JP2018178178A - 鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液およびこれを用いた開口部のフィリング方法、回路基板の製造方法 - Google Patents

鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液およびこれを用いた開口部のフィリング方法、回路基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鉄−ニッケル合金を電気めっきにより回路形成自体に利用できる技術を提供する。【解決手段】鉄−ニッケル合金電気めっき液に、更に、アセチレンアルコールを含有させたことを特徴とする鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液およびこれを用いた開口部のフィリング方法、回路基板の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液およびこれを用いた開口部のフィリング方法、回路基板の製造方法に関するものである。
鉄−ニッケル合金、特にインバー組成と呼ばれる組成の場合には、一般に熱膨張率が低く温度によって寸法が変化しないため、フォトマスク、バイメタル等に利用されている。
これまで鉄−ニッケル合金は、溶製合金のため、回路形成自体に用いることができなかったが、近年電気めっきにより鉄−ニッケル合金を析出させる技術が報告されたため(特許文献1)、ビアフィリング等の回路形成への利用が期待された。
しかしながら、特許文献1の技術を用いて鉄−ニッケル合金でビアフィリング等を行おうとすると、コンフォーマル析出となるためフィリングが十分に行えないという問題があった。
特許第6084899号
従って、本発明は、鉄−ニッケル合金を電気めっきにより回路形成自体に利用できる技術を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、意外にも、従来公知の鉄−ニッケル合金用のエッチング剤(例えば、特開2001−11661号公報)の有効成分であるアセチレンアルコールを、鉄−ニッケル合金電気めっき液中に添加することにより、ビア等の開口部のフィリング等の回路形成が行えることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、鉄−ニッケル合金電気めっき液に、更に、アセチレンアルコールを含有させたことを特徴とする鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液である。
また、本発明は、開口部を有する基板を、上記鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液で電気めっきを行うことを特徴とする開口部のフィリング方法である。
更に、本発明は、開口部を有する基板を、上記鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液で電気めっきを行うことを特徴とする回路基板の製造方法である。
また更に、本発明は、開口部が、鉄−ニッケル合金でフィリングされていることを特徴とする回路基板である。
本発明の鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液は、ビア等の開口部を有する基板にフィリングすることができる。また、前記のようにしてフィリングされた鉄−ニッケル合金は開口部から深さ方向への組成のばらつきが小さい。更に、前記のようにしてフィリングされた鉄−ニッケル合金は熱処理の必要もない。
そのため、本発明の鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液は、ビア等の開口部のフィリング等の回路形成に好適である。
実施例2で得られた基板の断面写真である。 実施例2の条件2で得られた基板のEDSの測定地点を示す。 実施例4で得られた基板の断面写真である。
本発明の鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液(以下、「本発明めっき液」という)は、鉄−ニッケル合金電気めっき液に、更に、アセチレンアルコールを含有させたものである。
本発明めっき液に用いられるアセチレンアルコールは、構造中に炭素間3重結合と、OH基があれば特に限定されず、例えば、プロパルギルアルコール、ブチンジオール、ペンチンジオール、ヘキシンジオール、オクチンジオール等が挙げられる。また、これらアセチレンアルコールはアルキル基やヒドロキシエチル基などの置換基を有してもよい。これらアセチレンアルコールの中でも、フィリングされた際の鉄−ニッケル合金の内部の組成のばらつきを小さくするためには炭素数が5以上のアセチレンアルコールが好ましく、特にヘキシンジオールが好ましい。これらアセチレンアルコールは1種または2種以上を組み合わせてもよい。
本発明めっき液におけるアセチレンアルコールの含有量は特に限定されないが、例えば、 0.001〜1質量%(以下、単に「%」という)、好ましくは0.005〜0.5%である。
本発明めっき液のベースとなる鉄−ニッケル合金電気めっき液は、特に限定されないが、例えば、鉄イオン、ニッケルイオンなどの金属イオン、グルコン酸、リンゴ酸、クエン酸等の錯化剤、ホウ酸、酢酸等の緩衝剤を含有するものが挙げられる。より具体的な鉄−ニッケル合金用電気めっき液としては、塩化物浴、硫酸塩浴、硫酸塩−塩化物浴、シアン浴、クエン酸浴、ピロリン酸浴、ワット浴、スルファミン酸浴等が挙げられる。これらの中でもワット浴、スルファミン酸浴が好ましい。
本発明めっき液のベースとなる鉄−ニッケル合金電気めっき液として、より好ましいのは、上記鉄−ニッケル合金電気めっき液に、以下の一般式(1)
で表される不飽和スルホン酸化合物を含有させたものである。
上記不飽和スルホン酸化合物において、Rはビニル基またはエチニル基であり、好ましくはビニル基である。また、Xは置換されていてもよい、アルキレン基またはフェニレン基であり、好ましくは置換されていないアルキレン基またはフェニレン基であり、より好ましくは置換されていないアルキレン基である。置換基としては炭素数1〜3のアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル基等が挙げられ、アルキレン基としては炭素数1〜10のもの、好ましくは炭素数1〜3のもの、より好ましくは炭素数1のものが挙げられる。更に、Yはアルカリ金属であり、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウムであり、より好ましくはナトリウムである。
より具体的な不飽和スルホン酸化合物としては、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、プロピンスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、好ましくはアリルスルホン酸ナトリウムである。これらの不飽和スルホン酸化合物は、1種または2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明めっき液における、不飽和スルホン酸化合物の含有量は1〜10%、好ましくは4〜8%である。
本発明めっき液のベースとなる鉄−ニッケル合金電気めっき液として、特に好ましいのは、上記一般式(1)で表される不飽和スルホン酸化合物と、鉄を4〜12g/L、好ましくは6〜10g/L、ニッケルを20〜50g/L、好ましくは25〜40g/L含有させたものである。このような鉄−ニッケル合金電気めっき液であれば、開口部にフィリングした場合の鉄−ニッケル合金の組成が両者の合計量を100%として、鉄が55〜64%およびニッケルが36〜45%となる。
本発明めっき液には、更に、コバルト、モリブデン、タングステンを含有させてもよい。この場合のコバルト、モリブデン、タングステンの添加量は特に限定されず、例えば1〜100g/L、好ましくは1〜50g/Lである。また、コバルト、モリブデン、タングステン源としては、硫酸コバルト、スルファミン酸コバルト、モリブデン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明めっき液には、更に、従来公知の鉄−ニッケル合金電気めっき液に添加されるサッカリン酸ナトリウム等の応力緩和剤等を添加してもよい。
以下に、本発明めっき液のベースとなる鉄−ニッケル合金電気めっき液の好ましい態様として、ワット浴、スルファミン酸浴の組成を記載する。
<ワット浴>
硫酸ニッケル:50〜125g/L、好ましくは60〜100g/L
塩化ニッケル:40〜80g/L、好ましくは50〜70g/L
ホウ酸:30〜60g/L
硫酸第一鉄:20〜60g/L、好ましくは35〜50g/L
グルコン酸ナトリウム:20〜80g/L、好ましくは50〜60g/L
サッカリンナトリウム:1〜5g/L、好ましくは2〜4g/L
アリルスルホン酸ナトリウム:1.5〜10g/L、好ましくは3.5〜8.5g/L
<スルファミン酸浴>
スルファミン酸ニッケル:90〜250g/L、好ましくは140〜190g/L
ホウ酸:30〜60g/L
臭化ニッケル:5〜15g/L、好ましくは6〜10g/L
スルファミン酸鉄:25〜75g/L、好ましくは40〜60g/L
グルコン酸ナトリウム:20〜80g/L、好ましくは50〜60g/L
サッカリンナトリウム:1〜5g/L、好ましくは2〜4g/L
アリルスルホン酸ナトリウム:1.5〜10g/L、好ましくは3.5〜8.5g/L
本発明めっき液は、開口部を有する基板に電気めっきすることで開口部をフィリングすることができる。電気めっきする方法は、特に限定されず、例えば、開口部を有する基板に、アルカリ脱脂、酸活性等の前処理を行った後、これを本発明めっき液に浸漬する方法等が挙げられる。
本発明めっき液で電気めっきすることができる基板は、特に限定されず、例えば、予め無電解めっき、PVD、CVD処理などの導電化処理を施した樹脂、セラミックス、ガラス等で形成されたもの等が挙げられる。本発明において開口部とは、ビア等のことをいう。また、開口部の大きさは特に限定されないが、例えば、ビアであれば直径が、5〜150μm程度、深さが、10〜100μm程度、アスペクト比が、0.1〜2程度である。
電気めっきの条件は、特に限定されず、通常の電気めっきによるフィリングの条件を用いればよく、例えば、浴温30〜60℃で、アノードに鉄、ニッケルを併用し、陰極電流密度0.05〜3A/dmで、開口部が充填されるまで行えばよい。また、電気めっきの際にはパドル等で撹拌することが好ましい。
上記のように本発明のめっき液を用いて開口部を有する基板に電気めっきを行えば、基板の開口部をフィリングすることができる。なお、本発明の場合、フィリングされた鉄−ニッケル合金は熱処理の必要もない。
また、本発明のめっき液を用いて開口部をフィリングすれば、開口部にフィリングされた鉄−ニッケル合金の開口部から深さ方向への組成のばらつきが少ない。
更に、本発明のめっき液のうち、アセチレンアルコールとして炭素数5以上のもの、特にヘキシンジオールを用いためっき液を用いて開口部をフィリングした場合には、開口部から深さ方向への組成のばらつきが少なく、例えば、開口部の底からビア深さの30%の膜厚までの組成と開口部の表面組成との差が±10%以下となる。なお、フィリングされた鉄−ニッケル合金の開口部から深さ方向への組成は、エネルギー分散型X線分析(EDS)等により測定することができる。
以上のように開口部を有する基板の開口部を本発明のめっき液を用いて鉄−ニッケル合金でフィリングし、更に、化学機械研磨や積層工程、再度フィリングめっき、導電ペーストの充填およびバンプ形成等をすることにより、開口部が、鉄−ニッケル合金でフィリングされた回路基板を製造することができる。
なお、上記回路基板の中でも、フィリングした後の開口部の上部に積層時にスタックビアを形成することが可能および電子部品を搭載するためのパッドを形成することが可能な多層プリント配線板が好ましい。
このようにして製造される回路基板は、低熱膨張合金を配線としているため、金属と樹脂間における熱膨張率の差が原因で生じるクラックなどの劣化を抑制できる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実 施 例 1
鉄−ニッケル合金用電気めっき液の調製:
水に、スルファミン酸ニッケル・4水和物156g/L、ホウ酸30g/L、臭化ニッケル7g/L、スルファミン酸鉄・5水和物47g/L、グルコン酸ナトリウム60g/L、サッカリンナトリウム3.2g/Lおよびアリルスルホン酸ナトリウム(36%)16ml/L、ヘキシンジオール1.0gを添加、混合し、鉄−ニッケル合金用電気めっき液を調製した。このめっき浴のpHは3.8であり、ニッケルと鉄の含有量はそれぞれ30g/Lおよび7.5g/Lであった。
比 較 例 1
鉄−ニッケル合金用電気めっき液の調製:
ヘキシンジオールを含有しない以外は実施例1と同様にして鉄−ニッケル合金用電気めっき液を調製した。
実 施 例 2
ビアを有する基板のフィリング:
実施例1および比較例1で調製した鉄−ニッケル合金用電気めっき液を用い、以下の表1に記載の条件でビアを有する基板のフィリングを行った。フィリング後の断面写真を図1に示した。また、条件2で電気めっきした後の基板のEDSの測定地点を図2に、その測定地点における鉄とニッケルの組成を表2に示した。
<基板>
開口部がブラインドビアであり、ブラインドビアの直径が70μm、深さが40μm、アスペクト比0.57の回路基板に無電解銅めっきを施したものを用いた。
ヘキシンジオールを含有する本発明の鉄−ニッケル合金電気めっき液はビアをフィリングすることができたが、ヘキシンジオールを含有しない鉄−ニッケル合金電気めっき液はビアをフィリングすることができなかった。また、本発明によりフィリングされた鉄−ニッケル合金は開口部から深さ方向への組成のばらつきが小さいことも分かった。
実 施 例 3
鉄−ニッケル合金用電気めっき液の調製:
ヘキシンジオールをプロパルギルアルコール0.02gとする以外は実施例1と同様にして鉄−ニッケル合金用電気めっき液を調製した。
実 施 例 4
ビアを有する基板のフィリング:
実施例3の鉄−ニッケル合金用電気めっき液を用いる以外は、実施例2の条件1と同様の条件で実施例2と同様の基板にフィリングを行った。フィリング後の断面写真を図3に示した。また、実施例2と同様にEDSにより測定した鉄とニッケルの組成を表3に示した。
プロパルギルアルコールを含有する本発明の鉄−ニッケル合金電気めっき液はビアをフィリングすることができた。また、本発明によりフィリングされた鉄−ニッケル合金は開口部から深さ方向への組成のばらつきは、プロパルギルアルコールを用いた場合よりもヘキシンジオールを用いた場合の方が小さいことも分かった。
実 施 例 5
鉄−ニッケル合金用電気めっき液の調製:
ヘキシンジオールをジメチルオクチンジオール1.5g/Lにする以外は実施例1と同様にして鉄−ニッケル合金用電気めっき液を調製した。
実 施 例 6
鉄−ニッケル合金用電気めっき液の調製:
水に、硫酸ニッケル75g/L、ホウ酸30g/L、塩化ニッケル55g/L、硫酸第一鉄37.5g/L、グルコン酸ナトリウム60g/L、サッカリンナトリウム3.2g/Lおよびアリルスルホン酸ナトリウム(36%)16ml/L、ヘキシンジオール1.0gを添加、混合し、鉄−ニッケル合金用電気めっき液を調製した。このめっき浴のpHは3.0であり、ニッケルと鉄の含有量はそれぞれ30g/Lおよび7.5g/Lであった。
実 施 例 7
鉄−ニッケル−コバルト合金用電気めっき液の調製:
水に、スルファミン酸ニッケル・4水和物126g/L、ホウ酸30g/L、臭化ニッケル7g/L、スルファミン酸鉄・5水和物50g/L、スルファミン酸コバルト・4水和物3.5g/L、グルコン酸ナトリウム60g/L、サッカリンナトリウム3.2g/Lおよびアリルスルホン酸ナトリウム(36%)16ml/L、ヘキシンジオール1.0gを添加、混合し、鉄−ニッケル合金用電気めっき液を調製した。このめっき浴のpHは3.8であり、ニッケル、鉄、コバルトの含有量はそれぞれ30g/L、7.5g/Lおよび0.625g/Lであった。
本発明の鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液は、ビア等の開口部のフィリング等の回路形成に利用できる。
以 上

Claims (9)

  1. 鉄−ニッケル合金電気めっき液に、更に、アセチレンアルコールを含有させたことを特徴とする鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液。
  2. アセチレンアルコールが、炭素数5以上のものである請求項1記載の鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液。
  3. アセチレンアルコールが、ヘキシンジオールである請求項1記載の鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液。
  4. 鉄−ニッケル合金電気めっき液が、鉄を4〜12g/L、ニッケルを20〜50g/Lおよび以下の一般式(1)
    (ただし、Rはビニル基またはエチニル基、Xは置換されていてもよい、アルキレン基またはフェニレン基、Yはアルカリ金属を示す。)
    で表される不飽和スルホン酸化合物を含有するものである請求項1〜3の何れかに記載の鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液。
  5. 開口部を有する基板を、請求項1〜4の何れかに記載の鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液で電気めっきを行うことを特徴とする開口部のフィリング方法。
  6. 開口部を有する基板を、請求項1〜4の何れかに記載の鉄−ニッケル合金フィリング用電気めっき液で電気めっきを行うことを特徴とする回路基板の製造方法。
  7. 開口部が、鉄−ニッケル合金でフィリングされていることを特徴とする回路基板。
  8. 鉄−ニッケル合金が、鉄が55〜64質量%およびニッケルが36〜45質量%である請求項7記載の回路基板。
  9. 多層プリント配線板である請求項7または8記載の回路基板。
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