JP2021175770A - プリプレグ及び成形品 - Google Patents

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Tomoaki Nakanishi
祐治 山本
Yuji Yamamoto
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Abstract

【課題】吸湿が抑制された繊維強化成形品が得られるプリプレグを提供する。【解決手段】一方向に配列された複数の繊維からなる繊維束と、マトリックス樹脂とを有し、前記マトリックス樹脂が、前記マトリックス樹脂が、連続相と、前記連続相に分散された分散相とを有し、前記連続相が非フッ素樹脂を含み、前記分散相がフッ素樹脂を含み、前記マトリックス樹脂において、前記非フッ素樹脂と前記フッ素樹脂との合計100質量%に対する前記フッ素樹脂の割合が1質量%超50質量%未満であり、前記繊維束の長さ方向に対して垂直な断面において、前記分散相の平均径が、前記繊維束中の隣り合う繊維間の最短距離に対して1〜100倍である、プリプレグ。【選択図】なし

Description

本発明は、プリプレグ及び成形品に関する。
繊維強化された成形品(以下、「繊維強化成形品」とも記す。)は、輸送機器(車両(自動車、鉄道車両)、航空機)、建築部材、電子機器等の幅広い用途に用いられる。繊維強化成形品のマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂の硬化物や熱可塑性樹脂が知られており、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が一般的に用いられる。
耐衝撃性に優れた繊維強化成形品として、以下のプリプレグを用いた成形品が提案されている(特許文献1)。
強化繊維とマトリックス樹脂とを有し、前記マトリックス樹脂が、熱可塑性樹脂(ただし、下記フッ素樹脂を除く。)と、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する溶融成形可能なフッ素樹脂とを含み、前記熱可塑性樹脂と前記フッ素樹脂との合計100質量%のうち前記フッ素樹脂の割合が1質量%以上70質量%未満である、プリプレグ。
国際公開第2017/122735号
従来一般的なマトリックス樹脂(PEEK、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等)は、吸湿が問題となることがある。中でもポリアミド樹脂やエポキシ樹脂は、PEEKよりも安価で強度が高い点で好ましい材料であるが、吸湿が問題となりやすい。
特許文献1のプリプレグを用いた成形品は、マトリックス樹脂がフッ素樹脂を含むため、吸湿が抑制されると考えられる。しかし、本発明者らの検討によれば、その吸湿抑制効果は必ずしも充分とはいえない。
本発明は、吸湿が抑制された繊維強化成形品が得られるプリプレグ、及び吸湿が抑制された繊維強化成形品を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>一方向に配列された複数の繊維からなる繊維束と、マトリックス樹脂とを有し、
前記マトリックス樹脂が、連続相と、前記連続相に分散された分散相とを有し、
前記連続相が非フッ素樹脂を含み、前記分散相がフッ素樹脂を含み、
前記マトリックス樹脂において、前記非フッ素樹脂と前記フッ素樹脂との合計100質量%に対する前記フッ素樹脂の割合が1質量%超50質量%未満であり、
前記繊維束の長さ方向に対して垂直な断面において、前記分散相の平均径が、前記繊維束中の隣り合う繊維間の最短距離に対して1〜100倍である、プリプレグ。
<2>前記フッ素樹脂が、融点を有するフッ素樹脂であるか、溶融流れ速度が0.1〜1000g/10分であるフッ素樹脂である、前記<1>のプリプレグ。
<3>前記フッ素樹脂が100〜325℃の融点を有する、前記<1>又は<2>のプリプレグ。
<4>前記非フッ素樹脂の飽和吸水率が0.1〜10%である、前記<1>〜<3>のいずれかのプリプレグ。
<5>前記プリプレグ100質量%に対する前記繊維束の割合が20〜90質量%である、前記<1>〜<4>のいずれかのプリプレグ。
<6>前記マトリックス樹脂100質量部に対する前記繊維束の割合が25〜200質量部である、前記<1>〜<5>のいずれかのプリプレグ。
<7>前記<1>〜<6>のいずれかのプリプレグを用いた、成形品。
本発明のプリプレグによれば、吸湿が抑制された繊維強化成形品が得られる。
本発明の成形品は、吸湿が抑制されている。
分散相が繊維束の外縁付近に偏在している状態を模式的に説明する断面図である。 繊維束にマトリックス樹脂を含浸させて図1の状態とするプロセスを模式的に説明する断面図である。 分散相が繊維束の外縁付近に偏在していない状態を模式的に説明する断面図である。 例2のCFRTP板の走査電子顕微鏡像である。 例3のCFRTP板の走査電子顕微鏡像である。
本発明における用語の意味や定義は以下の通りである。
「単量体に基づく単位」とは、単量体が重合することによって形成された該単量体に由来する部分(重合単位)を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、重合体を処理することによって該単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
「溶融流れ速度」は、JIS K 7210:1999(ISO 1133:1997)に規定されるメルトマスフローレート(MFR)である。
「融点」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した融解ピークの最大値に対応する温度である。
「飽和吸水率」は、以下の式で表される値である。
飽和吸水率(%)=100×{(保持後質量)/(初期質量)−1}
ここで、初期質量は、試料を80℃、72時間乾燥した時の質量である。保持後質量は、初期質量を測定した試料を25℃、50%RHの雰囲気下で保持し、質量変化率が0.01質量%/日未満になった時の質量である。
「分散相の平均径」は、プリプレグ又は成形品の、繊維束の長さ方向に対して垂直な断面を、走査電子顕微鏡(SEM)(倍率500〜2000倍、反射電子検出器)により観察し、その電子顕微鏡像(SEM像)から無作為に選択される50μm×50μmの領域3か所に対する画像処理ソフトウェアImageJを用いた画像解析により、各領域内の全ての分散相の面積を測定し、前記面積から円換算直径を算出し、これらを平均した値である。
「充填率」は、単位面積当たりの繊維の面積占有率であり、プリプレグ又は成形品の、繊維束の長さ方向に対して垂直な断面を、SEM(倍率500〜2000倍、反射電子検出器)により観察し、そのSEM像を、画像処理ソフトウェアImageJを用いて画像解析を行うことにより求めることができる。
「繊維束中の隣り合う繊維間の最短距離」(以下、「繊維間距離」とも記す。)は、下式1により算出される値である。
a=2b×{−1+1/2(π/Sf)0.5)} ・・・式1
ただし、aは繊維間距離(μm)を示し、bは繊維の半径(μm)を示し、Sfは充填率を示す。
式1は、下記式2を展開した式である。
Sf=πb/(a+2b) ・・・式2
「繊維の半径(又は繊維の直径)」は、プリプレグ又は成形品の、繊維束の長さ方向に対して垂直な断面を、SEM(倍率500〜2000倍、反射電子検出器)により観察し、その電子顕微鏡像から無作為に選択される50μm×50μmの領域3か所に対する画像処理ソフトウェアImageJを用いた画像解析により、各領域内の全ての繊維の面積を測定し、前記面積から円換算半径(又は円換算直径)を算出し、これらを平均した値である。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
<プリプレグ>
本発明のプリプレグは、繊維束と、マトリックス樹脂とを有する。具体的には、繊維束で構成された基材にマトリックス樹脂を含浸した材料である。なお、マトリックス樹脂を完全に含浸したものだけでなく、マトリックス樹脂粉体を基材表面に付着させ溶融させて基材に半含浸させたセミプレグと呼ばれるものも含む。
プリプレグの形状としては、シート状もしくは糸状のものをさらに複数束にしたものなどの形状が挙げられる。
繊維束は、一方向に配列された複数の繊維からなる。複数の繊維の配列方向は、繊維束の長さ方向である。
マトリックス樹脂は、連続相と、連続相に分散された分散相とを有する。連続相は非フッ素樹脂を含み、分散相はフッ素樹脂を含む。連続相及び分散相はそれぞれ、本発明の効果を損なわない範囲において、非フッ素樹脂及びフッ素樹脂以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
繊維束、非フッ素樹脂、フッ素樹脂及び他の成分については後で詳しく説明する。
マトリックス樹脂において、非フッ素樹脂とフッ素樹脂との合計100質量%に対するフッ素樹脂の割合は、1質量%超50質量%未満であり、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。フッ素樹脂の割合が前記下限値以上であれば、吸湿抑制効果に優れ、前記上限値以下であれば、フッ素樹脂が分散相を形成しやすい。
マトリックス樹脂100質量%に対する非フッ素樹脂とフッ素樹脂との合計の割合は、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。
プリプレグ100質量%に対する繊維束の割合は、20〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、40〜70質量%がさらに好ましい。繊維束の割合が前記下限値以上であれば、プリプレグの強度がより優れ、前記上限値以下であれば、柔軟性がより優れる。
マトリックス樹脂100質量部に対する繊維束の割合は、25〜200質量部が好ましく、30〜170質量部がより好ましく、60〜150質量部がさらに好ましい。繊維束の割合が前記下限値以上であれば、プリプレグの強度がより優れ、前記上限値以下であれば、柔軟性がより優れる。
本発明のプリプレグの、繊維束の長さ方向に対して垂直な断面において、分散相の平均径は、繊維間距離に対して1〜100倍であり、1.5〜50倍が好ましく、2〜10倍がより好ましい。繊維間距離に対する分散相の平均径の倍率が前記下限値以上であれば、吸湿抑制効果に優れ、前記上限値以下であれば、耐衝撃性に優れる。
繊維間距離は、例えば0.1〜5μmである。
分散相の平均径は、0.5〜10μmが好ましく、1〜8μmがより好ましく、2〜5μmがさらに好ましい。分散相の平均径が前記下限値以上であれば、吸湿抑制効果に優れ、前記上限値以下であれば、耐衝撃性に優れる。
本発明において分散相は、典型的には、図1に示すように、繊維束の外縁付近に偏在している。図1は、プリプレグの、繊維束の長さ方向に対して垂直な断面を模式的に示す図である。図1中、符号10は繊維束、11は繊維、20はマトリックス樹脂、21は連続相、22は分散相を示す。
図2に示すように、複数の繊維11からなる繊維束10にマトリックス樹脂20を含浸させる際、マトリックス樹脂20の連続相21は、繊維束10の繊維11間を通過して繊維束10の内部に含浸する。一方、マトリックス樹脂20の分散相22のうち、繊維間距離よりも小さい大きさの分散相は、連続相21と同様、繊維束10の内部に含浸するが、繊維間距離と同等以上の大きさの分散相は、繊維束10の繊維11間を通過しにくく、繊維束10の外縁付近に留まりやすい。そのため、分散相22の平均径が繊維間距離に対して1倍以上である場合、繊維束10の外縁付近に留まる分散相22が多くなる。この状態は、プリプレグを成形品としたときにも維持される。フッ素樹脂を含む分散相22が繊維束を囲んでいるため、連続相21の非フッ素樹脂の吸湿性が高くても、繊維束10の内部に水分が入り込みにくく、吸湿が抑制されると考えられる。
一方、分散相22の平均径が繊維間距離に対して1倍未満である場合、図3に示すように、分散相22が繊維束10の外縁付近に偏在せず、吸湿抑制効果に劣ると考えられる。
(繊維束)
本発明において、繊維束は、一方向に配列された複数の繊維からなる。繊維としては、長繊維や短繊維がある。繊維束としては、長繊維を複数束ねて糸状にしたもの、短繊維を紡糸して糸状にしたもの、これら糸状のものをさらに複数束にしたものでもよい。繊維束を糸状の繊維を撚ったものでもよく、撚らずに束にしただけでも、撚ったものをほぐしたものでもよい。なお、後述の通り、繊維束をさらにシート状にしたものも使用できる。
1つの繊維束を構成する繊維の数は、例えば100〜100,000本である。1つの繊維束を構成する繊維の数が3000であることを「3K」、6000であることを「6K」と表記することがある。
繊維束を構成する繊維としては、無機繊維、有機繊維が挙げられる。
無機繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、シリコンカーバイト繊維、シリコンナイトライド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、金属繊維が挙げられる。金属繊維としては、アルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維が挙げられる。
有機繊維としては、芳香族ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維が挙げられる。
繊維は、表面処理が施されていてもよい。
繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
繊維としては、比重が小さく、高強度、高弾性率である点から、炭素繊維が好ましい。
炭素繊維としては、例えば、国際公開第2013/129169号に記載されたものが挙げられ、特に、段落0018〜0026に記載されたものが好ましい。また、炭素繊維の製法としては、段落0028〜0033に記載されたものが挙げられる。
繊維の繊維長は、1mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましい。繊維の繊維長が前記下限値以上であれば、得られる成形品の機械的特性がより優れる。
繊維の直径は、1〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。繊維の直径が前記下限値以上であれば、強度がより優れ、前記上限値以下であれば、繊維の生産性がより優れる。
プリプレグ中の繊維束の数は1つでもよく複数でもよい。
繊維束で構成されたシート状の基材の具体例としては、繊維束が織成されたクロス、繊維束から構成された一方向性シート、これらを組み合わせたものが挙げられる。
シート状の基材において、繊維束は、基材の長さ方向の全長又は幅方向の全幅にわたり連続している必要はなく、途中で分断されていてもよい。
(非フッ素樹脂)
非フッ素樹脂としては、公知の非フッ素樹脂を使用できる。
非フッ素樹脂は、汎用性の点では、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、安価で強度が高い点で、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂がより好ましい。
非フッ素樹脂は、プリプレグの保存安定性、成形品の耐衝撃性の点では、熱可塑性非フッ素樹脂が好ましく、成形品の耐衝撃性の点で、ポリアミド樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂(ポリフェニレンスルフィド等)、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、変性されたポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂がより好ましい。中でも、耐衝撃性が著しく向上することから、ポリアミド樹脂が好ましい。
ポリアミド樹脂の具体例としては、特開2003−176394号公報の[0069]に記載されたものが挙げられる。
非フッ素樹脂は通常、フッ素樹脂よりも吸湿性が高い。
非フッ素樹脂の飽和吸水率は、0.1〜10%が好ましく、0.3〜5%がより好ましく、0.5〜5%がより好ましい。飽和吸水率は吸湿性の指標である。従来、飽和吸水率が前記下限値以上であるような高吸湿性の非フッ素樹脂をマトリックス樹脂に用いた場合には、成形品の吸湿が問題になりやすかった。本発明では、このような場合にも吸湿を充分に抑制できる。したがって、非フッ素樹脂の飽和吸水率が前記下限値以上である場合に本発明の有用性が高い。飽和吸水率が前記上限値以下であれば、成形品の吸湿をより抑制できる。
飽和吸水率が前記範囲内の非フッ素樹脂としては、例えばポリアミド樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。
(フッ素樹脂)
フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレンに基づく単位(以下、「TFE単位」とも記す。)を有する重合体(以下、「PTFE」とも記す。)、エチレンに基づく単位(以下、「E単位」とも記す。)とTFE単位とを有する共重合体(以下、「ETFE」とも記す。)、TFE単位とペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位とを有する共重合体(以下、「PFA」とも記す。)、ヘキサフルオロプロピレンに基づく単位(以下、「HFP単位」とも記す。)とTFE単位とを有する共重合体(以下、「FEP」とも記す。)、フッ化ビニリデンに基づく単位(以下、「VDF単位」とも記す。)を有する重合体(以下、「PVDF」とも記す。)、クロロトリフルオロエチレンに基づく単位(以下、「CTFE単位」とも記す。)を有する重合体(以下、「PCTFE」とも記す。)、E単位とCTFE単位とを有する共重合体(以下、「ECTFE」とも記す。)、TFE単位、HFP単位、VDF単位及びCTFE単位からなる群から選ばれる1種以上の単量体に基づく単位を有する含フッ素エラストマーが挙げられる。前記含フッ素エラストマーの具体例としては、TFE単位とプロピレンに基づく単位とを有する共重合体(以下、「FEPM」とも記す。)、VDF単位とHFP単位とを有する共重合体、VDF単位とHFP単位とTFE単位とを有する共重合体(以下、「FKM」とも記す。)、TFE単位とペルフルオロ(メチルビニルエーテル)に基づく単位とを有する共重合体(以下、「FFKM」とも記す。)が挙げられる。
フッ素樹脂は、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基(以下、「官能基f」と記す。)を有していてもよい。官能基fを有することによって、成形品の耐衝撃性を向上できる。
フッ素樹脂が官能基fを有する場合、官能基fは、成形品の耐衝撃性に優れる点から、フッ素樹脂の主鎖の末端基又は主鎖のペンダント基として存在することが好ましい。
官能基fを有するフッ素樹脂は、例えば、国際公開第2017/122735号に記載の方法を参考にして製造できる。
フッ素樹脂中の官能基fの含有量は、フッ素樹脂の主鎖炭素数1×10個に対し、300個未満が好ましく、100個未満がより好ましく、10個未満がさらに好ましく、0個であってもよい。
フッ素樹脂が官能基fを有すると、官能基fを有さない場合に比べ、分散相の平均径が小さくなる傾向がある。官能基fの含有量が前記上限値以下であれば、分散相の平均径を前記下限値以上としやすい。また、親水性の官能基fの含有量が前記上限値以下であれば、フッ素樹脂の親水性が充分に低くなる。そのため、官能基fの含有量が前記上限値以下であれば、吸湿抑制効果がより優れる。
官能基fの含有量は、核磁気共鳴(NMR)分析、赤外吸収スペクトル分析等の方法によって測定できる。例えば、特開2007−314720号公報に記載のように赤外吸収スペクトル分析を用いて、フッ素樹脂を構成する全単位中の官能基fを有する単位の割合(モル%)を求め、この割合から、官能基fの含有量を算出できる。
フッ素樹脂としては、加工が容易な点から、後述の通り、融点を有するフッ素樹脂であるか、溶融流れ速度が0.1〜1000g/10分であるフッ素樹脂が好ましい。溶融流れ速度は、0.5〜100g/10分がより好ましく、1〜30g/10分がさらに好ましい。溶融流れ速度が前記範囲の下限値以上であれば、フッ素樹脂の成形性に優れる。溶融流れ速度が前記範囲の上限値以下であれば、成形品の機械的特性に優れる。
ここでフッ素樹脂の溶融流れ速度は、荷重49Nの条件下、フッ素樹脂が融点を有する場合はその融点よりも20℃高い温度、フッ素樹脂が融点を有さない場合はガラス転移点よりも20℃高い温度又はマトリックス樹脂の成形温度において測定される値である。
フッ素樹脂としては、融点を有するフッ素樹脂がより好ましい。融点を有するフッ素樹脂を用いると、混練物の溶融延伸性に優れる。
融点を有するフッ素樹脂は、溶融流れ速度が0.1〜1000g/10分のフッ素樹脂であってもよい。好ましい溶融流れ速度は前記と同様である。
融点を有するフッ素樹脂の融点は、100〜325℃が好ましく、100℃以上260℃未満がより好ましく、120〜220℃がさらに好ましい。融点が前記下限値以上であれば、成形品の耐熱性がより優れる。融点が前記上限値以下であれば、成形品の耐衝撃性に優れる。また、成形品を製造する際に汎用的な装置を使用できる。
フッ素樹脂の融点は、フッ素樹脂を構成する単位の種類や割合、フッ素樹脂の分子量等によって調整できる。例えば、TFE単位やCTFE単位の割合が多くなるほど、融点が上がる傾向がある。
融点を有するフッ素樹脂としては、例えば、ETFE、PFA、FEP、PVDF、PCTFE、ECTFEが挙げられる。これらの中でも、耐熱性の点で、ETFE、PFA、FEPが好ましく、溶融成形性の点で、ETFE、PFAが特に好ましい。
(他の成分)
他の成分としては、無機フィラー、有機フィラー、有機顔料、金属せっけん、界面活性剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、シランカップリング剤、有機化合物(例えば重合度50以下の有機オリゴマー等。)等が挙げられ、無機フィラーが好ましい。
(プリプレグの製造方法)
本発明のプリプレグは、例えば、少なくとも非フッ素樹脂及びフッ素樹脂を特定の割合で、平均径が繊維間距離に対して特定の倍率の分散相が形成されるように強化繊維シートに含浸させることによって製造できる。
非フッ素樹脂及びフッ素樹脂が共に溶融成形可能である場合、プリプレグの製造方法の態様としては、例えば、非フッ素樹脂とフッ素樹脂とを特定の割合で含むマトリックス樹脂を、平均径が繊維間距離に対して特定の倍率の分散相が形成されるように溶融混錬し、得られた混錬物を、繊維束で構成された基材に含浸させる方法が挙げられる。
「溶融成形可能」であるとは、溶融流動性を示すことを意味する。
「溶融流動性を示す」とは、荷重49Nの条件下、樹脂の融点よりも20℃以上高い温度において、溶融流れ速度が0.1〜1000g/10分となる温度が存在することを意味する。
マトリックス樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分を含んでいてもよい。
マトリックス樹脂における非フッ素樹脂とフッ素樹脂との合計100質量%に対するフッ素樹脂の割合は、上述した通りである。
マトリックス樹脂100質量%に対する非フッ素樹脂とフッ素樹脂との合計の割合は、上述した通りである。
溶融混錬の際の温度は、非フッ素樹脂の融点以上、かつフッ素樹脂の融点以上であり、非フッ素樹脂の融点及びフッ素樹脂の融点のうち高い方の融点+10℃以上、前記融点+50℃以下が好ましい。
溶融混錬の際に、平均径が繊維間距離に対して特定の倍率の分散相を形成する方法としては、例えば下記の2つの方法が挙げられる。
方法1A:官能基fの含有量がフッ素樹脂の主鎖炭素数1×10個に対し300個未満、好ましくは100個未満、さらに好ましくは10個未満のフッ素樹脂を用いる方法。
方法1B:非フッ素樹脂とフッ素樹脂を軽く混錬する(フッ素樹脂が細かく分散するほど混ぜない)方法。
方法1Aに関し、フッ素樹脂中の官能基fの含有量が少ないと、フッ素樹脂が非フッ素樹脂に細かく分散しにくいため、分散相の平均径が大きくなる傾向がある。
方法1Bに関し、非フッ素樹脂とフッ素樹脂を軽く混錬すると、フッ素樹脂中の官能基fの含有量が多くても、フッ素樹脂が非フッ素樹脂に細かく分散しにくいため、分散相の平均径が大きくなる傾向がある。各樹脂を軽く混錬する方法としては、混錬時間を短くする方法、フッ素樹脂の融点以下で成形する方法、非フッ素樹脂とフッ素樹脂をドライブレンドした後混練せずに3D成形する方法等が挙げられる。
混錬条件を調整する手間が少ない点、成形温度やせん断の成形可能幅が広い点では、方法1Aが好ましい。
混錬物を基材に含浸させる方法としては、例えば、下記の2つの方法が挙げられる。
方法2A:混錬物からなる樹脂フィルムを、繊維束で構成された基材の存在下に溶融させ、混錬物を基材に含浸させる方法。
方法2B:混錬物からなる粉体を、繊維束で構成された基材の存在下に溶融させ、混錬物を基材に含浸させる方法。
方法2Aの具体例としては、例えば、繊維束で構成されたシート状の基材と、混錬物からなる樹脂フィルムとを交互に積み重ねた、n層(ただし、nは1以上の整数である。)の基材と(n+1)層の樹脂フィルムとからなる積重物を、熱プレス機で熱プレスすることによって、樹脂フィルムを溶融させ、混錬物を基材に含浸させる方法が挙げられる。
熱プレスの際の温度は、非フッ素樹脂の融点以上、かつフッ素樹脂の融点以上であり、非フッ素樹脂の融点及びフッ素樹脂の融点のうち高い方の融点+5℃以上該融点+100℃以下が好ましい。
熱プレスの際の圧力は、0.1〜50MPaが好ましく、0.5〜30MPaがより好ましい。熱プレスの際の時間は、3秒以上180分以下が好ましく、5秒以上60分以下がより好ましい。
混錬物からなる樹脂フィルムは、例えば、マトリックス樹脂を上記のように混練した後、マトリックス樹脂の溶融物をTダイからフィルム状に押し出すことによって製造できる。
樹脂フィルムの厚さは、分散相の平均径以上であればよいが、例えば50〜1000μmである。
方法2Bの具体例としては、例えば、繊維束で構成されたシート状の基材と、混錬物からなる粉体の層とを交互に積み重ねた、n層(ただし、nは1以上の整数である。)の基材と(n+1)層の粉体の層とからなる積重物を、熱プレス機で熱プレスすることによって、粉体を溶融させ、混錬物を基材に含浸させる方法が挙げられる。
熱プレスの際の温度、圧力及び時間は、方法2Aと同様である。
混錬物からなる粉体は、例えば、マトリックス樹脂を上記のように混練した後、マトリックス樹脂の溶融物をストランド状に押し出し、ストランドをペレタイザで切断してペレット化し、ペレットを機械的に粉砕し、必要に応じて粉砕物を分級する方法が挙げられる。
ペレットを機械的に粉砕できる装置としては、ハンマーミル、ピンミル、ディスクミル、ロータリーミル、ジェットミル、流動床エアジェットミル、ジョークラッシャ、ジャイレートリークラッシャ、ケージミル、パンクラッシャ、ボールミル、ペブルミル、ロッドミル、チューブミル、ディスクアトリションミル、アトライター、ディスクリファイナ等が挙げられる。
ペレットの粉砕は、粉砕物の平均粒子径を小さくしやすい点から、ペレットを−40℃以下の温度に冷却して行うことが好ましい。冷却温度は、−100℃以下がより好ましく、−160℃以下がさらに好ましい。冷却方法としては、ドライアイス又は液体窒素を用いる方法が挙げられる。
粉体の平均粒子径は、0.02〜200μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。粉体の平均粒子径が前記下限値以上であれば、繊維間の密閉性に優れ、前記上限値以下であれば、混錬物を基材に含浸させやすい。
「粉体の平均粒子径」は、レーザー回折・散乱法によって求められる体積基準累積50%径(D50)である。すなわち、レーザー回折・散乱法により粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
<成形品>
本発明の成形品は、本発明のプリプレグを用いて形成されたものである。
本発明の成形品は、本発明のプリプレグのみを用いて形成されたものであってもよく;本発明のプリプレグと、本発明のプリプレグ以外の他のプリプレグとを用いて形成された積層体であってもよく;本発明のプリプレグ及び必要に応じて他のプリプレグと、プリプレグ以外の他の部材とを用いて形成された積層体であってもよい。
他のプリプレグとしては、マトリックス樹脂が非フッ素樹脂を含み、フッ素樹脂を含まないプリプレグ;マトリックス樹脂がフッ素樹脂を含み、非フッ素樹脂を含まないプリプレグ等が挙げられる。
プリプレグ以外の他の部材としては、金属部材;非フッ素樹脂を含む樹脂フィルム;フッ素樹脂を含む樹脂フィルム等が挙げられる。
金属部材としては、金属箔、各種金属製部品等が挙げられる。金属としては、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、黄銅、ニッケル、亜鉛等が挙げられる。金属部材の形状は、特に限定されず、得ようとする成形品に合わせて適宜選択できる。
本発明の成形品は、本発明のプリプレグを用いて形成されたものであるので、「一方向に配列された複数の繊維からなる繊維束と、マトリックス樹脂とを有し、マトリックス樹脂が、連続相と、連続相に分散された分散相とを有し、連続相が非フッ素樹脂を含み、分散相がフッ素樹脂を含み、非フッ素樹脂とフッ素樹脂との合計100質量%に対するフッ素樹脂の割合が1質量%超50質量%未満であり、繊維束の長さ方向に対して垂直な断面において、分散相の平均径が、繊維間距離に対して1〜100倍である領域」を有する。
プリプレグの非フッ素樹脂が熱硬化性非フッ素樹脂である場合、上記領域の非フッ素樹脂は熱硬化性非フッ素樹脂の硬化物である。プリプレグの非フッ素樹脂が熱可塑性非フッ素樹脂である場合、上記領域の非フッ素樹脂も熱可塑性非フッ素樹脂である。
上記領域において、分散相の平均径及び繊維間距離はそれぞれ、プリプレグにおける分散相の平均径及び繊維間距離と同じである。
(成形品の製造方法)
本発明の成形品は、例えば、本発明のプリプレグの1つのみ、本発明のプリプレグの2つ以上を積み重ねた積重物、又は他のプリプレグ又はプリプレグ以外の他の部材と本発明のプリプレグの1つ以上とを積み重ねた積重物を成形することによって製造できる。
成形方法としては、金型を用いたプレス成形法、3Dプリンタを用いる方法等が挙げられる。3Dプリンタを用いる方法としては、例えば、マトリックス樹脂の非フッ素樹脂が熱可塑性非フッ素樹脂である繊維束状のプリプレグを加熱して熱可塑性非フッ素樹脂を溶融させ、積層して成形体を得る方法や、マトリックス樹脂の非フッ素樹脂が硬化前の熱硬化樹脂である繊維束状のプリプレグを所望の形にして、その後加熱して成形体を得る方法が挙げられる。
(用途)
成形品の用途としては、例えば、下記のものが挙げられる。
電気・電子機器(パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、ファクシミリ、コンパクトディスク、ポータブルMD、携帯用ラジオカセット、PDA(電子手帳等の携帯情報端末)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品等)の筐体、内部部材(トレイ、シャーシ等)、内部部材のケース、機構部品等。建材(パネル)等。
自動車、二輪車関連部品、部材及び外板:モーター部品、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、サスペンション部品、各種バルブ(排気ガスバルブ等)、燃料関係、排気系又は吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、各種アーム、各種フレーム、各種ヒンジ、各種軸受、燃料ポンプ、ガソリンタンク、CNGタンク、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、ブレーキパットウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、バッテリートレイ、ATブラケット、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング、ハンドル、ドアビーム、プロテクター、シャーシ、フレーム、アームレスト、ホーンターミナル、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ノイズシールド、ラジエターサポート、スペアタイヤカバー、シートシェル、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、アンダーカバー、スカッフプレート、ピラートリム、プロペラシャフト、ホイール、フェンダー、フェイシャー、バンパー、バンパービーム、ボンネット、エアロパーツ、プラットフォーム、カウルルーバー、ルーフ、インストルメントパネル、スポイラー、各種モジュール等。
航空機関連部品、部材及び外板:ランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブ等。その他:風車の羽根等。
成形品は、特に、航空機部材、風車の羽根、自動車外板及び電子機器の筐体、トレイ、シャーシ等に好ましく用いられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されない。なお、例2は実施例であり、例1、3は比較例である。
(融点)
示差走査熱量計(DSC装置、セイコーインスツル社製)を用い、樹脂を10℃/分の速度で昇温したときの融解ピークを記録し極大値に対応する温度(℃)を融点とした。
(溶融流れ速度)
メルトインデクサー(テクノセブン社製)を用い、297℃、荷重49Nの条件下で直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に流出する重合体の質量(g)を測定した。
(非フッ素樹脂の飽和吸水率)
試料を80℃、72時間乾燥し、その質量(g)を初期質量とした。
初期質量を測定した試料を25℃、50%RHの雰囲気下で保持し、質量変化率が0.01質量%/日未満になった時の質量を保持後質量とし、以下の式で飽和吸水率を算出した。
飽和吸水率(%)=100×{(保持後質量)/(初期質量)−1}
(断面観察)
観察剤(エポキシ化合物である主剤とその硬化剤、BUEHLER製、EpoxiCure 2)を計量し、攪拌棒で混ぜ、ダイアフラムポンプで15分真空脱泡した。別途、ニッパーを用いてCFRTP板(プリプレグを用いて作られる成形品)を約1cm角に切り出して試験片を作製した。
クリアカップ(三啓製樹脂埋込用クリアカップφ1・1/4)内に試験片を、繊維束の長さ方向に対して垂直な断面が上面を向くように入れた後、観察剤を流し入れた。ダイアフラムポンプで30分真空脱泡した後、30℃オーブンで12時間硬化処理を行った。
次に、硬化した観察剤を、研磨装置AutoMet(BUEHLER製)を用い、耐水研磨紙カービメット#120,#240(米規格ANSI/CAMI)で研磨して試験片を面出しした後、耐水研磨紙カービメット#400(米規格ANSI/CAMI)で荒研磨、バフ研磨を行った。研磨終了後、研磨面を純水ですすぎ、ダイアフラムポンプで真空乾燥を行った。真空乾燥後、コーター(サンユー電子製 SC−701)を用いて研磨面にカーボンコートを行い、SEM(日立ハイテクノロジーズ製 S−4300)を用い、倍率:1000倍、検出器:反射電子検出器にて観察を行った。
得られたSEM像から50μm×50μmの領域3か所を無作為に選択し、画像処理ソフトウェアImageJを用いて画像解析を行い、分散相の平均径、繊維の半径bを求めた。また、ImageJを用いて画像解析を行い、繊維充填率Sfを求め、前記式1により繊維間距離aを算出し、繊維間距離aに対する分散相の平均径の倍率を求めた。
なお、分散相については、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いた元素分析によって、フッ素樹脂であることを確認した。
(吸湿率)
CFRTP板(又は樹脂フィルム)を80℃、72時間乾燥し、その質量(g)を測定して初期質量とした。その後、CFRTP板(又は樹脂フィルム)を25℃、50%RHの雰囲気下で24時間保持し、その質量(g)を測定して保持後質量とした。測定結果から以下の式により吸湿率を求めた。
吸湿率(%)=100×{(保持後質量)/(初期質量)−1}
(非フッ素樹脂)
PA6:ポリアミド6、宇部興産社製UBEナイロン1013B、融点:220℃、飽和吸水率:2.6%。
(フッ素樹脂)
フッ素樹脂1:官能基fを有さないフッ素樹脂(融点:245℃。溶融流れ速度(297℃、49N):28g/10分)。フッ素樹脂1は、特許第5958467号公報の実施例3と同様に製造し、E単位/TFE単位/CH=CH(CFF単位のモル比は59.1/39.1/1.8であった。
フッ素樹脂2:官能基fを有するフッ素樹脂(官能基fの種類:カルボニル基含有基、官能基fの含有量:フッ素樹脂2の主鎖炭素数1×10個に対し5000個、融点:240℃、溶融流れ速度(297℃、荷重49N):20g/10分)。フッ素樹脂2は、後述の製造例1により製造し、E単位/TFE単位/IAH単位/CH=CH(CFF単位のモル比は、60/40/0.5/2.2であった。
(製造例1)
内容積が94Lの撹拌機付き重合槽を脱気し、1−ヒドロトリデカフルオロヘキサンの71.3kg、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(旭硝子社製、AK225cb、以下、「AK225cb」という。)の20.4kg、CH=CH(CFFの562g、IAHの4.45gを仕込み、重合槽内を66℃に昇温し、E/TFEのモル比が89/11のモノマー混合ガスで1.5MPa(ゲージ圧)まで昇圧した。重合開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレートの0.7%1−ヒドロトリデカフルオロヘキサン溶液の1Lを仕込み、重合を開始させた。重合中圧力が一定になるようにE/TFEのモル比が59.5/40.5のモノマー混合ガスを連続的に仕込んだ。また、重合中に仕込むEとTFEの合計モル数に対して3.3モル%に相当する量のCH=CH(CFFと0.8モル%に相当する量のIAHを連続的に仕込んだ。重合開始9.9時間後、モノマー混合ガスの7.28kgを仕込んだ時点で、重合槽内温を室温まで降温すると共に常圧までパージした。得られたスラリ状の含フッ素共重合体を、水の77kgを仕込んだ200Lの造粒槽に投入し、撹拌下105℃まで昇温して溶媒を留出除去しながら造粒した。得られた造粒物を150℃で15時間乾燥することにより、6.9kgのフッ素樹脂2を得た。
<例1〜3>
(樹脂ペレットの製造)
東洋精機製作所社製ラボプラストミル・ミキサーに、表1に示す組成で各成分を投入し、毎分20回転で1分間予備混練した後、毎分50回転で、表1に示す混練温度で10分間溶融混練した。次いで、ラボプラストミル・ミキサーから内容物を取り出して放置し、常温(20〜25℃)まで冷却し、カッターで切断して樹脂ペレットを得た。
表1中、「フッ素樹脂割合」は、非フッ素樹脂とフッ素樹脂との合計100質量%に対するフッ素樹脂の割合(質量%)を示す。「非フッ素樹脂割合」は、非フッ素樹脂とフッ素樹脂との合計100質量%に対する非フッ素樹脂の割合(質量%)を示す。
Figure 2021175770
(樹脂フィルムの製造)
CFRTP板(成形品)の製造に用いる樹脂フィルムを以下の手順で製造した。
厚さ200μm、100mm×100mmのSUS316製金型に、得られた樹脂ペレットを充填し、混練温度と同じ温度に設定したプレス機(東洋精機製作所社製ミニテストプレス MP−WCL)にセットし、150mm×150mmのSUS316製鏡面板を蓋として用いた。5分間の予熱の後、面圧8.7MPaで5分間圧縮成形を行い、面圧8.7MPaで5分間冷却し、金型のサイズで成形された厚さ200μmの樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムの吸湿率を表2に示す。
Figure 2021175770
(CFRTP板の製造)
厚さ2mm、100mm×100mmのSUS316製金型に、得られた樹脂フィルム7枚とカーボンクロス6枚(東レ社トレカ(登録商標)クロスCO6343平織り3K)を交互に積層して充填し、所定温度に設定したプレス機(東洋精機製作所社製ミニテストプレス MP−WCL)にセットし、150mm×150mmのSUS316製鏡面板を蓋として用いた。10分間の予熱の後、面圧8.7MPaで5分間圧縮成形を行い、面圧8.7MPaで5分間冷却し、金型のサイズで成形された厚さ2mmのCFRTP板(成形品)を得た。
上記東レ社トレカ(登録商標)クロスCO6343平織り3Kは、たて糸とよこ糸として東レ社トレカ(登録商標)糸T300−3000が使用されている。
得られたCFRTP板の分散相の平均径、繊維間距離、繊維間距離に対する分散相の平均径の倍率(分散相の平均径/繊維間距離)、吸湿率を表3に示す。また、例2、3それぞれのCFRTP板のSEM像を図4、図5に示す。図4〜5は、CFRTP板の繊維束の長さ方向に対して垂直な断面において、1つの繊維束の外縁付近を観察した図である。
Figure 2021175770
例1〜3を対比すると、フッ素樹脂を含む例2〜3のCFRTP板の吸湿率は、フッ素樹脂を含まない例1よりも低かった。また、分散相の平均径/繊維間距離が2.2倍の例2のCFRTP板の吸湿率は、分散相の平均径/繊維間距離が0.4倍の例3よりも低かった。
例2、例3それぞれで用いた非フッ素樹脂は同じであり、飽和吸水率も同等であるが、CFRTP板の吸湿率に上記のような違いが生じた。これは、分散相の平均径/繊維間距離が1倍以上である場合、図4に示すように、分散相が繊維束の外縁付近に偏在することによると考えられる。
本発明の成形品は、輸送機器(車両(自動車、鉄道車両等)、航空機等)、建築、電気・電子機器等を構成する部材として有用である。
10 繊維束、11 繊維、20 マトリックス樹脂、21 連続相、22 分散相

Claims (7)

  1. 一方向に配列された複数の繊維からなる繊維束と、マトリックス樹脂とを有し、
    前記マトリックス樹脂が、連続相と、前記連続相に分散された分散相とを有し、
    前記連続相が非フッ素樹脂を含み、前記分散相がフッ素樹脂を含み、
    前記マトリックス樹脂において、前記非フッ素樹脂と前記フッ素樹脂との合計100質量%に対する前記フッ素樹脂の割合が1質量%超50質量%未満であり、
    前記繊維束の長さ方向に対して垂直な断面において、前記分散相の平均径が、前記繊維束中の隣り合う繊維間の最短距離に対して1〜100倍である、プリプレグ。
  2. 前記フッ素樹脂が、融点を有するフッ素樹脂であるか、溶融流れ速度が0.1〜1000g/10分であるフッ素樹脂である、請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 前記フッ素樹脂が100〜325℃の融点を有する、請求項1又は2に記載のプリプレグ。
  4. 前記非フッ素樹脂の飽和吸水率が0.1〜10%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリプレグ。
  5. 前記プリプレグ100質量%に対する前記繊維束の割合が20〜90質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリプレグ。
  6. 前記マトリックス樹脂100質量部に対する前記繊維束の割合が25〜200質量部である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリプレグ。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリプレグを用いた、成形品。
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