JP2018184779A - 型枠装置及びこの装置を用いたコンクリート打設方法 - Google Patents

型枠装置及びこの装置を用いたコンクリート打設方法 Download PDF

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Abstract

【課題】新設コンクリート及び既設コンクリートの外壁の保温養生を効率的に行う。【解決手段】型枠装置10は、既設コンクリート1の第1の外壁面部2及び新設コンクリート3の第2の外壁面部4に対向し上下に延びている縦端太11aと、第1の外壁面部2に固定された第2のアンカーボルト15bと、縦端太11aと第2のアンカーボルト15bとを連結している第2のアンカーナット17bと、第1の外壁面部2に対向し縦端太11aに直交する横端太11bと、横端太11bと第1の外壁面部2の間に配置され第1の外壁面部2に対向する第1の樹脂パネル12と、縦端太11aと第2の外壁面部4の間に配置された面板13と、面板13と第2の外壁面部4との間に配置された第2の樹脂パネル14とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、既設コンクリートの上に、新設コンクリートを打設するときに用いる型枠装置及び、この装置を用いたコンクリート打設方法に関する。
例えばダム堤体や、ダム構造物である洪水吐の構築に際し、地山(岩盤)の表面にコンクリートが打設される。コンクリートが打設される表面には、ほぼ鉛直な面や傾斜面等が含まれる。当該表面にコンクリートを打設する場合、打設される表面に対しほぼ平行に型枠を設置して、当該型枠の内側にコンクリートを打設する。
冬期にコンクリートを打設する場合には、コンクリートの初期凍結を防止するために保温養生が必要となる。打設されたコンクリートの外壁面部を養生するために、例えば、特許文献1に開示されているように、型枠にシート状の養生マットを掛ける方法が知られている。この方法によれば、打設されたコンクリートの外壁面部と型枠との間にシート状の養生マットが敷かれ、当該養生マットと外壁面部との間に、アイランプやジェットヒータを設置して熱を加えることができる。
特開2013−238053号公報
しかしながら、シート状の養生マットを設置する作業は、打設されたコンクリートの外壁面上において、反物状に格納されている養生マットを広げる作業が必要となり、養生マットを安定して敷設するために、多くの労力を必要とする。また、ジェットヒータ等の燃料管理を、現地作業員がこまめに行う必要があり、これについても、労力を必要とする。
また、冬期の工事の場合には、既設コンクリートの上に新設コンクリートを打設した直後においても、新設コンクリートの外壁面部を保温養生する必要がある。上記例では、新設コンクリートの型枠が取り外されていない状態では、打設直後の新設コンクリートの外壁面部を養生することが困難になる可能性がある。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたもので、その目的は、打設直後の新設コンクリートの外壁面部の保温養生、及び新設コンクリートを打設する直前に打設された既設コンクリートの外壁面部の保温養生を、効率的に行うことが可能な型枠装置を提供し、打設されるコンクリートの品質を向上することである。
上記の課題を解決するために、本発明に係る型枠装置は、既設コンクリートの上に、新設コンクリートを打設するときに用いられる。当該型枠装置において、前記既設コンクリートは、上下方向に延びている第1の外壁面部を有し、前記新設コンクリートは、前記第1の外壁面部に連続するように上下方向に延びる第2の外壁面部を有しており、前記第1の外壁面部及び第2の外壁面部に対向するように、上下方向に延びている縦部材と、前記第1の外壁面部に取り付けられているアンカー部材と、前記縦部材と前記アンカー部材とを連結している連結部材と、前記第1の外壁面部に対向配置され、前記縦部材に直交するように延びている横部材と、前記横部材と前記第1の外壁面部との間に配置され、前記第1の外壁面部に対向している第1の樹脂パネルと、前記縦部材と前記第2の外壁面部との間に配置されている面板と、前記面板と前記第2の外壁面部との間に配置され、前記面板に取り付けられている第2の樹脂パネルと、を備えていることを特徴とする。
本発明に係るコンクリート打設方法は、前記型枠装置を用いて、前記既設コンクリートの上に、前記新設コンクリートを打設する。当該コンクリート打設方法において、前記既設コンクリートの前記第1の外壁面部に対向するとともに前記縦部材の上端が前記既設コンクリートの上端よりも上方に位置するように、前記縦部材を設置し、前記既設コンクリートの上方に位置する前記縦部材に前記面板を取り付け、前記面板に前記第2の樹脂パネルを取り付けた状態で、前記新設コンクリートを打設し、前記第2の外壁面部から、前記第2の樹脂パネルを剥離し、前記縦部材の上端が前記新設コンクリートの上方に位置するように、前記縦部材を上方に平行移動させ、前記第2の外壁面部と前記縦部材との間に前記第1の樹脂パネルを設置することを特徴とする。
本発明によれば、打設直後の新設コンクリートの外壁面部の保温養生、及び新設コンクリートを打設する直前に打設された既設コンクリートの外壁面部の保温養生を、効率的に行うことが可能となる。
本発明に係る型枠装置の実施形態を示す概略縦断面図であって、既設コンクリートの上に新設コンクリートが打設されている状態を模式的に示している。 図1の新設コンクリートが打設される直前の状態を模式的に示している概略縦断面図である。 図1の新設コンクリートの上に、さらに別のコンクリートを打設する前の状態を模式的に示す概略縦断面図である。
以下、本発明に係る一実施形態について、図面(図1〜図3)を参照して説明する。図1は、本実施形態の型枠装置10を示す概略縦断面図であって、既設コンクリート1の上に新設コンクリート3が打設されている状態を模式的に示している。図2は、図1の新設コンクリート3が打設される直前の状態を模式的に示している概略縦断面図である。図3は、図1の新設コンクリート3の上に、さらに別のコンクリートを打設する前の状態を模式的に示す概略縦断面図である。
本実施形態におけるコンクリートが打設される表面(以下、打設面20と称す。)は、地山(岩盤)のコンクリート施工面であり、本実施形態では、簡略化のため、ほぼ上下方向に延びる打設面20に、コンクリート1,3を打設する例について説明する。
コンクリート1,3を打設する工事は、打設面20における下方のコンクリート施工スパンから、順次、打設面20における上方のコンクリート施工スパンへ、コンクリートを打設していく。以下、当該工事において、本実施形態に係る型枠装置10を用いて、既設コンクリート1の上に新設コンクリート3を打設する作業について説明する。
既設コンクリート1は、図1に示すように、上下方向(略鉛直)に延びている第1の外壁面部2を有している。新設コンクリート3は、既設コンクリート1の上部に配置され、上下方向に延びている第2の外壁面部4を有している。第1の外壁面部2及び第2の外壁面部4は、上下方向に連続し、一つの外壁面を形成している。図1では、第1及び第2の外壁面部2,4は、ほぼ鉛直に延びているが、傾斜する面でもよい。
先ず、既設コンクリート1の上に新設コンクリート3を打設するときに用いる型枠装置10について、図1を参照して説明する。本実施形態の型枠装置10は、型枠本体をなす支持枠11と、パネルフォーム(面板)13と、第1の樹脂パネル12と、第2の樹脂パネル14とを備えている。支持枠11は、縦端太(縦部材)11aと、これに交差する横端太(横部材)11bにより構成される。
縦端太11aは、例えば鋼材により形成された高剛性の部材で、例えば、2つの溝型鋼のフランジ部を相反するように2つの溝型鋼のウェブを配置して縦端太11aとして型枠装置10の骨格を構成する。当該縦端太11aは、既設コンクリート1の第1の外壁面部2に沿って上下方向に延び、第1の外壁面部2及び第2の外壁面部4に対向するように配置されている。型枠装置10は、複数の縦端太11aを有しており、これらの縦端太11aは、水平方向に間隔を空けて、配置されている。本実施形態における縦端太11aは、H型鋼材、I型鋼材または、これらを組合せたものであってもよい。
また、縦端太11aは、貫通部(図示せず)が形成されており、当該貫通部には、後述するアンカーボルト15a〜15dが挿入可能である。各縦端太11aには、貫通部の一部を塞ぐように複数のアンカーナット17a,17b,17cが取り付けられている。例えば、貫通部は貫通孔であって、上下方向に延びる楕円形状であってもよい。
第1のアンカーナット17aの上下方向位置は、例えば既設コンクリート1の下方に配置されるベース部5の外壁面部に対向する位置となる。第2のアンカーナット(連結部材)17bの上下方向位置は、第1の外壁面部2における上部に対向する位置となる。第3のアンカーナット17cの上下方向位置は、第2の外壁面部4における上部に対向する位置となる。なお、図1〜図3では、アンカーナット17a,17b,17cの形状等についての詳細は省略し、これらのアンカーナット17a,17b,17cの位置を模式的に示している。
横端太11bは、第1の外壁面部2に対向配置され、縦端太11aに直交するように水平に延びている部材である。この例の横端太11bは、第1の外壁面部2と縦端太11aとの間に配置され、縦端太11aに取り付けられている。型枠装置10は、複数の横端太11bを有しており、これらの横端太11bは、鉛直方向に間隔を空けて、配置されている。
ベース部5には、第1のアンカーボルト15aが取り付けられている。第1のアンカーボルト15aは、金属製の長尺部材であり、その一部は外壁面部から外部に突出し、他の部分はベース部の内部に埋め込まれている。第1のアンカーボルト15aは、1つの長尺部材でもよいし、2つの部材により構成してもよい。
2つの部材により構成される場合、例えば、第1の部材は、ベース部5の内部に埋め込まれ、先端にねじ穴が設けられており、第2の部材は、第1の部材のねじ穴に取り付けられ、ベース部5の外壁面部から外側に突出するように配置すればよい。互いに着脱可能な2つの部材とすることにより、後述する型枠装置10の移動時に、第2の部材を脱着することで、型枠装置10の移動が容易に行うことができる。
また、ベース部5には、ジャッキ18が取り付けられている。ジャッキ18は、金属製の長尺部材であり、第1のアンカーボルト15aの上方に隣接するように配置され、ベース部5の外壁面部と縦端太11aとの間に延在している。ジャッキ18に係る詳細な構造の説明は省略するが、例えば、ベース部5側と縦端太11a側のそれぞれに配置される2つの部材からなる。
ベース部5側の部材は、例えば、ベース部5の外壁面部に取り付けられる円板状の取付部と、取付部から縦端太11aに向かって延び、ねじ溝が形成されているねじ部と、を有している。縦端太11a側の部材は、縦端太11aに当接している円板状の当接部と、当接部から縦端太11aの内部に挿入される挿入部とを有している。当接部には、ねじ部が螺合するねじ穴が設けられている。
当該ジャッキ18によって、縦端太11aの下部が支持されており、縦端太11aの下部がベース部5に近づくように変形することが抑制される。すなわち、ジャッキ18は、縦端太11aが第2のアンカーボルト15bの周辺を基準として既設コンクリート1側に倒れることを抑制している。
ジャッキ18の長さは、調節可能である。この例では、上記のねじ部がねじ穴に挿入される挿入量によって、長さ調節が可能となる。図1及び図2におけるジャッキ18の長さ、すなわち、当接部と取付部との間の水平方向距離は、横端太11bの厚みと第1の樹脂パネル12の厚みを合わせた厚みに相当する。また、後述するパネルフォーム13の厚みと第2の樹脂パネル14の厚みを合わせた厚みに相当するように調整することもできる。なお、ジャッキ18で、縦端太11aを支持しているときには、第1のアンカーボルト15aを第1の外壁面部2から取り外してもよい。
第1の外壁面部2における上部には、第2のアンカーボルト(アンカー部材)15bが取り付けられている。この例の第2のアンカーボルト15bは、第1のアンカーボルト15aと同様に構成されている。また、後述する第3及び第4のアンカーボルト15c,15dも、第1のアンカーボルト15aと同様に構成されている。
アンカーボルト15a〜15dは、アンカーナット17a〜17cに着脱可能に構成されている。第1のアンカーボルト15aが第1のアンカーナット17aに螺合して連結され、第2のアンカーボルト15bが第2のアンカーボルト15bに螺合して連結されることにより、縦端太11aは、第1の外壁面部2に対して水平方向に間隔を空けた状態で固定される。
第1の樹脂パネル12は、縦端太11aと第1の外壁面部2との間に配置され、第1の外壁面部2に対向している。この例では、第1の樹脂パネル12は、木製の横端太11bと第1の外壁面部2との間に配置され、第1の樹脂パネル12の一方の面は第1の外壁面部2に当接し、反対側の面は横端太11bによって支持されている。第1の樹脂パネル12は、保温性を有する板状の部材であって、上下に並ぶ少なくとも2本の横端太11bを跨ぐように上下方向に延びている。
第1の樹脂パネル12によって既設コンクリート1の第1の外壁面部2が覆われることにより、既設コンクリート1を保温養生することができる。すなわち、第1の樹脂パネル12は断熱性を有しており、第1の外壁面部2を覆うことによって第1の外壁面部2と外気との間の熱交換を抑制することができる。
第1の樹脂パネル12は、断熱性や保温性を有していればよく、軽量であることが望ましい。第1の樹脂パネル12はコンクリート打設後に、硬化後の既設コンクリート1を覆うものなので、強度(面剛性)を要求されない。この例における第1の樹脂パネル12は、発砲スチロール板である。
パネルフォーム13は、縦端太11aと第2の外壁面部4との間に配置されている金属製の板状の部材である。パネルフォーム13の一方側(打設面20に対向する側)のパネル面は、第2の外壁面部4に対向し、反対側のパネル面は、縦端太11aに取り付けられている。例えば、パネルフォーム13は、縦端太11aに対する脱着を容易にするため、少なくとも縦端太11aの延在方向(上下方向)に、複数のパネル材13aに分割されている。なお、上下に隣接するパネル材13aの上端と下端は互いに接していることで、新設コンクリート3の打設時にコンクリート型枠として機能する。なお、使用されるパネル材13aは水平方向又は鉛直方向に延びている形状であることが好ましい。
第2の樹脂パネル14は、パネルフォーム13と第2の外壁面部4との間に配置されている板状の部材である。また、第2の樹脂パネル14は、第1の樹脂パネル12の上方に配置されている。この例では、第2の樹脂パネル14と第1の樹脂パネル12の上下方向間には、例えば樹脂製の仕切板19が配置され、境界が設定されている。なお、仕切板19を配置せずに、第2の樹脂パネル14を代用してもよく、第1の樹脂パネル12及び第2の樹脂パネル14を上下に連続するように配置してもよい。
第2の樹脂パネル14は、新設コンクリート3を打設する前、すなわち、第2の外壁面部4が形成される前に、パネルフォーム13に取り付けられる。第2の樹脂パネル14がパネルフォーム13に取り付けられて一体化された状態で、新設コンクリート3が打設される。打設により形成された第2の外壁面部4は、第2の樹脂パネル14に密着する。第2の樹脂パネル14はパネルフォーム13と一体となって1つの構造体を構成するため、第2の樹脂パネル14は、保温性を有するがパネルフォーム13が金属製(例えば、鋼製)であり強度を有しているので、新設コンクリート3の打設時の型枠としての強度は必要ない。第2の樹脂パネル14とパネルフォーム13が一体となった1つの構造体として、打設型枠としての必要な強度は、パネルフォーム13が担い、打設されたコンクリートの養生に必要な保温性は第2の樹脂パネル14が担う。
第2の樹脂パネル14は、一例として、所定の保温性(断熱性)を有する樹脂材料により形成された1枚の板材としてもよい。第2の樹脂パネル14の保温性を向上させるために、当該1枚の板材の内部に空気層を形成してもよい。また、別の例として、所定の間隔を空けて2枚の樹脂製の板材を配置し、これらの板材の間にリブ等を配置して、2枚の板材の間に空間を形成し、保温性を向上させるような構造体でもよい。または、保温性を高めるための空間を形成するために、2枚の板材の間にハニカム構造体を配置してもよい。
続いて、上記の型枠装置10を用いて既設コンクリート1の上に、新設コンクリート3を打設する手順について説明する。
先ず、新設コンクリート3を打設する直前における既設コンクリート1及び型枠装置10の状態について説明する。図2に示すように、ベース部5には第1のアンカーボルト15a及びジャッキ18が取り付けられ、既設コンクリート1の第1の外壁面部2の上部には、第2のアンカーボルト15bが取り付けられている。
第1のアンカーボルト15aは、縦端太11aに取り付けられた第1のアンカーナット17aに螺合されることにより取り付けられている。また、第2のアンカーボルト15bは、縦端太11aに取り付けられた第2のアンカーナット17bに螺合されることにより取り付けられている。ジャッキ18は、横端太11bの厚みと第1の樹脂パネル12の厚みを合わせた厚みに相当する長さに調整されている。これにより、縦端太11aは、第1の外壁面部2に対向して水平方向に間隔を空けた状態で、第1の外壁面部2に固定される。
このときの縦端太11aの上端は、既設コンクリート1の上端よりも上方に配置され、縦端太11aの下端は、既設コンクリート1の下方のベース部5の付近に配置されている。このときの第1の外壁面部2は、横端太11bによって支持された第1の樹脂パネル12によって覆われている。
既設コンクリート1の上方に位置する縦端太11aの打設面20側(図1の右側)には、パネルフォーム13が取り付けられ、パネルフォーム13の打設面20側には、第2の樹脂パネル14が表裏一体となるように取り付けられている。また、新設コンクリート3の打設前に、縦端太11aの第3のアンカーナット17cに、第3のアンカーボルト15cを取り付けておく。第3のアンカーナット17cは、第2のアンカーナット17bよりも上方に配置されている。このときの第3のアンカーボルト15cは、第2の樹脂パネル14に対して打設面20側に突出している。
この状態で、新設コンクリート3を打設する。これにより、第3のアンカーボルト15cの一部は第2の外壁面部4から外部(打設面20の反対側)に突出し、他の部分は第2の外壁面部4の内部(打設面20側)に埋め込まれた状態となる。また、新設コンクリート3が打設されたとき、第2の外壁面部4は、第2の樹脂パネル14で覆われている状態となる。これにより、第2の外壁面部4は、新設コンクリート3の打設直後から、保温養生される。
なお、本実施形態では、新設コンクリート3の打設前に、縦端太11aの第3のアンカーナット17cに、第3のアンカーボルト15cを取り付けているが、これに限らない。新設コンクリート3の打設後に、第2の外壁面部4の上部に第3のアンカーボルト15cを取り付けて、その後、第3のアンカーボルト15cを第3のアンカーナット17cに取り付けてもよい。
新設コンクリート3が打設された後、所定の期間、養生させる。その後、パネルフォーム13及び第2の樹脂パネル14を、第2の外壁面部4から剥離し、第2の外壁面部4の汚れを除去する。その後、ベース部5の第1のアンカーボルト15aを第1のアンカーナット17aから取り外し、第2のアンカーボルト15bを第2のアンカーナット17bから取り外し、第3のアンカーボルト15cを第3のアンカーナット17cから取り外し、さらに第1のアンカーボルト15aに隣接するジャッキ18を取り外して、縦端太11aの固定を解除する。縦端太11aの固定が解除され後に、縦端太11aと横端太11bを、例えば牽引装置や揚重装置によって、上方に平行移動させる。
図示による詳細な説明は省略するが、牽引装置は、例えば、新設コンクリート3の上部に設置されている牽引部と縦端太11aの上部とを連結するワイヤを有しており、当該ワイヤの長さを短縮することにより、縦端太11a及び横端太11bを上方に引き上げるように構成されている。揚重装置は、例えば移動式のクレーン等を使用することができる。
図3に示すように、牽引装置による牽引作業を行うことにより、縦端太11a及び横端太11bは、第1及び第2の外壁面部2,4に沿って上方に平行移動され、縦端太11aの上端は、新設コンクリート3の上端よりも上方に配置される。この状態で、第1のアンカーナット17aを第2のアンカーボルト15bに取り付け、第2のアンカーナット17bを第3のアンカーボルト15cに取り付けて、縦端太11aを固定する。このとき、第2のアンカーボルト15bの上方に隣接するようにジャッキ18を取り付ける。第2のアンカーボルト15bに隣接するジャッキ18により、縦端太11aの下部が第1の外壁面部2に近づくような変形が抑制される。
さらに、縦端太11aの上部の第3のアンカーナット17cに、第4のアンカーボルト15dを取り付けておく。また、第1のアンカーボルト15aをベース部5から取り外す。このとき当該取外しによってベース部5の外壁面部に形成された穴を埋めておくとよい。
その後、第1の樹脂パネル12によって第2の外壁面部4を覆い、横端太11bで第1の樹脂パネル12を支持する。これにより、新設コンクリート3の上にさらに別のコンクリート(図示せず)を打設し、保温養生が完了するまでの間、第2の外壁面部4は第1の樹脂パネル12によって保温養生される。
以上の手順により、既設コンクリート1の上に新設コンクリート3を打設し、さらに、新設コンクリート3の上に別のコンクリートを打設する前までの手順が完了する。これらの作業を繰り返し、コンクリートを順次打設する。
以上の説明から分かるように本実施形態によれば、打設直後や新設のコンクリートの外壁面部における保温養生を効率的に行うことが可能となる。さらに、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、新設コンクリート3の第2の外壁面部4には、第2の樹脂パネル14が当接し、パネルフォーム13は第2の外壁面部4に直接的に接していない。すなわち、第2の樹脂パネル14は、従来のパネルフォームの代替材としての機能を有している。
よって、本実施形態のパネルフォームの板厚を、従来よりも薄くして、パネルフォームに第2の樹脂パネル14を取り付けることができる。その結果、型枠装置10の全体の重量を低減することが可能となる。また、上記したように、第2の樹脂パネル14の内部に空間を設けるように構成することで、保温性を高めるとともに、第2の樹脂パネル14を軽量化することが可能となる。その結果、さらに、装置全体をさらに軽量化することが可能となる。
また、新設コンクリート3の第2の外壁面部4がパネルフォーム13に当接していると、金属製(例えば、鋼製)のパネルフォーム13の錆びなどの影響により新設コンクリート3の表面に汚れが顕在する場合、または、パネルフォーム13にコンクリートが残存する場合がある。そのため、新設コンクリート3の打設後に型枠装置10を取り外した後に、第2の外壁面部4の表面の汚れ等を除去して平滑化するために、サンダー等によるケレン作業を行う必要がある。
これに対して、本実施形態によれば、第2の樹脂パネル14が第2の外壁面部4に当接している。樹脂材料からなる第2の樹脂パネル14は、金属材料からなるパネルフォーム13に比べて、コンクリート表面からの剥離性能が高い。そのため、型枠装置10を取り外した直後に第2の外壁面部4に付着している汚れは、軍手を着用した作業者の手で払う作業または流水を吹き付けることにより、容易に除去される。
その結果、上記のケレン作業を行う必要がないため、型枠装置10を取り外した後の作業負荷が削減できる。また、剥離剤等を用いる必要がないため、建設コストが低下し、さらに、ダムの設置現場に対する環境負荷も低減する。
また、樹脂材料からなる第2の樹脂パネル14は、金属材料からなるパネルフォーム13に比べて、保温性能を向上させることができる。そのため、パネルフォーム13が第2の外壁面部4に当接する場合に比べて、第2の樹脂パネル14が第2の外壁面部4に当接する本実施形態の構造では、打設直後から、第2の外壁面部4の表面温度を、所定値を下回らないようにすることができる。
例えば、冬期おける寒中コンクリート対策として必要な表面温度を確保する必要がある。例えば、当該表面温度を5℃程度に保つことが好ましい。冬期のコンクリート施工において、第2の樹脂パネル14を用いることによって第2の外壁面部4の表面温度が5℃を下回ることがないように、第2の外壁面部4を保温することが可能となる。その結果、ジェットヒータ等を設置する必要がないため、燃料コストの削減や、燃料充填の管理作業等の省力化が可能となる。
一方で、ダム等の工事では、縦端太11aや横端太11bを早期に外すことが多いため、脱型直後の外壁面部は十分に養生されていないことがある。当該打設作業において、例えば、1日目に図1の既設コンクリート1を打設して、翌日を養生日とし、3日目に新設コンクリート3を打設する場合、新設コンクリート3の打設の直前に打設された既設コンクリート1は、最大でも2日間しか養生できず、その後の既設コンクリート1は空気中に曝されることになる。このような状況では、コンクリート表面の温度変化等に起因して既設コンクリート1と新設コンクリート3の境界において、反り等によるひび割れが発生する可能性がある。
これに対して、本実施形態によれば、新設コンクリート3を打設するときには、既設コンクリート1の第1の外壁面部2は、第1の樹脂パネル12によって覆われている。また、新設コンクリート3の上にさらに別のコンクリートを打設するときに、新設コンクリート3の第2の外壁面部4は第1の樹脂パネル12で覆われている。このため、新たに打設する新設コンクリート3の直下にある既設コンクリート1の養生期間を、従来に比べて長く設定することが可能となる。これにより、既設コンクリート1と新設コンクリート3の境界付近も保温養生することが可能となる。その結果、保温性が高まり、上記の反り等によりひび割れが発生することを抑制することが可能となる。
なお、本実施形態において、新設コンクリート3のコンクリートを打設して型枠装置10を上方に移動する際、新設コンクリート3の第2の外壁面部4に接して養生する樹脂パネルは、第2の樹脂パネル14から第1の樹脂パネル12に盛替えされる。この盛替作業はコンクリートの硬化後から8〜48時間以降に行われる場合が多い。コンクリートは打設から5日間程度は確実に保温養生することが望ましく、硬化後の8〜48時間以降が特に重要となる。したがって第1の樹脂パネル12の保温性能が、第2の樹脂パネル14の保温性能と比べて高いことが好ましい。該構成をとることで、打設されるコンクリートの品質が向上する。例えば、第1の樹脂パネル12を第2の樹脂パネル14より厚くすることで、保温性能は高くすることができる。第1の樹脂パネル12の厚さを第2の樹脂パネル14の厚さより大きくすることで、横端太11bは、パネルフォーム13の厚さに比べて薄くすることが必要となる。
また、第1の樹脂パネル12を軽量の板材とし、横端太11bで支持しているため、シート状の養生マットに比べ、設置が容易である。
尚、図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
1 既設コンクリート
2 第1の外壁面部
3 新設コンクリート
4 第2の外壁面部
5 ベース部
10 型枠装置
11 支持枠
11a 縦端太(縦部材)
11b 横端太(横部材)
12 第1の樹脂パネル
13 パネルフォーム(面板)
13a パネル材
14 第2の樹脂パネル
15a 第1のアンカーボルト
15b 第2のアンカーボルト(アンカー部材)
15c 第3のアンカーボルト
15d 第4のアンカーボルト
17a 第1のアンカーナット
17b 第2のアンカーナット(連結部材)
17c 第3のアンカーナット
18 ジャッキ
19 仕切板
20 打設面

Claims (2)

  1. 既設コンクリートの上に、新設コンクリートを打設するときに用いる型枠装置において、
    前記既設コンクリートは、上下方向に延びている第1の外壁面部を有し、前記新設コンクリートは、前記第1の外壁面部に連続するように上下方向に延びる第2の外壁面部を有しており、
    前記第1の外壁面部及び第2の外壁面部に対向するように、上下方向に延びている縦部材と、
    前記第1の外壁面部に取り付けられているアンカー部材と、
    前記縦部材と前記アンカー部材とを連結している連結部材と、
    前記第1の外壁面部に対向配置され、前記縦部材に直交するように延びている横部材と、
    前記横部材と前記第1の外壁面部との間に配置され、前記第1の外壁面部に対向している第1の樹脂パネルと、
    前記縦部材と前記第2の外壁面部との間に配置されている面板と、
    前記面板と前記第2の外壁面部との間に配置され、前記面板に取り付けられている第2の樹脂パネルと、
    を備えていることを特徴とする型枠装置。
  2. 請求項1に記載の型枠装置を用いて、前記既設コンクリートの上に、前記新設コンクリートを打設するコンクリート打設方法において、
    前記既設コンクリートの前記第1の外壁面部に対向するとともに前記縦部材の上端が前記既設コンクリートの上端よりも上方に位置するように、前記縦部材を設置し、
    前記既設コンクリートの上方に位置する前記縦部材に前記面板を取り付け、前記面板に前記第2の樹脂パネルを取り付けた状態で、前記新設コンクリートを打設し、
    前記第2の外壁面部から、前記第2の樹脂パネルを剥離し、
    前記縦部材の上端が前記新設コンクリートの上方に位置するように、前記縦部材を上方に平行移動させ、
    前記第2の外壁面部と前記縦部材との間に前記第1の樹脂パネルを設置することを特徴とするコンクリート打設方法。
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