JP2018179291A - 旋回軸受およびその加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軌道面の肩の高さを高くしても、軌道面を効率良く仕上げ加工することができる旋回軸受およびその加工方法を提供する。
【解決手段】旋回軸受は、内輪1および外輪2の互いに対向する周面にそれぞれ円環状の軌道面11,21が形成され、これら各軌道面11,21間に複数の転動体3が介在する。各軌道面11,21は、断面形状が円弧状の主軌道面部11a,21aと、この主軌道面部11a,21aの一方端に滑らかに続き、断面形状が、主軌道面部11a,21aの断面をなす円弧の延長線よりも円弧の中心に対して外側に位置する線からなる補助軌道面部11b,21bとを有する。補助軌道面部11b,21bにおける主軌道面部11a,21aに対して反対側端の軸受径方向位置が、円弧の中心の軸受径方向位置とほぼ同じか、または円弧の中心の軸受径方向位置よりも軌道面11,21の底に対して遠くに位置する。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば、風力発電装置のヨー、ブレード用の旋回座や、デッキクレーン、建設機械、物揚機械等、屋外または屋内に近接して使用される諸機械の旋回部に使用される旋回軸受およびその加工方法に関する。
風力発電装置のヨー、ブレード用の旋回座等には、旋回軸受が使用されている。これらの旋回軸受が受ける荷重は、ブレードが受けた風により撓む方向のモーメント荷重が支配的である。モーメント荷重の大きさは、主に風速に依存する。このため、台風等の極値荷重条件下においては、非常に大きなモーメント荷重を旋回軸受が受けることとなる。
図8は、ブレード用の旋回軸受の一部を示す断面図である。この旋回軸受は、4点接触玉軸受であり、ボールからなる転動体33が、内輪31の軌道面31aの2点P1,Q1、および外輪32の軌道面32aの2点P2,Q2とそれぞれ接触している。各軌道面31a,32aを構成する曲面は、それぞれ転動体33よりも曲率半径が大きく、曲率中心が互いに異なるゴシックアーチ状の断面円弧状である。定常状態における二つの接触角θ,θの大きさは互いに等しい。
図8に示す定常状態から、旋回軸受が大きなモーメント荷重を受けると、例えば図8の部分拡大図である図9に示すように、一方の接触角θが大きくなって、軌道面31aと転動体33との接触位置P1が変わる。これにより、接触楕円Aが軌道面31aからはみ出る肩乗り上げが発生する。肩乗り上げが発生すると、エッジロードが発生し、早期剥離につながる。なお、接触楕円Aは、接触位置P1を中心とする楕円状の負荷面圧の作用部分のことである。
車輪用軸受装置では、前記肩乗り上げを防止するために、軌道面の端となる肩の高さを軌道面の断面をなす円弧の中心位置と同じ高さか、またはそれ以上の高さに延長することが提案されている(例えば特許文献1,2)。特許文献1,2の車輪用軸受装置は、いずれもアンギュラ玉軸受が使用されている。このように肩の高さを高くすると、通常の研削加工では軌道面の仕上げ加工が難しくなる。
そこで、特許文献1では、軌道面の縁部に補助軌道面を設けている。補助軌道面は、軌道面の断面を構成する円弧状の曲線から滑らかに続き、上記曲線よりも曲率半径の大きな曲線または直線からなる。上記断面形状の補助軌道面は、軌道面をそのまま延長させた面に比べて傾斜が大きく、ある程度の傾斜角度が確保できるため、研削加工するときに、砥石側面で加工する状態とはならない。これにより、軌道面および補助軌道面を研削加工で仕上げることが可能である。
また、特許文献2には、肩の高さが円弧の中心位置の高さ以上である軌道面の仕上げ加工を、軌道面の曲率半径と同じ寸法である球形砥石を用いて研削加工することが記載されている(段落0033、図3)。
特許第4251314号公報 特開2015−183747号公報
風力発電装置等の旋回軸受においても、車輪用軸受装置と同様に、転動体の肩乗り上げを防止するために、軌道面の端となる肩の高さを高くすることが検討されている。特許文献1,2の技術を適用すれば、肩の高さが高い軌道面の加工が可能であるが、旋削加工で粗仕上げをしてから研削加工により精密仕上げを行うのは時間がかかり、加工能率がよくない。特に特許文献2の技術を適用し、球形砥石を用いて軌道面を研削加工で仕上げるのは、軌道面を片側ごと加工することとなり、コスト面で不利である。
この発明の目的は、前記肩乗り上げを防止するために軌道面の肩の高さを高くしても、軌道面を効率良く仕上げ加工することができる旋回軸受を提供することである。
この発明の他の目的は、軌道面の肩の高さが高い旋回軸受の軌道面を効率良く仕上げ加工することができる旋回軸受の加工方法を提供することである。
この発明の旋回軸受は、内輪および外輪の互いに対向する周面にそれぞれ円環状の軌道面が形成され、これら内輪および外輪の各軌道面間に複数の転動体が介在し、
前記内輪および前記外輪の前記各軌道面は、断面形状が円弧状の主軌道面部と、この主軌道面部の一方端に滑らかに続き、断面形状が、前記主軌道面部の断面をなす円弧の延長線よりも前記円弧の中心に対して外側に位置する線からなる補助軌道面部とを有し、前記補助軌道面部における前記主軌道面部に対して反対側端の軸受径方向位置が、前記円弧の中心の軸受径方向位置とほぼ同じか、または前記円弧の中心の軸受径方向位置よりも前記軌道面の底に対して遠くに位置することを特徴とする。
この構成の旋回軸受は、補助軌道面部における主軌道面部に対して反対側端の軸受径方向位置が、前記円弧の中心の軸受径方向位置とほぼ同じか、または前記円弧の中心の軸受径方向位置よりも軌道面の底に対して遠くに位置するため、極値荷重条件下でも転動体の肩乗り上げを防止することができる。
定常状態では、転動体が軌道面の主軌道面部と接触する。このとき、接触楕円は主軌道面部の範囲内に収まっている。旋回軸受に大きなモーメント荷重が負荷されて接触角が増大し、また接触楕円が大きくなると、接触楕円が軌道面の主軌道面部から補助軌道面部にはみ出す。補助軌道面部の断面形状は、主軌道面部の断面をなす円弧の延長線よりも円弧の中心に対して外側に位置する線からなるため、接触楕円が補助軌道面部にはみ出しても、エッジロードの発生が防止される。
また、補助軌道面部が前記断面形状であると、前記のように軌道面の肩の高さを高くしても、軌道面をそのまま延長させた面に比べて傾斜が大きくて、ある程度の傾斜角度を確保できる。このため、軌道面の仕上げ加工を、旋削加工でも研削加工でも行うことができる。例えば風力発電装置のブレード用旋回軸受は、回転速度が1rpm未満と非常に遅く、軌道面の油膜形成が期待できないため、軌道面の表面粗さを極度に細かくする必要がない。このため、軌道面の仕上げ加工を旋削加工で行っても問題ない。研削加工を行わずに旋削加工のみで軌道面を仕上げることで、仕上げ加工を効率良く行うことができる。
この発明において、前記軌道面の前記補助軌道面部は、断面形状が前記主軌道面部の断面をなす円弧の端から延ばした接線からなる直線状であってもよく、また、断面形状が前記主軌道面部の断面をなす円弧の曲率半径よりも大きな曲率半径の円弧状であってもよい。いずれであって、前記作用および効果が得られる。
この発明において、前記周面における前記補助軌道面部に続く面を肩面と称する場合、前記補助軌道面部と前記肩面との接続部に面取部が設けられていてもよい。
面取部を設けることで、接触楕円によるエッジロードをより一層緩和させることができる。
この発明において、前記軌道面の算術平均粗さは、Ra0.1ないしRa0.6の範囲内、より好ましくはRa0.15ないしRa0.5の範囲内にあるものとする。
軌道面の算術平均粗さを上記のように定めることで、現在の技術でも、表面粗さが問題とならない程度に軌道面を旋削加工で仕上げることができる。
この発明において、前記補助軌道面部の断面をなす線分の両端と、前記主軌道面部の断面をなす前記円弧の中心とをそれぞれ結ぶ2本の直線が互いになす角度が、1°ないし10°の範囲内にあるとよい。
上記角度が1°以下の場合、補助軌道面部と主軌道面部の傾斜差が小さく、かつ補助軌道面部の長さが短いため、エッジロードの発生を抑制する効果が得られない。また、上記角度が10°以上の場合、エッジロードの発生を抑制することができる代わりに、軌道面に発生する最大接触応力が過大となる。これらの理由から、上記角度を上記範囲内とするのが好ましい。
また、前記補助軌道面部の断面をなす線分の両端を結ぶ直線と、前記主軌道面部の断面をなす円弧における前記補助軌道面部との接点となる端から延ばした接線とがなす角度が、1°ないし30°の範囲内にあるとよい。
上記角度が1°以下の場合、補助軌道面部と主軌道面部の傾斜差が小さく、かつ補助軌道面部の長さが短いため、エッジロードの発生を抑制する効果が得られない。また、上記角度が30°以上の場合、エッジロードの発生を抑制することができる代わりに、軌道面に発生する最大接触応力が過大となる。これらの理由から、上記角度を上記範囲内とするのが好ましい。
この発明の旋回軸受は、風力発電装置のブレードを主軸に対して、主軸軸心に略垂直な軸心回りに旋回自在に支持する軸受、または風力発電装置のナセルを支持台に対して旋回自在に支持する軸受として使用するのに適する。
この発明の旋回軸受の加工方法は、内輪および外輪の互いに対向する周面にそれぞれ円環状の軌道面が形成され、これら内輪および外輪の各軌道面間に複数の転動体が介在し、前記内輪および前記外輪の前記各軌道面は、断面形状が円弧状の主軌道面部と、この主軌道面部の一方端に滑らかに続き、断面形状が、前記主軌道面部の断面をなす円弧の延長線よりも前記円弧の中心に対して外側に位置する線からなる補助軌道面部とを有し、前記補助軌道面部における前記主軌道面部に対して反対側端の軸受径方向位置が、前記円弧の中心の軸受径方向位置とほぼ同じか、または前記円弧の中心の軸受径方向位置よりも前記軌道面の底に対して遠くに位置する旋回軸受を加工する方法であって、前記軌道面を旋削加工によって仕上げ加工する。
軌道面の断面の全体が円弧状であると、軌道面の肩の軸受径方向位置が、軌道面の断面をなす円弧の中心の軸受径方向位置とほぼ同じか、または前記円弧の中心の軸受径方向位置よりも軌道面の底に対して遠くに位置する場合、仕上げ用の工具の側面が軌道面の肩に当たってしまうため、仕上げ加工が難しい。
これに対し、この加工方法の対象となる旋回軸受は、軌道面が、断面形状が円弧状の主軌道面部と、この主軌道面部の一方端に滑らかに続く補助軌道面部とを有し、補助軌道面部の断面形状が、主軌道面部の断面をなす円弧の延長線よりも円弧の中心に対して外側に位置する線からなっている。補助軌道面部が上記断面形状であると、軌道面の肩の高さを高くしても、軌道面をそのまま延長させた面に比べて傾斜が大きくて、ある程度の傾斜角度を確保できる。このため、軌道面の仕上げ加工を、旋削加工で行うことができる。研削加工を行わずに旋削加工のみで軌道面を仕上げることで、仕上げ加工を効率良く行うことができる。
この発明の旋回軸受は、内輪および外輪の互いに対向する周面にそれぞれ円環状の軌道面が形成され、これら内輪および外輪の各軌道面間に複数の転動体が介在し、前記内輪および前記外輪の前記各軌道面は、断面形状が円弧状の主軌道面部と、この主軌道面部の一方端に滑らかに続き、断面形状が、前記主軌道面部の断面をなす円弧の延長線よりも前記円弧の中心に対して外側に位置する線からなる補助軌道面部とを有し、前記補助軌道面部における前記主軌道面部に対して反対側端の軸受径方向位置が、前記円弧の中心の軸受径方向位置とほぼ同じか、または前記円弧の中心の軸受径方向位置よりも前記軌道面の底に対して遠くに位置するため、軌道面の肩の高さを高くしても、軌道面を効率良く仕上げ加工することができる。
この発明の旋回軸受の加工方法は、内輪および外輪の互いに対向する周面にそれぞれ円環状の軌道面が形成され、これら内輪および外輪の各軌道面間に複数の転動体が介在し、前記内輪および前記外輪の前記各軌道面は、断面形状が円弧状の主軌道面部と、この主軌道面部の一方端に滑らかに続き、断面形状が、前記主軌道面部の断面をなす円弧の延長線よりも前記円弧の中心に対して外側に位置する線からなる補助軌道面部とを有し、前記補助軌道面部における前記主軌道面部に対して反対側端の軸受径方向位置が、前記円弧の中心の軸受径方向位置とほぼ同じか、または前記円弧の中心の軸受径方向位置よりも前記軌道面の底に対して遠くに位置する旋回軸受を加工する方法であって、前記軌道面を旋削加工によって仕上げ加工するため、軌道面の肩の高さが高い旋回軸受の軌道面を効率良く仕上げ加工することができる。
この発明の一実施形態にかかる旋回軸受の断面図である。 (A)図1の一部分の拡大図、(B)はその異なる状態を示す図である。 (A)図1の異なる部分の拡大図、(B)はその異なる状態を示す図である。 同旋回軸受の内輪の軌道面における一部分の断面形状を示す図である。 同旋回軸受の外輪の軌道面における一部分の断面形状を示す図である。 風力発電装置の一例の一部を切り欠いて表した斜視図である。 同風力発電装置の破断側面図である。 従来の風力発電装置のブレード用の旋回軸受の一部を示す断面図である。 図8の部分拡大図である。
この発明の一実施形態を図1ないし図5共に説明する。
この旋回軸受は、例えば風力発電装置のブレードを主軸に対して主軸軸心に略垂直な軸心回りに旋回自在に支持する軸受、または風力発電装置のナセルを支持台に対して旋回自在に支持する軸受として使用される。
図1に示すように、旋回軸受は、内輪1および外輪2と、これら内輪1と外輪2との間に介在する各列複数で2列に並ぶ転動体3とを備える。転動体3はボールである。内輪1、外輪2、および転動体3は軸受鋼からなる。各列の転動体3は、内輪1および外輪2の互いに対向する周面である内輪外周面および外輪内周面にそれぞれ形成された円環状の軌道面11,21を転動する。この旋回軸受は、複列のアンギュラ玉軸受とされ、各軌道面11,21は接触角θが背中合わせとなるように形成されている。図1に示す定常状態の接触角θは、40〜50°の範囲内とされる。
各列の複数の転動体3は、それぞれ保持器4または間座によって周方向に離間した状態で保持されている。保持器4は、例えば鉄板から製造される。この鉄板からなる保持器4は内輪1と外輪2との間に配置され、転動体3が入るポケットを有している。内輪1と外輪2との間の環状空間の両端は、シール5,6によってそれぞれ密封されている。
内輪1には、複数の貫通孔7が円周方向一定間隔おきに設けられている。これら貫通孔7は、例えば、内輪1を後述のナセルのケーシング、ブレード等に連結固定するために用いられる。外輪2にも、複数の貫通孔8が円周方向一定間隔おきに設けられている。これら貫通孔8は、例えば、外輪2を後述の支持台等に連結固定するために用いられる。内外輪1,2の各貫通孔7,8は、軸受軸方向に平行に形成されている。
図1の一部分の拡大図である図2(A)に示すように、内輪1の軌道面11は、主軌道面部11aと補助軌道面部11bとからなる。
主軌道面部11aは、定常状態において転動体3が転動自在に接する部分であり、その断面形状が、転動体3(中心O)よりも曲率半径が大きい円弧状(中心O1)である。主軌道面部11aの一方端の軸受径方向位置は、主軌道面部11aの断面をなす円弧の中心O1の軸受径方向位置よりも内径側である。主軌道面部11aの他方端は、前記円弧と同心同径の円における軸受径方向の内径端と同位置であり、内輪外径面における両軌道面11間の円筒状部分12に滑らかに続いている。
補助軌道面部11bは、主軌道面部11aの一方端に滑らかに続く面であり、その断面形状は、主軌道面部11aの断面をなす円弧の延長線よりも前記円弧の中心O1に対して外側に位置する線からなる。この実施形態の場合、補助軌道面部11bの断面形状は、円弧状である主軌道面部11aの一方端から延びる接線、もしくは主軌道面部11aよりも大きな曲率半径の円弧からなる。補助軌道面部11bと肩面13との接続部には、面取部14が設けられている。肩面13は、内輪外径面における軌道面11の軸受軸方向外側に位置する円筒状の面である。面取部14の断面は直線状であっても、曲線状であってもよい。補助軌道面部11bにおける主軌道面部11aに対して反対側端である肩部15の軸受径方向位置は、円弧の中心O1の軸受径方向位置とほぼ同じか、または円弧の中心O1の軸受径方向位置よりも軌道面11の底に対して遠くに位置する。この実施形態の場合、肩部15の軸受径方向位置は、円弧の中心O1の軸受径方向位置よりも軌道面11の底に対して遠くに位置している。
主軌道面部11aの断面をなす円弧の延長線に対する補助軌道面部11bの逃がし量nは、風車設計のガイドラインを満足する接触応力となる荷重で発生する弾性変形量としている。風車設計のガイドラインとしては、例えばGL認証(GL Guideline for the Certification of Wind Turbines Edition 2010_R0)がある。このGL認証の「7.3軸受」の「7.3.5.1 極値荷重での静的定格」の項に、最大許容接触応力の大きさは、材料の種類、表面硬さ、焼入れ深さを考慮して決定することが記載されている。
前記逃がし量nが、前記GL認証を満足する接触応力となる荷重で発生する弾性変形量となるように、図4に示す各角度α,βが定められている。軸受材料の種類、表面硬さ、焼入れ深さによって異なるが、角度αは1°ないし10°の範囲内とされ、角度βは1°ないし30°の範囲内とされる。
なお、角度αは、補助軌道面部11bの断面をなす線分の両端と、主軌道面部11aの断面をなす円弧の中心O1とをそれぞれ結ぶ2本の直線が互いになす角度である。また、角度βは、補助軌道面部11bの断面をなす線分の両端を結ぶ直線と、主軌道面部11aの断面をなす円弧における補助軌道面部11bとの接点となる端から延ばした接線とがなす角度である。
外輪2の軌道面21も、内輪1の軌道面11と同様である。すなわち、図1の部分拡大図である図3(A)に示すように、外輪2の軌道面21は、主軌道面部21aと補助軌道面部21bとからなる。
主軌道面部21aは、定常状態において転動体3が転動自在に接する部分であり、その断面形状が、転動体3(中心O)よりも曲率半径が大きい円弧状(中心O2)である。主軌道面部21aの一方端の軸受径方向位置は、主軌道面部21aの断面をなす円弧の中心O2の軸受径方向位置よりも外径側である。主軌道面部21aの他方端は、前記円弧と同心同径の円における軸受径方向の外径端と同位置であり、外輪内径面における両軌道面21間の円筒状部分22に滑らかに続いている。
補助軌道面部21bは、主軌道面部21aの一方端に滑らかに続く面であり、その断面形状は、主軌道面部21aの断面をなす円弧の延長線よりも前記円弧の中心O2に対して外側に位置する線からなる。この実施形態の場合、補助軌道面部21bの断面形状は、円弧状である主軌道面部21aの一方端から延びる接線、もしくは主軌道面部21aよりも大きな曲率半径の円弧からなる。補助軌道面部21bと肩面23との接続部には、面取部24が設けられている。肩面23は、外輪内径面における軌道面21の軸受軸方向外側に位置する円筒状の面である。補助軌道面部21bにおける主軌道面部21aに対して反対側端である肩部25の軸受径方向位置は、円弧の中心O2の軸受径方向位置と同じか、または円弧の中心O2の軸受径方向位置よりも軌道面21の底に対して遠くに位置する。この実施形態の場合、肩部25の軸受径方向位置は、円弧の中心O2の軸受径方向位置よりも軌道面21の底に対して遠くに位置している。
内輪1の場合と同様に、主軌道面部21aの断面をなす円弧の延長線に対する補助軌道面部21bの逃がし量nは、例えば前記GL認証を満足する接触応力となる荷重で発生する弾性変形量としている。そのために、図5に示す各角度α,βが、内輪軌道面11の場合と同様に定められている。
内輪1の軌道面11および外輪2の軌道面21の仕上げ加工は、熱処理後に旋削加工により行われる。例えば風力発電装置のブレード用旋回軸受は、一般的に回転速度が1rpm未満と非常に遅く、軌道面11,21の油膜形成が期待できないため、軌道面11,21の表面粗さを極度に細かくする必要がない。このため、軌道面11,21の仕上げ加工を旋削加工で行っても問題ない。軌道面11,21の算術平均粗さは、例えばRa0.1ないしRa0.6の範囲内、より好ましくはRa0.15ないしRa0.5の範囲内とされる。軌道面11,21の算術平均粗さを上記のように定めることで、現在の技術でも、表面粗さが問題とならない程度に軌道面11,21を旋削加工で仕上げることができる。なお、旋削加工による仕上げ加工は、鋼球径の接触角θが40〜50°の範囲内にある旋回軸受に適用するのが望ましい。
各軌道面11,21の補助軌道面部11b,21bの断面形状は、主軌道面部11a,21aの断面をなす円弧の延長線よりも円弧の中心O1,O2に対して外側に位置する線からなるため、軌道面11,21の肩部15,25の高さを高くしても、軌道面11,21をそのまま延長させた面に比べて傾斜が大きくて、ある程度の傾斜角度を確保できる。このため、軌道面11,21の仕上げ加工を旋削加工で行うことが可能である。研削加工を行わずに旋削加工のみで軌道面11,21を仕上げることで、仕上げ加工を効率良く行うことができる。
上記構成からなる旋回軸受の作用を説明する。
旋回軸受が定常状態にあるとき、図2(A)および図3(A)に示すように、転動体3が軌道面11,21の主軌道面部11a,21aと弾性接触している。このとき、軌道面11,21の接触楕円A1,A2は主軌道面部11a,21aの範囲内にある。
旋回軸受に大きなモーメント荷重が作用すると、軌道面11,12および転動体3が弾性変形することで、図2(B)および図3(B)のように、軌道面11,12と転動体3との接触中心点P1,P2の位置が変わり、接触角θが増大し、また接触楕円A1,A2が大きくなる。これにより、接触楕円A1,A2が主軌道面部11a,21aから補助軌道面部11b,21bにはみ出す。しかし、補助軌道面部11b,21bの断面形状は、主軌道面部11a,21aの断面をなす円弧の延長線よりも円弧の中心O1,O2に対して外側に位置する線からなるため、接触楕円A1,A2が補助軌道面部11b,21bにはみ出しても、エッジロードの発生が防止される。
補助軌道面部11b,21bの逃がし量nは、GL認証等のガイドラインを満足する接触応力となる荷重で発生する弾性変形量とされている。風車用の旋回軸受は各部がGL認証等のガイドラインを満足するように設計されているため、補助軌道面部11b,21bに、前記ガイドラインを満足する接触応力で発生する弾性変形量以上の変形が発生しない。このため、補助軌道面部11b,21bの逃し部に荷重が生じない。
補助軌道面部11b,21bを規定する前記角度αを1°ないし10°の範囲内,また前記角度βを1°ないし30°の範囲内としたことにより、エッジロードの発生を効果的に抑制することができる。例えば、角度α,βが下限値以下の場合、補助軌道面部11b,21bと主軌道面部11a,21aの傾斜差が小さく、かつ補助軌道面部11b,21bの長さが短いため、エッジロードの発生を抑制する効果が得られない。逆に、角度α,βが上限値以上の場合、エッジロードの発生を抑制することができる代わりに、軌道面11,21に発生する最大接触応力が過大となる。これらの理由から、角度α,βを上記範囲内とするのが好ましい。
図6および図7は風力発電装置の一例を示す。この風力発電装置51は、支持台52上にナセル53を水平旋回自在に設け、このナセル53のケーシング54内に主軸55を回転自在に支持し、この主軸55のケーシング54外に突出した一端に、旋回翼であるブレード56を取り付けてなる。主軸55の他端は増速機57に接続され、増速機57の出力軸58が発電機59のロータ軸に結合されている。
ナセル53は、旋回軸受BR1により旋回自在に支持される。前記実施形態の旋回軸受において、例えば、外輪2の外周面にギヤ等が設けられたものが、前記ナセル53用の旋回軸受BR1に用いられる。図6に示すように、ケーシング54に複数の駆動源60が設置され、各駆動源60に図示しない減速機を介してピニオンギヤが固定される。外輪2(図1)に設けられた前記ギヤが前記ピニオンギヤに噛み合うように配置される。例えば、外輪2が複数の貫通孔5により支持台52に連結固定され、内輪1(図1)がケーシング54に固定される。複数の駆動源60を同期して駆動させ、この旋回駆動力を外輪2へ伝達する。よって、支持台52に対してナセル53が相対的に旋回可能となる。
ブレード56は、旋回軸受BR2により旋回自在に支持される。この旋回軸受BR2は、前記実施形態の旋回軸受において、例えば、内輪1の内周面にギヤを設けたものが適用される。主軸55の突出した先端部55aには、ブレード56を旋回駆動する駆動源(図示せず)が設けられる。前記先端部55aにこの旋回軸受の外輪2が連結固定され、内輪1の内周面に設けたギヤが、前記駆動軸のピニオンギヤに噛み合っている。図示しない駆動源を駆動させ、この旋回駆動力を内輪1に伝達することで、ブレード56が旋回可能となる。したがって、旋回軸受BR2は、風力発電装置のブレード56を主軸55に対して、主軸軸心L1に略垂直な軸心L2回りに旋回自在に支持する。このように、ブレード56の角度およびナセル53の向きを風の状態に合わせて随時変更する。
この発明の旋回軸受は、風力発電装置以外にも、例えば油圧ショベル、クレーン等の建設機械、工作機械の回転テーブル、砲座、パラボラアンテナ等に適用できる。
以上、実施例に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、ここで開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…内輪
2…外輪
3…転動体
11…軌道面
11a…主軌道面部
11b…補助軌道面部
13…肩面
14…面取部
21…軌道面
21a…主軌道面部
21b…補助軌道面部
23…肩面
24…面取部
52…支持台
53…ナセル
55…主軸
56…ブレード
BR1,BR2…旋回軸受
O1,O2…円弧の中心

Claims (10)

  1. 内輪および外輪の互いに対向する周面にそれぞれ円環状の軌道面が形成され、これら内輪および外輪の各軌道面間に複数の転動体が介在する旋回軸受において、
    前記内輪および前記外輪の前記各軌道面は、断面形状が円弧状の主軌道面部と、この主軌道面部の一方端に滑らかに続き、断面形状が、前記主軌道面部の断面をなす円弧の延長線よりも前記円弧の中心に対して外側に位置する線からなる補助軌道面部とを有し、前記補助軌道面部における前記主軌道面部に対して反対側端の軸受径方向位置が、前記円弧の中心の軸受径方向位置とほぼ同じか、または前記円弧の中心の軸受径方向位置よりも前記軌道面の底に対して遠くに位置することを特徴とする旋回軸受。
  2. 請求項1に記載の旋回軸受において、前記軌道面の前記補助軌道面部は、断面形状が前記主軌道面部の断面をなす円弧の端から延ばした接線からなる直線状である旋回軸受。
  3. 請求項1に記載の旋回軸受において、前記軌道面の前記補助軌道面部は、断面形状が前記主軌道面部の断面をなす円弧の曲率半径よりも大きな曲率半径の円弧状である旋回軸受。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の旋回軸受において、前記周面における前記補助軌道面部に続く面を肩面と称する場合、前記補助軌道面部と前記肩面との接続部面取部が設けられている旋回軸受。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の旋回軸受において、前記軌道面の算術平均粗さが、Ra0.1ないしRa0.6の範囲内、より好ましくはRa0.15ないしRa0.5の範囲内にある旋回軸受。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の旋回軸受において、前記補助軌道面部の断面をなす線分の両端と、前記主軌道面部の断面をなす前記円弧の中心とをそれぞれ結ぶ2本の直線が互いになす角度が、1°ないし10°の範囲内にある旋回軸受。
  7. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の旋回軸受において、前記補助軌道面部の断面をなす線分の両端を結ぶ直線と、前記主軌道面部の断面をなす円弧における前記補助軌道面部との接点となる端から延ばした接線とがなす角度が、1°ないし30°の範囲内にある旋回軸受。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の旋回軸受において、風力発電装置のブレードを主軸に対して、主軸軸心に略垂直な軸心回りに旋回自在に支持する旋回軸受。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の旋回軸受において、風力発電装置のナセルを支持台に対して旋回自在に支持する旋回軸受。
  10. 内輪および外輪の互いに対向する周面にそれぞれ円環状の軌道面が形成され、これら内輪および外輪の各軌道面間に複数の転動体が介在し、前記内輪および前記外輪の前記各軌道面は、断面形状が円弧状の主軌道面部と、この主軌道面部の一方端に滑らかに続き、断面形状が、前記主軌道面部の断面をなす円弧の延長線よりも前記円弧の中心に対して外側に位置する線からなる補助軌道面部とを有し、前記補助軌道面部における前記主軌道面部に対して反対側端の軸受径方向位置が、前記円弧の中心の軸受径方向位置とほぼ同じか、または前記円弧の中心の軸受径方向位置よりも前記軌道面の底に対して遠くに位置する旋回軸受を加工する方法であって、前記軌道面を旋削加工によって仕上げ加工する旋回軸受の加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020133683A (ja) * 2019-02-14 2020-08-31 日本精工株式会社 複列スラスト玉軸受

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