JP2016049716A - 積層体の製造方法 - Google Patents

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和洋 畑中
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聖 藤岡
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Abstract

【課題】プレス成形にて一体成形する積層体において、量産性良く、寸法精度に優れた積層体を製造することができる積層体の製造方法を提供すること。【解決手段】熱硬化性樹脂を含む中間基材と、熱可塑性樹脂を含む基材とを積層してなるプリフォームを、プレス成形にて一体成形する積層体の製造方法において、少なくとも以下の2回の断続したプレス工程(工程(I)(II))を含む積層体の製造方法である。工程(I):Tb以上の温度で加熱し、熱硬化性樹脂の硬化度を80〜100%まで硬化させて中間体を得るプレス工程工程(II):工程(I)で得られた中間体をTb未満の温度で、熱可塑性樹脂を固化させるプレス工程ここで、Tb(℃)は、熱可塑性樹脂の融点またはガラス転移温度のうち高い方の温度を示す。【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂を含む中間基材と、熱可塑性樹脂を含む基材とを積層してなるプリフォームを、プレス成形にて一体成形する積層体の製造方法に関する。
連続した強化繊維群で強化された繊維強化樹脂(FRP)や樹脂から構成される積層体は、航空機、自動車、二輪車、自転車などの輸送機器用途、テニス、ゴルフ、釣り竿などのスポーツ用品用途、耐震補強材などの建設構造物用途など、軽量性と力学特性が要求される構造体の材料として、頻繁に使用されている。
力学特性を確保しつつ軽量性を高めた構造体として、軽量なコア材のスキン材に、FRPが配置されてなるサンドイッチ構造体が知られている。構造体の軽量化を図るため、より軽量なコア材の選択が行われ、バルサコア、ハニカムコアやウレタン発泡コアなどがコア材として頻繁に使用されている。また、力学特性についても、実用的な要求特性にあわせて設計することで、この構造体は、航空機の二次構造材をはじめ、自動車部材、建造物部材やパネル部材などに、広く用いられている。
特許文献1には、芯材と該芯材の両面に配置された、連続した強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化材とからなるサンドイッチ構造体の製造方法が提案されている。また、特許文献2には、空孔を有する繊維長5mm以上100mm以下の炭素繊維と熱可塑性樹脂とから構成される複合基材と炭素繊維の一方向材を積層させた積層体の製造方法が提案されている。
しかしながら、これらのサンドイッチ構造体や積層体では、量産性良く製造することが難しく、それぞれの部材を成形してから一体成形するため、積層体を製造するのに手間がかかった。また得られたサンドイッチ構造体や積層体は、熱可塑性樹脂を溶融させる温度で成形し取り出しているため寸法精度がそれほど高くなかった。
一方で、FRPや樹脂から構成される積層体の用途として、パソコン、オフィスオートメーション機器、オーディオビジュアル機器、携帯電話、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品などの電気・電子機器の筐体がある。これらは、量産性、成形性、生産性、経済性が求められるだけでなく、近年は、薄型で軽量であることが要望されている。この要求に対し、薄肉性と、剛性に優れたマグネシウム合金が活用されることがあるが、金属材料は比重が大きいために、軽量性の点では必ずしも要求を満足するには至っていない。特に、ノートパソコン、電話、情報端末などの電子機器の携帯化が進む一方で、ユーザー層の高齢化が今後ますます加速することが予測される中、これら電子機器筐体についてはさらなる軽量化と成形性が求められている。
国際公開第2006/028107号パンフレット 特開2013−49749号公報
特許文献1で開示されるサンドイッチ構造体の製造方法は、熱可塑性樹脂の粒子を用いて不連続の強化繊維とのコア材を得た後に、サンドイッチ構造体を1回のプレス成形で製造しているが、熱可塑性樹脂を均一に固化させること、およびその手段として2回の断続したプレス成形をすることに関する思想は皆無であった。また、特許文献2で開示される積層体は、空孔を有する繊維長5mm以上100mm以下の炭素繊維と熱可塑性樹脂とから構成される複合基材と炭素繊維の一方向材を積層させた積層体を連続的に加圧させることで製造しているが、量産性を良くかつ成形品の厚さの精度を向上させること、およびその手段として2回の断続したプレス成形をすることに関する思想は皆無であった。
本発明の目的は、かかる従来技術の課題を解消し、熱硬化性樹脂を含む中間基材と、熱可塑性樹脂を含む基材とを積層してなるプリフォームを、プレス成形にて一体成形する積層体の製造方法において、量産性良く、寸法精度に優れた積層体が得られる積層体の製造方法を提供することにある。
かかる課題を解決するために、本発明は次のいずれかの構成からなる。
(1)熱硬化性樹脂(a)を含む中間基材(A)と、熱可塑性樹脂(b)を含む基材(B)とを積層してなるプリフォームを、プレス成形にて一体成形する積層体の製造方法において、少なくとも以下の2回の断続したプレス工程(工程(I)(II))を含む積層体の製造方法。
工程(I):Tb以上の温度で加熱し、熱硬化性樹脂(a)の硬化度を80〜100%まで硬化させて中間体を得るプレス工程
工程(II):工程(I)で得られた中間体をTb未満の温度で、熱可塑性樹脂(b)を固化させるプレス工程
ここで、Tb(℃)は、熱可塑性樹脂(b)の融点またはガラス転移温度のうち高い方の温度を示す。
(2)前記プリフォームが、最外層の少なくとも片面に中間基材(A)を配置してなるものである、前記(1)に記載の積層体の製造方法。
(3)前記プリフォームが、最外層の両面に中間基材(A)を配置してなるものである、前記(1)に記載の積層体の製造方法。
(4)中間基材(A)が連続した強化繊維を含む、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(5)基材(B)が発泡構造を有する、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(6)前記発泡構造として、強化繊維によるスプリングバックによるものを含む、前記(5)に記載の積層体の製造方法。
(7)基材(B)の厚さが0.2〜10mmの範囲内である、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(8)基材(B)の厚さが、実質的に一定 である、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(9)前記積層体は、基材(B)の厚さが実質的に偏肉している部位 を有している、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(10)前記工程(I)で得られた中間体をTb以上の温度に加熱する予熱工程を、工程(II)の前に含む、前記(1)〜(9)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(11)前記工程(I)におけるプレス圧力が0.5〜10MPaである、前記(1)〜(10)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(12)前記工程(II)におけるプレス圧力が、前記工程(I)におけるプレス圧力よりも低い、前記(1)〜(11)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(13)前記工程(I)の成形温度T1(℃)が、(Tb+10)≦T1≦(Tb+50)である、前記(1)〜(12)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(14)前記工程(II)の成形温度T2(℃)が、(Tb−120)≦T2≦(Tb−20)である、前記(1)〜(13)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(15)熱硬化性樹脂(a)が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびビニルエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂である、前記(1)〜(14)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(16)熱可塑性樹脂(b)が、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリアミド樹脂から群から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂である、前記(1)〜(15)のいずれかに記載の積層体の製造方法。
ここで、本発明において「断続したプレス工程」とは、一旦、プレス機でプレス成形した工程を経た後に、新たに別のプレス機でプレス成形する工程を経ることと定義する。また、本発明において「厚さが実質的に一定」とは、厚さの変動係数が10%以内であることと定義する。また、本発明において「実質的に偏肉している部位」とは、偏肉していない部位の厚さの平均値に対して偏肉している部位の厚さの平均値が±10%以上であることと定義する。
本発明の積層体の製造方法は、熱硬化性樹脂を含む中間基材と、熱可塑性樹脂を含む基材とを積層してなるプリフォームを、プレス成形にて一体成形する積層体の製造方法において、上述の少なくとも2回の断続したプレス工程を含むことにより、量産性良く、寸法精度に優れた積層体を製造することができる。
本発明の一実態形態にかかる積層体の模式図である。 本発明の別の一実態形態にかかる積層体の模式図である。 本発明の他の一実態形態にかかる積層体の模式図である。 本発明の他の一実態形態にかかる積層体の模式図である。
以下に、本発明の望ましい実施の形態について説明する。
本発明は、熱硬化性樹脂(a)を含む中間基材(A)と、熱可塑性樹脂(b)を含む基材(B)とを積層してなるプリフォームを、プレス成形にて一体成形して積層体を製造する方法であり、少なくとも以下の2回の断続したプレス工程からなる。
工程(I):Tb以上の温度で加熱し、熱硬化性樹脂(a)の硬化度を80〜100%まで硬化させて中間体を得るプレス工程。
工程(II):工程(I)で得られた中間体をTb未満の温度で、熱可塑性樹脂(b)を固化させるプレス工程。
ここで、Tb(℃)は、熱可塑性樹脂(b)の融点またはガラス転移温度のうち高い方の温度を示す。
本発明の工程(I)において、Tb以上の温度で加熱し、熱硬化性樹脂(a)の硬化度を80〜100%まで硬化させることにより中間基材(A)を成形することができる。この工程(I)において、基材(B)の熱可塑性樹脂(b)をTb以上の温度で加熱しているため熱可塑性樹脂(b)が溶融状態にあり、この状態で中間基材(A)を硬化させることで積層体の中間体が得られ、後述する工程(II)において、熱可塑性樹脂(b)が固化されることにより、中間基材(A)と基材(B)が一体化した積層体を得ることができる。工程(I)でTbよりも低い温度で加熱した場合、熱可塑性樹脂(b)が十分に溶融せず、中間基材(A)と基材(B)が一体化せず、剥離しやすい積層体が得られるので、工程(I)でTb以上の温度で加熱する必要があり、かつ、熱硬化性樹脂(a)の硬化度が80%未満の場合、得られる積層体の力学特性が劣るため、80〜100%まで硬化させる必要がある。
工程(I)におけるプレス圧力としては、0.5〜10MPaが得られる積層体のボイドを少なく成形できる観点から好ましく、1〜6MPaがさらに好ましい。また、0.5〜10MPaのプレス圧力を工程(I)にかけることで、熱硬化性樹脂(a)を含む中間基材(A)の熱硬化性樹脂(a)を寸法精度良く硬化させ、成形した積層体の中間体を得ることができることからも好ましい。プレス圧力が0.5MPaよりも小さい場合は、得られる積層体のボイドが多くなることがあり、10MPaよりも大きい場合は、得られる積層体の厚さ制御が難しいことがある。
工程(I)における成形温度T1(℃)は、(Tb+10)≦T1≦(Tb+50)であることが熱可塑性樹脂(b)を含む基材(B)の熱可塑性樹脂が十分に溶融することから好ましく、(Tb+20)≦T1≦(Tb+40)であることがさらに好ましい。成形温度T1(℃)が、(Tb+10)よりも低い場合は、熱可塑性樹脂(b)が溶融しないことがあり、また(Tb+50)よりも高い場合は、熱可塑性樹脂(b)の分解及び中間基材(A)の熱硬化性樹脂(a)の反応を制御することが難しいことがある。
本発明の工程(II)において、工程(I)で得られた中間体をTb未満の温度で、熱可塑性樹脂(b)を固化させることにより基材(B)を成形することができる。この工程(II)により、熱可塑性樹脂(b)を含む基材(B)が寸法精度良く固化し、得られる積層体の寸法精度も高くなる。また、工程(I)の後にTb未満の温度で固化させるため、熱可塑性樹脂(b)を固化させる前に積層体の厚さを制御することが容易になる。工程(II)を経ないで積層体を製造した場合、熱可塑性樹脂(b)を寸法精度良く固化させることが難しく、その結果得られる積層体の寸法精度が悪くなりがちである。同様に、工程(II)においてTb以上の温度でプレスする場合も、熱可塑性樹脂(b)を寸法精度良く固化させることが難しく、その結果得られる積層体の寸法精度が悪くなりがちである。かかる観点から、工程(II)の前に工程(I)で得られた中間体をTb以上の温度に加熱する予熱工程を含むことが、工程(II)での熱可塑性樹脂(b)を固化させるまでの時間を長くできる観点から好ましい。そのような予熱工程としては、オーブンでの加熱、プラテンでの加熱、遠赤外線ヒーターでの加熱、プレス装置の熱盤での加熱などが挙げられる。
工程(II)におけるプレス圧力としては、工程(I)におけるプレス圧力よりも低いことが、エネルギー消費と積層体の寸法精度の観点から好ましい。工程(II)は熱可塑性樹脂(b)を固化させるプレス工程であるため、プレス圧力は高い必要はなく、得られる積層体の寸法精度を高く制御できるプレス圧力であることが好ましい。
工程(II)における成形温度T2(℃)は、(Tb−120)≦T2≦(Tb−20)であることが熱可塑性樹脂(b)を含む基材(B)の熱可塑性樹脂が寸法精度良く固化できる観点から好ましく、(Tb−50)≦T2≦(Tb−20)であることがさらに好ましい。成形温度T2(℃)が、(Tb−120)よりも低い場合は、熱可塑性樹脂(b)の固化が早く進み、得られる積層体の寸法精度が低下することがあり、また(Tb−20)よりも高い場合は、熱可塑性樹脂(b)を固化することができず寸法精度の高い積層体を得るのが難しいことがある。
本発明で用いるプリフォームの積層構成としては、特に制限はなく、例えば、中間基材(A)/基材(B)の積層構成、中間基材(A)/基材(B)/中間基材(A)の積層構成、中間基材(A)/基材(B)/基材(B)の積層構成、中間基材(A)/基材(B)/中間基材(A)/基材(B)/中間基材(A)の積層構成、中間基材(A)/基材(B)/中間基材(A)/基材(B)の積層構成などを用いることができる。中でも最外層の少なくとも片面に中間基材(A)を配置してなるプリフォームや、最外層の両面に中間基材(A)を配置してなるプリフォームを用いることが、プレス成形にて最外層の熱硬化性樹脂が硬化することによる積層体の成形性と外観の観点から好ましい。
本発明で用いる熱硬化性樹脂(a)としては特に制限はなく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリイミド樹脂、オキセタン樹脂、マレイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂などを好ましく用いることができる。これらは、2種以上をブレンドした樹脂などを適用しても良い。この中でも、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂が積層体の力学特性、耐熱性の観点から好ましい。特に、エポキシ樹脂は、積層体の力学特性や、耐熱性に加え取扱性の観点からより好ましい。エポキシ樹脂は、その優れた力学特性を発現するために、使用する樹脂の主成分として含まれるのが好ましく、具体的には樹脂組成物当たり60重量%以上含まれることが好ましい。
エポキシ樹脂は、アミン類、フェノール類、炭素−炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物であればこれを用いることができる。硬化剤としては、アミノ基、酸無水物基およびアジド基を有する化合物が適している。硬化剤としては、より具体的には、例えば、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタンやジアミノジフェニルスルホンの各種異性体、アミノ安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリフェノール化合物、イミダゾール誘導体、脂肪族アミン、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリメルカプタンおよび三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などが挙げられる。これらの硬化剤は、単独で使用しても併用してもよい。
芳香族ジアミンを硬化剤として用いることにより、耐熱性の良好な硬化樹脂が得られる。特に、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体は、耐熱性の良好な硬化樹脂を得るため最も適している。芳香族ジアミンを硬化剤の添加量は、化学量論的に当量となるように添加することが好ましいが、場合によって、例えば、当量比0.7〜0.8付近を用いることにより高弾性率の硬化樹脂が得られる。
また、ジシアンジアミドと、尿素化合物、例えば、3,4−ジクロロフェニル−1,1−ジメチルウレアとの組合せ、あるいはイミダゾール類を硬化剤として用いることにより、比較的低温で硬化しながら高い耐熱耐水性が得られる。酸無水物を用いて硬化することは、アミン化合物硬化に比べ吸水率の低い硬化樹脂を与える。その他、これらの硬化剤を潜在化したもの、例えば、マイクロカプセル化したものを用いることができる。
エポキシ樹脂の硬化剤の中でも、ジシアンジアミドと尿素化合物の組み合わせが、145℃以上の温度で10分以内に硬化することが可能なため、好ましく用いられる。
また、これらエポキシ樹脂と硬化剤、あるいはそれらの一部を予備反応させた物を組成物中に配合することもできる。この方法は、粘度調節や保存安定性向上に有効である場合がある。
上記熱硬化性樹脂(a)に、熱可塑性樹脂を溶解して用いることも好適である。このような熱可塑性樹脂としては、一般に、主鎖に、炭素−炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、チオエーテル結合、スルホン結合およびカルボニル結合から選ばれた結合を有する熱可塑性樹脂であることが好ましいが、部分的に架橋構造を有していても差し支えない。また、結晶性を有していても非晶性であってもよい。特に、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フェニルトリメチルインダン構造を有するポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリエーテルニトリルおよびポリベンズイミダゾールからなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂が、熱硬化性樹脂(a)に、溶解していることが好適である。
本発明で用いる熱硬化性樹脂(a)を含む中間基材(A)としては特に制限はなく、例えば、熱硬化性樹脂(a)のみの中間基材、熱硬化性樹脂(a)にフィラーを添加した中間基材などの中間基材を用いることができる。フィラーとしては、連続した強化繊維、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、クレー、ガラスフレーク、カテキン、ゼオライト、シリカバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、黒鉛、金属粉、金属箔、フェライト材料、アルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラスビーズ、アルミナ、酸化アンチモン、ハイドロタルサイト、赤燐、炭酸亜鉛、酸化カルシウムなどが挙げられる。中でも連続した強化繊維を含む中間基材が成形性の観点から好ましい。
連続した強化繊維の強化繊維としては、特に制限はなく、例えば、アルミニウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維などの金属繊維や、PAN系他炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維の炭素繊維や、黒鉛繊維や、ガラス繊維などの絶縁性繊維や、アラミド繊維、PBO繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維などの有機繊維や、シリコンカーバイト繊維、シリコンナイトライド繊維などの無機繊維が挙げられる。また、これらの繊維に表面処理が施されているものであってもよい。表面処理としては、導電体として金属の被着処理のほかに、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、結束剤による処理、添加剤の付着処理などがある。また、これらの強化繊維は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、軽量化効果の観点から、比強度、比剛性に優れるPAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などの炭素繊維が好ましく用いられる。また、得られる積層体の経済性を高める観点からは、ガラス繊維が好ましく用いられ、とりわけ力学特性と経済性のバランスから炭素繊維とガラス繊維を併用することが好ましい。さらに、得られる積層体の衝撃吸収性や賦形性を高める観点からは、アラミド繊維が好ましく用いられ、とりわけ力学特性と衝撃吸収性のバランスから炭素繊維とアラミド繊維を併用することが好ましい。また、得られる積層体の導電性を高める観点からは、ニッケルや銅やイッテルビウムなどの金属を被覆した強化繊維を用いることもできる。これらの中で、強度と弾性率などの力学的特性に優れるPAN系炭素繊維をより好ましく用いることができる。
また、連続した強化繊維の引張弾性率としては、積層体の剛性の点から好ましくは200〜1000GPa、より好ましくは230〜800GPaの範囲内であるものが使用できる。連続した強化繊維の引張弾性率が、200GPaよりも小さい場合は、積層体の剛性が劣る場合があり、1000GPaよりも大きい場合は、強化繊維の結晶性を高める必要があり、強化繊維を製造するのが困難となることがある。連続した強化繊維の引張弾性率が、前記範囲内であると積層体の更なる剛性向上、強化繊維の製造性向上の点で好ましい。なお、強化繊維の引張弾性率は、JIS R7601−1986に記載のストランド引張試験により測定することができる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂(b)としては特に制限はなく、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、液晶ポリエステル等のポリエステル樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂などのポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などのフッ素系樹脂、液晶ポリマー樹脂などの結晶性樹脂、ポリスチレン樹脂の他、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂などの非晶性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、更にポリスチレン樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリアミド樹脂系、ポリブタジエン樹脂系、ポリイソプレン樹脂系、フッ素系樹脂、およびポリアクリロニトリル樹脂系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体および変性体等から選ばれる熱可塑性樹脂が挙げられる。中でも、得られる積層体の軽量性の観点からはポリオレフィン樹脂が好ましく、強度の観点からはポリアミド樹脂が好ましく、表面外観の観点からポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
前記群に例示された熱可塑性樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲で、エラストマーあるいはゴム成分などの耐衝撃性向上剤、他の充填材や添加剤を含有しても良い。これらの例としては、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、あるいは、カップリング剤が挙げられる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂(b)を含む基材(B)としては特に制限はなく、例えば、熱可塑性樹脂(b)のみの基材、発泡構造を有する基材や、熱可塑性樹脂(b)にフィラーを添加した基材などを用いることができる。中でも発泡構造を有する基材が積層体の軽量性の観点から好ましい。
なお、発泡構造を有する基材とは、発泡構造を有する基材中の空隙の体積含有率が1〜99%である基材を意味し、基材中の空隙の体積含有率は、比重測定、X線検査装置(コンピューター断層撮影)(X線CT)、水銀圧入法により測定することができる。
フィラーとしては、強化繊維、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、クレー、ガラスフレーク、カテキン、ゼオライト、シリカバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、黒鉛、金属粉、金属箔、フェライト材料、アルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラスビーズ、アルミナ、酸化アンチモン、ハイドロタルサイト、赤燐、炭酸亜鉛、酸化カルシウムなどが挙げられる。
発泡構造を有する基材としては、フィラーの中で強化繊維によるスプリングバックによるものを含む基材が積層体の剛性と軽量性の観点から好ましい。強化繊維によるスプリングバックとは、加熱により熱可塑性樹脂の不連続の強化繊維に対する結合力が弱まるため、強化繊維の残留応力が解放されて、元に戻ろうとする力により膨張し発泡構造を形成することを示す。
強化繊維の繊維長としては、15mm未満である強化繊維がフィラーとして混練が容易となる観点から好ましい。この強化繊維は、繊維長が10mmを越え15mm未満である強化繊維が0〜50重量%、繊維長が2〜10mmである強化繊維が50〜100重量%、繊維長が2mm未満である強化繊維が0〜50重量%から構成されることが好ましく、10mmより長く15mm未満である強化繊維が50重量%を越えると、積層工程ないし成形工程での厚さ膨張が大きくなり取扱い性を損なう場合がある。また、繊維長が2mm未満である強化繊維が50重量%を越えると、得られる強化繊維基材の力学特性が低下する場合がある。これらの観点から、かかる強化繊維群は、より好ましくは、繊維長が8mmを越え15mm未満である強化繊維が0〜20重量%、繊維長が3〜8mmである強化繊維が80〜100重量%、繊維長が3mm未満である強化繊維が0〜20重量%から構成される。また、強化繊維群における繊維長の分布が少なくとも2つのピークを有し、一方のピークが繊維長5〜10mmの範囲内にあり、もう一方のピークが2mm以上5mm未満の範囲内にあるようにすることも好ましい。このような繊維長の分布を有する強化繊維群とすることで、力学特性を確保する強化繊維と、積層工程ないし成形工程でのプリフォームの取扱い性を確保する強化繊維とを併用でき、両方の特性を容易に両立することができる。なお、ここでの強化繊維の重量割合は、強化繊維群における全体の繊維本数を100%としたときの、各繊維長での数平均での繊維本数の割合を表す。
強化繊維の繊維長を測定する方法としては、例えば、強化繊維群から直接強化繊維を摘出して顕微鏡観察により測定する方法がある。強化繊維群に熱可塑性樹脂が付着している場合には、強化繊維群から、それに含まれる樹脂のみを溶解する溶剤を用いて樹脂を溶解させ、残った強化繊維を濾別して顕微鏡観察により測定する方法(溶解法)や、樹脂を溶解する溶剤がない場合には、強化繊維が酸化減量しない温度範囲において熱可塑性樹脂のみを焼き飛ばし、強化繊維を分別して顕微鏡観察により測定する方法(焼き飛ばし法)などがある。強化繊維群から強化繊維を無作為に400本選び出し、その長さを1μm単位まで光学顕微鏡にて測定し、繊維長とその割合を求めることができる。なお、強化繊維群から直接強化繊維を摘出する方法と、焼き飛ばし法や溶解法で強化繊維を摘出する方法とを比較した場合、条件を適切に選定することで、得られる結果に特別な差異を生じることはない。これらの測定方法の中で溶解法を採用するのが、強化繊維の重量変化が少ない点で好ましい。
また、強化繊維の引張弾性率としては、前述の連続した強化繊維の引張弾性率と同様のものを用いることができる。
基材(B)における強化繊維の体積含有率としては、基材(B)の体積当たり1〜40%であることが好ましく、軽量性と力学特性の両立の観点から3〜10%がさらに好ましい。強化繊維の体積含有率が、1%よりも少ないと積層体の剛性が不足することがあり、40%を越えると積層体の比重が大きくなることがある。得られる積層体の力学特性に合わせて、基材(B)における強化繊維の体積含有率を調整することが好ましい。ここで、基材(B)の体積には、強化繊維の体積、熱可塑性樹脂(b)の体積、空隙の体積を含む。基材(B)の体積や、それを構成する強化繊維の体積、熱可塑性樹脂(b)の体積、空隙の体積は、X線検査装置(コンピューター断層撮影)(X線CT)により測定することができる。
基材(B)の熱可塑性樹脂(b)の体積含有率としては、基材(B)の体積当たり10〜100%であることが好ましく、軽量性と力学特性の両立の観点から10〜40%がさらに好ましい。熱可塑性樹脂(b)の体積含有率が、10%よりも少ないと剛性に不足することがある。得られる積層体の力学特性に合わせて、基材(B)の熱可塑性樹脂(b)の体積含有率を調整することが好ましい。
基材(B)の発泡構造中の空隙の体積含有率としては、基材(B)の体積当たり10〜85%であることが好ましく、20〜85%であることがより好ましく、軽量性と力学特性の両立の観点から50〜80%であることがさらに好ましい。基材(B)が発泡構造で空隙を含むことで、得られる積層体としても軽量性に優れるため好ましい。
本発明において、基材(B)の厚さは、0.2〜10mmの範囲内であることが積層体の成形性の観点から好ましく、0.2〜1mmの範囲内であることが積層体の成形性と軽量性の観点からさらに好ましい。基材(B)の厚さが0.2mmよりも小さくなると積層および成形の工程が困難となることがあり、また10mmを超えると成形時に積層体の中央部への熱伝導が悪くなることがある。
また、本発明において、基材(B)の厚さが実質的に一定であることが積層体を寸法精度良く成形する観点から好ましい。また、基材(B)の厚さが実質的に一定であれば、得られる積層体において不良品が生じにくくなり得られる積層体の量産性も向上する点から好ましい。
また、本発明において、基材(B)の厚さが実質的に偏肉している部位を有していることが複雑形状の積層体を成形する観点から好ましい。厚さが実質的に偏肉している部位としては、例えばリブ部やボス部、また湾曲した部位、段差のある部位などが挙げられる。
次に、本発明の積層体について、さらに詳細に説明する。
本発明の積層体は、基材(B)に用いられる熱可塑性樹脂の一部が中間基材(A)に含浸していることが好ましく、含浸部位の距離が基材(B)から10μm以上であることが、基材(B)と中間基材(A)の接着強度の観点から好ましく、15μm以上であることがより好ましい。最大含浸距離の測定方法は、積層体の断面観察により中間基材(A)と基材(B)の界面を観察することで、中間基材(A)に含浸している基材(B)に用いられる熱可塑性樹脂(b)の含浸距離を測定することができる。
また、本発明の積層体の構成としては、プリフォームの最外層の片面に中間基材(A)を配置して製造された図1、図2に示す積層体や、プリフォームの最外層の両面に中間基材(A)を配置して製造された図3、図4に示す積層体が、積層工程が複雑でない点で好ましい。また、図2や図4で示す積層体にさらに中間基材(A)と基材(B)の積層数を増加させた積層体も挙げられる。中間基材(A)と基材(B)はそれぞれ交互に積層してもよく、連続で積層してもよい。
本発明の方法で製造される積層体の用途としては、例えば、「パソコン、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、ファクシミリ、コンパクトディスク、ポータブルMD、携帯用ラジオカセット、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカメラ、デジタルビデオカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品などの筐体、トレイ、シャーシ、内装部材、またはそのケース」などの電気、電子機器部品、「支柱、パネル、補強材」などの土木、建材用部品、「各種メンバ、各種フレーム、各種ヒンジ、各種アーム、各種車軸、各種車輪用軸受、各種ビーム、プロペラシャフト、ホイール、ギアボックスなどの、サスペンション、アクセル、またはステアリング部品」、「フード、ルーフ、ドア、フェンダ、トランクリッド、サイドパネル、リアエンドパネル、アッパーバックパネル、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種メンバ、各種フレーム、各種ビーム、各種サポート、各種レール、各種ヒンジなどの、外板、またはボディー部品」、「バンパー、バンパービーム、モール、アンダーカバー、エンジンカバー、整流板、スポイラー、カウルルーバー、エアロパーツなど外装部品」、「インストルメントパネル、シートフレーム、ドアトリム、ピラートリム、ハンドル、各種モジュールなどの内装部品」、または「モーター部品、CNGタンク、ガソリンタンク、燃料ポンプ、エアーインテーク、インテークマニホールド、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、各種配管、各種バルブなどの燃料系、排気系、または吸気系部品」などの自動車、二輪車用構造部品、「その他、オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、エンジン冷却水ジョイント、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、ディストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、バッテリートレイ、ATブラケット、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング、プロテクター、ホーンターミナル、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ノイズシールド、スペアタイヤカバー、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、スカッフプレート、フェイシャー」、などの自動車、二輪車用部品、「ランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブ」などの航空機用部品が挙げられる。力学特性の観点からは、自動車内外装、電気・電子機器筐体、自転車、スポーツ用品用構造材、航空機内装材、輸送用箱体に好ましく用いられる。なかでも、とりわけ複数の部品から構成されるモジュール部材に好適である。
以下、実施例によって、本発明について、より具体的に説明する。
実施例で用いた各種材料(中間基材(A)の熱硬化性樹脂(a)とフィラー、基材(B)の熱可塑性樹脂(b)とフィラー)、および各種特性の測定方法(熱硬化性樹脂(a)の硬化度の測定方法、積層体の量産性の評価方法、積層体の寸法精度の評価方法)を、次に示す。積層体の作製環境および評価は、特に断りのない限り、温度25℃±2℃、相対湿度50%の雰囲気で行ったものである。また、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
<熱硬化性樹脂(a)>
・エポキシ樹脂(ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“jER”(登録商標)4007P(ジャパンエポキシレジン(株)製))を35質量部、トリグリシジル−p−アミノフェノール(“アラルダイド”(登録商標)MY0510(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製))を35質量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“エピクロン”(登録商標)830(DIC(株)製))を30質量部、ジシアンジアミド(硬化剤、DICY−7、三菱化学(株)製)を5質量部、“ビニレック”(登録商標)PVF−K(ポリビニルホルマール)(チッソ(株)製))を3質量部、硬化補助剤としてDCMU99(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、硬化促進剤(保土ヶ谷化学工業(株)製))を3質量部用いて、エポキシ樹脂を調整した。)。
・フェノール樹脂(フェノール樹脂(“ショウノール”(登録商標)BRL−707(昭和電工(株)製)100質量部と硬化剤FRH−136(昭和電工(株)製)20質量部を用いて、フェノール樹脂を調整した。)。
・ビニルエステル樹脂(ビニルエステル樹脂(“リポキシ”(登録商標)R−802(昭和電工(株)製)100質量部と硬化剤TBPB(t−ブチルパーオキシベンゾエート)(“パーブチル”(登録商標)Z(日油(株)製))0.5質量部を用いて、ビニルエステル樹脂を調整した。)。
<中間基材(A)のフィラー>
・連続した炭素繊維(アクリロニトリル99モル%とイタコン酸1モル%からなる共重合体を紡糸し、焼成し、総フィラメント数12,000本、比重1.8、ストランド引張強度4.6GPa、ストランド引張弾性率230GPaの炭素繊維を得た。次いで、その炭素繊維を、濃度0.05モル/lの硫酸水溶液を電解質として、電気量を炭素繊維1g当たり3クーロンで電解表面処理した。この電解表面処理を施された炭素繊維を続いて水洗し、150℃の温度の加熱空気中で乾燥し、原料となる炭素繊維を得た。そして、“jER(登録商標)”825(ジャパンエポキシレジン(株)製)をアセトンに混合し、均一に溶解した約1質量%のアセトン溶液を得た。このアセトン溶液を用い、浸漬法により表面処理された炭素繊維に塗布した後、210℃の温度で180秒間熱処理をして、サイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して0.5質量部となるように調整した。)。
<熱可塑性樹脂(b)>
・ポリプロピレン樹脂(ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製、“プライムポリプロ”(登録商標)J106MG)を用いて、厚さ0.8mmのフィルムを作製した。樹脂の融点:169℃)。
・ポリエステル樹脂(熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー(東レ・デュポン(株)製)、“ハイトレル”(登録商標)3046を用いて、厚さ0.8mmのフィルムを作製した。樹脂の融点:160℃)。
・ポリアミド樹脂(共重合ポリアミド樹脂(東レ(株)製)、“アミラン”(登録商標)CM4000を用いて、厚さ0.8mmのフィルムを作製した。樹脂の融点:155℃)。
・発泡ポリプロピレン樹脂(無架橋低発泡ポリプロピレンシート“エフセル”(登録商標)(2倍発泡、厚さ0.8mm)(古川電気工業(株)製)。樹脂の融点:160℃)。
<基材(B)のフィラー>
・炭素繊維(連続した炭素繊維をカートリッジカッターで6mmにカットし、チョップド強化繊維を得た。その後、水と界面活性剤(ナカライテスク(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名))からなる濃度0.1重量%の分散媒を40リットル作製し、かかる分散媒を抄造装置に投入した。抄造装置は、回転翼付き攪拌機を備えた上部の抄造槽(容量30リットル)と、下部の貯水槽(容量10リットル)からなり、抄造槽と貯水槽の間には多孔支持体を設けてある。まず、かかる分散媒を攪拌機にて空気の微小気泡が発生するまで撹拌した。その後、所望の目付となるように、重量を調整したチョップド強化繊維を、空気の微小気泡が分散した分散媒中に投入して攪拌することにより、強化繊維が分散したスラリーを得た。次いで、貯水層からスラリーを吸引し、多孔支持体を介して脱水して強化繊維抄造体とした。前記抄造体を熱風乾燥機にて150℃、2時間の条件下で乾燥させ、目付100g/mの炭素繊維を得た。得られた炭素繊維において、繊維長が10mmを越え15mm未満である強化繊維が0重量%、繊維長が2〜10mmである強化繊維が95重量%、繊維長が2mm未満である強化繊維が5重量%であった。)。
(1)熱硬化性樹脂(a)の硬化度の測定方法
積層体から、プリフォームの中間基材(A)の 熱硬化性樹脂(a)の部分のみを10mgを削り出し、示差走査熱量計(DSC)Q2000(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、窒素ガス雰囲気下において、25℃〜350℃まで昇温速度10℃/分で測定し、発熱カーブより熱硬化性樹脂(a)の発熱量Q1を求めた。また、積層体を製造する前の熱硬化性樹脂(a)10mgを、示差走査熱量計(DSC)Q2000(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、窒素ガス雰囲気下において、25℃〜350℃まで昇温速度10℃/分で測定し、発熱カーブより熱硬化性樹脂(a)の発熱量Q0を求めた。ここで熱硬化性樹脂(a)の硬化度(%)は、Q1/Q0×100で求めた。
(2)積層体の量産性の評価方法
積層体の量産性は、プリフォームから積層体を連続で生産が可能な場合、および積層体を100個成形した時の不良品が4個以下の場合を○、積層体の構成部位を予め作製後に積層体を一体化し生産する場合、あるいは積層体を100個成形した時の不良品が5個以上の場合を△とした。ここで不良品は、成形後に得られた積層体の中間基材(A)と基材(B)が5mm以上ずれた積層体を形成しているものを示す。
(3)積層体の寸法精度の評価方法
積層体を縦200mm、横200mm(各厚さ)にサンプルを切り出し、任意の25箇所の厚さを測定して平均値および標準偏差を求め、変動係数を求めた。ここで厚さの変動係数(%)は、標準偏差/平均値×100で求めた。
(実施例1)
エポキシ樹脂を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して、厚さ0.2mmのエポキシ樹脂フィルムを2枚作製した。中間基材(A)としてエポキシ樹脂フィルムを基材(B)としてポリプロピレン樹脂フィルムを使用し、中間基材(A)/基材(B)/中間基材(A)の積層構成で積層した厚さ1.2mmのプリフォームを、縦300mm×横300mm×厚さ1.2mmの形状の金型に配置した。その後、190℃、30分、1MPaの圧力でプレス成形した後、金型が冷却する前に、金型を搬送し、別のプレス装置で110℃、5分、0.5MPaの圧力でプレス成形してポリプロピレン樹脂を固化させて、積層体を得た。
得られた積層体から、エポキシ樹脂を削り出し、熱硬化性樹脂の硬化度を評価した。また積層体の量産性と寸法精度を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2〜5)
中間基材(A)として熱硬化性樹脂(a)を、基材(B)として熱可塑性樹脂(b)を、工程(I)として温度を、工程(II)として温度を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体から、熱硬化性樹脂を削り出し、熱硬化性樹脂の硬化度を評価した。また積層体の量産性と寸法精度を評価した。得られた結果を表1にまとめて示す。
(実施例6)
エポキシ樹脂を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して49.5g/mの樹脂フィルムを、2枚作製した。次に、シート状に一方向に配列させた連続した炭素繊維に、上記で作製した樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧により樹脂を含浸させ、炭素繊維の目付が231g/mで、マトリックス樹脂の質量分率が30.0%の一方向プリプレグを作製し中間基材(A)とした。中間基材(A)として上記作製した一方向プリプレグを基材(B)としてポリプロピレン樹脂フィルムを使用し、中間基材(A)/基材(B)/中間基材(A)の積層構成で積層した厚さ1.2mmのプリフォームを、縦300mm×横300mm×厚さ1.2mmの形状の金型に配置した。その後、190℃、30分、1MPaの圧力でプレス成形した後、金型が冷却する前に、金型を搬送し、別のプレス装置で110℃、5分、0.5MPaの圧力でプレス成形してポリプロピレン樹脂を固化させて、積層体を得た。得られた積層体から、エポキシ樹脂を削り出し、熱硬化性樹脂の硬化度を評価した。また積層体の量産性と寸法精度を評価した。結果を表1に示す。
(実施例7)
基材(B)として熱可塑性樹脂(b)を、工程(I)として温度を、表1に示すように変更した以外は、実施例6と同様にして積層体を得た。得られた積層体から、エポキシ樹脂を削り出し、熱硬化性樹脂の硬化度を評価した。また積層体の量産性と寸法精度を評価した。結果を表1に示す。
(実施例8)
エポキシ樹脂を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して49.5g/mの樹脂フィルムを、2枚作製した。次に、シート状に一方向に配列させた連続した炭素繊維に、上記で作製した樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧により樹脂を含浸させ、炭素繊維の目付が231g/mで、マトリックス樹脂の質量分率が30.0%の一方向プリプレグを作製し中間基材(A)とした。また、目付100g/mの炭素繊維1枚を目付100g/mのポリプロピレン樹脂フィルム2枚で挟んで積層し、基材(B)とした。中間基材(A)として上記作製した一方向プリプレグを基材(B)として上記積層した基材を使用し、中間基材(A)/基材(B)/中間基材(A)の積層構成で積層した縦300mm×横300mm×厚さ0.68mmのプリフォームを作製し、縦400mm×横400mm×厚さ5mmのツール板2枚の間に配置した。その後、190℃、30分、3MPaの圧力でプレス成形した後、材料が冷却する前に、ツール板を搬送し、別のプレス装置で110℃、5分、0.5MPaの圧力で位置制御により1.2mmの厚さとなるようにプレス成形してポリプロピレン樹脂を固化させて、積層体を得た。得られた積層体は、厚さ1.2mm、基材(B)の強化繊維によるスプリングバックによる発泡倍率は2.86倍であった。得られた積層体から、エポキシ樹脂を削り出し、熱硬化性樹脂の硬化度を評価した。また積層体の量産性と寸法精度を評価した。結果を表1に示す。
(実施例9)
エポキシ樹脂を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して、厚さ0.2mmのエポキシ樹脂フィルムを2枚作製した。中間基材(A)としてエポキシ樹脂フィルムを基材(B)としてポリプロピレン樹脂フィルムを使用し、中間基材(A)/基材(B)/中間基材(A)の積層構成で積層した厚さ1.2mmのプリフォームを、縦300mm×横300mm×厚さ1.2mmの形状の金型に配置した。その後、190℃、30分、1MPaの圧力でプレス成形した後、金型をオーブンに搬送し、金型をオーブン中で180℃、10分保持後、金型が冷却する前に、金型を搬送し、別のプレス装置で110℃、5分、0.5MPaの圧力でプレス成形してポリプロピレン樹脂を固化させて、積層体を得た。得られた積層体から、エポキシ樹脂を削り出し、熱硬化性樹脂の硬化度を評価した。また積層体の量産性と寸法精度を評価した。結果を表1に示す。
(実施例10)
エポキシ樹脂を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して、厚さ0.2mmのエポキシ樹脂フィルムを2枚作製した。中間基材(A)としてエポキシ樹脂フィルムを基材(B)としてポリプロピレン樹脂フィルムを使用し、中間基材(A)/基材(B)の積層構成で積層した厚さ1.0mmのプリフォームを、縦300mm×横300mm×厚さ1.0mmの形状の金型に配置した。その後、190℃、30分、1MPaの圧力でプレス成形した後、金型が冷却する前に、金型を搬送し、別のプレス装置で110℃、5分、0.5MPaの圧力でプレス成形してポリプロピレン樹脂を固化させて、積層体を得た。得られた積層体から、エポキシ樹脂を削り出し、熱硬化性樹脂の硬化度を評価した。また積層体の量産性と寸法精度を評価した。結果を表1に示す。
(実施例11)
工程(I)として、プレス圧力を、工程(II)として、プレス圧力を、表1に示すように変更した以外は、実施例8と同様にして積層体を得た。得られた積層体から、エポキシ樹脂を削り出し、熱硬化性樹脂の硬化度を評価した。また積層体の量産性と寸法精度を評価した。結果を表1に示す。
(実施例12)
エポキシ樹脂を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して、厚さ0.2mmのエポキシ樹脂フィルムを2枚作製した。中間基材(A)としてエポキシ樹脂フィルムを基材(B)としてポリプロピレン樹脂フィルムを使用し、中間基材(A)/基材(B)/中間基材(A)と中間基材(A)/基材(B)の積層構成で積層した厚さ1.2mmと1.0mmのプリフォームをそれぞれ作製し、縦300mm×横300mm×厚さ1.2mmと縦300mm×横300mm×厚さ1.0mmを有し縦600mm×横300mm×各厚さの形状の金型に配置した。その後、190℃、30分、1MPaの圧力でプレス成形した後、金型が冷却する前に、金型を搬送し、別のプレス装置で110℃、5分、0.5MPaの圧力でプレス成形してポリプロピレン樹脂を固化させて、積層体を得た。得られた積層体から、エポキシ樹脂を削り出し、熱硬化性樹脂の硬化度を評価した。また積層体の量産性と寸法精度を評価した。積層体の寸法精度は1.2mmと1.0mmの各厚さを評価し、変動係数の平均値を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
エポキシ樹脂を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して、厚さ0.2mmのエポキシ樹脂フィルムを2枚作製した。中間基材(A)としてエポキシ樹脂フィルムを基材(B)としてポリプロピレン樹脂フィルムを使用し、中間基材(A)/基材(B)/中間基材(A)の積層構成で積層した厚さ1.2mmのプリフォームを、縦300mm×横300mm×厚さ1.2mmの形状の金型に配置した。その後、150℃、50分、3MPaの圧力でプレス成形し、積層体を得た。得られた積層体から、エポキシ樹脂を削り出し、熱硬化性樹脂の硬化度を評価した。また積層体の量産性と寸法精度を評価した。結果を表2に示す。
(比較例2)
エポキシ樹脂を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して49.5g/mの樹脂フィルムを、2枚作製した。次に、シート状に一方向に配列させた連続した炭素繊維に、上記で作製した樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧により樹脂を含浸させ、炭素繊維の目付が231g/mで、マトリックス樹脂の質量分率が30.0%の一方向プリプレグを作製し中間基材(A)とした。中間基材(A)として上記作製した一方向プリプレグを基材(B)としてポリプロピレン樹脂フィルムを使用し、中間基材(A)/基材(B)/中間基材(A)の積層構成で積層した厚さ1.2mmのプリフォームを、縦300mm×横300mm×厚さ1.2mmの形状の金型に配置した。その後、190℃、30分、1MPaの圧力でプレス成形し、積層体を得た。得られた積層体から、エポキシ樹脂を削り出し、熱硬化性樹脂の硬化度を評価した。また積層体の量産性と寸法精度を評価した。結果を表2に示す。
(比較例3)
基材(B)として熱可塑性樹脂(b)を、工程(I)として温度を、表2に示すように変更した以外は、比較例2と同様にして積層体を得た。得られた積層体から、エポキシ樹脂を削り出し、熱硬化性樹脂の硬化度を評価した。また積層体の量産性と寸法精度を評価した。得られた結果を表2に示す。
(比較例4)
エポキシ樹脂を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して49.5g/mの樹脂フィルムを、2枚作製した。次に、シート状に一方向に配列させた連続した炭素繊維に、上記で作製した樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧により樹脂を含浸させ、炭素繊維の目付が231g/mで、マトリックス樹脂の質量分率が30.0%の一方向プリプレグを作製し中間基材(A)とした。目付100g/mの炭素繊維1枚を目付100g/mのポリプロピレン樹脂フィルム2枚で挟んで積層した縦300mm×横300mm×厚さ0.28mmの基材を、縦400mm×横400mm×厚さ5mmのツール板2枚の間に配置、180℃、10分、3MPaの圧力でプレス成形した後、スペーサーの間に0.8mmのスペーサーを挿入して、100℃、5分、3MPaの圧力でプレス成形し、得られた基材を基材(B)とした。中間基材(A)として上記作製した一方向プリプレグを使用し、中間基材(A)/基材(B)/中間基材(A)の積層構成で積層した縦300mm×横300mm×厚さ0.68mmのプリフォームを作製し、縦400mm×横400mm×厚さ5mmのツール板2枚の間に配置した。その後、190℃、30分、3MPaの圧力でプレス成形し、室温で放置後に積層体を得た。得られた積層体は、厚さ1.38mm、基材(B)の強化繊維によるスプリングバックによる発泡倍率は3.5倍であった。得られた積層体から、エポキシ樹脂を削り出し、熱硬化性樹脂の硬化度を評価した。また積層体の量産性と寸法精度を評価した。結果を表2に示す。
(比較例5)
エポキシ樹脂を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して、厚さ0.2mmのエポキシ樹脂フィルムを2枚作製した。中間基材(A)としてエポキシ樹脂フィルムを基材(B)としてポリプロピレン樹脂フィルムを使用し、中間基材(A)/基材(B)/中間基材(A)の積層構成で積層した厚さ1.2mmのプリフォームを、縦300mm×横300mm×厚さ1.2mmの形状の金型に配置した。その後、190℃、30分、1MPaの圧力でプレス成形した後、金型が冷却する前に、金型を搬送し、別のプレス装置で170℃、5分、1MPaの圧力でプレス成形し、積層体を得た。得られた積層体から、エポキシ樹脂を削り出し、熱硬化性樹脂の硬化度を評価した。また積層体の量産性と寸法精度を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2016049716
Figure 2016049716
実施例1〜12と比較例1〜4との対比により、本発明の製造方法により得られた積層体は、量産性良く、また寸法精度に優れていることがわかる。これは、2回の断続したプレス成形工程を含み、工程(II)のプレス成形により熱可塑性樹脂を精度良く固化できることから、積層体の寸法精度が制御できたためであるといえる。
本発明の積層体の製造方法によれば、量産性良く、寸法精度に優れた積層体を製造することができる。よって、本発明で得られた積層体は、自動車内外装、電気・電子機器筐体、自転車、スポーツ用品用構造材、航空機内装材、輸送用箱体、などの幅広い用途に好適に用いることができる。
1、3、5、7、9、10、12、14 中間基材(A)
2、4、6、8、11、13 基材(B)

Claims (16)

  1. 熱硬化性樹脂(a)を含む中間基材(A)と、熱可塑性樹脂(b)を含む基材(B)とを積層してなるプリフォームを、プレス成形にて一体成形する積層体の製造方法において、少なくとも以下の2回の断続したプレス工程(工程(I)(II))を含む積層体の製造方法。
    工程(I):Tb以上の温度で加熱し、熱硬化性樹脂(a)の硬化度を80〜100%まで硬化させて中間体を得るプレス工程
    工程(II):工程(I)で得られた中間体をTb未満の温度で、熱可塑性樹脂(b)を固化させるプレス工程
    ここで、Tb(℃)は、熱可塑性樹脂(b)の融点またはガラス転移温度のうち高い方の温度を示す。
  2. 前記プリフォームが、最外層の少なくとも片面に中間基材(A)を配置してなるものである、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記プリフォームが、最外層の両面に中間基材(A)を配置してなるものである、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  4. 中間基材(A)が連続した強化繊維を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  5. 基材(B)が発泡構造を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  6. 前記発泡構造として、強化繊維によるスプリングバックによるものを含む、請求項5に記載の積層体の製造方法。
  7. 基材(B)の厚さが0.2〜10mmの範囲内である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  8. 基材(B)の厚さが、実質的に一定 である、請求項1〜7のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  9. 前記積層体は、基材(B)の厚さが実質的に偏肉している部位を有している、請求項1〜7のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  10. 前記工程(I)で得られた中間体をTb以上の温度に加熱する予熱工程を、工程(II)の前に含む、請求項1〜9のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  11. 前記工程(I)におけるプレス圧力が0.5〜10MPaである、請求項1〜10のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  12. 前記工程(II)におけるプレス圧力が、前記工程(I)におけるプレス圧力よりも低い、請求項1〜11のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  13. 前記工程(I)の成形温度T1(℃)が、(Tb+10)≦T1≦(Tb+50)である、請求項1〜12のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  14. 前記工程(II)の成形温度T2(℃)が、(Tb−120)≦T2≦(Tb−20)である、請求項1〜13のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  15. 熱硬化性樹脂(a)が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびビニルエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂である、請求項1〜14のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  16. 熱可塑性樹脂(b)が、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリアミド樹脂から群から選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂である、請求項1〜15のいずれかに記載の積層体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019155850A (ja) * 2018-03-16 2019-09-19 住友ベークライト株式会社 複合材料

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