、比較例の体動補正後絶対値画像1502では、例えば矢印1507が示す位置に、アーチファクトが残存しているのに対し、実施例の体動補正後絶対値画像1503ではアーチファクトが低減されていることが分かる。また、比較例の差分絶対値画像1505では、体動印加前の絶対値画像1501との差分が強く残存していることに対し、実施例の差分絶対値画像1506では、体動印加前の絶対値画像1501との差分がほとんど見られないことが分かる。
以上の結果から、第一の実施形態に記載の手法では、高い画質改善効果が得られることが確認された。
[第二の実施形態]
第一の実施形態では、k空間上の信号計測を直交サンプリングする場合を説明したが、本実施形態では、非直交サンプリングの信号計測を行う。装置の構成は、第一の実施形態と同じであるが、用いるパルスシーケンスが異なり、それに伴って計算機109の機能が変更される。以下、第一の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
非直交サンプリングには、図16(a)、(b)に示すように、k空間820を放射状にサンプリングするラディアルサンプリングや、k空間830を渦巻状にサンプリングするスパイラルサンプリングがある。また図示していないが、ラディアルサンプリングの変形例として、同一角度の放射線を帯状にサンプリングするプロペラと呼ばれるサンプリングもある。本実施形態はいずれも適用することができる。これらの非直交サンプリングで計測した信号は、直交サンプリングと同じ直交座標型に補間される(以下、グリッティング処理と呼ぶ)。
このため本実施形態の体動補正処理部320は、図17に示すように、非直交サンプリングされた信号を直交サンプリングに補間するグリッティング処理部340をさらに備える。グリッティング処理部340が行う処理は公知でありここでは説明を省略する。このグリッティング処理を施された計測信号は、第一の実施形態と同一の座標系を持つため、第一の実施形態と同一の手順で体動補正処理が実施される。
[第三の実施形態]
第一の実施形態では、予め設定した所望のk空間領域が全て充填されるように位相エンコード傾斜磁場(Gp)を印加してエコー信号を計測する場合を説明したが、本実施形態では、周期的に位相エンコード傾斜磁場(Gp)印加を間引き、k空間領域が周期的に間引かれるように計測を行う(パラレルイメージング)。
以下、図18を参照して本実施形態の処理を説明する。
<ステップS1701>
計測制御部310が、予め設定された所定の間引き率或いは倍速率(R−ファクター)及びその他の計測条件に従ってパラレルイメージングの撮像を行い、チャンネル毎に計測データを取得する。
パラレルイメージングによる計測データ840の一例を図19に示す。図19(a)に示すように、パラレルイメージングでは、予め設定したk空間のすべての信号を計測するのではなく、一部の信号を間引いて計測する。図19(a)では、k空間において計測した信号を実線で示し、計測されなかった信号の位置を点線で示している。ここでは間引き率が1/2の場合、すなわち一ライン置きに計測を間引いている場合を示しているが、間引き率は図示するものに限定されない。
<ステップS1702>
次に、図19(b)に示すように、このようなk空間データ840から間引かれている領域を除外し、予め設定した所望のk空間領域より小さなk空間データ850を作成する。
<ステップS1703>
その後、縮小されたk空間データ850に対し、体動補正処理を行う。体動補正処理は、第一実施形態の処理と同様であり、まずk空間データ850に参照信号領域を設定し、この参照信号領域について図9に示した繰り返し演算により体動補正を行う。
<ステップS1704>
次いで体動補正後の参照信号領域の信号を用いて、k空間850全域の体動補正処理を行う。すなわち体動補正後の参照領域信号から各受信コイルの重み係数を算出し、重み係数を用いて、k空間全域に対し、再生成信号を生成する。生成した再生成信号と実測した計測信号との比較を行って、体動位置を検出し、検出された位置の計測信号を補正する。これにより、実測された計測信号からなるk空間データ850の体動補正が完了する。
<ステップS1705>
その後、k空間データ850をもとのサイズ(k空間データ840)に戻し、計測されていない信号について、公知の信号補間手法、例えばSENSE(Sensitivity Encoding)やSMASH(Simultaneous Acquisition of Spatial Harmonics)、或いはGRAPPA(Generalized Autocalibrating Partially Parallel Acquisitions)を用いて像再構成を行う。このステップS1705において、各受信コイルの感度情報が必要となるが、この感度情報として、ステップS1704で算出される受信コイルの感度情報や重み係数を利用することができる。再構成された画像は、体動補正された各チャンネルのk空間データを用いているため、体動の影響が低減され、体動アーチファクトのない画像を得ることができる。
[表示の実施形態]
以上説明した各実施形態で説明したパルスシーケンスやサンプリング方法、k空間の計測順序(傾斜磁場の印加順序)、及び撮像条件は、撮像方法とセットして予め設定したものでもよいが、GUI(Graphic User Interface)等を通してユーザーが設定することができる。また、各実施形態で実行する体動補正処理部による処理は、例えば、体動アーチファクトが予想される部位が撮像部位として設定されたときに、自動的に開始するようにしてもよいし、ユーザーが必要に応じて、撮像に先立って或いは撮像後の画像を確認した後に、体動補正の要否を判断し、入力装置115を介して処理の要否や処理の条件を設定することも可能である。
ユーザーがインタラクティブに条件等を設定する場合のインタフェース画面(GUI)の例を図20に示す。図20(a)では、計測開始に先立ってユーザーがパルスシーケンスや撮像パラメータを設定する画面900において、体動補正処理の要否の入力を受け付ける構成としている。この画面900では、例えば、撮像法(パルスシーケンス)の選択とともに体動を考慮したオーダリング(k空間計測順序)の設定などを受け付けることができる。パラレルイメージングが選択された場合には、Rファクターなどの撮像パラメータの入力を受け付ける。
ユーザーは、撮像部位や選択した撮像方法が体動アーチファクトに弱いパルスシーケンスであるかなどを考慮し、体動補正処理の「要」を入力するボックス901にチェックを入れて、体動補正を選択する。体動補正処理を伴う場合は画像再構成までの処理時間が延長するので、再構成画像をできるだけ早く確認したい場合などは「否」のボックスにチェックを入れる。
或いは、画面910(b)に示すように、画像表示部905とともに体動補正処理を指示するボックス901を表示し、画像表示部905に表示された最終画像905に現れる体動アーチファクトを考慮して、ボックスにて体動補正処理の「要」を入力してもよい。なお図20には示していないが、この画面910最終画像としてディスプレイに表示する画像の種類、再生成信号から再構成した画像の表示の要否、などをユーザーが設定可能にしてもよい。
計算機109は、体動補正処理「要」が選択されたときだけ、図4等に従った処理を行い、設定された撮像法やパルスシーケンスに基いて、上述した各実施形態のいずれかの処理を実行する。本実施形態によれば、ユーザーの設定の幅を広げることができる。
以上説明したように、本実施形態のMRI装置100は、被検体が置かれる空間に静磁場を生成する静磁場生成磁石102と、前記被検体に高周波磁場パルスを送信する送信部(105,107)と、高周波磁場パルスの照射により前記被検体から生じる核磁気共鳴信号を受信する2以上の受信コイル106を備えた受信部(106,108)と、前記核磁気共鳴信号に位置情報を付加するための傾斜磁場を印加する傾斜磁場印加部(103、112)と、前記送信部、前記傾斜磁場印加部及び前記受信部の動作を制御するとともに前記受信した核磁気共鳴信号に対して演算処理を行う計算機(109)と、を備える。前記計算機(109)は、前記送信部、前記傾斜磁場印加部及び前記受信部の動作を制御して前記2以上の受信コイルが受信した核磁気共鳴信号を計測空間に配置する計測制御部(310)と、前記計測空間の計測信号に対して体動補正を行う体動補正処理部(320)と、前記体動補正処理部で補正した計測信号を用いて画像を再構成する画像再構成部(330)と、を備える。前記体動補正処理部(320)は、前記計測空間の少なくとも1つの領域を参照信号領域とし、当該参照信号領域内の計測信号を参照信号として設定する参照信号領域設定部(321)と、前記参照信号に対し体動補正を行う参照信号体動補正部(322)と、前記参照信号体動補正部で補正された体動補正後の参照信号に基づいて、前記計測空間の全領域の計測信号に対し体動補正を行う全領域補正部(323)と、を備える。
また、本実施形態の体動補正法は、2以上の受信コイルを備えた磁気共鳴撮像装置で取得した計測信号に対し、当該計測信号に含まれる体動の影響を受けた信号を補正する体動補正方法であって、前記少なくとも2つ以上の受信コイルで取得した計測信号において、少なくとも1つ以上の領域の信号を参照信号領域として設定する参照信号領域設定ステップと、前記参照信号領域における体動信号を補正する参照信号体動補正ステップと、
前記参照信号体動補正部で補正された体動補正後参照信号に基づいて、計測した全領域の体動を補正する全領域補正ステップと、を備える。
本実施形態によれば、参照信号領域に体動信号が混入した場合においても、複数の受信コイルの感度分布情報を用いて計測信号を再生成する際の設定を更新しながらの反復演算を事前に参照領域に対して実施することで、高い体動補正効果が得られる。
100:MRI装置、101:被検体、102:静磁場コイル、103:傾斜磁場コイル、104:シムコイル、105:送信コイル、106:受信コイル、107:送信機、108:受信機、109:計算機、110:ディスプレイ、111:外部記憶装置、112:傾斜磁場用電源部、113:シム用電源部、114:シーケンス制御装置、115:入力装置、120:MRI装置、130:MRI装置、310:計測制御部、320:体動補正処理部、330:画像再構成部、340:グリッディング処理部、410:畳み込み積分範囲設定部、420:重み係数算出部、430:再生成参照信号算出部、440:体動位置検出部、450:参照信号置換部、460:設定領域更新部、470:反復演算処理部、510:スピンエコー系パルスシーケンス、610:差分信号算出部、620:投影信号算部、630:極大値算出部、640:体動信号位置設定部、710:重み係数算出部、720:再生成計測信号算出部、730:体動位置検出部、740:計測信号置換部。

Claims (15)

  1. 被検体が置かれる空間に静磁場を生成する静磁場生成磁石と、
    前記被検体に高周波磁場パルスを送信する送信部と、
    高周波磁場パルスの照射により前記被検体から生じる核磁気共鳴信号を受信する2以上の受信コイルを備えた受信部と、
    前記核磁気共鳴信号に位置情報を付加するための傾斜磁場を印加する傾斜磁場印加部と、
    前記送信部、前記傾斜磁場印加部及び前記受信部の動作を制御するとともに前記受信した核磁気共鳴信号に対して演算処理を行う計算機と、
    を備える磁気共鳴撮像装置であって、
    前記計算機は、
    前記送信部、前記傾斜磁場印加部及び前記受信部の動作を制御して前記2以上の受信コイルが受信した核磁気共鳴信号を計測空間に配置する計測制御部と、
    前記計測空間の計測信号に対して体動補正を行う体動補正処理部と、
    前記体動補正処理部で補正した計測信号を用いて画像を再構成する画像再構成部と、
    を備え、
    前記体動補正処理部は、
    前記計測空間の少なくとも1つの領域を参照信号領域とし、当該参照信号領域内の計測信号を参照信号として設定する参照信号領域設定部と、
    前記参照信号に対し体動補正を行う参照信号体動補正部と、
    前記参照信号体動補正部で補正された体動補正後の参照信号に基づいて、前記計測空間の全領域の計測信号に対し体動補正を行う全領域補正部と、
    を備えることを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  2. 請求項1記載の磁気共鳴撮像装置であって、
    前記参照信号体動補正部は、
    前記受信コイルの感度分布に基づく重み係数を算出するのに用いる前記計測空間の範囲を畳み込み積分範囲として設定する畳み込み積分範囲設定部と、
    前記参照信号と前記畳み込み積分範囲の計測信号とを用いて、前記畳み込み積分範囲の重み係数を算出する重み係数算出部と、
    前記参照信号領域内の各参照信号について、参照信号と前記重み係数とを用いて当該参照信号を再生成する再生成参照信号算出部と、
    前記参照信号と前記再生成参照信号算出部が算出した再生成参照信号とから、前記参照信号領域において体動のある信号位置を検出する体動位置検出部と、
    前記体動位置検出部で検出した体動のある位置の参照信号を、前記再生成参照信号に置換する参照信号置換部と、
    を備えることを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  3. 請求項2記載の磁気共鳴撮像装置であって、
    前記参照信号体動補正部は、
    前記参照信号領域及び前記畳み込み積分範囲の一方または両方を少なくとも1回以上更新する設定領域更新部と、
    前記設定領域更新部、前記重み係数算出部、前記体動位置検出部、および、前記参照信号置換部の各処理を少なくとも1回以上反復する反復演算処理部と、
    をさらに備えることを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  4. 請求項3に記載の磁気共鳴撮像装置であって、
    前記設定領域更新部は、前記参照信号領域を広げるように更新することを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  5. 請求項3記載の磁気共鳴撮像装置であって、
    前記設定領域更新部は、前記畳み込み積分範囲を広げるように更新することを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  6. 請求項2記載の磁気共鳴撮像装置であって、
    前記参照信号体動補正部は、
    前記参照信号置換部で置換後の参照信号を新たな参照信号として設定し、前記重み係数算出部、前記再生成参照信号算出部、前記体動位置検出部、および、前記参照信号置換部の各処理を少なくとも1回以上反復する、反復演算処理部を、さらに備えることを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  7. 請求項3又は6に記載の磁気共鳴撮像装置であって、
    前記反復演算処理部は、予め設定した回数の反復演算を行うことを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  8. 請求項3又は6に記載の磁気共鳴撮像装置であって、
    前記反復演算処理部は、前記参照信号置換部で置換後の参照信号を用いて前記画像再構成部が再構成した画像から算出される定量値の変化量が予め設定した閾値を下回るまで反復演算を行うことを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  9. 請求項2記載の磁気共鳴撮影装置であって、
    前記体動位置検出部は、
    前記参照信号と前記再生成参照信号とを差分して差分信号を算出する差分信号算出部と、
    前記差分信号を位相エンコード方向に投影して、投影信号を算出する投影信号算出部と、
    前記投影信号の極大値を算出する極大値算出部と、
    前記極大値に対応する位置を体動信号位置として設定する体動信号位置設定部と、
    を備えることを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  10. 請求項1記載の磁気共鳴撮像装置であって、
    前記全領域補正部は、
    前記計測信号と前記参照信号体動補正部により補正された体動補正後参照信号とを用いて、重み係数を算出する重み係数算出部と、
    前記計測信号と前記重み係数とを用いて前記計測信号を再生成する再生成計測信号算出部と、
    前記計測信号と前記再生成計測信号算出部が生成した再生成計測信号とを用いて、前記計測空間において体動のある信号位置を検出する体動位置検出部と、
    前記体動位置検出部で検出した体動のある位置の計測信号を、前記再生成計測信号に置換する計測信号置換部と、
    を備えることを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  11. 請求項1記載の磁気共鳴撮影装置であって、
    前記計測制御部は、前記計測空間を直交サンプリングすることを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  12. 請求項1記載の磁気共鳴撮影装置であって、
    前記計測制御部は、前記計測空間を非直交サンプリングし、
    前記体動補正処理部は、非直交サンプリングした計測信号を、グリッディング処理により直交サンプリングの計測信号に変換するグリッディング処理部をさらに備えることを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  13. 請求項1記載の磁気共鳴撮影装置であって、
    前記計測制御部は、前記計測空間を間引いて計測するパラレルイメージングを行い、
    前記体動補正処理部は、前記計測空間を計測信号のみからなる計測空間に縮小し、当該縮小した計測空間について、体動補正を行うことを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  14. 請求項1記載の磁気共鳴撮像装置であって、
    前記体動補正処理部による処理の要否を受け付ける入力部をさらに備えることを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
  15. 2以上の受信コイルを備えた磁気共鳴撮像装置で取得した計測信号に対し、当該計測信号に含まれる体動の影響を受けた信号を補正する体動補正方法であって、
    前記少なくとも2つ以上の受信コイルで取得した計測信号において、少なくとも1つ以上の領域の信号を参照信号領域として設定する参照信号領域設定ステップと、
    前記参照信号領域における体動信号を補正する参照信号体動補正ステップと、
    前記参照信号体動補正部で補正された体動補正後参照信号に基づいて、計測した全領域の体動を補正する全領域補正ステップと、
    を備えることを特徴とする体動補正方法。
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