JP2018192901A - 自動運転車両の退避制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】退避走行する際における退避場所の選択自由度を向上させることができる自動運転車両の退避制御装置を提供する。【解決手段】自動運転走行中に操舵輪の転舵角を自動で切り替えることができないフェールが生じた場合に、自動運転車両を退避させる退避場所を決定し、決定された退避場所に向けて自動運転車両を退避させるために要求されるヨーレートを求め(ステップS26)、差動制御機構によりトルク分配率を制御することにより要求されるヨーレートを生じることができない場合には、ブレーキ機構により左右輪のうちの内輪に制動トルクを作用させる(ステップS32,S33)ように構成されている。【選択図】図5
Description
この発明は、運転者がアクセル操作などを行うことなく自動で走行可能な自動運転車両を、路肩などに退避させる制御装置に関するものである。
特許文献1には、運転者がアクセル操作やステアリング操作を行うことなく自動で走行可能な自動運転車両が、走行中に操舵輪が転舵することができないフェールが生じた場合に、左右輪の駆動力に差を生じさせて旋回走行可能として、路肩などの所定場所に車両を退避させるように構成された制御装置が記載されている。具体的には、旋回する際に内輪となる車輪に制動トルクを作用させて、左右輪の駆動力に差を生じさせている。
なお、特許文献2には、自動運転車両が自動で走行している際に何らかのフェールが生じると、周辺状況のデータなどを入手して、退避走行に切り替え、または緊急停止するように構成された制御装置が記載されている。また、特許文献3には、自動運転車両を自動で走行させるための制御装置が記載されている。
特許文献1に記載された車両は、駆動力源の出力トルクを左右輪に均等に分配するように構成されているため、車両を路肩などに退避させる際には、左右いずれか一方の車輪に制動トルクを作用させて旋回走行する。そのように左右輪にトルク差を生じさせる場合には、要求される旋回半径が小さく一方の駆動輪に大きな制動トルクを作用させると、車両の要求トルクを出力することができなくなる可能性がある。すなわち、ある程度の駆動力を維持した状態で急旋回することができなくなり、走行性能に制限がかかる可能性がある。したがって、退避制御が実行された場合には、車両の旋回性や加速性などを考慮して車両が退避する場所を選択することになるため、上記のような走行性能に制限がかかると、車両の退避場所を選択する範囲が制限される可能性がある。
この発明は上記のような技術的課題に着目して考え出されたものであり、退避走行する際における退避場所の選択自由度を向上させることができる自動運転車両の退避制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、駆動力源と、前記駆動力源の出力トルクを一対の駆動輪に分配する差動機構と、前記差動機構のトルクの分配率を制御できる差動制御機構とを有する駆動装置と、左右輪のそれぞれに制動トルクを作用させることができるブレーキ機構とを備え、運転者がステアリング操作することなく操舵輪の転舵角を自動で制御し、かつ運転者が駆動操作することなく前記駆動力源の出力トルクを自動で制御し、かつ運転者が制動操作することなく前記ブレーキ機構の制動トルクを自動で制御して走行する自動運転走行をすることができる自動運転車両の退避制御装置において、前記駆動力源の出力トルクと前記差動制御機構と前記ブレーキ機構の制動トルクとを制御するコントローラを備え、前記コントローラは、前記自動運転走行中に前記操舵輪の転舵角を自動で切り替えることができないフェールが生じた場合に、前記自動運転車両を退避させる退避場所を決定し、前記決定された退避場所に向けて前記自動運転車両を退避させるために要求されるヨーレートを求め、前記差動制御機構により前記トルク分配率を制御することにより前記要求されるヨーレートを生じることができない場合には、前記ブレーキ機構により前記左右輪のうちの内輪に制動トルクを作用させるように構成されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、自動運転車両は、駆動力源の出力トルクを一対の駆動輪に分配する差動機構と、差動機構のトルクの分配率を制御できる差動制御機構とを有する駆動装置と、左右輪のそれぞれに制動トルクを作用させることができるブレーキ機構とを備えている。このように構成された自動運転車両では、差動制御機構によりトルクの分配率を制御することによる左右輪のトルク差と、ブレーキ機構で一方の車輪に制動トルクを作用させることによる左右輪のトルク差とを発生させることができるため、差動制御機構を備えていない車両と比較して左右輪のトルク差を大きくすることができる。また、自動運転走行中に操舵輪の転舵角を自動で切り替えることができないフェールが生じた場合に、自動運転車両を退避させる退避場所を決定し、決定された退避場所に向けて自動運転車両を退避させるために要求されるヨーレートを求め、差動制御機構によりトルク分配率を制御することにより要求されるヨーレートを生じることができない場合には、ブレーキ機構により左右輪のうちの内輪に制動トルクを作用させるように構成されている。したがって、上述したように構成された自動運転車両は、操舵輪の転舵角を制御することができないフェールが生じた場合であっても、比較的小さい旋回半径の走行を行うことができるので、退避走行する際における退避場所の選択自由度を向上させることができる。
この発明の実施形態における駆動装置の一例を図1に示している。図1に示す駆動装置1は、車両Veの駆動力源としての駆動用モータ2を備えている。この駆動用モータ2は、従来知られているハイブリッド車両や電気自動車の駆動力源として設けられたモータと同様に、発電機能のあるモータであって、その一例として永久磁石形の同期モータで構成されている。
駆動用モータ2の出力軸3には、ドライブギヤ4が連結されている。また、出力軸3と平行にドリブンシャフト5が配置されており、そのドリブンシャフト5の中央部にドライブギヤ4に噛み合いかつドライブギヤ4よりも大径のドリブンギヤ6が連結されている。したがって、駆動用モータ2の出力トルクが増幅されてドリブンシャフト5に伝達される。
ドリブンシャフト5の両端には、それぞれシングルピニオン型の遊星歯車機構7R,7Lが連結されている。具体的には、遊星歯車機構7R,7Lのサンギヤ8R,8Lがドリブンシャフト5に連結されている。この遊星歯車機構7R,7Lのキャリヤ9R,9Lには、それぞれドライブシャフト10R,10Lの一方の端部が連結され、ドライブシャフト10R,10Lの他端が駆動輪11R,11Lに連結されている。また、リングギヤ12R,12Lには外歯が形成されており、その外歯に反転機構13が連結されている。
反転機構13は、互いに平行に配置された二つのシャフト14R,14Lと、それぞれのシャフト14R,14Lの両端に連結された計四つのピニオンギヤ15,16,17,18とにより構成されている。具体的には、第1シャフト14Rの一方の端部に、リングギヤ12Rに噛み合う第1ピニオンギヤ15が連結されており、その他端に第2ピニオンギヤ16が連結されている。また、第2シャフト14Lの一方の端部に第2ピニオンギヤ16に噛み合う第3ピニオンギヤ17が連結され、他端にリングギヤ12Lに噛み合う第4ピニオンギヤ18が連結されている。各ピニオンギヤ15,16,17,18の歯数は同一である。なお、第2ピニオンギヤ16と第3ピニオンギヤ17とは、ドリブンシャフト5の円周方向で並んで配置されているため、図1には、便宜上、第2ピニオンギヤ16と第3ピニオンギヤ17とを重ねて示してある。
上記のように各遊星歯車機構7R,7Lを反転機構13で連結することにより、一方の駆動輪11Rと他方の駆動輪11Lとの回転数差を反転機構13が吸収(許容)することができる。すなわち、各遊星歯車機構7R,7Lと反転機構13とで差動機構19を構成している。
さらに、駆動用モータ2から各サンギヤ8R,8Lにトルクが入力された場合には、各リングギヤ12R,12Lには、同一の大きさのトルクが同一の方向に作用する。そのトルクは互いに反転機構13を介して他方のリングギヤ12R,12Lに作用することになるため、リングギヤ12R,12Lに作用するトルクは相殺される。その結果、リングギヤ12R,12Lが反力要素として機能して、サンギヤ8R,8Lから入力されたトルクはキャリヤ9R,9Lから出力される。なお、サンギヤ8R,8Lから入力されたトルクは、遊星歯車機構7R,7Lのギヤ比に応じて増大されてキャリヤ9R,9Lから出力される。すなわち、各遊星歯車機構7R,7Lは減速機構として機能する。
また、上記の一方のリングギヤ12Lには、ドリブンギヤ20を介して差動用モータ21が連結されている。この差動用モータ21は、上記駆動用モータ2と同様に構成されていてもよく、直流モータなどの他の構成であってもよい。この差動用モータ21の出力トルクは、一方のリングギヤ12Lに伝達されるとともに、反転機構13を介して他方のリングギヤ12Rにも伝達される。その場合には、一方のリングギヤ12Lに伝達されるトルクの向きと、他方のリングギヤ12Rに伝達されるトルクの向きとが反対となる。すなわち、一方の遊星歯車機構7L(7R)における反力トルクを増大させ、他方の遊星歯車機構7R(7L)における反力トルクを減少させる。その結果、差動用モータ21からトルクを出力することにより、一方の遊星歯車機構7L(7R)から出力されるトルクを増大させ、かつ他方の遊星歯車機構7R(7L)から出力されるトルクを減少させることができる。つまり、差動用モータ21は、左右輪11R,11Lに伝達されるトルクの分配率を制御するものであり、上記の差動用モータ21や反転機構13などがこの発明の実施形態における「差動制御機構」に相当する。
上記の駆動装置1を備えた車両Veの一例を図2に示してある。図2に示す車両Veは、一対の前輪11R,11Lが、駆動輪および操舵輪として機能するように構成され、またそれぞれの車輪(全輪)11R,11L,22R,22Lに、制動トルクを作用させるブレーキ機構23R,23L,24R,24Lが設けられている。つまり、一対の前輪11R,11Lに駆動装置1が連結されている。なお、上記の前輪11R,11Lの転舵角を切り替える機構やブレーキ機構23R,23L,24R,24Lは、従来知られているものと同様に構成することができるため、詳細な説明は省略する。
上記の車両Veには、駆動用モータ2、差動用モータ21、ブレーキ機構23R,23L,24R,24Lなどを制御するための電子制御装置(以下、ECUと記す)25が設けられている。このECU25は、この発明の実施形態における「コントローラ」に相当するものであり、従来知られている車両に搭載された電子制御装置と同様に、マイクロコンピュータを主体にして構成され、入力されるデータや予め記憶されているデータなどに基づいて演算を行い、その演算結果を制御指令信号として、上述した駆動用モータ2、差動用モータ21、ブレーキ機構23R,23L,24R,24Lなどに出力するように構成されている。
ECU25に入力されるデータは各種のセンサによって得られたデータであって、そのセンサの例を挙げると、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ26、ブレーキペダルの踏み込み力や踏み込み量を検出するブレーキペダルセンサ27、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ28、車両Veの前後加速度や横加速度を検出する加速度センサ29、車両Veのヨーレートを検出するヨーレートセンサ30、各車輪11R,11L,22R,22Lの回転数を検出する車輪速センサ31などがその例である。
そして、上記のECU25に入力されるデータに基づいて駆動用モータ2や差動用モータ21、あるいはブレーキ機構23R,23L,24R,24Lなどを制御する。具体的には、ステアリングホイールの操舵角などに基づいて差動用モータ21を制御し、アクセルペダルの踏み込み量などに基づいて駆動用モータ2を制御し、ブレーキペダルの踏み込み力などに基づいてブレーキ機構23R,23L,24R,24Lを制御する。すなわち、運転者による運転操作に基づいて駆動用モータ2や差動用モータ21、あるいはブレーキ機構23R,23L,24R,24Lなどを制御する。
さらに、上記のECU25は、運転者が運転操作を行うことなく走行する、いわゆる自動運転走行を行うように、駆動用モータ2や差動用モータ21、あるいはブレーキ機構23R,23L,24R,24Lなどを制御することができる。この自動運転走行についての詳細な説明は、特開2016−099713号公報などに記載されており、例えば、車両Veの周辺環境や車両Veの走行状態などに関するデータがECU25に入力され、その入力されたデータに基づいて走行経路を定めて、駆動用モータ2や差動用モータ21、あるいはブレーキ機構23R,23L,24R,24Lなどを自動的に制御するように構成されている。なお、ここでは、自動運転走行を行うための詳細な構成や制御内容についての説明は省略する。
上記のように構成された車両Veは、自動運転走行中に操舵輪の転舵角を切り替えることができないフェールが生じた場合、より具体的には、図示しないステアリングシャフトを回動させるための電動パワーステアリングモータ(以下、EPSと記す)がフェールした場合に、運転者がステアリング操作を行うことができない時であっても、車両Veを路肩などに自動的に退避することが好ましい。
そのため、この発明の実施形態における退避制御装置は、自動運転走行中に操舵輪の転舵角を切り替えることができないフェールが生じた場合には、左右輪11R,11Lのトルク差を制御することで、車両Veを旋回走行させながら、路肩などの退避場所に車両Veを退避させるように構成されている。
その制御の一例を図3ないし図5に示しており、その制御は、ECU25で実行される。なお、図3ないし図5に示す制御例は、一連のフローで実行することができるものの、便宜上、図3ないし図5に分けて示している。図3に示す例は、まず、自動ステアリングシステムが故障しているか否かを判断する(ステップS1)。このステップS1は、上記EPSからトルクを出力することができない場合などに肯定的に判断される。
自動ステアリングシステムが故障しておりステップS1で肯定的に判断された場合は、運転者によるステアリング操作がないか否かを判断する(ステップS2)。このステップS2は、例えば、ステアリングシャフトに設けられた図示しないトルクセンサなどの検出結果に基づいて判断することができる。
一方、自動ステアリングシステムが故障しておらずステップS1で否定的に判断された場合や、運転者によるステアリング操作がありステップS2で肯定的に判断された場合は、緊急退避制御を終了して(ステップS3)、そのままこのルーチンを一旦終了する。この緊急退避制御とは、左右輪11R,11Lにトルク差を生じさせることで目標とする退避場所に車両Veを自動的に退避させる制御である。したがって、自動ステアリングシステムが故障していない場合には、特に退避制御を実行する必要がなく、また自動ステアリングシステムが故障しているとしても、運転者がステアリング操作を行っている場合には、自動的に車両Veを退避させる必要がないため、ステップS3で緊急退避制御を終了している。
一方、運転者によるステアリング操作がなくステップS2で肯定的に判断された場合は、緊急退避制御を開始または継続し(ステップS4)、ついで、目標退避場所を決定済みか否かを判断する(ステップS5)。上記のように緊急退避制御は、目標とする退避場所に車両Veを退避させる制御であるため、ステップS5では、まず、その目標とする退避場所を決定しているか否かを判断している。
目標退避場所が決定されておらずステップS5で否定的に判断された場合は、ついで、退避可能情報を入手済みであるか否かを判断する(ステップS6)。この退避可能情報とは、このまま車両Veを走行させた場合に、左右輪11R,11Lのトルク差を生じさせたとしても旋回することができない最初のカーブまでの走行路のうち、路肩や路側帯あるいは退避エリアなど停車可能な全ての位置情報であり、例えば、GPSやナビゲーションシステムもしくは自動運転制御のデータなどから入手することができる。
退避可能情報を入手済みでなくステップS6で否定的に判断された場合は、退避可能情報を、GPSやナビゲーションシステムもしくは自動運転制御のデータなどに要求し(ステップS7)、ついで、情報入手が完了したか否かを判断する(ステップS8)。
情報入手が完了しておらずステップS8で否定的に判断された場合は、ステップS7にリターンする。すなわち、情報入手が完了するまでステップS7およびステップS8を繰り返し実行する。それとは反対に情報入手が完了しておりステップS8で肯定的に判断された場合は、情報入手が完了した処理を行う(ステップS9)。具体的には、退避可能情報の要求を終了する。
一方、退避可能情報が入手済みでありステップS6で肯定的に判断された場合や、ステップS9で情報入手が完了した処理を行った後に、それらの情報のうちから目標とする退避場所を決定する。
具体的には、まず、検索用の変数を初期化するとともに、安全に停車可能な退避場所を特定する番号をリセット値に定め、進入可能な退避場所を特定する番号をリセット値に定める(ステップS10)。このステップS10における安全に停車可能な退避場所とは、退避エリアに車両Veが全て収まる退避場所であり、進入可能な退避場所とは、車両Veの一部が走行車線にはみ出すが、大部分が退避エリアに収まる場所である。また、検索用の変数とは、上述したように入手された退避可能な場所のそれぞれに割り当てられた変数であり、その変数毎(退避可能な場所毎)に以下のステップS11からステップS17を実行するように構成されている。なお、その変数は、退避可能な場所のうちの、現在の車両に近い場所から順に割り当てられている。
ステップS10についで目標退避場所が決定され、もしくは検索が完了したか否かを判断する(ステップS11)。具体的には、後述するステップS15により退避場所が決定されたか否か、または退避可能な場所の全てについて検索したか否かを判断する。
退避場所が決定されておらず、または検索が完了していないことによりステップS11で否定的に判断された場合は、ついで、現在の変数に対応する退避可能な場所に進入可能か否かを判断する(ステップS12)。このステップS12は、退避可能な場所に向けて走行するために必要なヨーレートが、左右輪11R,11Lのトルク差を生じさせるのみで発生可能なヨーレートよりも小さいか否かを判断すればよい。すなわち、操舵輪を転舵させることなく退避可能な場所に向けて走行することができるか否かを判断する。
退避可能な場所に進入できずステップS12で否定的に判断された場合は、検索用の変数を次の変数に変更して(ステップS13)、ステップS11にリターンする。それとは反対に退避可能な場所に進入することができステップS12で肯定的に判断された場合は、退避可能な場所に車両Veを全て格納することができるか否かを判断する(ステップS14)。具体的には、退避可能な場所に車両Veを全て格納するために必要なヨーレートが、左右輪11R,11Lのトルク差を生じさせるのみで発生可能なヨーレートよりも小さいか否かや、その退避可能な場所のエリアが車両Veの大きさ以下か否かなどを判断する。なお、退避可能な場所のエリアが大きいとしても、そのエリアに車両Veを格納するために急旋回する必要がある場合などには、その旋回に要するヨーレートが大きくなるため、ステップS14で否定的に判断される。すなわち、ステップS14で判断される退避可能な場所に車両Veを全て格納することができるとは、車両Veの大きさが退避エリアの面積よりも小さいか否かのみを判断するものではない。
退避可能な場所に車両Veを全て格納することができステップS14で肯定的に判断された場合は、その退避可能な場所を目標退避場所に決定し(ステップS15)、ステップS13に移行する。なお、その場合には、ステップS13の後にステップS11が実行され、そのステップS11では、目標退避場所が決定されていることにより肯定的に判断される。したがって、現在の変数以降の変数、すなわち現在の変数に対応した退避可能な場所よりも離れた退避可能な場所については、進入の可否や格納の可否について判断しない。
一方、退避可能な場所に車両Veを全て格納することができずステップS14で否定的に判断された場合は、目標退避場所の候補が未発見であり、または現時点で発見されている目標退避場所の候補よりも走行路へのはみ出し量が少ないか否かを判断する(ステップS16)。このステップS16は、今回の変数(退避可能な場所)を、目標退避場所の候補とするか否かを判断するためのステップである。したがって、現時点で発見されている目標退避場所の候補よりも、今回の変数(退避可能な場所)の方が車両Veを退避させる上で好ましいか否かを判断する。
目標退避場所が発見されており、更にその発見されている目標退避場所の候補よりも走行路へのはみ出し量が多いことによりステップS16で否定的に判断された場合は、ステップS13に移行する。それとは反対に、目標退避場所が未発見であり、または現時点で発見されている目標退避場所の候補よりも走行路へのはみ出し量が少ないことによりステップS16で肯定的に判断された場合は、その変数(退避可能な場所)を目標退避場所の候補として保存して(ステップS17)、ステップS13に移行する。
上述したように車両Veを全て格納することができる退避可能な場所を発見した場合には、その時点でその退避可能な場所を目標退避場所として決定し、車両Veを全て格納することができる退避可能な場所を発見できない場合には、全ての退避可能な場所のうちから目標退避場所の候補を検索する。すなわち、車両Veを全て格納することができる退避可能な場所を優先して目標退避場所として定める。また、上記のように変数は、現在の車両Veに近い場所から順に割り当てられており、目標退避場所が決定された時点で他の変数についてステップS12ないしステップS17を実行しないことになるため、現在の車両Veに近い場所を優先して目標退避場所に設定している。
そして、目標退避場所が決定され、もしくは全ての退避可能な場所について検索が完了したことによりステップS11で肯定的に判断された場合は、目標退避場所が決定されているか否かを判断する(ステップS18)。すなわち、車両Veの全てを格納する退避可能な場所がないか否かを判断する。したがって、全ての退避可能な場所について検索が完了したことによりステップS11で肯定的に判断された場合は、ステップS18で否定的に判断される。
そのようにステップS18で否定的に判断された場合は、現時点で保存されている目標退避場所の候補を採用し(ステップS19)、その目標退避場所の候補を目標退避場所として決定する(ステップS20)。なお、全ての退避可能な場所について検索した結果、目標退避場所の候補と成り得る退避可能な場所が検索されなかった場合には、ステップS10で設定されたリセット値が採用される。その場合には、適当な路肩を目標退避場所として定める。
目標退避場所が決定されていることによりステップS18で肯定的に判断された場合や、ステップS20により目標退避場所が決定された場合には、ついで、GPSやナビゲーションシステムもしくは自動運転制御のデータなどに目標退避場所を通知する(ステップS21)。
目標退避場所が決定されており上記ステップS5で肯定的に判断された場合や、ステップS21を実行した後に、その目標退避場所に向けて走行するために駆動力を制御する。その制御例をステップS22以降に記載してある。上記ステップS5やステップS21についで、通知された目標退避場所に向けた走行(以下、退避走行と記す)中か否かを判断する(ステップS22)。退避走行中でなくステップS22で否定的に判断された場合は、ついで退避走行が完了したか否かを判断する(ステップS23)。このステップS23は、現在の車両Veの位置が、目標退避場所であるか否かなどをGPSやナビゲーションシステムなどに基づいて判断すればよい。
退避走行が完了しておりステップS23で肯定的に判断された場合は、緊急退避制御を終了して(ステップS24)、このルーチンを一旦終了する。それとは反対に退避走行が完了しておらずステップS23で否定的に判断された場合は、退避走行を開始する以前の待機状態となる。そのため、ここではこのルーチンを一旦終了することとしている。
一方、退避走行中でありステップS22で肯定的に判断された場合は、警告を発する(ステップS25)。この警告は、運転者および車両Veの周囲に向けて行い、例えば警告音や警告灯を起動する。ついで、GPSやナビゲーションシステムもしくは自動運転制御のデータなどから、現在の目標ヨーレートを入手する(ステップS26)。上記の目標ヨーレートは、例えば自動運転制御のデータのうち計画された走行経路に沿って走行するために現在要求されるヨーレートを演算などから算出することができる。
ついで、現状のヨーレートと目標ヨーレートとの偏差を求める(ステップS27)。この現状のヨーレートは、車両Veに搭載されたヨーレートセンサ30の値に基づいて求めることができる。ステップS27についで、ステップS27で算出されたヨーレートの偏差から右前輪11Rと左前輪11Lとの分配トルクを算出する(ステップS28)。図1に示す駆動装置1は、差動用モータ21を制御することにより左右輪11R,11Lに伝達されるトルクの分配率を変更することができ、その場合には、一方の駆動輪11R(11L)に伝達されるトルクの増加率と他方の駆動輪11L(11R)に伝達されるトルクの低下率とは同一になる。したがって、ここでは、上記の偏差と正の値の所定の係数とを積算して右前輪11Rに伝達する分配トルクを算出し、偏差と負の値の所定の係数とを積算して左前輪11Lに伝達する分配トルクを算出することができる。
ついで、ステップS28で算出された分配トルクから各駆動輪11R,11Lの要求トルクを算出する(ステップS29)。このステップS29は、加速度の変化に伴う設置荷重の変化や駆動輪11R,11Lと路面とのスリップ率などから求めることができる。
ついで、ステップS29で算出された要求トルクを、駆動用モータ2と差動用モータ21とを作動させることで充足することができるか否かを判断する(ステップS30)。具体的には、左右輪11R,11Lに要求されるトルクの合算値が、駆動用モータ2の最大トルク以下であることと、左右輪11R,11Lの要求トルクの差に基づくトルクの分配率を差動用モータ21を駆動することで充足できることとの少なくとも二つの条件を満たすか否かを判断する。
ステップS29で算出された要求トルクを、駆動用モータ2と差動用モータ21とを作動させることで充足することができ、ステップS30で肯定的に判断された場合は、そのままこのルーチンを一旦終了する。すなわち、ステップS29で算出された各駆動輪11R,11Lの要求トルクに基づいて駆動用モータ2と差動用モータ21とを制御する。
それとは反対に、ステップS29で算出された要求トルクを、駆動用モータ2と差動用モータ21とを作動させることで充足することができずステップS30で否定的に判断された場合は、内輪(以下、左前輪11Lとして説明する)に制動トルクが要求されているか否かを判断する(ステップS31)。このステップS31は、ステップS29で算出された各駆動輪11R,11Lの要求トルクのうち内輪11Lの要求トルクの値が負の値であるか否かで判断することができる。
内輪11Lに制動トルクが要求されていることにより、ステップS31で肯定的に判断された場合には、内輪11Lに要求されるトルクを「0」に切り替え、要求ヨーレートを発生させるために内輪11Lに要求されるトルクを変更した分のトルクを、外輪11Rの要求トルクおよび駆動用モータ2の要求トルクに加算し、更に、内輪11Lに設けられたブレーキ機構23Lの要求トルクを、ステップS29で算出された内輪11Lの要求トルクと同一の制動トルクに定めて(ステップS32)、このルーチンを一旦終了する。すなわち、ステップS32では、駆動用モータ2から内輪11Lに伝達されるトルクを「0」にした状態で、車両Ve全体としての駆動力を維持しつつ、左右輪11R,11Lのトルクの分配率を満たすように、駆動用モータ2および差動用モータ21ならびにブレーキ機構23Lの要求トルクを定めて制御する。
それとは反対に内輪11Lに制動トルクが要求されておらずステップS31で否定的に判断された場合には、目標ヨーレートを充足することができるように内輪11Lに連結されたブレーキ機構23Lの要求トルクを定めて(ステップS33)、このルーチンを一旦終了する。この場合、駆動用モータ2から車両Veに要求される駆動トルクを出力し、差動用モータ21から最大トルクを出力する。したがって、車両Ve全体としての出力トルクは、駆動用モータ2の出力トルクからブレーキ機構23Lによる制動トルクを減じたトルクとなるため、要求トルクよりも小さくなる。すなわち、車両Veの駆動力を低下させつつ、目標ヨーレートを発生させるように、駆動用モータ2および差動用モータ21ならびにブレーキ機構23Lの要求トルクを定めて制御する。
上述したように左右輪11R,11Lに伝達するトルクの分配率を制御できる差動制御機構(差動用モータ21)を備えた自動運転車両Veでは、車両Veが発生し得るトルク差ΔTは、差動用モータ21が最大トルクを出力した場合の差動機構19に作用するトルクをTCmaxとし、その差動機構19のギヤ比をGrとし、ブレーキ機構23L(23R)の最大制動トルクをTBmaxとした場合には、以下の式で求めることができる。
ΔT=2(TCmax×Gr)+TBmax
ΔT=2(TCmax×Gr)+TBmax
なお、差動用モータ21を備えていない車両が発生し得るトルク差ΔTは、以下の式で求めることができる。
ΔT=TBmax
ΔT=TBmax
したがって、上述したように左右輪11R,11Lに伝達するトルクの分配率を制御できる差動制御機構(差動用モータ21)を備えた自動運転車両Veでは、差動制御機構によりトルクの分配率を制御することによる左右輪11R,11Lのトルク差と、ブレーキ機構23R,23Lで一方の車輪23L(23R)に制動トルクを作用させることによる左右輪11R,11Lのトルク差とを発生させることができるため、差動制御機構を備えていない車両と比較して左右輪11R,11Lのトルク差を大きくすることができる。したがって、操舵輪の転舵角を制御することができないフェールが生じた場合であっても、比較的小さい旋回半径の走行を行うことができるので、退避走行する際における退避場所の選択自由度を向上させることができる。
なお、この発明の実施形態における自動運転車両は、前後それぞれに駆動装置を備えた、いわゆる四輪(全輪)駆動の車両であってもよい。
1…駆動装置、 2…駆動用モータ、 7R,7L…遊星歯車機構、 11R,11L…前輪、 13…反転機構、 19…差動機構、 21…差動用モータ、 22R,22L…車輪、 23R,23L,24R,24L…ブレーキ機構、 25…電子制御装置(ECU)、 Ve…車両。
Claims (1)
- 駆動力源と、前記駆動力源の出力トルクを一対の駆動輪に分配する差動機構と、前記差動機構のトルクの分配率を制御できる差動制御機構とを有する駆動装置と、左右輪のそれぞれに制動トルクを作用させることができるブレーキ機構とを備え、
運転者がステアリング操作することなく操舵輪の転舵角を自動で制御し、かつ運転者が駆動操作することなく前記駆動力源の出力トルクを自動で制御し、かつ運転者が制動操作することなく前記ブレーキ機構の制動トルクを自動で制御して走行する自動運転走行をすることができる自動運転車両の退避制御装置において、
前記駆動力源の出力トルクと前記差動制御機構と前記ブレーキ機構の制動トルクとを制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記自動運転走行中に前記操舵輪の転舵角を自動で切り替えることができないフェールが生じた場合に、前記自動運転車両を退避させる退避場所を決定し、
前記決定された退避場所に向けて前記自動運転車両を退避させるために要求されるヨーレートを求め、
前記差動制御機構により前記トルク分配率を制御することにより前記要求されるヨーレートを生じることができない場合には、前記ブレーキ機構により前記左右輪のうちの内輪に制動トルクを作用させるように構成されている
ことを特徴とする自動運転車両の退避制御装置。
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JP2017098033A JP2018192901A (ja) | 2017-05-17 | 2017-05-17 | 自動運転車両の退避制御装置 |
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CN110053630A (zh) * | 2019-06-06 | 2019-07-26 | 百度在线网络技术(北京)有限公司 | 车辆控制方法及装置 |
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2017
- 2017-05-17 JP JP2017098033A patent/JP2018192901A/ja active Pending
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