JP2018189831A - 表示体 - Google Patents

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Hidemitsu Namikii
秀充 波木井
雅史 川下
Masafumi Kawashita
雅史 川下
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Abstract

【課題】表示される像の観察によって表示体の表裏の判別を可能とし、且つ、意匠性およびセキュリティ性の優れるホログラムパターンによる動的な色彩表現を付与した表示体を提供する。【解決手段】表示体において、第1格子層21は第1誘電体層22,23の配列方向における幅が異なるn種類(nは1以上の整数)の上記第1誘電体層を有し、n種類の前記第1誘電体層のうち、上記幅が等しい上記第1誘電体層間の構造周期である第一の構造周期PT2,PT3は、可視領域の波長以下のサブ波長周期であり、上記第一の構造周期は、n種類以下存在し、上記n種類以下の上記第一の構造周期をもつ第1誘電体層のまとまりである第1誘電体層群を規則的に配置することで上記サブ波長周期よりも大きい第二の構造周期PT4を形成している。【選択図】 図3

Description

本発明は、反射あるいは透過する光によって像を表示する表示体に関する。
パスポートや免許証などの認証書類、商品券や小切手などの有価証券類、クレジットカードやキャッシュカードなどのカード類、および、紙幣などは、それの偽造が困難であることを求められる。偽造の困難性を高めることは、例えば、対象物品に貼り付けられる表示体に偽造防止機能を付加することで実現される。偽造防止機能を備える表示体の一例は、一つの方向に並ぶ複数の溝を回折格子として含む。
表示体が備える回折格子は、例えば、透明な樹脂層と、樹脂層上に位置するアルミニウムなどの金属層とを備える。例えば、正弦二次構造を有した数学的な関数によって表現される回折格子の形状は、回折格子の傾斜部において、他の部位よりも薄い金属層を有し、傾斜部間での構造の差異によって、透過率や反射率の差異を金属層に付加する。そして、グレースケールによる表現や、反射像の色彩と透過像の色彩とが相互に異なる表現を可能にする(例えば、特許文献1参照)。反射像と透過像の差異は、表示体が貼り付けられた物品の真贋の判定も可能とする。
回折格子による偽造防止機能は、印刷物とは異なる視覚的な効果を表示像に付加することである。従来、回折格子構造は、ホログラム効果を発現する凹凸面へ金属の薄膜を全面に形成して反射層とした、金属光沢のホログラム構造や、透明反射層を形成した透明ホログラム構造が知られている。しかしながら、金属反射層では銀色金属光沢によるギラギラ感があり、透明ホログラムではホログラムの明るさが不足するという問題があった。そこで、さらに意匠性を高めるために、ホログラム層に接する着色層を設けて、着色ホログラムとすることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
他方では、所望の鮮やかな色調の金属光沢を有し、意匠性およびセキュリティ性の優れたホログラム構造も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許5124272号公報 特開2014−59529号公報 特開2008−162260号公報
一方で、正弦二次構造を有した数学的な関数によって表現される回折格子の形状は、回折格子における構造の高さ方向、すなわち、表示体における表裏方向に、高い対称性を必要とする。結果として、表示体の表面から観察される像と、表示体の裏面から観察される像との色彩の差異も微々たるものであり、これらの視認に基づいて、表示体の表裏を判別することも困難である。
また、ホログラム層に接する着色層を設けた、着色ホログラムでは充分な光回折効果が得られなかったり、所望の色で明るいホログラムが得られないなどの問題がある。さらに、ホログラム層とは別に着色層を設ける必要があるという問題があった。
特許文献3の方法を用いることで多少の色調を付与することは可能である。しかしながら、高輝度インキ層の反射率はアルミニウム蒸着膜の反射率より低く散乱傾向がある。このため、所望の鮮やかな色調の金属光沢が得られないという問題があった。また、ホログラムに対して部分的に着色された反射層を設けることは困難である。高輝度インキを着色層に対して高い位置精度で同一パターンの反射層を重ね刷りする必要があるからである。
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、表示される像の観察によって表示体の表裏の判別を可能とし、且つ、意匠性およびセキュリティ性の優れるホログラムによる動的な色彩表現を付与した表示体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る表示体は、
可視領域の光を透過する誘電体からなる基材と、
上記基材の一方の面側に配置された第1格子層と、
上記第1格子層の上記基材側とは反対側に配置された中間格子層と、
上記中間格子層の上記第1格子層側とは反対側に配置された第2格子層と、を備える。
そして、上記第1格子層は、島状配列に並ぶ複数の第1誘電体層と、上記各第1誘電体層を囲う網目状を有した第1金属層と、を備え、
上記中間格子層は、上記島状配列に並ぶ複数の第1中間誘電体層と、上記各第1中間誘電体層を囲う網目状を有し、かつ、上記第1中間誘電体層よりも低い誘電率を有した第2中間誘電体層と、を備え、
上記第2格子層は、上記島状配列に並ぶ複数の第2金属層と、上記各第2金属層を囲う網目状を有した第2誘電体層と、を備える。
そして、上記第1格子層は上記第1誘電体層の配列方向における幅が異なるn種類(nは1以上の整数)の上記第1誘電体層を有し、
n種類の上記第1誘電体層のうち、上記幅が等しい上記第1誘電体層間の構造周期である第一の構造周期は、可視領域の波長以下のサブ波長周期であり、
上記第一の構造周期は、n種類以下存在し、
上記n種類以下の上記第一の構造周期をもつ上記第1誘電体層のまとまりである第1誘電体層群を規則的に配置することでサブ波長周期よりも大きい第二の構造周期を形成している。
本発明の一態様によれば、表示される像の観察によって表示体の表裏の判別を可能とし、且つ、意匠性およびセキュリティ性の優れるホログラムによる動的な色彩表現を付与した表示体を提供することができる。
本発明の表示体の一実施形態における平面構造を示す平面図である。 本発明の表示体の一実施形態における第1表示領域の平面構造を拡大して示す拡大図である。 本発明の表示体の一実施形態における第1表示領域の断面構造を示す図であり、図2のIII―III線断面図を示す図である。 本発明の表示体の一実施形態における第1表示領域の断面構造を示す図であり、図2のIV―IV線断面図を示す図である。 本発明の表示体の一実施形態における第2表示領域の断面構造を示す図であり、図1のV―V線断面図を示す図である。 本発明の一実施形態における表示体の作用を表面側での反射観察、および、裏面側での透過観察によって示す作用図である。 本発明の一実施形態における表示体の作用を裏面側での反射観察、および、表面側での透過観察によって示す作用図である。 本発明の表示体の一実施形態における第1表示領域の断面構造の一部の一例を拡大して示す断面図である。 本発明の表示体における別の実施形態の第1表示領域の平面構造を拡大して示す拡大図である。 本発明の表示体における別の実施形態の第1表示領域の平面構造を拡大して示す拡大図である。
以下、本発明による表示体について、図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、表示体は、パスポートや免許証などの認証書類、商品券や小切手などの有価証券類、クレジットカードやキャッシュカードなどのカード類、および、紙幣などに貼り付けられて使用される。
図1が示すように、表示体の有する表面10Sは、第1表示領域10Aと、第2表示領域10Bとに区画される。第1表示領域10Aの備える断面構造と、第2表示領域10Bの備える断面構造とは、相互に異なる。第1表示領域10Aは、表面10Sにおいて、文字、図形、記号、模様、絵などを描く領域であり、図1では、例えば、星形の図形を描く領域である。
[表示体の構造]
まず、第1表示領域10Aの構成について以下に説明する。
図2は図1で示した第1表示領域10Aの一部領域を拡大した拡大図である。図2に示すように、第1表示領域10Aは、第1表示領域10Aと対向する方向(第1表示領域10Aに向かう方向)から見て、複数の孤立領域A2と、この孤立領域A2と大きさの異なる複数の孤立領域A3と、各孤立領域A2およびA3を囲む単一の周辺領域A4とを含む。図2では、孤立領域A2およびA3を説明する便宜上、各孤立領域A2にドット、各孤立領域A3に斜線を付して示す。
各孤立領域A2およびA3は、表面10Sに沿って正方配列に並ぶ。孤立領域A2の正方配列は、一辺が構造周期PT2を有する正方形LT2の各頂点に孤立領域A2が位置する配列である。一方で、孤立領域A3の正方配列は、一辺が構造周期PT3を有する正方形LT3の各頂点に孤立領域A3が位置する配列である。正方形LT2の構造周期PT2と正方形LT3の構造周期PT3との関係は、PT2<PT3となっている。
なお、各孤立領域A2およびA3は、六方配列に並ぶことも可能である。すなわち、孤立領域A2およびA3は、正方配列と六方配列とのいずれか一方である島状配列(二次元行列状配列)に並ぶ。なお、六方配列は、正六角形の各頂点に孤立領域A2およびA3が位置する配列である。また、本開示では便宜上正方配列、六方配列と呼称しているが、正方形、正六角形に限定されず、長方形や、二等辺三角形の組み合わせからなる六角形であってもよい。
図3に示すように、表示体は、可視領域の光を透過する透明な誘電体からなる基材11を備える。可視領域の光が有する波長は、400nm以上800nm以下である。基材11は、第1表示領域10Aと第2表示領域10Bとに共通する。基材11の有する断面構造(基材11の厚さ方向の断面構造)は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
基材11を構成する材料は、誘電体であり、例えば、光硬化性樹脂などの樹脂や、石英など無機材料である。物品に表示体を貼り付けることに要する可撓性を得やすいこと、基材11に付加できる光学的な特性の自由度が高いことなどの観点において、基材11を構成する材料は、樹脂であることが好ましい。基材11の屈折率は、空気層よりも高く、例えば1.2以上1.7以下である。
第1表示領域10Aは、基材11から順に、第1格子層21と、中間格子層31と、第2格子層41とを備える。中間格子層31は、第1格子層21と第2格子層41との間に挟まれており、基材11に対して第1格子層21の位置する側が構造体における表面側である。反対に、第1格子層21に対して基材11の位置する側が構造体における裏面側である。
[第1格子層21]
基材11の表面には、第1格子層21が位置する。第1格子層21は、基材11の一方の表面に配置されている。第1格子層21は、配列方向の幅が異なる複数の第1誘電体層と、第1金属層24とを備える。以下の説明では配列方向の幅が異なる第1誘電体層が2種類存在する場合、すなわち第1格子層21が第1誘電体層22および23を有する場合について説明する。
表示体の表面10Sと対向する方向(表面10Sに向かう方向)から見て、第1誘電体層22は、孤立領域A2に位置する。一方で、第1誘電体層23は、孤立領域A3に位置する。単一の第1金属層24は、表面10Sと対向する方向から見て、周辺領域A4に位置する。複数の第1誘電体層22および23は、表面10Sに沿って、正方配列と六方配列とのいずれか一方である島状配列に並ぶ。
各第1誘電体層22および23は、基材11の表面から突き出た構造体である。各第1誘電体層22および23は、例えば、基材11と一体である。あるいは、各第1誘電体層22および23は、例えば、基材11の表面との間に境界を有し、基材11とは別体である。
第1金属層24は、表面10Sと対向する方向から見て、各第1誘電体層22および23を1つずつ囲う網目状を有する。第1格子層21において、単一の第1金属層24は、自由電子が行きわたる光学的な海成分であり、各第1誘電体層22および23は、海成分のなかに分布する島成分である。
表面10Sと対向する方向から見て、第1誘電体層22の位置する構造周期PT2は、隣り合う2つの第1誘電体層22の間の最短幅WP2と、第1誘電体層22の幅WT2との合計である。一方で、第1誘電体層23の位置する構造周期PT3は、隣り合う2つの第1誘電体層23の間の最短幅WP3と、第1誘電体層23の幅WT3との合計である。構造周期PT2およびPT3は、可視領域の波長以下であるサブ波長周期である。
構造周期PT2に対する第1誘電体層22の幅WT2の比は、0.25以上0.75以下である。第1格子層21の加工の精度が得られること、第1格子層21においてプラズモン共鳴が生じやすいことなどの観点において、構造周期PT2に対する第1誘電体層22の幅WT2の比は、好ましくは、0.40以上0.60以下である。同様に、構造周期PT3に対する第1誘電体層23の幅WT3の比は、0.25以上0.75以下である。第1格子層21の加工の精度が得られること、第1格子層21においてプラズモン共鳴が生じやすいことなどの観点において、構造周期PT3に対する第1誘電体層23の幅WT3の比は、好ましくは、0.40以上0.60以下である。
一方で、図2に示すように、表示体をマクロの視点で見ると、2つの孤立領域A2と、2つの孤立領域A3の周期を組み合わせた構造周期からなる表示体と捉えることもできる。すなわち、2つの孤立領域A2および2つの孤立領域A3を組み合わせた、新たな構造周期PT4と捉えることができる。
換言すると、構造周期PT4は、サブ波長周期からなる構造周期PT2およびPT3を組み合わせた周期となる。よって、PT4はサブ波長周期よりも大きくなり、PT2およびPT3がPT4の周期で並ぶことから、可視波長帯の一次回折光が表面側に発生する。
図2の表示体の構成では、孤立領域A2、孤立領域A3はそれぞれ2つずつ並べることで構造周期PT4として図示しているが、構造周期PT4を構成する孤立領域の数はこれに限定されない。すなわち、サブ波長周期からなる構造周期を組み合わせた周期がサブ波長周期より大きくなればよい。
第1格子層21の厚さは、10nm以上200nm以下である。第1格子層21の加工の精度が得られること、第1格子層21においてプラズモン共鳴が生じやすいこと、各観察による像の色彩が鮮明となることなどの観点において、第1格子層21の厚さは、10nm以上100nm以下であることが好ましい。
[中間格子層31]
第1格子層21の上には、中間格子層31が位置する。中間格子層31は、第1格子層21の基材11側とは反対側の面上に配置されている。中間格子層31の厚さは、第1格子層21の厚さよりも厚い。中間格子層31の加工の精度が得られる観点において、中間格子層31の厚さは、150nm以下であることが好ましい。
中間格子層31は、複数の第1中間誘電体層32および33と、第1中間誘電体層32および33よりも低い誘電率を有した単一の第2中間誘電体層34とを備える。各第1中間誘電体層32は、表面10Sと対向する方向から見て、孤立領域A2に位置する。一方で、各第1中間誘電体層33は、表面10Sと対向する方向から見て、孤立領域A3に位置する。単一の第2中間誘電体層34は、表面10Sと対向する方向から見て、周辺領域A4に位置する。複数の第1中間誘電体層32および33は、表面10Sに沿って、正方配列と六方配列とのいずれか一方である島状配列に並ぶ。
各第1中間誘電体層32は、第1誘電体層22(第1格子層21)から突き出た構造体である。一方で、各第1中間誘電体層33は、第1誘電体層23(第1格子層21)から突き出た構造体である。各第1中間誘電体層32は、例えば、第1誘電体層22と一体である。あるいは、各第1中間誘電体層32は、例えば、第1誘電体層22との間に境界を有し、第1誘電体層22とは別体である。一方で、各第1中間誘電体層33は、例えば、第1誘電体層23と一体である。あるいは、各第1中間誘電体層33は、例えば、第1誘電体層23との間に境界を有し、第1誘電体層23とは別体である。表面10Sと対向する方向から見て、第1中間誘電体層32の位置する周期は、第1誘電体層22と同じく、最短幅WP2と幅WT2との合計であり、上記構造周期PT2である。構造周期PT2に対する第1中間誘電体層32の幅の比は、0.25以上0.75以下である。また、構造周期PT2に対する第1中間誘電体層32の幅の比は、好ましくは、0.40以上0.60以下である。一方で、第1中間誘電体層33の位置する周期は、第1誘電体層23と同じく、最短幅WP3と幅WT3との合計であり、上記構造周期PT3である。構造周期PT3に対する第1中間誘電体層33の幅の比は、0.25以上0.75以下である。また、構造周期PT3に対する第1中間誘電体層33の幅の比は、好ましくは、0.40以上0.60以下である。
第2中間誘電体層34は、表面10Sと対向する方向から見て、各第1中間誘電体層32および33を1つずつ囲う網目状を有する。中間格子層31において、単一の第2中間誘電体層34は、構造的および光学的に海成分であり、各第1中間誘電体層32および33は、構造的および光学的に島成分である。第2中間誘電体層34は、空気層、あるいは、樹脂層である。
[第2格子層41]
中間格子層31の上には、第2格子層41が位置する。第2格子層41は、中間格子層31の第1格子層21側とは反対側の面上に配置されている。第2格子層41の厚さは、10nm以上200nm以下であり、中間格子層31の厚さよりも薄い。第2格子層41の加工の精度が得られること、第2格子層41においてプラズモン共鳴が生じやすいこと、各観察による像の色彩が鮮明になることなどの観点において、第2格子層41の厚さは、10nm以上100nm以下であることが好ましい。
第2格子層41は、複数の第2金属層42および43と、単一の第2誘電体層44とを備える。各第2金属層42は、表面10Sと対向する方向から見て、孤立領域A2に位置する。各第2金属層43は、表面10Sと対向する方向から見て、孤立領域A3に位置する。単一の第2誘電体層44の位置は、表面10Sと対向する方向から見て、周辺領域A4に含まれる。複数の第2金属層42および43は、表面10Sに沿って、正方配列と六方配列とのいずれか一方である島状配列に並ぶ。
各第2金属層42は、第1中間誘電体層32の頂面に重なる構造体である。各第2金属層42は、第1中間誘電体層32との間に境界を有し、第1中間誘電体層32とは別体である。一方で、各第2金属層43は、第1中間誘電体層33の頂面に重なる構造体である。各第2金属層43は、第1中間誘電体層33との間に境界を有し、第1中間誘電体層33とは別体である。表面10Sと対向する方向から見て、第2金属層42の位置する周期は、第1誘電体層22と同じく、最短幅WP2と幅WT2との合計であり、上記構造周期PT2である。構造周期PT2に対する第2金属層42の幅の比は、0.25以上0.75以下である。また、構造周期PT2に対する第2金属層42の幅の比は、好ましくは、0.40以上0.60以下である。一方で、第2金属層43の位置する周期は、第1誘電体層23と同じく、最短幅WP3と幅WT3との合計であり、上記構造周期PT3である。構造周期PT3に対する第2金属層43の幅の比は、0.25以上0.75以下である。また、構造周期PT3に対する第2金属層43の幅の比は、好ましくは、0.40以上0.60以下である。
第2誘電体層44は、表面10Sと対向する方向から見て、各第2金属層42および43を1つずつ囲う網目状を有する。第2格子層41において、単一の第2誘電体層44は、第2金属層42および43と比べて自由電子が少ない光学的な海成分であり、各第2金属層42および43は、海成分のなかに分布する島成分である。第2誘電体層44は、空気層、あるいは、樹脂層である。
第1格子層21における海成分である第1金属層24の体積比率は、第2格子層41における島成分である第2金属層42および43の体積比率よりも大きい。また、第2格子層41における島成分である第2金属層42および43の体積比率は、中間格子層31における金属材料の体積比率よりも大きい。
図4が示すように、周辺領域A4においては、基材11から順に、第1格子層21の第1金属層24と、中間格子層31の第2中間誘電体層34と、第2格子層41の第2誘電体層44とが位置する。第2中間誘電体層34は、第1金属層24と第2誘電体層44との間に挟まれている。
図5が示すように、第2表示領域10Bは、基材11の上に、上述した第1格子層21、中間格子層31、および、第2格子層41を備えていない。すなわち、第2表示領域10Bは、基材11の備える光透過性に従って、可視領域の光を透過する。
なお、第2表示領域10Bは、第1表示領域10Aとは異なる層を、基材11の上に備えてもよい。第2表示領域10Bは、例えば、第1誘電体層22あるいは23のみを備えてもよい。また、第2表示領域10Bは、例えば、第1金属層24を構成する材料と同一の材料から構成された単一の金属層のみを備えてもよい。第2表示領域10Bにおける層構成は、第2表示領域10Bが表示する像への要請に応じて、適宜選択される。
[表示体の光学的な構成]
次に、表示体が備える光学的な構成を説明する。ここでは、表示体の互いに反対側に位置する表面10S、および、裏面10Tが、それぞれ空気層と接し、第2中間誘電体層34と第2誘電体層44との各々が、空気層である構成、あるいは、空気層に近い屈折率を有した樹脂層である構成を例として説明する。
図6が示すように、基材11の屈折率は、誘電体に支配された大きさであって、空気層の屈折率よりも大きい。第1誘電体層22および23の屈折率は、空気層の屈折率よりも高く、第1金属層24の屈折率は、空気層の屈折率よりも低い。第1格子層21の屈折率は、これら第1金属層24の屈折率と、第1誘電体層22および23の屈折率とによって、平均化された大きさに近似される。構造周期PT2に対する第1誘電体層22の幅WT2の比は、0.25以上0.75以下であり、構造周期PT3に対する第1誘電体層23の幅WT3の比は、0.25以上0.75以下である。そのため、第1格子層21の屈折率は、結局のところ、海成分である第1金属層24に支配された大きさであり、空気層の屈折率よりも十分に低い。
第1中間誘電体層32および33の屈折率は、空気層の屈折率よりも高く、第2中間誘電体層34の屈折率は、空気層の屈折率と等しい、もしくは、空気層の屈折率よりも高い。中間格子層31の屈折率は、これら第2中間誘電体層34の屈折率と、第1中間誘電体層32および33の屈折率によって平均化された大きさに近似される。構造周期PT2に対する第1中間誘電体層32の幅WT2の比は、0.25以上0.75以下であり、構造周期PT3に対する第1中間誘電体層33の幅WT3の比は、0.25以上0.75以下である。そのため、中間格子層31の屈折率は、結局のところ、海成分である第2中間誘電体層34に支配された大きさであり、空気層の屈折率よりも高く、かつ、空気層の屈折率に近い値である。
第2金属層42および43の屈折率は、空気層の屈折率よりも低く、第2誘電体層44の屈折率は、空気層の屈折率と等しい、もしくは、空気層の屈折率よりも高い。第2格子層41の屈折率は、これら第2誘電体層44の屈折率と、第2金属層42および43の屈折率とによって、平均化された大きさに近似される。構造周期PT2に対する第2金属層42の幅WT2の比は、0.25以上0.75以下であり、構造周期PT3に対する第2金属層43の幅WT3の比は、0.25以上0.75以下である。そのため、第2格子層41の屈折率は、結局のところ、海成分である第2誘電体層44に支配された大きさであり、空気層の屈折率よりも低く、かつ、空気層の屈折率に近い値である。
[表面反射観察、裏面透過観察]
ここで、表示体の外側(表面10S側)から第2格子層41に入射する白色の光L1は、空気層から第2格子層41に入り、第2格子層41から中間格子層31に入る。第2格子層41に入射する光L1は、空気層に近い屈折率を有した第2格子層41に空気層から入るため、空気層と第2格子層41との界面においては、フレネル反射を生じ難い。また、中間格子層31に入射する光は、空気層に近い屈折率を有した第2格子層41から、空気層に近い屈折率を有した中間格子層31に入るため、ここでも、第2格子層41と中間格子層31との界面においては、フレネル反射を生じ難い。
一方で、第2格子層41の第2金属層42および43の構造周期が、可視領域の波長以下のサブ波長周期であるため、第2格子層41に入射した光は、第2格子層41でのプラズモン共鳴によって消費される。プラズモン共鳴は、第2格子層41に入射した光を、第2格子層41での電子の集団的な振動に変換する現象である。第2格子層41の消費する光EP2の波長領域は、第2金属層42および43の構造周期に依存した特定の波長領域である。そして、第2格子層41は、第2格子層41に入射した光の波長領域の一部の光を、中間格子層31へ透過する。
また、第1格子層21の第1誘電体層22および23の構造周期も、可視領域の波長以下のサブ波長周期であるため、第1格子層21に入射する光もまた、第1格子層21でのプラズモン共鳴によって消費される。第1格子層21の消費する光EP1の波長領域は、第1誘電体層22および23の構造周期に依存した特定の波長領域である。そして、第1格子層21は、第1格子層21に入射した光の波長領域の一部の光LP1を、基材11へ透過する。
一方で、第1格子層21の第1誘電体層22および23の構造周期を組み合わせた構造周期PT4は、サブ波長周期よりも大きい。サブ波長周期よりも大きい回折格子構造では、一次回折光による分光色が観察される。よって、前記プラズモン共鳴によって消費された波長領域以外の光が分光され、観察角度による色相の変化が大きいものが視認される。
結果として、表示体の外側から第2格子層41へ光L1を入射させて、表示体の表面側から表面10Sを観察する表面反射観察によれば、上記各界面でのフレネル反射を生じ難いこと、上記各格子層でのプラズモン共鳴を生じること、これらが相まって、黒色、もしくは、黒色に近い色彩が、第1表示領域10Aで視認される。これに加えて、サブ波長周期よりも大きい回折格子構造による分光色を、観察角度に応じて視認することができる。
他方、表示体の外側から第2格子層41へ光L1を入射させて、表示体の裏面側から裏面10Tを観察する裏面透過観察によれば、上記各格子層でのプラズモン共鳴を経て透過した有色の光が、すなわち、白色および黒色以外の光が、第1表示領域10Aで視認される。なお、上記表面反射観察や裏面透過観察の結果は、表面10Sに向けた外光の光量が、裏面10Tに向けた外光の光量よりも高い場合においても、同様の傾向を示す。
[裏面反射観察、表面透過観察]
図7が示すように、表示体の外側(裏面10T側)から基材11に入射する白色の光L1は、空気層から基材11に入り、基材11から第1格子層21に入る。基材11に入射した光L1は、空気層よりも高い屈折率を有した基材11から、空気層よりも低い屈折率を有した第1格子層21に入るため、基材11と第1格子層21との界面では、フレネル反射を生じやすい。なお、基材11の屈折率と、第1格子層21の屈折率との差は、第1格子層21と中間格子層31との間の屈折率差よりも大きく、また、中間格子層31と第2格子層41との間の屈折率差よりも大きい。
一方で、基材11と第1格子層21との界面を透過した光の一部は、第1格子層21でのプラズモン共鳴によって消費される。ここでも、第1格子層21の消費する光EP1の波長領域は、第1金属層24の構造周期に依存した特性の波長領域である。そして、第1格子層21は、第1格子層21に入射した光の波長領域の一部の光を、中間格子層31へ透過する。
また、中間格子層31を透過して第2格子層41に入射した光の一部も、第2格子層41でのプラズモン共鳴によって消費される。ここでも、第2格子層41の消費する光EP1の波長領域は、第2誘電体層44の構造周期に依存した特定の波長領域である。そして、第2格子層41は、第2格子層41に入射した光の波長領域の一部の光LP2を、空気層へ透過する。
一方で、第1誘電体層22および23の構造周期を組み合わせた構造周期PT4は、サブ波長周期よりも大きい。サブ波長周期よりも大きい回折格子構造では、一次回折光による分光色が観察される。よって、前記プラズモン共鳴によって消費された波長領域以外の光が分光され、観察角度による色相の変化が大きいものが視認される。
結果として、表示体の外側から基材11へ光L1を入射させて、表示体の裏面側から裏面10Tを観察する裏面反射観察によれば、上記界面でのフレネル反射による有色の光LRが、すなわち、白色および黒色以外の光LRが、第1表示領域10Aで視認される。これに加えて、サブ波長周期よりも大きい回折格子構造による分光色を、観察角度に応じて視認することができる。
他方、表示体の外側から基材11へ光L1を入射させて、表示体の表面側から表面10Sを観察する表面透過観察では、上記フレネル反射と、上記各格子層でのプラズモン共鳴とを経た有色の光を、第1表示領域10Aで視認させる。なお、上記表面透過観察や裏面反射観察の結果は、表面10Sに向けた外光の光量が、裏面10Tに向けた外光の光量よりも高い場合においても、同様の傾向を示す。
[表示体の製造方法]
次に、表示体を製造する方法の一例を説明する。
まず、基材11の表面に、第1誘電体層22および23と第1中間誘電体層32および33を形成する。第1誘電体層22および23と第1中間誘電体層32および33とは、基材11の表面から突き出た突部として一体に形成される。突部を形成する方法は、例えば、光、あるいは、荷電粒子線を用いたフォトリソグラフィー法、ナノインプリント法、および、プラズマエッチング法である。
例えば、基材11として、ポリエチレンテレフタラートシートを用い、基材11の表面に、紫外線硬化性樹脂を塗工する。次いで、紫外線硬化性樹脂からなる塗工膜の表面に、凹版である合成石英モールドの表面を押し当て、これらに紫外線を照射する。続いて、硬化した紫外線硬化樹脂から合成石英モールドを離型し、それによって、第1誘電体層22および23と第1中間誘電体層32および33からなる突部を形成する。なお、紫外線硬化樹脂は、熱硬化性樹脂に変更することも可能であり、紫外線の照射は、加熱に変更することも可能である。また、紫外線硬化樹脂は、熱可塑性樹脂に変更することも可能であり、紫外線の照射は、加熱および冷却に変更することも可能である。
次いで、突部を備える基材11の表面に、第1金属層24、および、第2金属層42を形成する。第1金属層24、および、第2金属層42を形成する方法は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法である。これによって、第1金属層24の頂面によって区画される第1格子層21が形成され、第2金属層42の頂面によって区画される第2格子層41が形成され、これら第1格子層21と第2格子層41とに挟まれた中間格子層31が形成される。
[第1表示領域の構成例]
図8が示すように、第1格子層21の第1金属層24の厚さT2が厚いほど、第1格子層21と基材11との界面では、フレネル反射による光の強度が大きく、裏面反射観察での像の明度が高まる。構造周期PT2(WT2+WP2)に対する第1誘電体層22の幅WT2の比が小さく、かつ、構造周期PT3(WT3+WP3)に対する第1誘電体層23の幅WT3の比が小さいほど、これもまた、裏面反射観察での像の明度が高まる。
また、第1格子層21の第1金属層24の厚さT2が厚いほど、裏面10Tから表面10Sへ透過する光の強度が小さく、表面反射観察での色彩が、より黒色に近づく。構造周期PT2に対する第1誘電体層22の幅WT2の比が小さく、かつ、構造周期PT3に対する第1誘電体層23の幅WT3の比が小さいほど、これもまた、表面反射観察での色彩が、より黒色に近づく。
そして、第1金属層24の厚さT2が10nm以上であり、かつ、構造周期PT2に対する第1誘電体層22の幅WT2の比が0.75以下であり、構造周期PT3に対する第1誘電体層23の幅WT3の比が0.75以下であれば、表示体の表裏を判断するための上記観察において、それの精度が十分に得られる。
他方、第1金属層24の厚さT2が薄いほど、また、第2金属層42および43の厚さT4が薄いほど、表面透過観察や裏面透過観察では、これらを透過する光の強度が大きい。構造周期PT2に対する第1誘電体層22の幅WT2の比が大きいほど、これもまた、表示体を透過する光の強度が大きい。
そして、第1金属層24の厚さT2や、第2金属層42および43の厚さT4が、200nm以下であり、かつ、構造周期PT2に対する第1誘電体層22の幅WT2の比が0.25以上であり、構造周期PT3に対する第1誘電体層23の幅WT3の比が0.25以上であれば、表面透過観察で視認される像や、裏面透過観察で視認される像が、それを視認できる程度に明瞭となる。
第1格子層21の第1誘電体層22および23の厚さT2と、中間格子層31の第1中間誘電体層32および33の厚さT3との合計は、第1誘電体層22の幅WT2と、最短幅WP2との合計である構造周期PT2よりも小さく、かつ、第1誘電体層23の幅WT3と、最短幅WP3との合計である構造周期PT3よりも小さいことが好ましい。また、第1誘電体層22および23の厚さT2と第1中間誘電体層32および33の厚さT3との合計は、構造周期PT2およびPT3の半分よりも小さいことが、より好ましい。
こうした構成であれば、第1誘電体層22と第1中間誘電体層32、あるいは、第1誘電体層23と第1中間誘電体層33とが一体となる樹脂構造体において、その構造体の形状の精度を高めることが可能であり、また、その構造体が基材11の表面で倒れることが抑えられる。
第1中間誘電体層32および33の厚さは、同じであることが好ましい。第1中間誘電体層32および33を形成する凹版である合成石英モールドを、ドライエッチング法で作製する場合、1回の加工プロセスで済むからである。但し、第1中間誘電体層32からなる構造周期PT2と、第1中間誘電体層33からなる構造周期PT3の周期が大きく異なる場合においては、加工特性上、第1中間誘電体層32および33の厚さが異なる場合もある。しかし、第1中間誘電体層32および33の厚さの違いによる光学的な変化は、表示体の観察において大きな影響を及ぼさないため問題無い。
なお、第1格子層21の厚さT2は100nm以下であり、第2格子層41の厚さT4は100nm以下であり、中間格子層31の厚さT3は150nm以下であり、第1格子層21、第2格子層41、中間格子層31のうち、中間格子層31の厚さT3が最も厚いことが好ましい。
可視領域の波長における複素誘電率の実部を負の値とする金属材料は、それを用いた第1格子層21や第2格子層41において、プラズモン共鳴を生じやすい。そこで、第1金属層24を構成する材料は、上記複素誘電率の実部を負の値とすることが好ましい。また、第2金属層42および43を構成する材料も、上記複素誘電率の実部を負の値とすることが好ましい。これら第1金属層24や第2金属層42および43を構成する材料は、例えば、アルミニウム、銀、金、インジウム、タンタルなどである。
なお、上記製造方法において説明したように、第1金属層24と第2金属層42および43とは、第1誘電体層22および23と第1中間誘電体層32および33とを有した基材11に対する金属層の成膜によって、単一の工程で形成することができる。
この場合、成膜源から飛行する金属粒子は、基材11の表面に対して、所定の角度分布を有して付着する。結果として、第2金属層42の幅W2は、第1中間誘電体層32の幅WT2よりも若干大きくなり、第2金属層42の最短幅WP4は、最短幅WP2よりも若干小さくなる。同様に、第2金属層43の幅W3は、第1中間誘電体層33の幅WT3よりも若干大きくなり、第2金属層43の最短幅WP5は、最短幅WP3よりも若干小さくなる。この際、構造周期PT2に対する第2金属層42の幅W2の比は、0.25以上0.75以下であり、構造周期PT3に対する第2金属層43の幅W3の比は、0.25以上0.75以下である。ちなみに、第1金属層24における第1中間誘電体層32および33の周囲は、第2金属層42および43によるシャドウ効果の影響を受け、第1中間誘電体層32および33に近い部位ほど薄い。
また、上記成膜方法によって形成される構造体においては、第1中間誘電体層32の側面にも、第2金属層42に連続する金属層である中間金属層32Aが形成される。同様に、第1中間誘電体層33の側面にも、第2金属層43に連続する金属層である中間金属層33Aが形成される。
中間金属層32Aは、第1中間誘電体層32と第2中間誘電体層34とに挟まれる。中間金属層32Aは、第2金属層42と一体の構造体であり、第1中間誘電体層32の側面上での厚みが、第1金属層24に近い部位ほど薄い。同様に、中間金属層33Aは、第1中間誘電体層33と第2中間誘電体層34とに挟まれる。中間金属層33Aは、第2金属層43と一体の構造体であり、第1中間誘電体層33の側面上での厚みが、第1金属層24に近い部位ほど薄い。
こうした中間金属層32Aおよび33Aは、構造周期PT2およびPT3がサブ波長周期であるため、第2格子層41や中間格子層31の厚さ方向での屈折率の変化を連続的とする。そして、中間金属層32Aおよび33Aは、表示体の外側から第2格子層41に入射した光を反射し難く、中間格子層31や第1格子層21へ透過しやすい。それゆえに、上述した表面反射観察においては、より黒色に近い色が、第1表示領域10Aで視認される。
また、上記成膜方法によって形成される構造体においては、第1金属層24を構成する材料と、第2金属層42および43を構成する材料とは、相互に等しい。
ここで、第2誘電体層44と第2金属層42および43との間の屈折率差が小さいほど、第2格子層41での平均化された屈折率は、第2格子層41と他の層との界面でのフレネル反射を抑えやすい。他方、第1誘電体層22および23と第1金属層24との間の屈折率差が大きいほど、第1格子層21の平均化された屈折率は、第1格子層21と基材11との界面でのフレネル反射を促しやすい。
そこで、第1金属層24と第2金属層42および43とが、相互に等しい屈折率を有し、かつ、第1誘電体層22および23と第1金属層24との間の屈折率差が、第2誘電体層44と第2金属層42および43との間の屈折率差よりも大きい構成であれば、第2格子層41と他の層との界面でのフレネル反射を抑え、かつ、第1格子層21と他の層との界面でのフレネル反射を促すことが可能となる。
以上、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)表面反射観察と裏面反射観察とにおいて別々の色彩を有した像を第1表示領域10Aで視認させられるため、表示体の表裏を判別することが可能となる。また、表示体の貼り付けられた物品に対して、それの真贋の判定を容易なものとすることが可能ともなる。
(2)表面透過観察と裏面透過観察とにおいても別々の色彩を有した像を第1表示領域10Aで視認させられるため、表裏の判断結果に対する精度を高めることが可能となる。
(3)構造周期PT2およびPT3の大きさが、可視領域の波長以下であるサブ波長周期であり、一次回折光が反射されず、観察角度による色相の変化が小さい静的な色彩表現が可能となる。その一方で、構造周期PT4の大きさが、サブ波長周期よりも大きい構造周期となるため、一次回折光による分光色が観察され、観察角度による色相の変化が大きい動的な色彩表現を同一平面上に実現することが可能となる。
(4)第1格子層21の厚さT2と、中間格子層31の厚さT3との合計が、ナノインプリントなどの凹版を適用できる程度の大きさであるため、第1誘電体層22と第1中間誘電体層32、第1誘電体層23と第1中間誘電体層33と、を一体に成形することが可能ともなる。
(5)第1誘電体層22と第1中間誘電体層32、第1誘電体層23と第1中間誘電体層33と、が一体の構造体であり、また、第2中間誘電体層34と第2誘電体層44とが一体であるため、表示体の構造を簡素化することが可能ともなる。さらに、第2中間誘電体層34と第2誘電体層44とが一体の空気層である構成であれば、表示体の構造をさらに簡素化することが可能ともなる。
(6)中間金属層32Aおよび33Aが反射防止機能を備えるため、表面反射観察によって視認される像の色彩を、さらに黒色に近い色彩とすることが可能ともなる。
(7)表面反射観察、裏面反射観察、表面透過観察、および、裏面透過観察の各々において、第1表示領域10Aの色彩を固有のものとすることができる。それゆえに、表示体が表示された物品に対して、それの真贋の判定における精度を高めることが可能ともなる。
(8)表面反射観察、裏面反射観察、表面透過観察、および、裏面透過観察の各々において、第1表示領域10Aの色彩を固有のものとすることができる。それゆえに、表示体による表示の形態を、より複雑なものとすること、また、表示体の有する意匠性を高めることが可能ともなる。
(9)以上のことから、表示体の表裏の判別を、表示される像の観察によって可能とし、且つ、意匠性およびセキュリティ性の優れるホログラムによる動的な色彩表現を付与した表示体を提供することが可能となる。
[第1表示領域の変形例]
(1)以上の説明では、第1格子層21に配列方向の幅が異なる第1誘電体層が2種類存在する場合について説明した。その他の例として、第1格子層21に配列方向の幅が異なるn種類(nは2以上の整数)の第1誘電体層を有していても良い。この場合、配列方向の幅がn種類存在する第1誘電体層のうち、配列方向の幅が等しい同一種類の第1誘電体層間における構造周期はサブ波長周期である必要がある。また、第1誘電体層の構造周期は、異なる種類間であっても同じ長さとなるものがあっても良い。換言すると、構造周期はn種類以下存在する。それぞれがサブ波長周期である各構造周期をもつ第1誘電体層を一まとまりとしたものを第1誘電体層群とすると、第1誘電体層群をそれぞれ周期的に配置することでサブ波長周期よりも大きい構造周期を形成することができる。
図9は第1格子層21が3種類(n=3)の第1誘電体層を有する例を示している。配列方向の幅が等しい第1誘電体層間の構造周期PT2、PT3、PTnはサブ波長周期である。また、各構造周期PT2、PT3、PTnをもつ第1誘電体層をまとめたものが第1誘電体層群である。第1誘電体層群を周期的に配置することでサブ波長周期よりも大きい構造周期PT4を形成している。
(2)また、その他の例として、第1格子層21の第1誘電体層は、配列方向の幅が1種類(n=1の場合)であっても良い。この場合、第1誘電体層間における構造周期はサブ波長周期である必要がある。この構造周期がサブ波長周期である複数の第1誘電体層を一まとまりの第1誘電体層群とし、第1誘電体層群の間隔をあけてそれぞれ周期的に配置することでサブ波長周期よりも大きい構造周期を形成してもよい。
図10は第1格子層21が1種類(n=1)の第1誘電体層を有する例を示している。第1誘電体層間の構造周期PT2はサブ波長周期である。図10の例では第1誘電体層が4×4の16個を一まとまりとする第1誘電体層群として図示しているが、第1誘電体層群を構成する第1誘電体層の数は16に限定されない。また、第1誘電体層群を複数用意し、間隔をあけて周期的に配置することでサブ波長周期よりも大きい構造周期PT4を形成している。
A2,A3…孤立領域
A4…周辺領域
L1,EP1,EP2,LP1,LP2,LR…光
LT2,LT3…正方形
PT2,PT3,PT4…構造周期
T2,T3,T4…厚さ
W2,W3,WT2,WT3…幅
WP2,WP3,WP4,WP5…最短幅
10A…第1表示領域
10B…第2表示領域
10S…表面
10T…裏面
11…基材
21…第1格子層
22,23…第1誘電体層
24…第1金属層
31…中間格子層
32,33…第1中間誘電体層
32A,33A…中間金属層
34…第2中間誘電体層
41…第2格子層
42,43…第2金属層
44…第2誘電体層

Claims (6)

  1. 可視領域の光を透過する誘電体からなる基材と、
    前記基材の一方の面側に配置された第1格子層と、
    前記第1格子層の前記基材側とは反対側に配置された中間格子層と、
    前記中間格子層の前記第1格子層側とは反対側に配置された第2格子層と、
    を備え、
    前記第1格子層は、島状配列に並ぶ複数の第1誘電体層と、前記各第1誘電体層を囲う網目状を有した第1金属層と、を備え、
    前記中間格子層は、前記島状配列に並ぶ複数の第1中間誘電体層と、前記各第1中間誘電体層を囲う網目状を有し、かつ、前記第1中間誘電体層よりも低い誘電率を有した第2中間誘電体層と、を備え、
    前記第2格子層は、前記島状配列に並ぶ複数の第2金属層と、前記各第2金属層を囲う網目状を有した第2誘電体層と、を備え、
    前記第1格子層は前記第1誘電体層の配列方向における幅が異なるn種類(nは1以上の整数)の前記第1誘電体層を有し、
    n種類の前記第1誘電体層のうち、前記幅が等しい前記第1誘電体層間の構造周期である第一の構造周期は、可視領域の波長以下のサブ波長周期であり、
    前記第一の構造周期は、n種類以下存在し、
    前記n種類以下の前記第一の構造周期をもつ前記第1誘電体層のまとまりである第1誘電体層群を規則的に配置することでサブ波長周期よりも大きい第二の構造周期を形成していることを特徴とする表示体。
  2. 前記第1金属層、および、前記第2金属層は、可視領域の光に対する複素誘電率の実部が負の値を有することを特徴とする請求項1に記載の表示体。
  3. 前記島状配列は正方配列および六方配列のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示体。
  4. 前記第1金属層の構造周期に対する前記第1誘電体層の幅の比、および、前記第2金属層の構造周期に対する前記第2金属層の幅の比が、0.40以上0.60以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の表示体。
  5. 前記第1格子層の厚さは、100nm以下であり、
    前記第2格子層の厚さは、100nm以下であり、
    前記中間格子層の厚さは、150nm以下であり、
    前記第1格子層、前記第2格子層、前記中間格子層のうち、前記中間格子層の厚さが最も厚いことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の表示体。
  6. 前記第1金属層を構成する材料と、前記第2金属層を構成する材料とは等しく、
    前記第2誘電体層は、空気層であり、
    前記第1誘電体層の屈折率と前記第1金属層の屈折率との差は、前記第2誘電体層の屈折率と前記第2金属層の屈折率との差よりも大きいことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の表示体。
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