JP2018192522A - 抵抗溶接装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接ガンを軸周りに回転可能にしつつ、回転させるための回転機構部における固定部と可動部の間に安定して大電流を流すことができる抵抗溶接装置を提供する。【解決手段】固定軸部74の第1固定軸741とガン本体72との通電を図る第1給電装置76と、固定軸部74の第2固定軸742と摺動導電体73との通電を図る第2給電装置77とを備え、第1,第2給電装置76,77は、半円形溝を形成した第1,第2ブロック体と、復元力によって第1,第2ブロック体を互いに引き離すコイルスプリングと、第1,第2ブロック体の半円形溝と部分的に嵌合する円筒形状を成し、外周面及び内周面の少なくとも一方の面に、一端から他端に至る長さの溝を少なくとも1つ有するブッシュと、第1ブロック体と第2ブロック体を引き寄せることでブッシュを挟圧する挟圧機構とを備える。【選択図】 図2

Description

本発明は、被溶接物(例えば、少なくとも2枚の鋼板を重ね合わせてなる板組)に対してスポット溶接を行う抵抗溶接装置に係り、特に片側電極を備えた抵抗溶接装置に関する。
従来、上述した抗溶接装置には、定置式と呼ばれるもの(例えば特許文献1参照)や、テーブル式と呼ばれるもの(例えば特許文献2参照)がある。定置式の抵抗溶接装置は、対向配置された上部と下部の2つの電極にて被溶接物を挟持し、加圧しつつ通電を行って溶接するものである。テーブル式の抵抗溶接装置は、下部をテーブル形状の電極(以下、“テーブル電極”と呼ぶ)とし、上部を上下左右に移動可能なガン型電極として、テーブル電極上に被溶接物を載置し、ガン型電極の先端部分を被溶接物の溶接点に当て、加圧しつつ通電を行って溶接するものである。
また、近年、別体となった2つの電極で被溶接物を挟み込んで溶接を行うのではなく、一体となった2つの電極を被溶接物に対して、一方向(主に上方向)から押し付けて溶接を行う所謂片側溶接の発明が多く見られるようになってきた(例えば特許文献3,4参照)。
ここで、特許文献4に記載された溶接装置を参照して片側電極について説明する。図16〜図19は、特許文献4に記載された溶接装置の使用状態を説明するための図である。図16及び図17に示すように、片側電極85は、これを支持するガン本体72と通電し、先端部分に絶縁リング85Cが配備された内側電極85Aと、内側電極85Aの外周側に、内側電極85Aと同軸状に配置された外側電極85Bとを備える。外側電極85Bは、摺動導電体73と一体化し、摺動導電体73よって軸方向へ移動する(即ち、被溶接物500に向けて移動する)。ガン本体72と摺動導電体73は溶接ガン6を構成する。ガン本体72と摺動導電体73の間には、これらを連結するとともに、ガン本体72に対して摺動導電体73を案内する直動ガイド80が配設されている。
被溶接物500は、2枚の鋼板500a,500bを重ね合わせてなる板組であり、溶接箇所の上側の鋼板(以下、“上側鋼板”と呼ぶ)500aには、図19の(a)に示すような逃がし孔550が形成されている。図17及び図18に示すように、逃がし孔550の内側で内側電極85Aの先端が下側の鋼板(以下、“下側鋼板”と呼ぶ)500bを押圧し、次いで、外側電極85Bが被溶接物500の鋼板500aの逃がし孔550の開口周縁部を押圧する。被溶接物500の接合部には、図19の(a)に示すような複数個(同図では3個)のプロジェクション551が形成されていて、内側電極85Aが下側鋼板500bを押圧し、外側電極85Bが上側鋼板500aを押圧している状態で、外側電極85Bと内側電極85Aの間に給電が行われることで、外側電極85B→上側鋼板500aのプロジェクション551→下側鋼板500b→内側電極85Aの経路で電流が流れ、これにより被溶接物500の上側鋼板500aと下側鋼板500bが溶接される。
ところで、上述した溶接ガン6は、図16に示す被溶接物500の下側鋼板500bのような上端部分500b1が内側に折り曲げられたものでも溶接を行うことができるように、ガン本体72をコ字状とし、摺動導電体73をL字状としている。このような構造を採ることで、被溶接物500の反対側の上端部分(図示略)も内側に折れ曲がっていれば、溶接ガン6を軸周りに180度反転させることで溶接を行うことができる。但し、溶接ガン6を軸周りに回転できるようにした場合、回転機構部を中心として、装置本体側と溶接ガン6側の間を電気的に繋ぐ手段が必要となり、現状ではその手段として給電ケーブル(“抵抗溶接用ケーブル”、“二次ケーブル”などとも呼ばれている)が用いられている。
装置本体と溶接ガン6側の間の電気的な接続に給電ケーブルを用いると、溶接装置の使用中に給電ケーブルが絡まることがある。また、抵抗溶接では大電流が流れるので、断面積の大きな給電ケーブルが必要となり、それによって給電ケーブルの重量が嵩み、溶接ガン6が扱い難くなる。このような課題に対し、給電ケーブルを用いることなく装置本体側と溶接ガン6側の間の電気的な接続を行えるものとして、例えば特許文献5に記載された給電装置がある。同文献に記載された給電装置は、先端に電極を備えた加圧軸にトランスから給電子を介して溶接電流が供給される溶接機において、溶接機本体に並列して該溶接機本体に溶接用トランスを固定し、該溶接機本体に形成した給電ハウジングに前記トランスの二次側端子を接続し、かつ給電ハウジングに前記加圧軸に向けてリング状の溝を形成し、該溝に導電性の斜め巻きコイルスプリングを収納し、該斜め巻きコイルスプリングを前記給電ハウジング及び加圧軸に接触させて給電子としている。
特開2002−239746号公報 特開平06−328265号公報 特開2011−031269号公報 特開2017−035707号公報 特開2010−131660号公報
しかしながら、上記特許文献5に記載された給電装置においては、給電ハウジングと加圧軸の間に、斜め巻きコイルスプリングの復元力による与圧をかけて給電ハウジングと加圧軸を圧接させるようにしているが、斜め巻きコイルスプリングの復元力による与圧のみでの圧接では大電流を流したときの反動に耐えられない虞がある。例えば、裏面に保護シートが貼られた鋼板や裏面に塗装が施された鋼板を溶接する場合に、保護シートが焼けたり塗装が熱変色したりしないように、大電流を極短時間流すようにする必要があるが、このときの大電流を上記先行技術の給電装置では対応できない虞がある。
なお、復元力の大きなスプリングを用いて加圧軸に対する給電ハウジングの締め付けを強くすれば大電流を流したときの反動を低減できることは不可能ではないものの、締め付けを強くすることで加圧軸を動かすことが困難になる。
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、溶接ガンを軸周りに回転可能にしつつ、回転させるための回転機構部における固定部と可動部の間を繋ぐ給電ケーブルを省くことができるとともに、該固定部と該可動部の間に安定して大電流を流すことができる抵抗溶接装置を提供することを目的とする。
本発明の抵抗溶接装置は、平行部25aと両端のU字状の湾曲部25bにより構成される環状磁心25と、前記環状磁心25の前記平行部25aに、複数の部分に分けて間隙12aを空けて分割巻きされる1次コイル12と、前記1次コイル12と共に前記環状磁心25の前記平行部25aに巻回され、前記1次コイル12に設けられた前記各間隙12aに1個ずつ挟み込むように、複数の正側コイル14と複数の負側コイル16とを交互に配列した2次コイル15と、前記複数の正側コイル14は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記複数の負側コイル16は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記接続された前記複数の正側コイル14と前記複数の負側コイル16とが互いに直列接続されるように、前記正側コイル14と前記負側コイル16の端子間を電気接続する導体群を有し、かつ、前記導体群により、前記全ての前記正側コイル14と前記負側コイル16とを一方の面上に支持固定する接続基板62を備え、前記複数の正側コイル14の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面上で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第1連結極板44に電気接続され、前記複数の負側コイル16の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第2連結極板46に電気接続され、前記正側コイル14と前記負側コイル16の他端は、共に、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第3連結極板48に電気接続され、前記第1連結極板44には、正側導体30が連結され、前記第2連結極板46には、負側導体32が連結され、前記正側導体30と前記負側導体32とは、前記接続基板62の他方の面側において、当該他方の面から垂直に離れる方向に伸びる境界面に配置された絶縁層31を介して重ね合わされた一対の導体板であって、前記正側導体30と第1極板34に挟まれて、前記正側導体30に負極を接触させ前記第1極板34に正極を接触させた整流素子18と、前記負側導体32と第2極板36に挟まれて、前記負側導体32に負極を接触させ前記第2極板36に正極を接触させた整流素子20と、前記第1極板34と前記第2極板36を支持し、両者を電気接続する第3極板38と、前記第3極板38に接続されたプラス電極22と、前記第3連結極板48に接続されたマイナス電極24と、を備えた溶接トランス10と、先端部分72Aと基端部分72Bの双方が同一方向に直角に曲がったコ字状のガン本体72、及び、前記ガン本体72の両端部分が直角に曲がった側の第1面と反対側の第2面に近接配置され、前記第2面の長手方向に沿って摺動可能であって、先端部分73Aが前記ガン本体72の先端部分72Aと同一方向に直角に曲がるとともに、前記ガン本体72の先端に達する長さを有するL字状の摺動導電体73を備え、前記溶接トランス10より出力される電流が給電ケーブル7を介して供給される溶接ガン6と、前記溶接ガン6の前記ガン本体72の先端部分72Aと前記摺動導電体73の先端部分73Aに亘って設けられ、前記ガン本体72と導通し、先端に絶縁リング85Cが設けられた円柱状の内側電極85A、及び、円筒状を成すと共に、前記摺動導電体73と一体化し、軸方向に前記内側電極85Aを内挿可能な外側電極85Bで構成された片側電極85と、を備えた抵抗溶接装置において、前記溶接ガン6は、円柱状の導電性金属部材から成り、前記給電ケーブル7を介して前記溶接トランス10の前記マイナス電極24に接続される第1固定軸741、及び、円筒状の導電性金属部材から成り、前記第1固定軸741と非導通状態を保ちつつ、該第1固定軸741を挿通可能とし、前記給電ケーブル7を介して前記溶接トランス10の前記プラス電極22に接続される第2固定軸742を備え、前記ガン本体72及び前記摺動導電体73を、前記第1固定軸741と前記第2固定軸742に共通する中心軸を回転中心として回転自在に支持する固定軸部74と、前記溶接ガン6の前記ガン本体72と前記固定軸部74の間に配設され、前記固定軸部74の前記第1固定軸741と前記ガン本体72を電気的に接続する第1給電装置76と、前記溶接ガン6の前記摺動導電体73と前記固定軸部74の間に配設され、前記固定軸部74の前記第2固定軸742と前記摺動導電体73を電気的に接続する第2給電装置77と、を更に備え、前記第1給電装置76及び前記第2給電装置77の各々は、平面視凹状の立体形であって、凹んだ部分の形状が半円状となった導電性金属部材から成る第1ブロック体761と、前記第1ブロック体761と略同じ形状で且つ同じ導電性金属部材から成り、半円状の凹部が存在する側の面が前記第1ブロック体761の半円状の凹部が存在する側の面と対向するように配置された第2ブロック体762と、前記第1ブロック体761と前記第2ブロック体762が、それぞれの半円状の凹部の存在する側の面が対向するように配置される状態で、前記第1ブロック体761と前記第2ブロック体762の間に圧縮状態で配設され、復元力によって前記第1ブロック体761と前記第2ブロック体762を引き離すように作用するコイルスプリング763,764と、円筒状の導電性金属部材から成り、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762それぞれの半円状の凹部と部分的に嵌合し、外周面及び内周面の少なくとも一方の面に、一方の開口端から他方の開口端に至る長さの溝を少なくとも1つ有するブッシュ765と、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762の少なくとも一方を他方側に引き寄せることで、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762によって前記ブッシュ765を挟圧する挟圧機構766,767と、を備え、前記第1給電装置76及び前記第2給電装置77のそれぞれにおいて前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762を固定部と呼び、前記ブッシュ765を可動部と呼ぶとし、前記片側電極への給電の際に、前記挟圧機構766,767を作動させて前記固定部と前記可動部を導通させる。
上記構成によれば、第1固定軸741とガン本体72の間の通電を図る第1給電装置76と、第2固定軸742と摺動導電体73の間の通電を図る第2給電装置77とを有するので、第1固定軸741とガン本体72の間と、第2固定軸742と摺動導電体73の間のそれぞれを繋ぐ給電ケーブルを省くことができるとともに、それぞれの間に安定して大電流を流すことが可能となる。これにより、短時間に大電流の供給を可能とする溶接トランス10からの電流を効率良く片側電極85に流すことが可能となり、片側電極85の利点(即ち、片面に保護シートが貼られた被溶接物の溶接においては、裏面に圧痕や熱による焼けや歪を発生させ難く、片面塗装された被溶接物の溶接においては、焼けや熱変色を発生させ難いという利点)をさらに活かすことができる。また、大電流を短時間に流すことができることから、省電力化も図れる。
本発明の抵抗溶接装置は、平行部25aと両端のU字状の湾曲部25bにより構成される環状磁心25と、前記環状磁心25の前記平行部25aに、複数の部分に分けて間隙12aを空けて分割巻きされる1次コイル12と、前記1次コイル12と共に前記環状磁心25の前記平行部25aに巻回され、前記1次コイル12に設けられた前記各間隙12aに1個ずつ挟み込むように、複数の正側コイル14と複数の負側コイル16とを交互に配列した2次コイル15と、前記複数の正側コイル14は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記複数の負側コイル16は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記接続された前記複数の正側コイル14と前記複数の負側コイル16とが互いに直列接続されるように、前記正側コイル14と前記負側コイル16の端子間を電気接続する導体群を有し、かつ、前記導体群により、前記全ての前記正側コイル14と前記負側コイル16とを一方の面上に支持固定する接続基板62を備え、前記複数の正側コイル14の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面上で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第1連結極板44に電気接続され、前記複数の負側コイル16の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第2連結極板46に電気接続され、前記正側コイル14と前記負側コイル16の他端は、共に、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第3連結極板48に電気接続され、前記第1連結極板44には、正側導体30が連結され、前記第2連結極板46には、負側導体32が連結され、前記正側導体30と前記負側導体32とは、前記接続基板62の他方の面側において、当該他方の面から垂直に離れる方向に伸びる境界面に配置された絶縁層31を介して重ね合わされた一対の導体板であって、前記正側導体30と第1極板34に挟まれて、前記正側導体30に負極を接触させ前記第1極板34に正極を接触させた整流素子18と、前記負側導体32と第2極板36に挟まれて、前記負側導体32に負極を接触させ前記第2極板36に正極を接触させた整流素子20と、前記第1極板34と前記第2極板36を支持し、両者を電気接続する第3極板38と、前記第3極板38に接続されたプラス電極22と、前記第3連結極板48に接続されたマイナス電極24と、を備えた溶接トランス10と、先端部分72Aと基端部分72Bの双方が同一方向に直角に曲がったコ字状のガン本体72、及び、前記ガン本体72の両端部分が直角に曲がった側の第1面と反対側の第2面に近接配置され、前記第2面の長手方向に沿って摺動可能であって、先端部分73Aが前記ガン本体72の先端部分72Aと同一方向に直角に曲がるとともに、前記ガン本体72の先端に達する長さを有するL字状の摺動導電体73を備えた溶接ガン6Bと、前記溶接ガン6Aの前記ガン本体72の先端部分72Aと前記摺動導電体73の先端部分73Aに亘って設けられ、前記ガン本体72と導通し、先端に絶縁リング85Cが設けられた円柱状の内側電極85A、及び、円筒状を成すと共に、前記摺動導電体73と一体化し、軸方向に前記内側電極85Aを内挿可能な外側電極85Bで構成された片側電極85と、を備えた抵抗溶接装置において、前記溶接ガン6Bは、円柱状の導電性金属部材から成り、一端が前記溶接トランス10の前記マイナス電極24Aに直結される第1固定軸741B、及び、円筒状の導電性金属部材から成り、前記第1固定軸741Bと非通電状態を保ちつつ、該第1固定軸741Bの挿通を可能とし、前記第1固定軸741Bの一端と同じ側に位置する開口端側に、中心軸方向に対して直角方向に延在する環状鍔部Baを有し、該環状鍔部Baが前記溶接トランス10の前記プラス電極22Aに直結される第2固定軸742Bを備え、前記ガン本体72及び前記摺動導電体73を、前記第1固定軸741Bと前記第2固定軸742Bに共通する中心軸を回転中心として回転自在に支持する固定軸部74Bと、前記固定軸部74Bの前記第1固定軸741Bと前記ガン本体72を電気的に接続する第1給電装置76と、前記固定軸部74Bの前記第2固定軸742Bと前記摺動導電体73を電気的に接続する第2給電装置77と、を更に備え、前記第1給電装置76及び前記第2給電装置77の各々は、平面視凹状の立体形であって、凹んだ部分の形状が半円状となった導電性金属部材から成る第1ブロック体761と、前記第1ブロック体761と同じ形状で且つ同じ導電性金属部材から成り、半円状の凹部が存在する側の面が前記第1ブロック体761の半円状の凹部が存在する側の面と対向するように配置された第2ブロック体762と、前記第1ブロック体761と前記第2ブロック体762が、それぞれの半円状の凹部の存在する側の面が対向するように配置された状態で、前記第1ブロック体761と前記第2ブロック体762の間に圧縮状態で配設され、復元力によって前記第1ブロック体761と前記第2ブロック体762を引き離すように作用するコイルスプリング763,764と、円筒状の導電性金属部材から成り、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762それぞれの半円状の凹部と部分的に嵌合し、外周面及び内周面の少なくとも一方の面に、一方の開口端から他方の開口端に至る長さの溝を少なくとも1つ有するブッシュ765と、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762の少なくとも一方を他方側に引き寄せることで、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762によって前記ブッシュ765を挟圧する挟圧機構766,767と、を備え、前記第1給電装置76及び前記第2給電装置77のそれぞれにおいて前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762を固定部と呼び、前記ブッシュ765を可動部と呼ぶとし、前記片側電極への給電の際に、前記挟圧機構766,767を作動させて前記固定部と前記可動部を導通させる。
上記構成によれば、第1固定軸741Bとガン本体72の間の通電を図る第1給電装置76と、第2固定軸742Bと摺動導電体73の間の通電を図る第2給電装置77とを有するとともに、溶接トランス10を固定軸部74Bに直結させているので、第1固定軸741Bとガン本体72の間と、第2固定軸742Bと摺動導電体73の間と、溶接トランス10と固定軸部74Bの間のそれぞれの間において給電ケーブルを省くことができるとともに、それぞれの間に安定して大電流を流すことが可能となる。これにより、短時間に大電流の供給を可能とする溶接トランス10からの電流をさらに効率良く片側電極85に流すことが可能となり、片側電極85の利点(即ち、片面に保護シートが貼られた被溶接物の溶接においては、裏面に圧痕や熱による焼けや歪を発生させ難く、片面塗装された被溶接物の溶接においては、焼けや熱変色を発生させ難いという利点)をさらに活かすことができる。また、大電流を短時間に流すことができることから、省電力化も図れる。
本発明によれば、溶接ガンを軸周りに回転可能にしつつ、回転させるための回転機構部における固定部と可動部の間に安定して大電流を流すことができる。
本発明の第1実施形態に係る抵抗溶接装置の外観構成を示す側面図 図1の抵抗溶接装置の溶接ガンの詳細な構成を示す側面図 図1の抵抗溶接装置の第1給電装置の外観構成を示す平面図 図1の抵抗溶接装置の第1給電装置の金属製ブッシュを示し、(a)は軸方向から見た外観図、(b)は軸方向に対し直角方向から見た外観図 図1の抵抗溶接装置の第1,第2給電装置及び第1,第2固定軸それぞれの縦断面並びに溶接時の電流経路を示す図 図1の抵抗溶接装置の概略構成を示す図 図1の抵抗溶接装置の溶接トランスの1次側に供給される電流を制御するための制御パルス、1次電流及び整流後の溶接電流を示す図 図1の抵抗溶接装置の溶接トランスと溶接ガンの結線を示す図 図1の抵抗溶接装置の溶接トランスの第1整流素子に順方向電流が流れたときの回路動作を示す図 図1の抵抗溶接装置の溶接トランスの第2整流素子に順方向電流が流れたときの回路動作を示す図 図1の抵抗溶接装置の溶接トランスの外観を示す斜視図 図1の抵抗溶接装置の溶接トランスの組み立て状態を示す斜視図 本発明の第2実施形態に係る抵抗溶接装置の外観構成を示す側面図 図13の抵抗溶接装置の溶接ガンの詳細な構成を示す側面図 図13の抵抗溶接装置の溶接トランスの外観構成を示す斜視図 特許文献4に記載された溶接装置の使用状態を説明するための図 特許文献4に記載された溶接装置の使用状態を説明するための図 特許文献4に記載された溶接装置の使用状態を説明するための図 特許文献4に記載された溶接装置の使用状態を説明するための図
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aの外観構成を示す側面図である。同図において、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aは、冷却ユニット2と、電源ユニット3と、支持ポスト4と、支持アーム5と、溶接ガン6と、給電ケーブル7と、ガンシャフト8と、テーブル9と、溶接トランス10と、溶接条件設定器11と、ハンドル65と、給電装置66と、加圧装置67と、を備える。
冷却ユニット2は、主に溶接ガン6で発生する熱を冷却するための冷却水を供給する。冷却ユニット2は、電源が投入されている間は常時動作し、溶接ガン6との間で冷却水を循環させる。なお、冷却ユニット2と溶接ガン6の間における冷却水の搬送には、樹脂製のチューブ(図示略)が用いられる。電源ユニット3は、受電設備400(図6参照)から供給される三相の交流電力を直流に変換し、更に変換後の直流を高周波交流に変換して出力する。支持ポスト4は、冷却ユニット2の近傍にて垂直方向に立設され、支持アーム5を水平方向に回動自在に支持する。
支持アーム5は、第1アーム5Aと、第2アーム5Bと、第1アーム5Aと第2アーム5Bを回動自在に繋ぐ回動軸5Cとを有し、第1アーム5Aの基端部が支持ポスト4の上端部に水平方向に回動自在に支持される。ガンシャフト8は、長尺棒状を成し、支持アーム5の先端部において、該支持アーム5に対して直角方向に上下動自在に配設される。ガンシャフト8の下端部には溶接ガン6及びハンドル65が配設され、上端部には給電装置66が配設され、支持アーム5の直上部には加圧装置67が配設される。なお、これら各種部品が設けられたガンシャフト8は、第2アーム5Bの先端部分に設けられる昇降機構(図示略)によって一定の張力で引き上げられた状態で保持される。この昇降機構の作用により、溶接ガン6を上下方向の任意の位置に停止させることができる。
給電装置66は、2枚の導電性金属板(図示略)を内蔵し、圧縮空気の供給を受けることで接触状態になる開閉器である。加圧装置67は、圧縮空気の供給を受けることでガンシャフト8を把持し、さらにガンシャフト8を下方へ押圧する。ハンドル65は、リング形状を成し、人手による溶接ガン6の回転を補助する。ハンドル65には押しボタン式の起動スイッチ68が配設されており、この起動スイッチ68を押下することで電源ユニット3に溶接指令が出力される。電源ユニット3は、起動スイッチ68による溶接指令を受けることで溶接ガン6に対する加圧と電流供給を行う。即ち、電源ユニット3は、溶接指令を受けることで、加圧装置67を作動させて溶接ガン6を被溶接物500に向かう方向に加圧するとともに、給電装置66を作動させて溶接ガン6への給電を行う。
給電ケーブル7は、2本のケーブル7A,7Bで構成され、溶接トランス10とガンシャフト8の間を接続する。溶接トランス10は、本願発明者等が先に特開2012−210654号、特開2013−179205号で提案した抵抗溶接用の溶接トランスと同等のものであり、高速で精密な大電流の溶接制御に追随できるものである。なお、溶接トランス10については後に詳細に説明する。
図2は、溶接ガン6の詳細な構成を示す側面図である。同図において、溶接ガン6は、ガン本体72と、摺動導電体73と、ガン本体72及び摺動導電体73を水平方向に回転自在に支持する固定軸部74と、固定軸部74とガン本体72の間に配設される第1給電装置76と、固定軸部74と摺動導電体73の間に配設される第2給電装置77と、を備える。ガン本体72は、先端部分72Aと基端部分72Bの双方が同一方向に直角に曲がったコ字状を成す。ガン本体72の先端部分72Aには片側電極85の内側電極85Aが配設される。摺動導電体73は、ガン本体72の両端部分72A,72Bが直角に曲がった側の第1面72cと反対側の第2面72dに近接配置され、ガン本体72の第2面72dの長手方向(図では上下方向)に沿って摺動可能であって、先端部分73Aがガン本体72の先端部分72Aと同一方向に直角に曲がるとともに、ガン本体72の先端に達する長さを有する略L字状を成している。摺動導電体73の先端部分73Aには片側電極85の外側電極85Bが配設される。片側電極85は、溶接ガン6のガン本体72の先端72の先端部分72Aと摺動導電体73の先端部分73Aに亘って設けられ、ガン本体72と導通し、先端に絶縁リング85Cが設けられた円柱状の内側電極85Aと、円筒状を成すと共に、摺動導電体73と一体化し、軸方向に内側電極85Aを介挿可能な外側電極85Bを備える。
ガン本体72と摺動導電体73の間には、これらを連結するとともにガン本体72に対して摺動導電体73を案内する直動ガイド80が配設されている。直動ガイド80は、レール80Aと、レール80A上を滑動可能な2つの接続片80Bとを備え、レール80Aは摺動導電体73側に配設され、接続片80Bはガン本体72側に配設される。接続片80Bのレール80Aと接触する部分には絶縁材が配設されており、レール80Aと接続片80Bが非導通状態となっている。
固定軸部74は、円柱状の導電性金属部材から成る第1固定軸741と、円筒状の導電性金属部材から成り、第1固定軸741の挿通を可能とし、第1固定軸741の一端と同じ側に位置する開口端側に、中心軸方向に対して直角方向に延在する環状鍔部742aを有する第2固定軸742と、中央に第2固定軸742を嵌挿可能な孔が形成された円板状の第1ベアリング支持板743と、を備える。第1固定軸741は、第2固定軸742の環状鍔部742aの上端から第1給電装置76の底面に至る長さを有し、第2固定軸742は、環状鍔部742aの上端から第2給電装置77の底面に至る長さを有する。第1固定軸741と第2固定軸742の間には絶縁材95(図5参照)が配設されており、第1固定軸741と第2固定軸742が非導通状態となっている。固定部74は、ガンシャフト8の先端部分に接続されて、ガン本体72及び摺動導電体73を、第1固定軸741と第2固定軸742に共通する中心軸を回転中心として回転自在に支持する。第1固定軸741と第2固定軸742は、ガンシャフト8内を通した同軸状のケーブル(図示略)と、給電ケーブル7を順次介して溶接トランス10の2次側に接続される。この場合、第1固定軸741は、溶接トランス10の2次側のマイナス電極24に接続され、第2固定軸742は、溶接トランス10の2次側のプラス電極22に接続される。
第1給電装置76は、第1固定軸741とガン本体72を電気的に接続するものであり、第2給電装置77は、第2固定軸742と摺動導電体73を電気的に接続するものである。第1給電装置76と第2給電装置77の間には絶縁材(図示略)が配設されており、第1給電装置76と第2給電装置77が非導通状態となっている。第1給電装置76とガン本体72の間には、圧縮空気の供給を受けることでガン本体72を下方へ付勢するシリンダ86が配設されている。シリンダ86は、ガン本体72が支持する内側電極85Aが被溶接物500(図6参照)に当てられて加圧されたときに、その加圧によってガン本体72が押し戻されないように(即ち、ガン本体72が後退しないように)、ガン本体72に対して下方に向かう力を与えるものである。シリンダ86に内蔵されたピストン(図示略)は、シリンダ86に供給される圧縮空気の量に応じて可動する。このピストンはガン本体72と間接的に接続される。第1給電装置76とシリンダ86は非導通状態となるため、第1給電装置76とガン本体72が金属製のジャンパー線82によって電気的に接続される。
第2給電装置77の上面側には、第2給電装置77及び摺動導電体73と非導通状態となった第2ベアリング支持板87が配設されている。第2ベアリング支持板87と固定部74の第1ベアリング支持板743の間には複数個(図では2個だけ見えているが、2個以上存在している)のベアリング88が配設されており、これらのベアリング88によって、可動部(即ち、ガン本体72、摺動導電体73、第1給電装置76、第2給電装置77、直動ガイド80、片側電極85及び第2ベアリング支持板87が一体化したもの)の水平方向への回転が可能となっている。第1固定軸741とガン本体72の通電は、上述したジャンパー線82を介して行われる。
第1給電装置76と第2給電装置77は、大きさに違いがあるものの、基本的には同じ構造であるので、第1給電装置76を例に挙げて、その構造について説明する。図3は、第1給電装置76の外観構成を示す平面図である。同図において、第1給電装置76は、第1ブロック体761と、第2ブロック体762と、コイルスプリング763,764と、ブッシュ765と、挟圧機構766,767と、を備える。本実施形態では、これらの部品のうち、少なくとも第1,第2ブロック体761,762及びブッシュ765には、銅等の導電性に優れた金属材が用いられる。また、本実施形態では、金属製のコイルスプリング763,764を用いているが、ゴム等の非金属製の弾性部材を用いることも可能である。
第1ブロック体761は、平面視凹状の立体形であって、凹んだ部分の形状が半円状となった導電性金属部材から成る。なお、以後、第1ブロック体861の凹んだ部分を半円形溝7611と呼ぶ。第1ブロック体761には、半円形溝7611を挟む両側に貫通孔7612,7613が形成されている。これらの貫通孔7612,7613は、半円形溝7611の円心から一定距離を隔てた位置において、第1ブロック体761の短手方向(半円形溝7611の円心方向に対して直角方向)に形成される。また、これらの貫通孔7612,7613は、共に半円形溝7611の開口端側の径が大きくなった異径構造を有している。貫通孔7612の径の大きい部分(“大径部分”と呼ぶ)7612aには、コイルスプリング763の一端部分が挿入され、貫通孔7613の径の大きい部分(“大径部分”と呼ぶ)7613aには、コイルスプリング764の一端部分が挿入される。
一方、第2ブロック体762は、第1ブロック体761と略同じ形状で且つ同じ導電性金属部材から成り、半円状の凹部が存在する側の面が、第1ブロック体761の半円状の凹部が存在する側の面と対向するように配置されている。なお、第2ブロック体762においても凹んだ部分を半円形溝7621と呼ぶ。第2ブロック体762には、半円形溝7621を挟む両側に貫通孔7631,7632が形成されている。これらの貫通孔7631,7632は、半円形溝7621の円心から一定距離を隔てた位置において、第2ブロック体762の短手方向(半円形溝7621の円心方向に対して直角方向)に形成される。また、これらの貫通孔7631,7632は、共に半円形溝7621の開口端側の径が大きくなった異径構造を有している。貫通孔7631の径の大きい部分(“大径部分”と呼ぶ)7631aにはコイルスプリング763の他端部分が挿入され、貫通孔7632の径の大きい部分(“大径部分”と呼ぶ)7632aにはコイルスプリング764の他端部分が挿入される。
上述したように、コイルスプリング763は、第1ブロック体761の貫通孔7612の大径部分7612aと第2ブロック体762の貫通孔7631の大径部分7631aの間に挿入され、コイルスプリング764は、第1ブロック体761の貫通孔7613の大径部分7613aと第2ブロック体762の貫通孔7632の大径部分7632aの間に挿入される。この場合、コイルスプリング763,764は、第1ブロック体761と第2ブロック体762の間に圧縮状態で配設されるので、その復元力によって第1ブロック体761と第2ブロック体762を常時引き離すよう作用する。
第1,第2ブロック体761,762は、半円形溝7611,7621が形成された面側が互いに向かい合うように対向配置された状態で、挟圧機構766,767にて接続される。挟圧機構766は、先端部にネジが切られ、コイルスプリング763内を挿通できる外径を有する円柱棒状のロッド7661と、ロッド7661の先端部に切られたネジに螺合するナット7662と、ナット7662と第1ブロック体761の貫通孔7612の開口端の間に挿入されるワッシャー7663と、ピストン内蔵のシリンダ7664とを備える。シリンダ7664は、圧縮空気の供給を受けることで内蔵するピストン(図示略)が可動するものである。シリンダ7664内のピストンにはロッド7661の他端が接続されるので、シリンダ7664に圧縮空気が供給されてピストンが可動することで、ロッド7661がシリンダ7664側へ引き寄せられる。ロッド7661がシリンダ7664側へ引き寄せられると、ロッド7661に繋がっている第1ブロック体761の長手方向の一端部分(即ち、図面に向かって右端部分)が第2ブロック体762側へ引き寄せられる。
挟圧機構767も挟圧機構766と同様の構造を採り、先端部にネジが切られ、コイルスプリング764内を挿通できる外径を有する円柱棒状のロッド7671と、ロッド7671の先端部に切られたネジに螺合するナット7672と、ナット7672と第1ブロック体761の貫通孔7613の開口端の間に挿入されるワッシャー7673と、ピストン内蔵のシリンダ7674と、を備える。シリンダ7674は、圧縮空気の供給を受けることで内蔵するピストン(図示略)が可動するものである。上述したシリンダ7664と同様に、内蔵されたピストンにはロッド7671の他端が接続されるので、シリンダ7674に圧縮空気が供給されてピストンが可動することで、ロッド7671がシリンダ7674側へ引き寄せられる。ロッド7671がシリンダ7674側へ引き寄せられると、ロッド7671に繋がっている第1ブロック体761の長手方向の他端部分(即ち、図面に向かって左端部分)が第2ブロック体762側へ引き寄せられる。
挟圧機構766,767のシリンダ7664,7674には、同時に圧縮空気が供給されるようになっているので、挟圧機構766のシリンダ7664による第1ブロック体761の引き寄せと、挟圧機構767のシリンダ7674による第1ブロック体761の引き寄せが同時に行われる。即ち、第1ブロック体761と第2ブロック体762が平行を保った状態で、第1ブロック体761が第2ブロック体762側へ引き寄せられる。なお、本実施形態では、第1ブロック体761を第2ブロック体762側へ引き寄せるようにしたが、第1ブロック体761及び第2ブロック体762を、互いに相手側に引き寄せるようにしても構わない。
図4は、第1給電装置76のブッシュ765を示し、(a)は軸方向から見た外観図、(b)は軸方向に対し直角方向から見た外観図である。同図に示すように、ブッシュ765は円筒状の導電性金属部材から成り、外周面と内周面には、一方の開口端から他方の開口端に至る長さの溝765a,765bが周方向に沿って8本形成されている。ブッシュ765の外周面に形成された溝765aは略W字状の断面形状を成し、内周面に形成された溝765bは略V字状の断面形状を成している。ブッシュ765は、第1,第2ブロック体761,762によって挟圧されたときに収縮するように、その外径が第1ブロック体761の半円形溝7611と第2ブロック体762の半円形溝7621を合わせたときに得られる円の直径よりも大きくなるように形成される。即ち、ブッシュ765が第1ブロック体761の半円形溝7611及び第2ブロック体762の半円形溝7621のそれぞれに対して部分的に嵌合するように形成される。
ここで、第1ブロック体761及び第2ブロック体762を固定部と呼び、ブッシュ765に嵌入される第1固定軸741を可動部と呼ぶ。該固定部と該可動部を通して片側電極85に電流を流す場合、挟圧機構766,767を同時に作動させてブッシュ765を挟圧する。挟圧機構766,767が同時に作動することで、ブッシュ765が外周面の全周に亘って均等に加圧される。これにより、ブッシュ765の内周面が全周に亘って第1固定軸741の表面に密着し、固定部と可動部が導通状態になる。この場合、第1ブロック体761の半円形溝7611と第2ブロック体762の半円形溝7621を合わせたときに得られる円の径が、ブッシュ765の外径より小さくなるように、半円形溝7611,7621及びブッシュ765の形状が決められているので、ブッシュ76を容易に収縮させることができ、ブッシュ76の内周面を第1固定軸741の表面に隙間無く強固に密着させることができる。また、ブッシュ765の溝765aの断面形状を外周面側で略W字状、内周面側で略V字状としているので、ブッシュ765を容易に収縮させることができ、第1,第2ブロック体761,762による挟圧力の低減が図れる。即ち、小さな挟圧力でブッシュ765を第1固定軸741に密着させることができる。このような構造を採る第1給電装置76の採用により、固定部とした第1ブロック体761及び第2ブロック体762と、可動部とした第1固定軸741の間に安定して大電流を流すことが可能となる。
なお、ブッシュ765は、外周面と内周面のそれぞれに8本の溝765a,765bを形成したものであったが、溝を形成する面は外周面又は内周面のいずれか一方であってもよい。また、溝の本数は1であっても構わないが、溝の本数を多くするに従い、固定部である第1ブロック体761及び第2ブロック体762と、可動部である第1固定軸741との密着性が良くなることから、多い方が効果的であると言える。因みに、実際の抵抗溶接装置では16本形成している。
また、第1ブロック体761の半円形溝7611及び第2ブロック体762の半円形溝7621それぞれの表面とブッシュ765の外周面の間及びブッシュ765の内周面に、導電性充填剤(カーボン、金属粉、金属酸化物等)が添加されたグリースを塗布するようにしてもよい。このグリースを塗布することで、接触面の凹凸が埋まり、平坦化して安定した接触面を維持でき、通電の更なる安定化が図れるとともに、接触面の摺動による摩耗を防ぐことができる。
図5は、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aの第1,第2給電装置76,77及び第1,第2固定軸741,742それぞれの縦断面並びに溶接時の電流経路を示す図である。なお、同図において、第2給電装置77を構成する第1ブロック体には符号771を付けており、第2ブロック体には符号772を付与し、ブッシュには符号775を付けている。
第2固定軸742に流入した溶接電流Ieは、第2給電装置77のブッシュ775、第2給電装置77の第1,第2ブロック体771,772を通り、摺動導電体73(図5では図示していない)に流入する。摺動導電体73に流入した溶接電流Ieは、片側電極85の外側電極85B、被溶接物500(図1参照)、片側電極85の内側電極85A、ガン本体72、ジャンパー線82を順次通り、第1給電装置76の第1,第2ブロック体761,762に流入する。その後、ブッシュ765を通って第1固定軸741に流入する。このように、溶接ガン6における電流経路は、第2固定軸742→第2給電装置77→摺動導電体73→片側電極85の外側電極85B→被溶接物500→片側電極85の内側電極85A→ガン本体72→ジャンパー線82→第1給電装置76→第1固定軸741となる。
図1に戻り、テーブル9は、略正方形の平坦な板状を成し、被溶接物500を載置する。被溶接物500は、例えば少なくとも2枚の鋼板を重ね合わせてなる板組である。なお、被溶接物500には、裏面(例えば、重ねた2枚の鋼板のうち、片側電極から遠い方の裏面)に保護シートが貼られたものや、塗装が施されたものがある。溶接条件設定器11は、被溶接物500の材質や板厚等の溶接条件の設定を行う。片側電極85は、溶接ガン6の先端部分に装着される。図2に示すように、片側電極85は、ガン本体72と導通し、先端に絶縁リング85Cが配設された円柱状の内側電極85Aと、摺動導電体73と一体化し、軸方向に内側電極85Aを内挿可能な両端が開口した筒状の外側電極85Bとで構成される。
次に、電源ユニット3について説明する。
図6は、抵抗溶接装置1Aの概略構成を示す図である。同図において、電源ユニット3は、整流器300と、平滑用コンデンサ301と、溶接制御回路302と、インバータ回路303とを備える。整流器300は、単相全波整流式を採用したものであり、受電設備400からの三相の交流を整流して直流に変換する。溶接制御回路302は、溶接条件設定器11で設定された溶接条件に見合った溶接電流Ieの大きさと通電時間を制御する。溶接制御回路302には例えばマイコンが用いられる。該マイコンは溶接制御用のプログラムを保持し、そのプログラムに従って動作する。溶接制御回路302は、溶接ガン6に備えられた起動スイッチ68からの溶接指令Swを検知することで、溶接条件設定器11にて設定された被溶接物500の材質と厚さに応じたタイミング信号Siを生成し、インバータ回路303に出力する。溶接制御回路302は、例えば、溶接電流Ieが通電開始時から15ミリ秒以内で最大値となり、かつ50ミリ秒以下の通電時間で溶接を完了するように、タイミング信号Siを生成する。
インバータ回路303は、インバータ制御部3031と、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を使用した4つのスイッチS1〜S4と、例えばCT(Current Transformer)を使用した電流センサ3032と、を備える。インバータ制御部3031は、溶接制御回路302で生成されたタイミング信号Siと電流センサ3032で検出された1次電流Ifとに基づいてスイッチS1〜S4のそれぞれをオン・オフ制御し、高周波交流を発生する。インバータ制御部3031が発生する高周波交流の大きさは、スイッチS1〜S4それぞれのオン・オフのデューティによって変化する。スイッチS1〜S4それぞれのオン・オフのデューティを変化させることで、後述する図7の(a)に示すようにスイッチング波形のWの幅が変化する。
図7は、溶接トランス10の1次側に供給される電流を制御するための制御パルス、1次電流If及び整流後の溶接電流Ieを示す図である。同図において、インバータ回路303により制御された幅Wのパルス(スイッチングパルス)が、一定時間H内に一定回数、ここでは正方向のパルスと負方向のパルスとで合計10回、溶接トランス10の1次コイル12に供給される。これにより、溶接トランス10の1次コイル12には、図7の(b)に示すような1次電流Ifが流れる。溶接トランス10の1次コイル12に1次電流Ifが流れることで、溶接トランス10の2次側に発生した2次電流が整流素子18,20で全波整流されて、図7の(c)に示すような溶接電流Ieとなって溶接ガン6に流れる。
図7の(a)に示すパルスの幅Wを増減することで溶接電流Ieの大きさを調整することができる。また、パルスの供給回数を増減すれば溶接時間を調整することができる。即ち、パルスの繰り返し周波数を高くすると溶接時間をより細かく微調整できる。また、溶接トランス10の1次コイル12に供給する電力を増やせば、2次コイル14からより大きな溶接電流Ieを取り出すことができる。
溶接トランス10の1次コイル12は、電源ユニット3のインバータ回路303の出力側に接続される。図8は、溶接トランス10と溶接ガン6の結線を示す図である。同図において、溶接トランス10の1次コイル12は、電源ユニット3のインバータ回路303の出力端に接続される。インバータ回路303から高周波交流が出力されることで、溶接トランス10の1次コイル12に1次電流が流れる。溶接トランス10の2次コイル15は、それ自体に極性を考慮する必要はないが、便宜上、溶接トランス10の2次コイル15を、正側コイル14と負側コイル16とを直列接続したものと呼ぶことにする。正側コイル14の一端には第1整流素子18のアノード(正極)が接続され、負側コイル16の一端には第2整流素子20のアノード(正極)が接続される。第1整流素子18のカソード(負極)と第2整流素子20のカソード(負極)がプラス電極22に共通接続され、正側コイル14の他端と負側コイル16の他端とがマイナス電極24に共通接続される。
プラス電極22とマイナス電極24には、給電ケーブル7、ガンシャフト8内を通した同軸状のケーブル(図示略)を介して溶接ガン6が接続される。即ち、溶接トランス10の2次側のプラス電極22に溶接ガン6の第2固定軸742が接続され、溶接トランス10の2次側のマイナス電極24に溶接ガン6の第1固定軸741が接続される。また、第2固定軸742は、第2給電装置77を介して摺動導電体73に接続され、第1固定軸741は、第1給電装置76を介してガン本体72に接続される。さらに、摺動導体73の先端部分には片側電極85の外側電極85Bが接続され、ガン本体72の先端部分には片側電極85の内側電極85Aが接続されるので、溶接トランス10の2次側のプラス電極22は片側電極85の外側電極85Bに接続され、溶接トランス10の2次側のマイナス電極24は片側電極85の外側電極85Aに接続されることになる。このような接続関係により、片側電極85に供給される溶接電流は、外側電極85Bから内側電極85Aに向かう方向に流れる。
なお、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aでは、溶接トランス10のプラス電極22を片側電極85の外側電極85Bに接続し、溶接トランス10のマイナス電極24を片側電極85の内側電極85Aに接続するようにして、外側電極85Bから内側電極85Aに向かう方向に溶接電流が流れるようにしたが、逆になるようにしても構わない。即ち、溶接トランス10のプラス電極22を片側電極85の内側電極85Aに接続し、溶接トランス10のマイナス電極24を片側電極85の外側電極85Bに接続するようにしてもよい。
図9は、第1整流素子18に順方向電流が流れたときの回路動作を示す図である。また、図10は、第2整流素子20に順方向電流が流れたときの回路動作を示す図である。図9及び図10では、図8に示す回路に、回路動作上問題になる等価的なインダクタンス成分を書き加えている。即ち、正側コイル14と第1整流素子18を接続する正側導体30のインダクタンスと、負側コイル16と第2整流素子20を接続する負側導体32のインダクタンスと、給電ケーブル7等を含む溶接ガン6における導体のインダクタンスとが、抵抗溶接装置の性能に影響を及ぼすと考えられる。
溶接トランス10や給電ケーブル7等を含む溶接ガン6で発生する大量の熱を抑制することができれば、抵抗溶接装置の省エネルギー化が図れ、大きな節電効果が期待できる。これは、従来よりも大きな電流を短時間だけ溶接ガン6に供給するように制御できれば実現可能である。一方、溶接される材料や構造等に最適な溶接電流を供給するためには、溶接電流の供給時間を極めて高精度に制御する必要がある。これは、溶接電流を供給する溶接トランス10の1次側にインバータ回路303を接続して、PWM制御により溶接電流の大きさと供給時間とを制御することで実現可能である。
ここで、従来の抵抗溶接装置は、例えば1万アンペアで200m秒〜700m秒の溶接電流を供給するようにしているが、溶接電流をその2倍の2万アンペアにしてみると、溶接ガン6以外の場所で熱エネルギーになって消費される電力損失が極めて大きくなり、実用上問題となる。そこで、溶接電流を2倍にしても溶接時間を10分の1に短縮すれば、消費電力を5分の1にすることができ、実用上問題とはならない。
一方、溶接電流を供給するためのインバータ回路の制御パルスは、従来、繰り返し周波数が1kHz程度のものを使用していたが、大電流を短時間供給するには、もっと分解能の高い制御パルスが必要になる。本実施形態に係る抵抗溶接装置1Aのインバータ回路303では、繰り返し周波数が5kHz〜50kHz程度のパルスを出力するようにしている。従来の数倍から数十倍の高い繰り返し周波数のパルスを従来の溶接トランスに供給した場合、予定した溶接電流が得られないが、本実施形態に係る抵抗溶接装置1Aで使用する溶接トランス10は、従来の数倍から数十倍の高い繰り返し周波数のパルスでも予定した溶接電流を得ることができる構造を有している。以下、本実施形態に係る抵抗溶接装置1Aで使用する溶接トランス10の構造を説明する。
図11は、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aの溶接トランス10の外観を示す斜視図である。また、図12は、溶接トランス10の組み立て状態を示す斜視図である。図11及び図12において、溶接トランス10は、平行部25aと両端のU字状の湾曲部25bにより構成される環状磁心25と、環状磁心25の平行部25aに、複数の部分に分けて間隙12aを空けて分割巻きされる1次コイル12と、1次コイル12と共に環状磁心25の平行部25aに巻回され、1次コイル12に設けられた各間隙12aに1個ずつ挟み込むように、複数の正側コイル14と複数の負側コイル16とを交互に配列した2次コイル15と、複数の正側コイル14は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、複数の負側コイル16は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、接続された複数の正側コイル14と複数の負側コイル16とが互いに直列接続されるように、正側コイル14と負側コイル16の端子間を電気接続する導体群を有し、かつ、該導体群により、全ての正側コイル14と負側コイル16とを一方の面上に支持固定する接続基板62を備え、複数の正側コイル14の一方の端子は、接続基板62の他方の面上で、環状磁心25の平行部25aに平行な方向に伸びた第1連結極板44に電気接続され、複数の負側コイル16の一方の端子は、接続基板62の他方の面側で、環状磁心25の平行部25aに平行な方向に伸びた第2連結極板46に電気接続され、正側コイル14の他方の端子と負側コイル16の他方の端子は、共に、接続基板62の他方の面側で、環状磁心25の平行部25aに平行な方向に伸びた第3連結極板48に電気接続され、第1連結極板44には、正側導体30が連結され、第2連結極板46には、負側導体32が連結され、正側導体30と負側導体32は、接続基板62の他方の面側において、当該他方の面から垂直に離れる方向に伸びる境界面に配置された絶縁層31を介して重ね合わされた一対の導体板であり、正側導体30とプラス電極22(図6、図8参照)が接続された第1極板34との間に挟まれ、正側導体30にアノード(正極)が接触し、第1極板34にカソード(負極)が接触する第1整流素子18と、負側導体32とマイナス電極24が接続された第2極板36との間に挟まれ、負側導体32にアノード(正極)が接触し第2極板36にカソード(負極)が接触する第2整流素子20と、第1極板34と第2極板36を支持し、両者を電気接続する第3極板38と、第3極板38に接続されたプラス電極22と、第3連結極板48に接続されたマイナス電極24と、を備える。
溶接トランス10は、このような構造を有したことで、インバータ回路303からの高い周波数(5kHz〜50kHz程度)のパルスでも、予定した溶接電流を得ることができる。
ところで、図6に示すような2個の整流素子18、20を使用した全波整流型の2次回路は、ブリッジを使用した回路に比べて整流素子数が少なく、小型化できて電力損失も少ないため、抵抗溶接装置に適することが知られている。しかしながら、この2次回路では、1次コイル12に流れる電流の極性反転によって、2次コイル15に誘起される電圧が極性反転したときに、一方の整流素子を通じて供給されていた負荷電流が他方の整流素子側に流れを変える転流が生じる。
溶接電流が大電流になると、回路各部のインダクタンスに蓄積された電流エネルギーは非常に大きくなる。この電流エネルギーが一方の整流素子から他方の整流素子の側に移る転流時間は、図9や図10に示す2次コイル15の各部のインダクタンスが大きいほど長くなる。図7に示す1次コイル12の電流の立ち下がり開始から反対極性の電流の立ち上がり終了までの時間Mの間に2次回路の転流が完了しないと、2次電流の立ち上がりが遅れて、図7の破線に示すように、予定した溶接電流が得られなくなる。
第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aで使用している溶接トランス10は、正側導体30と負側導体32が絶縁層31を介して密着し、また2次コイル15の正側コイル14と負側コイル16の間に1次コイル12が挟まるようにこれらのコイルを配置しているので、溶接トランス10の2次側回路の転流時におけるインダクタンスが低減し、該2次側回路における転流時間が短くなる。したがって、溶接トランス10を使用することで、より高い周波数のインバータ制御が可能となる。
また、溶接トランス10は、1次コイル12と2次コイル15の配置によって、溶接トランス全体の熱分布を均一化できる。
また、溶接トランス10は、1次コイル12と2次コイル15の正側コイル14及び負側コイル16をそれぞれ分割巻きして1次コイル12と2次コイル15の結合を図っているので、1次コイル12と2次コイル15における結合を強くでき、2次側の大電流による磁気飽和を防止できる。
また、溶接トランス10は、1次コイル12と2次コイル15の正側コイル14と負側コイル16との関係がどの場所でも均等になるようにしていので、互いに密着した配置が可能となり、溶接トランス10の小型化が図れる。
このように、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aによれば、第1固定軸741とガン本体72の間の通電を図る第1給電装置76と、第2固定軸742と摺動導電体73の間の通電を図る第2給電装置77とを有するので、第1固定軸741とガン本体72の間と、第2固定軸742と摺動導電体73の間のそれぞれを繋ぐ給電ケーブルを省くことができるとともに、それぞれの間に安定して大電流を流すことが可能となる。これにより、短時間に大電流の供給を可能とする溶接トランス10からの電流を効率良く片側電極85に流すことが可能となり、片側電極85の利点(即ち、片面に保護シートが貼られた被溶接物の溶接においては、裏面に圧痕や熱による焼けや歪を発生させ難く、片面塗装された被溶接物の溶接においては、焼けや熱変色を発生させ難いという利点)をさらに活かすことができる。また、大電流を短時間に流すことができることから、省電力化も図れる。
また、水平方向への移動を可能とする溶接ガン6は、上面に開口部を有し、該開口部の周縁から内側に延びる延設部を有する箱状の被溶接物に対し、該被溶接物の延設部の直下で溶接を行うような場合、該延設部が邪魔になることなく溶接を行うことができる。
なお、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aにおいて、給電装置66を給電装置76(又は給電装置77)に置き換えるようにしてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る抵抗溶接装置について説明する。
図13は、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bの外観構成を示す側面図である。なお、同図において前述した図1と共通する部品や部材については同一の符号を付けてその説明を省略する。
第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bは、溶接トランスとの一体化を図った溶接ガン6Bを有している。すなわち、前述した第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aでは、溶接ガン6と溶接トランス10を給電ケーブル7やガンシャフト8内を通した同軸ケーブル(図示略)にて接続するようにしたが、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bは、溶接トランスを直結させた溶接ガン6Bを有することで、給電用のケーブルを省いたものである。給電用のケーブルを省くことで、短時間に大電流の供給を可能とする溶接トランスからの電流をさらに効率良く片側電極85に流すことが可能となる。
図13において、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bは、筐体90と、制御・電源ユニット91と、冷却ユニット92と、溶接ガン6Bと、ガン上下移動機構93と、ガン旋回機構94と、テーブル96と、テーブル移動機構97と、を備える。筐体90は、図示のように、側面視した形状が略コ字状となっており、内側の上部中央にはガン上下移動機構93が配設され、上側の開口部付近には溶接ガン6B及びガン旋回機構94が配設されている。ガン上下移動機構93は、制御・電源ユニット91からの指示に従って動作し、モータ93aの駆動力により、溶接ガン6Bを筐体90の立設方向(略垂直方向)に上下動させる。ガン旋回機構94は、制御・電源ユニット91からの指示に従って動作し、溶接ガン6Bを筐体90の立設方向に対して直角方向(略水平方向)に回転させる。ガン旋回機構94は、第2ベアリング支持板87(図14参照)に掛けたベルト94bをモータ94aの動力を利用して回すことで溶接ガン6Bを回転させる。テーブル96は、被溶接物500を載置する。テーブル移動機構97は、制御・電源ユニット91からの指示に従って動作し、X−Y平面上でテーブル96を移動させる。制御・電源ユニット91は、被溶接物500の溶接箇所が片側電極85の直下に位置するように、テーブル移動機構97を制御する。
図14は、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bの溶接ガン6Bの詳細な構成を示す側面図である。なお、同図において前述した図2の溶接ガン6Aと共通する部品や部材については同一の符号を付けてその説明を省略する。同図において、溶接ガン6Bは、ガン本体72と、摺動導電体73と、ガン本体72及び摺動導電体73を水平方向に回転自在に支持する固定軸部74Bと、固定軸部74Bとガン本体72の間に配設される第1給電装置76と、固定軸部74Bと摺動導電体73の間に配設される第2給電装置77と、を備える。ガン本体72と、摺動導電体73と、ガン本体72、第1給電装置76及び第2給電装置77については、前述した第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aのものと同一であるので説明を省略し、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aとは異なる固定軸部74Bについて説明する。
固定軸部74Bは、円柱状の導電性金属部材から成り、一端が溶接トランス10Bのマイナス電極24に直結される第1固定軸741Bと、円筒状の導電性金属部材から成り、第1固定軸741Bと非通電状態を保ちつつ、該第1固定軸741Bの挿通を可能とし、第1固定軸741Bの一端と同じ側に位置する開口端側に、中心軸Ax(図13参照)方向に対して直角方向に延在する環状鍔部742Baを有し、該環状鍔部742Baが溶接トランス10Bのプラス電極22に直結される第2固定軸742Bとを備える。固定軸部74Bは、ガン本体72及び摺動導電体73を、第1固定軸741Bと第2固定軸742Bに共通する中心軸を回転中心として回転自在に支持する。
ここで、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bで使用される溶接トランス10Bは、基本的には第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aで使用される溶接トランス10と同一構造を成すが、プラス電極22とマイナス電極24の取り付け構造に違いがある。図15は、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bで使用される溶接トランス10Bの外観を示す斜視図である。同図に示すように、第3極板38の電極取り付け面と、第3連結極板48の電極取り付け面が同じ位置に来ており、第3極板38の電極取り付け面にはプラス電極22が取り付けられ、第3連結極板48の電極取り付け面にはマイナス電極24が取り付けられる。プラス電極22及びマイナス電極24は、いずれも同じ厚みを有する四角形ブロック状に形成されている。
一方、図14に示すように、第1固定軸741Bの溶接トランス10B側の端部が、第1固定軸741Bの中心軸方向に対して直角方向に曲がった構造を採り(その部分を“延在部741Ba”と呼ぶ)、この延在部741Baの厚み分だけ、第2固定軸742Bの鍔部742Baと溶接トランス10のプラス電極22との間に隙間が生じる。そのため、第2固定軸742Bの鍔部742Baと溶接トランス10Bのプラス電極22との間にスペーサ750を介在させている。勿論、スペーサ750は、銅等の導電性金属部材からなるものである。スペーサ750を介して第2固定軸742Bの鍔部742Baと溶接トランス10Bのプラス電極22とが接続される。
このように、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bによれば、溶接トランス10Bを固定軸部74Bに直結させたので、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aよりも多く電流を流すことが可能となり、溶接トランス10と固定軸部74Bの間に安定して大電流を流すことが可能となる。勿論、第1固定軸741Bとガン本体72の間の通電を図る第1給電装置76と、第2固定軸742Bと摺動導電体73の間の通電を図る第2給電装置77を有しているので、第1固定軸741Bとガン本体72の間と、第2固定軸742Bと摺動導電体73の間のそれぞれにおいて給電ケーブルを省くことができ、全体として、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aよりも多く電流を流すことが可能となる。また、大電流を短時間に流すことができることから、省電力化も図れる。
また、水平方向への移動を可能とする溶接ガン6Bは、上面に開口部を有し、該開口部の周縁から内側に延びる延設部を有する箱状の被溶接物に対し、該被溶接物の延設部の直下で溶接を行うような場合、該延設部が邪魔になることなく溶接を行うことができる。
なお、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bにおいて、給電装置66を給電装置76(又は給電装置77)に置き換えるようにしてもよい。
また、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bは、溶接ガン6B、ガン上下移動機構93及びガン旋回機構94を1組設けたものであったが、2組以上設けることも勿論可能である。2組以上設ける場合、例えば、装置本体の立設方向に対して直角方向(すなわち、水平方向)に並設する。溶接ガン6B、ガン上下移動機構93及びガン旋回機構94を2組以上設けて、各組に対してテーブル96を連動させるようにすれば、流れ作業的に溶接を行うことが可能となり、生産性の更なる向上が図れる。
本発明を特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本発明は、溶接ガンを軸周りに回転可能にしつつ、回転させるための回転機構部における固定部と可動部の間に安定して大電流を流すことができるといった効果を有し、抵抗溶接への適用が可能である。
1A,1B 抵抗溶接装置
2,92 冷却ユニット
3 電源ユニット
4 支持ポスト
5 支持アーム
5A 第1アーム
5B 第2アーム
5C 回動軸
6A,6B 溶接ガン
7 給電ケーブル
8 ガンシャフト
9,96 テーブル
10,10B 溶接トランス
11 溶接条件設定器
12 溶接トランスの1次コイル
14 溶接トランスの2次コイルの正側コイル
15 溶接トランスの2次コイル
16 溶接トランスの2次コイルの負側コイル
18 第1整流素子
20 第2整流素子
22 溶接トランスのプラス電極
24 溶接トランスのマイナス電極
65 ハンドル
66 給電装置
67 加圧装置
68 起動スイッチ
72 ガン本体
73 摺動導電体
74,74B 固定軸部
76 第1給電装置
77 第2給電装置
80 直動ガイド
82 ジャンパー線
85 片側電極
85A 内側電極
85B 外側電極
85C 絶縁リング
88 ベアリング
90 筐体
91 制御・電源ユニット
93 ガン上下移動機構
93a,94a モータ
94 ガン旋回機構
94b ベルト
97 テーブル移動機構
302 溶接制御回路
303 インバータ回路
3031 インバータ制御部
400 受電設備
500 被溶接物
741,741B 第1固定軸
742 第2固定軸
741Ba 延在部
742B 第2固定軸
742Ba 鍔部
750 スペーサ
761 第1金属製ブロック体
762 第2金属製ブロック体
763,764 金属製コイルスプリング
765 金属製ブッシュ
765a,765b 金属製ブッシュの溝
766,767 挟圧機構
本発明は、被溶接物(例えば、少なくとも2枚の鋼板を重ね合わせてなる板組)に対してスポット溶接を行う抵抗溶接装置に係り、特に片側電極を備えた抵抗溶接装置に関する。
従来、上述した抗溶接装置には、定置式と呼ばれるもの(例えば特許文献1参照)や、テーブル式と呼ばれるもの(例えば特許文献2参照)がある。定置式の抵抗溶接装置は、対向配置された上部と下部の2つの電極にて被溶接物を挟持し、加圧しつつ通電を行って溶接するものである。テーブル式の抵抗溶接装置は、下部をテーブル形状の電極(以下、“テーブル電極”と呼ぶ)とし、上部を上下左右に移動可能なガン型電極として、テーブル電極上に被溶接物を載置し、ガン型電極の先端部分を被溶接物の溶接点に当て、加圧しつつ通電を行って溶接するものである。
また、近年、別体となった2つの電極で被溶接物を挟み込んで溶接を行うのではなく、一体となった2つの電極を被溶接物に対して、一方向(主に上方向)から押し付けて溶接を行う所謂片側溶接の発明が多く見られるようになってきた(例えば特許文献3,4参照)。
ここで、特許文献4に記載された溶接装置を参照して片側電極について説明する。図16〜図19は、特許文献4に記載された溶接装置の使用状態を説明するための図である。図16及び図17に示すように、片側電極85は、これを支持するガン本体72と通電し、先端部分に絶縁リング85Cが配備された内側電極85Aと、内側電極85Aの外周側に、内側電極85Aと同軸状に配置された外側電極85Bとを備える。外側電極85Bは、摺動導電体73と一体化し、摺動導電体73よって軸方向へ移動する(即ち、被溶接物500に向けて移動する)。ガン本体72と摺動導電体73は溶接ガン6を構成する。ガン本体72と摺動導電体73の間には、これらを連結するとともに、ガン本体72に対して摺動導電体73を案内する直動ガイド80が配設されている。
被溶接物500は、2枚の鋼板500a,500bを重ね合わせてなる板組であり、溶接箇所の上側の鋼板(以下、“上側鋼板”と呼ぶ)500aには、図19の(a)に示すような逃がし孔550が形成されている。図17及び図18に示すように、逃がし孔550の内側で内側電極85Aの先端が下側の鋼板(以下、“下側鋼板”と呼ぶ)500bを押圧し、次いで、外側電極85Bが被溶接物500の鋼板500aの逃がし孔550の開口周縁部を押圧する。被溶接物500の接合部には、図19の(a)に示すような複数個(同図では3個)のプロジェクション551が形成されていて、内側電極85Aが下側鋼板500bを押圧し、外側電極85Bが上側鋼板500aを押圧している状態で、外側電極85Bと内側電極85Aの間に給電が行われることで、外側電極85B→上側鋼板500aのプロジェクション551→下側鋼板500b→内側電極85Aの経路で電流が流れ、これにより被溶接物500の上側鋼板500aと下側鋼板500bが溶接される。
ところで、上述した溶接ガン6は、図16に示す被溶接物500の下側鋼板500bのような上端部分500b1が内側に折り曲げられたものでも溶接を行うことができるように、ガン本体72をコ字状とし、摺動導電体73をL字状としている。このような構造を採ることで、被溶接物500の反対側の上端部分(図示略)も内側に折れ曲がっていれば、溶接ガン6を軸周りに180度反転させることで溶接を行うことができる。但し、溶接ガン6を軸周りに回転できるようにした場合、回転機構部を中心として、装置本体側と溶接ガン6側の間を電気的に繋ぐ手段が必要となり、現状ではその手段として給電ケーブル(“抵抗溶接用ケーブル”、“二次ケーブル”などとも呼ばれている)が用いられている。
装置本体と溶接ガン6側の間の電気的な接続に給電ケーブルを用いると、溶接装置の使用中に給電ケーブルが絡まることがある。また、抵抗溶接では大電流が流れるので、断面積の大きな給電ケーブルが必要となり、それによって給電ケーブルの重量が嵩み、溶接ガン6が扱い難くなる。このような課題に対し、給電ケーブルを用いることなく装置本体側と溶接ガン6側の間の電気的な接続を行えるものとして、例えば特許文献5に記載された給電装置がある。同文献に記載された給電装置は、先端に電極を備えた加圧軸にトランスから給電子を介して溶接電流が供給される溶接機において、溶接機本体に並列して該溶接機本体に溶接用トランスを固定し、該溶接機本体に形成した給電ハウジングに前記トランスの二次側端子を接続し、かつ給電ハウジングに前記加圧軸に向けてリング状の溝を形成し、該溝に導電性の斜め巻きコイルスプリングを収納し、該斜め巻きコイルスプリングを前記給電ハウジング及び加圧軸に接触させて給電子としている。
特開2002−239746号公報 特開平06−328265号公報 特開2011−031269号公報 特開2017−035707号公報 特開2010−131660号公報
しかしながら、上記特許文献5に記載された給電装置においては、給電ハウジングと加圧軸の間に、斜め巻きコイルスプリングの復元力による与圧をかけて給電ハウジングと加圧軸を圧接させるようにしているが、斜め巻きコイルスプリングの復元力による与圧のみでの圧接では大電流を流したときの反動に耐えられない虞がある。例えば、裏面に保護シートが貼られた鋼板や裏面に塗装が施された鋼板を溶接する場合に、保護シートが焼けたり塗装が熱変色したりしないように、大電流を極短時間流すようにする必要があるが、このときの大電流を上記先行技術の給電装置では対応できない虞がある。
なお、復元力の大きなスプリングを用いて加圧軸に対する給電ハウジングの締め付けを強くすれば大電流を流したときの反動を低減できることは不可能ではないものの、締め付けを強くすることで加圧軸を動かすことが困難になる。
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、溶接ガンを軸周りに回転可能にしつつ、回転させるための回転機構部における固定部と可動部の間を繋ぐ給電ケーブルを省くことができるとともに、該固定部と該可動部の間に安定して大電流を流すことができる抵抗溶接装置を提供することを目的とする。
本発明の抵抗溶接装置は、平行部25aと両端のU字状の湾曲部25bにより構成される環状磁心25と、前記環状磁心25の前記平行部25aに、複数の部分に分けて間隙12aを空けて分割巻きされる1次コイル12と、前記1次コイル12と共に前記環状磁心25の前記平行部25aに巻回され、前記1次コイル12に設けられた前記各間隙12aに1個ずつ挟み込むように、複数の正側コイル14と複数の負側コイル16とを交互に配列した2次コイル15と、前記複数の正側コイル14は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記複数の負側コイル16は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記接続された前記複数の正側コイル14と前記複数の負側コイル16とが互いに直列接続されるように、前記正側コイル14と前記負側コイル16の端子間を電気接続する導体群を有し、かつ、前記導体群により、前記全ての前記正側コイル14と前記負側コイル16とを一方の面上に支持固定する接続基板62を備え、前記複数の正側コイル14の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面上で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第1連結極板44に電気接続され、前記複数の負側コイル16の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第2連結極板46に電気接続され、前記正側コイル14と前記負側コイル16の他端は、共に、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第3連結極板48に電気接続され、前記第1連結極板44には、正側導体30が連結され、前記第2連結極板46には、負側導体32が連結され、前記正側導体30と前記負側導体32とは、前記接続基板62の他方の面側において、当該他方の面から垂直に離れる方向に伸びる境界面に配置された絶縁層31を介して重ね合わされた一対の導体板であって、前記正側導体30と第1極板34に挟まれて、前記正側導体30に負極を接触させ前記第1極板34に正極を接触させた整流素子18と、前記負側導体32と第2極板36に挟まれて、前記負側導体32に負極を接触させ前記第2極板36に正極を接触させた整流素子20と、前記第1極板34と前記第2極板36を支持し、両者を電気接続する第3極板38と、前記第3極板38に接続されたプラス電極22と、前記第3連結極板48に接続されたマイナス電極24と、を備えた溶接トランス10と、先端部分72Aと基端部分72Bの双方が同一方向に直角に曲がったコ字状のガン本体72、及び、前記ガン本体72の両端部分が直角に曲がった側の第1面と反対側の第2面に近接配置され、前記第2面の長手方向に沿って摺動可能であって、先端部分73Aが前記ガン本体72の先端部分72Aと同一方向に直角に曲がるとともに、前記ガン本体72の先端に達する長さを有するL字状の摺動導電体73を備え、前記溶接トランス10より出力される電流が給電ケーブル7を介して供給される溶接ガン6Aと、前記溶接ガン6Aの前記ガン本体72の先端部分72Aと前記摺動導電体73の先端部分73Aに亘って設けられ、前記ガン本体72と導通し、先端に絶縁リング85Cが設けられた円柱状の内側電極85A、及び、円筒状を成すと共に、前記摺動導電体73と一体化し、軸方向に前記内側電極85Aを内挿可能な外側電極85Bで構成された片側電極85と、を備えた抵抗溶接装置において、前記溶接ガン6Aは、円柱状の導電性金属部材から成り、前記給電ケーブル7を介して前記溶接トランス10の前記マイナス電極24に接続される第1固定軸741、及び、円筒状の導電性金属部材から成り、前記第1固定軸741と非導通状態を保ちつつ、該第1固定軸741を挿通可能とし、前記給電ケーブル7を介して前記溶接トランス10の前記プラス電極22に接続される第2固定軸742を備え、前記ガン本体72及び前記摺動導電体73を、前記第1固定軸741と前記第2固定軸742に共通する中心軸を回転中心として回転自在に支持する固定軸部74と、前記溶接ガン6Aの前記ガン本体72と前記固定軸部74の間に配設され、前記固定軸部74の前記第1固定軸741と前記ガン本体72を電気的に接続する第1給電装置76と、前記溶接ガン6の前記摺動導電体73と前記固定軸部74の間に配設され、前記固定軸部74の前記第2固定軸742と前記摺動導電体73を電気的に接続する第2給電装置77と、を更に備え、前記第1給電装置76及び前記第2給電装置77の各々は、平面視凹状の立体形を成し、凹んだ部分を半円形溝とし、導電性金属部材から成る第1ブロック体761と、前記第1ブロック体761と略同一形状且つ同一部材から成り、半円形溝が形成された面側を前記第1ブロック体の半円形溝が形成された面側に向けて対向配置される第2ブロック体762と、前記第1ブロック体761の前記半円形溝が形成された面側と前記第2ブロック体762の前記半円形溝が形成された面側との間に圧縮状態で配置され、復元力によって前記第1ブロック体761と前記第2ブロック体762を引き離すように作用するコイルスプリング763,764と、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762それぞれの前記半円形溝と部分的に嵌合する円筒形を成し、外周面及び内周面の少なくとも一方の面に、一方の開口端から他方の開口端に至る長さの溝を少なくとも1つ有する導電性金属部材から成るブッシュ765と、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762の少なくとも一方を他方側に引き寄せることで、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762によって前記ブッシュ765を挟圧する挟圧機構766,767と、を備え、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762を合わせて固定部と呼び、前記ブッシュ762に嵌入される金属部材を可動部と呼ぶとし、前記固定部と前記可動部の間を通して電流を流すときに前記挟圧機構766,767を作動させることで、前記固定部と前記可動部の導通を図る。
上記構成によれば、第1固定軸741とガン本体72の間の通電を図る第1給電装置76と、第2固定軸742と摺動導電体73の間の通電を図る第2給電装置77とを有するので、第1固定軸741とガン本体72の間と、第2固定軸742と摺動導電体73の間のそれぞれを繋ぐ給電ケーブルを省くことができるとともに、それぞれの間に安定して大電流を流すことが可能となる。これにより、短時間に大電流の供給を可能とする溶接トランス10からの電流を効率良く片側電極85に流すことが可能となり、片側電極85の利点(即ち、片面に保護シートが貼られた被溶接物の溶接においては、裏面に圧痕や熱による焼けや歪を発生させ難く、片面塗装された被溶接物の溶接においては、焼けや熱変色を発生させ難いという利点)をさらに活かすことができる。また、大電流を短時間に流すことができることから、省電力化も図れる。
本発明の抵抗溶接装置は、平行部25aと両端のU字状の湾曲部25bにより構成される環状磁心25と、前記環状磁心25の前記平行部25aに、複数の部分に分けて間隙12aを空けて分割巻きされる1次コイル12と、前記1次コイル12と共に前記環状磁心25の前記平行部25aに巻回され、前記1次コイル12に設けられた前記各間隙12aに1個ずつ挟み込むように、複数の正側コイル14と複数の負側コイル16とを交互に配列した2次コイル15と、前記複数の正側コイル14は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記複数の負側コイル16は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記接続された前記複数の正側コイル14と前記複数の負側コイル16とが互いに直列接続されるように、前記正側コイル14と前記負側コイル16の端子間を電気接続する導体群を有し、かつ、前記導体群により、前記全ての前記正側コイル14と前記負側コイル16とを一方の面上に支持固定する接続基板62を備え、前記複数の正側コイル14の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面上で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第1連結極板44に電気接続され、前記複数の負側コイル16の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第2連結極板46に電気接続され、前記正側コイル14と前記負側コイル16の他端は、共に、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第3連結極板48に電気接続され、前記第1連結極板44には、正側導体30が連結され、前記第2連結極板46には、負側導体32が連結され、前記正側導体30と前記負側導体32とは、前記接続基板62の他方の面側において、当該他方の面から垂直に離れる方向に伸びる境界面に配置された絶縁層31を介して重ね合わされた一対の導体板であって、前記正側導体30と第1極板34に挟まれて、前記正側導体30に負極を接触させ前記第1極板34に正極を接触させた整流素子18と、前記負側導体32と第2極板36に挟まれて、前記負側導体32に負極を接触させ前記第2極板36に正極を接触させた整流素子20と、前記第1極板34と前記第2極板36を支持し、両者を電気接続する第3極板38と、前記第3極板38に接続されたプラス電極22と、前記第3連結極板48に接続されたマイナス電極24と、を備えた溶接トランス10と、先端部分72Aと基端部分72Bの双方が同一方向に直角に曲がったコ字状のガン本体72、及び、前記ガン本体72の両端部分が直角に曲がった側の第1面と反対側の第2面に近接配置され、前記第2面の長手方向に沿って摺動可能であって、先端部分73Aが前記ガン本体72の先端部分72Aと同一方向に直角に曲がるとともに、前記ガン本体72の先端に達する長さを有するL字状の摺動導電体73を備えた溶接ガン6Bと、前記溶接ガン6Bの前記ガン本体72の先端部分72Aと前記摺動導電体73の先端部分73Aに亘って設けられ、前記ガン本体72と導通し、先端に絶縁リング85Cが設けられた円柱状の内側電極85A、及び、円筒状を成すと共に、前記摺動導電体73と一体化し、軸方向に前記内側電極85Aを内挿可能な外側電極85Bで構成された片側電極85と、を備えた抵抗溶接装置において、前記溶接ガン6Bは、円柱状の導電性金属部材から成り、一端が前記溶接トランス10の前記マイナス電極24Aに直結される第1固定軸741B、及び、円筒状の導電性金属部材から成り、前記第1固定軸741Bと非通電状態を保ちつつ、該第1固定軸741Bの挿通を可能とし、前記第1固定軸741Bの一端と同じ側に位置する開口端側に、中心軸方向に対して直角方向に延在する環状鍔部Baを有し、該環状鍔部Baが前記溶接トランス10の前記プラス電極22Aに直結される第2固定軸742Bを備え、前記ガン本体72及び前記摺動導電体73を、前記第1固定軸741Bと前記第2固定軸742Bに共通する中心軸を回転中心として回転自在に支持する固定軸部74Bと、前記固定軸部74Bの前記第1固定軸741Bと前記ガン本体72を電気的に接続する第1給電装置76と、前記固定軸部74Bの前記第2固定軸742Bと前記摺動導電体73を電気的に接続する第2給電装置77と、を更に備え、前記第1給電装置76及び前記第2給電装置77の各々は、平面視凹状の立体形を成し、凹んだ部分を半円形溝とし、導電性金属部材から成る第1ブロック体761と、前記第1ブロック体761と略同一形状且つ同一部材から成り、半円形溝が形成された面側を前記第1ブロック体の半円形溝が形成された面側に向けて対向配置される第2ブロック体762と、前記第1ブロック体761の前記半円形溝が形成された面側と前記第2ブロック体762の前記半円形溝が形成された面側との間に圧縮状態で配置され、復元力によって前記第1ブロック体761と前記第2ブロック体762を引き離すように作用するコイルスプリング763,764と、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762それぞれの前記半円形溝と部分的に嵌合する円筒形を成し、外周面及び内周面の少なくとも一方の面に、一方の開口端から他方の開口端に至る長さの溝を少なくとも1つ有する導電性金属部材から成るブッシュ765と、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762の少なくとも一方を他方側に引き寄せることで、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762によって前記ブッシュ765を挟圧する挟圧機構766,767と、を備え、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762を合わせて固定部と呼び、前記ブッシュ762に嵌入される金属部材を可動部と呼ぶとし、前記固定部と前記可動部の間を通して電流を流すときに前記挟圧機構766,767を作動させることで、前記固定部と前記可動部の導通を図る。
上記構成によれば、第1固定軸741Bとガン本体72の間の通電を図る第1給電装置76と、第2固定軸742Bと摺動導電体73の間の通電を図る第2給電装置77とを有するとともに、溶接トランス10を固定軸部74Bに直結させているので、第1固定軸741Bとガン本体72の間と、第2固定軸742Bと摺動導電体73の間と、溶接トランス10と固定軸部74Bの間のそれぞれの間において給電ケーブルを省くことができるとともに、それぞれの間に安定して大電流を流すことが可能となる。これにより、短時間に大電流の供給を可能とする溶接トランス10からの電流をさらに効率良く片側電極85に流すことが可能となり、片側電極85の利点(即ち、片面に保護シートが貼られた被溶接物の溶接においては、裏面に圧痕や熱による焼けや歪を発生させ難く、片面塗装された被溶接物の溶接においては、焼けや熱変色を発生させ難いという利点)をさらに活かすことができる。また、大電流を短時間に流すことができることから、省電力化も図れる。
本発明によれば、溶接ガンを軸周りに回転可能にしつつ、回転させるための回転機構部における固定部と可動部の間に安定して大電流を流すことができる。
本発明の第1実施形態に係る抵抗溶接装置の外観構成を示す側面図 図1の抵抗溶接装置の溶接ガンの詳細な構成を示す側面図 図1の抵抗溶接装置の第1給電装置の外観構成を示す平面図 図1の抵抗溶接装置の第1給電装置の金属製ブッシュを示し、(a)は軸方向から見た外観図、(b)は軸方向に対し直角方向から見た外観図 図1の抵抗溶接装置の第1,第2給電装置及び第1,第2固定軸それぞれの縦断面並びに溶接時の電流経路を示す図 図1の抵抗溶接装置の概略構成を示す図 図1の抵抗溶接装置の溶接トランスの1次側に供給される電流を制御するための制御パルス、1次電流及び整流後の溶接電流を示す図 図1の抵抗溶接装置の溶接トランスと溶接ガンの結線を示す図 図1の抵抗溶接装置の溶接トランスの第1整流素子に順方向電流が流れたときの回路動作を示す図 図1の抵抗溶接装置の溶接トランスの第2整流素子に順方向電流が流れたときの回路動作を示す図 図1の抵抗溶接装置の溶接トランスの外観を示す斜視図 図1の抵抗溶接装置の溶接トランスの組み立て状態を示す斜視図 本発明の第2実施形態に係る抵抗溶接装置の外観構成を示す側面図 図13の抵抗溶接装置の溶接ガンの詳細な構成を示す側面図 図13の抵抗溶接装置の溶接トランスの外観構成を示す斜視図 特許文献4に記載された溶接装置の使用状態を説明するための図 特許文献4に記載された溶接装置の使用状態を説明するための図 特許文献4に記載された溶接装置の使用状態を説明するための図 特許文献4に記載された溶接装置の使用状態を説明するための図
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aの外観構成を示す側面図である。同図において、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aは、冷却ユニット2と、電源ユニット3と、支持ポスト4と、支持アーム5と、溶接ガン6Aと、給電ケーブル7と、ガンシャフト8と、テーブル9と、溶接トランス10と、溶接条件設定器11と、ハンドル65と、給電装置66と、加圧装置67と、を備える。
冷却ユニット2は、主に溶接ガン6Aで発生する熱を冷却するための冷却水を供給する。冷却ユニット2は、電源が投入されている間は常時動作し、溶接ガン6Aとの間で冷却水を循環させる。なお、冷却ユニット2と溶接ガン6Aの間における冷却水の搬送には、樹脂製のチューブ(図示略)が用いられる。電源ユニット3は、受電設備400(図6参照)から供給される三相の交流電力を直流に変換し、更に変換後の直流を高周波交流に変換して出力する。支持ポスト4は、冷却ユニット2の近傍にて垂直方向に立設され、支持アーム5を水平方向に回動自在に支持する。
支持アーム5は、第1アーム5Aと、第2アーム5Bと、第1アーム5Aと第2アーム5Bを回動自在に繋ぐ回動軸5Cとを有し、第1アーム5Aの基端部が支持ポスト4の上端部に水平方向に回動自在に支持される。ガンシャフト8は、長尺棒状を成し、支持アーム5の先端部において、該支持アーム5に対して直角方向に上下動自在に配設される。ガンシャフト8の下端部には溶接ガン6A及びハンドル65が配設され、上端部には給電装置66が配設され、支持アーム5の直上部には加圧装置67が配設される。なお、これら各種部品が設けられたガンシャフト8は、第2アーム5Bの先端部分に設けられる昇降機構(図示略)によって一定の張力で引き上げられた状態で保持される。この昇降機構の作用により、溶接ガン6Aを上下方向の任意の位置に停止させることができる。
給電装置66は、2枚の導電性金属板(図示略)を内蔵し、圧縮空気の供給を受けることで接触状態になる開閉器である。加圧装置67は、圧縮空気の供給を受けることでガンシャフト8を把持し、さらにガンシャフト8を下方へ押圧する。ハンドル65は、リング形状を成し、人手による溶接ガン6Aの回転を補助する。ハンドル65には押しボタン式の起動スイッチ68が配設されており、この起動スイッチ68を押下することで電源ユニット3に溶接指令が出力される。電源ユニット3は、起動スイッチ68による溶接指令を受けることで溶接ガン6Aに対する加圧と電流供給を行う。即ち、電源ユニット3は、溶接指令を受けることで、加圧装置67を作動させて溶接ガン6Aを被溶接物500に向かう方向に加圧するとともに、給電装置66を作動させて溶接ガン6Aへの給電を行う。
給電ケーブル7は、2本のケーブル7A,7Bで構成され、溶接トランス10とガンシャフト8の間を接続する。溶接トランス10は、本願発明者等が先に特開2012−210654号、特開2013−179205号で提案した抵抗溶接用の溶接トランスと同等のものであり、高速で精密な大電流の溶接制御に追随できるものである。なお、溶接トランス10については後に詳細に説明する。
図2は、溶接ガン6Aの詳細な構成を示す側面図である。同図において、溶接ガン6Aは、ガン本体72と、摺動導電体73と、ガン本体72及び摺動導電体73を水平方向に回転自在に支持する固定軸部74と、固定軸部74とガン本体72の間に配設される第1給電装置76と、固定軸部74と摺動導電体73の間に配設される第2給電装置77と、を備える。ガン本体72は、先端部分72Aと基端部分72Bの双方が同一方向に直角に曲がったコ字状を成す。ガン本体72の先端部分72Aには片側電極85の内側電極85Aが配設される。摺動導電体73は、ガン本体72の両端部分72A,72Bが直角に曲がった側の第1面72cと反対側の第2面72dに近接配置され、ガン本体72の第2面72dの長手方向(図では上下方向)に沿って摺動可能であって、先端部分73Aがガン本体72の先端部分72Aと同一方向に直角に曲がるとともに、ガン本体72の先端に達する長さを有する略L字状を成している。摺動導電体73の先端部分73Aには片側電極85の外側電極85Bが配設される。片側電極85は、溶接ガン6Aのガン本体72の先端72の先端部分72Aと摺動導電体73の先端部分73Aに亘って設けられ、ガン本体72と導通し、先端に絶縁リング85Cが設けられた円柱状の内側電極85Aと、円筒状を成すと共に、摺動導電体73と一体化し、軸方向に内側電極85Aを介挿可能な外側電極85Bを備える。
ガン本体72と摺動導電体73の間には、これらを連結するとともにガン本体72に対して摺動導電体73を案内する直動ガイド80が配設されている。直動ガイド80は、レール80Aと、レール80A上を滑動可能な2つの接続片80Bとを備え、レール80Aは摺動導電体73側に配設され、接続片80Bはガン本体72側に配設される。接続片80Bのレール80Aと接触する部分には絶縁材が配設されており、レール80Aと接続片80Bが非導通状態となっている。
固定軸部74は、円柱状の導電性金属部材から成る第1固定軸741と、円筒状の導電性金属部材から成り、第1固定軸741の挿通を可能とし、第1固定軸741の一端と同じ側に位置する開口端側に、中心軸方向に対して直角方向に延在する環状鍔部742aを有する第2固定軸742と、中央に第2固定軸742を嵌挿可能な孔が形成された円板状の第1ベアリング支持板743と、を備える。第1固定軸741は、第2固定軸742の環状鍔部742aの上端から第1給電装置76の底面に至る長さを有し、第2固定軸742は、環状鍔部742aの上端から第2給電装置77の底面に至る長さを有する。第1固定軸741と第2固定軸742の間には絶縁材95(図5参照)が配設されており、第1固定軸741と第2固定軸742が非導通状態となっている。固定軸部74は、ガンシャフト8の先端部分に接続されて、ガン本体72及び摺動導電体73を、第1固定軸741と第2固定軸742に共通する中心軸を回転中心として回転自在に支持する。第1固定軸741と第2固定軸742は、ガンシャフト8内を通した同軸状のケーブル(図示略)と、給電ケーブル7を順次介して溶接トランス10の2次側に接続される。この場合、第1固定軸741は、溶接トランス10の2次側のマイナス電極24に接続され、第2固定軸742は、溶接トランス10の2次側のプラス電極22に接続される。
第1給電装置76は、第1固定軸741とガン本体72を電気的に接続するものであり、第2給電装置77は、第2固定軸742と摺動導電体73を電気的に接続するものである。第1給電装置76と第2給電装置77の間には絶縁材(図示略)が配設されており、第1給電装置76と第2給電装置77が非導通状態となっている。第1給電装置76とガン本体72の間には、圧縮空気の供給を受けることでガン本体72を下方へ付勢するシリンダ86が配設されている。シリンダ86は、ガン本体72が支持する内側電極85Aが被溶接物500(図6参照)に当てられて加圧されたときに、その加圧によってガン本体72が押し戻されないように(即ち、ガン本体72が後退しないように)、ガン本体72に対して下方に向かう力を与えるものである。シリンダ86に内蔵されたピストン(図示略)は、シリンダ86に供給される圧縮空気の量に応じて可動する。このピストンはガン本体72と間接的に接続される。第1給電装置76とシリンダ86は非導通状態となるため、第1給電装置76とガン本体72が金属製のジャンパー線82によって電気的に接続される。
第2給電装置77の上面側には、第2給電装置77及び摺動導電体73と非導通状態となった第2ベアリング支持板87が配設されている。第2ベアリング支持板87と固定部74の第1ベアリング支持板743の間には複数個(図では2個だけ見えているが、2個以上存在している)のベアリング88が配設されており、これらのベアリング88によって、可動部(即ち、ガン本体72、摺動導電体73、第1給電装置76、第2給電装置77、直動ガイド80、片側電極85及び第2ベアリング支持板87が一体化したもの)の水平方向への回転が可能となっている。第1固定軸741とガン本体72の通電は、上述したジャンパー線82を介して行われる。
第1給電装置76と第2給電装置77は、大きさに違いがあるものの、基本的には同じ構造であるので、第1給電装置76を例に挙げて、その構造について説明する。図3は、第1給電装置76の外観構成を示す平面図である。同図において、第1給電装置76は、第1ブロック体761と、第2ブロック体762と、コイルスプリング763,764と、ブッシュ765と、挟圧機構766,767と、を備える。本実施形態では、これらの部品のうち、少なくとも第1,第2ブロック体761,762及びブッシュ765には、銅等の導電性に優れた金属材が用いられる。また、本実施形態では、金属製のコイルスプリング763,764を用いているが、ゴム等の非金属製の弾性部材を用いることも可能である。
第1ブロック体761は、導電性金属部材から成り、平面視凹状の立体形を成し、凹んだ部分が半円形溝7611となっている。また、第1ブロック体761には、半円形溝7611を挟む両側に貫通孔7612,7613が形成されている。これらの貫通孔7612,7613は、半円形溝7611の円心から一定距離を隔てた位置において、第1ブロック体761の短手方向(半円形溝7611の円心方向に対して直角方向)に形成される。また、これらの貫通孔7612,7613は、共に半円形溝7611の開口端側の径が大きくなった異径構造を有している。貫通孔7612の径の大きい部分(“大径部分”と呼ぶ)7612aには、コイルスプリング763の一端部分が挿入され、貫通孔7613の径の大きい部分(“大径部分”と呼ぶ)7613aには、コイルスプリング764の一端部分が挿入される。
一方、第2ブロック体762は、第1ブロック体761と略同一形状且つ同一部材から成り、半円形溝7621が形成された面側が、第1ブロック体761の半円形溝7611が形成された面側と対向するように配置されている。第2ブロック体762には、半円形溝7621を挟む両側に貫通孔7631,7632が形成されている。これらの貫通孔7631,7632は、半円形溝7621の円心から一定距離を隔てた位置において、第2ブロック体762の短手方向(半円形溝7621の円心方向に対して直角方向)に形成される。また、これらの貫通孔7631,7632は、共に半円形溝7621の開口端側の径が大きくなった異径構造を有している。貫通孔7631の径の大きい部分(“大径部分”と呼ぶ)7631aにはコイルスプリング763の他端部分が挿入され、貫通孔7632の径の大きい部分(“大径部分”と呼ぶ)7632aにはコイルスプリング764の他端部分が挿入される。
上述したように、コイルスプリング763は、第1ブロック体761の貫通孔7612の大径部分7612aと第2ブロック体762の貫通孔7631の大径部分7631aの間に挿入され、コイルスプリング764は、第1ブロック体761の貫通孔7613の大径部分7613aと第2ブロック体762の貫通孔7632の大径部分7632aの間に挿入される。この場合、コイルスプリング763,764は、第1ブロック体761と第2ブロック体762の間に圧縮状態で配設されるので、その復元力によって第1ブロック体761と第2ブロック体762を常時引き離すよう作用する。
第1,第2ブロック体761,762は、半円形溝7611,7621が形成された面側が互いに向かい合うように対向配置された状態で、挟圧機構766,767にて接続される。挟圧機構766は、先端部にネジが切られ、コイルスプリング763内を挿通できる外径を有する円柱棒状のロッド7661と、ロッド7661の先端部に切られたネジに螺合するナット7662と、ナット7662と第1ブロック体761の貫通孔7612の開口端の間に挿入されるワッシャー7663と、ピストン内蔵のシリンダ7664とを備える。シリンダ7664は、圧縮空気の供給を受けることで内蔵するピストン(図示略)が可動するものである。シリンダ7664内のピストンにはロッド7661の他端が接続されるので、シリンダ7664に圧縮空気が供給されてピストンが可動することで、ロッド7661がシリンダ7664側へ引き寄せられる。ロッド7661がシリンダ7664側へ引き寄せられると、ロッド7661に繋がっている第1ブロック体761の長手方向の一端部分(即ち、図面に向かって右端部分)が第2ブロック体762側へ引き寄せられる。
挟圧機構767も挟圧機構766と同様の構造を採り、先端部にネジが切られ、コイルスプリング764内を挿通できる外径を有する円柱棒状のロッド7671と、ロッド7671の先端部に切られたネジに螺合するナット7672と、ナット7672と第1ブロック体761の貫通孔7613の開口端の間に挿入されるワッシャー7673と、ピストン内蔵のシリンダ7674と、を備える。シリンダ7674は、圧縮空気の供給を受けることで内蔵するピストン(図示略)が可動するものである。上述したシリンダ7664と同様に、内蔵されたピストンにはロッド7671の他端が接続されるので、シリンダ7674に圧縮空気が供給されてピストンが可動することで、ロッド7671がシリンダ7674側へ引き寄せられる。ロッド7671がシリンダ7674側へ引き寄せられると、ロッド7671に繋がっている第1ブロック体761の長手方向の他端部分(即ち、図面に向かって左端部分)が第2ブロック体762側へ引き寄せられる。
挟圧機構766,767のシリンダ7664,7674には、同時に圧縮空気が供給されるようになっているので、挟圧機構766のシリンダ7664による第1ブロック体761の引き寄せと、挟圧機構767のシリンダ7674による第1ブロック体761の引き寄せが同時に行われる。即ち、第1ブロック体761と第2ブロック体762が平行を保った状態で、第1ブロック体761が第2ブロック体762側へ引き寄せられる。なお、本実施形態では、第1ブロック体761を第2ブロック体762側へ引き寄せるようにしたが、第1ブロック体761及び第2ブロック体762を、互いに相手側に引き寄せるようにしても構わない。
図4は、第1給電装置76のブッシュ765を示し、(a)は軸方向から見た外観図、(b)は軸方向に対し直角方向から見た外観図である。同図に示すように、ブッシュ765は円筒状の導電性金属部材から成り、外周面と内周面には、一方の開口端から他方の開口端に至る長さの溝765a,765bが周方向に沿って8本形成されている。ブッシュ765の外周面に形成された溝765aは略W字状の断面形状を成し、内周面に形成された溝765bは略V字状の断面形状を成している。ブッシュ765は、第1,第2ブロック体761,762によって挟圧されたときに収縮するように、その外径が第1ブロック体761の半円形溝7611と第2ブロック体762の半円形溝7621を合わせたときに得られる円の直径よりも大きくなるように形成される。即ち、ブッシュ765が第1ブロック体761の半円形溝7611及び第2ブロック体762の半円形溝7621のそれぞれに対して部分的に嵌合するように形成される。
ここで、第1ブロック体761及び第2ブロック体762を固定部と呼び、ブッシュ765に嵌入される第1固定軸741を可動部と呼ぶ。該固定部と該可動部を通して片側電極85に電流を流す場合、挟圧機構766,767を同時に作動させてブッシュ765を挟圧する。挟圧機構766,767が同時に作動することで、ブッシュ765が外周面の全周に亘って均等に加圧される。これにより、ブッシュ765の内周面が全周に亘って第1固定軸741の表面に密着し、固定部と可動部が導通状態になる。この場合、第1ブロック体761の半円形溝7611と第2ブロック体762の半円形溝7621を合わせたときに得られる円の径が、ブッシュ765の外径より小さくなるように、半円形溝7611,7621及びブッシュ765の形状が決められているので、ブッシュ76を容易に収縮させることができ、ブッシュ76の内周面を第1固定軸741の表面に隙間無く強固に密着させることができる。また、ブッシュ765の溝765aの断面形状を外周面側で略W字状、内周面側で略V字状としているので、ブッシュ765を容易に収縮させることができ、第1,第2ブロック体761,762による挟圧力の低減が図れる。即ち、小さな挟圧力でブッシュ765を第1固定軸741に密着させることができる。このような構造を採る第1給電装置76の採用により、固定部とした第1ブロック体761及び第2ブロック体762と、可動部とした第1固定軸741の間に安定して大電流を流すことが可能となる。
なお、ブッシュ765は、外周面と内周面のそれぞれに8本の溝765a,765bを形成したものであったが、溝を形成する面は外周面又は内周面のいずれか一方であってもよい。また、溝の本数は1であっても構わないが、溝の本数を多くするに従い、固定部である第1ブロック体761及び第2ブロック体762と、可動部である第1固定軸741との密着性が良くなることから、多い方が効果的であると言える。因みに、実際の抵抗溶接装置では16本形成している。
また、第1ブロック体761の半円形溝7611及び第2ブロック体762の半円形溝7621それぞれの表面とブッシュ765の外周面の間及びブッシュ765の内周面に、導電性充填剤(カーボン、金属粉、金属酸化物等)が添加されたグリースを塗布するようにしてもよい。このグリースを塗布することで、接触面の凹凸が埋まり、平坦化して安定した接触面を維持でき、通電の更なる安定化が図れるとともに、接触面の摺動による摩耗を防ぐことができる。
図5は、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aの第1,第2給電装置76,77及び第1,第2固定軸741,742それぞれの縦断面並びに溶接時の電流経路を示す図である。なお、同図において、第2給電装置77を構成する第1ブロック体には符号771を付けており、第2ブロック体には符号772を付与し、ブッシュには符号775を付けている。
第2固定軸742に流入した溶接電流Ieは、第2給電装置77のブッシュ775、第2給電装置77の第1,第2ブロック体771,772を通り、摺動導電体73(図5では図示していない)に流入する。摺動導電体73に流入した溶接電流Ieは、片側電極85の外側電極85B、被溶接物500(図1参照)、片側電極85の内側電極85A、ガン本体72、ジャンパー線82を順次通り、第1給電装置76の第1,第2ブロック体761,762に流入する。その後、ブッシュ765を通って第1固定軸741に流入する。このように、溶接ガン6Aにおける電流経路は、第2固定軸742→第2給電装置77→摺動導電体73→片側電極85の外側電極85B→被溶接物500→片側電極85の内側電極85A→ガン本体72→ジャンパー線82→第1給電装置76→第1固定軸741となる。
図1に戻り、テーブル9は、略正方形の平坦な板状を成し、被溶接物500を載置する。被溶接物500は、例えば少なくとも2枚の鋼板を重ね合わせてなる板組である。なお、被溶接物500には、裏面(例えば、重ねた2枚の鋼板のうち、片側電極から遠い方の裏面)に保護シートが貼られたものや、塗装が施されたものがある。溶接条件設定器11は、被溶接物500の材質や板厚等の溶接条件の設定を行う。片側電極85は、溶接ガン6Aの先端部分に装着される。図2に示すように、片側電極85は、ガン本体72と導通し、先端に絶縁リング85Cが配設された円柱状の内側電極85Aと、摺動導電体73と一体化し、軸方向に内側電極85Aを内挿可能な両端が開口した筒状の外側電極85Bとで構成される。
次に、電源ユニット3について説明する。
図6は、抵抗溶接装置1Aの概略構成を示す図である。同図において、電源ユニット3は、整流器300と、平滑用コンデンサ301と、溶接制御回路302と、インバータ回路303とを備える。整流器300は、単相全波整流式を採用したものであり、受電設備400からの三相の交流を整流して直流に変換する。溶接制御回路302は、溶接条件設定器11で設定された溶接条件に見合った溶接電流Ieの大きさと通電時間を制御する。溶接制御回路302には例えばマイコンが用いられる。該マイコンは溶接制御用のプログラムを保持し、そのプログラムに従って動作する。溶接制御回路302は、溶接ガン6Aに備えられた起動スイッチ68からの溶接指令Swを検知することで、溶接条件設定器11にて設定された被溶接物500の材質と厚さに応じたタイミング信号Siを生成し、インバータ回路303に出力する。溶接制御回路302は、例えば、溶接電流Ieが通電開始時から15ミリ秒以内で最大値となり、かつ50ミリ秒以下の通電時間で溶接を完了するように、タイミング信号Siを生成する。
インバータ回路303は、インバータ制御部3031と、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を使用した4つのスイッチS1〜S4と、例えばCT(Current Transformer)を使用した電流センサ3032と、を備える。インバータ制御部3031は、溶接制御回路302で生成されたタイミング信号Siと電流センサ3032で検出された1次電流Ifとに基づいてスイッチS1〜S4のそれぞれをオン・オフ制御し、高周波交流を発生する。インバータ制御部3031が発生する高周波交流の大きさは、スイッチS1〜S4それぞれのオン・オフのデューティによって変化する。スイッチS1〜S4それぞれのオン・オフのデューティを変化させることで、後述する図7の(a)に示すようにスイッチング波形のWの幅が変化する。
図7は、溶接トランス10の1次側に供給される電流を制御するための制御パルス、1次電流If及び整流後の溶接電流Ieを示す図である。同図において、インバータ回路303により制御された幅Wのパルス(スイッチングパルス)が、一定時間H内に一定回数、ここでは正方向のパルスと負方向のパルスとで合計10回、溶接トランス10の1次コイル12に供給される。これにより、溶接トランス10の1次コイル12には、図7の(b)に示すような1次電流Ifが流れる。溶接トランス10の1次コイル12に1次電流Ifが流れることで、溶接トランス10の2次側に発生した2次電流が整流素子18,20で全波整流されて、図7の(c)に示すような溶接電流Ieとなって溶接ガン6Aに流れる。
図7の(a)に示すパルスの幅Wを増減することで溶接電流Ieの大きさを調整することができる。また、パルスの供給回数を増減すれば溶接時間を調整することができる。即ち、パルスの繰り返し周波数を高くすると溶接時間をより細かく微調整できる。また、溶接トランス10の1次コイル12に供給する電力を増やせば、2次コイル14からより大きな溶接電流Ieを取り出すことができる。
溶接トランス10の1次コイル12は、電源ユニット3のインバータ回路303の出力側に接続される。図8は、溶接トランス10と溶接ガン6Aの結線を示す図である。同図において、溶接トランス10の1次コイル12は、電源ユニット3のインバータ回路303の出力端に接続される。インバータ回路303から高周波交流が出力されることで、溶接トランス10の1次コイル12に1次電流が流れる。溶接トランス10の2次コイル15は、それ自体に極性を考慮する必要はないが、便宜上、溶接トランス10の2次コイル15を、正側コイル14と負側コイル16とを直列接続したものと呼ぶことにする。正側コイル14の一端には第1整流素子18のアノード(正極)が接続され、負側コイル16の一端には第2整流素子20のアノード(正極)が接続される。第1整流素子18のカソード(負極)と第2整流素子20のカソード(負極)がプラス電極22に共通接続され、正側コイル14の他端と負側コイル16の他端とがマイナス電極24に共通接続される。
プラス電極22とマイナス電極24には、給電ケーブル7、ガンシャフト8内を通した同軸状のケーブル(図示略)を介して溶接ガン6Aが接続される。即ち、溶接トランス10の2次側のプラス電極22に溶接ガン6Aの第2固定軸742が接続され、溶接トランス10の2次側のマイナス電極24に溶接ガン6Aの第1固定軸741が接続される。また、第2固定軸742は、第2給電装置77を介して摺動導電体73に接続され、第1固定軸741は、第1給電装置76を介してガン本体72に接続される。さらに、摺動導体73の先端部分には片側電極85の外側電極85Bが接続され、ガン本体72の先端部分には片側電極85の内側電極85Aが接続されるので、溶接トランス10の2次側のプラス電極22は片側電極85の外側電極85Bに接続され、溶接トランス10の2次側のマイナス電極24は片側電極85の外側電極85Aに接続されることになる。このような接続関係により、片側電極85に供給される溶接電流は、外側電極85Bから内側電極85Aに向かう方向に流れる。
なお、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aでは、溶接トランス10のプラス電極22を片側電極85の外側電極85Bに接続し、溶接トランス10のマイナス電極24を片側電極85の内側電極85Aに接続するようにして、外側電極85Bから内側電極85Aに向かう方向に溶接電流が流れるようにしたが、逆になるようにしても構わない。即ち、溶接トランス10のプラス電極22を片側電極85の内側電極85Aに接続し、溶接トランス10のマイナス電極24を片側電極85の外側電極85Bに接続するようにしてもよい。
図9は、第1整流素子18に順方向電流が流れたときの回路動作を示す図である。また、図10は、第2整流素子20に順方向電流が流れたときの回路動作を示す図である。図9及び図10では、図8に示す回路に、回路動作上問題になる等価的なインダクタンス成分を書き加えている。即ち、正側コイル14と第1整流素子18を接続する正側導体30のインダクタンスと、負側コイル16と第2整流素子20を接続する負側導体32のインダクタンスと、給電ケーブル7等を含む溶接ガン6Aにおける導体のインダクタンスとが、抵抗溶接装置の性能に影響を及ぼすと考えられる。
溶接トランス10や給電ケーブル7等を含む溶接ガン6Aで発生する大量の熱を抑制することができれば、抵抗溶接装置の省エネルギー化が図れ、大きな節電効果が期待できる。これは、従来よりも大きな電流を短時間だけ溶接ガン6Aに供給するように制御できれば実現可能である。一方、溶接される材料や構造等に最適な溶接電流を供給するためには、溶接電流の供給時間を極めて高精度に制御する必要がある。これは、溶接電流を供給する溶接トランス10の1次側にインバータ回路303を接続して、PWM制御により溶接電流の大きさと供給時間とを制御することで実現可能である。
ここで、従来の抵抗溶接装置は、例えば1万アンペアで200m秒〜700m秒の溶接電流を供給するようにしているが、溶接電流をその2倍の2万アンペアにしてみると、溶接ガン6A以外の場所で熱エネルギーになって消費される電力損失が極めて大きくなり、実用上問題となる。そこで、溶接電流を2倍にしても溶接時間を10分の1に短縮すれば、消費電力を5分の1にすることができ、実用上問題とはならない。
一方、溶接電流を供給するためのインバータ回路の制御パルスは、従来、繰り返し周波数が1kHz程度のものを使用していたが、大電流を短時間供給するには、もっと分解能の高い制御パルスが必要になる。本実施形態に係る抵抗溶接装置1Aのインバータ回路303では、繰り返し周波数が5kHz〜50kHz程度のパルスを出力するようにしている。従来の数倍から数十倍の高い繰り返し周波数のパルスを従来の溶接トランスに供給した場合、予定した溶接電流が得られないが、本実施形態に係る抵抗溶接装置1Aで使用する溶接トランス10は、従来の数倍から数十倍の高い繰り返し周波数のパルスでも予定した溶接電流を得ることができる構造を有している。以下、本実施形態に係る抵抗溶接装置1Aで使用する溶接トランス10の構造を説明する。
図11は、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aの溶接トランス10の外観を示す斜視図である。また、図12は、溶接トランス10の組み立て状態を示す斜視図である。図11及び図12において、溶接トランス10は、平行部25aと両端のU字状の湾曲部25bにより構成される環状磁心25と、環状磁心25の平行部25aに、複数の部分に分けて間隙12aを空けて分割巻きされる1次コイル12と、1次コイル12と共に環状磁心25の平行部25aに巻回され、1次コイル12に設けられた各間隙12aに1個ずつ挟み込むように、複数の正側コイル14と複数の負側コイル16とを交互に配列した2次コイル15と、複数の正側コイル14は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、複数の負側コイル16は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、接続された複数の正側コイル14と複数の負側コイル16とが互いに直列接続されるように、正側コイル14と負側コイル16の端子間を電気接続する導体群を有し、かつ、該導体群により、全ての正側コイル14と負側コイル16とを一方の面上に支持固定する接続基板62を備え、複数の正側コイル14の一方の端子は、接続基板62の他方の面上で、環状磁心25の平行部25aに平行な方向に伸びた第1連結極板44に電気接続され、複数の負側コイル16の一方の端子は、接続基板62の他方の面側で、環状磁心25の平行部25aに平行な方向に伸びた第2連結極板46に電気接続され、正側コイル14の他方の端子と負側コイル16の他方の端子は、共に、接続基板62の他方の面側で、環状磁心25の平行部25aに平行な方向に伸びた第3連結極板48に電気接続され、第1連結極板44には、正側導体30が連結され、第2連結極板46には、負側導体32が連結され、正側導体30と負側導体32は、接続基板62の他方の面側において、当該他方の面から垂直に離れる方向に伸びる境界面に配置された絶縁層31を介して重ね合わされた一対の導体板であり、正側導体30とプラス電極22(図6、図8参照)が接続された第1極板34との間に挟まれ、正側導体30にアノード(正極)が接触し、第1極板34にカソード(負極)が接触する第1整流素子18と、負側導体32とマイナス電極24が接続された第2極板36との間に挟まれ、負側導体32にアノード(正極)が接触し第2極板36にカソード(負極)が接触する第2整流素子20と、第1極板34と第2極板36を支持し、両者を電気接続する第3極板38と、第3極板38に接続されたプラス電極22と、第3連結極板48に接続されたマイナス電極24と、を備える。
溶接トランス10は、このような構造を有したことで、インバータ回路303からの高い周波数(5kHz〜50kHz程度)のパルスでも、予定した溶接電流を得ることができる。
ところで、図6に示すような2個の整流素子18、20を使用した全波整流型の2次回路は、ブリッジを使用した回路に比べて整流素子数が少なく、小型化できて電力損失も少ないため、抵抗溶接装置に適することが知られている。しかしながら、この2次回路では、1次コイル12に流れる電流の極性反転によって、2次コイル15に誘起される電圧が極性反転したときに、一方の整流素子を通じて供給されていた負荷電流が他方の整流素子側に流れを変える転流が生じる。
溶接電流が大電流になると、回路各部のインダクタンスに蓄積された電流エネルギーは非常に大きくなる。この電流エネルギーが一方の整流素子から他方の整流素子の側に移る転流時間は、図9や図10に示す2次コイル15の各部のインダクタンスが大きいほど長くなる。図7に示す1次コイル12の電流の立ち下がり開始から反対極性の電流の立ち上がり終了までの時間Mの間に2次回路の転流が完了しないと、2次電流の立ち上がりが遅れて、図7の破線に示すように、予定した溶接電流が得られなくなる。
第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aで使用している溶接トランス10は、正側導体30と負側導体32が絶縁層31を介して密着し、また2次コイル15の正側コイル14と負側コイル16の間に1次コイル12が挟まるようにこれらのコイルを配置しているので、溶接トランス10の2次側回路の転流時におけるインダクタンスが低減し、該2次側回路における転流時間が短くなる。したがって、溶接トランス10を使用することで、より高い周波数のインバータ制御が可能となる。
また、溶接トランス10は、1次コイル12と2次コイル15の配置によって、溶接トランス全体の熱分布を均一化できる。
また、溶接トランス10は、1次コイル12と2次コイル15の正側コイル14及び負側コイル16をそれぞれ分割巻きして1次コイル12と2次コイル15の結合を図っているので、1次コイル12と2次コイル15における結合を強くでき、2次側の大電流による磁気飽和を防止できる。
また、溶接トランス10は、1次コイル12と2次コイル15の正側コイル14と負側コイル16との関係がどの場所でも均等になるようにしていので、互いに密着した配置が可能となり、溶接トランス10の小型化が図れる。
このように、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aによれば、第1固定軸741とガン本体72の間の通電を図る第1給電装置76と、第2固定軸742と摺動導電体73の間の通電を図る第2給電装置77とを有するので、第1固定軸741とガン本体72の間と、第2固定軸742と摺動導電体73の間のそれぞれを繋ぐ給電ケーブルを省くことができるとともに、それぞれの間に安定して大電流を流すことが可能となる。これにより、短時間に大電流の供給を可能とする溶接トランス10からの電流を効率良く片側電極85に流すことが可能となり、片側電極85の利点(即ち、片面に保護シートが貼られた被溶接物の溶接においては、裏面に圧痕や熱による焼けや歪を発生させ難く、片面塗装された被溶接物の溶接においては、焼けや熱変色を発生させ難いという利点)をさらに活かすことができる。また、大電流を短時間に流すことができることから、省電力化も図れる。
また、水平方向への移動を可能とする溶接ガン6Aは、上面に開口部を有し、該開口部の周縁から内側に延びる延設部を有する箱状の被溶接物に対し、該被溶接物の延設部の直下で溶接を行うような場合、該延設部が邪魔になることなく溶接を行うことができる。
なお、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aにおいて、給電装置66を給電装置76(又は給電装置77)に置き換えるようにしてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る抵抗溶接装置について説明する。
図13は、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bの外観構成を示す側面図である。なお、同図において前述した図1と共通する部品や部材については同一の符号を付けてその説明を省略する。
第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bは、溶接トランスとの一体化を図った溶接ガン6Bを有している。すなわち、前述した第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aでは、溶接ガン6Aと溶接トランス10を給電ケーブル7やガンシャフト8内を通した同軸ケーブル(図示略)にて接続するようにしたが、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bは、溶接トランスを直結させた溶接ガン6Bを有することで、給電用のケーブルを省いたものである。給電用のケーブルを省くことで、短時間に大電流の供給を可能とする溶接トランスからの電流をさらに効率良く片側電極85に流すことが可能となる。
図13において、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bは、筐体90と、制御・電源ユニット91と、冷却ユニット92と、溶接ガン6Bと、ガン上下移動機構93と、ガン旋回機構94と、テーブル96と、テーブル移動機構97と、を備える。筐体90は、図示のように、側面視した形状が略コ字状となっており、内側の上部中央にはガン上下移動機構93が配設され、上側の開口部付近には溶接ガン6B及びガン旋回機構94が配設されている。ガン上下移動機構93は、制御・電源ユニット91からの指示に従って動作し、モータ93aの駆動力により、溶接ガン6Bを筐体90の立設方向(略垂直方向)に上下動させる。ガン旋回機構94は、制御・電源ユニット91からの指示に従って動作し、溶接ガン6Bを筐体90の立設方向に対して直角方向(略水平方向)に回転させる。ガン旋回機構94は、第2ベアリング支持板87(図14参照)に掛けたベルト94bをモータ94aの動力を利用して回すことで溶接ガン6Bを回転させる。テーブル96は、被溶接物500を載置する。テーブル移動機構97は、制御・電源ユニット91からの指示に従って動作し、X−Y平面上でテーブル96を移動させる。制御・電源ユニット91は、被溶接物500の溶接箇所が片側電極85の直下に位置するように、テーブル移動機構97を制御する。
図14は、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bの溶接ガン6Bの詳細な構成を示す側面図である。なお、同図において前述した図2の溶接ガン6Aと共通する部品や部材については同一の符号を付けてその説明を省略する。同図において、溶接ガン6Bは、ガン本体72と、摺動導電体73と、ガン本体72及び摺動導電体73を水平方向に回転自在に支持する固定軸部74Bと、固定軸部74Bとガン本体72の間に配設される第1給電装置76と、固定軸部74Bと摺動導電体73の間に配設される第2給電装置77と、を備える。ガン本体72と、摺動導電体73と、ガン本体72、第1給電装置76及び第2給電装置77については、前述した第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aのものと同一であるので説明を省略し、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aとは異なる固定軸部74Bについて説明する。
固定軸部74Bは、円柱状の導電性金属部材から成り、一端が溶接トランス10Bのマイナス電極24に直結される第1固定軸741Bと、円筒状の導電性金属部材から成り、第1固定軸741Bと非通電状態を保ちつつ、該第1固定軸741Bの挿通を可能とし、第1固定軸741Bの一端と同じ側に位置する開口端側に、中心軸Ax(図13参照)方向に対して直角方向に延在する環状鍔部742Baを有し、該環状鍔部742Baが溶接トランス10Bのプラス電極22に直結される第2固定軸742Bとを備える。固定軸部74Bは、ガン本体72及び摺動導電体73を、第1固定軸741Bと第2固定軸742Bに共通する中心軸を回転中心として回転自在に支持する。
ここで、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bで使用される溶接トランス10Bは、基本的には第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aで使用される溶接トランス10と同一構造を成すが、プラス電極22とマイナス電極24の取り付け構造に違いがある。図15は、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bで使用される溶接トランス10Bの外観を示す斜視図である。同図に示すように、第3極板38の電極取り付け面と、第3連結極板48の電極取り付け面が同じ位置に来ており、第3極板38の電極取り付け面にはプラス電極22が取り付けられ、第3連結極板48の電極取り付け面にはマイナス電極24が取り付けられる。プラス電極22及びマイナス電極24は、いずれも同じ厚みを有する四角形ブロック状に形成されている。
一方、図14に示すように、第1固定軸741Bの溶接トランス10B側の端部が、第1固定軸741Bの中心軸方向に対して直角方向に曲がった構造を採り(その部分を“延在部741Ba”と呼ぶ)、この延在部741Baの厚み分だけ、第2固定軸742Bの鍔部742Baと溶接トランス10のプラス電極22との間に隙間が生じる。そのため、第2固定軸742Bの鍔部742Baと溶接トランス10Bのプラス電極22との間にスペーサ750を介在させている。勿論、スペーサ750は、銅等の導電性金属部材からなるものである。スペーサ750を介して第2固定軸742Bの鍔部742Baと溶接トランス10Bのプラス電極22とが接続される。
このように、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bによれば、溶接トランス10Bを固定軸部74Bに直結させたので、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aよりも多く電流を流すことが可能となり、溶接トランス10と固定軸部74Bの間に安定して大電流を流すことが可能となる。勿論、第1固定軸741Bとガン本体72の間の通電を図る第1給電装置76と、第2固定軸742Bと摺動導電体73の間の通電を図る第2給電装置77を有しているので、第1固定軸741Bとガン本体72の間と、第2固定軸742Bと摺動導電体73の間のそれぞれにおいて給電ケーブルを省くことができ、全体として、第1実施形態に係る抵抗溶接装置1Aよりも多く電流を流すことが可能となる。また、大電流を短時間に流すことができることから、省電力化も図れる。
また、水平方向への移動を可能とする溶接ガン6Bは、上面に開口部を有し、該開口部の周縁から内側に延びる延設部を有する箱状の被溶接物に対し、該被溶接物の延設部の直下で溶接を行うような場合、該延設部が邪魔になることなく溶接を行うことができる。
なお、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bにおいて、給電装置66を給電装置76(又は給電装置77)に置き換えるようにしてもよい。
また、第2実施形態に係る抵抗溶接装置1Bは、溶接ガン6B、ガン上下移動機構93及びガン旋回機構94を1組設けたものであったが、2組以上設けることも勿論可能である。2組以上設ける場合、例えば、装置本体の立設方向に対して直角方向(すなわち、水平方向)に並設する。溶接ガン6B、ガン上下移動機構93及びガン旋回機構94を2組以上設けて、各組に対してテーブル96を連動させるようにすれば、流れ作業的に溶接を行うことが可能となり、生産性の更なる向上が図れる。
本発明を特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本発明は、溶接ガンを軸周りに回転可能にしつつ、回転させるための回転機構部における固定部と可動部の間に安定して大電流を流すことができるといった効果を有し、抵抗溶接への適用が可能である。
1A,1B 抵抗溶接装置
2,92 冷却ユニット
3 電源ユニット
4 支持ポスト
5 支持アーム
5A 第1アーム
5B 第2アーム
5C 回動軸
6A,6B 溶接ガン
7 給電ケーブル
8 ガンシャフト
9,96 テーブル
10,10B 溶接トランス
11 溶接条件設定器
12 溶接トランスの1次コイル
14 溶接トランスの2次コイルの正側コイル
15 溶接トランスの2次コイル
16 溶接トランスの2次コイルの負側コイル
18 第1整流素子
20 第2整流素子
22 溶接トランスのプラス電極
24 溶接トランスのマイナス電極
65 ハンドル
66 給電装置
67 加圧装置
68 起動スイッチ
72 ガン本体
73 摺動導電体
74,74B 固定軸部
76 第1給電装置
77 第2給電装置
80 直動ガイド
82 ジャンパー線
85 片側電極
85A 内側電極
85B 外側電極
85C 絶縁リング
88 ベアリング
90 筐体
91 制御・電源ユニット
93 ガン上下移動機構
93a,94a モータ
94 ガン旋回機構
94b ベルト
97 テーブル移動機構
302 溶接制御回路
303 インバータ回路
3031 インバータ制御部
400 受電設備
500 被溶接物
741,741B 第1固定軸
742 第2固定軸
741Ba 延在部
742B 第2固定軸
742Ba 鍔部
750 スペーサ
761 第1ブロック体
762 第2ブロック体
763,764 コイルスプリング
765 ブッシュ
765a,765b ブッシュの溝
766,767 挟圧機構
7611,7621 半円形溝

Claims (2)

  1. 平行部25aと両端のU字状の湾曲部25bにより構成される環状磁心25と、前記環状磁心25の前記平行部25aに、複数の部分に分けて間隙12aを空けて分割巻きされる1次コイル12と、前記1次コイル12と共に前記環状磁心25の前記平行部25aに巻回され、前記1次コイル12に設けられた前記各間隙12aに1個ずつ挟み込むように、複数の正側コイル14と複数の負側コイル16とを交互に配列した2次コイル15と、前記複数の正側コイル14は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記複数の負側コイル16は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記接続された前記複数の正側コイル14と前記複数の負側コイル16とが互いに直列接続されるように、前記正側コイル14と前記負側コイル16の端子間を電気接続する導体群を有し、かつ、前記導体群により、前記全ての前記正側コイル14と前記負側コイル16とを一方の面上に支持固定する接続基板62を備え、前記複数の正側コイル14の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面上で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第1連結極板44に電気接続され、前記複数の負側コイル16の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第2連結極板46に電気接続され、前記正側コイル14と前記負側コイル16の他端は、共に、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第3連結極板48に電気接続され、前記第1連結極板44には、正側導体30が連結され、前記第2連結極板46には、負側導体32が連結され、前記正側導体30と前記負側導体32とは、前記接続基板62の他方の面側において、当該他方の面から垂直に離れる方向に伸びる境界面に配置された絶縁層31を介して重ね合わされた一対の導体板であって、前記正側導体30と第1極板34に挟まれて、前記正側導体30に負極を接触させ前記第1極板34に正極を接触させた整流素子18と、前記負側導体32と第2極板36に挟まれて、前記負側導体32に負極を接触させ前記第2極板36に正極を接触させた整流素子20と、前記第1極板34と前記第2極板36を支持し、両者を電気接続する第3極板38と、前記第3極板38に接続されたプラス電極22と、前記第3連結極板48に接続されたマイナス電極24と、を備えた溶接トランス10と、
    先端部分72Aと基端部分72Bの双方が同一方向に直角に曲がったコ字状のガン本体72、及び、前記ガン本体72の両端部分が直角に曲がった側の第1面と反対側の第2面に近接配置され、前記第2面の長手方向に沿って摺動可能であって、先端部分73Aが前記ガン本体72の先端部分72Aと同一方向に直角に曲がるとともに、前記ガン本体72の先端に達する長さを有するL字状の摺動導電体73を備え、前記溶接トランス10より出力される電流が給電ケーブル7を介して供給される溶接ガン6と、
    前記溶接ガン6の前記ガン本体72の先端部分72Aと前記摺動導電体73の先端部分73Aに亘って設けられ、前記ガン本体72と導通し、先端に絶縁リング85Cが設けられた円柱状の内側電極85A、及び、円筒状を成すと共に、前記摺動導電体73と一体化し、軸方向に前記内側電極85Aを内挿可能な外側電極85Bで構成された片側電極85と、
    を備えた抵抗溶接装置において、
    前記溶接ガン6は、
    円柱状の導電性金属部材から成り、前記給電ケーブル7を介して前記溶接トランス10の前記マイナス電極24に接続される第1固定軸741、及び、円筒状の導電性金属部材から成り、前記第1固定軸741と非導通状態を保ちつつ、該第1固定軸741を挿通可能とし、前記給電ケーブル7を介して前記溶接トランス10の前記プラス電極22に接続される第2固定軸742を備え、前記ガン本体72及び前記摺動導電体73を、前記第1固定軸741と前記第2固定軸742に共通する中心軸を回転中心として回転自在に支持する固定軸部74と、
    前記溶接ガン6の前記ガン本体72と前記固定軸部74の間に配設され、前記固定軸部74の前記第1固定軸741と前記ガン本体72を電気的に接続する第1給電装置76と、
    前記溶接ガン6の前記摺動導電体73と前記固定軸部74の間に配設され、前記固定軸部74の前記第2固定軸742と前記摺動導電体73を電気的に接続する第2給電装置77と、
    を更に備え、
    前記第1給電装置76及び前記第2給電装置77の各々は、
    平面視凹状の立体形であって、凹んだ部分の形状が半円状となった導電性金属部材から成る第1ブロック体761と、
    前記第1ブロック体761と略同じ形状で且つ同じ導電性金属部材から成り、半円状の凹部が存在する側の面が前記第1ブロック体761の半円状の凹部が存在する側の面と対向するように配置された第2ブロック体762と、
    前記第1ブロック体761と前記第2ブロック体762が、それぞれの半円状の凹部の存在する側の面が対向するように配置される状態で、前記第1ブロック体761と前記第2ブロック体762の間に圧縮状態で配設され、復元力によって前記第1ブロック体761と前記第2ブロック体762を引き離すように作用するコイルスプリング763,764と、
    円筒状の導電性金属部材から成り、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762それぞれの半円状の凹部と部分的に嵌合し、外周面及び内周面の少なくとも一方の面に、一方の開口端から他方の開口端に至る長さの溝を少なくとも1つ有するブッシュ765と、
    前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762の少なくとも一方を他方側に引き寄せることで、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762によって前記ブッシュ765を挟圧する挟圧機構766,767と、
    を備え、
    前記第1給電装置76及び前記第2給電装置77のそれぞれにおいて前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762を固定部と呼び、前記ブッシュ765を可動部と呼ぶとし、前記片側電極への給電の際に、前記挟圧機構766,767を作動させて前記固定部と前記可動部を導通させる、抵抗溶接装置。
  2. 平行部25aと両端のU字状の湾曲部25bにより構成される環状磁心25と、前記環状磁心25の前記平行部25aに、複数の部分に分けて間隙12aを空けて分割巻きされる1次コイル12と、前記1次コイル12と共に前記環状磁心25の前記平行部25aに巻回され、前記1次コイル12に設けられた前記各間隙12aに1個ずつ挟み込むように、複数の正側コイル14と複数の負側コイル16とを交互に配列した2次コイル15と、前記複数の正側コイル14は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記複数の負側コイル16は全て並列接続されるかもしくは全部または一部が直列接続され、前記接続された前記複数の正側コイル14と前記複数の負側コイル16とが互いに直列接続されるように、前記正側コイル14と前記負側コイル16の端子間を電気接続する導体群を有し、かつ、前記導体群により、前記全ての前記正側コイル14と前記負側コイル16とを一方の面上に支持固定する接続基板62を備え、前記複数の正側コイル14の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面上で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第1連結極板44に電気接続され、前記複数の負側コイル16の一方の端子は、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第2連結極板46に電気接続され、前記正側コイル14と前記負側コイル16の他端は、共に、前記接続基板62の他方の面側で、前記環状磁心25の前記平行部25aに平行な方向に伸びた第3連結極板48に電気接続され、前記第1連結極板44には、正側導体30が連結され、前記第2連結極板46には、負側導体32が連結され、前記正側導体30と前記負側導体32とは、前記接続基板62の他方の面側において、当該他方の面から垂直に離れる方向に伸びる境界面に配置された絶縁層31を介して重ね合わされた一対の導体板であって、前記正側導体30と第1極板34に挟まれて、前記正側導体30に負極を接触させ前記第1極板34に正極を接触させた整流素子18と、前記負側導体32と第2極板36に挟まれて、前記負側導体32に負極を接触させ前記第2極板36に正極を接触させた整流素子20と、前記第1極板34と前記第2極板36を支持し、両者を電気接続する第3極板38と、前記第3極板38に接続されたプラス電極22と、前記第3連結極板48に接続されたマイナス電極24と、を備えた溶接トランス10と、
    先端部分72Aと基端部分72Bの双方が同一方向に直角に曲がったコ字状のガン本体72、及び、前記ガン本体72の両端部分が直角に曲がった側の第1面と反対側の第2面に近接配置され、前記第2面の長手方向に沿って摺動可能であって、先端部分73Aが前記ガン本体72の先端部分72Aと同一方向に直角に曲がるとともに、前記ガン本体72の先端に達する長さを有するL字状の摺動導電体73を備えた溶接ガン6Bと、
    前記溶接ガン6Aの前記ガン本体72の先端部分72Aと前記摺動導電体73の先端部分73Aに亘って設けられ、前記ガン本体72と導通し、先端に絶縁リング85Cが設けられた円柱状の内側電極85A、及び、円筒状を成すと共に、前記摺動導電体73と一体化し、軸方向に前記内側電極85Aを内挿可能な外側電極85Bで構成された片側電極85と、
    を備えた抵抗溶接装置において、
    前記溶接ガン6Bは、
    円柱状の導電性金属部材から成り、一端が前記溶接トランス10の前記マイナス電極24Aに直結される第1固定軸741B、及び、円筒状の導電性金属部材から成り、前記第1固定軸741Bと非通電状態を保ちつつ、該第1固定軸741Bの挿通を可能とし、前記第1固定軸741Bの一端と同じ側に位置する開口端側に、中心軸方向に対して直角方向に延在する環状鍔部Baを有し、該環状鍔部Baが前記溶接トランス10の前記プラス電極22Aに直結される第2固定軸742Bを備え、前記ガン本体72及び前記摺動導電体73を、前記第1固定軸741Bと前記第2固定軸742Bに共通する中心軸を回転中心として回転自在に支持する固定軸部74Bと、
    前記固定軸部74Bの前記第1固定軸741Bと前記ガン本体72を電気的に接続する第1給電装置76と、
    前記固定軸部74Bの前記第2固定軸742Bと前記摺動導電体73を電気的に接続する第2給電装置77と、
    を更に備え、
    前記第1給電装置76及び前記第2給電装置77の各々は、
    平面視凹状の立体形であって、凹んだ部分の形状が半円状となった導電性金属部材から成る第1ブロック体761と、
    前記第1ブロック体761と同じ形状で且つ同じ導電性金属部材から成り、半円状の凹部が存在する側の面が前記第1ブロック体761の半円状の凹部が存在する側の面と対向するように配置された第2ブロック体762と、
    前記第1ブロック体761と前記第2ブロック体762が、それぞれの半円状の凹部の存在する側の面が対向するように配置された状態で、前記第1ブロック体761と前記第2ブロック体762の間に圧縮状態で配設され、復元力によって前記第1ブロック体761と前記第2ブロック体762を引き離すように作用するコイルスプリング763,764と、
    円筒状の導電性金属部材から成り、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762それぞれの半円状の凹部と部分的に嵌合し、外周面及び内周面の少なくとも一方の面に、一方の開口端から他方の開口端に至る長さの溝を少なくとも1つ有するブッシュ765と、
    前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762の少なくとも一方を他方側に引き寄せることで、前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762によって前記ブッシュ765を挟圧する挟圧機構766,767と、
    を備え、
    前記第1給電装置76及び前記第2給電装置77のそれぞれにおいて前記第1ブロック体761及び前記第2ブロック体762を固定部と呼び、前記ブッシュ765を可動部と呼ぶとし、前記片側電極への給電の際に、前記挟圧機構766,767を作動させて前記固定部と前記可動部を導通させる、
    抵抗溶接装置。
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JP2021122859A (ja) * 2020-02-05 2021-08-30 崔宝英 金属部品溶接用の冷却装置

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