JP2018179606A - 超音波計測システム - Google Patents

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【課題】従来よりも広い範囲を検知範囲とする。【解決手段】超音波計測システム10は、レーザ発生装置11と、発生させたパルスレーザを集光するレンズ13を含む光学部12と、レンズ13により集光したパルスレーザによりレーザ誘起ブレークダウンを発生させる二つの超音波発生部14,15と、レーザ誘起ブレークダウンの発生により放射される超音波を受けた対象物7からの反射波を受信するセンサ21,22,23,24,25,26と、これらセンサからの信号に基づいて対象物7に関する情報を取得する処理装置16とを備えている。二つの超音波発生部14,15は、相互が離れて設けられている。超音波発生部14,15それぞれから放射された超音波による反射波を、複数のセンサに含まれる少なくとも三つのセンサが受信可能となるように、複数のセンサは仮想の球面17に沿って相互が離れて配置されている。【選択図】 図1

Description

本発明は、集光させたパルスレーザによりレーザ誘起ブレークダウン(誘電破壊)を生じさせ、これにより発生した超音波を用いて対象物に関する情報を取得するための超音波計測システムに関する。
パルスレーザをレンズにより集光させ物質に照射するとレーザ誘起ブレークダウンという現象が起き、この現象によりプラズマ光及び超音波(レーザパルス超音波)が発生する。プラズマ光は成分分析等の分光器に用いられる。超音波については、例えば特許文献1に開示されているように、対象物に関する情報(例えば、三次元位置や三次元形状)を取得するための超音波計測システムに用いることができる。
図6は、従来の超音波計測システム90を簡略化して示す構成図である。この計測システム90は、パルスレーザを発生させるレーザ発生装置91と、このレーザ発生装置91により発生したパルスレーザを集光するレンズ92aやビームエキスパンダ92b等を含む光学部93と、レンズ92aにより集光したパルスレーザによりレーザ誘起ブレークダウンを発生させる水入りバルーン94(超音波発生部)と、複数(図例では三つ)のセンサ95とを備えている。レーザ誘起ブレークダウンの発生により放射された超音波は対象物99の表面で反射し、各センサ95は、この反射波を受信する。
反射波を受信することで複数のセンサ95から出力された信号(アナログ信号)は、アンプ96aにより増幅され変換器96bによりデジタル変換され、この信号を用いてコンピュータ装置からなる処理装置96によって対象物99に関する情報が取得される。なお、三次元空間において対象物99(例えば、位置)を検知するためには異なる位置に設置された少なくとも三つのセンサ95の信号を要することは公知であり、前記特許文献1では合成開口法により前記情報として画像(形状)が取得される。
特開2002−28161号公報
図6に示す計測システム90では、三つのセンサ95及びバルーン94は円盤状のヘッド97の前面97aに取り付けられており、これらセンサ95及びバルーン94は一体化されている。各センサ95は、ヘッド97の前面97aに対して垂直に設置されており、センサ95が先端に有している反射波の受信面98は前方に向いている。なお、ここでは、ヘッド97を基準として、図6の左側を前側とし、パルスレーザの入力側となる右側を後側としている。
センサ95は、受信面98を含む仮想の平面よりも前方の領域以外に、後方の領域についても所定角度までは、反射波を受信可能であるが、後方側はヘッド97の影になるため、後方側に(二点鎖線で示すように)対象物99が存在していても、バルーン94から放射される超音波はその対象物99に到達できず、また、センサ95は反射波を受信できず、後方側の対象物99に関する情報を取得することは不可能である。つまり、この計測システム90では前方のみが検知範囲となっている。
そこで、本発明は、従来よりも広い範囲を検知範囲とする超音波計測システムを提供することを目的とする。
本発明の超音波計測システムは、パルスレーザを発生させるレーザ発生装置と、前記レーザ発生装置により発生させたパルスレーザを集光するレンズを含む光学部と、前記レンズにより集光した前記パルスレーザによりレーザ誘起ブレークダウンを発生させる少なくとも二つの超音波発生部と、前記レーザ誘起ブレークダウンの発生により放射される超音波を受けた対象物からの反射波を受信する複数のセンサと、前記センサからの信号に基づいて前記対象物に関する情報を取得する処理装置と、を備え、少なくとも二つの前記超音波発生部は、相互が離れて設けられており、前記超音波発生部それぞれから放射された超音波による前記反射波を、複数の前記センサに含まれる少なくとも三つのセンサが受信可能となるように、当該複数のセンサは仮想の球面に沿って相互が離れて配置されている。
この超音波計測システムによれば、少なくとも二箇所でかつ離れた位置(超音波発生部)においてレーザ誘起ブレークダウンが発生する。そして、複数のセンサが前記のとおり仮想の球面に沿って離れて配置されており、対象物からの反射波を少なくとも三つのセンサが受信可能である。このため、従来よりも広い範囲を検知範囲として対象物に関する情報を取得することができる。
また、少なくとも六つの前記センサが、前記仮想の球面に沿って等間隔で配置されているのが好ましく、この場合、前記仮想の球面を中心として、その周囲の360度の全範囲を検知範囲とすることが可能となる。
また、前記光学部は、前記パルスレーザを分けることで、集光するパルスレーザを少なくとも二つ得る分割器を有しているのが好ましく、この構成により、少なくとも二つの超音波発生部に対してレーザ発生装置を共通化することができる。
更に、この場合において、前記分割器は、前記レンズによって集光するパルスレーザを分けるのが好ましく、この構成により、少なくとも二つの超音波発生部に対してレンズを共通化することができる。
また、前記超音波計測システムは、中空の球体を更に備え、当該球体が有する周壁に前記超音波発生部及び前記センサが設けられており、前記レンズによって集光するパルスレーザは前記球体内を通るのが好ましい。この構成により、超音波発生部及びセンサを一体化することができ、操作性の優れた超音波計測システムが得られる。
本発明の超音波計測システムによれば、従来よりも広い範囲を検知範囲として対象物に関する情報を取得することができる。
本発明の超音波計測システムの一例を簡略化して示す構成図である。 球体の断面図である。 第一超音波発生部を中心として球体を見た図である。 第二超音波発生部を中心として球体を見た図である。 センサの説明図である。 従来の超音波計測システムを簡略化して示す構成図である。
図1は、本発明の超音波計測システムの一例を簡略化して示す構成図である。図1に示す超音波計測システム10(以下、単に計測システム10という。)は、集光させたパルスレーザによりレーザ誘起ブレークダウン(誘電破壊)を生じさせ、このレーザ誘起ブレークダウンにより発生した超音波を用いて対象物7に関する情報を取得するためのものである。本実施形態では、対象物7に関する情報として、対象物7の三次元位置の情報を取得する。なお、対象物7に関する情報としては、他の情報であってもよく、例えば対象物7の形状(画像)等であってもよい。
図1に示す計測システム10は、パルスレーザを発生させるレーザ発生装置11と、発生させたパルスレーザを導くための光学部12と、二つの超音波発生部14,15と、複数(図1では六つ)のセンサ21,22,23,24,25,26と、処理装置16とを備えている。この計測システム10は、更に、中空の球体20を備えており、この球体20に超音波発生部14,15と、センサ21,22,23,24,25,26とが搭載されている。球体20が計測システム10のヘッドとなり、このヘッド(球体20)を様々な位置に設置することができる。
二つの超音波発生部14,15それぞれにおいて、集光させたパルスレーザによりレーザ誘起ブレークダウン(誘電破壊)を生じさせ、このレーザ誘起ブレークダウンにより球体20上の異なる二箇所で超音波を発生させる。図1では、球体20が、対象物7が存在している水槽8内に投入されている場合を説明している。このような、パルスレーザが透過可能な水中以外に、パルスレーザが透過可能な空間であり、また、パルスレーザの集光点に物体(粒子)を存在させれば大気中であっても、この計測システム10を用いることができる。なお、水中や大気中等の三次元空間において対象物7(例えば、その位置)を、超音波(その反射波)を用いて検知するためには、異なる位置に設置された少なくとも三つのセンサ(超音波センサ)の信号を要することは、一般的に知られている。
球体20は、仮想の球面17に沿った形状を有する周壁19により構成されている。この周壁19に超音波発生部14,15と、センサ21,22,23,24,25,26とが取り付けられている。球体20は、複数のセンサ21,22,23,24,25,26を集約して取り付けるためのフレームとして機能する。なお、大気中で用いられる場合、周壁19は完全な球形でなくてもよい。つまり、周壁19の内側空間と外側とが一部繋がっていてもよい。本実施形態では、水中で用いられることから、周壁19によってその内側空間と外側とが区画されており、内側空間は密閉されている。この内側空間に後に説明する分割器18等が設置されている。なお、球体20には、パルスレーザを通過させる光ファイバ40が接続されている。光ファイバ40は、パルスレーザを通し球体20まで運ぶ。
レーザ発生装置11は、パルスレーザを発生させ出力することができ、本実施形態では、Nd:YAGレーザを出力する。レーザ波長を例えば1064ナノメートルとすることができるが、他の波長であってもよい。
光学部12は、レーザ発生装置11により発生させたパルスレーザを集光するレンズ13を含む他、減衰器46、ミラー47,48、及びビームエキスパンダ49を有している。減衰器46は、パルスレーザの出力を調整する。ビームエキスパンダ49は、パルスレーザのビーム径を拡大する。レンズ13に入射させるパルスレーザのビーム径が大きいほどレンズ焦点位置にパルスレーザの出力を集中させやすく、所望の位置でレーザ誘起ブレークダウンを発生させることができる。レンズ13は、単焦点レンズであり、球面収差が小さいものとされている。
図2は、球体20の断面図である。光学部12は、更に、上流側レンズ41を有しており、上流側レンズ41は、パルスレーザを平行ビームとする。そして、平行ビームとしたパルスレーザを下流側の前記レンズ13が集光する。光学部12は、更に、パルスレーザを分ける分割器18としてビームスプリッタを有している。分割器(ビームスプリッタ)18は球体20内に設けられている。分割器18は、レンズ13によって集光する途中でパルスレーザを二つのビームに同じ出力で分ける。分けられた一方のパルスレーザ(第一パルスレーザ)は反射ビームとなって第一超音波発生部14内において集光する。分けられた他方のパルスレーザ(第二パルスレーザ)は、透過したビームであり、光学部12が有する球体20内のミラー42によって反射し、第二超音波発生部15内において集光する。このように、分割器18は、単一のパルスレーザを180度離れた異なる二つの領域に向かう二つのパルスレーザに分ける。なお、パルスレーザを分ける手段はビームスプリッタ以外であってもよい。
第一超音波発生部14におけるレーザ誘起ブレークダウンと、第二超音波発生部15におけるレーザ誘起ブレークダウンとは、同時に発生させる必要がある。そこで、分割器18の位置は、球体20の中心から偏心した位置に設けられており、これにより、レンズ13(の中心)から第一超音波発生部14までの経路長(伝搬距離)と、レンズ13(の中心)から第二超音波発生部15までの経路長(伝搬距離)とを同じとしている。または、これら二つの経路長を同一とするために、超音波発生部14,15の球体20における半径方向の位置を相違させてもよい。
二つの超音波発生部14,15は、相互が離れて球体20の表面に設けられている。具体的には、球体20(仮想の球面17)の中心を基準として相互が180度離れて設けられている。一方を第一超音波発生部14と呼び、他方を第二超音波発生部15と呼ぶ。本実施形態の超音波発生部14,15は、それぞれ水入りバルーン14a,15aを有する構成である。球体20の周壁19には、180度離れた両側にパルスレーザを通すための貫通孔43,44が形成されており、この貫通孔43,44がバルーン14a,15aによって塞がれている。
超音波発生部14,15はそれぞれ、パルスレーザが作用する構成である。なお、超音波発生部14,15において、バルーン14a,15aは省略されていてもよい。レンズ13によりパルスレーザを集光させ、バルーン14a,15a内において、集光させたパルスレーザによりレーザ誘起ブレークダウンを発生させる。レーザ誘起ブレークダウンの発生により、超音波(レーザパルス超音波)が発生する。超音波は球面波として放射され、周囲に伝搬する。
本実施形態では(図1参照)、球体20の表面に六つのセンサ21,22,23,24,25,26が設けられている。センサ21,22,23,24,25,26それぞれは、超音波センサ(ハイドロホン)であり、レーザ誘起ブレークダウンの発生により放射された超音波を受けた対象物7からの反射波を受信する。図3は、第一超音波発生部14を中心として球体20を見た図であり、図4は、第二超音波発生部15を中心として球体20を見た図である。この球体20において、第一超音波発生部14を中心とする半球を第一半球51と呼び、第二超音波発生部15を中心とする半球を第二半球52と呼ぶ。第一半球51と第二半球52とによって一つの球体20となる。
図3に示すように、第一半球51において第一超音波発生部14の周りに三つのセンサ21,22,23が等間隔(均等)に配置されている。三つのセンサ21,22,23それぞれと第一超音波発生部14との間隔(距離)は全て等しく、また、三つのセンサ21,22,23同士の間隔(距離)も等しい。図4に示すように、第二半球52おいて第二超音波発生部15の周りに三つのセンサ24,25,26が等間隔(均等)に配置されている。三つのセンサ24,25,26それぞれと第二超音波発生部15との間隔(距離)は全て等しく、また、三つのセンサ24,25,26同士の間隔(距離)も等しい。
更に、図3と図4において、第一半球51の内の一つのセンサ(例えばセンサ21)と、第二半球52の内の二つのセンサ(25,26)それぞれとの間隔(距離)が等しく、第二半球52の残りの一つのセンサ(24)と、第一半球51の残りの二つのセンサ(22,23)それぞれとの間隔(距離)が等しい。
このように、一つのセンサ(21)と、このセンサ(21)に隣り合う他のセンサ(22,23,25,26)それぞれとの間隔は等しく、また、これら他のセンサ(22,23,25,26)同士の間隔も等しい。つまり、六つのセンサ21,22,23,24,25,26が、仮想の球面17(球体20)に沿って等間隔で(相互が均等に離れて)配置されている。本実施形態では、仮想の球面17が球体20の周壁19と一致する。
センサの配置について更に説明すると、図3及び図4に示す形態では、第一のセンサ21と第四のセンサ24とが180度離れて設けられており、第二のセンサ22と第五のセンサ25とが180度離れて設けられており、第三のセンサ23と第六のセンサ26とが180度離れて設けられている。
前記のとおり、六つのセンサ21,22,23,24,25,26は等間隔で配置されていることから、一つのセンサ(例えばセンサ21)に最も近い他のセンサは複数存在しており(図例ではセンサ22,23,25,26の四つ存在しており)、これら複数の他のセンサ(22,23,25,26)同士の間隔は、前記一つのセンサ(21)と当該他のセンサ(22,23,25,26)の内の一つ(例えば、センサ22)との間隔と同じである。
六つのセンサ21,22,23,24,25,26は全て同じものであり、一方向に長い形状(柱形状)を有し、その先端面が反射波を受信する受信面(検出面)31,32,33,34,35,36となっている。第一のセンサ21を代表して説明すると、図5において、このセンサ21は、受信面31を含む仮想の平面53よりも前方の領域から到来する反射波以外に、後方の領域についても所定角度Aまでは、反射波を受信可能である。なお、前記前方とは、仮想の平面53を基準として、球体20から離れる方向であり、前記後方とは、仮想の平面53を基準として、球体20が存在している側の方向である。また、この説明において「反射波を受信可能」とは、処理装置16が対象物7に関する情報を取得できる程度に信号レベルが高い反射波を受信する場合である。例えば予め設定されている閾値よりも信号レベルが高い反射波を受信する場合である。
このような六つのセンサ21,22,23,24,25,26が、仮想の球面17(球体20)に沿って、相互が離れて等間隔で配置されている。したがって、例えば、第一のセンサ21の前方の領域に対象物7が存在している場合、この対象物7からの反射波を、第一のセンサ21と、この第一のセンサ21の周囲(隣り)に位置する他の四つのセンサ22,23,25,26の内の少なくとも二つが、受信可能となる。また、第一のセンサ21と180度離れて反対側に位置する第四のセンサ24の前方の領域に対象物7が存在している場合、この対象物7からの反射波を、第四のセンサ24と、この第四のセンサ24の周囲(隣り)に位置する他の四つのセンサ22,23,25,26の内の少なくとも二つが、受信可能となる。
以上より、本実施形態の計測システム10は、対象物7が球体20を中心としてどの位置に存在していても、この対象物7からの反射波を、六つのセンサ21,22,23,24,25,26に含まれる少なくとも三つのセンサが受信可能となるようにして、これら六つのセンサ21,22,23,24,25,26は仮想の球面17に沿って相互が離れて配置された構成を備えている。
図1において、反射波を受信することでセンサ21,22,23,24,25,26が出力する信号(アナログ信号)は、アンプ27によって増幅され、変換器(高速デジタイザ)28によってデジタル信号に変換され、この信号を用いてコンピュータ装置により構成されている処理装置16が各種の情報処理を実行する。本実施形態では、処理装置16は、相互に離れた少なくとも三つのセンサからの信号を取得することにより、対象物7の三次元位置の情報を取得する。処理装置16がこの情報を取得するために行う処理は、例えば開口合成法による演算である。超音波の速度は既知であることから、第一超音波発生部14及び第二超音波発生部15それぞれで同時に発生した超音波の発生時刻と、各センサが受信した反射波の受信時刻とによって、対象物7の位置を取得することができる。このように、処理装置16は、少なくとも三つの前記センサからの信号に基づいて、対象物7に関する情報を取得する。
以上のように、本実施形態の計測システム10では、レンズ13により集光したパルスレーザにより、二つの超音波発生部14,15においてレーザ誘起ブレークダウンが同時に発生する。そして、これら二つの超音波発生部14,15それぞれから同時に放射された超音波による反射波を、六つのセンサ21,22,23,24,25,26に含まれる少なくとも三つのセンサが受信する。なお、ここでの受信する反射波は、処理装置16が対象物7に関する情報を取得できる程度に信号レベルが高い反射波であり、例えば予め設定されている閾値よりも信号レベルが高い反射波である。つまり、本実施形態の計測システム10では、二つの超音波発生部14,15それぞれからの超音波による反射波であって、信号レベルが閾値よりも高くなる反射波を、少なくとも三つのセンサが受信する。
このように、本実施形態では、仮想の球面17の中心を基準として180度離れた二箇所(超音波発生部14,15)においてレーザ誘起ブレークダウンが同時に発生する。そして、六つのセンサ21,22,23,24,25,26が前記のとおり仮想の球面17(球体20の周壁19)に沿って相互が離れて等間隔で配置されており、二箇所からそれぞれ放射された超音波による前記反射波を、六つのセンサ21,22,23,24,25,26に含まれる少なくとも三つのセンサが受信可能となる。このため、本実施形態では、球体20(仮想の球面17)を中心として、その周囲の360度の全範囲を検知範囲とすることが可能となる。この結果、従来よりも広い範囲を検知範囲として、対象物7に関する情報として三次元位置の情報を取得することができる。なお、四つ以上のセンサからの信号を処理装置16が取得することで、より一層精度の高い三次元位置が得られる。
また、本実施形態では、光学部12は、分割器(ビームスプリッタ)18を有しており、この分割器18は、パルスレーザを分けることで、集光するパルスレーザを二つ得ている。このため、二つの超音波発生部14,15に対してレーザ発生装置11を共通化することができる。つまり、レーザ発生装置11は一つでよく、計測システム10の構成が簡素化される。更に、この分割器18は(図2参照)、レンズ13によって集光するパルスレーザを分ける構成である。このため、二つの超音波発生部14,15に対してレンズ13を共通化することができる。つまり、レンズ13は一つでよく、光学部12の構成が簡素化される。
そして、球体20が有する周壁19に二つの超音波発生部14,15及び六つのセンサ21,22,23,24,25,26が設けられており、また、図2に示すように、レンズ13によって集光するパルスレーザはこの球体20内を通る構成となっている。このため、超音波発生部14,15及びセンサ21,22,23,24,25,26を一体化することができ、操作性の優れた計測システム10が得られる。
以上のとおり開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。つまり、本発明の超音波計測システムは、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。
例えば、前記実施形態では、球体20の周囲の全領域を検知範囲とするために、センサの数を六つとしたが、これ以外であってもよい。つまり、センサは少なくとも六つとするのが好ましく、七つ以上とすることができる。また、検知範囲が、球体20の周囲の全領域ではなく、一部を検知範囲から除外する場合、例えば(図1参照)球体20に繋がる光ファイバ40側については検知範囲から除外する場合、センサは六つよりも少なくてもよく、五つとしてもよい。
前記実施形態では、球体20が複数のセンサの取り付けフレームとして機能する場合について説明したが、複数のセンサを仮想の球面17に沿って配置できれば、取り付けフレームは球形(球体20)でなくてもよい。ただし、各センサにとって、その取り付けフレームの一部が反射波を受信するのを阻害する影の領域を可及的に形成しないようにするのがよい。この点で、センサの取り付けフレームを球体20とするのが好ましい。
複数のセンサ21,22,23,24,25,26の配置の具体例を図3及び図4により説明したが、この配置は例示であり、複数のセンサ21,22,23,24,25,26は仮想の球面17に沿って相互が離れて配置されていればよい。また、球体20の周壁19からセンサ21,22,23,24,25,26が大きく突出している形態を説明したが、これに限らず、それぞれを周壁19に埋め込んだ形態としてもよい。
また、前記実施形態では、超音波発生部14,15は、バルーン14a,15aを有する場合について説明したが、バルーン14a,15aを省略してもよい。なお、本実施形態の場合、バルーン14a,15aの存在により球体20の内外を区画することができるので、特に水中で用いる場合に好適である。
前記実施形態では、超音波発生部の数を二つとしたが、これ以外であってもよい。つまり、超音波発生部は少なくとも二つであり、三つ以上としてもよい。そして、超音波発生部の数に応じて、光学部12の分割器18は、パルスレーザを分けることで集光するパルスレーザを少なくとも二つ得る構成とすればよい。この場合であっても、超音波発生部は仮想の球面に沿って相互が等間隔で離れて設けられており、これら超音波発生部においてレーザ誘起ブレークダウンを同時に発生させればよい。
なお、前記計測システム10では、レーザ誘起ブレークダウンにより超音波の他、プラズマ光も発生することから、発生するこのプラズマ光を成分分析等の分光器のために用いてもよい。
7:対象物 10:超音波計測システム 11:レーザ発生装置
12:光学部 13:レンズ 14,15:超音波発生部
16:処理装置 17:仮想の球面 18:分割器
19:周壁 20:球体 21,22,23,24,25,26:センサ

Claims (5)

  1. パルスレーザを発生させるレーザ発生装置と、
    前記レーザ発生装置により発生させたパルスレーザを集光するレンズを含む光学部と、
    前記レンズにより集光した前記パルスレーザによりレーザ誘起ブレークダウンを発生させる少なくとも二つの超音波発生部と、
    前記レーザ誘起ブレークダウンの発生により放射される超音波を受けた対象物からの反射波を受信する複数のセンサと、
    前記センサからの信号に基づいて前記対象物に関する情報を取得する処理装置と、
    を備え、
    少なくとも二つの前記超音波発生部は、相互が離れて設けられており、
    前記超音波発生部それぞれから放射された超音波による前記反射波を、複数の前記センサに含まれる少なくとも三つのセンサが受信可能となるように、当該複数のセンサは仮想の球面に沿って相互が離れて配置されている、超音波計測システム。
  2. 少なくとも六つの前記センサが、前記仮想の球面に沿って等間隔で配置されている、請求項1に記載の超音波計測システム。
  3. 前記光学部は、前記パルスレーザを分けることで、集光するパルスレーザを少なくとも二つ得る分割器を有している、請求項1又は2に記載の超音波計測システム。
  4. 前記分割器は、前記レンズによって集光するパルスレーザを分ける、請求項3に記載の超音波計測システム。
  5. 中空の球体を更に備え、
    当該球体が有する周壁に前記超音波発生部及び前記センサが設けられており、
    前記レンズによって集光するパルスレーザは前記球体内を通る、請求項1〜4のいずれか一項に記載の超音波計測システム。
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