以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る深部体温測定装置10を説明する。
図1は、実施の形態1に係る深部体温測定装置10の設置例を示す図である。なお、本図において、深部体温測定装置10は、図示の便宜上、「S」と表記されている。他の図においても同様である。
深部体温測定装置10は、被接触で被測定者2の深部体温を測定する装置であり、本図に示されるように、例えば、会社における建物の入口付近(ここでは、天井)に設置される。この入口には、必要に応じて、タッチパネル付きディスプレイ等のユーザインタフェース装置4が設置され、深部体温測定装置10による測定結果がユーザインタフェース装置4に表示される。これにより、被測定者2は、自分の深部体温を即座に確認することができる。
図2は、図1に示された深部体温測定装置10の構成を示すブロック図である。深部体温測定装置10は、熱画像取得部11、深部体温推定部12、個人認証部13、制御部14、及び、データベース(DB)部15を備える。
熱画像取得部11は、被測定者2の熱画像を取得する装置であり、例えば、1次元状又は2次元状に配置された赤外線検出素子で構成される熱画像センサ、又は、熱画像カメラである。例えば、熱画像取得部11は、制御部14による制御の下で、1次元状の熱画像センサで被測定者2を含む空間を機械的又は電気的に走査することによって、熱画像を取得する。なお、熱画像取得部11は、走査型に限られず、走査しない固定型であってもよい。例えば、熱画像取得部11は、固定された状態で、被測定空間全体に対して撮像することで熱画像を取得するための光学系と2次元状に配置された赤外線検出素子とで構成される熱画像カメラであってもよい。
深部体温推定部12は、熱画像取得部11で取得された熱画像から深部体温推定アルゴリズムに従って被測定者2の深部体温を推定し、推定した深部体温を深部体温測定装置10による測定結果として出力する処理部である。深部体温推定部12は、例えば、深部体温推定アルゴリズムを含むプログラムを保持するフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、DRAM等の読み書き可能な揮発性メモリ、深部体温推定アルゴリズムを含むプログラムを不揮発性メモリから揮発性メモリにロードした後にそのプログラムを実行するプロセッサ、及び、入出力ポート等を備えるマイクロコンピュータ等で構成される。なお、揮発性メモリにロードされた深部体温推定アルゴリズムは制御部14によって変更され得るが、深部体温推定アルゴリズムが変更された場合には、深部体温推定部12は、変更後の深部体温推定アルゴリズムに従って深部体温を推定する。
なお、深部体温推定アルゴリズムは、熱画像から深部体温を導出するアルゴリズムであり、特許文献1等で開示された公知なアルゴリズムに加えて、深部体温の推定に用いられる、熱画像における被測定者2の部位を特定する情報等も含まれる。図3Aは、深部体温推定アルゴリズムの一例を示す概念図である。ここでは、深部体温推定アルゴリズムの種類(METHOD01〜09)のそれぞれごとに、深部体温の推定に用いられる顔の部位を特定する情報が対応づけられた例が示されている。図3Bは、深部体温推定アルゴリズムの他の一例を示す概念図である。図3Bに示されるように、深部体温推定アルゴリズムでは、深部体温の推定に用いられる顔の部位は、顔の正面だけに限られず(図3Bの(a))、顔の側面における部位(ここでは、耳、頬、口)も含まれる(図3Bの(b))。
個人認証部13は、被測定者2の個人認証を行う処理部であり、撮像機器13a及び認証処理部13bで構成される。撮像機器13aは、被測定者2を撮像することで可視光の画像を生成する機器であり、例えば、可視光用デジタルカメラである。認証処理部13bは、撮像機器13aによる撮像で得られた画像を用いて、内部に保持する認証アルゴリズムに従って個人認証を行う処理部であり、例えば、個人認証として、撮像機器13aで得られた画像における特徴と予め保持している個人認証の各項目に対応する画像の特徴とをマッチングすることで、被測定者2の個人情報、つまり、識別情報、年齢、髪型、メガネの装着の有無、かかっている病気、性別、身長、人種、体重、生活情報のうちの少なくとも1つを特定する。なお、認証処理部13bによる「特定」には、上述した個人情報を決定すること、予測すること、及び、取得することが含まれる。認証処理部13bは、例えば、認証定アルゴリズムを含むプログラムを保持するフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、DRAM等の読み書き可能な揮発性メモリ、認証アルゴリズムを含むプログラムを不揮発性メモリから揮発性メモリにロードした後にプログラムを実行するプロセッサ、及び、入出力ポート等を備えるマイクロコンピュータ等で構成される。このとき、揮発性メモリにロードされた認証アルゴリズムは制御部14によって変更され得るが、認証アルゴリズムが変更された場合には、認証処理部13bは、変更後の認証アルゴリズムに従って個人認証を行う。
なお、個人認証部13は、撮像機器を用いた構成に限られず、ICカード等の個人のIDが記録されたカードリーダーであってもよい。また、個人認証部13は、後述するデータベース部15を参照することで個人認証をしてもよい。
データベース部15は、被測定者2となり得る複数の人(例えば、ある会社の社員、及び、その会社に出入りする可能性がある人)についての個人情報を保持する記憶部であり、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。なお、データベース部15は、ローカルの記憶部だけでなく、制御部14と通信ネットワークを介して接続されるコンピュータ装置やクラウドであってもよい。図4は、データベース部15に保持された個人情報の一例を示す図である。個人情報は、個人を特定するID、氏名、身長、体重、正常時の深部体温、顔画像(可視光による顔画像)、顔熱画像(熱画像取得部11で取得された顔画像)、髪型、顔の長さと横幅との比、よく着る服の型及び種類等が含まれる。
制御部14は、個人認証部13による個人認証の結果に応じて深部体温推定アルゴリズムを変更する処理部である。制御部14は、例えば、プログラムを保持するフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、DRAM等の読み書き可能な揮発性メモリ、プログラムを不揮発性メモリから揮発性メモリにロードした後にそのプログラムを実行するプロセッサ、及び、入出力ポート等を備えるマイクロコンピュータ等で構成される。
より詳しくは、制御部14は、個人認証部13によって得られた被測定者2の特徴(顔画像、身長等)とデータベース部15に登録された個人情報とを照合することで被測定者2を識別する。そして、制御部14は、識別した被測定者2について、データベース部15を参照することで、被測定者2の詳細な個人情報を取得し、取得した個人情報に基づいて、その被測定者2に最適な深部体温推定アルゴリズムに変更するように深部体温推定部12に指示する。深部体温推定アルゴリズムの変更例として、制御部14は、深部体温の推定に好適な、熱画像における被測定者2の部位を特定し、特定した部位を示す情報を深部体温推定部12に通知することで、深部体温の推定に用いる部位を変更する。また、制御部14は、個人認証部13による個人認証の結果に応じて熱画像取得部11による走査の方法を変更する。
なお、深部体温測定装置10を構成する深部体温推定部12、認証処理部13b、及び、制御部14は、それらの一部又は全てについて、共通のプロセッサで実現してもよい。その場合には、プログラムが保持される不揮発性メモリ、及び、揮発性メモリ等も共有されてもよい。
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る深部体温測定装置10の動作について説明する。
図5は、本実施の形態に係る深部体温測定装置10の動作(つまり、深部体温測定方法)を示すフローチャートである。
まず、個人認証部13は、被測定者2の個人認証を行う(個人認証ステップS10)。具体的には、撮像機器13aは、被測定者2を撮像する。そして、認証処理部13bが、撮像機器13aによる撮像で得られた画像を用いて、内部に保持する認証アルゴリズムに従って、個人認証として、撮像機器13aで得られた画像から被測定者2の識別情報、年齢、髪型、メガネの装着の有無、かかっている病気、性別、身長、人種、体重、生活情報のうちの少なくとも1つを特定する。なお、この個人認証ステップS10では、制御部14が、個人認証部13による個人認証の結果とデータベース部15の個人情報とを照合することで個人認証を行ってもよい。
次に、制御部14は、熱画像取得部11に動作指示を与えることで、熱画像取得部11に対して、被測定者2の熱画像を取得させる(熱画像取得ステップS11)。例えば、熱画像取得部11は、1次元状の熱画像センサで被測定者2を含む空間を走査しながら撮像することで熱画像を取得したり、2次元状の熱画像センサで被測定者2を含む空間を走査することなく撮像することで熱画像を取得したりする。このときに、熱画像取得部11は、撮像の前に、フォーカス調整をしてもよい。
次に、制御部14は、個人認証部13による個人認証(個人認証ステップS10)の結果に応じて深部体温推定部12に指示することで、深部体温推定部12が保持する深部体温推定アルゴリズムを変更させる(制御ステップS12)。例えば、制御部14は、個人認証部13による個人認証の結果とデータベース部15の個人情報とを照合することで、被測定者2を識別し、その被測定者2の個人情報から被測定者2の髪型が短髪であると判明した場合には、深部体温推定部12に対して、深部体温の推定に用いる熱画像における被測定者2の部位として額を指定する。
最後に、深部体温推定部12は、制御部14によって変更された深部体温推定アルゴリズムに従って、熱画像取得部11で取得された熱画像から深部体温を推定する(深部体温推定ステップS13)。例えば、制御部14から、深部体温の推定に用いる熱画像における被測定者2の部位として額が指定された場合には、深部体温推定部12は、熱画像取得部11で取得された熱画像のうち、被測定者2の額における熱画像を用いて、深部体温を推定する。
なお、個人認証ステップS10と、熱画像取得ステップS11とは、この順に限られず、先後が入れ替わってもよいし、並行して行われてもよい。
図6A及び図6Bは、本実施の形態に係る深部体温測定装置10の動作例を示す図である。図6Aでは、複数の被測定者2a及び2bが順次、深部体温測定装置10による深部体温の測定を受ける様子が図示されている。図6Bでは、個人認証の結果に応じて深部体温推定アルゴリズムが変更される例が示されている。
図6Aに示されるように、被測定者2aについては、個人認証部13による個人認証、又は、個人認証部13及び制御部14による個人認証によって、髪型が短髪であり、かつ、メガネを装着していないと認証される。その結果、制御部14は、髪型が短髪であり、かつ、メガネを装着していない人に最適な深部体温推定アルゴリズムとして、髪の直下における額、両目、両頬、口及び首における熱画像を用いて深部体温を推定する方法(例えば、「METHOD:A」)を深部体温推定部12に指示をする。その結果、深部体温推定部12は、制御部14からの指示された深部体温推定アルゴリズム(例えば、「METHOD:A」)に従って、熱画像取得部11で取得された熱画像から深部体温を推定する。
一方、被測定者2bについては、個人認証部13による個人認証、又は、個人認証部13及び制御部14による個人認証によって、髪型が剃髪であり、メガネを装着しておらず、かつ、口にマスクをしていると認証される。その結果、制御部14は、髪型が剃髪であり、メガネを装着しておらず、かつ、口にマスクをしている人に最適な深部体温推定アルゴリズムとして、額、両目及び首における熱画像を用いて深部体温を推定する方法(例えば、「METHOD:B」)を深部体温推定部12に指示をする。その結果、深部体温推定部12は、制御部14からの指示された深部体温推定アルゴリズム(例えば、「METHOD:B」)に従って、熱画像取得部11で取得された熱画像から深部体温を推定する。
その他、図6Bに示される被測定者「ID003」のように、個人認証部13による個人認証、又は、個人認証部13及び制御部14による個人認証によって、髪型が短髪であり、かつ、サングラスを装着していると認証された場合には、最適な深部体温推定アルゴリズムとして、額、両頬、口及び首における熱画像を用いて深部体温を推定する方法(例えば、「METHOD:K」)を採用するように、制御部14から深部体温推定部12に指示される。
また、図6Bに示される被測定者「ID004」のように、個人認証部13による個人認証、又は、個人認証部13及び制御部14による個人認証によって、髪型が長髪であり、サングラスを装着しており、かつ、タートルネックの服を着ていると認証された場合には、最適な深部体温推定アルゴリズムとして、両頬及び口における熱画像を用いて深部体温を推定する方法(例えば、「METHOD:G」)を採用するように、制御部14から深部体温推定部12に指示される。
このように、個人認証部13によって得られる被測定者2aの個人認証の結果に応じた深部体温推定アルゴリズムによって熱画像から深部体温が推定され、正確な深部体温の推定が可能になる。
図7Aは、本実施の形態に係る深部体温測定装置10による測定結果の一例を示す図である。
本図に示されるように、深部体温測定装置10により、被測定者が検知されるごとに、測定結果として、検知された「日」、「時刻」、「ID」、「深部体温推定アルゴリズム」、「測定部位」、「環境データ」、「深部体温」、「測定精度」、「備考」が生成される。生成された測定結果は、深部体温測定装置10から出力されてユーザインタフェース装置4に表示されたり、データベース部15に保存されたりする。
なお、測定結果において、「日」及び「時刻」は、この測定が行われた日及び時刻である。「ID」は、個人認証の結果として得られた個人を特定するIDである。「深部体温推定アルゴリズム」は、深部体温の推定に用いられた深部体温推定アルゴリズムの種類を示す情報である。「測定部位」は、深部体温の推定に用いられた熱画像における部位である。「環境データ」は、深部体温測定装置10と接続された温度計、湿度計、照度計及び風速計等の環境測定器から得られた室温、湿度、明るさ及び風速等の環境データである。「深部体温」は、深部体温測定装置10によって推定された深部体温である。「測定精度」は、推定された深部体温の精度であり、深部体温推定部12によって算出される値である。「備考」は、機械学習によってより高い精度で深部体温を推定できたことを示すメッセージ等である。機械学習については、変形例3を用いて、後述する。「データセキュリティ&共有管理」は、測定結果に関する情報共有先を示す。情報共有先については、実施の形態2において後述する。
図7Aに示された測定結果では、一例として、次のような状況が示されている。つまり、ID0004の被測定者は、普段、マフラー及びメガネをしているため、好適な深部体温測定アルゴリズムとして、通常、「METHOD G」が選択される(日が「2016年12月5日」で、IDが「ID004」の行を参照)。ところが、2017年3月1日には、その被測定者はマフラー及びメガネをしていなかったために、そのことが認識され、より精度の高いアルゴリズム(「METHOD A」)が選択されている。
図7Bは、本実施の形態に係る深部体温測定装置10による測定結果の他の一例を示す図である。ここでは、同じ被測定者(この例では、「ID0001」)についての測定結果の履歴が示されている。
本図に示されるように、深部体温測定装置10により、被測定者が検知されるごとに、測定結果として、検知された「日」、「時刻」、「良好に検出される測定部位」、「日々に使用可能な測定方法」、「統計的に好適な測定方法」、「測定で優先する項目」、「選択された測定方法」が生成される。生成された測定結果は、深部体温測定装置10から出力されてユーザインタフェース装置4に表示されたり、データベース部15に保存されたりする。
なお、測定結果において、「日」及び「時刻」は、この測定が行われた日及び時刻である。「良好に検出される測定部位」は、当該測定において良好に検出された測定部位である。「日々に使用可能な測定方法」は、「良好に検出される測定部位」を用いて深部体温を測定できる深部体温推定アルゴリズムの一覧である。「統計的に好適な測定方法」は、測定結果の履歴から統計的に好適と判断された深部体温推定アルゴリズムであり、例えば、「日々に使用可能な測定方法」に最も高い頻度で出てきた深部体温推定アルゴリズム、あるいは、過去の測定において最も高い頻度で採用された深部体温推定アルゴリズムである。「測定で優先する項目」は、予め被測定者によって指定された項目であり、高い「測定精度」を優先する、あるいは、短い「測定時間」を有する等の項目を示す。「選択された測定方法」は、当該測定において採用された深部体温推定アルゴリズムである。
図7Bに示された測定結果では、一例として、次のような状況が示されている。つまり、ID0001の被測定者について、2017年3月3日8:20における測定では(図7Bの一行目のデータ参照)、使用可能な測定方法が「A01」、「A02」、「A03」、「A04」であり、統計的に好適な測定方法が「A02」であり、優先項目が「測定精度」であることに基づいて、深部体温測定装置10により、測定方法「A01」が選択されたことが分かる。
図8は、実施の形態1に係る深部体温測定装置10による測定方法と標準的な手法との比較例を示す図である。図8には、利用可能な深部体温測定方法と、その深部体温測定に必要な部位、その深部体温測定方法で実験したときの測定結果と標準的な手法の出力との相関、実験の測定精度が示される。標準的な手法とは、例えば、口の温度、耳の温度、直腸の温度、脇の温度のいずれかを接触して測定する手法である。図9A〜図9Cは、図8の深部体温測定装置による測定方法の一例(それぞれ、「METHOD D1」、「METHOD D1C1」「METHOD D2C1」)と標準的な手法との比較例を示すグラフである。図10は、図8の深部体温測定装置による測定方法を利用する被測定者の一例を示す図である。
図8〜図10を例として、図7Aに示したような深部体温測定アルゴリズムの選択方法を、説明する。
図10の被測定者2は、図7Aに示されるマフラー及びメガネをしたID0004の被測定者である。この被測定者2に適用される深部体温測定アルゴリズムは、図8、図9A〜図9Cに示される標準的な手法による測定結果との比較によって決定される。被測定者2は、マフラー及びメガネをしているため、よく検出される顔の部位は額、ほお、口である。図7Aのように、精度の高いアルゴリズムを選択する場合、図8の比較結果から、標準的な手法の出力との相関が最も高く、実験の測定精度も一番良い「METHOD D2C1」が選択される。
額、ほお、口を検出できた場合の深部体温測定アルゴリズムの選択方法を説明したが、被測定者2を測定したときに、角度が悪いなどの理由で被測定者2の口をうまく検出できない場合には、最も精度の良い「METHOD D2C1」を選択することができない。この場合、選択できる深部体温測定アルゴリズムは「METHOD D1」と「METHOD D1C1」であるが、図8から、「METHOD D1」と「METHOD D1C1」の測定精度に大きな差は無い。このとき、図7Bに示した「測定で優先する項目」がある場合や被測定者から優先する項目の指示がある場合には、優先する項目に従って深部体温測定アルゴリズムが選択される。
例えば、優先する項目が測定精度である場合、図8に示されるように、「METHOD D1」と「METHOD D1C1」の実験の測定精度に差が無いため、標準的な手法の出力との相関で選択する。図8に示されるように、標準的な手法の出力との相関が高い「METHOD D1C1」が選択される。
あるいは、被測定者2から計算時間を短縮するように指示があった場合には、図8に示されるように、「METHOD D1」と「METHOD D1C1」の標準的な手法の出力との相関、実験の測定精度のどちらにも大きな差が無いため、測定項目が少なく、計算時間が短くなる「METHOD D1」を選択することもできる。
以上のように、本実施の形態に係る深部体温測定装置10は、被測定者2の深部体温を測定する深部体温測定装置10であって、被測定者2の熱画像を取得する熱画像取得部11と、熱画像取得部11で取得された熱画像から深部体温推定アルゴリズムに従って被測定者2の深部体温を推定し、推定した深部体温を深部体温測定装置10による測定結果として出力する深部体温推定部12と、被測定者2の個人認証を行う個人認証部13と、個人認証部13による個人認証の結果に応じて深部体温推定アルゴリズムを変更する制御部14とを備え、深部体温推定部12は、制御部14によって変更された深部体温推定アルゴリズムに従って深部体温を推定する。
これにより、個人認証の結果に応じて、熱画像から深部体温を推定する際に用いられる深部体温推定アルゴリズムが変更される。よって、熱画像から推定される深部体温そのものの精度が向上され、従来よりも高い精度で深部体温を測定できる深部体温測定装置10が実現される。
また、熱画像取得部11は、被測定者2を含む空間を走査することによって、熱画像を取得し、制御部14は、さらに、個人認証部13による個人認証の結果に応じて熱画像取得部11による走査の方法を変更する。
これにより、個人認証の結果に応じて、熱画像取得部11による走査の方法が変更されるので、例えば、身長、髪型等の個人認証の結果に応じて適切な熱画像を取得できる顔の部分が確実に走査されて熱画像が得られ、高い精度で深部体温が推定される。
また、深部体温推定アルゴリズムには、深部体温の推定に用いられる熱画像における被測定者2の部位を特定する情報が含まれる。
これにより、個人認証の結果に応じて、深部体温の推定に好適な被測定者2の部位が特定されるので、被測定者2ごとに深部体温が表れ易い部位、例えば、額、目、頬等の熱画像が用いられ、より高い精度で深部体温が推定される。
また、個人認証部13は、被測定者2を撮像する撮像機器13aを有し、個人認証として、撮像機器13aで得られた画像から被測定者2の識別情報、年齢、髪型、メガネの装着の有無、かかっている病気、性別、身長、人種、体重、生活情報のうちの少なくとも1つを特定する。
これにより個人認証として、様々なパラメータが推定され得るので、個人ごとに深部体温の推定に役立つパラメータを任意に定義しておくことができ、個人認証の結果を的確に反映した、精度の高い深部体温の推定が実現される。
(変形例1)
次に、実施の形態1の変形例1に係る深部体温測定装置について説明する。
図11は、実施の形態1の変形例1に係る深部体温測定装置10aの構成を示すブロック図である。深部体温測定装置10aは、実施の形態1の深部体温測定装置10に対して、制御部14を新たな制御部14aに置き換え、かつ、測定支援部20を追加した構成を備える。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
測定支援部20は、熱画像取得部11による熱画像の取得を支援する装置であり、具体的には、制御部14aによる制御の下で、被測定者2に向けて送風する、又は、熱画像取得部11が熱画像を取得し易くなるように音声によって被測定者2に移動を促す出力部を有する。具体的には、出力部は、送風機、又は、音声出力装置等である。なお、「熱画像取得部11が熱画像を取得し易くなるように音声によって被測定者2に移動を促す」具体例としては、現在の設置状態における熱画像取得部11の撮像領域内への移動を促すメッセージを音声で出力することが挙げられる。
制御部14aは、実施の形態1の制御部14の機能に加えて、個人認証部13による個人認証の結果に応じて測定支援部20に対して動作指示を与える機能を有する。
図12A及び図12Bは、本変形例に係る深部体温測定装置10aの動作例を示す図である。ここでは、測定支援部20が出力部として送風機を有している場合の動作例が示されている。図12Aでは、被測定者2cが深部体温測定装置10による深部体温の測定を受ける際に測定支援部20からの送風を受ける様子が図示されている。図12Bでは、被測定者2cが送風を受ける前(図12Bの(a))と後(図12Bの(b))で被測定者2cの髪型が変更される様子が示されている。
図12A及び図12Bに示されるように、制御部14aは、個人認証部13による個人認証によって被測定者2cの髪型が長髪であることが判明した場合に、測定支援部20に対して動作指示を与えることで、被測定者2cの髪に向けて一定時間(例えば、1秒間)、風を送る。そして、制御部14aは、その間に熱画像を取得して深部体温を推定するように熱画像取得部11及び深部体温推定部12に動作指示を与える。その結果、深部体温推定部12は、測定支援部20からの送風によって髪が上方に上げられて耳が露出した瞬間における被測定者2cの横顔を撮像し、耳が鮮明に撮像された熱画像を用いて深部体温を推定する。
このように、本変形例に係る深部体温測定装置10aは、熱画像取得部11による熱画像の取得を支援する測定支援部20を備える。
これにより、熱画像の取得が容易となり、より高い精度での深部体温の測定が可能になる。
より具体的には、測定支援部20は、被測定者2に向けて送風する、又は、熱画像取得部11が熱画像を取得し易くなるように音声によって被測定者2に移動を促す出力部を有し、制御部14aは、個人認証部13による個人認証の結果に応じて測定支援部20に対して動作指示を与える。
これにより、個人認証の結果に応じて、被測定者2に向けて送風される、又は、熱画像取得部11が熱画像を取得し易くなるように音声によって被測定者に移動が促されるので、より高い精度での深部体温の測定が可能になる。
(変形例2)
次に、実施の形態1の変形例2に係る深部体温測定装置について説明する。
図13は、実施の形態1の変形例2に係る深部体温測定装置10bの構成を示すブロック図である。深部体温測定装置10bは、実施の形態1の深部体温測定装置10に対して、制御部14を新たな制御部14bに置き換え、かつ、測定支援部20aを追加した構成を備える。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
測定支援部20aは、熱画像取得部11による熱画像の取得、及び、撮像機器13aによる可視光の画像の取得を支援する装置であり、そのために、制御部14bによる制御の下で、熱画像取得部11及び撮像機器13aによる撮像の態様を変更する機構を有する。熱画像取得部11及び撮像機器13aによる撮像の態様を変更する機構としては、熱画像取得部11及び撮像機器13aの測定軸(つまり、撮像の対象となる領域)を変更するパン・チルト・ローテーション駆動システム、あるいは、センサーポジション(つまり、熱画像取得部11及び撮像機器13aの設置位置)を変更するステージ等である。
制御部14bは、実施の形態1の制御部14の機能に加えて、個人認証部13による個人認証の結果に応じて測定支援部20aに対して動作指示を与えることで熱画像取得部11及び撮像機器13aによる撮像の態様を変更させる動作指示を与える機能を有する。例えば、制御部14bは、個人認証部13による簡易な個人認証の結果、身長が190cmの被測定者であることが判明した場合には、身長が190cmの被測定者の顔を適切に撮像するように熱画像取得部11及び撮像機器13aに撮像の態様を変更させる動作指示を与える。これにより、身長が190cmの被測定者に合った、より正確な個人認証及び熱画像の取得が可能になる。
このように、本変形例に係る深部体温測定装置10bは、熱画像取得部11及び撮像機器13aによる撮像の態様を変更する機構を有する測定支援部20aを備え、制御部14bは、個人認証部13による個人認証の結果に応じて測定支援部20aに対して動作指示を与えることで熱画像取得部11及び撮像機器13aによる撮像の態様を変更させる。
これにより、個人認証の結果に応じて、熱画像取得部11及び撮像機器13aによる撮像の態様が変更されるので、例えば、身長、髪型等の個人認証の結果に応じて適切に被測定者2の顔が撮影されるように熱画像取得部11及び撮像機器13aが駆動されるので、高い精度で個人認証及び深部体温の推定が行われる。
(変形例3)
次に、実施の形態1の変形例3に係る深部体温測定装置について説明する。
図14は、実施の形態1の変形例3に係る深部体温測定装置10cの構成を示すブロック図である。深部体温測定装置10cは、実施の形態1の深部体温測定装置10に対して、制御部14を新たな制御部14cに置き換え、かつ、高精度深部体温測定部22を追加した構成を備える。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
高精度深部体温測定部22は、深部体温測定装置10cによる深部体温の測定よりも高精度で深部体温を測定する装置であり、例えば、接触式の深部体温計又は耳式体温計であり、タッチされた掌の温度又は挿入された耳の温度から深部体温を推定する。高精度深部体温測定部22によって推定された高精度な深部体温は、高精度深部体温として、データベース部15における個人情報の一つとして保存される。
制御部14cは、実施の形態1の制御部14の機能に加えて、高精度深部体温測定部22による測定で得られた深部体温(ここでは、データベース部15に格納された高精度深部体温)を用いて、深部体温推定部12に保持された深部体温推定アルゴリズムを変更する機能を有する。
図15は、本変形例に係る深部体温測定装置10cの設置例を示す図である。ここでは、高精度深部体温測定部22が床に設置され、高精度深部体温測定部22を除く深部体温測定装置10cが天井に設置された例が示されている。
床に設置された高精度深部体温測定部22は、接触式の深部体温計であり、被測定者2dからタッチされた掌の温度から高精度深部体温を生成する。なお、高精度深部体温測定部22が耳式体温計である場合には、高精度深部体温測定部22が被測定者の耳に挿入されることで、高精度深部体温が生成され、生成された高精度深部体温は、ユーザインタフェース装置4を介した被測定者による手入力、又は、有線又は無線による通信によって、制御部14cに入力される。
制御部14cは、高精度深部体温測定部22で生成された高精度深部体温を教師データとして、深部体温推定部12に機械学習をさせる。つまり、深部体温推定部12は、被測定者2dの熱画像から推定した深部体温が、制御部14cから指示された高精度深部体温に略一致することになるように、深部体温推定アルゴリズムを変更する。これにより、深部体温推定部12に保持された深部体温推定アルゴリズムの精度が向上される。
なお、高精度深部体温測定部22による深部体温の測定は、深部体温測定装置10cに比べて高精度であるが、より長い測定時間を要する。よって、高精度深部体温測定部22による深部体温の測定は、頻繁に実施されるのではなく、一定期間を置いて、実施されるのが好ましい。そのために、例えば、ユーザインタフェース装置4は、定期的に(例えば、毎月1回)、ユーザインタフェース装置4の前を通過するユーザに対して、高精度深部体温測定部22による深部体温の測定を促す音声を発する。
このように、本変形例に係る深部体温測定装置10cは、深部体温測定装置10cによる深部体温の測定よりも高精度に深部体温を測定する高精度深部体温測定部22を備える。そして、制御部14cは、高精度深部体温測定部22による測定で得られた深部体温を用いて深部体温推定アルゴリズムを変更する。
これにより、高精度深部体温測定部22による測定で得られた深部体温を用いて深部体温推定アルゴリズムが更新されるので、熱画像から、より精度の高い深部体温を推定できるように、深部体温推定アルゴリズムが変更される。
(変形例4)
次に、実施の形態1の変形例4に係る深部体温測定装置について説明する。
図16は、実施の形態1の変形例4に係る深部体温測定装置10dの構成を示すブロック図である。深部体温測定装置10dは、実施の形態1の深部体温測定装置10に対して、制御部14を新たな制御部14dに置き換え、かつ、深部体温推定部12が推定した深部体温がデータベース部15に格納される構成を備える。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
本変形例では、深部体温推定部12は、推定した深部体温を測定結果としてデータベース部15に格納する。具体的には、深部体温推定部12は、推定した被測定者の深部体温を、制御部14dから通知された被測定者のIDを参照することで、データベース部15におけるその被測定者の個人情報として、追加して格納する。
制御部14dは、実施の形態1の制御部14の機能に加えて、データベース部15に蓄積された測定結果を参照することで深部体温推定アルゴリズムを変更する機能を有する。具体的には、制御部14dは、被測定者ごとに、データベース部15に蓄積された複数回の測定結果を学習データとして用いることで、深部体温推定部12で用いられる深部体温推定アルゴリズムを変更する。例えば、制御部14dは、ある被測定者について、データベース部15に蓄積された複数回の測定結果の中央値が、その被測定者の個人情報のうち「正常時の深部体温」に近くなるように、深部体温の推定に用いる被測定者の部位を探索して変更することで、深部体温推定アルゴリズムを変更する。
このように、本変形例に係る深部体温測定装置10dは、深部体温推定部12から出力された測定結果を蓄積するデータベース部15を備え、制御部14dは、データベース部15に蓄積された測定結果を参照することで、深部体温推定アルゴリズムを変更する。
これにより、深部体温推定部12から出力された測定結果がフィードバックされて深部体温推定アルゴリズムの学習に用いられるので、より高い精度で深部体温を推定できるように深部体温推定アルゴリズムが変更され得る。
(変形例5)
次に、実施の形態1の変形例5に係る深部体温測定装置について説明する。
図17は、実施の形態1の変形例5に係る深部体温測定装置10eの構成を示すブロック図である。深部体温測定装置10eは、実施の形態1の深部体温測定装置10に対して、制御部14を新たな制御部14eに置き換え、かつ、入力部24及び補助データベース(補助DB)部25を追加した構成を備える。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
入力部24は、被測定者に関する情報を入力するための装置であり、例えば、キーボード、スマートフォン等の携帯情報機器等である。本実施の形態では、入力部24から入力された情報は、データベース部15に格納される。例えば、ある季節になったときに、被測定者が、入力部24を介して、自分の個人情報についての新しい情報として、「髪型」と、「よく着る服の型及び情報」とを入力した場合には、データベース部15におけるその被測定者の個人情報の「髪型」と「よく着る服の型及び情報」とが、入力された新しい情報に更新される。
補助データベース部25は、被測定者に関する補助的な情報を保持する装置であり、例えば、社員情報を保持するデータサーバ、個人情報を保持するWebサーバ等である。本実施の形態では、補助データベース部25は、データベース部15に補完的な情報を送って書き込むことで、データベース部15に保持された個人情報を補完する。
制御部14eは、実施の形態1の制御部14の機能に加えて、入力部24によって入力された情報、及び/又は、補助データベース部25に保持された被測定者に関する補助的な情報を用いて深部体温推定アルゴリズムを変更する機能を有する。具体的には、制御部14eは、入力部24からデータベース部15に入力された情報、及び/又は、補助データベース部25からデータベース部15に入力された情報を参照データ又は学習用データとして用いて深部体温推定アルゴリズムを変更する。例えば、入力部24又は補助データベース部25によってデータベース部15におけるある被測定者の個人情報として「髪型」が新たに保存されたとする。この場合には、制御部14eは、熱画像において、新たに保存された「髪型」に対応した被測定者の部位を用いて深部体温を推定するように、深部体温推定部12で用いられる深部体温推定アルゴリズムを変更する。
このように、本変形例に係る深部体温測定装置10eは、被測定者に関する情報を入力するための入力部24、及び/又は、被測定者に関する補助的な情報を保持する補助データベース部25を備え、制御部14eは、入力部24によって入力された情報、及び/又は、補助データベース部25に保持された被測定者に関する補助的な情報を用いて深部体温推定アルゴリズムを変更する。
これにより、入力部24によって入力された情報、及び/又は、補助データベース部25に保持された被測定者に関する補助的な情報を参照データ又は学習用データとして用いて深部体温推定アルゴリズムが変更される。よって、個人認証部13による個人認証の結果だけに応じて深部体温が推定される場合に比べ、より高い精度で深部体温が推定される。
(変形例6)
次に、実施の形態1の変形例6に係る深部体温測定装置について説明する。
図18は、実施の形態1の変形例6に係る深部体温測定装置10fの構成を示すブロック図である。深部体温測定装置10fは、実施の形態1の深部体温測定装置10に対して、認証処理部13b、制御部14及びデータベース部15に代えて、認証処理部13cを備える。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
認証処理部13cは、実施の形態1の認証処理部13b及び制御部14の機能を併せ持つ処理部であり、撮像機器13aによる撮像で得られた画像を用いて、内部に保持する認証アルゴリズムに従って個人認証を行い、個人認証の結果に応じて深部体温推定部12が保持する深部体温推定アルゴリズムを変更する。認証処理部13cは、例えば、個人認証として、撮像機器13aで得られた画像における特徴と予め保持している個人認証の各項目に対応する画像の特徴とをマッチングすることで、被測定者2の年齢、性別、人種のうちの少なくとも1つを特定する。また、認証処理部13cは、例えば、深部体温推定アルゴリズムの変更として、個人認証によって被測定者2の髪型が短髪であると判明した場合には、深部体温推定部12に対して、深部体温の推定に用いる熱画像における被測定者2の部位として額を指定する。
認証処理部13cは、例えば、認証定アルゴリズムを含むプログラムを保持するフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、DRAM等の読み書き可能な揮発性メモリ、認証アルゴリズムを含むプログラムを不揮発性メモリから揮発性メモリにロードした後にプログラムを実行するプロセッサ、及び、入出力ポート等を備えるマイクロコンピュータ等で構成される。なお、認証処理部13cは、実施の形態1におけるデータベース部15が保持する個人情報を保持し、その個人情報を参照することで個人認証を行ってもよい。
このように、本変形例に係る深部体温測定装置10fでも、実施の形態1と同様に、個人認証の結果に応じて、熱画像から深部体温を推定する際に用いられる深部体温推定アルゴリズムが変更される。よって、熱画像から推定される深部体温そのものの精度が向上され、従来よりも高い精度で深部体温を測定できる深部体温測定装置10fが実現される。
さらに、本変形例に係る深部体温測定装置10fによれば、撮像機器13a及び認証処理部13cによってコンパクトな個人認証部が構成され、実施の形態1のような制御部14及びデータベース部15が不要となる。
(変形例7)
次に、実施の形態1の変形例7に係る深部体温測定装置について説明する。
図19は、実施の形態1の変形例7に係る深部体温測定装置10gの構成を示すブロック図である。深部体温測定装置10gは、実施の形態1の深部体温測定装置10に対して、制御部14を新たな制御部14gに置き換え、かつ、深部体温推定部12が推定した深部体温をデータベース部15に格納する構成を備える。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
本変形例では、深部体温推定部12は、推定した深部体温を測定結果としてデータベース部15に格納する。具体的には、深部体温推定部12は、推定した被測定者の深部体温を、制御部14gから通知された被測定者のIDを参照することで、データベース部15におけるその被測定者の個人情報として、追加して格納する。
制御部14gは、実施の形態1の制御部14の機能に加えて、データベース部15に蓄積された測定結果を参照することで認証アルゴリズムを変更する機能を有する。具体的には、制御部14gは、被測定者ごとに、データベース部15に蓄積された複数回の測定結果を学習データとして用いることで、個人認証部13で用いられる認証アルゴリズムを変更する。例えば、制御部14gは、ある被測定者について、データベース部15に蓄積された複数回の測定結果の中央値が、その被測定者の個人情報のうち「正常時の深部体温」に近くなるように、撮像機器13aで得られた画像から認証処理部13bが抽出する特徴の種類を特定するパラメータを変更することで、認証アルゴリズムを変更する。
このように、本変形例に係る深部体温測定装置10gでは、制御部14gは、データベース部15に蓄積された深部体温を参照することで、認証アルゴリズムを変更する。
これにより、データベース部15に蓄積された深部体温を参照することで認証アルゴリズムが変更されるので、深部体温の評価等とともに深部体温をフィードバックさせて認証アルゴリズムを学習させることで、より高い精度で個人認証できるように認証アルゴリズムが変更される。
なお、本変形例において、深部体温推定部12が推定した深部体温に加えて、撮像機器13aで得られた可視光の顔画像がデータベース部15に格納されてもよい。この場合には、可視光の顔画像は、データベース部15の対応する個人情報に格納される。そして、制御部14gは、データベース部15に蓄積された可視光の顔画像を参照することで、認証アルゴリズムを変更する。例えば、制御部14gは、認証処理部13bから出力される顔画像の特徴を用いて再現した顔画像が、データベース部15に格納されている顔画像に近くなるように、撮像機器13aで得られた顔画像から認証処理部13bが特徴を抽出するのに用いるパラメータを変更することで、認証アルゴリズムを変更する。これにより、深部体温だけでなく顔画像も用いたうえで認証アルゴリズムが変更されるので、認証アルゴリズムがより高度に学習され得る。
(変形例8)
次に、実施の形態1の変形例8に係る深部体温測定装置について説明する。
図20は、実施の形態1の変形例8に係る深部体温測定装置10hの構成を示すブロック図である。深部体温測定装置10hは、実施の形態1の深部体温測定装置10に対して、制御部14を新たな制御部14hに置き換え、かつ、環境測定部26及び測定支援部20aを追加した構成を備える。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
環境測定部26は、環境を測定する装置であり、例えば、温度計、湿度計、照度計及び風速計の少なくとも一つである。
測定支援部20aは、上記変形例2のものと同じであり、熱画像取得部11による熱画像の取得、及び、撮像機器13aによる可視光の画像の取得を支援する装置であり、そのために、制御部14hによる制御の下で、熱画像取得部11及び撮像機器13aによる撮像の態様を変更する機構を有する。
制御部14hは、実施の形態1の制御部14の機能に加えて、環境測定部26で測定された環境に依存して深部体温推定部12で用いられる深部体温推定アルゴリズムを変更する機能を有する。例えば、制御部14hは、環境測定部26で測定された温度に依存して深部体温推定部12で推定される深部体温を補正するように深部体温推定アルゴリズムを変更する。具体的には、制御部14hは、環境測定部26で測定された温度が所定の温度を超える場合には、深部体温推定部12で推定される深部体温が所定の温度だけ減算されるように深部体温推定アルゴリズムを変更する。これにより、環境温による影響が抑制された正確な深部体温が推定される。
また、制御部14hは、環境測定部26で測定された環境に応じて測定支援部20aに対して動作指示を与えることで熱画像取得部11及び撮像機器13aによる撮像の態様を変更させる動作指示を与える機能を有する。例えば、制御部14hは、環境測定部26による測定の結果、被測定者が所定値よりも低い照度の環境下にいることが判明した場合には、撮像機器13aに撮像時にフラッシュをたかせる、あるいは、露光時間を長くさせる動作指示を与える。これにより、暗い環境下でも撮像機器13aによって明瞭な画像が撮影され、確実に個人認証が行われる。
このように、本変形例に係る深部体温測定装置10hでは、制御部14hは、環境測定部26で測定された環境に依存して深部体温推定アルゴリズムを変更する。これにより、環境測定部26で測定された環境に依存して深部体温推定アルゴリズムが変更されるので、環境による影響を加味して深部体温が補正され、より高い精度で深部体温が推定される。
例えば、環境測定部26は、温度計、湿度計、照度計及び風速計の少なくとも一つである。これにより、温度計で測定された温度等の環境に依存して深部体温推定アルゴリズムが変更されるので、環境による影響を加味したうえで推定される深部体温が補正され、より高い精度で深部体温が推定される。
(変形例9)
次に、実施の形態1の変形例9に係る深部体温測定装置について説明する。
図21は、実施の形態1の変形例9に係る深部体温測定装置10iの構成を示すブロック図である。深部体温測定装置10iは、実施の形態1の深部体温測定装置10に対して、制御部14を新たな制御部14iに置き換え、かつ、移動制御部28を追加した構成を備える。以下、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
移動制御部28は、被測定者2の移動を制御する装置であり、例えば、深部体温測定装置10iが設置された箇所を通過するように設けられた、空港等に設置される水平型エスカレータである。
制御部14iは、実施の形態1の制御部14の機能に加えて、個人認証部13による個人認証の結果に応じて移動制御部28に対して動作指示を与えることで被測定者2の移動の態様を変更させる機能を有する。例えば、制御部14iは、個人認証部13の撮像機器13aによって移動制御部28の上を歩行する被測定者が深部体温測定装置10iに近づいたと検知されたときに、移動制御部28に対して移動速度を減速させる動作指示を与える。これにより、被測定者が深部体温測定装置10iに近づいたときに、移動制御部28の移動速度が減速され、被測定者の移動速度も減速され、熱画像取得部11によって明瞭な熱画像の画像が取得される。
このように、本変形例に係る深部体温測定装置10iでは、被測定者2の移動を制御する移動制御部28が備えられ、制御部14iは、個人認証部13による個人認証の結果に応じて移動制御部28に対して動作指示を与えることで被測定者2の移動の態様を変更させる。
これにより、個人認証部13による個人認証の結果に応じて被測定者2の移動の態様が変更されるので、例えば、水平型エスカレータに乗っている被測定者2の移動速度が熱画像の取得に好適となるように制御され、明瞭な熱画像が取得され、高い精度での深部体温の推定が可能になる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る深部体温測定システムを説明する。
図22は、実施の形態2に係る深部体温測定システム30の構成を示すブロック図である。
深部体温測定システム30は、実施の形態1に係る深部体温測定装置の応用システムであり、深部体温測定装置10、状態判断部34、情報通信部31、一般連絡先記憶部32、及び、緊急連絡先記憶部33を備える。
深部体温測定装置10は、実施の形態1に係る深部体温測定装置10である。なお、深部体温測定システム30を構成する深部体温測定装置としては、実施の形態1に係る深部体温測定装置10に限られず、実施の形態1の変形例1〜9に係る深部体温測定装置のいずれであってもよい。
状態判断部34は、深部体温測定装置10から出力された測定結果に基づいて被測定者2の状態を判断する処理部であり、例えば、ROM、RAM、ハードディスク等の補助記憶装置、ROM及び補助記憶装置に格納されたプログラムを実行するプロセッサ、ディスプレイ及びキーボード等の入出力機器等で構成されるコンピュータ装置によって実現される。より詳しくは、状態判断部34は、情報通信部31を介して深部体温測定装置10から出力された測定結果及び被測定者のIDを取得し、データベース部15を参照することで、深部体温測定装置10から出力された測定結果である深部体温が、データベース部15に登録された被測定者の「正常時の深部体温」から第1の所定範囲内(例えば、±0.5℃以内)であるか、あるいは、第1の所定範囲を超え、かつ、第2の所定範囲内(例えば、±2℃以内)であるか、あるいは、第2の所定範囲内を超えるかを判定することで、それぞれ、被測定者の状態として、「正常」、「異常」、「緊急」と判断する。
一般連絡先記憶部32は、個人情報の開示が可能な連絡先が登録された記憶装置であり、例えば、連絡先として、オフィスへの応用であれば、自分、上司、また、保育園への応用であれば、母、父等の家族、また、老人ホームへの応用であれば、家族、スタッフ、医者、また、飛行機への応用であれば、自分、家族等のemailアドレス及び電話番号が登録されたハードディスクである。なお、ここでいう「応用」とは、深部体温測定装置10を適用する技術分野又はシステムのことである。
緊急連絡先記憶部33は、緊急連絡先が登録された記憶装置であり、例えば、緊急連絡先として、オフィスへの応用であれば、職場責任者、契約病院、また、保育園への応用であれば、母、父等の家族、また、老人ホームへの応用であれば、家族、スタッフ、医者、また、飛行機への応用であれば、グラウンドスタッフ、契約病院等のemailアドレス及び電話番号が登録されたハードディスクである。
情報通信部31は、深部体温測定装置10から出力された測定結果を通信によって外部に提供する処理部であり、例えば、深部体温測定装置10及び状態判断部34を実現するコンピュータ装置に備えられる通信インタフェースを含む処理部で実現される。情報通信部31は、状態判断部34による判断結果に応じて、深部体温測定装置10の測定結果を一般連絡先記憶部32に登録された連絡先に通知したり、緊急連絡先記憶部33に登録された緊急連絡先に、深部体温測定装置10から出力された測定結果を通知したり、webサーバとして深部体温測定システム30の一般の利用者に情報を提供したりする。
図23A〜図23Cは、本実施の形態に係る深部体温測定システム30の動作を示す図である。より詳しくは、図23Aは、ある被測定者の状態に関して状態判断部34によって「正常」と判断された場合に、情報通信部31によって提供される情報及び提供先を示す図である。図23Bは、ある被測定者の状態に関して状態判断部34によって「異常」と判断された場合に、情報通信部31によって提供される情報及び提供先を示す図である。図23Cは、ある被測定者の状態に関して状態判断部34によって「緊急」と判断された場合に、情報通信部31によって提供される情報及び提供先を示す図である。
図23Aに示されるように、ある被測定者の状態に関して状態判断部34によって「正常」と判断された場合には、この判断の対象となった測定結果に関して、情報通信部31は、深部体温測定装置10の測定結果を一般連絡先記憶部32に登録された連絡先40に通知する。これにより、被測定者自身、あるいは、その関係者は、email等で、被測定者の深部体温が正常であることの通知を受けることができる。
また、この判断の対象となった測定結果に関して、情報通信部31は、深部体温測定装置10から出力された測定結果を多数の被測定者について集計して平均等を算出することで統計データを算出し、算出した統計データを、例えば、webサーバとして、深部体温測定システム30の一般の利用者41に提供する。これにより、深部体温測定システム30の一般の利用者は、正常な人の深部体温の統計値を知ることができる。
なお、状態判断部34によって「正常」と判断された場合には、この判断の対象となった測定結果に関して、緊急連絡先記憶部33に登録された緊急連絡先42に通知されることはない。
また、図23Bに示されるように、ある被測定者の状態に関して状態判断部34によって「異常」と判断された場合には、この判断の対象となった測定結果に関して、情報通信部31は、深部体温測定装置10の測定結果を一般連絡先記憶部32に登録された連絡先40に通知し、深部体温測定装置10から出力された測定結果から統計データを算出し、算出した統計データを、例えば、webサーバとして、深部体温測定システム30の一般の利用者41に提供する。
さらに、このケースでは、上記通知及び情報提供に加えて、情報通信部31は、この判断の対象となった測定結果に関して、緊急連絡先記憶部33に登録された緊急連絡先42に、深部体温測定装置10から出力された測定結果を通知する。これにより、被測定者の状態が異常であると判断された場合に、被測定者だけでなく、緊急連絡先に対しても被測定者の状態が異常であることが通知され、速やかに被測定者に対する措置を行うことが可能になる。
また、図23Cに示されるように、ある被測定者の状態に関して状態判断部34によって「緊急」と判断された場合には、この判断の対象となった測定結果に関して、情報通信部31は、深部体温測定装置10の測定結果を一般連絡先記憶部32に登録された連絡先40に通知し、深部体温測定装置10から出力された測定結果から統計データを算出し、算出した統計データを、例えば、webサーバとして、深部体温測定システム30の一般の利用者41に提供する。
さらに、このケースでは、上記通知及び情報提供に加えて、情報通信部31は、この判断の対象となった測定結果に関して、緊急連絡先記憶部33に登録された緊急連絡先42に、深部体温測定装置10から出力された測定結果を通知する。加えて、情報通信部31は、個人情報を除外したうえで、「緊急」状態の被測定者が発生したことを、例えば、SARS(重症急性呼吸器症候群)が発生した緊急報告として、webサーバ等を通じて、深部体温測定システム30の一般の利用者41に提供する。これにより、被測定者の状態が緊急であると判断された場合に、被測定者だけでなく、緊急連絡先42や深部体温測定システム30の一般の利用者41に対しても緊急報告が通知され、被測定者に対する措置及び感染防止措置を速やかに行うことが可能になる。
なお、情報通信部31による通知先及び情報提供先については、深部体温測定装置10による測定結果の一項目(例えば、図7Aの「データセキュリティ&共有管理」)として、深部体温測定装置10において記録され管理されてもよい。例えば、情報通信部31は、通知及び情報提供を終えたときに、その通知先及び情報提供先を深部体温測定装置10に報告することで、深部体温測定装置10における記録及び管理が可能になる。
以上のように、本実施の形態に係る深部体温測定システム30は、実施の形態1に係る深部体温測定装置10と、深部体温測定装置10から出力された測定結果に基づいて被測定者2の状態を判断する状態判断部34と、深部体温測定装置10から出力された測定結果を通信によって外部に提供する情報通信部31とを備える。
これにより、深部体温測定装置10から出力された測定結果に基づいて被測定者2の正常/異常等の状態が判断されるので、被測定者2の健康状態を直感的に把握することができる。また、深部体温測定装置10から出力された測定結果が通信によって外部に提供されるので、遠隔にいる者でも被測定者2の結果を知ることができる。
また、深部体温測定システム30は、個人情報の開示が可能な連絡先が登録された一般連絡先記憶部32を備え、情報通信部31は、深部体温測定装置10の測定結果を一般連絡先記憶部32に登録された連絡先に通知する。
これにより、深部体温測定装置10の測定結果が予め登録された連絡先に自動で通知されるので、被測定者2の深部体温を遠隔の者に通知する操作が不要となる。
また、情報通信部31は、深部体温測定装置10から出力された測定結果から統計データを算出し、算出した統計データを深部体温測定システム30の一般の利用者に提供する。
これにより、深部体温測定装置10から出力された測定結果から算出された統計データが深部体温測定システム30の一般の利用者にも提供されるので、一般の利用者は、深部体温についての統計値を知ることができる。
また、情報通信部31は、状態判断部34によって被測定者2の状態が緊急であると判断された場合に、被測定者2の状態が緊急であることを、緊急連絡として、一般の利用者に通知する。
これにより、被測定者2の状態が緊急であると判断された場合に、そのことが緊急連絡として深部体温測定システム30の一般の利用者に通知されるので、例えば、SARS患者が発見された等の緊急情報がいち早く一般の利用者に届けられる。
また、深部体温測定システム30は、緊急連絡先が登録された緊急連絡先記憶部33を備え、情報通信部31は、状態判断部34によって被測定者2の状態が異常又は緊急であると判断された場合に、緊急連絡先記憶部33に登録された緊急連絡先に、深部体温測定装置10から出力された測定結果を通知する。
これにより、被測定者2の深部体温に基づいて被測定者2の状態が異常又は緊急であると判断された場合に、予め登録された緊急連絡先に測定結果が通知されるので、被測定者2が関係する機関等が早い対応措置をとることができる。
(変形例1)
次に、実施の形態2の変形例1に係る深部体温測定システムについて説明する。
図24は、実施の形態2の変形例1に係る深部体温測定システム30aの構成を示すブロック図である。深部体温測定システム30aは、実施の形態2の深部体温測定システム30に対して、情報通信部31を新たな情報通信部31aに置き換えた構成を備える。以下、実施の形態2と異なる点を中心に説明する。
情報通信部31aは、実施の形態2の情報通信部31の機能に加えて、オフィスシステム44を介して、被測定者2が使用する電子機器45と接続され、状態判断部34によって判断された被測定者2の状態に応じて、電子機器45に記録されたスケジュールを変更する機能を有する。
オフィスシステム44は、被測定者2が使用する電子機器45を管理するシステムであり、例えば、被測定者2が属する会社に設置されるセキュリティシステム、スケジュール管理システム等である。
電子機器45は、スケジュール管理機能を有する機器であり、例えば、被測定者2が使用するパーソナルコンピュータ、スマートフォン等である。
このような本変形例に係る深部体温測定システム30aによれば、状態判断部34によって判断された被測定者2の状態に応じて、被測定者2が所有する電子機器45に記録されたスケジュールが自動的に変更されるので、例えば、被測定者2が高熱を発した場合に、被測定者2のスケジュールがリアルタイムで変更される。具体的には、被測定者2の状態が「異常」又は「緊急」と判断された場合に、そのことが情報通信部31aからオフィスシステム44のスケジュール管理システムを介して被測定者2の電子機器45に通知され、その結果、予約された会議が自動的にキャンセルされ、そのことが会議の参加予定者に通知される。また、被測定者2の状態が「異常」又は「緊急」と判断された場合に、そのことが情報通信部31aからオフィスシステム44の入退室セキュリティシステムを介して被測定者2の電子機器45に通知され、その結果、特定の時間帯について、登録されたエリアに入ることが禁止される。
(変形例2)
次に、実施の形態2の変形例2に係る深部体温測定システムについて説明する。
図25は、実施の形態2の変形例2に係る深部体温測定システム30bの構成を示すブロック図である。深部体温測定システム30bは、実施の形態2の深部体温測定システム30に対して、情報通信部31を新たな情報通信部31bに置き換え、かつ、自動救命部46を追加した構成を備える。以下、実施の形態2と異なる点を中心に説明する。
自動救命部46は、被測定者2の移動手段の手配47aに関する連絡、救命措置の手配47bに関する連絡、及び、緊急連絡先47cへの連絡を行う処理部であり、例えば、保険会社又は病院に設置される通信機能をもつコンピュータ装置である。
情報通信部31bは、状態判断部34によって被測定者2の状態が異常又は緊急であると判断された場合に、自動救命部46に通知することで、自動救命部46を動作させる。
これにより、状態判断部34によって被測定者2の状態が異常又は緊急であると判断された場合に、自動救命部46が動作するので、被測定者2の移動手段の手配47aに関する連絡、救命措置の手配47bに関する連絡、及び、緊急連絡先47cへの連絡が自動的に行なわれる。
例えば、飛行機において状態判断部34によって被測定者2の異常状態が検知されると、飛行機が目標地に到着するまでに、情報通信部31bによって被測定者2の異常が病院に設置された自動救命部46に通知される。自動救命部46は移動手段の手配47a及び救命措置の手配47bを行う。これにより、飛行機の到着直後に、異常状態にある被測定者2はすぐに病院に運ばれる。さらに、緊急連絡先47cとして、被測定者2が契約している保険会社に連絡が入り、病院への支払い決裁がスムーズに完了する。
以上、本発明に係る深部体温測定装置、深部体温測定システム及び深部体温測定方法について、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態及び変形例に施したものや、実施の形態及び変形例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上記実施の形態及び変形例では、図1に示されるユーザインタフェース装置4が含まれなかったが、ユーザインタフェース装置4が深部体温測定装置に含まれてもよい。その際には、深部体温測定装置が備える制御部による制御の下で、深部体温測定装置と被測定者との間で各種対話が行われる。
図26は、ユーザインタフェース装置4を含む深部体温測定装置10jの構成例を示すブロック図である。ここでは、実施の形態1に係る深部体温測定装置10とユーザインタフェース装置4とを備える深部体温測定装置10jの構成が示されている。
ユーザインタフェース装置4は、タッチパネル付きディスプレイ等であり、深部体温測定装置10が備える制御部14による制御の下で、図27A〜図27Cに示されるようなユーザインタフェースを提供する。
図27Aでは、深部体温の測定結果を表示し、被測定者に対していくつかの入力を促す画面表示例が示されている。被測定者は、測定結果として表示された深部体温に対して問題がないか否かを選択したり、深部体温推定アルゴリズムとして別のものを希望する場合には別の深部体温推定アルゴリズムを選択したりすることができる。その選択結果は、深部体温推定アルゴリズムを変更するのに用いられる。
図27Bでは、測定の優先順位を選択するための画面表示例が示されている。被測定者は、測定の優先順位として、測定精度を優先するか、測定時間(短時間)を優先するか、システム(深部体温測定装置10j)に任せるか等を選択することができる。この選択結果は、深部体温推定アルゴリズムを変更するのに用いられる。
図27Cでは、撮影された画像の登録の可否、及び、測定結果の通知先の選択を促す画面表示例が示されている。被測定者は、撮像された自分の顔画像の登録を許可するか否かを選択したり、測定結果として得られた深部体温の通知先を選択したりすることができる。
また、上記実施の形態及び変形例は、具体的な適用例として、図28A〜図28Fに示されるような応用が可能である。
図28Aは、深部体温測定装置10を飛行機内に設置した例を示す図である。飛行機の搭乗者は、座席の前方に設置された深部体温測定装置10によって深部体温が測定され、その結果を、座席の前方に設置されたディスプレイで確認することができる。
図28Bは、深部体温測定装置10を自動車内に設置した例を示す図である。自動車の運転者は、ダッシュボード上部に設置された深部体温測定装置10によって深部体温が測定され、その結果を、ダッシュボード内に設置されたディスプレイで確認することができる。
図28Cは、深部体温測定装置10の室内への設置例を示す図である。室内のエアコンに深部体温測定装置10が装備され、深部体温測定装置10によって、室内にいる人の深部体温が測定される。
図28Dは、深部体温測定装置10をスマートフォン等の携帯情報機器に組み込んだ例を示す図である。携帯情報機器のユーザは、携帯情報機器に組み込まれた深部体温測定装置10によって測定された深部体温を携帯情報機器のディスプレイで確認することができる。
図28Eは、深部体温測定装置10の高齢者設備に設置した例を示す図である。高齢者設備に設置された深部体温測定装置10は、高齢者が使用する車椅子に設けられたRFIDと無線通信をすることで、高齢者の接近を検知し、その高齢者の深部体温を測定することができる。なお、車椅子に設けられたRFIDは、高齢者の個人認証に用いられてもよい。
図28Fは、深部体温測定装置10を病院に設置した例を示す図である。病院内のベッド上方の壁に設置された深部体温測定装置10は、ベッドにいる患者の深部体温を測定し、その測定結果を通信によって管理装置に通知することができる。
また、上記実施の形態及び変形例に係る深部体温測定装置は、一つの筺体に収納される構成要素の集まりとして実現できるだけでなく、通信路を介して全部又は一部の構成要素が接続されて構成される分散形態でも実現できる。
また、上記実施の形態に係る深部体温測定方法は、深部体温測定方法を構成する全部又は一部の工程をプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なDVD等の記録媒体として実現したりすることもできる。