以下、本発明の実施形態に係る空気圧縮機について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の空気圧縮機10を示す。空気圧縮機10は対象物11に接続可能である。対象物11は、一般的なエア工具として使用圧力の低い作業工具、使用圧力の高い作業機器、建造物の給水管を含む。使用圧力の低い作業工具は、例えばエアダスタ、スプレーガンを含む。エアダスタは、圧縮空気を噴射して塵埃を吹き飛ばすものである。スプレーガンは、圧縮空気を利用して塗料を物体に吹き付けるものである。使用圧力の高い作業機器は、エアリフタや、ナットの着脱を行うエアインパクトなどの空気工具を含む。ここでエアリフタとは、圧縮空気の圧力で物体を昇降させる装置である。
空気圧縮機10は、電動モータ12、圧縮部13、エアタンク14、調圧器15、制御部16及び外部入力回路17を有する。電動モータ12は、好適にはブラシレスモータであり、かつ、回転子及び固定子を有する。
圧縮部13は、電動モータ12の動力で駆動し、かつ、空気を圧縮して吐出する。圧縮部13は、吸気口13A、吐出口13B、第1圧縮部18及び第2圧縮部19を有する。第1圧縮部18及び第2圧縮部19は、電動モータ12の回転力でそれぞれ駆動され、かつ、空気を吸入して圧縮し、かつ、吐出する。第1圧縮部18及び第2圧縮部19は空気の流れ方向で直列に配置されている。第1圧縮部18及び第2圧縮部19は、シリンダ、ピストン及び圧縮室をそれぞれ有する。吸気口13Aから吸入された空気は第1圧縮部18で圧縮され、第2圧縮部に送られる。第2圧縮部で圧縮された空気は、吐出口13Bから吐出される。
制御部16は、マイクロコンピュータ20、インバータ回路21及び判定回路22を有する。マイクロコンピュータ20は、演算部、入出力インタフェース及び記憶部を有する。記憶部には、電動モータ12を制御する情報が記憶されている。インバータ回路21は、スイッチング素子を有し、かつ、電動モータ12の固定子に接続されている。アダプタ23,24が設けられ、アダプタ23,24は判定回路22を介してインバータ回路21に電気的に接続されている。アダプタ23は交流電源25に接続可能であり、アダプタ24は直流電源26に接続可能である。交流電源25は、100Vの商用電源を含む。直流電源26は、一次電池、二次電池を含む。二次電池は、充電及び放電可能である。二次電池は、一例として36Vなどの電圧であり、二次電池は、ケースに収められたバッテリ、複数台のバッテリ同士を直列で接続させたバッテリユニット、あるいは並列で接続させたバッテリユニットを含む。判定回路22は、アダプタ23,24を介して供給される電力の状態、例えば、電圧を検出し、検出信号をマイクロコンピュータ20に送る。
外部入力回路17は、電源スイッチ27及び操作パネル28に接続されている。操作パネル28は、液晶ディスプレイ、ランプ、ボタン、タッチスイッチ及びノブを含む。ユーザは、操作パネル28を操作して、停止圧力P2、運転モード等を入力可能である。停止圧力P2は、マイクロコンピュータ20が電動モータ12を停止する基準である。運転モードは、停止している電動モータ12を再起動する条件を定める。外部入力回路17から出力される信号は、マイクロコンピュータ20に入力される。ユーザが設定する停止圧力P2は、作業用途または対象物11の種類に応じて異なる。
電動モータ12のロータの回転方向の位相を検出する位相検出センサ29が設けられ、位相検出センサが29出力する信号は、マイクロコンピュータ20に入力される。マイクロコンピュータ20は、判定回路22の検出信号、外部入力回路17及び位相検出センサ29の信号を処理し、かつ、記憶部に記憶されている情報に基づいてインバータ回路21を制御する。
エアタンク14は、吸気口30及び吐出口31を有する。通気路32は、圧縮部13の吐出口13Bと、エアタンク14の吸気口30とを接続する。
圧力センサ34、制御バルブ35及びリリーフバルブ36が設けられている。圧力センサ34は、エアタンク14内の圧力を検出して信号を出力する。圧力センサ34から出力される信号は、マイクロコンピュータ20に入力される。制御バルブ35は、例えば、ソレノイドバルブであり、排気口37、電磁コイル、弁体及びバネを有する。マイクロコンピュータ20は、電磁コイルへの通電及び非通電を制御する。弁体は、電磁コイルへの通電により作動して排気口37を開閉する。バネは弁体を付勢する。制御バルブ35は、電磁コイルに通電されていないと弁体が排気口37を閉じる。制御バルブ35は、電磁コイルに通電されていると弁体がバネの力に抗して作動し、排気口37を開く。
リリーフバルブ36は、排気口38、弁体及びバネを有する。リリーフバルブ36は、エアタンク14内の圧力が上限圧力P3未満であると、弁体がバネの力で排気口38を閉じる。リリーフバルブ36は、エアタンク14内の圧力が上限圧力P3以上であると、弁体がバネの力に抗して移動して排気口38を開く。
調圧器15は減圧弁であり、調圧器15は吸気口39、吐出口40、弁体70、バネ71及び調圧ノブ41を有する。弁体70は、調圧器15の一次側である吸気口39に接続された流路72と、調圧器15の二次側である吐出口40に接続された流路73と、の間に配置されている。弁体70は、バネ71で付勢されている。ユーザが調圧ノブ41を回転すると、バネ71から弁体70に加わる荷重が変化する。弁体70が受ける一次側荷重F1と二次側荷重F2との差により弁体70が開閉動作を行い、吸気口39から吐出口40へ供給する圧縮空気の圧力を調整する。
調圧器15は、
F1>F2
であるときに吸気口39から吐出口40に圧縮空気を供給する。また、一次側荷重F1及び二次側荷重F2は、例えば、次式で表すことが可能である。
F1=Pa1×cm1
F2=Pa2×cm2+F3
ここで、Pa1は一次側圧力であり、cm1は一次側受圧面積であり、Pa2は二次側圧力であり、cm2は二次側受圧面積であり、F3はバネ荷重である。気圧力を調整する。
調圧器15は吸気口39、吐出口40、弁体70、バネ71及び調圧ノブ41を有する。調圧器15の吸気口39は、通気路42を介してエアタンク14の吐出口31に接続されている。調圧器15の吐出口40は通気路43に接続されている。通気路43はエアソケット44に接続されている。エアソケット44はバルブの機能を有する。調圧器15は、通気路43の圧力をエアタンク14内の圧力以下に調整する。ユーザは、作業用途及び対象物11の種類に応じて調圧ノブ41を操作し、通気路43から対象物11に送られる圧縮空気の圧力を調整する。
空気圧縮機10から送られる圧縮空気を対象物11に送るエアホース45が設けられている。エアホース45の第1端部にカプラ46が設けられ、カプラ46はエアソケット44に着脱可能である。エアソケット44は、カプラ46が接続されるとバルブが開き、通気路43とエアホース45内とが接続される。エアソケット44は、カプラ46が取り外されるとバルブを閉じ、通気路43の空気が必要以上にエアソケット44から漏れることを防止する。
エアホース45の第2端部にエアソケット47が設けられ、エアソケット47を対象物11に着脱することが可能である。エアホース45の通気路を開閉する供給バルブ48が設けられている。ユーザは、供給バルブ48を操作して、エアホース45の通気路を開閉可能である。エアホース45内の圧力を検出して表示する圧力計49が設けられている。圧力計49は、エアホース45における圧縮空気の流れ方向で、供給バルブ48とエアソケット47との間に設けられている。
エアリークプラグ50が、エアソケット47と対象物11との間に設けられている。エアリークプラグ50は、エアホース45内の圧縮空気が対象物11に送られることを許容し、対象物11内の圧縮空気がエアホース45に戻ることを防止する。
次に、空気圧縮機10の使用例を説明する。ユーザは調圧ノブ41を操作し、調圧器15の設定圧力P1を設定する。設定圧力P1は、作業用途及び対象物11の種類に応じて異なり、例えば、1.0MPaである。ユーザは、操作パネル28を操作して停止圧力P2を設定し、かつ、運転モードを選択する。停止圧力P2は、設定圧力P1よりも高く、例えば、4.0MPaである。
マイクロコンピュータ20は、電源スイッチ27のオンを検出すると、インバータ回路を21を制御して電動モータ12を回転させる。圧縮部13は電動モータ12の回転力で駆動する。圧縮部13は、吸気口13Aから空気を吸入し、かつ、第1圧縮部18及び第2圧縮部19で空気を圧縮し、吐出口13Bから圧縮空気を通気路32へ吐出する。通気路32の圧縮空気はエアタンク14内に貯留される。
マイクロコンピュータ20は、エアタンク14内の圧力が停止圧力P2未満であると電動モータ12を回転させ、エアタンク14内の圧力が停止圧力P2以上であると電動モータ12を停止させる。また、リリーフバルブ36は、エアタンク14内の圧力が上限圧力P3未満であると排気口38を閉じ、エアタンク14内の圧力が上限圧力P3以上であると排気口38を開き、エアタンク14内の圧力の上昇を抑制する。
エアタンク14内の圧縮空気は通気路42に送られる。調圧器15は、圧縮空気の圧力を設定圧力P1に減圧して通気路43に吐出する。通気路43内の圧縮空気は、エアホース45を介して対象物11に充填される。ユーザが、空気圧縮機10を対象物11、例えば、建造物の給水管の空気漏れの点検に用いる場合、圧力計49が表示する圧力が所定圧力になると供給バルブ48を閉じる。そして、ユーザは圧力計49の表示圧力に基づいて、対象物11におけるエア漏れの有無を確認可能である。
次に、実施の形態1の空気圧縮機10の動作例を、図2のタイムチャートを参照して説明する。図2のタイムチャートの縦軸には、エアタンク14内の圧力が示されている。ユーザは、時刻t1よりも前に供給バルブ48を開き、圧縮空気が対象物11に充填されている。このため、エアタンク14内の空気圧は時刻t1よりも前から上昇している。エアタンク14内の圧力は、時刻t1よりも前において、設定圧力P1未満の領域で、かつ、一定の割合ΔP/ΔTで上昇している。エアタンク14内の圧力が上昇する割合ΔP/ΔTは、単位時間あたりの圧力の上昇率である。エアタンク14内の圧力が時刻t1よりも前に上昇する割合ΔP/ΔTは、しきい値R1未満である。
しきい値R1は、圧縮部13の圧縮性能に基づき、シミュレーションョンまたは実験によって求めた値である。圧縮部13の圧縮性能は、第1圧縮部18及び第2圧縮部19の圧縮室の容積、電動モータ12の回転数から定まる。しきい値R1は、圧縮部13の空気圧縮性能でエアタンク14内の圧力が上昇する割合よりも大きく設定され、かつ、マイクロコンピュータ20に記憶されている。エアタンク14内の圧力が上昇する割合ΔP/ΔTが、しきい値R1未満であるということは、外乱が発生していないことを意味する。このため、制御バルブ35を制御して排気口37を閉じている。
ユーザが供給バルブ48を時刻t1で閉じると、エアタンク14内の圧力は、実線のように割合ΔP/ΔTで上昇する。マイクロコンピュータ20は、エアタンク14内における圧力の上昇割合ΔP/ΔTが、しきい値R1以上になったことを時刻t2で検出すると、制御バルブ35を制御して排気口37を開く。すると、エアタンク14内の圧力は実線のように低下して最低圧力P0になる。
一方、ユーザが時刻t1以降も供給バルブ48を開いていると、エアタンク14内の圧力は破線で示すように上昇する。時刻t1以降にエアタンク14内の圧力が上昇する割合ΔP/ΔTは、しきい値R1未満である。このため、マイクロコンピュータ20は、制御バルブ35を制御して排気口37を閉じている。
その後、時刻t3で圧力が調圧器15の設定圧力P1に到達すると、調圧器15の弁体70が受ける二次側荷重F2は一次側荷重F1より大きくなるため弁体70が閉じ、エアタンク14内の圧力は破線で示すように上昇する。マイクロコンピュータ20は、エアタンク14内の圧力が上昇する割合ΔP/ΔTが、しきい値R1以上になったことを時刻t4で検出すると、制御バルブ35を制御して排気口37を開く。すると、エアタンク14内の圧力は破線で示すように低下して最低圧力P0になる。
一方、エア充填中に圧縮性能より低いエアの消費が生じた場合、圧力が上昇する割合ΔP/ΔTは、設定したしきい値R1より小さくなり、エアタンク14内の圧力は、時刻t3以降、二点鎖線で示すように上昇する。エアタンク14内の圧力が上昇する割合ΔP/ΔTは、しきい値R1未満であるため、マイクロコンピュータ20は、制御バルブ35を制御して排気口37を閉じる。そして、マイクロコンピュータ20は、エアタンク14内の圧力が時刻t5で停止圧力P2以上になると、マイクロコンピュータ20は、制御バルブ35を制御して排気口37を開き、かつ、電動モータ12を停止する。このため、エアタンク14内の圧力は、時刻t5以降に二点鎖線で示すように低下して最低圧力P0になる。
なお、圧力センサ34が故障し、エアタンク14内の圧力が停止圧力P2以上になっても電動モータ12が回転し、エアタンク14内の圧力が一点鎖線で示すように上限圧力P3になると、リリーフバルブ36が排気口38を開き、エアタンク14内の圧力が低下する。
また、マイクロコンピュータ20は、時刻t2で制御バルブ35を開く際に、電動モータ12を停止するか、または電動モータ12の回転を継続する。電動モータ12を停止する場合、第1の制御乃至第3の制御の何れかを行う。第1の制御は、制御バルブ35を開いた後に電動モータ12を停止させることである。第2の制御は、制御バルブ35を開くと同時に、電動モータ12を停止させることである。第3の制御は、電動モータ12を停止させた後に、制御バルブ35を開くことである。第1の制御を行うと、エアタンク14内の残圧で電動モータ12が受ける負荷を低減可能である。
このように、マイクロコンピュータ20は、エアタンク14内の圧力が停止圧力P2未満であり、かつ、圧力が上昇する割合がしきい値R1未満であると、制御バルブ35を制御して排気口37を閉じる。また、マイクロコンピュータ20は、エアタンク14内の圧力が停止圧力P2未満であり、かつ、圧力が上昇する割合がしきい値R1以上であると、制御バルブ35が排気口37を開き、エアタンク14内の圧力を低下させる。そして、通気路43の圧力は、エアタンク14内の圧力以下になる。したがって、ユーザがエアホース45のカプラ46をエアソケット44から取り外す際、または、ユーザがエアホース45のカプラ46をエアソケット44に接続する際に、通気路43内の圧縮空気がエアソケット44から噴出することを抑制できる。
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2の空気圧縮機10を示す。図3に示すエアタンク14は、図1に示す制御バルブ35を備えていない。また、エアタンク14の吐出口31は、通気路52を介して、調圧器15の吸気口39に接続されている。図3に示す空気圧縮機10は、制御ユニット53を有する。制御ユニット53は、圧力センサ54、制御バルブ55及び通気路56を有する。圧力センサ54は、通気路56内の圧力を検出して信号を出力する。圧力センサ54から出力される信号は、マイクロコンピュータ20に入力される。
制御バルブ55は、例えば、ソレノイドバルブで構成されており、排気口57、電磁コイル、弁体及びバネを有する。排気口57は通気路56に接続される。通気路56は吸気口58及び吐出口59を有する。吸気口58は通気路60を介して吐出口40に接続されている。
調圧器15は調圧ノブ41の回転により弁体70を付勢するバネ71の荷重が変化し、弁体70に掛かる一次側荷重F1と二次側荷重F2との差により弁体70が開閉動作を行う点は、図1に示す調圧器15と同じである。図3に示す調圧器15は、通気路52から通気路60へ供給する圧縮空気の圧力を調整する。
マイクロコンピュータ20は、制御バルブ55の電磁コイルへの通電及び非通電を制御する。弁体は、電磁コイルへの通電により作動して排気口57を開閉する。バネは弁体を付勢する。制御バルブ55は、電磁コイルに通電されていないと弁体が排気口57を閉じる。制御バルブ55は、電磁コイルに通電されていると弁体がバネの力に抗して作動し、排気口57を開く。
吐出口59は通気路61を介してエアソケット62に接続されている。カプラ46はエアソケット62に取り付け及び取り外しが可能である。エアソケット62はバルブの機能を有する。エアソケット62は、カプラ46が接続されるとバルブが開き、通気路61とエアホース45内とが接続される。エアソケット62は、カプラが取り外されるとバルブを閉じ、通気路61の圧縮空気がエアソケット62から漏れることを防止する。
実施の形態2の空気圧縮機10において、実施の形態1の空気圧縮機10と同じ構成については、実施の形態1の空気圧縮機10と同様の作用を有する。実施の形態2の空気圧縮機10は、エアタンク14から通気路52に圧縮空気が吐出され、その圧縮空気を調圧器15が減圧して通気路60に吐出する。通気路60の圧縮空気は制御ユニット53の通気路56を経由して通気路61に送られる。通気路61の圧縮空気は、エアソケット62、エアホース45を介して対象物11に送られる。また、マイクロコンピュータ20は、圧力センサ54が検出する通気路56内の圧力に応じて制御バルブ55を制御する。
次に、実施の形態2の空気圧縮機10の動作例を、図4のタイムチャートを参照して説明する。図4のタイムチャートに示すエアタンク14内の圧力は、図2のタイムチャートと同様の変化する例である。通気路56内の圧力は時刻t1よりも前において上昇している。通気路56内の圧力は、時刻t1よりも前において、設定圧力P1未満の領域で、かつ、一定の割合ΔP/ΔTで上昇している。通気路56内の圧力が、時刻t1よりも前に上昇する割合ΔP/ΔTは、しきい値R1未満である。このため、制御バルブ55を制御して排気口57を閉じている。
ユーザが供給バルブ48を時刻t1で閉じると、通気路56内の圧力は、実線のように割合ΔP/ΔTで上昇する。マイクロコンピュータ20は、通気路56内の圧力が上昇する割合ΔP/ΔTが、しきい値R1以上になったことを時刻t2で検出すると、制御バルブ55を制御して排気口57を開く。すると、通気路56内の圧力は実線のように低下して最低圧力P0になる。
一方、ユーザが時刻t1以降も供給バルブ48を開いていると、通気路56内の圧力は破線で示すように上昇する。通気路56内の圧力が、時刻t1以降に上昇する割合ΔP/ΔTは、しきい値R1未満である。このため、マイクロコンピュータ20は、制御バルブ55を制御して排気口57を閉じている。そして、通気路56内の圧力は、時刻t3以降において、調圧器15により調圧された設定圧力P1に維持されている。
これに対して、時刻t3で圧力が調圧器15の設定圧力P1に到達すると、調圧器15の弁体70が受ける二次側荷重F2は一次側荷重F1より大きくなるため弁体70が閉じ、エアタンク14内の圧力は破線で示すように上昇する。マイクロコンピュータ20は、エアタンク14内の圧力が上昇する割合ΔP/ΔTが、しきい値R1以上になったことを時刻t4で検出すると、制御バルブ55を制御して排気口57を開く。すると、エアタンク14内の圧力及び通気路56内の圧力は、それぞれ破線で示すように低下して最低圧力P0になる。
一方、圧縮空気の充填中に、圧縮空気の圧力の上昇割合よりも、圧縮空気の圧力の低下割合が低いような圧縮空気の消費が生じた場合、圧力が上昇する割合ΔP/ΔTは、設定したしきい値R1より小さくなり、エアタンク14内の圧力は、時刻t3以降、二点鎖線で示すように上昇する。エアタンク14内の圧力が上昇する割合ΔP/ΔTは、しきい値R1未満であるため、マイクロコンピュータ20は、制御バルブ55を制御して排気口57を閉じている。このため、通気路56内の圧力は、時刻t4以降も設定圧力P1である。
そして、マイクロコンピュータ20は、時刻t5でエアタンク14内の圧力が停止圧力P2以上になると電動モータ12を停止させ、かつ、制御バルブ55を制御して排気口37を開く。このため、エアタンク14内の圧力、及び通気路56内の圧力は、それぞれ二点鎖線で示すように低下して最低圧力P0になる。
ところで、圧力センサ34が故障すると、エアタンク14内の圧力が停止圧力P2以上になっても電動モータ12が回転する。そして、エアタンク14内の圧力が一点鎖線で示すように上限圧力P3になると、リリーフバルブ36が排気口38を開き、エアタンク14内の圧力及び通気路56内の圧力は、それぞれ一点鎖線のように低下して最低圧力P0になる。
このように、マイクロコンピュータ20は、通気路56内の圧力が停止圧力P2未満であり、かつ、圧力が上昇する割合がしきい値R1未満であると、制御バルブ55を制御して排気口57を閉じる。また、マイクロコンピュータ20は、通気路56内の圧力が停止圧力P2未満であり、かつ、圧力が上昇する割合がしきい値R1以上であると、制御バルブ55の排気口57を開き、通気路56及び通気路61の圧力を低下させる。したがって、ユーザがエアホース45のカプラ46をエアソケット62から取り外す際、または、ユーザがエアホース45のカプラ46をエアソケット62に接続する際に、通気路61内の圧縮空気がエアソケット62から噴出することを抑制できる。
図5のタイムチャートは、制御バルブ35を制御して排気口37を開く制御、制御バルブ55を制御して排気口57を開く制御の応用例である。まず、制御バルブ35を制御して排気口37を開く制御の応用例を説明する。図5の縦軸に示す圧力は、エアタンク14内の圧力または通気路56の圧力である。
対象物11が使用圧力の低い作業工具である場合に対応する圧力の変化例である。この場合、エアホース45に供給バルブ48は設けられず、対象物11は、スプレーガン及び補助タンクを有する。補助タンクに圧縮空気を充填可能である。そして、対象物11の補助タンクに、圧縮空気を常時供給することが可能である。
図5に示す圧力は、図2及び図4と同様に時刻t3において上昇する割合率が増加し、圧力は時刻t4以降低下する。また、圧力は、時刻t4から所定時間T1が経過した時刻t4−1において、検知圧力PL以下になっている。さらに、圧力は、時刻t4−1から所定時間T2が経過した時刻t5において、最低圧力P0になっている。検知圧力PLは、制御バルブ35,55の動作不良を検知するためのしきい値であり、検知圧力PLは、設定圧力P1よりも低い。検知圧力PLは、マイクロコンピュータ20の記憶部に記憶されている。所定時間T2は所定時間T1よりも長い。
マイクロコンピュータ20は、制御バルブを閉じる信号を出力した時刻t4から、所定時間T1が経過した時刻t4の圧力が検知圧力PL以下であると、制御バルブが正常であると判断する。マイクロコンピュータ20は、制御バルブを閉じる信号を出力した時刻t4から、所定時間T1が経過した時刻t4−1の圧力が検知圧力PLを超えていると、制御バルブが作動不良であると判断する。
また、マイクロコンピュータ20は図5のタイムチャートの時刻t4で電動モータ12を停止させた場合、マイクロコンピュータ20は時刻t5よりも後の時刻t6で電源スイッチ27のオンを検出すると、マイクロコンピュータ20は電動モータ12を回転させ、圧力が上昇している。時刻t6は、時刻t4−1から所定時間T3が経過した時刻であり、所定時間T3は所定時間T2よりも長い。
図6のタイムチャートも、対象物11が使用圧力の低い作業工具である場合に対応する圧力の変化例である。ユーザが供給バルブ48を時刻t1で閉じ、圧力が上昇する割合がしきい値R1以上になると、マイクロコンピュータ20は時刻t2で制御バルブを開き、かつ、電動モータ12を停止する。このため、圧力は時刻t2から低下し、時刻t2から所定時間T1が経過して時刻t2−1になると、圧力は検知圧力PLまで低下する。時刻t2−1から所定時間T2が経過して時刻t2−2になると、圧力は最低圧力P0になる。マイクロコンピュータ20は、時刻t2−1からの経過時間が所定時間T2を超えて時刻t2−3になると、電動モータ12を回転させる。このため、圧力は時刻t2−3から上昇する。
このように、マイクロコンピュータ20は、時刻t2で電動モータ12を停止させると、マイクロコンピュータ20は、時刻t2−1から所定時間T2を超えた時刻t2−3において、電動モータ12を自動で回転させる。したがって、作業性が良い。
また、マイクロコンピュータ20は、時刻t4で制御バルブを開く際に、電動モータ12を停止する。電動モータ12を停止する場合、制御バルブを開いた後に電動モータ12を停止させる。したがって、エアタンク14内の残圧で電動モータ12が受ける負荷を低減可能である。
図7に示す制御例は、実施の形態1の空気圧縮機10及び実施の形態2の空気圧縮機10の両方に対応する。マイクロコンピュータ20は、ステップS1で電源スイッチ27のオンを検出すると、ステップS2において、運転モードM=Xを読み込む。ユーザは操作パネル28を操作してノーマルモードM1またはオートモードM2を選択する。
マイクロコンピュータ20は、ステップS3において電動モータ12を回転させ、ステップS4において経過時間T及び圧力Pを読み込む。圧力Pは、実施の形態1の空気圧縮機10であれば、エアタンク14内の圧力である。圧力Pは、実施の形態2の空気圧縮機10であれば、エアタンク14内の圧力及び通気路56内の圧力である。
マイクロコンピュータ20は、ステップS5において、圧力Pが停止圧力P2未満であるか否かを判断する。マイクロコンピュータ20は、ステップS5においてYesと判断すると、ステップS6において、圧力Pの上昇する割合ΔP/ΔTが、しきい値R1以上であるか否かを判断する。マイクロコンピュータ20は、ステップS6でNoと判断すると、ステップS3に進む。
マイクロコンピュータ20は、ステップS6でYesと判断すると、ステップS7において制御バルブを制御し、排気口を開く。マイクロコンピュータ20は、ステップS5でNoと判断した場合も、ステップS7の制御を行う。また、マイクロコンピュータ20はステップS8において電動モータ12を停止する。マイクロコンピュータ20が行うステップS7及びステップS8の制御は、何れを先に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
マイクロコンピュータ20は、ステップS9において経過時間Tをリセットし、ステップS10において経過時間Tのカウントを開始する。マイクロコンピュータ20は、ステップS11において、経過時間Tが所定時間T1を超えたか否かを判断する。マイクロコンピュータ20は、ステップS11においてNoと判断すると、ステップS10に進む。
マイクロコンピュータ20は、ステップS11でYesと判断すると、ステップS12において、圧力Pが検知圧力PL未満であるか否かを判断する。マイクロコンピュータ20は、ステップS12でYesと判断するとステップS13の判断を行う。ステップS13の判断は、“ステップS11でYesと判断した時点からの経過時間Tが、所定時間T2を超えたか否か”である。所定時間T2は、停止している電動モータ12を回転させる際の判断に用いるしきい値である。
マイクロコンピュータ20は、ステップS13でNoと判断するとステップS10に進む。マイクロコンピュータ20は、ステップS13でYesと判断すると、ステップS14で運転モードがノーマルモードM1であるか否かを判断する。マイクロコンピュータ20は、ステップS14でYesと判断すると、ステップS15において制御バルブを閉じる。マイクロコンピュータ20は、ステップS16で電源スイッチ27のオフを検出すると、図7の制御を終了する。
このように、マイクロコンピュータ20は、ノーマルモードM1が選択されている際に電動モータ12を停止させると、マイクロコンピュータ20は、電源スイッチ27のオフを検出した後に電源スイッチ27のオンを検出すると、電動モータ12を回転させる。
マイクロコンピュータ20は、ステップS14でNoと判断するとステップS17の判断を行う。ステップS17の判断は、“ステップS11でYesと判断した時点からの経過時間Tが、所定時間T3を超えたか否か”である。所定時間T3は所定時間T2よりも長い。マイクロコンピュータ20は、ステップS17でYesと判断すると、ステップS18において電動モータ12を回転させ、ステップS3に戻る。このように、オートモードM2が選択されていると、電動モータ12を停止し、かつ、ステップS11でYesと判断されてからの経過時間Tが所定時間T3を超えると、マイクロコンピュータ20は電動モータ12を回転させる。その後、マイクロコンピュータ20は、ユーザが電源スイッチ27をオフにするまでの間、電動モータ12の回転と停止とを交互に繰り返す、断続運転を行う。
マイクロコンピュータ20は、ステップS17でNoと判断するとステップS10に進む。マイクロコンピュータ20は、ステップS12でNoと判断すると、ステップS19で制御バルブを閉じ、ステップS20で“制御バルブエラー”を操作パネル28で表示し、ステップS16に進む。
実施の形態で説明した事項の意味は、次の通りである。空気圧縮機10は気体圧縮機の一例であり、電動モータ12はモータの一例である。圧縮部13、エアタンク14、通気路43,56,61は、通気路の一例である。制御部16は、第1制御部、第2制御部及び判断部の一例であり、制御バルブ35,55は、第1排気機構の一例である。しきい値R1は、所定の割合の一例である。対象物11は、圧縮気体が供給される通路、配管、圧縮気体で動作する釘打機及び作業機を含む。エアソケット44,62は、接続部の一例である。調圧器15は、減圧機構の一例である。上限圧力P3、リリーフバルブ36は、第2排気機構の一例である。
本開示の空気圧縮機は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、調圧器15の設定圧力P1を検出する設定圧力検出センサを設け、設定圧力検出センサの信号がマイクロコンピュータ20に入力されるようにしてもよい。図7に示す制御例は、圧力が上昇する割合ΔP/ΔTがしきい値R1以上であると制御バルブを開き、かつ、電動モータを停止しているが、電動モータを回転させておくことも可能である。
また、しきい値R1は圧力上昇の変化を判断するための条件であり、マイクロコンピュータは、常に上昇割合ΔP0/ΔT0を演算及び記憶し、直近の上昇割合ΔP/ΔTとしきい値R1との比較により、圧力上昇の変化を判断しても良い。
また、エアリークプラグ50は、対象物11の補助タンク内の圧力が、所定値以上であると気体を補助タンクの外部に漏らす機能を備えていてもよい。圧縮部13は、気体を複数段階圧縮することが可能であり、圧縮部13は、気体を2段階で圧縮するものの他、気体を3段階以上圧縮するものを含む。
制御部及び判断部は、電気部品または電子部品の単体でもよいし、複数の電気部品または複数の電子部品を有するユニットでもよい。電気部品または電子部品は、マイクロコンピュータ、プロセッサ、制御回路及びモジュールを含む。圧縮部が圧縮する気体は、空気、不活性ガスを含む。不活性ガスは、窒素ガス、希ガスを含む。