JP2018178189A - 銅合金材、銅合金材の製造方法およびかご型回転子 - Google Patents

銅合金材、銅合金材の製造方法およびかご型回転子 Download PDF

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Abstract

【課題】高温加熱された場合であっても、高い強度と高い導電率とを維持できる銅合金材を提供する。【解決手段】0.1質量%以上0.2質量%以下のZrを含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金で伸延されてなり、母相中にZrとCuとの化合物であるCu5Zrの析出物が析出しており、伸延方向と直交する方向における断面を観察したとき、直径が0.2μm以上である析出物が5000個/mm2以上存在している。【選択図】なし

Description

本発明は、銅合金材、銅合金材の製造方法およびかご型回転子に関する。
従来より、ロータバーと、エンドリング(ロータコア)と、を有するかご型回転子(かご型モータ)において、かご型モータの高効率化の観点から、ロータバー、エンドリングを、銅合金材で形成する検討が進められている。このような銅合金材として、例えば、銅(Cu)にジルコニウム(Zr)等を添加した銅合金からなる銅合金材(例えば特許文献1,2参照)が用いられることがある。
特開2011−94175号公報 特開2014−173156号公報
ロータバー、エンドリングを銅合金材で形成する場合、これらは通常ロウ付け法等により接着される。しかしながら、上述の銅合金材は、Zrの含有量が少ないことから、ロウ付け等のため高温加熱されると強度が低下する。その結果、かご型モータの回転中に働く遠心力のため、ロータバーやエンドリングが変形することがある。また、上述の銅合金材は、Zrの他に、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、リン(P)等が多量に含有されてCu中に固溶しているため、導電率が低く、大電流を流すモータ等に用いられると、電気抵抗による損失が大きくなるという課題もある。
本発明は、高温加熱された場合であっても、高い強度と高い導電率とを維持できる銅合金材およびその関連技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
0.1質量%以上0.2質量%以下のZrを含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金で形成され、
母相中にZrとCuとの化合物であるCuZrの析出物が析出しており、
伸延方向と直交する方向における断面を観察したとき、直径が0.2μm以上である前記析出物が5000個/mm以上存在している銅合金材、およびこの銅合金材がエンドリングとロータバーとに用いられてなるかご型回転子が提供される。
本発明の他の態様によれば、
0.1質量%以上0.2質量%以下のZrを含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる鋳塊を鋳造する工程と、
加熱した前記鋳塊に対して熱間伸延を行って伸延材を形成する工程と、
前記伸延材の形成が完了した後60秒以内に水冷を開始して前記伸延材を冷却するか、又は、前記伸延材の温度が前記伸延材を形成する工程における前記鋳塊の加熱温度以上の温度となるように前記伸延材を加熱した後60秒以内に水冷を開始して前記伸延材を冷却する工程と、
冷却した前記伸延材を、350℃以上550℃以下の温度下で30分以上加熱する時効熱処理を行う工程と、を有する銅合金材の製造方法が提供される。
本発明によれば、銅合金材がロウ付け等のため高温加熱された場合であっても、高い強度と高い導電率とを維持できる。
<発明者等の得た知見>
本発明の実施形態の説明に先立ち、本発明者が得た知見について説明する。
従来より、上述のロータバー、エンドリング(以下、ロータバー等とも称する)の形成材料として、アルミニウム材やアルミニウム合金材(以下、アルミニウム合金材等とも称する)が用いられている。しかしながら、近年、かご型モータの高効率化の観点から、ロータバー等を上述のように銅合金材で形成する検討が進められている。CuはAlよりも電気抵抗が低いことから、ロータバー等を銅合金材で形成する方が、アルミニウム合金材等で形成する場合よりも、モータの効率が数%アップすると言われている。
ロータバー等をアルミニウム合金材等で形成する場合、Alの融点が約660℃と比較的低いことから、アルミニウムやアルミニウム合金を所定の金型内に流し込み、ロータバーとエンドリングとを一度に成形する方法(ダイキャスト法)が用いられている。
これに対し、ロータバー等を銅合金材で形成する場合、上述のダイキャスト法を用いることが難しい。というのも、Cuの融点が約1085℃と高く、金型の寿命が短くなる等の課題があるからである。このため、この場合、ロータバーと、複数のスロットを形成したエンドリングと、を用意し、エンドリングのスロットにロータバーを差し込んだ後、この差し込み箇所に対して例えばロウ付けや溶接(ロウ付け等)を行ってロータバーとエンドリングとを一体化させる方法が用いられる。
モータの回転によりロータバー等に強い遠心力が働いた場合であってもロータバー等の変形を防止する観点から、ロータバー等には高い強度を有することが要求されている。このため、ロータバー等を形成する材料として、加工硬化させた銅合金材(加工硬化材)が用いられる。加工硬化材は、引抜き等の塑性加工を行うことで、歪みを蓄積させて加工硬化させた銅合金材である。このため、加工硬化材は、例えば焼き鈍し材よりも、その強度が高くなる。例えば、無酸素銅の焼き鈍し材(O材)の引張強さは230N/mmであるのに対し、加工硬化材(H材)の引張強さは360N/mmであり、H材の方がO材よりも強度が高くなる。
しかしながら、上述の加工硬化材は、高温に曝されると、加工硬化させた銅の結晶が再結晶を起こして歪を開放するため、強度が低下してしまう。例えば銀ロウを用いたロウ付けによりロータバーとエンドリングとを一体化させる場合、ロータバー等は800℃以上の高温に曝される。このため、ロータバー等を加工硬化材で形成した場合であっても、ロウ付けの際の高温加熱によりロータバー等の強度が低下し、上述の遠心力によってロータバー等が変形することがある。
そこで、高温加熱による強度の低下を抑制するために、CuにZr等を添加し、銅母相(母相)中にZr析出物を析出させて形成した銅合金材(Cu−Zrを主成分とする銅合金材、Cu−Zr系合金材)を、ロータバー等に用いることが考えられている。Zr析出物とは、CuとZrとが反応することで生成された析出物を意味する。また、Cu−Zr系合金材は、Zrの固溶限が極めて低いため、ロウ付けの際の高温加熱によって母相中に固溶するZrの量は極めて少ない。このため、Cu−Zr系合金材は、Cu−Zr以外の成分を主成分とする銅合金材に比べて、加熱による導電率の低下が著しく小さい。このことから、Cu−Zr系合金材は、ロータバー等の形成材料に好適な材料であるといえる。
しかしながら、Cu−Zr系合金材であっても、Zrの含有量が多すぎると、高温加熱により母相中に固溶するZrの量が増え、導電率の低下が大きくなる。一方、Cu−Zr系合金材において、Zrの含有量が少ないと、ロウ付けの際の高温加熱による強度の低下を充分に抑制できない。これは、高温加熱による強度低下を抑制するために必要な上述のZr析出物の数が少なかったり、Zr析出物の数は充分であっても、その大きさが不充分であったりするためと考えられる。
そこで、本発明者等は、Cu−Zr系合金からなる銅合金材において、高温加熱による強度の低下、導電率の低下を抑制すべく鋭意研究を行った。その結果、この銅合金材において、母相中に析出するZr析出物のうち、特にCuZr析出物の大きさと数とを適正に調整することで、上記課題を解決することができることを見出した。本発明は、本発明者等が見出した上記知見に基づくものである。
<本発明の一実施形態>
(1)かご型回転子の構成
まず、本発明の一実施形態に係るかご型回転子(かご型誘導電動機、かご型モータ)の構成について説明する。
本実施形態に係るかご型回転子は、2つの円環状のエンドリングと、複数のロータバーと、を備えている。各ロータバーの両端部にはそれぞれ、エンドリングが設けられている。エンドリングにはそれぞれ、ロータバーの端部を差し込み可能な複数のスロットが設けられており、各スロットにロータバーの端部をそれぞれ差し込むことで、ロータバーとエンドリングとが接合されている。そして、この接合部に対してロウ付けや溶接等を行い、ロータバーとエンドリングとが一体化されている。このロータバー、エンドリングは、銅合金材により形成されている。
(2)銅合金材の構成
以下に、上述のかご型回転子が有するロータバー、エンドリングに好適に用いられる銅合金材の構成について説明する。
本実施形態にかかる銅合金材は、所定量のジルコニウム(Zr)を含み、残部が銅(Cu)及び不可避不純物からなっている。銅合金材は、例えば伸延加工を行うことで所定方向に伸延されて棒状に形成されている。
銅合金材の母材であるCuとしては、導電率(導電性)の低下を抑制する等の観点から、例えば酸素(O)濃度が0.0005質量%以下の無酸素銅(OFC:Oxygen Free Copper)等を用いることが好ましい。
銅合金材にZrを含有させることで、ZrがCuと反応し、その結果、ZrとCuとの化合物のうちの一つであるCuZrの析出物が銅合金材(母相)中に析出する。銅合金材中のZrの含有量によって、母相中に析出するCuZr析出物(以下、単に「CuZr」とも称する)の大きさや、数(析出数)が変化するとともに、高温加熱後の銅合金材の母相中に固溶するZrの量が変化する。このため、銅合金材中のZrの含有量は、例えば0.1質量%以上0.2質量%以下、好ましくは0.12質量%以上0.16質量%以下であるのが望ましい。
Zrの含有量が0.1質量%未満であると、銅合金材の母相中に析出するCuZrの大きさが小さかったり、析出数が少なかったりすることがある。Zrの含有量を0.1質量%以上にすることで、この課題を解決でき、所定の大きさ、所定数のCuZrを母相中に析出させることができる。例えば、銅合金材の伸延方向と直交する方向における断面(以下、「銅合金材の横断面」とも称する)において、直径(差し渡し最小幅)が0.2μm以上のCuZrが5000個/mm以上存在するように、CuZrを析出させることができる。Zrの含有量を0.12質量%以上にすることで、所定の大きさ、所定数のCuZrを確実に析出させることができる。
Zrの含有量が0.2質量%を超えると、高温加熱後(例えば830℃の温度条件下で10分間加熱した後)の銅合金材の母相中に固溶するZrの量が増加する。これは、銅合金材が高温で加熱されることにより銅合金材中に析出したCuZrが母相中に固溶するためである。Zrの含有量を0.2質量%以下にすることで、この課題を解決でき、Zrの含有量を0.16質量%以下にすることで、この課題を確実に解決できる。その結果、高温加熱後の銅合金材の導電率の低下を抑制することができる。
銅合金材には、上述のZrに加え、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、銀(Ag)、シリコン(Si)、クロム(Cr)およびスズ(Sn)からなる群より選択した1種以上の成分(副成分)が、例えば0.1質量%以下の範囲内で含有されてなることが好ましい。なお、上述のMg等からなる群より選択した2種以上を銅合金材中に含有させる場合は、2種以上の成分の総量(合計含有量)が上記の範囲内であることが好ましい。
上述のMg等は、銅合金材の強度を向上させる特性を有しているため、Mg等を銅合金材中に含有させることで、銅合金材(高温加熱前の銅合金材)の強度を向上させることができ、その結果、高温加熱後の銅合金材の強度も高くなる。例えば、母相中に析出しているCuZrの数が同じ銅合金材である場合、Mg等を含有させた銅合金材の方が、Mg等を含有させていない銅合金材よりも、高温加熱後の銅合金材の強度が高くなる。
Mg等の含有量が0.1質量%を超えると、ZrとMg等とが反応して生成される化合物の量が増える。その結果、ZrとMg等との化合物の生成に消費されるZrの量が増えるため、Zrの含有量を増やさなければ、所定数のCuZrを母相中に析出させることができない。また、Mg等の含有量を増やしすぎると、銅合金材(高温加熱後の銅合金材)の導電率を低下させる要因の一つとなることもある。
(3)銅合金材の製造方法
次に、本実施形態にかかる銅合金材の製造方法について、連続鋳造法を例示して説明する。
(鋳造工程)
高周波溶解炉等を用いて原料としての電気銅を溶解して銅の溶解液を生成する。このとき、電気銅の表面、あるいは生成される銅の溶解液の表面を、木炭(カーボン)で被覆しながら行うことが好ましい。これにより、木炭に含まれる炭素(C)と、電気銅(銅の溶解液)中の酸素(O)と、を反応させ、OをCOガスにして溶解液中から除去することができる。すなわち、銅の溶解液の脱酸を行うことができる。これにより、O濃度が0.0005質量%以下の銅(無酸素銅)の溶湯が得られる。
この無酸素銅の溶湯中に、所定量のZrを添加して銅合金(銅合金の溶湯)を溶製する。このとき、最終的に形成される銅合金材中のZrの含有量が0.1〜0.2質量%、好ましくは0.12〜0.16質量%になるように、Zrの添加量を調整する。また、必要に応じて、銅合金の溶湯(無酸素銅の溶湯)中に上述のMg等を添加してもよく、この場合、最終的に形成される銅合金材中のMg等の含有量が0.1質量%以下になるように、Mg等の添加量を調整する。このように生成した銅合金の溶湯を鋳型に注いで(出湯して)冷却することで凝固させ、所定組成であって所定形状を有する鋳塊を鋳造する。本実施形態では、鋳塊として、幅方向における断面形状が円形であって所定の直径を有するビレットを作製する例について説明する。
なお、鋳造直後のビレットには、銅合金の溶湯を凝固させる過程で銅合金中に晶出した粗大な晶出物(CuZr)が多数存在している。
(伸延工程)
鋳造工程が終了した後、押出機や引抜機等の伸延機を用いて、鋳造材の伸延(熱間加工、熱間押出し)を行う。本実施形態では、伸延機として、押出機の一種である押出ダイスを用いる場合を例示する。すなわち、ここでは、押出ダイスを用いてビレットに対して熱間伸延(熱間押出し)を行い、伸延材(押出材)を形成する。熱間伸延を行うことで、ビレット中に存在する粗大なCuZrを分断し、CuZrの微細化を図ることができる。
この伸延工程では、ビレットの温度が所定温度(例えば850℃以上)になるようにビレットを加熱した後、減面率が例えば60%以上、好ましくは80%以上となるように、ビレットに対して熱間伸延を行う。これにより、ビレットが伸延されて所定形状(例えば棒状)の伸延材となる。なお、減面率は下記(式1)で表される。
(式1)
減面率(%)={(ビレットの断面積−伸延材の断面積)/ビレットの断面積}×100
上記(式1)中「ビレットの断面積」とは、伸延を行う前のビレットの幅方向における断面積を意味する。また、「伸延材の断面積」とは、伸延により得られた伸延材の幅方向(伸延(押出)方向と直交する方向)における断面積を意味する。
減面率が60%以上となるように伸延を行ってCuZrを分断することで、最終的に形成される銅合金材中に析出するCuZrを、所定の大きさ、所定数にすることができる。例えば、銅合金材の横断面において、直径が0.2μm以上のCuZrを5000個/mm以上存在させることができる。減面率が80%以上となるように伸延を行うことで、CuZrを充分に分断することができ、上記効果をより確実に得ることができる。これに対し、伸延の減面率が60%未満であると、CuZrの分断が不充分となり、最終的に形成される銅合金材中に析出しているCuZrの大きさ、数を所定の大きさ、所定数にできないことがある。
(冷却工程)
伸延工程が終了した後、伸延材が少なくとも例えば100℃以下になるまで、水冷により冷却する。この水冷は、伸延材を形成した後(押出ダイスから伸延材を押し出した後)60秒以内、好ましくは10秒以内、より好ましくは伸延材を形成した直後(押出ダイスから伸延材を押し出した直後(押出直後すなわち伸延直後))に開始することが望ましい。
伸延材を形成した後(以下、単に「伸延後」とも称する)60秒以内に水冷を開始して伸延材を冷却することで、上述の伸延工程で分断したCuZrが、余熱により凝集して再び粗大化することを防止することができる。伸延後10秒以内、より好ましくは伸延直後に、伸延材の水冷を開始することで、余熱によるCuZrの凝集、粗大化を確実に防止できる。これにより、冷却終了後の伸延材の母相(銅)中に固溶するZrの量を増加させることができる。
なお、伸延後60秒以内に伸延材の水冷を開始することができない場合は、伸延材に対して所定の溶体化処理(溶体化熱処理)を行えばよい。具体的には、伸延材の温度が上述の伸延工程における鋳塊の加熱温度(例えば850℃)以上の温度となるように、伸延材を加熱(再加熱)する処理と、伸延材の温度が低下する前に、伸延材を水冷により冷却する処理と、を行う溶体化処理を行えばよい。
このような溶体化処理においても、伸延材を水冷により冷却する際、伸延材を加熱後60秒以内、好ましくは10秒以内、より好ましくは加熱直後に、伸延材の水冷を開始する。これにより、伸延工程が終了した後、余熱により凝集して粗大化したCuZrを分解し、上述の場合と同様に、冷却終了後の伸延材の母相中に固溶するZrの量を増加させることができる。
(時効熱処理工程)
冷却工程が終了した後、伸延材を所定温度で所定時間加熱する時効熱処理を行い、母相中にCuZrを析出させる。時効熱処理の処理温度(加熱温度)は例えば350℃以上550℃以下とし、時効熱処理の処理時間(加熱時間)は例えば30分以上とする。
上述の加熱温度が350℃未満であると、CuZrの析出速度が遅くなるため、上述の加熱時間を長くしなければ、所定数のCuZrを析出させることができないことがある。このため、生産性低下、製造コスト増加等の課題があり、工業的な適用が難しくなる。上述の加熱温度を350℃以上にすることで、この課題を解決し、所定の大きさ、所定数のCuZrを母相中に析出させることができる。
上述の加熱温度が550℃を超えると、母相中に析出したCuZrが凝集して粗大化するため、CuZrの大きさを所定の大きさとすることはできるが、所定数のCuZrを母相中に析出させることができない。上述の加熱温度を550℃以下にすることで、この課題を解決し、所定の大きさ、所定数のCuZrを母相中に析出させることができる。
また、上述の加熱時間が30分未満であると、時効熱処理の加熱温度を上述の範囲内にした場合であっても、CuZrを充分に析出させることができず、その結果、所定数のCuZrを母相中に析出させることができない。上述の加熱時間を30分以上とすることで、この課題を解決し、母相中に所定数のCuZrを析出させることができる。
(冷間加工工程)
時効熱処理工程が終了した後、伸延材に対して、引抜きや圧延等の冷間加工(塑性加工、冷間塑性加工)を行う。これにより、伸延材は所定の寸法まで加工され(引き延ばされ)て、所定形状の銅合金材が得られる。このように伸延材に対して塑性加工を行うことで、被加工材(伸延材)に歪が蓄積して被加工材が加工硬化し、銅合金材の強度を高めることができる。
なお、上述の冷却工程を行った後であれば、この冷間加工工程は、上述の時効熱処理工程を行う前に実施してもよく、これによっても、所定の大きさ、所定数のCuZrを母相中に析出させることができる。時効熱処理工程と、冷間加工工程と、の実施順番は不問とすることができる。
(4)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態のように、所定量(0.1〜0.2質量%)のZrを含有させることで、銅合金材が高温で加熱された(銅合金材が高温に曝された)場合であっても、強度の低下、導電率の低下を抑制でき、高い強度と、高い導電性と、を兼ね備える銅合金材とすることができる。というのも、所定量のZrを含有させることで、所定の大きさ、所定数のCuZrを銅合金材(の母相)中に析出させるとともに、高温加熱された銅合金材の母相中に固溶するZrの量の増加を抑制することができるためである。
(b)具体的には、本実施形態によれば、銅合金材の横断面において、直径が0.2μm以上であるCuZrが5000個/mm以上存在するようにCuZrを析出させている。このように、所定の大きさ、所定数のCuZrを銅合金材中に析出させることで、このCuZrが加熱による歪の開放を抑制するように機能する。すなわち、CuZrが、加熱による銅合金材の塑性変形を抑制するピンのように機能する。その結果、銅合金材が高温加熱された場合であっても、その強度の低下を抑制することができる。例えば、銅合金材を830℃の温度下で10分加熱した場合であっても、加熱後の銅合金材の0.2%耐力を80N/mm以上に維持することができる。
(c)また、上述のように、高温加熱された銅合金材の母相中に固溶するZrの量の増加を抑制することで、銅合金材が高温加熱された場合であっても、その導電率が低下することを抑制することができる。例えば、銅合金材を830℃の温度下で10分加熱した場合であっても、加熱後の銅合金材の導電率を80%IACS以上に維持することができる。
(d)Mg等を合計含有量が0.1質量%以下の範囲内で銅合金材中に含有させることで、所定の大きさ、所定数のCuZrを母相中に確実に析出させつつ、(高温加熱される前の)銅合金材の強度を高めることができる。また、Mg等の添加による銅合金材の導電率(導電性)への影響も最低限に抑えることができる。
(e)本実施形態では、伸延後(押出ダイスから伸延材を押出した後)60秒以内に伸延材の水冷を開始することで、冷却終了後であって時効熱処理を行う前の伸延材の母相中に固溶するZrの量を増加させている。このような伸延材に対して時効熱処理を行うと、所定の大きさ、所定数のCuZrを銅合金材の母相中に確実に析出させることができる。伸延後10秒以内、好ましくは伸延直後に伸延材の水冷を開始することで、この効果を確実に得ることができる。これは、本発明者等により見出された知見である。
これに対し、伸延後60秒を超えた後に伸延材の水冷が開始されると、余熱によりCuZrが凝集して粗大化し、冷却終了後の伸延材の母相中に固溶するZrの量を充分に増加させることができない。その結果、所定の大きさ、所定数のCuZrを銅合金材の母相中に析出させることができないことがある。
(f)上述の条件範囲内の時効熱処理を行うことで、生産性低下、製造コスト増加等を生じさせることなく、所定の大きさ、所定数のCuZrを銅合金材の母相中に確実に析出させることができる。
(g)上述のように本実施形態にかかる銅合金材は、高温加熱された場合であっても、高い強度及び高い導電性を維持することができるため、かご型回転子を構成するロータバーやエンドリングに用いられる場合に特に有効である。本実施形態にかかる銅合金材をロータバー等に用いることで、かご型回転子を形成する際に、ロータバーとエンドリングとの接合部に対してロウ付け等が行われた場合であっても、ロウ付け等のために加熱された銅合金材の箇所の強度低下を抑制することができる。その結果、かご型回転子の回転により遠心力がロータバー等に働いた場合であっても、ロータバー等が変形したり、折れたりすることを抑制できる。
(本発明の他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、伸延工程において、伸延機として押出ダイスを用いる場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、伸延工程では、鍛造プレス機械等を用いた熱間鍛造(鍛造プレス)により、ビレット中に存在する粗大なCuZrを分断し、CuZrの微細化を図った伸延材を形成してもよい。なお、伸延工程において、鍛造プレス機械を用いる場合も、押出ダイスを用いる場合と同様に、鍛造プレス後(伸延後)60秒以内、好ましくは10秒以内、より好ましくは伸延材を鍛造プレスした直後(伸延直後)に、水冷を開始することが望ましい。これによっても、押出ダイスを用いた場合と同様に、CuZrを所定の大きさ、所定数にすることができ、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
上述の実施形態では、高周波溶解炉を用いて溶湯(銅の溶湯、銅合金の溶湯)を生成したが、これに限定されない。例えば、原料を加熱して溶解して溶湯を生成することが可能な種々の溶解炉を用いることができる。
上述の実施形態では、上述の銅合金材が、かご型回転子が有するロータバー、エンドリングに用いられる場合について説明したが、これに限定されない。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試料の作製>
(試料1)
まず、連続鋳造法により所定形状のビレットを鋳造した。具体的には、溶解炉を用いて原料としての電気銅を溶解して銅の溶解液を生成した。このとき、電気銅、あるいは銅の溶解液の表面をカーボンで被覆しながら行い、銅の溶解液の脱酸を行った。脱酸が充分に行われた銅の溶解液、すなわち無酸素銅の溶湯中に、最終的に形成される銅合金材中のZrの含有量が0.15質量%となるように、所定量のZrを添加して銅合金の溶湯を溶製した。この銅合金の溶湯を所定形状の鋳型に注いで直径が200mm、長さが600mmのビレットを鋳造した。
得られたビレットに対して伸延加工(熱間加工)を行った。具体的には、ビレットを950℃に加熱した後、降温する前のビレットを押出ダイス内に挿入して押出ダイスを通過させた。なお、押出ダイスを用いたビレットの伸延(押出し)は油圧プレスにより加圧して行った。これにより直径が20mmの伸延材を得た。
押出ダイスから押し出された伸延材を、押出ダイスの下流側に用意され、冷却水が収容された水槽内に入れて(運び)、水冷(冷却)する。伸延材が押出ダイスから押し出された後(伸延後、熱間加工後)、水冷が開始されるまでに要した時間は10秒であった。
伸延材の温度が所定温度になるまで伸延材を冷却した後、伸延材を水槽から取り出す。続いて、電気炉を用い、不活性ガス雰囲気中で450℃の温度条件下で1時間加熱する時効熱処理(450℃×1時間の熱処理)を、冷却後の伸延材に対して行った。時効熱処理が終了した後、引抜き法により冷間塑性加工を行い、直径が16mmの銅合金材を作製した。この銅合金材を試料1とした。
試料1および後述の試料2〜18の銅合金材の組成、試料1および後述の試料2〜18の製法、条件を、下記の表1にまとめて示す。
Figure 2018178189
(試料2〜11)
試料2〜11では、銅合金材の組成が表1に示す通りとなるように、Mg、Ti、Zn、Fe、Co、Mn、Ag、Si、Cr、Snの副成分の添加量を調整した。その他は、上述の試料1と同様の製法、条件で銅合金材を作製した。これらをそれぞれ試料2〜11とした。
(試料12)
試料12では、押出ダイスから押し出された伸延材を、水槽に入れることなく120秒放置した。120秒経過後、伸延材を水槽に入れて伸延材の水冷を行い、伸延材を所定温度まで降温させた。その後、電気炉にて伸延材の温度が950℃となるまで伸延材を再加熱した後、伸延材を電気炉から取り出し、その後10秒以内に伸延材を冷却水が収容された水槽内に入れて伸延材を水冷する溶体化処理(溶体化熱処理)を行った。その他は、上述の試料1と同様の組成、製法及び条件で銅合金材を作製した。これを試料12とした。なお、上記表1における熱間加工後、水冷までの時間とは、試料12では、溶体化処理における再加熱後水冷までの時間を表すものとする。
(試料13,14)
試料13,14は、銅合金材の組成が表1に示す通りとなるようにZrの添加量を調整した。その他は、上述の試料1と同様の製法、条件で銅合金材を作製した。これらをそれぞれ試料13,14とした。
(試料15)
試料15では、押出ダイスから押し出された伸延材を、水槽に入れることなく120秒放置し、その後、伸延材を水槽に入れて水冷を行った。その他は、上述の試料1と同様の組成、製法及び条件で銅合金材を作製した。これを試料15とした。
(試料16,17)
試料16,17では、時効熱処理時の温度条件を下記の表1に示す通りに変更した。銅合金材の組成、製法、及び時効熱処理時の温度条件以外の条件は、上述の試料1と同様とした。
(試料18)
試料18では、銅合金材の組成が表1に示す通りとなるようにMgの添加量を調整した。その他は、上述の試料1と同様の製法、条件で銅合金材を作製した。これを試料18とした。
<評価>
試料1〜18についてそれぞれ、直径が0.2μm以上のCuZrの数、高温加熱後の強度の評価、高温加熱後の導電性の評価を行った。
(直径が0.2μm以上のCuZrの数)
「直径が0.2μm以上のCuZrの数」とは、各試料の押出(伸延)方向と直交する方向における断面(横断面)に析出した、直径が0.2μm以上のCuZrの数である。このCuZrの数(析出数)の計測は以下の手順で行った。まず、各試料の横断面を研磨した後、過酸化水素を加えたアンモニア水でエッチングを行って銅のみ溶解し、横断面にCuZrを露出させた。そして、この横断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で600倍の倍率で観察し、1.7mm×2.2mmの範囲で観察される直径が0.2μm以上のCuZrの個数を数え、計算によって1mmの範囲内に存在する直径が0.2μm以上のCuZrの数を求めた。
(高温加熱後の強度の評価)
高温加熱後の強度の評価は、以下の手順で行った。まず、各試料を、ロウ付け条件を模擬した加熱条件で加熱した。すなわち、各試料を830℃の温度下で10分間加熱した。その後(830℃×10分の熱処理後)、各試料の0.2%耐力をJIS Z2214に準拠した引張試験を行うことで測定した。なお、高温加熱後の銅合金材の強度の評価値として、0.2%耐力の値を用いたのは、銅合金材が塑性変形を開始する強度を正確に把握することができるためである。
(高温加熱後の導電性の評価)
高温加熱後の導電性の評価は、以下の手順で行った。まず、各試料を、上述と同様に、830℃の温度下で10分間加熱した。その後(830℃×10分の熱処理後)、JIS H0505に準拠した導電率測定方法により、導電率を測定した。
試料1〜18の直径が0.2μm以上のCuZrの数、830℃×10分の熱処理後の0.2%耐力、830℃×10分の熱処理後の導電率の評価結果を、下記の表2にまとめて示す。
Figure 2018178189
<評価結果>
試料1〜12から、銅合金材中に所定量のZrを含有させることで、所定の大きさ、所定数のCuZrを銅合金材中に析出させることができることを確認した。具体的には、銅合金材の横断面において、直径が0.2μm以上のCuZrが5000個/mm以上存在するように、銅合金材中にCuZrを析出させることができることを確認した。また、このように所定の大きさ、所定数のCuZrを銅合金材中に析出させることで、高温加熱後の銅合金材であっても、高い強度と、高い導電性と、を兼ね備えていることを確認した。すなわち、試料1〜12では、830℃×10分の熱処理後であっても、0.2%耐力を80N/mm以上、導電率を80%IACS以上に維持することができることを確認した。
また、試料12から、伸延後60秒以内に伸延材の水冷を行うことができない場合、所定の溶体化処理を行うことで、所定の大きさ、所定数のCuZrを銅合金材中に析出させることができることを確認した。
また、試料13から、銅合金材中のZrの含有量が所定量未満であると、所定の大きさ、所定数のCuZrを銅合金材中に析出させることができない、すなわち、直径が0.2μm以上のCuZrの数が5000個/mm未満となることがあることを確認した。
試料14から、銅合金材中のZrの含有量が所定量を超えると、高温加熱後の銅合金材の導電率が80%IACSを超え、導電性が低下することがあることを確認した。
また、試料15から、伸延後60秒以内に伸延材の水冷を行わない場合、溶体化処理を行わないと、所定の大きさ、所定数のCuZrが銅合金材中に析出しないことがあることを確認した。
また、試料16から、時効熱処理の加熱温度が低すぎると、時効処理の加熱時間が1時間では、所定の大きさ、所定数のCuZrが銅合金材中に析出しないこがあることを確認した。
試料17から、時効熱処理の加熱温度が高すぎた場合も、上述の試料16の場合と同様に、所定の大きさ、所定数のCuZrが銅合金材中に析出しないことがあることを確認した。
試料18から、Mgの含有量が所定量を超えると、所定の大きさ、所定数のCuZrが銅合金材中に析出しないことがあることを確認した。なお、Mg以外のTi等の副成分の含有量が所定量を超える場合も、同様に、所定の大きさ、所定数のCuZrが銅合金材中に析出しないことがあることを本願発明者は確認している。
試料13,15〜18から、所定の大きさ、所定数のCuZrが銅合金材中に析出していない場合、銅合金材が高温加熱されると、銅合金材の強度が低下することがあることを確認した。すなわち、試料13,15〜18では、830℃×10分の熱処理を行うと、0.2%耐力を80N/mm以上に維持することができないことを確認した。
<好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
0.1質量%以上0.2質量%以下のZrを含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金が伸延されてなり、
母相中にZrとCuとの化合物であるCuZrの析出物が析出しており、
伸延方向と直交する方向における断面を観察したとき、直径が0.2μm以上である前記析出物が5000個/mm以上存在している銅合金材が提供される。
[付記2]
付記1の銅合金材であって、好ましくは、
Mg、Ti、Zn、Fe、Co、Mn、Ag、Si、CrおよびSnからなる群より選択した1種以上を総量で0.1質量%以下含んでなる。
[付記3]
付記1または2の銅合金材であって、好ましくは、
830℃の温度下で10分加熱した後の0.2%耐力が80N/mm以上であり、
830℃の温度下で10分加熱した後の導電率が80%IACS以上である。
[付記4]
本発明の他の態様によれば、
0.1質量%以上0.2質量%以下のZrを含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる鋳塊を鋳造する工程と、
加熱した前記鋳塊に対して熱間伸延を行って伸延材を形成する工程と、
前記伸延材を形成した後60秒以内に水冷を開始して前記伸延材を冷却するか、又は、前記伸延材の温度が前記伸延材を形成する工程における前記鋳塊の加熱温度以上の温度となるように前記伸延材を加熱した後60秒以内に水冷を開始して前記伸延材を冷却する工程と、
冷却した前記伸延材を、350℃以上550℃以下の温度下で30分以上加熱する時効熱処理を行う工程と、を有する銅合金材の製造方法が提供される。
[付記5]
付記4の方法であって、好ましくは、
前記伸延材を形成する工程では、減面率が60%以上となるように熱間伸延を行う。
[付記6]
付記4または5の方法であって、好ましくは、
前記伸延材を形成する工程では、減面率が80%以上となるように熱間伸延を行う。
[付記7]
付記4〜6のいずれかの方法であって、好ましくは、
前記伸延材を冷却する工程では、前記伸延材を形成した後10秒以内、又は、前記伸延材の温度が前記鋳塊の加熱温度以上の温度(例えば850℃以上)となるように前記伸延材を加熱した後10秒以内に、前記伸延材の水冷を開始する。より好ましくは、前記伸延材を形成した直後、又は、前記伸延材の温度が前記鋳塊の加熱温度以上の温度(例えば850℃以上)となるように前記伸延材を加熱した直後に、前記伸延材の水冷を開始する。
[付記8]
付記4〜7のいずれかの方法であって、好ましくは、
前記時効熱処理を行う工程を実施する前、又は、前記時効熱処理を行う工程を実施した後に、前記伸延材に対して冷間(塑性)加工を行う工程をさらに有する。
[付記9]
本発明のさらに他の態様によれば、
0.1質量%以上0.2質量%以下のZrを含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金が伸延されて形成され、母相中にZrとCuとの化合物であるCuZrの析出物が析出しており、伸延方向と直交する方向における断面を観察したとき、直径が0.2μm以上である前記析出物が5000個/mm以上存在している銅合金材がエンドリングおよびロータバーに用いられてなる、かご型回転子が提供される。

Claims (5)

  1. 0.1質量%以上0.2質量%以下のZrを含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金で伸延されてなり、
    母相中にZrとCuとの化合物であるCuZrの析出物が析出しており、
    伸延方向と直交する方向における断面を観察したとき、直径が0.2μm以上である前記析出物が5000個/mm以上存在している
    銅合金材。
  2. Mg、Ti、Zn、Fe、Co、Mn、Ag、Si、CrおよびSnからなる群より選択した1種以上を総量で0.1質量%以下含んでなる請求項1に記載の銅合金材。
  3. 830℃の温度下で10分加熱した後の0.2%耐力が80N/mm以上であり、
    830℃の温度下で10分加熱した後の導電率が80%IACS以上である
    請求項1または2に記載の銅合金材。
  4. 0.1質量%以上0.2質量%以下のZrを含有し、残部がCuおよび不可避不純物からなる鋳塊を鋳造する工程と、
    加熱した前記鋳塊に対して熱間伸延を行って伸延材を形成する工程と、
    前記伸延材の形成が完了した後60秒以内に水冷を開始して前記伸延材を冷却するか、又は、前記伸延材の温度が前記伸延材を形成する工程における前記鋳塊の加熱温度以上の温度となるように前記伸延材を加熱した後60秒以内に水冷を開始して前記伸延材を冷却する工程と、
    冷却した前記伸延材を、350℃以上550℃以下の温度下で30分以上加熱する時効熱処理を行う工程と、
    を有する銅合金材の製造方法。
  5. 0.1質量%以上0.2質量%以下のZrを含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金が伸延されて形成され、母相中にZrとCuとの化合物であるCuZrの析出物が析出しており、伸延方向と直交する方向における断面を観察したとき、直径が0.2μm以上である前記析出物が5000個/mm以上存在している銅合金材がエンドリングおよびロータバーに用いられてなる、かご型回転子。
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