JP2018193338A - イソシアネート基含有有機ケイ素化合物およびその製造方法 - Google Patents

イソシアネート基含有有機ケイ素化合物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 初期リワーク性と、高温または高温多湿下での高接着力とを両立可能なイソシアネート基含有有機ケイ素化合物、およびその簡便かつ汎用性に富む製造方法をを提供すること。【解決手段】 下記一般式(1)で示されるイソシアネート基含有有機ケイ素化合物。(式中、Xは、炭素数1〜4の一価炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜6の一価炭化水素基を表し、Aは、ヘテロ元素を含むまたはカルボニル基を含む、炭素数15〜30の3〜6価炭化水素基を表し、Bは、互いに独立して、エステル基を介してもよい炭素数2〜10の二価炭化水素基を表し、nは、1〜3の整数を表し、pは1以上、qは2以上、かつ、p+qは3〜6の整数を表す。)【選択図】 なし

Description

本発明は、イソシアネート基含有有機ケイ素化合物およびその製造方法に関し、さらに詳述すると、一分子中にイソシアネート基を複数有し、かつ、イソシアネート基と加水分解性シリル基の連結鎖に硫黄原子が必ず含まれるイソシアネート基含有有機ケイ素化合物およびその製造方法に関する。
シランカップリング剤は、分子中に2つ以上の異なる官能基を有し、通常では結合させにくい有機質材料と無機質材料とを連結させる仲介役として作用している。官能基の一方は加水分解性シリル基であり、水の存在によりシラノール基を生成し、このシラノール基が無機材質表面の水酸基と反応することで、無機材質表面と化学結合を形成する。また、他方の官能基は、各種合成樹脂のような有機質材料と化学結合を形成するビニル基、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリル基、メルカプト基、イソシアネート基等の有機反応基である。このような特性を用いて、有機・無機樹脂の改質剤、接着助剤、各種添加剤等として幅広く用いられている。
シランカップリング剤の中でも、特にイソシアネート基を有するものは、水酸基、1級および2級アミノ基、カルボキシ基等の活性水素含有基との反応性に優れるため、接着向上剤や、有機ポリマーへ加水分解性シリル基を導入するといった樹脂改質剤として有用である。
イソシアネート基を有する有機ケイ素化合物を効率的かつ工業的に製造する方法はいくつか提案されており、一般的にはアミンとホスゲンの反応(特許文献1〜3等)、またはカルバメートの熱分解による製法(特許文献4〜7)が挙げられる。
前者の手法は、ホスゲンの毒性の観点から取り扱いが困難であるうえ、発生する塩酸塩の捕捉、除去等で生産性という点でも課題がいまだ残されている。
後者の手法は、ホスゲン法に比べ毒性も少なく、副生物も少ないことから小中規模のイソシアネート製造として主流となっているが、高温で発生するアルコールを効率よく除去する製造装置を導入する必要があり、工業的な点から課題が残されている。
ところで、シランカップリング剤の一般的な合成法としては、ヒドロシランとオレフィン化合物のヒドロシリル化反応による手法が公知である。
この方法をイソシアネートシランに適用することを考えた場合、ヒドロシランと重合性基含有イソシアネートによるヒドロシリル化が挙げられるが、重合性基含有イソシアネートの工業品として代表的なアリルイソシアネートは高い毒性を有するうえに、窒素含有化合物であってヒドロシリル化反応触媒である白金錯体の触媒毒となることから、この反応は現実的ではない。
また、工業的に入手容易なジイソシアネート化合物1モルとアミノシランやメルカプトシランといった活性水素含有基を有する有機ケイ素化合物1モルを反応させることでも未反応イソシアネート基が残存した有機ケイ素化合物が得られる。しかし、この場合イソシアネートと活性水素含有基の反応性に選択性が無いことから、原料のジイソシアネートが残存するケースがあるのみならず、反応により生成する尿素結合、チオウレタン結合のNH構造と残存イソシアネートが反応するといった副反応が生じることから、目的物を単一物として得ることが難しく、得られる反応物も安定性確保に課題が残る。
このようにイソシアネート基を有するシランカップリング剤は工業的に製法が限定されている中で、一分子中に複数のイソシアネート基を有するシランカップリング剤は有機樹脂との反応点が多く、高いカップリング特性を示すと期待されている。
同様のコンセプトで開発された有用なシランカップリング剤としては、アミノシラン(特許文献8)、エポキシシラン(特許文献9,10)、(メタ)アクリルシラン(特許文献11)等が知られている。
なお、上記特許文献10のシランカップリング剤は、加水分解シリル基とエポキシ基の連結鎖に硫黄原子を有する構造であるが、その製造時にジアザビシクロウンデカンといった強塩基性アミン化合物を使用しているため、イソシアネート構造基を導入しようとする際にはイソシアネートとメルカプトの反応が同時に進行してしまうため不適である。
ところで、粘着剤の接着性改質剤としての用途もシランカップリング剤の代表的なものであり、例えば、液晶セルと光学フィルムを貼り付ける際の粘着剤は、液晶表示装置(LCD)のサイズの大型化、ワイド化に伴い、求められている接着性能が高度なものとなっている。LCDの場合、20インチ以上の大型化が困難であるといった当初の予想とは異なり、急速な大型化が進んでいる。主要メーカーは、これまで20インチ以下の小型パネルの生産を主力としてきたが、近年の流れを受けて最新技術を積極的に導入し、製品範囲を20インチ以上の大型サイズへと展開している。
このように、諸般の光学フィルムにおいて、液晶表示板の製造時に使用されるガラスは大型化される趨勢である。ところが、初期貼り付け時に不良製品が発生して、液晶セルから光学用フィルムを除去し、液晶セルを洗浄した後に再使用する場合、従来の高粘着力を有する粘着剤を使用すると、その強い接着力のため、光学フィルムの再剥離が困難であるだけでなく、高価な液晶セルを破壊する可能性が大きいため、結果的に生産コストを大幅に上げてしまうという問題がある。
したがって、LCDの大型化に伴い、接着性、リワーク性等の諸粘着性能を両立する高機能性粘着剤を開発しようとする試みが継続している。例えば、特許文献12,13では、高温多湿の環境下における耐久性に優れた偏光板を提供する目的で、エポキシシラン、イソシアネートシランを含有するアクリル系粘着剤組成物が提案されている。
また、特許文献14〜16では、初期接着力は低く、リワーク性に優れ、貼り付け後は高温多湿下で接着力が増強され、長期的に耐久性に優れる粘着剤として、ポリエーテル末端にアルコキシシリル基を有する有機ケイ素化合物を含むアクリル系粘着剤が提案されている。
このようなシラン化合物を用いることで、基板と偏光板は、実際使用される環境で要求される程度の適切な接着強度を保持することができ、接着強度は加熱等によって過度に高くならず、液晶素子に損傷を与えることなく、容易に偏光板を剥離することができるとされている。
さらに近年の技術動向としては、タッチセンサーLCDの普及に伴い、粘着剤層とインジウムスズオキサイド(ITO)に代表される透明電極層が直接接触するような設計が主流となってきている。このような製品設計において、粘着剤として主流であったカルボン酸基含有型アクリルポリマーベースを使用した場合、ITOの腐食が懸念されるため、代替にOH基含有型のアクリルポリマーをベースとした粘着剤組成に技術変遷している。
しかしながら、このような酸フリーのベースポリマー組成の粘着剤においては、従来の粘着剤で有効であったシランカップリング剤では効果が限定的であり、同水準以上の性能を発現するに寄与するシランカップリング剤は見つかっていなかった。
以上のように、イソシアネート基含有の有機ケイ素化合物は、簡便かつ汎用性に富む製法が望まれており、またシランカップリング剤としての用途においては、初期のリワーク性および高温多湿下における高い接着強度を保持するバランスの取れた酸フリーベースポリマー型粘着剤の開発が望まれている。
特公平5−8713号公報 特公平5−8714号公報 特許第3806459号公報 特開平10−1486号公報 特許第2686420号公報 特許第2963309号公報 特許第4778844号公報 特許第5051354号公報 特許第5170414号公報 国際公開第2012/070637号 特許第3164431号公報 特許第3022993号公報 特許第5595034号公報 特開2011−219765号公報 特許第4840888号公報 国際公開第2010/26995号
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、初期リワーク性と、高温または高温多湿下での高接着力とを両立可能なイソシアネート基含有有機ケイ素化合物、およびその簡便かつ汎用性に富む製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、一分子中に複数のメルカプト基を有する化合物に対して重合性基を有する有機ケイ素化合物と重合性基を有するイソシアネート化合物をエン−チオール付加反応により共変性することで、一分子中に複数のイソシアネート基を有する有機ケイ素化合物が得られることを見出すとともに、当該化合物が、樹脂との相溶性および水酸基を有するマトリックス樹脂との結合力、相互作用に優れ、初期リワーク性と高温または高温多湿下での高接着力とを両立可能な粘着剤として好適な性質を有していることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. 下記一般式(1)で示されることを特徴とするイソシアネート基含有有機ケイ素化合物、
Figure 2018193338
(式中、Xは、炭素数1〜4の一価炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜6の一価炭化水素基を表し、Aは、ヘテロ元素を含むまたはカルボニル基を含む、炭素数15〜30の3〜6価炭化水素基を表し、Bは、互いに独立して、エステル基を介してもよい炭素数2〜10の二価炭化水素基を表し、nは、1〜3の整数を表し、pは1以上、qは2以上、かつ、p+qは3〜6の整数を表す。)
2. 下記一般式(2)で示される1のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物、
Figure 2018193338
(式中、X、R、A、p、qおよびnは、前記と同義であり、R1は、水素原子またはメチル基を表し、mは、1〜3の整数を表す。)
3. 下記一般式(3)で示される1のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物、
Figure 2018193338
(式中、X、R、R1、A、p、qおよびnは、前記と同義であり、lは、1〜12の整数を表す。)
4. 前記R1が、水素原子である2または3のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物、
5. Aが、下記一般式(4)〜(7)で表されるいずれかの基である1〜4のいずれかのイソシアネート基含有有機ケイ素化合物、
Figure 2018193338
6. 下記一般式(8)
Figure 2018193338
(式中、Aは、前記と同義であり、rはAの価数を表す。)
で示されるメルカプト基含有有機化合物と、下記一般式(9)
Figure 2018193338
(式中、Zは、エステル基を介してもよい、不飽和二重結合を含む炭素数2〜10の一価炭化水素基を表す。)
で示される不飽和二重結合含有イソシアネート化合物、および下記一般式(10)
Figure 2018193338
(式中、X、R、Z、nは、前記と同義である。)
で示される不飽和二重結合含有有機ケイ素化合物を、ラジカル発生剤の存在下でエン−チオール付加反応させる1のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物の製造方法、
7. 1〜5のいずれかのイソシアネート基含有有機ケイ素化合物を含む接着剤、
8. (A)アルコール性水酸基含有アクリル系ポリマー:100質量部
(B)1〜5のいずれかのイソシアネート基含有有機ケイ素化合物:0.001〜10質量部、および
(C)多官能架橋剤:0.01〜10質量部
を含有する粘着剤、
9. 1〜5のいずれかのイソシアネート基含有有機ケイ素化合物を含むコーティング剤、
10. 9のコーティング剤で被覆または表面処理されてなる物品、
11. 9のコーティング剤で、その表面が被覆または処理されたガラス繊維製品であって、ガラスクロス、ガラステープ、ガラスマットおよびガラスペーパーから選ばれるガラス繊維製品、
12. 9のコーティング剤で、その表面が被覆または処理された無機フィラー、
13. 9のコーティング剤で、その表面が被覆または処理されたセラミック、
14. 9のコーティング剤で、その表面が被覆または処理された金属、
15. 偏光フィルムと、この偏光フィルムの片面または両面に8の粘着剤から形成される粘着剤層とを有する粘着偏光板、
16. 一対のガラス基板間に液晶が封入された液晶セルと、この液晶セルの片面または両面に貼着された15の粘着偏光板とを有する液晶パネルを備える液晶表示装置
を提供する。
本発明のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物は、イソシアネート基と加水分解性シリル基の連結鎖に硫黄原子が必ず含まれた特定の連結構造を含んでいることから、既存技術にて使用されるシランカップリング剤と比較して疎水性が増加し、有機部分の占める割合が多くなるうえ、有機樹脂との結合点となるイソシアネート基を複数有するため高反応性となる結果、樹脂との相溶性が向上し、水酸基を有するマトリックス樹脂との結合力、相互作用に優れるため、マトリックス樹脂を含む粘着剤と基材との接着性を飛躍的に向上し得る。
このような特性を有する本発明のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物を接着改質剤の必須成分として配合することにより、貼り付ける際に初期接着力が低くてリワーク性に優れ、貼り付けた後に高温または高温多湿処理を経た後は被接着体との接着力が増加し、長期的耐久性に優れた粘着剤層を与え、しかも、ITO等の易腐食性被接着体を腐食させることがないという利点を有している。
したがって、本発明のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物は、接着剤、粘着剤、無機フィラー,セラミック,金属,ガラス繊維等の表面処理に供されるコーティング剤等の一成分として有用であり、また、液晶表示装置に使用される粘着偏光板の粘着層として有用である。
また、本発明のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物の製造方法は、入手容易な既存の工業原料を使用しながら、これまで知られているイソシアネートシランの製法よりも簡便、かつ、生産性に優れたものである。
実施例1で得られた化合物(15)のIRスペクトルである。 実施例1で得られた化合物(15)の1H−NMRスペクトルである。 実施例4で得られた化合物(18)のIRスペクトルである。 実施例4で得られた化合物(18)の1H−NMRスペクトルである。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係るイソシアネート基含有有機ケイ素化合物は、下記一般式(1)で示される。
Figure 2018193338
式(1)において、Xは、炭素数1〜4の一価炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜6の一価炭化水素基を表し、Aは、ヘテロ元素を含むまたはカルボニル基を含む、炭素数15〜30の3〜6価炭化水素基を表し、Bは、互いに独立して、エステル基を介してもよい炭素数2〜10の二価炭化水素基を表し、nは、1〜3の整数を表し、pは1以上、qは2以上、かつ、p+qは3〜6の整数を表す。
上記Xにおける炭素数1〜4の一価炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、ブチル基等のアルキル基が挙げられ、反応原料となる重合性基含有シランカップリング剤の入手性等を考慮すると、好ましくはメチル、エチル基である。
上記Rにおける炭素数1〜6の一価炭化水素基としては、鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル基等のアルキル基やフェニル基などが挙げられるが、反応原料となる重合性基含有シランカップリング剤の入手性等を考慮すると、好ましくはメチル基である。
上記Aにおけるヘテロ元素を含む炭素数15〜30の3〜6価炭化水素基、またはカルボニル基を含む炭素数15〜30の3〜6価炭化水素基の具体例としては、特に限定されるものではないが、後述する反応原料となるメルカプト基含有有機化合物の入手容易性を考慮すると、下記一般式(4)〜(7)で表されるいずれかの基が好ましい。
Figure 2018193338
上記Bにおけるエステル基を介してもよい炭素数2〜10の二価炭化水素基における炭素数2〜10の二価炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、その具体例としては、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デシレン基等のアルキレン基などが挙げられる。
また、エステル基を介する炭素数2〜10の二価炭化水素基の具体例としては、3−オン−4−オキサ−ヘキサン−1,6−ジイル、2−メチル−3−オン−4−オキサ−ヘキサン−1,6−ジイル、3−オン−4−オキサ−オクタン−1,8−ジイル、2−メチル−3−オン−4−オキサ−オクタン−1,8−ジイル、3−オン−4−オキサ−デカン−1,10−ジイル、2−メチル−3−オン−4−オキサ−デカン−1,10−ジイル基等が挙げられる。
これらの中でも、後述する反応原料となる不飽和炭化水素二重結合構造基含有のイソシアネート化合物および有機ケイ素化合物の入手が容易性を考慮すると、エチレン、トリメチレン、プロピレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、3−オン−4−オキサ−ヘキサン−1,6−ジイル、2−メチル−3−オン−4−オキサ−ヘキサン−1,6−ジイルが好ましく、エチレン、3−オン−4−オキサ−ヘキサン−1,6−ジイル、2−メチル−3−オン−4−オキサ−ヘキサン−1,6−ジイル基がより好ましい。
したがって、本発明のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物としては、式(2)または式(3)で示されるものが好ましく、特に、Aが、上記式(4)〜(7)で示されるいずれかの基で、下記R1が、水素原子のものがより好ましい。
Figure 2018193338
(式中、X、R、A、p、qおよびnは、上記と同義であり、R1は、水素原子またはメチル基を表し、mは、1〜3の整数を表し、lは、1〜12、好ましくは2〜10の整数を表す。)
上記各式において、pは1以上、qは2以上、かつ、p+qは3〜6の整数を表すが、qは3以上が好ましく、p+qは4以上が好ましい。
以上説明した本発明のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物は、下記一般式(8)で示されるメルカプト基含有有機化合物と、下記一般式(9)で示される不飽和二重結合含有イソシアネート化合物、および下記一般式(10)で示される不飽和二重結合含有有機ケイ素化合物を、ラジカル発生剤の存在下でエン−チオール付加反応させて得ることができる。
Figure 2018193338
(式中、A、X、R、Zおよびnは、上記と同義であり、rはAの価数を表し、Zは、エステル基を介してもよい、不飽和二重結合を含む炭素数2〜10の一価炭化水素基を表す。)
さらに詳述すると、下記のような反応式によってメルカプト基と炭素−炭素二重結合が付加反応してチオエーテル結合が形成されることで、加水分解性シリル基とイソシアネート構造を含むシランカップリング剤が得られる。
Figure 2018193338
上記式(8)におけるA、rは前述したとおりであり、その中でも式(8)で表されるメルカプト基含有有機化合物として入手の容易なものとしては、下記一般式(11)〜(14)で示される化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2018193338
上記式(9)で示される不飽和二重結合含有イソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、入手が容易であるという点から、アリルイソシアネート、2−イソシアナトエチルアクリラート、2−イソシアナトエチルメタクリラート等が好ましく、その中でも低毒性で取り扱いの容易な2−イソシアナトエチルアクリラート、2−イソシアナトエチルメタクリラートがより好ましく、エン−チオール反応性に富む2−イソシアナトエチルアクリラートがより一層好ましい。
上記式(10)で示される不飽和二重結合含有有機ケイ素化合物の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ヘキセニルメチルジメトキシシラン、ヘキセニルジメチルメトキシシラン、ヘキセニルトリエトキシシラン、ヘキセニルメチルジエトキシシラン、ヘキセニルジメチルエトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、オクテニルメチルジメトキシシラン、オクテニルジメチルメトキシシラン、オクテニルトリエトキシシラン、オクテニルメチルジエトキシシラン、オクテニルジメチルエトキシシラン、ノルボルネニルエチルトリメトキシシラン、ノルボルネニルエチルメチルジメトキシシラン、ノルボルネニルエチルジメチルメトキシシラン、ノルボルネニルエチルトリエトキシシラン、ノルボルネニルエチルメチルジエトキシシラン、ノルボルネニルエチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシオクチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシオクチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシオクチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシオクチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシオクチルジメチルエトキシシラン等が挙げられ、入手が容易であることから、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が好ましく、その中でも材料コストが低く、エン−チオール反応性に富むビニルトリメトキシシランがより好ましい。
上記式(8)で示されるメルカプト基含有有機化合物と、式(9)で示される不飽和二重結合含有イソシアネート化合物および式(10)で示される不飽和二重結合含有有機ケイ素化合物との反応割合は、不飽和炭化水素二重結合1モルに対し、メルカプト基が0.9〜1.1モルとなる割合が好ましく、特に、0.95〜1.05モルとなる割合がより好ましい。
上記ラジカル発生剤としては、熱ラジカル発生剤、光ラジカル発生剤が挙げられるが、アゾ化合物や過酸化物などの熱ラジカル発生剤が好ましい。
熱ラジカル発生剤の具体例としては、ジアルキルパーオキサイド類(ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等)、ジアシルパーオキサイド類[ジアルカノイルパーオキサイド(ラウロイルパーオキサイド等)、ジアロイルパーオキサイド(ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルトルイルパーオキサイド、トルイルパーオキサイド等)など]、過酸エステル類(過酢酸t−ブチル、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の過カルボン酸アルキルエステルなど)、ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類などの有機過酸化物;アゾニトリル化合物(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等)、アゾアミド化合物(2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等)、アゾアミジン化合物(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩等)、アゾアルカン化合物(2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等)、オキシム骨格を有するアゾ化合物(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)等)などのアゾ化合物などが挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
光ラジカル発生剤の具体例としては、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類など);アセトフェノン類(アセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−フェニル−2−ヒドロキシ−アセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等);プロピオフェノン類(p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等);ブチリルフェノン類(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン等);アミノアセトフェノン類(2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジエチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルフェニル)プロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ジメチルアミノ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−ジメチルアミノフェニル)−ブタン−1−オン等);ベンゾフェノン類(ベンゾフェノン、ベンジル、N,N’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のN,N’−ジアルキルアミノベンゾフェノンなど);ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等);チオキサンテン類(チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン等);アントラキノン類(2−エチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等);(チオ)キサントン類(チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等);アクリジン類(1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン等);トリアジン類(2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等);スルフィド類(ベンジルジフェニルサルファイド等);アシルフォスフィンオキサイド類(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等);チタノセン類;オキシムエステル類などが挙げられ、これらのは、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ラジカル発生剤の使用量は、メルカプト基含有有機化合物と不飽和炭化水素二重結合構造基含有のイソシアネート化合物および不飽和炭化水素二重結合構造基含有有機ケイ素化合物の総量100質量部に対して、0.01〜15質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
反応温度は特に限定されるものではないが、反応速度を適度に保ちつつ、オレフィン化合同士の重合等の副反応を抑制することを考慮すると、25〜120℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。
反応時間は特に限定されるものではないが、通常10分〜24時間である。
上記反応における反応基質の添加順序は、特に限定されるものではないが、不飽和二重結合含有化合物の単独重合等の副反応を抑制し、目的物を効率よく得ることを考慮すると、式(8)で示されるメルカプト基含有有機化合物とラジカル発生剤の存在下に、式(9)および(10)で示される不飽和二重結合基含有化合物を滴下して反応させることが好ましい。
また、上記反応には、メルカプト基、イソシアネート基および不飽和炭素−炭素二重結合と反応しない溶媒を用いることができる。
そのような溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、ラクトン等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒などが挙げられるが、中でも工業的に入手が容易なトルエン、キシレンが好ましい。
本発明のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物をコーティング剤、プライマーとして使用する場合には、必要に応じて溶剤を含有してもよい。
この場合、イソシアネート基含有有機ケイ素化合物の含有量はコーティング剤またはプライマー全体の0.1〜90質量%が好ましく、特に1〜50質量%がより好ましい。なお、残部は上記任意成分としての溶剤である。
溶剤としては、上述した反応溶媒と同様のものが使用できる。
本発明のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物を含むコーティング剤またはプライマーで被覆または処理する基材としては、一般に加水分解性シリル基と反応し結合を形成する無機材質、イソシアネート基と反応して結合する有機樹脂であれば制限なく適用可能であり、基材の形状については特に限定されない。
代表的な無機材質としては、例えば、シリカ等の無機フィラー;ガラスクロス、ガラステープ、ガラスマット、ガラスペーパー等のガラス繊維製品;セラミック;金属基材等が挙げられる。
また、代表的な有機樹脂としては、例えば、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、水酸基含有アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
また、本発明の粘着剤は、下記(A)〜(C)成分を含むものである。
(A)アルコール性水酸基含有アクリル系ポリマー((メタ)アクリル系共重合体):100質量部
(B)上記イソシアネート基含有有機ケイ素化合物:0.001〜10質量部、好ましくは、0.01〜1質量部
(C)多官能架橋剤:0.01〜10質量部、好ましくは、0.05〜5質量部
このように(A)アルコール性水酸基含有アクリル系ポリマー100質量部に対し、(B)イソシアネート基含有有機ケイ素化合物を0.001〜10質量部配合することで、所望の接着性改質効果を付与しつつ、初期の密着性向上効果を抑制することができ、また、添加によるコストの増大をも抑えることができる。
また、(A)成分100質量部に対して(C)多官能架橋剤を0.01〜10質量部配合することで、所望の接着性改質効果を付与しつつ、凝集を防止して、粘着剤シート等への成形が容易になる。
本発明の粘着剤は、連結鎖に硫黄原子を含むイソシアネート基を有するシランカップリング剤を含む(メタ)アクリル系粘着剤であって、ガラス、ITO等に貼り付け時に初期接着力は低いため、リワーク性に優れ、貼り付け後の湿熱処理後の接着力が十分に高いものとなり長期耐久性に優れる。
上記(A)成分のアルコール性水酸基含有アクリル系ポリマーとしては、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリルモノマーと(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとの共重合体が挙げられ、公知の共重合手順を用いて製造できる。
アルコール性水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては一般工業品として入手可能なものでよく、その具体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルも同様に一般工業品として入手可能なものでよく、その具体例としては、アルキル基がメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のものが挙げられる。
上記共重合体中の全モノマー単位に対するアルコール性水酸基含有(メタ)アクリルモノマー単位の含有割合は、所望の粘着性を付与するとともに、粘度上昇や凝集を抑制してシート等への成形性を良好にすることを考慮すると、0.1〜50モル%の範囲が好ましく、1〜20モル%がより好ましい。
上記(C)成分の多官能架橋剤は、カルボキシル基や、水酸基等と反応することで粘着剤の凝集力を高める役割をする。
多官能架橋剤は、イソシアネート系、エポキシ系、アジリジン系、金属キレート系架橋剤等を使用できるが、その中でもイソシアネート系架橋剤が使用に適している。
イソシアネート系架橋剤の具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォルムジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、これらとトリメチロールプロパン等のポリオールとの反応物(トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート付加物等)などが挙げられる。
エポキシ系架橋剤の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジルエチレンジアミン、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトール系ポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
アジリジン系架橋剤の具体例としては、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
金属キレート系架橋剤の具体例としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウム、バナジウム等の多価金属が、アセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルに配位した化合物などが挙げられる。
本発明の粘着剤の製造方法は特に限定されず、上記(A)〜(C)成分を通常の方法で混合して得られる。
混合条件は、特に限定されるものではないが、10〜150℃で10分〜10時間が好ましい。
この場合、上記イソシアネート基含有有機ケイ素化合物は、(メタ)アクリル系共重合体の重合の後、配合工程で添加して使用することができ、(メタ)アクリル系共重合体の製造工程中に添加しても同一な効果を示す。
また、多官能架橋剤は、粘着剤組成物を硬化させて得られる粘着剤層形成のために実施する配合過程において、架橋剤の官能基架橋反応が殆ど生じない場合に均一なコーティングが可能となる。コーティングした後に乾燥および熟成過程を経ると架橋構造が形成されて、弾性があり、凝集力の強い粘着剤層が得られる。
このようにして得られた粘着剤は、ガラス板、プラスチックフィルム、紙等の被接着体に塗布し、25〜150℃、20〜90%RHで5分〜5時間、特に40〜80℃、25〜60%RHで10分〜3時間硬化させることで粘着剤層を形成することができる。
また、本発明の粘着剤を偏光フィルムまたは偏光素子の片面または両面に塗布・硬化させて粘着剤層を形成することで、偏光フィルムまたは偏光素子とこの偏光フィルムまたは偏光素子の片面または両面に上記粘着剤から形成される粘着剤層とを有する粘着偏光板が得られる。
偏光板を構成する偏光フィルムまたは偏光素子については特に限定されない。偏光フィルムの例を挙げると、ポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムにヨウ素または異色性染料等の偏光成分を含有させて延伸することによって得られるフィルム等が挙げられる。
これらの偏光フィルム等の厚さは限定されず、通常の厚さに成形することができる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルフォルマール、ポリビニルアセタールおよびエチレン・酢酸ビニル共重合体の鹸化物等が使用される。
偏光フィルムに粘着剤層を形成する方法には特に制限はなく、偏光フィルムの表面に直接バーコーター等を使用して上記粘着剤を塗布して乾燥させる方法、上記粘着剤を一旦剥離性基材表面に塗布して乾燥させた後、この剥離性基材表面に形成された粘着剤層を偏光フィルム表面に転写し、次いで熟成させる方法等を採用することができる。この場合、乾燥は25〜150℃、20〜90%RHで5分〜5時間が好ましく、熟成は25〜150℃、20〜90%RHで5分〜5時間が好ましい。
粘着剤層の厚さは特に制限されないが、粘着剤層としての効果を十分に発揮させるとともに、コスト増大を抑制することを考慮すると、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましい。
このようにして得られた粘着剤層を有する偏光フィルム(粘着偏光板)には、保護層、反射層、位相差板、光視野角補償フィルム、輝度向上フィルム等の追加機能を提供する層を1種以上積層することができる。
例えば、粘着剤層を有する偏光フィルムの両面に、トリアセチルセルロース等のセルロース系フィルム;ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム;ポリエーテルスルホン系フィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合体のようなポリオレフィン系フィルムなどの保護フィルムが積層された多層フィルム等を形成することができる。
この際、これら保護フィルムの厚さも特に限定されず通常の厚さに成形することができる。
上記粘着偏光板は、特に、通常の液晶表示装置全般に応用可能であり、その液晶パネルの種類は特に限られない。
特に、本発明の粘着偏光板を、一対のガラス基板間に液晶が封入された液晶セルの片面または両面に貼合した液晶パネルを含めて液晶表示装置を構成することが好ましい。
さらに、本発明の粘着剤は、上記した偏光フィルム以外に、産業用シート、特に反射シート、構造用粘着シート、写真用粘着シート、車線表示用粘着シート、光学用粘着製品、電子部品用等、用途に限らず使用できる。
また、多層構造のラミネート製品、つまり一般商業用粘着シート製品、医療用パッチ、加熱活性用等、作用概念が同一である応用分野にも適用することができる。
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例で使用した装置は以下のとおりである。また、比重、屈折率は、25℃において測定した値である。
IR:Thermo sientific製NICOLET6700
1H−NMR:Bruker製AVANCE400M
GPC:東ソー製HLC−8220GPC
粘度(25℃):毛細管式動粘度計
[1]試験用ポリマーの合成
[合成例1]接着性試験用ポリウレタンエラストマーの合成
数平均分子量1,000のポリオキシテトラメチレングリコール150質量部、1,6−キシレングリコール100質量部、水0.5質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート200質量部およびジメチルホルムアミド800質量部を撹拌しつつ混合して90℃に加熱し、そのまま2時間撹拌して反応させた後、ジブチルアミンを3質量部添加して反応を停止させ、次いで過剰量のアミンを無水酢酸で中和してポリウレタンエラストマーを得た。
[合成例2]粘着剤試験用アクリル系ポリマーの合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、n−ブチルアクリレート(BA)98.1g、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4−HBA)0.6g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)1.3gを納め、溶剤として酢酸エチル100gを仕込み、溶解させた。その後、酸素を除去するために窒素ガスバブリングを1時間行い、反応系中を窒素置換して62℃に保持した。この中に、撹拌しながら重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを0.03g投入し、62℃で8時間反応させてアクリル系ポリマー(ベースポリマー)である(メタ)アクリル系共重合体を得た。
[2]イソシアネート基含有有機ケイ素化合物の製造
[実施例1]化合物(15)の製造
Figure 2018193338
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、下記式(12)で表されるメルカプト基含有有機化合物488g(1モル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)2gを仕込み、90℃に加熱した。その中にアクリロキシエチルイソシアネート423g(3モル)を滴下した。反応により発熱が生じ、内温が95℃を超えないように滴下速度を調整した。滴下終了後、続いてビニルトリメトキシシラン148g(1モル)を滴下した。反応により発熱が生じ、内温が95℃を超えないように滴下速度を調整した。90℃にて1時間加熱撹拌し、ガスクロマトグラフィー(GC)測定により原料のビニルトリメトキシシラン由来のピークが消失したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄色液体、粘度909.9mm2/s、比重1.28、屈折率1.508であり、この反応物について1H−NMRを測定したところ、式(15)で表されるイソシアネート基含有有機ケイ素化合物であった。化合物(15)のIRスペクトル、1H−NMRスペクトルを図1および2に示す。
Figure 2018193338
[実施例2]化合物(16)の製造
Figure 2018193338
実施例1で使用したメルカプト基含有有機化合物488g(1モル)に対し、反応原料であるアクリロキシエチルイソシアネート282g(2モル)、ビニルトリメトキシシラン296g(2モル)と反応比を変更した以外は、実施例1と同様にしてイソシアネート基含有有機ケイ素化合物を得た。この反応物について1H−NMRを測定したところ、式(16)で表されるイソシアネート基含有有機ケイ素化合物であった。
[実施例3]化合物(17)の製造
Figure 2018193338
実施例1で使用したビニルトリメトキシシランを7−オクテニルトリメトキシシランに変更した以外は、実施例1と同様にしてイソシアネート基含有有機ケイ素化合物を得た。この反応物について1H−NMRを測定したところ、式(17)で表されるイソシアネート基含有有機ケイ素化合物であった。
[実施例4]化合物(18)の製造
Figure 2018193338
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、下記式(13)で表されるメルカプト基含有有機化合物783g(1モル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)3gを仕込み、90℃に加熱した。その中にアクリロキシエチルイソシアネート705g(5モル)を滴下した。反応により発熱が生じ、内温が95℃を超えないように滴下速度を調整した。滴下終了後、続いてビニルトリメトキシシラン148g(1モル)を滴下した。反応により発熱が生じ、内温が95℃を超えないように滴下速度を調整した。90℃にて1時間加熱撹拌し、GC測定により原料のビニルトリメトキシシラン由来のピークが消失したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄色液体、粘度5,252.3mm2/s、比重1.29、屈折率1.514であり、この反応物について1H−NMRを測定したところ、式(18)で表されるイソシアネート基含有有機ケイ素化合物であった。化合物(18)のIRスペクトル、1H−NMRスペクトルを図3および4に示す。
Figure 2018193338
[実施例5]化合物(19)の製造
Figure 2018193338
実施例4で使用したメルカプト基含有有機化合物783g(1モル)に対し、反応原料であるアクリロキシエチルイソシアネート564g(4モル)、ビニルトリメトキシシラン296g(2モル)と反応比を変更した以外は、実施例4と同様にしてイソシアネート基含有有機ケイ素化合物を得た。この反応物について1H−NMRを測定したところ、式(19)で表されるイソシアネート基含有有機ケイ素化合物であった。
[実施例6]化合物(20)の製造
Figure 2018193338
実施例4で使用したメルカプト基含有有機化合物783g(1モル)に対し、反応原料であるアクリロキシエチルイソシアネート282g(2モル)、ビニルトリメトキシシラン592g(4モル)と反応比を変更した以外は、実施例4と同様にしてイソシアネート基含有有機ケイ素化合物を得た。この反応物について1H−NMRを測定したところ、式(20)で表されるイソシアネート基含有有機ケイ素化合物であった。
[実施例7]化合物(21)の製造
Figure 2018193338
実施例4で使用したビニルトリメトキシシランを7−オクテニルトリメトキシシランに変更した以外は、実施例4と同様にしてイソシアネート基含有有機ケイ素化合物を得た。この反応物について1H−NMRを測定したところ、式(21)で表されるイソシアネート基含有有機ケイ素化合物であった。
[実施例8]化合物(22)の製造
Figure 2018193338
撹拌機、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、下記式(14)で表されるメルカプト基含有有機化合物525g(1モル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)2gを仕込み、90℃に加熱した。その中にアクリロキシエチルイソシアネート282g(2モル)を滴下した。反応により発熱が生じ、内温が95℃を超えないように滴下速度を調整した。滴下終了後、続いてビニルトリメトキシシラン148g(1モル)を滴下した。反応により発熱が生じ、内温が95℃を超えないように滴下速度を調整した。90℃にて1時間加熱撹拌し、GC測定により原料のビニルトリメトキシシラン由来のピークが消失したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄色液体、粘度744.1mm2/s、比重1.29、屈折率1.522であり、この反応物について1H−NMRを測定したところ、式(22)で表されるイソシアネート基含有有機ケイ素化合物であった。
Figure 2018193338
〔プライマーの接着試験〕
ガラス板に対し、上記実施例1〜8で得られた有機ケイ素化合物、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(比較例1)および下式(23)の一分子中にイソシアネート基を1つ含有し、加水分解性シリル基との連結鎖に硫黄原子を含むシランカップリング剤(比較例2)を、それぞれ10質量%含むトルエン溶液をプライマーとして刷毛で塗布し、80℃で5分間乾燥した後、室温(23℃)まで冷却し、さらに合成例1で得られたポリウレタンエラストマーを刷毛で塗布して、100℃で10分間乾燥した。次いで、得られた塗膜に1mm間隔で縦横に切れ目を入れて100個の碁盤目を形成させた後、セロハンテープで圧着してから剥離させて、剥離した碁盤目の数からプライマーのウレタン樹脂および無機基材との接着性を評価した。結果を表1に示す。なお、表1には、プライマー未塗布の例も併せて示す。
Figure 2018193338
Figure 2018193338
表1に示されるように、実施例1〜8で得られた有機ケイ素化合物を含むプライマーに関しては、いずれの基材の場合にも剥離した碁盤目はまったく無く、極めて接着性能が良好であることがわかる。
[3]粘着剤の調製および評価
[実施例9〜16,比較例3〜7]
合成例2で得られた(A)アクリル系ポリマー:(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、(B)接着性改質剤:実施例1〜8で得られたシランカップリング剤または比較例1〜2の有機ケイ素化合物、(C)架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート付加物(TDI)を、表2,3に示す配合組成でそれぞれ混合し、粘着剤組成物を調製した。
Figure 2018193338
Figure 2018193338
得られた粘着剤を離型紙にコーティングして乾燥し、25μmの均一な粘着剤層を作製した。この粘着剤層を、厚さ185μmのヨード系偏光板に粘着加工した後、得られた偏光板を適切な大きさに切断し、各評価に使用した。
製造した偏光板のテストピースについては、以下に示す評価試験方法を通じて耐久信頼性、ガラス接着力、リワーク性、耐熱および耐湿熱条件での接着力の変化について評価した。結果を表4に示す。
(1)耐久信頼性
粘着剤がコーティングされた偏光板(90mm×170mm)をガラス基板(110mm×190mm×0.7mm)に両面で光学吸収軸がクロスされた状態で貼り付けた。この際、加えた圧力は約5kgf/cm3であり、気泡や異物が生じないようにクリーンルームにて作業を行った。
この試験片の耐湿耐熱特性を評価するために、60℃/90%RHの条件下で1,000時間放置した後、気泡や剥離の生成の有無を確認した。耐熱特性は、80℃/30%RHで1,000時間放置した後、気泡や剥離の様子を観察した。なお、試験片の状態を評価する前に、室温(23℃/60%RH)で24時間静置している。
耐久性評価についての評価基準は以下の通りである。
○:気泡や剥離現象無し
△:気泡や剥離現象僅かにあり
×:気泡や剥離現象多数有り
(2)ガラス接着力
粘着剤がコーティングされた偏光板を、室温(23℃/60%RH)において7日間熟成させた後、該偏光板をそれぞれ1インチ×6インチサイズに切断し、2kgのゴムローラーを使用して0.7mm厚の無アルカリガラスに貼り付けた。室温で1時間保管後、初期接着力を測定し、次いで50℃で4時間エージングさせ、その後室温で1時間保管後、接着力を測定した。
(3)リワーク性
粘着剤がコーティングされた偏光板(90mm×170mm)をガラス基板(110mm×190mm×0.7mm)に貼り付けた後、室温(23℃/60%RH)で1時間放置後、50℃×4時間エージングし、更に室温で1時間放冷した後、偏光板をガラスから剥離した。
偏光板やガラス板を破壊せず、粘着材をガラス表面に残さずに剥離可能か否かを基準とし、以下の通り評価した。
○:容易に再剥離可能
△:再剥離は若干困難(粘着剤がガラス表面に残存)
×:剥離不能(ガラスまたは偏光板が破損)
Figure 2018193338
表4に示されるように、実施例9〜16で調製した粘着剤は、初期リワーク性に優れ、高温および高温多湿処理することで十分なガラスとの接着力を発現し、長期的耐久性に優れていることがわかる。
これに対し、比較例3は接着性改質剤を含有しないため、熱キュア後に十分な接着性が発現しないことがわかる。
比較例4は既存技術であるイソシアネートプロピル基含有シランカップリング剤を使用しているが、この化合物のイソシアネート基−シリル連結鎖がプロピレン基であり、分子全体の疎水性が低いことから初期接着力のリワーク性が発現するものの、樹脂とのなじみが相対的に不十分であるためキュア後の最終密着強度が不十分であることがわかる。
比較例5はイソシアネート基−シリル基の連結鎖に硫黄原子を有する本発明の類似構造を持ったシランカップリング剤であるが、一分子中のイソシアネート基が一個であるため反応点が少なく、50℃4時間後の密着強度が不足する他、耐久信頼性も不十分であることがわかる。
比較例6は使用する(B)成分が少なすぎるため効果が不十分であり、一方、比較例6は(B)成分の使用量が多すぎるため初期から過剰な密着性が発現しリワーク性不十分となっていることがわかる。

Claims (16)

  1. 下記一般式(1)で示されることを特徴とするイソシアネート基含有有機ケイ素化合物。
    Figure 2018193338
    (式中、Xは、炭素数1〜4の一価炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜6の一価炭化水素基を表し、Aは、ヘテロ元素を含むまたはカルボニル基を含む、炭素数15〜30の3〜6価炭化水素基を表し、Bは、互いに独立して、エステル基を介してもよい炭素数2〜10の二価炭化水素基を表し、nは、1〜3の整数を表し、pは1以上、qは2以上、かつ、p+qは3〜6の整数を表す。)
  2. 下記一般式(2)で示される請求項1記載のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物。
    Figure 2018193338
    (式中、X、R、A、p、qおよびnは、前記と同義であり、R1は、水素原子またはメチル基を表し、mは、1〜3の整数を表す。)
  3. 下記一般式(3)で示される請求項1記載のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物。
    Figure 2018193338
    (式中、X、R、R1、A、p、qおよびnは、前記と同義であり、lは、1〜12の整数を表す。)
  4. 前記R1が、水素原子である請求項2または3記載のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物。
  5. Aが、下記一般式(4)〜(7)で表されるいずれかの基である請求項1〜4のいずれか1項記載のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物。
    Figure 2018193338
  6. 下記一般式(8)
    Figure 2018193338
    (式中、Aは、前記と同義であり、rはAの価数を表す。)
    で示されるメルカプト基含有有機化合物と、下記一般式(9)
    Figure 2018193338
    (式中、Zは、エステル基を介してもよい、不飽和二重結合を含む炭素数2〜10の一価炭化水素基を表す。)
    で示される不飽和二重結合含有イソシアネート化合物、および下記一般式(10)
    Figure 2018193338
    (式中、X、R、Z、nは、前記と同義である。)

    で示される不飽和二重結合含有有機ケイ素化合物を、ラジカル発生剤の存在下でエン−チオール付加反応させる請求項1記載のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項記載のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物を含む接着剤。
  8. (A)アルコール性水酸基含有アクリル系ポリマー:100質量部
    (B)請求項1〜5のいずれか1項記載のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物:0.001〜10質量部、および
    (C)多官能架橋剤:0.01〜10質量部
    を含有する粘着剤。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項記載のイソシアネート基含有有機ケイ素化合物を含むコーティング剤。
  10. 請求項9記載のコーティング剤で被覆または表面処理されてなる物品。
  11. 請求項9記載のコーティング剤で、その表面が被覆または処理されたガラス繊維製品であって、ガラスクロス、ガラステープ、ガラスマットおよびガラスペーパーから選ばれるガラス繊維製品。
  12. 請求項9記載のコーティング剤で、その表面が被覆または処理された無機フィラー。
  13. 請求項9記載のコーティング剤で、その表面が被覆または処理されたセラミック。
  14. 請求項9記載のコーティング剤で、その表面が被覆または処理された金属。
  15. 偏光フィルムと、この偏光フィルムの片面または両面に請求項8記載の粘着剤から形成される粘着剤層とを有する粘着偏光板。
  16. 一対のガラス基板間に液晶が封入された液晶セルと、この液晶セルの片面または両面に貼着された請求項15記載の粘着偏光板とを有する液晶パネルを備える液晶表示装置。
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