JP2018186903A - 医療用基材 - Google Patents

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Abstract

【課題】循環器系の再生に好適な医療用基材であって、血栓の出来易い血管、例えば静脈系血管や、動脈のように内腔からの高い圧力に曝され、内腔直径が6〜8mm以下の比較的細い人工血管に好適な医療用基材を提供する。
【解決手段】医療用基材は、シート形状、管形状、又はこれらを組み合わせた形状をしていて、体内に移植して循環器系の再生に使用される医療用基材であって、循環器系の内膜側に配置される内層と、内層より循環器系の外膜側に配置される外層と、を少なくとも備える複層構造をしており、内層よりも循環器系の外膜側に配置される層が、栄養血管が内層に達するように又は内層近傍まで入り込めるように、多孔質形状に形成されているとともに、特定の方法で決定される剛性の指標aについて、管形状の医療用基材の外層の剛性の指標a/移植される血管の剛性の指標aの比が7.5以内である医療用基材である。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療用基材に関し、特に循環器系の比較的細い血管の再生に好適な医療用基材に関する。
血管で最も重要な働きは、抗凝固性である。そして、この抗凝固性とは、血管内で血液が凝固して、血液の流れが損なわれることを防止することである。また、この抗凝固性は、血管の内腔面の一番表層に存在す内膜層が担っており、この内膜層が安定して形成されることによって維持される。
さて、従来からある人工血管は、それが生体内で永久的に残存する素材(いわゆる生体非吸収性素材と呼ばれ、例えば、ポリエステル、ナイロン、絹糸など)からできたもの、ある一定の期間に生体内で分解してしまう素材(生体内分解性素材と呼ばれ、例えば、ポリ乳酸、カプロラクトン、PGAやゼラチン、コラーゲンなど)でできたもの、又は生体非吸収性素材と生体内分解性素材とを組み合わせでできたものであれ、生体内に動脈として移植された場合、その内腔面に内膜層が安定して形成され維持されている状態を保つことができなかった。
そのため、従来の人工血管は、その壁の内腔面に血栓形成や組織の異常増殖、形態の異常などの様々な障害を引き起こし、動脈としての機能が比較的早期に悪化してしまう恐れがあった。特に内腔直径が6〜8mm以下の比較的細い人工血管は、抗凝固性が不十分であり、動脈として移植した場合、6ヶ月以内に血栓形成や組織の異常増殖による血管機能の悪化が起こり易かった(特許文献1及び2、非特許文献1を参照。)。
特開2013−031595号公報 特開2016−158765号公報
"人工血管"、日本人工臓器学会、[online]、[平成29年4月24日検索]、インターネット<URL:http://www.jsao.org/public/7.html>
本発明は、循環器系の再生に好適な医療用基材であって、血栓の出来易い血管、例えば静脈系血管や、動脈のように内腔からの高い圧力に曝され、内腔直径が6〜8mm以下の比較的細い人工血管に好適な医療用基材を提供することを課題とする。
発明者らは、鋭意検討の結果、人工血管に内膜層が形成され安定的に維持されるためには、その人工血管の壁を構成する一部あるいは全部の層が次に述べる特定の強度劣化期間を持つ素材からなる層を持ち(この部分を以下では外層と記載する)、その外層が一定の範囲の剛性(別の言い方をすれば適切な弾性)を有し、その外層を構成する布の繊維間隔が一定の範囲よりも広くなる必要があることを突き止めた。そして、その外層が一定範囲の剛性及び繊維間隔を有する場合、自然の血管の内膜層に類似した内膜層と、さらにその外側(内腔側から見て)に接する中膜の内側部分に類似する構造が人工血管の内腔に形成され、安定した抗凝固性を長期間保持できることを確認した。そして、これらの条件をみたす場合には、人工血管として良好な機能を果たすことを確認した。
なおその外層を構成するある特定の強度劣化期間を持つ素材とは、ステレオコンプレックスポリ乳酸かそれより生体内での強度劣化が遅い生体内吸収性ポリマー、あるいは非吸収ポリマー(すなわち強度劣化期間が無限大のポリマー)を指す。ある特定の強度劣化期間を具体的に述べれば、(ステレオコンプレックスPLAで作成した人工血管を動脈に移植した場合、その強度が劣化するには少なくとも6ヶ月以上から10ヶ月以上が必要であるが、通常のPLLAを同じように用いた場合は6ヶ月未満から強度劣化が認められた我々の実験結果を基準とすれば、)6ヶ月以上から10ヶ月以上の強度劣化期間を指す。
すなわち、本発明の医療用基材は、シート形状、管形状、又はこれらを組み合わせた形状をしていて、体内に移植して循環器系の再生に使用される医療用基材であって、上記の外層が、栄養血管が内層に達するように又は内層近傍まで入り込めるように、多孔質形状に形成されているとともに、以下の方法で決定される剛性の指標aについて、管形状の医療用基材の外層の剛性の指標a/移植される血管の剛性の指標aの比が7.5以内である医療用基材である。
[剛性の指標aの決定方法]
(1)引張試験機の上下のチャックにL字型の治具を挟み、管形状の被測定物を二つのL字型治具の間に通して、被測定物の断面が丸い円形を保っている状態から、一定の引っ張り速度で引っ張り、被測定物の向かい合う内壁が平行にはなるが、力がかかっていない状態にし、これを測定開始時点する、なお、測定開始時点における被測定物の引張方向の長さをD0、これと直行する被測定物の縦軸方向の長さをL0、被測定物の壁の厚さをT0 と定める、
(2)測定開始時点から、同じ引っ張り速度で引っ張りながら、張力Nx、引張方向の長さDx、被測定物の縦軸方向の長さLx、壁の厚さTxを複数回測定する、
(3)式X=(Dx-D0)/D0×100(%)により、伸び率Xを算出する、
(4)式(4a )により被測定物の内壁に掛かる引張方向の応力σxを算出し、式(4b)により、この応力が内半径Rxの被測定物の内圧によって生じていると仮定した場合に相当するチューブ内圧Yxを算出する、
(4a )σx=Nx/(Tx×Lx×2)
(4b)Yx=σx×Tx/Rx=π×Nx/2(Dx×Lx)
(5)得られた伸び率Xとそれに対応する内圧Yが、1次関数Y=aX+b(a,bは定数)に近似するように最小二乗法によって定数a,bを決定する。
なお、前記の医療用基材の剛性の指標a/移植される血管の剛性の指標aの比は、5.5以内であるのが好ましい。また、外層を構成する布は、栄養血管が入り込む孔の径、配置、分布をできるだヶ均一としたい場合には、織物又は編物とすることが好ましい。
本発明の医療用基材の内層は、ポリグリコール酸、乳酸とカプロラクトンの共重合体、L-ポリ乳酸、D-ポリ乳酸、グリコール酸と乳酸の共重合体、ゼラチン、コラーゲン、エラスチンからなる群より選ばれた少なくとも1種の材料によって構成されていてもよい。なお、内層は繊維素材からなる布によって構成されていてもよい。また、内層を構成する布は、不織布、織物又は編物であってもよい。
本発明の医療用基材は、外層が適切な剛性を備えているため、動脈、静脈等の血管、心臓、リンパ管などの循環器系の再生に使用でき、再生に長期間を要するとともに血圧が掛かる動脈(、特にその内膜や中膜を長期間に渡り)を安定して再生・維持できるとともに、血栓が形成されやすい血管、例えば静脈系の血管や内腔直径が6〜8mm以下の細い動脈についても安定して再生・維持できる。
図1は、本発明に係る医療用基材の外観斜視図(a)及び断面図(b)である。 図2は、本発明に係る医療用基材を構成する外層の剛性の指標aの決定方法を説明するための図である。 図3は、本発明に係る別の医療用基材の外観斜視図(a)及び断面図(b)である。 図4は、本発明に係る医療用基材(実施例1)をイヌに移植した結果を示す図面代用写真である。 図5は、本発明に係る医療用基材(実施例2)をイヌに移植した結果を示す図面代用写真である。 図6は、本発明に係る医療用基材(実施例3)をイヌに移植した結果を示す図面代用写真である。 図7は、本発明に係る医療用基材(実施例4)をイヌに移植した結果を示す図面代用写真である。 図8は、本発明に係る医療用基材(実施例5)をイヌに移植した結果を示す図面代用写真である。 図9は、従来からある医療用基材(比較例1)をイヌに移植した結果を示す図面代用写真である。 図10は、医療用基材を移植していないイヌの大動脈壁を観察した結果を示す図面代用写真である。
1.医療用基材
本発明の医療用基材は、シート形状、管形状、又はこれらを組み合わせた形状をしていて、人工血管、血管内ステントや血管内ステントグラフト等のように外科手術などの処置によって、体内に移植して循環器系の再生に使用されるものである。
そこで、本発明の医療用基材を人工血管として使用する場合について、以下に図面に基づいて説明する。なお、本発明の医療用基材の用途は人工血管に限定されない。
図1は、本発明に係る医療用基材1の外観斜視図(a)及び断面図(b)である。この図に示すように、医療用基材1は外層11とその内側に配置された内層12を備えている。ここで、内層12は、外層11と一体化してもよく、多層に重層して設置されていてもよい。なお、このような医療用基材1は、例えば、各層を別々に製造したのち、手や公知の機械により嵌め合わせることによって製造できる。
2.外層
本発明の医療用基材1を構成する外層11は、生体非吸収性素材、生体内分解性素材又はこれらの組合せからなる中空筒状の布であって、後述する剛性の指標aが一定の範囲に収まるものである。また、この外層とは、前記の人工血管の壁を構成する一部あるいは全部の層であって、次に述べるある特定の強度劣化期間を持つ素材からなる層を指す。
なお、その外層を構成するある特定の強度劣化期間を持つ素材とは、ステレオコンプレックスポリ乳酸かそれより生体内での強度劣化が遅い生体内吸収性ポリマー、あるいは非吸収ポリマー(すなわち強度劣化期間が無限大のポリマー)を指す。
ある特定の強度劣化期間を具体的に述べれば、(ステレオコンプレックスPLAで作成した人工血管を動脈に移植した場合、その強度が劣化するには少なくとも6ヶ月以上から10ヶ月以上が必要であるが、通常のPLLAを同じように用いた場合は6ヶ月未満から強度劣化が認められた我々の実験結果を基準とすれば、)6ヶ月以上から10ヶ月以上の強度劣化期間を指す。
(1)生体非吸収性素材、生体内分解性素材
外層には、すべての生体非吸収性素材が使用できる。また、生体内分解性素材としては、ステレオコンプレックスポリ乳酸以外に、ポリブチレンサクシネート、ポリエステルアミド、コポリエステル、改質ポリエステル、ポリエチレンサクシネート系、ポリブチレンサクシネート系、ポリヒドロキシブチレート系、ポリビニルアルコールやこれらを含むコポリマー、バクテリアセルロースなどが使用できる。なおポリウレタンは、医学的には生体内での強度劣化は生じないとされているが、実際には1年以上の観察では加水分解による強度劣化が認められるので、ここで述べたステレオコンプレックスPLAより生体内での強度劣化が遅い生体内吸収性ポリマーに含まれる。
なお、生体内分解性素材又はそれを含む素材を外層11に使用する場合、医療用基材1を移植したのち、血管内膜細胞が置き換わるまでの一定期間(6ヶ月〜10ヶ月以上)、前記剛性の指標aが一定の範囲に収まっている必要がある。そのため、生体内分解性素材を使用する場合には、血管の壁に使用されても強度劣化の時間が6ヶ月〜10ヶ月以上と長いもの、例えばステレオコンプレックス乳酸の使用が好ましい。
(2)布
本明細書において布とは、多数の繊維を薄く広い板状に加工したもののことであり、布は織物、編物、不織布の何れかに分ヶられる。外層11を構成する繊維は、単独の繊維を使用してもよく、複数の繊維をブレンドして使用してもよい。また、布を構成する繊維としては、モノフィラメント、撚糸、ロービング糸でもよいが、撚糸が好ましい。
外層11を構成する布は、特に限定することなく、生体非吸収性素材、生体内分解性素材等から公知の方法により製造できる。具体的には、公知の織機、編機によって織布や編物(網状のものも含む。以下、特別に記載しなければ同じ。)として製造してもよく、エレクトロスピニング法やメルトブロー法等の公知の方法によって不織布として製造してもよい。
(3)剛性の指標a
剛性の指標aとは、外層11や血管などの剛性を表す指標であって、後述する方法で測定した値である。なお、人工血管の外層部分の剛性の指標aは、1.0〜30 mmHgであり、1.2〜12 mmHgが好ましい。また、人工血管の外層部分の剛性の指標aと移植対象となる血管の剛性の指標aとの比は、7.5以内であり、5.5以内が好ましい。
(4)剛性の指標aの決定方法
図2は、剛性の指標aの決定方法を説明するための図である。この図を参考に、以下の1)〜5)の手順で人工血管、血管の剛性の指標aを決定する。
1)引張試験機の上下のチャックにL字型の治具を挟む。人工血管の外層又は血管を
縦軸方向の一定の充分に長い長さ(例えば100mm)に切って被測定物とする。被測定物を、二つのL字型治具の間に通す。被測定物の断面が丸い円形を保っている状態から、一定の引っ張り速度(例えば、10mm/分などの充分にゆっくりした速度)で引っ張り、図2(a)に示すように、向かい合う内壁は平行であるものの、力が事実上かかっていない状態にし、これを測定開始時点とした。なお、この状態での被測定物の縦軸方向の長さをL0(mm)、引張方向の長さをD0 (mm)、被測定物の壁の厚さをT0 (mm)と定める。
2)測定開始時点から、同じ引っ張り速度で引っ張りながら、図2(b)に示すように、張力Nx(N)、被測定物の引張方向の長さDx(mm)、これと直行する被測定物の縦軸方向の長さLx(mm)、被測定物の壁の厚さTx(mm)を複数回測定する。
3)式X=(Dx-D0)/D0×100(%)により、伸び率xを算出する。
4)式(4a )により被測定物の内壁に掛かる引張方向の応力σxを算出し、式(4b)により、この応力が内半径Rxの被測定物の内圧によって生じていると仮定した場合に相当するチューブ内圧Yx(mmHg)を算出する。
(4a )σx=Nx/(Tx×Lx×2)
(4b)Yx=σx×Tx/Rx=π×Nx/2(Dx×Lx)
5)得られた伸び率Xとそれに対応する内圧Yが、1次関数Y=aX+b(a,bは定数)に近似するように最小二乗法によって定数a,bを決定する。なお、得られた定数aの単位は、水銀柱ミリメートル(mmHg)である。
(5)繊維長、繊維径、繊維間隔など
外層11を構成する布が、織布、編布、不織布など繊維素材からなる布である場合、それを構成する繊維の繊維長、繊維径、繊維径と長さの比率は、強度条件を満たせば、特に限定する必要はない。ただ、強度条件を考慮すると、繊維径は、中央値で示すと0.1〜50μmが好ましく、0.5〜30μmがより好ましい。また血管ステントとして使用する場合には、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。
布断面に認める繊維断端の任意の一本から隣り合う繊維の断端までの距離(以下、繊維間隔と省略する。)は、布の構造と血管の太ささによって異なる。具体的には、布の構造から言えば、不織布の場合、中央値で示すと5μm〜1000μmが好ましく、15μm〜500μmがより好ましい。5μmよりも小さいと、細胞や特に栄養血管の浸入・定着し難くなり、布が血管を含む自己組織化して血管壁構造を安定的に再生・維持することが困難であるからである。また、1000μmよりも大きいと、血圧等の内圧によって血液等が医療用基材1から漏れ出る可能性があるからである。同じ理由から、織布や編布の場合、繊維間隔は15μm〜2000μmが好ましく、30μm〜1500μmがより好ましい。血管の太さから言えば、20μmから血管の外周長の1/4の長さの間の範囲であり、100μmから血管外周長の1/6の長さの間が好ましく、250μmから血管外周長の長さの1/8の間がより好ましい。
なお、外層を内層の周りに複数回重層する場合、医療用基材が後述する中間層を備えている場合には、外層を構成する繊維の繊維間隔が1mm〜4mmであってもよい。
布を構成する繊維の繊維長、繊維径、繊維径と長さの比率、繊維間隔は、単一であってもよいが、バラツキがある方が好ましい。これは、(a)生体内で細胞外構造を構成する繊維に倣うことによって、細胞増殖や組織再生に有利であり、(b)バラツキに応じて劣化速度が異なれば、再生組織の強度変化が徐々変化するので、再生組織の形状異常(異常拡張、破裂、狭窄、閉塞)や構成成分異常(瘢痕化、石灰化など)の危険が少なくなるため、である。
(6)繊維径、繊維間隔の測定方法
(5)に示した布を構成する繊維の繊維径、繊維間隔は次のようにして測定した値の中央値である。なお、中央値とは、代表値の一つで、有限個のデータを大きさの順に並べたとき中央に位置する値である。また、データが偶数個の場合は、中央に近い2つの値の算術平均値である。
1)編布、織布の場合
(a)繊維径
編布、織布の繊維径は、以下のようにして求める。まず、布を切断し、その切断面を光学顕微鏡(20倍〜100倍)で撮影する。つぎに、撮影した画像をコンピュータ画像システムに取り込み、距離測定ソフト(理論上は0.01μmまで測定可能)を使用して繊維径を測定する。
なお、織布及び編布は、複数本のモノフィラメントファイバーを束ねて1本の織糸又は編糸としている。そこで、無作為に選ばれた断面が真円形のモノフィラメント50個の繊維径を測定し、その中央値を布の繊維径とする。
(b)繊維間隔
編布、織布の繊維間隔は、次の方法で求める。まず、布の表面を実体顕微鏡(倍率10倍以下、表側と裏側の両側から光源照射)で撮影する。撮影した画像をコンピュータ画像システムに取り込み、取り込んだ画像を、距離測定ソフト(理論上は0.01μmまで測定可能)を使用して繊維間隔を測定する。
なお、織布及び編布は、複数本のモノフィラメントファイバーを束ねて1本の織糸又は編糸としている。そこで、繊維間隔は、隣接する織糸(又は編糸)と織糸(又は編糸)の縁と縁の間で形作られる織目(編目)の大きさに基づいて定める。この織目(編目)は、略三角形状、四角形状、又は疑似円形状があるので、それぞれの場合の繊維間隔の求め方を以下に説明する。なお、織目(編目)の形や大きさが複数ある複雑な場合は、それぞれ記載について記載する。
織目(編目)が略三角形状の場合は、これを三角形とみなし、三角形の3つの高さの平均値をこの三角形の繊維間隔とする。そして、無作為に選んだ三角形30個の繊維間隔の中央値を布の繊維間隔とする。
織目(編目)が略四角形状の場合は、対向する一対の二辺間の距離の最大値と最小値の平均値、及び対向する別の一対の二辺間の距離の最大値と最小値の平均値を求める。そして、これらの4つの数値の加重平均をこの四角形の繊維間隔とする。そして、無作為に選んだ四角形30個の繊維間隔の中央値を布の繊維間隔とする。
織目(編目)が疑似円形状の場合は、これを円とみなし、円の直径をこの円の繊維間隔とする。そして、無作為に選んだ疑似円形30個の繊維間隔の中央値を布の繊維間隔とする。
2) 不織布の場合
(a)繊維径
不織布の繊維径は、以下のようにして求める。まず、被測定不織布を液体窒素で凍結・硬化したのち、切断する。つぎに、不織布の切断面を走査型電子顕微鏡で撮影する。そして、不織布の切断面に露出した多くの繊維断面の中から無作為に50本を選定し、繊維断端直径を測定する。測定した繊維径の中央値を不織布の繊維径とする。
(b)繊維間隔
不織布の繊維間隔は、次のようにして求める。まず、被測定不織布を液体窒素で凍結・硬化したのち、切断する。つぎに、不織布の切断面を走査型電子顕微鏡で撮影する。そして、不織布の切断面に露出した多くの繊維断面の中から無作為に一つの繊維を選定し、選定した繊維から距離が近い順番に他の繊維を30個選び、選定した繊維との繊維間隔を測定し、測定した繊維間隔の中央値を計算する。同様にして一つの不織布について3つの中央値を求め、求めた3つの中央値の中央値をその不織布の繊維間隔とする。
3.内層
本発明の医療用基材1を構成する内層12は、易生体親和性布によって構成されており、医療用基材1の外形形状を維持するのではなく、内皮細胞などの生着を促進して大動脈などの循環器系の自己再生を促進し、最終的には血管内皮細胞等に置換される。なお、易生体親和性とは、外層11の材料と比べて親和性に富んでいるという意味である。そのため、内層12は、生体吸収が速く、例えば、1ヶ月から12ヶ月程度で生体に吸収されることが好ましい。
(1)易生体親和性布
内層12を構成する易生体親和性布の材料には、生体親和性に富むものであれば、特に限定することなく使用でき、例えば、ポリグリコール酸、乳酸とカプロラクトンの共重合体、L-ポリ乳酸、D-ポリ乳酸、グリコール酸と乳酸の共重合体、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン等の公知の生体吸収性ポリマーが挙げられる。
なお、生体吸収性ポリマーを構成するモノマーの重量比は、易生体親和性を満たすのであれば、特に限定されない。また、易生体親和性を満たすのであれば、1種類の生体吸収性ポリマーを単独で使用してもよく、2種以上の生体吸収性ポリマーを混合して使用してもよい。
内層12を構成する易生体親和性布は、易生体親和性を満たすのであれば、特に限定することなく、公知の方法により製造できる。具体的には、公知の織機、編機によって織布や編物として製造してもよく、エレクトロスピニング法やメルトブロー法等の公知の方法によって不織布として製造してもよい。
内層12を構成する布が、織布、編布、不織布など繊維素材からなるものである場合、それを構成する繊維の繊維長、繊維径、及び繊維径と長さの比率は、易生体親和性を満たせば、特に限定する必要はない。ただ、繊維径は、その中央値で示すと、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。その理由は、余り太い繊維径では、血液の乱流などを引き起こし易く、血栓形成による血管内腔の閉鎖の危険が高くなるためである。
内層22を構成する易生体親和性布の繊維の繊維間隔は、その中央値で示すと、100μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましい。また、内層22が多孔体の場合、繊維間隔(孔直径)は、その中央値で示すと200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。繊維間隔(孔直径)が大きいと、血管再生に使用した場合、血管が血栓形成によって閉塞するリスクが高くなり、血管壁からの血液等の液体が漏出するのを防げなくなる。
易生体親和性布を構成する繊維の繊維長、繊維径、繊維径と長さの比率、繊維間隔は、単一であってもよいが、バラツキがある方が好ましい。その理由は、外層11と同じである。また、易生体親和性布を構成する繊維の繊維径、繊維間隔の測定方法は、外層11と同じである。
4.中間層
本発明の医療用基材は、内層と外層との間に中間層を設けてもよい。図3は、本発明に係る別の医療用基材2の外観斜視図(a)及び断面図(b)である。この図に示すように、医療用基材2は外層21と、内層22と、外層と内層の間に配置される中間層23とを備えている。
なお、このような医療用基材2は、例えば、各層を別々に製造したのち、手や公知の機械で嵌め合わせることによって製造できる。また、外層21及び内層22は、それぞれ医療用基材1の外層11及び内層12と同じ構成であるので、記載を省略する。
中間層23は、生分解性の布によって構成されており、外層21とともに医療用基材2の外形形状を維持しつつ、栄養血管や中膜の再生を助け、最終的には生体吸収される(以下、吸収条件と省略する。)。
中間層23を構成する布の材料には、吸収条件を満たすのであれば、特に限定することなく、公知のものが使用できる。具体的には、ポリグリコール酸、乳酸とカプロラクトンの共重合体、L-ポリ乳酸、D-ポリ乳酸、グリコール酸と乳酸の共重合体、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン等の公知の生体吸収性ポリマーが挙げられる。
なお、生体吸収性ポリマーを構成するモノマーの重量比は、吸収条件を満たすのであれば、特に限定されない。また、吸収条件を満たすのであれば、1種類の生体吸収性ポリマーを単独で使用してもよく、2種以上の生体吸収性ポリマーを混合して使用してもよい。
中間層23を構成する布は、吸収条件を満たすのであれば、特に限定することなく、公知の方法により製造できる。具体的には、公知の織機、編機によって織布や編物として製造してもよく、エレクトロスピニング法やメルトブロー法等の公知の方法によって不織布として製造してもよい。
中間層23を構成する布が、織布、編布、不織布など繊維素材からなるものである場合、それを構成する繊維の繊維長、繊維径、及び繊維径と長さの比率は、吸収条件を満たせば、特に限定する必要はない。ただ、中間層23を構成する布を構成する繊維の繊維径は、その中央値で示すと50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
中間層23を構成する布の繊維間隔は、不織布の場合には、その中央値で示すと3〜300μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。織布や編布の場合には、中央値で示すと15μm〜1000μmが好ましく、30μm〜300μmがより好ましい。
中間層23を構成する布の繊維の繊維長、繊維径、繊維径と長さの比率、繊維間隔は、単一であってもよいが、バラツキがある方が好ましい。その理由は、先述の外層11と同じである。また、布を構成する繊維の繊維径、繊維間隔の測定方法は、外層11と同じである。
なお、本発明の医療用基材は、図1及び図3に示す管形状のほか、例えば、シート状のものであってもよい。シート状の医療用基材は、例えば、患部に巻きつけて、その再生に使用する。この医療用基材の場合、最も患部の内側に配置された内層(最内層)は、内皮細胞等が生着することによって、患部の再生を促進する。一方、最内層の外側の層、すなわち循環器系の外膜側に配置される層は、患部が再生するまで医療用基材の強度を維持するとともに、栄養血管を最内層に達する又は最内層近傍まで入り込むように多孔質形状に形成されているため、栄養血管の成長と生着した内皮細胞等の生育を助け、患部の再生を促進する。
また、本発明の医療用基材は、図1及び図3に示す外層、内層及び中間層を備えたもののほか、必要に応じて他の層を備えていてもよい。例えば、医療用基材を大動脈に吻合した際に、吻合部を保護するための保護層を設けてもよい。また、内層の周りに外層を複数回重ね合せてもよい。
さらに、外層、内層、中間層は布以外の薄い多孔体であってもよく、多孔体である場合には、特に限定することなく、公知の方法により製造できる。
加えて、布を縫製して筒状するのではなく、エレクトロスピニング等の製造方法や横編機等により、予め筒状に製造してもよい。
本発明について、実施例等に基づいて、以下より詳細に説明する。なお、本発明は、如何なる意味においても、以下の実施例等により限定されるものではない。
1.性能比較
医療用基材を構成する材料の違いがその性能に与える影響を、人工血管を作製して実験動物の動脈に移植することによって、調べた。具体的には以下のように実験した。
(1)実験動物とその馴化
清水実験動物社から購入した体重が7〜10kg以下の妊娠していない1歳前後のメスのビーグル犬を実験動物(以下、イヌと省略する。)として使用した。実験期間中、イヌは個別に飼育し、実験前1週間以上は標準条件で飼育し、標準イヌ飼料と水を自由に摂取させた。
(2)人工血管の作製
外層の剛性の指標aが異なる人工血管、実施例1〜実施例5、比較例1〜2を作製した。以下に、作製した人工血管の詳細を説明する。
1)実施例1
外層と中間層となる布を重ね合わせ、重ね合わせた布と内層となる布をそれぞれ筒状に丸めて、その壁を6-0ポリプロピレン単糸縫合糸で縫い合わせてチューブを作製した。これらのチューブを手で嵌め合わせて、人工血管(長さ24mm、内径5mm〜6mm)を作製した。最後に、人工血管の断端を熱溶融で処理し、さらにポリ乳酸/カプロラクトンの共重合体液の塗布により人工血管を補強した。人工血管は、使用する前にエチレンオキサイドガスで滅菌した。
外層:
市販のパンスト布地でありノンラン編み
モノフィラメントのナイロン糸をエラストマー糸に絡ませた支持糸
繊維間隔:約300〜700μm(網目が不整形のため)
布の巻数:2重にしたものを3回(6回)
剛性の指標a:3.3mmHg
中間層:
PLLA/CL(75%/25%)共重合体繊維のエレクトロスピニング不織布
繊維間隔:32μm(繊維間隔を拡張するスペーサーを使用)
厚さ:200(140〜260、部分により差がある。)μm
布の巻数:3回
内層:
ポリ乳酸のエレクトロスピニング不織布
繊維間隔(平均):30μm、
繊維径(平均):3.9μm
厚さ:200μm
2)実施例2
実施例1と同様にして、人工血管(長さ30mm、内径6mm)を作製した。
外層:
ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維の編布
ステレオコンプレックスポリ乳酸の分子量:約20万
ステレオコンプレックスポリ乳酸の結晶融点:200〜230℃
モノフィラメント直径:16〜20μm、
モノフィラメント数/撚糸:78本
仮撚り加工糸を使用
撚糸の間隔:編み目が不整形のため幅があるが、平均400〜1000μm
布の巻数:3回
剛性の指標a:12mmHg
中間層:
PLA/CL(75%/25%)共重合体繊維のエレクトロスピニング不織布
繊維間隔:32μm(スペーサーを使用)
厚さ:200(140〜260、部分により差がある。)μm
布の巻数:3回
内層:
PLA/CL(50%/50%)共重合体繊維のエレクトロスピニング不織布
エレクトロスピニング不織布
繊維間隔:11μm
繊維径:0.8μm
厚さ:約200μm
3)実施例3
実施例1と同様にして、人工血管(長さ30mm、内径6mm)を作製した。
外層:
ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維の編布(プレーン編み)
ステレオコンプレックスポリ乳酸の分子量:約20万
ステレオコンプレックスポリ乳酸の結晶融点:200〜230℃
モノフィラメント直径:16〜20μm
モノフィラメント数/撚糸:42本、
撚糸の間隔:約100〜200μm
布の巻数:3回
剛性の指標a:8.5mmHg
中間層:
PLA/CL(75%/25%)共重合体繊維のエレクトロスピニング不織布
繊維間隔:32μm(スペーサーを使用)
厚さ:200(140〜260、部分により差がある。)μm
布の巻数:3回
内層:
PLA/CL(50%/50%)共重合体繊維のエレクトロスピニング不織布
繊維間隔:6.5μm
繊維径:0.8μm
厚さ:約200μm
4)実施例4
実施例1と同様にして、人工血管(長さ30mm、内径6mm)を作製した。
外層:
ステレオコンプレックスポリ乳酸繊維の編布(プレーン編)
ステレオコンプレックスポリ乳酸の分子量:約20万
ステレオコンプレックスポリ乳酸の分子量:結晶融点=200〜230℃
モノフィラメント直径:16〜20μm
モノフィラメント数/撚糸:42本、
撚糸の間隔:700〜1300μm
布の巻数:2回
剛性の指標a:1.2mmHg
中間層:
PLA/CL(75%/25%)共重合体繊維のエレクトロスピニング不織布
繊維間隔:32μm(スペーサーを使用)
厚さ:200(140〜260、部分により差がある。)μm
布の巻数:2回
内層:
PLA/CL(50%/50%)共重合体繊維のエレクトロスピニング不織布
繊維間隔:6.5μm
繊維径:0.8μm
厚さ:約200μm
5)実施例5
市販のチューブ状の人工血管をそのままの形状で柔らかく加工したものを内層に被せて人工血管(長さ34mm、内径7mm)を作製した。最後に、人工血管の断端を、熱溶融で処理しさらにポリ乳酸/カプロラクトンの共重合体液の塗布により人工血管を補強した。人工血管は、使用する前にエチレンオキサイドガスで滅菌した。
外層:
市販の人工血管(ポリエステル布、テルモ社製)になめしを加えて柔らかく加工した布
繊維間隔:10.6μm
布の巻数:1回
剛性の指標a:27mmHg
中間層:
なし。
内層:
PLA/CL(75%/25%)共重合体繊維のエレクトロスピニング不織布
繊維間隔:32μm
繊維径:4.8μm
厚さ:300〜350μm
6)比較例1
人工血管(長さ20mm、内径6mm)を作製した。下記の市販の人工血管(ポリエステル製、内径7mm)を外層として使用し、それを内層(内径6mm)に被せて使用した。最後に、人工血管の断端を、熱溶融で処理しさらにポリ乳酸/カプロラクトンの共重合体液の塗布により人工血管を補強した。人工血管は、使用する前にエチレンオキサイドガスで滅菌した。
外層:
市販の人工血管(ポリエステル製、テルモ社製、内径7mm)をそのまま硬い状態で外層として使用した。
繊維間隔:7.0μm以下
剛性の指標a:53mmHg
中間層:
なし。
内層:
PLAのエレクトロスピニング不織布
繊維間隔:30μm
繊維径:3.9μm
厚さ:440μm(スペーサーを使用)
7)比較例2
人工血管(長さ25mm、内径6mm)を作製した。下記の市販の人工血管(ポリテトラフルオロエチレン製、内径7mm)をそのまま硬い状態で外側層とし、それを内層(内径6mm)に被せて使用した。最後に、人工血管の断端を、熱溶融で処理しさらにポリ乳酸/カプロラクトンの共重合体液の塗布により人工血管を補強した。人工血管は、使用する前にエチレンオキサイドガスで滅菌した。
外層:
市販の人工血管(ポリテトラフルオロエチレン製、外壁補強あり、日本ゴア社製)をそのまま硬い状態で使用
壁の隙間の間隔:最大30μm以下
剛性の指標a:147mmHg
中間層:
なし。
内層:
PLAエレクトロスピニング不織布
繊維間隔:30μm:
繊維径:3.9μm
厚さ:200μm(スペーサーを使用)
(3)実験方法
以下のすべての外科的処置は、単一の外科チームにより無菌的条件で実施した。イヌを34mg/kgのペントバルビタール静脈内麻酔により基礎麻酔して、イヌの気管内に呼吸用チューブを挿管し、40%酸素とセボフルラン又はイソフルランの吸入麻酔で全身麻酔した。全身麻酔下で、イヌを仰臥位に固定し、腹部体毛を剃毛した。5%クロルヘキシジンを含む80%エタノール液で皮膚を清浄化し、10%ポビドンヨード液で消毒した。
腹部正中に15cmの開腹創を置いて、後腹膜を切開した。腎動脈分岐部より末梢側の腹部大動脈を総腸骨動脈分岐部まで露出した。この剥離の間、腰動脈は結紮切離した。動脈周囲の結合組織を除いた。低分子へパリン1000単位/kg体重を静脈内注射した後に、大動脈を2つの鉗子で把持した。この2つの鉗子の間で大動脈を10mmの長さにわたって切除した。大動脈の2つの断端をヘパリン生食で洗浄し、長さ25mm、内直径5〜7mmの人工血管を大動脈の2つの断端の間に間置し、大動脈とチューブを端々に吻合した。すなわち、チューブ断端と大動脈壁断端を6-0ポリプロピレン単糸縫合糸の12針縫合で縫い合わせた。腹膜切開縁を縫い合わせて、開腹創を2層縫合で閉鎖した。術後は、1日当たり2000単位の低分子へパリンと100mgアスピリン又は1mgワーファリンの抗凝固療法を行った。
手術後10ヶ月から18ヶ月後に、イヌを100mg/kgのペントバルビタール静脈内注射により安楽死させた。再開腹して、人工血管を移植した部分の大動脈とその周辺部の組織を含めて一塊となる状態で外科的に切除し、肉眼的、顕微鏡的に検査する切除標本とした。
この切除標本を肉眼的評価したのち、10%中性ホルマリン液中で固定して、標準的手法により厚さ4μmの顕微鏡的薄切標本とし、ヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)を施して光学顕微鏡で観察した。なお、比較のため、人工血管を移植していない(自然の)イヌの大動脈壁についても同様に光学顕微鏡で観察した。
(4)実験結果
イヌから採取した実施例1〜実施例4及び比較例の人工血管を移植した部分を、肉眼観察した結果、及び切除標本を顕微鏡で観察した結果を以下に略記する。合わせて、顕微鏡で観察した結果を図4〜図10に示す。
1)実施例1の結果
12ヶ月後にイヌを安楽死させて、人工血管を移植した部分の動脈を採取し、観察した。肉眼観察で、血栓形成、動脈瘤や狭窄などの異常所見は認められなかった。また、顕微鏡観察(図4)では、6ヶ月で既に内膜と中膜の内側部分の形成は安定で良好であるとともに、図10に示す自然の大動脈の構造と非常に類似していた。このように、実施例1の全体評価は良好だった。
2)実施例2の結果
10ヶ月後にイヌを安楽死させて、人工血管を移植した部分の動脈を採取し、観察した。肉眼観察で、血栓、動脈瘤や狭窄などの異常所見は認められなかった。また、顕微鏡観察(図5)では、内膜と中膜の内側部分の形成は安定で良好だった。このように、実施例2の全体評価は良好だった。
3)実施例3の結果
17ヶ月後にイヌを安楽死させて、人工血管を移植した部分の動脈を採取し、観察した。肉眼観察で、血栓、動脈瘤や狭窄などの異常所見は認められなかった。また、顕微鏡観察(図6)では、内膜と中膜の内側部分の形成は安定で良好だった。このように、実施例3の全体評価は良好だった。
4)実施例4の結果
10ヶ月後にイヌを安楽死させて、動脈足場を移植した部分の動脈を採取し、観察した。肉眼観察で、血栓、動脈瘤や狭窄などの異常所見は認められなかった。また、顕微鏡観察(図7)では、内膜と中膜の内側部分の形成は安定で良好だった。このように、実施例4の全体評価は良好だった。
5)実施例5の結果
10ヶ月後にイヌを安楽死させて、動脈足場を移植した部分の動脈を採取し、観察した。肉眼観察で、血栓、動脈瘤や狭窄などの異常所見は認められなかった。また、顕微鏡観察(図8)では、内膜と中膜の内側部分の形成は安定で良好だった。このように、実施例5の全体評価は良好だった。
6)比較例1の結果
10ヶ月後にイヌを安楽死させて、人工血管を移植した部分の動脈を採取し、観察した。肉眼観察で、内腔は器質化した血栓で完全に閉塞が認められた。また、顕微鏡観察(図9)では、内腔の器質化した血栓に接してポリエステル繊維とPLLA繊維が認められた。このように、比較例1の全体評価は不良だった。
7)比較例2の結果
10ヶ月後にイヌを安楽死させて、人工血管を移植した部分の動脈を採取し、観察した。
肉眼観察と実態顕微鏡観察の結果、内腔面の内膜と中膜の形成が不安定であり、内腔の一部では人工血管の露出も認められた。このように、比較例2の全体評価は不良だった。
まとめると、実施例の人工血管を移植後したのち、その移植部分を肉眼観察すると、再生大動脈として機能していることが確認できた。すなわち、移植部分は大動脈血が流れ、血栓のない内腔を持っていることが確認できた。これに対して、比較例の人工血管を移植した場合には、移植部分に血栓による閉塞などが確認できた。
また、実施例の人工血管を移植された大動脈を顕微鏡観察すると、内膜層と中膜の内側部分が再生されており、その構造は自然の大動脈の構造と非常に類似していた。また、人工血管の一部が残存していても、これら内膜層や中膜層の一部の再生は良好であり、血栓形成、組織の異常増殖や狭窄・閉塞は認められなかった。これに対して、比較例の人工血管を移植した場合には、移植部分の内膜と中膜の形成は不安定であり、移植部分の内腔の一部では人工血管の露出も認められた。
さらに、実施例と比較例について、剛性の指標aとその性能を表1に要約した。表1に示すように、実施例1〜4の剛性の指標aは1.2〜12であり、移植される大動脈の剛性の指標aの1/5から5.5倍倍の間に分布していた。また、実施例5の剛性の指標aは27であり移植される大動脈の剛性の指標aの4.5〜24倍であった。一方、比較例1及び2の剛性の指標aは53、147であり、移植される大動脈の剛性の指標aの8.8倍〜67倍であった。
このように、人工血管の剛性の指標aとそれが移植される部分(ここでは大動脈)の剛性の指標aの比が、平均で7.5倍(実施例5)以内であればよく、0.2〜5.5倍(実施例1〜4は全てこの範囲内に収まっている)がより好ましいことが分かった。反対に、前記比が8.8倍以上(比較例1と2)であるのは好ましくないことが分かった。
加えて、人工血管の外層を構成する布の繊維間隔の大きさが、移植結果に与える影響についても考察した。表1に示すように、繊維間隔が充分に大きい実施例1(平均300〜700μm)、実施例2(平均400〜1000μm)、実施例3(約100〜200μm)、実施例4(700〜1300μm)は評価が良好であった。
一方、繊維間隔が最大値でも10.6μmに過ぎない実施例5の評価結果はやや良好であり、繊維間隔最大値でも7.0μmに過ぎない比較例1の評価結果は不良であった。このように繊維間隔が大きいことも、評価結果が良好になることと関係していることが分かった。
なお、実施例1〜実施例5のほか、表2に記載の外層の布、表3に記載の中間層の布、表4に記載の内層の布を組み合わせて様々な構成の人工血管を作製して、イヌに移植し、6ヶ月以上(最長は20ヶ月後)に渡って超音波診断装置により経時変化を観察した。そして、その観察結果を表5にまとめて示した。
表5に示すように、実施例の人工血管(合計38個)は、観察期間である6〜20ヶ月の間に、動脈硬化、狭窄・閉塞、破裂、動脈瘤化などの異常な経過の動脈再生は4個しか認められなかった。反対に、比較例の人工血管(合計18個)は、15個に観察期間内に異常が認められた(このうち、4匹は2ヶ月以内に異常が認められた。)。
このように、本発明の人工血管を移植することによって、大動脈を高い確率で再生することができた。これに対して、同じような構成ではあっても、剛性の指標aが一定の範囲から外れた外層を有する人工血管(比較例)は、大動脈を適切に再生できなかった。すなわち、外層の剛性の指標aが、大動脈の再生と関係していることが分かった。
本発明の医療用基材は循環器系の再生に好適な医療用基材であって、中でも動脈のように内腔からの高い圧力に曝されている場合は血栓を形成しやすい内腔直径が6〜8mm以下の比較的細い人工血管や、太くても血栓を形成しやすい静脈系や門脈系、さらに人工透析シャント用の血管に適している。
1、2 医療用基材
11、21 外層
12、22 内層
23 中間層

Claims (5)

  1. シート形状、管形状、又はこれらを組み合わせた形状をしていて、体内に移植して循環器系の再生に使用される医療用基材であって、循環器系の内膜側に配置される内層と、内層より循環器系の外膜側に配置される外層と、を少なくとも備える複層構造をしており、
    内層よりも循環器系の外膜側に配置される層が、栄養血管が内層に達するように又は内層近傍まで入り込めるように、多孔質形状に形成されているとともに、
    以下の方法で決定される剛性の指標aについて、管形状の医療用基材の外層の剛性の指標a/移植される血管の剛性の指標aの比が7.5以内である医療用基材、
    [剛性の指標aの決定方法]
    (1)引張試験機の上下のチャックにL字型の治具を挟み、管形状の被測定物を二つのL字型治具の間に通して、被測定物の断面が丸い円形を保っている状態から、一定の引っ張り速度で引っ張り、被測定物の向かい合う内壁が平行にはなるが、力がかかっていない状態にし、これを測定開始時点する、なお、測定開始時点における被測定物の引張方向の長さをD0、これと直行する被測定物の縦軸方向の長さをL0、被測定物の壁の厚さをT0 と定める、
    (2)測定開始時点から、同じ引っ張り速度で引っ張りながら、張力Nx、引張方向の長さDx、縦軸方向の長さLx、壁の厚さTxを複数回測定する、
    (3)式X=(Dx-D0)/D0×100(%)により、伸び率xを算出する、
    (4)式(4a )により被測定物の内壁に掛かる引張方向の応力σxを算出し、式(4b)により、この応力が内半径Rxの被測定物の内圧によって生じていると仮定した場合に相当するチューブ内圧Yxを算出する、
    (4a )σx=Nx/(Tx×Lx×2)
    (4b)Yx=σx×Tx/Rx=π×Nx/2(Dx×Lx)
    (5)得られた伸び率Xとそれに対応する内圧Yが、1次関数Y=aX+b(a,bは定数)に近似するように最小二乗法によって定数a,bを決定する。
  2. 管形状の医療用基材の外層の剛性の指標a/移植される血管の剛性の指標aの比が、5.5以内である請求項1に記載の医療用基材。
  3. 布が、織物又は編物である請求項2に記載の医療用基材。
  4. 内層が、ポリグリコール酸、乳酸とカプロラクトンの共重合体、L-ポリ乳酸、D-ポリ乳酸、グリコール酸と乳酸の共重合体、ゼラチン、コラーゲン、エラスチンからなる群より選ばれた少なくとも1種の材料によって構成されている請求項1〜請求項3の何れかに記載の医療用基材。
  5. 内層が、繊維素材からなる易生体親和性布によって構成されている請求項4に記載の医療用基材。
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