JP2018178073A - プリプレグ、その製造方法および繊維強化成形品 - Google Patents

プリプレグ、その製造方法および繊維強化成形品 Download PDF

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細田 朋也
Tomoya Hosoda
朋也 細田
正登志 阿部
Masatoshi Abe
正登志 阿部
佐藤 崇
Takashi Sato
崇 佐藤
紀生 尾澤
Akio Ozawa
紀生 尾澤
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Abstract

【課題】耐衝撃性、耐薬品性、接着性、及び保存安定性に優れたプリプレグを提供する。【解決手段】強化繊維とマトリックス樹脂とを有し、マトリックス樹脂が、樹脂成分として融点が100℃以上325℃以下であり、溶融成形可能なフッ素樹脂のみ、またはフッ素樹脂と、フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂と、を含み、フッ素樹脂と熱可塑性樹脂との合計100質量%のうち、フッ素樹脂の割合が70〜100質量%であり、熱可塑性樹脂の割合が0〜30質量%である、プリプレグを選択する。【選択図】なし

Description

本発明は、プリプレグおよびその製造方法、ならびにプリプレグを用いた繊維強化成形品に関する。
繊維強化成形品は、輸送機器(車両(自動車、鉄道車両等)、航空機等)、建築部材、電子機器等の幅広い用途に用いられるようになっている。繊維強化成形品のマトリックス樹脂としては、従来から、熱硬化性樹脂の硬化物がよく用いられている。
しかし、マトリックス樹脂として熱硬化性樹脂の硬化物を用いた繊維強化成形品には、下記の問題がある。
(1)熱硬化性樹脂の硬化物が脆いため、繊維強化成形品の耐衝撃性が不充分である。
(2)繊維強化成形品の前駆体であるプリプレグにおいて、硬化前の熱硬化性樹脂が、プリプレグの保存中に硬化してしまうため、プリプレグの寿命が短い。
そこで、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を用いたプリプレグおよび繊維強化成形品が提案されている(たとえば、特許文献1、2)。
特表2013−531717号公報 特表2012−501407号公報
しかし、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を用いた従来の繊維強化成形品は、耐薬品性が不充分である。
なお、特許文献2には、繊維強化成形品がポリテトラフルオロエチレンの粒子を含んでいてもよいことが記載されている。ポリテトラフルオロエチレンは、耐薬品性に優れているものの、他の材料との親和性が低い。そのため、ポリテトラフルオロエチレンの粒子を含むプリプレグおよび他の部材(他のプリプレグ、金属部材等)を用いて形成された繊維強化成形品(積層体)は、部材間(層間)での接着性が不充分である。
本発明は、耐衝撃性、耐薬品性、接着性、及び保存安定性に優れたプリプレグ、及びその製造方法を提供する。
また、本発明は、耐衝撃性、耐薬品性および部材間(層間)での接着性に優れた繊維強化成形品を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
[1]強化繊維と、マトリックス樹脂とを有し、
前記マトリックス樹脂が、樹脂成分として、融点が100〜325℃であり、溶融成形可能なフッ素樹脂のみ、または前記フッ素樹脂と、前記フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂と、を含み、
前記フッ素樹脂と前記熱可塑性樹脂との合計100質量%のうち、前記フッ素樹脂の割合が70〜100質量%であり、前記熱可塑性樹脂の割合が0〜30質量%である、プリプレグ。
[2]前記フッ素樹脂の融点が100〜280℃である、[1]に記載のプリプレグ。
[3]前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレンに基づくモノマー単位、およびエチレンに基づくモノマー単位を有する、[2]に記載のプリプレグ。
[4] 前記強化繊維が、開繊された強化繊維である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のプリプレグ。
[5] 前記開繊された強化繊維が、一方向に引きそろえられた強化繊維束である、[4]に記載のプリプレグ。
[6]融点が100〜325℃であり、溶融成形可能なフッ素樹脂を含む樹脂材料(α)からなる粉体(X)と、前記フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂を含む樹脂材料(β)からなる粉体(Y)とを、前記フッ素樹脂と前記熱可塑性樹脂との合計100質量%のうち、前記フッ素樹脂の割合が70質量%以上100質量%未満となり、前記熱可塑性樹脂の割合が0質量%超30質量%以下となるように混合してなる粉体混合物を、
強化繊維シートの存在下に溶融させ、前記樹脂材料(α)および前記樹脂材料(β)を強化繊維シートに含浸させる、プリプレグの製造方法。
[7]前記粉体(X)の平均粒子径が0.02〜200μmであり、前記粉体(Y)の平均粒子径が0.02〜200μmである、[6]に記載のプリプレグの製造方法。
[8]樹脂成分として、融点が100〜325℃であり、溶融成形可能なフッ素樹脂のみ、または前記フッ素樹脂と、前記フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂と、を含み、前記フッ素樹脂と前記熱可塑性樹脂との合計100質量%のうち、前記フッ素樹脂の割合が70〜100質量%であり、前記熱可塑性樹脂の割合が0〜30質量%である樹脂材料(γ)からなる粉体(Z)を、
強化繊維シートの存在下に溶融させ、前記樹脂材料(γ)を強化繊維シートに含浸させる、プリプレグの製造方法。
[9]前記粉体(Z)の平均粒子径が、0.02〜200μmであり、前記フッ素樹脂と前記熱可塑性樹脂との合計100質量%のうち、前記フッ素樹脂の割合が70質量%以上100質量%以下であり、前記熱可塑性樹脂の割合が0質量%以上30質量%以下であり、
前記強化繊維シートに含浸される前の前記樹脂材料(γ)における前記熱可塑性樹脂を含む島部の平均径が、0.01〜8μm、かつ前記粉体(Z)の平均粒子径未満である、[8]に記載のプリプレグの製造方法。
[10]前記フッ素樹脂の融点が100〜280℃である、[6]〜[9]のいずれか一項に記載のプリプレグの製造方法。
[11] 前記強化繊維シートが、開繊された強化繊維シートである、[6]〜[10]のいずれか一項に記載のプリプレグの製造方法。
[12] 前記開繊された強化繊維シートが、一方向に引きそろえられた強化繊維束からなる強化繊維シートである、[11]に記載のプリプレグの製造方法。
[13]前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレンに基づくモノマー単位、およびエチレンに基づくモノマー単位を有する、[6]〜[12]のいずれか一項に記載のプリプレグの製造方法。
[14][1]〜[5]のいずれか一項に記載のプリプレグを1つ以上含む、繊維強化成形品。
本発明のプリプレグは、耐衝撃性、耐薬品性、接着性、及び保存安定性に優れる。
本発明のプリプレグの製造方法によれば、上述したプリプレグを製造できる。
本発明の繊維強化成形品は、耐衝撃性、耐薬品性および部材間(層間)での接着性に優れる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「融点」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した融解ピークの最大値に対応する温度である。
「溶融成形可能」であるとは、溶融流動性を示すことを意味する。
「溶融流動性を示す」とは、荷重49Nの条件下、樹脂の融点よりも20℃以上高い温度において、溶融流れ速度が0.1〜1000g/10分となる温度が存在することを意味する。
「溶融流れ速度」は、JIS K 7210:1999(ISO 1133:1997)に規定されるメルトマスフローレート(MFR)である。
「単位」とは、単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する部分(重合単位)を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、重合体を処理することによって該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
「島部の平均径」は、樹脂材料またはマトリックス樹脂の電子顕微鏡像における5個の島部について面積を測定し、該面積から円換算直径を算出し、これらを平均したものである。
「粉体の平均粒子径」は、レーザー回折・散乱法によって求められる体積基準累積50%径(D50)である。すなわち、レーザー回折・散乱法により粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
<プリプレグ>
本発明のプリプレグは、強化繊維と、マトリックス樹脂とを有する。具体的には、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸したシート状の材料であり、マトリックス樹脂に強化繊維が埋め込まれたシート状の材料ともいう。なお、完全に含浸したものだけでなく、マトリックス樹脂粉体を強化繊維表面に付着させ溶融させて強化繊維に半含浸させたセミプレグと呼ばれるものも含む。
(強化繊維)
強化繊維としては、繊維強化成形品の機械的特性の点から、長さが10mm以上の連続した長繊維が好ましい。強化繊維は、強化繊維シートの長さ方向の全長または幅方向の全幅にわたり連続している必要はなく、途中で分断されていてもよい。
強化繊維の加工形態としては、繊維強化成形品の機械的特性の点から、シート状に加工されたもの(以下、強化繊維シートと記す。)が好ましい。
強化繊維シートとしては、複数の強化繊維からなる強化繊維束、該強化繊維束を織成してなるクロス、複数の強化繊維が一方向に引き揃えられた一方向性強化繊維束、該一方向性強化繊維束から構成された一方向性クロス、これらを組み合わせたもの、複数の強化繊維束を積み重ねたもの、ノンクリンプファブリック等が挙げられる。
クロスを構成する経糸、緯糸は直交していてもよく、直交していなくても良い。
強化繊維としては、無機繊維、金属繊維、有機繊維等が挙げられる。
無機繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、シリコンカーバイト繊維、シリコンナイトライド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維等が挙げられる。
金属繊維としては、アルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維等が挙げられる。
有機繊維としては、芳香族ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維等が挙げられる。
強化繊維は、表面処理が施されているものであってもよい。強化繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。強化繊維としては、比重が小さく、高強度、高弾性率である点から、炭素繊維が好ましい。
炭素繊維としては、例えば、WO2013/129169号公報に記載されたものが挙げられ、特に段落0018〜0026に記載されたものが好ましい。また、炭素繊維の製法としては、段落0028〜0033に記載されたものが挙げられる。
強化繊維は、開繊されたものであることが好ましい。「開繊」とは、複数の繊維束を扁平に広げる処理の事であり、開繊された強化繊維を用いることで、樹脂の含浸が向上し、より機械物性に優れた繊維強化成形品を得ることができる。開繊の方法としては、特許第2983531号公報、特許第3049225号公報や、特許第3064019号公報等に開示されている。
開繊された強化繊維シートとしては、開繊された繊維束を織成してなるクロス、複数の開繊された強化繊維が一方向に引きそろえられた一方向性強化繊維束、該一方向性強化繊維束から構成された一方向性シート、これらを組み合わせたもの、複数の開繊された強化繊維束を積み重ねたもの、ノンクリンプファブリック等が挙げられる。
クロスを構成する経糸、緯糸は直交していてもよく、直交していなくても良い。
(マトリックス樹脂)
マトリックス樹脂は、樹脂成分として、フッ素樹脂(A)のみを含む、またはフッ素樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)(ただし、フッ素樹脂(A)を除く)とを含む。マトリックス樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲において、フッ素樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)以外の他の成分を含んでいてもよい。
海島構造:
マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂(B)を含む場合、マトリックス樹脂は、繊維強化成形品における部材間(層間)での接着性の点、および繊維強化成形品の耐薬品性の点から、フッ素樹脂(A)を含む海部と、熱可塑性樹脂(B)を含む島部とからなる海島構造を有することが好ましい。
島部の平均径は、0.01μm以上200μm以下が好ましく、0.01μm以上100μm以下がより好ましい。島部の平均径が前記範囲の下限値以上であれば、繊維強化成形品は耐衝撃性に著しく優れる。島部の平均径が前記範囲の上限値以下であれば、繊維強化成形品における部材間(層間)での接着性、および繊維強化成形品の耐薬品性が著しく優れる。
フッ素樹脂(A):
フッ素樹脂(A)は、溶融成形可能なフッ素樹脂である。フッ素原子を有することによって、繊維強化成形品の耐薬品性に優れる。
フッ素樹脂(A)の融点は、100℃以上325℃以下であり、100℃以上280℃以下が好ましく、120℃以上220℃以下がより好ましい。フッ素樹脂(A)の融点が前記範囲の下限値以上であれば、繊維強化成形品の耐熱性に優れる。フッ素樹脂(A)の融点が前記範囲の上限値以下であれば、繊維強化成形品を製造する際に汎用的な装置を使用でき、かつ繊維強化成形品における部材間(層間)での接着性に優れる。
融点が比較的低いフッ素樹脂(A)を用いた場合、プリプレグを成形する際の温度を低くしても、繊維強化成形品における部材間(層間)での接着性に優れる。したがって、該場合においては、フッ素樹脂(A)の融点は、120℃以上220℃以下が好ましく、120℃以上200℃以下がより好ましい。
フッ素樹脂(A)の融点は、フッ素樹脂(A)を構成する単位の種類や割合、フッ素樹脂(A)の分子量等によって調整できる。たとえば、後述する単位(u1)の割合が多くなるほど、融点が上がる傾向がある。
溶融成形が可能なフッ素樹脂(A)としては、公知の溶融成形が可能なフッ素樹脂(テトラフルオロエチレン/フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体等)が挙げられる。
中でも、適度に硬いことからテトラフルオロエチレンに由来するモノマー単位(以下、TFE単位とも記す)とエチレンに由来するモノマー単位(以下、E単位とも記す)を有する共重合体が好ましい。
フッ素樹脂(A)としては、荷重49Nの条件下、フッ素樹脂(A)の融点よりも20℃以上高い温度において、溶融流れ速度が0.1〜1000g/10分となる温度が存在するものを用いる。溶融流れ速度は、好ましくは0.5〜100g/10分、より好ましくは1〜30g/10分、さらに好ましくは5〜20g/10分、である。溶融流れ速度が前記範囲の下限値以上であれば、フッ素樹脂(A)の成形性に優れる。溶融流れ速度が前記範囲の上限値以下であれば、繊維強化成形品の機械的特性に優れる。
前記TFE単位およびE単位を有する共重合体は、さらに他の単量体に由来するモノマー単位(以下、他の単位とも記す)を有していてもよい。他の単量体としては下記単量体(1)〜(6)が挙げられる。他の単位は1種でもよく、2種以上でもよい。
単量体(1):CH=CX(CFY(ただし、XおよびYはそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子であり、nは2〜8の整数である)で表される化合物。具体例は後述する。
単量体(2):フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン等の不飽和基に水素原子を有するフルオロオレフィン。
単量体(3):ヘキサフルオロプロピレン等の不飽和基に水素原子を有しないフルオロオレフィン(ただし、TFEを除く)。
単量体(4):ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ペルフルオロ(ブチルビニルエーテル)等のペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)。
単量体(5):CF=CFOCFCF=CF、CF=CFO(CFCF=CF等の不飽和結合を2個有し、かつ環化重合しうるペルフルオロ(ビニルアルケニルエーテル)類。
単量体(6):ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソール、ペルフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)等の脂肪族環構造を有する含フッ素モノマー類。
前記共重合体において、E単位とTFE単位との合計に対して、E単位の割合は35〜55モル%が好ましく、40〜50モル%がより好ましい。TFE単位の割合は45〜65モル%が好ましく、50〜60モル%がより好ましい。
前記共重合体における他の単位の含有割合は、共重合体の全単位に対して、0.5〜4.0モル%が好ましく、1.0〜3.5モル%がより好ましい。
本発明のフッ素樹脂は、必要に応じてカルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基等の官能基を有していてもよい。官能基を有するフッ素樹脂やその製造方法は、WO2015/182702やWO2016/017801に記載された内容を参照できる。本発明のフッ素樹脂は官能基を有しないものが好ましい。
フッ素樹脂(A)の製造方法:
フッ素樹脂(A)は、常法により製造できる。単量体の重合によってフッ素樹脂(A)を製造する場合、重合方法としては、ラジカル重合開始剤を用いる重合方法が好ましい。
重合方法としては、塊状重合法、有機溶媒(フッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等)を用いる溶液重合法、水性媒体と必要に応じて適当な有機溶媒とを用いる懸濁重合法、水性媒体と乳化剤とを用いる乳化重合法が挙げられ、溶液重合法が好ましい。
熱可塑性樹脂(B):
熱可塑性樹脂(B)としては、結晶性樹脂、非晶性樹脂、熱可塑性エラストマー、その他が挙げられる(ただし、フッ素樹脂(A)を除く)。
結晶性樹脂としては、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリエステル等)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリブチレン等)、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリアリーレンスルフィド樹脂(ポリフェニレンスルフィド等)、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルニトリル、フッ素樹脂(A)以外のフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン等)、液晶ポリマー等が挙げられる。
非晶性樹脂としては、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂等)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、未変性または変性されたポリフェニレンエーテル、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート等が挙げられる。
熱可塑エラストマーとしては、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、ポリイソプレン系エラストマー、フッ素系エラストマー(ただし、フッ素樹脂(A)を除く)およびアクリロニトリル系エラストマー等が挙げられる。
その他としては、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂(B)としては、プリプレグの耐熱性向上の点から、ポリアミド、ポリアリーレンスルフィド樹脂(ポリフェニレンスルフィド等)、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルニトリル、変性されたポリフェニレンエーテル、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート等が好ましい。
他の成分:
マトリックス樹脂に含まれる他の成分としては、無機フィラー、有機フィラー、有機顔料、金属せっけん、界面活性剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、シランカップリング剤、有機化合物(たとえば有機モノマー、重合度50以下の有機オリゴマー等)等が挙げられ、無機フィラーが好ましい。
各成分の割合:
フッ素樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100質量%のうち、フッ素樹脂(A)の割合は、70〜100質量%であり、70質量%以上100質量%以下が好ましく、80質量%以上100質量%以下がより好ましい。フッ素樹脂(A)の割合が前記範囲の下限値以上であれば、繊維強化成形品における部材間(層間)での接着性、および繊維強化成形品の耐薬品性に優れる。熱可塑性樹脂(B)を含み、フッ素樹脂(A)の割合が100質量%未満であれば、高価なフッ素樹脂(A)を減らすことができ、プリプレグおよび繊維強化成形品のコストが低下する。
フッ素樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100質量%のうち、熱可塑性樹脂(B)の割合は、0〜30質量%であり、0質量%以上30質量%以下が好ましく、0質量%以上20質量%以下がより好ましい。熱可塑性樹脂(B)の割合が前記範囲の上限値以下であれば、フッ素樹脂(A)によって発揮される効果を損なうことがない。
マトリックス樹脂100質量%のうち、フッ素樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計の割合は、80〜100質量%が好ましく、85〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましい。フッ素樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計の割合が前記範囲内であれば、本発明の効果が損なわれにくい。
マトリックス樹脂が他の成分を含む場合は、マトリックス樹脂100質量%のうち、他の成分の合計の割合は、0質量%超20質量%以下が好ましく、0質量%超15質量%以下がより好ましく、0質量%超10質量%以下がさらに好ましい。他の成分は、含まれないことも好ましい。他の成分の合計の割合が前記範囲内であれば、本発明の効果が損なわれにくい。
以上説明した本発明のプリプレグにあっては、マトリックス樹脂が、樹脂成分として、融点が325℃以下であり、接着性の官能基(f)を有するフッ素樹脂(A)のみを含む、またはフッ素樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とを含み、フッ素樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100質量%のうち、フッ素樹脂(A)の割合が70質量%以上100質量%未満であり、熱可塑性樹脂(B)の割合が0質量%超30質量%以下であるため、耐薬品性および部材間(層間)での接着性に優れた繊維強化成形品を得ることができる。
また、本発明のプリプレグにあっては、マトリックス樹脂として溶融成形可能なフッ素樹脂(A)、および必要に応じて熱可塑性樹脂(B)を含む熱可塑性プリプレグであるため、繊維強化成形品に用いた際、熱硬化性プリプレグに比べ、耐衝撃性に優れた繊維強化成形品を得ることができ、また、保存安定性に優れる。
<プリプレグの製造方法>
本発明のプリプレグは、たとえば、少なくともフッ素樹脂(A)を強化繊維シートに含浸させることによって製造できる。
本発明のプリプレグの製造方法の態様としては、たとえば、下記の態様が挙げられる。
方法(I):フッ素樹脂(A)を含む樹脂材料(α)からなる粉体(X)と、熱可塑性樹脂(B)を含む樹脂材料(β)からなる粉体(Y)とを、特定の割合で混合してなる粉体混合物を、強化繊維シートの存在下に溶融させ、樹脂材料(α)および樹脂材料(β)を強化繊維シートに含浸させる方法。
方法(II):フッ素樹脂(A)と必要に応じて熱可塑性樹脂(B)とを特定の割合で含む樹脂材料(γ)からなる粉体(Z)を、強化繊維シートの存在下に溶融させ、樹脂材料(γ)を強化繊維シートに含浸させる方法。
(方法(I))
方法(I)の具体例としては、たとえば、強化繊維シートと粉体混合物層とを交互に積み重ねた、n層(ただし、nは1以上の整数である。)の強化繊維シートと、(n+1)層の粉体混合物層とからなる積重物を、熱プレス機で熱プレスすることによって、粉体混合物を溶融させ、樹脂材料(α)および樹脂材料(β)を強化繊維シートに含浸させる方法が挙げられる。
熱プレスの際の温度は、フッ素樹脂(A)の融点以上、かつ熱可塑性樹脂(B)の融点以上であり、フッ素樹脂(A)の融点および熱可塑性樹脂(B)の融点のうち高い方の融点+5℃以上該融点+100℃以下が好ましい。
熱プレスの際の圧力は、0.1MPa以上50MPa以下が好ましく、0.5MPa以上30MPa以下がより好ましい。
熱プレスの際の時間は、3秒以上180分以下が好ましく、5秒以上60分以下がより好ましい。
粉体混合物:
粉体混合物は、粉体(X)と粉体(Y)との混合物である。粉体混合物は、本発明の効果を損なわない範囲において粉体(X)および粉体(Y)以外の他の粉体を含んでいてもよい。
粉体混合物は、粉体(X)と粉体(Y)とを、フッ素樹脂(A)の割合および熱可塑性樹脂(B)の割合が、上述したマトリックス樹脂における好ましい割合となるように混合することによって調製される。
粉体(X):
粉体(X)は、フッ素樹脂(A)を含む樹脂材料(α)からなる。樹脂材料(α)は、本発明の効果を損なわない範囲においてフッ素樹脂(A)以外の他の成分を含んでいてもよい。
樹脂材料(α)100質量%のうち、フッ素樹脂(A)の割合は、80〜100質量%が好ましく、85〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましい。フッ素樹脂(A)の割合が前記範囲内であれば、本発明の効果が損なわれにくい。
樹脂材料(α)が他の成分を含有する場合は、樹脂材料(α)100質量%のうち、他の成分の合計の割合は、0質量%超20質量%以下が好ましく、0質量%超15質量%以下がより好ましく、0質量%超10質量%以下がさらに好ましい。樹脂材料(α)は他の成分を含有しないことも好ましい。他の成分の合計の割合が前記範囲内であれば、本発明の効果が損なわれにくい。
粉体(X)の平均粒子径は、0.02〜200μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。該平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、粉体の作業取扱性に優れる。該平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂材料(α)を強化繊維シートに含浸させやすい。
粉体(X)は、たとえば、下記の手順にて製造できる。
フッ素樹脂(A)および必要に応じて他の成分を溶融混練する。樹脂材料(α)の溶融物をストランド状に押し出す。ストランドをペレタイザで切断してペレット化する。ペレットを機械的に粉砕する。粉砕物を分級し、粉体(X)を得る。
ペレットを機械的に粉砕できる装置としては、ハンマーミル、ピンミル、ディスクミル、ロータリーミル、ジェットミル、流動床エアジェットミル、ジョークラッシャ、ジャイレートリークラッシャ、ケージミル、パンクラッシャ、ボールミル、ペブルミル、ロッドミル、チューブミル、ディスクアトリションミル、アトライター、ディスクリファイナ等が挙げられる。
ペレットの粉砕は、粉砕物の平均粒子径を小さくしやすい点から、ペレットを−40℃以下の温度に冷却して行うことが好ましい。冷却温度は、−100℃以下がより好ましく、−160℃以下がさらに好ましい。冷却方法としては、ドライアイスまたは液体窒素を用いる方法が挙げられる。
粉体(Y):
粉体(Y)は、熱可塑性樹脂(B)を含む樹脂材料(β)からなる。樹脂材料(β)は、本発明の効果を損なわない範囲において熱可塑性樹脂(B)以外の他の成分を含んでいてもよい。
樹脂材料(β)100質量%のうち、熱可塑性樹脂(B)の割合は、80〜100質量%が好ましく、85〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましい。該割合が前記範囲内であれば、本発明の効果が損なわれにくい。
樹脂材料(β)が他の成分を含有する場合は、樹脂材料(β)100質量%のうち、他の成分の合計の割合は、0質量%超20質量%以下が好ましく、0質量%超15質量%以下がより好ましく、0質量%超10質量%以下がさらに好ましい。樹脂材料(β)は他の成分を含有しないことも好ましい。他の成分の合計の割合が前記範囲内であれば、本発明の効果が損なわれにくい。
粉体(Y)の平均粒子径は、0.02〜200μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。該平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、粉体の作業取扱性に優れる。該平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂材料(β)を強化繊維シートに含浸させやすい。また、該平均粒子径が前記範囲内であれば、マトリックス樹脂の島部の平均径を上述した好ましい範囲内とすることができる。
粉体(Y)は、たとえば、上述した粉体(X)を製造する手順と同様の手順にて製造できる。
(方法(II))
方法(II)の具体例としては、たとえば、強化繊維シートと粉体(Z)層とを交互に積み重ねた、n層(ただし、nは1以上の整数である。)の強化繊維シートと、(n+1)層の粉体(Z)層とからなる積重物を、熱プレス機で熱プレスすることによって、粉体(Z)を溶融させ、樹脂材料(γ)を強化繊維シートに含浸させる方法が挙げられる。
熱プレスの際の温度、圧力および時間は、方法(I)と同様である。
粉体(Z):
粉体(Z)は、フッ素樹脂(A)と必要に応じて熱可塑性樹脂(B)とを含む樹脂材料(γ)からなる。樹脂材料(γ)は、本発明の効果を損なわない範囲においてフッ素樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)以外の他の成分を含んでいてもよい。
樹脂材料(γ)におけるフッ素樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との合計100質量%のうちのフッ素樹脂(A)の割合および熱可塑性樹脂(B)の割合の範囲は、上述したマトリックス樹脂における特定の範囲と同様である。
樹脂材料(γ)100質量%のうちのフッ素樹脂(A)の割合、熱可塑性樹脂(B)の割合、および他の成分の合計の割合の範囲は、上述したマトリックス樹脂における特定の範囲と同様である。
強化繊維シートに含浸される前の樹脂材料(γ)における熱可塑性樹脂(B)を含む島部の平均径は、0.01〜8μm、かつ粉体(Z)の平均粒子径未満が好ましく、0.01〜5μm、かつ粉体(Z)の平均粒子径未満がより好ましい。該島部の平均径が前記範囲内であれば、マトリックス樹脂の島部の平均径を上述した好ましい範囲内とすることができる。
粉体(Z)の平均粒子径は、0.02〜200μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。該平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、粉体の作業取扱性に優れる。該平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂材料(γ)を強化繊維シートに含浸させやすい。
粉体(Z)は、たとえば、上述した粉体(X)を製造する手順と同様の手順にて製造できる。
方法(I)、方法(II)において、紛体(X)、紛体(Y)、紛体(Z)を強化繊維シートと積み重ねる際には、静電塗装による方法や、紛体(X)、紛体(Y)、紛体(Z)を含む分散液に強化繊維シートに連続もしくはバッチ式にて浸漬し、乾燥する方法を用いることができる。
前記分散液は水等の無機質溶媒や有機溶媒等からなる液状媒体を含有する。液状媒体は、相溶性の2種以上の液状媒体の混合物であってもよい。例えば、水溶性有機溶媒と水との混合物であってもよく、2種以上の有機溶媒の混合物であってもよい。
液状媒体の沸点は270℃以下が好ましく、70〜260℃の沸点を有する液状媒体が好ましい。
無機質溶媒としては水が好ましい。
有機溶媒としては、公知の液状媒体を使用でき、例えば、エタノール等のアルコール類、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素化合物、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル等のグリコールエーテル類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類等が挙げられる。
<繊維強化成形品>
本発明の繊維強化成形品は、本発明のプリプレグを少なくとも1つ以上用いて形成されたものである。
本発明の繊維強化成形品は、本発明のプリプレグのみを用いて形成されたものであってもよく;本発明のプリプレグと、本発明のプリプレグ以外の他のプリプレグとを用いて形成された積層体であってもよく;本発明のプリプレグおよび必要に応じて他のプリプレグと、プリプレグ以外の他の部材とを用いて形成された積層体であってもよい。
他のプリプレグとしては、マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂(B)を含み、フッ素樹脂(A)を含まないプリプレグ等が挙げられる。
プリプレグ以外の他の部材としては、金属部材;熱可塑性樹脂(B)を含む樹脂フィルム;フッ素樹脂(A)を含む樹脂フィルム等が挙げられる。
金属部材としては、金属箔、各種金属製部品等が挙げられる。金属としては、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、黄銅、ニッケル、亜鉛等が挙げられる。金属部材の形状は、特に限定されず、得ようとする繊維強化成形品に合わせて適宜選択できる。
(繊維強化成形品の製造方法)
本発明の繊維強化成形品は、たとえば、本発明のプリプレグの1つのみ、本発明のプリプレグの2つ以上を積み重ねた積重物、または本発明のプリプレグの1つ以上と他のプリプレグおよびプリプレグ以外の他の部材のいずれか一方または両方の1つ以上とを積み重ねた積重物を、加熱しながら成形することによって得ることができる。
成形方法としては、金型を用いたプレス成形法等が挙げられる。
(用途)
繊維強化成形品の用途としては、たとえば、下記のものが挙げられる。
電気・電子機器(パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、ファクシミリ、コンパクトディスク、ポータブルMD、携帯用ラジオカセット、PDA(電子手帳等の携帯情報端末)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品等)の筐体、内部部材(トレイ、シャーシ等)、内部部材のケース、機構部品等。建材(パネル)等。
自動車、二輪車関連部品、部材および外板:モーター部品、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、サスペンション部品、各種バルブ(排気ガスバルブ等)、燃料関係、排気系または吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、各種アーム、各種フレーム、各種ヒンジ、各種軸受、燃料ポンプ、ガソリンタンク、CNGタンク、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、バッテリートレイ、ATブラケット、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング、ハンドル、ドアビーム、プロテクター、シャーシ、フレーム、アームレスト、ホーンターミナル、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ノイズシールド、ラジエターサポート、スペアタイヤカバー、シートシェル、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、アンダーカバー、スカッフプレート、ピラートリム、プロペラシャフト、ホイール、フェンダー、フェイシャー、バンパー、バンパービーム、ボンネット、エアロパーツ、プラットフォーム、カウルルーバー、ルーフ、インストルメントパネル、スポイラー、各種モジュール等。
航空機関連部品、部材および外板:ランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブ等。
鉄道関連部品、部材及び外板:台車フレーム、骨、梁、屋根板、床等。
その他:風車の羽根、掘削治具、掘削パイプ、補強テープ、燃料電池部材、バッテリー部材等。
繊維強化成形品は、特に、航空機部材、風車の羽根、自動車外板および電子機器の筐体、トレイ、シャーシ等に好ましく用いられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されない。
(融点)
示差走査熱量計(DSC装置、セイコーインスツル社製)を用い、重合体を10℃/分の速度で昇温したときの融解ピークを記録し、極大値に対応する温度(℃)を融点とした。
(溶融流れ速度)
メルトインデクサー(テクノセブン社製)を用い、297℃、荷重49Nの条件下で直径2mm、長さ8mmのノズルから、10分間に流出する重合体の質量(g)を測定した。
(アイゾット衝撃強度)
コンターマシン(アマダ社製、V−400)を用いて積層体(繊維強化成形品)を切断し、高さ:63mm、幅:13mm、厚さ:2.8mmのサンプルを得た。サンプルの高さ32mmの位置にノッチを入れ、試験片を得た。
試験片について、アイゾッド試験装置(東洋精機社製)を用い、ハンマー容量:2.75J、ハンマー重量:13.97N、軸心から重心までの距離:10.54cm、軸心から打撃点までの距離:33.5cmの条件にてアイゾット衝撃強度を測定した。
(曲げ試験)
東洋精機社製の引張圧縮試験機「ストログラフR−2」を用いて、ロードセル定格1000kg、速度5mm/min、支点間距離:8cmで曲げ強度を測定した。
(引張試験)
TOYO BALDWIN CO.,LTD.製TENSILON(型式:UTM−5T)を用い、ロードセル定格5000kg、チャック間距離110mm、速度10mm/minで引張強度を求めた。
(フッ素樹脂(A))
フッ素樹脂(A−1):TFE/E/CH=CH(CFFのモル比は、54/46/1.4、融点:260℃、溶融流れ速度(297℃、荷重49N):12g/10分)。
フッ素樹脂(A−2):旭硝子社製Fluon ETFE Z8820X (紛体:粒径50−80μm、融点260℃)
フッ素樹脂(A−3):国際公開第2016/006644号の例5と同様に製造し、TFE/E/CH=CH(CF2F/IAHのモル比は54.7/42.8/2.1/0.4であった。融点:240℃、溶融流れ速度(297℃、荷重49N):20.6g/10分。
フッ素樹脂(A−4):
内容積が430Lの撹拌機付き重合槽を脱気し、1−ヒドロトリデカフルオロヘキサンの237.2kg、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(旭硝子社製、AK225cb、以下「AK225cb」と記す。)の49.5kg、HFPの122kg、CH=CH(CFF(以下、PFBEとも記す。)の1.31kgを仕込み、重合槽内を66℃に昇温し、TFEとエチレンの混合ガス(TFE/エチレン=89/11モル比)で、1.5MPa[gauge]まで昇圧した。重合開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレートの2質量%を含む1−ヒドロトリデカフルオロヘキサン溶液の2.5Lを仕込み、重合を開始させた。重合中、圧力が一定になるようにTFEとエチレンの単量体混合ガス(TFE/エチレン=54/46モル比)を連続的に仕込んだ。また、重合中に仕込むTFEとエチレンの合計モル数に対して1モル%に相当する量のPFBEと0.4モル%に相当する量のIAHを連続的に仕込んだ。重合開始から9.3時間後、単量体混合ガスの29kgを仕込んだ時点で、重合槽内温を25℃まで降温するとともに、常圧までパージした。
得られたスラリ状のフッ素樹脂A−4を、水の300kgを仕込んだ860Lの造粒槽に投入し、撹拌下に105℃まで昇温して溶媒を留出除去しながら造粒した。得られた造粒物を150℃で15時間乾燥して、33.2kgのフッ素樹脂A−4の乾燥造粒物を得た。
フッ素樹脂A−4における各単量体単位の割合は、TFE単位/HFP単位/PFBE単位/IAH単位/E単位=46.2/9.4/1.0/0.4/43.0モル比であり、接着性官能基の含有量は、含フッ素重合体A−4の主鎖炭素数1×10個に対し3000個であり、フッ素樹脂A−4の融点は170℃であり、溶融流れ速度(250℃、荷重21.2N)は4.4g/10分であった。
(例1)
含フッ素樹脂(A−1)をアズワン社製冷凍粉砕機TPH−01により粉砕し、平均粒子径50μmの粉体を得た。
一方、非開繊カーボンクロス(サンライト社製、平織CF3000、厚み0.25mm)を縦10cm×横10cmの寸法に切断した。かかるカーボンクロス表面に前記フッ素樹脂(A−1)の粉体を、炭素繊維含有率:Vf=50%となるように静電塗装により均一にコーティング処理を実施した。その後、熱風循環式乾燥機にて260℃、3分間の熱暴露を行い、フッ素樹脂(A−1)の粉体を含浸させたプリプレグ(a−1P)を得た。
なお、前記Vfは以下の式により算出した。
Vf(%)=(カーボンクロスの体積/(カーボンクロスの体積+コートされた粉体(Z)の体積))×100
得られたプリプレグを10枚積み重ね、積重物とした。積重物について、メルト熱プレス機(テスター産業社製)を用い、温度:280℃、圧力:10MPa、プレス時間:15分間(予熱工程:12分(加圧無し)、圧縮工程:3分)の条件でプレス成形し、厚さ2.3mm(±0.05)の積層体(繊維硬化成形品)を得た。得られた積層体は、各層間の接着性に優れるとともに、アイゾット衝撃強度も良好であった。
(例2)
フッ素樹脂(A−2)を用い、粉砕は行わず、カーボンクロスとして開繊クロス(サカイオーベックス社製SA3201I)を用い、プレス温度を300℃とした以外は、例1と同様に、厚さ2.3mmの積層体を作成し、アイゾット衝撃強度、引張強度、曲げ強度を測定した。プリプレグの積層数は25枚であった。
(例3)
フッ素樹脂(A−3)を用い、カーボンクロスとして開繊クロス(サカイオーベックス社製SA3201I)を用いた以外は、例1と同様に、厚さ2.3mmの積層体を作成し、アイゾット衝撃強度、引張強度、曲げ強度を測定した。粉砕後のフッ素樹脂(A−3)の粉砕後の平均粒径は50μm、プリプレグの積層数は25枚であった。
(例4)
フッ素樹脂(A−4)を用い、カーボンクロスとして開繊クロス(サカイオーベックス社製SA3201I)を用い、プレス温度を240℃とした以外は、例1と同様に、厚さ2.3mmの積層体を作成し、アイゾット衝撃強度、引張強度、曲げ強度を測定した。粉砕後の含フッ素樹脂(A−4)の粉砕後の平均粒径は50μmプリプレグの積層数は25枚であった。
例1〜例4の結果を表1に示す。
Figure 2018178073
本発明の繊維強化成形品は、輸送機器(車両(自動車、鉄道車両等)、航空機等)、建築、電気・電子機器等を構成する部材として有用である。

Claims (14)

  1. 強化繊維と、マトリックス樹脂とを有し、
    前記マトリックス樹脂が、樹脂成分として、融点が100℃以上325℃以下であり、溶融成形可能なフッ素樹脂のみ、または前記フッ素樹脂と、前記フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂と、を含み、
    前記フッ素樹脂と前記熱可塑性樹脂との合計100質量%のうち、前記フッ素樹脂の割合が70〜100質量%であり、前記熱可塑性樹脂の割合が0〜30質量%である、プリプレグ。
  2. 前記フッ素樹脂の融点が100〜280℃以下である、請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレンに基づくモノマー単位、およびエチレンに基づくモノマー単位を有する、請求項2に記載のプリプレグ。
  4. 前記強化繊維が、開繊された強化繊維である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリプレグ。
  5. 前記開繊された強化繊維が、一方向に引きそろえられた強化繊維束である、請求項4に記載のプリプレグ。
  6. 融点が100〜325℃であり、溶融成形可能なフッ素樹脂を含む樹脂材料(α)からなる粉体(X)と、前記フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂を含む樹脂材料(β)からなる粉体(Y)とを、前記フッ素樹脂と前記熱可塑性樹脂との合計100質量%のうち、前記フッ素樹脂の割合が70質量%以上100質量%未満となり、前記熱可塑性樹脂の割合が0質量%超30質量%以下となるように混合してなる粉体混合物を、
    強化繊維シートの存在下に溶融させ、前記樹脂材料(α)および前記樹脂材料(β)を強化繊維シートに含浸させる、プリプレグの製造方法。
  7. 前記粉体(X)の平均粒子径が0.02〜200μmであり、前記粉体(Y)の平均粒子径が0.02〜200μmである、請求項6に記載のプリプレグの製造方法。
  8. 樹脂成分として、融点が100〜325℃であり、溶融成形可能なフッ素樹脂のみ、または前記フッ素樹脂と、前記フッ素樹脂以外の熱可塑性樹脂と、を含み、前記フッ素樹脂と前記熱可塑性樹脂との合計100質量%のうち、前記フッ素樹脂の割合が70〜100質量%であり、前記熱可塑性樹脂の割合が0〜30質量%である樹脂材料(γ)からなる粉体(Z)を、
    強化繊維シートの存在下に溶融させ、前記樹脂材料(γ)を強化繊維シートに含浸させる、プリプレグの製造方法。
  9. 前記粉体(Z)の平均粒子径が、0.02〜200μmであり、前記フッ素樹脂と前記熱可塑性樹脂との合計100質量%のうち、前記フッ素樹脂の割合が70質量%以上100質量%以下であり、前記熱可塑性樹脂の割合が0質量%以上30質量%以下であり、
    前記強化繊維シートに含浸される前の前記樹脂材料(γ)における前記熱可塑性樹脂を含む島部の平均径が、0.01〜8μm、かつ前記粉体(Z)の平均粒子径未満である、請求項8に記載のプリプレグの製造方法。
  10. 前記フッ素樹脂の融点が100〜280℃である、請求項6〜9のいずれか一項に記載のプリプレグの製造方法。
  11. 前記強化繊維シートが、開繊された強化繊維シートである、請求項6〜10のいずれか一項に記載のプリプレグの製造方法。
  12. 前記開繊された強化繊維シートが、一方向に引きそろえられた強化繊維束からなる強化繊維シートである、請求項11に記載のプリプレグの製造方法。
  13. 前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレンに基づくモノマー単位、およびエチレンに基づくモノマー単位を有する、請求項6〜12のいずれか一項に記載のプリプレグの製造方法。
  14. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリプレグを1つ以上含む、繊維強化成形品。
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