JP2018182108A - 平凸レンズ、ファイバアレイモジュール及び受光モジュール - Google Patents

平凸レンズ、ファイバアレイモジュール及び受光モジュール Download PDF

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基博 中原
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Abstract

【課題】第1の光ファイバと第2の光ファイバとの間隔が狭い場合であっても、フィルタで反射されたビームを第2のファイバへ効率よく結合させる反射型のレンズ−光ファイバ結合系を提供する。【解決手段】平坦面21A及びレンズ面23を備える平凸レンズ20であって、レンズ面23は、平坦なベース面21B上に配置された、球面形状を有する第1凸面A1及び第2凸面A2を備え、第1凸面A1によってベース面21B上に形成される第1仮想円の直径、及び、第2凸面A2によってベース面21B上に形成される第2仮想円の直径が、第1仮想円及び第2仮想円の中心間距離dpよりも大きい、平凸レンズである。【選択図】図1

Description

本開示は、2つの凸面を有する平凸レンズ及びこれを備えるファイバアレイモジュール並びに受光モジュールに関する。
光通信用の受光モジュールが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。特許文献1及び2の受光モジュールは、第1の光ファイバから出射したビームをレンズアレイでコリメートし、レンズアレイでコリメートされたビームの一部をフィルタでレンズアレイに反射し、第2のファイバへ戻す。一方で、伝送路中の光をモニタするために、フィルタで分岐したビームの一部を、後段に設置された受光素子で受光する。
特許文献2の後に公開されている特許文献1において、第1の光ファイバと第2の光ファイバとの間隔は500μmであり、レンズアレイの間隔も500μmである。しかし、光通信用のモジュールの小型化が進み、250μmや127μmなどの500μmよりも狭い間隔で光ファイバを配列することが求められている。
特開2009−093131号公報 特開2005−043762号公報
球面レンズは、設計及び製造が容易であるため、レンズアレイに用いることが望ましい。しかし、特許文献1及び2のような反射型のレンズ−光ファイバ結合系において、光ファイバの間隔を狭くしようとすると、フィルタで反射されたビームの第2のファイバへの結合効率が低下する問題が生じた。一方で、レンズアレイの屈折率を上げることでレンズ径を小さくすることも考えられるが、屈折率の高いレンズ材は実用的でない。
本開示は、反射型のレンズ−光ファイバ結合系において、第1の光ファイバと第2の光ファイバとの間隔が狭い場合であっても、屈折率の高いレンズ材を用いずに、フィルタで反射されたビームを第2のファイバへ効率よく結合させることを目的とする。
本開示の平凸レンズは、
平坦面及びレンズ面を備える平凸レンズであって、
前記レンズ面は、平坦なベース面上に配置された、球面形状を有する第1凸面及び第2凸面を備え、
前記第1凸面によって前記ベース面上に形成される第1仮想円の直径、及び、前記第2凸面によって前記ベース面上に形成される第2仮想円の直径が、前記第1仮想円及び前記第2仮想円の中心間距離よりも大きい。
本開示の平凸レンズは、前記第1凸面と前記第2凸面との間に、前記第1凸面及び前記第2凸面の境界における形状変化を緩和する鞍部をさらに備えていてもよい。
本開示の平凸レンズは、前記第1凸面及び前記第2凸面は、それぞれ、前記第1凸面の頂点及び前記第1仮想円の中心を通る第1の直線と前記第2凸面の頂点及び前記第2仮想円の中心を通る第2の直線の2本の直線を含む所定平面内の第1の位置及び第2の位置から出射された光を平行光にし、前記第1凸面から入射された平行光が前記平坦面に配置された反射面で反射された場合、前記第2凸面が当該平行光を前記第2の位置に集光してもよい。
本開示の平凸レンズは、前記第1凸面及び前記第2凸面は、それぞれ、前記第1凸面の頂点及び前記第1仮想円の中心を通る第1の直線と前記第2凸面の頂点及び前記第2仮想円の中心を通る第2の直線の2本の直線を含む所定平面内の第1の位置及び第2の位置から前記平坦面に入射された光を平行光にしかつ前記第1の位置及び前記第2の位置から予め定められた所定距離に前記第1の直線及び前記第2の直線に垂直な反射面の一点に集光するように出射し、前記第1凸面から出射された平行光が前記一点で反射された場合、前記第2凸面が当該平行光を前記第2の位置に集光してもよい。
本開示の平凸レンズは、前記反射面に、前記第1凸面から入射された平行光の一部を透過し、前記平行光の一部を前記第2凸面に反射するフィルタ部が設けられていてもよい。
本開示のファイバアレイモジュールは、本開示に係る複数の平凸レンズを有し、複数の前記第1凸面及び前記第2凸面が共通の前記ベース面上に配列されている第1レンズアレイと、各々の前記平凸レンズに対して2本の光ファイバを有し、各光ファイバの端面が各々の前記平凸レンズの前記第1の位置又は前記第2の位置に配置されているファイバアレイと、を備える。
本開示のファイバアレイモジュールは、本開示に係るファイバアレイモジュールと、前記反射面から透過された平行光を透過する複数の貫通孔を有し、前記反射面から透過された各々の前記平行光が異なる前記貫通孔の一端に入射され、前記貫通孔を通過後の平行光を各貫通孔の他端から出射する光部品と、前記複数の貫通孔の前記他端から出射された各光を前記貫通孔ごとに定められた点に集光する第2レンズアレイと、を備える。
本開示の受光モジュールは、本開示に係るファイバアレイモジュールと、前記第2レンズアレイで集光された各光を受光する受光素子アレイと、を備える。
本開示によれば、反射型のレンズ−光ファイバ結合系において、屈折率の高いレンズ材を用いずに、モニタ用に一部分岐された後の再び光ファイバに戻るべき光を光ファイバに効率よく結合させることができる。
本開示の平凸レンズの斜視図である。 凸面によってベース面上に形成される仮想円の一例を示す。 平凸レンズの金型の第1例を示す。 平凸レンズの金型の第2例を示す。 第1の実施形態に係るツインピーク平凸レンズの一例を示す。 第2の実施形態に係るファイバアレイモジュールの構成例を示す。 第1及び第2の実施形態における光学系についての説明図である。 2ピース形態と本開示のツインピーク形態との違いを説明する図であり、(a)は2ピース形態を示し、(b)はツインピーク形態を示す。 鞍部のバリエーションを説明する図であり、(a)は鞍部がピークよりも低い形態を示し、(b)は鞍部とピークが同じ高さである形態を示す。 平凸レンズの金型の第3例を示す。 第1及び第2の実施形態において、ファイバ間周期間隔が250μmの場合のケラレの無い光学系を構成する条件を説明するグラフである。 第1及び第2の実施形態において、ファイバ間周期間隔が127μmの場合のケラレの無い光学系を構成する条件を説明するグラフである。 フィルタ部における角度依存性の一例を示す。 第3の実施形態に係るシングルピーク化した平凸レンズの一例を示す。 第3の実施形態に係るファイバアレイモジュールの構成例を示す。 第3の実施形態における光学系についての説明図である。 第4の実施形態に係るツインピーク平凸レンズの一例を示す。 第5の実施形態に係るファイバアレイモジュールの構成例を示す。 第4及び第5の実施形態における光学系についての説明図である。 第4及び第5の実施形態において、ファイバ間周期間隔が250μmの場合のケラレの無い光学系を構成する条件を説明するグラフである。 第4及び第5の実施形態において、ファイバ間周期間隔が127μmの場合のケラレの無い光学系を構成する条件を説明するグラフである。 第6の実施形態に係るシングルピーク化した平凸レンズの一例を示す。 第6の実施形態に係るファイバアレイモジュールの構成例を示す。 第6の実施形態における光学系についての説明図である。 第7の実施形態に係るファイバアレイモジュールの一例を示す。 第7の実施形態に係る受光モジュールの一例を示す。 第8の実施形態に係るファイバアレイモジュールの一例を示す。 第8の実施形態に係る受光モジュールの一例を示す。 第9の実施形態におけるファイバアレイのz方向からみた接続面の一例を示す。 第9の実施形態における受光モジュールのx方向からみた構成の一例を示す。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態の光学系の斜視図を示す。本開示の光学系は、双峰型の平凸レンズ20と2本の光ファイバ11A、11B、及びフィルタ部4を備える。光ファイバ11Aは、端面P1が第1の位置に配置され、第1の光ファイバとして機能する。光ファイバ11Bは、端面P2が第2の位置に配置され、第2の光ファイバとして機能する。フィルタ部4の平凸レンズ20側の面は反射面として機能する。
まず、平凸レンズ20について述べる。本開示の平凸レンズ20は、図中のxyz直交座標軸に平行な辺を持つ長方形状のレンズ材質から成る平坦基板21のベース面21B上にレンズ面23を有する。レンズ面23は、第1凸面として機能する球面形状の凸面A1、第2凸面として機能する球面形状の凸面A2、及び鞍部A3を有する。
凸面A1は、z軸に平行な第1の直線R1を回転中心とし、且つ直線R1との交点をピークP6とする球面の一部である。凸面A2は、z軸に平行な第2の直線R2を回転中心とし、且つ直線R2との交点をピークP8とする球面の一部である。凸面A2は、凸面A1をx方向にピーク間隔dpだけ平行移動した形状の球面の一部である。
図2に、凸面A1及びA2によってベース面21B上に形成される仮想円の一例を示す。ベース面21B上には、凸面A1によって、直線R1上の点C1を中心としかつ直径D1の第1仮想円が形成される。凸面A2についても、ベース面21B上に直線R2上の点C2を中心点としかつ直径D2の第2仮想円が形成される。凸面A1の頂点P6及び第1仮想円の中心点C1は第1の直線R1を通り、凸面A2の頂点P8及び第2仮想円の中心点C2は第2の直線R2を通る。
これらレンズ作用をなす二つの凸面A1,A2のレンズ径は、ピーク間隔dpに比較して大きく設定されている。すなわち、ピーク間隔dpが直径D1及びD2よりも小さく、第1仮想円と第2仮想円とは互いに重なり合うように配置されている。実施形態においては直径D1及びD2が等しい例を示すが、本開示はこれに限らず、直径D1及びD2は異なっていてもよい。
第1仮想円と第2仮想円との重なりあった部分には図1に示すように、幅wの鞍部A3が設けられている。鞍部A3も、図1中の点線で示す等高線から判るように、ベース面21Bからは突き出ていて、2つの凸部A1、A2を滑らかに接続する形態となっている。全体として、凸面A1、A2及び鞍部A3から成るレンズ面23は、2つのピークP6及びP8の中点を通りz軸に平行な直線をレンズ中心軸Acとすることになる。2つのピークP6及びP8を通るx軸に平行な直線を以下ピーク線Bcと称する。
z軸に平行な光軸を有する光ファイバ11Aが、その光軸が凸面A1の中心である直線R1より所定の距離だけ外側でピーク線Bcに交わるように配置されている。光ファイバ11Aからの出射光は凸面A1のピークP6に対して外側にオフセットして入射するようになっている。入射した光は、その所定量強度分が、後述する仕組みで反射して、光ファイバ11Aとはレンズ中心軸Acに対して対称に配置された光ファイバ11Bに集光、入射するようになっている。
かような形態のレンズは、金型を用いたガラスモールド法で作製することができる。図3に金型作製工程での、金型をz軸方向から観た等高線図を示す。まず図3のように、金型面に凸面A1,A2に対応した凹面を形成する。凹面形状作製工程で、重なりあった部分は、互いに相手方のより深い凹面になって、境界には稜線ができる。金型内部にこのような稜線が存在すると、モールド作業中の物質移動が妨げられる可能性がある。そこで図4に示すように、境界を光ファイバからの出射光強度分布パターンのxy面への射影部分Pdにかからないように削り取り、境界における形状変化を緩和する。これにより、図1に示すような鞍部A3を持つ形状になるわけである。
次に、本実施形態の光学系をよりわかりやすく説明するため、直線R1,R2を含む平面Pcで切った断面図である図5で説明する。本実施形態では、レンズ面23側に光ファイバ11A及び11Bが配置され、平坦面21A側にフィルタ部4が配置されている。光ファイバ11Aの端面P1及び光ファイバ11Bの端面P2は、それぞれ第1の位置及び第2の位置に配置されている。光ファイバ11A及び11Bの長手方向は、平面P内で平凸レンズ20のレンズ中心軸Aと平行に配置されている。平面Pは、光ファイバ11Aおよび11Bで構成される平面である。以下、この実施形態をタイプIと称する。
本実施形態に係る平凸レンズ20は、レンズ面23に凸面A1,A2の2か所の凸面を有する。凸面A1は、レンズ中心軸Acと平行で光ファイバ11Aおよび11Bで形成される平面Pcに含まれる直線R1を回転中心とする回転曲面であり、凸面A2も同様にレンズ中心軸Acと平行で光ファイバ11Aおよび11Bで形成される平面Pcに含まれる直線R2を回転中心とする回転曲面であり、直線R1、R2は、レンズ中心軸Acに対して対称に、2本のファイバ中心線に対して内側に所定の距離だけオフセットされている。
かような構成において、光ファイバ11Aの端面P1から出射した光は、凸面A1から平凸レンズ20に入射する。凸面A1は、光ファイバ11Aの端面P1から出射した光を平行光にする。凸面A1で平行光となった光は、平凸レンズ20を透過し、平坦面21Aに配置されているフィルタ部4で一部が凸面A2に向けて反射する。凸面A2は、フィルタ部4で反射した平行光を光ファイバ11Bの端面P2に集光する。これにより、フィルタ部4で反射した平行光は、光ファイバ11Bに入射する。
本実施形態に係る平凸レンズ20は、フィルタ部4で反射した平行光を光ファイバ11Bの端面P2に集光する。このため、本実施形態に係る平凸レンズ20は、モニタ光を一部分岐された(以後タップされたと表現する)後の光を光ファイバ11Bに効率よく結合させることができる。
(第2の実施形態)
図6に、本実施形態に係るファイバアレイモジュールの構成例を示す。これは、タイプIの平凸レンズ20をアレイ化した場合に相当する。本実施形態に係るファイバアレイモジュールは、光ファイバ11A−1〜11A−4及び11B−1〜11B−4が交互に配列されているファイバアレイ1と、第1の実施形態の複数のレンズ面23−1〜23−4が配列されているレンズアレイ2と、を備える。レンズアレイ2は第1レンズアレイとして機能する。
レンズアレイ2は、複数のレンズ面23−1〜23−4の両端に、スペーサ22が配置されている。スペーサ22は、金型にレンズ相当凹部と同時にスペーサ相当凹部を形成しておき、レンズ形成と同時にモールド法で形成してもよいし、あるいは所定の厚みの板を挟み込む形態でもよい。
ファイバアレイ1及びレンズアレイ2は、第1の実施形態の4つのファイバ−レンズ光学系が、平面P上に並列に配置されている。具体的には、レンズアレイ2は、第1の実施形態の複数のレンズ面23−1〜23−4を備える。レンズアレイ2に備わる各ツインピーク平凸レンズ20は、第1の実施形態のファイバーレンズ光学系を基本単位として備える。各レンズ面23のレンズ中心軸Aは、平面P内に並列に配列されている。ファイバアレイ1は、各々のツインピークレンズ面23−1〜23−4に対して2本の光ファイバ11A及び11Bを有する。光ファイバ11A−1〜11A−4の各端面及び11B−1〜11B−4の各端面の配置されているファイバアレイ1の端面PL11は、ピーク線Bcと平行に配置される。
図7を参照しながら、図5及び図6における光学系について説明する。以下方向は図中の直交xyz座標軸に倣って説明する。図の左側には、xz平面内において、z軸に平行で、x軸方向に間隔dで光ファイバ11A及び11Bが並べられたファイバアレイ1が配置されている。ファイバアレイ1は、x軸に平行でy軸に対して所定の角度をなす平面を端面として、例えば、テンパックスガラス等の筐体によって保持されて構成されている。
z軸に平行なレンズ中心軸Aを有するレンズ面23が、z軸に垂直な面を共通平面として、x軸方向にファイバアレイ1の倍の間隔2dで、且つ隣接するレンズ面23とは隣接間隔dをおいてアレイ化されている。凸面A1は、ファイバアレイで成る平面Pcに含まれてz軸に平行な直線R1を中心とする回転曲面であり、レンズ作用をなす。しかも、光ファイバ11Aの光軸に対して、所定の距離だけ内側(レンズ中心軸Ac側)にオフセットされている。凸面A2は、レンズ中心軸Acに対して、幅wの鞍部A3を挟んで凸面A1とは対称な形状に形成されている。凸面A1及びA2の直線R1と直線R2の間隔dは(以後ピーク間隔dと称する)、間隔dより小さい距離に設定されている。
ファイバアレイ1の端面PL11とレンズアレイ2のレンズ面23とは、凸側焦点距離fvに等しい厚みの空気層3を挟んで配置されている。レンズ面23と平坦面21Aとの距離、すなわちレンズの厚みtは、凹側焦点距離fよりも厚い所定値に設定されている。
ファイバアレイ1とレンズアレイ2の相対位置は、x軸方向は、レンズ中心軸Aがファイバアレイ1の隣接ファイバ同士の中心線(この図では、光ファイバ11Aと光ファイバ11Bの中心線)に一致するように、y方向は、レンズ中心軸Aのアレイで形成された平面がファイバアレイ1の中心線で形成された平面と該一致するように、およびz方向は、ファイバアレイ1の端面PL11とレンズアレイ2のピークP6及びP8との距離が平凸レンズ20の凸側焦点距離fに該一致するように設定されている。
レンズアレイ2の平坦面21A側の表面には、所定の波長の光を所望の比率で反射/透過する機能を有するフィルタ部4が設けられていてもよい。
このような構成において、光ファイバ11Aの端面P1から出射した光の経路を光線近似で考察する。光ファイバ11Aの端面P1は、凸側焦点面PL23V上に位置しており、且つ前述したようにレンズ面23の内の直線R1はファイバ中心線に対してx方向にオフセットしているので、光ファイバ11Aの端面P1を点光源として、そこから出射してレンズアレイ2の凸面A1に入射した光はレンズ中心軸A側に屈折して、レンズ中心軸Aと所定の角度φをなす平行光線となってレンズ中を進む。その内で、光ファイバ11Aの端からレンズ中心軸Aであるz軸に平行に出射した光線すなわち中心光線は、平凸レンズ20に入射した後、凹側焦点を通ることになる。
レンズの厚みtが凹側焦点距離fよりも厚く、しかも上述の中心光線がレンズ中心軸Aと交わる点に平坦面21Aが位置する所定値に設定されていて、その平坦面21Aにフィルタ部4が設けられていると、当該平行光の所定の強度分はフィルタ部4を透過してレンズ中心軸Aに対して角度ψで直進するが、残りの強度分はフィルタ部4で反射して、レンズ中心軸Aに対して対称なx方向位置で凸面A2に達する。凸面A2に達した反射光は、凹側焦点を通ってきた平行光であり、光ファイバ11Aから出射、ツインピーク平凸レンズ20に入射した光路とレンズ中心軸Aに対して対称な経路をたどり、結局レンズ中心軸Aに対して光ファイバ11Aと対称な位置にある光ファイバ11Bの端面P2に集光することになる。
ここで、もしもレンズの厚みtが前述の所定値より薄い場合、フィルタ部4での反射光は、凸面A2のレンズ中心軸A側の表面に達することになり、そこでは平行光は収束されず、光ファイバ11Bの端面P2では広がってしまう。一方、レンズの厚みtが前述の所定値より厚い場合、フィルタ部4での反射光は、凸面A2の外側の表面に達することになり、平行光は収束されすぎて、光ファイバ11Bの端面P2では広がってしまう。いずれの場合でも、フィルタ部4での反射光線の光軸も光ファイバ11Bの端面P2から外れてしまう。そのため、レンズの厚みtが凹側焦点距離fよりも厚く、しかも上述の中心光線がレンズ中心軸Aと交わる点に平坦面21Aが位置する所定値に設定されている必要がある。
尚、フィルタ部4で透過した光線は、隣接媒質の屈折率が空気層3の屈折率nと同じであれば、角度ψで出射する。また、図には示さないが、隣接媒質の屈折率がレンズアレイ2の屈折率と同じであれば、角度φで出射する。
次に、上記説明を、数式を使って定式化する。図7において、凸側焦点面PL23Vに端面P1を有する光ファイバ11Aから出射して空気層3を通過してレンズ面23の凸面A1に入射した光線は、レンズ中心軸Aと角度φをなす平行光となる。それら光線の内、凸面A1のピークP6に入射した光線に対しては、入射点のレンズ表面接平面はレンズ中心軸Aに垂直なので、光線のピーク中心入射角である角度ψ、出射角である角度φと屈折率n、nの間には、次式で表されるスネル則が成り立つ。
(数1)
sinψ=nsinφ (1)
ここで、n及びnはそれぞれ空気屈折率及びレンズ屈折率である。
また、ファイバアレイ1は間隔dで、レンズアレイ2はその倍の間隔2dでアレイ化されているわけであるから、凸側焦点面PL23Vまでの焦点距離f、及び、凹側焦点面PL23Cまでの焦点距離fは、ファイバ間隔dと、凸面A1と凸面A2のピーク間隔d、ピークP6への入射角である角度ψ、およびピークP6からレンズアレイ2内への出射角度である角度φの値から、以下の式(2)、式(3)で決まる。
(数2)
={(d−d)cotψ}/2 (2)
(数3)
={(d−d)cotφ}/2 (3)
また、レンズの厚みtについても同様に、
(数4)
=dcotφ/2 (4)
が成り立つ。
さらに、ピーク曲率半径Rは次式で与えられる。
(数5)
=(n−n)f/n (5)
ツインピークを構成する凸面A1及び凸面A2は、ともに上記式(1)〜式(5)を満たせばよいわけであるが、これらの関係を満たし、レンズ中心軸Aに平行な軸を対称軸とする回転曲面は、最も簡単には、式(5)で得られるRを半径とする球面でよく近似できる。ファイバ間隔d、レンズのピーク間隔d、レンズ屈折率n、空気屈折率n、およびフィルタ部4での反射角である角度φを与えれば、式(2)と式(3)から平凸レンズ20の凸凹二つの焦点距離f及びfが決まり、すなわち光ファイバ11A及び11Bと平凸レンズ20の距離及び、式(4)からレンズの厚みtが決まる。また、レンズ作製工程であるモールド工程で使用する金型の形状目安となるピーク曲率半径も式(5)より判る。
次に、このような光学系が成立するための条件について述べる。光ファイバ11A及び11Bとの間の低損失結合を実現するには、レンズ面23でのケラレを極力抑える必要がある。光ファイバ11Aからの出射光は光ファイバのNAに従って広がるわけであるが、その広がりは、光ファイバ端をビームウエスト位置とするガウシアンビームの伝搬としてよく表わされる。光ファイバ11Aの端面P1から出射して凸面A1に到達したガウシアンビームのパワー分布は、ビーム中心からビーム半径ωの1.73倍までの範囲で全パワーの99.75%となる。そこでここまでの範囲を凸面A1に達したビームのビーム径BDとすれば、それは次式で与えられる。
Figure 2018182108
ここで、ω及びλはそれぞれ光ファイバ11Aのモード半径および光の波長である。
次に、レンズの構成から、レンズ面23でのビーム径に要求される条件を図8に従って考察する。凸面A1及び凸面A2のピーク間隔dを大きくしていくと、図8(a)に示すように、凸面A1及び凸面A2の重なりがとれて2個の個別凸面状態になる。すなわち、鞍部A3が、ベース面21Bと同一平面に配置される。これを2ピース状態と呼び、これとツインピーク状態との比較で考える。
まず図8(a)に従って、2ピース状態について考える。2ピース状態において、ケラレがなく、低損失のファイバ−ファイバ結合を実現するためには、z軸に平行なファイバ中心線と当該中心線が寄った側のレンズ外縁とのx軸方向距離Dが、レンズ表面におけるビーム径BDの半分より大きくなければならないから、
(数7)
BD/2<D=d/2−w/2−(d−d)/2=(2d−d−w)/2
より
BD<2d−d−w (7)
が成立しなければならない。これが、2ピース条件である。ここで以下(2d−d−w)を2ピース条件指数と呼ぶ。式(7)の条件とは逆に、レンズ表面のビーム径BDが2ピース条件指数より大きければ、ケラレの無い光学系を構成するには、ツインピーク構成をとる必要があることになる。
一方、図8(b)に示すツインピーク系では、ケラレのない条件は、図8(b)において、ファイバ中心線とx軸方向レンズ外縁両端との間の距離D、Dのいずれもがビーム径BDの半分より大きくなければならないことから、
(数8)
BD<d−max(d,w) (8)
が成立しなければならない。この条件は、後述するように、条件式(7)を含むより広い条件となる。
ここで、必ずしもツインピーク形状でなくてもよい場合があることを述べておく。図8における2例では、いずれもレンズ表面でのビーム領域はピークP6及びP8の両側に渡っているが、図9(a)に示すように、ビーム領域がピークP6及びP8の外側のみに分布する場合も考えられる。この場合は、レンズ表面でのビーム径BDが十分小さくて、式(7)及び式(8)の条件を満たして、かつ次式を満たす場合に相当する。
(数9)
BD<d−d (9)
このような場合、レンズ形状はツインピークである必要はなく、図9(b)、あるいは図10の等高線図で示すような台形状でよく、またこの方が金型加工も容易で、耐久性も高い。
さらにもう一つ条件がある。それは、ピーク曲率半径Rに関し、次式で表される金型の作製条件である。
(数10)
=(n−n)f/n≧150μm (10)
その理由は以下である。本開示で対象としている平凸レンズ20は、モールド法によって作製され得る。この方法では、金型に形成された凹状の穴に原料ガラスをプレスして凹形状をガラスの凸形状に転写する方法であり、レンズ面23の曲率半径は、金型を作製する工作機械の可能な穴の曲率半径に依存し、それは150μm以上とされている。すなわち、これ以下の小さい曲率半径の深みは形成できないことを意味する。
次に、上記したことを図11及び図12に示すグラフに表し、タイプIの光学系を構成できる条件について述べる。まず、算出に際して採用した数値について説明する。採用数値を以下に記す。
・ファイバ間隔d:ファイバアレイ1でよく採用されるファイバ周期間隔は、汎用250μmピッチテープファイバに合わせた250μmと、それを上下入れ子にしてアレイ化した127μmである。ここでもその2値について検討した。
・波長λ:光通信波長帯の代表的値である1.55μmとした。
・モード半径ω:シングルモード光ファイバの波長1.55μmにおける代表的値である5.2μmとした。
・レンズ屈折率n:レンズに用いられる光学ガラスの屈折率は、低屈折率側のクラウンガラスの1.4から高屈折率側のフリントガラスの2.0まで分布している。従ってここでは、レンズ屈折率nは1.4から2.0までを考慮した。空気屈折率n:レンズ外側は、通常空気であるので、1.0とした。
・鞍部幅wと隣接間隔d:ガラスモールド法でレンズを作製する場合、レンズ形状の穴を金型に掘りこむわけであるが、隣接する穴の間は、10〜20μm程度の平坦部が必要である。その理由は、もしこれより幅が狭いとすると、隣接する穴の間に幅の狭い尖った凸部ができることになり、モールドプレス工程における高温高圧下(1MPa、450℃以上)で変形してしまい、金型としての耐久性が損なわれてしまうからである。そのため、ここでは、鞍部幅w、隣接間隔d、ともに17μmとした。
・角度φ:フィルタ部4には、光学厚みがλ/4で低屈折率透明材料と高屈折率透明材料を交互に積層した誘電体多層膜の使用を想定した。構造上、この多層膜に斜めに入射することになるが、そこで問題となるのが透過したタップ光の偏波依存性である。図13に、低屈折率材料としてSiO(屈折率1.44)、高屈折率材料としてTa(屈折率2.12)を用いた場合の計算例を示す。この計算例によれば、透過したタップ光の偏波依存性を0.05dB以下にするには、フィルタ部4での反射角である角度φを4度以下にすることが好ましい。そのため、ここでは、実際の作製での屈折率や膜厚の変動による影響も考慮して、フィルタ部4での反射角である角度φを2度とした。
図11は、タイプIの構成において、ファイバ間隔dが250μmの場合について、ピーク間隔dごとにレンズ屈折率nとピーク曲率半径Rの関係をプロットしたグラフである。式(1)〜式(5)によって、各ピーク間隔dに対して、レンズ屈折率nの増加とともに光線屈折能力が増すためにピーク曲率半径Rは大きくなる。ピーク間隔dについては、大きくなるにつれて、光線はピーク中心に近くなるために同じ屈折能力を保つために曲率半径Rは小さくなる。
このグラフに式(7)〜式(8)、式(10)の条件を適用したのがグラフ中の3本の点線である。点線L2Cは式(7)の2ピース条件からくるものであり、この直線より下がケラレの無い2ピース形態の光学系が構成できる(n−R)の領域である。一番上の点線L2Kは式(8)のツインピーク条件からくるものであり、この直線より下がケラレの無いツインピーク形態の光学系が構成できる(n−R)の領域である。一番下のグラフ横軸に平行な点線LPCは、式(10)の型加工条件からくるものであり、この直線より上方が構成可能な(n−R)の領域となる。
これらのことから、2ピース形態は点線L2Cと点線LPCで囲まれた領域でのみ可能であるのに対して、ツインピーク形態は点線L2Kと点線LPCで囲まれた広い領域で可能であり、設計自由度が2倍以上広いことが判る。特に、ツインピーク条件では、曲率半径Rがより大きい条件での光学系構成が可能であり、これは型加工の難易度が低いことを意味する。
図12は、タイプIの構成において、ファイバ間隔dが127μmの場合について、ピーク間隔dごとにレンズ屈折率nとピーク曲率半径Rの関係をプロットしたグラフである。式(1)〜式(5)によって、図11と同様に、各ピーク間隔に対して、レンズ屈折率の増加とともに光線屈折能力が増すためにピーク曲率半径は大きくなる。ピーク間隔dについては、大きくなるにつれて光線はピーク中心に近くなるため、同じ屈折能力を保つためには曲率半径Rは小さくなる。
このグラフに図11と同様に、式(7)〜式(8)、式(10)の条件を適用したのがグラフ中の3本の点線である。一見してわかるように、ツインピーク形態の可能な点線L2Kと点線LPCで囲まれた領域は、2ピース形態の可能な点線L2Cと点線LPCで囲まれた領域に比較して圧倒的に広い。ファイバ間隔dが図11に示す250μmの場合と比較すれば、間隔dが狭くなるにつれて可能な(n−R)の領域も狭くなり、ツインピーク形態が可能なのは、点線L2Kと点線LPCで囲まれた領域となり、レンズ屈折率nが1.44以下では構成できない。しかし、信頼性の高いボロシリケートガラスの代表であるBK7の屈折率1.501では、ピーク間隔dの幅は91.7〜95.6μmと狭いものの光学系構成が可能であり、ツインピーク形態は、小型化に対応し得ることが判る。
一方2ピース条件に至っては、僅かにnが1.81以上でしかもピーク間隔dも105から107μmのごく限られた領域でのみ可能となる。この高屈折率領域は、信頼性の点ではヤケの発生等が問題となる領域であり、実用上の適用性は低いと言わざるを得ず、127μmのファイバ間隔dでは、2ピース形態は適用できないと言える。
(第3の実施形態)
図14に本実施形態の光学系を示す。本実施形態は、第1の実施形態において、光ファイバ11Aからの出射光と光ファイバ11Bへの入射光ビームが平凸レンズの表面、および内部において重なる場合である。これは、図7において、ファイバ間隔dが狭く、従ってフィルタ部4での反射角である角度φが小さい場合に相当する。この場合、凸面A1と凸面A2も当然重なり合い、シングルピークのレンズ凸面となる。このような構成は、フィルタ部4における透過光の波長依存性や偏波依存性を低減させるために、反射角φを小さくしようとする場合に有効である。
本実施形態では、凸面A1及び凸面A2によってベース面21B上に形成される第1仮想円及び第2仮想円は共通の球面の一部であり、レンズ面23は鞍部A3を備えない。第1仮想円及び第2仮想円の中心間距離はゼロとなる。このように、本開示は、第1仮想円及び第2仮想円の中心間距離はゼロとなる場合も包含しうる。
図15に、本実施形態に係るファイバアレイモジュールの構成例を示す。本実施形態では、第2の実施形態とは異なり、ファイバアレイ1が変則等ピッチとなる。これは、反射角である角度φを小さくするために、ファイバ間隔dをレンズアレイ2のレンズ間隔dの2分の1より狭めたためである。この場合、光ファイバ11A−1〜4、11B−1〜4のレンズ表面上でのビーム径BDに要求される条件は、図16においてレンズ表面で光ビームが隣接レンズに及ばない必要から、前述の式(7)に替わり、
(数31)
BD<d−d (31)
となる。
(第4の実施形態)
図17に、本実施形態の光学系を示す。本実施形態では、ツインピーク平凸レンズ20の平坦面21A側に光ファイバ11A及び11Bが配置され、レンズ面23側に所定の厚みの空気層3を挟んでフィルタ部4が配置されている。光ファイバ11Aは、端面P1が第1の位置に配置され、第1の光ファイバとして機能する。光ファイバ11Bは、端面P2が第2の位置に配置され、第2の光ファイバとして機能する。光ファイバ11A及び11Bの長手方向は、平面P内でレンズ中心軸Aと平行に配置されている。以下、この実施形態をタイプIIと称する。
本実施形態に係る平凸レンズ20は、レンズ面23に、第1凸面として機能する凸面A1、第2凸面として機能する凸面A2、及び鞍部A3を有する。凸面A1は、レンズ中心軸Acと平行で平面Pcに含まれる直線R1を回転中心とする球面であり、凸面A2も同様にレンズ中心軸Acと平行で平面Pcに含まれる直線R2を回転中心とする球面であり、直線R1、R2は、レンズ中心軸Acに対して対称に、内側に所定の距離だけオフセットされている。
かような構成において、光ファイバ11Aの端面P1から出射した光は、平坦面21Aから平凸レンズ20に入射する。平凸レンズ20に入射した光は、レンズ20内を透過し、凸面A1から空気層3中に出射する。このとき、凸面A1は、空気層3中に出射する光を平行光にする。
凸面A1で平行光となった光は、空気層3中を通過し、フィルタ部4に備わる部分透過膜41の一点P3で一部が凸面A2に向けて反射する。部分透過膜41は、反射面として機能する。フィルタ部4で反射した平行光は、凸面A2から平凸レンズ20に入射する。凸面A2は、フィルタ部4で反射した平行光を光ファイバ11Bの端面P2に集光する。これにより、フィルタ部4で反射した平行光は、光ファイバ11Bに入射する。
本実施形態に係る平凸レンズ20は、凸面A2がフィルタ部4で反射した平行光を光ファイバ11Bの端面P2に集光するため、モニタ光をタップされた後の光を光ファイバ11Bに効率よく結合させることができる。
(第5の実施形態)
図18に、本実施形態に係るファイバアレイモジュールの構成例を示す。これは、タイプIIの平凸レンズ20をアレイ化した場合に相当する。ファイバアレイモジュールは、光ファイバ11A−1〜11A−4及び11B−1〜11B−4が交互に配列されているファイバアレイ1と、第4の実施形態の複数のレンズ面23−1〜23−4が配列されているレンズアレイ2とを備える。レンズアレイ2は、第2の実施形態と同様に、第1レンズアレイとして機能し、スペーサ22が配置されている。
ファイバアレイ1及びレンズアレイ2は、第4の実施形態の4つのファイバ−レンズ光学系が、所定平面P上に並列に配置されている。具体的には、レンズアレイ2は、第4の実施形態の複数のレンズ面23−1〜23−4を備える。レンズアレイ2に備わる各ツインピーク平凸レンズ20は、第4の実施形態のファイバーレンズ光学系を基本単位として備える。各レンズ面23のレンズ中心軸Aは、平面P内に並列に配列されている。ファイバアレイ1は、各々のレンズ面23−1〜23−4に対して2本の光ファイバ11A及び11Bを有する。光ファイバ11A−1〜11A−4の各端面及び11B−1〜11B−4の各端面の配置されているファイバアレイ1の端面PL11は、ピーク線Bcと平行に配置される。
図19を参照しながら、図17及び図18における光学系について説明する。以下方向は図中の直交xyz座標軸に倣って説明する。図の左端には、xz平面内において、z軸に平行で、x軸方向に間隔dで光ファイバが並べられたファイバアレイ1が配置されている。当該ファイバアレイ1は、x軸に平行でy軸に対して所定の角度をなす平面を端面として、例えば、テンパックスガラス等の筐体によって保持されて構成されている。
さて、図19では、第1の実施形態から第3の実施形態の光学系とは異なり、ファイバアレイ1の端面PL11には、ツインピークレンズアレイ2の平坦面21A側が直接貼り付けられており、ファイバアレイ1の2倍の周期のレンズ面23側は、その反対側を向いている。レンズ面23は、z軸に平行なレンズ中心軸Aを有し、z軸に垂直な面を共通平面として、x軸方向にファイバアレイ1の倍の間隔2dで、且つ隣接するレンズとは隣接間隔dをおいてアレイ化されている。
レンズ面23は、凸面A1及び凸面A2を備える。凸面A1は、ファイバアレイ1で成る平面Pcに含まれてz軸に平行な直線R1を中心とする回転曲面であり、レンズ作用をなす。しかも、ファイバ11Aの光軸に対して、所定の距離だけ内側(レンズ中心軸Ac側)にオフセットされている。凸面A2は、レンズ中心軸Acに対して、幅wの鞍部A3を挟んで凸面A1とは対称な形状に形成されている。直線R1と直線R2の間隔であるピーク間隔dは、ファイバ間隔dより所定の長さだけ小さい距離に設定されている。
レンズアレイ2のレンズ面23側には、空気層3を挟んでz軸に垂直な部分透過膜41を有するフィルタ部4が配置されている。レンズ面23と部分透過膜41との距離、すなわち空気層の厚みtは、凸側焦点距離fよりも厚い所定値に設定されている。
ファイバアレイ1とレンズアレイ2の相対位置は、x軸方向は、レンズ中心軸Aがファイバアレイ1の隣接ファイバ同士の中心線(この図では、光ファイバ11Aと光ファイバ11Bの中心線)に一致するように、y方向は、レンズ中心軸Aのアレイで形成された平面がファイバアレイ1の中心線で形成された平面と一致するように、およびz方向は、ファイバアレイ1の端面PL11とピークP6及びP8との距離が平凸レンズ20の凹側焦点距離fに一致するように設定されている。図19の右側には、所定の間隔の空気層3を挟んで、レンズ中心軸Aと平行なz軸に垂直に所定の波長の光を所望の比率で反射/透過する機能を有する部分透過膜41が設置されている。第1の実施形態から第3の実施形態では、部分透過膜41は、レンズアレイ2の平坦面21A側に直接装荷されていたが、本実施形態では、別個にレンズアレイ2と同じ屈折率のガラス基板42に装荷されたものとなっている。
このような構成において、光ファイバ11Aの端面から出射した光の経路を光線近似で考察する。光ファイバ11Aの端面は、凹側焦点面PL23C上に位置しており、前述したようにレンズ面23の内の凸面A1の中心線である直線R1はファイバ中心線に対してx方向にオフセットしている。このため、光ファイバ11Aの端面を点光源として出射され、レンズアレイ2を透過し、凸面A1に入射した光は、レンズ中心軸A側に屈折して、レンズ中心軸Aと所定の角度φをなす平行光線となって空気層3中を進む。その内で、光ファイバ11Aからレンズ中心軸Aであるz軸に平行に出射した光線すなわち出射光の中心光線は、凸面A1から出射した後、フィルタ部4で反射され、凸面A2を通ることになる。
空気層の厚みtが凸側焦点距離fよりも厚く、しかも上述の中心光線がレンズ中心軸Aと交わる点に部分透過膜41が位置するように設定されているので、平行光の強度分は部分透過膜41を透過してレンズ中心軸Aに対してψの角度で直進するが、残りの強度分は部分透過膜41で反射して、レンズ中心軸Aに対して対称なx方向位置で凸面A2に達する。凸面A2に達した反射光は、凸側焦点を通ってきた平行光であり、光ファイバ11Aから出射、凸面A1に入射した光路とレンズ中心軸Aに対して対称な経路をたどり、結局レンズ中心軸Aに対して光ファイバ11Aと対称な位置にある光ファイバ11Bの端面P2に集光することになる。
ここで、もしも空気層の厚みtが所定値より薄い場合、フィルタ部4での反射光は、凸面A2のレンズ中心軸A側の表面に達することになり、そこでは平行光は収束されず、光ファイバ11Bの端面P2では広がってしまう。一方、空気層3の厚みtが所定値より厚い場合、フィルタ部4での反射光は、凸面A2の外側の表面に達することになり、平行光は収束されすぎて、光ファイバ11Bの端面P2では広がってしまう。いずれの場合でも、フィルタ部4での反射光線の光軸も光ファイバ11Bの端面P2から外れてしまう。そのため、空気層の厚みtが凸側焦点距離fよりも厚く、しかも上述の中心光線がレンズ中心軸Aと交わる点に部分透過膜41が位置する必要がある。
尚、部分透過膜41で透過した光線は、部分透過膜41の付着せしめられたガラス基板42の屈折率がレンズアレイ2の屈折率nと同じであれば、図には示さないが、角度ψで出射する。また部分透過膜41の付着せしめられたガラス基板42が平行基板であれば、最終的に空気層3に出射するときは、角度φで出射する。
次に、上記説明を数式を使って定式化する。図19において、凹側焦点面PL23Cに端面を有する光ファイバ11Aから出射してレンズアレイ2を通過してレンズ面23の凸面A1に入射した光線は、レンズ中心軸Aと角度φをなす平行光となる。それら光線の内、凸面A1のピークP6(中心線である直線R1と凸面A1の交点)に入射した光線に対しては、入射点のレンズ表面接平面はレンズ中心軸Aに垂直なので、光線のピーク中心入射角である角度ψ、出射角である角度φと屈折率n、nの間には、次式で表されるスネル則が成り立つ。
(数11)
sinψ=nsinφ (11)
また、ファイバアレイ1は間隔dで、レンズアレイ2はその倍の間隔2dでアレイ化されているわけであるから、凸側焦点面PL23Vまでの焦点距離f、及び、凹側焦点面PL23Cまでの焦点距離fは、ファイバ間隔dと、凸面A1と凸面A2のピーク間隔d、レンズ中心入射角である角度ψ、および出射角である角度φの値から、以下の式(12)、式(13)で決まる。
(数12)
={(d−d)cotψ}/2 (12)
(数13)
=((d−d)cotφ)/2 (13)
また、空気層の厚みtについても同様に次式が成り立つ。
(数14)
=dcotφ/2 (14)
さらに、ピークの曲率半径Rは次式で与えられる。
(数15)
=(n−n)f/n (15)
ツインピークを構成する凸面A1及び凸面A2は、ともに上記式(11)〜式(14)を満たせばよいわけであるが、これらの関係を満たし、レンズ中心軸Aに平行な軸を対称軸とする回転曲面は、最も簡単には、式(15)で得られるRを半径とする球面でよく近似できる。ファイバ間隔d、レンズのピーク間隔d、レンズ屈折率n、空気屈折率n、およびフィルタ部4での反射角である角度φを与えれば、式(12)と式(13)からレンズ面23の凹凸二つの焦点距離f、fが決まり、式(14)から空気層の厚みtが決まる。また、レンズ作製工程において、モールド工程で使用する金型の形状目安となるピーク曲率半径も式(15)より判る。
次に、このような光学系が成立するための条件について述べる。光ファイバ11A及び11Bとの間の低損失結合を実現するには、レンズ面23でのケラレを極力抑える必要がある。光ファイバ11Aからの出射光は光ファイバのNAに従って広がるわけであるが、その広がりは、光ファイバ端をビームウエスト位置とするガウシアンビームの伝搬としてよく表わされる。光ファイバ端から出射してレンズ面23に到達したガウシアンビームのパワー分布は、ビーム中心からビーム半径ωの1.73倍までの範囲で全パワーの99.75%となる。そこでここまでの範囲をレンズ面23に達したビームのビーム径BDとすれば、それは次式で与えられる。
Figure 2018182108
ここで、ω及びλはそれぞれ光ファイバ11Aのモード半径および光の波長である。
次に、タイプIIでのレンズ表面でのビーム径BDに要求される条件についてであるが、これはタイプIについてと同様の考察が成り立ち、式(7)及び式(8)の条件は全く同じとなる。但し、ピーク曲率半径Rに要求される条件は
(数17)
=(n−n)f/n≧150μm (17)
に替わる。
上記したことから、タイプIIの構成について、タイプIと同様に、ピーク間隔dと、ビーム径BD、ピーク曲率半径R(式(15)による)、および2ピース条件指数との関係をグラフ化したものが図20と図21である。算出に際して採用した値はタイプIと同じである。
図20は、タイプIIの構成において、ファイバ間隔dが250μmの場合について、ピーク間隔dごとにレンズ屈折率nとピーク曲率半径Rの関係をプロットしたグラフである。式(11)〜式(13)、式(16)〜式(17)によって、各ピーク間隔dに対して、レンズ屈折率nの増加とともに光線屈折能力が増すためにピーク曲率半径Rは大きくなる。ピーク間隔については、大きくなるにつれて、光線はピーク中心に近くなるために同じ屈折能力を保つためにピーク曲率半径Rは小さくなる。
このグラフに式(7)〜(8)、式(17)の条件を適用したのがグラフ中の3本の点線である。点線L2Cは式(7)の2ピース条件からくるものであり、この直線より下がケラレの無い2ピース形態の光学系が構成できる(n−R)の領域である。一番上の点線L2Kは式(8)のツインピーク条件からくるものであり、この直線より下がケラレの無いツインピーク形態の光学系が構成できる(n−R)の領域である。一番下のグラフ横軸に平行な点線LPCは、式(17)の型加工条件からくるものであり、この直線より上方が構成可能な(n−R)の領域となる。
ツインピークと2ピース形態を比較すると、2ピース形態は点線L2Cと点線LPCで囲まれた領域でのみ可能であるのに対して、ツインピーク形態は点線L2Kと点線LPCで囲まれた広い領域で可能であり、設計自由度が2倍程度広いことが判る。特に、ツインピーク条件では、曲率半径Rがより大きい条件での光学系構成が可能であり、これは型加工の難易度が低いことを意味する。
図21は、タイプIIの構成において、ファイバ間隔dが図20より狭い127μmの場合について、ピーク間隔dごとにレンズ屈折率nとピーク曲率半径Rの関係をプロットしたグラフである。式(11)〜式(13)、式(16)〜式(17)によって、図20と同様に、各ピーク間隔に対して、レンズ屈折率の増加とともに光線屈折能力が増すためにピーク曲率半径Rは大きくなる。ピーク間隔dについては、大きくなるにつれて光線はピーク中心に近くなるため、同じ屈折能力を保つためにはピーク曲率半径Rは小さくなる。
このグラフに図20と同様に、式(7)〜式(8)、式(17)の条件を適用したのがグラフ中の3本の点線である。一見してわかるように、ツインピーク形態が可能な点線L2Kと点線LPCで囲まれた領域は、2ピース形態の可能な点線L2Cと点線LPCで囲まれた領域に比較して圧倒的に広い。ファイバ周期間隔250μmの場合と比較すれば、ファイバ間隔dが狭くなるにつれて可能な(n−R)の領域も狭くなり、ツインピーク形態が可能なのは、ツインピーク条件と型加工条件の点線で囲まれた三角形領域となり、レンズ屈折率nが1.44以下では構成できない。しかし、信頼性の高いボロシリケートガラスの代表的硝材であるBK7の屈折率1.501では、ピーク間隔dの幅は103.5〜106.1μmと狭いものの光学系構成が可能であり、ツインピーク形態は、小型化に対応し得ることが判る。
一方2ピース条件では、nが1.64以上でしかもピーク間隔も111から116μmの限られた領域でのみ可能となる。この高屈折率領域は、信頼性の点ではヤケの発生等が問題となる領域も含まれており、実用上の適用性はかなり低いと言わざるを得ず、d127μmでは、2ピース形態は極めて限られた適用しか可能でないと言える。
以上、2ピースとツインピーク構成を比較すると以下のことが言える。
・2つの主要パラメータであるレンズ屈折率nとピーク曲率半径Rを考慮した場合、ツインピーク構成の方が、2ピース構成の2〜3倍程度n−R領域が広く、設計自由度が高い。
・ツインピーク構成の方が、より狭いファイバ間隔dにも対応でき、小型化に適している。
・ツインピーク構成の方が、ピーク曲率半径Rが大きい値を選択でき、レンズ径を大きくできるので、ファイバ間結合効率も高く保持できる。
・ツインピーク構成の方が、金型を作る際の穴の曲率半径が大きいため、作りやすい。
(第6の実施形態)
図22に本実施形態の光学系を示す。本実施形態は、第4の実施形態において、光ファイバ11Aからの出射光と光ファイバ11Bへの入射光ビームが平凸レンズの表面、および外部において重なる場合である。これは、図19において、ファイバ間隔dが狭く、従って反射角φが小さい場合に相当する。この場合、凸面A1と凸面A2も当然重なり合い、シングルピークのレンズ凸面となる。このような構成は、部分透過膜41における透過光の波長依存性や偏波依存性を低減させるために、反射角φを小さくしようとする場合に有効である。
本実施形態では、凸面A1及び凸面A2によってベース面21B上に形成される第1仮想円及び第2仮想円は共通の球面の一部であり、レンズ面23は鞍部A3を備えない。第1仮想円及び第2仮想円の中心間距離はゼロとなる。このように、本開示は、第1仮想円及び第2仮想円の中心間距離はゼロとなる場合も包含しうる。
図23に、本実施形態に係るファイバアレイモジュールの構成例を示す。本実施形態では、第5の実施形態とは異なり、ファイバアレイ1が変則等ピッチとなる。これは、反射角である角度φを小さくするために、ファイバ間隔dをレンズアレイ2のレンズ間隔dの2分の1より狭めたためである。この場合、光ファイバ11A−1〜4、11B−1〜4のレンズ表面上でのビーム径BDに要求される条件は、図24において、レンズ表面で光ビームが隣接レンズに及ばない必要から、第3の実施形態に記載の式(31)となる。
(第7の実施形態)
図25に、本実施形態に係るファイバアレイモジュールの一例を示す。図25に示すファイバアレイモジュールは、図6に示すファイバアレイモジュールと、遮光板7と、レンズアレイ9と、を備える。遮光板7は光部品として機能し、レンズアレイ9は第2レンズアレイとして機能する。
遮光板7は、複数の貫通孔71を有する。フィルタ部4から透過した各々の平行光が異なる貫通孔71の一端に入射する。そして、貫通孔71を通過後の平行光は各貫通孔71の他端から出射する。レンズアレイ9は、複数の貫通孔71の他端から出射した各光を貫通孔71ごとに定められた点に集光する。この点に、受光素子81の受光面が配置される。
図26に、本実施形態に係る受光モジュールの一例を示す。図26に示す受光モジュールは、図25に示すファイバアレイモジュールと、受光素子アレイ8と、を備える。受光素子アレイ8に備わる各受光素子81は、レンズアレイ9で集光された各光を受光する。図26に示す受光モジュールは、4アレイ光タップモニタモジュールとして用いることができる。
本実施形態の適用領域は、例えば、波長1.55μm帯光通信システムである。同モジュールは、図の左側から、ファイバアレイ1、レンズアレイ2、フィルタ部4、遮光板7、レンズアレイ9、および受光素子アレイ8を備える。ファイバ間隔dをはじめとする諸パラメータはこれまで述べてきたタイプIに即した値を採っている。
まずモジュールの動作、機能について説明する。光ファイバ11Aからレンズアレイ2に入射した光線は、その95%がフィルタ部4での反射角である角度φで反射して光ファイバ11Bに入射し、入射光強度の5%をタップされて本線に戻る。5%強度のタップ光は、後段は空気層になっており、出射角である角度ψで出射していくわけであるが、フィルタ部4の後段には、空間を伝わるタップ光同士の混合によるクロストーク低下を防止するため、貫通孔71の空いた遮光板7が設置されている。遮光板7はレンズアレイ2と外形を合わせた寸法になっており、その中央部にタップ光路に合わせて該ビーム径の貫通孔71があいている。遮光板7の後段には、レンズアレイ2と同じものであるレンズアレイ9がレンズアレイ2とは向きを逆にして設置されている。レンズアレイ9は、貫通孔71の空間を伝搬してきて広がったタップ光ビームを受光素子81の受光面に集光させる。
以下に上記の各構成要素について述べる。
ファイバアレイ1:ファイバアレイ1は、8アレイの波長1.3/1.55μmシングルモードテープファイバを光ファイバ部材として用いた。これをテンパックスガラスで60度V溝板に整列させて上蓋をかぶせ、UV接着剤で固定、端面研磨して接続用ファイバアレイ1を作製した。ファイバ間隔dは用いたテープファイバと同じである。光ファイバ光軸はz方向であり、他素子との接続端面は、x軸に平行で、端面反射による戻り光を低減させるため、y軸方向とは8度斜めになるように設定されている。8度斜め端面表面は波長1.55μmに対するARコートが施されている。
レンズアレイ2:ボロシリケート系ガラスから成っており、所定のアレイ間隔でレンズ面23が形成されている。レンズアレイ2のx方向両端部には、レンズモールド加工時に一体で成形されたスペーサ22が設置されている。スペーサ22は台形の凸部であり、その表面はファイバアレイ1の8度斜め端面に合わせて同様に8度斜めとなっている。スペーサ22の高さは例えばレンズ中心軸Acの位置で所定の凸側焦点距離fになるように設定されていることが好ましい。
レンズアレイ2の平坦面21Aには、角度φを2度に設定したフィルタ部4が付着されている。その反射/透過の割合は、95%/5%であることが好ましく、その材質としては、例えば、イオンビームアシスト蒸着法によるSiO−Ta多層膜が例示できる。
遮光板7:遮光板7は方形の赤外線吸収ガラスから成っている。その中央部には、タップ光の光路に合わせて、xz面に平行で、z軸方向とレンズ中心入射方向との角度ψをなす貫通孔71があけられている。x方向アレイピッチはレンズアレイ2と同じである。タップ光のビームは、遮光板7の貫通孔71の壁に接触することなく伝搬するが、前段のレンズアレイ2やフィルタ部4での反射透過で発生した構造不整による乱反射成分は、この遮光板7で阻止されて、受光素子アレイ8に達してクロストークになるのを防止する。
レンズアレイ9:ここでは、レンズアレイ9はレンズアレイ2と同じものを使用している。しかも、ツインピークのどちらか片方だけを使っている。通常、受光素子81の受光面はパッケージ表面から離れているため、レンズアレイ9と受光素子アレイ8の間に焦点距離調整樹脂91を挿入してレンズアレイ2より長焦点化し、受光素子アレイ8中の受光素子81の受光面内に集光されるようにしている。レンズアレイ9がレンズアレイ2と向きが反対であるのは、焦点距離調整樹脂91でレンズアレイ9と受光素子アレイ8の間を満たすためである。レンズアレイ9は、平坦面21A側にのみARコートを施すことが好ましい。
受光素子アレイ8:受光素子81は、例えば、4アレイのInGaAsホトダイオードアレイである。ダイオードアレイは封止されていることが好ましい。側面図から判るように、受光素子アレイ8は、z軸方向である光軸より8度傾けてレンズアレイ9に接続されている。
側面図に示すように、ファイバアレイ1から受光素子アレイ8まで接続界面が全て斜めに保たれているため、反射戻り光を防ぐ構造となっている。
組み立て工程:工程は3工程を有する。
第1工程は、ファイバアレイ1とレンズアレイ2との接続である。これは、光ファイバ導波路接続装置にて、ファイバアレイ1の両端である光ファイバ11A−1及び光ファイバ11A−4から調芯光を入射し、光ファイバ11B−1、光ファイバ11B−4からの光をモニタしながら2軸調芯固定するという通常の光ファイバ導波路接続と同様の工程で接続した。接続箇所はスペーサ22とファイバアレイ1間である。
第2工程は、遮光板7、レンズアレイ9、および受光素子アレイ8の接続である。これらの接続は、顕微鏡下に受光素子アレイ8、レンズアレイ9、遮光板7の順に置き、遮光板7の貫通孔から受光素子81の受光面が見えるように、ビジュアルアラインメント法で調芯し、接着剤固定する。
第3工程は、ファイバアレイ1の付いたレンズアレイ2と受光素子アレイ8とレンズアレイ9の付いた遮光板7とを、光ファイバ11A−1と、光ファイバ11A−4に調芯光を入射させ、受光素子アレイ8の出力をモニタしながら接続固定する。
特性:作製した4chタップモニタモジュールの波長1.55μmでの特性は、挿入損失0.4〜0.5dB、反射減衰量46dB以上、受光感度50〜60mA/Wであった。隣接クロストークも45dB以上であった。
(第8の実施形態)
図27に、本実施形態に係るファイバアレイモジュールの一例を示す。図27に示すファイバアレイモジュールは、図18に示すファイバアレイモジュールと、遮光板7と、レンズアレイ9と、を備える。遮光板7は光部品として機能し、レンズアレイ9は第2レンズアレイとして機能する。
遮光板7は、複数の貫通孔71を有する。フィルタ部4から透過した各々の平行光が異なる貫通孔71の一端に入射する。そして、貫通孔71を通過後の平行光は各貫通孔71の他端から出射する。レンズアレイ9は、複数の貫通孔71の他端から出射した各光を貫通孔71ごとに定められた点に集光する。この点に、受光素子81の受光面が配置される。
図28に、本実施形態に係る受光モジュールの一例を示す。図28に示す受光モジュールは、図27に示すファイバアレイモジュールと、受光素子アレイ8と、を備える。受光素子アレイ8に備わる各受光素子81は、レンズアレイ9で集光された各光を受光する。図28に示す受光モジュールは、4アレイ光タップモニタモジュールとして用いることができる。
適用領域は、波長1.55μm帯光通信システムである。同モジュールは、図の左側から、ファイバアレイ1、レンズアレイ2、フィルタ部4、遮光板7、レンズアレイ9、および受光素子アレイ8を備える。ファイバ間隔dをはじめとする諸パラメータはこれまで述べてきたタイプIIに即した値を採っている。
まずモジュールの動作、機能について説明する。光ファイバ11Aから空気層を介さず、直接レンズアレイ2に平坦面21A側から入射してレンズ面23から出射した光線は、その95%がフィルタ部4で角度φで反射して再びレンズアレイ2に戻って光ファイバ11Bに入射し、入射光強度の5%をタップされて本線に戻る。5%強度のタップ光は、後段はフィルタ部4を経て空気層になっており、角度φで出射していくわけであるが、フィルタ部4の後段には、空間を伝わるタップ光同士の混合によるクロストーク低下を防止するため、貫通孔71の空いた遮光板7が設置されている。遮光板7はレンズアレイ2と外形を合わせた寸法になっており、その中央部にタップ光路に合わせて該ビーム径の貫通孔71があいている。遮光板7の後段には、レンズアレイ2と同じものであるレンズアレイ9がレンズアレイ2とは向きを同じにして設置されている。レンズアレイ9は、空間を伝搬してきて広がったタップ光ビームを受光素子81の受光面に集光させる。
以下に上記の各構成要素について第7の実施形態と重複しないところを述べる。
ファイバアレイ1:第7の実施形態とは異なり、8度斜め端面表面にARコートは施されていない。
レンズアレイ2:ボロシリケート系ガラスから成っており、所定のアレイ間隔でレンズ面23がz軸のプラス方向を向いて形成されている。レンズアレイ2のx方向両端部には、スペーサ22が設置されている。スペーサ22は式(12)で与えられる空気層の厚みtとレンズサグ量を足し合わせた厚みのレンズと同じ材質の平板である。
レンズアレイ2の平坦面21Aは、ファイバアレイ1の端面PL11に平行で、y軸に対して8度斜めとなっており、この斜め平坦面21Aとレンズ面23とのレンズ中心軸Ac上の距離が凹側焦点距離fとなるように設定されている。
部分透過膜41及びガラス基板42:本構成では、部分透過膜41はレンズアレイ2とは別個の透明なガラス基板42で但し同一屈折率nを持つものとして、BK7板に付着せしめられている。両面が平行なガラス基板42上には、角度φを設定した部分透過膜41が付着せしめられている。その反射/透過割合は、95%/5%であることが好ましく、その材質としては、例えば、イオンビームアシスト蒸着法によるSiO−Ta多層膜が例示できる。
遮光板7:遮光板7は方形の赤外線吸収ガラスから成っている。その中央部には、タップ光の光路に合わせて、xz面に平行で、z軸方向とレンズ中心入射方向との角度φの角度をなす貫通孔71があけられている。x方向アレイピッチはレンズアレイ2と同じ500μmである。タップ光のビームは、遮光板7の貫通孔71の壁に接触することなく伝搬するが、前段のレンズアレイ2や部分透過膜41での反射透過で発生した構造不整による乱反射成分は、この遮光板7で阻止されて、受光素子アレイ8に達してクロストークになるのを防止する。
側面図に示すように、ファイバアレイ1から受光素子アレイ8まで接続界面が全て斜めに保たれているため、反射戻り光を防ぐ構造となっている。
組み立て工程:前記した第7の実施形態と異なる点は、第1工程にてまずレンズアレイ2と部分透過膜41を接続しておくことである。これは、部分透過膜41はただの一様な平板であるので調芯作業は不要で、型合わせ作業のみで接続できる。他は前記した第7の実施形態と同様である。
特性:作製した4chタップモニタモジュールの波長1.55μmでの特性は、挿入損失0.4〜0.5dB、反射減衰量46dB以上、受光感度50〜60mA/Wであった。隣接クロストークも45dB以上であった。
(第9の実施形態)
前述の実施形態では1次元配列のアレイであったが、2次元アレイも可能である。その場合、図6又は図18に示すファイバアレイモジュールがy方向に並列に配列される。
その際に一番問題となるのが、ファイバアレイであるが、ファイバアレイ1は、特許文献2によってできる。そのz方向からみた接続面を図29に示す。図29に示すファイバアレイ1は、ファイバアレイ用の60度のV溝14を施したV溝板13−2〜13−5を備える。V溝板13−2〜13−5には、V溝14のアレイの両脇に、上下位置合わせ用V溝15−1、15−2が設けられている。そして、このV溝板13−2〜13−5の裏面にも表面側と同じx方向位置に位置合わせ溝15−3、15−4が形成されている。位置合わせ用光ファイバ12は、図に示す光ファイバ11A、11Bと同じものを使用すればよい。
その場合、V溝14の開口幅をW14、位置合わせ溝15の開口幅W15とすると、それらは
(数18)
14=2(R√3−d/√3) (18)
(数19)
15=(2R−d)/√3 (19)
と設定すればよい。そうすれば、位置合わせ溝15に丁度位置合わせ用光ファイバ12が勘合したときに、上板によって導波用光ファイバ11が上板で押さえられることになる。ここで、Rは光ファイバの半径、dはV溝板13−2〜13−5と上板の距離である。
位置合わせ溝15−1,15−2,15−3,15−4は、V溝板の表裏でx方向位置が一致している必要があるが、表裏の位置合わせは、スライサーやダイシングソーなどの溝加工装置において、溝形成位置観察鏡筒の上下ピント合わせ軸の加工面に対する垂直度を事前に調整しておけばよい。
ここで、ファイバアレイ1は、図30の側面図に示すように、光ファイバコア付近だけの部分斜め加工を施すことが好ましい。もし、アレイの端面全面にわたって斜めにすると、レンズアレイ2以下後段のすべての部品の2次元アレイ化が格段に困難になるためである。加工にはデュアルヘッドダイシングソーを用いることができる。これは、ダイシングヘッドを縦列に二機備えているものであり、1回の工程で異なる2種のブレードを用いて連続加工できる装置である。
ファイバアレイ1以外のレンズアレイ2,9や遮光板7、および受光素子アレイ8の2Dアレイ化も行い、4×4アレイである。作製した4×4タップモニタモジュールの側面図を図30に示す。外観は、上面図は図26と全く同様であり、側面図では、y方向に積み重ねられたような形態となっている。
ここまでの説明では、便宜上レンズ光軸Aとファイバ光軸で成る平面Pは平行としていた。しかし、ファイバ端面が反射防止のために本開示の説明図のように斜めに設定されている場合、タイプIでは、ファイバアレイ1とレンズアレイ2間でx軸に平行な軸周りのあおり調整を行うことが望ましい。
(本開示の効果)
以上述べたように、レンズ表面を本開示で述べたようにツインピーク化することによって、レンズ中心軸からオフセットした入出力構造でも、2か所のピーク位置を入力位置と出力位置の2か所それぞれに合わせて最適化できるため、高効率な光結合が実現できる。また、小型化、集積化されても、作用面でのレンズ口径を大きく保つことが可能であり、小型化に向いている。平凸構造なので、両凸レンズのような表裏両面位置合わせのような作業が不要で、片面モールド工程で容易にアレイ化したものが量産できるという利点もある。平凸レンズの平坦面21A側は、直接前後段の素子を接続できるのでその点でも小型な光モジュールを構成することができる。これらのことから、光通信用デバイスの経済化に資すること大であるのは明らかである。
本開示は情報通信産業に適用することができる。
1、10:ファイバアレイ
11、11A、11A−1、11A−2、11A−3、11A−4、11A−11、11A−12、11A−13、11A−14、11A−21、11A−31、11A−41、11B、11B−1、11B−2、11B−3、11B−4、11B−11、11B−12、11B−13、11B−14、11B−21、11B−31、11B−41:光ファイバ
12−1、12−2:位置合わせ用光ファイバ
13−1、13−2、13−3、13−4、13−5:V溝板
14:V溝
15−1、15−2、15−3、15−4:位置合わせ溝
2、9:レンズアレイ
20:平凸レンズ
21:平坦基板
21A:平坦面
21B:ベース面
22:スペーサ
23:レンズ面
3:空気層
4:フィルタ部
41:部分透過膜
42:ガラス基板
7:遮光板
71:貫通孔
8:受光素子アレイ
81:受光素子
91:焦点距離調整樹脂

Claims (8)

  1. 平坦面及びレンズ面を備える平凸レンズであって、
    前記レンズ面は、平坦なベース面上に配置された、球面形状を有する第1凸面及び第2凸面を備え、
    前記第1凸面によって前記ベース面上に形成される第1仮想円の直径、及び、前記第2凸面によって前記ベース面上に形成される第2仮想円の直径が、前記第1仮想円及び前記第2仮想円の中心間距離よりも大きい、
    平凸レンズ。
  2. 前記第1凸面と前記第2凸面との間に、前記第1凸面及び前記第2凸面の境界における形状変化を緩和する鞍部をさらに備える、
    請求項1に記載の平凸レンズ。
  3. 前記第1凸面及び前記第2凸面は、それぞれ、前記第1凸面の頂点及び前記第1仮想円の中心を通る第1の直線と前記第2凸面の頂点及び前記第2仮想円の中心を通る第2の直線の2本の直線を含む所定平面内の第1の位置及び第2の位置から出射された光を平行光にし、
    前記第1凸面から入射された平行光が前記平坦面に配置された反射面で反射された場合、前記第2凸面が当該平行光を前記第2の位置に集光する、
    請求項1又は2に記載の平凸レンズ。
  4. 前記第1凸面及び前記第2凸面は、それぞれ、前記第1凸面の頂点及び前記第1仮想円の中心を通る第1の直線と前記第2凸面の頂点及び前記第2仮想円の中心を通る第2の直線の2本の直線を含む所定平面内の第1の位置及び第2の位置から前記平坦面に入射された光を平行光にしかつ前記第1の位置及び前記第2の位置から予め定められた所定距離に前記第1の直線及び前記第2の直線に垂直な反射面の一点に集光するように出射し、
    前記第1凸面から出射された平行光が前記一点で反射された場合、前記第2凸面が当該平行光を前記第2の位置に集光する、
    請求項1又は2に記載の平凸レンズ。
  5. 前記反射面に、前記第1凸面から入射された平行光の一部を透過し、前記平行光の一部を前記第2凸面に反射するフィルタ部が設けられている、
    請求項3又は4に記載の平凸レンズ。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の複数の平凸レンズを有し、複数の前記第1凸面及び前記第2凸面が共通の前記ベース面上に配列されている第1レンズアレイと、
    各々の前記平凸レンズに対して2本の光ファイバを有し、各光ファイバの端面が各々の前記平凸レンズの前記第1の位置又は前記第2の位置に配置されているファイバアレイと、
    を備えるファイバアレイモジュール。
  7. 請求項6に記載のファイバアレイモジュールと、
    前記反射面から透過された平行光を透過する複数の貫通孔を有し、前記反射面から透過された各々の前記平行光が異なる前記貫通孔の一端に入射され、前記貫通孔を通過後の平行光を各貫通孔の他端から出射する光部品と、
    前記複数の貫通孔の前記他端から出射された各光を前記貫通孔ごとに定められた点に集光する第2レンズアレイと、
    を備えるファイバアレイモジュール。
  8. 請求項7に記載のファイバアレイモジュールと、
    前記第2レンズアレイで集光された各光を受光する受光素子アレイと、
    を備える受光モジュール。
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