JP2018178136A - 金属リチウムの製造装置、炭酸リチウムの分解装置、金属リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの分解方法 - Google Patents

金属リチウムの製造装置、炭酸リチウムの分解装置、金属リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの分解方法 Download PDF

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Abstract

【課題】より容易に炭酸リチウムを分解し、金属リチウムを製造する。【解決手段】金属Li製造装置20は、金属リチウムが析出する析出極22と、析出極22に対向する対極24と、ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を含み析出極22と対極24との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体26を収容する収容部21と、を備えている。この装置は、対極24には炭酸リチウム25を含み、イオン伝導媒体26にはヨウ素が含まれており、析出極22と対極24との間に電圧を印加することにより対極24側で炭酸リチウム25を分解させ、析出極22上に金属Li23を析出させる。【選択図】図3

Description

本明細書で開示する発明は、金属リチウムの製造装置、炭酸リチウムの分解装置、金属リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの分解方法に関する。
金属リチウムの製造には、古くから、安価な炭酸リチウムをリチウム源とした溶融塩電解法を利用する試みがなさられている。例えば、金属リチウムは、55%の塩化リチウムと45%の塩化カリウムの混合物を450℃で溶融塩として電解する溶融電解法によって生産される。また、無水塩化リチウムの製造では、炭酸リチウムと塩素ガスとを乾式法で接触反応させる工程がとられている。無水塩化リチウムを用いて溶融塩電解を行う場合に、炭酸リチウム及び炭素源として木炭等を同時に陽極室に添加し、2Li2CO3+2Cl2+C→4LiCl+3CO2の反応を起こし、陽極を消耗させない方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、炭酸リチウムを電気分解する報告もある(例えば、非特許文献1,2参照)。
特開昭59−200731号公報
J. Physical Chemistry C, 2014,118,26591-26598 Energy Environmental Science,2016,9,1650-1654
しかしながら、溶融電解法では、塩素ガス及び炭酸リチウムの溶融塩からつくられた塩化リチウムを、脱水及び乾燥する必要があり、また、450℃で溶融電解するため、処理が煩雑であり消費エネルギーも大きかった。また、無水塩化リチウムの製造にあたり、炭酸リチウムの溶融塩を用いる場合、この溶融塩が、金属材料を著しく腐食するため、反応容器や配管類に使用される材料は大きく制限される。また、特許文献1の製造方法では、炭酸塩濃度のコントロールが難しく、電流効率の低下や、黒泡の発生、短絡現象の発生など操業上の問題が多かった。また、炭酸リチウムをリチウム源とした溶融塩電解法では、電解時に陽極の黒鉛を消耗する電解反応が主反応で起こることや、電解により生成した金属リチウムと炭酸リチウムとが電解浴中で反応するため、現時点では炭酸リチウムを用いた商業生産は行われていない。また、非特許文献1、2の炭酸リチウムを電気分解する方法では、4.5Vを超える電位が必要であり、容易ではなかった。
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、より容易に金属リチウムを製造することができる金属リチウムの製造装置及び金属リチウムの製造方法を提供することを主目的とする。また、より容易に炭酸リチウムを分解することができる炭酸リチウムの分解装置及び炭酸リチウムの分解方法を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、ヨウ素を用いて炭酸リチウムの分解電位以上の電圧を印加することにより、腐食性の薬品を用いずに、常温付近で且つより低い電圧で炭酸リチウムを分解すると共に金属リチウムを析出させることができることを見いだし、本明細書で開示する発明を完成するに至った。
即ち、本明細書で開示する金属リチウムの製造装置は、
炭酸リチウムから金属リチウムを析出させる金属リチウムの製造装置であって、
金属リチウムが析出する析出極と、
前記析出極に対向する対極と、
ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を含み前記析出極と前記対極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体を収容する収容部と、を備え、
前記対極及び前記対極が接触している前記イオン伝導媒体のうち少なくとも一方には炭酸リチウムを含み、
少なくとも前記対極が接触している前記イオン伝導媒体にはヨウ素が含まれており、
前記析出極と前記対極との間に電圧を印加することにより前記対極側で前記炭酸リチウムを分解させ、前記析出極上に金属リチウムを析出させるものである。
本明細書で開示する炭酸リチウムの分解装置は、
炭酸リチウムを分解させる炭酸リチウムの分解装置であって、
炭酸リチウムの分解を担う分解極と、
前記分解極に対向する対極と、
ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を含み前記分解極と前記対極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体を収容する収容部と、を備え、
前記分解極及び前記分解極が接触している前記イオン伝導媒体のうち少なくとも一方には炭酸リチウムを含み、
少なくとも前記分解極が接触している前記イオン伝導媒体にはヨウ素が含まれており、
前記分解極と前記対極との間に電圧を印加することにより前記分解極側で前記炭酸リチウムを分解させるものである。
本明細書で開示する金属リチウムの製造方法は、
金属リチウムが析出する析出極と、前記析出極に対向する対極と、ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を含み前記析出極と前記対極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を利用し、炭酸リチウムから金属リチウムを析出させる金属リチウムの製造方法であって、
前記対極及び前記対極が接触している前記イオン伝導媒体のうち少なくとも一方には炭酸リチウムを含み、少なくとも前記対極が接触している前記イオン伝導媒体にはヨウ素が含まれており、
前記析出極と前記対極との間に電圧を印加することにより前記対極側で前記炭酸リチウムを分解させ、前記析出極上に金属リチウムを析出させる電圧印加工程、
を含むものである。
本明細書で開示する炭酸リチウムの分解方法は、
炭酸リチウムの分解を担う分解極と、前記分解極に対向する対極と、ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を含み前記分解極と前記対極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を利用し、炭酸リチウムを分解させる炭酸リチウムの分解方法であって、
前記分解極及び前記分解極が接触している前記イオン伝導媒体のうち少なくとも一方には炭酸リチウムを含み、少なくとも前記分解極が接触している前記イオン伝導媒体にはヨウ素が含まれており、
前記分解極と前記対極との間に電圧を印加することにより前記分解極側で前記炭酸リチウムを分解させる電圧印加工程、を含むものである。
本開示は、より容易に金属リチウムを製造することができる。また、本開示は、より容易に炭酸リチウムを分解することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推測される。例えば、カーボン正極とLi負極、およびヨウ素を含む電解液からなるヨウ素電池において、リン酸トリメチル(TMP)やジメチルスルホキシド(DMSO)などハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を用いた場合、ヨウ素電池の放電電圧が4V付近を示した(図1参照)。図1は、ヨウ素電池における電解液の種別と電気容量とセル電圧との関係図である。炭酸リチウムの分解電位はネルンストの式により計算すると, 3.82Vであり、この溶媒を用いたヨウ素溶液中で炭酸リチウムを分解可能であることが予期された。このヨウ素電池を充電すると、正極ではヨウ素の酸化還元作用によりリチウムイオンが生じ、負極ではリチウムイオンが金属リチウムに還元されるというサイクルが繰り返し起きるものと推察される(図2参照)。図2は、炭酸リチウムの分解の一例を示すスキームである。このように、炭酸リチウムが正極やイオン伝導媒体に存在し、イオン伝導媒体にハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を用いたヨウ素電池を充電することにより、室温近傍で且つ腐食性の化合物などを使用せずに、正極側で炭酸リチウムを分解し、負極側で金属リチウムを析出させることができるものと推察される。
ヨウ素電池における電解液と電気容量とセル電圧との関係図。 炭酸リチウムの分解の一例を示すスキーム。 本開示の金属Li製造装置20の一例を模式的に示す説明図。 別の金属Li製造装置20Bの一例を模式的に示す説明図。 別の金属Li製造装置20Cの一例を模式的に示す説明図。 実施例1、比較例1の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図。 実施例2、比較例2の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図。 実施例3の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図。 実施例4の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図。 実施例5、比較例3の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図。 実施例6、比較例4の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図。 実施例7の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図。 実施例8の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図。 実施例9の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図。 実施例10の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図。
(金属リチウム製造装置)
本実施形態で説明する金属リチウム製造装置は、炭酸リチウムから金属リチウムを析出させる金属リチウムの製造装置である。金属リチウム製造装置は、炭酸リチウムを分解させる炭酸リチウムの分解装置としても機能する。この金属リチウム製造装置は、収容部と、析出極と、対極と、イオン伝導媒体と、加熱部とを備える。
収容部は、析出極と対極とイオン伝導媒体とを収容する収容容器である。この収容部は、絶縁性を有し、炭酸リチウム分解時の温度や電位などにおいて安定な材料、例えば樹脂やセラミックなどで形成されている。
析出極は、金属リチウムが析出する電極である。この析出極は、この装置をヨウ素電池の構成でみたときに負極に相当する。析出極は、導電性を有し金属リチウムに対して安定な部材であればよい。この析出極は、金属リチウムやリチウム合金で形成されているものとしてもよいが、金属リチウムにより形成されている金属リチウム電極であることが好ましい。また、析出極は、例えば、Ptなどの貴金属を集電体とするものとしてもよい。
対極は、析出極に対向する電極である。この対極は、この装置をヨウ素電池の構成でみたときに正極に相当する。また、この対極は、炭酸リチウムの分解を担う分解極としてもよい。対極は、炭素を含む炭素電極であるものとしてもよい。この対極には、分解対象である炭酸リチウムが含まれているものとしてもよいし、含まれていないものとしてもよい。対極に炭酸リチウムが含まれていない場合は、炭酸リチウムは、対極側のイオン伝導媒体内に含まれているものとすればよい。また、炭酸リチウムが含まれていない対極は、例えば、導電材としての炭素材料と結着材とを混合して集電体上に塗布又は圧着して形成したものとしてもよい。また、この対極は、カーボンペーパーなどとしてもよい。
炭酸リチウムを含む対極は、導電材としての炭素材料と炭酸リチウムと結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の電極合材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成して用いてもよい。炭素材料は、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、活性炭などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、炭素材料としては、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、炭酸リチウム粒子及び炭素粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体には、貴金属、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどを用いることができる。集電体の形状については、箔状、フィルム状、メッシュ状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
イオン伝導媒体は、ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を含み析出極と対極との間に介在しリチウムイオンを伝導するものである。ここで、分子錯体とは、同種又は2種以上の安定な分子が一定の割合で直接に結合してできる化合物をいい、分子化合物とも称することができる。なお、ハロゲンと分子錯体を形成するか否かは、ラマンスペクトルにおける、酸素とその他の原子との結合など所定の結合の伸縮に起因するピークが、ハロゲンを添加した際に移動するか否かにより判断するものとしてもよい。例えば、ハロゲンがヨウ素である場合には、低波数側に移動するか否かにより判断するものとしてもよい。この非水系溶媒は、硫黄と酸素との二重結合を1以上有する含硫黄有機化合物、および、リンと酸素との二重結合を1以上有する含リン有機化合物のうち1種以上を含むものであることが好ましい。このうち、含リン有機化合物を含むものであれば、作動電圧をより高めることができ好ましい。この非水系溶媒は、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド及びスルホランのうち1以上としてもよい。
このイオン伝導媒体は、ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒に、ヨウ素と、支持塩とを溶解した非水系電解液としてもよい。含まれるヨウ素としては、単体(I2)としてもよいし、ヨウ素イオンを含む化合物や、ヨウ素、臭素及び塩素のうち2種以上を含むハロゲン間化合物でもよい。少なくとも対極が接触しているイオン伝導媒体にはヨウ素が含まれているものとする。また、対極が接触しているイオン伝導媒体は、少なくとも炭酸リチウムを含むことが好ましい。対極において、ヨウ素の酸化還元によって炭酸リチウムを分解するためである。イオン伝導媒体にはヨウ素が0.5g/L以上5g/L以下の範囲で含まれていることが好ましい。この範囲では、ヨウ素の酸化還元により炭酸リチウムを分解しやすい。支持塩としては、例えば、LiPF6,LiClO4,LiBF4,Li(CF3SO22Nなどの公知のものを用いることができる。このような支持塩を含むイオン伝導媒体は、リチウムイオンを含むこととなる。支持塩の濃度としては、0.1mol/L以上2.0mol/L以下であることが好ましく、0.8mol/L以上1.2mol/L以下であることがより好ましい
加熱部は、イオン伝導媒体を100℃以下の範囲で加熱するものである。この加熱部は、収容部の外側に配設されたヒーターとしてもよい。この加熱部により、炭酸リチウムの分解温度を調整することができる。この加熱部により調整される分解温度は、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上としてもよい。また、分解温度はできるだけ低い方が消費エネルギーの観点からは好ましく、例えば、90℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。なお、炭酸リチウムを常温などで分解するものとして、この加熱部を省略してもよい。
このように構成された金属リチウム製造装置では、析出極と対極との間に電圧を印加することにより対極側で炭酸リチウムを分解させ、析出極上に金属リチウムを析出させる。電圧の印加は、例えば、この装置をヨウ素電池の構成でみたときに、対極を正極、析出極を負極とすると、負極を充電するものとすればよい。印加する電圧は、炭酸リチウムの分解電位以上であればよく、例えば、リチウム基準電位で、3.8V以上とすることが好ましく、4.0V以上とすることがより好ましく、4.2V以上とすることが更に好ましい。また、非水系溶媒の電気分解を抑制する観点から、この電圧は、5.0V以下が好ましく、4.5V以下がより好ましい。
次に、金属リチウム製造装置の具体例を図面を用いて説明する。図3は、本開示の金属Li製造装置20の一例を模式的に示す説明図である。図4は、別の金属Li製造装置20Bの一例を模式的に示す説明図である。図5は、別の金属Li製造装置20Cの一例を模式的に示す説明図である。図3に示すように、金属Li製造装置20は、収容部21と、析出極22と、対極24と、イオン伝導媒体26と、加熱部29とを備えている。なお、それぞれの構成は上述したいずれかを採用すればよい。対極24には、分解対象物である炭酸リチウム25が含まれている。また、析出極22の表面には、炭酸リチウム25の分解に応じて生じた金属Li23が析出している。イオン伝導媒体26には、ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒と、ヨウ素とが含まれている。あるいは、図4に示すように、イオン伝導媒体26に炭酸リチウム25を含む金属Li製造装置20Bとしてもよい。このとき、対極24は、炭酸リチウム25を含んでいてもよいし、炭酸リチウム25を含まないものとしてもよい。また、図5に示すように、リチウムイオン伝導性を有し析出極22と対極24との間に配設され、収容部21を析出極側収容部21aと対極側収容部21bとに分離する分離材28を備えた金属Li製造装置20Cとしてもよい。この金属Li製造装置20Cでは、対極側収容部21bに収容されたイオン伝導媒体27にはヨウ素が含まれているものとする。この金属Li製造装置20Cでは、金属リチウムの存在する側にはヨウ素が含まれないので、例えば、ヨウ素と金属リチウムとの反応などを防止することができる。分離材28としては、リチウムイオンを伝導する固体電解質などを用いることができる。
(金属リチウムの製造方法)
本実施形態で説明する金属リチウムの製造方法は、上述した金属リチウム製造装置を用いて行うものとしてもよい。この金属リチウムの製造方法は、金属リチウムが析出する析出極と、析出極に対向する対極と、ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を含み析出極と対極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を利用し、炭酸リチウムから金属リチウムを析出させるものである。この製造方法において、対極及び対極が接触しているイオン伝導媒体のうち少なくとも一方には炭酸リチウムを含み、少なくとも対極が接触しているイオン伝導媒体にはヨウ素が含まれているものとする。この製造方法は、析出極と対極との間に電圧を印加することにより対極側で炭酸リチウムを分解させ、析出極上に金属リチウムを析出させる電圧印加工程を含む。
電圧印加工程では、印加する電圧は、炭酸リチウムの分解電位以上であればよく、例えば、リチウム基準電位で3.8V以上とすることが好ましく、4.0V以上とすることがより好ましく、4.2V以上とすることが更に好ましい。また、非水系溶媒の電気分解を抑制する観点から、この電圧は、5.0V以下が好ましく、4.5V以下がより好ましい。また、この工程では、イオン伝導媒体を25℃以上100℃以下の範囲で加熱して電圧を印加することが好ましい。この分解温度は、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上としてもよい。また、分解温度はできるだけ低い方が消費エネルギーの観点からは好ましく、例えば、90℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。なお、炭酸リチウムを常温などで分解するものとして、この加熱処理を省略してもよい。
この工程では、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド及びスルホランのうち1以上の非水系溶媒を含むイオン伝導媒体を用いることが好ましい。これらの非水系溶媒では、ヨウ素と分子錯体を形成可能であり、より高い電位でも安定であり好ましい。また、この工程では、少なくとも対極が接触しているイオン伝導媒体にヨウ素が0.5g/L以上5g/L以下の範囲で含まれているイオン伝導媒体を用いることが好ましい。ヨウ素がこの範囲で含まれていると、ヨウ素の酸化還元により炭酸リチウムを分解しやすい。また、この工程では、対極が接触しているイオン伝導媒体に少なくとも炭酸リチウムを含むイオン伝導媒体を用いることが好ましい。対極側で炭酸リチウムを分解するためである。
(炭酸リチウム分解装置)
本実施形態で説明する炭酸リチウムの分解装置は、炭酸リチウムを分解させる装置である。この分解装置は、炭酸リチウムの分解を担う分解極と、分解極に対向する対極と、イオン伝導媒体を収容する収容部と、を備えている。イオン伝導媒体は、ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を含み分解極と対極との間に介在しリチウムイオンを伝導するものである。この装置では、分解極及び分解極が接触しているイオン伝導媒体のうち少なくとも一方には炭酸リチウムを含み、少なくとも分解極が接触しているイオン伝導媒体にはヨウ素が含まれている。この装置では、分解極と対極との間に電圧を印加することにより分解極側で炭酸リチウムを分解させる。この分解装置は、上述した金属リチウムの製造装置の対極が分解極であり、析出極が対極であるものとすれば、上述したものと同じ構成を採用することができる。この分解装置の対極では、金属リチウムが析出するものとしてもよい。また、分解対象の炭酸リチウムは、分解極に含まれていてもよいし、イオン伝導媒体に含まれていてもよい。
(炭酸リチウムの分解方法)
この分解方法は、炭酸リチウムの分解を担う分解極と、分解極に対向する対極と、ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を含み分解極と対極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を利用し、炭酸リチウムを分解させるものである。この分解方法において、分解極及び分解極が接触しているイオン伝導媒体のうち少なくとも一方には炭酸リチウムを含み、少なくとも分解極が接触しているイオン伝導媒体にはヨウ素が含まれているものとする。そして、この分解方法は、分解極と対極との間に電圧を印加することにより分解極側で炭酸リチウムを分解させる電圧印加工程を含む。この電圧印加工程は、上述した金属リチウムの製造方法と同様の内容を採用することができる。
以上詳述した金属リチウムの製造装置、炭酸リチウムの分解装置、金属リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの分解方法では、より容易に炭酸リチウムを分解し、金属リチウムを製造することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推測される。例えば、カーボン正極とLi負極、およびヨウ素を含む電解液からなるヨウ素電池において、リン酸トリメチル(TMP)やジメチルスルホキシド(DMSO)などハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を用いた場合、ヨウ素電池の放電電圧が4V付近を示した(図1参照)。炭酸リチウムの分解電位はネルンストの式により計算すると, 3.82Vであり、この溶媒を用いたヨウ素溶液中で炭酸リチウムを分解可能であることが予期された。このヨウ素電池を充電すると、正極ではヨウ素の酸化還元作用によりリチウムイオンが生じ、負極ではリチウムイオンが金属リチウムに還元されるというサイクルが繰り返し起きるものと推察される(図2参照)。このように、炭酸リチウムが正極やイオン伝導媒体に存在し、イオン伝導媒体にハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を用いたヨウ素電池を充電することにより、室温近傍で且つ腐食性の化合物などを使用せずに正極側で炭酸リチウムを分解し、負極側で金属リチウムを析出させることができるものと推察される。
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、本明細書で開示する金属リチウムの製造装置を具体的に作製した例を実施例として説明する。
[実施例1]
導電材のカーボンブラック(東海カーボン製TB5500)と、炭酸リチウム(Li2CO3,和光純薬工業製)と、結着材のポリテトラフルオロエチレン(PTFEダイキン工業製F−104)とを質量比で、35:55:10の割合でメノウ乳鉢により乾式混合して電極合材を作製し、 その合材4mgを白金メッシュ(ニラコ製80メッシュ)に圧着したものを対極(分解極,正極)とした。 電解液は、支持塩としてのリチウムビストリフルオロメタンスルホニルアミド(LiTFSA,関東化学製)と非水系溶媒としてのリン酸トリメチル(TMP,キシダ化学)とを含む1mol/Lの電解液であり、電解液15mLにヨウ素(アルドリッチ製)22mgを溶解したものを用いた。 本城金属の金属リチウムを析出極(対極,負極)として電気化学装置(図3)を作製した。 北斗電工の充放電装置(HJ1001SM8A)を用いて25℃にて0.04mA(合材質量あたり10mA/g)の電流で4.4Vまで電圧を印加(充電)し、炭酸リチウムを分解させた。
[比較例1]
ヨウ素を含まない電解液を用いた以外は実施例1と同様の構成とした電気化学装置を比較例1とした。
図6は、実施例1、比較例1の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図である。電気容量−セル電圧の関係図では、電気容量の増加は、電流量の増加、即ち炭酸リチウムの分解量が増加することを表す。また、実施例1では、含まれる炭酸リチウムの量から計算される理論的な電気容量は、1.01mAhである。図6に示すように、ヨウ素のない比較例1では、炭酸リチウムの分解はほとんどみられなかった。一方、ヨウ素を加えた実施例1では、大きな電気容量を示し、炭酸リチウムの分解が確認された。なお、電気化学装置の内部を分析したところ、炭酸リチウムの分解により発生したと推察される二酸化炭素を検出した。また、金属リチウム電極上に金属リチウムの析出を確認した。このため、この電気化学装置の構成では、例えば、リチウム二次電池の電極に蓄積された炭酸リチウムを分解することができると推察された。また、炭酸リチウムから金属リチウムを製造することができると推察された。
[実施例2]
電極合材を8mgとした以外は実施例1と同様の構成とした電気化学装置を実施例2とした。
[比較例2]
電解液に1mol/LのLiTFSA−プロピレンカーボネート(PC)15mLにヨウ素22mgを溶解したものを用いた以外は実施例1と同様の構成とした電気化学装置を比較例2とした。
図7は、実施例2、比較例2の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図である。実施例2では、理論的な電気容量は、2.03mAhである。図7に示すように、ヨウ素と分子錯体を形成しないPCを非水系溶媒とする比較例2では、炭酸リチウムの分解はほとんどみられなかった。一方、ヨウ素と分子錯体を形成する非水系溶媒を用いた実施例2では、理論容量の9割近い大きな電気容量を示し、炭酸リチウムの分解が確認された。
[実施例3]
カーボンブラックと炭酸リチウムとPTFEからなる電極合材5.5mgを白金メッシュに圧着したものを対極とした。また、1mol/LのLiTFSA−ジメチルスルホキシド(DMSO,アルドリッチ製)15mLにヨウ素32mgを溶解したものを電解液とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした電気化学装置を実施例3とした。電圧の印加(充電)は、25℃で4.1Vまでとした。
[実施例4]
カーボンブラックと炭酸リチウムとPTFEからなる電極合材8.5mgを白金メッシュに圧着したものを対極とした。また、1mol/LのLiTFSA−テトラメチレンスルホキシド(TMSO,アルドリッチ製)15mLにヨウ素21mgを溶解したものを電解液とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした電気化学装置を実施例4とした。25℃で一旦2.8Vまで放電してから4.0Vまで充電した。
図8は、実施例3の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図である。実施例3では、理論的な電気容量は、1.4mAhである。図9は、実施例4の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図である。実施例4では、理論的な電気容量は、2.13mAhである。図8、9に示すように、ヨウ素と分子錯体を形成する非水系溶媒であるDMSOやTMSOを用いた実施例3,4においても、大きな電気容量を示し、炭酸リチウムの分解が確認された。また、放電から充電した実施例4においても、炭酸リチウムの分解が確認された。
[実施例5]
カーボンブラック(東海カーボン製TB5500,85質量%)とPTFE(ダイキン工業製F−104,15質量%)からなる電極合材10mgを白金メッシュに圧着したものを対極とした。1mol/LのLiTFSA(関東化学製)−リン酸トリメチル(TMP,キシダ化学製)15mLにヨウ素(アルドリッチ製)6.3mgを溶解したものを電解液とした。更に、電気化学装置の底に炭酸リチウム78mgを入れ、電解液を懸濁させた(図4)。それ以外は実施例1と同様の構成とした電気化学装置を実施例5とした。45℃、電流0.05mAで4.5Vまで電圧を印加(充電)した。
[比較例3]
炭酸リチウムを含まない電解液を用いた以外、実施例5と同様の構成とした電気化学装置を比較例3とした。
図10は、実施例5、比較例3の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図である。実施例5では、含まれる炭酸リチウムの量から計算される理論的な電気容量は、56.6mAhである。また、ヨウ素の分解に要する電気容量は、1.33mAhである。図10に示すように、炭酸リチウムが電極になく電解液に混濁された実施例5においても、比較例3に比して大きな電気容量を示し、炭酸リチウムの分解が確認された。なお、ヨウ素の酸化還元により炭酸リチウムが分解されることから、炭酸リチウムが対極から離れていることが、比較的早い電圧上昇に繋がっているのではないかと推察された。
[実施例6]
カーボンブラック(東海カーボン製TB5500,85質量%)とPTFE(ダイキン工業製F−104,15質量%)からなる電極合材4mgを白金メッシュに圧着したものを対極とした。1mol/LのLiTFSA(関東化学製)−リン酸トリメチル(TMP,キシダ化学製)15mLにヨウ素(アルドリッチ製)11.2mgを溶解したものを電解液とした。更に、電解液に炭酸リチウム89.2mgを懸濁させた。それ以外は実施例1と同様の構成とした電気化学装置を実施例6とした。60℃、電流0.04mAで4.5Vまで電圧を印加(充電)した。
[比較例4]
炭酸リチウムを含まない電解液を用いた以外、実施例6と同様の構成とした電気化学装置を比較例4とした。
図11は、実施例6、比較例4の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図である。実施例6では、含まれる炭酸リチウムの量から計算される理論的な電気容量は、56.6mAhである。図11に示すように、炭酸リチウムが電極になく電解液に混濁された実施例6においても、比較例4に比して大きな電気容量を示し、炭酸リチウムの分解が確認された。また、分解温度を60℃に高めると、炭酸リチウムの分解がより向上することがわかった。
[実施例7]
カーボンブラック(東海カーボン製TB5500,85質量%)とPTFE(ダイキン工業製F−104,15質量%)からなる電極合材4mgを白金メッシュに圧着したものを対極とした。1mol/LのLiTFSA(関東化学製)−ジメチルスルホキシド(アルドリッチ製)15mLにヨウ素(アルドリッチ製)18.1mgを溶解したものを電解液とした。更に、電解液に炭酸リチウム49.6mgを懸濁させた。それ以外は実施例1と同様の構成とした電気化学装置を実施例7とした。60℃、電流0.08mAで4.15Vまで電圧を印加(充電)した。
図12は、実施例7の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図である。図12に示すように、実施例7においても、大きな電気容量を示し、炭酸リチウムの分解が確認された。また、分解温度を60℃に高めると、炭酸リチウムの分解がより向上することがわかった。
[実施例8]
カーボンペーパー(東レ製TGP−H−060)を幅1cm、長さ4cmの短冊に切り出し対極とした。リン酸トリメチル(TMP,キシダ化学製)15mLにヨウ素(アルドリッチ製)19.1mgを溶解したものを電解液とした。更に、電解液に炭酸リチウム61.6mgを懸濁させた。それ以外は実施例1と同様の構成とした電気化学装置を実施例8とした。60℃、電流0.05mAで4.5Vまで電圧を印加(充電)した。
図13は、実施例8の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図である。図13に示すように、対極をカーボンペーパーとした実施例8においても、大きな電気容量を示し、炭酸リチウムの分解が確認された。
[実施例9]
カーボンペーパー(東レ製TGP−H−060)を幅1cm、長さ4cmの短冊に切り出し対極とした。テトラメチレンスルホキシド(TMSO,アルドリッチ製)10mLとリン酸トリプロピル(TPrP,アルドリッチ製)15mLにヨウ素(アルドリッチ製)21.8mgを溶解したものを電解液とした。更に、電解液に炭酸リチウム45.7mgを懸濁させた。それ以外は実施例1と同様の構成とした電気化学装置を実施例9とした。60℃、電流0.05mAで4.1Vまで電圧を印加(充電)した。
[実施例10]
カーボンペーパー(東レ製TGP−H−060)を幅1cm、長さ4cmの短冊に切り出し対極とした。リン酸トリブチル(TBP,アルドリッチ製)15mLにヨウ素(アルドリッチ製)23.8mgを溶解したものを電解液とした。更に、電解液に炭酸リチウム29.2mgを懸濁させた。それ以外は実施例1と同様の構成とした電気化学装置を実施例10とした。60℃、電流0.05mAで4.5Vまで電圧を印加(充電)した。
図14は、実施例9の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図である。図15は、実施例10の炭酸Liの分解での電気容量と電圧との関係図である。図14,15に示すように、非水系溶媒を変更した実施例9、10においても、大きな電気容量を示し、炭酸リチウムの分解が確認された。
表1に電解液の組成、炭酸リチウムの含有構成、分解温度、炭酸リチウムの分解の理論容量、分解最終電圧に達したときの容量をまとめて示した。以上の実験結果より、ヨウ素と分子錯体を形成する非水系溶媒を用い、室温でより好ましくは40℃、更に好ましくは60℃で電圧を印加すると、炭酸リチウムを分解し、金属リチウムを製造することができることがわかった。
なお、本開示は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
本明細書で開示する金属リチウムの製造装置、炭酸リチウムの分解装置、金属リチウムの製造方法及び炭酸リチウムの分解方法は、リチウム再生、金属リチウムを製造する技術分野に利用可能である。
20,20B,20C 金属Li製造装置、21 収容部、21a 析出極側収容部、21b 対極側収容部、22 析出極、23 金属Li、24 対極、25 炭酸リチウム、26,27 イオン伝導媒体、28 分離材、29 加熱部。

Claims (17)

  1. 炭酸リチウムから金属リチウムを析出させる金属リチウムの製造装置であって、
    金属リチウムが析出する析出極と、
    前記析出極に対向する対極と、
    ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を含み前記析出極と前記対極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体を収容する収容部と、を備え、
    前記対極及び前記対極が接触している前記イオン伝導媒体のうち少なくとも一方には炭酸リチウムを含み、
    少なくとも前記対極が接触している前記イオン伝導媒体にはヨウ素が含まれており、
    前記析出極と前記対極との間に電圧を印加することにより前記対極側で前記炭酸リチウムを分解させ、前記析出極上に金属リチウムを析出させる、金属リチウムの製造装置。
  2. 前記イオン伝導媒体は、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド及びスルホランのうち1以上の前記非水系溶媒を含む、請求項1に記載の金属リチウムの製造装置。
  3. 前記析出極は、金属リチウム電極である、請求項1又は2に記載の金属リチウムの製造装置。
  4. 前記対極は、炭素を含む炭素電極である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属リチウムの製造装置。
  5. 少なくとも前記対極が接触している前記イオン伝導媒体にはヨウ素が0.5g/L以上5g/L以下の範囲で含まれている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属リチウムの製造装置。
  6. 前記対極が接触している前記イオン伝導媒体は、少なくとも炭酸リチウムを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属リチウムの製造装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属リチウムの製造装置であって、
    リチウムイオン伝導性を有し前記析出極と前記対極との間に配設され、前記収容部を析出極側収容部と対極側収容部とに分離する分離材、を備え、
    前記対極側収容部に収容された前記イオン伝導媒体にはヨウ素が含まれている、金属リチウムの製造装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属リチウムの製造装置であって、
    前記イオン伝導媒体を100℃以下の範囲で加熱する加熱部、を備えた金属リチウムの製造装置。
  9. 炭酸リチウムを分解させる炭酸リチウムの分解装置であって、
    炭酸リチウムの分解を担う分解極と、
    前記分解極に対向する対極と、
    ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を含み前記分解極と前記対極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体を収容する収容部と、を備え、
    前記分解極及び前記分解極が接触している前記イオン伝導媒体のうち少なくとも一方には炭酸リチウムを含み、
    少なくとも前記分解極が接触している前記イオン伝導媒体にはヨウ素が含まれており、
    前記分解極と前記対極との間に電圧を印加することにより前記分解極側で前記炭酸リチウムを分解させる、炭酸リチウムの分解装置。
  10. 金属リチウムが析出する析出極と、前記析出極に対向する対極と、ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を含み前記析出極と前記対極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を利用し、炭酸リチウムから金属リチウムを析出させる金属リチウムの製造方法であって、
    前記対極及び前記対極が接触している前記イオン伝導媒体のうち少なくとも一方には炭酸リチウムを含み、少なくとも前記対極が接触している前記イオン伝導媒体にはヨウ素が含まれており、
    前記析出極と前記対極との間に電圧を印加することにより前記対極側で前記炭酸リチウムを分解させ、前記析出極上に金属リチウムを析出させる電圧印加工程、
    を含む金属リチウムの製造方法。
  11. 前記電圧印加工程では、リチウム基準電位で3.8V以上の電圧を印加する、請求項10に記載の金属リチウムの製造方法。
  12. 前記電圧印加工程では、リチウム基準電位で4.5V以下の電圧を印加する、請求項11に記載の金属リチウムの製造方法。
  13. 前記電圧印加工程では、前記イオン伝導媒体を25℃以上100℃以下の範囲で加熱して電圧を印加する、請求項10〜12のいずれか1項に記載の金属リチウムの製造方法。
  14. 前記電圧印加工程では、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド及びスルホランのうち1以上の前記非水系溶媒を含む前記イオン伝導媒体を用いる、請求項10〜13のいずれか1項に記載の金属リチウムの製造方法。
  15. 前記電圧印加工程では、少なくとも前記対極が接触している前記イオン伝導媒体にヨウ素が0.5g/L以上5g/L以下の範囲で含まれている該イオン伝導媒体を用いる、請求項10〜14のいずれか1項に記載の金属リチウムの製造方法。
  16. 前記電圧印加工程では、前記対極が接触している前記イオン伝導媒体に少なくとも炭酸リチウムを含む該イオン伝導媒体を用いる、請求項10〜15のいずれか1項に記載の金属リチウムの製造方法。
  17. 炭酸リチウムの分解を担う分解極と、前記分解極に対向する対極と、ハロゲンと分子錯体を形成する非水系溶媒を含み前記分解極と前記対極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を利用し、炭酸リチウムを分解させる炭酸リチウムの分解方法であって、
    前記分解極及び前記分解極が接触している前記イオン伝導媒体のうち少なくとも一方には炭酸リチウムを含み、少なくとも前記分解極が接触している前記イオン伝導媒体にはヨウ素が含まれており、
    前記分解極と前記対極との間に電圧を印加することにより前記分解極側で前記炭酸リチウムを分解させる電圧印加工程、
    を含む炭酸リチウムの分解方法。
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