JP2018179679A - 放射線遮蔽材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い密度を有しながら、屈折率が透明樹脂に近い範囲に抑えられた放射線遮蔽材料を提供する。
【解決手段】密度が6g/cm3以上、屈折率が1.55以下であるフッ化物の固溶体を含むことを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】密度が6g/cm3以上、屈折率が1.55以下であるフッ化物の固溶体を含むことを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、X線やγ線等の放射線を遮蔽する機能を有する放射線遮蔽材料に関する。詳しくは、フッ化物の固溶体を含み、透明樹脂に充填した際に、優れた透明性と高い放射線遮蔽効果を実現することが可能な放射線遮蔽材料を提供するものである。
放射線を発生する放射性物質からの放射線を遮蔽する機能を有する放射線遮蔽材料は、成形容易な樹脂に配合し、放射性物質が収容される各種の構造物、例えば容器、パイプ、防具、シリンジ、壁材等に成形して使用に供される場合が多い。
放射線遮蔽材料としては、鉛や鉛ガラスが代表的であるが、これ以外にも、タングステンなどの金属、硫酸バリウムなども知られており、さらに、本出願人により提案された特許文献1には、フッ化バリウム等のフッ化物が、放射線遮蔽性に優れていることが開示されている。
ところで、放射性物質が収容される各種の構造体においては、構造体内部に収容されている放射性物質の状態を視認するために透明性が要求される場合が多い。また、メガネなどのように、構造体自体に視認性が要求され、このような構造体に放射線遮蔽性が要求されることもある。このような透明性が要求される用途に使用される構造体は、透明性を有する樹脂に放射線遮蔽材料が配合されて成形されるが、樹脂が有する透明性を維持するために、用いる樹脂の種類に応じて屈折率が樹脂に近い放射線遮蔽材料を選択する必要がある。例えば、放射線遮蔽性の構造体の形成に使用される樹脂について、比較的安価に入手できる透明樹脂の屈折率は、一般に1.40〜1.55の範囲にあり、この屈折率に近い放射線遮蔽材料を選択することとなる。
ここで、放射線遮蔽材料の放射線遮蔽性は、一般に、密度が大きい程、放射線遮蔽性が大きい。一方で、放射線遮蔽材料の屈折率は、一般に、密度が大きい程、屈折率が大きい。したがって、大きな密度を有し、放射線遮蔽性に優れた放射線遮蔽材料の屈折率は、前記放射線遮蔽性の構造体の形成に使用される樹脂の屈折率を超えて大きくなり、放射線遮蔽材料と樹脂の屈折率を互いに近似させて、透明な放射線遮蔽性の構造体を得ることが困難であった。このため、放射線遮蔽性の高い放射線遮蔽材料と、屈折率が小さな放射線遮蔽材料との固溶体を使用することにより、放射線遮蔽材料の屈折率を、用いる樹脂の屈折率に近づけるという手段が開示されている(特許文献1参照)。
しかしながら、上記のような手段を採用した場合、樹脂の屈折率に近づけるために、屈折率の小さな放射線遮蔽材料を固溶せしめて屈折率の大きな放射線遮蔽材料の屈折率を低下させると、それに伴って密度が低下し、その結果、放射線遮蔽性の低下が生じてしまう。
従って、本発明の目的は、高い密度を有しながら、屈折率が透明樹脂に近い範囲に抑えられた放射線遮蔽材料を提供することにある。
本発明者等は、屈折率が互いに異なる放射線遮蔽材料を組み合わせたときの屈折率について検討した結果、密度が異なるフッ化物の固溶体において、固溶体の密度に対し、予想外の屈折率の低下挙動を示す組合せが存在するという知見を得た。かかる知見に基づき更に研究を重ねた結果、従来の放射線遮蔽材料において実現されていなかった、鉛ガラスに相当する高い遮蔽性を実現可能な密度を有しながら、屈折率を透明樹脂の屈折率の上限以下に抑えた放射線遮蔽材料の開発に成功し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、密度が6g/cm3以上、屈折率が1.55以下であるフッ化物の固溶体を含むことを特徴とする放射線遮蔽材料が提供される。
本発明の放射線遮蔽材料においては、前記フッ化物の固溶体は、フッ化イッテルビウムとフッ化ストロンチウムとの固溶体であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記放射線遮蔽材料を、透明樹脂100質量部に対して、100質量部以上の割合で充填した放射線遮蔽材が提供される。
また、本発明によれば、前記放射線遮蔽材料を、透明樹脂100質量部に対して、100質量部以上の割合で充填した放射線遮蔽材が提供される。
本発明の放射線遮蔽材料は、高い密度による放射線遮蔽効果を有しながら、低い屈折率を実現している。従来、放射線遮蔽材料として硫酸バリウムが用いられているが、その密度は4.5g/mlとさほど高くない上に、その屈折率は1.64であり透明樹脂の屈折率の上限1.55より高い。また、比較的高い密度を有する物質として、二酸化ジルコニウム(密度 5.7g/ml)が用いられるが、その屈折率は2.13であり透明樹脂の屈折率の上限1.55より遙かに高く、透明樹脂に添加した際に高い透明性を実現することができない。これに対して、本発明の放射線遮蔽材料は、透明樹脂に充填して高い放射線遮蔽能を有しながら、高い透明性を有する放射線遮蔽材を得ることが可能である。
本発明の放射線遮蔽材料は、複数のフッ化物、一般には、二種のフッ化物からなる固溶体を含むことを特徴とする。上記固溶体は、複数のフッ化物が互いに溶け合い、全体が均一の結晶相となっているものをいい、例えばXRD測定によると、前記均一な結晶層に基づく特有のピークを示すものであり、所謂、混合物とは異なる。混合物の場合には、それぞれのフッ化物に基づくピークが個別に観察される。
本発明の放射線遮蔽材料において、固溶体におけるフッ化物の組合せは、密度が高い(屈折率が高い)フッ化物Aと密度が低い(屈折率が低い)フッ化物Bとからなる。
上記密度が高い(屈折率が高い)フッ化物Aとしては、密度が6.5g/cm3以上、好ましくは、7g/cm3以上のフッ化物が好適である。具体的には、フッ化イッテルビウム、フッ化ルテチウム、フッ化ハフニウム、フッ化鉛等が挙げられる。中でも、密度が高く、比較的安価に入手でき、且つ環境負荷が小さいフッ化イッテルビウムが好ましい。
一方、密度が低い(屈折率が低い)フッ化物Bとしては、密度が3〜5.5g/cm3のフッ化物が好適である。具体的には、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化イットリウム等が挙げられる。
上記フッ化物の組合せにおいて、密度が大きなフッ化物Aと密度が小さなフッ化物Bとは、密度差が1.2g/cm3以上あるものが推奨され、特に、フッ化イッテルビウムとフッ化ストロンチウムとの組合せが好ましい。
本発明の放射線遮蔽材料において、フッ化物の固溶体は、一般に、密度が大きなフッ化物Aに密度が小さなフッ化物Bを固溶せしめたものであって、該固溶体の密度はフッ化物Aの密度に比較して小さくなる。ここで、本発明で用いるフッ化物の固溶体は、かかる密度の低下に比較して、屈折率が予想外に低下するという特徴的な挙動を示す。このことは、本発明では、固溶体において、密度の低下、即ち放射線遮蔽性の低下を抑えながら、屈折率を大きく低下できることを示している。
上記のような屈折率の特異的な挙動は、屈折率及び密度が異なる2種のフッ化物を選択し、これらを固溶化させることにより生じる特有の現象である。かかる現象は、多くの実験により見出された現象であり、その理由については明確に解明されているわけではないが、本発明者等は、次のように推定している。
即ち、物質の屈折率はその密度と誘電率に依存する。屈折率及び密度が大きいフッ化物Aと屈折率及び密度が小さいフッ化物Bを固溶化すると、密度が低下するばかりでなく、誘電率も大きく低下し、その結果、固溶体の屈折率は、固溶体の密度低下に比較して大きく低下したものとなるのではないかと、本発明者等は推定している。
例えば、フッ化物以外の化合物については、上記のような現象は確認されていない。フッ化物以外の化合物について、屈折率及び密度が異なる2種の化合物を選択して固溶化させたとしても、おそらく、誘電率の低下が無いか或いは小さいためではないかと考えられる。
本発明の放射線遮蔽材料において、固溶体におけるフッ化物の組合せは、密度が高い(屈折率が高い)フッ化物Aと密度が低い(屈折率が低い)フッ化物Bとからなる。
上記密度が高い(屈折率が高い)フッ化物Aとしては、密度が6.5g/cm3以上、好ましくは、7g/cm3以上のフッ化物が好適である。具体的には、フッ化イッテルビウム、フッ化ルテチウム、フッ化ハフニウム、フッ化鉛等が挙げられる。中でも、密度が高く、比較的安価に入手でき、且つ環境負荷が小さいフッ化イッテルビウムが好ましい。
一方、密度が低い(屈折率が低い)フッ化物Bとしては、密度が3〜5.5g/cm3のフッ化物が好適である。具体的には、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化イットリウム等が挙げられる。
上記フッ化物の組合せにおいて、密度が大きなフッ化物Aと密度が小さなフッ化物Bとは、密度差が1.2g/cm3以上あるものが推奨され、特に、フッ化イッテルビウムとフッ化ストロンチウムとの組合せが好ましい。
本発明の放射線遮蔽材料において、フッ化物の固溶体は、一般に、密度が大きなフッ化物Aに密度が小さなフッ化物Bを固溶せしめたものであって、該固溶体の密度はフッ化物Aの密度に比較して小さくなる。ここで、本発明で用いるフッ化物の固溶体は、かかる密度の低下に比較して、屈折率が予想外に低下するという特徴的な挙動を示す。このことは、本発明では、固溶体において、密度の低下、即ち放射線遮蔽性の低下を抑えながら、屈折率を大きく低下できることを示している。
上記のような屈折率の特異的な挙動は、屈折率及び密度が異なる2種のフッ化物を選択し、これらを固溶化させることにより生じる特有の現象である。かかる現象は、多くの実験により見出された現象であり、その理由については明確に解明されているわけではないが、本発明者等は、次のように推定している。
即ち、物質の屈折率はその密度と誘電率に依存する。屈折率及び密度が大きいフッ化物Aと屈折率及び密度が小さいフッ化物Bを固溶化すると、密度が低下するばかりでなく、誘電率も大きく低下し、その結果、固溶体の屈折率は、固溶体の密度低下に比較して大きく低下したものとなるのではないかと、本発明者等は推定している。
例えば、フッ化物以外の化合物については、上記のような現象は確認されていない。フッ化物以外の化合物について、屈折率及び密度が異なる2種の化合物を選択して固溶化させたとしても、おそらく、誘電率の低下が無いか或いは小さいためではないかと考えられる。
本発明の放射線遮蔽材料において、固溶体は、前記現象を利用して、密度が6g/cm3以上、屈折率が1.55以下であるフッ化物の固溶体を実現する。かかる固溶体において、前記フッ化物Aとフッ化物Bの選択とその割合は、上記範囲となる組合せ、割合であれば、特に制限されない。一般には、固溶体とした場合の密度の低下と屈折率の低下を確認して上記範囲を満足する固溶体を使用すればよい。
因みに、前記フッ化イッテルビウムとフッ化ストロンチウムとの固溶体について、最適な割合は、フッ化イッテルビウムが70〜80mol%である。
因みに、前記フッ化イッテルビウムとフッ化ストロンチウムとの固溶体について、最適な割合は、フッ化イッテルビウムが70〜80mol%である。
本発明において、上述した固溶体は、フッ化物Aとフッ化物Bとを所定の質量比で混合し、加熱して溶融した後に冷却固化することにより容易に得られる。
得られた固溶体は、適宜粉砕し、必要に応じて、メッシュ等での選別を経て、所定の粒径(例えば平均粒子径が数μm〜数百μm、具体的には、2〜300μm)となるように粒度調整して放射線遮蔽材料として使用に供される。
得られた固溶体は、適宜粉砕し、必要に応じて、メッシュ等での選別を経て、所定の粒径(例えば平均粒子径が数μm〜数百μm、具体的には、2〜300μm)となるように粒度調整して放射線遮蔽材料として使用に供される。
本発明では、前記フッ化物の組合せにおいて、密度低下を抑えながら低い屈折率を確保することができるため、この放射線遮蔽材料は、密度が6g/cm3以上、屈折率が1.55以下の従来に無い特性を示し、例えば、高い遮蔽効果を維持しながら透明樹脂との屈折率差を0.07以下、好適には0.05以下、さらに好適には0.03以下の範囲に調整することができる。
かかる放射線遮蔽材料は、透明性を有する樹脂に配合され、樹脂組成物として所定形状に成形され、例えば放射性物質が収容された構造体、例えば、各種容器、パイプもしくはホース、シリンジ、採光用窓、保護メガネ、その他、放射線遮蔽板もしくはシート等の形態で使用される。これにより、樹脂の透明性を維持し、これら部材の視認性を確保することができる。
かかる放射線遮蔽材料は、透明性を有する樹脂に配合され、樹脂組成物として所定形状に成形され、例えば放射性物質が収容された構造体、例えば、各種容器、パイプもしくはホース、シリンジ、採光用窓、保護メガネ、その他、放射線遮蔽板もしくはシート等の形態で使用される。これにより、樹脂の透明性を維持し、これら部材の視認性を確保することができる。
この放射線遮蔽材料が配合される透明性を有する樹脂としては、前述したフッ化物A,Bを用いての屈折率調整によって、より近い範囲に近似可能な1.40〜1.55の屈折率を有するもの、例えば、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好適であり、これらは必要に応じてブレンドされていてもよい。特に、透明性を損なわずに、放射線遮蔽性を維持できるという点で、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂が最も好適に使用される。
尚、上記の放射線遮蔽材料は、樹脂の成形性等を損なわない範囲において、所望の放射線遮蔽性が得られるに十分な量、例えば、樹脂100質量部当り40質量部以上の量で樹脂にブレンドされる。特に優れた放射線遮蔽性を得るためには、放射線遮蔽材の充填量を、樹脂100質量部当り100質量部以上とすることが好ましく、200質量部以上とすることが特に好ましい。
ブレンドの手段としては、それ自体公知の方法を採用することができ、例えば、バンバリーミキサーや押出機等を用いて樹脂を加熱溶融させながら放射線遮蔽材料を混練して樹脂組成物を調製することができる。
また、得られた樹脂組成物は一旦ペレット状等に固化させた後に成形機により成形することもできるし、樹脂の溶融を維持した状態で成形することもできる。成形方法としては、射出成形、押出成形、プレス成形、カレンダー成形、ブロー成形等公知の方法を採用することができる。
ブレンドの手段としては、それ自体公知の方法を採用することができ、例えば、バンバリーミキサーや押出機等を用いて樹脂を加熱溶融させながら放射線遮蔽材料を混練して樹脂組成物を調製することができる。
また、得られた樹脂組成物は一旦ペレット状等に固化させた後に成形機により成形することもできるし、樹脂の溶融を維持した状態で成形することもできる。成形方法としては、射出成形、押出成形、プレス成形、カレンダー成形、ブロー成形等公知の方法を採用することができる。
さらに、この放射線遮蔽材料が配合された樹脂組成物には、透明性或いは放射線遮蔽性が損なわれない範囲において、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、加工助剤等を、着色剤等を配合することもできる。
本発明の放射線遮蔽材料は、密度が6g/cm3以上と高いため、これを透明樹脂に配合して極めて高い遮蔽性を有する放射線遮蔽材を得ることができる。例えば、2mmの厚みの板状放射線遮蔽材において、0.5mm以上の鉛当量を実現でき、5mmの厚みの板状放射線遮蔽材において、1mm以上の鉛当量を実現できる。
尚、鉛当量とは、ある放射線遮蔽材について、これと等価な遮蔽能を与える鉛の厚みをいい、鉛当量が高いほど、放射線遮蔽性に優れる。例えば、鉛当量が1mmの放射線遮蔽材は、厚み1mmの鉛板と等価な放射線遮蔽性遮断性を有する。
本発明の放射線遮蔽材料は、密度が6g/cm3以上と高いため、これを透明樹脂に配合して極めて高い遮蔽性を有する放射線遮蔽材を得ることができる。例えば、2mmの厚みの板状放射線遮蔽材において、0.5mm以上の鉛当量を実現でき、5mmの厚みの板状放射線遮蔽材において、1mm以上の鉛当量を実現できる。
尚、鉛当量とは、ある放射線遮蔽材について、これと等価な遮蔽能を与える鉛の厚みをいい、鉛当量が高いほど、放射線遮蔽性に優れる。例えば、鉛当量が1mmの放射線遮蔽材は、厚み1mmの鉛板と等価な放射線遮蔽性遮断性を有する。
本発明の優れた効果を次の実験例により説明する。
尚、以下の実験に用いた各種の測定は、以下の方法により行った。
尚、以下の実験に用いた各種の測定は、以下の方法により行った。
屈折率の測定;
屈折率は、固溶体の粉末を試料とし、屈折率が既知の標準液に試料を分散させ、最も透明となる標準液の屈折率を試料の屈折率とした。該標準液は、屈折率が1.30〜1.80の範囲で、0.01刻みで規定されたものが市販されており、容易に入手できる。
密度の測定;
密度は、固溶体の粉末を試料とし、比重瓶を用いて、日本工業規格 JIS Z 8807:2012に準じて測定した。即ち、比重瓶の質量 M0、試料を入れた比重瓶の質量 M1、更に標準物質として水を加えて比重瓶を満たしたときの質量 M2を測定し、加えた標準物質の質量 m1(m1=M2−M1)を求めた。標準物質だけで比重瓶を満たしたときの質量 M3を測定し、試料と同体積の標準物質の質量 m2(m2=M3−M0−m1)を求めた。試料の質量 m0(m0=M1−M0)と、m2と標準物質密度とによって計算される試料の体積から試料の密度を求めた。
屈折率は、固溶体の粉末を試料とし、屈折率が既知の標準液に試料を分散させ、最も透明となる標準液の屈折率を試料の屈折率とした。該標準液は、屈折率が1.30〜1.80の範囲で、0.01刻みで規定されたものが市販されており、容易に入手できる。
密度の測定;
密度は、固溶体の粉末を試料とし、比重瓶を用いて、日本工業規格 JIS Z 8807:2012に準じて測定した。即ち、比重瓶の質量 M0、試料を入れた比重瓶の質量 M1、更に標準物質として水を加えて比重瓶を満たしたときの質量 M2を測定し、加えた標準物質の質量 m1(m1=M2−M1)を求めた。標準物質だけで比重瓶を満たしたときの質量 M3を測定し、試料と同体積の標準物質の質量 m2(m2=M3−M0−m1)を求めた。試料の質量 m0(m0=M1−M0)と、m2と標準物質密度とによって計算される試料の体積から試料の密度を求めた。
<実験例1>
フッ化物Aとして、フッ化イッテルビウム(YbF3、密度8.2、屈折率1.60)の粉末を用意し、フッ化物Bとしては、フッ化ストロンチウム(SrF2、密度4.2、屈折率1.44)の粉末を用意した。
YbF3の粉末とSrF2の粉末を、75:25のモル比で混合し、フッ化イッテルビウムが75mol%の混合物を得た。該混合物を溶融し、次いで固化することにより、放射線遮蔽材料として使用される固溶体を調製した。
得られた固溶体を粉砕機によって細かく粉砕し、目開き200μmの篩にかけ、篩下分を回収し固溶体の粉末を得た。該粉末の平均粒子径は106μmであった。
得られた固溶体の粉末について、密度と屈折率を測定した結果、それぞれ7.2g/ml及び1.53であった。密度は、前記混合比から算出される算術平均値、即ち8.2×0.75+4.2×0.25=7.2と一致しているのに対し、屈折率は、前記混合比から算出される算術平均値、即ち1.60×0.75+1.44×0.25=1.56に比較して大きく低下していることが分かる。
得られた固溶体の粉末 800gと、屈折率が1.54の液状のシリコーン樹脂 100gを混練し、真空脱泡により気泡を除去した。得られた固溶体粉末と液状シリコーン樹脂の混合物を厚さが5mmで100mm×100mmのモールドに注入し、シリコーン樹脂を加熱硬化させて5mmの厚さを有する100mm×100mmの放射線遮蔽材を得た。該放射線遮蔽材の全光線透過率は90%であり、優れた透明性を有していた。
得られた放射線遮蔽材について、放射線遮蔽能を測定した結果、鉛当量が1.5mmであり、鉛ガラスに比肩する放射線遮蔽性を有することが分かった。
フッ化物Aとして、フッ化イッテルビウム(YbF3、密度8.2、屈折率1.60)の粉末を用意し、フッ化物Bとしては、フッ化ストロンチウム(SrF2、密度4.2、屈折率1.44)の粉末を用意した。
YbF3の粉末とSrF2の粉末を、75:25のモル比で混合し、フッ化イッテルビウムが75mol%の混合物を得た。該混合物を溶融し、次いで固化することにより、放射線遮蔽材料として使用される固溶体を調製した。
得られた固溶体を粉砕機によって細かく粉砕し、目開き200μmの篩にかけ、篩下分を回収し固溶体の粉末を得た。該粉末の平均粒子径は106μmであった。
得られた固溶体の粉末について、密度と屈折率を測定した結果、それぞれ7.2g/ml及び1.53であった。密度は、前記混合比から算出される算術平均値、即ち8.2×0.75+4.2×0.25=7.2と一致しているのに対し、屈折率は、前記混合比から算出される算術平均値、即ち1.60×0.75+1.44×0.25=1.56に比較して大きく低下していることが分かる。
得られた固溶体の粉末 800gと、屈折率が1.54の液状のシリコーン樹脂 100gを混練し、真空脱泡により気泡を除去した。得られた固溶体粉末と液状シリコーン樹脂の混合物を厚さが5mmで100mm×100mmのモールドに注入し、シリコーン樹脂を加熱硬化させて5mmの厚さを有する100mm×100mmの放射線遮蔽材を得た。該放射線遮蔽材の全光線透過率は90%であり、優れた透明性を有していた。
得られた放射線遮蔽材について、放射線遮蔽能を測定した結果、鉛当量が1.5mmであり、鉛ガラスに比肩する放射線遮蔽性を有することが分かった。
Claims (3)
- 密度が6g/cm3以上、屈折率が1.55以下であるフッ化物の固溶体を含むことを特徴とする放射線遮蔽材料。
- 前記フッ化物の固溶体が、フッ化イッテルビウムとフッ化ストロンチウムとの固溶体である請求項1に記載の放射線遮蔽材料。
- 請求項1又は2に記載の放射線遮蔽材料を透明樹脂100質量部に対して、100質量部以上の割合で充填された放射線遮蔽材。
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