JP2018194623A - 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法 - Google Patents

感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】EL性能に優れ、かつ、幅が狭い露光部と幅が広い露光部とが混在する場合のパターンの形成における幅が狭い露光部のCDUに優れたパターンの形成に用いられる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物等を提供する。【解決手段】明細書中に記載の一般式(a−1)で表される繰り返し単位を有する樹脂(A)と、一般式(b−1)で表される光酸発生剤(B)とを含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び上記パターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、活性光線又は放射線の照射により反応して性質が変化する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関し、例えば、半導体又はIC(Integrated Circuit)等の電子デバイス製造工程、サーマルヘッド等の回路基板の製造、インプリント用モールド構造体の作製、更にその他のフォトファブリケーション工程などに使用される感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。
化学増幅レジスト組成物は、活性光線又は放射線の照射により露光部に酸を発生させ、この酸を触媒とする反応によって、活性光線又は放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させ、パターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。従来、IC等の半導体デバイスの製造プロセスにおいては、種々のレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われており、解像性をはじめとする各種性能の向上を目的として、レジスト組成物に用いる樹脂又は光酸発生剤についての研究が盛んに行われている。
例えば、特許文献1及び2には、炭素−炭素二重結合を有する特定の樹脂を含むレジスト組成物が記載されている。特許文献3には、特定の構造を有する光酸発生剤を含むレジスト組成物が記載されている。
特開2016−166958号公報 特開2017−3917号公報 特開2015−194703号公報
しかしながら、近年、露光ラチチュード(EL)性能について更なる向上が求められている。また、幅が狭い露光部と幅が広い露光部とが混在するパターンの形成における幅が狭い露光部において、局所的なパターン寸法の均一性(Local CDU)(以下、「CDU」とも呼ぶ。)の更なる良化が求められている。上記特許文献1〜3に記載のレジスト組成物は、これらの性能の要求水準を十分に満たすものではない。特に上記幅が狭い露光部の幅が微細(例えばサイズが60nm以下)である場合にはこの問題が顕著になる。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、EL性能に優れ、かつ、幅が狭い露光部と幅が広い露光部とが混在する場合のパターンの形成における幅が狭い露光部のCDUに優れたパターンの形成に用いられる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び上記パターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
<1>
下記一般式(a−1)で表される繰り返し単位を有する樹脂(A)と、活性光線又は放射線により酸を発生する下記一般式(b−1)で表される化合物(B)とを含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
一般式(a−1)中、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表し、
13は、水素原子、フッ素原子、又はアルキル基を表し、
14及びR15は、それぞれ独立して、1価の鎖状炭化水素基、又は1価の環状炭化水素基を表し、
14及びR15は、互いに結合して脂環構造を形成してもよく、
16、R17及びR18は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、
16、R17及びR18は、これらのうちの2つ以上が互いに結合して脂環構造を形成してもよく、
n11は、0又は1を表す。
ただし、R14及びR15がそれぞれ1価の鎖状炭化水素基を表し、かつR14及びR15が互いに結合して脂環構造を形成していない場合は、R16、R17及びR18のうちの2つ以上は互いに結合して脂環構造を形成する。
一般式(b−1)中、Rは、2価の脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基を表し、
は、炭素原子を表し、
は、1価の有機基を表し、
kbは、1〜3の整数を表す。kbが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
F1、RF2及びRF3は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はアルキル基を表し、
ibは、0〜3の整数を表す。ただし、ibが0の場合、kbは1又は2である。ibが2以上の場合、複数のRF1は同一でも異なっていてもよく、複数のRF2は同一でも異なっていてもよい。
F3が複数の場合、複数のRF3は同一でも異なっていてもよい。
は、1価のカチオンである。
<2>
上記一般式(a−1)中のR14及びR15の少なくとも一方が1価の環状炭化水素基を表す<1>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<3>
上記一般式(a−1)中のR14及びR15の少なくとも一方がアダマンタン−1−イル基を表す<1>又は<2>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<4>
上記一般式(a−1)中の、
14及びR15の両方がそれぞれ1価の環状炭化水素基を表す、又は、
14及びR15のいずれか一方のみが1価の環状炭化水素基を表し、かつR16、R17及びR18から選択される2つ以上が互いに結合して脂環構造を形成する、
<1>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<5>
上記一般式(b−1)中のibが0又は1を表す<1>〜<4>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<6>
上記一般式(b−1)中のibが1を表し、かつ、RF1及びRF3のいずれか少なくとも一方は水素原子又はアルキル基を表す、<5>に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<7>
上記一般式(b−1)中のkbが2を表す<1>〜<6>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<8>
上記一般式(b−1)におけるR及びRが、Rとしての上記脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基の環構造上の同一炭素原子に結合するか、又は互いに隣接する2つの炭素原子にそれぞれ結合している、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<9>
上記一般式(b−1)中のRが下記一般式(b−2)で表される1価の有機基を表す、<1>〜<8>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
一般式(b−2)中、Rはアルキル基を表し、
Ybは単結合又はアルキレン基を表し、
*は上記一般式(b−1)中のRとの結合手を表す。
<10>
更に、下記一般式(d1−1)〜(d1−3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む<1>〜<9>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
一般式(d1−1)〜(d1−3)中、Rd〜Rdはアルキル基又はアルケニル基を表す。ただし、一般式(d1−2)中のRdにおける、硫黄原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していないものとする。
Ydは単結合又は2価の連結基を表し、
mは1以上の整数を表し、
Mdm+はそれぞれ独立にm価のカチオンを表す。
<11>
上記樹脂(A)が、更に、上記一般式(a−1)で表される繰り返し単位とは異なる、酸の作用により分解し極性が増大する基を含む繰り返し単位(a−4)を有する、<1>〜<10>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<12>
上記樹脂(A)が、更に、上記一般式(a−1)で表される繰り返し単位とは異なる、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を含む繰り返し単位(a−3)を有する、<1>〜<11>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
<13>
<1>〜<12>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物により形成される感活性光線性又は感放射線性膜。
<14>
(i)<1>〜<12>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物によって感活性光線性又は感放射線性膜を支持体上に形成する工程、
(ii)上記感活性光線性又は感放射線性膜に活性光線又は放射線を照射する工程、及び、
(iii)上記活性光線又は放射線が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、現像液を用いて現像する工程、
を有するパターン形成方法。
<15>
上記現像液が、有機溶剤を含有する現像液である、<14>に記載のパターン形成方法。
<16>
<14>又は<15>に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
本発明によれば、EL性能に優れ、かつ、幅が狭い露光部と幅が広い露光部とが混在する場合のパターンの形成における幅が狭い露光部のCDUに優れたパターンの形成に用いられる感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び上記パターン形成方法を含む電子デバイスの製造方法を提供することができる。
幅が狭い露光部と幅が広い露光部とが混在するパターンの一例を示す模式図である。 幅が狭い露光部と幅が広い露光部とが混在するパターンの一例を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されない。
本明細書中における基(原子団)の表記について、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。また、本明細書中における「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV: Extreme Ultraviolet)、X線、及び電子線(EB:Electron Beam)等を意味する。本明細書中における「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV等による露光のみならず、電子線、及びイオンビーム等の粒子線による描画も含む。
本明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種を表し、(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルの少なくとも1種を表す。
本明細書において、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分散度(分子量分布ともいう)(Mw/Mn)は、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置(東ソー(株)製HLC−8120GPC)によるGPC測定(溶媒:テトラヒドロフラン、流量(サンプル注入量):10μL、カラム:東ソー(株)製TSK gel Multipore HXL−M、カラム温度:40℃、流速:1.0mL/分、検出器:示差屈折率検出器(Refractive Index Detector))によるポリスチレン換算値として定義される。
〔感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物〕
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物について説明する。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、一般式(a−1)で表される繰り返し単位を有する樹脂(A)と、活性光線又は放射線により酸を発生する一般式(b−1)で表される化合物(B)(「光酸発生剤(B)」とも呼ぶ。)を含有する。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、レジスト組成物であることが好ましく、ポジ型のレジスト組成物であっても、ネガ型のレジスト組成物であってもよい。また、アルカリ現像用のレジスト組成物であっても、有機溶剤現像用のレジスト組成物であってもよい。
本発明のレジスト組成物は、典型的には、化学増幅型のレジスト組成物である。
以下、本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう)に含まれる成分について詳述する。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、EL性能に優れ、かつ、幅が狭い露光部と幅が広い露光部とが混在する場合のパターンの形成における幅が狭い露光部のCDUに優れたパターンを形成することができる。ここで、幅が狭い露光部と幅が広い露光部とが混在するパターンの一例を図を使って具体的に説明する。
図1は、互いに直交するX軸及びY軸を含むXY平面上に形成されたパターンの模式図であり、符号1で示された領域は非露光部であり、符号2で示されたそれ以外の領域は露光部である。非露光部1はX軸方向及びY軸方向に行列状に配置され、X軸方向には一定の間隔W1で、Y軸方向には一定の間隔W2でそれぞれ配置されている。W1は幅が狭い露光部の幅であり、W2は幅が広い露光部の幅である。また、P1はX軸方向のピッチであり、P2はY軸方向のピッチである。本発明の組成物を用いることで、幅が狭い露光部のCDU(図1におけるX軸方向のCDU)が良好になる。
また、図2は図1の露光部と非露光部とが反転したパターンの模式図である。図2中の符号1で示された領域は非露光部であり、符号2で示されたそれ以外の領域は露光部である。露光部2はX軸方向及びY軸方向に行列状に配置され、X軸方向には一定の間隔で、Y軸方向には一定の間隔でそれぞれ配置されている。W1は幅が狭い露光部の幅であり、W2は幅が広い露光部の幅である。また、P1はX軸方向のピッチであり、P2はY軸方向のピッチである。本発明の組成物を用いることで、幅が狭い露光部のCDU(図2におけるX軸方向のCDU)が良好になる。
本発明の組成物により上記効果が得られるメカニズムについては詳細には明らかになっていないが、本発明者らは以下のように推定している。
樹脂(A)の一般式(a−1)で表される繰り返し単位は、極性基が酸の作用により脱離する基(「脱離基」又は「保護基」とも呼ぶ。)により置換された基である酸分解性基を有するが、特に、酸分解性基中に炭素−炭素二重結合と脂環構造とを含むことで、反応性が高くなり、分解しやすい、すなわち脱離基が酸の作用で容易に脱離しやすい(脱離反応しやすい)ものである。
また、光酸発生剤(B)は、一般式(b−1)で表される化合物であり、RXで表される脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基の嵩高い基を有し、更に−SO とRXとの間に極性を有する基を含まず、かつ−SO とRXとの間の炭素原子数が少ないため、一般式(b−1)で表される化合物から発生した酸の反応性が低く、かつ拡散性も低いものである。
本発明では、低反応性の光酸発生剤(B)を用いることで、反応性が高い樹脂(A)においても酸分解性基の脱離反応を適度に抑えることができ、EL性能が良好になる。
また、幅が狭い露光部においては、剛直かつ嵩高い構造の酸は拡散性が低いためCDUが安定しないものであるが、本発明では樹脂(A)を併用することで、反応初期に脱離反応が進行しやすく、脱離反応が進行することで膜中の低分子成分が増加し、膜の可塑化が進み、酸の拡散性が適度に向上し、CDUが向上すると推定している。
<樹脂(A)>
樹脂(A)は、下記一般式(a−1)で表される繰り返し単位を有する。
一般式(a−1)で表される繰り返し単位は、酸分解性基中に炭素−炭素二重結合と脂環構造とを含み、脱離基が酸の作用で容易に脱離しやすい(脱離反応しやすい)酸分解性基を含む繰り返し単位である。
[一般式(a−1)で表される繰り返し単位]
一般式(a−1)中、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表し、
13は、水素原子、フッ素原子、又はアルキル基を表し、
14及びR15は、それぞれ独立して、1価の鎖状炭化水素基、又は1価の環状炭化水素基を表し、
14及びR15は、互いに結合して脂環構造を形成してもよく、
16、R17及びR18は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、
16、R17及びR18は、これらのうちの2つ以上が互いに結合して脂環構造を形成してもよく、
n11は、0又は1を表す。
ただし、R14及びR15がそれぞれ1価の鎖状炭化水素基を表し、かつR14及びR15が互いに結合して脂環構造を形成していない場合は、R16、R17及びR18のうちの2つ以上は互いに結合して脂環構造を形成する。
一般式(a−1)で表される繰り返し単位は極性基であるカルボキシ基の水素原子を置換する基を含む酸分解性基である。
酸分解性基は、酸の作用により分解し、極性基を生じる基である。
樹脂(A)は、酸の作用により分解して極性基を生じる樹脂であり、酸の作用により極性が変化する樹脂であり、酸の作用により、有機系現像液に対する溶解度が減少し、また、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂である。
また、一般式(a−1)で表される繰り返し単位は、上記R16、R17及びR18が結合する炭素―炭素二重結合を含む。これにより、露光時において、上記炭素―炭素二重結合が酸分解性基の分解を促進させる。
上記R11及びR12で表されるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
上記R11及びR12としては、水素原子、メチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記R13で表されるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば上記R11及びR12で表される基として例示した炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
上記R13で表されるアルキル基としては、フッ素化アルキル基であることも好ましい。フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましい。炭素数1〜5のフッ素化アルキル基としては、例えば上記R11及びR12で表される基として例示した炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換した基等が挙げられる。
上記R13としては、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記R14で表される1価の鎖状炭化水素基、又は1価の環状炭化水素基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。1価の環状炭化水素基としては、1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
上記1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルネニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
上記1価の芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
上記R14で表される1価の鎖状炭化水素基、又は1価の環状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、オキソ基(=O)等が好ましく挙げられる。
上記R14としては、露光時における酸分解性基の分解をより促進させる観点から、非置換の1価の鎖状炭化水素基、又は非置換の1価の環状炭化水素基が好ましい。
上記R15で表される1価の鎖状炭化水素基としては、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基が好ましい。1価の鎖状炭化水素基としては、例えば上記R14で例示した1価の鎖状炭化水素基等が挙げられる。1価の鎖状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば上記R14で例示した基等が挙げられる。
上記R15で表される1価の環状炭化水素基としては、炭素数3〜20の1価の環状炭化水素基が好ましい。また、1価の環状炭化水素基としては、例えば1価の脂環式炭化水素基、1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。1価の環状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば上記R14で例示した基等が挙げられる。
上記1価の脂環式炭化水素基としては、例えば上記R14で表される基として例示した1価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。
上記1価の芳香族炭化水素基としては、例えば上記R14で表される基として例示した1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記R15としては、露光時における酸分解性基の分解をより促進させる観点から、置換又は非置換の炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基が好ましく、置換又は非置換のアダマンチル基がより好ましく、置換又は非置換のアダマンタン−1−イル基がさらに好ましく、非置換のアダマンタン−1−イル基が特に好ましい。
一般式(a−1)中のR14及びR15の少なくとも一方が1価の環状炭化水素基を表すことが好ましく、R14及びR15の少なくとも一方がアダマンタン−1−イル基を表すことがより好ましい。
また、上記一般式(a−1)中のR14及びR15は、互いに結合して脂環構造を形成してもよいが、この態様については後述する。
上記R16、R17及びR18が1価の有機基を表す場合の1価の有機基としては、炭素数1〜20の1価の有機基が好ましい。炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間又は結合手側の末端にヘテロ原子含有基を含む基、これらの基の水素原子の一部又は全部を置換基で置換した基等が挙げられる。
上記1価の炭化水素基としては、1価の鎖状炭化水素基又は1価の環状炭化水素基が挙げられ、例えば上記R14で例示した基等が挙げられる。
上記ヘテロ原子含有基とは、構造中に2価以上のヘテロ原子を有する基をいう。上記ヘテロ原子含有基はヘテロ原子を1個有していてもよく、2個以上有していてもよい。
上記ヘテロ原子含有基が有する2価以上のへテロ原子としては、2価以上の原子価を有するヘテロ原子であれば特に限定されず、例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子等が挙げられる。
上記ヘテロ原子含有基としては、例えば
−O−、−SO−、−SO−、−SOO−等のヘテロ原子のみからなる基;
−CO−、−COO−、−COS−、−CONH−、−OCOO−、−OCOS−、−OCONH−、−SCONH−、−SCSNH−、−SCSS−等の炭素原子とヘテロ原子とを組み合わせた基などが挙げられる。
上記これらの基の水素原子の一部又は全部を置換する置換基としては、例えば上記R14で表される1価の鎖状炭化水素基又は1価の環状炭化水素基が有していてもよい置換基として例示した基等が挙げられる。
上記R16、R17及びR18のうちの2つ以上が互いに結合して脂環構造を形成してもよい。上記脂環構造としては、これらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造が好ましく、例えば
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造等のシクロアルカン構造;
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造等のシクロアルケン構造等が挙げられる。
上記R16、R17及びR18としては、露光時における酸分解性基の分解をより促進させる観点から、水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基が好ましく、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基がより好ましい。
上記R16、R17及びR18のうちの2つ以上が互いに結合し、これらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造としては、露光時における酸分解性基の分解をより促進させる観点から、環員数3〜20のシクロアルケン構造が好ましい。
上記n11としては、露光時における酸分解性基の分解をより促進させる観点から、0が好ましい。n11が0を表す場合、R14及びR15が結合している炭素原子とR18が結合している炭素原子とが直接結合(単結合)している。
一般式(a−1)において、R14及びR15がそれぞれ1価の鎖状炭化水素基を表し、かつR14及びR15が互いに結合して脂環構造を形成していない場合は、R16、R17及びR18のうちの2つ以上は互いに結合して脂環構造を形成する。
一般式(a−1)中の、
14及びR15の両方がそれぞれ1価の環状炭化水素基を表す、又は、
14及びR15のいずれか一方のみが1価の環状炭化水素基を表し、かつR16、R17及びR18から選択される2つ以上が互いに結合して脂環構造を形成する、ことが好ましい。
上記R14及びR15が互いに結合して脂環構造を形成しない場合の上記一般式(a−1)で表される繰り返し単位としては、例えば下記一般式で表される繰り返し単位等が挙げられる。
上記一般式において、R11、R12及びR13は、それぞれ上記一般式(a−1)中のR11、R12及びR13と同義である。
以下、上記一般式(a−1)中のR14及びR15が互いに結合して脂環構造を形成する態様について説明する。上記脂環構造としては、これらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜25の脂環構造が好ましく、環員数5〜25の脂環構造がより好ましく、環員数5〜20の脂環構造が更に好ましく、環員数5〜15の脂環構造が特に好ましく、例えば
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造等の単環のシクロアルカン構造;
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造等の単環のシクロアルケン構造等が挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプテン構造、ビシクロ[2.2.2]オクタン構造、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン構造、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン構造、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン構造、アダマンタンジイル構造等の多環のシクロアルカン構造;
ビシクロ[2.2.1]ヘプテン構造、ビシクロ[2.2.2]オクテン構造、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン構造、トリシクロ[3.3.1.1.3,7]デセン構造、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデセン構造等の多環のシクロアルケン構造等が挙げられる。
この中でも単環のシクロアルカン構造又は単環のシクロアルケン構造が好ましく、単環のシクロアルカン構造がより好ましく、その中でも、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造がさらに好ましく、酸分解性基の分解性が特に高い観点から、シクロペンタン構造が特に好ましい。
また、上記脂環構造は、置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、−RP1、−RP2−O−RP1、−RP2−CO−RP1、−RP2−CO−ORP1、−RP2−O−CO−RP1、−RP2−OH、−RP2−CN又は−RP2−COOH(以下これらの置換基をまとめて「Ra04」ともいう。)等が挙げられる。ここで、RP1は、炭素数1〜10の1価の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基又は炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基である。また、RP2は、単結合、炭素数1〜10の2価の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3〜20の2価の脂肪族環状飽和炭化水素基又は炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基である。但し、RP1及びRP2の鎖状飽和炭化水素基、脂肪族環状飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基の有する水素原子の一部又は全部はフッ素原子で置換されていてもよい。上記脂肪族環状炭化水素基は、上記置換基を1種単独で1つ以上有していてもよいし、上記置換基のうち複数種を各1つ以上有していてもよい。
上記R14及びR15が互いに結合して脂環構造を形成する場合の一般式(a−1)で表される繰り返し単位としては、下記一般式(a0−1−1)〜(a0−1−7)でそれぞれ表される繰り返し単位等が挙げられる。
上記一般式(a0−1−1)〜(a0−1−6)中、R13及びR16〜R18は、それぞれ上記一般式(a−1)中のR13及びR16〜R18と同義である。
Ra04についての説明は同様であり、n2は、0〜3の整数である。上記一般式(a0−1−1)中、n1は、1〜4の整数である。
これらの中で、一般式(a0−1−1)又は一般式(a0−1−2)で表される繰り返し単位が好ましい。
以下に、一般式(a0−1−1)で表される繰り返し単位の具体例を記載する。
上記一般式(1−1−1)〜(1−1−12)中、R13は、上記一般式(a−1)中のR13と同義である。これらの中でも、上記一般式(1−1−1)〜(1−1−4)でそれぞれ表される繰り返し単位が好ましい。
以下に、一般式(a0−1−2)で表される繰り返し単位の具体例を記載する。
上記一般式(1−2−1)〜(1−2−9)中、R13は、上記一般式(a−1)中のR13と同義である。これらの中でも、上記一般式(1−2−1)で表される繰り返し単位が好ましい。
以下に、一般式(a0−1−3)〜(a0−1−6)でそれぞれ表される繰り返し単位の具体例を記載する。
上記一般式中、R13は、上記一般式(a−1)中のR13と同義である。
一般式(a−1)で表される繰り返し単位は、例えば特開2016−166958号公報又は特開2017−3917号公報に記載の方法など、公知の方法により合成することができる。
樹脂(A)に含まれる一般式(a−1)で表される繰り返し単位の種類は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
樹脂(A)に含まれる一般式(a−1)で表される繰り返し単位の含有量(一般式(a−1)で表される繰り返し単位が2種以上の場合は、その総量)は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、5〜60モル%であることが好ましく、5〜30モル%であることがより好ましく、5〜15モル%であることが更に好ましい。上記範囲とすることで、反応初期に脱離反応が進行しやすく、酸の拡散が適度に制御される。
[繰り返し単位(a−3)]
膜の溶解性制御の観点から、樹脂(A)は、上記一般式(a−1)で表される繰り返し単位とは異なる、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位(a−3)を有することが好ましい。
ラクトン構造又はスルトン構造としては、ラクトン構造又はスルトン構造を有していればいずれでも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造又は5〜7員環スルトン構造であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているもの、又は5〜7員環スルトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているもの、がより好ましい。下記一般式LC1−1〜LC1−21のいずれかで表されるラクトン構造、又は下記一般式SL1−1〜SL1−3のいずれかで表されるスルトン構造を有する繰り返し単位を有することがさらに好ましい。また、ラクトン構造又はスルトン構造が主鎖に直接結合していてもよい。好ましい構造としてはLC1−1、LC1−4、LC1−5、LC1−8、LC1−16、LC1−21、SL1−1である。
ラクトン構造部分又はスルトン構造部分は、置換基(Rb)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、及び酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基、及び酸分解性基である。nは、0〜4の整数を表す。nが2以上の時、複数存在する置換基(Rb)は、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在する置換基(Rb)同士が結合して環を形成してもよい。
ラクトン構造又はスルトン構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(III)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
上記一般式(III)中、
Aは、エステル結合(−COO−で表される基)又はアミド結合(−CONH−で表される基)を表す。
nは、−R−Z−で表される構造の繰り返し数であり、0〜5の整数を表し、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。nが0である場合、−R−Z−は存在せず、単結合となる。
は、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。Rは、複数個ある場合には各々独立にアルキレン基、シクロアルキレン基、又はその組み合わせを表す。
Zは、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。Zは、複数個ある場合には各々独立に、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。
は、ラクトン構造又はスルトン構造を有する1価の有機基を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基(好ましくはメチル基)を表す。
のアルキレン基又はシクロアルキレン基は置換基を有してもよい。
Zは好ましくは、エーテル結合、又はエステル結合であり、より好ましくはエステル結合である。
樹脂(A)は、カーボネート構造を有する繰り返し単位を有していてもよい。カーボネート構造は、環状炭酸エステル構造であることが好ましい。
環状炭酸エステル構造を有する繰り返し単位は、下記一般式(A−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(A−1)中、R は、水素原子、ハロゲン原子又は1価の有機基(好ましくはメチル基)を表す。
nは0以上の整数を表す。
は、置換基を表す。R は、nが2以上の場合は各々独立して、置換基を表す。
Aは、単結合、又は2価の連結基を表す。
Zは、式中の−O−C(=O)−O−で表される基と共に単環構造又は多環構造を形成する原子団を表す。
以下に一般式(III)で表される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例、及び一般式(A−1)で表される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を挙げるが、本発明は、これらの具体例に限定されない。下記の具体例は、一般式(III))におけるR及び一般式(A−1)におけるR がメチル基である場合に相当するが、R及びR は、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基に任意に置換することができる。
上記モノマーの他に、下記に示すモノマーも好適に用いられる。
樹脂(A)は、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位として、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0370]〜[0414]に記載の繰り返し単位を有することも好ましい。
樹脂(A)は、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
樹脂(A)に含まれるラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位の含有量(ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位が複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、5〜70モル%であることが好ましく、10〜65モル%であることがより好ましく、20〜60モル%であることが更に好ましい。
[繰り返し単位(a−4)]
酸の拡散制御の観点から、樹脂(A)は、上記一般式(a−1)で表される繰り返し単位とは異なる、酸の作用により分解し極性基を生じる基(酸分解性基)を含む繰り返し単位(a−4)を含むことが好ましい。
酸分解性基は、極性基が酸の作用により分解し脱離する基(「脱離基」又は「保護基」ともいう。)で保護された構造を有することが好ましい。
極性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基等の酸性基(2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中で解離する基)、ならびにアルコール性水酸基等が挙げられる。
なお、アルコール性水酸基とは、炭化水素基に結合した水酸基であって、芳香環上に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)以外の水酸基をいい、水酸基としてα位がフッ素原子などの電子求引性基で置換された脂肪族アルコール(例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール基など)は除く。アルコール性水酸基としては、pKa(酸解離定数)が12以上20以下の水酸基であることが好ましい。
好ましい極性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール基)、及びスルホン酸基が挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらの基の水素原子を酸の作用により脱離する基(脱離基)で置換した基である。
酸の作用により脱離する基(脱離基)としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、及び−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
36〜R39、R01及びR02のアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基、及びオクチル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のシクロアルキル基は、単環型でも、多環型でもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、及びシクロオクチル基等を挙げることができる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基、及びアンドロスタニル基等を挙げることができる。なお、シクロアルキル基中の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
36〜R39、R01及びR02のアリール基は、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントリル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、及びナフチルメチル基等を挙げることができる。
36〜R39、R01及びR02のアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、及びシクロへキセニル基等を挙げることができる。
36とR37とが互いに結合して形成される環としては、シクロアルキル基(単環又は多環)であることが好ましい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、又はノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
酸分解性基として、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、又は第3級のアルキルエステル基等が好ましく、アセタール基、又は第3級アルキルエステル基がより好ましい。
樹脂(A)は、繰り返し単位(a−4)として、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
一般式(AI)において、
Xaは、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx〜Rxは、それぞれ独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx〜Rxのいずれか2つが結合して環構造を形成してもよく、形成しなくてもよい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、−COO−Rt−、及び−O−Rt−等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−が好ましい。Rtは、炭素数1〜5の鎖状アルキレン基が好ましく、−CH−、−(CH−、又は−(CH−がより好ましい。Tは、単結合であることがより好ましい。
Xaは、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。
Xaのアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、水酸基、及びハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)が挙げられる。
Xaのアルキル基は、炭素数1〜4が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基及びトリフルオロメチル基等が挙げられる。Xaのアルキル基は、メチル基であることが好ましい。
Rx、Rx及びRxのアルキル基としては、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びt−ブチル基などが好ましく挙げられる。アルキル基の炭素数としては、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましい。Rx、Rx及びRxのアルキル基は、炭素間結合の一部が二重結合であってもよい。
Rx、Rx及びRxのシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、又はノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及びアダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx、Rx及びRxの2つが結合して形成する環構造としては、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環、及びシクロオクタン環などの単環のシクロアルカン環、又はノルボルナン環、テトラシクロデカン環、テトラシクロドデカン環、及びアダマンタン環などの多環のシクロアルキル環が好ましい。シクロペンチル環、シクロヘキシル環、又はアダマンタン環がより好ましい。Rx、Rx及びRxの2つが結合して形成する環構造としては、下記に示す構造も好ましい。
以下に一般式(AI)で表される繰り返し単位に相当するモノマーの具体例を挙げるが、本発明は、これらの具体例に限定されない。下記の具体例は、一般式(AI)におけるXaがメチル基である場合に相当するが、Xaは、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基に任意に置換することができる。
樹脂(A)は、繰り返し単位(a−4)として、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0336]〜[0369]に記載の繰り返し単位を有することも好ましい。
また、樹脂(A)は、繰り返し単位(a−4)として、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0363]〜[0364]に記載された酸の作用により分解してアルコール性水酸基を生じる基を含む繰り返し単位を有していてもよい。
樹脂(A)は、繰り返し単位(a−4)を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
樹脂(A)に含まれる繰り返し単位(a−4)の含有量(繰り返し単位(a−4)が複数存在する場合はその合計)は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、10〜90モル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましく、30〜70モル%が更に好ましい。
樹脂(A)は、上記繰り返し単位(a−1)とは異なる、極性基を有する繰り返し単位(a−5)を有してもよい。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、及びフッ素化アルコール基等が挙げられる。
極性基を有する繰り返し単位(a−5)は、極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましい。また、極性基を有する繰り返し単位は、酸分解性基を有さないことが好ましい。極性基で置換された脂環炭化水素構造における、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、又はノルボルナン基が好ましい。
以下に極性基を有する繰り返し単位(a−5)に相当するモノマーの具体例を挙げるが、本発明は、これらの具体例に限定されない。
この他にも、極性基を有する繰り返し単位(a−5)の具体例としては、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0415]〜[0433]に開示された繰り返し単位を挙げることができる。
樹脂(A)は、極性基を有する繰り返し単位(a−5)を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
樹脂(A)は極性基を有する繰り返し単位(a−5)を含んでいてもよいし、含まなくてもよいが、含む場合は、極性基を有する繰り返し単位(a−5)の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5〜40モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましく、10〜25モル%が更に好ましい。
樹脂(A)は、更に、酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位(a−6)を有することができる。酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位(a−6)は、脂環炭化水素構造を有することが好ましい。酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位(a−6)としては、例えば、米国特許出願公開2016/0026083A1号明細書の段落[0236]〜[0237]に記載された繰り返し単位が挙げられる。酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位に相当するモノマーの好ましい例を以下に示す。
この他にも、酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位の具体例としては、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0433]に開示された繰り返し単位を挙げることができる。
樹脂(A)は、酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位を、1種単独で含んでもよく、2種以上を併用して含んでもよい。
樹脂(A)は酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位を含んでいてもよいし、含まなくてもよいが、含む場合は、酸分解性基及び極性基のいずれも有さない繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、5〜40モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましく、5〜25モル%が更に好ましい。
樹脂(A)は、上記の繰り返し単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、更にレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し単位を有することができる。このような繰り返し単位としては、単量体に相当する繰り返し単位を挙げることができるが、これらに限定されない。
単量体としては、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、及びビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
その他にも、上記種々の繰り返し単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
樹脂(A)において、各繰り返し単位の含有モル比は、種々の性能を調節するために適宜設定される。
本発明の組成物が、ArF露光用であるとき、ArF光の透過性の観点から樹脂(A)は実質的には芳香族基を有さないことが好ましい。より具体的には、樹脂(A)の全繰り返し単位中、芳香族基を有する繰り返し単位が全体の5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、理想的には0モル%、すなわち芳香族基を有する繰り返し単位を有さないことが更に好ましい。また、樹脂(A)は単環又は多環の脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
樹脂(A)は、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されることが好ましい。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも用いることができるが、アクリレート系繰り返し単位が樹脂(A)の全繰り返し単位に対して50モル%以下であることが好ましい。
本発明の組成物が、KrF露光用、EB露光用又はEUV露光用であるとき、樹脂(A)は芳香族炭化水素基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。樹脂(A)がフェノール性水酸基を含む繰り返し単位を含むことがより好ましい。フェノール性水酸基を含む繰り返し単位としては、ヒドロキシスチレン繰り返し単位やヒドロキシスチレン(メタ)アクリレート繰り返し単位を挙げることができる。
本発明の組成物が、KrF露光用、EB露光用又はEUV露光用であるとき、樹脂(A)は、フェノール性水酸基の水素原子が酸の作用により分解し脱離する基(脱離基)で保護された構造を有することが好ましい。
この場合、樹脂(A)に含まれる芳香族炭化水素基を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対して、30〜100モル%が好ましく、40〜100モル%がより好ましく、50〜100モル%が更に好ましい。
本発明の組成物は、ArF露光用であることが特に好ましい。
樹脂(A)の重量平均分子量は、1,000〜200,000が好ましく、2,000〜20,000がより好ましく、3,000〜15,000が更に好ましく、5,000〜15,000が特に好ましい。分散度(Mw/Mn)は、通常1.0〜3.0であり、1.0〜2.6が好ましく、1.0〜2.0がより好ましく、1.1〜2.0が更に好ましい。
樹脂(A)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物の全固形分中の樹脂(A)の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が特に好ましい。本発明の組成物の全固形分中の樹脂(A)の含有量の上限は特に制限されないが、99.5質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましい。
樹脂(A)は、本発明の組成物の調製に用いられる前に重合体溶液に調製し、ろ過を行うことで精製されていることが好ましい。
以下、重合体溶液(「被精製溶液」とも呼ぶ。)の精製について説明する。
被精製溶液のろ過は、ポアサイズが0.1μm以下のフィルターで行い、ろ過前後の差圧が250kPa以下となるように維持させながら通液させることが好ましい。ポアサイズとは、ろ過効率が99.9%以上になる粒子径のことであり、ろ過効率とは、下記式(1)で求められる値のことである。
(ろ過前の粒子数−ろ過後の粒子数)/ろ過前の粒子数×100・・・(1)
ポアサイズが小さいほど、フィルターの目が細かいことを示す。
ろ過前後の差圧とは、フィルターに通液する被精製溶液の、ろ過膜に通液する前の重合体溶液にかかる圧力から通液後の重合体溶液にかかる圧力の値を引いた値のことである。通常、ろ過膜の通過抵抗があり通液する前の圧力が高くなるのでろ過前後の差圧は正の数値となる。
被精製溶液をポアサイズが0.1μm以下のフィルターでろ過することで、重合反応で副生した、目的とする重量平均分子量よりも高分子量の重合体又は共重合組成の偏った溶解性に乏しい重合体を除去することができる。
かかる高分子量の重合体又は共重合組成の偏った重合体は、被精製溶液中でゲル状物質となっていることが多く、熱又は応力の影響でその形状を一定に保たずに変形する。したがって、安定したろ過効率を保ったまま精製を行うために、ろ過前後の差圧が250kPa以下となるように維持させながらろ過することが好ましい。250kPa以下に維持しながらろ過する、とはろ過の開始時点(フィルターに通液を開始した時点)から、ろ過される溶液(フィルターに通液する被精製溶液)の90質量%の通液が終了する時点までの、ろ過前後の差圧が250kPaを超えないことを意味する。
上記ろ過前後の差圧の下限は特に制限されないが、ろ過速度が遅くなって生産性が落ちる点で10kPa以上を維持することが好ましく、20kPa以上を維持することがより好ましい。
ろ過効率を高い状態で維持するために、ろ過開始時点のろ過前後の差圧を190kPa以下に制御するのが好ましく、140kPa以下に制御するのがより好ましく、90kPa以下に制御するのが最も好ましい。
また、ろ過の開始時点(フィルターに通液を開始した時点)から、ろ過される溶液(フィルターに通液する被精製溶液)の90質量%の通液が終了する時点までの、ろ過前後の差圧を、常にろ過開始時点のろ過前後の差圧の±50kPa以内に保持しながらろ過することが好ましい。
具体的に、ろ過前後の差圧を所定の範囲内に維持する方法は、被精製溶液を一定圧力に加圧し、ろ過開始後に差圧が変動する場合はその差圧が一定となるように被精製溶液にかける圧力を制御する。被精製溶液を加圧する方法はポンプを用いて送液する方法、又は圧縮気体を用いて加圧する方法等を挙げることができる。
ろ過される溶液(フィルターに通液する被精製溶液)の質量は、フィルターの通液を一回行う場合は、被精製溶液の質量そのものとなる。後述する循環ろ過により、例えば2回ろ過する場合は、被精製溶液の質量の2倍量が、ろ過される溶液(フィルターに通液する被精製溶液)の質量となる。
ろ過中の上記差圧を、ろ過開始時点の±50kPa以内に保持することでろ過中のろ過精度を一定に保ったままろ過することができ、安定した溶解性を示す重合体溶液を得ることができる。上記差圧を±40kPa以内に保持することが好ましく、±30kPa以内に保持することがより好ましい。
精製に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下であることが好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.04μm以下が更に好ましく、0.02μm以下がより一層好ましく、0.01μm以下が特に好ましく、0.005μm以下が最も好ましい。
フィルター(ろ過膜)の材質は、極性基を有する重合体を含むことが好ましい。例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン重合体;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド重合体等を含む重合体組成物からなる、ろ過膜が好ましい。
重合反応で副生した、目的とする重量平均分子量よりも高分子量の重合体又は共重合組成の偏った重合体を効率的に除去することができる点で、極性基としてアミド結合を有するポリアミド重合体を含むろ過膜を有するフィルターを用いることが好ましい。
フィルターの形状は公知のものを用いることができ、例えば、ディスクタイプ、カートリッジタイプ等の容器内にろ過膜が収納されたものを使用することができる。フィルターは同一、もしくは異なる材質のろ過膜を複数有していてもよい。
フィルターの表面積、重合体溶液の温度、および通液させる際の流速は、ろ過される溶液(フィルターに通液する被精製溶液)の量、粘度等により適宜調整することが好ましい。
フィルターに通液される被精製溶液の温度は、通液の開始から終了までほぼ一定に保たれることが好ましい。例えばx±3℃(xは0〜35℃)の範囲内に保持されることが好ましい。上記xは5〜30℃がより好ましく、10〜30℃がさらに好ましい。
本発明における精製方法では、ポアサイズが0.1μm以下のフィルターのろ過を二段階以上に分けてろ過することができる。また、一度ろ過した被精製溶液を再び同じフィルターに繰り返し通液させてろ過することもできる。
ろ過を二段階以上に分けて行う場合、第一段階のろ過と第二段階以上のろ過では、フィルターのポアサイズと材質を任意の組み合わせで用いることができる。フィルターの目詰まりによるろ過性の低下を防ぐ点で、第一段階のろ過フィルターとして、ポアサイズが最も大きいフィルターを用い、第二段階以降に進むにつれ、ろ過フィルターのポアサイズが漸次小さくなることが好ましい。
ポアサイズが0.1μm以下のフィルターを二段階以上に分けてろ過を行う場合、最初のポアサイズが0.1μm以下のフィルターの通液前の重合体溶液にかかる圧力と、最後のポアサイズが0.1μm以下のフィルターの通液後の重合体溶液にかかる圧力との差が250kPa以下となっていればよい。
一度ろ過した重合体溶液を再び同じフィルターに繰り返し通液させる循環ろ過を行う場合、ろ過効率が高くなる点で循環ろ過回数は3回以上行うことが好ましく、4回以上行うことがより好ましく、5回以上行うことがさらに好ましい。
<活性光線又は放射線により酸を発生する化合物(B)>
本発明の組成物は、活性光線又は放射線により酸を発生する一般式(b−1)で表される化合物(B)(光酸発生剤(B))を含有する。
光酸発生剤(B)は、Rで表される脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基の嵩高い基を有し、更に−SO とRとの間に極性を有する基を含まず、かつ−SO とRとの間の炭素原子数が少ないため、一般式(b−1)で表される化合物から発生した酸の反応性が低く、かつ拡散性も低いものである。
<一般式(b−1)で表される化合物>
一般式(b−1)中、Rは、2価の脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基を表し、
は、炭素原子を表し、
は、1価の有機基を表し、
kbは、1〜3の整数を表す。kbが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
F1、RF2及びRF3は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はアルキル基を表し、
ibは、0〜3の整数を表す。ただし、ibが0の場合、kbは1又は2である。ibが2以上の場合、複数のRF1は同一でも異なっていてもよく、複数のRF2は同一でも異なっていてもよい。
F3が複数の場合、複数のRF3は同一でも異なっていてもよい。
は、1価のカチオンである。
上記一般式(b−2)中、Rは2価の脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基を表す。上記2価の脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基としては、環員数3〜20の2価の脂環式炭化水素基、上記脂環式炭化水素基の炭素−炭素間に−O−、−COO−、−OCOO−、−S−、−SOO−、−NHCOO−、−SiR −若しくはこれらの組み合わせを含む脂肪族複素環基、又は上記脂環式炭化水素基及び上記脂肪族複素環基が有する水素原子の一部若しくは全部を−OH、−CN、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基、ハロゲン原子若しくはこれらの組み合わせで置換した基であることが好ましい。Rは、水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基を表す。
上記Rが2価の脂環式炭化水素基を表す場合の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロペンタン−1,1−ジイル基、シクロヘキサン−1,1−ジイル基等の単環シクロアルカン−1,1−ジイル基;
シクロペンテン−1,1−ジイル基、シクロヘキセン−1,1−ジイル基等の単環シクロアルケン−1,1−ジイル基;
ノルボルナン−1,1−ジイル基、トリシクロデカン−1,1−ジイル基等の多環シクロアルカン−1,1−ジイル基;
ノルボルネン−1,1−ジイル基等の多環シクロアルケン−1,1−ジイル基;
シクロペンタン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基等の単環シクロアルカン−1,2−ジイル基;
シクロペンテン−1,2−ジイル基、シクロヘキセン−1,2−ジイル基等の単環シクロアルケン−1,2−ジイル基;
ノルボルナン−1,2−ジイル基、トリシクロデカン−1,2−ジイル基等の多環シクロアルカン−1,2−ジイル基;
ノルボルネン−1,2−ジイル基等の多環シクロアルケン−1,2−ジイル基などが挙げられる。
上記Rが2価の脂環式炭化水素基を表す場合の2価の脂環式炭化水素基としては、単環シクロアルカンジイル基、単環シクロアルケンジイル基、多環シクロアルカンジイル基及び多環シクロアルケンジイル基が好ましく、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロヘキセンジイル基、ノルボルナンジイル基及びノルボルネンジイル基がより好ましく、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基及びノルボルネンジイル基がさらに好ましい。
上記Rが2価の脂肪族複素環基を表す場合の2価の脂肪族複素環基としては、上記2価の脂環式炭化水素基の炭素−炭素間に−O−、−COO−、−OCOO−、−S−、−SOO−、−NHCOO−、−SiR −若しくはこれらの組み合わせを含む2価の脂肪族複素環基が挙げられる。例えば
オキサシクロヘキサン構造等の環状エーテル構造;
ブチロラクトン構造、バレロラクトン構造、シクロヘキサンラクトン構造、ノルボルナンラクトン構造等のラクトン構造;
エチレンカーボネート構造等の環状カーボネート構造;
オキソシクロヘキサン構造等の環状ケトン構造;
チアシクロヘキサン構造等の環状スルフィド構造;
ノルボルナンスルトン構造等のスルトン構造;
オキサゾリジノン構造等の環状ウレタン構造;
環状シロキサン構造等の環状シリル構造を含む基などが挙げられる。
上記Rが2価の脂肪族複素環基を表す場合の2価の脂肪族複素環基としては、環状エーテル構造、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造を含む基が好ましく、オキサシクロヘキサン構造、オキサノルボルナン構造、ブチロラクトン構造、ノルボルナンラクトン構造、エチレンカーボネート構造、チアノルボルナン構造及びノルボルナンスルトン構造を含む基がより好ましく、オキサシクロヘキサン構造、オキサノルボルナン構造、ブチロラクトン構造及びチアノルボルナン構造を含む基がさらに好ましい。
上記Rで表される2価の脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基は置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1〜20の炭化水素基若しくはオキシ炭化水素基、又はハロゲン原子が好ましく、炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の直鎖状又は分枝鎖状の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記鎖状炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
上記脂環式炭化水素基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
上記炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の1級又は2級のアルコキシ基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のシクロアルキルオキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基等のオキシ芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
上記Rで表される2価の脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基及びシクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が好ましい。これらの中で、シクロヘキシル基及びメチル基がより好ましい。
上記Rで表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば上記Rにおける置換基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基と同様の基等が挙げられる。
上記Rで表される炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基としては、例えば上記Rにおける置換基として例示した炭素数1〜20の1価の炭化水素基と同様の基等が挙げられる。
上記Rは、kbが1又は2の場合、R、RF3並びにRF1及びRF2が結合する炭素原子に結合する炭素原子であり、kbが3の場合、R並びにRF1及びRF2が結合する炭素原子に結合する炭素原子である。
上記Rで表される1価の有機基としては、炭素数1〜30の1価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜30の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜30の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間又は結合手側の末端に2価のヘテロ原子含有基を含む基(g)、上記炭化水素基及び基(g)が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基等が挙げられる。
上記炭素数1〜30の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜30の直鎖状又は分枝鎖状の鎖状炭化水素基、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記Ryとしては、炭素数1〜30の直鎖状又は分枝鎖状の鎖状炭化水素基及び炭素数3〜30の脂環式炭化水素基が好ましい。
上記1価及び2価のヘテロ原子含有基が有するヘテロ原子としては、例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子、リン原子等が挙げられる。これらの中で、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子が好ましく、酸素原子がより好ましい。
上記2価のヘテロ原子含有基としては、例えば−O−、−CO−、−CS−、−NR’−及びこれらを組み合わせた基等が挙げられる。R’は、水素原子又は炭素数1〜30の1価の炭化水素基である。
上記1価のヘテロ原子含有基としては、例えばヒドロキシ基、カルボキシ基、スルファニル基(−SH)、アミノ基、シアノ基等が挙げられる。
上記Rとしては基(g)が好ましく、ヘテロ原子として−O−、−CO−、−NR’−及びこれらを組み合わせた基がより好ましく、−O−、−CO−及びこれらを組み合わせた基がさらに好ましい。
上記Rは、下記一般式(b)で表される1価の有機基を表すことが好ましい。
一般式(b)中、Rzbは水素原子又は1価の有機基を表し、
Xbは−O−又は−NRXb−を表し、RXbは水素原子又は1価の有機基を表し、
Ybは単結合又はアルキレン基を表し、
*は一般式(b−1)中のRとの結合手を表す。
一般式(b)において、上記Rzbが1価の有機基を表す場合の1価の有機基としては、炭素数1〜29の有機基が好ましい。1価の有機基としては、上記Rで表される1価の有機基として記載したものと同様のものが挙げられる。上記Rzbとしては、1価の鎖状炭化水素基又は1価の脂環式炭化水素基が好ましく、アルキル基、単環のシクロアルキル基及び多環のシクロアルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基及び炭素数3〜8の単環のシクロアルキル基がさらに好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基及びシクロヘキシル基が特に好ましく、エチル基がさらに特に好ましい。
一般式(b)において、上記Xbが−NRXb−を表し、かつRXbが1価の有機基を表す場合の1価の有機基としては、炭素数1〜29の有機基が好ましい。1価の有機基としては、上記Rで表される1価の有機基として記載したものと同様のものが挙げられる。
上記RXbは水素原子を表すことが好ましい。
上記Xbは−O−を表すことが好ましい。
一般式(b)において、上記Ybがアルキレン基を表す場合のアルキレン基としては、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。炭素数1〜4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。
上記Ybは、単結合又はメチレン基であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
上記Rは、下記一般式(b−2)で表される1価の有機基を表すことが特に好ましい。
一般式(b−2)中、Rはアルキル基を表し、
Ybは単結合又はアルキレン基を表し、
*は一般式(b−1)中のRとの結合手を表す。
一般式(b−2)において、上記Rで表されるアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
上記Rで表される炭素数1〜10のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
上記Rは、エチル基であることが好ましい。
一般式(b−2)中のYbは、一般式(b)におけるYbと同様である。
上記一般式(b−1)中のkbとしては、1又は2が好ましく、2であることが、反応性の観点からより好ましい。
上記RF1、RF2及びRF3がアルキル基を表す場合のアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましい。
上記RF1、RF2及びRF3で表される炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
上記RF1、RF2及びRF3がアルキル基を表す場合のアルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基を有する場合は、特にフッ素原子を置換基として有するフッ素化アルキル基であることが好ましい。
上記RF1、RF2及びRF3がフッ素化アルキル基を表す場合のフッ素化アルキル基としては、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基が好ましい。炭素数1〜20のフッ素化アルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基等が挙げられる。
上記RF1、RF2及びRF3は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表すことが好ましく、水素原子、トリフルオロメチル基又はフッ素原子を表すことがより好ましい。
上記一般式(b−1)中のSO に隣接する炭素原子に結合するRF1、RF2及びRF3のうちの少なくともいずれかがフッ素原子又はパーフルオロアルキル基であることが好ましく、SO に隣接する炭素原子に結合するRF1及びRF2の両方又は複数のRF3がフッ素原子又はパーフルオロアルキル基であることがより好ましく、SO に隣接する炭素原子に結合するRF1及びRF2の両方又は複数のRF3がフッ素原子であることがさらに好ましい。
上記一般式(b−1)中のibとしては、低反応性の観点から、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。
また、反応性の観点から、上記一般式(b−1)中のibが1を表し、かつ、RF1及びRF3のいずれか少なくとも一方は水素原子又はアルキル基を表すことが好ましい。
上記一般式(b−1)中のMで表される1価のカチオンは、活性光線又は放射線の作用により分解するカチオンである。露光部では、このカチオンの分解により生成するプロトンと、上記一般式(b−1)で表される化合物のスルホネートアニオンとからスルホン酸を生じる。例えば上記Mで表される1価のカチオンとしては、例えばS、I、O、N、P、Cl、Br、F、As、Se、Sn、Sb、Te、Bi等の元素を含むオニウムカチオンが挙げられる。元素としてS(イオウ)を含むカチオンとしては、例えばスルホニウムカチオン、テトラヒドロチオフェニウムカチオン等が挙げられ、元素としてI(ヨウ素)を含むカチオンとしては、ヨードニウムカチオン等が挙げられる。これらの中で、下記一般式(X−1)で表されるスルホニウムカチオン及び下記一般式(X−2)で表されるヨードニウムカチオンが好ましく、下記一般式(X−1)で表されるスルホニウムカチオンがより好ましい。
上記一般式(X−1)中、R、R10及びR11は、それぞれ独立してアルキル基、芳香族炭化水素基、−OSO−RA若しくは−SO−RBであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上の結合により構成される環構造を表す。RA及びRBは、それぞれ独立して、アルキル基、1価の脂環式炭化水素基又は1価の芳香族炭化水素基である。p、q及びrは、それぞれ独立して、0〜5の整数である。R〜R11、RA及びRBがそれぞれ複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のR10は同一でも異なっていてもよく、複数のR11は同一でも異なっていてもよく、複数のRAは同一でも異なっていてもよく、複数のRBは同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(X−2)中、R12及びR13は、それぞれ独立してアルキル基、芳香族炭化水素基、−OSO−RC若しくは−SO−RDであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上の結合により構成される環構造を表す。RC及びRDは、それぞれ独立して、アルキル基、1価の脂環式炭化水素基又は1価の芳香族炭化水素基である。s及びtは、それぞれ独立して、0〜5の整数である。R12、R13、RC及びRDがそれぞれ複数の場合、複数のR12は同一でも異なっていてもよく、複数のR13は同一でも異なっていてもよく、複数のRCは同一でも異なっていてもよく、複数のRDは同一でも異なっていてもよい。
上記R〜R13がアルキル基を表す場合のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。上記アルキル基の炭素数は1〜12であることが好ましい。上記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
上記R〜R13が1価の芳香族炭化水素基を表す場合の1価の芳香族炭化水素基は、環員数6〜12の1価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。上記芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
上記アルキル基及び1価の芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。これらの中で、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
上記R〜R13としては、非置換の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基、−OSO−R”及び−SO−R”が好ましく、フッ素化アルキル基及び非置換の1価の芳香族炭化水素基がより好ましく、フッ素化アルキル基がさらに好ましい。R”は、非置換の1価の脂環式炭化水素基又は非置換の1価の芳香族炭化水素基である。
上記RA及びRBは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の環員数5〜25の1価の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の環員数6〜12の1価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
上記RC及びRDは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の環員数5〜25の1価の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の環員数6〜12の1価の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
上記一般式(X−1)におけるp、q及びrとしては、0〜2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記一般式(X−2)におけるs及びtとしては、0〜2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記一般式(b−1)中のR及びRは、Rとしての上記脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基の環構造上の同一炭素原子に結合するか、又は互いに隣接する2つの炭素原子にそれぞれ結合していることが好ましい。すなわち、一般式(b−1)で表される化合物としては、下記化合物(b−2−1)、又は化合物(b−2−1’)であることが好ましい。
[化合物(b−2−1)]
化合物(b−2−1)は、下記一般式(b−2−1)で表される。
上記一般式(b−2−1)中、R、R、RF1、RF2、RF3、kb、ib及びMは、上記一般式(b−1)中のR、R、RF1、RF2、RF3、kb、ib及びMと同義である。Rb21は、この基が結合する炭素原子と共に2価の脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基を構成する基である。Rは、水素原子、1価の炭化水素基又は1価のオキシ炭化水素基である。
上記Rb21とこの基が結合する炭素原子とが構成する2価の脂環式炭化水素基としては、例えば上記Rとして例示した2価の脂環式炭化水素基と同様の基等が挙げられる。これらのうちシクロペンタン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキセン−1,2−ジイル基、ノルボルナン−1,2−ジイル基、トリシクロデカン−1,2−ジイル基及びノルボルネン−1,2−ジイル基が好ましく、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、ノルボルナン−1,2−ジイル基、トリシクロデカン−1,2−ジイル基及びノルボルネン−1,2−ジイル基がより好ましい。
上記Rb21とこの基が結合する炭素原子とが構成する2価の脂肪族複素環基としては、上記Rb21を含む上記脂環式炭化水素基の炭素−炭素間に−O−、−COO−、−OCOO−、−S−、−SOO−、−NHCOO−、−SiR −若しくはこれらの組み合わせを含む脂肪族複素環基が挙げられ、例えば上記Rとして例示した脂肪族複素環基と同様の基等が挙げられる。これらのうち、−O−、−COO−、−S−及びこれらの組み合わせを含む基が好ましく、−O−及び−S−を含む基がより好ましい。
上記Rb21を含む脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基は置換基を有していてもよく、上記置換基としては、−OH、−CN、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基、ハロゲン原子若しくはこれらの組み合わせが好ましい。炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば上記Rで表される脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基が有してもよい置換基として記載した炭素数1〜20の1価の炭化水素基として例示した基と同様の基等が挙げられる。これらのうち、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基及びシクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が好ましい。これらの中で、シクロヘキサン基及びメチル基がより好ましい。
上記炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基及びハロゲン原子としては、例えば上記Rで表される脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基が有してもよい置換基として記載した炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基及びハロゲン原子として例示した基と同様の基等が挙げられる。
[化合物(1−1)]
化合物(b−2−1)としては、例えば下記一般式(1−1)(以下、「化合物(1−1)」ともいう)で表される化合物等が挙げられる。
上記一般式(1−1)中、R、RF1、RF2、RF3、ib及びMは、上記一般式(b−1)中のR、RF1、RF2、RF3、ib及びMと同義である。R及びYbは、上記一般式(b−2)中のR及びYbと同義である。Rは、この基が結合する炭素原子と共に2価の脂環式炭化水素基を構成する基である。
上記Rとこの基が結合する炭素原子とが構成する2価の脂環式炭化水素基としては、例えば上記Rとして例示した2価の脂環式炭化水素基と同様の基等が挙げられる。これらのうちシクロペンタン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキセン−1,2−ジイル基、ノルボルナン−1,2−ジイル基、トリシクロデカン−1,2−ジイル基及びノルボルネン−1,2−ジイル基が好ましく、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、ノルボルナン−1,2−ジイル基、トリシクロデカン−1,2−ジイル基及びノルボルネン−1,2−ジイル基がより好ましい。
上記Rを含む脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよく、上記置換基としては、炭素数1〜20の1価の炭化水素基が好ましく、例えば上記Rxが有してもよい置換基として記載した炭素数1〜20の1価の炭化水素基と同様の基等が挙げられる。これらのうち、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基及びシクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が好ましい。これらの中で、シクロヘキシル基及びメチル基がより好ましい。
[化合物(1−a)〜(1−d)]
化合物(1−1)としては、例えば下記一般式(1−a)で表される化合物(以下、「化合物(1−a)」ともいう)、下記一般式(1−b)で表される化合物(以下、「化合物(1−b)」ともいう)、下記一般式(1−c)で表される化合物(以下、「化合物(1−c)」ともいう)、下記一般式(1−d)で表される化合物(以下、「化合物(1−d)」ともいう)等が挙げられる。
上記一般式(1−a)〜(1−d)中、R、R、Yb、RF1、RF2、RF3、ib及びMは、上記一般式(1−1)と同義である。R〜Rは、それぞれ、アルキル基又は1価の脂環式炭化水素基である。mは、1〜10の整数である。aは、0〜(2m+2)の整数である。aが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。bは、0〜8の整数である。bが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。cは、0〜8の整数である。cが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。dは、0〜6の整数である。dが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。Aは、それぞれ−CH−、−CHCH−、−O−又は−S−である。
上記R〜Rがアルキル基を表す場合のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基及びプロピル基がより好ましく、メチル基及びエチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記R〜Rが1価の脂環式炭化水素基を表す場合の1価の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基が好ましく、上記Rが有してもよい置換基として記載した1価の脂環式炭化水素基と同様の基等が挙げられる。これらのうち、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。
上記一般式(1−a)におけるmとしては、2〜8の整数が好ましく、3〜6の整数がより好ましく、4及び5がさらに好ましく、4が特に好ましい。
上記一般式(1−a)〜(1−d)におけるa〜dとしては、0〜3の整数が好ましく、0〜2がより好ましく、0及び1がさらに好ましく、0が特に好ましい。
上記Aとしては、−CH−、−O−、−S−が好ましい。
上記化合物(1−a)としては、例えば下記一般式(1−a−1)〜(1−a−8)で表される化合物(以下、「化合物(1−a−1)〜(1−a−8)」ともいう)、上記化合物(1−b)としては、例えば下記一般式(1−b−1)〜(1−b−9)で表される化合物(以下、「化合物(1−b−1)〜(1−b−9)」ともいう)、上記化合物(1−c)としては、例えば下記一般式(1−c−1)〜(1−c−15)で表される化合物(以下、「化合物(1−c−1)〜(1−c−15)」ともいう)、上記化合物(1−d)としては、例えば下記一般式(1−d−1)〜(1−d−5)で表される化合物(以下、「化合物(1−d−1)〜(1−d−5)」ともいう)等が挙げられる。Etはエチル基を表す。
上記一般式(1−a−1)〜(1−a−8)、一般式(1−b−1)〜(1−b−9)、一般式(1−c−1)〜(1−c−15)及び一般式(1−d−1)〜(1−d−5)中、Mは、1価のカチオンであり、前述したものと同様である。
これらの中で、化合物(1−a−1)〜(1−a−5)、化合物(1−b−1)〜(1−b−9)、化合物(1−c−1)、(1−c−3)、(1−c−5)〜(1−c−15)及び化合物(1−d−1)〜(1−d−5)が好ましく、化合物(1−a−1)、化合物(1−c−3)、(1−c−5)〜(1−c−15)及び化合物(1−d−2)がより好ましい。
[化合物(b−2−1’)]
化合物(b−2−1’)は、下記一般式(b−2−1’)で表される。
一般式(b−2−1’)中、R、R、RF1、RF2、RF3、kb、ib及びMは、それぞれ上記一般式(b−1)中のR、R、RF1、RF2、RF3、kb、ib及びMと同義である。R’は、この基が結合する炭素原子と共に2価の脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基を構成する基である。
上記R’とこの基が結合する炭素原子とが構成する2価の脂環式炭化水素基としては、例えば上記Rとして例示した2価の脂環式炭化水素基と同様の基等が挙げられる。これらのうち、シクロペンタン−1,1−ジイル基、シクロヘキサン−1,1−ジイル基、シクロペンテン−1,1−ジイル基、シクロヘキセン−1,1−ジイル基、ノルボルナン−1,1−ジイル基及びノルボルネン−1,1−ジイル基が好ましく、シクロペンタン−1,1−ジイル基及びシクロヘキサン−1,1−ジイル基がより好ましい。
上記R’とこの基が結合する炭素原子とが構成する2価の脂肪族複素環基としては、上記R’を含む上記脂環式炭化水素基の炭素−炭素間に−O−、−COO−、−OCOO−、−S−、−SOO−、−NHCOO−、−SiRS−若しくはこれらの組み合わせを含む脂肪族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基としては、例えば上記Rとして例示した脂肪族複素環基と同様の基等が挙げられる。これらのうち、−O−、−COO−、−S−及びこれらの組み合わせを含む基が好ましく、−O−及び−COO−を含む基がより好ましい。
上記R’で表される脂環式炭化水素基及び脂肪族複素環基が有する水素原子の一部若しくは全部を置換する炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば上記Rxで表される脂環式炭化水素基及び脂肪族複素環基が有する水素原子の一部若しくは全部を置換する炭素数1〜20の1価の炭化水素基として例示した基と同様の基等が挙げられる。
上記R’を含む脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基は置換基を有していてもよく、置換基としては、上記Rが有していてもよい置換基と同様である。
[化合物(b−2−1’−a)及び化合物(b−2−1’−b)]
化合物(b−2−1’)としては、例えば下記一般式(b−2−1’−a)で表される化合物(「化合物(b−2−1’−a)」ともいう)又は下記一般式(b−2−1’−b)で表される化合物(「化合物(b−2−1’−b)」ともいう)等が挙げられる。
一般式(b−2−1’−a)及び(b−2−1’−b)中、R、R’、RF1、RF2、RF3、kb、ib及びMは、それぞれ上記一般式(b−2−1’)中のR、R’、RF1、RF2、RF3、kb、ib及びMと同義である。RZ2は、それぞれ1価の有機基を表す。
化合物(b−2−1’−a)は、化合物(b−2−1’)のRを、−OCO−RZ2としたものであり、化合物(b−2−1’−b)は、化合物(b−2−1’)のRを、−O−RZ2としたものである。このように極性を有する−OCO−又は−O−を含むことで、化合物(b−2−1’−a)及び化合物(b−2−1’−b)は適度な極性を有することになり、化合物から生じる酸の拡散をより適度に短くできる。
上記RZ2で表される1価の有機基としては、炭素数1〜29の1価の有機基が好ましく、例えばRとして例示したもの等が挙げられる。上記RZ2としては、炭素数1〜29の鎖状炭化水素基、置換又は非置換の炭素数3〜29の脂環式炭化水素基、脂肪族複素環基及び炭素数6〜29の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜29の鎖状炭化水素基、炭素数3〜29の脂環式炭化水素基及びアダマンタン―2,2―ジオキシ基で置換された脂環式炭化水素基がより好ましい。
上記化合物(b−2−1’−a)としては、例えば下記一般式(1’−a−1)〜(1’−a−7)で表される化合物(以下、「化合物(1’−a−1)〜(1’−a−7)」ともいう)、上記化合物(b−2−1’−b)としては、例えば下記一般式(1’−b−1)〜(1’−b−10)で表される化合物(以下、「化合物(1’−b−1)〜(1’−b−10)」ともいう)等が挙げられる。その他の例として上記化合物(b−2−1’)は、例えば下記一般式(1’−c−1)〜(1’−c−5)で表される化合物(以下、「化合物(1’−c−1)〜(1’−c−5)」ともいう)等が挙げられる。
上記一般式(1’−a−1)〜(1’−a−7)、式(1’−b−1)〜(1’−b−10)及び式(1’−c−1)〜(1’−c−5)中、Mは、1価のカチオンであり、前述したものと同様である。
これらの中で、化合物(1’−a−1)〜(1’−a−4)、化合物(1’−b−1)〜(1’−b−6)及び化合物(1’−c−1)〜(1’−c−5)が好ましく、化合物(1’−a−1)、化合物(1’−a−4)、化合物(1’−b−3)、(1’−b−6)、化合物(1’−c−2)及び(1’−c−5)がより好ましい。
上記一般式(b−1)で表される化合物は、例えば特開2015−194703号公報に記載された方法などの公知の方法により合成することができる。
本発明の組成物は、上記一般式(b−1)で表される化合物以外の光酸発生剤を含んでいてもよい。
光酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により有機酸を発生する化合物が好ましい。例えば、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、ジアゾニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物、イミドスルホネート化合物、オキシムスルホネート化合物、ジアゾジスルホン化合物、ジスルホン化合物、及びo−ニトロベンジルスルホネート化合物を挙げることができる。
光酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物を、単独又はそれらの混合物として適宜選択して使用することができる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0125]〜[0319]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0086]〜[0094]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0323]〜[0402]に開示された公知の化合物を好適に使用できる。
酸発生剤は、低分子化合物の形態であってもよく、重合体の一部に組み込まれた形態であってもよい。また、低分子化合物の形態と重合体の一部に組み込まれた形態を併用してもよい。
光酸発生剤は、低分子化合物の形態であることが好ましい。
酸発生剤が、低分子化合物の形態である場合、分子量は3,000以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましい。
酸発生剤が、重合体の一部に組み込まれた形態である場合、前述した樹脂(A)の一部に組み込まれてもよく、樹脂(A)とは異なる樹脂に組み込まれてもよい。
酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
一般式(b−1)で表される化合物(B)の本発明の組成物中の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、本発明の組成物の全固形分を基準として、0.1〜35質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましく、5〜20質量%が更に好ましく、8〜20質量%が特に好ましい。
また、本発明の組成物が化合物(B)以外の光酸発生剤を含む場合においては、化合物(B)及び化合物(B)以外の光酸発生剤の含有量の合計が、上記範囲となることが好ましい。
<酸拡散制御剤(D)>
本発明の組成物は、酸拡散制御剤(D)を含有することが好ましい。酸拡散制御剤(D)は、露光時に酸発生剤等から発生する酸をトラップし、余分な発生酸による、未露光部における酸分解性基を有する繰り返し単位を有する樹脂の反応を抑制するクエンチャーとして作用するものである。例えば、塩基性化合物(DA)、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)、酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)、窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)、又はカチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(DE)等を酸拡散制御剤として使用することができる。本発明の組成物においては、公知の酸拡散制御剤を適宜使用することができる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0627]〜[0664]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0095]〜[0187]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0403]〜[0423]、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0259]〜[0328]に開示された公知の化合物を酸拡散制御剤(D)として好適に使用できる。
塩基性化合物(DA)としては、好ましくは、下記式(A)〜(E)で示される構造を有する化合物を挙げることができる。
一般式(A)及び(E)中、
200、R201及びR202は、同一でも異なってもよく、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(炭素数6〜20)を表す。R201とR202は、互いに結合して環を形成してもよい。
203、R204、R205及びR206は、同一でも異なってもよく、各々独立に、炭素数1〜20個のアルキル基を表す。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、置換基を有していても無置換であってもよい。
上記アルキル基について、置換基を有するアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜20のシアノアルキル基が好ましい。
一般式(A)及び(E)中のアルキル基は、無置換であることがより好ましい。
塩基性化合物(DA)としては、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、又はピペリジン等が好ましく、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造若しくはピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、又は水酸基及び/若しくはエーテル結合を有するアニリン誘導体等がより好ましい。
活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下又は消失する塩基性化合物(DB)(以下、「化合物(DB)」ともいう。)は、プロトンアクセプター性官能基を有し、かつ、活性光線又は放射線の照射により分解して、プロトンアクセプター性が低下、消失、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化する化合物である。
プロトンアクセプター性官能基とは、プロトンと静電的に相互作用し得る基又は電子を有する官能基であって、例えば、環状ポリエーテル等のマクロサイクリック構造を有する官能基や、π共役に寄与しない非共有電子対をもった窒素原子を有する官能基を意味する。π共役に寄与しない非共有電子対を有する窒素原子とは、例えば、下記式に示す部分構造を有する窒素原子である。
プロトンアクセプター性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル、アザクラウンエーテル、1〜3級アミン、ピリジン、イミダゾール、及びピラジン構造などを挙げることができる。
化合物(DB)は、活性光線又は放射線の照射により分解してプロトンアクセプター性が低下若しくは消失し、又はプロトンアクセプター性から酸性に変化した化合物を発生する。ここでプロトンアクセプター性の低下若しくは消失、又はプロトンアクセプター性から酸性への変化とは、プロトンアクセプター性官能基にプロトンが付加することに起因するプロトンアクセプター性の変化であり、具体的には、プロトンアクセプター性官能基を有する化合物(DB)とプロトンとからプロトン付加体が生成するとき、その化学平衡における平衡定数が減少することを意味する。
プロトンアクセプター性は、pH測定を行うことによって確認することができる。
活性光線又は放射線の照射により化合物(DB)が分解して発生する化合物の酸解離定数pKaは、pKa<−1を満たすことが好ましく、−13<pKa<−1がより好ましく、−13<pKa<−3が更に好ましい。
酸解離定数pKaとは、水溶液中での酸解離定数pKaのことを表し、例えば、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に定義される。酸解離定数pKaの値が低いほど酸強度が大きいことを示す。水溶液中での酸解離定数pKaは、具体的には、無限希釈水溶液を用い、25℃での酸解離定数を測定することにより実測できる。あるいは、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求めることもできる。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示す。
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solaris (1994−2007 ACD/Labs)。
本発明の組成物では、酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)を酸拡散制御剤として使用することができる。
酸発生剤と、酸発生剤から生じた酸に対して相対的に弱酸である酸を発生するオニウム塩とを混合して用いた場合、活性光線性又は放射線の照射により酸発生剤から生じた酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると、塩交換により弱酸を放出して強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため、見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩としては、下記一般式(d1−1)〜(d1−3)で表される化合物であることが好ましい。
本発明の組成物は、酸拡散制御剤として、特に、下記一般式(d1−1)〜(d1−3)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種含むことが好ましい。
一般式(d1−1)〜(d1−3)中、Rd〜Rdはアルキル基又はアルケニル基を表す。ただし、一般式(d1−2)中のRdにおける、硫黄原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していないものとする。
Ydは単結合又は2価の連結基を表し、
mは1以上の整数を表し、
Mdm+はそれぞれ独立にm価のカチオンを表す。
・一般式(d1−1)で表される化合物((d1−1)成分とも呼ぶ。)
(d1−1)成分のアニオン部:
一般式(d1−1)中、Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であることが好ましい。
置換基を有していてもよい環式基:
上記環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、上記環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
Rdにおける芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。上記芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、上記炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
Rdにおける芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
Rdにおける芳香族炭化水素基として具体的には、上記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:たとえば、フェニル基、ナフチル基など)、上記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。上記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
Rdにおける環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
上記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
上記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。上記モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、上記ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Rdの環状の炭化水素基における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基(−C(=O)−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基がより好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が上記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基(−C(=O)−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)は、環状の炭化水素基を構成するメチレン基(−CH−)を置換する基である。
また、Rdにおける環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。
置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基:
Rdの鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基:
Rdの鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1−メチルビニル基、2−メチルビニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
Rdの鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基(−C(=O)−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、ニトロ基、アミノ基、上記Rdにおける環式基等が挙げられる。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が上記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基(−C(=O)−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)は、鎖状のアルキル基またはアルケニル基を構成するメチレン基(−CH−)を置換する基である。
これらのなかでも、Rdとしては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましい。これらの基が有していてもよい置換基としては、水酸基、フッ素原子又はフッ素化アルキル基が好ましい。
上記芳香族炭化水素基としては、フェニル基もしくはナフチル基がより好ましい。
上記脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
上記鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基;1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
以下に(d1−1)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
(d1−1)成分のカチオン部:
一般式(d1−1)中、Mdm+はm価のカチオンである。mは1であることが好ましい。
カチオンとしては、有機カチオンであることが好ましく、特開2014−191061号公報の段落番号〔0171〕〜〔0180〕に記載の一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表されるカチオンと同様のものが好適に挙げられ、下記式(ca−1−1)〜(ca−1−16)でそれぞれ表されるカチオンが具体的なものとして挙げられる。
(d1−1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・一般式(d1−2)で表される化合物((d1−2)成分とも呼ぶ。)
(d1−2)成分のアニオン部:
一般式(d1−2)中、Rdとしては、上記一般式(d1−1)中のRdと同様のものが挙げられる。
ただし、Rdにおける、硫黄原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していない(フッ素置換されていない)ものとする。これにより、(d1−2)成分のアニオンが適度な弱酸アニオンとなり、酸拡散制御剤としてのクエンチング能が向上する。
Rdとしては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましく、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい);カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
Rdの炭化水素基は置換基を有していてもよく、上記置換基としては、上記一般式(d1−1)のRdにおける炭化水素基(芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基)が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
以下に(d1−2)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
(d1−2)成分のカチオン部:
一般式(d1−2)中、Mdm+はm価のカチオンであり、、上記一般式(d1−1)中のMdm+と同様である。mは1であることが好ましい。
(d1−2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・一般式(d1−3)で表される化合物((d1−3)成分とも呼ぶ。)
(d1−3)成分のアニオン部:
一般式(d1−3)中、Rdとしては、上記一般式(d1−1)中のRdと同様のものが挙げられ、フッ素原子を含む環式基、鎖状のアルキル基、又は鎖状のアルケニル基であることが好ましい。中でも、フッ素化アルキル基が好ましく、上記Rdのフッ素化アルキル基と同様のものがより好ましい。
一般式(d1−3)中、Rdとしては、上記一般式(d1−1)中のRdと同様のものが挙げられる。
中でも、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、環式基であることが好ましい。
一般式(d1−3)中、Ydは、単結合または2価の連結基である。
Ydにおける2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が挙げられる。
以下に(d1−3)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
(d1−3)成分のカチオン部:
一般式(d1−3)中、Mdm+はm価のカチオンであり、、上記一般式(d1−1)中のMdm+と同様である。mは1であることが好ましい。
(d1−3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(d1−1)〜(d1−3)のいずれかで表される化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、一般式(d1−1)又は(d1−2)で表される化合物を少なくとも1種用いることがより好ましく、少なくとも1種の一般式(d1−2)で表される化合物を用いることが特に好ましい。
また、上記一般式(d1−1)〜(d1−3)のいずれかで表される化合物としては、上記光酸発生剤として用いた成分が露光により発生する酸の酸解離定数(pKa)よりも、相対的に大きいpKaをもつ酸を露光により発生する成分が好適に用いられる。上記一般式(d1−1)〜(d1−3)のいずれかで表される化合物が露光により発生する酸のpKaは、好ましくは0超であり、より好ましくは1以上であり、さらに好ましくは1〜7である。
酸発生剤に対して相対的に弱酸となるオニウム塩(DC)は、カチオン部位とアニオン部位を同一分子内に有し、かつ、上記カチオン部位とアニオン部位が共有結合により連結している化合物(以下、「化合物(DCA)」ともいう。)であってもよい。
化合物(DCA)としては、下記一般式(C−1)〜(C−3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
一般式(C−1)〜(C−3)中、
、R、及びRは、各々独立に炭素数1以上の置換基を表す。
は、カチオン部位とアニオン部位とを連結する2価の連結基又は単結合を表す。
−Xは、−COO、−SO 、−SO 、及び−N−Rから選択されるアニオン部位を表す。Rは、隣接するN原子との連結部位に、カルボニル基(−C(=O)−)、スルホニル基(−S(=O)−)、及びスルフィニル基(−S(=O)−)のうち少なくとも1つを有する1価の置換基を表す。
、R、R、R、及びLは、互いに結合して環構造を形成してもよい。また、一般式(C−3)において、R〜Rのうち2つを合わせて1つの2価の置換基を表し、N原子と2重結合により結合していてもよい。
〜Rにおける炭素数1以上の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、及びアリールアミノカルボニル基などが挙げられる。好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基である。
2価の連結基としてのLは、直鎖若しくは分岐鎖状アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、及びこれらの2種以上を組み合わせてなる基等が挙げられる。Lは、好ましくは、アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、エステル結合、又はこれらの2種以上を組み合わせてなる基である。
窒素原子を有し、酸の作用により脱離する基を有する低分子化合物(DD)(以下、「化合物(DD)」ともいう。)は、酸の作用により脱離する基を窒素原子上に有するアミン誘導体であることが好ましい。
酸の作用により脱離する基としては、アセタール基、カルボネート基、カルバメート基、3級エステル基、3級水酸基、又はヘミアミナールエーテル基が好ましく、カルバメート基、又はヘミアミナールエーテル基がより好ましい。
化合物(DD)の分子量は、100〜1000が好ましく、100〜700がより好ましく、100〜500が更に好ましい。
化合物(DD)は、窒素原子上に保護基を有するカルバメート基を有してもよい。カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(d−1)で表すことができる。
一般式(d−1)において、
Rbは、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30)、アリール基(好ましくは炭素数3〜30)、アラルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、又はアルコキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を表す。Rbは相互に連結して環を形成していてもよい。
Rbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、各々独立にヒドロキシル基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。Rbが示すアルコキシアルキル基についても同様である。
Rbとしては、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基が好ましく、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はシクロアルキル基がより好ましい。
2つのRbが相互に連結して形成する環としては、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環式炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。
一般式(d−1)で表される基の具体的な構造としては、米国特許公報US2012/0135348A1号明細書の段落[0466]に開示された構造を挙げることができるが、これに限定されない。
化合物(DD)は、下記一般式(6)で表される構造を有するものであることが好ましい。
一般式(6)において、
lは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数を表し、l+m=3を満たす。
Raは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。lが2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に連結して式中の窒素原子と共に複素環を形成していてもよい。この複素環には式中の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。
Rbは、上記一般式(d−1)におけるRbと同義であり、好ましい例も同様である。
一般式(6)において、Raとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、各々独立にRbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基が置換されていてもよい基として前述した基と同様な基で置換されていてもよい。
上記Raのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアラルキル基(これらの基は、上記基で置換されていてもよい)の具体例としては、Rbについて前述した具体例と同様な基が挙げられる。
本発明における特に好ましい化合物(DD)の具体的な構造としては、米国特許出願公開2012/0135348A1号明細書の段落[0475]に開示された化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
カチオン部に窒素原子を有するオニウム塩化合物(DE)(以下、「化合物(DE)」ともいう。)は、カチオン部に窒素原子を含む塩基性部位を有する化合物であることが好ましい。塩基性部位は、アミノ基であることが好ましく、脂肪族アミノ基であることがより好ましい。塩基性部位中の窒素原子に隣接する原子の全てが、水素原子又は炭素原子であることが更に好ましい。また、塩基性向上の観点から、窒素原子に対して、電子求引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、及びハロゲン原子など)が直結していないことが好ましい。
化合物(DE)の好ましい具体的な構造としては、米国特許出願公開2015/0309408A1号明細書の段落[0203]に開示された化合物を挙げることができるが、これに限定されない。
酸拡散制御剤(D)の好ましい例を以下に示す。
本発明の組成物において、酸拡散制御剤(D)は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸拡散制御剤(D)の組成物中の含有量(複数種存在する場合はその合計)は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%、がより好ましい。
<疎水性樹脂(E)>
本発明の組成物は、疎水性樹脂(E)を含有してもよい。なお、疎水性樹脂(E)は、樹脂(A)とは異なる樹脂であることが好ましい。
本発明の組成物が、疎水性樹脂(E)を含有することにより、感活性光線性又は感放射線性膜の表面における静的/動的な接触角を制御することができる。これにより、現像特性の改善、アウトガスの抑制、液浸露光における液浸液追随性の向上、及び液浸欠陥の低減等が可能となる。
疎水性樹脂(E)は、レジスト膜の表面に偏在するように設計されることが好ましいが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくてもよい。
疎水性樹脂(E)は、膜表層への偏在化の観点から、“フッ素原子”、“ケイ素原子”、及び“樹脂の側鎖部分に含有されたCH部分構造”からなる群から選択される少なくとも1種を有する繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましい。
疎水性樹脂(E)が、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含む場合、疎水性樹脂(E)における上記フッ素原子及び/又はケイ素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂(E)がフッ素原子を含む場合、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、又はフッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
疎水性樹脂(E)は、下記(x)〜(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有することが好ましい。
(x)酸基
(y)アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(以下、極性変換基ともいう)
(z)酸の作用により分解する基
酸基(x)としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。
酸基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、又はビス(アルキルカルボニル)メチレン基が好ましい。
アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(y)としては、例えば、ラクトン基、カルボン酸エステル基(−COO−)、酸無水物基(−C(O)OC(O)−)、酸イミド基(−NHCONH−)、カルボン酸チオエステル基(−COS−)、炭酸エステル基(−OC(O)O−)、硫酸エステル基(−OSOO−)、及びスルホン酸エステル基(−SOO−)などが挙げられ、ラクトン基又はカルボン酸エステル基(−COO−)が好ましい。
これらの基を含んだ繰り返し単位は、樹脂の主鎖にこれらの基が直接結合している繰り返し単位であり、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等が挙げられる。この繰り返し単位は、これらの基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合していてもよい。あるいは、この繰り返し単位は、これらの基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
ラクトン基を有する繰り返し単位としては、例えば、先に樹脂(A)の項で説明したラクトン構造を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
アルカリ現像液の作用により分解してアルカリ現像液に対する溶解度が増大する基(y)を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂(E)中の全繰り返し単位を基準として、1〜100モル%が好ましく、3〜98モル%がより好ましく、5〜95モル%が更に好ましい。
疎水性樹脂(E)における、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、樹脂(A)で挙げた酸分解性基を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくともいずれかを有していてもよい。酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位の含有量は、樹脂(E)中の全繰り返し単位に対して、1〜80モル%が好ましく、10〜80モル%がより好ましく、20〜60モル%が更に好ましい。
疎水性樹脂(E)は、更に、上述した繰り返し単位とは別の繰り返し単位を有していてもよい。
フッ素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂(E)に含まれる全繰り返し単位に対して、10〜100モル%が好ましく、30〜100モル%がより好ましい。また、ケイ素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂(E)に含まれる全繰り返し単位に対して、10〜100モル%が好ましく、20〜100モル%がより好ましい。
一方、特に疎水性樹脂(E)が側鎖部分にCH部分構造を含む場合においては、疎水性樹脂(E)が、フッ素原子及びケイ素原子を実質的に含有しない形態も好ましい。また、疎水性樹脂(E)は、炭素原子、酸素原子、水素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれる原子のみによって構成された繰り返し単位のみで実質的に構成されることが好ましい。
疎水性樹脂(E)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましい。
疎水性樹脂(E)に含まれる残存モノマー及び/又はオリゴマー成分の合計含有量は、0.01〜5質量%が好ましく、0.01〜3質量%がより好ましい。また、分散度(Mw/Mn)は、1〜5の範囲が好ましく、より好ましくは1〜3の範囲である。
疎水性樹脂(E)としては、公知の樹脂を、単独又はそれらの混合物として適宜に選択して使用することができる。例えば、米国特許出願公開2015/0168830A1号明細書の段落[0451]〜[0704]、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0340]〜[0356]に開示された公知の樹脂を疎水性樹脂(E)として好適に使用できる。また、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0177]〜[0258]に開示された繰り返し単位も、疎水性樹脂(E)を構成する繰り返し単位として好ましい。
疎水性樹脂(E)を構成する繰り返し単位の好ましい例を以下に示す。
疎水性樹脂(E)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
表面エネルギーが異なる2種以上の疎水性樹脂(E)を混合して使用することが、液浸露光における液浸液追随性と現像特性の両立の観点から好ましい。
疎水性樹脂(E)の組成物中の含有量は、本発明の組成物中の全固形分に対し、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜8質量%がより好ましい。
<溶剤(F)>
本発明の組成物は、通常、溶剤を含有する。
本発明の組成物においては、公知のレジスト溶剤を適宜使用することができる。例えば、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0665]〜[0670]、米国特許出願公開2015/0004544A1号明細書の段落[0210]〜[0235]、米国特許出願公開2016/0237190A1号明細書の段落[0424]〜[0426]、米国特許出願公開2016/0274458A1号明細書の段落[0357]〜[0366]に開示された公知の溶剤を好適に使用できる。
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を有してもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
有機溶剤として、構造中に水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤を使用してもよい。
水酸基を含有する溶剤、及び水酸基を含有しない溶剤としては、前述の例示化合物を適宜選択できるが、水酸基を含有する溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、又は乳酸アルキル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、又は乳酸エチルがより好ましい。また、水酸基を含有しない溶剤としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有してもよいモノケトン化合物、環状ラクトン、又は酢酸アルキル等が好ましく、これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、エチルエトキシプロピオネート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は2−ヘプタノンが更に好ましい。水酸基を含有しない溶剤としては、プロピレンカーボネートも好ましい。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量比)は、1/99〜99/1であり、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜60/40がより好ましい。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が、塗布均一性の点で好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独溶剤でもよいし、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する2種類以上の混合溶剤ででもよい。
<架橋剤(G)>
本発明の組成物は、酸の作用により樹脂を架橋する化合物(以下、架橋剤(G)ともいう)を含有してもよい。架橋剤(G)としては、公知の化合物を適宜に使用することができる。例えば、米国特許出願公開2016/0147154A1号明細書の段落[0379]〜[0431]、米国特許出願公開2016/0282720A1号明細書の段落[0064]〜[0141]に開示された公知の化合物を架橋剤(G)として好適に使用できる。
架橋剤(G)は、樹脂を架橋しうる架橋性基を有している化合物であり、架橋性基としては、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、アシルオキシメチル基、アルコキシメチルエーテル基、オキシラン環、及びオキセタン環などを挙げることができる。
架橋性基は、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、オキシラン環又はオキセタン環であることが好ましい。
架橋剤(G)は、架橋性基を2個以上有する化合物(樹脂も含む)であることが好ましい。
架橋剤(G)は、ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を有する、フェノール誘導体、ウレア系化合物(ウレア構造を有する化合物)又はメラミン系化合物(メラミン構造を有する化合物)であることがより好ましい。
架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
架橋剤(G)の含有量は、レジスト組成物の全固形分に対して、1〜50質量%が好ましく、3〜40質量%が好ましく、5〜30質量%が更に好ましい。
<界面活性剤(H)>
本発明の組成物は、界面活性剤を含有してもよいし、含有しなくてもよい。界面活性剤を含有する場合、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(具体的には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、又はフッ素原子とケイ素原子との両方を有する界面活性剤)が好ましい。
本発明の組成物が界面活性剤を含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを得ることができる。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤として、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0276]に記載の界面活性剤が挙げることができる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の段落[0280]に記載の、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を使用することもできる。
これらの界面活性剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.0001〜2質量%が好ましく、0.0005〜1質量%がより好ましい。
一方、界面活性剤の含有量が、組成物の全固形分に対して10ppm以上とすることにより、疎水性樹脂の表面偏在性が上がる。それにより、感活性光線性又は感放射線性膜の表面をより疎水的にすることができ、液浸露光時の水追随性が向上する。
(その他の添加剤)
本発明の組成物は、更に、酸増殖剤、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解阻止剤、又は溶解促進剤等を含有してもよい。
本発明の組成物からなる感活性光線性膜又は感放射線性膜の膜厚は、解像力向上の観点から、90nm以下が好ましく、85nm以下がより好ましい。組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性又は製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
本発明の組成物の固形分濃度は、通常1.0〜10質量%であり、2.0〜5.7質量%が好ましく、2.0〜5.3質量%がより好ましい。固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量の質量百分率である。
<調製方法>
本発明の組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは上記混合溶剤に溶解し、これをフィルター濾過した後、所定の支持体(基板)上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましく、0.03μm以下が更に好ましい。このフィルターは、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又はナイロン製のものが好ましい。フィルター濾過においては、例えば日本国特許出願公開第2002−62667号明細書(特開2002−62667)に開示されるように、循環的な濾過を行ってもよく、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して濾過を行ってもよい。また、組成物を複数回濾過してもよい。更に、フィルター濾過の前後で、組成物に対して脱気処理等を行ってもよい。
<用途>
本発明の組成物は、活性光線又は放射線の照射により反応して性質が変化する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、本発明の組成物は、IC(Integrated Circuit)等の半導体製造工程、液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造、インプリント用モールド構造体の作製、その他のフォトファブリケーション工程、又は平版印刷版、若しくは酸硬化性組成物の製造に使用される感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物に関する。本発明において形成されるレジストパターンは、エッチング工程、イオンインプランテーション工程、バンプ電極形成工程、再配線形成工程、及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等において使用することができる。
〔パターン形成方法〕
本発明は上記感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物を用いたパターン形成方法にも関する。以下、本発明のパターン形成方法について説明する。また、パターン形成方法の説明と併せて、本発明の感活性光線性又は感放射線性膜(典型的には、レジスト膜)についても説明する。
本発明のパターン形成方法は、
(i)上述した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物によって感活性光線性又は感放射線性膜を支持体上に形成する工程(成膜工程)、
(ii)上記感活性光線性又は感放射線性膜に活性光線又は放射線を照射する工程(露光工程)、及び、
(iii)上記活性光線又は放射線が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、現像液を用いて現像する工程(現像工程)、
を有する。
本発明のパターン形成方法は、上記(i)〜(iii)の工程を含んでいれば特に限定されず、更に下記の工程を有していてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程における露光方法が、液浸露光であってもよい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の前に、(iv)前加熱(PB:PreBake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程の後、かつ、(iii)現像工程の前に、(v)露光後加熱(PEB:Post Exposure Bake)工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、(ii)露光工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(iv)前加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法は、(v)露光後加熱工程を、複数回含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法において、上述した(i)成膜工程、(ii)露光工程、及び(iii)現像工程は、一般的に知られている方法により行うことができる。
また、必要に応じて、感活性光線性又は感放射線性膜と支持体との間にレジスト下層膜(例えば、SOG(Spin On Glass)、SOC(Spin On Carbon)、反射防止膜)を形成してもよい。レジスト下層膜としては、公知の有機系又は無機系の材料を適宜用いることができる。
感活性光線性又は感放射線性膜の上層に、保護膜(トップコート)を形成してもよい。保護膜としては、公知の材料を適宜用いることができる。例えば、米国特許出願公開第2007/0178407号明細書、米国特許出願公開第2008/0085466号明細書、米国特許出願公開第2007/0275326号明細書、米国特許出願公開第2016/0299432号明細書、米国特許出願公開第2013/0244438号明細書、国際特許出願公開第2016/157988A号明細書に開示された保護膜形成用組成物を好適に使用することができる。保護膜形成用組成物としては、上述した酸拡散制御剤を含むものが好ましい。
上述した疎水性樹脂を含有する感活性光線性又は感放射線性膜の上層に保護膜を形成してもよい。
支持体は、特に限定されるものではなく、IC等の半導体の製造工程、又は液晶若しくはサーマルヘッド等の回路基板の製造工程のほか、その他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程等で一般的に用いられる基板を用いることができる。支持体の具体例としては、シリコン、SiO2、及びSiN等の無機基板等が挙げられる。
加熱温度は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、70〜130℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。
加熱時間は、(iv)前加熱工程及び(v)露光後加熱工程のいずれにおいても、30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒が更に好ましい。
加熱は、露光装置及び現像装置に備わっている手段で行うことができ、ホットプレート等を用いて行ってもよい。
露光工程に用いられる光源波長に制限はないが、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極紫外光(EUV)、X線、及び電子線等を挙げることができる。これらの中でも遠紫外光が好ましく、その波長は250nm以下が好ましく、220nm以下がより好ましく、1〜200nmが更に好ましい。具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(157nm)、X線、EUV(13nm)、又は電子線等であり、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EUV又は電子線が好ましい。
(iii)現像工程においては、アルカリ現像液であっても、有機溶剤を含有する現像液(以下、有機系現像液ともいう)であってもよい。
本発明においては、有機溶剤を含有する現像液であることが、解像性の観点から好ましい。
アルカリ現像液としては、通常、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドに代表される4級アンモニウム塩が用いられるが、これ以外にも無機アルカリ、1〜3級アミン、アルコールアミン、及び環状アミン等のアルカリ水溶液も使用可能である。
さらに、上記アルカリ現像液は、アルコール類、及び/又は界面活性剤を適当量含有してもよい。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10〜15である。
アルカリ現像液を用いて現像を行う時間は、通常10〜300秒である。
アルカリ現像液のアルカリ濃度、pH、及び現像時間は、形成するパターンに応じて、適宜調整することができる。
有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有する現像液であるのが好ましく、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有する現像液であるのがより好ましい。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、及びプロピレンカーボネート等を挙げることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルー3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、ブタン酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソブチル、及びプロピオン酸ブチル等を挙げることができる。
アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、及び炭化水素系溶剤としては、米国特許出願公開2016/0070167A1号明細書の段落[0715]〜[0718]に開示された溶剤を使用できる。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤又は水と混合してもよい。現像液全体としての含水率は、50質量%未満が好ましく、20質量%未満がより好ましく、10質量%未満であることが更に好ましく、実質的に水分を含有しないことが特に好ましい。
有機系現像液に対する有機溶剤の含有量は、現像液の全量に対して、50質量%以上100質量%以下が好ましく、80質量%以上100質量%以下がより好ましく、90質量%以上100質量%以下が更に好ましく、95質量%以上100質量%以下が特に好ましい。
有機系現像液は、必要に応じて公知の界面活性剤を適当量含有できる。
界面活性剤の含有量は現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
有機系現像液は、上述した酸拡散制御剤を含んでいてもよい。
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、又は一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等を適用することができる。
アルカリ水溶液を用いて現像を行う工程(アルカリ現像工程)、及び有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程(有機溶剤現像工程)を組み合わせてもよい。これにより、中間的な露光強度の領域のみを溶解させずにパターン形成が行えるので、より微細なパターンを形成することができる。
(iii)現像工程の後に、リンス液を用いて洗浄する工程(リンス工程)を含むことが好ましい。
アルカリ現像液を用いた現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液は、例えば純水を使用できる。純水は、界面活性剤を適当量含有してもよい。この場合、現像工程又はリンス工程の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を追加してもよい。更に、リンス処理又は超臨界流体による処理の後、パターン中に残存する水分を除去するために加熱処理を行ってもよい。
有機溶剤を含む現像液を用いた現像工程の後のリンス工程に用いるリンス液は、レジストパターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用できる。リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、及びエーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明したものと同様のものが挙げられる。
この場合のリンス工程に用いるリンス液としては、1価アルコールを含有するリンス液がより好ましい。
リンス工程で用いられる1価アルコールとしては、直鎖状、分岐状、又は環状の1価アルコールが挙げられる。具体的には、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、tert―ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、シクロペンタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、及びメチルイソブチルカルビノールが挙げられる。炭素数5以上の1価アルコールとしては、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、及びメチルイソブチルカルビノール等が挙げられる。
各成分は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤と混合して使用してもよい。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。含水率を10質量%以下とすることで、良好な現像特性が得られる。
リンス液は、界面活性剤を適当量含有してもよい。
リンス工程においては、有機系現像液を用いる現像を行った基板を有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、又は基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等を適用することができる。中でも、回転塗布法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2,000〜4,000rpm(rotation per minute)の回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。この加熱工程によりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程において、加熱温度は通常40〜160℃であり、70〜95℃が好ましく、加熱時間は通常10秒〜3分であり、30秒〜90秒が好ましい。
本発明の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、及び、本発明のパターン形成方法において使用される各種材料(例えば、レジスト溶剤、現像液、リンス液、反射防止膜形成用組成物、又はトップコート形成用組成物等)は、金属成分、異性体、及び残存モノマー等の不純物を含まないことが好ましい。上記の各種材料に含まれるこれらの不純物の含有量としては、1ppm以下が好ましく、100ppt以下がより好ましく、10ppt以下が更に好ましく、実質的に含まないこと(測定装置の検出限界以下であること)が特に好ましい。
上記各種材料から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルターを用いた濾過を挙げることができる。フィルター孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルターの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、又はナイロン製のフィルターが好ましい。フィルターは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルター濾過工程では、複数種類のフィルターを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種類のフィルターを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルターを組み合わせて使用してもよい。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であってもよい。フィルターとしては、日本国特許出願公開第2016−201426号明細書(特開2016−201426)に開示されるような溶出物が低減されたものが好ましい。
フィルター濾過のほか、吸着材による不純物の除去を行ってもよく、フィルター濾過と吸着材を組み合わせて使用してもよい。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル若しくはゼオライト等の無機系吸着材、又は活性炭等の有機系吸着材を使用することができる。金属吸着剤としては、例えば、日本国特許出願公開第2016−206500号明細書(特開2016−206500)に開示されるものを挙げることができる。
また、上記各種材料に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、各種材料を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、各種材料を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、又は装置内をテフロン(登録商標)でライニングする等してコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法が挙げられる。各種材料を構成する原料に対して行うフィルター濾過における好ましい条件は、上記した条件と同様である。
上記の各種材料は、不純物の混入を防止するために、米国特許出願公開第2015/0227049号明細書、日本国特許出願公開第2015−123351号明細書(特開2015−123351)、日本国特許出願公開第2017−13804号明細書(特開2017−13804)等に記載された容器に保存されることが好ましい。
本発明のパターン形成方法により形成されるパターンに、パターンの表面荒れを改善する方法を適用してもよい。パターンの表面荒れを改善する方法としては、例えば、米国特許出願公開第2015/0104957号明細書に開示された、水素を含有するガスのプラズマによってレジストパターンを処理する方法が挙げられる。その他にも、日本国特許出願公開第2004−235468号明細書(特開2004−235468)、米国特許出願公開第2010/0020297号明細書、Proc. of SPIE Vol.8328 83280N−1“EUV Resist Curing Technique for LWR Reduction and Etch Selectivity Enhancement”に記載されるような公知の方法を適用してもよい。
また、上記の方法によって形成されたレジストパターンは、例えば日本国特許出願公開第1991−270227号明細書(特開平3−270227)及び米国特許出願公開第2013/0209941号明細書に開示されたスペーサープロセスの芯材(Core)として使用できる。
〔電子デバイスの製造方法〕
また、本発明は、上記したパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法にも関する。本発明の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイスは、電気電子機器(例えば、家電、OA(Office Automation)関連機器、メディア関連機器、光学用機器、及び通信機器等)に、好適に搭載される。
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されない。
本発明の樹脂(A)に相当するPolymer−03〜Polymer−20、比較例に用いたPolymer−01及びPolymer−02の繰り返し単位の種類及び含有量(モル%)、重量平均分子量(Mw)、及び、分散度(Mw/Mn)を、下記表1に示す。表1中、「繰り返し単位(a−3)又はその他の繰り返し単位」及び「繰り返し単位(a−4)」について、複数の繰り返し単位を有するものは、「/」で区切って示しているが、各繰り返し単位の種類と含有量とは左から順に対応している。
Polymer−10の10質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA:1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)溶液を調製し、0.04μmのポアサイズを持つナイロン製カートリッジフィルターで、ろ過前後の差圧が100kPaとなるように圧力をかけてろ過し、重合体溶液の90質量%が通液するまではろ過前後の差圧が±50kPa以内となるように送液ポンプの吐出圧力を制御しながら加圧ろ過し、Polymer−20溶液を得た。
表1におけるPolymer−01〜Polymer−20が有する各繰り返し単位の構造を以下に示す。
(レジスト組成物の調製)
下記表2に示す成分からなる溶液を調製し、さらに0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターで濾過することで、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物(レジスト組成物)を調製した。表2中、樹脂、光酸発生剤、及び溶剤について、複数の化合物を用いたものについては、「/」で区切って示しているが、各化合物の種類と質量とは左から順に対応している。resist−21には樹脂としてPolymer−20を用いているが、レジスト組成物の調製の際には、前述のPolymer−20溶液を用いて調製し、得られるレジスト組成物中のPolymer−20の質量が3g、溶剤の1種であるS−1(PGMEA)の質量が82gとなるように、用いるPolymer−20溶液の量を調整した。なお、Polymer−20以外の樹脂は粉末として用いてレジスト組成物を調製した。
表2における光酸発生剤、酸拡散制御剤、疎水性樹脂、及び溶剤は下記の通りである。Etはエチル基を表す。
〔光酸発生剤〕
〔酸拡散制御剤〕
〔疎水性樹脂〕
疎水性樹脂E−1〜E−11及びPT−1〜PT−3の各繰り返し単位の種類及び含有量(モル%)、重量平均分子量(Mw)、及び、分散度(Mw/Mn)を、下記表3に示す。複数の繰り返し単位を有するものについては、「/」で区切って示しているが、各繰り返し単位の種類と含有量とは左から順に対応している。
〔溶剤〕
S−1: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA:1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)
S−2: プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
S−3: γ−ブチロラクトン
(トップコート組成物の調製)
表4に示した各成分を固形分濃度が3質量%となるように混合して、トップコート組成物を調製した。ここでいう固形分とは、溶剤以外の全ての成分を意味する。トップコート組成物は、最初に孔径50nmのポリエチレン製フィルター、次に孔径10nmのナイロン製フィルター、最後に孔径5nmのポリエチレン製フィルターの順番で濾過した。表4中、添加剤及び溶剤について、複数の化合物を用いたものについては、「/」で区切って示しているが、各化合物の種類と質量又は質量比とは左から順に対応している。
H−3:PF656(OMNOVA社製、フッ素系界面活性剤)
FT−1:4−メチル−2−ペンタノール(MIBC)
FT−2:n−デカン
FT−3:ジイソアミルエーテル
≪パターンの形成 ArF露光及び有機溶剤現像−ネガ型≫
シリコンウエハ上に有機反射防止膜ARC29SR(Brewer社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い膜厚98nmの反射防止膜を形成し、その上に、下記表5に記載のレジスト組成物を塗布し、100℃で60秒間に亘ってベークを行い、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。
また、実施例12〜14では、レジスト膜の上に、更に表5に記載したトップコート組成物を用いてトップコートを形成した。具体的には、レジスト膜の上にトップコート組成物を塗布し、120℃で60秒間に亘ってベークを行い、膜厚100nmのトップコートを形成した。
上記のようにして得られたレジスト膜又はレジスト膜及びトップコートを形成したウエハをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA(numerical aperture)1.20、C−Quad、アウターシグマ0.98、インナーシグマ0.89、XY偏向)を用い、非露光部のX軸方向のサイズが45nm、ピッチ(図1のP1)が90nm、非露光部のY軸方向のサイズが60nm、ピッチ(図1のP2)が120nmのパターン形成用のマスク(6%ハーフトーン)を介して露光した。上記マスクは、図1に示すように非露光部がX軸方向及びY軸方向に行列状に配置され、X軸方向には45nm間隔(図1のW1)で、Y軸方向には60nm間隔(図1のW2)でそれぞれ配置されている。すなわち、露光部のX軸方向の幅W1は45nmであり、露光部のY軸方向の幅W2は60nmである。液浸液としては超純水を使用した。その後下記表5に記載のPEB温度で60秒間加熱した後、有機現像液である酢酸ブチルで30秒間現像し、スピン乾燥してパターン(楕円形状のホールパターン)を得た。
≪評価≫
(露光ラチチュード;EL性能)
測長走査型電子顕微鏡(SEM(株)日立製作所S−9380II)によりホールサイズを観察し、X軸方向のホールサイズ(ホールのX軸方向のサイズのうち最大のサイズ)が平均45nmのホールパターンを解像する時の最適露光量を感度(Eopt)(mJ/cm)とした。求めた最適露光量(Eopt)を基準とし、次いでホールサイズが目的の値である45nmの±10%(即ち、40.5nm及び49.5nm)となるときの露光量を求めた。そして、次式で定義される露光ラチチュード(EL)を算出した。ELの値が大きいほど、露光量変化による性能変化が小さく、良好である。
[EL(%)]=[(ホールサイズが40.5nmとなる露光量)−(ホールサイズが49.5nmとなる露光量)]/Eopt ×100
(局所的なパターン寸法の均一性;CDU)
上記最適露光量(Eopt)で露光された1ショット内において、互いの間隔が1μmの20箇所の領域において、各領域ごとに任意の25個(すなわち、計500個)のX軸方向のホールサイズを測定し、これらの標準偏差(σ)を求め、3σを算出した。値が小さいほど寸法のばらつきが小さく、良好な性能であることを示す。
評価結果を下記表5に示す。
≪パターンの形成 ArF露光及びアルカリ現像−ポジ型≫
シリコンウエハ上に有機反射防止膜ARC29SR(Brewer社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い膜厚98nmの反射防止膜を形成し、その上に、下記表6に記載のレジスト組成物を塗布し、100℃で60秒間に亘ってベークを行い、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。
また、実施例112では、レジスト膜の上に、更に表6に記載したトップコート組成物を用いてトップコートを形成した。具体的には、レジスト膜の上にトップコート組成物を塗布し、120℃で60秒間に亘ってベークを行い、膜厚100nmのトップコートを形成した。
上記のようにして得られたレジスト膜又はレジスト膜及びトップコートを形成したウエハをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製;XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.98、インナーシグマ0.89、XY偏向)を用い、露光部のX軸方向のサイズが45nm、ピッチ(図2のP1)が90nm、露光部のY軸方向のサイズが60nm、ピッチ(図2のP2)が120nmのパターン形成用のマスク(6%ハーフトーン)を介して露光した。上記マスクは、図2に示すように露光部がX軸方向及びY軸方向に行列状に配置され、X軸方向には45nm間隔で、Y軸方向には60nm間隔でそれぞれ配置されている。すなわち、露光部のX軸方向の幅W1は45nmであり、露光部のY軸方向の幅W2は60nmである。液浸液としては超純水を使用した。その後下記表6に記載のPEB温度で60秒間加熱した後、アルカリ現像液であるテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、純水でリンスした後、スピン乾燥してパターン(楕円形状のホールパターン)を得た。
≪評価≫
(露光ラチチュード;EL性能)
測長走査型電子顕微鏡(SEM(株)日立製作所S−9380II)によりホールサイズを観察し、X軸方向のホールサイズ(ホールのX軸方向のサイズのうち最大のサイズ)が平均45nmのホールパターンを解像する時の最適露光量を感度(Eopt)(mJ/cm)とした。求めた最適露光量(Eopt)を基準とし、次いでホールサイズが目的の値である45nmの±10%(即ち、40.5nm及び49.5nm)となるときの露光量を求めた。そして、次式で定義される露光ラチチュード(EL)を算出した。ELの値が大きいほど、露光量変化による性能変化が小さく、良好である。
[EL(%)]=[(ホールサイズが40.5nmとなる露光量)−(ホールサイズが49.5nmとなる露光量)]/Eopt ×100
(局所的なパターン寸法の均一性;CDU)
上記最適露光量(Eopt)で露光された1ショット内において、互いの間隔が1μmの20箇所の領域において、各領域ごとに任意の25個(すなわち、計500個)のX軸方向のホールサイズを測定し、これらの標準偏差(σ)を求め、3σを算出した。値が小さいほど寸法のばらつきが小さく、良好な性能であることを示す。
表5及び6より、本発明の樹脂(A)及び光酸発生剤(B)を含有するレジスト組成物を用いた実施例は、樹脂(A)又は光酸発生剤(B)を含有しないレジスト組成物を用いた比較例と比較して、EL性能、及びCDUが優れたものとなった。
1 非露光部
2 露光部
W1 X軸方向の露光部の幅
W2 Y軸方向の露光部の幅
P1 X軸方向のパターンのピッチ
P2 Y軸方向のパターンのピッチ

Claims (16)

  1. 下記一般式(a−1)で表される繰り返し単位を有する樹脂(A)と、活性光線又は放射線により酸を発生する下記一般式(b−1)で表される化合物(B)とを含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。

    一般式(a−1)中、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又はアルキル基を表し、
    13は、水素原子、フッ素原子、又はアルキル基を表し、
    14及びR15は、それぞれ独立して、1価の鎖状炭化水素基、又は1価の環状炭化水素基を表し、
    14及びR15は、互いに結合して脂環構造を形成してもよく、
    16、R17及びR18は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基を表し、
    16、R17及びR18は、これらのうちの2つ以上が互いに結合して脂環構造を形成してもよく、
    n11は、0又は1を表す。
    ただし、R14及びR15がそれぞれ1価の鎖状炭化水素基を表し、かつR14及びR15が互いに結合して脂環構造を形成していない場合は、R16、R17及びR18のうちの2つ以上は互いに結合して脂環構造を形成する。

    一般式(b−1)中、Rは、2価の脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基を表し、
    は、炭素原子を表し、
    は、1価の有機基を表し、
    kbは、1〜3の整数を表す。kbが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
    F1、RF2及びRF3は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、又はアルキル基を表し、
    ibは、0〜3の整数を表す。ただし、ibが0の場合、kbは1又は2である。ibが2以上の場合、複数のRF1は同一でも異なっていてもよく、複数のRF2は同一でも異なっていてもよい。
    F3が複数の場合、複数のRF3は同一でも異なっていてもよい。
    は、1価のカチオンである。
  2. 前記一般式(a−1)中のR14及びR15の少なくとも一方が1価の環状炭化水素基を表す請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  3. 前記一般式(a−1)中のR14及びR15の少なくとも一方がアダマンタン−1−イル基を表す請求項1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  4. 前記一般式(a−1)中の、
    14及びR15の両方がそれぞれ1価の環状炭化水素基を表す、又は、
    14及びR15のいずれか一方のみが1価の環状炭化水素基を表し、かつR16、R17及びR18から選択される2つ以上が互いに結合して脂環構造を形成する、
    請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  5. 前記一般式(b−1)中のibが0又は1を表す請求項1〜4のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  6. 前記一般式(b−1)中のibが1を表し、かつ、RF1及びRF3のいずれか少なくとも一方は水素原子又はアルキル基を表す、請求項5に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  7. 前記一般式(b−1)中のkbが2を表す請求項1〜6のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  8. 前記一般式(b−1)におけるR及びRが、Rとしての前記脂環式炭化水素基又は脂肪族複素環基の環構造上の同一炭素原子に結合するか、又は互いに隣接する2つの炭素原子にそれぞれ結合している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  9. 前記一般式(b−1)中のRが下記一般式(b−2)で表される1価の有機基を表す、請求項1〜8のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。

    一般式(b−2)中、Rはアルキル基を表し、
    Ybは単結合又はアルキレン基を表し、
    *は前記一般式(b−1)中のRとの結合手を表す。
  10. 更に、下記一般式(d1−1)〜(d1−3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。

    一般式(d1−1)〜(d1−3)中、Rd〜Rdはアルキル基又はアルケニル基を表す。ただし、一般式(d1−2)中のRdにおける、硫黄原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していないものとする。
    Ydは単結合又は2価の連結基を表し、
    mは1以上の整数を表し、
    Mdm+はそれぞれ独立にm価のカチオンを表す。
  11. 前記樹脂(A)が、更に、前記一般式(a−1)で表される繰り返し単位とは異なる、酸の作用により分解し極性が増大する基を含む繰り返し単位(a−4)を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  12. 前記樹脂(A)が、更に、前記一般式(a−1)で表される繰り返し単位とは異なる、ラクトン構造、スルトン構造、及びカーボネート構造からなる群から選択される少なくとも1種を含む繰り返し単位(a−3)を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物により形成される感活性光線性又は感放射線性膜。
  14. (i)請求項1〜12のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物によって感活性光線性又は感放射線性膜を支持体上に形成する工程、
    (ii)前記感活性光線性又は感放射線性膜に活性光線又は放射線を照射する工程、及び、
    (iii)前記活性光線又は放射線が照射された感活性光線性又は感放射線性膜を、現像液を用いて現像する工程、
    を有するパターン形成方法。
  15. 前記現像液が、有機溶剤を含有する現像液である、請求項14に記載のパターン形成方法。
  16. 請求項14又は15に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
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