JP2018192466A - 可視光応答型光触媒のタングステン化合物及び塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化チタンは付着力が低いことや発がん性が報告されており、吸引や飛散した際に問題となる。【解決手段】(NH3)x−y・My・mWO3・rH2O(x−y>0、y≧0、m>0、r≧0)、My・mWO3・rH2O(y>0、m>0、r≧0)、(NH4)2(x−y)・M2y・(WO4)z・rH2O(x−y>0、y≧0、z>0、r≧0)またはMy・(WO4)z・rH2O(y>0、z>0、r≧0)、(NH4)2(x−y)・M2y・(WO4)z・(WO3)q・rH2O(x−y>0、y≧0、z>0、q>0、r≧0)、,My・(WO4)z・(WO3)q・rH2O(y>0、z>0、q>0、r≧0)(M:Li、Na、K、Cs、Rb)の中から少なくとも一種以上を含んだタングステン化合物の可視光応答型光触媒化合物を用いる。【選択図】図11

Description

本発明は、可視光応答型光触媒効果を有する材料又はそれを用いた部材に関するものである。
光触媒は国内では酸化チタンが光触媒として今から20年ほど前に研究が活発に行われていた。酸化チタンは紫外線領域にのみに反応するために太陽光に対しては水を分解するほどに分子の分解を行うことが出来る。価電子帯の真空順位が低く、電子を取り出す際に必要とするエネルギーが大きく、しかもバンドギャップが大きいため、約3eV程度の励起エネルギーが必要とされていた。光の波長では380nm程度以下に相当する。このために人の視覚が認識できる光の波長域400〜700nmでは光触媒性能を持っていなかった。
昨今、室内の光源が半導体のLEDとなり、紫外線を持たない可視光のみと光源となっていることから、従来型の光触媒である酸化チタンではLEDの光源では十分な光触媒性能が得られていない。酸化チタンの改良として窒素雰囲気中で熱処理、またはプラズマ雰囲気でNドープを行う方法や、または酸化チタンを合成する際に予めNb等の元素を添加してNbドープの酸化チタンを合成する方法が検討されてきた。
酸化チタンの分子分解の酸化力は価電子帯が深い位置にあり、電子が伝導体に励起された後のホールが非常に強い電子吸引力となり、接触した分子から電子を奪う結果、分子が酸化されて分解する。したがって、一つの研究の流れとしては常に伝導体にある電子を他に移動させることや元々触媒性のあるような金属や酸化物を酸化チタン表面に部分的に形成して光触媒性能が改善される報告も多数ある。具体的にはPd、Ru、Pt、Ni等を酸化チタン表面に形成することが一般的である。
酸化チタンは以前より毒性が心配されてきた経緯がある。そこで、酸化チタンの代替としてバンドギャップが酸化チタンよりも小さく、且つ価電子帯の位置が酸化チタンのように深い位置にあるものが探索されてきた。このような開発経緯の中で酸化タングステンが着目された。酸化タングステンは酸化チタンよりもややバンドギャップが小さめであり、2.8eV程度のものである。この結果、可視光領域の青色の波長にも吸収を持つ特性があり、可視光応答型の光触媒性能を持っている。酸化タングステンも酸化チタンと同様にPd、Ru、Pt、Ni等を酸化チタン表面に形成することにより触媒性能が改善される。
特開平10−195341 特開平7−171408 特開2009−202151
一般的に用いられる光触媒として酸化チタンが近年、強い発がん性を持つことが報告されている。したがって、例えば酸化チタンのナノ粒子を用いて家の内外の壁に塗布して成膜した場合には、スプレーによる噴霧では作業員が吸引する危険性があり、実作業では非常に大きな問題となっている。また、酸化チタンのナノ粒子を用いて分散液体を作製する場合にはサイズを5nm未満にする必要があるが、このサイズでは粉が分散液体の溶媒成分となる溶媒の気化と共に粉も飛散するという現象を示すため、作業者が粉を吸引する可能性が著しくなる。酸化チタンの粉のサイズが20〜50nmでは分散液体は白濁し透明性のないものとなる。このために建物や家具、部品等に成膜した場合、着色するという問題があった。
酸化タングステンの場合、光触媒の粒子サイズを小さくする方法がなく、業界での最小サイズが20〜30nmのものであり、これを用いた分散液体では黄色に帯びた白濁した液体になっていた。酸化タングステンのナノ粒子を用いて分散液体を構成しても一般的に使用されている固形分濃度1%の光触媒用塗布液体では液体の色が不透明となり、塗布した面もやや黄色に帯びた白濁した面を形成するという問題が発生していた。
しかしながら酸化チタンや酸化タングステンのナノ粒子を用いた場合には粒子のサイズを小さくすることにより透明化は達成できることは従来から確認されてきたが、課題は塗布した後に粒子間の接着や被着面との接着が得られないために飛散してしまうという致命的な問題があった。
光触媒材料で主に分解させる目的の有機物として、接着剤から出てくるホルムアルデヒド、アセトアルデヒドがある。また、最近では体臭の一つとしてアンモニアを分解させるために光触媒を使用している。これらを光触媒で分解させて有害な有機化合物や悪臭を除去する方法が検討されているが、光を必要とするために暗闇や暗所では効果がないという致命的な問題があった。
本発明のタングステン化合物として、(NHx−y・M・mWO・rHO(x−y>0、y≧0、m>0、r≧0)、M・mWO・rHO(y>0、m>0、r≧0)、(NH2(x−y)・M2y・(WO・rHO(x−y>0、y≧0、z>0、r≧0)、またはM・(WO・rHO(y>0、z>0、r≧0)、(NH2(x−y)・M2y・(WO・(WO・rHO(x−y>0、y≧0、z>0、q>0、r≧0)、M・(WO・(WO・rHO(y>0、z>0、q>0、r≧0)(M:Li、Na、K、Cs、Rb)の中から少なくとも一種以上を含んだものからなるタングステン化合物が可視光応答型光触媒機能を持つものであり、塩に近い性質を持つために塗布面に対して粉の密着力があり、また粒子間も付着しやすい性質を有することを発見した。この化合物は粒子サイズの調節が可能であり、平均粒径が50〜100nm程度でも容易に得られ、最小サイズは5〜10nmのものとなり、完全な無色透明の液体を形成できた。この際に無色透明の固形分濃度は30%に到達することも分かった。本発明の化合物は付着力が高く、本発明の化合物だけを用いて付着させたものにおいて、一般的な酸化チタン粉や酸化タングステンのナノ粒子のように飛散することは抑制される。また光が無い場所においても十分な触媒性能があるために、暗所や光を照射できないようなところにおいても有機化合物を分解する触媒材料、もしくは部品、装置としても使用することが出来る。
本発明の可視光応答型の光触媒材料のナノ粒子分散液体を用いることにより、従来で問題となっていた被着体への色デザインへの障害や被着体からの粉の飛散による環境汚染の問題が解消できる。また光がない場所においても触媒性能を有するために用途として光がない場所でも消臭効果を持ち、有害な化学物質の分解に有効である。
本発明に用いたタングステン酸リチウムと三酸化タングステンのX線光電子分光装置で得られた結果である。 本発明に用いたタングステン酸アンモニウム化合物のXRDの結果である。 本発明に用いたタングステン酸アンモニウム化合物のXRDの結果である。 本発明に用いたタングステン酸アンモニウム化合物のXRDの結果である。 図2の本発明に用いたタングステン酸アンモニウム化合物のTEM像である。 本発明に用いたNaWOとNaWO・2HOからなる化合物のXRDである。 実施例1で用いた化合物の粒度分布である。 本発明の光触媒の特性を調べるために用いた半導体LEDの照射装置である。 アンモニアやホルムアルデヒドの分解を調べるために用いたガラス瓶容器とサンプルの写真の一例である。 本発明で用いた光触媒である平均粒径0.17μのタングステン酸アンモニウム化合物(NH・H(W10・20HOのホルムアルデヒドの量と光照射時間の関係を示している。 本発明で用いた光触媒である平均粒径0.17μのタングステン酸アンモニウム化合物(NH・H(W10・20HOのアンモニアの量と光照射時間の時間の関係を示している。 本発明で用いた主成分がNaWO、副成分としてNaWO・2HOからなる粉のSEM観察像を示した。 本発明で用いた主成分がNaWO、副成分としてNaWO・2HOからなる粉のEDXのピークデータを示した。 本発明で用いた主成分がNaWO、副成分としてNaWO・2HOからなる粉のEDXのピークデータから算出される各原子の量を示した。 本発明で用いた光触媒である主成分がNaWO、副成分としてNaWO・2HOからなるナノ粒子のアンモニアの量と光照射時間の時間の関係を示している。 本発明で用いた光触媒である(NH0.25WOを含んだ粒子のホルムアルデヒドの量と光照射時間の時間の関係を示している。 本発明の光触媒粒子として平均粒径が0.05μの重量%と光触媒性能の関係を調べた結果を示している。 本発明の光触媒である5(NHO・12WO・11HOを含んだ粒子のアンモニアの量と光照射時間の時間の関係を示している。 本発明に用いた主成分が(NH0.25WO、WOからなるタングステン酸アンモニウム化合物のXRDの結果である 実施例10で用いた化合物の粉砕後の粒度分布である。 固形分濃度が0.01%〜10%のスラリーを用いて固形分濃度と光照射後のアンモニアの量の関係を示している。
酸化タングステンを作る過程でパラタングステン酸アンモニウムを用いて水溶液中で加熱しながら分解反応を行った際に、塩酸添加した場合において無色透明の液体が形成された。この液体は様々な試験から光触媒性能を持つことが分かった。この成分を分析した結果、タングステン酸アンモニウム化合物であることが分かり、パラタングステン酸アンモニウムに近い組成比を持つものであった。このタングステン酸アンモニウム化合物はX線結晶構造解析装置を用いて評価した結果、主に(NH・H(W10・20HO、5(NHO・12WO・11HO、5(NHO・12WO・7HO、(NH10・W1241・5HO、もしくは(NH10・H1242・4HOに示されるようなアンモニアを含んだ含水結晶であった。この結晶にアルカリ系の水酸化物を添加することによりアンモニウムイオンサイトは例えばナトリウムイオンのようなアルカリ金属イオンと容易に置換反応が働いて、タングステン酸アルカリ金属塩の形態を容易に合成することが可能である。また、市販されているパラタングステン酸アンモニウムも同様にアルカリ金属イオンでアンモニアイオンを置換することにより同様な効果がある。
このように作製したアンモニア、もしくはアンモニウムイオンやアルカリ金属元素イオンを含んだタングステン化合物を100℃から400℃にて焼成することにより容易に脱水反応が進み、完全に脱水反応させる、もしくは部分的に脱水反応をさせることにより含水量を制御できる。更に雰囲気を還元雰囲気にすることによりWが6価よりも5価に近いものも作製できる。
具体的には次のような化合物が一例として挙げられる。NH,NaWO,Na,Na0.74WO,Na0.54WO,HNa21(HO)10,Na21(HO)13,Na(WO)(HO),H101242(HO)7.5,H1240(HO)14,H1240(HO)12,K(O(HO),Na(WO)(HO),HRb1240(HO),Li1.4412,Li,Li(WO)の組成、もしくは結晶構造を持つものが例として挙げられる。このような化合物においてNaを一部Liに置換したり、Kを一部Liに置換したり、RbをNaに一部置換したりすることも可能であり、置換元素や量に限定されるものではなく、主たる組成比や上記化合物を構成する結晶構造があれば良い。また少量であれば二価や三価の金属元素で置換が可能であり、本特性を維持する、または改善することも可能である。更に酸素欠損が1at%以下の少量であれば問題はない。
具体的な本発明のタングステン化合物一般的な表現式としては、(NHx−y・M・mWO・rHO(x−y>0、y≧0、m>0,r≧0)、M・mWO・rHO(y>0、m>0、r≧0)、(NH2(x−y)・M2y・(WO・rHO(x−y>0、y≧0、z>0、r≧0)またはM・(WO・rHO(y>0,z>0,r≧0),(NH2(x−y)・M2y・(WO・(WO・rHO(x−y>0、y≧0、z>0、q>0、r≧0)、M・(WO・(WO・rHO(y>0、z>0、q>0、r≧0)(M:Li、Na、K、Cs、Rb)が組成として表現されるものである。この表現式では基本的にはW原子にOが八面体配位した構造にアンモニウムイオンやアルカリ金属イオンを含んだ結晶構造、または非晶質の形態となっている。必ずしも全体的な平均値として数値化した場合には整数ではない。この化合物のタングステンの価数はプラス6価に近いことがXPSの結果から確認できている。一例として LiWOにおけるWの価数を検討するため、WO単体を比較例として用いてWとOの結合エネルギーをX線光電子分光装置(JEOL製JPS−9200S)で測定した。この結果を図1に示した。この結果よりWOとほぼ同一の結合エネルギーを持っていることが分かった。(NH0.25WO,Na0.74WO,Na0.54WOのようにWの価数が6価より5価に近くなるものもある。これらの化合物も本発明のものと同等の効果をもっている。
表現した化学式の具体的な化合物を一例として示す。以下の表現式で示した化合物は単純にHOをないものとして表現しているが本発明では含まれているものが多い。この際、水分子として結晶中に含まれる場合とヒドロキシ基とプロトンが結晶中に含まれる場合があり、どちらも結晶構造は全く異なるが、本発明では結晶構造に限定されるものではないので、どちらか一方であるか、または非晶質でも良い。一例は非常に単純な組成比のもので記したが、本実施例で用いた化合物例として示したものでは化学式量はもっと大きいものとなっているものが多い。
例えば(NHx−y・M・mWO・rHO(x−y>0、y≧0、m>0、r≧0)において、x=0.74、y=0.6、m=1、r=0とすると場合にはNa0.74WOにおいてNaが一部アンモニアに置き換えられた(NH0.14Na0.60WOを示す。
次にM・mWO・rHO(y>0、m>0、r≧0)においてはy=0.74、m=1、r=0としてNa0.74WOを示す。主にWOの結晶中にNaを電気的に注入したエレクトロクロミック材料で使われるものに類似する。
また、(NH2(x−y)・M2y・(WO・rHO(x−y>0、y≧0、z>0、r≧0)においては、単純にy=0、x=2、r=0とすると(NHWOとなり、これは(NHWOOと同一である。
しかしながら、水分子として結晶中に含まれる場合とヒドロキシ基とプロトンで結晶中に含まれる場合があり、どちらも結晶構造は全く異なるが、本発明では結晶構造に限定されるものではないので、どちらか一方であるか、または非晶質でも良い。一例は非常に単純な組成比のもので記したが、本実施例で用いた化合物例として示したものでは化学式量はもっと大きいものとなっているものが多い。
またはM・(WO・rHO(y>0、z>0、r≧0)はy=2、z=1、r=0であればMをNaとするとNaWOとなる。これはNaOWOと同様であり、Wの価数は6価になるものである。本実施例で効果を示した。
(NH2(x−y)・M2y・(WO・(WO・rHO(x−y>0、y≧0、z>0、q>0、r≧0)において、x=1、y=0、z=1、q=1、r=0とすると場合には(NHWOWOとなり、別の表現にすると(NH・0・(WOとなるものである。一般式ではNHの一部をアルカリ金属イオンに置き換えたものを示した。
・(WO・(WO・rHO(y>0、z>0、q>0、r≧0)において、y=2、z=1、q=1、r=0としMをNaとするとNa・(WO)・(WO)となり、別の表現にするとNa・0・(WOとなるものである。
ここではアルカリ金属イオンだけで表記しているが、他の金属イオンとして例えば20at%以下であれば置換しても良い。具体的にはNaWOであればNaをCa、Zn、Mg、Ni、Ag等のアルカリ金属イオン以外の他の金属イオンで置換しても量によっては光触媒効果が下がるが、金属イオンを選ぶことにより光触媒性能は改善される。前述の表現式で表される化合物において同様である。
前述のように本発明のタングステン化合物の粒子としてはサイズが小さいことが良く、結晶または非晶質状態でも良い。形態としては溶媒に解けた状態においてスプレーで塗布した状態においても充分な効果を持っている。特に本発明のタングステン化合物においてタングステン元素を他の金属元素として10at%もしくは1%以下の少量置換でも同様な光触媒効果が得られる。また粒子表面にPt、Ru,Ag、Pdを添加することにより触媒性能を著しく改善できる。
このような化合物を含んだ液体を固形分10%以上になるように合成した場合には不定形結晶や針状結晶が数mmサイズで析出する。液に塩の性質を持つような状態で一部溶けているものが結晶の粗大化に寄与していると推察される。X線結晶構造解析では分散液体を一度乾燥状態にしているためにある程度の結晶サイズに成長していると推察されるが、特に非晶質の状態、もしくは分散液体の状態でも、例えばメチレンブルーやローダミンのような色素を分解して消色効果は確認できたため、化合物の結晶状態やサイズには光触媒性能はあまり依存していない。光触媒性能の観点からすると、サイズが小さくすることにより触媒面積が増えるために小さい方が良い。
前述のように本発明のタングステン化合物の粒子としてはサイズを小さくすることが望まれるが、化合物の結晶形態としては結晶または非晶質状態でも良い。化合物の形態が溶媒に解けた状態にしてスプレーで塗布した状態においても充分な効果を持っている。特に本発明のタングステン化合物において主成分のタングステン元素をZn、Sn、Ca,Sr,Mg、Fe、Cr、Co、Bi,Ni、Cu、Nd、La、Sm等、アルカリ金属、アルカリ土類金属元素、La系元素、遷移金属元素を上限として10at%、好ましくは1at%以下の少量置換でも同様な光触媒効果が得られる。また粒子表面にPt、Ru、Ag、Pdを被着させることにより触媒性能を著しく改善できる。量としては5000ppm程度、もしくは1000ppm程度以下でも良いが、少なくとも10ppm以上であることが望ましい。
本発明の光触媒化合物の結晶構造解析に株式会社リガク製 Multi Flexを使用した。タングステン化合物のXRDによる結晶構造解析で得られたデータを図2、図3、図4に示した。図2は(NH・H(W10・20HOのものに近い結晶構造持つものである。図4は5(NHO・12WO・11HOのものと一致した。図3に関しては既存のデータにはなかったが、400℃での加熱において激しいアンモニア臭が生じるものであり、更に500℃までに昇温すると、斜方晶系の酸化タングステンのみからなるものが得られ、元素分析でも酸素とタングステンのみが検出されたことから、この化合物がアンモニアを含んだ結晶であることが分かっている。特に図2の化合物に関しては液相中で非常に小さい粒子が得られ、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)H−7560を用いてTEM観察を行った結果を図5に示した。
また、アンモニウムサイトをアルカリ金属元素イオンで置換したものを用いて同様に結晶構造解析を行った。この際に用いたタングステン酸アンモニウム化合物としては図2に示した結晶構造のナノ粒子を用いた。この化合物のアンモニウムイオンサイトをNaイオンで置換した化合物のXRD結果を図6に示した。この結果からNaイオンでアンモニウムイオンを置換することにより、NaWOとNaWO・2HOからなる化合物になっていることが分かった。
このような化合物において、化合物粉の粉砕法もしくは出発原料の液相での析出条件を変えることによりサイズを調整することが出来る。例えばこれらの材料は溶解度が低いために塩酸等により多少溶解させた後に温度を下げて析出させることでも良い。またはタングステン酸アンモニウム化合物をNa,Li、K、Cs等からなるアルカリ性溶液に入れて置換反応させるだけでも良い。この粉のサイズが1mm〜100μ程度では光触媒性能は良く得られない。本発明の場合、少なくとも0.2μ以下であることが望まれる。または平均粒径が1μ以下において、50nm以下の粒子の重量が10%以上あることにより同様に光触媒性能が著しく示される。
本発明の化合物を用いて、光触媒として用いる際にはスプレーや刷毛塗りにより被着させたいものに化合物を付ける際に本化合物を有機溶剤や水に混ぜ込み、塗料化することにより被着させやすくなる。この塗料に接着力を持たせるために有機系バインダーや無機系バインダーを添加しても良い。例えばシロキサン化合物の有機無機ハイブリッド樹脂を用いることや無機ポリマーを用いることでも良い。また、粘土系材料や石膏素材、コンクリート素材等も用いることができ、バインダーの組成や結晶系に限定されるものではない。
上記の塗料を形成する場合、タングステン化合物の粒子サイズが10nm程度にすることにより水に分散させた状態では固形分濃度が30%でも無色透明の水溶液を形成できるが、固形分濃度が10%以上で保存すると水溶液中に結晶粒子の析出が多く見られるようになる。したがって結晶粒子の析出を防ぐためには固形分濃度が10%より少ない方が良く、望ましくは5%以下であることが良い。
光触媒塗料を用いて被着体に塗布する量としては少なくとも1cm当たりに0.001gでも良いが、更に少なくした場合、例えば0.01μg程度以下では十分な効果は見られない。
光触媒塗料として本発明のタングステン化合物を含ませることにより付着性がでる。この特性は例えば数十nmの酸化チタンや三酸化タングステンナノ粒子では得られていないが、本発明のタングステン化合物では付着性が大きいことが確認されている。したがつてバインダーを添加しなくてもある程度の付着の保持が可能である。
本発明のタングステン化合物からなる光触媒塗料の含有物に二酸化チタンのナノ粒子や単斜、三斜晶系三酸化タングステンのナノ粒子等の他の素材からなる光触媒を添加することにより光吸収の波長領域を広げる、もしくは光吸収率を改善して触媒性能を改善する、または光触媒により分解するものを多様化することが出来る。また、塗料中の含有物に電荷移動させられるものがあると、光励起された電子が電荷移動して触媒性能を上げられる。
また、本発明の光触媒化合物は光の照射が無くても十分な触媒効果があり、光がないブラックボックスにおいても光照射時よりは触媒性能が劣るにしてもアセトアルデヒド、ホルムアルデヒドやアンモニア、ジアミン、ヒドラジン、NOx等の有機物に対して触媒による分解性能が著しくあることが確認された。分解する有機物はこれらに限定されるものではない。したがって、光触媒として使用しなくても十分にこれらの有機化合物の分解に有効なものであり、一般的な触媒化合物として用いることが出来る。
本発明のタングステン酸アンモニウム化合物として、主成分が(NH・H(W10・20HOを用いた。用いた粉はX線解析装置により結晶構造の解析を行った。この結果を図2に示した。この結果より主成分が(NH・H(W10・20HOであった。この粉を10g秤量し500CCのビーカに入れて、次に大きさ0.1mmφのジルコニアビーズを1kg入れた後に純水200gを添加してプロペラ型の攪拌機を攪拌速度300rpmで120時間処理を行って粉砕した。この時の粒度分布は図7に示すものとなった。粒度分布の測定はHORIBA製LA−950で行った。平均粒径は0.17μmとなった。このスラリーを用いて固形分濃度を1%にした液を50CC作製した。この液にメチレンブルー濃度20ppmの液を1CC添加した。その後、図8示す装置にセットして、半導体LEDを用いて12時間照射を行った。半導体のLED光源としてはOptoSupply社製 青色の波長465〜475nmのものを使用した。受光側の光センサーとして浜松ホトニクス社製 Si PINフォトセンサーを用いた。受光センサーの電流値として0.2mAを基準値として用いた。12時間照射後のメチレンブルーの色を確認し結果、照射したサンプルは完全な無色透明となって光触媒効果による分子構造の変化を確認した。比較として光を照射していないものは初期として全く変わらない色であった。
次に前述の平均粒径0.17μmのタングステン酸アンモニウム化合物(NH・H(W10・20HOを純水に添加して固形分1%濃度にした水溶液1リットルにタングステン酸アンモニウム化合物に対して300ppmになるようにPdClを添加して12時間攪拌した。これを用いて厚さ0.5mm程度のポリプロピレン製透明プラスチック板 幅6cm長さ16cmに全面の裏表にスプレーで塗布した。この時の乾燥後の重量は0.3gとなっており、塗膜の単位面積当たりの重量は1.5mg/cmとなった。これを図9に示すような900mLのガラス瓶に入れて、太陽光でホルムアルデヒドの分解を調べた。この際、ガラス瓶の中がホルムアルデヒド20ppmになるように添加した。この際、同一の条件で作製した試験サンプルを21個作製した。ホルムアルデヒドの量はガステック検知器 GV−100Sを用いて、検知管は型番91Lで測定濃度範囲0.1〜40ppmのものを用いた。初期の濃度から時間経過に従ってホルムアルデヒド濃度の時間的な変化を調べた。一つのサンプルは光を照射しないものとして暗所に保管した。もう一つのサンプルとして同一の透明プラスチック板に光触媒化合物を塗布しないものを用いた。これには光を照射した。この結果を表1と図10に示した。表中にはppmの単位で示している。この表と図から分かるように太陽光を浴びたものはホルムアルデヒドが急速に分解していた。また光を照射しないものでも、光照射時よりは触媒性能は劣るにしてもホルムアルデヒドの分解が非常に良いことが確認された。参考として評価した、光触媒化合物を塗布しないものは光を当てた状態でも初期値と変わらなかった。
このサンプルを用いてアンモニアの分解を調べた。試験条件はLEDライト(型番ELPA 100V 4.2W)で6000lxになるように設定して照射しアンモニアの分解試験を行った。この際、ガラス瓶の中がアンモニア20ppmになるように添加した。この際、同一の条件で作製した試験サンプルを21個作製した。アンモニアの量の測定にはガステック検知器 GV−100Sを用いて、検知管は型番3Lで測定濃度範囲0.5〜78ppmのものを用いた。初期の濃度から時間経過に従ってアンモニア濃度の時間的な変化を調べた。一つのサンプルは光を照射しないものとして暗所に保管した。比較例としてポリプロピレン製透明プラスチック板に塗布しないものを用いて、光照射した時のアンモニア濃度の時間的な変化を調べた。この結果を表2と図11に示した。表中にはppmの単位で示している。この表と図から分かるようにLEDライトを浴びたものはアンモニアが急速に分解していた。また、光照射をしない状態でもアンモニアを分解していることが確認された。比較例として透明プラスチック板に塗布しないものは光を照射しても初期値と変わらなかった。
本発明のタングステン酸ナトリウム化合物が主成分である粉を用いた。X線解析装置により結晶構造の解析を行った。この結果を図6に示した。この結果より主成分がNaWOであり、副成分としてNaWO・2HOであった。また、この粉の組成を粉砕していない状態のSEM観察像を図12に示した。更にSEM−EDXにて組成分析を行ったデータを示した。図13にはEDXのピークデータを示し、図14にピーク値から算出された元素の量を示している。生データのために、試料台に使っている金属アルミ円盤からのAlのピークやサンプルを試料台に固定するために使用している導電性テープからの炭素や酸素も検出されているので、正確な組成は定量していないが、主成分がNaとWから成り立っていることは確認された。Na量が多く見られるのは余剰のNaOやNaCOが乾燥過程で粉の表面に析出されるためである。この結果とXRDの結果より化合物の主成分はNaWOに近いことが示された。この粉を10g秤量し500CCのビーカに入れて、次に大きさ0.05mmφのジルコニアビーズを1kg入れた後に純水200gを添加してプロペラ型の攪拌機を攪拌速度300rpmで120時間処理を行って粉砕した。この平均粒径は0.12μmとなった。このスラリーに純水を添加して固形分1%濃度にした水溶液1リットルにタングステン酸ナトリウム化合物に対して300ppmになるようにPdClを添加して12時間攪拌した。これを用いて厚さ0.5mm程度のポリプロピレン製透明プラスチック板幅6cm長さ16cmに全面の裏表にスプレーで塗布した。この時の乾燥後の重量は0.5gとなっており、塗膜の単位面積当たりの重量は2.6mg/cmとなった。これを図7に示すようなガラス瓶に入れて、太陽光でアンモニアの分解を調べた。この際、ガラス瓶の中のアンモニア濃度が20ppmになるように添加した。アンモニアの量はガステック検知器 GV−100Sを用いて、検知管は型番3Lで測定濃度範囲0.5〜78ppmのものを用いた。この際、どうような試験サンプルを21個作製した。初期の濃度から時間経過に従ってアンモニア濃度の時間的な変化を調べた。一つのサンプルは太陽光を照射し、もう一つのサンプルは太陽光を照射しないものとして暗所に保管した。比較例として同一のポリプロピレン製透明プラスチック板に塗布しないものを用いて、太陽光照射した時のアンモニア濃度の時間的な変化を調べた。この結果を表3と図15に示した。表中にはppmの単位で示している。この表と図から分かるように太陽光を浴びたものはアンモニアが急速に分解していた。光を当てないで保存したサンプルは太陽光を照射したものに比較してアンモニアの分解性能は下がるが、充分な触媒性能を有することが分かった。比較例としてプラスチック板に塗布しないものを用いたものでは太陽光を照射しても初期値と変わらなかった。
実施例2において、Naの代わりにアルカリ金属元素のLi、K、Csに置換した化合物としてLiWO,CsWO,KWO、Li1.50.5WO,Na1.70.3WO,CsNaWOを用いて同様に実験を行った。この結果は実施例2と同様にアンモニアの分解が確認できた。
(NH・H(W10・20HOを300℃1時間で焼成して(NH0.25WOを作製した。この粉を10g秤量し500CCのビーカに入れて、次に大きさ0.1mmφのジルコニアビーズを1kg入れた後に純水200gを添加した。更に塩化白金酸H2(PtCl6)を(NH0.25WOに対して500ppmになるように添加した後、ヒドラジンを0.1CC添加した。この後、プロペラ型の攪拌機を攪拌速度300rpmで粉砕時間を変えて平均粒径を2500nmから50nm程度まで粉砕した。これで作製した平均粒径の異なる粒子のスラリーを用いて、これを用いて厚さ0.5mm程度のポリプロピレン製透明プラスチック板 幅6cm長さ16cmに全面の裏表にスプレーで塗布した。この時の乾燥後の重量は0.8gになるように固定した。塗膜の単位面積当たりの重量は4.1mg/cmとなった。これを図7に示すようなガラス瓶に入れて、太陽光でアセトアルデヒドの分解を調べた。次にガラス瓶の中のアセトアルデヒド濃度が20ppmになるように添加した。この際、平均粒径の異なる試験サンプルを15個作製した。アセトアルデヒドの量はガステック検知器 GV−100Sを用いて、検知管は型番92Lで測定濃度範囲1〜20ppmのものを用いた。初期の濃度から5時間経過した際のアセトアルデヒド濃度を調べて、粒径との相関関係を調べた。一つのサンプルは太陽光を照射し、もう一つのサンプルは光を照射しないものとして暗所に保管した。更に比較例として同一のポリプロピレン製プラスチック板に光触媒化合物を塗布しないものを用いた。この結果を表4と図16に示した。表中のアセトアルデヒド濃度の単位はppmである。この表と図から、光照射の有無に関わらず、平均粒径が小さい程、アセトアルデヒドの分解は促進された。この結果から、平均粒子サイズは0.2μmが望ましく、好ましくは0.1μm以下が良いことが分かった。比較例として用いたプラスチック板に光触媒化合物を塗布しないものでは太陽光を当てても初期値と変わらなかった。
実施例4で作製した平均粒径の異なるものにおいて、平均粒径1.25μmのものと平均粒径0.1μmのものの混合比を変えて固形分濃度1%の光触媒塗料を作製し、固形分の全重量において、混ぜた平均粒径が0.05μmの重量%と光触媒性能を調べた。この際、スラリー中の固形分濃度は固定値の1%となっている。条件はガスをアンモニアに変えて、その他の条件は実施例4と同一にして行った。アンモニアの濃度はガステック検知器 GV−100Sを用いて、検知管は型番3Lで測定濃度範囲0.5〜78ppmのもので評価した。この結果を表5と図17に示した。この結果から、光触媒性を持たせるには平均粒径が1μm程度のものにおいて少なくとも平均粒径が0.05μmの粉が少なくとも10重量%含まれていることが好ましいことが分かった。この際、前記の二つの混合する粒子において平均粒径が1μm程度のサイズを大小に変えても平均粒径が0.05μmの重量%が10重量%含まれていると同様な効果が得られることが分かった。したがって、全体の粉の重量において平均粒径が0.05μmの重量%が10重量%以上であることが好ましい。
本発明の化合物として5(NHO・12WO・11HOを用いて試験を行った。この粉を10g秤量し500CCのビーカに入れて、次に大きさ0.03mmφのジルコニアビーズを1kg入れた後に純水200gを添加した。この後、プロペラ型の攪拌機を攪拌速度300rpmで平均粒径を50nm程度まで粉砕した。粉砕後、塩化パラジウムを5(NHO・12WO・11HOに対して500ppmになるように添加した後、ヒドラジンを0.1CC添加し12時間攪拌した。作製した粒子のスラリーを用いて厚さ3mm程度の段ボール紙 幅6cm 長さ16cmに全面の裏表にスプレーで塗布した。この時の乾燥後の重量は0.6gになるように固定した。塗膜の単位面積当たりの重量は 3.1mg/cmとなった。これを図7に示すガラス瓶に入れて、アセトアルデヒド濃度が20ppmになるように添加した。試験条件はLEDライトで6000lxになるように設定して照射しアセトアルデヒの分解試験を行った。この際、同一の条件で作製した試験サンプルを14個作製した。アセトアルデヒドの量はガステック検知器 GV−100Sを用いて、検知管は型番92Lで測定濃度範囲1〜20ppmのものを用いた。初期の濃度から時間経過に従ってアセトアルデヒ濃度の時間的な変化を調べた。一つのサンプルは太陽光を照射し、もう一つのサンプルは光を照射しないものとして暗所に保管した。更に比較例として段ボール紙に光触媒化合物を塗布しないものを用いた。この結果を表6と図18に示した。この表と図から分かるようにLEDライトを浴びたものはアセトアルデヒが急速に分解していた。光を当てないで保存したサンプルも同様にアセトアルデヒドが急速に分解した。比較例として用いた段ボール紙に光触媒化合物を塗布しないものでは太陽光を当てても初期値とほぼ変わらなかった。この測定データは段ボール紙へのアセトアルデヒドの吸着による影響があるため、予め吸着量の時間経緯を測定し補正している。
実施例6で用いたタングステン酸アンモニウム化合物の粉砕後のスラリーを用いて固形分1%の純水液100CCにして、曇りガラス板 幅5cm 長さ12cm厚み1mmに塗布して120℃で2時間の大気中乾燥を行った。比較例として同じサイズの酸化チタン(アナターセ型)の粉を用いて純水に固形分1%になるように添加して超音波装置((株)日本精機製作所MODEL US−300T)で30分間分散処理を行った。また、もう一つ比較例として同じサイズの光触媒用の三酸化タングステンのナノ粒子も酸化チタンと同様にして純水に固形分1%になるように添加して超音波装置(((株))日本精機製作所MODEL US−300T)で30分間分散処理を行った。この際の単位面積当たりの塗膜量が3.5mg/cm前後になるようにスプレーで塗布した。この三つのサンプルこのガラス板を1リットルビーカーに純水1000CCに10分間浸漬して重量減を調べた。この結果を表7に示した。この結果から、本発明のタングステン酸アンモニウム化合物は非常に付着力が高い特徴があることが分かった。
実施例7において、本発明に用いた他のタングステン酸化合物を用いても表7と同様な結果が得られた。具体的には(NH・H(W10・20HO、5(NHO・12WO・7HO、(NH10・W1241・5HO、もしくは(NH10・H1242・4HOやNaWO、(NH0.25WO等でも同様な結果が得られた。
本発明のタングステン酸化合物の被着体に対する隠ぺい力を調べた。隠ぺい力として光透過性で調べた。表7に示したサンプルにおいて浸漬しない状態のもの、塗膜して乾燥したサンプルを用いて実施例1に示した図8の装置を用いて各サンプルにLEDライトを用いて6000lxで照射して透過光の強度を調べた結果を表8に示した。この際、措置に装着していた半導体LEDをLEDライトに変えた。比較しやすくするために本発明のタングステン酸アンモニウム化合物の透過光で得られるセンサーの光電流値を1として規格化した。この結果から、本発明のタングステン酸アンモニウム化合物は同じサイズの酸化チタンや三酸化タングステンよりも光透過量が大きいことが分かり、本発明のものが酸化チタンや三酸化タングステン粒子よりも隠ぺい力はなく、被着体のデザインや色調を阻害するものではないことが分かった。この特性は本発明のタングステン酸化合物において共通していた。
実施例6で用いたタングステン酸アンモニウム化合物の粉砕後のスラリーを用いて純水で希釈して固形分1%のスラリー100CCにした後、水酸化ナトリウム添加によりpHを調節しpHを10にした後、この中に50〜100nmの酸化チタン粉を液の重量に対して5重量%で添加した。更にリチウムシリケート(日産化学工業製 リチウムシリケート35)を前記の液の重量に対して10重量%を添加した。この後、攪拌を10分間行った。この混合液を用いて実施例6と同様に試験片を作製して光触媒性能を確認した。この結果、実施例6と同様な結果が得られた。またこの際に段ボール紙表面に作製した塗膜は500CCの純水を掛けても流れることはほとんどなく、塗膜の重量変化からすると5%程度の以下の重量減は確認された。比較例として何も添加しないタングステン化合物の固形分1%のスラリー100CCを用いた場合には、重量減が10重量%になっていた。この結果から、本発明の化合物はシリケート化合物により付着力を更に改善できることが分かった。
実施例2で作製したタングステン酸ナトリウムNaWOの固形分1%の純水液100CCに光触媒の酸化チタン50nmサイズ粉を固形分1%量で添加した。更にバインダーとしてシリカナノ粒子(日産化学工業製 スノーテックスUP)を10重量%添加して10分間混合した。この混合液を曇りガラス板 幅5cm長さ12cm 厚み1mmに塗布して120℃で2時間の大気中乾燥を行った。このガラス板を純水に浸漬して重量減を調べた。比較例としてはシリカナノ粒子を添加しないものを用いた。この結果を表9に示した。シリカナノ粒子を用いることにより付着力の改善効果が得られていることが分かった。
このサンプルを用いてアンモニアの分解特性を調べた。このガラス板に塗布したサンプルを図7に示すガラス瓶に入れて、アンモニア濃度が20ppmになるように添加した。試験条件はLEDライトで6000lxになるように設定して照射しアンモニアの分解試験を行った。この際、ガラス瓶の中がアンモニア20ppmになるように添加した。アンモニアの量の測定にはガステック検知器 GV−100Sを用いて、検知管は型番3Lで測定濃度範囲0.5〜78ppmのものを用いた。初期の濃度から5時間後のアンモニア濃度を調べた。一つのサンプルは太陽光を照射し、もう一つのサンプルは光を照射しないものとして暗所に保管した。この結果、光照射したものはアンモニアが急速に分解し、濃度が5ppmになっていた。また、光を当てない状態でブラックボックスに入れたサンプルもアンモニアが分解し濃度が10ppmなっていた。光触媒化合物を塗布していないサンプルを用いたものでは光を照射しても初期値20ppmとなり変わらなかった。
本発明のタングステン酸アンモニウム化合物として、主成分が(NH・H(W10・20HOを用いて、300℃1時間の大気中での焼成を行った。この粉をX線解析装置により結晶構造の解析を行った。この結果を図19に示した。この結果より主成分が(NH0.25WO、WOであった。この粉を10g秤量し500CCのビーカに入れて、次に大きさ0.05mmφのジルコニアビーズを1kg入れた後に純水200gを添加してプロペラ型の攪拌機を攪拌速度300rpmで120時間処理を行って粉砕した。この時の粒度分布は図20に示すものとなった。粒度分布の測定はHORIBA製LA−950で行った。平均粒径は0.09μmとなった。このスラリーを用いて固形分濃度を1%にした液を50CC作製した。この液にメチレンブルー濃度20ppmの液を1CC添加した。その後、図8に示す装置にセットして、半導体LEDを用いて12時間照射を行った。半導体のLED光源としてはOptoSupply社製 青色の波長465〜475nmのものを使用した。受光側の光センサーとして浜松ホトニクス社製 Si PINフォトセンサーを用いた。受光センサーの電流値として0.2mAを基準値として用いた。12時間照射後のメチレンブルーの色を確認し結果、照射したサンプルは完全な無色透明となって光触媒効果による分子構造の変化を確認した。光を照射していないものは初期としてよりも色は薄くなっており触媒特性が効いていることが分かった。比較例として光触媒化合物を添加していないものでは色の変化は全くなかった。
本発明のタングステン酸化合物として、図6に示したNaWOとNaWO・2HOからなる化合物の粉を10g秤量し500CCのビーカに入れて、次に大きさ0.05mmφのジルコニアビーズを1kg入れた後に純水200gを添加してプロペラ型の攪拌機を攪拌速度300rpmで120時間処理を行って粉砕した。このスラリーを取り出し、濃縮においては加熱により水を気化させて固形分濃度を上げて、希釈において純水を加えて、固形分濃度が0.01%〜10%のスラリーを50CCずつ作製した。この液5CCを用いて曇りガラス板 幅5cm 長さ12cm 厚み1mmにスプレーで全量塗布した。各スラリー液の塗布量は同じにしているため、乾燥後の塗膜量は異なる。このガラス板のサンプルを図7に示すガラス瓶に入れて、アンモニア濃度が20ppmになるように添加した。試験条件はLEDライトで6000lxになるように設定して照射しアンモニアの分解試験を行った。アンモニアの量の測定にはガステック検知器 GV−100Sを用いて、検知管は型番3Lで測定濃度範囲0.5〜78ppmのものを用いた。初期の濃度から5時間後のアンモニア濃度を調べた。一つのサンプルは太陽光を照射し、もう一つのサンプルは光を照射しないものとして暗所に保管した。更に比較例として曇りガラス板に光触媒化合物を塗布しないものを用いた。この結果を表10と図21に示した。表中にはppmの単位で示している。この結果から、光触媒の濃度が薄いものではアンモニアは分解しないため、少なくとも固形分濃度としては0.1%以上、望ましくは0.5%以上であることが良いことが分かった。光触媒化合物を塗布していないものでは全くアンモニア濃度が変わらなかった。この結果から本発明の光触媒化合物は光照射がない状態でも一般的な触媒性能としてアンモニアを分解することが分かった。また固形分濃度としては0.1%以上、望ましくは0.5%以上であることが良いことが分かった。
家庭のトイレや台所、飲食店等の小規模空間から食品工場、医薬品工場、食品倉庫、船舶、化学薬品工場等の大規模な空間において、悪臭や有害な化学物質が空気中に飛散する場所において有機化合物やウィルス、菌により衛生環境が著しく低下するという問題がある。このような場所において、本発明のタングステン化合物は光触媒性能より臭い分子を分解する性能が高く、且つ付着力があり、安全性が比較的に高く、効果の持続性は長期間に保つことが出来るためにこのような用途において非常に有効である。また、本発明の化合物は光がない条件においても優れた触媒性能を有している。一例としてホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、アンモニア等の分解能力が光の無い状況でも高いために通常の触媒材料や触媒機能を有する部品や製品として用いることが出来る。
1 半導体のLED光源
2 半導体のLED光源の照射用電源
3 Si PINフォトセンサー
4 Si PINフォトセンサーからの光電流測定措置
5 サンプルを入れるガラス瓶(ガラス瓶の蓋の内側にPEフィルムで封止)
6 光触媒を担持したプラスチック板

Claims (8)

  1. 可視光応答型光触媒機能を持つ光触媒において、(NHx−y・M・mWO・rHO(x−y>0、y≧0、m>0、r≧0)、M・mWO・rHO(y>0、m>0、r≧0)、(NH2(x−y)・M2y・(WO・rHO(x−y>0、y≧0、z>0、r≧0)またはM・(WO・rHO(y>0、z>0、r≧0)、(NH2(x−y)・M2y・(WO・(WO・rHO(x−y>0、y≧0、z>0、q>0、r≧0)、M・(WO・(WO・rHO(y>0、z>0、q>0、r≧0)(M:Li、Na、K、Cs、Rb)の中から少なくとも一種以上を含んだものからなるタングステン化合物であることを特徴とする光触媒化合物。
  2. 請求項1記載の化合物の平均粒径が0.2μmサイズ以下であることを特徴とする光触媒化合物粉。
  3. 請求項1記載の化合物の平均粒径が1μmサイズ以下であり、且つ平均粒径が50nmサイズ以下の粒子が少なくとも10重量%以上あることを特徴とする光触媒化合物塗料。
  4. 請求項1〜3記載の光触媒化合物のいずれかを少なくとも0.1重量%含んだものからなる光触媒塗料。
  5. 請求項4記載の光触媒塗料において酸化チタンナノ粒子、又は三酸化タングステンナノ粒子の中の少なくとも一種以上を添加し、且つシロキサン化合物またはシリカナノ粒子を添加したものからなる光触媒塗料。
  6. 請求項1〜5記載の光触媒化合物のいずれかを含んだものからなる光触媒塗料において、被着体に塗膜して120℃で乾燥した後に純水に浸漬し被着体に付着した塗膜材料の減少率として浸漬前に比較して浸漬後の減少率が20重量%以下であることを特徴とした光触媒塗料。
  7. 請求項1〜5記載の光触媒化合物のいずれかを被着させたものからなる光触媒機能効果を有する部材。
  8. 請求項1〜8記載の光触媒化合物、光触媒塗料又は光触媒機能効果を有する部材において暗所で触媒機能を使用することを特徴とする使用方法。
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