JP2018184632A - 焼結金属材並びにこの焼結金属材を備えた焼結金属複合材、及び焼結金属材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高密度でありながら異種材との間で優れた接合強度を示し得る焼結金属材、並びにこの焼結金属材と異種材との複合材を提供する。【解決手段】本発明に係る焼結金属材は、金属粉末と、粉末状潤滑剤とを含む原料粉末を圧縮成形し、焼結することで得られる。ここで使用される粉末状潤滑剤の平均粒径は50μmを超え、かつ粉末状潤滑剤の分解温度は焼結温度よりも低い。【選択図】図2

Description

本発明は、焼結金属材並びにこの焼結金属材を備えた焼結金属複合材、及び焼結金属材の製造方法に関する。
周知のように、粉末冶金は、金型のプレスにより金属粉末を所定の形状に圧縮成形し、焼結することで、複雑な形状の部品をニアネットシェイプで大量に製造可能な技術であり、この技術によって得られた焼結金属材は様々な分野に使用されている。特に、自動車分野への採用が拡大しつつある。自動車分野への採用に際しては、焼結金属材の機械的特性の向上が不可欠であることから、いわゆる高密度焼結金属材が好適に採用されている。
また、近年では、自動車部品の軽量化が求められており、その実現のために、焼結金属材と樹脂材などの軽量材(焼結金属材とは異なる材質の異種材)との複合化が検討されている。複合化するための手法として、例えばインサート成形や接着などが検討されている。
具体的には、特許文献1に記載されているように、焼結金属材の表面に存在する空孔を利用したアンカー効果により、焼結金属材と樹脂材とを複合化することが提案されている。また、この際、特許文献1には、上記空孔の大きさや割合を最適化する手段として、市焼結金属材の原料粉末となる金属粒子の粒子径や焼結金属の密度(後述する相対密度)、サイジング金型の寸法、成形圧力、あるいは焼結温度を調整することが記載されている。
特開2003−239976号公報
特許文献1に記載された技術は、焼結金属材の相対密度が比較的低い場合には有効である。焼結金属材の表面に存在する空孔の数が多いほど、あるいは空孔が大きいほど上述したアンカー効果が高まるためである。その一方で、相対密度が比較的高い焼結金属材の場合、表面の空孔数が少なく、あるいは空孔が小さいために上述のアンカー効果を十分に享受できない可能性が高い。これでは、高密度の焼結金属材に特許文献1に記載の複合化技術を適用することは難しい。空孔を大きくするためには焼結金属材の原料粉末となる金属粉末の粒径を大きくする必要があるが、そうすると、焼結金属材の強度低下を招くおそれがある。空孔の数(単位面積当たりに占める空孔の割合)を増やすためには圧縮成形時の圧縮量を小さくすること等によって焼結金属材の相対密度を下げる必要があるが、この場合も、焼結金属材の強度低下を招くおそれが生じる。
以上の実情に鑑み、本発明では、高密度でありながら異種材との間で優れた接合強度を示し得る焼結金属材、並びにこの焼結金属材と異種材との複合材を提供することを解決すべき技術課題とする。
前記課題の解決は、本発明に係る焼結金属材によって達成される。すなわち、この焼結金属材は、金属粉末と、粉末状潤滑剤とを含む原料粉末を圧縮成形し、焼結することで得られる焼結金属材において、粉末状潤滑剤の平均粒径が50μmを超え、かつ粉末状潤滑剤の分解温度が焼結温度よりも低い点をもって特徴付けられる。
本発明者らは、従来、圧粉成形時に良好な潤滑性を得る目的で原料粉末に添加されることのある固体潤滑剤に着目し、固体潤滑剤として粉末状のものを使用した際にその粒径並びに材質によっては、焼結金属材の表面に形成される空孔の数あるいは大きさを制御し得ることを見出した。具体的には、上述のように、平均粒径が50μmを超え、分解温度が焼結温度よりも低い粉末状潤滑剤を使用することにより、圧粉成形時における良好な潤滑性を確保しつつ、焼結金属材の表面に形成される空孔の数もしくは大きさを、焼結金属材の相対密度にそれほど影響を及ぼすことなく適宜に調整することができる。言い換えると、相対密度が高い焼結金属材でありながら、その表面に形成される空孔の数を従来に比べて多くすることができ、もしくは空孔の大きさを従来に比べて増大させることができる。よって、上述したアンカー効果を十分に享受して、異種材との接合強度を高めることが可能となる。
また、本発明に係る焼結金属材においては、粉末状潤滑剤の平均粒径が150μm以上であってもよい。
粉末状潤滑剤の平均粒径を150μm以上とすることによって、後述する実験結果からも分かるように、焼結金属材と異種材との接合強度に関し、顕著な向上効果が見られた。よって、上記範囲の平均粒径を示す粉末状潤滑剤を使用することにより、より接合強度に優れた焼結金属材又はその複合材を得ることが可能となる。
また、本発明に係る焼結金属材においては、粉末状潤滑剤の平均粒径が金属粉末の平均粒径よりも小さくてもよい。
粉末状潤滑剤の平均粒径を金属粉末の平均粒径よりも小さくすることにより、好ましくは後述する実験結果より200μm以下にすることにより、従来通りの添加量で圧縮成形時の潤滑性を確保することができ、かつ焼結金属材の表面に形成される空孔が必要以上に粗大化する事態を回避することができる。従って、焼結金属材の強度低下を防ぐことが可能となる。
また、本発明に係る焼結金属材においては、相対密度が重量比で90%以上であってもよい。
本発明に係る焼結金属材によれば、上述の通り、相対密度を高めた場合であっても、表面に形成される空孔の数を従来に比べて多くすることができ、もしくは空孔の大きさを従来に比べて増大させることができる。従って、焼結金属材の相対密度を重量比で90%以上にした場合であっても、表面の空孔を多くあるいは大きくすることができる。よって、焼結金属材自体の強度を確保しつつも、異種材との間で優れた接合強度を発現することが可能となる。
また、本発明に係る焼結金属材においては、原料粉末中に占める粉末状潤滑剤の割合が0.1w%を超えるように設定されていてもよく、好ましくは0.3wt%以上に設定されていてもよい。
また、本発明に係る焼結金属材においては、原料粉末中に占める粉末状潤滑剤の割合が1.5wt%未満に設定されていてもよく、好ましくは1.0wt%以下に設定されていてもよい。
後述する実験結果に示すように、たとえ平均粒径が50μmを超える粉末状潤滑剤を使用した場合であっても、あまりに添加量が少ない場合(0.1wt%以下)には、圧縮成形時の潤滑性が確保できず、安定的に圧粉体を成形することが難しい。また、添加量を必要以上に多くした場合(1.5wt%以上)には、成形及び焼結はできるものの、母材となる焼結金属材の強度が低下し、かつ異種材との接合強度についても低下する結果がみられた。以上より、粉末状潤滑剤の配合割合は0.1wt%を超えかつ1.5wt%未満とするのがよく、0.3wt%以上でかつ1.0wt%以下とするのがより好ましい。
また、以上の説明に係る焼結金属材は、上述した通り、表面に形成される空孔の数を増やして、あるいは空孔を大きくしてアンカー効果を十分に享受し得ることから、例えばこの焼結金属材と、焼結金属材とは異なる材料で形成された異種材とを備え、焼結金属材の表面に設けられた空孔に異種材の一部が入り込んだ状態で焼結金属材と異種材とが一体化されている焼結金属複合材として好適に提供可能である。
あるいは、以上の説明に係る焼結金属材は、例えばこの焼結金属材と、焼結金属材とは異なる材料で形成された異種材と、焼結金属材と異種材との間に配設される接合部とを備え、焼結金属材の表面に設けられた空孔に接合部の一部が入り込んだ状態で焼結材と異種材とが接合部を介して相互に固定されている焼結金属複合材として好適に提供可能である。
また、前記課題の解決は、本発明に係る焼結金属材の製造方法によっても達成される。すなわち、この製造方法は、金属粉末と、粉末状潤滑剤とを混合して、少なくとも金属粉末と粉末状潤滑剤とを含む原料粉末を用意する混合工程と、混合工程で得た原料粉末を圧縮成形し、圧粉体を得る圧粉成形工程と、圧粉成形工程で得た圧粉体を焼結して焼結金属材を得る焼結工程とを備えた焼結金属材の製造方法において、粉末状潤滑剤の平均粒径が50μmを超え、かつ粉末状潤滑剤の分解温度が焼結温度よりも低い点をもって特徴付けられる。
このように、平均粒径が50μmを超え、分解温度が焼結温度よりも低い粉末状潤滑剤を使用することにより、本発明に係る焼結金属材と同様に、圧粉成形時における良好な潤滑性を確保しつつ、焼結金属材の表面に形成される空孔の数もしくは大きさを、焼結金属材の相対密度にそれほど影響を及ぼすことなく適宜に調整することができる。言い換えると、相対密度が高い焼結金属材でありながら、その表面に形成される空孔の数を従来に比べて多くすることができ、もしくは空孔の大きさを従来に比べて増大させることができる。よって、上述したアンカー効果を十分に享受して、異種材との接合強度を高めることが可能となる。
また、本発明に係る焼結金属材の製造方法においては、焼結工程が、圧粉体を、粉末状潤滑剤の分解温度に加熱して粉末状潤滑剤を圧粉体から除去する第一加熱ステップと、粉末状潤滑剤の除去後、圧粉体を焼結温度に加熱して圧粉体を焼結する第二加熱ステップとを有するものであってもよい。
このように焼結工程において二段階の加熱ステップを設けることにより、圧粉体の表面に存在している粉末状潤滑剤を漏れなく確実に除去することができる。よって、その後の第二加熱ステップにおいて焼結温度に圧粉体を加熱することにより、粉末状潤滑剤に準じたサイズの空孔が表面に形成された焼結金属材を安定的に得ることが可能となる。
以上より、本発明によれば、高密度でありながら異種材との間で優れた接合強度を示し得る焼結金属材、並びにこの焼結金属材と異種材との複合材を提供することが可能となる。
本発明の比較例1に係る焼結金属材の表面画像である。 本発明の実施例5に係る焼結金属材の表面画像である。
以下、本発明の一実施形態を具体的な実施例に基づいて説明する。
(試験片の共通する作製条件)
まず原料粉末の主成分となる金属粉末として純鉄粉末を用いると共に、粉末状潤滑剤としてワックス系の潤滑剤を用い、かつこの粉末状潤滑剤とは別に黒鉛粉末を用いて、実施例1〜6、並びに比較例1〜6に係る一次試験片(焼結金属材)を作製した。手順について詳述すると、いずれの一次試験片についても、筒井理化学器械株式会社製のV型混合器で金属粉末と粉末状潤滑剤、及び黒鉛粉末を40分間混合して原料粉末を得た。然る後、合金工具鋼SKD11製の成形金型を使用し、フローティングダイ方式による一軸加圧成形によって、所定形状、ここでは板状の圧粉体を成形した。なお、この際、得られる圧粉体の長手方向寸法は60mm、幅方向寸法は12mm、厚み方向寸法は2mmとした。
上述のようにして得られた圧粉体をプッシャー炉にて1250℃にまで加熱し90分保持した。これにより圧粉体を焼結し、一次試験片(焼結金属材)を作製した。一次試験片の密度は全て7.4g/cm3(相対密度は重量比で94%)とした。
次に、得られた一次試験片に異種材を接合することにより試験片(焼結金属複合材)を作製した。具体的には、ともに板状をなす一次試験片と異種材試験片(ここでは樹脂材としてのナイロン66)を用意し、一次試験片の長手方向一端部と異種材試験片の長手方向一端部を重ね合せて、重ね合せた部分に厚み80μmの熱接着フィルムを介在させた状態で、ホットプレスにより150℃に加熱した。これにより、熱接着フィルムを介して一次試験片と異種材試験片とを相互に固定し、試験片(焼結金属複合材)を作製した。
(試験片の個別の作製条件)
(実施例1)
そして、実施例1〜6のうち、実施例1に係る一次試験片については、粉末状潤滑剤の平均粒径を150μmとし、その添加量(原料粉末に占める粉末状潤滑剤の割合)を0.5wt%とした。
(実施例2)
実施例2に係る試験片については、粉末状潤滑剤の平均粒径を200μmとし、その添加量を0.5wt%とした。
(実施例3)
実施例3に係る試験片については、粉末状潤滑剤の平均粒径を150μmとし、その添加量を0.3wt%とした。
(実施例4)
実施例4に係る試験片については、粉末状潤滑剤の平均粒径を150μmとし、その添加量を1.0wt%とした。
(実施例5)
実施例5に係る試験片については、粉末状潤滑剤の平均粒径を200μmとし、その添加量を0.3wt%とした。
(実施例6)
実施例6に係る試験片については、粉末状潤滑剤の平均粒径を200μmとし、その添加量を1.0wt%とした。
(比較例1)
比較例1に係る試験片については、粉末状潤滑剤の平均粒径を10μmとし、その添加量を0.5wt%とした。
(比較例2)
比較例2に係る試験片については、粉末状潤滑剤の平均粒径を50μmとし、その添加量を0.5wt%とした。
(比較例3)
比較例3に係る試験片については、粉末状潤滑剤の平均粒径を150μmとし、その添加量を0.1wt%とした。
(比較例4)
比較例4に係る試験片については、粉末状潤滑剤の平均粒径を200μmとし、その添加量を0.1wt%とした。
(比較例5)
比較例5に係る試験片については、粉末状潤滑剤の平均粒径を150μmとし、その添加量を1.5wt%とした。
(比較例6)
比較例6に係る試験片については、粉末状潤滑剤の平均粒径を200μmとし、その添加量を1.5wt%とした。
(母材強度の評価)
また、実施例1〜6、比較例1〜6と同一の組成及び条件で円筒状の焼結金属材を作製し、これら円筒状焼結金属材の強度(各試験片の母材強度)を、JIS Z 2507に準拠して実施した圧環強さの測定結果に基づき評価した。この試験は、万能試験機を用いて、ストローク制御で行った。試験時のストローク速度を0.1mm/minとした。ここで圧環強さとは、圧環荷重から一定の方法で求められる円筒状焼結金属材の強度をいい、圧環荷重とは、円筒状焼結金属材を軸に平行な二面で圧縮して割れが生じ始めたときの荷重をいう。
(接合強度の評価)
また、実施例1〜6、比較例1〜6に係る試験片の接合強度を、ISO19095−3に準じたせん断引っ張り試験により測定し、評価した。この試験は、万能試験機を用いて、ストローク制御で行った。試験時のストローク速度を10mm/minとした。
(表面の観察)
また、一部の実施例及び比較例に係る一次試験片(比較例1、実施例5)の表面をデジタルマイクロスコープなどの顕微鏡で観察し、撮影により表面画像を取得した。
次に、評価結果を図1と図2、及び表1と表2に基づいて説明する。
(粉末状潤滑剤の平均粒径が接合強度に及ぼす影響)
粉末状潤滑剤の平均粒径が50μm以下の場合における代表的な焼結金属材(ここでは平均粒径10μmの比較例1)の表面画像を図1に示す。また、粉末状潤滑剤の平均粒径が50μmを超える場合における代表的な焼結金属材(ここでは平均粒径200μmの実施例5)の表面画像を図2に示す。図1から分かるように、粉末状潤滑剤の平均粒径が50μm以下の場合、焼結金属材の表面に明確な空孔は見られない。これに対して、図2にから分かるように、粉末状潤滑剤の平均粒径が50μmを超える場合、焼結金属材の表面に明確な空孔が確認できる。
粉末状潤滑剤の添加量を一定(0.5wt%)とし、平均粒径を10μmから200μmまで変化させた場合の接合強度の値を以下の表1に示す。表1に示すように、粉末状潤滑剤の平均粒径が50μm以下の場合(比較例1:10μm、比較例2:50μm)には、十分な接合強度を得ることができなかった。これに対して、粉末状潤滑剤の平均粒径が50μmを超える場合(実施例1:150μm、実施例2:200μm)には、優れた接合強度を得ることができた。以上の結果より、適切な平均粒径(50μmを超える)の粉末状潤滑剤を使用することにより、焼結金属材の表面に形成される空孔の大きさ及び割合を制御でき、これにより高密度でありながら異種材との間で優れた接合強度を発現させ得ることが分かった。
(粉末状潤滑剤の添加量が接合強度に及ぼす影響)
粉末状潤滑剤の平均粒径を上述した適正水準(150μm、200μm)とし、添加量を0.1wt%から1.5wt%まで変化させた場合の接合強度の値を表2に示す。表2に示すように、粉末状潤滑剤の添加量が0.1wt%以下の場合(比較例3:0.1w%、比較例4:0.1wt%)には、圧粉成形時の潤滑性が良好ではなく、成形することができなかった。また、粉末状潤滑剤の添加量が1.5wt%以上の場合(比較例5:1.5wt%、比較例6:1.5wt%)には、最低限の接合強度は得られたものの、機械部品用途など比較的大きな外力が作用する環境下での用途としては不十分な接合強度しか得られなかった。母材強度も低い値を示した。これに対して、粉末状潤滑剤の添加量が0.1wt%を超えかつ1.5wt%未満に設定される場合(実施例3,5:0.3wt%、実施例4,5:1.0wt%)には、母材強度、接合強度ともに優れた値を示した。以上の結果より、粉末状潤滑剤の添加量を適切な範囲(0.1wt%を超えかつ1.5wt%未満)に設定することにより、母材強度のみならず異種材との接合強度についても優れた値を得られることが分かった。
また、粉末状潤滑剤は、通常、焼結金属材の原料粉末に含まれることから、粉末状潤滑剤以外の原料粉末組成(金属粉末、他の添加剤など)を制限する可能性は低い。よって、公知の組成を含め種々の粉末組成をとる焼結金属材に本発明を特に問題なく適用することが可能となる。製造条件についても同様に、圧粉成形条件や焼結条件を制限する可能性は低いので、公知の条件を含め種々の製造条件をとる焼結金属材の製造方法に本発明を特に問題なく適用することが可能となる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明に係る焼結金属材並びにこの焼結金属材を備えた焼結金属複合材、及び焼結金属材の製造方法は上記例示の形態に限定されることなく、本発明の範囲内において任意の形態を採り得ることはもちろんである。
例えば上記実施形態では、原料粉末の主成分となる金属粉末として、純鉄粉末を用いた場合を説明したが、もちろん、純鉄以外の鉄系粉末(合金粉末を含む)を用いることも可能であり、鉄系以外の金属粉末を用いることも可能である。あるいは、互いに合金化する二種類の金属粉末を事前に混合したプレミックス粉や、予合金化したプレアロイ粉、あるいは部分的に拡散合金化させてなる部分拡散合金粉なども使用することが可能である。もちろん、各粉末のサイズ(平均粒径)についても圧縮成形可能な限りにおいて任意である。
また、上記実施形態では、本発明に係る粉末状潤滑剤としてワックス系の潤滑剤を用いた場合を説明したが、もちろんワックス系以外の粉末状潤滑剤を用いることも可能である。ワックス系では例えば脂肪酸、高級アルコール、グリセリン、エステル、アミン及びその誘導体、脂肪酸アミドなど、ワックス系以外では例えば金属石けん、又は樹脂粉末など、焼結温度よりも低い温度で分割可能な粉末状潤滑剤である限りにおいて、任意の粉末状潤滑剤が使用可能である。
また、上記実施形態では、主成分となる金属粉末と、粉末状潤滑剤以外の成分として、黒鉛粉末を用いた場合を説明したが、もちろん種々の機能を焼結金属材に付与する目的で、上記例示した以外のための各種成分(粉末形態には限らない)を添加してもよい。
また、上記実施形態では、焼結金属材となる圧粉体の圧縮成形手法として、一軸加圧成形を使用した場合を例示したが、もちろん、この他の成形手法を採用することも可能である。例えば、CNCプレス等による多軸加圧成形や、射出成形(MIM)、冷間静水圧加圧成形(CIP)など種々の手法を圧粉体の成形手法に採用することが可能である。
あるいは、金型と原料粉末を共に加熱した状態で圧縮成形を行う温間成形や、金型の表面に潤滑剤を保持した状態で金型と金属粉末間の潤滑性を確保した状態で圧縮成形を行う金型潤滑成形などの手法を圧粉体の成形手法に採用することも可能である。
また、金型の材質についても任意であり、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)や、CrN、TiN、TiAlNなどの各種窒化膜をはじめとして種々の硬質膜を金型の成形面にコーティングしたものを使用することも可能である。
また、上記実施形態では、焼結金属複合材として、焼結金属材と樹脂材とを接着で一体化したものを例示したが、もちろん本発明に係る焼結金属複合材はこれには限定されない。例えば焼結金属材をインサートとする樹脂材のインサート成形で焼結金属材と樹脂材を一体化してもよい。この場合、焼結金属材の表面に形成された空孔に樹脂材の一部が入り込んだ状態で一体化される。要は、焼結金属材の接合対象となる異種材の一部が焼結金属材の表面に設けられた空孔に入り込んだ状態で焼結金属材と異種材とが一体化されたものであってもよい。あるいは、焼結金属材と異種材との間に接着層など両者を接合するための接合部が介在した状態で、かつ接合部の一部が焼結金属材の表面に設けられた空孔に入り込んだ状態で焼結金属材と異種材とが接合されているものであってもよい。

Claims (12)

  1. 金属粉末と、粉末状潤滑剤とを含む原料粉末を圧縮成形し、焼結することで得られる焼結金属材において、
    前記粉末状潤滑剤の平均粒径が50μmを超え、かつ前記粉末状潤滑剤の分解温度が焼結温度よりも低いことを特徴とする焼結金属材。
  2. 前記粉末状潤滑剤の平均粒径が150μm以上である請求項1に記載の焼結金属材。
  3. 前記粉末状潤滑剤の平均粒径が前記金属粉末の平均粒径よりも小さい請求項1又は2に記載の焼結金属材。
  4. 前記粉末状潤滑剤の平均粒径が200μm以下である請求項3に記載の焼結金属材。
  5. 相対密度が重量比で90%以上である請求項1〜4の何れか一項に記載の焼結金属材。
  6. 前記原料粉末中に占める前記粉末状潤滑剤の割合が0.1w%を超えるように設定されている請求項1〜5の何れか一項に記載の焼結金属材。
  7. 前記原料粉末中に占める前記粉末状潤滑剤の割合が0.3wt%以上に設定されている請求項1〜6の何れか一項に記載の焼結金属材。
  8. 前記原料粉末中に占める前記粉末状潤滑剤の割合が1.5wt%未満に設定されている請求項1〜7の何れか一項に記載の焼結金属材。
  9. 前記原料粉末中に占める前記粉末状潤滑剤の割合が1.0wt%以下に設定されている請求項1〜8の何れか一項に記載の焼結金属材。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の焼結金属材と、前記焼結金属材とは異なる材料で形成された異種材とを備え、前記焼結金属材の表面に設けられた空孔に前記異種材の一部が入り込んだ状態で前記焼結金属材と前記異種材とが一体化されている焼結金属複合材。
  11. 請求項1〜9の何れか一項に記載の焼結金属材と、前記焼結金属材とは異なる材料で形成された異種材と、前記焼結金属材と前記異種材との間に配設される接合部とを備え、前記焼結金属材の表面に設けられた空孔に前記接合部の一部が入り込んだ状態で前記焼結材と前記異種材とが前記接合部を介して相互に固定されている焼結金属複合材。
  12. 金属粉末と、粉末状潤滑剤とを混合して、少なくとも前記金属粉末と前記粉末状潤滑剤とを含む原料粉末を用意する混合工程と、
    前記混合工程で得た前記原料粉末を圧縮成形し、圧粉体を得る圧粉成形工程と、
    前記圧粉成形工程で得た前記圧粉体を焼結して焼結金属材を得る焼結工程とを備えた焼結金属材の製造方法において、
    前記粉末状潤滑剤の平均粒径が50μmを超え、かつ前記粉末状潤滑剤の分解温度が焼結温度よりも低いことを特徴とする焼結金属材の製造方法。
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