以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、第1実施形態に係る駐車支援装置が適用された車1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、車1は、駐車支援ECU(Electronic Control Unit)2、右サイドカメラ31、左サイドカメラ32、フロントカメラ33、リアカメラ34、各種センサ4、操作装置5、スピーカ6、ディスプレイ7、および、記憶装置8を備えている。なお、車1はその他の構成も備えているが、図1においては記載を省略している。
右サイドカメラ31、左サイドカメラ32、フロントカメラ33、およびリアカメラ34は、それぞれ、車1周辺の画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDやCMOSなどの撮像素子を備え、所定の撮影領域を所定のフレームレートで撮影する。右サイドカメラ31は、右ドアミラー(例えばその底面)に取り付けられており、車1の右側面および路面を含めて、車1の右側の画像を撮影する。左サイドカメラ32は、左ドアミラー(例えばその底面)に取り付けられており、車1の左側面および路面を含めて、車1の左側の画像を撮影する。フロントカメラ33は、車1の前部の車幅方向中央付近に取り付けられており、車1の前面および路面を含めて、車1の前方の画像を撮影する。リアカメラ34は、例えばバックドアの車幅方向中央付近に取り付けられており、車1の後面および路面を含めて、車1の後方の画像を撮影する。なお、これらのカメラ31〜34の取り付け位置は限定されない。各カメラ31〜34が撮影した画像データは、駐車支援ECU2に出力される。
各種センサ4は、各種検出値を検出して、駐車支援ECU2に出力する。各種センサ4には、ステアリングの操舵角を検出する舵角センサ、車1の各車輪の車輪速を検出する車速センサ、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサ、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ、シフトレバーの操作に連動して変化するシフトポジションを検知するシフトポジションセンサなどが含まれる。なお、上記したものは、一例であり、これらに限定されない。
スピーカ6は、音声を出力するものであり、駐車支援ECU2より入力される音声信号に基づいて、音声を出力する。
ディスプレイ7は、例えばLCD(液晶表示装置)によって構成されており、車1のセンターコンソール部分に設置される。なお、ディスプレイ7は、LCDに限定されず、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイなどであってもよい。また、設置位置もセンターコンソール部分に限定されず、運転者から見ることができる範囲にあればよい。ディスプレイ7は、駐車支援時に、駐車支援ECU2より入力される画像信号に基づいて、俯瞰画像を表示する。なお、ディスプレイ7は、ナビゲーションシステムなどのディスプレイと兼用してもよい。この場合、操作装置5より駐車支援の開始を指示する操作信号が入力された場合に、ナビゲーション画面から駐車支援画面(俯瞰画像)に切り替えるようにすればよい。
操作装置5は、運転者(または同乗者)によって操作されて、操作に応じた操作信号を駐車支援ECU2に出力するものである。本実施形態では、操作装置5は、ディスプレイ7の画面上に配置されたタッチパネルである。ディスプレイ7の画面上に表示されたボタンなどが指先で操作されると、タッチパネルがタッチ位置を読み取って、対応した操作信号を出力する。なお、操作装置5はこれに限定されず、操作ボタンやジョイスティックなどの入力デバイスであってもよい。運転者(または同乗者)は、操作装置5の操作によって、駐車支援ECU2に、駐車支援の開始を指示したり、目的駐車位置を指定したりすることができる。
記憶装置8は、駐車支援を行うための各種情報を記憶する。記憶装置8は、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の二次記憶装置である。なお、記憶装置8は、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置であってもよい。
駐車支援ECU2は、駐車支援を行うための電子制御ユニットであり、CPUおよびメモリを備えたマイクロコンピュータによって実現されている。駐車支援ECU2は、各カメラ31〜34から入力される画像データ、各種センサ4より入力される各信号、および、操作装置5より入力される操作信号に基づいて、駐車支援のための制御を行う。本実施形態においては、駐車支援ECU2は、駐車支援として、理想的な駐車軌道と実際の駐車軌道とに基づく報知を行う。理想的な駐車軌道は、駐車支援が開始された時点から目標駐車位置までの車1の軌道である。以下では、理想的な駐車軌道を「理想軌道」と記載する。実際の駐車軌道は、駐車が開始された時点から駐車が終了した時点までの車1の軌道である。以下では、実際の駐車軌道を「実軌道」と記載する。駐車支援ECU2が、本発明の「駐車支援装置」に相当する。
駐車支援ECU2は、機能ブロックとして、俯瞰画像作成部21、駐車枠検出部22、目標駐車位置設定部23、軌道作成部24、自車位置推定部25、実軌道記憶部26、比較部27、および、画像音声制御部28を備えている。
俯瞰画像作成部21は、俯瞰画像を作成する。俯瞰画像作成部21は、各カメラ31〜34より入力される画像データから、所定の画像処理により、車1の上方の仮想視点から見下ろしたように表示される俯瞰画像を作成する。
駐車枠検出部22は、俯瞰画像作成部21が作成した俯瞰画像から、駐車枠を検出する。駐車枠検出部22は、例えば白線を検出し、白線によって形成された矩形状の領域を駐車枠として検出する。なお、駐車枠を検出する方法は限定されない。パターンマッチングなどの画像認識処理によって、駐車枠を検出するようにしてもよい。駐車枠を形成する線は、白線に限られず、黄線やその他の色の線の場合があるし、また、破線の場合もある。また、駐車枠は、矩形状に形成されている場合に限られず、平行四辺形の形状に形成されている場合や、2本の平行線のみで形成されている場合などもある。これらの場合にも、駐車枠として検出できるのが望ましい。
目標駐車位置設定部23は、目標駐車位置を設定する。目標駐車位置設定部23は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠の中から、車1を駐車するための駐車枠を選択し、選択された駐車枠の位置を目標駐車位置として設定する。車1を駐車するための駐車枠は、駐車枠検出部22が検出した駐車枠の中から、所定のアルゴリズムにしたがって自動的に選択される。なお、駐車枠検出部22が検出した駐車枠をすべて(またはある程度選択して)ディスプレイ7に表示し、操作装置5の操作によって、運転者に選択させるようにしてもよい。また、駐車枠検出部22による駐車枠の検出および表示を行わず、運転者が操作装置5の操作によって、俯瞰画像上に駐車枠を設定するようにしてもよい。
軌道作成部24は、車1の現在位置から、目標駐車位置設定部23によって設定された目標駐車位置に駐車するための理想軌道を作成する。理想軌道の作成方法は、限定されない。軌道作成部24は、作成した理想軌道を記憶装置8に記憶する。
自車位置推定部25は、車1の現在の位置を推定する。自車位置推定部25は、駐車支援を開始したときの車1の位置を基準として、各種センサ4より逐次入力される検出信号から、車1の現在の位置を推定する。以下では、推定された車1の現在の位置を、「推定位置」と記載する。
実軌道記憶部26は、駐車が開始された時点から駐車が終了するまでの実軌道を記憶する。具体的には、実軌道記憶部26は、駐車が開始された時点から駐車が終了した時点まで、自車位置推定部25が推定位置を推定するたびに、当該推定位置を記憶装置8に記憶する。これにより、記憶装置8には、複数の推定位置が時系列順に記憶される。当該複数の推定位置によって表される軌道が実軌道である。したがって、実軌道が記憶装置8に記憶される。本実施形態では、自車位置推定部25と実軌道記憶部26とが、本発明の「検出手段」に相当する。
比較部27は、記憶装置8に記憶された理想軌道と実軌道とを比較する。そして、比較結果として、理想軌道と実軌道との差異を画像音声制御部28に出力する。
画像音声制御部28は、駐車支援のための報知を行う。具体的には、画像音声制御部28は、駐車支援のための画像を作成してディスプレイ7に表示させ、駐車支援のための音声をスピーカ6に出力させる。本実施形態においては、画像音声制御部28は、駐車支援の開始時における俯瞰画像に理想軌道および実軌道を重畳させた画像(以下では、「支援画像」と記載する)を作成し、ディスプレイ7に表示させる。本実施形態においては、支援画像は、静止画であるものとする。また、画像音声制御部28は、比較部27の比較結果(差異の情報)に基づいて、理想軌道と実軌道との差異およびその差異を解消するためのアドバイスなどをディスプレイ7に表示させるとともにスピーカ6に音声案内させる。なお、画像音声制御部28がディスプレイ7に表示させる画像や、スピーカ6に出力させる音声は限定されない。画像音声制御部28が、本発明の「報知手段」に相当する。
次に、駐車支援ECU2が行う駐車支援処理を、図2ないし図4に示すフローチャートを参照して、以下に説明する。
図2は、駐車支援処理の一例を示すフローチャートである。当該駐車支援処理は、例えば、操作装置5より駐車支援の開始を指示する操作信号が入力された場合に実行される。なお、シフト操作によりRレンジ(後進レンジ)が選択された場合など、駐車を行う意思を示す動作があった場合に実行されるようにしてもよい。
まず、駐車支援の開始時の車1の位置(以下では、「開始位置」と記載する)が設定される(S1)。以下の処理では、当該開始位置を基準(原点)として、各位置が座標により表される。
次に、開始位置から目標駐車位置までの理想軌道を作成し記憶する理想軌道記憶処理が行われる(S2)。図3は、当該理想軌道記憶処理のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。理想軌道記憶処理においては、まず、各カメラ31〜34から画像データが入力され(S21)、俯瞰画像作成部21によって、開始位置における俯瞰画像が作成される(S22)。作成された、開始位置における俯瞰画像は、俯瞰画像作成部21によって、記憶装置8に記憶される。次に、目標駐車位置が設定される(S23)。具体的には、駐車枠検出部22が俯瞰画像から駐車枠を検出し、目標駐車位置設定部23が検出された駐車枠の中から選択した駐車枠の位置を目標駐車位置として設定する。目標駐車位置および方向の情報(開始位置を基準とした位置および方向)は記憶される。そして、軌道作成部24によって理想軌道が作成される(S24)。作成された理想軌道は、軌道作成部24によって記憶装置8に記憶される(S25)。以上により、理想軌道記憶処理が終了される。
図5(a)は、軌道作成部24によって作成された理想軌道を説明するための図である。すなわち、図5(a)は、理想軌道記憶処理によって記憶装置8に記憶された理想軌道を説明するための図である。図5(a)では、車1が点Psに位置するときに、駐車支援処理が開始されたとして説明する。点Psは、例えば車1の中心位置としている(点P11,Pg1も同様)。点Psにおいて駐車支援処理の開始処理が実行され、点Psが開始位置として設定される。そして、検出された駐車枠から点Pg1に示される位置が目標駐車位置として設定されたとする。開始位置Psから目標駐車位置Pg1に駐車する場合、切り返しが必要となるので、理想軌道として軌道L11および軌道L12が作成される。軌道L11は開始位置Psから切り返し位置P11までの理想軌道であり、軌道L12は切り返し位置P11から目標駐車位置Pg1までの理想軌道である。なお、理想軌道は、開始位置を基準とした位置情報の集合として記憶される。
次に、運転者による駐車が開始された時点から駐車が終了した時点までの実際の駐車軌道(実軌道)を記憶する実軌道記憶処理が行われる(S3)。図4は、当該実軌道記憶処理のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。なお、駐車支援処理が開始された時を、運転者による駐車が開始された時点とする。実軌道記憶処理においては、まず、各種センサ4から検出信号が入力され(S31)、自車位置推定部25によって、車1の現在の位置(推定位置)が推定される(S32)。推定位置は開始位置Psを基準とした位置として算出される。また、推定位置には開始位置を基準とした方向も含まれる。そして、実軌道記憶部26によって、推定位置が記憶装置8に記憶される(S33)。続いて、車1の駐車が終了したか否かの判断が行われる(S34)。当該駐車が終了したか否かは、例えば、シフト操作によりPレンジ(パーキングレンジ)が選択されたか否か、俯瞰画像作成部21によって作成された俯瞰画像に基づき車1が駐車枠内に位置することを認識したか否か、あるいは、運転者による操作装置5の操作により、理想軌道と実軌道とに基づく報知を指示されたか否かにより判断すればよい。ステップS34で、まだ駐車が終了していないと判断されると(S34:NO)、ステップS31からステップS34の処理を繰り返し行う。そして、ステップS34で駐車が終了したと判断されると(S34:YES)、実軌道記憶処理が終了される。上記実軌道記憶処理により、開始位置から車1の駐車が終了するまでの複数の推定位置が記憶装置8に時系列順に記憶される。すなわち、実軌道記憶処理により、実軌道が記憶される。
図5(b)は、駐車の開始から終了までの実軌道を説明するための図である。すなわち、図5(b)は、実軌道記憶処理によって記憶装置8に記憶された実軌道を説明するための図である。図5(b)では、上記図5(a)と同様に、車1が開始位置Psに位置するときに、駐車が開始されている。また、図5(b)では、点Pg2に示す位置で、車1の駐車が終了したものとしている。以下では、当該点Pg2を「終了位置Pg2」と記載する。終了位置Pg2は、例えば車1の中心位置としている(後述する複数の切り返し位置P21〜P23も同様)。本実施形態では、運転者は、図5(b)に示すように、開始位置Psから終了位置Pg2までに、複数回(3回)の切り返しを行ったものとしている。この場合、実軌道として軌道L21〜L24が記憶される。軌道L21は、開始位置Psから一回目の切り返し位置P21までの実軌道である。軌道L22は、一回目の切り返し位置P21から二回目の切り返し位置P22までの実軌道である。軌道L23は、二回目の切り返し位置P22から三回目の切り返し位置P23までの実軌道である。軌道L24は、三回目の切り返し位置P23から終了位置Pg2までの実軌道である。すなわち、車1の切り返しごとの実軌道が記憶される。本実施形態においては、車1の前進と後進とが切り替わることを「切り返し」としている。なお、実軌道は、理想軌道と同様に、開始位置を基準とした位置情報の集合として記憶される。
次に、比較部27によって、記憶装置8から理想軌道と実軌道とが読み出され、これらの比較が行われる(S4)。具体的には、理想軌道における複数の位置情報と実軌道における複数の位置情報とに基づいて比較が行われ、これらの差異が比較結果として、画像音声制御部28に出力される。
次に、理想軌道と実軌道とに基づく報知処理が行われる(S5)。具体的には、報知処理では、画像音声制御部28によって、記憶装置8に記憶された開始位置Psにおける俯瞰画像に、理想軌道(軌道L11,L12)および実軌道(軌道L21〜L24)を重畳させた支援画像が作成され、これがディスプレイ7に表示される。理想軌道は、複数の軌道L11,L12毎に、記憶装置8に記憶された複数の位置情報を順に線で結ぶことで描くことができる。同様に、実軌道は、複数の軌道L21〜L24毎に、記憶装置8に記憶された複数の位置情報を順に線で繋ぐことで描くことができる。なお、理想軌道および実軌道は、単純に線で結ぶのではなく、複数の軌道(軌道L11,L12、軌道L21〜L24)毎に、所定のフィッティング手法(例えば最小二乗法)により算出される曲線で描くようにしてもよい。また、ステップS4による比較結果に基づいて、画像音声制御部28によって、理想軌道と実軌道との差異およびその差異に基づく運転アドバイスが支援画像に重畳されてディスプレイ7に表示されるとともにスピーカ6から音声案内される。当該運転アドバイスは、例えば、理想軌道と実軌道との差異を解消するための情報である。仮に、理想軌道と実軌道との差異が極めて少ない場合は、「理想の駐車軌道に沿って駐車できています」などの実際の駐車を称賛するコメントを表示したり音声案内したりするようにしてもよい。
図6は、ディスプレイ7の表示画面に表示される支援画像の一例を示している。図6に示す支援画像は、車1が表示画面の略中心に、画面上方を向いて表示された俯瞰画像になっており、理想軌道(軌道L11,L12)を点線、実軌道(軌道L21〜L24)を実線で示している。また、図6においては、開始位置Ps、理想軌道および実軌道における各切り返し位置、目標駐車位置Pg1、および、終了位置Pg2に車1のアイコンも俯瞰画像に重畳表示している。図6においては、実軌道上の車1のアイコンは実線で、理想軌道上の車1のアイコンは点線で示している。なお、実軌道上の車1のアイコンと理想軌道上の車1のアイコンとの区別がつけば、これに限定されない。例えば、色を変えたり、透過度を変えたりして、これらの区別するようにしてもよい。また、実軌道上あるいは理想軌道上の一方にのみ、車1のアイコンを表示してもよいし、車1のアイコンを表示しなくてもよい。支援画像には、図6に示すように、さらに理想軌道と実軌道との差異を示すコメントC1、理想軌道と実軌道との差異に基づく運転アドバイスを示すコメントC2が表示されている。これらのコメントC1,C2は、支援画像に重畳されてディスプレイ7に表示されるとともに、スピーカ6から音声案内される。なお、図6に示すコメントC1,C2は一例であり、これに限定されるものではない。運転者は、図6に示す支援画像をみることで、理想軌道と実軌道とを比較して確認することができる。
図2ないし図4のフローチャートに示す各処理は一例であって、駐車支援処理は上述したものに限定されない。
次に、本実施形態に係る駐車支援ECU2の作用および効果について説明する。
本実施形態によると、理想軌道と実軌道とを俯瞰画像に重畳表示させた画像(支援画像)がディスプレイ7に表示される。また、理想軌道と実軌道との比較結果がディスプレイ7に表示されるとともに、スピーカ6から音声案内される。これにより、運転者は、理想軌道と比べて、自身の駐車軌道(実軌道)がどの程度ずれているかを把握することができるとともに、自身の駐車がどのように不適切であったかを知ることができる。したがって、運転者は、次回の駐車時に、理想軌道に沿って駐車するために、どのように運転すればよいかを確認することができる。以上のことから、駐車支援ECU2は、運転者の駐車技量の向上を支援することができる。
上記実施形態では、理想軌道と実軌道との比較結果を、ディスプレイ7に表示させるとともに、スピーカ6に音声案内させたが、これらを行わなくてもよい。すなわち、上記支援画像のみをディスプレイ7に表示させてもよい。この場合、比較部27を備える必要がない。また、理想軌道と実軌道との比較結果を支援画像に重畳させてディスプレイ7に表示させるかあるいはスピーカ6に音声案内させるかのいずれか一方で報知するものであってもよい。
上記実施形態では、理想軌道と実軌道との比較結果として、これらの差異を示すコメントC1および運転アドバイスのコメントC2の両方を支援画像に重畳させてディスプレイ7に表示させるとともに、スピーカ6に音声案内させたが、差異を示すコメントC1あるいは運転アドバイスのコメントC2のいずれか一方のみを支援画像に重畳させて表示させるとともに、音声案内させてもよい。なお、この場合も、ディスプレイ7への表示あるいはスピーカ6からの音声案内のいずれか一方で報知してもよい。
上記実施形態では、駐車が終了してから、理想軌道と実軌道とに基づく報知が行われるようにしたが、その報知が行われるタイミングはこれに限定されない。運転者が車1を駐車している途中で、一時的に駐車を中断したときに、理想軌道と実軌道とに基づく報知が行われるようにしてもよい。例えば、図5(b)に示す軌道において、車1が切り返し位置P22に位置するときに、運転者による操作装置5の操作により理想軌道と実軌道とに基づく報知を指示されると、開始位置における俯瞰画像に、理想軌道と開始位置Psから切り返し位置P22までの実軌道とが重畳された支援画像や、理想軌道と実軌道との差異および運転アドバイスが報知されるようにしてもよい。また、自車位置推定部25が推定位置を推定するたびに、理想軌道と実軌道とに基づく報知が行われるようにしてもよい。すなわち、理想軌道と実軌道とに基づく報知を、運転者が駐車している最中に随時行うようにしてもよい。この場合、比較部27は、自車位置推定部25が推定した推定位置と理想軌道とを比較し、当該比較結果を画像音声制御部28に出力する。そして、画像音声制御部28が、当該比較結果に基づくコメントC1,C2などを報知すればよい。なお、当該変形例においては、運転者は、運転中(駐車中)であるので、表示画面への注視を抑制するために、スピーカ6からの音声案内のみを行うとよい。
上記実施形態では、理想軌道と実軌道とを重畳させる俯瞰画像として、開始位置における俯瞰画像を用いるようにしたが、開始位置Psから終了位置Pg2までのいずれの俯瞰画像を用いてもよい。なお、重畳表示させる理想軌道および実軌道のすべてが表示される俯瞰画像であるとよい。例えば、駐車が終了した時(終了位置Pg2)における俯瞰画像を用いる場合、俯瞰画像作成部21は、開始位置における俯瞰画像の代わりに、車1が終了位置Pg2に位置するときに作成した俯瞰画像(終了位置Pg2における俯瞰画像)を記憶装置8に記憶する。当該変形例においても、運転者は、理想軌道と実軌道との差異を確認することができる。
上記実施形態では、俯瞰画像に、理想軌道と実軌道との両方を重畳させた画像(支援画像)を表示させたが、これに限定されない。例えば、図7に示すように、ディスプレイ7の表示画面を二画面(例えば左右)に分割して、一方(図7においては左方)に俯瞰画像に理想軌道を重畳させた画像を表示させ、他方(図7においては右方)に実軌道を表示させるようにしてもよい。2つの画像を横に並べて表示させるため、ディスプレイ7の表示画面に表示される各画像は、左右方向に縮小して表示される。当該変形例においても、運転者は、理想軌道と実軌道との差異を確認することができる。
上記実施形態では、ディスプレイ7に表示させる支援画像が静止画であるものとしたが、動画であってもよい。例えば、実軌道記憶部26は、自車位置推定部25が推定した推定位置だけでなく、俯瞰画像作成部21が作成した当該推定位置における俯瞰画像を当該推定位置に対応付けて記憶装置8に記憶させる。これにより、記憶装置8には、複数の推定位置と複数の俯瞰画像とが対応付けられて、時系列順に記憶される。そして、図2に示すステップS5の報知処理において、画像音声制御部28が、記憶装置8に記憶された俯瞰画像を読み出し、当該読み出した俯瞰画像に理想軌道を重畳させた画像を作成する。その後、作成した画像をディスプレイ7に表示する。この処理を開始位置Psから終了位置Pg2まで時系列順に行う。これにより、画像が作成されるたびに、ディスプレイ7に表示される画像が書き換えられるので、ディスプレイ7には動画映像として表示される。
図8は、動画映像として表示する場合の、ディスプレイ7の表示画面の一例を示している。図8(a)は、駐車支援処理が開始されたときの画像であり、図5(b)に示す位置Psに位置するときを示している。図8(b)は、車1が少し進んだ後の画像であり、図5(b)に示す位置Psから位置P21の移動する途中に位置するときを示している。図8(c)は、車1がさらに進んだ後の画像であり、図5(b)に示す位置P21に位置するときを示している。これらの画像は、車1が画面の中心に、画面上方を向いて表示された俯瞰画像になっている。また、これらの画像には、理想軌道(点線)、実軌道(実線)が重畳表示されている。なお、当該実軌道は、開始位置から車1の推定位置までの複数の推定位置(位置情報)を用いて、これらの位置情報を線で結ぶことで、図8(b)および図8(c)のような実軌道を描くことができる。また、図8においては、比較部27による比較結果に基づくコメントC1,C2を図6に示すような吹き出しではなく、予め設けられたコメント欄C0に表示している。
なお、上記した動画映像としての表示は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、開始位置における俯瞰画像上に、車1のアイコン、理想軌道および実軌道を重畳表示させた動画映像を表示するようにしてもよい。図9(a)は、図8(a)と同様に、駐車支援処理が開始されたときの画像であり、図5(b)に示す位置Psに位置するときを示している。図9(b)は、図8(b)と同様に、車1が少し進んだ後の画像であり、図5(b)に示す位置Psから位置P21の移動する途中に位置するときを示している。図9(c)は、図8(c)と同様に、車1がさらに進んだ後の画像であり、図5(b)に示す位置P21に位置するときを示している。例えば、開始位置における俯瞰画像に、記憶装置8に記憶される理想軌道を点線で重畳表示させる。そして、さらに、同じく記憶装置8に記憶される複数の推定位置を用いて、開始位置から各推定位置までの位置情報を結んだ実線を実軌道として重畳させ、推定位置に車1のアイコンを重畳させる。この画像を、開始位置Psから終了位置Pg2まで推定位置を更新しながら作成して順にディスプレイ7に表示させることで、図9のような動画映像を表示させることができる。なお、動画映像の作成方法は限定されない。
上記実施形態では、実軌道記憶部26によって、推定位置が記憶装置8に記憶される場合を説明したが、これに限定されない。例えば、推定位置の代わりに、各種センサ4から入力される各種検出値(車速、操舵角、シフトポジション、ブレーキペダルの操作量、アクセルペダルの操作量など)が、運転ログとして記憶されてもよい。この場合、比較部27は、当該運転ログから推定位置を推定し、当該推定位置に基づく実軌道と理想軌道とを比較すればよい。また、画像音声制御部28は、当該運転ログから推定位置を推定し、当該推定位置に基づく実軌道を作成し、報知すればよい。さらに、軌道作成部24によって、理想軌道として、開始位置を基準とした位置情報の集合の代わりに、理想的な駐車を行うための走行制御情報(例えば、車速、操舵角、ブレーキ制御量、アクセル操作量など)が作成される場合には、比較部27は、上記走行制御情報と上記運転ログとを比較することで、理想軌道と実軌道との比較を行うようにしてもよい。そして、画像音声制御部28が、比較部27による上記走行制御情報と上記運転ログとの比較結果に基づいて、切り返し位置、操舵タイミング、操舵量、車速などの差異や運転アドバイスの報知を行う。したがって、このような場合であっても、画像音声制御部28は、理想軌道と実軌道とに基づく報知を行うことができる。なお、当該変形例においては、実軌道記憶部26によって、推定位置の代わりに運転ログが記憶装置8に記憶されるようにしたが、これらの両方が記憶されてもよい。また、軌道作成部24によって、開始位置を基準とした位置情報の集合の代わりに、走行制御情報が記憶装置8に記憶されるようにしたが、これらの両方が記憶されてもよい。
本発明に係る駐車支援装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る駐車支援装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。