JP2018177648A - 多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤及び腫瘍化抑制方法 - Google Patents

多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤及び腫瘍化抑制方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018177648A
JP2018177648A JP2017074187A JP2017074187A JP2018177648A JP 2018177648 A JP2018177648 A JP 2018177648A JP 2017074187 A JP2017074187 A JP 2017074187A JP 2017074187 A JP2017074187 A JP 2017074187A JP 2018177648 A JP2018177648 A JP 2018177648A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pluripotent stem
cells
stem cells
tumorigenesis
iron
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017074187A
Other languages
English (en)
Inventor
利章 大原
Toshiaki Ohara
利章 大原
佑貴 桂
Yuki Katsura
佑貴 桂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2017074187A priority Critical patent/JP2018177648A/ja
Publication of JP2018177648A publication Critical patent/JP2018177648A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

【課題】多能性幹細胞の腫瘍化を抑制する。【解決手段】鉄キレート剤を含む多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤。【選択図】図4

Description

本発明は、多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤及び腫瘍化抑制方法に関する。
iPS細胞は人間の皮膚などの体細胞に、山中因子と名付けられた少数の遺伝子を導入し、培養することによって、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力を持たせた人工の多能性幹細胞である。現在では、iPS細胞から角膜や心筋細胞に誘導させた細胞を実際に臨床で移植する研究が進められている。iPS細胞を用いた再生医療は人工臓器のみならず新薬開発への応用など、様々な応用が見込まれている。
一方で移植した細胞の腫瘍化は大きな問題であり、iPS細胞由来の心筋細胞を移植する場合に、事前に抗体(CD30)で腫瘍化する可能性のある細胞を除去することが提案されている(特許文献1)。
WO2016072519 A1
細胞の腫瘍化には未分化性が大きく関わるとされているが、外から多能性幹細胞の未分化性を薬剤などで制御する方法は確立されていない。そのため、多能性幹細胞を移植した後に、腫瘍化を防ぐ具体的な手立ては事実上ない。
本発明は、iPS細胞などの多能性幹細胞の腫瘍化を抑制する技術を提供することを目的とする。
本発明は、以下の多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤及び腫瘍化抑制方法を提供するものである。
項1. 鉄キレート剤を含む多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤。
項2. 多能性幹細胞がiPS細胞である、項1に記載の多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤。
項3. 多能性幹細胞を鉄キレート剤と接触させる工程を含む、iPS細胞の腫瘍化を抑制する方法。
項4. 多能性幹細胞がiPS細胞である、項3に記載の方法。
本発明によれば、iPS細胞などの多能性幹細胞を鉄キレート剤と接触させることで、腫瘍化を抑制できる。鉄キレート剤は、多能性幹細胞の腫瘍化を抑制することができるので、多能性幹細胞又はそれから分化された細胞移植時の腫瘍形成を抑制することができる。
未分化マーカーの発現 鉄キレート剤処理または非処理(control)マウスiPS細胞のGFPの発現 スフェロイド形成能の抑制が細胞死を伴わないことを示す。 鉄キレート剤処理されたマウスiPS細胞のin vivo腫瘍化抑制
本発明において、多能性幹細胞としては、2種以上の細胞に分化可能な幹細胞であれば特に限定されないが、好ましくはiPS細胞、ES細胞が挙げられ、より好ましくはiPS細胞が挙げられる。
多能性幹細胞は、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ヤギ、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、ウシ、ウマ、ブタなどの哺乳動物由来のものが挙げられ、マウス、ラット、ヒト由来の多能性幹細胞が好ましく例示され、ヒト由来の多能性幹細胞が最も好ましい。
本発明において、多能性幹細胞の腫瘍化の抑制剤及び抑制方法は、多能性幹細胞から分化した細胞と多能性幹細胞を含む細胞集団において、多能性幹細胞の腫瘍化を抑制し、前記細胞集団を移植材料として使用したときの腫瘍形成を抑制するために使用することができる。細胞集団は、それ自体が移植材料となるものであってもよく、さらなる処理により移植材料に導くための前駆体であってもよい。さらなる処理としては、さらに分化誘導を行ってもよく、シート、足場材料などに播種してもよく、血管形成、他の移植材料との組み合わせなどであってもよい。本発明の腫瘍化抑制剤は、処理対象となる細胞集団に含まれる多能性幹細胞から分化した細胞に対する影響は実質的になく、多能性幹細胞の腫瘍化を選択的に抑制できるので、多能性幹細胞から調製された移植材料の機能が損なわれることはない。したがって、多能性幹細胞を分化誘導した移植材料(組織、器官、シート、二次元もしくは三次元培養物などを含む細胞集団)をヒトを含む被験体に移植したときに腫瘍形成のリスクを抑制できる。
本発明の多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤は、多能性幹細胞のスフェロイド形成能を低下させるが、この作用は細胞死によるものではない。ここで、スフェロイドとは、細胞同士が集合・凝集化した球状の細胞集合体のことを指し、スフェロイドを形成する事は多能性幹細胞の重要な機能の1つである。
本発明の多能性幹細胞抑制剤の有効成分は鉄キレート剤である。鉄キレート剤は、鉄イオン(Fe2+, Fe3+)とキレートすることで鉄イオンの体外への排出を促進することができる。このような鉄キレート剤としては、鉄とキレート可能な任意の鉄キレート剤が使用でき、好ましくは鉄イオンに対して選択的もしくは特異的にキレート可能なキレート剤が挙げられる。
鉄キレート剤は、特に限定されないが、具体例としてはデフェロキサミン、デフェラシロクス、デフェリプロン、デフェリポン、S−DFO、PIHなどの経口で活性な3座キレート剤、第2世代のヒドロキシピリドン(HBEDなど)、トリアゾールファミリーの3座キレート剤(例えばICL−670)などの公知の鉄キレート剤を使用することができ、今後開発される任意の鉄キレート剤を全て使用することができる。
多能性幹細胞の腫瘍化抑制方法は、多能性幹細胞を含む移植材料などの細胞集団を鉄キレート剤と接触させる工程を含む。多能性幹細胞を含む細胞集団を鉄キレート剤を含む培養液と接触させることにより、多能性幹細胞による腫瘍化を抑制することができる。接触は、例えば細胞集団の培養液に鉄キレート剤を添加することにより行うことができる。前記接触工程の持続時間は、好ましくは1〜96時間程度、より好ましくは6〜84時間程度、さらに好ましくは12〜72時間程度、特に好ましくは24〜48時間程度であり、培養液中の鉄キレート剤の濃度は、好ましくは1〜300μM程度、より好ましくは5〜200μM程度、さらに好ましくは10〜150μM程度、特に好ましくは30〜100μM程度、特に好ましくは40〜50μM程度である。
前記細胞集団を鉄キレート剤と接触させることにより、多能性幹細胞の腫瘍化は非可逆的に抑制され、前記細胞集団をヒトを含む哺乳動物に移植した場合でも腫瘍化は抑制される。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。
実施例1
マウスiPS細胞をデフェラシロクス(DFX)50μMを含む培養液で48時間処理するとNanogをはじめとする未分化マーカーの抑制が認められた。その後、FBS(ウシ胎児血清)1%下でトランスフェリン(50μg/ml)を投与した条件とFBS15%の条件で培養し、細胞数が再度ある程度増えた状況(72時間後)で蛋白を回収した。Nanogをはじめとする未分化マーカーはデフェラシロクス処理により発現が低下し、トランスフェリン投与、FBS15%で再度培養してもそれらは再度発現する事はなかった(図1)。これにより、一度鉄キレート剤に曝されたマウスiPS細胞は、その強い刺激により未分化性を失い、再度鉄を付加しても、その特性は失われたままである事が明らかとなった。図1において、controlはデフェラシロクスを含まない培養液で培養したiPS細胞の結果であり、Transferrin(FBS1%)は、DFX)50μM で処理されたマウスiPS細胞をFBS1%下でトランスフェリン(50μg/ml)を含む培養液で引き続き処理した結果であり、FBS15%は、FBS(15%)かつDFXフリーの培養液でDFX)50μM で処理されたマウスiPS細胞を処理した結果である。
実施例2
未分化マーカーを抑制したiPS細胞の機能を検討するために、スフェロイド形成能を検討した。
Nanogプロモーターの制御下にGFP遺伝子を組み込んだマウスiPS細胞をデフェラシロクス(DFX)50μMを含む培養液で48時間処理し、スフェロイドの形成能を蛍光顕微鏡により評価した。結果を図2に示す。
図2に示すように、鉄キレート剤(Deferasirox 50μM)を投与すると、マウスiPS細胞のスフェロイドの形成能は低下し、細胞がばらけた形で存在するようになった。
さらに、スフェロイドの形成能の低下が細胞死によらない事を明らかにするために細胞死アッセイ(LIVE/DEA Assay)にて死細胞がない(図3でDead cellの項で赤い細胞の出現がない)事を確認した。
実施例3
実際に腫瘍化が抑制されるかをヌードマウスに、DFX (50μM)を処理したマウスiPS細胞を5×105皮下に移植し、腫瘍の生着について観察を行った。2週間観察すると、DFXで処理されていないマウスiPS細胞(control)では腫瘍を形成したが、DFXで処理すると腫瘍としての成長は認められなかった(図4)。さらに免疫染色で未分化マーカーであるNanogの発現が抑制されている事を確認した。

Claims (4)

  1. 鉄キレート剤を含む多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤。
  2. 多能性幹細胞がiPS細胞である、請求項1に記載の多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤。
  3. 多能性幹細胞と分化した細胞を含む細胞集団を鉄キレート剤と接触させる工程を含む、多能性幹細胞の腫瘍化を抑制する方法。
  4. 多能性幹細胞がiPS細胞である、請求項3に記載の方法。
JP2017074187A 2017-04-04 2017-04-04 多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤及び腫瘍化抑制方法 Pending JP2018177648A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017074187A JP2018177648A (ja) 2017-04-04 2017-04-04 多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤及び腫瘍化抑制方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017074187A JP2018177648A (ja) 2017-04-04 2017-04-04 多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤及び腫瘍化抑制方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018177648A true JP2018177648A (ja) 2018-11-15

Family

ID=64282547

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017074187A Pending JP2018177648A (ja) 2017-04-04 2017-04-04 多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤及び腫瘍化抑制方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018177648A (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012133674A1 (ja) * 2011-03-29 2012-10-04 国立大学法人 鹿児島大学 幹細胞における腫瘍化原因細胞の除去方法
WO2014157703A1 (ja) * 2013-03-29 2014-10-02 国立大学法人三重大学 生体染色剤
JP2016071505A (ja) * 2014-09-29 2016-05-09 富士フイルム株式会社 細胞情報取得装置および方法並びにプログラム

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012133674A1 (ja) * 2011-03-29 2012-10-04 国立大学法人 鹿児島大学 幹細胞における腫瘍化原因細胞の除去方法
WO2014157703A1 (ja) * 2013-03-29 2014-10-02 国立大学法人三重大学 生体染色剤
JP2016071505A (ja) * 2014-09-29 2016-05-09 富士フイルム株式会社 細胞情報取得装置および方法並びにプログラム

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
"[WS7-1] ワークショップ7-1 外科における基礎的研究(セレンディピティーを求めて)", 第71回日本消化器外科学会総会予稿集, JPN6021004312, 2016, pages 1 - 3, ISSN: 0004526830 *
"Iron control is a novel therapeutic target of cancer stem cells", CANCER RES, vol. Vol.75, No.15, Suppl.1, JPN6021004313, 2015, pages 4243, ISSN: 0004526831 *
PLOS ONE, vol. Vol.7, No.4, e33544, JPN6021022830, 2012, pages 1 - 9, ISSN: 0004526832 *

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Drela et al. Experimental strategies of mesenchymal stem cell propagation: adverse events and potential risk of functional changes
JP6869231B2 (ja) ex vivoでの上皮細胞の増殖
EP3517118B1 (en) Sperm activator and uses thereof
JP2022532926A (ja) 幹細胞/前駆体の固形器官へのパッチ移植
WO2015166638A1 (ja) Cd82陽性心筋前駆細胞
WO2006066320A1 (en) Differentiation of human embryonic stem cells and cardiomyocytes and cardiomyocyte progenitors derived therefrom
JPWO2016148216A1 (ja) 肝細胞及び肝非実質細胞、並びにそれらの調製方法
WO2021054449A1 (ja) Lbm、cpc、opc、それらの調製方法及び品質管理方法、キット、移植材料並びに疾患モデル
JP2015082987A (ja) 精子活性化方法及びその用途
WO2015066197A2 (en) Cardiac neural crest cells and methods of use thereof
Kim et al. Production of quail (Coturnix japonica) germline chimeras by transfer of gonadal primordial germ cells into recipient embryos
US20070010010A1 (en) Method for efficient transfer of human blastocyst-derived stem cell (hbs cells) from a feeder-supported to a feeder-free culture system
JP4374419B2 (ja) 多能性幹細胞培養用の組成物とその使用
Kaul et al. Ultrasound guided transplantation of enriched and cryopreserved spermatogonial cell suspension in goats
JP5974093B2 (ja) 組織保存液および組織保存方法
JP6487552B2 (ja) 植物由来組換えヒト血清アルブミン及び植物性ペプチドを有効成分として含有する細胞保存用組成物
Malekzadeh et al. Cryoprotective effect of pentoxifylline on spermatogonial stem cell during transplantation into azoospermic torsion mouse model
US11834679B2 (en) Method for producing cardiomyocytes
JP7228269B2 (ja) 細胞塊融合法
JP2018177648A (ja) 多能性幹細胞の腫瘍化抑制剤及び腫瘍化抑制方法
JP6869632B2 (ja) 精子運動活性及び/又は精子生産能力の向上方法
TWI389696B (zh) 人工腎臟前驅物及其製造方法
CN107460170B (zh) 人垂体腺瘤细胞系的建立及其应用
Roberts Isolation and establishment of human tumor stem cells
CN108690827A (zh) 从肌源性祖细胞获得分化细胞的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20170421

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200131

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210615

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210806

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211007

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220201