JP2018193287A - セラミックス格子体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度で且つ耐スポーリング性に優れたセラミックス製の格子体を提供すること。【解決手段】セラミックス格子体1は、複数の第1の線条部10と、複数の第2の線条部20と、複数の第3の線条部33とを有する。第1の線条部10と第2の線条部20は交差しており、第2の線条部20と第3の線条部33は交差している。第1の線条部10の直線部10Aを平面P上に載置したとき、第2の線条部20が、隣り合う2つの交差部2の間において平面Pから離間する形状をしている。第3の線条部33は、第1の線条部10の延びる方向と同方向に向けて延びている。第3の線条部33は、第1の線条部10の配置のピッチと半ピッチずれて配置されている。【選択図】図3

Description

本発明はセラミックス製の格子体に関する。
セラミックス製の電子部品やガラスを焼成するときには、被焼成物を棚板や敷板などとも呼ばれるセッター上に載置して焼成を行うことが一般的である。被焼成物の脱脂・焼成時間を短くして、単位時間当たりの製造個数を増加させるためには、焼成工程を急熱及び急冷することが必要であるところ、従来のセラミックス製セッターはこれを急熱及び/又は急冷すると、割れ等の欠陥が生じやすくなる。また、繰り返しの使用によっても割れ等の欠陥が生じやすくなる。また、金属製セッターを用いた場合には、酸化雰囲気では使用できないという問題や、1200℃以上の高温領域では、繰り返し使用すると、大きく変形するという問題が指摘されている。
セラミックス製セッターに関する従来の技術としては、例えば窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスより作られ、且つ表裏を貫通する多数の穴を持つ多孔板からなる加熱成型加工用セッターが知られている(特許文献1参照)。同文献によれば、セラミックスとして窒化アルミニウムを用いることで、その使用可能な最高温度がアルミナやマグネシアに代表される酸化物セラミックスに比べて高く、且つ熱伝導率も大きいので、急熱や急冷の熱ショックに対して抵抗力が大きくなるとされている。
特許文献2には、被焼成物を載置する表面側、及び裏面側に少なくとも凹凸形状が付与されているとともに、開口部が形成されているセラミック焼成用窯道具板が記載されている。同文献には、この窯道具板によれば、熱容量の低減化とコスト削減化を図ることができ、焼成物との接触面積が減少することで、ガスの抜けが良化し、更に雰囲気の均一化によって被焼成物が均一に製造できると記載されている。
特開平6−207785号公報 再表2009/110400号公報
しかし、前記の各特許文献に記載の技術を用いても、被焼成物の急速な加熱及び冷却を行うときに、セッターに割れ等が発生することを、満足できるレベルにまで防止することは容易でない。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得るセラミックス格子体を提供することにある。
本発明は、一方向に向けて延びるセラミックス製の複数の第1の線条部と、該第1の線条部と交差する方向に向けて延びるセラミックス製の複数の第2の線条部とを有するセラミックス格子体であって、
第1の線条部と第2の線条部との交差部は、いずれの該交差部においても、第1の線条部上に第2の線条部が配されており、
前記交差部において、第1の線条部は、その断面が、直線部と、該直線部の両端部を端部とする凸形の曲線部とから構成される形状を有しており、
前記交差部において、第2の線条部は、その断面が、円形又は楕円形の形状を有しており、
前記交差部の縦断面視において、第1の線条部と第2の線条部とは、第1の線条部における前記凸形の曲線部の頂部と、第2の線条部における前記円形又は楕円形における下向きに凸の頂部のみが接触している、セラミックス格子体を提供するものである。
本発明のセラミックス格子体は、高強度で且つ耐スポーリング性に優れたものである。
図1(a)は、本発明のセラミックス格子体の一実施形態を示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示すセラミックス格子体を反対側から見た斜視図である。 図2は、図1におけるII−II線断面図である。 図3は、図1におけるIII−III線断面図である。 図4は、図1におけるIV−IV線断面図である。 図5は、図1におけるV−V線断面図である。 図6は、図1に示すセラミックス格子体における第2の線条部側から見た交差部付近の投影図である。 図7は、図1に示すセラミックス格子体における第1の線条部側から見た交差部付近の投影図である。 図8は、図1に示すセラミックス格子体における貫通孔の形状を示す模式図である。 図9(a)及び図9(b)はそれぞれ、本発明のセラミックス格子体の別の実施形態を示す模式図である。 図10は、本発明のセラミックス格子体の更に別の実施形態を示す模式図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1(a)及び図1(b)には、本発明のセラミックス格子体の一実施形態が示されている。これらの図に示すセラミックス格子体(以下、単に「格子体」ともいう。)1は、一方向Xに向けて延びるセラミックス製の複数の第1の線条部10を有する。それぞれの第1の線条部10は、直線をしており互いに平行に延びている。またセラミックス格子体1は、X方向と異なる方向であるY方向に向けて延びるセラミックス製の複数の第2の線条部20を有する。それぞれの第2の線条部20は、直線をしており互いに平行に延びている。X方向とY方向とは異なる方向なので、第1の線条部10と第2の線条部20とは交差している。両線条部10,20の交差角度は、セラミックス格子体1の具体的な用途に応じて設定することができる。例えば第1の線条部10に対して、第2の線条部20の交差角度を90度とすることができる。あるいは、第1の線条部10に対する第2の線条部20の交差角度を90度±10度の範囲で変更させることもできる。複数の第1の線条部10と、複数の第2の線条部20とが交差していることによって格子体1が形成される。
セラミックス格子体1は、第1の線条部10と第2の線条部20とが交差することによって格子をなし、該格子によって画成される複数の貫通孔3を有する板状の形状をしている。セラミックス格子体1は、図2に示すとおり、第1面1aと、これに対向する第2面1bとを有している。
セラミックス格子体1は、それぞれの第1の線条部10と、それぞれの第2の線条部20とが交差する部位に交差部2を有する。交差部2は、セラミックス格子体1の平面視での投影像において、第1の線条部10と第2の線条部20とが重なり合う部位である。
第1の線条部10は、両線条部10,20の交差部2以外の位置において、平面視して一定の幅W1(図2参照)を有している。第1の線条部10は、その長手方向に直交する方向での厚み方向に沿った断面形状が、図2及び図3に示すとおり、セラミックス格子体1の第1面1a側に位置する第1面10aと、セラミックス格子体1の第2面1b側に位置する第2面10bとで画成される。詳細には、第1の線条部10は、その長手方向に直交する方向での厚み方向に沿った断面が、交差部2以外の部位において、直線部10Aと、該直線部10Aの両端部を端部とする凸形の曲線部10Bとから構成される形状を有している。その結果、第1の線条部10の第1面10aは、該線条部10の厚み方向での断面が平坦面になっている。該平坦面は、セラミックス格子体1の面内方向と略平行になっている。一方、第1の線条部10の第2面10bは、該線条部10の厚み方向での断面が、セラミックス格子体1の第1面1aから第2面1bに向けた凸の曲面形状をしている。
第1の線条部10と同様に、第2の線条部20も、両線条部10,20の交差部2以外の位置において、平面視して一定の幅W2(図5参照)を有している。幅W2は、第1の線条部10の幅W1と同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。第2の線条部20は、その長手方向に直交する方向での厚み方向に沿った断面形状が、図4及び図5に示すとおり、セラミックス格子体1の第1面1a側に位置する第1面20aと、セラミックス格子体1の第2面1b側に位置する第2面20bとで画成される。第2の線条部20の第1面20aは、セラミックス格子体1の第2面1bから第1面1aに向けた凸の曲面形状になっている。一方、第2の線条部20の第2面20bは、該線条部20の厚み方向での断面が、セラミックス格子体1の第1面1aから第2面1bに向けた凸の曲面形状をしている。この曲面形状は、第1の線条部10における曲面形状と同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。本実施形態においては、第2の線条部20の第1面20aと第2面20bとは対称形になっており、その結果、第2の線条部20は、その長手方向に直交する方向での厚み方向に沿った断面形状が、円形又は楕円形になっている。
図3及び図4に示すとおり、第1の線条部10における直線部10A、すなわち第1面10aを載置面として平面P上に載置したとき、各第1面10aはすべて平面P上に位置する。第1面10aは、セラミックス格子体1における第1面1aをなすものであるから、各第1面10aがすべて平面P上に位置することは、該格子体1における第1面1aが平坦面になっていることを意味する。したがってセラミックス格子体1を、その第1面1aが、平坦な載置面と当接するように載置した場合には、該第1面1aの全域が載置面と接することとなる。
図3に示すとおり、第1の線条部10における直線部10A、すなわち第1面10aを載置面として平面P上に載置したとき、第2の線条部20は、隣り合う2つの交差部2の間において平面Pから離間する形状をしている。したがって、隣り合う2つの交差部2の間において、第2の線条部20と平面Pとの間には空間Sが形成される。
一方、セラミックス格子体1における第2面1bは、図4に示すとおり、凸の曲面形状になっている第2の線条部20の第2面20bから構成されているので、平坦面ではなく、凹凸面となっている。
セラミックス格子体1における第1の線条部10と第2の線条部20との交差部2において、両線条部10,20は一体化している。「一体化している」とは、交差部2の断面を観察において、両線条部10,20間が、セラミックスとして連続した構造体となっていることをいう。両線条部10,20の交差によってセラミックス格子体1に形成されている各貫通孔3は同寸法であり、且つ同形をしている。各貫通孔3は略矩形をしている。貫通孔3は規則的に配置されている。
図1、図3及び図4に示すとおり、第1の線条部10と第2の線条部20との交差部2は、いずれの交差部2においても、第1の線条部10上に第2の線条部20が配されている。つまり、第1の線条部10と第2の線条部20との交差部2においては、格子体1の2つの面1a,1bのうち、相対的に第1面1a側に位置する第1の線条部10上に、相対的に第2面1b側に位置する第2の線条部20が配されている。そして、交差部2における厚みが、該交差部以外の部位における第1の線条部の厚み及び第2の線条部の厚みのいずれよりも大きくなっている。つまり、両線条部10,20の交差部2以外の位置における第1の線条部10の厚みをT1とし(図2参照)、両線条部10,20の交差部2以外の位置における第2の線条部20の厚みをT2とし(図5参照)、更に交差部における厚みをTcとしたとき(図3及び図4参照)、Tc>T1であり、Tc>T2である。したがって、セラミックス格子体1の第2面1bにおいては、両線条部10,20の交差部の位置が最も高くなっている。なお交差部2の厚みTcは、セラミックス格子体1の厚みでもある。
図4に示すとおり、第1の線条部10は、交差部2以外の部位において、該第1の線条部10における第2面10bの最高位置、すなわち頂部の位置が、第1の線条部10の延びる方向に沿って同じになっている。第2の線条部20に関しては、図3に示すとおり、第2の線条部20における第2面20bの最高位置は、交差部2の位置及び交差部2以外の位置のいずれにおいても、第1の線条部10の延びる方向に沿って互いに同じ位置になっている。第2の線条部20における第1面20aの最低位置は、交差部2以外の部位において、第2の線条部20の延びる方向に沿って互いに同じ位置になっている。
図3及び図4に示すとおり、セラミックス格子体1の交差部2を縦断面視したときに、第1の線条部10と第2の線条部20とは、第1の線条部10における凸形の曲線部10Bの頂部と、第2の線条部20における円形又は楕円形における下向きに凸の曲線の頂部、すなわち第1面20aの頂部のみが接触している。換言すれば、第1の線条部10と第2の線条部20とは点接触又は点接触に近い面接触をした状態になっている。第1の線条部10と第2の線条部20とが、このような接触状態になっていることで、セラミックス格子体1はその耐スポーリング性が高まることが本発明者の検討の結果判明した。この理由は、第1の線条部10と第2の線条部20とが点接触又はそれに近い面接触をして結合していることで、両線条部10,20が過度に強固に結合しにくくなり、そのことに起因して急速な加熱及び/又は冷却時に生じる体積変化を緩和できるからであると考えられる。この観点から、交差部2は、その厚みTcが、交差部2以外の位置における第1の線条部10の厚みT1と、交差部2以外の位置における第2の線条部20の厚みT2との和である(T1+T2)に対して、好ましくは0.5以上1.0以下、更に好ましくは0.8以上1.0以下、一層好ましくは0.9以上1.0以下となるような程度の点接触状態となっている。
本実施形態のセラミックス格子体1は、1層の第1の線条部10と、1層の第2の線条部20とから構成されたものであるところ、セラミックス格子体1が、n層の第1の線条部10と、m層の第2の線条部20とから構成される場合(n及びmはそれぞれ独立に1以上の整数である。ただしn及びmは同時に1ではない。)には、交差部2は、セラミックス格子体1の厚みTが、(nT1+mT2)に対して、好ましくは0.5以上1.0以下、更に好ましくは0.8以上1.0以下、一層好ましくは0.9以上1.0以下となるような程度の点接触状態となっている。
第1の線条部10と第2の線条部20とを、点接触又は点接触に近い面接触をした状態にするためには、例えば後述する方法でセラミックス格子体1を製造すればよい。
図1(a)及び図6に示すとおり、第2の線条部20は、交差部2における平面視での投影像の幅W2aが、交差部2以外の部位における平面視での投影像の幅W2bと概ね同じになっているか、又はW2bよりも若干大きくなっている。詳細には、第2の線条部20は、(i)平面視での投影像の長手方向に沿う輪郭が、交差部2において、略直線21,21になっているか、又は(ii)幅方向Xの外方に向けて非常に緩やかな凸の曲線(図示せず)を描いている。(ii)の場合、第2の線条部20の平面視での投影像の長手方向に沿う輪郭は、幅W2aを有する最大幅部を有し、その最大幅部から離れるに連れて幅が漸次緩やかに減少していき、交差部2どうしの間の位置では幅W2bになる。幅W2bは、先に述べた幅W2と同じである。W2aは、W2bの1倍以上1.5倍以下であることが好ましく、1倍以上1.3倍以下であることが更に好ましく、1倍以上1.1倍以下であることが一層好ましい。
一方、第1の線条部10は、図1(b)及び図7に示すとおり、交差部2における平面視での投影像の幅W1aが、交差部2以外の部位における平面視での投影像の幅W1bと概ね同じになっているか、又はW1bよりも若干大きくなっている。詳細には、第1の線条部10は、(i)平面視での投影像の長手方向に沿う輪郭が、交差部2において、略直線11,11になっているか、又は(ii)幅方向Yの外方に向けて非常に緩やかな凸の曲線(図示せず)を描いている。(ii)の場合、第1の線条部10の平面視での投影像の長手方向に沿う輪郭は、幅W1aを有する最大幅部を有し、その最大幅部から離れるに連れて幅が漸次緩やかに減少していき、交差部2どうしの間の位置では幅W1bになる。幅W1bは、先に述べた幅W1と同じである。W1aは、W1bの1倍以上1.5倍以下であることが好ましく、1倍以上1.3倍以下であることが更に好ましく、1倍以上1.1倍以下であることが一層好ましい。
図8には、セラミックス格子体1の平面図が示されている。同図に示すとおり、格子体1には、複数の第1の線条部10と複数の第2の線条部20とが略直交することで、該格子体の平面視において略矩形状の複数の貫通孔3が形成されている。略矩形状をなす貫通孔3は、対向する一組の辺である第1辺3a,3aを有している。これとともに貫通孔3は、対向する別の一組の辺である第2辺3b,3bを有している。第1辺3a,3aは、第1の線条部10の両側縁に対応する辺である。一方、第2辺3b,3bは、第2の線条部20の両側縁に対応する辺である。貫通孔3は、これらの四辺によって画定されている。対向する第1辺3a,3aどうしは直線になっており互いに平行に延びている。同様に、対向する第2辺3b,3bどうしも直線になっており互いに平行に延びている。そして、第1の線条部10及び第2の線条部20が、それらの交差部2において上述した略直線形状を有することによって、第1の線条部10と第2の線条部20とが略直交することによって形成される貫通孔3は、図8に示す模式図のように、隅部30が略直角である矩形となる。
以上の構成を有するセラミックス格子体1は、これを例えば被焼成体の焼成用セッターとして用いた場合、該格子体1の第1面1aに被焼成体を載置すれば、該第1面1aは平坦面であることから、平坦性を求められる被焼成体の載置に好適なものとなる。平坦性を求められる被焼成体としては、例えば積層セラミックコンデンサ等の小型のチップ状電子部品などが挙げられる。これらの小型電子部品は、焼成工程においてセッターに引っ掛からないことが必要とされるので、格子体1の第1面1aが平坦であることは有利である。また、被焼成体は、第1面1aを構成する部材である第1の線条部10のみ接触するので、格子体1と被焼成体との接触面積が大幅に低減し、それによって被焼成体の急激な加熱及び冷却を行いやすくなる。また、格子体1は第1及び第2の線条部10,20の交差によって形成されており複数の貫通孔3が形成されているので、熱容量が小さく、その点からも被焼成体の急激な加熱及び冷却を行いやすい。更に格子体1は、複数の貫通孔3が存在していることに起因して通気性が良好なので、このことによっても被焼成体の急激な冷却を行いやすい。良好な通気性は、隣り合う交差部2どうしの間において第2の線条部20が浮いていることによって一層顕著なものとなる。しかも格子体1においては、第1及び第2の線条部10,20が交差部2において一体化しているので、充分な強度を有するものである。
一方、格子体1の第2面1bには、mmオーダーの被焼成体を載置することが有利である。第2面1bは、第2の線条部20の曲面に起因する凹凸面となっているところ、このオーダーのサイズの電子部品は、それが載置される面に凹凸を有することが、脱脂性を高める観点から有利だからである。
このように本実施形態の格子体1は、その一方の面が平坦であり、他方の面が凹凸面になっていることから、被焼成体の種類に応じて載置面を使い分けることができるという点で有利である。
上述した各種の有利な効果を一層顕著なものとする観点から、T1の値は、50μm以上5mm以下であることが好ましく、200μm以上2mm以下であることが更に好ましい。一方、T2の値は、50μm以上5mm以下であることが好ましく、200μm以上2mm以下であることが更に好ましい。T1とT2の値の大小関係に特に制限はなく、T1>T2であってもよく、逆にT1<T2であってもよく、あるいはT1=T2であってもよい。
同様の観点から、交差部2における厚みTcは、(T1+T2)に対して、好ましくは0.5以上1.0以下であることを条件として、20μm以上5mm以下であることが好ましく、50μm以上2mm以下であることが更に好ましい。
また、第2の線条部20の厚み方向での断面形状(図5参照)が楕円形である場合、楕円形の短軸が格子体1の厚み方向に一致し、且つ楕円形の長軸が格子体1の平面方向に一致することが、被焼成体の載置を首尾よく行える点から好ましい。この場合、長軸/短軸の比率は、1以上5以下であることが好ましく、1以上3以下であることが更に好ましい。また、第2の線条部20の厚み方向での断面形状が楕円形又は円形であることは、格子体1の強度向上にも寄与している。
セラミックス格子体1に形成された貫通孔3は、その面積が100μm以上100mm以下、特に2500μm以上1mm以下であることが、格子体1の熱容量を低下させる点や、通気性を向上させる点、及び格子体1の強度維持の点から好ましい。また、平面視におけるセラミックス格子体1の見かけの面積に対する貫通孔3の面積の総和の割合は、1%以上80%以下であることが好ましく、3%以上70%以下であることが更に好ましく、10%以上70%以下であることが一層好ましい。この割合は、セラミックス格子体1を平面視して、任意の大きさの矩形に切り取り、その矩形内に含まれる貫通孔3の面積の総和を算出し、その総和を矩形の面積で除し100を乗じて算出される。また、各貫通孔3の面積は、格子体1の顕微鏡観察像を画像解析することで測定できる。
貫通孔3の面積に関連して、第1の線条部10の幅W1は50μm以上10mm以下であることが好ましく、75μm以上1mm以下であることが更に好ましい。一方、第2の線条部20の幅W2は50μm以上10mm以下であることが好ましく、75μm以上1mm以下であることが更に好ましい。W1とW2の値の大小関係に特に制限はなく、W1>W2であってもよく、逆にW1<W2であってもよく、あるいはW1=W2であってもよい。
第1及び第2の線条部10,20の幅W1,W2との関連において、隣り合う第1の線条部10間のピッチP1は、100μm以上10mm以下であることが好ましく、150μm以上5mm以下であることが更に好ましい。一方、隣り合う第2の線条部20間のピッチP2は、100μm以上10mm以下であることが好ましく、150μm以上5mm以下であることが更に好ましい。
第1の線条部10は、その表面のうち第1面10aが平滑であることが好ましい。線条部10の第1面10aが平滑であることによって、セラミックス格子体1上に被焼成体を載置したときに、該被焼成体に傷がつきにくくなるという利点がある。また被焼成体の焼成によって得られた焼成体が、セラミックス格子体1に引っ掛かりにくくなり、取り出し性が良好になるという利点もある。更に、被焼成体が基板などの薄肉のテープ成形体であれば、第1面10aの表面状態が被焼成体の底面に転写されるため、被焼成体底面がより平滑に仕上がりやすくなるメリットもある。一方で、表面粗さが大きいと、被焼成体を載置したときに、被焼成体下のガスの流れがよくなるため、脱脂がスムーズに進みやすくなるという利点がある。これらの観点から、第1の線条部10の第1面10aの表面粗さRaは、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.01μm以上5μm以下であることが更に好ましい。一方、第2の線条部20の第2面20bの表面粗さRaは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることが更に好ましい。表面粗さRaは、具体的には、カラー3Dレーザー顕微鏡(例えば(株)キーエンス製、VK―8710)を用い撮影倍率を200倍としてスキャンされた断面曲線を、JIS B0601(2001)に準拠して算出される中心線表面粗さの値である。第1の線条部10の第1面10aに関しては、第1面10aの中線に沿って、表面粗さを測定し、20個の測定値から平均値を算出し、Raとした。一方、第2の線条部20の第2面20bでは、第2面20bの中線に沿って表面粗さを測定し、20個の測定値から平均値を算出し、Raとした。
第1の線条部10の第1面10a及び第2の線条部20の第2面20bの表面粗さRaの値を小さくするためには、例えば、該線条部の形成に用いられるペーストを塗布する基板として表面粗さの小さいものを用いたり、あるいは該ペーストとして低粘度のものを用いたりすればよい。一方、第1の線条部10の第1面10a及び第2の線条部20の第2面20bの表面粗さRaの値を大きくするためには、例えば、該ペーストとして、高粘度のものを用いたり、吐出させるノズル径を大きくしたりすればよい。場合によっては、セラミックス格子体1の第1面1a及び/又は第2面1bを研磨して所定の表面粗さとなるように加工してもよい。
セラミックス格子体1を構成するセラミックス素材としては、種々のものを用いることができる。例えば、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、ジルコン、コージェライト、チタン酸アルミニウム、チタン酸マグネシウム、マグネシア、二硼化チタン、窒化ホウ素などが挙げられる。これらのセラミックス素材は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、アルミナ、ムライト、コージェライト、ジルコニア又は炭化ケイ素を含むセラミックスからなることが好ましい。ジルコニアを含むセラミックスを用いる場合には、格子体1を高温焼成での使用により適したものとするため、イットリア添加により完全安定化したジルコニアなどを用いることができる。セラミックス格子体1を急激な加熱及び冷却に付す場合には、セラミックス素材として炭化ケイ素を用いることが特に好ましい。なお炭化ケイ素は、被焼成体との反応の懸念があることから、セラミックス素材として炭化ケイ素を用いる場合には、表面をジルコニア等の反応性の低いセラミックス素材でコートすることが好ましい。格子体1を構成するセラミックス素材の原料粉としては、ペーストにした場合の粘性や焼結されやすさを考慮すると、0.1μm以上200μm以下の粒径のものを用いることが好ましい。第1の線条部10を構成するセラミックス素材と、第2の線条部20を構成するセラミックス素材とは同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。交差部2における第1及び第2の線条部10,20の一体性を高くする観点からは、両線条部10,20を構成するセラミックス素材は同じであることが好ましい。
本発明者の検討の結果、第1の線条部10と第2の線条部20とがそれらの交差部2において点接触していることに加えて、第1の線条部10及び第2の線条部20がいずれも、2以上の結晶相が混在したセラミックスからなることが、セラミックス格子体1の強度向上、及び耐スポーリング性の一層の向上の点から有利であることが判明した。2以上の結晶相が混在したセラミックスとは、単一材料からなるセラミックスが、2以上の結晶相を有することである。2以上の結晶相の種類に特に制限はない。特に、第1の線条部10及び第2の線条部20がいずれも、正方晶と立方晶とが混在した部分安定化ジルコニアからなることが、セラミックス格子体1の一層の強度向上、及び耐スポーリング性の更に一層の向上の点から有利である。ジルコニアを部分安定化させて正方晶と立方晶とを混在させるには、例えばジルコニアにイットリアを添加すればよい。イットリアの添加量は、ZrとYのモル数の総和に対して0mol%超8mol%未満とすればよい。
次に、本実施形態のセラミックス格子体1の好適な製造方法について説明する。本製造方法においては、まずセラミックス素材の原料粉を用意し、該原料粉を、水等の媒体及び結合剤と混合して線条部製造用のペーストを調製する。
結合剤としては、この種のペーストに従来用いられたものと同様のものを用いることができる。その例としてはポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、デキストリン、リグニンスルホン酸ソーダ及びアンモニウム、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム及びアンモニウム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アラビアゴム、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸及びポリアクリルアミドなどのアクリル系ポリマー、キサンタンガム及びグアガムなどの増粘多糖体類、ゼラチン、寒天及びペクチンなどのゲル化剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、ワックスエマルジョン、並びにアルミナゾル及びシリカゾルなどの無機バインダーなどが挙げられる。これらのうちの2種類以上を混合して用いてもよい。
ペーストの粘度は、塗布時の温度において高粘度であることが、本実施形態の構造を有する格子体1を首尾よく製造し得る点から好ましい。詳細には、ペーストの粘度は、塗布時の温度において、1.5MPa・s以上5.0MPa・s以下であることが好ましく、1.7MPa・s以上3.0MPa・s以下であることが更に好ましい。ペーストの粘度は、コーンプレート型回転式粘度計又はレオメーターを用いて、回転数0.3rpmにて測定開始後4分時の測定値を用いた。
ペーストにおけるセラミックス素材の原料粉の割合は、20質量%以上85質量%以下であることが好ましく、35質量%以上75質量%以下であることが更に好ましい。ペーストにおける媒体の割合は、15質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上55質量%以下であることが更に好ましい。ペーストにおける結合剤の割合は、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、5質量%以上25質量%以下であることが更に好ましい。
ペーストには、粘性調整剤として、増粘剤、凝集剤、チクソトロピック剤などを含有させることができる。増粘剤の例としては、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルアリルスルホン酸、アルキルアンモニウム塩、エチルビニルエーテル・無水マレイン酸コポリマー、フュームドシリカ、アルブミンなどのタンパク質などが挙げられる。多くの場合、結合剤は、増粘効果があるため、増粘剤に分類されることがあるが、更に厳密な粘性調整が必要とされる場合には、別途、結合剤に分類されない増粘剤を用いることができる。凝集剤の例として、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムなどが挙げられる。チクソトロピック剤の例として、脂肪酸アマイド、酸化ポリオレフィン、ポリエーテルエステル型界面活性剤などが挙げられる。ペースト調製用の溶媒としては、水以外にも、アルコール、アセトン及び酢酸エチルなどが用いられ、これらを2種類以上混合してもよい。また吐出量を安定させるために、可塑剤、潤滑剤、分散剤、沈降抑制剤、pH調整剤などを添加してもよい。可塑剤には、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどのグリコール系、グリセリン、ブタンジオール、フタル酸系、アジピン酸系、リン酸系などが挙げられる。潤滑剤には、流動パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィンなどの炭化水素系、高級脂肪酸、脂肪酸アミドなどが挙げられる。分散剤には、ポリカルボン酸ナトリウム若しくはアンモニウム塩、アクリル酸系、ポリイチレンイミン、リン酸系などが挙げられる。沈降抑制剤には、ポリアマイドアミン塩、ベントナイト、ステアリン酸アルミニウムなどが挙げられる。PH調整剤には、水酸化ナトリウム、アンモニア水、シュウ酸、酢酸、塩酸などが挙げられる。
得られたペーストを用い、平坦な基板上に、複数条の線条第1塗工体を互いに平行に且つ直線状に形成する。線条第1塗工体は、目的とする格子体1における第1の線条部10に対応するものである。線条第1塗工体の形成に用いられるペーストである第1ペーストは、上述したセラミックス素材の第1原料粉、媒体及び結合剤を含むものである。第1ペーストを用いた線条第1塗工体の形成には、小型押し出し機や印刷機などの種々の塗布装置を用いることができる。
線条第1塗工体が形成されたら、次いで該線条第1塗工体から媒体を除去して乾燥させ、該線条第1塗工体の粘度を一層高める操作を行う。線条第1塗工体から媒体を除去するには例えば該線条第1塗工体に熱風を吹き付けたり、赤外線を照射したりすればよい。媒体が除去された後の線条第1塗工体における該媒体の割合は好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下にまで低減され、線条第1塗工体の粘度は極めて高いものとなり、その保形性が一層高まる。
線条第1塗工体から媒体が除去されたら、次いで、第2ペーストを用い、該線条第1塗工体と交差するように、複数条の線条第2塗工体を互いに平行に且つ直線状に形成する。線条第2塗工体は、目的とする格子体1における第2の線条部20に対応するものである。第2ペーストとしては、第1ペーストと同様の組成のものを用いることができ、セラミックス素材の第2原料粉、媒体及び結合剤を含むものである。線条第2塗工体の形成には、線条第1塗工体と同様の塗布装置を用いることができる。線条第2塗工体が形成されたら、次いで該線条第2塗工体から媒体を除去して乾燥させ、該線条第2塗工体の粘度を一層高める操作を行う。この操作は、線条第1塗工体に対して行う操作と同様に行うことができる。このように、線条第1塗工体の形成及び媒体の除去と、線条第2塗工体の形成及び媒体の除去とを順次行うことで、第1の線条部10上に第2の線条部20が位置する格子体1が首尾よく得られる。
このようにして得られた格子状前駆体は、これを基板から剥離して焼成炉内に載置して焼成を行う。この焼成によって目的とするセラミックス格子体1が得られる。焼成は一般に大気下で行うことができる。焼成温度は、セラミックス素材の原料粉の種類に応じて適切な温度を選択すればよい。焼成時間に関しても同様である。
以上の方法によって、目的とするセラミックス格子体1が得られる。このセラミックス格子体1は、棚板や敷板など、セラミックス製品の脱脂又は焼成用セッターとして好適に用いられるほか、セッター以外の窯道具、例えば匣やビームとしても用いることができる。更に、窯道具以外の用途、例えばフィルター、触媒担体などの各種の治具や各種構造材として用いることもできる。この場合、格子体1における凹凸面である第2面1b上に被焼成体を載置することが一般的であるが、被焼成体の種類によっては、平坦面である第1面1a上に被焼成体を載置してもよい。例えば積層セラミックコンデンサ(MLCC)の製造過程における焼成工程を行う場合には、被焼成体を、平坦面である第1面1a上に載置することが好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態のセラミックス格子体1は、第1の線条部10と第2の線条部20とが略直交するように交差していたが、両線条部10,20の交差角度は90度に限られない。
また、前記実施形態のセラミックス格子体1は、第1の線条部10及び第2の線条部20の2種類の線条部を用いていたが、これに加えて第3の線条部(図示せず)や、更に第4、第5の線条部(図示せず)といった3種類以上の線条部を用いてもよい。このような3種類以上の線条部を用いる場合において第3の線条部以降の線状部は、それぞれ厚みT1、幅W1及びピッチP1について前述のような第1及び第2の線条部と同様の構成であることが望ましい。また第3の線条部以降の線状部によって形成される交差部の構成についても、前述のような第1及び第2の線条部により形成される交差部と同様の構成を有することが望ましい。
また、前記実施形態のセラミックス格子体1は単層構造のものであったが、これに代えて該格子体1を複数用い、それらを例えば図9(a)及び図9(b)に示すように複数段積層して用いてもよい。図9(a)に示す実施形態においては、第1の線条部10’及び第2の線条部20’からなる第1格子体1’と、第1の線条部10”及び第2の線条部20”からなる第2格子体1”とが積層されて格子体1が形成されている。第1格子体1’における第1の線条部10’と、第2格子体1”における第1の線条部10”とは同ピッチになるように配置されている。同様に、第1格子体1’における第2の線条部20’と、第2格子体1”における第2の線条部20”とも同ピッチになるように配置されている。
一方、図9(b)に示す実施形態においては、第1格子体1’における第1の線条部10’と、第2格子体1”における第1の線条部10”とは半ピッチずれるように配置されている。同様に、第1格子体1’における第2の線条部20’と、第2格子体1”における第2の線条部20”とも半ピッチずれるように配置されている。
図9(a)及び図9(b)に示す実施形態のセラミックス格子体1においては、少なくとも、第1格子体1’における第1の線条部10’と第2の線条部20’とがそれらの交差部において点接触していることが好ましい。特に、上下に隣り合う任意の一組の線条部どうしがそれらの交差部において点接触していることが好ましい。
図9(a)及び(b)に示す実施形態の変形例として図10に示す実施形態のセラミックス格子体1が挙げられる。図10に示す実施形態のセラミックス格子体1は、第1の線条部10及び第2の線条部を有することに加えて、一方向に向けて延びるセラミックス製の複数の第3の線条部33を更に有している。本実施形態においては第3の線条部33が延びる方向は、第1の線条部10が延びる方向と同方向になっているが、これに代えて、第3の線条部33は、第1の線条部10が延びる方向に対して、斜め方向(具体的には、好ましくは−45°よりも大きく且つ45°よりも小さく、更に好ましくは−45°よりも大きく、且つ30°よりも小さい。)に傾斜していてもよい。第3の線条部33は、第2の線条部20と交差しており、第3の線条部33と第2の線条部20との交差部は、いずれの該交差部においても、第2の線条部20上に第3の線条部33が配されている。本実施形態では、第3の線条部33が、第1の線条部10の配置のピッチと半ピッチ(0.5ピッチ)ずれて配置されている。この実施形態は、電子部品を載置し焼成する際に線状部からの電子部品の落下を防止するために最も好ましい態様である。しかし、本発明はこの実施形態に制限されず、第1の線条部10と第3の線条部33とのずれは、本発明の目的を損なわない範囲においては、ゼロ(0)以上半ピッチ(0.5ピッチ)未満の範囲を取り得る。本実施形態においても、これまでの実施形態のセラミックス格子体1と同様の効果が奏される。第3の線条部33と第2の線条部20との交差部の縦断面視において、第3の線条部33と第2の線条部20とは、第3の線条部における円形又は楕円形における下向きに凸の頂部と、第2の線条部における円形又は楕円形における上向きに凸の頂部のみが接触していることが好ましい。
また、前記の各実施形態のセラミックス格子体1の強度を向上させる目的で、該格子体1の外周に外枠を設けてもよい。この外枠は該格子体1と同じ材料から一体的に形成してもよく、あるいは該格子体1とは別途製造しておき、所定の接合手段で接合してもよい。また、耐スポーリング性を向上させる目的で、第1の線条部10及び/又は第2の線条部20の長手方向に沿う辺の一部に、幅方向内方に向けてスリットを入れてもよい。更に耐スポーリング性を向上させる目的で、各実施形態のセラミックス格子体1における各線条部はその端部が露出している態様、言い換えれば、セラミックス格子体1の外縁に、枠体からなる補強材が存在しない態様がより好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」及び「部」はそれぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
〔実施例1〕
本実施例では、図1ないし図8に示すセラミックス格子体1を製造した。
(1)線条塗工体形成用のペーストの調製
平均粒径0.8μmの3モル%イットリア添加部分安定化ジルコニア粉65.3部と、水系結合剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(平均重合度:30万g/mol)5.0部と、可塑剤として、グリセリン2.5部と、ポリカルボン酸系分散剤(分子量12000)1.1部と、水26.1部とを混合し、脱泡してペーストを調製した。ペーストの粘度は25℃において2.3MPa・sであった。
(2)線条塗工体の形成
前記のペーストを原料とし、直径0.4mmのノズルを有するディスペンサを用いて樹脂基板上に線条第1塗工体を形成した。次いでドライヤーを用いて線条第1塗工体に熱風を吹き付け水を除去して線条第1塗工体を乾燥させた。乾燥後の線条第1塗工体の水の含有量は10%であった。引き続き線条第1塗工体に交差する線条第2塗工体を形成した。両線条塗工体の交差角度は90度とした。ドライヤーを用いて線条第2塗工体に熱風を吹き付け水を除去して線条第2塗工体を乾燥させた。乾燥後の線条第2塗工体の水の含有量は8%であった。このようにして格子状前駆体を得た。
(3)焼成工程
乾燥後の格子状前駆体を樹脂基板から剥離した後、大気焼成炉内に載置した。この焼成炉内で脱脂及び焼成を行い、図1ないし図8に示す形状のセラミックス格子体を得た。焼成温度は1450℃とし、焼成時間は3時間とした。得られた格子体においては、第1の線条部と第2の線条部とは、それらの交差部において点接触していた。得られた格子体における第1の線条部の厚みT1は400μm、第2の線条部の厚みT2は410μm、交差部の厚みTcは770μmであった。したがってTcは、(T1+T2)に対して、0.95であったこととなる。第1の線条部の幅W1は425μm、第2の線条部の幅W2は420μmであった。交差部における、第1の線条部の幅W1aは445μm、第2の線条部の幅W2aは440μmであった。したがって、W2aは、W2bの1.05倍であり、W2aとW2bは概ね同じ値であった。第1の線条部のピッチP1は800μm、第2の線条部のピッチP2は720μmであった。セラミックス格子体1の表面粗さRaは第1面において0.3μm、第2面において0.4μmであった。また、セラミックス格子体1における貫通孔の面積は0.09mmであり、開孔率は17%であった。
〔比較例1〕
本比較例は、格子体としてニッケル網を用いた例である。このニッケル網は、太さ315μmのニッケル線材を平織りして形成された32メッシュにジルコニア溶射コートしたものであり、厚みは0.6mmである。
〔比較例2〕
本比較例は、ゼラチンを湯に溶解させて得られた溶液(ゼラチンの濃度は水に対して3%)を用意し、この溶液を、予め調製しておいたイットリア完全安定化ジルコニアスラリーと混合した。混合は、混合液におけるイットリア完全安定化ジルコニアと水との体積比が10:90になるように行った。この混合液を冷蔵庫内に静置してゲル化させた。このゲルをエタノール凍結機によって凍結させた。凍結させたゲルを乾燥(凍結乾燥)した後、得られた乾燥体を脱脂し、1600℃にて3時間焼成した。このようにして得られた焼成体は、気孔率は79%、気孔径は95μmで、厚み方向に気孔が配向した構造が形成されたものであった。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた格子体について、耐スポーリング性の評価を以下の方法で行った。それらの結果を以下の表2に示す。
〔耐スポーリング性の評価〕
縦150mm×横150mm×厚さ0.8〜1.5mmのサンプルを用意した。ムライト質足付きラック形状窯道具(外寸が165mm×165mmであり、中央にある十字形状幅寸法が15mmであり、外枠と十字の間には60mm×60mmの4つの中空構造を有する)を台板に載せ、そのラック上にサンプルをセットし、大気焼成炉にて高温加熱して1時間以上所望の温度に保持した後に、電気炉から取り出して室温に晒し、肉眼にてサンプルのうねり、反り及び割れの有無を評価した。設定温度を200℃から1100℃まで50℃ずつ昇温させながら変更し、割れの生じない温度の上限を「耐久温度上限値」とし、耐スポーリング性の評価とした。
〔繰り返し焼成による形状変化評価〕
縦150mm×横150mmの各サンプルを用意し、カーボンるつぼの中で、アルゴン雰囲気下で400℃/hrで昇温し、1300℃で5分キープし、400℃/hrで冷却する焼成パターンを65回繰り返し、初期と繰り返し焼成後のサンプル形状の差異について、外観から評価した。
Figure 2018193287
表1に示す結果から明らかなとおり、実施例1で得られた格子体は、各比較例に比べて耐スポーリング性が高いことが判る。
1 セラミックス格子体
1a 第1面
1b 第2面
2 交差部
3 貫通孔
10 第1の線条部
10a 第1面
10b 第2面
20 第2の線条部
20a 第1面
20b 第2面

Claims (3)

  1. 一方向に向けて延びるセラミックス製の複数の第1の線条部と、該第1の線条部と交差する方向に向けて延びるセラミックス製の複数の第2の線条部とを有するセラミックス格子体であって、
    第1の線条部と第2の線条部との交差部は、いずれの該交差部においても、第1の線条部上に第2の線条部が配されており、
    第1の線条部における直線部を載置面として平面上に載置したとき、第2の線条部が、隣り合う2つの前記交差部の間において該平面から離間する形状をしており、
    第1の線条部の延びる方向と同方向に向けて延びるセラミックス製の複数の第3の線条部を更に有し、
    第3の線条部は第2の線条部と交差しており、
    第3の線条部と第2の線条部との交差部は、いずれの該交差部においても、第2の線条部上に第3の線条部が配されており、
    第3の線条部は、第1の線条部の配置のピッチと半ピッチずれて配置されている、セラミックス格子体。
  2. 各第3の線条部は、第1の線条部の配置のピッチと半ピッチずれて配置されている請求項1に記載のセラミックス格子体。
  3. 第1の線条部は、その断面が、前記交差部以外の部位において、直線部と、該直線部の両端部を端部とする凸形の曲線部とから構成される形状を有しており、
    第2の線条部は、その断面が、前記交差部以外の部位において、円形又は楕円形の形状を有している、請求項1又は2に記載のセラミックス格子体。
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