JP2018185904A - 蓄電モジュール及び蓄電モジュールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バイポーラ電極間の内部空間と圧力調整弁との間で流体を通過し易くできる蓄電モジュール及び蓄電モジュールの製造方法を提供する。【解決手段】圧力調整弁60は、当該圧力調整弁60が側面52sに固定されることで、複数の連通孔52aを介して複数の内部空間Vの各々と連通する複数の連通孔74(第2連通孔)を有している。このような構成において、連通孔52aには多孔質部材110が配置される。従って、開口50aの側面52sに圧力調整弁60を溶着によって固定する場合であっても、多孔質部材110によって連通孔52aが塞がれることを抑制することができる。また、多孔質部材110は連通孔52a内の流体を通過させることができるので、製造後に連通孔52aから除去しなくとも、当該連通孔52aの流通性を確保することができる。【選択図】図6
Description
本発明の一側面は、蓄電モジュール及び蓄電モジュールの製造方法に関する。
集電体の一方の面に正極が形成され、他方の面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えるバイポーラ電池(蓄電モジュール)が知られている(特許文献1参照)。この電池では、セパレータと集電体とシール部材とで画成された内部空間に、電解液が封入されている。電解液を含浸したセパレータからなる電解質層を介して、バイポーラ電極が積層されている。電池には、シール部材を貫通するチューブが設けられている。チューブの一端は内部空間に臨み、他端は電池の外部空間に臨む。電池を使用している間、内部空間の圧力が上昇すると、このチューブが圧力調整弁として機能する。
ところで、バイポーラ電池の構成としては、例えばバイポーラ電極の積層体の側面に各バイポーラ電極間の内部空間に連通する開口が設けられる構成が考えられる。この構成では、当該開口は、電解液が注入される注液口として機能すると共に、内部空間の圧力調整を行うための圧力調整弁の接続口としても機能する。ここで、当該開口は、当該開口に配置される側面に、複数の内部空間の各々と連通する複数の連通孔を有する。それに対し、圧力調整弁は、当該圧力調整弁が開口の側面に固定されることで、当該開口の複数の連通孔を介して複数の内部空間の各々と連通する複数の連通孔を有する。このような構成においては、開口の側面に圧力調整弁を溶着によって固定する場合がある。このとき、当該溶着によって開口の側面に形成された連通孔が塞がれる可能性があった。このように連通孔が塞がれる場合、バイポーラ電極間の内部空間と圧力調整弁との間で流体が通過し難くなるという問題がある。
本発明の一側面は、バイポーラ電極間の内部空間と圧力調整弁との間で流体を通過し易くできる蓄電モジュール及び蓄電モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る蓄電モジュールは、電極板と、電極板の一方面に設けられた正極と、電極板の他方面に設けられた負極とを含むバイポーラ電極が積層された積層体と、電極板の縁部を保持し、積層体において隣り合うバイポーラ電極間の複数の内部空間と連通する開口が設けられた枠体と、開口に接続され、内部空間の圧力を調整する圧力調整弁と、を備え、開口は、当該開口に配置された側面に、複数の内部空間の各々と連通する複数の第1連通孔を有し、圧力調整弁は、当該圧力調整弁が側面に固定されることで、複数の第1連通孔を介して複数の内部空間の各々と連通する複数の第2連通孔を有し、第1連通孔には多孔質部材が配置される。
この蓄電モジュールでは、枠体の開口は、当該開口に配置された側面に、複数の内部空間の各々と連通する複数の第1連通孔を有している。また、圧力調整弁は、当該圧力調整弁が側面に固定されることで、複数の第1連通孔を介して複数の内部空間の各々と連通する複数の第2連通孔を有している。このような構成において、第1連通孔には多孔質部材が配置される。従って、開口の側面に圧力調整弁を溶着によって固定する場合であっても、多孔質部材が配置されることにより、第1連通孔が塞がれることを抑制することができる。また、多孔質部材は第1連通孔内の流体を通過させることができるので、製造後に第1連通孔から除去しなくとも、当該第1連通孔の流通性を確保することができる。以上により、バイポーラ電極間の内部空間と圧力調整弁との間で流体を通過し易くできる。
多孔質部材は、側面から突出していてよい。これにより、多孔質部材は圧力調整弁の第2連通孔内にも配置される構成となる。従って、バイポーラ電極間の内部空間と圧力調整弁との間で流体を更に通過し易くできる。
多孔質部材は、アルミナを含んでよい。これにより、第1連通孔で流体を通過し易くすることができる。
本発明の一側面に係る蓄電モジュールの製造方法は、電極板と、電極板の一方面に設けられた正極と、電極板の他方面に設けられた負極とを含むバイポーラ電極を有する蓄電モジュールの製造方法であって、バイポーラ電極を積層して積層体を得る工程と、電極板の縁部を保持し、積層体において隣り合うバイポーラ電極間の複数の内部空間と連通する開口が設けられた枠体を形成する工程と、内部空間の圧力を調整する圧力調整弁を開口に接続する工程と、を含み、枠体を形成する工程では、開口に配置される側面に、複数の内部空間の各々と連通する複数の第1連通孔を形成し、第1連通孔に、多孔質部材を配置し、圧力調整弁を開口に接続する工程では、圧力調整弁を側面に固定し、複数の第1連通孔を介して第2連通孔を複数の内部空間の各々と連通する。
この製造方法によれば、上述の蓄電モジュールと同様の作用・効果を得ることができる。
本発明の一側面によれば、バイポーラ電極間の内部空間と圧力調整弁との間で流体を通過し易くできる蓄電モジュール及び蓄電モジュールの製造方法が提供され得る。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面にはXYZ直交座標系が示される。
[蓄電装置の構成]
図1は、蓄電モジュールを備える蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。同図に示す蓄電装置10は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置10は、複数(本実施形態では3つ)の蓄電モジュール12を備えるが、単一の蓄電モジュール12を備えてもよい。蓄電モジュール12は例えばバイポーラ電池である。蓄電モジュール12は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池であるが、電気二重層キャパシタであってもよい。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
図1は、蓄電モジュールを備える蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。同図に示す蓄電装置10は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置10は、複数(本実施形態では3つ)の蓄電モジュール12を備えるが、単一の蓄電モジュール12を備えてもよい。蓄電モジュール12は例えばバイポーラ電池である。蓄電モジュール12は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池であるが、電気二重層キャパシタであってもよい。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
複数の蓄電モジュール12は、例えば金属板等の導電板14を介して積層され得る。積層方向D1から見て、蓄電モジュール12及び導電板14は例えば矩形形状を有する。各蓄電モジュール12の詳細については後述する。導電板14は、蓄電モジュール12の積層方向D1(Z方向)において両端に位置する蓄電モジュール12の外側にもそれぞれ配置される。導電板14は、隣り合う蓄電モジュール12と電気的に接続される。これにより、複数の蓄電モジュール12が積層方向D1に直列に接続される。積層方向D1において、一端に位置する導電板14には正極端子24が接続されており、他端に位置する導電板14には負極端子26が接続されている。正極端子24は、接続される導電板14と一体であってもよい。負極端子26は、接続される導電板14と一体であってもよい。正極端子24及び負極端子26は、積層方向D1に交差する方向(X方向)に延在している。これらの正極端子24及び負極端子26により、蓄電装置10の充放電を実施できる。
導電板14は、蓄電モジュール12において発生した熱を放出するための放熱板としても機能し得る。導電板14の内部に設けられた複数の空隙14aを空気等の冷媒が通過することにより、蓄電モジュール12からの熱を効率的に外部に放出できる。各空隙14aは例えば積層方向D1に交差する方向(Y方向)に延在する。積層方向D1から見て、導電板14は、蓄電モジュール12よりも小さいが、蓄電モジュール12と同じかそれより大きくてもよい。
蓄電装置10は、交互に積層された蓄電モジュール12及び導電板14を積層方向D1に拘束する拘束部材16を備え得る。拘束部材16は、一対の拘束プレート16A,16Bと、拘束プレート16A,16B同士を連結する連結部材(ボルト18及びナット20)とを備える。各拘束プレート16A,16Bと導電板14との間には、例えば樹脂フィルム等の絶縁フィルム22が配置される。各拘束プレート16A,16Bは、例えば鉄等の金属によって構成されている。積層方向D1から見て、各拘束プレート16A,16B及び絶縁フィルム22は例えば矩形形状を有する。絶縁フィルム22は導電板14よりも大きくなっており、各拘束プレート16A,16Bは、蓄電モジュール12よりも大きくなっている。積層方向D1から見て、拘束プレート16Aの縁部には、ボルト18の軸部を挿通させる挿通孔H1が蓄電モジュール12よりも外側となる位置に設けられている。同様に、積層方向D1から見て、拘束プレート16Bの縁部には、ボルト18の軸部を挿通させる挿通孔H2が蓄電モジュール12よりも外側となる位置に設けられている。積層方向D1から見て各拘束プレート16A,16Bが矩形形状を有している場合、挿通孔H1及び挿通孔H2は、拘束プレート16A,16Bの角部に位置する。
一方の拘束プレート16Aは、負極端子26に接続された導電板14に絶縁フィルム22を介して突き当てられ、他方の拘束プレート16Bは、正極端子24に接続された導電板14に絶縁フィルム22を介して突き当てられている。ボルト18は、例えば一方の拘束プレート16A側から他方の拘束プレート16B側に向かって挿通孔H1に通され、他方の拘束プレート16Bから突出するボルト18の先端には、ナット20が螺合されている。これにより、絶縁フィルム22、導電板14及び蓄電モジュール12が挟持されてユニット化されると共に、積層方向D1に拘束荷重が付加される。
図2は、図1の蓄電装置を構成する蓄電モジュールを示す概略断面図である。同図に示す蓄電モジュール12は、複数のバイポーラ電極(電極)32が積層された積層体30を備える。バイポーラ電極32の積層方向D1から見て積層体30は例えば矩形形状を有する。隣り合うバイポーラ電極32間にはセパレータ40が配置され得る。バイポーラ電極32は、電極板34と、電極板34の一方面に設けられた正極36と、電極板34の他方面に設けられた負極38とを含む。積層体30において、一のバイポーラ電極32の正極36は、セパレータ40を挟んで積層方向D1に隣り合う一方のバイポーラ電極32の負極38と対向し、一のバイポーラ電極32の負極38は、セパレータ40を挟んで積層方向D1に隣り合う他方のバイポーラ電極32の正極36と対向している。積層方向D1において、積層体30の一端には、内側面に負極38が配置された電極板34(負極側終端電極)が配置され、積層体30の他端には、内側面に正極36が配置された電極板34(正極側終端電極)が配置される。負極側終端電極の負極38は、セパレータ40を介して最上層のバイポーラ電極32の正極36と対向している。正極側終端電極の正極36は、セパレータ40を介して最下層のバイポーラ電極32の負極38と対向している。これら終端電極の電極板34はそれぞれ隣り合う導電板14(図1参照)に接続される。
蓄電モジュール12は、積層方向D1に延在する積層体30の側面30aにおいて電極板34の縁部34aを保持する枠体50を備える。枠体50は、積層体30の側面30aを取り囲むように構成されている。枠体50は、電極板34の縁部34aを保持する第1樹脂部52と、積層方向D1から見て第1樹脂部52の周囲に設けられる第2樹脂部54とを備え得る。
枠体50の内壁を構成する第1樹脂部52は、各バイポーラ電極32の電極板34の一方面(正極36が形成される面)から縁部34aにおける電極板34の端面にわたって設けられている。積層方向D1から見て、各第1樹脂部52は、各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34a全周にわたって設けられている。隣り合う第1樹脂部52同士は、各バイポーラ電極32の電極板34の他方面(負極38が形成される面)の外側に延在する面において当接している。その結果、第1樹脂部52には、各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34aが埋没して保持されている。各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34aと同様に、積層体30の両端に配置された電極板34の縁部34aも第1樹脂部52に埋没した状態で保持されている。これにより、積層方向D1に隣り合う電極板34,34間には、当該電極板34,34と第1樹脂部52とによって気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。当該内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。
枠体50の外壁を構成する第2樹脂部54は、積層方向D1を軸方向として延在する筒状部である。第2樹脂部54は、積層方向D1において積層体30の全長にわたって延在する。第2樹脂部54は、積層方向D1に延在する第1樹脂部52の外側面を覆っている。第2樹脂部54は、積層方向D1から見て内側において第1樹脂部52に溶着されている。
電極板34は、例えばニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板34の縁部34aは、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっており、当該未塗工領域が枠体50の内壁を構成する第1樹脂部52に埋没して保持される領域となっている。正極36を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極38を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。電極板34の他方面における負極38の形成領域は、電極板34の一方面における正極36の形成領域に対して一回り大きくなっている。
セパレータ40は、例えばシート状に形成されている。セパレータ40を形成する材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン等からなる織布又は不織布等が例示される。また、セパレータ40は、フッ化ビニリデン樹脂化合物等で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ40は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
枠体50(第1樹脂部52及び第2樹脂部54)は、例えば絶縁性の樹脂を用いた射出成形によって矩形の筒状に形成されている(詳しくは後述)。枠体50を構成する樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等が挙げられる。
図3は、図2の蓄電モジュールを示す概略斜視図である。図4は、図3の蓄電モジュールの一部(1つの開口50aの周辺領域)を拡大した平面図である。図3及び図4に示されるように、蓄電モジュール12の枠体50は、積層方向D1に延在する側面50sを有する。側面50sは積層方向D1から見て外側に位置する面である。よって、第2樹脂部54が枠体50の側面50sを有することになる。
枠体50の側面50sは、本体領域50s1と突出領域50s2とを有している。本体領域50s1と突出領域50s2の形状はそれぞれ例えば矩形である。本体領域50s1には、開口50aが設けられている。開口50aは、各内部空間Vに電解液を注入するための注液口として機能すると共に、電解液が注入された後は、各内部空間V内の圧力を調整するための圧力調整弁160(詳しくは後述)の接続口として機能する。本実施形態では、枠体50は複数(ここでは4つ)の開口50a(開口50a1〜50a4)を有している。具体的には、枠体50の長手方向(X方向)に対向する各側面50sに、2つずつの開口50aが設けられている。
本体領域50s1は、バイポーラ電極32の積層方向D1に交差する方向(Y方向)に延在する縁Eを有している。突出領域50s2は、バイポーラ電極32の積層方向D1において開口50aから離れるように縁Eから突出している。本実施形態では、一対の突出領域50s2が開口50aを挟むように配置されている。突出領域50s2は、縁Eに沿って開口50aの全長を越えて開口50aの両外側にはみ出る長さで設けられている。
図4に示されるように、1つの開口50aは、第1樹脂部52に設けられた連通孔52aと、第2樹脂部54に設けられた開口部54aとを有し得る。各連通孔52aは、隣り合うバイポーラ電極32間の内部空間V及び開口部54aと連通している。第1樹脂部52には複数の連通孔52aが設けられており、第2樹脂部54には、複数の連通孔52aを覆うように広がる単一の開口部54aが設けられている。連通孔52aは各第1樹脂部52に設けられてもよいし、隣り合う第1樹脂部52間に設けられてもよい。各連通孔52a及び開口部54aの形状は例えば矩形である。
本実施形態では、蓄電モジュール12には、56個の内部空間Vが形成されており、1つの開口50aは、14個の内部空間Vと連通している。すなわち、各内部空間Vは、4つの開口50a1〜50a4のうちのいずれか1つと連通している。図4に示されるように、1つの開口50a(ここでは一例として開口50a1)において、14個の連通孔52aが、枠体50の短手方向(Y方向)の2列に分かれて配置されている。各列においては、7つの連通孔52aが積層方向D1に沿って配置されている。14個の連通孔52aは、開口50aの開口方向(X方向)から見て、開口部54aの中心P1に対して、点対称に配置されている。
例えば、各開口50aにおける複数の連通孔52aの配置(すなわち、各開口50aに連通する内部空間Vの組を異ならせる配置構成)は、以下のようにして決定されてもよい。以下の説明では、便宜上、56個の内部空間Vを識別するために、積層体30の他端(図2の図示下側)から一端(図2の図示上側)へと向かう順に、内部空間V1〜V56と表記する。
例えば、開口50a1において、第1列(図4の図示左側の列。以下同じ。)に配置される7つの連通孔52aは、積層体30の他端側から8段飛ばしに、内部空間V1,V9,V17,V25,V33,V41,V49と連通するように設けられ、第2列(図4の図示右側の列。以下同じ。)に配置される7つの連通孔52aは、積層体30の一端側から8段飛ばしに、内部空間V56,V48,V40,V32,V24,V16,V8と連通するように設けられる。ここで、連通孔52aは、当該連通孔52aと連通する内部空間Vに対応する高さ位置(積層方向D1における位置)に設けられるので、上記配置によれば、上述した点対称の配置が実現される。
開口50a2〜50a4についても、例えば、開口50a1を基準として、連通される内部空間Vのセットを1段ずつずらすことにより、開口50a1と同様に点対称の配置を実現できる。具体的には、開口50a2においては、第1列に配置される7つの連通孔52aは、内部空間V2,V10,V18,V26,V34,V42,V50と連通するように設けられ、第2列に配置される7つの連通孔52aは、内部空間V55,V47,V39,V31,V23,V15,V7と連通するように設けられればよい。開口50a3においては、第1列に配置される7つの連通孔52aは、内部空間V3,V11,V19,V27,V35,V43,V51と連通するように設けられ、第2列に配置される7つの連通孔52aは、内部空間V54,V46,V38,V30,V22,V14,V6と連通するように設けられればよい。開口50a4においては、第1列に配置される7つの連通孔52aは、内部空間V4,V12,V20,V28,V36,V44,V52と連通するように設けられ、第2列に配置される7つの連通孔52aは、内部空間V53,V45,V37,V29,V21,V13,V5と連通するように設けられればよい。
以上のような連通孔52aの配置(すなわち、連通孔52aと内部空間Vとの対応付け)によれば、全ての内部空間Vが互いに異なる連通孔52aに連通する構成を実現できると共に、全ての開口50a1〜50a4について上述したような点対称の配置を実現できる。
図5は、枠体50の開口50aに接続される圧力調整弁160の分解斜視図である。また、図6は、圧力調整弁160の構成を示す概略断面図である。具体的には、図6は、開口50a1の第1列に配置される7つの連通孔52a(内部空間V1,V9,V17,V25,V33,V41,V49と連通する連通孔52a)の断面を含む断面図である。図5及び図6に示されるように、圧力調整弁160は、第1ベース部材70と、第2ベース部材80と、弁体90(弾性部材)と、カバー部材150(押圧部材)とを有している。
第1ベース部材70は、略直方体状の外形を有しており、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等によって形成されている。第1ベース部材70は、開口50aに接続される。具体的には、第1ベース部材70の開口50aに対向する側面71(第1側面)を含む部分72は、開口部54aに対応する形状を有している。第1ベース部材70は、当該部分72が開口部54aに挿入された状態で、側面71と第1樹脂部52の側面52sとの接触部分の一部または全部が溶着されることにより、開口50aに対して固定される。側面71と側面52sとの溶着は、例えば熱板溶着、レーザ透過溶着、及び超音波溶着等により行われる。
図6に示されるように、第1ベース部材70には、側面71から側面73にかけて貫通する複数(ここでは14個)の連通孔74が設けられている。各連通孔74は、対応する1つの連通孔52aを介して、1つの内部空間Vと連通している。連通孔74は、連通孔74の側面71側部分である第1連通部75と、連通孔74の側面73側部分である第2連通部76とからなる。
第1連通部75は、断面矩形状に形成されている。第1連通部75によって、略直方体状の空間S1が形成されている。第1連通部75の開口50a側の開口端75aは、開口50aと第1ベース部材70との接続方向D2(X方向)から見て、矩形状の連通孔52aを含む大きさに形成されている。一方、第1連通部75の第2連通部76に接続する側の開口端75bは、断面円形状に形成されている。開口端75bの内径は、開口端75aの積層方向D1の幅d1と同一である。
第2連通部76は、断面円形状に形成されている。第2連通部76は、第1連通部75の開口端75bから、第2連通部76の側面73側の開口端76aにかけて貫通している。開口端76aは円形状に形成されている。開口端76aの内径d3は、開口端75bの内径(すなわち、開口端75aの積層方向D1の幅d1)よりも大きくされている(d3>d1)。すなわち、第2連通部76によって、開口端75bから開口端76aに向かうにつれて内径が大きくなるテーパ状の空間S2が形成されている。このような第2連通部76は、例えば射出成形等により形成され得る。
また、本実施形態では、図6に示されるように、第1列の7つの連通孔52aに接続される第2連通部76は、開口端75bの中心位置よりも開口端76aの中心位置が上方に位置するように延びている。一方、第2列の7つの連通孔52aに接続される第2連通部76は、開口端75bの中心位置よりも開口端76aの中心位置が下方に位置するように延びている。その結果、複数の開口端76aが側面73の中央位置に寄せられている。
第2ベース部材80は、略直方体状の外形を有しており、一方側の側面81において第1ベース部材70の側面73に接合される。側面81と側面73とは、例えば熱板溶着により溶着され得る。なお、本実施形態では、接続方向D2から見て、第2ベース部材80は、第1ベース部材よりも僅かに大きく形成されているが、第2ベース部材80は、第1ベース部材と同じ大きさに形成されてもよいし、第1ベース部材よりも小さく形成されてもよい。
図6に示されるように、第2ベース部材80には、側面81から側面82にかけて貫通する複数(ここでは14個)の連通孔83が設けられている。連通孔83は、断面円形状に形成されている。各連通孔83は、対応する1つの連通孔74を介して、1つの内部空間Vと連通している。連通孔83の第1ベース部材70側の開口端83aの内径は、連通孔74の開口端76aの内径d3と一致している。第1ベース部材70と第2ベース部材80とは、接続方向D2から見て互いに対応する開口端76a及び開口端83aが重なるように接合されている。連通孔83の弁体90側の開口端83bの内径d4は、開口端83aの内径(すなわち、開口端76aの内径d3)よりも小さくされている(d4<d3)。すなわち、連通孔83によって、開口端83aから開口端83bに向かうにつれて内径が小さくなるテーパ状の空間S3が形成されている。このような連通孔83は、例えば射出成形等により形成され得る。なお、開口端83aの内径と開口端76aの内径d3とは、一致していなくてもよい。例えば、開口端83aの内径を内径d3よりも小さくした場合には、接合時の位置ずれを許容できる効果を奏し得る。
弁体90は、例えばゴム等の弾性部材によって形成されている。弁体90は、例えば直方体状をなしている。弁体90は、第2ベース部材80に設けられた複数の開口端83bを塞ぐように配置されている。
カバー部材150は、矩形板状の底壁部101と、底壁部101の縁部に立設された側壁部102と、を有する箱状部材である。カバー部材150は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等によって形成されている。底壁部101の内側には、弁体90を位置決めするために凹状に窪んだ溝部103が設けられている。カバー部材150は、溝部103に弁体90を収容すると共に、弁体90を第2ベース部材80の側面82に対して押圧するための押圧部材として機能する。具体的には、図6に示されるように、カバー部材150の溝部103に弁体90が位置決めされて収容された状態で、側壁部102の端部102aが第2ベース部材80の側面82に対して固定される。端部102aと側面82とを固定する方法は特に限定されないが、例えばレーザ溶着、熱板溶着、及びボルト等の締結部材を用いた締結等を用い得る。例えば、レーザ溶着を用いる場合には、カバー部材150をレーザ透過性樹脂で形成すると共に第2ベース部材80をレーザ吸収性樹脂で形成し、レーザをカバー部材150側から照射することにより、第2ベース部材80におけるカバー部材150との境界部分を溶融して接合することができる。
ここで、弁体90の通常時(非圧縮時)の厚さ(X方向の幅)は、溝部103の底面103aから側壁部102の端部102aまでの高さd5よりも大きい。すなわち、高さd5によって、弁体90の圧縮率が規定されている。弁体90の圧縮率は、例えば連通孔83内の圧力(すなわち、当該連通孔83に連通された内部空間V内の圧力)が予め定められた設定値以上となった場合に、弁体90による当該連通孔83の開口端83bの閉塞が解除されるように予め調整される。
第2ベース部材80の側面82側には、各開口端83bに対応する溝部84が設けられている。各溝部84は、積層方向D1に直交する方向(X方向及びY方向)に延在するスリット状に形成されている。各溝部84は、積層方向D1及び接続方向D2に直交する方向(Y方向)において、対応する開口端83bよりも外側の位置に設けられている。また、第2ベース部材80には、流通空間S4と外部とを連通させる排気口85が設けられている。本実施形態では、排気口85の外側開口端は、第2ベース部材80の接続方向D2に直交する方向(本実施形態では一例としてY方向)を向く側面86に設けられている。
第2ベース部材80には、側面82に対向する方向(X方向)から見て、複数(ここでは7つ)の溝部84と接続され、内部空間Vから放出されたガスを流通させる流通空間S4が画成されている。流通空間S4は、略直方体状に形成されている。流通空間S4は、側面82に対向する方向から見て、積層方向D1に沿って配列された7つの溝部84の外側端部を接続するように、積層方向D1に延在している。複数の溝部84及び流通空間S4は、例えば射出成形等によって形成されている。また、第2ベース部材80には、流通空間S4と外部とを連通させる排気口85が設けられている。本実施形態では、排気口85の外側開口端は、第2ベース部材80の接続方向D2に直交する方向(本実施形態では一例としてY方向)を向く側面86に設けられている。この構成によれば、内部空間Vの圧力の上昇に応じて一の溝部84へと排出されたガスは、複数の溝部84に共通に設けられた流通空間S4に流入し、排気口85から外部に排出される。したがって、内部空間Vで発生したガスを簡易な構成によって適切に外部に排出することができる。
次に、本実施形態に係る蓄電モジュール12の構成についてより詳細に説明する。前述のように、蓄電モジュール12は、開口50aに接続され、内部空間Vの圧力を調整する圧力調整弁60を備えている。また、開口50aは、当該開口50aに配置された側面52sに、複数の内部空間Vの各々と連通する複数の連通孔(第1連通孔)52aを有している。圧力調整弁60は、当該圧力調整弁60が側面52sに固定されることで、複数の連通孔52aを介して複数の内部空間Vの各々と連通する複数の連通孔(第2連通孔)74を有している。圧力調整弁60は、開口50aの側面52sに当該圧力調整弁60を溶着することによって固定される。これにより、圧力調整弁60と側面52sとの境界面には樹脂が溶け込むことによってシール部120が形成される(図7(B)参照)。
このような構成において、図5〜図6に示すように、連通孔52aには多孔質材料によって構成される多孔質部材110が配置される。多孔質部材110は、連通孔52a内を流通する流体を通過させることができる程度に微細な孔を有している部材である。多孔質部材110の材質は特に限定されないが、例えば、アルミナを含んでもよい。あるいは、多孔質部材11は、これらの複数の多孔質材料を複合させてもよい。
多孔質部材110は、連通孔52aの断面形状に対応する形状を有する板状部材として構成されている。X方向から見て、多孔質部材110は、連通孔52aと同形状に形成されてよく、これによって、連通孔52aを隙間なく塞いでよい(図4参照)。ただし、多孔質部材110は、連通孔52aを隙間なく塞がなくともよく、例えば、多孔質部材110のY方向の端部が、連通孔52aの内周面から離間していてもよい。あるいは、多孔質部材110が厚み方向(Z方向)において連通孔52aの内周面から離間していてもよい。
図6に示すように、多孔質部材110は、連通孔52aのX方向における一部、又は全部の領域に配置されている。また、多孔質部材110は、側面52sから突出している。これによって、多孔質部材110の一部は圧力調整弁60の連通孔74の一部に配置されている。具体的に、多孔質部材110の内側(図6ではX方向の正側)の端部110aは、連通孔52aのどの位置まで延びていてもよく、例えば、第1樹脂部52の内側の端部と同一位置に配置されていてもよく、当該端部よりも内側まで延びてもよく、当該端部より外側に配置されてもよい。なお、製造時において多孔質部材110を電極板34に積層させる場合は(図2参照)、多孔質部材110の内側の端部110aは、電極板34の位置まで延びてよい。
多孔質部材110の外側(図6ではX方向の負側)の端部110bは、側面52sよりも外側に配置されている。これにより、側面52sで溶着を行ったときに、第1樹脂部52の連通孔52aが塞がることを抑制することに加え、圧力調整弁60の連通孔74が塞がることも抑制することができる。多孔質部材110の外側の端部110bは、圧力調整弁60の連通孔74のどの位置まで延びてもよい。多孔質部材110の端部110bは、側面52sと同位置に配置されてもよい。この場合でも、溶着面である側面52sの位置に多孔質部材110が存在することで、連通孔52aが塞がることを好適に抑制できる。更に、多孔質部材110の外側の端部110bは、側面52sより内側に配置されていてもよい。すなわち、溶着面となる側面52sと同位置に多孔質部材110が存在しなくともよい。このような場合でも、多孔質部材110が連通孔52aの内部で当該連通孔52aの形状を保持することで、側面52sで溶着を行ったときに、第1樹脂部52の連通孔52aが塞がることを抑制することができる。なお、多孔質部材110の外側の端部110bが、側面52sより内側に配置される場合は、側面52sからの離間距離は1mm以内であることが好ましい。
[蓄電装置の製造方法]
以下、図2に示される蓄電モジュール12の製造方法の一例を説明する。
以下、図2に示される蓄電モジュール12の製造方法の一例を説明する。
(積層工程)
まず、例えばセパレータ40を介してバイポーラ電極32を積層して積層体30を得る。本実施形態では、積層工程前に、各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34aに第1樹脂部52が例えば射出成形等により形成されている。積層工程により、図2に示される構成のうち第2樹脂部54を除いた構成が得られる。なお、このとき第1樹脂部52に対応する部分の一部に多孔質部材110を予め配置しておき、当該状態にて第1樹脂部52を形成する。これによって、第1樹脂部52に連通孔52a及び多孔質部材110を設けることができる(図7(A)参照)。
まず、例えばセパレータ40を介してバイポーラ電極32を積層して積層体30を得る。本実施形態では、積層工程前に、各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34aに第1樹脂部52が例えば射出成形等により形成されている。積層工程により、図2に示される構成のうち第2樹脂部54を除いた構成が得られる。なお、このとき第1樹脂部52に対応する部分の一部に多孔質部材110を予め配置しておき、当該状態にて第1樹脂部52を形成する。これによって、第1樹脂部52に連通孔52a及び多孔質部材110を設けることができる(図7(A)参照)。
(枠体形成工程)
次に、第2樹脂部54を例えば射出成形により形成する(図2参照)。図8に示されるように、モールドM内に、流動性を有する第2樹脂部54の樹脂材料54Pを流し込むことによって、第2樹脂部54が形成される。その結果、図3及び図4に示されるように、第1樹脂部52及び第2樹脂部54を有する枠体50が形成される。モールドMは、枠体50の側面50sにおける本体領域50s1及び突出領域50s2(図4参照)の外縁を形成する第1部分M1と、開口50aの開口部54aを形成するための入れ子である第2部分M2とを有する。第2樹脂部54の樹脂材料54Pは、バイポーラ電極32の積層方向D1に交差する方向に流れる。例えば、第2樹脂部54の樹脂材料54Pは、互いに対向配置された一対の第1部分M1間を流れた後、第2部分M2に衝突して、第2部分M2の周囲に沿って2つに分かれる。2つに分かれた第2樹脂部54の樹脂材料54Pは、それぞれ第1部分M1と第2部分M2との間を流れた後、合流して、一対の第1部分M1間を流れる。
次に、第2樹脂部54を例えば射出成形により形成する(図2参照)。図8に示されるように、モールドM内に、流動性を有する第2樹脂部54の樹脂材料54Pを流し込むことによって、第2樹脂部54が形成される。その結果、図3及び図4に示されるように、第1樹脂部52及び第2樹脂部54を有する枠体50が形成される。モールドMは、枠体50の側面50sにおける本体領域50s1及び突出領域50s2(図4参照)の外縁を形成する第1部分M1と、開口50aの開口部54aを形成するための入れ子である第2部分M2とを有する。第2樹脂部54の樹脂材料54Pは、バイポーラ電極32の積層方向D1に交差する方向に流れる。例えば、第2樹脂部54の樹脂材料54Pは、互いに対向配置された一対の第1部分M1間を流れた後、第2部分M2に衝突して、第2部分M2の周囲に沿って2つに分かれる。2つに分かれた第2樹脂部54の樹脂材料54Pは、それぞれ第1部分M1と第2部分M2との間を流れた後、合流して、一対の第1部分M1間を流れる。
なお、本実施形態では積層工程前に枠体50の一部である第1樹脂部52を形成し、積層工程後に枠体50の残部である第2樹脂部54を形成しているが、積層工程後に枠体50の一部である第1樹脂部52を形成してもよい。
(第1ベース部材接続工程)
次に、第1ベース部材70を、開口50aに接続する。具体的には、上述した通り、第1ベース部材70の部分72を開口部54aに挿入する。このとき、側面52sから突出した複数の多孔質部材110を連通孔74に挿入させるようにして、第1ベース部材70を開口部54aに挿入してよい(図7(B)参照)。そして、側面71と第1樹脂部52の側面52sとの接触部分の一部または全部を、例えば熱板溶着、レーザ透過溶着、及び超音波溶着等により溶着する。これにより、開口50aに対して第1ベース部材70が固定される。これにより、側面52sに対応する位置に、シール部120が形成される(図7(B)参照)。
次に、第1ベース部材70を、開口50aに接続する。具体的には、上述した通り、第1ベース部材70の部分72を開口部54aに挿入する。このとき、側面52sから突出した複数の多孔質部材110を連通孔74に挿入させるようにして、第1ベース部材70を開口部54aに挿入してよい(図7(B)参照)。そして、側面71と第1樹脂部52の側面52sとの接触部分の一部または全部を、例えば熱板溶着、レーザ透過溶着、及び超音波溶着等により溶着する。これにより、開口50aに対して第1ベース部材70が固定される。これにより、側面52sに対応する位置に、シール部120が形成される(図7(B)参照)。
(電解液注入工程)
次に、図9の(A)に示されるように、第1ベース部材70に設けられた複数の連通孔74を介して、複数の内部空間V(本実施形態では、当該第1ベース部材70が接続された開口50aに連通する14個の内部空間V)の各々に電解液を注入する。連通孔74毎に液量を管理しながら注液を行うことにより、内部空間V毎の液量を管理することができる。また、電解液の注入前に、蓄電モジュール12内の各内部空間Vが確実にシールされていることを検査するために、複数の連通孔74を介して、各内部空間Vに対する真空引き(空気を抜き取る作業)が実施されてもよい。これにより、電解液の注液の前に、各内部空間Vの気密性を検査することができる。なお、第1ベース部材70を介しての電解液の注入は、専用の治具等を更に用いて行われてもよい。なお、多孔質部材110は多孔性の部材であるため、検査時に連通孔52aを流れる空気や、注液時に連通孔52aを流れる電解液を阻害することなく通過させることができる。
次に、図9の(A)に示されるように、第1ベース部材70に設けられた複数の連通孔74を介して、複数の内部空間V(本実施形態では、当該第1ベース部材70が接続された開口50aに連通する14個の内部空間V)の各々に電解液を注入する。連通孔74毎に液量を管理しながら注液を行うことにより、内部空間V毎の液量を管理することができる。また、電解液の注入前に、蓄電モジュール12内の各内部空間Vが確実にシールされていることを検査するために、複数の連通孔74を介して、各内部空間Vに対する真空引き(空気を抜き取る作業)が実施されてもよい。これにより、電解液の注液の前に、各内部空間Vの気密性を検査することができる。なお、第1ベース部材70を介しての電解液の注入は、専用の治具等を更に用いて行われてもよい。なお、多孔質部材110は多孔性の部材であるため、検査時に連通孔52aを流れる空気や、注液時に連通孔52aを流れる電解液を阻害することなく通過させることができる。
(準備工程)
次に、第2ベース部材80と、弁体90と、カバー部材100とからなるユニットである圧力調整弁サブモジュールを準備する。圧力調整弁サブモジュールは、上述したように、第2ベース部材80、弁体90、及びカバー部材100を互いに組み付けることにより形成される。
次に、第2ベース部材80と、弁体90と、カバー部材100とからなるユニットである圧力調整弁サブモジュールを準備する。圧力調整弁サブモジュールは、上述したように、第2ベース部材80、弁体90、及びカバー部材100を互いに組み付けることにより形成される。
(検査工程)
次に、図9の(B)に示されるように、準備工程で準備された圧力調整弁サブモジュールSMを検査する。これにより、組み付け後に圧力調整弁60としての機能が正常に発揮されるか否かを確認することができる。具体的には、第2ベース部材80に設けられた各連通孔83の開口端83aから各連通孔83内に空気を送り込むことにより、圧力調整弁サブモジュールSMの動作を検査する。各開口端83aから各連通孔83内に空気を送り込む操作は、例えば専用の治具等を更に用いて行われてもよい。検査工程では、弁体90による開口端83bの閉塞が解除されるときの圧力値が連通孔83毎に確認される。そして、当該圧力値と予め設定された圧力値とが比較される。例えば当該圧力値と予め設定された圧力値との誤差が許容誤差以下であれば、検査された連通孔83についての弁体90の開弁圧は正常であると判定される。一方、上記誤差が許容誤差よりも大きい場合には、検査された連通孔83についての弁体90の開弁圧は異常であると判定される。上記検査により、全ての連通孔83に対して弁体90の開弁圧が正常であると判定された場合には、検査された圧力調整弁サブモジュールSMは正常と判定される。一方、少なくとも一つの連通孔83に対して弁体90の開弁圧が異常であると判定された場合には、検査された圧力調整弁サブモジュールSMは異常と判定される。
次に、図9の(B)に示されるように、準備工程で準備された圧力調整弁サブモジュールSMを検査する。これにより、組み付け後に圧力調整弁60としての機能が正常に発揮されるか否かを確認することができる。具体的には、第2ベース部材80に設けられた各連通孔83の開口端83aから各連通孔83内に空気を送り込むことにより、圧力調整弁サブモジュールSMの動作を検査する。各開口端83aから各連通孔83内に空気を送り込む操作は、例えば専用の治具等を更に用いて行われてもよい。検査工程では、弁体90による開口端83bの閉塞が解除されるときの圧力値が連通孔83毎に確認される。そして、当該圧力値と予め設定された圧力値とが比較される。例えば当該圧力値と予め設定された圧力値との誤差が許容誤差以下であれば、検査された連通孔83についての弁体90の開弁圧は正常であると判定される。一方、上記誤差が許容誤差よりも大きい場合には、検査された連通孔83についての弁体90の開弁圧は異常であると判定される。上記検査により、全ての連通孔83に対して弁体90の開弁圧が正常であると判定された場合には、検査された圧力調整弁サブモジュールSMは正常と判定される。一方、少なくとも一つの連通孔83に対して弁体90の開弁圧が異常であると判定された場合には、検査された圧力調整弁サブモジュールSMは異常と判定される。
(接合工程)
次に、複数の連通孔74と複数の連通孔83とが互いに連通するように、第1ベース部材70と検査工程において正常と判定された検査済みの圧力調整弁サブモジュールSMの第2ベース部材80とを接合する。具体的には、第2ベース部材80の側面81と第1ベース部材70の側面73とが、例えば熱板溶着により溶着される。これにより、開口50aに対して圧力調整弁60が組み付けられた状態となる。その後、図1に示されるように、導電板14を介して複数の蓄電モジュール12を積層する。積層方向D1の両端に位置する導電板14にはそれぞれ正極端子24及び負極端子26が予め接続されている。その後、積層方向D1の両端に、絶縁フィルム22を介して一対の拘束プレート16A,16Bをそれぞれ配置する。その後、ボルト18の軸部を拘束プレート16Aの挿通孔16A1に挿入し、拘束プレート16Bの挿通孔16B1に挿入する。その後、拘束プレート16Bから突出したボルト18の先端に、ナット20を螺合する。このようにして図1に示される蓄電装置10が製造される。
次に、複数の連通孔74と複数の連通孔83とが互いに連通するように、第1ベース部材70と検査工程において正常と判定された検査済みの圧力調整弁サブモジュールSMの第2ベース部材80とを接合する。具体的には、第2ベース部材80の側面81と第1ベース部材70の側面73とが、例えば熱板溶着により溶着される。これにより、開口50aに対して圧力調整弁60が組み付けられた状態となる。その後、図1に示されるように、導電板14を介して複数の蓄電モジュール12を積層する。積層方向D1の両端に位置する導電板14にはそれぞれ正極端子24及び負極端子26が予め接続されている。その後、積層方向D1の両端に、絶縁フィルム22を介して一対の拘束プレート16A,16Bをそれぞれ配置する。その後、ボルト18の軸部を拘束プレート16Aの挿通孔16A1に挿入し、拘束プレート16Bの挿通孔16B1に挿入する。その後、拘束プレート16Bから突出したボルト18の先端に、ナット20を螺合する。このようにして図1に示される蓄電装置10が製造される。
次に、本実施形態に係る蓄電モジュール12及びその製造方法の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る蓄電モジュール12では、枠体50の開口50aは、当該開口50aに配置された側面52sに、複数の内部空間Vの各々と連通する複数の連通孔(第1連通孔)52aを有している。また、圧力調整弁60は、当該圧力調整弁60が側面52sに固定されることで、複数の連通孔52aを介して複数の内部空間Vの各々と連通する複数の連通孔74(第2連通孔)を有している。このような構成において、連通孔52aには多孔質材料によって構成される多孔質部材110が配置される。従って、開口50aの側面52sに圧力調整弁60を溶着によって固定する場合であっても、多孔質部材110が配置されていることより、連通孔52aが塞がれることを抑制することができる。また、多孔質部材110は連通孔52a内の流体を通過させることができるので、製造後に連通孔52aから除去しなくとも、当該連通孔52aの流通性を確保することができる。以上により、バイポーラ電極32間の内部空間Vと圧力調整弁60との間で流体を通過し易くできる。
多孔質部材110は、側面52sから突出していてよい。これにより、多孔質部材110は圧力調整弁60の連通孔74内にも配置される構成となる。従って、バイポーラ電極32間の内部空間Vと圧力調整弁60との間で流体を更に通過し易くできる。
多孔質部材110は、アルミナを含んでよい。これにより、連通孔52aで流体を通過し易くできる。
本実施形態に係る蓄電モジュール12の製造方法は、電極板34と、電極板34の一方面に設けられた正極36と、電極板34の他方面に設けられた負極38とを含むバイポーラ電極32を有する蓄電モジュール12の製造方法であって、バイポーラ電極32を積層して積層体30を得る工程と、電極板34の縁部を保持し、積層体30において隣り合うバイポーラ電極32間の複数の内部空間Vと連通する開口50aが設けられた枠体50を形成する工程と、内部空間Vの圧力を調整する圧力調整弁60を開口50aに接続する工程と、を含み、枠体50を形成する工程では、開口50aに配置される側面52sに、複数の内部空間Vの各々と連通する複数の連通孔52aを形成し、連通孔52aに、多孔質部材110によって構成される多孔質部材110を配置し、圧力調整弁60を開口50aに接続する工程では、圧力調整弁60を側面52sに固定し、複数の連通孔52aを介して連通孔74を複数の内部空間Vの各々と連通する。
この製造方法によれば、上述の蓄電モジュール12と同様の作用・効果を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、開口50aの数量、開口50a内の連通孔52aの数量や位置関係は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
また、全ての連通孔52aに対して多孔質部材110が設けられなくともよく、複数の連通孔52aの一部に多孔質部材110が設けられてもよい。
12…蓄電モジュール、30…積層体、30a…側面、32…バイポーラ電極、34…電極板、34a…縁部、36…正極、38…負極、50…枠体、50a,50a1,50a2,50a3,50a4…開口、52a…連通孔(第1連通孔)、52s…側面、60…圧力調整弁、74…連通孔(第2連通孔)、110…多孔質部材、V…内部空間。
Claims (4)
- 電極板と、前記電極板の一方面に設けられた正極と、前記電極板の他方面に設けられた負極とを含むバイポーラ電極が積層された積層体と、
前記電極板の縁部を保持し、前記積層体において隣り合う前記バイポーラ電極間の複数の内部空間と連通する開口が設けられた枠体と、
前記開口に接続され、前記内部空間の圧力を調整する圧力調整弁と、
を備え、
前記開口は、当該開口に配置された側面に、前記複数の内部空間の各々と連通する複数の第1連通孔を有し、
前記圧力調整弁は、当該圧力調整弁が前記側面に固定されることで、前記複数の第1連通孔を介して前記複数の内部空間の各々と連通する複数の第2連通孔を有し、
前記第1連通孔には多孔質部材が配置される、蓄電モジュール。 - 前記多孔質部材は、前記側面から突出している、請求項1に記載の蓄電モジュール。
- 前記多孔質部材は、アルミナを含む、請求項1又は2に記載の蓄電モジュール。
- 電極板と、前記電極板の一方面に設けられた正極と、前記電極板の他方面に設けられた負極とを含むバイポーラ電極を有する蓄電モジュールの製造方法であって、
前記バイポーラ電極を積層して積層体を得る工程と、
前記電極板の縁部を保持し、前記積層体において隣り合う前記バイポーラ電極間の複数の内部空間と連通する開口が設けられた枠体を形成する工程と、
前記内部空間の圧力を調整する圧力調整弁を前記開口に接続する工程と、
を含み、
前記枠体を形成する工程では、
前記開口に配置される側面に、前記複数の内部空間の各々と連通する複数の第1連通孔を形成し、
前記第1連通孔に、多孔質部材を配置し、
前記圧力調整弁を前記開口に接続する工程では、前記圧力調整弁を前記側面に固定し、前記複数の第1連通孔を介して第2連通孔を前記複数の内部空間の各々と連通する、蓄電モジュールの製造方法。
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