JP2018184965A - ビスカスカップリング - Google Patents
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Abstract
【課題】引き摺りトルクの低減を図り、燃費の悪化を抑制できるビスカスカップリングを提供する。【解決手段】本発明に係るビスカスカップリング1は、円筒部材2と、円筒部材2と相対回転可能に同軸に配置された軸部材4と、円筒部材2と軸部材4との間で形成され粘性流体が充填される作動室18と、作動室18に配置され円筒部材2と一体に回転する複数のアウタープレート5と、アウタープレート5と交互に配置されて軸部材4と一体に回転する複数のインナープレート6と、を備え、アウタープレート5は、開放された内端から径方向外側に指向する複数のスリット23と、各スリット23の外端に接する仮想円C1よりも径方向外側に位置し周方向に延びている長孔25と、を備えている。【選択図】図2
Description
本発明は、ビスカスカップリングに関する。
自動車において、ビスカスカップリングは一般に推進軸と終減速装置の間に取り付けられており、その構造例として特許文献1に記載のものが挙げられる。
特許文献1のビスカスカップリングは、互いに相対回転可能に同軸に配置された軸部材および円筒部材と、軸部材と一体に回転する複数のインナープレートと、インナープレートと交互に配置されて円筒部材と一体に回転する複数のアウタープレートとを備え、内部にシリコーンオイルが充填されている。
また、円筒部材の開口部は、封入口が形成されたカバーで塞がれており、ビスカスカップリングを組み立てた後に封入口からシリコーンオイルが所定の量だけ充填されている。
そして、たとえば車両が滑りやすい路面を走行して前後輪の一方が空転し、アウタープレートとインナープレートとの間で回転数の差が生じると、シリコーンオイルにせん断力が作用し、他方の車輪に動力が伝達され、安定した走行性能が得られる。
特許文献1のビスカスカップリングは、互いに相対回転可能に同軸に配置された軸部材および円筒部材と、軸部材と一体に回転する複数のインナープレートと、インナープレートと交互に配置されて円筒部材と一体に回転する複数のアウタープレートとを備え、内部にシリコーンオイルが充填されている。
また、円筒部材の開口部は、封入口が形成されたカバーで塞がれており、ビスカスカップリングを組み立てた後に封入口からシリコーンオイルが所定の量だけ充填されている。
そして、たとえば車両が滑りやすい路面を走行して前後輪の一方が空転し、アウタープレートとインナープレートとの間で回転数の差が生じると、シリコーンオイルにせん断力が作用し、他方の車輪に動力が伝達され、安定した走行性能が得られる。
前輪駆動車をベースとした四輪駆動車において、アンチロックブレーキシステム(以下、単に「ABS」と称する)が作動すると、後輪の回転数が前輪の回転数よりも高くなり、アウタープレートとインナープレートの相対回転が逆になる現象(以下、「逆転」と称する場合がある)が生じる。そして、通常の相対回転の状態と逆転の状態とで同じ動力伝達特性が得られると、ABSの誤作動を引き起こす可能性がある。
よって、特許文献2では、アウタープレート及びインナープレートに形成される溝を径方向線に対して傾斜させ、かつ、アウタープレートとインナープレートとの傾斜方向を反対にする構造となっており、逆転時の動力伝達特性が低減するようになっている。
よって、特許文献2では、アウタープレート及びインナープレートに形成される溝を径方向線に対して傾斜させ、かつ、アウタープレートとインナープレートとの傾斜方向を反対にする構造となっており、逆転時の動力伝達特性が低減するようになっている。
ところで、アウタープレートとインナープレートとの間で回転数の差が生じないように副変速装置や終減速装置のギヤ比を設定しているものの、それでも僅かに回転数の差が生じてしまうことがある。
この状態で走行すると、路面が滑りやすい状況ではないにも拘らずビスカスカップリングに差動が生じ、本来は動力を伝達しなくてもよい後輪に動力を伝達することになり(これを引き摺りトルクと呼ぶ)、燃費の悪化を招く。上記した特許文献2の構造であっても、このような引き摺りトルクの低減を図ることができない。
この状態で走行すると、路面が滑りやすい状況ではないにも拘らずビスカスカップリングに差動が生じ、本来は動力を伝達しなくてもよい後輪に動力を伝達することになり(これを引き摺りトルクと呼ぶ)、燃費の悪化を招く。上記した特許文献2の構造であっても、このような引き摺りトルクの低減を図ることができない。
本発明の目的は、引き摺りトルクの低減を図り、燃費の悪化を抑制できるビスカスカップリングを提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明のビスカスカップリングは、円筒部材と、前記円筒部材と相対回転可能に同軸に配置された軸部材と、前記円筒部材と前記軸部材との間で形成され、粘性流体が充填される作動室と、前記作動室に配置され、前記円筒部材と一体に回転する複数のアウタープレートと、前記アウタープレートと交互に配置されて前記軸部材と一体に回転する複数のインナープレートと、を備えたビスカスカップリングであって、前記アウタープレートは、開放された内端から径方向外側に指向する複数のスリットと、前記各スリットの外端に接する仮想円よりも径方向外側に位置し、周方向に延びている長孔と、を備えていることを特徴とする。
前記発明によれば、長孔が仮想円よりも径方向外側に位置していることから、アウタープレートがインナープレートに対して相対回転かつ逆転する場合、スリットの外端から排出される空気が長孔に入り難い。このため、せん断面上に介在するシリコーンオイルの量が低減し、引き摺りトルクが低減する。
また、周方向に延びる長孔であるため、シリコーンオイルが入り込む量が低減することを防止できるため、アウタープレートがインナープレートに対し相対回転かつ逆転する場合以外に、正転時においても、引き摺りトルクの低減を図ることができる。
また、周方向に延びる長孔であるため、シリコーンオイルが入り込む量が低減することを防止できるため、アウタープレートがインナープレートに対し相対回転かつ逆転する場合以外に、正転時においても、引き摺りトルクの低減を図ることができる。
前記発明において、前記長孔は、前記各スリットの延長領域の間に位置していることが好ましい。
前記構成によれば、各スリットの外端側の剛性を確保でき、スリットの外端を起点とする変形を抑制できる。
前記発明において、前記長孔における径方向の幅の中心は、前記アウタープレートのスプラインの小径と前記仮想円との中間よりも径方向外側に位置していることが好ましい。
前記構成によれば、アウタープレートがインナープレートに対して相対回転かつ逆転する場合、長孔に空気が入るおそれがさらに低減する。よって、引き摺りトルクを確実に低減でき、燃費の向上を図ることができる。
本発明によれば、引き摺りトルクの低減を図り、燃費の悪化を抑制できるビスカスカップリングを提供することができる。
本実施形態のビスカスカップリング(粘性継手)1は、自動車の推進軸と終減速装置との間に設けられている。
図1に示すように、ビスカスカップリング(粘性継手)1は、円筒部材2と、カバー3と、軸部材4と、複数のアウタープレート5と、複数のインナープレート6と、を備えている。
また、特に図示しないが、本実施形態のビスカスカップリング1は、円筒部材2が推進軸に連結し、軸部材4が終減速装置のドライブピニオンシャフトに連結している。
図1に示すように、ビスカスカップリング(粘性継手)1は、円筒部材2と、カバー3と、軸部材4と、複数のアウタープレート5と、複数のインナープレート6と、を備えている。
また、特に図示しないが、本実施形態のビスカスカップリング1は、円筒部材2が推進軸に連結し、軸部材4が終減速装置のドライブピニオンシャフトに連結している。
円筒部材2の内周には、アウタープレート5の外縁とスプライン結合する孔スプライン7と、孔スプライン7の後側に位置し孔スプライン7よりも大径のカバー嵌合部8と、孔スプライン7の前側に位置し孔スプライン7よりも小径の軸部材支持部9と、が形成されている。
軸部材支持部9は、軸部材4を支持するための部位である。また、軸部材支持部9と軸部材4との間には軸受10が介設されている。よって、軸部材支持部9は、軸受10を介して軸部材4を相対回転可能に支持している。
軸部材4の軸心O方向中程には、軸部材4の外周面13A,13Bよりも大径であってインナープレート6の内縁とスプライン結合する軸スプライン12が形成されている。
なお、円筒部材2の軸部材支持部9の後側には、シール部材11が介設されている。よって、軸スプライン12よりも他端側で、円筒部材2に遊嵌される外周面13Bがシールされている。
軸部材4の軸心O方向中程には、軸部材4の外周面13A,13Bよりも大径であってインナープレート6の内縁とスプライン結合する軸スプライン12が形成されている。
なお、円筒部材2の軸部材支持部9の後側には、シール部材11が介設されている。よって、軸スプライン12よりも他端側で、円筒部材2に遊嵌される外周面13Bがシールされている。
カバー3は、円筒部材2の後側開口部2aを閉塞するようにカバー嵌合部8に内嵌し、サークリップ14によって抜け止めされている。カバー3と軸部材4の一端側の外周面13Aとの間には、軸受15とシール部材16が介設されている。また、カバー3とカバー嵌合部8との間にはOリング17が介設されている。
円筒部材2とカバー3と軸部材4とに囲まれて環状の作動室18が構成される。
作動室18には、円筒部材2と一体に回転するアウタープレート5と、軸部材4と一体に回転するインナープレート6とが、軸心O方向に交互に積層配置されたうえで、粘性流体としてシリコーンオイルが封入されている。
カバー3には、シリコーンオイルを充填するための充填孔19が形成されているとともに、シリコーンオイルの充填時に作動室18内の空気を外部に逃がすための空気抜き孔20が形成されている。
充填孔19には雌ねじが螺設されており、シリコーンオイルの充填後、充填孔19はボルト21により閉じられ、空気抜き孔20はボール22が圧入されることで閉じられる。作動室18には、所定量のシリコーンオイルが充填され、残りの空間には空気が存在することとなる。
作動室18には、円筒部材2と一体に回転するアウタープレート5と、軸部材4と一体に回転するインナープレート6とが、軸心O方向に交互に積層配置されたうえで、粘性流体としてシリコーンオイルが封入されている。
カバー3には、シリコーンオイルを充填するための充填孔19が形成されているとともに、シリコーンオイルの充填時に作動室18内の空気を外部に逃がすための空気抜き孔20が形成されている。
充填孔19には雌ねじが螺設されており、シリコーンオイルの充填後、充填孔19はボルト21により閉じられ、空気抜き孔20はボール22が圧入されることで閉じられる。作動室18には、所定量のシリコーンオイルが充填され、残りの空間には空気が存在することとなる。
以上により、車両の前輪が空転するなどしてアウタープレート5とインナープレート6との間に回転数差が生じたとき、両プレート間のシリコーンオイルにせん断力が生じるので、アウタープレート5とインナープレート6との間で動力が伝達され、後輪に動力が伝達される。
図2に示すように、アウタープレート5には、内端が開放し、径方向外側に指向する複数のスリット23が円周方向に等間隔で形成されている。
スリット23は、軸心Oとスリット23の内端23Aとを通る径方向線R1に対して一方の回転方向であるQ方向(図2における反時計回り方向)側に傾斜角度θ1をなすように形成されている。
なお、本実施形態のスリット23は直線状に形成されているが、本発明はこれに限定されず曲線状に形成してもよい。
アウタープレート5の外縁寄りには、表裏を貫通する複数の長孔25が円周方向に等間隔で形成されている。
本実施形態の長孔25は、周方向に隣り合う2つのスリット23の延長領域L(図2のドットで塗られた範囲を参照)の間に位置している。つまり、長孔25の周方向の端部は、各スリット23の延長領域Lと重ならないようになっている。これにより、アウタープレート5の外周部分において、スリット23の延長領域L部分の剛性が確保され、スリット23の外端23Bを起点として変形することが防止される。長孔25の詳細については後述する。
スリット23は、軸心Oとスリット23の内端23Aとを通る径方向線R1に対して一方の回転方向であるQ方向(図2における反時計回り方向)側に傾斜角度θ1をなすように形成されている。
なお、本実施形態のスリット23は直線状に形成されているが、本発明はこれに限定されず曲線状に形成してもよい。
アウタープレート5の外縁寄りには、表裏を貫通する複数の長孔25が円周方向に等間隔で形成されている。
本実施形態の長孔25は、周方向に隣り合う2つのスリット23の延長領域L(図2のドットで塗られた範囲を参照)の間に位置している。つまり、長孔25の周方向の端部は、各スリット23の延長領域Lと重ならないようになっている。これにより、アウタープレート5の外周部分において、スリット23の延長領域L部分の剛性が確保され、スリット23の外端23Bを起点として変形することが防止される。長孔25の詳細については後述する。
図3に示すように、インナープレート6には、外端が開放し、径方向内側に指向する複数のスリット24が円周方向に等間隔で形成されている。スリット24は、軸心Oとスリット24の内端24Aとを通る径方向線R2に対して他方の回転方向であるP方向(図3における時計回り方向)側に傾斜角度θ2をなすように形成されている。
なお、本実施形態のスリット24は、直線状に形成されているが、本発明はこれに限定されず曲線状に形成してもよい。
なお、本実施形態のスリット24は、直線状に形成されているが、本発明はこれに限定されず曲線状に形成してもよい。
図4は、アウタープレート5とインナープレート6とを組み付けた状態を示しており、車両の前進時に両プレートはP方向に回転する。
アウタープレート5とインナープレート6との回転速度が同一の場合、シリコーンオイルには、せん断力が発生しないため、円筒部材2と軸部材4との間で、トルクの伝達は行われない。
アウタープレート5とインナープレート6との回転速度が同一の場合、シリコーンオイルには、せん断力が発生しないため、円筒部材2と軸部材4との間で、トルクの伝達は行われない。
なお、アウタープレート5とインナープレート6との回転速度が同一であっても、ビスカスカップリング1自体が回転しているため、作動室18内のシリコーンオイルには遠心力が作用している。よって、シリコーンオイルが全体的に径方向外側に移動し、その分、空気が径方向内側に移動している。
一方で、アウタープレート5の回転数は副変速装置の出力軸と同じで、インナープレート6の回転数は終減速装置のドライブピニオンギヤと同じであり、副変速装置および終減速装置のギヤ比の設定により、通常走行時における両プレートの回転数をほぼ一致させているが、完全に一致させることはほぼ不可能であり、両プレートが相対回転することがある。
アウタープレート5がインナープレート6に対して相対回転する場合、アウタープレート5はインナープレート6に対してP方向に相対回転(正転)する。
この回転に伴ってスリット23とスリット24との交差領域40は径方向内側から径方向外側に向けて移行するので、交差領域40のシリコーンオイルが径方向外側に押し遣られる(図4の矢印A1参照)。これにより、シリコーンオイルは全体的に径方向外側に移動し、その分、空気が径方向内側に移動する。
この回転に伴ってスリット23とスリット24との交差領域40は径方向内側から径方向外側に向けて移行するので、交差領域40のシリコーンオイルが径方向外側に押し遣られる(図4の矢印A1参照)。これにより、シリコーンオイルは全体的に径方向外側に移動し、その分、空気が径方向内側に移動する。
これに対し、インナープレート6の方がアウタープレート5よりも回転数が大きいと、アウタープレート5はインナープレート6に対してQ方向に相対回転(逆転)する。
この回転に伴って交差領域40は径方向外側から径方向内側に向けて移行するので、交差領域40のシリコーンオイルが径方向内側に押し遣られる(図4の矢印A2参照)。これにより、シリコーンオイルは全体的に径方向内側に移動し、その分、空気が径方向外側に移動する。
この回転に伴って交差領域40は径方向外側から径方向内側に向けて移行するので、交差領域40のシリコーンオイルが径方向内側に押し遣られる(図4の矢印A2参照)。これにより、シリコーンオイルは全体的に径方向内側に移動し、その分、空気が径方向外側に移動する。
なお、以下において、交差領域40のシリコーンオイルが径方向外側又は内側に押し遣られることによってシリコーンオイルが移動することを単に「掻き出し作用」という場合がある。
ここで、本実施形態のアウタープレート5は、外周縁側に長孔25が形成されており、この長孔25にシリコーンオイルが入り込むようになっている。
言い換えると、アウタープレート5とインナープレート6との間(以下「せん断面上」という)に介在するシリコーンオイルの量が低減する一方で、その分、せん断面上に空気が分散するようになる。よって、シリコーンオイルに作用するせん断力が減り、伝達トルクも低減する。
以上から、アウタープレート5とインナープレート6とが正転状態となり、シリコーンオイルが径方向外側に移動した状態では、引き摺りトルクを低減できる。
言い換えると、アウタープレート5とインナープレート6との間(以下「せん断面上」という)に介在するシリコーンオイルの量が低減する一方で、その分、せん断面上に空気が分散するようになる。よって、シリコーンオイルに作用するせん断力が減り、伝達トルクも低減する。
以上から、アウタープレート5とインナープレート6とが正転状態となり、シリコーンオイルが径方向外側に移動した状態では、引き摺りトルクを低減できる。
一方で、本発明者は、従来のアウタープレート5とインナープレート6とが逆転状態となって、空気が径方向外側に移動するときの引き摺りトルクについて試験を重ね、引き摺りトルクが以下のメカニズムで発生していることが判った。
図5は、従来のアウタープレート105を示している。アウタープレート105には、表裏を貫通する円形状の孔125が形成されている。孔125は、各スリット123の間に位置しており、スリット123の外端123Bに接する仮想円C1と重なるように形成されている。
このような従来の構成において、アウタープレート105がインナープレート(不図示)に対してQ方向に相対回転(逆転)すると、上記した掻き出し作用により、スリット123内のシリコーンオイルは径方向内側に移動する(矢印D1参照)。
一方で、ビスカスカップリング1自体の回転により、シリコーンオイルに遠心力が作用している。よって、アウタープレート5の内側にあるシリコーンオイルは、スリット123を介して、径方向外側に移動する(矢印D2参照)。
空気は、逆転時において径方向外側に移動するところ、遠心力により径方向外側に流れるシリコーンオイルに同伴しながら、スリット123内を径方向外側に移動する(矢印D2参照)。
一方で、ビスカスカップリング1自体の回転により、シリコーンオイルに遠心力が作用している。よって、アウタープレート5の内側にあるシリコーンオイルは、スリット123を介して、径方向外側に移動する(矢印D2参照)。
空気は、逆転時において径方向外側に移動するところ、遠心力により径方向外側に流れるシリコーンオイルに同伴しながら、スリット123内を径方向外側に移動する(矢印D2参照)。
また、アウタープレート105が相対回転(逆転)し、せん断面上のシリコーンオイルがQ方向に流動している。よって、スリット123の外端125Bから排出されたシリコーンオイルは、Q方向に移動する。
ここで、スリット123の外端125Bの周方向(Q方向)に孔125が配置されている。よって、外端125Bから排出されたシリコーンオイル及び空気は、Q方向に移動して、孔125内を一旦入り込み(矢印D3参照)、その後、Q方向のスリット123内に入り込むようになっていた(矢印D4参照)。
言い換えると、従来の構成によれば、シリコーンオイルがスリット123及び孔125を介して循環するようになっていた。
ここで、スリット123の外端125Bの周方向(Q方向)に孔125が配置されている。よって、外端125Bから排出されたシリコーンオイル及び空気は、Q方向に移動して、孔125内を一旦入り込み(矢印D3参照)、その後、Q方向のスリット123内に入り込むようになっていた(矢印D4参照)。
言い換えると、従来の構成によれば、シリコーンオイルがスリット123及び孔125を介して循環するようになっていた。
なお、上記したシリコーンオイルの循環については、「ビスカスカップリングの基礎特性に関する研究」 社団法人自動車技術会 学術講演会前刷集 921 1992−5 にも記載されている。
さらに、本発明者は、上記循環する工程において、外端125Bから排出されたシリコーンオイル及び空気が孔125を通過する際、シリコーンオイルは孔125からQ方向側に位置するスリット123内に移動するものの、空気は孔125内に滞留することがわかった。つまり、上記シリコーンオイルの循環によれば、孔125内に空気が滞留するため、アウタープレート5とインナープレート6とのせん断面上に介在するシリコーンオイルの量が増え、引き摺りトルクが増加していたことが分かった。
これに対し、図2に示すように、本実施形態の長孔25は、スリット23の外端23Bに接する仮想円C1よりも径方向外側に位置している。言い換えると、長孔25は、仮想円C1と重ならないようになっている。このため、スリット23の外端23Bから排出されたシリコーンオイル及び空気が、Q方向に移動して長孔25内に入り込み難くなっている。
以上から、スリット23の外端23Bから排出されたシリコーンオイル及び空気は、隣接するQ方向のスリット23に到達しないため、シリコーンオイルの循環が抑制される。この結果、長孔25にシリコーンオイルが入り込む一方で、せん断面上に空気を分散させることができ、逆転時の引き摺りトルクが低減するようになる。
以上から、スリット23の外端23Bから排出されたシリコーンオイル及び空気は、隣接するQ方向のスリット23に到達しないため、シリコーンオイルの循環が抑制される。この結果、長孔25にシリコーンオイルが入り込む一方で、せん断面上に空気を分散させることができ、逆転時の引き摺りトルクが低減するようになる。
また、本実施形態の長孔25は、軸心Oを中心して周方向に延びる円弧状を呈している。ここで、仮に長孔25の形状を円形状とし、かつ、長孔25と同一面積とすると、孔の内縁が仮想円C1に近くなって空気が入り込み、逆転時の引き摺りトルクの低減を図れないおそれがある。
一方で、長孔25の形状を円形状であり、かつ、長孔25の面積よりも小さくすると、正転時の摺りトルクの低減を図ることができない。
以上から、本実施形態の長孔25によれば、逆転時の引き摺りトルクと及び正転時の引き摺りトルクの両方が低減する。
一方で、長孔25の形状を円形状であり、かつ、長孔25の面積よりも小さくすると、正転時の摺りトルクの低減を図ることができない。
以上から、本実施形態の長孔25によれば、逆転時の引き摺りトルクと及び正転時の引き摺りトルクの両方が低減する。
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。
なお、実施形態の長孔25は円弧状となっているが、本発明は、周方向に長ければよく、直線状又は略L字状の長孔であってもよい。
また、実施形態のアウタープレート5のスリット23及びインナープレート6のスリット24は、径方向線R1,R2に対して傾斜しているが、本発明は軸心Oを中心として放射状に延びるスリットでもよい。
なお、実施形態の長孔25は円弧状となっているが、本発明は、周方向に長ければよく、直線状又は略L字状の長孔であってもよい。
また、実施形態のアウタープレート5のスリット23及びインナープレート6のスリット24は、径方向線R1,R2に対して傾斜しているが、本発明は軸心Oを中心として放射状に延びるスリットでもよい。
また、図2に示すように、実施形態の長孔25における径方向の幅Mの中心25Cは、アウタープレート5のスプラインの小径R3と仮想円C1の半径との中間を通る仮想円C2上に位置しているが、本発明はこれに限定されない。
例えば、長孔25における径方向の幅Mの中心25Cが仮想円C2よりも径方向内側に位置してもよい。好ましくは、長孔25における径方向の幅Mの中心25Cが仮想円C2の径方向外側に位置するのがよい。これによれば、長孔25の内縁が仮想円C1から離間し、長孔25に空気が入るおそれをより低減できる。
例えば、長孔25における径方向の幅Mの中心25Cが仮想円C2よりも径方向内側に位置してもよい。好ましくは、長孔25における径方向の幅Mの中心25Cが仮想円C2の径方向外側に位置するのがよい。これによれば、長孔25の内縁が仮想円C1から離間し、長孔25に空気が入るおそれをより低減できる。
1 ビスカスカップリング
2 円筒部材
3 カバー
4 軸部材
5 アウタープレート
6 インナープレート
18 作動室
23 スリット
24 スリット
25 長孔
40 交差領域
105 アウタープレート
123 スリット
125 孔
L 延長領域
2 円筒部材
3 カバー
4 軸部材
5 アウタープレート
6 インナープレート
18 作動室
23 スリット
24 スリット
25 長孔
40 交差領域
105 アウタープレート
123 スリット
125 孔
L 延長領域
Claims (3)
- 円筒部材と、
前記円筒部材と相対回転可能に同軸に配置された軸部材と、
前記円筒部材と前記軸部材との間で形成され、粘性流体が充填される作動室と、
前記作動室に配置され、前記円筒部材と一体に回転する複数のアウタープレートと、
前記アウタープレートと交互に配置されて前記軸部材と一体に回転する複数のインナープレートと、
を備えたビスカスカップリングであって、
前記アウタープレートは、
開放された内端から径方向外側に指向する複数のスリットと、
前記各スリットの外端に接する仮想円よりも径方向外側に位置し、周方向に延びている長孔と、を備えていることを特徴とするビスカスカップリング。 - 前記長孔は、前記各スリットの延長領域の間に位置していることを特徴とする請求項1に記載のビスカスカップリング。
- 前記長孔における径方向の幅の中心は、前記アウタープレートのスプラインの小径と前記仮想円との中間よりも径方向外側に位置していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のビスカスカップリング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017085027A JP2018184965A (ja) | 2017-04-24 | 2017-04-24 | ビスカスカップリング |
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JP (1) | JP2018184965A (ja) |
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2017
- 2017-04-24 JP JP2017085027A patent/JP2018184965A/ja active Pending
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