JP2018186925A - コイル化アクチュエータ - Google Patents

コイル化アクチュエータ Download PDF

Info

Publication number
JP2018186925A
JP2018186925A JP2017090155A JP2017090155A JP2018186925A JP 2018186925 A JP2018186925 A JP 2018186925A JP 2017090155 A JP2017090155 A JP 2017090155A JP 2017090155 A JP2017090155 A JP 2017090155A JP 2018186925 A JP2018186925 A JP 2018186925A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
heating
thread
members
long
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017090155A
Other languages
English (en)
Inventor
金子 由利子
Yuriko Kaneko
由利子 金子
牧 平岡
Maki Hiraoka
牧 平岡
荒瀬 秀和
Hidekazu Arase
秀和 荒瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2017090155A priority Critical patent/JP2018186925A/ja
Publication of JP2018186925A publication Critical patent/JP2018186925A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

【課題】加熱部材の長尺部材同士の電気的接点を減らして加熱部材の複数本の長尺部材を備えながら電気抵抗の低下を抑えることができるコイル化アクチュエータを提供する。【解決手段】コイル化アクチュエータ4であって、熱により伸縮可能な繊維1,111cと、通電により繊維を加熱可能な少なくとも2本以上の長尺部材2a,2bを有する加熱部材2と、加熱部材の長尺部材同士を絶縁する少なくとも2本以上の長尺部材3a,3bを有する絶縁部材3とを備え、繊維は、その長軸110LAの周りに沿って捩られており、繊維は、円筒状のコイルの形状を有するように折り畳まれており、加熱部材の長尺部材は、繊維の外周を、互いに交差することなく巻かれ、絶縁部材の長尺部材は、繊維の外周に巻かれ、加熱部材および絶縁部材は、加熱部材の長尺部材と絶縁部材の長尺部材とが組み合わさって互いに交差する交差部21を複数有しつつ繊維の外周を網状に覆っている。【選択図】図1A

Description

本発明はコイル化アクチュエータに関する。
外部刺激により伸張又は収縮する繊維状のアクチュエータは、骨格と組み合わせて人工筋肉としてデバイスを駆動したり、布地に織り込んで面状のデバイスを変形させるなどの用途に利用できる。例えば、特許文献1は、ポリマー繊維を用いたポリマー繊維アクチュエータを開示している。このポリマー繊維アクチュエータは、熱によって歪み動作し、軽量、柔軟、及び、高出力という特長がある。このようなポリマー繊維アクチュエータの加熱手段としては、電熱線を巻き付けて抵抗加熱を行うものがあった(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−42783号公報
ポリマー繊維アクチュエータの熱分布が不均一であれば、効率が低下する。そこで、均熱化のために電熱線を高密度で配置した場合、電熱線同士が電気的接点を持つことで低抵抗になるという課題があった。電熱線が低抵抗である場合には、高電流化し、発火又は感電などの危険性が増大する。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、繊維と加熱部材の複数本の電熱線を構成する長尺部材とが一体化された構成で、加熱部材の長尺部材同士の電気的接点を減らして加熱部材の複数本の長尺部材を備えながら電気抵抗の低下を抑えることができるコイル化アクチュエータを提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の1つの態様にかかるコイル化アクチュエータは、コイル化アクチュエータであって、
熱により伸縮可能な繊維と、
通電により前記繊維を加熱可能な少なくとも2本以上の長尺部材を有する加熱部材と、
前記加熱部材の前記長尺部材同士を絶縁する少なくとも2本以上の長尺部材を有する絶縁部材とを備え、
前記繊維は、その長軸の周りに沿って捩られており、
前記繊維は、円筒状のコイルの形状を有するように折り畳まれており、
前記加熱部材の前記長尺部材は、前記繊維の外周を、互いに交差することなく巻かれ、
前記絶縁部材の前記長尺部材は、前記繊維の外周に巻かれ、
前記加熱部材および前記絶縁部材は、前記加熱部材の前記長尺部材と前記絶縁部材の前記長尺部材とが組み合わさって互いに交差する交差部を複数有しつつ前記繊維の外周を網状に覆っている。
本発明の前記態様にかかるコイル化アクチュエータによれば、繊維と加熱部材の複数本の長尺部材と絶縁部材の複数本の長尺部材とが一体化された構成で、長尺部材同士の電気的接点を減らし、加熱部材として複数本の長尺部材を備えながら電気抵抗の低下を防止することができる。また、前記態様は、使用時の発火及び感電などの危険性を低減できる。
本実施形態によるコイル化アクチュエータを示す説明図 本実施形態によるコイル化アクチュエータを拡大した説明図 本実施形態によるコイル化アクチュエータの組目部分を拡大した説明図 本実施形態によるコイル化アクチュエータの組目部分において加熱部材を切断したときの拡大断面図 本実施形態の変形例によるコイル化アクチュエータを示す説明図 捩られておらず、かつ折り畳まれていない繊維111aの模式図 捩られているが、折り畳まれていない繊維111bの模式図 捩られており、かつ折り畳まれた繊維111c−1および111c−2の模式図 折り畳まれた繊維111cによって形成される円筒状のコイルの模式図 111c−1と111c−2を撚り合せた繊維の模式図 図2Eの繊維に加熱部材と絶縁部材とを巻き付けた本実施形態の簡略版の変形例のコイル化アクチュエータの模式図 図2Eの繊維に加熱部材と絶縁部材とを巻き付けた本実施形態のさらに簡略版の変形例のコイル化アクチュエータの模式図 (a),(b),(c)は、それぞれ、加熱される前、加熱中、加熱後の繊維111cの状態の模式側面図 本実施形態によるコイル化アクチュエータを製造するときに使用する製紐機の斜視図 実施例の抵抗値測定結果を示す図 実施例における伸縮率測定系の図 実施例の伸縮率測定結果と温度測定結果を示す図 比較例1のコイル化アクチュエータを示す図 比較例1の抵抗値測定結果を示す図 比較例1の伸縮率測定結果と温度測定結果を示す図 比較例2のコイル化アクチュエータを示す図 比較例2の抵抗値測定結果を示す図 比較例2の伸縮率測定結果と温度測定結果を示す図
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下、図面を参照して本発明における実施形態を詳細に説明する前に、本発明の種々の態様について説明する。
本発明の第1態様によれば、
コイル化アクチュエータであって、
熱により伸縮可能な繊維と、
通電により前記繊維を加熱可能な少なくとも2本以上の長尺部材を有する加熱部材と、
前記加熱部材の前記長尺部材同士を絶縁する少なくとも2本以上の長尺部材を有する絶縁部材とを備え、
前記繊維は、その長軸の周りに沿って捩られており、
前記繊維は、円筒状のコイルの形状を有するように折り畳まれており、
前記加熱部材の前記長尺部材は、前記繊維の外周を、互いに交差することなく巻かれ、
前記絶縁部材の前記長尺部材は、前記繊維の外周に巻かれ、
前記加熱部材および前記絶縁部材は、前記加熱部材の前記長尺部材と前記絶縁部材の前記長尺部材とが組み合わさって互いに交差する交差部を複数有しつつ前記繊維の外周を網状に覆っている、
コイル化アクチュエータを提供する。
前記態様によれば、前記複数の交差部のそれぞれにおいて、前記加熱部材の前記長尺部材と前記絶縁部材の前記長尺部材とが組み合わさって互いに交差しており、前記加熱部材の前記長尺部材の位置ずれが前記絶縁部材の前記長尺部材で抑制され、前記加熱部材の隣接する前記長尺部材同士が接近するのを抑制することができる。この結果、電熱線を構成する加熱部材の複数本の長尺部材と繊維とが一体化された構成で、加熱部材の複数本の長尺部材を備えながら、加熱部材の長尺部材同士の電気的接点を減らして電気抵抗の低下を抑えることができる。
また、このような構成によれば、前記加熱部材により前記繊維が加熱されていないとき、複数の前記長尺部材が交差する箇所(以下、「交差部」とも称される)のうち隣接する交差部間に位置する前記複数の長尺部材が前記繊維の前記外面に接触しており、前記加熱部材により前記繊維が加熱されて縮むとき、前記隣接する交差部間の間隔が、前記繊維の非加熱時の前記隣接する交差部間の間隔よりも小さくなり、前記隣接する交差部間に位置する前記複数の長尺部材が前記繊維の前記外面から離れるように弛むことができる。よって、熱によって伸縮する量が異なる繊維と、加熱部材と、絶縁部材とで構成されても、三者は一体化された構成となっている。
なお、繊維が加熱されて縮むときに、隣接する交差部間の間隔が小さくなるのは、繊維の伸縮方向と略平行方向に隣接している交差部間の距離が小さくなり、伸縮方向と略垂直方向に隣接している交差部間の距離が大きくなるからである。
また、複数本の加熱部材の長尺部材を有することで、加熱部材の長尺部材が繊維を覆う率が増して繊維温度の均熱化ができる。さらに、加熱部材の長尺部材同士の電気的接点がないことで、加熱部材の長尺部材の本数によらず、加熱部材の電気抵抗を設計することができる。また、繊維の伸縮による電気的接点の増減がなく、動作が安定になる。なお、ここで本数とは、繊維が束で構成されている場合は、一束を一本と数える。
本発明の第2態様によれば、第1態様において、
複数の前記交差部のうち、4つの交差部が組目交差部として大略四辺形の頂点の位置に配置されて、前記大略四辺形の組目を構成し、前記大略四辺形の組目が前記繊維の外周に複数個配置されて網状に前記繊維の外周を覆っており、
前記大略四辺形のうちの対向する2辺が前記加熱部材で構成され、残りの対向する2辺が前記絶縁部材で構成され、
前記大略四辺形の組目のうちの隣接する前記組目交差部同士では、一方の前記組目交差部では、前記加熱部材は前記繊維と前記絶縁部材との間に位置し、もう一方の前記組目交差部では、前記絶縁部材は前記繊維と前記加熱部材との間に位置する、コイル化アクチュエータを提供する。
前記態様によれば、各組目交差部では、繊維の外側で加熱部材の長尺部材と絶縁部材の長尺部材とが重なるとき、加熱部材の長尺部材と絶縁部材の長尺部材とのいずれか一方が内側に他方が外側に配置され、かつ、絶縁部材の長尺部材に加熱部材の長尺部材が押し付けられている。よって、加熱部材の長尺部材は絶縁部材の長尺部材の表面に沿って位置ずれしにくくなっており、加熱部材の長尺部材同士が接触して電気的接点が形成されるのを抑制することができる。また、1つの交差部で、点的に、加熱部材の長尺部材の位置ずれを抑制するのではなく、組目として4つの交差部で、言わば面的に、加熱部材の長尺部材の位置ずれを抑制することができるので、より一層、位置ずれ抑制効果を発揮することができる。
本発明の第3態様によれば、第1又は2態様において、
前記加熱部材の伸縮量は、前記絶縁部材の伸縮量よりも小さい材料で構成され、
前記絶縁部材は、外力により伸縮可能な材料で構成され、
前記交差部では、前記絶縁部材は、前記加熱部材によって押し付けられて保持されている、コイル化アクチュエータを提供する。
前記態様によれば、各組目交差部では、加熱部材の長尺部材と絶縁部材の長尺部材とのいずれか一方が内側に他方が外側に配置され、かつ、絶縁部材の長尺部材に加熱部材の長尺部材が押し付けられて保持されている。よって、加熱部材の長尺部材は絶縁部材の長尺部材の表面に沿って位置ずれしにくくなっており、加熱部材の長尺部材同士が接触して電気的接点が形成されるのをより抑制することができる。
本発明の第4態様によれば、第3態様において、
前記加熱部材の前記長尺部材は、金属の糸状部材であり、
前記絶縁部材の前記長尺部材は、ポリエチレン繊維の束の糸状部材である、コイル化アクチュエータを提供する。
前記態様によれば、前記絶縁部材の長尺部材に前記加熱部材の長尺部材が押し付けられるとき、前記加熱部材と前記絶縁部材とで剛性が異なるので、前記絶縁部材の長尺部材に前記加熱部材の長尺部材が確実に押し付けられて保持されている。よって、加熱部材の長尺部材は絶縁部材の長尺部材の表面に沿ってより位置ずれしにくくなっており、加熱部材の長尺部材同士が接触して電気的接点が形成されるのをより確実に抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
(用語)
まず、本明細書において用語「繊維」に付される参照符号が以下のように定義される。
用語「繊維111a」は、捩られておらず、かつ折り畳まれていない繊維を意味する。図2Aを参照のこと。繊維111aは、「延伸された繊維111a」とも呼ばれ得る。
用語「繊維111b」は、捩られているが、折り畳まれていない繊維を意味する。図2Bを参照のこと。繊維111bは、「捩られた繊維111b」とも呼ばれ得る。
用語「繊維111c」は、捩られており、かつ折り畳まれた繊維を意味する。図2Cを参照のこと。繊維111cは、「折り畳まれた繊維111c」とも呼ばれ得る。
用語「繊維111」は、繊維111a〜繊維111cを包括的に(comprehensively)含む。本願明細書において、折り畳まれているが、捩られていない繊維は存在しない。
(実施形態)
(全体構成)
図1A及び図2Fに示されるように、本実施形態によるコイル化アクチュエータ4は、繊維1と、加熱部材2と、絶縁部材3とを備えている。なお、詳しくは後述するが、図1Aでは、加熱部材2と絶縁部材3とをそれぞれ8本の糸状部材で構成しているのに比較して、図2Fは理解しやすくするため、加熱部材2と絶縁部材3とをそれぞれ4本の糸状部材で構成している。言い換えれば、図1Aの実施形態の簡略版の変形例として図2Fを示しているが、加熱部材2と絶縁部材3との本数以外は同一構成である。
繊維1は、熱により伸縮可能な熱歪繊維であり、一例として、コイル状繊維を少なくとも2本以上撚り合わせて1本にしている繊維(以下、2PLYポリマー繊維と称す。)111cを芯として、その周囲に定電流直流電源6に接続可能な加熱部材2と、絶縁部材3とが配置されている。このように構成したコイル化アクチュエータ4は、加熱部材一体型繊維アクチュエータとも称する。
2PLYポリマー繊維111cは第1ポリマー繊維111c−1と第2ポリマー繊維111c−2とを撚り合わせてある(図2E参照)。第1ポリマー繊維111c−1および第2ポリマー繊維111c−2はそれぞれ長軸110LA(図2C参照)の周りに沿って捩られているとともに、第1ポリマー繊維111c−1および第2ポリマー繊維111c−2のそれぞれが円筒状のコイルの形状を有するように折り畳まれており、熱により伸縮可能としている。2本の繊維を総称するときは111cで参照し、1本ずつ個別の繊維を指すときは111c−1,111c−2で参照する。このような繊維1は、例えば、室温状態で初期長さL3(図2C参照)の繊維1が加熱されると収縮して、初期長さL3より長軸(すなわち、長手方向)110LA沿いに短くなる一方、加熱が停止されて冷却され、室温に戻ると、再び、伸長して初期長さL3の自然長の状態まで復帰し、初期長さL3まで長軸110LA沿いに長くなる。
加熱部材2は、外力による伸縮量がポリマー繊維の伸縮量に比べて非常に小さい材料で構成された複数の長尺部材、例えば複数の糸状部材で構成されている。より具体的には、加熱部材2は、第1糸状部材2aと第2糸状部材2bと第3糸状部材2dと第4糸状部材2eと第5糸状部材2fと第6糸状部材2gと第7糸状部材2hと第8糸状部材2iで構成されている。第1糸状部材2aと第2糸状部材2bと第3糸状部材2dと第4糸状部材2eと第5糸状部材2fと第6糸状部材2gと第7糸状部材2hと第8糸状部材2iは、それぞれ、繊維1の外面に配置され、繊維1の外面を螺旋状に互いに同方向に周回し、言い換えれば、繊維1の外周を、互いに交差することなく巻かれている。また、加熱部材2は、通電により繊維1を加熱可能な部材である。
また、絶縁部材3は、外力により伸縮可能な材料で構成された複数の長尺部材、例えば複数の糸状部材で構成されている。より具体的には、絶縁部材3は、第9糸状部材3aと第10糸状部材3bと第11糸状部材3dと第12糸状部材3eと第13糸状部材3fと第14糸状部材3gと第15糸状部材3hと第16糸状部材3iで構成されている。第9糸状部材3aと第10糸状部材3bと第11糸状部材3dと第12糸状部材3eと第13糸状部材3fと第14糸状部材3gと第15糸状部材3hと第16糸状部材3iは、それぞれ、繊維1の外面に配置され、繊維1の外面を螺旋状に互いに同方向に周回し、言い換えれば、繊維1の外周に巻かれている。絶縁部材3の複数の糸状部材同士は互いに交差することなく巻くことにより、より小型化を図ることができる。一例として、絶縁部材の糸状部材は、ポリエチレン繊維の束の糸状部材である。
また、加熱部材2と絶縁部材3とは、互いに交差して複数の交差部21を形成して大略円筒網状に繊維1の外周を覆っている。各交差部21では、図1Dに示すように、繊維1の外側で加熱部材2の長尺部材と絶縁部材3の長尺部材とが重なるとき、加熱部材2と絶縁部材3とのいずれか一方が内側に他方が外側に配置され、かつ、絶縁部材3の糸状部材に加熱部材2の糸状部材が押し付けられて保持されている。よって、加熱部材2の糸状部材は絶縁部材3の糸状部材の表面に沿って位置ずれしにくくなっており、加熱部材2の糸状部材同士が接触して電気的接点が形成されるのを抑制している。よって、絶縁部材3は、加熱部材の糸状部材同士を絶縁する機能を有している。なお、絶縁部材の長尺部材に加熱部材の長尺部材が押し付けられるとき、場合によっては、へこみつつ保持されて、より位置ずれしにくくなることもある。
複数の交差部21のうち、4つの交差部21が、組目交差部(例えば21−1,21−2,21−3,21−4)として大略四辺形の頂点の位置に配置されて、大略四辺形の組目20を構成し、この大略四辺形の組目20が繊維1の外周に複数個配置されて網状に繊維1の外周を覆っている。以下、組目として総称的に言及するときは、符号20とし、個別の組目を指すときは、20−1,20−2,20−3のように言及する。交差部についても同様に、総称的に言及するときは、符号21とし、個別の交差部を指すときは、21−1,21−2,21−3のように言及する。大略四辺形の組目のうちの隣接する組目交差部同士では、一方の組目交差部では、加熱部材2は繊維1と絶縁部材3との間に位置し、もう一方の組目交差部では、絶縁部材3は繊維1と加熱部材2との間に位置している。
第1糸状部材2aと第2糸状部材2bと第3糸状部材2dと第4糸状部材2eと第5糸状部材2fと第6糸状部材2gと第7糸状部材2hと第8糸状部材2iにそれぞれ電流が流されると、発熱して、繊維1を加熱可能となっている。複数の糸状部材2a,2b,2d,2e,2f,2g,2h,2iのそれぞれは、金属の細単線である。この金属の細単線が、繊維1の外面で螺旋状に同方向に周回している。
また、複数の糸状部材3a,3b,3d,3e,3f,3g,3h,3iのそれぞれは、複数本の繊維が束になって若干撚られた状態で構成されている。この束が繊維1の外面で螺旋状に周回している。
図1Bは図1Aのコイル化アクチュエータ4を拡大して示している。図1Cはコイル化アクチュエータ4の組目部分を拡大した説明図である。図1Dは(a)が絶縁部材3の糸状部材3aに沿って加熱部材2の糸状部材を切断したときの説明図であり、(b)が絶縁部材3の糸状部材3dに沿って加熱部材2の糸状部材を切断したときの説明図であり、(c)が絶縁部材3の糸状部材3bに沿って加熱部材2の糸状部材を切断したときの説明図である。
なお、図1B及び図1Cでは、理解しやすくするため、絶縁部材3の糸状部材が加熱部材2の糸状部材よりも外側に配置されているときは交差部に白丸を付し、絶縁部材3の糸状部材が加熱部材2の糸状部材よりも内側に配置されているときは交差部に黒丸を付している。また、図1Cでは、絶縁部材3の糸状部材のうち組目と直接関係の無い部分は点線で示して、組目がより理解しやすいようにしている。
図1B及び図1Cより明らかなように、この実施形態では、絶縁部材3の各糸状部材に対して加熱部材2の糸状部材は、外側に位置する交差部が2個続いたのち、内側に位置する交差部が2個続き、その後、再び、内側に位置する交差部が2個続き、内側に位置する交差部が2個続くといったように繰り返されている。また、加熱部材2の各糸状部材に対して絶縁部材3の糸状部材は、外側に位置する交差部が2個続いたのち、内側に位置する交差部が2個続き、その後、再び、内側に位置する交差部が2個続き、内側に位置する交差部が2個続くといったように繰り返されている。
図1B及び図1Cを用いて、糸状部材の構成を詳細に説明する。
金属の細単線である糸状部材2aは、絶縁部材3の糸状部材3aの外側又は内側を通って交差して、交差部21又は25を形成する。交差部21又は25のうち、組目の頂点の位置に配置されている交差部を組目交差部と称する。
具体的に、まず、1つの四辺形の組目20−1について説明する。四辺形の組目20−1は、第1組目交差部21−1,第2組目交差部21−2,第3組目交差部21−3,第4組目交差部21−4を有している。第1組目交差部21−1では、絶縁部材3の糸状部材3aの外側に加熱部材2の糸状部材2aが配置されている。第2組目交差部21−2では、絶縁部材3の糸状部材3aの内側に加熱部材2の糸状部材2bが配置されている。第3組目交差部21−3では、絶縁部材3の糸状部材3dの外側に加熱部材2の糸状部材2bが配置されている。第4組目交差部21−4では、絶縁部材3の糸状部材3dの内側に加熱部材2の糸状部材2aが配置されている。第1組目交差部21−1と第2組目交差部21−2との間は、絶縁部材3の糸状部材3aが1つの辺(絶縁辺と称する。)23a−1を構成している。この絶縁辺23a−1と対向して、第3組目交差部21−3と第4組目交差部21−4との間は、絶縁部材3の糸状部材3dが1つの絶縁辺23d−1を構成している。一方、第1組目交差部21−1と第4組目交差部21−4との間は、加熱部材2の糸状部材2aが1つの辺(加熱辺と称する。)22a−1を構成している。この加熱辺22a−1と対向して、第2組目交差部21−2と第3組目交差部21−3との間は、加熱部材3の糸状部材2bが1つの加熱辺22b−1を構成している。よって、四辺形の組目20−1は、絶縁辺23a−1と絶縁辺23d−1と加熱辺22a−1と加熱辺22b−1との4つの辺と、第1組目交差部21−1,第2組目交差部21−2,第3組目交差部21−3,第4組目交差部21−4との4つの組目交差部とで構成されている。
このように構成される組目20−1では、加熱部材2の糸状部材同士が隣接する方向(言い換えれば、絶縁部材3の糸状部材の長手方向沿い)の組目交差部間では、加熱部材2の糸状部材の位置が絶縁部材3の糸状部材に対して内側と外側で互いに異なっており、加熱部材2の糸状部材が絶縁部材3の糸状部材で内側と外側とから挟み付けられて略固定されている。例えば、加熱部材2の隣接する糸状部材2a,2bでは、絶縁部材3の糸状部材3aに対して、第1組目交差部21−1では糸状部材2aが外側に配置され、第2組目交差部21−2では糸状部材2aが内側に配置されるため、糸状部材2a,2b同士が接近したとしても、絶縁部材3の糸状部材3aが間に介在して直接接触を防止することができる。同様に、絶縁部材3の糸状部材3dに対して、第3組目交差部21−3では糸状部材2bが外側に配置され、第4組目交差部21−4では糸状部材2aが内側に配置されるため、糸状部材2a,2b同士が接近したとしても、絶縁部材3の糸状部材3dが間に介在して直接接触を防止することができる。
なお、加熱辺22a−1の中間部と加熱辺22b−1の中間部とを絶縁部材3の糸状部材3bが横切って交差部25をそれぞれ形成しているが、この糸状部材3bには、加熱辺22a−1の中間部と加熱辺22b−1の中間部とがそれぞれ押し付けられて保持されており、各中間部が絶縁部材3の糸状部材3bの表面に沿って位置ずれしにくくなっており、中間部同士が接触して電気的接点が形成されるのを抑制している。言い換えれば、各組目20は、対向する複数の辺で形成する形状を有しており、加熱部材2の糸状部材同士が接触することがないようにしている。
前記組目20−1に隣接する、別の四辺形の組目20−2について説明する。四辺形の組目20−2は、第5組目交差部21−5,第6組目交差部21−6,第7組目交差部21−7,第8組目交差部21−8を有している。第5組目交差部21−5では、絶縁部材3の糸状部材3iの内側に加熱部材2の糸状部材2iが配置されている。第6組目交差部21−6では、絶縁部材3の糸状部材3iの外側に加熱部材2の糸状部材2aが配置されている。第7組目交差部21−7では、絶縁部材3の糸状部材3bの内側に加熱部材2の糸状部材2aが配置されている。第8組目交差部21−8では、絶縁部材3の糸状部材3bの外側に加熱部材2の糸状部材2iが配置されている。第5組目交差部21−5と第6組目交差部21−6との間は、絶縁部材3の糸状部材3iが1つの絶縁辺23i−1を構成している。この絶縁辺23i−1と対向して、第7組目交差部21−7と第8組目交差部21−8との間は、絶縁部材3の糸状部材3bが1つの絶縁辺23b−1を構成している。一方、第5組目交差部21−5と第8組目交差部21−8との間は、加熱部材2の糸状部材2iが1つの加熱辺22i−1を構成している。この加熱辺22i−1と対向して、第6組目交差部21−6と第7組目交差部21−7との間は、加熱部材3の糸状部材2aが1つの加熱辺22a−2を構成している。よって、四辺形の組目20−2は、絶縁辺23i−1と絶縁辺23b−1と加熱辺22i−1と加熱辺22a−2との4つの辺と、第5組目交差部21−5,第6組目交差部21−6,第7組目交差部21−7,第8組目交差部21−8との4つの組目交差部とで構成されている。
このように構成される組目20−2では、先の組目20−1と同様に、加熱部材2の糸状部材同士が隣接する方向の組目交差部間では、加熱部材2の糸状部材の位置が絶縁部材3の糸状部材に対して内側と外側で互いに異なっている。例えば、加熱部材2の隣接する糸状部材2i,2aでは、絶縁部材3の糸状部材3iに対して、第5組目交差部21−5では糸状部材2iが内側に配置され、第6組目交差部21−6では糸状部材2aが外側に配置されるため、糸状部材2i,2a同士が接近したとしても、絶縁部材3の糸状部材3iが間に介在して直接接触を防止することができる。同様に、絶縁部材3の糸状部材3bに対して、第7組目交差部21−7では糸状部材2aが内側に配置され、第8組目交差部21−8では糸状部材2iが外側に配置されるため、糸状部材2i,2a同士が接近したとしても、絶縁部材3の糸状部材3bが間に介在して直接接触を防止することができる。
なお、加熱辺22i−1の中間部と加熱辺22a−2の中間部とを絶縁部材3の糸状部材3aが横切って交差部25と第1組目交差部21−1をそれぞれ形成しているが、この糸状部材3aには、加熱辺22i−1の中間部と加熱辺22a−2の中間部とがそれぞれ押し付けられて保持されており、各中間部が絶縁部材3の糸状部材3aの表面に沿って位置ずれしにくくなっており、中間部同士が接触して電気的接点が形成されるのを抑制している。
このように、組目20−1と20−2とで説明したように、隣接する2つの組目20−1,20−2の組目交差部の位置を互いにずらせて配置することにより、絶縁部材3の各糸状部材3a,3b,3d,3e,3f,3g,3h,3iでは、組目交差部と組目でない交差部とが交互に配置されるように加熱部材2の糸状部材2a,2b,2d,2e,2f,2g,2h,2iと交差するように配置されている。この結果、繊維1の周囲に多数の組目20が隣接して配置されていることになり、加熱部材2の隣接する糸状部材2a,2b,2d,2e,2f,2g,2h,2i同士の接触が組目20により防止することができる。
全ての組目20は、繊維1が伸縮するのに追随して変形することができて、繊維1と加熱部材2と絶縁部材3とは一体化している。このような組目であるから、前記したように加熱部材の糸状部材同士が互いに接触することがなく、電気的接点を持つことがない。その結果、加熱部材の糸状部材の本数によらず電気抵抗を設計することができる。また、繊維1の伸縮による電気的接点の増減がなく、動作が安定になる。なお、組目20の形状として略四角形とすれば、向かい合った辺で形成する形状のうちでは、角(すなわち、頂点)の数が最も少ないので、加熱部材2の糸状部材を、より密に配置することができて、より好ましい。
なお、前記説明では、糸状部材がそれぞれ8本の場合について説明しているが、例えば、8本よりも少ない本数、例えば4本で構成した場合(図2Fの例を参照。)には、図1B及び図1Cにおいて、以下ように考えればよい。
すなわち、図1Aの実施形態の簡略版の変形例として図2Fに示すように、加熱部材2の糸状部材2a,2b,2d,2eはそのままで、糸状部材2f,2g,2h,2iの位置にそれぞれ糸状部材2a,2b,2d,2eが再び繊維1の外周を周回して配置されていると考えればよい。同様に、絶縁部材3の糸状部材3a,3b,3d,3eはそのままで、糸状部材3f,3g,3h,3iの位置にそれぞれ糸状部材3a,3b,3d,3eが再び繊維1の外周を周回して配置されていると考えればよい。
また、図1Aの実施形態のさらに簡略版の変形例として図2Gに示すように、加熱部材2の糸状部材2a,2bはそのままで、糸状部材2d,2e,2f,2g,2h,2iの位置にそれぞれ糸状部材2a,2bが再び繊維1の外周を周回して配置されていると考えればよい。同様に、絶縁部材3の糸状部材3a,3bはそのままで、糸状部材3d,3e,3f,3g,3h,3iの位置にそれぞれ糸状部材3a,3bが再び繊維1の外周を周回して配置されていると考えればよい。この図2Gの変形例では、組目20−11は、中間の2つの交差部が無く、隣接する4個の組目交差部21−11,21−12,21−13,21−14と、加熱辺22a−1と加熱辺22b−1と絶縁辺23a−1と絶縁辺23b−1とで構成されている。
このような変形例でも、実施形態の電気抵抗低下抑制効果を発揮することができる。
以下、各構成について詳細に説明する。
(繊維)
本実施の形態において、繊維1は、2本の繊維111c−1および111c−2を撚り合わせた2PLYポリマー繊維111cである。例えば、繊維1は、直鎖状低密度ポリエチレンからなる2本の繊維111c−1および111c−2で構成されており、加熱部材2で繊維1の加熱が可能である。繊維1は、これ以外の材料でも使用可能であって、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)、ナイロン(ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12など)、PVDF、ポリエステル、又は、エラストマー(シリコンゴム)でもよい。
繊維111c−1および111c−2は、それぞれ、その長軸の周りに沿って捩られている。繊維111c−1および111c−2は、それぞれ、螺旋の形状を有するように折り畳まれている。言い換えれば、繊維111c−1および111c−2は、それぞれ、円筒状のコイルの形状を有するように折り畳まれている。
本実施形態において、2PLYポリマー繊維、すなわち、繊維1を芯として、その周囲に定電流直流電源5に接続された加熱部材2が配置されている。繊維1としては、1本の繊維111c−1または111c−2でも使用可能であるが、実際は、2本のコイル状の繊維c−1および111c−2をよじって1本の繊維1にしない限り、コイル状の繊維c−1または111c−2のよじれがほどけてしまい、取扱いにくい。そこで、少なくとも、2本のコイル状の繊維c−1および111c−2をよじって1本の繊維1にすると、安定して取扱うことができる。
まず、本実施態様において用いられる繊維111cを製造する方法が、図2A〜図2Cを参照しながら説明される。
図2Aに示されるように、L1の長さ及びdの直径を有する繊維111aが用意される。言うまでもないが、繊維111aは、細長く、かつ、繊維軸111LAを有している。図2Aでは、繊維111aは、まだ捩られていないし、折り畳まれてもいない。繊維軸111LAは、繊維111aの中心軸でもあり、かつx軸方向に平行である。
次に、図2Bに示されるように、繊維111aは捩られて、捩られた繊維111bになる。具体的には、繊維111aの他端は、繊維軸111LAの周りに沿って捩られないように固定されながら、繊維111aの一端が、繊維軸111LAの周りに沿って捩られる。このようにして、捩られた繊維111bが得られる。図2Bでは、繊維111bは捩られているが、まだ折り畳まれていない。繊維111bは、L2の長さを有している。繊維111bは、直径dよりわずかに大きい直径d’を有している。繊維軸111LAは、x軸に平行である。長さL2の値は図2Aの繊維111aの長さL1の値と等しいか、又はL1よりも小さい。
このような捩りが繊維111bの一端を繊維軸111LAの周りに何度も回転させるように続けられる。その結果、図2Cに示されるように、繊維111は回転するように折り畳まれる。具体的には、長さL1より短い長さL3及び直径dより大きい平均直径Dを有するように、繊維111は折り畳まれる。このときにおいても、繊維111の他端は、繊維軸111LAの周りに沿って捩られないように固定されている。このようにして、捩られかつ折り畳まれた繊維111c−1が1本得られる。同様に繊維111c−2をもう1本製造したのち、図2Eに示すように2本の繊維111c−1,111c−2を撚り合わせて2PLYポリマー繊維111cとしている。
図2Bに示される角度αは、繊維バイアス角度を表す。繊維バイアス角度αは、繊維軸111LAに対する繊維111の捩れ角度である。平均直径Dは、円筒形のコイル形状の繊維111c−1の外径D’から繊維の直径dを減算することにより得られる。
図2Cに示されるように、繊維111が折り畳まれた後には、繊維軸111LAはもはやx軸に平行ではない。折り畳まれた繊維111c−1は螺旋の形状を有している。言い換えれば、折り畳まれた繊維111c−1は、円筒状のコイルの形状を有している。言い換えれば、折り畳まれた繊維111c−1は、つるまきバネの形状を有している。図2Cに示されるように、コイルはピッチpを有する。ピッチpは、コイルの1周期に等しい。図2Dも参照のこと。
図2Dに示されるように、当該螺旋の回転方向R1(すなわち、円筒状のコイルの回転方向R1)は、折り畳まれた繊維111c−1の繊維軸111LAに一致する。言うまでもないが、図2Bにおいて繊維111が繊維軸111LAの周りに沿って右回りに捩られた場合、図2Cにおいて繊維111は右回りに回転しながら折り畳まれる。同様に、図2Bにおいて繊維111が繊維軸111LAの周りに沿って左回りに捩られた場合、図2Cにおいて繊維111は左回りに回転しながら折り畳まれる。
折り畳まれた繊維111c−1により形成される円筒状のコイルは、平均直径Dを有している。円筒状のコイルは、長軸110LAを有している。以下、円筒状のコイルの長軸110LAは、コイル軸110LAと呼ばれる。
一例として、直鎖状低密度ポリエチレンは、0.915g/cm以上0.925g/cm以下の密度、及び50kg/mol以上200kg/mol以下の重量平均分子量を有し得る。直鎖状低密度ポリエチレンは、化学構造式−(CH−CH−(nは自然数)により表されるエチレンモノマーユニット及び化学構造式−(CH−CHR)−(mは自然数、Rは炭化水素基)により表されるα−オレフィンモノマーユニットから構成される。
α−オレフィンモノマーユニットのエチレンモノマーユニットに対するモル比は、2.5%以上3.5%以下であり得る。言い換えれば、m/nの値は0.025以上0.035以下であり得る。α−オレフィンモノマーユニットは、4以上8以下の炭素数を有し得る。Rの例は、−CHCH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH)CH、又は、CHCHCHCHCHCHである。
(加熱部材)
加熱部材2の各糸状部材2a,2b,2d,2e,2f,2g,2h,2iとしては、金属、例えばステンレス(SUS316)直径50μmで構成される。
加熱部材2としては、例えば8本の糸状部材2a,2b,2d,2e2f,2g,2h,2iの全てを加熱用の糸状部材として構成してもよいし、又は、8本の糸状部材2a,2b,2d,2e,2f,2g,2h,2iのうちのいずれか8本未満の糸状部材のみ加熱用の糸状部材とし、残りの糸状部材は加熱しない糸状部材としてもよい。加熱用の糸状部材の例としては、ステンレス以外にピアノ線、チタン、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、ベリリウム銅、アルミ、金、銀、白金、スズ、鉛フリーハンダ、ニクロム、又は、パーマロイを挙げられる。又は、加熱部材2の長尺部材としては、糸状部材に限らず、糸状部材よりも幅広な、紐状の金属板でもよい。ここで、紐状の金属板とは、金属箔のスリッター加工等によって得られる、長細く、かつ、薄い金属板のことを意味する。金属箔の材料としては、チタン、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、ベリリウム銅、ステンレス、アルミニウム、金、銀、白金、スズ、鉛フリーハンダ、ニクロム、又は、パーマロイを挙げられる。また、厚みの薄い金属箔で強度に問題が生じる場合は、金属箔の片面にフィルムを張ることで強度を高めることが可能である。
複数の糸状部材2a,2b,2d,2e,2f,2g,2h,2iのそれぞれは、単線で構成されているが、これに限られるものではなく、複数本の繊維が束になって構成してもよい。一例として8本を示したが、複数であれば本数に限定されない。
(絶縁部材)
絶縁部材3の各糸状部材3a,3b,3d,3e,3f,3g,3h,3iとしては、例えばポリエチレン繊維の束(100デニール)で構成される。
絶縁部材3としては、全てを同じ材料で構成しても良いし、異なる材料で構成しても良い。例えば、延伸をした高密度ポリエチレンは、熱の配向性が延伸方向に高い特徴が知られている。このような材料を用いると、加熱部材2で発生した熱を長手方向に早く均熱化する効果がある。また、絶縁部材3としては、冷却時も早く冷却することができる。絶縁部材3の断熱特性、伝熱特性、又は蓄熱特性を用いて熱設計をすることができる。異なる特性の絶縁部材3を配置することで、より詳細な熱設計も可能となる。絶縁部材3の例としては、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、又は高密度ポリエチレン)以外に、ポリウレタン、ナイロン(ナイロン6、ナイロン6,6、又はナイロン12など)、ポリエステル、又はPVDFでもよい。
ここで、絶縁部材3としては、ポリウレタン弾性繊維(スパンテックスと称す。)は、伸縮性に優れている為、加熱部材2を押さえて組目20の頂点(すなわち、組目交差部21−1,21−2,21−3,21−4など)の移動を防止する効果がある。絶縁部材3としては、伸縮性に優れた材料であれば、スパンテックスに限らず、ナイロン又はポリエステルに伸縮性かさ高加工を行ったテクスチャード加工糸でも良い。また、絶縁部材3としては、ゴム弾性材料などでも良い。
(端子)
図1Aに示されるように、本実施形態によるコイル化アクチュエータ4は、さらに、その一端に固定板である第1通電用端子5aを具備し、他端に第2通電用端子5bを具備するようにしてもよい。第1通電用端子5aには、折り畳まれた繊維111cと加熱部材2と絶縁部材3の各一端が固定されている。第2通電用端子5bには、折り畳まれた繊維111cと加熱部材2と絶縁部材3との各他端が固定されている。第2通電用端子5bには、紐状部材8を介して、引張力印加部材の一例としての重り7が連結されて一定の引張力が少なくとも繊維1に印加されている。
なお、絶縁部材3は、図1Eに示すように、第1通電用端子5aと第2通電用端子5bとに固定せずに、ケーシング30に固定するようにしてもよい。
絶縁部材3の糸状部材として熱伝導性が高い材料を使用し、ケーシング30の例としてヒートシンク部材に絶縁部材3を接続させることにより、絶縁部材3の冷却が早くなり、アクチュエータの昇温及び降温による応答性が早くなる。絶縁部材3としての応答性が早くなると、人体の素早い動きに追従するアシストが可能となる。
絶縁部材3として、熱伝導性が高い材料としては、例えば、高密度ポリエチレン又は炭素繊維などが挙げられる。
ヒートシンク部材は、コイル化アクチュエータ4のカバーの一部として配置してもよい。
また、第1通電用端子5aと第2通電用端子5bとは定電流直流電源6に接続可能とし、定電流直流電源6から加熱部材2に通電可能としている。定電流直流電源6により加熱部材2が通電されると発熱して、繊維111cが熱により伸縮可能となる。定電流直流電源6と第1通電用端子5aと第2通電用端子5bとは、常時接続してもよいし、定電流直流電源6と、第1通電用端子5aと第2通電用端子5bとの間で着脱可能に接続されるようにしてもよい。定電流直流電源6には、図示しないスイッチが備えられて、スイッチのオンオフにより通電又は通電停止することができる。
よって、第1通電用端子5aと第2通電用端子5bは、コイル化アクチュエータ4の端部において、2PLYポリマー繊維1と加熱部材2と絶縁部材3とを一束としてまとめるために接続され、第2通電用端子5bには、2PLYポリマー繊維1と加熱部材2と絶縁部材3に引張力を印加する手段の例として重り7が接続されている。重り7により2PLYポリマー繊維1と加熱部材2と絶縁部材3とが引っ張られることで伸びた状態となり、両者は一体化し接触する。
次に、定電流直流電源6により加熱部材2を通電すると、発熱する。発熱している加熱部材と2PLYポリマー繊維1とは接触しているので、2PLYポリマー繊維1は、熱伝導により速やかに昇温され、熱歪によって縮む。引っ張られることで2PLYポリマー繊維1と加熱部材2と絶縁部材3は一体化していたが、2PLYポリマー繊維1が縮むことで、引張力は緩和され、加熱部材2と2PLYポリマー繊維1との接触点は減少する。さらに、加熱部材2への通電を停止すると、加熱部材2及び2PLYポリマー繊維1は冷却し、2PLYポリマー繊維1は元の長さに伸びる。2PLYポリマー繊維1が伸びることで、絶縁部材3と加熱部材2と2PLYポリマー繊維1とは引っ張られ、再び一体となり、接触点が増加する。
このように、コイル化アクチュエータ4が加熱すると、2PLYポリマー繊維1と加熱部材2との接触点が減少し、2PLYポリマー繊維1の過熱による変質を防ぐことができる。
図1A及び図2Eでは、アクチュエータ4の繊維1は、2本の繊維111c−1および111c−2を具備している。アクチュエータ4の別の例としては、1本の繊維111c−1を具備し得る。アクチュエータ4のまた別の例としては、平行に配列された2本以上の繊維111aを一体的に捩って、1本の繊維111bを得てもよい。アクチュエータ4のさらに別の例としては、平行に配列された2本以上の捩られた繊維111bを一体的に捩って、1本の繊維111cを得てもよい。
また、繊維111cの捩れ及び折り畳みが解けることを抑制するために、繊維111cの一端は固定されていることが望ましい。言い換えれば、繊維111cの各端子5a,5bには、保持固定具のような固定部材が具備されていることが望ましい。
(アクチュエータ動作)
繊維111c−1または111c−2は、加熱により、コイル軸110LA方向に沿って縮む。具体的には、繊維111c−1または111c−2が加熱された場合には、コイルバイアス角度αが小さくなる。このため、円筒状のコイルのピッチpが減少する。繊維111c−1および111c−2を撚り合わせた繊維111c、従って繊維1も加熱により縮む。加熱部材2で加熱された後の繊維1の状態を示す図3の(a)は加熱部材2で加熱される前の繊維1の状態を示し、図3の(b)は加熱部材2で加熱中の繊維1の状態を示し、図3の(c)は加熱部材2で加熱された後の繊維1の状態を示す。このようにして、加熱部材2による加熱により、円筒形のコイルの形状を有するように折り畳まれた繊維1は、図3の(c)に示すように、端子5aおよび5bの間の距離が小さくなるように沿って縮む。加熱停止後に繊維1が冷却された場合には、繊維1は、図3の(a)に示すように、端子5aおよび5bの間の距離が大きくなるように沿って伸びる。
繊維111cは、摂氏30度を超えて摂氏100度以下の温度に加熱され得る。繊維111cの温度が摂氏30度以下の場合、繊維111cは十分に加熱されておらず、折り畳まれた繊維111cは縮まないと考えられる。繊維111cの温度が摂氏100度を超える場合、繊維111cが融解し得る。よって、円筒状のコイルは、加熱部材2により摂氏50度以上摂氏90度以下の範囲で加熱されることが望ましい。
加熱された繊維111cは、摂氏30℃以下の温度まで冷却される。繊維111cは、室温下で自然に冷却され得る。あるいは、繊維111cは、ペルチェ素子のような冷却器により冷却され得る。
なお、ここまでは、図3を参照しつつ、1本の繊維111cの動作を説明してきたが、本実施例では、繊維111cは2本の繊維111c−1および111c−2を撚ったものであるが、その動作は1本の場合と同様である。
このような加熱及び冷却が繰り返されて、コイル化アクチュエータ4の伸縮動作を得る。
以下、実施例を参照しながら、本発明をより詳細に説明される。実施形態では加熱部材2及び絶縁部材3はそれぞれ8本の糸状部材で構成されているが、この実施例1では、簡略化して、加熱部材2及び絶縁部材3はそれぞれ2本の糸状部材で構成されている場合について説明する。
コイル化アクチュエータ4の作製方法を説明する。
初めに、高強度の直鎖状低密度ポリエチレン(以後、LLDPEと称す。)繊維を以下の手順で作製した。密度0.918g/ccのLLDPE(ペレット状、シグマ―アルドリッチ社から購入。)を加熱溶融押出機に入れ、220℃に加熱し、30分ほど保持させた後、直径1mmのノズルから押出し、糸状になった繊維をロールに巻き取った。
次に、巻き取ったLLDPEの繊維を、回転数を調整できる2個のローラー間に張り、ローラー間に80℃に熱した加熱板を置き、ローラー間に張られた繊維が加熱板に接触するようにし、一方のローラーから繰り出した繊維を、他方のローラーで巻き取りながら延伸した。ローターの直径は5cmで、繰り出すローラーの回転速度を2rpm、巻き取るローラーの回転速度を20rpmに設定し、10倍に延伸して、繊維111aを得た。
次に、コイル状繊維に加工した。延伸後に得られた繊維111aに荷重を加えながら加撚して繊維111bを得た。加撚により、繊維111aが直線形を保ったまま捩れていき、繊維111aの太さで正規化した繊維長さあたりの撚数が0.23回転程度まで捩れると、繊維は直線形を保てなくなり、コイル状に変形するよじれが生じた。繊維は、撚数が1回転増える毎にコイルが一巻き分捩れて、さらに加撚を続行すると、最終的に繊維111c全体がコイル形状に変形した。
さらに、2PLYポリマー繊維1に加工した。コイル状繊維111c−1および111c−2を用意し、その撚り合わせを行なった。2PLYポリマー繊維1にすることで、捩れが解けることを防止できる。
加熱部材2用としてのステンレス細単線(SUS316 直径50μm)を2本と絶縁部材3用としての高密度ポリエチレン(100デニール)2本とを用いて、コイル化アクチュエータ4を作製した。繊維1用としての2PLYポリマー繊維を芯にして(4つ打ち)を行なった。製紐とは、糸をメッシュ状に組物製作することである。
製紐は、単式で上方巻取り方式(縦型)の丸組機を用いた。一般に、単式とは一重に、複式とは二重に組む機械である。縦型には上方巻取り方式と下方巻取り方式があり、また、横型は水平方向に巻き取る方式である。平組機では、2次元組物を作製し、丸組機は円筒状組物、つまり3次元形状を有する2次元組物を作製する。本実施例1では、4つ打ち製紐を行なったが、4つ打ちとはボビンの数であり、それ以上のボビンの数を用いてもそれより少ないボビンの数を用いて製紐を行なってもよい。一般的に丸組機は、偶数のボビンを用いるが、例えば、4つ打ちの内、2本はステンレス細単線を用いて、1本は絶縁糸、残り1本は空にして全体で奇数本であっても円筒網状に編むことはできる。すなわち、本数に限定されることはない。また、単式を用いたが、複式で二重に組んでも良い。二重に組むことで、より保温性が増す。
図4に作製に用いた4つ打ちの製紐機を示す。丸組機は、一般に4つ打ち、6つ打ち、8つ打ちなど使用するボビンの数でそれぞれ異なるが、工程は同じである。以後、4つ打ちの説明を行うが、8つ打ち、16打ちであっても同様である。芯となる2PLYポリマー繊維のボビン101は、ギアによって、2PLYポリマー繊維1に任意の張力を与えながら一定速度で繰り出した。2PLYポリマー繊維1は滑車102で向きを垂直方向に変え、巻き上げ装置103によって、ステンレスと高密度ポリエチレンとで構成した組物104の芯に配置されつつ引き上げられた。
また、ステンレス(直径30μm)のボビン105aと高密度ポリエチレン(100デニール)のボビン105bとは、スピンドル106にそれぞれ保持した。スピンドル106は、波状軌道107上を走行した。4つ打ちなので、ステンレスのボビン105aが2本と高密度ポリエチレンのボビン105bが2本の全部で4本であった。また、ステンレスのボビン105aと高密度ポリエチレンのボビン105bとは互いに隣り合うスピンドルに保持された。ステンレスのボビン105aと高密度ポリエチレンのボビン105bとからそれぞれ供給されたステンレスと高密度ポリエチレンとは製紐機の上方中央部の組成点108で集まり、そこで組物104が形成された。4つのスピンドル106を順にスピンドル106−1、106−2、106−3、106−4と称すると、106−1と106−3とが時計回りに、スピンドル106−2と106−4とが反時計回りに波状軌道107上を走行する。時計回りに走行するスピンドル106−1にはステンレスボビン105aが保持され、反時計回りに走行するスピンドル106−2には高密度ポリエチレンボビン105bが保持され、軌道交差部109の間においてすれ違うことによって、組物104においてステンレス細単線と高密度ポリエチレン糸との交差部が形成される。スピンドル106−1からのステンレス細単線がスピンドル106−2からの高密度ポリエチレン糸の上を交差した場合、スピンドル106−4からの高密度ポリエチレン糸はスピンドル106−1からのステンレス細単線の上を交差し、スピンドル106−2からの高密度ポリエチレン糸はスピンドル106−3からのステンレス細単線の上を交差し、スピンドル106−3からのステンレス細単線はスピンドル106−4からの高密度ポリエチレン糸の上を交差することになる。
このように、水平面で波状軌道107上を他のスピンドル106と交錯しながら移動する水平方向の運動と、垂直方向に引き上げられる垂直方向の運動との2つの運動により、ステンレス細単線と高密度ポリエチレン糸とが互いに交差して交差部及び4つの組目交差部による組目20をそれぞれ形成することで組まれた。
組物104のステンレス細単線2と高密度ポリエチレン糸3と、その芯の2PLYポリマー繊維1とが同時に垂直方向に引き上げられたことで、コイル化アクチュエータ4が作製できた。
実施例1では4つ打ちで説明したが、さらにも実施例2として、16打ちも作製した。本数が増える以外は、実施例1と同じ構成である。これは、後述する比較例1が4つ打ち、比較例2が8つ打ちであるのに対して、比較検討のため、実施例2を16打ちとしたものである。16打ちとは、加熱部材2の糸状部材が8本で絶縁部材3の糸状部材が8本であり、先の実施形態で説明した構成と同じ構成である。実施例1では4つ打ちとして説明したが、本数が増えても同じ原理で作製できるため、16打ちの作製方法についての説明は省略する。
実施例2にかかるコイル化アクチュエータ4の長さが10mm、20mm、30mm、40mm、50mmのときそれぞれの抵抗値をテスターで測定した。その結果を図5に示す。その傾きから、コイル化アクチュエータ4の抵抗は0.3Ω/mmと分かった。
また次に、コイル化アクチュエータ4の温度が約30℃から約60℃に変化した時の伸縮率を測定した。測定方法について説明をする。
コイル化アクチュエータ4を任意の長さに切り、その両端を圧着端子5a,5bでまとめて固定支持し、通電時の伸縮特性を確認した。測定系を図6に示し、説明する。図6の固定板10に一方の端子5aを留め、反対側の端子5bに滑車12及び紐状部材8を介して50gの重り7をつけて、引張力を印加した。また、この圧着端子5a,5bから定電流直流電源6に接続し、ステンレス細単線2に通電を行なった。また、通電によって伸縮する長さを、レーザー変位計14からのレーザーを反射するための反射板13を重り7に繋がる端子5bに設けることで測定した。また、温度をモニターするために、放射温度計15(Apiste製 FSV−210)でコイル化アクチュエータ4を上方から観察した。
通電により、放射温度計15での表示温度がおよそ60℃に保持されるのを確認して、通電を切り、伸縮率を求めた。図7にその結果を示す。通電が始まると、ステンレス短細線2が発熱し、その熱が2PLYポリマー繊維1に伝導することによって、2PLYポリマー繊維1が熱歪により縮んだことが推定できる。その結果、2PLYポリマー繊維1の伸縮率は5.5%であった。
次に、比較例1について説明する。
[比較例1]
加熱部材2Zが4本で、絶縁部材が無い構成のコイル化アクチュエータ4Zを作製した。作製方法は、実施例1と同じく、単式で上方巻取り方式(縦型)の丸組機を用いた。ただし、4打ちで、4つのスピンドルに保持するボビン全てがステンレス細単線の丸製紐である。その結果、図8に示すコイル化アクチュエータ4Zができた。絶縁部材3がないので、加熱部材2Zは互いに電気的接点2Xを持って組目を形成している。
コイル化アクチュエータ4Zの長さが10mm、20mm、30mm、40mm、50mmのときそれぞれの抵抗値をテスターで測定した。その結果を図9に示す。その傾きから、コイル化アクチュエータ4Zの抵抗は0.2Ω/mmと分かった。
また次に、コイル化アクチュエータ4の温度が約30℃から約60℃に変化した時の伸縮率を測定した。その結果を図10に示す。伸縮率は3.2%であった。
次に、比較例2について説明する。
[比較例2]
加熱部材2Yが8本で、絶縁部材が無い構成のコイル化アクチュエータ4Yを作製した。作製方法は、実施例1と類似して、単式で上方巻取り方式(縦型)の丸組機を用いた。ただし、8打ちで、8つのスピンドルに保持するボビン全てがステンレス細単線の丸製紐である。その結果、図11に示すコイル化アクチュエータ4Yができた。絶縁部材3がないので、加熱部材2Yは互いに電気的接点2Xを持って組目を形成している。
コイル化アクチュエータ4Yの長さが10mm、20mm、30mm、40mm、50mmのときそれぞれの抵抗値をテスターで測定した。その結果を図12に示す。その傾きから、コイル化アクチュエータ4Yの抵抗は0.08Ω/mmと分かった。
また次に、コイル化アクチュエータ4Yの温度が約30℃から約60℃に変化した時の伸縮率を測定した。その結果を図13に示す。伸縮率は4.5%であった。
実施例2は比較例1に比べて加熱部材の糸状部材の数が倍であるにもかかわらず、抵抗値は1.5倍である。これは電気的接点2Xが途中になく、電流が流れる距離が比較例1に比べて増えたことによると考えられる。また、加熱部材の糸状部材の本数が増えたことで繊維1の均熱化し伸縮率が増加したと考えられる。一方、実施例2と加熱部材の糸状部材の本数が同数の8本である比較例2は、抵抗値が半分以下になった。伸縮率は比較例1よりは大きいものの、実施例2よりも小さい。伸縮率が実施例2に比べて低下した原因は、比較例2は電気的接点2Xが加熱部材の糸状部材の途中に複数あるため、電流が流れる距離が短くなり、発熱の偏りが場所により発生したと考えられる。
以上説明したように、本実施形態にかかるコイル化アクチュエータ4によれば、複数の交差部21のそれぞれにおいて、加熱部材2の糸状部材と絶縁部材3の糸状部材とが組み合わさって互いに交差しており、加熱部材2の糸状部材の位置ずれが絶縁部材3の糸状部材で抑制され、加熱部材2の隣接する糸状部材同士が接近するのを抑制することができる。この結果、電熱線を構成する加熱部材2の複数本の糸状部材と繊維1とが一体化された構成で、加熱部材2の複数本の糸状部材を備えながら、加熱部材2の糸状部材同士の電気的接点を減らして電気抵抗の低下を抑えることができる。また、このコイル化アクチュエータ4は、使用時の発火及び感電などの危険性を低減できる。
また、1つの交差部21で、点的に、加熱部材2の糸状部材の位置ずれを抑制するのではなく、組目20として4つの交差部21で、言わば面的に、加熱部材2の糸状部材の位置ずれを抑制することができるので、より一層、位置ずれ抑制効果を発揮することができる。
また、各交差部21では、加熱部材2の糸状部材と絶縁部材3の糸状部材とのいずれか一方が内側に他方が外側に配置され、かつ、絶縁部材3の糸状部材に加熱部材2の糸状部材が押し付けられて保持されている。よって、加熱部材2の糸状部材は絶縁部材3の糸状部材の表面に沿って位置ずれしにくくなっており、加熱部材2の糸状部材同士が接触して電気的接点が形成されるのをより抑制することができる。
なお、上記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
本発明の前記態様にかかるコイル化アクチュエータは、繊維と加熱部材が一体化された構成でありながら、加熱部材の長尺部材同士の電気的接点を減らして複数本の長尺部材を備えながら電気抵抗の低下を抑えることができるアクチュエータとして有用である。また、本発明の前記態様にかかるコイル化アクチュエータは、人工筋肉又は面状のデバイス又はセンサー等の用途にも応用できる。
1 繊維
2 加熱部材
3 絶縁部材
2a,2b 糸状部材
3a,3b 糸状部材
4 コイル化アクチュエータ
5a 第1通電用端子
5b 第2通電用端子
6 定電流直流電源
7 重り
8 紐状部材
12 滑車
13 反射板
14 レーザー変位計
15 放射温度計
20 組目
20−1,20−2,20−3 組目
21 交差部
21−1 第1組目交差部
21−2 第2組目交差部
21−3 第3組目交差部
21−4 第4組目交差部
21−5 第5組目交差部
21−6 第6組目交差部
21−7 第7組目交差部
21−8 第8組目交差部
22a−1 加熱部材の糸状部材2aの組目20−1の加熱辺
22b−1 加熱部材の糸状部材2bの組目20−1の加熱辺
23a−1 絶縁部材の糸状部材3aの組目20−1の絶縁辺
23b−1 絶縁部材の糸状部材3bの組目20−1の絶縁辺
25 組目交差部でない交差部
30 ケーシング
101 2PLYポリマー繊維のボビン
102 滑車
103 巻き上げ装置
104 組物
105 ボビン
106,106−1、106−2、106−3、106−4 スピンドル
107 波状軌道
108 組成点
109 軌道交差部
110 配向角度
110LA コイル軸
111 繊維
111a 捩られておらず、かつ折り畳まれていない繊維
111b 捩られているが、折り畳まれていない繊維
111c−1捩られており、かつ折り畳まれた繊維
11c−2 捩られており、かつ折り畳まれた繊維
111c 2PLYポリマー繊維
111LA 繊維軸
d 繊維の直径
D 円筒形のコイルの平均直径
D’ コイルの外径
L1 繊維111aの長さ
L2 繊維111bの長さ
L3 繊維111cの長さ
p コイルのピッチ
R1 円筒状のコイルの回転方向
α コイルバイアス角度
α 繊維バイアス角度

Claims (4)

  1. コイル化アクチュエータであって、
    熱により伸縮可能な繊維と、
    通電により前記繊維を加熱可能な少なくとも2本以上の長尺部材を有する加熱部材と、
    前記加熱部材の前記長尺部材同士を絶縁する少なくとも2本以上の長尺部材を有する絶縁部材とを備え、
    前記繊維は、その長軸の周りに沿って捩られており、
    前記繊維は、円筒状のコイルの形状を有するように折り畳まれており、
    前記加熱部材の前記長尺部材は、前記繊維の外周を、互いに交差することなく巻かれ、
    前記絶縁部材の前記長尺部材は、前記繊維の外周に巻かれ、
    前記加熱部材および前記絶縁部材は、前記加熱部材の前記長尺部材と前記絶縁部材の前記長尺部材とが組み合わさって互いに交差する交差部を複数有しつつ前記繊維の外周を網状に覆っている、
    コイル化アクチュエータ。
  2. 複数の前記交差部のうち、4つの交差部が組目交差部として大略四辺形の頂点の位置に配置されて、前記大略四辺形の組目を構成し、前記大略四辺形の組目が前記繊維の外周に複数個配置されて網状に前記繊維の外周を覆っており、
    前記大略四辺形のうちの対向する2辺が前記加熱部材で構成され、残りの対向する2辺が前記絶縁部材で構成され、
    前記大略四辺形の組目のうちの隣接する前記組目交差部同士では、一方の前記組目交差部では、前記加熱部材は前記繊維と前記絶縁部材との間に位置し、もう一方の前記組目交差部では、前記絶縁部材は前記繊維と前記加熱部材との間に位置する、請求項1に記載のコイル化アクチュエータ。
  3. 前記加熱部材の伸縮量は、前記絶縁部材の伸縮量よりも小さい材料で構成され、
    前記絶縁部材は、外力により伸縮可能な材料で構成され、
    前記交差部では、前記絶縁部材は、前記加熱部材によって押し付けられて保持されている、請求項1又は2に記載のコイル化アクチュエータ。
  4. 前記加熱部材の前記長尺部材は、金属の糸状部材であり、
    前記絶縁部材の前記長尺部材は、ポリエチレン繊維の束の糸状部材である、
    請求項3に記載のコイル化アクチュエータ。
JP2017090155A 2017-04-28 2017-04-28 コイル化アクチュエータ Pending JP2018186925A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017090155A JP2018186925A (ja) 2017-04-28 2017-04-28 コイル化アクチュエータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017090155A JP2018186925A (ja) 2017-04-28 2017-04-28 コイル化アクチュエータ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018186925A true JP2018186925A (ja) 2018-11-29

Family

ID=64477385

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017090155A Pending JP2018186925A (ja) 2017-04-28 2017-04-28 コイル化アクチュエータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018186925A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6956785B2 (ja) 人工筋肉アクチュエータの改良
JP6837246B2 (ja) アクチュエータ装置
CA2674555C (en) Expandable electric cord and production method thereof
EP1130257B1 (en) Shape memory alloy bundles and actuators
JP6255120B1 (ja) 光ファイバケーブル
CN113174670B (zh) 一种压力传感纤维、纱线、织物、器件及其制备方法
JP5467704B2 (ja) 編組用合糸および電磁波シールド性編組スリーブ
JP6783550B2 (ja) 高屈曲ヒータ線及び面状発熱体
JP2020507692A (ja) 筋繊維の連続製造
US11952683B2 (en) Actuator device, actuator band, and method for manufacturing actuator band
JP2018186925A (ja) コイル化アクチュエータ
WO2019106944A1 (ja) アクチュエータ、アクチュエータ装置、およびマッサージ機器
JP6016562B2 (ja) チューブ状カバー
US10030637B2 (en) Actuator
WO2019230103A1 (ja) アクチュエータ装置、アクチュエータバンド及びアクチュエータバンドの製造方法
US4006289A (en) Electromechanical cable deployable in a no-torque condition, and method
KR102004931B1 (ko) 하이브리드형 소프트 액츄에이터 및 이의 제조방법
CN109243681B (zh) 一种带弹性的编织电线及其加工工艺
JP2012509997A (ja) 多層金属繊維糸
CN101832351B (zh) 多联螺旋弹簧
JP2011132620A (ja) 環状金属コード、無端金属ベルト及び環状金属コードの製造方法
WO2019093520A1 (ja) 網、テザー収容装置及び網の製造方法
JP6708477B2 (ja) 座席用ヒータに用いるヒータ線及び座席用ヒータ
JP2016021312A (ja) 端末加工された伸縮性伝送体
JP7423072B2 (ja) リッツ線ケーブル編組用のケーブル繰り出し装置と、リッツ線ケーブルの編組方法