JP2018178165A - 高炉操業方法 - Google Patents
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コークス製造工程で製造されたコークスをヤード経由にする理由は、一つは、製鉄所のコークス製造能力が、高炉に必要なコークス量より小さく、外部からコークスを購入する場合があるからである。この場合、輸送船から荷揚げされたコークスは、一旦、ヤードに貯蔵されるため、ヤード経由になる。
もう一つの理由は、高炉がメンテナンスで休風する時に、コークスがヤードに貯蔵される場合があるためである。
ここで、ヤード経由コークスとは、ヤードを経由して高炉に搬送されるコークス、直送コークスとは、ヤードを経由することなく、コークス製造工程からベルトコンベアを用いて高炉に搬送されるコークスをいう。
まず、実施形態の説明の前に、高炉への原料装入方法について、簡単に説明する。
高炉への原料装入方法には、一般的に、鉱石(O)とコークス(C)を交互に層状に装入して1チャージとする(C、O1)装入がある。コークスまたは鉱石を2以上のバッチに分け1チャージとする(C1、C2、O1)、(C1、O1、C2、O2)、(C1、C2、O1、O2)装入もある。
次に、中心コークス11と炉壁の間に、炉径方向に塊コークス15(C2)を装入する(図2のS2、塊コークス装入工程)。
次に、小塊コークス17を混合した鉱石層13(O1)を、中心コークス11および塊コークス15上に装入する(図2のS3、鉱石層装入工程)。
直送コークスとは、ヤードを経由することなく、コークス製造工程からベルトコンベアを用いて高炉に搬送されるコークスをいう。
中心コークス11、塊コークス15および小塊コークス17をこのような構成とする理由は以下の通りである。
しかしながら、ヤード経由コークスは直送コークスと比べて水分のばらつきが大きいため、小粒径のコークスが、いわゆる「まぶりつき粉」として大粒径のコークスに付着して、通気性を悪化させることがある。
そのためには、中心コークス11(C1)および塊コークス15(C2)の小粒径のコークスを排除し、篩分け下限分級点を大きくすることが考えられる。
以上が本実施形態に係る高炉操業方法の概要である。
中心コークス11は、高炉の中心部近辺に装入するコークスであり、ヤード経由コークスを必須とし、直送コークスを選択的に含む。好ましくはヤード経由コークスのみを用いる。
中心コークス11は、装入するヤード経由コークスが、通常、中心コークス11として用いられる直送コークスの篩分け下限分級点に対し、8mm以上、12mm以下大きい篩の篩上であるのが望ましい。理由は、高炉のガス流を安定化させるためである。
例えば、直送コークスの篩分け下限分級点が45mmの場合、ヤード経由コークスの篩分け下限分級点は53mm以上、57mm以下になる。
塊コークス15は、鉱石層13と鉱石層13の間に、炉径方向に装入するコークスであり、ヤード経由コークスからなる。
塊コークス15において、ヤード経由コークスの篩分け下限分級点は、通常、塊コークス15として用いられる直送コークスの篩分け下限分級点と同じでよい。例えば43mm以上、47mm以下である。このような下限分級点にすることにより、塊コークス15の空隙率が、直送コークスを用いる場合と同程度になるので、中心コークス11の空隙率の上昇による歩留の悪化を最小限にできる。
小塊コークス17は鉱石層13に混合させるコークスであり、ヤード経由コークスからなる。小塊コークス17は、平均粒径が塊コークス15よりも小さいコークスであり、塊コークス15を分級する際の篩下を原料とするのが好ましい。これにより、分級による歩留の悪化を抑制できる。
例えば、塊コークス15の篩分け下限分級点が43mm以上、47mm以下の場合は、下限分級点が43mm以上、47mm以下の篩で分級した篩下を、篩分け下限分級点13mm以上、17mm以下の篩で分級した篩上を用いる。
小塊コークス17において、ヤード経由コークスの篩分け下限分級点は、通常、小塊コークス17として用いられる直送コークスの篩分け下限分級点と同程度でよい。
そのため、ヤード経由コークスを多量に使用する場合でも、乾燥設備を新設せずに通気性を確保できる。
また、本実施形態では、空隙率を高くするコークスを中心コークス11のみとすることにより、空隙率の上昇による歩留の悪化を最小限にできる。
細粒と粗粒の焼結鉱が混合している鉱石層13の、空隙率εcを算出する方法としては、下記の式(1)〜式(4)の鈴木・一田モデルがある。鈴木・一田モデルには、一田他、「焼結鉱およびコークスの層空隙率と形状係数の推定」、鉄と鋼、第77年(1991)、第10号、p1561で詳説されている。その概要は以下の通りである。
塊コークス15はヤード経由コークスのみを用い、篩分け下限分級点は45mmとした。
小塊コークス17はヤード経由コークスのみを用い、塊コークスの篩下を、さらに篩分け下限分級点15mmで分級した篩上を用いた。
なお、分級後の中心コークス11、塊コークス15、小塊コークス17の量(質量%)は表2に示すように、篩分け下限分級点の変更前後で等しくなるようにした。
次に、中心コークス11のコークス種および篩分け下限分級点と、ガス流指数との関係を計算した。ここでいうガス流指数とは、高炉を3つの領域に分割した場合における炉頂でのガス流速の割合を示す値である。
まず、中心コークス11として、表3に示す3種類を用意した。塊コークス15、小塊コークス17は、<空隙率および圧力損失計算>と同じ下限分級点の、ヤード経由コークス100%とした。
1.装入物の堆積は、全投入量を小分割して得られる仮想の単位量が、逐次積み上がることにより進む。
2.堆積層が示す粒度偏析は高さ方向では生じない。
3.ガスはプラグフロー(押し出し流)で流れる。
ln(Xn/(1-Xn))=-αlm+β…(6)
αcL=8.70×10-3(Vs 2/Lg)-0.50(dp/L)-0.59(H/L)0.17tanφ0.46(1-u/umf)0.46…(7)
αwL=4.59×10-3(Vs 2/Lg)-0.57(dp/L)-0.58(H/L)0.19tanφ0.69(1-u/umf)0.55…(8)
Vs=W/(2πRL)…(9)
ここで、
Xn:注目する粒径以下の装入物重量比率
lm:装入物流れ方向への距離(m)
α:比例定数(1/m)
β:定数(1/m)
αc:炉心側に向かう勾配(1/m)
αw:炉壁側に向かう勾配(1/m)
L:シュートが1旋回する際の装入量が示す堆積層厚(m)
dp:装入物算術平均粒径(m)
H:装入線からの深さ(m)
φ:装入物の安息角(°)
u:ガス空塔速度(m/s)
umf:ガス流動化開始速度(m/s)
W:装入物供給速度(m3/s)
R:炉軸から装入物落下点までの水平距離(m)
g:重力加速度(m/s2)
このような計算を、全投入量分だけ行い、ガス流速分布を求めた。
最後に、ガス流速分布から、各領域のガス流速を百分率に換算し、ガス流指数とした。具体的には、以下の式(10)〜(13)からガス流指数を求めた。
合計ガス流速=中心領域平均流速+中間領域平均流速+周辺領域平均流速…(10)
中心ガス流指数=(中心領域平均流速)/(合計ガス流速)×100…(11)
中間ガス流指数=(中間領域平均流速)/(合計ガス流速)×100…(12)
周辺ガス流指数=(周辺領域平均流速)/(合計ガス流速)×100…(13)
結果を図6に示す。
この結果からは、ヤード経由コークスの使用により、中心コークス11における通気性が悪化し、ガスが中心領域から中間領域や周辺領域に流れていることが示唆された。
この結果からは、ヤード経由コークスの篩分け下限分級点を大きくしたことにより、中心コークス11の空隙率が上昇し、ガスが中心領域に流れていることが示唆された。また、ヤード経由コークスを100%使用する場合であっても、中心コークス11の篩分け下限分級点を上昇させれば、通気性は十分に確保できることが分かった。
次に、実施例および比較例において、中心コークスのコークス種をヤード経由コークス100%として、コークスおよび鉱石を高炉に装入して操業を行い、圧力損失を比較した。
まず、高炉として、容積が4800m3級の大型高炉を用いた。
この高炉に<空隙率および圧力損失計算>で計算に用いたものと、同じ鉱石およびコークスを同じ質量比で装入し、送風温度1200℃、送風湿度25g/Nm3、送風量6000Nm3/min、酸素使用量10000Nm3/h、微粉炭吹込み量160kg/tで操業を行い、圧力損失を実測した。
結果を表4に示す。
Claims (4)
- ヤード経由コークスを使用する高炉操業方法であって、
ヤード経由コークスを必須とし、直送コークスを選択的に含む中心コークスを、高炉の中心部に装入する中心コークス装入工程と、
ヤード経由コークスからなる塊コークスを、前記中心コークスと炉壁の間に、炉径方向に装入する塊コークス装入工程と、
ヤード経由コークスからなり、粒度が前記塊コークスよりも小さいコークスである小塊コークスを混合した鉱石層を、前記中心コークスおよび前記塊コークス上に装入する鉱石層装入工程と、
を実施し、
前記中心コークス装入工程は、通常、中心コークスとして用いられる直送コークスの篩分け下限分級点に対し、8mm以上、12mm以下大きい篩で分級した篩上のヤード経由コークスを装入する工程であることを特徴とする高炉操業方法。
ここで、ヤード経由コークスとは、ヤードを経由して高炉に搬送されるコークス、直送コークスとは、ヤードを経由することなく、コークス製造工程からベルトコンベアを用いて高炉に搬送されるコークスをいう。 - 請求項1に記載の高炉操業方法であって、
前記中心コークス装入工程は、装入する前記ヤード経由コークスが、篩分け下限分級点が、53mm以上、57mm以下の篩で分級した篩上であることを特徴とする、高炉操業方法。 - 請求項1または請求項2に記載の高炉操業方法であって、
前記塊コークス装入工程は、装入する前記塊コークスが、篩分け下限分級点が、43mm以上、47mm以下の篩で分級した篩上であることを特徴とする、高炉操業方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の高炉操業方法であって、
前記鉱石層装入工程は、装入する前記小塊コークスが、篩分け下限分級点が、43mm以上、47mm以下の篩で分級した篩下を、さらに篩分け下限分級点が、13mm以上、17mm以下の篩で分級した篩上であることを特徴とする、高炉操業方法。
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