JP2018194305A - 磁界測定装置及び磁界測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高感度に磁気的免疫検査を実行することができる磁界測定装置を提供する。【解決手段】磁気的免疫検査により被測定物を検出するための磁界測定装置は、磁性物質と該磁性物質と結合可能な被測定物とを含む試料を収容する容器を移動させる移動機構と、容器の移動周期に同期して移動毎に磁界方向が反転して切り替わる磁界を、移動している容器に収容される試料に印加する磁界発生部と、磁界発生部からの磁界の影響を実質的に受けない程度に離間した位置に配置され、移動している容器に収容される試料から放出される磁界に対応する信号を検出する磁界センサとを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気的免疫検査により被測定物を検出するための磁界測定装置及び磁界測定方法に関し、具体的には、液体中において、被測定物質と結合している磁性物質(磁気マーカ)に由来する磁界を測定する磁界測定装置及び磁界測定方法に関する。
疾患由来のタンパク質や病原菌などの生体物質を検出する免疫検査が医療診断において用いられている。免疫検査は、被測定物質である抗原と抗体が特異的に結合する抗原抗体反応が利用され、この抗体をマーカと呼ばれる物質で標識させ、抗原と結合している抗体のマーカからの信号を検出することで、抗原の量を測定することが可能となる。
免疫検査の一つとして、被測定物質との結合能力が既知である抗体に蛍光酵素などの光学マーカを付加して標識し、被測定物質との結合の程度を光学的に検出する光学的免疫検査が行われている。ここで、多くの光学的免疫検査では、被測定物質と結合した光学マーカと結合しなかった光学マーカとを分離するための洗浄除去する工程が必要であり、検査工程が複雑で時間を要するという側面がある。
一方、光学的免疫検査とは異なり、磁気的手法によって被測定物質の検出を行う技術が磁気的免疫検査として知られている(特許文献1、2)。磁気的免疫検査は、磁性粒子と磁気センサを用いて抗原抗体反応を検出する手法であって、抗体に磁性粒子(以下、磁気マーカと称する)を付加して標識させ、被測定物質である抗原との結合程度を磁気マーカからの磁気信号を磁気センサを用いて検出する。具体的には、被測定物質と、磁気マーカが付加された抗体とを溶液中で結合させた試料を作製し、当該試料に外部から直流磁界を印加し、磁気マーカを磁化させる。直流磁界の印加を遮断した後、被測定物質と結合した磁気マーカ付加抗体(以下、結合マーカと称する)は、被測定物質と結合していない磁気マーカ付加抗体(未結合マーカ)より体積が大きくなるためブラウン回転運動が遅いため、ブラウン緩和時間が比較的遅く。これにより、結合マーカは残留磁気を有する時間が長い。
一方、被測定物質と結合しなかった磁気マーカ付き抗体(未結合マーカ)も溶液中に存在する。未結合マーカは、単体で存在するために粒径が小さく、ブラウン回転運動が早くなる。従って、未結合マーカ抗体は磁気モーメントの方向がランダムとなりやすく、ブラウン緩和時間が早く、未結合マーカは残留磁気を有する時間が短い。これにより、結合マーカと未結合マーカのブラウン時間の差を利用することで、結合マーカのみの磁気信号を選択に検出することができる。
このように、磁気的免疫検査は、磁気マーカのブラウン緩和特性の違いを利用することで、磁気マーカ付加抗体を洗浄除去する工程を行うことなく、被測定物質との結合の程度を測定することができる。
特許文献1−5は、磁気センサとしてSQUID(Superconducting Quantum Interference Device;超伝導量子干渉素子)を使用して磁気マーカのブラウン緩和に基づく磁気信号を検出する構成について開示する。
また、特許文献6は、磁気抵抗効果素子(MRセンサ)を用いて、磁気マーカのブラウン緩和特性を交流磁化率の差として測定する磁界計測装置について開示する。すなわち、より体積が大きい結合マーカは、より体積が小さい未結合マーカよりも高周波の交流磁界に対する追従性が低く、交流磁化率は、周波数とブラウン緩和時間に依存する。このことから、交流磁化率を磁気抵抗効果素子(MRセンサ)を用いて測定することによって、結合マーカの量を測定することができる。
さらに、特許文献7は、磁界検出方向に指向性を有する薄膜磁気センサ(磁気抵抗センサ、磁気インピーダンスセンサ)を用いて、検査対象物内における磁性異物の有無を検出する磁性異物検査装置について開示する。
特開2015−163846号公報 特開2007−240349号公報 特開2009−115529号公報 特開平1−112161号公報 特開2001−033455号公報 特許第5560334号公報 特開2014−159984号公報
特許文献1−5に開示されるSQUID(Superconducting Quantum Interference Device;超伝導量子干渉素子)を用いた装置は、直流磁界で磁化された結合マーカの残留磁気信号の高感度な検出を可能とするものの、冷却装置や真空装置を含みその構成が複雑で大掛かりとなり、また高コストな装置となる。
また、特許文献6に開示される磁界測定装置は、交流磁化率の周波数特性から結合マーカの検出する可能とするが、磁気抵抗素子(MRセンサ)による検出は比較的感度が低く、極微量の結合マーカを高感度に検出することが困難という課題がある。また、特許文献7では、ブラウン緩和特性の利用についての記載はなく、結合マーカと未結合マーカを分離して検出することはできない。
そこで、本発明の目的は、新規な手法であって比較的簡易な構成により、より高感度に磁気的免疫検査を実行することができる磁界測定装置及び磁界測定方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の磁界測定装置は、磁性物質と該磁性物質と結合可能な被測定物とを含む試料を収容する容器を移動させる移動機構と、容器の移動周期に同期して移動毎に磁界方向が反転して切り替わる磁界を、移動している容器に収容される試料に印加する磁界発生部と、磁界発生部からの磁界の影響を実質的に受けない程度に離間した位置に配置され、移動している容器に収容される試料から放出される磁界に対応する信号を検出する磁界センサとを備えることを特徴とする。上記の移動形態は直線移動あるいは回転移動でもよい。
本発明の磁界測定装置は、上記において、さらに、複数回の移動における隣接する2回の移動で検出される信号の差分値に基づいて被測定物の量を判定する演算処理部とを備えることを特徴とする。
本発明の磁界測定方法は、磁性物質と該磁性物質と結合可能な被測定物とを含む試料を直流磁界により着磁させる工程と、試料を収容する容器を複数回移動させる工程と、容器の移動周期に同期して移動毎に磁界方向が反転して切り替わる磁界を、移動している容器に収容される試料に印加する工程と、移動している容器に収容される試料から放出される磁界に対応する信号を検出する工程とを備えることを特徴とする。
本発明の磁界測定方法は、上記において、さらに、複数回の移動における隣接する2回の移動で検出される信号の差分値に基づいて被測定物の量を判定する工程とを備えることを特徴とする。
本発明の磁界測定装置及び磁界測定方法によれば、ブラウン緩和特性を利用して、より高感度な磁気的免疫検査を実行することができる。高感度な磁界測定装置を比較的簡易、小型且つ低コストで構成可能となる。
本発明の実施の形態における磁界測定装置の概略構成例を示す図である。 磁界センサ40の概略的な配置例を示す図である。 本発明の実施の形態における磁界測定装置による磁界測定方法の処理手順を示す図である。 本発明の実施の形態に磁界測定装置の概略模式図である。 磁界センサのセンサ素子上を通過する容器の位置関係を示す図である。 磁界センサ40の出力電圧の測定データを示すグラフである。 ポリマービーズの量に対する隣接回電圧差の関係を示すグラフである。 う蝕関連菌(ミュータンス菌)数に対する隣接回電圧差の関係を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1は、本発明の実施の形態における磁界測定装置の概略構成例を示す図である。図1において、磁界測定装置は、試料10を収容する容器12を回転軸を中心に周回させる回転機構20と、容器12の回転周期に同期して周回毎に磁界方向が切り替わる磁界を回転している容器12に収容される試料10に印加する磁界発生部30と、磁界発生部30からの磁界の影響を実質的に受けない程度に離間した位置に配置され且つ回転している容器12に収容される試料10から放出される磁界を検出するための磁界センサ40とを備えて構成される。
回転機構20は、台22に取り付けられたモータ内蔵の回転軸24と、回転軸24から半径方向に延びて取り付けられるアーム部26とを有し、アーム部26の先端部に容器12が保持される。モータにより回転軸を回転させることで、アーム部26に保持される容器12は、回転軸24を中心に周回する。回転機構20は、回転軸とアームの構成に限られず、回転軸を中心に周回する円盤プレートを有する構成であってもよい。また、試料10を収容する容器12を周期的に移動させる機構は、回転機構に限らず、例えば、往復直線運動など別の移動形態を採用してもよい。容器12には、磁性物質(磁気ビーズとも称する)とその磁性物質と結合可能な被測定物の混合液である試料(サンプル)10が収容される。
磁界発生部30は、発振器32とそれの制御により磁界を発生するコイル34とを有して構成され、発振器32により、回転機構20の回転周期に同期してコイル34の磁界方向が切り替わるよう制御され、容器12はコイル34の直上を周回し、容器12の周回ごとにその磁界方向がスイッチングされる。すなわち、容器12の周回回数において、容器12に収容される試料10に印加される磁界方向は、偶数回と奇数回で逆方向となる。加えて試料10を磁化するために永久磁石38を置く。
磁界センサ40は、磁気インピーダンス効果を利用して磁界を検出する磁気インピーダンスセンサ(MIセンサ)である。磁気インピーダンス効果は、アモルファス合金ワイヤなどの高透磁率合金磁性体に高周波電流を通電すると、周回方向の透磁率が外部磁界の印加により大幅に変化することに起因して表皮深さが変化することにより、インピーダンスが変化する現象であり、磁気センサの小型化、高感度化、低消費電力化が可能なセンサである。磁界センサ40は、装置の小型化や高感度化の面からMIセンサを採用することが好ましいが、それに限らず、例えば磁気抵抗センサ(MRセンサ)などの磁界を検出する機能を有する別のセンサであってもよい。
信号処理部50は、磁界センサ40からの出力信号(センサ電圧値)は演算処理する手段であり、アナログ信号の出力信号をデジタル信号に変換し、所定の演算処理装置でデジタル信号を演算処理し、後述の演算処理及び判定処理を実行する。信号処理部50は、汎用のコンピュータ装置や特定のデジタル演算回路により実現される。
図2は、磁界センサ40の概略的な配置例を示す図である。磁界センサ40は、容器12の回転移動方向に直交する方向に並列に配置される2つのセンサ素子40a、40bを有し、差動センサとして動作する。後述するように、差動センサの構成として、2つのセンサ素子の一方素子の直上に容器12を通過させ、他方の素子の上には容器12を通過させないようにすることで、バックグラウンドノイズを相殺し、高感度化を図ることができる。また、センサ素子40a、40bにバイアス磁界を印加するバイアス用磁石42がセンサ素子40a、40bに近接して配置され、容器12の回転移動方向を向いたバイアス磁界を印加する。なお、ブラウン緩和を正確に観測するために、このバイアス磁界からの漏れ磁界はできるだけ抑えることが好ましく、バイアス磁界による試料10に含まれる磁気ビーズの磁化の影響を無視できる程度に小さくする。回転している容器とバイアス用磁石42との間には、磁気シールド44が配置される。磁気シールド44は、軟磁性体で形成され、回転している容器12がバイアス用磁石42に接近する位置に配置され、バイアス用磁石42からの磁界を遮断する。
図3は、本発明の実施の形態における磁界測定装置による磁界測定方法の処理手順を示す図である。また、図4は、本発明の実施の形態に磁界測定装置の概略模式図であり、図1と同一の構成を示す。
(1)容器12に試料10を入れて撹拌(超音波洗浄約15秒+振動攪拌約30秒)し、回転機構20のアーム部26の所定位置にセットする(S100)。試料10は、磁性物質である磁気ビーズとそれに結合可能な被測定物質との混合液である。被測定物質は、検出対象の細菌(モデル細菌を含む)であり、被測定物質の数(想定される最大数)よりも多い磁気ビーズが投入されるよう調整される。好ましくは、被測定物質と結合しない未結合の残留磁気ビーズを少なくするように調整することで高感度化が図られる。実験に用いる場合のモデル細菌として、ポリマービーズを利用することもできる。
容器12の初期位置は、磁界発生部30のコイル34の直上位置である。撹拌は、測定直前に行うことが好ましい。また、容器12の底部厚さは0.3mm±0.05mm程度が好ましい。磁界センサ40との距離を近づけられ高感度検出を可能とするが、容器12の強度維持のために一定の厚さが必要である。
(2)発振器32により矩形波電圧(例えば10Vpp,0.277Hz(回転と同一周波数))を励磁コイル34に通電する(S102)。矩形波電圧により印加される磁界の強度は、例えば試料10付近でおよそ±20 Oe程度である。
(3)永久磁石(例えばNdFeB磁石(寸法4mm×4mm×1mm程度))38を容器12に近接配置し、例えば約100秒間着磁し、試料10に含まれる磁気ビーズを容器12の底部に集める(S104)。永久磁石38は、コイル34と容器12の底との間隙に例えば手動で挿入される。永久磁石38による着磁により、容器12内の磁気ビーズをセンサ素子40a、40bの一方素子寸法と同程度の面積に凝集させて集め、回転の際に一方素子の真上を通過させるようにする。
このように、回転開始前においては、永久磁石38による着磁と励磁コイル34による着磁が重畳して行われる。励磁コイル34による矩形波磁界(または正弦波や三角波等の時間的変動磁界)を印加しながら、永久磁石38により約1kOe程度(ほぼ密着)で100秒程度着磁する。試料10の量(体積)が比較的大きい場合でも、試料10内に分散している磁気ビーズ(被測定物質と結合しているものも含む)を容器12の底部へ集め、試料10内における磁気ビーズに磁界センサ近傍を通過させることで、磁界センサ40の検出感度が高まり、SN比が向上する。
(4)回転を開始させる(S106)。回転速度は例えば200degree/s程度である。回転速度は、回転速度が速いと液相が不安定になるため、遠心力による加速度が重力加速度に対して十分小さくなる程度とする。回転開始時には永久磁石38による磁界と励磁コイル34の磁界を同方向とし、回転開始直前あるいは直後、永久磁石38はその置かれた位置から取り除かれ、励磁コイル34の磁界のみが試料に印加される状態とする。永久磁石38の配置及び除去は手動又は機械的な構成のいずれにより行われてもよい。
図5は、磁界センサ40の一方素子上を通過する容器12内の試料10の位置関係を示す図である。例えば容器12の断面径が磁界センサ40の一方素子の幅よりも大きい場合、容器12内において、永久磁石38により試料10内の磁気ビーズを容器12の底部に集める際に、容器12の底部の左右一方側に偏らせて凝集させ、その凝集した磁気ビーズが磁界センサ40の一方素子(図5では、センサ素子40a)の幅程度に収まるようにし、一方素子の直上を通過させ、他方素子(図5では、センサ素子40b)の直上を通過させないようにする。
(5)回転開始後、励磁コイル34上を通過する際に、周回毎に試料10は逆極性の磁界(矩形波)で励磁される(S108)。回転開始後に、永久磁石38を取り除き、周波数を回転周波数と同一にした矩形波磁界(±20 Oe程度)を印加することにより周回毎に磁化極性が反転した磁界を試料10に印加する。これにより、試料10に含まれる磁気ビーズは磁界方向に回転しようとする。このとき、磁気ビーズのみ(被測定物質と結合していない未結合の磁気ビーズ)であれば、磁気ビーズの体積(または回転半径)は、被測定物質と比較して十分に小さいので緩和時間が短く、励磁コイル34による磁界により比較的容易に磁化回転するが、被測定物質と結合している磁気ビーズは、緩和時間が比較的長く、磁化回転しにくい状態となる。
(6)容器12内の試料10は、周回毎に磁界方向が切り替わる励磁コイル34の磁界により励磁後、例えば3/4周期後に磁界センサ40の一方素子の直上を通過し、周回毎に磁気ビーズの漏れ磁界を検出する(S110)。磁界センサ40の一方素子と試料10の入った容器12の底部との間隙は0.1mm程度とすることが好ましい。間隙を狭くするほど少量の磁気ビーズの検出が可能となり、より少量の被測定物質(細菌)を検出することができるようになる。
磁界センサ40は差動センサ構成であるので、試料10が直上を通過する一方素子と試料10が直上を通過しない他方素子との出力の差分値を得ることで、バックグラウンドノイズが相殺された高精度な出力信号(センサ電圧値)が得られる。
(7)得られたセンサ電圧値を信号処理部50により演算処理する(S112)。信号処理部50は、隣接する2回の周回間のセンサ電圧差をΔV、最初の回転時(1周目)のセンサ電圧をVとしてΔV/Vを演算により求める(S112)。具体的には、1周目と2周目のセンサ電圧差ΔV、2周目と3周目のセンサ電圧差ΔV、3周目と4周目のセンサ電圧差ΔVを順次求めていく。そして、最終のn周目とn−1周目のセンサ電圧差ΔVまで求め、すべてのΔVの平均値ΔVaveを求め、これを一周目のセンサ電圧Vで正規化したΔVave/Vを求める。複数回のセンサ電圧差ΔVを求めて平均化することでSN比が向上する。
図6は、磁界センサ40の出力電圧の測定データを示すグラフである。横軸は磁界センサ40の通過位置(長さ)、縦軸は磁界センサ40の出力電圧を示す。容器12が磁界センサ40を通過する位置に応じて出力電圧が変化する。
図6(a)は、磁気ビーズのみ(平均粒径は約170nm、被測定物質としてのポリマービーズを含まない)を含む液体を試料10とした測定グラフであり、図6(b)は、被測定物質としてのポリマービーズ(モデル細菌、平均粒径は約7μm(ミクロン))と磁気ビーズの混合液を試料10とした測定グラフである。
図6(a)では、1周目から4周目までの出力電圧の変位が示されるが、隣接した2回の周回、すなわち周回回数が奇数回と偶数回では、極性が反転した対称形状に近い波形が得られる。すなわち、被測定物質(ポリマービーズ)を含んでいない場合は、周回毎に極性が反転する磁場に追随して磁気ビーズの磁化方向も反転している。したがって、奇数回と偶数回のセンサ電圧差は相対的に大きくなる。
これに対して、試料10に磁気ビーズとポリマービーズを含む場合の測定結果を示す図6(b)のグラフでは、1周目から4周目までの出力電圧の変位において、奇数回と偶数回で波形に大きな差は見られない。これは、磁気ビーズがポリマービーズと結合することにより、周回ごとの磁場のスイッチングに追従できず磁気ビーズが反転しにくくなっており、奇数回と偶数回において、センサ電圧値も正負の極性反転が起きにくくなっているものと推定される。すなわち奇数回と偶数回の波形の相違は、被測定物質の量(数)と相関関係を有することを示唆している。
図7は、ポリマービーズの量と隣接回電圧差との関係を示すグラフである。被測定物質はモデル細菌であるポリマービーズとし、試料はポリマービーズと磁気ビーズの混合液である。横軸がポリマービーズの量であり、縦軸が隣接回電圧差の値であり、縦軸の隣接回電圧差は、1周目の電圧値(上述の電圧値「V」)で正規化された値が演算され、複数周回の平均値(上述のΔVave/V)が用いられる。図7によれば、ポリマービーズの量が多くなるほど、隣接回電圧差は小さくなる傾向があることが明確に理解される。ポリマービーズ数が7.5×10個以上では隣接回電圧差がほぼ一定値になっているが、これはほぼすべての磁気ビーズがポリマービーズに結合しており、単独で存在する磁気ビーズ数が十分少ないためと考えられる。あらかじめ図7のグラフを求めておき、モデル細菌数が未知の試料の評価の際には、測定された隣接回電圧差から図7の曲線を用いてモデル細菌数を判定することができる(図6のS114)。信号処理部50が、測定された隣接回電圧差ΔVave/Vと図7のグラフデータと比較し、被測定物の数を判定する。
図8は、う蝕関連菌(ミュータンス菌)数に対する隣接電圧差の関係を示すグラフである。被測定物質をモデル細菌ではなく実際の細菌であるミュータンス菌とし、試料は磁気ビーズとミュータンス菌(Mutans菌)の混合液である。磁気ビーズはProtein Aが添加された平均粒径が約1ミクロンのものを使用した。100マイクロリットル中に磁気ビーズは約5×10個程度存在する。最初にこの磁気ビーズと抗体(Anti−Streptococcus Mutans antibody Ab31181)を反応させる。つづいてStreptococcus Mutans菌を上記磁気ビーズと抗原抗体反応させて試料を作製した。
図8によれば、Mutans菌の数が多くなるほど、隣接回電圧差は小さくなる傾向がある。これはMutans菌数が増えることで単独の磁気ビーズ数が減少し、磁気ビーズのブラウン緩和が起きにくくなっているためと考えられる。Mutans菌数が1×10個以上では隣接回電圧差がほぼ一定値になっているが、これはほぼすべての磁気ビーズがMutans菌に結合し、単独で存在する磁気ビーズ数が十分少ないためと考えられる。このことから平均的には1個のMutans菌に5個程度の磁気ビーズが結合していると推測される。あらかじめ図8のグラフを求めておき、Mutans菌の数が未知の試料の評価の際には、測定された隣接回電圧差から図8の曲線を用いてMutans菌数を得ることができる(図6のS114)。信号処理部50が、測定された隣接回電圧差ΔVave/Vと図8のグラフデータと比較し、被測定物の数を判定する。
図8よりも少ないMutans菌の検出のためには磁気ビーズの数を減らすことで単独で存在する磁気ビーズの量が大きく変化する範囲に設定する。また磁界センサ40のSN比を向上させることにより、より少ないMutans菌の検出が可能になる。
本発明の実施の形態では、磁性物質(磁気ビーズ)及びこれと結合可能な被測定物を含む液体を回転させ、その周回ごとに極性が反転する磁界を印加し、その磁性の変化に対応する出力信号を周回毎に検出し、その隣接周回の出力信号の差異を利用して被測定物の量を測定可能とし、より高感度な磁気的免疫検査を行うことができる。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る各種変形、修正を含む要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
10:試料、12:容器、20:回転機構、22:台、24:回転軸、26:アーム部、30:磁界発生装置、32:発振器、34:励磁コイル、38:永久磁石、40:磁界センサ、40a:センサ素子、40b:センサ素子、42:バイアス用磁石、44:磁気シールド、50:信号処理部

Claims (9)

  1. 磁気的免疫検査により被測定物を検出するための磁界測定装置であって、
    磁性物質と該磁性物質と結合可能な前記被測定物とを含む試料を収容する容器を移動させる移動機構と、
    前記容器の移動周期に同期して移動毎に磁界方向が反転して切り替わる磁界を、移動している前記容器に収容される試料に印加する磁界発生部と、
    前記磁界発生部からの磁界の影響を実質的に受けない程度に離間した位置に配置され、移動している前記容器に収容される試料から放出される磁界に対応する信号を検出する磁界センサとを備えることを特徴とする磁界測定装置。
  2. 複数回の移動における隣接する2回の周回で検出される前記信号の差分値に基づいて前記被測定物の量を判定する演算処理部とを備えることを特徴とする磁界測定装置。
  3. 前記磁界センサは、前記容器の移動方向に直交する方向に並列に配置される2つのセンサ素子と、前記センサ素子にバイアス磁界を印加するバイアス用磁石とを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁界測定装置。
  4. 前記磁界センサは磁気インピーダンスセンサであることを特徴とする請求項3に記載の磁界測定装置。
  5. 移動している前記容器と前記バイアス用磁石との間には、磁気シールド手段が配置されることを特徴とする請求項3または4に記載の磁界測定装置。
  6. 前記移動機構は、前記容器の底面が前記センサ素子の一方の直上を通過させ、他方の直上を通過しないように、前記容器を移動させることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の磁界測定装置。
  7. 前記容器に収容される試料を直流磁界により着磁させる着磁用磁石を備え、前記着磁用磁石は、前記容器が回転すると取り外されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の磁界測定装置。
  8. 磁気的免疫検査により被測定物を検出するための磁界測定方法であって、
    磁性物質と該磁性物質と結合可能な前記被測定物とを含む試料を直流磁界により着磁させる工程と、
    前記試料を収容する容器を複数回移動させる工程と、
    前記容器の移動周期に同期して移動毎に磁界方向が反転して切り替わる磁界を、移動している前記容器に収容される試料に印加する工程と、
    移動している前記容器に収容される試料から放出される磁界に対応する信号を検出する工程とを備えることを特徴とする磁界測定方法。
  9. 複数回の移動における隣接する2回の移動で検出される前記信号の差分値に基づいて前記被測定物の量を判定する工程とを備えることを特徴とする請求項8に記載の磁界測定方法。
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